説明

通気性のある伸張性積層体を有する吸収性物品

トップシートと、トップシートに接合されたバックシートと、トップシートとバックシートとの間の吸収性コアと、通気性のある伸張性積層体とを含んで成る伸縮性要素を含み得る吸収性物品。通気性のある伸張性積層体は、第1の基材及び前記第1の基材に接合された伸縮性部材を備えることができ、前記伸縮性部材はポリウレタンを含む。通気性のある伸張性積層体は、24時間につき1平方メートルあたり約300gを超える湿気透過率、及び38℃(100°F)および50%の伸長で約10時間の後に約50%未満の力緩和を示し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性のある伸張性積層体を含む、おむつ、トレーニングパンツ、大人用失禁物品、婦人衛生物品等などの吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性用具、例えば、締着具付き使い捨ておむつ、ゴムウエストのおむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁用パンツなどは、動作の容易性及び持続するフィット性の維持を改善するために、伸張性積層体を有して構成されることが望ましいと、かねてから使い捨て吸収性物品の分野においては知られている。伸張性積層体は、使い捨て吸収性物品が一連の異なる寸法の着用者に順応することを可能にする。使い捨て吸収性物品は、その構造体の幾つかに伸張性積層体を有してもよく、ウエストバンド、レッグカフス、サイドパネル、伸縮性を持たせたトップシート、バックシート、耳、及び締着装置が挙げられる。
【0003】
様々な蒸気透過性、液体透過性のポリマーフィルムが当該技術分野において既知である。例えば、蒸気透過性ポリマーフィルムの一つの製造法は、マトリックスポリマーを、例えば炭酸カルシウムなどの(例えば、10重量%〜70重量%の)有機又は無機粒子状の充填材と混合し、当該ブレンドから被膜を押し出し成形することをが含まれる。マトリックスポリマーは、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、又は各種オレフィンコポリマー類を含むことができる。フィルムは単層フィルム、薄い通気可能な表面薄層と共に一次層としてポリマー/充填材マトリックスを有する多層フィルム、又は1つ以上のポリマー/充填材マトリックス層を有する多層フィルムであってもよい。フィルムは延伸されていてもよい。粒子状充填材は核生成部位の役割を果たし、フィルムにボイドの形成を引き起こす。しかしながら、上記フィルムから製造されるフィルム及び積層体は通常伸縮性がない。ポリオレフィンの変わりにエラストマーを使用したとしても、粒子状充填材の比較的高い濃度が、多くの場合、得られるフィルムの伸縮特徴及び引張特性を低下させる。
【0004】
蒸気透過性ポリマーフィルムの別の一般的製造方法は、製造プロセスの間にフィルムに孔を形成することを含む。例えば、ニードルパンチングはフィルムに孔を形成するためのよく知られたプロセスである。孔はまた、フィルムを、ウォータージェット又はエアジェットなどの流圧にさらすことにより形成され得る。これら方法が通気可能なエラストマーフィルムの製造に使用され得る一方で、得られる孔あきエラストマーフィルムは、軽減した引張特性を示す場合がある。特に、孔あきフィルムは、同等の孔のない、モノリシックフィルムと比べて引張強度が弱い場合が多い。加えて、一般的に孔あきフィルムは、孔のないフィルムと比べ、一定の歪みで保持される間に裂けやすく裂け目が広がりやすい。
【0005】
通気可能なエラストマー及び通気性のある伸張性積層体が形成された場合でさえも、これらの製品は使い捨て吸収性物品の使用に理想的にふさわしい機械的特徴を示さない場合がある。使い捨て吸収性物品などの使い捨て吸収性物品で使用される、伸張性積層体の一つの重要な性質は、伸張縮性積層体が低い力緩和を示す必要があることである。
【0006】
伸張性積層体(特に使い捨て吸収性物品で使用される場合)は、理想的には、最低限の力緩和で高い通気性を示す必要がある。一定の歪み、並びに予め定められた歪み、温度、及び時間で保持された結果として、力緩和はエラストマーの抵抗力の損失を定量化する。多くのおむつ構成要素は、伸張性積層体を含んでいる。構成要素の伸縮性特徴は、多くの場合おむつのフィット性及び機能を向上させる。例えば、伸縮性を持たせたサイドパネルは、パンツタイプのおむつなどの使い捨て吸収物品には一般的である。伸縮性を持たせたサイドパネルは、排泄物の改善された封入性と言い換えることのできる、体にぴったりあった適合フィット性を提供する。着用中、伸縮性を持たせたサイドパネルは伸長状態で維持され、伸縮性を持たせたサイドパネルは無負荷力を発揮する。時間と共に無負荷力は減少し得る。伸縮性を持たせたサイドパネルが過度の量の力を失うと、おむつはたるむ傾向があり、その結果漏れが増加する可能性がある。
【0007】
伸張性積層体構造において考慮すべき別の因子はエラストマー材のヒステリシス特性である。より小さな歪みでより低い無負荷力が存在することを表す(例えば、実際の製品の使用及び適用において示される歪みに近い低い無負荷力)ので、エラストマー材は、湾曲下で不必要に大きなヒステリシス領域を示すべきではない。より低い無負荷力は間接的に製品のフィット性に影響を与え得る。伸張性積層体の改善された特性を判定する一つのアプローチは、無負荷(即ち、50%の戻り負荷(return load)の歪み)への負荷(即ち、200%の歪み)を計算することによる。無負荷に対する負荷の割合が低い伸張性積層体を提供するのが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故に、必要な程度の通気性を示すと同時に低い力緩和を維持する、伸張性積層体を含む使い捨て吸収性物品を提供することが望ましい。通気性のある伸張性積層体は、ある程度高い伸張性を示しながらも最小限のセット力(set)を有することが可能である。かかる使い捨て吸収性物品の製造方法を提供することもまた望ましい。必要な程度の通気性及び必要な低負荷力を示すと同時に低い力緩和度合いを維持する、通気性のある伸張性積層体を含む使い捨て吸収性物品を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トップシート、トップシートに接合されたバックシート、トップシートとバックシートとの間の吸収性コア、及び通気性のある伸張性積層体を含む伸縮性要素、を有する吸収性物品に関する。通気性のある伸張性積層体は、第1の基材、及び前記第1の基材に接合される伸縮性部材を含んでもよく、前記伸縮性部材はポリウレタンを含む。通気性のある伸張性積層体は、24時間につき1平方メートルあたり約300グラムを超える湿気透過率(MVTR)を示し、及び38℃(100°F)および50%の伸長で約10時間後に約50%未満の力緩和を示し得る。
【0010】
本発明はさらに、トップシート、前記トップシートに接合されたバックシート、前記トップシートと前記バックシートとの間の吸収性コア、及び通気性のある伸張性積層体を含む伸縮性要素を有する吸収性物品に関する。前記伸縮性要素は、漸次延伸させた第1の不織布を含む通気性のある歪みのない伸張性積層体、及び前記漸次延伸させた第1の不織布に接合される伸縮性部材を含む。前記伸縮性要素が、−40℃未満の第1のガラス転移温度を有する第1の相と、100℃を超える第2のガラス転移温度を有する第2の相と、を少なくとも有する相分離物質を含み、前記相分離物質がポリウレタン硬質相を含む。前記通気性のある歪みのない伸張性積層体が、24時間につき1平方メートルあたり約300gを超える湿気透過率(MVTR)を示し、38℃(100°F)および50%の伸長で約10時間後に約50%未満の力緩和を示し、及び初回サイクルの200%負荷の50%無負荷に対する割合が約16未満を示す。
【0011】
本発明はさらに、前記通気性のある伸張性積層体を形成する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の吸収性物品は通気性のある伸張性積層体を含む。通気性のある伸張性積層体は、吸収性物品内の、伸縮性特性が望ましいいずれの場所においても使用され得る。通気性のある伸張性積層体は、基材に接合される伸縮性部材を一般に含む。伸縮性部材はポリウレタンであってよい。通気性のある伸張性積層体は、24時間につき1平方メートルあたり少なくとも約300gの湿気透過率(MVTR;Moisture Vapor Transmission Rate)を示す。その他の実施形態では、通気性のある伸張性積層体は、24時間につき1平方メートルあたり少なくとも約700g、又は24時間につき1平方メートルあたり少なくとも約1100gの湿気透過率(MVTR)を示す。通気性のある伸張性積層体は、38℃(100°F)および50%の伸長で約10時間後に約50%未満の力緩和を示す。
【0013】
I.定義
本明細書において使用される場合、以下の用語は下記で指定される意味を有する。
【0014】
吸収性物品に関連しての「使い捨て」は、本明細書において、洗濯する、あるいは別の方法で吸収性物品として復元するか再利用することを一般に意図されない(即ち、単一回の使用の後で廃棄する、好ましくはリサイクルする、堆肥化する、あるいは環境に適合する方法で廃棄することを意図される)吸収性物品を意味する。
【0015】
「吸収性物品」という用語は、身体の排出物を吸収及び収容する、着用可能な手段を指し、より詳細には、着用者の体に接して又は近接して配置されて、体から排出される様々な排出物を吸収し、収容する用具を指す。代表的な吸収性物品としては、おむつ、トレーニングパンツ、ゴムウエストのおむつ、パンツ型おむつ(即ち、米国特許第6,120,487号に説明されているような、予備成形された腰部開口部及び脚開口部を有するおむつ)、再締着可能なおむつ又はパンツ型おむつ、失禁用ブリーフ及び下着、おむつホルダー及びライナー、パンティライナーなどの女性用衛生衣類、吸収性挿入物などが挙げられる。
【0016】
用語「近位」及び「遠位」はそれぞれ、構造体の中央線の長手方向若しくは横方向に比較的近い又は遠い要素の位置をさす(例えば、長手方向に伸びる要素の近位縁が、同じ要素の遠位縁が同じ長手方向の中央線に対して配置されているよりも長手方向中央線により近く配置されている)。
【0017】
「身体に接する」及び「衣服に接する」は、要素又は要素の表面又は要素のグループの相対的な位置にそれぞれ関連する。「身体に接する」は、要素又は表面が、他の幾つかの要素又は表面よりも、装着中の着用者により近いことを指す。「衣服に接する」は、要素又は表面が、他のいくつかの要素又は表面よりも、装着中の着用者からより離れていることを指す(すなわち、要素又は表面は、使い捨て可能な吸収性物品の上に着用される着用者の衣類に近接している)。
【0018】
用語「長手方向」は、物品の腰部縁から対向する腰部縁まで実質的に垂直に続いて延びる方向を指し、一般的には物品の最長直線の長さに対して実質的に平行な方向を指す。長手方向の45°以内の方向は「長手方向」であると考えられる。
【0019】
用語「横方向」は、物品の長手方向縁部から対向する長手方向縁部まで続いて延びる方向を指し、一般には長手方向に対して直角な方向を指す。横方向の45°以内の方向は「横方向」であると考えられる。
【0020】
「配置される」は、要素が特定の場所又は位置に設置されることを指す。
【0021】
「接合された」は、要素が直接的に他の要素に取り付けされることによって要素が直接固定される形態、及び要素が中間の部材に取り付けされ、その中間部材が交代して他の要素に取り付けされることによって要素が他の要素に間接的に固定される形態を指す。
【0022】
「フィルム」は、シート状材料であって、長さ及び幅が厚みをはるかに超える材料を指す。典型的に、フィルムは約0.5mm以下の厚さを有する。
【0023】
「拡張性」及び「延伸性」は、弛緩状態における構成要素の幅又は長さが伸びる又は増加することができることを意味する。
【0024】
「伸縮素材」、「伸縮性材」及び「エラストマー」は、一般に、破壊又は破裂すること無しに、少なくとも50%の歪みに伸ばすことが可能で、変形力が除去された後、元の寸法に実質的に回復することができる材料を指す。
【0025】
「エラストマー材料」は伸縮性を示す材料である。エラストマー材料としては、エラストマーフィルム、スクリム、不織布及び他のシートのような構造体を挙げることができる。
【0026】
「外寄り」及び「中央寄り」は、それぞれ、第2の要素に関しておむつの長手方向の中心線から比較的遠くに又は近くに配置されている要素の位置を指す。例えば、要素Aが要素Bの外寄りである場合、要素Aは、要素Bより長手方向の中心線から遠い。
【0027】
「パンツ」は、予め成形された腰部及び脚部開口部を有する使い捨て吸収性材料を指す。パンツは、着用者の脚を脚部開口部に挿入し、パンツを着用者の胴体下部の周囲の適所に滑らせることにより、着用できる。パンツは通常、「閉じられたおむつ」、「予め締着されたおむつ」、「ゴムウエストのおむつ」、「トレーニングパンツ」及び「おむつパンツ」を指す。
【0028】
「伸張性積層体」は、ポリマーフィルム、不織布、織布、又はスクリムなどの少なくとも一つの基材に取り付けられる伸縮性部材を言う。伸縮性部材は、当業者に既知の幾つかの接合方法のいずれかによってその材料に取り付けられてもよく、接着剤接着、加熱接着、加圧接着、超音波接着などが挙げられる。伸張性積層体は一般に、破断又は破裂することなく、少なくとも50%の歪みまで伸び可能であり、及び変形力が除去された後では、実質的にその最初の寸法まで回復可能である。
【0029】
「基材」はシート状の材料を言う。好適な基材として、不織布ウェブ類、織布ウェブ類、編み布地類、フィルム類、フィルムラミネート類、孔あきフィルム類、不織布ラミネート類、スポンジ類、発泡体類、スクリム類、及びこれらのいずれかの組合せが挙げられる。好適な基材は、天然材料、合成材料、又はこれらのいずれかの組合せを含んでもよい。
【0030】
「弛緩」又は「弛緩状態」は、(重力などの自然発生力以外の)どのような力も構造又は要素に付加されていない状態を意味する。
【0031】
「コポリマー」は、異なる化学構造を有する2種以上のモノマーから合成されたポリマーを指す。
【0032】
「通気性モノリシックフィルム」は、拡散、吸収、及び/又は対流を介して、水蒸気がフィルムを通って透過することを可能とする、多孔性でない、孔あきではないフィルムである。約300g/m/24時間未満の湿気透過率を有するフィルムは非通気性とみなされる。
【0033】
II.通気性のある伸張性積層体
A.構造
本発明の通気性のある伸張性積層体10(breathable stretch laminate)は、第1の基材14に接合される伸縮性部材12を含む。伸縮性部材12と基材14の接合は、当技術分野において既知の加熱接着、加圧接着、超音波接着、機械的接着、接着剤接着、若しくは他のいずれかの好適な取付け手段、又はこれらの取付け手段の組合せなどの、様々な結合方法により実施されてもよい。特定の実施形態において、伸縮性部材12は、基材14に付着するのに十分な粘着を示してもよい。その他の実施形態において、伸縮性部材12は、伸縮性部材12が基材14と融合する又は物理的に連結するように、融解状態又は軟化状態で基材14に適用され得る。通気性のある伸張性積層体10の寸法は通常、通気性のある伸縮性積層体10の最終用途によってのみ限定される。
【0034】
伸縮性部材12は、フィルム、バンド、ストランド、個別の繊維、スクリム、網状線配置、フォーム、又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な形状を含んでもよい。特定の実施形態では、伸縮性部材12はモノリシックフィルムである。モノリシックフィルムは、溶媒キャスト又は押出成形などの典型的なフィルム形成方法によって調製することが可能である。通気性モノリシックフィルムは、一般に水蒸気がフィルムを通って迅速に拡散するように連続的な親水性部分を含む。
【0035】
図1A〜図1Dは、通気性のある伸張性積層体10のいくつかの好適な実施形態を示している。図1Aは、基材14に接合されたモノリシックフィルムの形状の伸縮性部材12、を有する通気性のある伸張性積層体10を示している伸縮性部材12と基材14は、同一の広がりをもつものとして示されているが、いずれかの層が、他方の層と異なる寸法を有してもよい。図1Bは、基材14に接合された1つ以上の伸縮性部材12を有する通気性のある伸張性積層体10を示している。伸縮性部材12は、ストランド、糸、リボン等の形状であってもよい。図1Cに示される通気性のある伸張性積層体10は、基材14に接合された網状線配置の形状の1つ以上の伸縮性部材を有する。網状線配置は、一実施例では、平行な複数の伸縮性部材12aを基材14に接合することにより形成されてもよい。第2の複数の伸縮性部材12bが、基材14に平行に接合されてもよい。第二の複数の伸縮性部材12bは、非並行配置で第1の複数の伸縮性部材12aに接合されてもよい。網状線配置はまた、ホットニードルパンチング又はその他のエラストマーフィルム穿孔技術によって形成されてもよい。網状線配置は又、米国特許出願公開番号2004/0013852に記載されるように、多孔質の巨視的に伸張された三次元エラストマーウェブから形成されてもよい。その公報には、多孔質を形成する構造体の上にフィルムを形成して、フィルムの厚さを横切って流体圧力差をかけることによって、どのようにして網状線配置が達成できるかが記載されている。流体圧力差が、フィルムを支持構造体に順応させて破裂させ、これにより網状線配置を創り出す。
【0036】
図1Dは、2つ又はそれ以上の基材に接合された1つ以上の伸縮性部材12(図1Dでは伸縮性部材12はフィルムとして描かれている)を有する通気性のある伸張性積層体10を示しており、ここでは第1の基材が14a及び第2の基材が14bである。通気可能な伸張性層10の特定の順番は変化可能であるが、示されている実施形態では、伸縮性部材12が、第1の基材14aと第2の基材14bとの間に配置されており、伸縮部材は片方又は両方に接合されてもよい。第1及び第2の基材14a、14bは、同一材料で又は異なった材料で構成されてもよい。
【0037】
B.製造方法
伸張性積層体を形成する技法は当技術分野において周知であり、これらの技法が、本発明の通気性のある伸張性積層体(BSL)10の形成に適用可能なことがある。伸張性積層体を作り出す一つの技法は、「伸張性結合(stretch bonding)」として一般に知られており、伸縮性部材12が伸長されている間に、少なくとも1つの伸縮性部材12が基材14に接合されることを伴う。伸縮性部材12は、ストランド、バンド、リボン、フィルム、スクリム等のような任意の既知の形状であってもよい。一般に、伸縮性部材は、その弛緩長さの少なくとも25%まで伸長されてもよい。伸縮性部材12と基材14との間の付着を向上させるために接着剤を使用してもよい。接合の後、伸縮性部材12は復元することが可能であり、これにより基材にギャザーを寄せて、伸張性積層体を作製する。
【0038】
伸張性積層体を作り出す別の技法は、「狭め結合(neck bonding)」と通常呼ばれており、基材14が伸張されて狭められている間に、伸縮性部材12が基材に接合されることを伴う。得られた積層体は伸張性があり、一般に、基板14の狭め方向に平行な方向に伸縮性特徴を示すのが一般的である。特定の実施形態において、基材14は非伸縮性の基材であってもよい。狭め接合された積層体の例が、米国特許第5,226,992号、第4,981,747号、第4,965,122号、及び第5,336,545号に記載されている。「狭め結合」の変形には、挟まれた基材14に伸長された伸縮性部材12を結合することが含まれる。伸縮性部材と基材との間の付着を向上させるために接着剤を使用してもよい。かかる結合された積層体の例が、米国特許第5,114,781号及び第5,116,662号に記載されている。
【0039】
伸張性積層体を形成する別の技法では、弛緩配置又は部分的伸張配置のいずれかにて、伸縮性部材を基材に取り付けることができる。伸縮性部材と基材との間の付着を向上させるために接着剤を使用してもよい。基材が永久的に伸長されるが伸縮性部材は一時的にのみ伸長される伸長プロセスを積層体に受けさせることによって、得られた積層体は伸張可能にする(又は、部分的に伸張されたストランド若しくはフィルムの場合は、より伸張可能にする)ことができる。かかるプロセスは、「歪みのない」伸張性積層体(stretch laminate)の形成として当該技術分野において既知である。特定の実施形態において、歪みのない伸張性積層体は漸次延伸されてもよい。漸次延伸は一対の噛み合い波形ロールによって実施されてもよい。波形ロールは、延伸操作中、波形の幅に対応する複数の狭い間隔の場所で積層体を支持する。これにより、ウェブの最も外側先端のみに張力が与えられる場合(例えば、テンションロール又はオフスピードロールにさらされる積層体)にしばしば起きるような、高度に局在した延伸ではなく、むしろ隣接した支持点の間の積層体の支持されていない各セグメントのほぼ均一な漸次延伸が得られる好適な歪みのない漸次延伸は、米国特許第5,167,897号、第5,156,793号、及び第6,843,134号に記載されている。
【0040】
伸張性積層体を形成する代替技法が、米国特許出願公開番号2003/0088228A1、2003/0091807A1、及び2004/0222553A1に開示されている。これらの公開で開示されている技法は、1つ以上のエラストマー組成物を基材上に熱溶融塗布して1つ以上の伸縮性部材を形成した後、エラストマーの伸張特性を基材に付与するために基材の漸次延伸によって伸縮性部材を形成することを伴う。特定の実施形態では、伸縮性部材は、1つ以上の熱可塑性エラストマーを漸次延伸させた基板上に熱溶融塗布することによって形成され得る。好適な塗布方法として、例えば、直接グラビア、オフセットグラビア、及びフレキソ印刷が挙げられる。これらの方法のそれぞれにより、ある量のエラストマーがいかなる形状及び方向にも付着可能となり、このようにして伸張性積層体が呈する伸張特性にかなりの柔軟性がもたらされる。伸張性積層体を形成する他の従来方法も、この説明の範囲内である。
【0041】
代替的実施形態において、通気性のある伸張性積層体10は統合プロセスによって形成されてもよい。そのプロセスは、積層体10の形成と同時に伸縮性部材12を形成することを伴う。換言すれば、伸縮性部材12は、積層体10の作製の連続的なプロセスの中で1つの工程として形成される。図1Eに示されるような一つの好適なプロセスでは、冷却ドラム132が提供される。冷却ドラム132は軸線の周りを回転し、冷却された外側表面を有していてもよい。融解状態又は軟化したエラストマー組成物138を冷却ドラムの外側表面に押し出して1つ以上の伸縮性部材12を形成する、押出成形機130が設けられている。軸線の周りを回転する第1のロール134及び第2のロール136が設けられてもよい。第1のロール134と第2のロール136との間には、これらロールによってニップ135が形成され得る。基材14が提供されて第2のロール136へと運ばれてもよい。伸縮性部材12は、冷却ドラム132から第1のロール134へと運ばれてもよい。一般に、冷却ドラム132と第1のロール134との間の距離は、伸縮性部材12のハンドリング効率を向上させるために最小限にする。伸縮性部材12及び基材14はニップ135を通過し、これにより複数の伸縮性部材12を基材14に接合する。伸縮性部材12と基材14との間の付着を向上させるために接着剤を使用してもよい。追加の基材を通気性の伸張性積層体10に接合してもよい。波形ロールを用いた漸次延伸などのさらなるプロセスを、得られた積層体に受けさせてもよい。
【0042】
さらに、第1のロール134の表面速度は、冷却ドラム132の表面速度より速くてもよい。かかるケースにおいて、伸縮性部材12は基材14に付着さられる前に伸長される。
【0043】
C.伸縮性部材
伸縮性性部材12は、ポリウレタン、必要により少なくとも1種の変性樹脂、及び必要により1種以上の添加物を含んでもよい。本明細書で使用するとき、ポリウレタンは、ウレタン結合及び/又は尿素結合を有する高分子を包含する。本明細書で有用なポリウレタンは、好ましくは、ポリウレタン(コ)ポリエーテル類、ポリウレタン(コ)ポリエステル類、ポリウレタン/尿素(コ)ポリエーテル類、又はポリウレタン/尿素(コ)エステル類から選択される。好ましくは、ポリウレタン−コ−ポリ(エチレングリコール)、ポリウレタン−コ−ポリ(テトラメチレングリコール)、並びにポリウレタン−コ−ポリ(プロピレングリコール)及びこれらの混合物である。
【0044】
伸縮性部材12の坪量は様々であってもよい。特定の実施形態において、伸縮性部材12の坪量は約100g/m未満であってもよい(例えば、以下において図3A〜図3Bを参照して説明されるパンツの前側又は後側耳部における通気性のある伸張性積層体(BSL)10の使用)。特定の実施形態において、伸縮性部材12の坪量は約35g/m未満であってもよい(例えば、以下において図2を参照して説明されるパンツの前側又は後側耳部における通気性のある伸張性積層体(BSL)10の使用)。特定の実施形態において、伸縮性部材12の坪量は約10g/m未満であってもよい(例えば、伸縮性バックシートにおける通気性のある伸張性積層体(BSL)10の使用)。
【0045】
ポリウレタン類は、少なくとも1つの硬質相(hard phase)(ハードブロック又はハードセグメントとも言う)及び少なくとも1つの軟質相(ソフトブロック又はソフトセグメントとも言う)を有する、相分離物質の構成要素であってもよい。各相は個別のガラス転移温度を示してもよい。ソフト相は一般に、コポリマーの使用温度においてガラス状又は結晶性の領域を形成しないように、十分に低いガラス転移(Tg)温度及び/又は融解温度を示す。一実施形態では、使用温度は、ほぼ室温(約22℃)〜ほぼ体温(約37℃)であってもよい。しかしながら、他の使用温度も可能であって、本発明の範囲内である。かかる軟質相は約−40℃未満のTgを示してもよい。かかる軟質相は約−65℃又は約−75℃未満のTgを示してもよい。硬質相は約65℃を超えるTgを有してもよい。硬質相は約135℃を超えるTgを有してもよい。
【0046】
本明細書で言及されるガラス転移温度は、20℃/分の温度勾配率を用いて、示差走査熱量計(DCS)により決定される。熱量計は、試験される試料の予想されるTg、例えば−90℃〜250℃を包含する温度範囲にわたって少なくとも20℃/分の加熱/冷却速度が可能でなければならず、また熱量計は約0.2μWの感度を有していなければならない。デラウェア州ニューキャッスル(New Castle, DE)のTAインスツルメント社(TA Instruments)から入手可能なQ1000DSCが、本明細書中で言及されるTgを測定するために適している。対象とする材料は、温度プログラム、例えば−90℃での平衡、20℃/分で120℃までの傾斜(ramp)、5分間の等温維持、20℃/分で−90℃までの傾斜(ramp)、5分間の等温維持、20℃/分で250℃までの傾斜(ramp)を用いて分析され得る。第2の加熱サイクルからのデータ(熱流量対温度)を使用して、標準半外挿熱容量温度アルゴリズム(standard half extrapolated heat capacity temperature algorithm)によってTgを計算する。典型的には、3〜5gのサンプル物質をクリンプ蓋を有するアルミニウムDSCパン内に量り入れる(±0.1g)。
【0047】
硬質相は、必須なガラス転移温度の必要要件を満たすポリウレタンブロックを含んでもよい。軟質相は1種以上のポリエーテル類を含んでもよい。好適なポリエーテル類には、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコール・ソフトブロックは、ポリエチレングリコール・ブロックを有するポリウレタン・ブロックコポリマー類が、ポリテトラメチレングリコール又はポリプロピレングリコールを含有するポリウレタン・ブロックコポリマー類よりもより通気可能であるという理由から、有用である。ポリエチレングリコール・ブロックは理想的な通気性を提供するが、ポリエチレングリコール・ブロックとその他のポリエーテル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)ブロックとの混合物は、伸張性積層体での使用に好適な機械的特性を提供するため、特に適している。軟質相のポリエーテル類は、硬質相の構成要素をマクロジオール(macrodiol)と重合することにより得ることができる。マクロジオールはHO−(−R−O−)−Hの基本構造を有してもよく、式中、Rは、エチレン、ブタン、ヘキサン等のような繰り返し単位であり、nは1より大きい。例として、好適なマクロジオールには、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジプロピレンジオール、シクロヘキシレンジオール、及び混合物が挙げられる。さらに、軟質相は、硬質相の構成要素を、エトキシ化ハイドロキノンを含む好適なハイドロキノイン(hydroquinoine)と重合することにより得ることができる。ソフトブロックのTgを調整するため、表面特性に影響を及ぼすため、又は通気性を増加させるために、相分離物質は、必要により、化学置換基(例えば、ヒドロキシル基又はカルボン酸塩類)でグラフト化されてもよく及び/又は部分的に変性されていてもよい。
【0048】
特定の実施形態において、ポリウレタンの重量平均分子量は少なくとも40kDaであってもよい。特定の実施形態において、軟質相の分子量は少なくとも500kDa、少なくとも1000kDa、又はさらに少なくとも2000kDaであってもよい。
【0049】
ポリウレタンは、例えば、ブタンジオール、又はシクロヘキサンジオールのようなジオールと、ジイソシアネートとの重合反応によって得てもよい。あるいは、ポリウレタンは、エチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、又はこれらの混合物などの脂肪族ジオールと、芳香族ジイソシアネートとの重合反応によって得てもよい。ブロックコポリマーのポリウレタン又はポリウレタンセグメントを形成するために使用される好適なジイソシアネートは、メチレンビス(フェニルイソシアネート)である。
【0050】
末端ヒドロキシル基も有する中間体にテトラメチレンオキシドの繰り返し単位が存在するように、前記ポリウレタンは、テトラヒドロフランモノマーから得られるポリエーテル中間体を含有していてもよい。必要により、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物のような、その他の選択的な種類のアルキレンオキシドモノマー類を、ポリウレタンの製造に使用することが可能である。
【0051】
好適な相分離物質は、(i)少なくともテトラメチレンオキシド繰り返し単位及び、必要により、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドから得られる繰り返し単位を有するポリエーテル中間体、(ii)ジイソシアネート、及び(iii)ジオール又はエトキシ化ハイドロキノン、の出発モノマー類から重合されてもよい。好適なジオール類には、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジプロピレンジオール、シクロヘキシレンジオール、及び混合物が挙げられる。
【0052】
伸縮性部材12は、1種以上の可塑剤を含んでもよい。好適な可塑剤は、特性に影響を及ぼさずに硬度を減少させるエラストマーポリマーを結合させる又は相混合させてもよい。伸縮性部材12は、約0%〜約60%の量で可塑剤を含んでもよい。好適な可塑剤には、ベンジルフタレート、ベンジルブチルフタレート、及びPEG−400のようなポリ(エチレンクリコール)が挙げられる。
【0053】
伸縮性部材12は、様々な添加物を含んでもよい。伸縮性部材12の、熱的、酸化的、及び生化学的な劣化を防止するために用いてもよい好適な添加物には、例えば、安定剤、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、加工助剤、スリップ剤、酸化防止剤、不透明化顔料、着色剤、ミネラル充填剤、紫外線吸収剤及び制菌剤が挙げられる。一般に、添加物は、伸縮性部材12の総重量の約0.01%〜約60%を占めてもよい。別の実施形態では、組成物は、添加物を約0.01%〜約25%を含む。別の好適な実施形態では、組成物は、添加物を約0.01重量%〜約10重量%を含む。
【0054】
様々な着色剤及び充填材が、当技術分野において既知であり、伸縮性部材12を形成する組成物の中に添加物として含まれてもよい。着色剤は、染料と二酸化チタンなどの顔料とを包含することができる。充填材には、タルク及びクレーのような物質が含まれてもよい。その他の添加物として、染料、UV吸収剤、臭気抑制剤、芳香剤、充填材、乾燥剤などが含まれてもよい。
【0055】
D.基材
使用に好適な基材14として、不織布ウェブ類、織布ウェブ類、編み布地類、フィルム類、フィルムラミネート類、孔あきフィルム類、不織布ラミネート類、スポンジ類、発泡体類、スクリム類、及びこれらのいずれかの組合せが挙げられる。好適な基材は、天然材料、合成材料、又はこれらのいずれかの組合せを含んでもよい。吸収性物品において並びに特におむつ及び類似製品で使用するために、基材14は一般に、順応性があり、触感が柔らかく、及び着用者の皮膚を刺激しない。ある実施形態では、基材14には、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブ、カード加工ウェブ、及びこれらの組合せ(例えば、スパンボンド−メルトブローン複合品及び変異品)などの、不織布ウェブが含まれてもよい。
【0056】
E.通気性のある伸張性積層体の特性
本発明の通気性のある伸張性積層体10は独特の物理的特性を示す。特定の実施形態において、通気性のある伸張性積層体(BSL)10が、以下に記載の湿気透過率(MVTR、Moisture Vapor Transmission Rate)試験で測定される必要程度の通気性を示すことは重要である。通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、少なくとも約300g/m/24時間の湿気透過率(MVTR)を示し得る。代替的実施形態において、通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、少なくとも約500、750、又は1000g/m/24時間の湿気透過率(MVTR)を示し得る。
【0057】
通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、以下に記載の持続力緩和試験(Sustained Force Relaxation Test)によって測定される約50%未満の力緩和を示し得る。代替的実施形態において、通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、約40%、約30%、又は25%未満の力緩和を示し得る。さらに、通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、2サイクルの200%ヒステリシス試験(Hysteresis Method)において、前記通気性のある伸張性積層体の初回サイクルの200%負荷の50%無負荷に対する割合が約16未満であってもよい。別の実施形態において、200%負荷の50%無負荷に対する割合が約13未満である。より小さな負荷対無負荷の割合は、湾曲下でのより小さなヒステリシス領域と相互に関係し、このことが小さな歪み(即ち、負荷力により近似した無負荷力)でより大きな無負荷力が存在していることを証明している。
【0058】
III.吸収性物品
通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、様々な消費者用品及び市販製品に利用できる。しかしながら、通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、吸収性物品の中で、特におむつなどの使い捨て吸収性物品で、特別の効果を有する。通気性のある伸張性積層体(BSL)10は、様々な領域で又は様々な要素に使用して、吸収性物品に伸縮性特性を提供することができる。
【0059】
図2は、おむつ20の平坦且つ非伸縮状態(即ち、収縮をもたらす伸縮性を有さない)における、代表的且つ非限定的な実施形態の平面図である。おむつ20の衣類に面する表面120は見る人に面しており、身体面表面122は見る人の反対側にあたる。おむつ20は、長手方向中心線100及び横方向中心線110を含む。おむつ20は、シャーシ22を含んでよい。特定の実施形態において、シャーシ22はおむつ20の主要構造を含み、複合おむつ構造を形成するためにその他の機構が追加され得る。おむつ20及びシャーシ22は、前側腰部区域36と、前側腰部区域36と対向する後側腰部区域38と、前側腰部区域36及び後側腰部区域38との間に位置する股部区域37とを有するものとして示されている。腰部区域36及び38は、一般に、着用した時に着用者の腰部を取り巻くようなおむつ20の部分を備える。腰部領域36及び38は伸縮性要素を包含し、着用者の腰部周りで縮んで改善されたフィット性と封入性を提供してもよい。股部領域37は、おむつ20が着用された場合、概ね着用者の脚の間に位置するおむつ20の部分である。
【0060】
おむつ20及び/又はシャーシ22の外側周囲は、長手方向縁部12と横方向縁部14とによって画定される。シャーシ22は、一般的に長手方向中心線100に対して平行に配向される対向長手方向縁部12を有してよい。しかしながら、より良い適合のためには、長手方向縁部12は、例えば平面図で見た時に、「砂時計」型のおむつを製造するように湾曲又は角度がつけられてよい。シャーシ22は、一般的に横方向中心線110に対して平行に配向される対向横方向縁部14を有してよい。
【0061】
シャーシ22は、長手方向縁部25を有するトップシート24、バックシート26、及びトップシート24とバックシート26との間の吸収性コア28を含んでもよい。吸収性コア28は、身体に面する表面と衣類に面する表面とを有してよい。トップシート24は、コア28及び/又はバックッシート26に接合されてよい。バックシート26は、コア28及び/又はトップッシート24に接合されてよい。他の構造体、要素、又は基材がコア28とトップシート24及び/又はバックシート26との間に配置されてよいことを認識すべきである。トップシート24、バックシート26、及び吸収性コア28は、米国特許第3,860,003号、第5,151,092号、第5,221,274号、第5,554,145号、第5,569,234号、第5,580,411号、及び第6,004,306号に一般的に記載されているような、様々な周知の構成によって組み立てられてよい。
【0062】
吸収性コア28は、使い捨て可能なおむつ及び他の吸収性物品において一般的に使用される様々なその他の液体吸収材料を含むことができる。好適な吸収材料の例には、エアフェルトと一般に呼ばれる粉砕木材パルプ;化学的に硬化され、改質され、又は架橋されたセルロース繊維;超吸収性ポリマー及び吸収性ゲル化材料;コフォーム、生体溶解性ガラス状マイクロファイバーを含むメルトブローンポリマー;ティシュラップ及びティシュ積層体を含むティシュと;吸収性フォーム;吸収性スポンジと;あらゆるその他の既知の吸収材料又はそれらの材料の組合わせ、が挙げられる。吸収性コア28として使用するための例示的な吸収性構造体は、米国特許第4,610,678号、米国特許第4,673,402号、米国特許第4,834,735号、米国特許第4,888,231号、米国特許第5,137,537号、米国特許第5,147,345号、米国特許第5,342,338号、米国特許第5,260,345号、米国特許第5,387,207号、米国特許第5,397,316号、米国特許第5,625,222号、及び米国特許第6,932,800号に記載されている。さらなる代表的な吸収性構造体は、取り外し可能でない吸収性コア構成要素及び取り外し可能な吸収性コア構成要素を含み得る。かかる構造は、米国特許公開番号2004/0039361A1;同2004/0024379A1;同2004/0030314A1;同2003/0199844A1;及び同2005/0228356A1に記載されている。
【0063】
吸収性コア28は、流体獲得構成要素、流体分配構成要素、及び流体貯蔵構成要素を含んでもよい。獲得層、分配層、及び貯蔵層を備える好適な吸収性コア28が、米国特許第6,590,136号に記載されている。
【0064】
その他の好適な吸収性コア構造が、ブサム(Busam)らの米国特許公開番号2004/0167486に記載されている。上記公報の吸収性コアは、コアの中に吸収繊維性材料を使用していない、あるいは最小限使用している。一般に、吸収性コアは、約20%以下の重量パーセントの吸収繊維性材料(即ち、[繊維性材料の重量/吸収性コアの総重量]×100)を有し得る。
【0065】
トップシート24は、一般に、着用者に対して少なくとも部分的に接触又は近接近して配置され得るおむつ20の一部である。適切なトップシート24は、広範囲にわたる材料、例えば多孔性発泡体、網状の発泡体、穿孔されたプラスチックフィルム、又は、天然繊維(例えば木質繊維又は綿繊維)、合成繊維(例えばポリエステル又はポリプロピレン繊維)、又は天然繊維及び合成繊維の組み合わせの織布ウェブ又は不織布ウェブから製造されることができる。トップシート24は、一般にしなやか且つ柔軟な風合で、着用者の皮膚にチクチクしない。一般的に、トップシート24の少なくとも一部は液体透過性であり、液体がトップシート24の厚さを容易に通過することを可能にする。好適には、トップシート24は、再生可能な資源から得たポリマー(例えば、ポリエチレン)を含む。あるいは、好適なトップシート24は、テネシー州ブレントウッド(Brentwood)のBBAファイバーウェブ社(BBA Fiberweb)から、供給元コード055SLPV09Uとして入手可能である。トップシート24は、全体的に又は部分的に伸縮されてもよく、又は伸縮させてトップシート24とコア28との間に空隙空間を形成してもよい。伸縮性のある又は縮小するトップシートを包含する代表的な構造体は、米国特許第4,892,536号、同第4,990,147号、同第5,037,416号、及び同第5,269,775号に更に詳細に記載されている。
【0066】
トップシート24のあらゆる部分は、当技術分野で公知のローションでコーティングされてもよい。好適なローションの例として、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635,191号、同第5,643,588号に記載されるものが挙げられる。トップシート24は、全体的に又は部分的に伸縮されてもよく、又は伸縮させてトップシート24とコア28との間に空隙空間を形成してもよい。伸縮性のある又は縮小するトップシートを包含する代表的な構造体は、米国特許第4,892,536号、同第4,990,147号、同第5,037,416号、及び同第5,269,775号に更に詳細に記載されている。
【0067】
バックシート26は、一般的に、おむつ20の衣類に面する表面120の少なくとも一部分であり得るように配置される。バックシート26は、おむつ20に吸収され、おむつ20内に収容された排出物が、ベッドシーツや下着のような、おむつ20と接触し得る物品を汚すことを防ぐように設計されてよい。特定の実施形態において、バックシート26は実質的に水分不透過性である。しかしながら、バックシート26は、蒸気が逃げることを許すと同時に水分排出物が逃げることを防ぐために通気可能とされてもよい。ポリエチレンフィルムは、無機微粒子材料の含有及び続くフィルムのテンショニング伸張によって通気可能とすることができる。通気性バックシートは、例えば、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブ及び微小孔性フィルムのような複合材料等の材料を含んでもよい。好適には、バックシート26は、上記で開示したような再生可能な資源から得られるポリマー(例えば、ポリエチレン)を含む。再生不可能な資源から得られる代替的なバックシート26には、テレホートインディアナ州(Terre Haute, IN)のトレデガー社(Tredegar Industries Inc.)製の商標名X15306、X10962、及びX10964で販売されているフィルム;日本の三井東圧製の名称ESPOIR NO、及びテキサス州ベイシティ(Bay City, TX)のエクソン化学社(EXXON Chemical Co)製の名称EXXAIREなどのミクロ孔質フィルムが挙げられる。その他の代替的な通気性バックシート26が、米国特許第5,865,823号、同第5,571,096号及び同第6,107,537号に記載されている。
【0068】
バックシート26は、一層を超える層から構成されてもよい。例えば、バックシート26は、外側カバー及び内部層を備えることができる。外側カバーは長手方向縁部を有し、内部層は長手方向縁部を有してもよい。外側カバーは、柔らかい不織布材料から作成されてよい。内層は、実質的水不透過性のフィルムから作成されてよい。外側カバー及び内部層は、接着剤又は任意の他の好適な材料又は方法によって共に接合されてよい。好適には、不織布の外側カバー及び水分不透過性フィルムは、再生可能な資源から得られたポリマー(例えば、ポリエチレン)を含む。あるいは、再生不可能な資源から得られる好適な外側カバー及び内部層は、ドイツのペイネ(Peine, German)のコロビン社(orovin GmbH)から供給元コードA18AH0として、及びドイツのグロナウ(Gronau, Germany)のRKWグロナウ社(RKW Gronau GmbH)から供給元コードPGBR4WPRとしてそれぞれ入手可能である。本明細書では様々なバックシート構成が考えられているが、本発明の精神範囲から逸脱することなく様々な他の変更修正が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0069】
本発明の通気性のある伸張性積層体10は、バックシート26、トップシート24、又は吸収性コア28に接合されてもよく、バックシート26、トップシート24、又は吸収性コア28を形成する1つ以上の構成要素から形成されてもよい。さらに、バックシート26、トップシート24、又は吸収性コア28は、通気性のある伸張性積層体10を含んでもよい。例えば、バックシート26は通気性のある伸張性積層体10を含んで、それにより伸縮性バックシート26を形成してもよい。通気性のある伸張性積層体10は、伸縮性特徴が望まれるいずれの場所に配置されてもよい。
【0070】
おむつ20は、後側耳部42(図2に図示)、前側耳部40、又は両方(図3に図示)を有してもよい。前側耳部40及び/又は後側耳部42は、おむつ20の統合された要素であってもよい(すなわち、それらはおむつ20に固定される別個の操作要素ではなく、むしろ、おむつの様々な層の一つ以上から形成され、それらの延長部分である)。特定の実施形態において、図2に示されるように、耳部40,42はシャーシ22に接合される別個の要素であってもよい。別個の耳部40,42は、接着剤接着、加圧接着、加熱接着等などの当該技術分野において既知のあらゆる接着方法によってシャーシ22に接合されることが可能である。その他の実施形態において、別個の耳部40,42は、耳部40,42に拡大する層、要素、又は基材を有するシャーシ22に接合される別個の要素を備えてもよい。耳部40、42は、延伸性、非延伸性、伸縮性、又は非伸縮性であってよい。耳部40、42は、不織布ウェブ、織布ウェブ、編布地、ポリマー及びエラストマーフィルム、孔あきフィルム、スポンジ、発泡体、スクリム、及びこれらの組み合わせ及び積層体から形成されてよい。特定の実施形態において、前側耳部及び後側耳部42は本発明の通気性のある伸張性積層体10から形成されてもよい。
【0071】
おむつ20は、液体及びその他の身体の滲出物の改善された封入性を提供するレッグカフ32a,32bを更に包含してもよい。レッグカフ32a,32bは、ガスケッチングカフ、外側レッグカフ、レッグバンド、サイドフラップ、伸縮性カフ、バリアカフ、第2のカフ、内側レッグカフ、又は「立ち上がり(stand-up)」伸縮性フラップとも称され得る。米国特許第3,860,003号には、サイドフラップ、及び伸縮性レッグカフ(即ち、ガスケットカフ)を提供する1つ以上の伸縮性部材を有する、収縮可能な脚部開口部を提供する使い捨ておむつが記載されている。米国特許第4,808,178号及び同4,909,803号は、脚領域における封入性を改善する「立ち上がり(stand-up)」伸縮性のあるフラップ(バリアカフ)を有する使い捨ておむつを記載する。米国特許第4,695,278号及び同第4,795,454号は、ガスケッチングカフ及びバリアカフを包含する2重カフを有する使い捨ておむつを記載する。
【0072】
図2は、2重カフ、ガスケッチングカフ32a、及びバリアカフ32bを有するおむつ20を示している。バリアカフ32bは、1つ以上のバリア伸縮性部材33bを有していてもよい。バリア伸縮性部材33bはバリアカフ基材34に接合されてもよい。特定の実施形態において、バリアカフ基材34はポリマーフィルム又は不織布であり得る。バリアカフ32bは、シャーシ22の身体面表面上に配置され得る。バリアカフ32bは本発明の通気性のある伸張性積層体10を備えてもよく、通気性のある伸張性積層体(BSL)10の伸縮性部材12及び基材14は、バリアカフ32bのバリア伸縮性部材33b及びバリアカフ基材34に対応する。バリアカフ基材34は、シャーシ22の長手方向縁部12から長手方向縁部122の内側の点まで横方向に延伸し得る。バリアカフ32bは一般に、少なくとも股領域37を通って長手方向に延伸する。
【0073】
ガスケッチングカフ32aは1つ以上のガスケッチング伸縮性部材33aを有してもよい。ガスケッチング伸縮性部材33aは、おむつ20の存在している要素又は基材(例えば、トップシート24、バックシート26、バリアカフ基板34等)の1つ以上に接合され得る。ガスケッチングカフ32aは、本発明の通気性のある伸張性積層体10を備えてもよく、通気性のある伸張性積層体(BSL)10の伸縮性部材12及び基材14は、おむつ20のガスケッチング伸縮性部材33a、及び存在している要素又は基材のいずれか1つ以上に対応する。
【0074】
おむつ20はまた腰部伸縮性機構60を備えてもよい。腰部伸縮性機構60は、一般に伸縮性的に伸縮し、着用者の腰に動的に適合することが意図されている。腰部伸縮性機構60により、おむつ20のフィット性及び封入性を改善可能にできる。おむつは、2つの腰部伸縮性機構60を有して、1つが前側腰部区域36に配置され1つが後側腰部区域38に配置されてもよい。腰部伸縮性機構60はおむつ20に接合される別個の要素であってもよく、又は腰部伸縮性機構60はおむつ60と一体化とされてもよい(即ち、腰部伸縮性機構60は別個の要素ではなく、おむつ20の伸縮性を示す領域である)。腰部伸縮性62は一般に、横方向への伸長及び戻りを可能にする。その他の実施形態において、腰部伸縮性機構60は本発明の通気性のある伸張性積層体10を含んでもよい。
【0075】
おむつ20には締着装置50も含まれてよい。締着される際、締着装置50は、前側腰部区域36及び後側腰部区域38と相互結合し、おむつ20の装着中、着用者の腰部周辺を取り囲んでよい。締着装置50は、係合部材52及び受け部材54を有してもよい。係合部材52は、係合部材52の一部又は全体をカバーする係合表面53を有してもよい。係合表面53は、フック、ループ、接着剤、粘着要素、ボタン、又はその他の締着要素を備えてもよい。受け部材54は、係合部材52の係合を受け入れる受け表面55を備えてもよい。受け表面55は受け部材54の一部又は全体をカバーし得る。受け表面55は、係合部材52の係合表面53と結合する又は係合するように構成される。例えば、ループ又は不織布の受け表面55は、フックの係合表面53と組み合わされる。締着装置50は、例えば、テープ状ひも、フックとループの締着要素、タブ及びスロットのような係合締着具、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は締着要素のような連動締着具等の締着具を含んでよいが、他の既知のいかなる締着手段も、一般に容認できる。例示的な表面締着装置が、米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号にて開示されている。例示的な連動締着装置が、米国特許第6,432,098号に開示されている。締着装置50は又、米国特許第4,963,140号にて開示されているように、物品を廃棄形体に保持するための手段を提供してもよい。締着装置50には又、米国特許第4,699,622号にて開示されているように、1次及び2次締着装置が含まれてもよい。締着装置50は、米国特許第5,242,436号、同第5,499,978号、同第5,507,736号、及び同第5,591,152号に記載されるように、重なり合っている部分の移動を削減するか、又は噛み合いを改善するように構成されてよい。
【0076】
代替実施形態では、おむつは、製造者により予め成形されて、パンツを創り出してもよい。パンツは、第1の腰部区域36が後側腰部区域38と接合し、締着装置などの再締着可能機構によって腰部開口部後側腰部区域38を形成する、又は再締着可能及び/又は再締着可能でない固着によって(例えば、シーム、溶接、接着剤、粘着結合、ファスナ等)接合され得るように、予め成形されてもよい。好適な再締着可能な結合は締着装置50を使用して得ることができる。再締着可能でない固着は、接着剤接着、加圧接着、加熱接着、超音波接着等を含む通常の結合技法によって形成されてよい。
【0077】
代表的なパンツ320が、図3A〜図3Bに示される。図3Aは、衣類に面する表面120が見る人に面している、平面で継ぎ合わせしていない状態のパンツ320を示している。図3Bは、図3Aのパンツ320の、継ぎ合わせした状態の斜視図である。特に記載のない限り、図3A〜図3Bの記号は図2のおしめ20と同じ要素を表している。パンツ320は締着装置を有していない。前側耳部40及び後側耳部42は複数の固着によりシーム49で接合されている。パンツ320はまた、前側腰部区域36と後側腰部区域38の両方に腰部機構60を有している。その他の好適なパンツが、米国特許第5,246,433号、同第5,569,234号、同第6,120,487号、同第6,120,489号、同第4,940,464号、同第5,092,861号、同第5,897,545号、同第5,957,908号、及び米国特許出願シリアル番号10/171,249にて開示されている。
【0078】
試験方法
持続負荷力緩和サンプル積層体を2.5×5cm(1”×2”)の型を用いて切断する。積層体の重量及び厚さを処理方向と共に記録する(マシン方向又は幅方向)裏にポリエステルを付けた耐熱テープ(マックマスター−カー(McMaster-Carr)カタログより入手可能、商品番号7630A42)を、2.5cm(1インチ)の標点距離を残し、切断した積層体の上部及び下部1.3cm(0.5インチ)に適用する。サンプルを、垂直に並べたGF−1バイスアクションテンシルグリップ(Vise Action Tensile Grips)(フロリダ州ラルゴ(Largo, FL)のチャティロン・フォース・メジャーメント・システムズ社(Chatillon Force Measurement Systems)より入手可能)に定置する。そのグリップは、38℃(100°F)に設定された試験室(以下に説明)内に設置されている。温度を38℃(100°F)に平衡させ、データ取得ソフトを入れ、サンプルを手動で50%工学歪みまで歪ませる(グリップ間の距離3.8cm(1.5インチ))。力(V)を10時間記録する(データファイルの大きさを最小とするため、試験中、サンプリングレートは時間の経過と共に減少させる)。所定の時間、t、における力緩和を次のように計算する:[(初期応力−時間tにおける応力)/初期応力]。
【0079】
持続負荷力緩和試験室:試験室は、一対の垂直に並べた手動で作動させるグリップを支持する、パイプスタンドを囲む、63.5×28×40cm(25×11×16インチ)(高さ×幅×深さ)の密封箱から成る。上部グリップに、力変換器、インターフェースモデルSMT1−1.1(アリゾナ州スコッツデール(Scottsdale, AZ)のインターフェース社(Interface, Inc.)から入手可能)を固定する。下部グリップに、グリップを上下させることの可能な手動で作動させるスクリューを取り付ける。グリップのゼロ位置は前記2つのグリップの間に2.5cm(1.0インチ)の間隙を提供する。電子位置決め装置、ProScaleモデル150(ノースカロライナ州フレッチャー(Fletcher, NC)のアキュレートテクノロジ社(Accurate Technology, Inc.)から入手可能)を下部グリップに取り付けてグリップ間の距離をモニタリングする。試験室内の温度を、試験サンプルの近くに設置した電子制御装置(オハイオ州クリーブランド(Cleveland, OH)のISE社から入手可能なWest6100+)、抵抗ヒータ、及び熱電対を使って維持する。力変換器からの出力信号をインターフェースモデルSGA歪みゲージ変換器増幅器(Interface Model SGA Strain Gage Transducer Amplifier available from Interface, Inc. Scottsdale, AZ and captured on)(アリゾナ州スコッツデール(Scottsdale, AZ)のインターフェース社(Interface, Inc.)から入手可能)で処理し、及びメジャーメント・コンピューティング社(マイアミ州ミドルボロ(Middleboro, MA))のPCカードDAS16/16を使用して、デル・ラティチュード(Dell Latitude)(テキサス州ラウンドロック(Round Rock, TX)のデル社(Dell Inc.)から入手可能)コンピュータに獲得する。社内で開発されたデータ獲得ソフトにより、プログラムされた時間間隔で、時間と負荷を記録(log)する。
【0080】
2サイクルの200%ヒステリシス方法一軸歪みを平らなサンプルに印加し、サンプルを伸長するために必要な力を測定する。その印加の時に、本明細書ではフィルムサンプルの幅方向にひずませる。サンプル積層体を25×50mm(幅×長さ)の型を使用して切断する。25×50mmのサンプルをMYS社(ノースキャロライナ州カリー(Cary, NC))から入手可能なMTSシナジー(Synergie)200材料試験機の空気式グリップ(pneumatic grips)に定置する。MYS社(ノースキャロライナ州カリー(Cary, NC))からアドバンテージ空気式グリップモデル(Advantage Pneumatic Grips Model 200N)200Nとして入手可能なグリップの間(ゼロ位置)の間隔は2.5cm(1.0インチ)である。グリップは、下部グリップをフレームに固定し、上部グリップを力変換器に取り付けて垂直に並べる。力変換器は、MYS社(ノースキャロライナ州カリー(Cary, NC))から入手可能なMTSモデルNo.100−090−197であり、これは機械のクロスヘッドに取り付けられる。ロードセルのフルスケール容量は、試験中の試験フィルムからの最大抵抗負荷を超えていなければならない。試験は2つの移動セグメントから成る。第1の移動セグメントは、フィルムを250mm/分で200%工学歪み(グリップ間の距離7.6cm(3インチ))に延伸して、サンプルを200%歪みで30秒間保持し、次に、250mm/分でクロスヘッドをゼロ位置まで戻す、クロスヘッドから構成される。サンプルはゼロ位置で60秒間保持される。第2移動セグメントは第1セグメントの繰り返しである。第1移動セグメントはサイクル1と識別され、一方第2移動セグメントはサイクル2と識別される。本方法により、200%での負荷(200%工学歪み時のピーク負荷)、50%での無負荷(ゼロへの復帰運動の間の、50%工学歪み時のピーク負荷)、及び30%での無負荷(ゼロへの復帰運動の間の、50%工学歪み時のピーク負荷)を記録する。
【0081】
湿気透過率(Moisture Vapor Transmission Rate)試験湿気透過率は、特定の温度及び湿度の下でサンプルを透過する水蒸気の量を測定する。透過した水蒸気はCaCl乾燥剤で吸収され、重量測定法で測定される。サンプルは、陽性の対照基準として使用される透過率の確定された参照フィルムサンプル(例えば、エクソン社(Exxon)のエクセア(Exxaire)細孔性材料No.XBF−110W))と共に3回評価される。
【0082】
試験ではフランジ付きカップ(デルリン(Delrin)から加工、マックマスター−カー(McMaster-Carr)カタログ、商品番号8572K34)及び無水CaCl(バージニア州リッチモンド(Richmond, Va)の和光純薬(Wako Pure Chemical Industries);カタログ番号030−00525)を使用する。カップの高さは55mm、内径30mm、及び外径45mmである。カップの内部容積は約38.8cmである。カップには、シリコーンガスケット及びカップを完全に密封するためのちょうねじ用の3つの孔を有する蓋が取り付けられている。使用される乾燥剤粒子は、No.8のふるいを通過するがNo.10のふるいは通過しない寸法とする。サンプルを約3.8×6.4cm(1.5”×2.5”)にサイズを変更し、気泡、穴、混在物、及び切れ目などの目に見える欠陥を実質的に有さない。サンプルは鋭利で、目に見える欠陥のない縁部を有することになっている。もしサンプルに欠陥がある場合は破棄して取り替える。サンプルは、0.007065mの円形部を有するカップ開口部を完全に覆わなければならない。
【0083】
カップに、その上端から約1cm以内までCaClを充填する。カップをカウンターの上に10回軽く打ち付けてCaClの表面を平らにする。フィルム表面とCaClの上端との間のヘッドスペースが1.0cmになるように、CaClの量を調節する。フィルムを開口部(30mm)にわたって定置し、シリコーンガスケット、止め輪、及びちょうねじを使用して固定する。適切に取り付ければ試験片にしわがよったり伸長したりしない。サンプル組み立て体を化学てんびんで計量し、±0.001gまで記録する。組み立て体を、一定の温度(40±3℃)及び湿度(75±3%RH)のチャンバに5.0時間±5分間定置する。サンプル組み立て体を取り出し、サランラップ(登録商標)で覆い、ゴムバンドで固定する。サンプルを30分間室温に平衡させ、プラスチックラップ及びゴムバンドを取り除き、組立体を再度計量し、そして重さを±0.001gまで記録する。吸収された水分Mは最初と最後の組み立て体の重さの差である。湿気透過率、g/m/24時間(g/m/日)、を以下のように計算する:
湿気透過率=M/(A×0.208日)
反復結果を平均し、100g/m/24時間単位で四捨五入する。(例えば、2865g/m/24時間は本明細書では2900g/m/24時間として与えられ、275g/m/24時間は300g/m/24時間として与えられる)。
【0084】
サンプルの調製
積層体の調製グルーシートをX−Yテーブル(即ち、xとyの両方向に移動可能な機械的なグルーヘッド(glue head)を備たテーブル)上に事前に用意しておく。グルーシートは、ウイスコンシン州ワウワトーサ(Wauatosa, WI)のボスティック・フィンドリー社(Bostik Findley)から入手可能な接着剤コードH2861を、一つのノズルヘッド使用してシリコーンコーティングされた剥離紙上に5mmのオーバーラップを有する螺旋模様に塗布することにより作製する。テネシー州オールドヒッコリー(Old Hickory, TN)のBBA不織布(BBA Nonwovens)から入手可能な、27gsm高伸長のカーディング法不織布の予め定められた切片を積層体製造のために切断する。不織布2片をテープでゴムマットに適切に固定する一方、グルーシートを固定した不織布の上部に定置する。グルーシートの逆の面はまだ剥離紙で覆っておき、ロールを使用して剥離紙から不織布へと接着剤を押圧/転写させる。剥離紙を第1の不織布から除去して接着剤を露出させる。(以下の実施例1〜3で開示されるような)伸縮性フィルムの予め定められた長さを、第1の不織布/接着剤の上部に定置し、続いてフィルムの上に剥離紙のシートを定置する。フィルムを第1の不織布/接着剤に対して押圧するためにロールを使用する。剥離紙をフィルムから取り外す。第2の不織布/接着剤上の剥離紙を取り外す。第2の不織布からの接着剤がフィルムと接触するように、第2の不織布/接着剤をフィルムの上部に定置する。第2の不織布をエラストマーフィルムに固着するために圧力をかけるのにロールを使用する。このプロセスにより、二層の不織布の間に接着剤で固着された伸張性フィルムを包含する三層積層体が製造される。定規と回転ブレードを用いて、積層体を、75mm(フィルムの機械幅方向)×80mm(フィルムの機械方向)の矩形に切断する。
【0085】
積層体の活性化伸縮性積層体を機械的に活性化し、米国特許第6,843,134号に記載のように、リングローリング活性化プロセスをシミュレートする。この場合の手動活性化は、不織布が破れる及び/又は伸長し、伸縮性フィルムが不織布によって過度に妨げられることなく伸び縮みできるように、噛み合い歯を有するアルミニウム・プレートを使用して、積層体の部分を選択的に伸張することを意味する。積層体は、組み立て後及び活性化前に最低1日エージングを行う。積層体は、目標歪みを260%及び目標歪み速度を533s−1として、幅方向に伸長を付与して活性化させる。活性化歯(activation teeth)の間のピッチは約3.810mmである。
【実施例】
【0086】
実施例1:マサチューセッツ州サウスディアフィールド(South Deerfield, MA)のディアフィールド・ウレタン社(Deerfield Urethane, Inc.)からデュレフレックス(Dureflex)X2104(ロット番号03162005)として市販されている、34gsm熱可塑性ポリウレタンブロックコポリマーキャストフィルムを、上記の方法に従って活性化及び試験した。デュレフレックス)X2104は、オハイオ州クリーブランド(Cleveland, OH)のノベオン社(Noveon, Inc.)のエスタン(Estane)X−1007を含む。エスタン(Estane)X−1007は、−61℃及び140℃のTgを有すると報告されている。
【0087】
実施例2:エスタン(Estane)X−1007−031/X−1206の90%/10%混合物(admix)として、オハイオ州クリーブランド(Cleveland, OH)のノベオン社(Noveon, Inc.)から入手可能な、34gsm熱可塑性ポリウレタンブロックコポリマーキャスト押し出しフィルムを、上記の方法に従って積層、活性化、及び試験した。
【0088】
実施例3(比較):ミズーリ州ジャクソン(Jackson, MO)のノルデニアUSA社( Nordenia USA, Inc.)から、供給元コードKG6361.000(ロット番号GG53576)で市販されている、熱可塑性共押出スチレン系ブロック共重合体フィルムを、上記の方法に従って積層、活性化、及び試験した。
【0089】
試験データ
【表1】

上記の表1に示されるように、ポリウレタン系積層体(実施例1及び2)の力緩和は、共押出スチレン系ブロック共重合体積層体の力緩和より顕著に低い。さらに、これら積層体の通気性の顕著な向上もまた実証されている。
【表2】

表2から分るように、ヒステリシスデータは、同程度の坪量(実施例2では55gsm及び実施例3では59gsm)では、ポリウレタン系積層体とスチレン系ブロック共重合体積層体の無負荷力は類似していることを示している。しかしながら、ポリウレタンフィルムの坪量を減少させると(例えば、実施例1では34gsm)、スチレン系ブロック共重合体積層体と比較して無負荷力も同様に減少する。一般に、高い無負荷力(例えば、負荷力により近似した無負荷力)を有することが望ましい。しかしながら、歪み(即ち、低い力緩和)の間も力が維持されることがより望ましい。この場合、ポリウレタン積層体は、スチレン系ブロック共重合体積層体と比較して低い力緩和を示しているので、無負荷力が低くても条件を満たしている。結果、歪み下に10時間おいた後、小さい坪量のポリウレタン積層体は、大きな坪量のスチレン系ブロック共重合体積層体と同等の無負荷を示すことが予測される。
【0090】
本発明の「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書におけるある用語のいずれかの定義又は意味が、参考として組み入れられる文献におけるその用語の定義又は意味と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた定義又は意味が基準となるものとする。
【0091】
本発明の特定の実施形態を説明記述してきたが、本発明の精神範囲から逸脱することなく他の様々な変更修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1A】通気性のある伸張性積層体の実施形態の斜視図。
【図1B】通気性のある伸張性積層体の実施形態の斜視図。
【図1C】通気性のある伸張性積層体の実施形態の斜視図。
【図1D】通気性のある伸張性積層体の実施形態の斜視図。
【図1E】通気性のある伸張性積層体の好適な製造プロセスの概略図。
【図2】通気性のある伸張性積層体を包含するおむつの上面図。
【図3A】通気性のある伸張性積層体を包含するパンツの上面図。
【図3B】通気性のある伸張性積層体を包含する、図3Aに示されるパンツの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)トップシートと、
b)前記トップシートに接合されたバックシートと、
c)前記トップシートと前記バックシートとの間の吸収性コアと、
d)通気性のある伸張性積層体を含む伸縮性要素と、備え、
前記通気性のある伸張性積層体は、
i)第1の基材と、
ii)前記第1の基材に接合され、ポリウレタンを含む伸縮性部材と、を有し、
前記通気性のある伸張性積層体は、24時間につき1平方メートルあたり約300グラムを超える湿気透過率を示し、38℃(100°F)および50%の伸長で約10時間後に約50%未満の力緩和を示す、吸収性物品。
【請求項2】
前記通気性のある伸張性積層体が、24時間につき1平方メートルあたり約500グラムを超える湿気透過率を示す、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記通気性のある伸張性積層体が、24時間につき1平方メートルあたり約1000グラムを超える湿気透過率を示す、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記通気性のある伸張性積層体が歪みのない伸張性積層体であり、前記第1の基材が漸次延伸させた不織布である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
2サイクルの200%ヒステリシス試験において、前記通気性のある伸張性積層体の初回サイクルの200%負荷の50%無負荷に対する割合が約16未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記ポリウレタンが、少なくとも40kDaの分子量を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記ポリウレタンが、−40℃未満の第1のガラス転移温度を有する第1の相と、100℃を超える第2のガラス転移温度を有する第2の相と、を少なくとも有する相分離物質である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記相分離物質が、
(i)少なくとも1つのテトラメチレンオキシドの反復単位、及び、必要によりプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから得られる反復単位を有するポリエーテル中間体、
(ii)ジイソシアネート、及び
(iii)ジオール又はエトキシ化ハイドロキノン
から重合される、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記伸縮性要素が、腰部機構、サイドパネル、耳部、肛門カフ、伸縮性を持たせたトップシート、伸縮性バックシート、締着装置、レッグカフ、及び、これらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記通気性のある伸張性積層体は、前記伸縮性部材に接合された第2の基材をさらに有し、
前記伸張性部材は、前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されるようになる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2009−523524(P2009−523524A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550890(P2008−550890)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050145
【国際公開番号】WO2007/083268
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】