説明

通路検出プログラム、通路検出装置及び方法

【課題】入力画像から未舗装路上の通路を検出する。
【解決手段】記憶装置から読み出した方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング機能と、前記フィルタリング機能によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定機能と、前記模様方向特定機能による前記模様方向の特定結果を基に所定の統計処理を行うことにより、前記通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出機能とをコンピュータに実現させる通路検出プログラムを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行路検出プログラム、走行路検出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載カメラで撮影した画像を基に通路を自動検出し、その検出結果を基に車両の運転状態を自動制御する技術が開発されている。近年では、災害救助車両や工事車両等のように危険地帯を走行する特殊車両に対して上記技術を導入し、これら特殊車両の完全無人化及び自動運転化を図ることにより、人的被害を最小限に抑えることの可能な車両制御システムの開発が進められている。また、通路を自動検出する技術を応用して、車両で屋外を巡回しながら地図を自動作成するシステムの開発も進められている。
【0003】
上記のように通路を自動検出する技術としては、(1)撮影画像を用いたエッジ検出や段差検出によって路肩を検出する手法(下記特許文献1及び2参照)、(2)ステレオ画像計測法を用いて車両周囲の三次元形状を計測し、その計測結果を基に平面領域とそれ以外の領域(障害物)とを区別する手法(下記特許文献3〜5参照)、(3)撮影画像から白線を検出し、白線で区切られた領域を走行レーンとして判別する手法(下記特許文献6〜8参照)、などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−331148号公報
【特許文献2】特開2003−233899号公報
【特許文献3】特許第3340599号公報
【特許文献4】特開2003−271975号公報
【特許文献5】特開2006−54681号公報
【特許文献6】特開平7−105487号公報
【特許文献7】特開2001−143084号公報
【特許文献8】特開2005−141514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した災害救助車両や工事車両等の特殊車両は、整備された舗装路だけでなく、未舗装路や林道、川原などの荒地を走行する必要があるため、完全無人化及び自動運転化に当たっては、過去の通過車両が残した轍などの通路を自動検出し、その通路をなぞるように車両の運転制御を行なうことが最適な制御手法の1つとして挙げられる。また、地図の自動作成システムにおいても、未舗装路や林道、川原などで頻繁に車両が通過することにより自然発生する轍などの通路まで地図上に記載する場合があり、その場合には轍などの未舗装路上の通路を検出可能な技術が必要となる。
【0006】
上記従来技術(特許文献1〜8)は、舗装路上の通路を自動検出する技術としては有効であるが、轍などの未舗装路上の通路を検出することは困難である。つまり、上記(1)の技術では、未舗装路の路肩に草むらのような端部に相当する領域が存在する必要があるが、そのような領域が存在するか否かは時と場所によって異なるため、使用時期と使用場所に制限が生じてしまう。また、上記(2)の技術では、林道などは元々起伏が激しく、また、うねっていることも多く、平面やある規則性を持った曲面とはならず、平面や数式で表される曲面で近似して通路領域とそれ以外の領域とを区別することは困難である(轍部分の起伏と路面の端の起伏とを区別することも困難である)。また、上記(3)の技術では、未舗装路には白線等の人工的な模様があるわけではないため、人工的な模様を用いた通路の切り分けは困難である。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、入力画像から未舗装路上の通路を検出可能な通路検出プログラム、通路検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、通路検出プログラムに係る第1の解決手段として、記憶装置から読み出した方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング機能と、前記フィルタリング機能によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定機能と、前記模様方向特定機能による前記模様方向の特定結果を基に所定の統計処理を行うことにより、前記通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0009】
また、通路検出プログラムに係る第2の解決手段として、記憶装置から読み出した方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング機能と、前記フィルタリング機能によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定機能と、前記通路検出対象領域を奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに、前記模様方向特定機能による前記模様方向の特定結果に基づいて所定の統計処理を行うことにより、前記副検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0010】
また、通路検出プログラムに係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記通路領域検出機能における前記統計処理は、前記通路検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、前記通路検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、通路検出プログラムに係る第4の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記通路領域検出機能における前記統計処理は、前記副検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、前記副検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、通路検出プログラムに係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、前記投票処理では、現在着目している副検出対象領域において、以前着目していた副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の終端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定することを特徴とする。
【0013】
また、通路検出プログラムに係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、現在着目している副検出対象領域について前記通路領域特定処理が終了した後に、以前着目していた副検出対象領域において、前記現在着目している副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の始端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定し、当該以前着目していた副検出対象領域について前記投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を再実施することで、当該以前着目していた副検出対象領域についての通路領域特定結果を修正することを特徴とする。
【0014】
また、通路検出プログラムに係る第7の解決手段として、上記第5または第6の解決手段において、前記奥行き方向に沿った位置に応じて前記投票重み付け領域の大きさ、及び/または前記投票の重み付け量を変化させることを特徴とする。
【0015】
また、通路検出プログラムに係る第8の解決手段として、上記第3〜第7のいずれかの解決手段において、前記通路検出対象領域のエッジ検出を行うことにより、前記通路検出対象領域に含まれる強エッジ領域を抽出する強エッジ領域抽出機能をさらに含み、前記通路領域検出機能における前記投票処理では、前記強エッジ領域抽出機能によって抽出された強エッジ領域の周辺の画素を前記投票元画素から除外することを特徴とする。
【0016】
また、通路検出プログラムに係る第9の解決手段として、上記第1〜第8のいずれかの解決手段において、前記フィルタリング機能において、前記記憶装置から前記入力画像における奥行き方向の位置に応じた周波数パラメータを有すると共に方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを読み出して、前記通路検出対象領域をフィルタリングすることを特徴とする。
【0017】
また、通路検出プログラムに係る第10の解決手段として、上記第1〜第9のいずれかの解決手段において、前記空間周波数フィルタは、2次元ウェーブレットフィルタ、または2次元窓付きフーリエ変換を利用したフィルタであることを特徴とする。
また、通路検出プログラムに係る第11の解決手段として、上記第10の解決手段において、前記2次元ウェーブレットフィルタは、2次元ガボールフィルタであることを特徴とする。
【0018】
一方、本発明では、通路検出装置に係る第1の解決手段として、方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを予め記憶する記憶装置と、前記記憶装置から読み出した前記空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング部と、前記フィルタリング部によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定部と、前記模様方向特定部による前記模様方向の特定結果を基に所定の統計処理を行うことにより、前記通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出部とを備えることを特徴とする。
【0019】
また、通路検出装置に係る第2の解決手段として、方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを予め記憶する記憶装置と、前記記憶装置から読み出した前記空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング部と、前記フィルタリング部によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定部と、前記通路検出対象領域を奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに、前記模様方向特定部による前記模様方向の特定結果に基づいて所定の統計処理を行うことにより、前記副検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出部とを備えることを特徴とする。
【0020】
また、通路検出装置に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記通路領域検出部は、前記統計処理として、前記通路検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、前記通路検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理とを行うことを特徴とする。
【0021】
また、通路検出装置に係る第4の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記通路領域検出部は、前記統計処理として、前記副検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、前記副検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理とを行うことを特徴とする。
【0022】
また、通路検出装置に係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、前記通路領域検出部は、前記投票処理では、現在着目している副検出対象領域において、以前着目していた副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の終端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定することを特徴とする。
【0023】
また、通路検出装置に係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、前記通路領域検出部は、現在着目している副検出対象領域について前記通路領域特定処理が終了した後に、以前着目していた副検出対象領域において、前記現在着目している副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の始端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定し、当該以前着目していた副検出対象領域について前記投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を再実施することで、当該以前着目していた副検出対象領域についての通路領域特定結果を修正することを特徴とする。
【0024】
また、通路検出装置に係る第7の解決手段として、上記第5または第6の解決手段において、前記通路領域検出部は、前記奥行き方向に沿った位置に応じて前記投票重み付け領域の大きさ、及び/または前記投票の重み付け量を変化させることを特徴とする。
【0025】
また、通路検出装置に係る第8の解決手段として、上記第3〜第7のいずれかの解決手段において、前記通路検出対象領域のエッジ検出を行うことにより、前記通路検出対象領域に含まれる強エッジ領域を抽出する強エッジ領域抽出部をさらに備え、前記通路領域検出部は、前記投票処理において、前記強エッジ領域抽出部によって抽出された強エッジ領域の周辺の画素を前記投票元画素から除外することを特徴とする。
【0026】
また、通路検出装置に係る第9の解決手段として、上記第1〜第8のいずれかの解決手段において、前記記憶装置は、入力画像における奥行き方向の位置に応じた周波数パラメータを有すると共に方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを予め記憶しており、前記フィルタリング部は、前記記憶装置から、前記通路検出対象領域におけるフィルタリング対象位置に対応する前記空間周波数フィルタを読み出してフィルタリングすることを特徴とする。
【0027】
また、通路検出装置に係る第10の解決手段として、上記第1〜第9のいずれかの解決手段において、前記空間周波数フィルタは、2次元ウェーブレットフィルタ、または2次元窓付きフーリエ変換を利用したフィルタであることを特徴とする。
また、通路検出装置に係る第11の解決手段として、上記第10の解決手段において、前記2次元ウェーブレットフィルタは、2次元ガボールフィルタであることを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明では、通路検出方法に係る第1の解決手段として、方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング工程と、前記フィルタリング工程にて生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定工程と、前記模様方向特定工程による前記模様方向の特定結果を基に所定の統計処理を行うことにより、前記通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出工程とを有することを特徴とする。
【0029】
また、通路検出方法に係る第2の解決手段として、方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング工程と、前記フィルタリング工程にて生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定工程と、前記通路検出対象領域を奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに、前記模様方向特定工程による前記模様方向の特定結果に基づいて所定の統計処理を行うことにより、前記副検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出工程とを有することを特徴とする。
【0030】
また、通路検出方法に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記通路領域検出工程における前記統計処理は、前記通路検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、前記通路検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理とを含むことを特徴とする。
【0031】
また、通路検出方法に係る第4の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記通路領域検出工程における前記統計処理は、前記副検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、前記副検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理とを含むことを特徴とする。
【0032】
また、通路検出方法に係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、前記投票処理では、現在着目している副検出対象領域において、以前着目していた副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の終端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定することを特徴とする。
【0033】
また、通路検出方法に係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、現在着目している副検出対象領域について前記通路領域特定処理が終了した後に、以前着目していた副検出対象領域において、前記現在着目している副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の始端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定し、当該以前着目していた副検出対象領域について前記投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を再実施することで、当該以前着目していた副検出対象領域についての通路領域特定結果を修正することを特徴とする。
【0034】
また、通路検出方法に係る第7の解決手段として、上記第5または第6の解決手段において、前記奥行き方向に沿った位置に応じて前記投票重み付け領域の大きさ、及び/または前記投票の重み付け量を変化させることを特徴とする。
【0035】
また、通路検出方法に係る第8の解決手段として、上記第3〜第7のいずれかの解決手段において、前記通路検出対象領域のエッジ検出を行うことにより、前記通路検出対象領域に含まれる強エッジ領域を抽出する強エッジ領域抽出工程をさらに有し、前記通路領域検出工程における前記投票処理では、前記強エッジ領域抽出工程にて抽出された強エッジ領域の周辺の画素を前記投票元画素から除外することを特徴とする。
【0036】
また、通路検出方法に係る第9の解決手段として、上記第1〜第8のいずれかの解決手段において、前記フィルタリング工程では、前記入力画像における奥行き方向の位置に応じた周波数パラメータを有すると共に方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて前記通路検出対象領域をフィルタリングすることを特徴とする。
【0037】
また、通路検出方法に係る第10の解決手段として、上記第1〜第9のいずれかの解決手段において、前記空間周波数フィルタは、2次元ウェーブレットフィルタ、または2次元窓付きフーリエ変換を利用したフィルタであることを特徴とする。
また、通路検出方法に係る第11の解決手段として、上記第10の解決手段において、前記2次元ウェーブレットフィルタは、2次元ガボールフィルタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、入力画像から未舗装路上の轍などの通路を検出することが可能となる。従って、本発明によって検出された通路をなぞるように車両の運転制御を行なうことにより、災害救助車両や工事車両等の特殊車両の完全無人化及び自動運転化を図ることができる。また、本発明を地図の自動作成システムに適用することにより、林道、川原などで頻繁に車両が通過することにより自然発生する轍などの通路まで地図上に記載することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態に係る通路検出装置1の機能ブロック図である。
【図2】本実施形態における入力画像及びその入力画像データの一例である。
【図3】本実施形態に係る通路検出装置1の動作フローチャートである。
【図4】本実施形態に係る通路検出装置1のフィルタリング機能に関する説明図である。
【図5】本実施形態に係る通路検出装置1の模様方向特定機能に関する説明図である。
【図6】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能における投票処理に関する第1説明図である。
【図7】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能における投票処理に関する第2説明図である。
【図8】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能における投票処理に関する第3説明図である。
【図9】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能における消失点特定処理に関する説明図である。
【図10】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能における有効投票画素抽出処理に関する説明図である。
【図11】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能における通路領域特定処理に関する説明図である。
【図12】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能の変形例に関する第1説明図である。
【図13】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能の変形例に関する第2説明図である。
【図14】本実施形態に係る通路検出装置1の通路領域検出機能の変形例に関する第3説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る通路検出装置1の機能ブロック図である。本実施形態に係る通路検出装置1は、例えばPC(Personal Computer)であり、A/Dコンバータ10、記憶装置20、画像処理装置30及びRAM(Random Access Memory)40から構成されている。このような通路検出装置1は、例えば災害救助車両や工事車両等の特殊車両に搭載されており、車両の進行方向を撮影する車載カメラ(図示省略)から入力される画像信号(入力画像)を基に轍などの未舗装路上の通路を検出し、その通路検出結果を車両の運転状態を統合制御する運転制御装置(図示省略)に出力するものである。
【0041】
A/Dコンバータ10は、不図示の車載カメラから入力される画像信号をデジタルデータに変換し、入力画像を示す入力画像データとして画像処理装置30に出力する。なお、本実施形態では、車載カメラとして視野が約60°のモノクロ撮影カメラを使用し、その解像度をVGA(横640×縦480画素)と想定する。つまり、上記の入力画像データは、入力画像を構成する横640×縦480個の各画素の輝度を示す輝度データの集合である。なお、車載カメラからデジタルデータ化された画像信号が出力される場合には、A/Dコンバータ10を省略しても良い。
【0042】
記憶装置20は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であり、通路検出プログラムPGと、方向パラメータの異なる複数(n個)の2次元ガボールフィルタ(以下、ガボールフィルタと略す)GF1〜GFnとを予め記憶しており、画像処理装置30からの読み出し要求に応じて上記通路検出プログラムPGやガボールフィルタGF1〜GFnを画像処理装置30に出力する。
【0043】
ここで、通路検出プログラムPGとは、画像処理装置30によって読み出されて実行され、入力画像データを基に未舗装路上の通路を検出するための機能(フィルタリング機能、模様方向特定機能、強エッジ領域抽出機能、通路領域検出機能)を通路検出装置1に実現させるためのプログラムである。
【0044】
また、ガボールフィルタとは、2次元ガウス関数と2次元平面上を一方向に伝播する正弦波関数とを乗じて得られる2次元ガボール関数を利用した空間周波数フィルタであり、2次元ウェーブレットフィルタの一形態である。横方向をX軸、縦方向をY軸とする2次元座標系を想定すると、2次元ガボール関数GB(x、y)は下記(1)式で表される。なお、下記(1)式において、uは波の角周波数、σはガウス関数の標準偏差(ガウス窓の幅)を示すパラメータである。また、2次元ガボール関数GB(x、y)は、波の方向を示すパラメータ(方向パラメータ)として角周波数uの偏角φを有している。
【0045】
【数1】

【0046】
上記のような2次元ガボール関数GB(x、y)を利用したガボールフィルタを用いて、入力画像データをフィルタリングすることにより、入力画像の周波数特性やテクスチャ(模様)方向特性を抽出することができる。具体的には、入力画像において、方向パラメータ(偏角φ)と平行なテクスチャ方向を有すると共に、周波数パラメータ(角周波数u)に近い周波数特性を有する領域が感度良く抽出される。
【0047】
本実施形態では、上述したように、方向パラメータ(角周波数uの偏角φ)の異なるn個のガボールフィルタGF1〜GFnを予め用意して記憶装置20に記憶しておく。ここで、偏角φが等角度間隔で異なるようにガボールフィルタGF1〜GFnを用意する。例えば、n=72とすると、偏角φはπ/72(rad)=2.5°ずつ異なることになる。つまり、ガボールフィルタGF1の方向パラメータφ1を0(rad)と設定し、ガボールフィルタGF2の方向パラメータφ2をπ/72(rad)=2.5°と設定し、ガボールフィルタGF3の方向パラメータφ3を2π/72(rad)=5°と設定し、以下同様に、ガボールフィルタGFnの方向パラメータφnを71π/72(rad)=177.5°と設定する。
なお、nの値は入力画像の解像度や画像処理装置30の処理能力に応じて適宜変更すれば良いが、例えばデジタル処理を考慮して8の倍数である32〜96の範囲で設定することが望ましい。
【0048】
一方、各ガボールフィルタGF1〜GFnの周波数パラメータ(角周波数u)と減衰パラメータ(標準偏差σ)は、各フィルタ共通の所定値に設定する。ここで、周波数パラメータは、検出対象の通路の幅に応じて設定する。例えば、波の波長(周期)が視野上で1.5度〜4度となるように角周波数uを計算して設定する。通路の撮影エリアが奥行き方向に10mから20mの領域である場合、角周波数uが3度の視野に相当するように設定すると、撮影対象上での波の山から谷間での距離は25cm〜50cmとなり、車輪よりやや大きいサイズとなり、複数回車輪が通過した結果にできる車輪跡に近いサイズとなる。つまり、このように周波数パラメータを設定することにより、車輪跡のような轍が通路として感度良く抽出されやすくなる。また、減衰パラメータであるσは1〜0.5波長程度で設定すれば良い。
【0049】
画像処理装置30は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶装置20から読み出した通路検出プログラムPGに従って、入力画像データを基に所定の画像処理を行うことにより、未舗装路上の通路(例えば轍など)を検出するものである。また、この画像処理装置30は、上記通路検出プログラムPGを実行することで実現される機能として、フィルタリング部30a、模様方向特定部30b、強エッジ領域抽出部30c及び通路領域検出部30dを有している。
【0050】
フィルタリング部30aは、記憶装置20からガボールフィルタGF1〜GFnを読み出し、各ガボールフィルタGF1〜GFnを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、通路検出対象領域についての各方向毎(φ1〜φn)の強度分布データを生成する。模様方向特定部30bは、フィルタリング部30aによって生成された強度分布データを基に通路検出対象領域における各画素のテクスチャ(模様)方向を特定する。
【0051】
強エッジ領域抽出部30cは、通路検出対象領域のエッジ検出処理を行うことにより、通路検出対象領域に存在する強エッジ領域を抽出する。通路領域検出部30dは、模様方向特定部30bによる各画素のテクスチャ方向の特定結果と、強エッジ領域抽出部30cによる強エッジ領域抽出結果とを基に所定の統計処理を行うことにより、通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出し、その検出結果を通路検出結果として不図示の運転制御装置に出力する。
【0052】
RAM40は、画像処理装置30が各種画像処理を実行する上で必要なデータ(強度分布データやテクスチャ方向の特定結果、強エッジ領域抽出結果、統計データ等)や、上記の入力画像データを一時的に記憶するために使用される書換え可能な揮発性メモリである。
【0053】
次に、上記のように構成された通路検出装置1の走行路検出動作、つまり画像処理装置30が通路検出プログラムPGを実行することで実現されるフィルタリング部30a、模様方向特定部30b、強エッジ領域抽出部30c及び通路領域検出部30dの動作について説明する。
【0054】
なお、車両は川原を走行しており、車載カメラから図2(a)に示すような轍が写り込んだ入力画像が得られたものと想定する。また、以下では、図2(b)に示すように、入力画像の水平方向をX軸方向、垂直方向をY軸方向とし、入力画像の座標(X、Y)=(0、0)〜(639、479)の各画素に対応する輝度データをB(0、0)〜B(639、479)と表記する。つまり、入力画像データは、これら輝度データB(0、0)〜B(639、479)の集合である。このような入力画像データは、画像処理装置30によってRAM40に一旦記憶される。
【0055】
図3は、画像処理装置30の動作フローチャートである。この図3に示すように、まず、画像処理装置30におけるフィルタリング部30aは、RAM40から入力画像における通路検出対象領域に相当する入力画像データを読み出すと共に、記憶装置20からガボールフィルタGF1〜GFnを読み出し、各ガボールフィルタGF1〜GFnを用いて入力画像データをフィルタリングすることにより、各方向の強度分布データを生成する(ステップS1:フィルタリング工程)。
【0056】
本実施形態では、入力画像の全領域が上記の通路検出対象領域に設定されている場合を例示して説明する。つまり、RAM40から入力画像の全領域に相当する入力画像データが読み出される。なお、入力画像から水平線を抽出可能である場合には、その水平線より下の領域(つまり地面の領域)を通路検出対象領域として設定しても良い。このように、確実に通路が存在すると推定される領域のみを通路検出対象領域とすることにより、以下で説明する画像処理装置30の処理負荷を軽減でき、処理時間を短縮することができる。
【0057】
以下、図4を参照して上記ステップS1について具体的に説明する。図4(a)に示すように、フィルタリング部30aは、ガボールフィルタGF1〜GFnを用いたフィルタリング処理として、入力画像において、ある画素を中心画素とする畳み込み領域に含まれる各画素の輝度データと、ガボールフィルタ、つまり2次元ガボール関数GB(x、y)との畳み込み演算を行い、その演算結果をガボールフィルタの方向パラメータφに対応する中心画素の強度として取得する。
【0058】
つまり、フィルタリング部30aは、まず、ある画素を中心画素とする畳み込み領域に含まれる各画素の輝度データとガボールフィルタGF1との畳み込み演算を行い、その演算結果をガボールフィルタGF1の方向パラメータφ1に対応する中心画素の強度として取得する。ここで、各ガボールフィルタGF1〜GFnを、実数部のフィルタと虚数部のフィルタとに分けて作成しておくことにより、実数部のフィルタを用いて得られた強度と、虚数部のフィルタを用いて得られた強度とをそれぞれ2乗して加算し、その加算値の平方根を求めることで最終的な強度を取得することができる。
【0059】
続いて、フィルタリング部30aは、ガボールフィルタGF2に切り替えて同様に畳み込み演算を行い、その演算結果をガボールフィルタGF2の方向パラメータφ2に対応する中心画素の強度として取得する。以下、同様に、フィルタリング部30aは、ガボールフィルタを順次切り替えながら畳み込み演算を行うことにより、その演算結果を各ガボールフィルタGF1〜GFnの方向パラメータφ1〜φnに対応する中心画素の強度として取得する。
【0060】
フィルタリング部30aは、上記のようなフィルタリング処理を、入力画像の座標(0、0)〜(639、479)の各画素のそれぞれについて行うことにより、図4(b)に示すような各方向の強度分布データを生成してRAM40に記憶する。なお、図4(b)では、座標(0、0)〜(639、479)の各画素のそれぞれを中心画素として得られた強度データをI(0、0)〜I(639、479)として表記している。
【0061】
なお、図4(a)からわかるように、入力画像の端部に近い画素を中心画素とする場合、畳み込み領域が入力画像からはみ出てしまうため、この場合には予め設定した輝度データ(例えば白データ等)を入力画像からはみ出ている畳み込み領域の輝度データとして使用すれば良い。また、畳み込み領域の大きさは、検出対象の通路の大きさに応じて適宜変更すれば良いが、例えば幅25cm〜50cmの車輪跡に相当する轍を検出対象とする場合には、その幅に相当する画素数(32画素)以上の大きさ、例えば50×50画素の大きさとすることが望ましい。
【0062】
次に、上記のようなステップS1が終了すると、画像処理装置30における模様方向特定部30bは、RAM40から各方向の強度分布データを読み出し、それら強度分布データを基に入力画像における各画素のテクスチャ(模様)方向を特定する(ステップS2:模様方向特定工程)。具体的には、例えば座標(0、0)の画素に着目した場合、各方向の強度分布データの中から強度データI(0、0)が最も大きいものを探索し、その最大の強度データI(0、0)を含む強度分布データに対応する方向を、座標(0、0)の画素のテクスチャ方向として特定する。例えば、方向φ3に対応する強度分布データに最大の強度データI(0、0)が含まれている場合、方向φ3が座標(0、0)の画素のテクスチャ方向となる。
【0063】
模様方向特定部30bは、上記のようなテクスチャ方向の特定処理を、座標(0、0)〜(639、479)の各画素について行うことにより、各画素のテクスチャ方向を特定し、その特定結果をRAM40に記憶する。図5(a)は各画素のテクスチャ方向の特定結果であり、図5(b)は入力画像とテクスチャ方向の特定結果とを重ねて表示したものである。なお、この図5では、説明の便宜上、テクスチャ方向の特定結果を、テクスチャ方向を指し示すベクトル線で表しているが、実際にはテクスチャ方向の特定結果は、その方向を表す値(例えばテクスチャ方向がφ1であればφ1の値)によって構成されている。
【0064】
未舗装路上に存在する轍などの通路は、車両が複数回その場所を走行することにより、地面や草むらが踏み起こされたり、踏み固められたりした結果残るものであるため、図2に示すように、その痕跡は入力画像上において不連続且つ不明瞭な帯状やスジ状の疎らな領域として観察される。そこで、上述した入力画像の波の成分を抽出する機能を有するステップS1及びステップS2を実施することより、通路を形成する模様の間隔は不定でなだらかではあるが、通路の進行方向に平行な波の成分として捕らえることができる。
【0065】
次に、上記のようなステップS2が終了すると、画像処理装置30における強エッジ領域抽出部30cは、入力画像データを基に所定のエッジ検出処理を行うことにより、入力画像に存在する強エッジ領域を抽出し、その抽出結果をRAM40に記憶する(ステップS3:強エッジ領域検出工程)。ここで、エッジ検出処理としては公知の技術を採用することができる。例えば、X軸方向のソベルフィルタとY軸方向のソベルフィルタを適用して、それらの強度の2乗和が一定の閾値を超えた画素を探索し、その閾値を超えた画素から一定距離以内の領域を強エッジ領域として抽出する。
【0066】
次に、上記のようなステップS3が終了すると、画像処理装置30における通路領域検出部30dは、模様方向特定部30bによる各画素のテクスチャ方向の特定結果と、強エッジ領域抽出部30cによる強エッジ領域抽出結果とを基に所定の統計処理を行うことにより、入力画像において通路が存在すると推定される通路領域を検出する(ステップS4:通路領域検出工程)。具体的には、通路領域検出部30dは、ステップS4における統計処理として、投票処理(ステップS4a)、消失点特定処理(ステップS4b)、有効投票画素抽出処理(ステップS4c)及び通路領域特定処理(ステップS4d)を行う。以下、それぞれの処理について詳細に説明する。
【0067】
<投票処理>
まず、通路領域検出部30dは、ステップS4aの投票処理として、入力画像における各画素のそれぞれを投票元画素として順次選択し、当該投票元画素を起点としそのテクスチャ方向に平行な直線上に存在する画素に対して投票を行う。具体的には、通路領域検出部30dは、まず、図6に示すように、RAM40のメモリ空間上に、投票回数を集計するための投票集計領域を入力画像と同サイズ(つまり、640×480画素数分の投票回数を集計可能なサイズ)で確保する。
【0068】
そして、通路領域検出部30dは、図7(a)に示すように、ある画素を投票元画素として選択した場合、模様方向特定部30bによる各画素のテクスチャ方向の特定結果から投票元画素のテクスチャ方向を把握し、投票元画素を起点としそのテクスチャ方向に平行な直線上に存在する画素(投票対象画素)に対して投票を行い、その投票結果を図7(b)に示すようにRAM40上の投票集計領域に反映する。つまり、図7(b)からわかるように、投票集計領域において投票対象画素に対応する記憶領域に投票値「1」が加算される。
【0069】
通路領域検出部30dは、上記のような投票処理を各画素について行い、その投票結果を順次RAM40上の投票集計領域に反映する。ここで、通路領域検出部30dは、上記のような投票処理を行う際、強エッジ領域抽出部30cによって抽出された強エッジ領域の周辺(たとえば2画素以内)に含まれる画素を投票元画素から除外する。この理由については後述する。
【0070】
なお、上述の投票処理では、投票元画素を起点としそのテクスチャ方向に平行な直線上に存在する投票対象画素に対して投票を行う場合を説明したが、これに限らず、投票元画素を起点としてそのテクスチャ方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素(投票対象画素)に対して投票を行うようにしても良い。この投票対象領域は、例えば図8(a)に示すように、テクスチャ方向に平行な帯状(長方形状)のものでも良いし、また、図8(b)に示すように、円弧状あるいは三角形状のものでも良い。
【0071】
ここで、図8(a)に示すような帯状の投票対象領域を設定する場合には、上述したテクスチャ方向に平行な直線上に存在する投票対象画素に対して投票を行う場合と同様に、投票対象領域に含まれる投票対象画素のそれぞれに対して平等に投票すれば良い。つまり、RAM40上の投票集計領域において、各投票対象画素に対応する記憶領域に平等に投票値「1」を加算する。
【0072】
一方、図8(b)に示すような円弧状あるいは三角形状の投票対象領域を設定する場合には、投票元画素と投票対象画素との間の距離に応じて投票値を変更することが望ましい。具体的には、投票元画素から遠い距離に位置する投票対象画素の投票値を小さくする(例えば、投票値=1/投票元画素からの距離)。つまり、投票元画素に近い位置の投票対象画素の投票値は「1」または「1」に近い値となるが、投票元画素から遠い位置の投票対象画素の投票値は「0.5」等の小数点以下の値となる。さらには、投票対象領域において同じ距離に位置する投票対象画素の総投票値が「1」となるように各投票対象画素の投票値を決定することが望ましい。つまり、例えば同じ距離に位置する投票対象画素が4つ存在すると仮定すると、それら4つの各投票対象画素に対する投票値をそれぞれ「0.25」とする。
【0073】
このように円弧状あるいは三角形状の投票対象領域を設定した場合に、投票元画素と投票対象画素との間の距離に応じて投票値を変更する理由は、投票元画素から遠い位置にある投票対象画素は、他の投票対象領域と重なり合う確率が高く、近い位置にある投票対象画素と比べて投票されやすい傾向にあり、後述する消失点を正確に特定することが困難となるためである。また、円弧状あるいは三角形状の投票対象領域を設定した場合、その中心角度(投票元画素を起点とする角度)は、ガボールフィルタGF1〜GFnの方向パラメータφの変化分(つまりπ/72(rad)=2.5°)と同一にすることが望ましい。
【0074】
<消失点特定処理>
続いて、通路領域検出部30dは、ステップS4bの消失点特定処理として、図9に示すように、投票処理による投票結果(つまり、RAM40上の投票集計領域に集計された投票回数)を基に、投票回数が最も大きい画素を入力画像における消失点として特定する。轍などの通路の波模様は車両などから見ると完全に平行ではないが同じ消失点を共有していると推測される。このため、上記のような投票処理によって消失点と推測される位置(画素)に投票を行い、統計的に通路と平行している波模様が多い検出結果を活用することにより、消失点を特定することができる。
【0075】
ここで、入力画像において通路以外に、例えば木や電柱、看板などのコントラストの高い物体が写り込んでいた場合、それらの模様は上記の投票回数の集計に大きな影響を及ぼすことになる。そこで、上述したように、投票処理を行う際には、強エッジ領域抽出部30cによって抽出された強エッジ領域に含まれる画素を投票元画素から除外することにより、木や電柱、看板などのコントラストの高い物体の延長線上が消失点として特定されることを防止することができる。
【0076】
<有効投票画素抽出処理>
続いて、通路領域検出部30dは、ステップS4cの有効投票画素抽出処理として、消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する。つまり、消失点を向いているテクスチャ方向を有する画素が有効投票画素として抽出されることになる。図10に、有効投票画素の抽出結果を示す。図10において白領域が有効投票画素の集合領域である。
【0077】
<通路領域特定処理>
続いて、通路領域検出部30dは、ステップS4dの通路領域特定処理として、図11に示すように、入力画像において消失点を頂点とする領域(この領域は円弧状でも良いし、三角形状でも良い)を複数の小領域に分割し、各小領域の内、有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する。ここで、有効投票画素の比率は、小領域と有効投票画素との面積比率、つまり、小領域に含まれる有効投票画素数を小領域に含まれる全画素数で除算することで求めることができる。
【0078】
入力画像において轍などの通路が写り込んでいる領域では、周囲と比べて高い比率で消失点を向いているテクスチャを含んでいると推測される。そこで、上記のような有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を行うことにより、入力画像において通路が存在する通路領域と他の領域とを判別することができる。
【0079】
なお、通路領域は轍などの通路に沿って検出されるものであるので、隣接する通路領域は、ある規則性を持って連続的または断続的に連なっているはずである。そこで、入力画像において、ある規則性を持った通路領域の集まりから孤立している通路領域はノイズとして捉え、そのような孤立領域は通路領域から除去することにより、通路の誤検出を防止することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る通路検出装置1によれば、入力画像から未舗装路上の轍などの通路を検出することが可能となる。従って、本実施形態に係る通路検出装置1によって検出された通路(通路領域)をなぞるように車両の運転制御を行なうことにより、災害救助車両や工事車両等の特殊車両の完全無人化及び自動運転化を図ることができる。また、本実施形態に係る通路検出装置1を地図の自動作成システムに適用することにより、林道、川原などで頻繁に車両が通過することにより自然発生する轍などの通路まで地図上に記載することが可能となる。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、図2に示すように、通路が水平線に向かって一直線に延びているような入力画像が得られた場合を例示して説明した。しかしながら、図12に示すように、入力画像中の通路がカーブしている場合には、入力画像の奥行き毎に消失点が水平方向に変化することになる。このような場合、上記実施形態で説明したように、入力画像の全領域(通路検出対象領域の全領域)を一度に処理すると、正確な消失点を得ることができなくなる。
【0082】
そこで、このような問題に対処するために、上記実施形態で説明したステップS4の処理(投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理)を、図12に示すように、通路領域検出対象領域(ここでは入力画像の全領域)を奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに行うようにしても良い。このように、副検出対象領域毎に消失点を求め、その対応する奥行きごとに消失点に適合する有効投票画素を求めることで、それぞれの奥行きに対応した消失点と通路領域の切り出しを行うことができる。
【0083】
ここで、2次元ウェーブレットフィルタを用いた場合、入力画像上で強い方向性を有する領域が轍などの通路領域として検出されるため、轍の外に生えている草や樹木、人工物の平行な成分を誤って検出してしまう可能性がある。そこで、上記のように、奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに通路領域の特定を行う場合、以下に説明する処理を加えることで検出精度の向上を図ることができる。
【0084】
実験の結果、轍検出(通路領域検出)の精度は各地点までの奥行き方向の距離に依存し、手前ほど精度が高いことが判明した。また、検出済みの轍(通路領域)と連続した領域はやはり轍(通路領域)である可能性が大きいと考えられる。そこで、入力画像を手前から奥へ数段階に分割し、最も手前側の副検出対象領域に存在する轍(通路領域)を最初に検出して、それを基準に以遠の轍(通路領域)を検出することとする。
【0085】
図13に示すように、まず、奥行き方向の最も手前側の副検出対象領域(ここでは第1副検出対象領域W1とする)について、上記実施形態で説明したステップS4の処理(投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理)を行うことで第1副検出対象領域W1における通路領域特定結果を得る。なお、図13では、通路領域の特定結果を第1副検出対象領域W1の消失点に向かう連続した直線として表している。
【0086】
続いて、次段の副検出対象領域(ここでは第2副検出対象領域W2とする)について上記ステップS4の処理を行うが、この時の投票処理では、現在着目している副検出対象領域(つまり第2副検出対象領域W2)において、図13に示すように、以前着目していた副検出対象領域(つまり第1副検出対象領域W1)について実施された通路領域特定処理によって特定された通路領域の終端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域Waを設定する。このような投票重み付け領域Waは、通路領域の特定結果を表す各直線上のそれぞれの終端部を中心に設定した所定サイズの矩形領域から構成されている。この矩形領域の1つ当たりのサイズは、縦:0.08×画素高さ、横:0.03×画素幅、程度とする。
【0087】
このように投票重み付け領域Waを設定した第2副検出対象領域W2について上記ステップS4の投票処理を行う場合、投票重み付け領域Waに存在する投票対象画素に対する投票には通常の3倍程度の重み付けを行う。例えば、1段目の第1副検出対象領域W1の投票処理において投票対象画素に対する投票値を「1」とした場合、第2副検出対象領域W2の投票重み付け領域Waに存在する投票対象画素に対する投票値は「3」とする。
【0088】
このような第2副検出対象領域W2についてステップS4の投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を行うことにより、前段の第1副検出対象領域W1について特定された通路領域の終端が、次段の第2副検出対象領域W2の通路領域の起点となりやすくなる。言い換えれば、前段の第1副検出対象領域W1の通路領域と次段の第2副検出対象領域W2の通路領域とが連続した通路領域として検出されやすくなり、入力画像中に轍などと平行に生えた草や樹木、人工物等が存在する場合であっても、精度良く轍などの通路領域を検出することができる。
【0089】
上記のように第2副検出対象領域W2について通路領域の特定結果を得た後は、次段(3段目)の副検出対象領域について第2副対象領域W2と同様の処理を行う。なお、3段目の副検出対象領域では、投票重み付け領域を構成する矩形領域の1つ当たりのサイズを、2段目の第2副検出対象領域W2の半分、つまり、縦:0.04×画素高さ、横:0.015×画素幅、程度とする。
【0090】
また、3段目の副検出対象領域について上記ステップS4の投票処理を行う場合、投票重み付け領域に存在する投票対象画素に対する投票には通常の5倍程度の重み付けを行う。例えば、1段目の第1副検出対象領域W1の投票処理において投票対象画素に対する投票値を「1」とした場合、3段目の副検出対象領域の投票重み付け領域に存在する投票対象画素に対する投票値は「5」とする。このように奥行き方向に沿った位置に応じて投票重み付け領域の大きさ及び投票の重み付け量を変化させることにより、より精度良く通路領域の連続性を確保することができる。
【0091】
以降、同様な処理を奥行き方向の最も遠い副検出対象領域まで行うことにより、各段の副検出対象領域で特定された通路領域が連続した通路領域として精度良く検出され、轍などの車両の走行痕を正確に検出することが可能となる。なお、4段目以降の副検出対象領域では、投票重み付け領域を構成する矩形領域の1つ当たりのサイズ及び投票の重み付け量を3段目の副検出対象領域と同一にすることが好ましい。
【0092】
図14(a)は、投票重み付け領域を使用しない場合における通路領域の特定結果を示すものである。この図14(a)に示すように、投票重み付け領域を使用しない場合、本来、通行領域とすべき領域とは異なる領域を通行領域として特定してしまっていることがわかる。また、図14(b)は、投票重み付け領域を使用した場合における通路領域の特定結果を示すものである。この図14(b)に示すように、投票重み付け領域を使用した場合、本来、通行領域とすべき領域を正しく通行領域として特定していることがわかる。
【0093】
なお、例えば、現在着目している副検出対象領域(例えば第2副検出対象領域W2)について通路領域特定処理が終了した後に、以前着目していた副検出対象領域(第1副検出対象領域W1)において、第2副検出対象領域W2について実施された通路領域特定処理によって特定された通路領域の始端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定し、当該第1副検出対象領域W1についてステップS4の投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を再実施することで、当該第1副検出対象領域W1についての通路領域特定結果を修正することも可能である。
【0094】
(2)上記実施形態では、各ガボールフィルタGF1〜GFnの周波数パラメータ(角周波数u)を固定値とする場合を例示した。これは、通路の撮影エリアが奥行き方向に10mから20mの領域である場合、角周波数uが視野中の3度に相当するように設定すると、撮影対象上での波の山から谷間での距離は25cm〜50cmとなり、車輪よりやや大きいサイズとなり、複数回車輪が通過した結果にできる車輪跡に近いサイズとなるためである。しかしながら、図2の入力画像からわかるように、轍などの通路の幅は、奥行き方向の位置によって変化する。そこで、入力画像における奥行き方向の位置に応じて、各ガボールフィルタGF1〜GFnの周波数パラメータを変更することが望ましい。
【0095】
具体的には、記憶装置20に、入力画像における奥行き方向の位置に応じた周波数パラメータを有すると共に方向パラメータの異なるガボールフィルタを予め記憶しておき、フィルタリング部30aに、記憶装置20から通路検出対象領域におけるフィルタリング対象位置(つまり図4中の中心画素の位置)に対応する周波数パラメータを有するガボールフィルタを読み出してフィルタリングする機能を持たせれば良い。
【0096】
(3)上記実施形態では、空間周波数フィルタとして2次元ガボールフィルタを用いた場合を例示したが、これに限らず、その他の2次元ウェーブレットフィルタや2次元窓付きフーリエ変換を利用したフィルタなどを空間周波数フィルタとして用いても良い。
【符号の説明】
【0097】
1…通路検出装置、10…A/Dコンバータ、20…記憶装置、30…画像処理装置、40…RAM(Random Access Memory)、30a…フィルタリング部、30b…模様方向特定部、30c…強エッジ領域抽出部、30d…通路領域検出部、PG…通路検出プログラム、GF1〜GFn…ガボールフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置から読み出した方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング機能と、
前記フィルタリング機能によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定機能と、
前記模様方向特定機能による前記模様方向の特定結果を基に所定の統計処理を行うことにより、前記通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする通路検出プログラム。
【請求項2】
記憶装置から読み出した方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング機能と、
前記フィルタリング機能によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定機能と、
前記通路検出対象領域を奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに、前記模様方向特定機能による前記模様方向の特定結果に基づいて所定の統計処理を行うことにより、前記副検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする通路検出プログラム。
【請求項3】
前記通路領域検出機能における前記統計処理は、
前記通路検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、
前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、
前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、
前記通路検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理と、
を含むことを特徴とする請求項1記載の通路検出プログラム。
【請求項4】
前記通路領域検出機能における前記統計処理は、
前記副検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、
前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、
前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、
前記副検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理と、
を含むことを特徴とする請求項2記載の通路検出プログラム。
【請求項5】
前記投票処理では、現在着目している副検出対象領域において、以前着目していた副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の終端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定することを特徴とする請求項4記載の通路検出プログラム。
【請求項6】
現在着目している副検出対象領域について前記通路領域特定処理が終了した後に、以前着目していた副検出対象領域において、前記現在着目している副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の始端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定し、当該以前着目していた副検出対象領域について前記投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を再実施することで、当該以前着目していた副検出対象領域についての通路領域特定結果を修正することを特徴とする請求項5記載の通路検出プログラム。
【請求項7】
前記奥行き方向に沿った位置に応じて前記投票重み付け領域の大きさ、及び/または前記投票の重み付け量を変化させることを特徴とする請求項5または6に記載の通路検出プログラム。
【請求項8】
前記通路検出対象領域のエッジ検出を行うことにより、前記通路検出対象領域に含まれる強エッジ領域を抽出する強エッジ領域抽出機能をさらに含み、
前記通路領域検出機能における前記投票処理では、前記強エッジ領域抽出機能によって抽出された強エッジ領域の周辺の画素を前記投票元画素から除外することを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の通路検出プログラム。
【請求項9】
前記フィルタリング機能において、前記記憶装置から前記入力画像における奥行き方向の位置に応じた周波数パラメータを有すると共に方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを読み出して、前記通路検出対象領域をフィルタリングすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の通路検出プログラム。
【請求項10】
前記空間周波数フィルタは、2次元ウェーブレットフィルタ、または2次元窓付きフーリエ変換を利用したフィルタであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の通路検出プログラム。
【請求項11】
前記2次元ウェーブレットフィルタは、2次元ガボールフィルタであることを特徴とする請求項10記載の通路検出プログラム。
【請求項12】
方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを予め記憶する記憶装置と、
前記記憶装置から読み出した前記空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング部と、
前記フィルタリング部によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定部と、
前記模様方向特定部による前記模様方向の特定結果を基に所定の統計処理を行うことにより、前記通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出部と、
を備えることを特徴とする通路検出装置。
【請求項13】
方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを予め記憶する記憶装置と、
前記記憶装置から読み出した前記空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング部と、
前記フィルタリング部によって生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定部と、
前記通路検出対象領域を奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに、前記模様方向特定部による前記模様方向の特定結果に基づいて所定の統計処理を行うことにより、前記副検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出部と、
を備えることを特徴とする通路検出装置。
【請求項14】
前記通路領域検出部は、前記統計処理として、
前記通路検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、
前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、
前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、
前記通路検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理と、
を行うことを特徴とする請求項12記載の通路検出装置。
【請求項15】
前記通路領域検出部は、前記統計処理として、
前記副検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、
前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、
前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、
前記副検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理と、
を行うことを特徴とする請求項13記載の通路検出装置。
【請求項16】
前記通路領域検出部は、前記投票処理では、現在着目している副検出対象領域において、以前着目していた副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の終端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定することを特徴とする請求項15記載の通路検出装置。
【請求項17】
前記通路領域検出部は、現在着目している副検出対象領域について前記通路領域特定処理が終了した後に、以前着目していた副検出対象領域において、前記現在着目している副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の始端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定し、当該以前着目していた副検出対象領域について前記投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を再実施することで、当該以前着目していた副検出対象領域についての通路領域特定結果を修正することを特徴とする請求項16記載の通路検出装置。
【請求項18】
前記通路領域検出部は、前記奥行き方向に沿った位置に応じて前記投票重み付け領域の大きさ、及び/または前記投票の重み付け量を変化させることを特徴とする請求項16または17に記載の通路検出装置。
【請求項19】
前記通路検出対象領域のエッジ検出を行うことにより、前記通路検出対象領域に含まれる強エッジ領域を抽出する強エッジ領域抽出部をさらに備え、
前記通路領域検出部は、前記投票処理において、前記強エッジ領域抽出部によって抽出された強エッジ領域の周辺の画素を前記投票元画素から除外することを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載の通路検出装置。
【請求項20】
前記記憶装置は、入力画像における奥行き方向の位置に応じた周波数パラメータを有すると共に方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを予め記憶しており、
前記フィルタリング部は、前記記憶装置から、前記通路検出対象領域におけるフィルタリング対象位置に対応する前記空間周波数フィルタを読み出してフィルタリングすることを特徴とする請求項12〜19のいずれか一項に記載の通路検出装置。
【請求項21】
前記空間周波数フィルタは、2次元ウェーブレットフィルタ、または2次元窓付きフーリエ変換を利用したフィルタであることを特徴とする請求項12〜20のいずれか一項に記載の通路検出装置。
【請求項22】
前記2次元ウェーブレットフィルタは、2次元ガボールフィルタであることを特徴とする請求項21記載の通路検出装置。
【請求項23】
方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング工程と、
前記フィルタリング工程にて生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定工程と、
前記模様方向特定工程による前記模様方向の特定結果を基に所定の統計処理を行うことにより、前記通路検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出工程と、
を有することを特徴とする通路検出方法。
【請求項24】
方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて入力画像における通路検出対象領域をフィルタリングすることにより、前記通路検出対象領域についての各方向の強度分布データを生成するフィルタリング工程と、
前記フィルタリング工程にて生成された前記強度分布データを基に前記通路検出対象領域における各画素の模様方向を特定する模様方向特定工程と、
前記通路検出対象領域を奥行き方向に沿って複数に分割して得られる副検出対象領域ごとに、前記模様方向特定工程による前記模様方向の特定結果に基づいて所定の統計処理を行うことにより、前記副検出対象領域において通路が存在すると推定される通路領域を検出する通路領域検出工程と、
を有することを特徴とする通路検出方法。
【請求項25】
前記通路領域検出工程における前記統計処理は、
前記通路検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、
前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、
前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、
前記通路検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理と、
を含むことを特徴とする請求項23記載の通路検出方法。
【請求項26】
前記通路領域検出工程における前記統計処理は、
前記副検出対象領域における各画素のそれぞれを投票元画素として選択し、前記投票元画素を起点としてその模様方向に平行な直線上に存在する画素、または前記投票元画素を起点としてその模様方向に沿うように設定された投票対象領域に含まれる画素に対して投票を行う投票処理と、
前記投票処理による投票結果を基に投票回数が最も大きい画素を消失点として特定する消失点特定処理と、
前記消失点の投票元画素を有効投票画素として抽出する有効投票画素抽出処理と、
前記副検出対象領域において前記消失点を頂点とする領域を複数の小領域に分割し、各小領域の内、前記有効投票画素の比率が所定の閾値を超えた小領域を通路が存在すると推定される通路領域として特定する通路領域特定処理と、
を含むことを特徴とする請求項24記載の通路検出方法。
【請求項27】
前記投票処理では、現在着目している副検出対象領域において、以前着目していた副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の終端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定することを特徴とする請求項26記載の通路検出方法。
【請求項28】
現在着目している副検出対象領域について前記通路領域特定処理が終了した後に、以前着目していた副検出対象領域において、前記現在着目している副検出対象領域について実施された前記通路領域特定処理によって特定された通路領域の始端側に、投票の重み付けを大きくした投票重み付け領域を設定し、当該以前着目していた副検出対象領域について前記投票処理、消失点特定処理、有効投票画素抽出処理及び通路領域特定処理を再実施することで、当該以前着目していた副検出対象領域についての通路領域特定結果を修正することを特徴とする請求項27記載の通路検出方法。
【請求項29】
前記奥行き方向に沿った位置に応じて前記投票重み付け領域の大きさ、及び/または前記投票の重み付け量を変化させることを特徴とする請求項27または28に記載の通路検出方法。
【請求項30】
前記通路検出対象領域のエッジ検出を行うことにより、前記通路検出対象領域に含まれる強エッジ領域を抽出する強エッジ領域抽出工程をさらに有し、
前記通路領域検出工程における前記投票処理では、前記強エッジ領域抽出工程にて抽出された強エッジ領域の周辺の画素を前記投票元画素から除外することを特徴とする請求項25〜29のいずれか一項に記載の通路検出方法。
【請求項31】
前記フィルタリング工程では、前記入力画像における奥行き方向の位置に応じた周波数パラメータを有すると共に方向パラメータの異なる複数の空間周波数フィルタを用いて前記通路検出対象領域をフィルタリングすることを特徴とする請求項23〜30のいずれか一項に記載の通路検出方法。
【請求項32】
前記空間周波数フィルタは、2次元ウェーブレットフィルタ、または2次元窓付きフーリエ変換を利用したフィルタであることを特徴とする請求項23〜31のいずれか一項に記載の通路検出方法。
【請求項33】
前記2次元ウェーブレットフィルタは、2次元ガボールフィルタであることを特徴とする請求項32記載の通路検出方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−225125(P2010−225125A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74795(P2009−74795)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】