説明

通電接合方法及び装置

【課題】
接合体に向きの異なる複数の接合面が存在する場合や、接合面が部材の内部にあって外的な加圧手段によって接合面に面圧を付与することができない場合の通電焼結接合を可能とする方法を提供する。
【解決手段】
複数の通電可能な部材を接触させて部材間に直流電流,交流電流,直流パルス電流,交流パルス電流のいずれか、もしくはこれらの組み合わせによる通電を行い、接触面及び材料内部の抵抗発熱によって前記部材を加熱し、部材同士を接合する通電接合方法において、接合する部材一つにつき一つ以上の電極を接触させ、部材同士の接合面を向かい合わせて前記電極もしくは他の保持機構で保持し、導通が得られている電極の間で通電を行って通電経路にある部材を加熱し、加熱の過程で熱膨張により部材同士が接触して導通が得られた対の電極を検知して、通電が可能な電極の間で通電経路の切替えを行いながら接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として通電接合方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属材料の接合方法の中で、接合する部材に加圧下で通電を行い、接合界面の電気抵抗、及び材料内部の電気抵抗によるジュール発熱を利用して材料を加熱し接合する電気抵抗溶接法,通電焼結接合は、接合部に集中して温度上昇や材料変形が生じるためエネルギー効率が良く、接合時間も短い。このような利点から自動車産業を始めとして幅広く適用されている。この方法には、直流の連続通電を行うもの、もしくは直流のパルス通電を行うものがあり、連続通電焼結接合法,パルス通電焼結接合法,パルス通電接合法,放電プラズマ焼結接合法,放電プラズマ接合法などと称されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−59270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通電焼結接合法は、加圧機構によって対の電極を接合面へ向かって押圧しながら電極間に通電を行うため、加圧方向と通電方向が同じとなる。よって、法線方向の異なる複数の接合面を有する接合体を得るためには、加圧軸の異なる複数の加圧機構を有する対の電極が必要となり、装置化が困難であった。また、図7に例示したような穴部を有する部材9に挿入部材10を差し込んで合わせ面を接合するような場合には、接合すべき面を外的な加圧機構によって加圧して接触させ、且つ通電を行うことは現実的に不可能であり、通電焼結接合法を適用することができない。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、接合部材の形状が複雑であって、接合体に方向の異なる複数の接合面が存在する場合や、接合面が部材の内部にあって外的な加圧手段によって接合面に面圧を付与することができない場合であっても、通電焼結接合を行うことのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための接合方法の特徴は、接合時に通電する経路を変換させる工程を有する通電接合を行うことにある。または、通電接合における加圧手段と電極とを分離して通電接合を行うことにある。
【0007】
具体的には、本発明は、通電接合を加圧方向と通電方向を同一とせずに行っていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の接合方法及び装置によれば、複雑な形状を有する部材であっても、複数部材を強固に接合できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、複数の通電可能な部材を接触させて部材間に通電を行い、抵抗発熱によって前記部材を加熱し、部材同士を接合する通電接合方法に関する。
【0010】
上記の通電は、直流電流,交流電流,直流パルス電流,交流パルス電流のいずれか、もしくはこれらの組み合わせで行うことができる。また、上記抵抗発熱は接触面内部、もしくは材料内部で発する。
【0011】
本発明の第一の特徴は、接合する部材一つにつき一つ以上の電極を接触させ、部材同士の接合面を接触させて前記電極もしくは他の保持機構で保持し、導通が得られている電極の間で通電経路を適宜切替えて部材を加熱し接合することにある。
【0012】
本発明の第二の特徴は、接合する部材一つにつき一つ以上の電極を接触させ、部材同士の接合面を向かい合わせて前記電極もしくは他の保持機構で保持し、導通が得られている電極の間で通電を行って通電経路にある部材を加熱し、加熱の過程で熱膨張により部材同士を接触させ、接触により導通が得られた対の電極を検知して、通電が可能な電極の間で通電経路を適宜切替えて接合することにある。
【0013】
本発明の第三の特徴は、接合する部材一つにつき一つ以上の電極を接触させ、導通が得られている電極の間で通電を行って通電経路にある部材を加熱し、熱膨張により開口寸法が大きくなった前記部材の差込部に、他の部材を挿入して接合面を向かい合わせ、電極もしくは他の保持機構で保持した状態で通電を停止したのち、冷却の過程で熱収縮により部材同士を接触させ、接触により導通が得られた対の電極を検知して、通電が可能な電極の間で通電経路を適宜切替えて接合することにある。
【0014】
上記第一ないし第三の特徴を有する接合方法は、固相状態で接合を行われることが好ましい。また、前記接合時の加圧は、電極とは独立した加圧機構により部材同士の接触面に面圧を付与し、接合を行うことができる。
【0015】
本発明の第4の特徴は、接合を行う部材同士の接触部の周囲を部材との合わせ面側に所定形状の溝を形成した型で囲み、それぞれの部材当たり一つ以上の電極を配置して部材と接触させ、加圧機能を具備した電極もしくは電極と独立した加圧機構により部材同士の接触面に面圧を付与し、前記接触面を通過する電流を電極間に通電して通電経路にある部材を加熱し、軟化した部材接触部の材料を前記型の溝の内部へ塑性変形させて、部材同士を固相状態で接合することにある。
【0016】
本発明の第5の特徴は、接合部材を板状部材とし、板状部材の接合部位を重ね合わせて対向配置したプレス型の間に挟み、それぞれの部材当たり一つ以上の電極を配置して部材に接触させ、前記重ね合わせ面を通過する電流を電極間に通電して通電経路にある部材を加熱し、軟化した板状部材の重ね合わせ部を前記プレス型による加圧でせん断変形させて、部材同士を固相状態で接合することにある。
【0017】
また、上記課題を解決するほかの本発明は、複数の通電可能な部材を接触させて部材間に通電を行い、接触面及び材料内部の抵抗発熱によって前記部材を加熱し、部材同士を接合する通電接合装置に関する。
【0018】
上記通電を行うための電源装置は、直流電流,交流電流,直流パルス電流,交流パルス電流のいずれか、もしくはこれらの組み合わせによるものがよい。
【0019】
上記発明に関する本発明の第6の特徴は、部材に通電を行う三つ以上の電極と、電極と一体になった、もしくは電極とは独立した複数の部材の保持機構と、電極間の導通を検知する検知手段と、前記複数の電極に接続され電流を供給する電源装置と、電極間の通電経路を切替えるスイッチング機構を備え、電極の間で通電経路の切替えを行いながら部材を加熱し接合することにある。
【0020】
本発明の第7の特徴は、部材と接して通電を行う複数の電極と、通電中の部材の表面温度を測定する計測手段と、電極とは独立して部材同士の接触面に面圧を付与する加圧機構と、前記複数の電極に接続され電流を供給する電源装置を備え、部材の加熱時の温度を固相線温度以下に制御しながら接合を行う制御装置を備えたことにある。
【0021】
本発明の第8の特徴は、部材と接して通電を行う複数の電極と、通電中の部材の表面温度を測定する計測手段と、接合されるべき部材同士の接触部を囲み且つ部材との合わせ面側に所定形状の溝を形成した型と、部材同士の接触面に面圧を付与する電極と独立した、もしくは電極と一体になった加圧手段と、前記複数の電極に接続され電流を供給する電源装置を備え、前記接触面を通過する電流を電極間に通電して通電経路にある部材を加熱し、部材の温度を固相線温度以下に制御する制御装置と、軟化した部材接触部の材料を前記型の溝の内部へ塑性変形させる塑性変形装置を有する点にある。
【0022】
本発明の第9の特徴は、部材と接して通電を行う複数の電極と、板状部材の接合部位を挟んで対向し該接合部位にせん断変形を付与するプレス型と、前記プレス型を板状部材の接合部位に向かって押圧する加圧機構と、前記複数の電極に接続され電流を供給する電源装置を備え、部材の接触面を通過する電流を電極間に通電して通電経路にある部材を加熱し、軟化した部材の重ね合わせ部を加圧でせん断変形させて、部材同士を接合するプレス型を有することにある。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
【0023】
(部材)
なお、下記の実施例は特に記載した場合を除き、実施例で使用した材質の部材への適用に限定されず、他の通電可能な材質の部材の接合においても適用可能である。接合される複数の部材は同じ材質,異なる材質のいずれでもかまわない。また、各部材は通電が保たれていれば複数に分割されていてもよい。言い換えれば、接合面に他の部材を挟んで同時に二箇所以上の接合を行ってもよく、接合面にろう剤を設けて接合を行ってもよい。
【0024】
(接合温度)
接合の温度は接合する材料の固相線温度以下であることが望ましいが、接合面に接合に必要十分な面圧が存在する範囲においては、接合界面で僅かな溶融が生じても接合は達成される。適宜接合される部材の温度をモニタし、電流の制御により部材温度が所定値以上になるのを防止する手段を設けてもよい。部材温度は、熱電対や放射温度計といった接触式もしくは非接触式の温度計測手段により計測した部材温度や、電極間の接触抵抗の計測値により判断することができる。
【0025】
なお、接合温度を固相線温度以下とすることにより、部材の組織の変化を抑制可能である。例えば超鉄鋼等の微小組織等である。さらに金属ガラスの接合においてはガラス相の結晶化を抑制するためにガラス転移点以下で接合することが望ましい。
【0026】
(通電手段)
電源装置は、外部より電力を供給されるものであっても、または内部で発電等を行うものであっても構わない。供給される電流は、直流電流,交流電流,直流パルス電流,交流パルス電流のいずれか、もしくはこれらの組み合わせによる通電が可能である。また、いずれも通電の方向(電極の極性)は反対になっても構わない。
【0027】
(加圧手段)
可動する加圧手段には、空圧式,油圧式,電動式,バネ式,加圧する部材の自重等の加圧手段を用いればよい。また、電極を、接合する部材に接触させ、保持して加圧手段として使用する場合にも、空圧式,油圧式,電動式,バネ式,電極の自重等の加圧手段を用いることができる。なお、下記実施例に記載されているように、電極に加圧する機能を付与し使用することも可能である。
【実施例1】
【0028】
第一の形態として、複数の部材を向きの異なる複数の接合面で接合して接合体を得るという目的を、接合面を押圧するための加圧機構を用いずに、複数の電極で接合部材同士を接触,保持し、まず接合面を通過しない経路で通電を行って部材を加熱,熱膨張させて、各部材同士の接合面を十分に接触させたのち、電極間で通電経路の切替えを行いながら接合面を通過する電流を流して通電接合することで実現した。
【0029】
図1は本発明の第一の実施例であって、通電可能な複数の部材を向きの異なる複数の接合面で接合する場合の接合部材,電極,接合電源と通電経路を示した説明図である。接合部材及び電極の構成は断面で示している。本実施例では接合部材をSUS403とした。1は電極、2は通電経路、3は接合電源、4は通電経路切替機構、5は接合面、7はシャフト状部材、8は外周構成部材である。本図は接合する部材及び電極の構成を断面で示している。また図中の矢印は通電経路2における電流の流れの向きを示している。図2(A)は通電開始時の状態である。シャフト状部材7と外周構成部材8は接合面5が互いに接触した状態で、位置の固定された電極1でそれぞれ保持されている。シャフト状部材7は図2(A)の上下方向が軸方向となる。外周構成部材8は二つのみを示しているが、実際にはシャフト状部材7の円周方向に全部で四つの外周構成部材8があり、全ての外周構成部材8が電極1で保持されている。なお、この時点では部材同士の接合面5には加圧が付与されていないため、接触状態は十分ではない。通電開始時には電流をシャフト状部材7の上部に位置する電極1から、シャフト状部材7を通して、下部の電極1に流す。シャフト状部材7は内部電気抵抗により発熱し、熱膨張が生じる。このとき、外周構成部材8は電極1により保持されているため、シャフト状部材7と外周構成部材8の接合面5に面圧が生じる。この面圧により、接合面5の接触状態を均一としたのち通電経路2の切替えを行う。図2(B)は接合電源3に内蔵された通電経路切替機構4により通電経路2の切替えを行った後の状態を示したものである。シャフト状部材7の上下に位置する電極1から外周構成部材8に接した電極1へ電流を流し、部材同士の接触面である接合面5で抵抗発熱させて、接合する材料の固相線温度以下の所定の接合温度まで加熱を行う。部材の熱膨張により接合面に生じた圧力と、通電による接合部の加熱により固相状態で拡散接合が達成される。接合後、各接合面の断面観察を行ったところ、接合界面に隙間は無く良好に接合されていた。
【0030】
本実施例では、接合する部材をSUS403としたが、他の通電可能な材料であってもよく、部材の材質が異なっても構わない。シャフト状部材は軸方向と直交する断面で複数に分割されていてもよく、この場合にはシャフト状部材の合わせ面を上下の電極間の通電によって接合したのち、通電経路の切替えを行うとよい。また接合する部材を保持する電極の位置を固定して接合を行ったが、バネ材を介して電極を固定し、部材の通電加熱時の膨張により生じる圧力を、バネ材の弾性変形により所定の大きさまで解放する構造としてもよい。通電経路の切替えのタイミングは、熱電対や放射温度計といった接触式もしくは非接触式の温度計測手段により計測した部材温度や、電極間の接触抵抗の計測値により判断するのが有効な手段である。シャフト状部材7と外周構成部材8の間の通電は、全ての外周構成部材8に対して同時に行っても、順次切替えて行ってもよい。
【0031】
本実施例においては、接合体に向きの異なる複数の接合面が存在する場合や、接合面が部材の内部にあって外的な加圧手段によって接合面に面圧を付与することができない場合にも、通電焼結接合を行うことが出来る利点がある。また、本実施例においては、電極が加圧手段と独立しているため、電極の配置・形状等を部材の形状に合わせて変えることが可能である。
【実施例2】
【0032】
第二の形態として、一つの部材に形成された穴に、他の部材を挿入し部材同士の合わせ面を接合するという目的を、挿入する部材を一対の電極で把持し、もう一方の部材の穴部に挿入して所定の隙間間隔で接合面を向かい合わせた状態で保持し、他の複数の電極を穴部を有する部材に接触させて、まず挿入する部材を把持している対の電極の間で通電を行って挿入する部材を加熱,熱膨張させ、他方の部材の穴部内面に十分に接触させたのち、挿入する部材を把持している電極から部材同士の接合面を通過させて、他方の穴部を有する部材に接する電極へ電流を流す通電経路に切替えて通電接合することで実現した。
【0033】
図2は本発明の第二の実施例であって、通電可能な部材に形成された穴部に他の通電可能な部材を挿入して合わせ面を接合する場合の接合部材,電極,接合電源と通電経路を示した説明図である。接合部材及び電極の構成は断面で示している。本実施例では穴部を有する接合部材をニッケル基合金CMSX−4の単結晶材、挿入する部材をニッケル基合金インコネル738LCの普通鋳造材とした。1は電極、2は通電経路、3は接合電源、4は通電経路切替機構、5は接合面、6は接触抵抗検知手段、9は穴部を有する部材、10は挿入部材である。本図は接合する部材及び電極の構成を断面で示している。また図中の矢印は通電経路2における電流の流れの向きを示している。図1(A)は通電開始時の状態である。挿入部材10は穴部を有する部材9の穴部に挿入され接合面5を向かい合わせて二つの電極1により保持されている。このときそれぞれの部材の接合面5間の隙間は所定の隙間間隔に管理されている。一方、穴部を有する部材9には複数の電極が配置され接触している。穴部を有する部材9に接している電極1は二つのみを示しているが、実際には穴部を有する部材9の表面に沿って他にも電極1が配置されている。通電開始時には電流を挿入部材10を把持する二つの電極1の間に流す。挿入部材10は内部電気抵抗により発熱し、熱膨張が生じるため、挿入部材10と穴部を有する部材9の接合面5に面圧が生じる。この面圧により、接合面5の接触状態を均一としたのち通電経路2の切替えを行う。接合面5の接触状態は抵抗検知手段6により得られた抵抗値により判断する。
【0034】
図1(B)は接合電源3に内蔵された通電経路切替機構4により通電経路の切替えを行った後の状態を示したものである。挿入部材10を把持する電極1から穴部を有する部材9に接した電極1へ電流を流し、部材同士の接触面である接合面5で抵抗発熱させて、接合する材料の固相線温度以下の所定の接合温度まで加熱を行う。部材の熱膨張により接合面5に生じた圧力と、通電による接合部の加熱により固相状態で拡散接合が達成される。接合後、接合面の断面観察を行ったところ、接合界面に隙間は無く良好に接合されていた。
【0035】
本実施例では、接合する部材をCMSX−4およびインコネル738LCとしたが、他の通電可能な材料であってもよい。接合を行う挿入部材10と穴部は複数であってもよく、この場合には全ての挿入部材と穴部の接触が十分となってから通電経路の切替えを行うとよい。通電経路の切替えのタイミングは、電極間の接触抵抗の計測値により判断するのが有効であるが、穴部と挿入部材の隙間と部材を構成する材料の熱膨張係数が既知であれば、熱電対や放射温度計といった接触式もしくは非接触式の温度計測手段により計測した部材温度から判断することも可能である。穴部を有する部材9に接触させる電極の保持および電極1による挿入部材10の把持は、空圧式,油圧式,電動式,バネ式等の加圧手段を用いればよい。
【0036】
本実施例においては、接合体に向きの異なる複数の接合面が存在する場合や、接合面が部材の内部にあって外的な加圧手段によって接合面に面圧を付与することができない場合にも、通電焼結接合を行うことが出来る利点がある。
【0037】
また、本実施例においては、電極が加圧機構と独立しているため、電極の配置を部材の形状に合わせて変えることが可能である。
【実施例3】
【0038】
(熱収縮時に接合)
第三の形態として、一つの部材に形成された穴に、他の部材を挿入し部材同士の合わせ面を接合するという目的を、挿入する部材を対の電極で把持し、挿入する部材の大きさよりも僅かに小さい穴の形成された部材に複数の電極を接触させて、まず穴部を有する部材に接触している対の電極の間で通電を行って加熱,熱膨張させ、穴部の開口寸法を挿入する部材よりも大きくしたのち、挿入する部材を穴部に入れて接合面を向かい合わせて通電を停止し、穴部を有する部材の冷却,熱収縮により穴部内面を挿入した部材に十分に接触させたのち、挿入する部材を把持している電極から部材同士の接合面を通過させて、他方の穴部を有する部材に接する電極へ電流を流す通電経路に切替えて通電接合することで実現した。
【0039】
図3は本発明の第三の実施例であって、通電可能な部材に形成された穴部に他の通電可能な部材を挿入して合わせ面を接合する場合の接合部材,電極,接合電源と通電経路を示した説明図である。接合部材及び電極の構成は断面で示している。本実施例では穴部を有する接合部材をSKD61、挿入する部材をSUS420J2とした。1は電極、2は通電経路、3は接合電源、4は通電経路切替機構、5は接合面、6は接触抵抗検知手段、9は穴部を有する部材、10は挿入部材である。また図中の矢印は通電経路2における電流の流れの向きを示している。図3(A)は通電開始時の状態である。挿入部材10は電極1により保持されている。一方、穴部を有する部材9には複数の電極が配置され接触している。穴部を有する部材9の穴部の大きさは挿入部材10の挿入部寸法よりも所定の大きさだけ小さくなっている。本図の接合体は断面を示したものであり、穴部を有する部材9に接している電極1は二つのみを示しているが、実際には穴部を有する部材9の表面に沿って他にも電極1が配置されている。通電開始時には電流を穴部を有する部材9に接した電極1の間に流す。穴部を有する部材は内部電気抵抗により発熱し熱膨張が生じるため、穴部の寸法が挿入部材10の挿入部寸法よりも大きくなる。この時点で挿入部材10を穴部を有する部材9の穴部に挿入して接合部を向かい合わせ、挿入部材10を上下の電極1で保持する。ここで穴部を有する部材9への通電を停止すると、冷却,熱収縮により穴部内面と挿入部材10が接触し面圧が生じる。この面圧により、穴部を有する部材9と挿入部材10の接触状態を均一としたのち通電経路2の切替えを行う。接触状態は接触抵抗検知手段6により得られた接触抵抗値により判断する。図3(B)は接合電源3に内蔵された通電経路切替機構4により通電経路2の切替えを行った後の状態を示したものである。挿入部材10を保持する上下の電極1から穴部を有する部材9に接した電極1へ電流を流し、部材同士の接触面である接合面5を中心に抵抗発熱させて、接合する材料の固相線温度以下の所定の接合温度まで加熱を行う。接合部の部分的な熱膨張により接合面5に生じた圧力と、通電による接合部の加熱により固相状態で拡散接合が達成される。接合後、接合面の断面観察を行ったところ、接合界面に隙間は無く良好に接合されていた。
【0040】
本実施例では、接合する部材をSKD61およびSUS420J2としたが、他の通電可能な材料であってもよい。接合を行う挿入部材と穴部は複数であってもよく、この場合には全ての挿入部材と穴部の接触が十分となってから通電経路の切替えを行うとよい。通電経路の切替えのタイミングは、熱電対や放射温度計といった接触式もしくは非接触式の温度計測手段により計測した部材温度や、電極間の接触抵抗の計測値により判断するのが有効な手段である。
【0041】
本実施例においては、接合体に向きの異なる複数の接合面が存在する場合や、接合面が部材の内部にあって外的な加圧手段によって接合面に面圧を付与することができない場合にも、通電焼結接合を行うことが出来る利点がある。
【0042】
また、本実施例においては、電極が加圧機構と独立しているため、電極の配置を部材の形状に合わせて変えることが可能である。
【実施例4】
【0043】
図8に例示したように電極1と異径部材23の接触面24の面積が異径部材23同士の接合面5の面積よりも大きい場合、従来の通電焼結接合法では電極と部材の接触面での抵抗発熱が大きく、接合部を加熱する過程で電極と部材の接触面が溶融し貼りついてしまうことがあった。
【0044】
第四の形態として、断面積変化の大きい部材を通電焼結接合するという目的を、電極と加圧機構を分離し、部材と電極の接触位置及び面積と、加圧機構と部材の接触位置及び面積を変えることにより、接合部の温度を部材の他の部分よりも高く保って通電接合することにより、部材の部分的な溶融を起こさせずに実現した。
【0045】
図4は本発明の第四の実施例であって、部材の断面積変化が大きい二つの通電可能な部材を接合する場合の接合部材,電極,加圧機構,接合電源と通電経路を示した説明図である。接合部材,電極,加圧機構の構成は断面で示している。本実施例では接合部材をTi−6Al−4V合金とした。1は電極、2は通電経路、3は接合電源、5は接合面、11は加圧子、12は絶縁体、13は差厚部材、14は温度計測手段、22は加圧方向である。また図中の矢印は通電経路2における電流の流れの向きを示している。本図の接合体は断面を示したものであり、差厚部材13同士を厚肉部位で突合せ、他方の薄肉部位から加圧子11により接合面5が加圧方向22の向きで加圧されている。それぞれの差厚材13に対し上下に電極1が一つずつ配置され差厚部材13の厚肉部位と接触を保つように保持される。この電極接触面積は上下の電極1の接触面積の合計が接合面5の面積よりも大きくなるようにする。また上下それぞれの電極1は絶縁体12より電気的に絶縁されている。この状態で、左側の差厚部材13に接した上下の電極1から、右側の差厚部材13に接した電極1へ通電を行い、接合面5近傍の厚肉部位を加熱する。薄肉部位は通電経路にならないため抵抗発熱が起こらず、厚肉部位からの熱伝導により温度上昇するだけであるため、厚肉部位よりも温度が上がることがない。温度計測手段14により接合部の表面温度を計測し、接合する部材の温度を固相線温度以下の所定温度まで加熱することにより固相状態で拡散接合が達成される。接合後、各接合面の断面観察を行ったところ、接合界面に隙間は無く良好に接合されていた。
【0046】
本実施例では、接合する部材をTi−6Al−4V合金としたが、他の通電可能な材料であってもよく、部材の材質が異なっても構わない。また差厚部材13の間に他の部材を挟んで同時に接合することも可能である。
【0047】
本実施例においては、電極が加圧機構と独立しているため、また、電極の配置が加圧機構の加圧軸上に制約されないため、電極の配置を部材の形状に合わせて変えることが可能であり、電極と部材の接触面積を十分に確保し、接合部の加熱過程で電極と部材の接触部の温度を部材間の温度より低くして、接合部の加熱過程で電極と部材の接触部に溶融を生じることなく、通電焼結接合を行うことが出来る。
【実施例5】
【0048】
アルミニウム合金やマグネシウム合金等、その材料の固相線温度近傍でも安定な酸化皮膜を有する材料の接合を行う場合、接合面に酸化皮膜が存在した状態で接合を行うと、従来の通電焼結接合法では接合後も接合界面に酸化皮膜が残留して十分な接合強度が得られなかった。
【0049】
第五の形態として、表面に酸化皮膜を有する部材を同種の材料又は他の材料からなる部材と接合するという目的を、通電により接合部が加熱された状態において、加圧機構により部材の接合面に面方向の力を作用させて摩擦による塑性変形現象を起こし、接合面に存在する酸化皮膜を機械的に破壊して新生面を露出させ、新生面同士を通電接合することによって実現した。
【0050】
図5は本発明の第五の実施例であって、表面に安定な酸化皮膜を有する二つの通電可能な部材を接合する場合の接合部材,電極,加圧機構,接合電源と通電経路を示した説明図である。接合部材,電極,加圧機構の構成は断面で示している。本実施例では接合部材をA2618とAZ91の異種材とした。1は電極(断面)、2は通電経路、3は接合電源、5は接合面、11は加圧子、14は温度計測手段、15はA2618の突合せ部材、
16はAZ91の突合せ部材、17は押さえ型、18は塑性変形空間、19は固定型、
22は加圧方向である。また図中の矢印は通電経路2における電流の流れの向きを示している。本図の接合体は断面を示したものであり、A2618の突合せ部材15とAZ91の突合せ部材16が突合され、加圧子11により加圧方向に対し斜めに配置された接合面5が加圧されている。それぞれの突合せ部材に対し電極1が一つずつ配置され突合せ部材の上面と接触を保つように保持される。電極1の間には通電経路2とは絶縁された押さえ型17があり、突合せ部材同士の接合部に配されている。この押さえ型17は接合面5の近傍に塑性変形空間18を有する。一方、突合せ部材の下面は通電経路2と絶縁された固定型19が配置される。この状態で、左側のAZ91の突合せ部材16に接した電極1から、右側のA2618の突合せ部材15に接した電極1へ通電を行い、接合面5近傍を加熱する。温度計測手段14により接合部の表面温度を計測し、部材の温度を固相線温度以下の所定温度まで加熱することにより、接合面5近傍の部材が軟化し加圧子11による加圧力により塑性変形を生じ、AZ91の突合せ部材16が塑性変形空間18の内部へ塑性流動するとともにA2618の突合せ部材15がAZ91の突合せ部材16の下側へ塑性流動する。塑性変形空間18を外部に閉じた空間としておくことで、塑性流動で動くことのできる部材の体積が制限されるため、過大な変形を生じることが無い。このとき接合面5では部材同士のずれによる摩擦が生じ、この摩擦力により接合面5に存在する酸化皮膜が破壊され新生面が露出する。接合部は加熱状態であるため部材間に原子拡散が生じ新生面同士が接合される。接合後、接合部の断面観察を行ったところ、接合界面に隙間は無く良好に接合されており、酸化皮膜は分断された状態で接合界面近傍に分布していた。
【0051】
本実施例では、接合する部材をA2618とAZ91としたが、塑性変形空間18へ流動する側の部材を溶融温度の低いAZ91とすることで塑性流動が起こりやすくなるため好ましい。部材の材質は他の通電可能な材料であってもよく、部材の材質が同じでも構わない。接合面5は加圧子11による加圧方向に対し斜めに配されているほうが塑性流動による接合面での摩擦が有効に作用する。電極1や塑性変形空間18は部材の形状等に合わせて適宜配置することで接合面近傍の温度分布や加圧による塑性変形の方向,大きさを変化させることが可能である。
【0052】
なお、上記実施例においては塑性変形空間18を接合面の片側に形成しているが、接合面の両側に形成してもよい。また、いずれかまたは両方の部材の接合面に凹部を設け、その凹部により形成される空間を塑性変形空間としてもよい。
【0053】
本実施例によれば、通電焼結接合により接合すべき材料が、その材料の固相線温度直下でも安定な酸化皮膜を接合面に有する場合であっても、接合界面の酸化皮膜にかかわらず、接合中に接合部を塑性変形させて接合界面に摩擦を生じさせて酸化皮膜を破壊し、接合後に接合界面に残留する酸化皮膜を低減し、十分な接合強度まで接合強度を向上できる利点がある。
【実施例6】
【0054】
第六の形態として、表面に酸化皮膜を有する板状部材を同種の材料又は他の材料からなる部材と接合するという目的を、板状部材を重ね合わせて通電を行い、部材同士の接触部近傍が加熱された状態で、加圧機構により接触面を横断する方向のせん断変形を加えて新生面を露出させ、新生面同士を接合面として通電接合することによって実現した。
【0055】
図6は本発明の第六の実施例であって、表面に安定な酸化皮膜を有する二つの通電可能な板状部材を接合する場合の接合部材,電極,加圧機構,接合電源と通電経路を示した説明図である。接合部材,電極,加圧機構の構成は断面で示している。本実施例では接合部材をジルコニウム系のアモルファス金属とした。1は電極(断面)、2は通電経路、3は接合電源、5は接合面、14は温度計測手段、17は押さえ型、19は固定型、20は板状部材、21は電極1と押さえ型17が一体になったせん断プレス型、22は加圧方向である。また図中の矢印は通電経路2における電流の流れの向きを示している。図6(A)は通電開始時の状態である。板状部材20が重ね合わされ、固定型19,電極1,せん断プレス型21により保持されている。せん断プレス型21を構成する電極1と押さえ型
17は電気的に絶縁されている。せん断プレス型21は図6における上方に可動する構造になっており、所定の間隔を空けて上部に配置されている固定型19と接する位置まで移動できる。せん断プレス型21と上部の固定型19の間隔を調整することにより、せん断プレス型21の移動量が可変となるが、本実施例では板状部材20の厚さと同じとした。この状態で、左側の板状部材20に接した電極1から、右側の板状部材20に接した電極1へ通電を行い、板状部材20の接触部近傍を加熱する。温度計測手段14により重ねあわせ部の表面温度を計測し、部材の温度をアモルファス金属の結晶化温度以下の所定温度まで加熱することにより、板状部材20の接触部近傍の部材が軟化する。この段階でせん断プレス型21により加圧を行い、加熱された板状部材20の重ね合わせ部にせん断変形を付与する。図6(B)はせん断プレス型が移動し、板状部材20の重ね合わせ部がせん断変形した後の状態である。せん断変形により板状部材20の新生面が露出し接合面5となる。この段階で塑性結合により接合が達せられているが、さらに所定時間の通電を継続することで接合面5における原子拡散が生じ、接合がより強固なものとなる。接合後、接合部の断面観察を行ったところ、接合界面に隙間は無く良好に接合されており、酸化皮膜も確認されなかった。
【0056】
本実施例では、接合する部材をジルコニウム系のアモルファス金属としたが、他の通電可能な材料であってもよく、部材の材質が異なっても構わない。また、せん断プレス型
21,電極1,固定型19に板状部材をプレス加工するための形状を付与しておけば、接合と同時にプレスによる成形を行うことができる。
【実施例7】
【0057】
従来の通電焼結接合法は、接合部を材料ごとの所定の温度範囲に加熱して接合を達成するが、この温度範囲は材料の固相線温度の1/2以上であるため、アモルファス合金の結晶化等、接合温度への加熱中に材料の本来の特性を大きく損なう場合があった。
【0058】
上記実施例と同様に、特性の変形が起こらない温度において、加圧によりせん断変形または塑性変形をさせた。接合温度に加熱を行う過程で、固相状態で完全な接合を達成し、かつ材料の本来の特性を得る接合方法を提供できた。
【0059】
本実施例によれば、通電焼結接合により接合すべき材料がある遷移温度を境に性質が大きく変わる場合であっても、遷移温度以下の温度に加熱した状態で接合部に大きなせん断変形を与え、接合面に新生面同士を出現させることで、材料の本来の特性を損なわず接合が可能となる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0060】
自動車分野における機構部品の異材接合,一般産業機械のインペラや油圧回路の形成,鋳造や樹脂成形分野における金型冷却構造の形成に応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第一の実施例を示す説明図である。
【図2】本発明の第二の実施例を示す説明図である。
【図3】本発明の第三の実施例を示す説明図である。
【図4】本発明の第四の実施例を示す説明図である。
【図5】本発明の第五の実施例を示す説明図である。
【図6】本発明の第六の実施例を示す説明図である。
【図7】複数部材の接合の一形態を示す説明図である。
【図8】複数部材の接合の一形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1…電極、2…通電経路、3…接合電源、4…通電経路切替機構、5…接合面、6…接触抵抗検知手段、7…シャフト状部材、8…外周構成部材、9…穴部を有する部材、10…挿入部材、11…加圧子、12…絶縁体、13…差厚部材、14…温度計測手段、15…A2618の突合せ部材、16…AZ91の突合せ部材、17…押さえ型、18…塑性変形空間、19…固定型、20…板状部材、21…せん断プレス型、22…加圧方向、
23…異径部材、24…電極1と異径部材23の接触面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通電可能な部材を接触させ、前記部材の接触面が加圧された状態で、前記部材に接する複数の電極により前記部材に通電を行って前記部材を接合する通電接合方法であって、
前記通電は複数の通電経路を切替える工程を有することを特徴とする通電接合方法。
【請求項2】
複数の通電可能な部材を接触させ、前記部材の接触面が加圧された状態で複数の電極により前記部材に通電を行って前記部材を接合する通電接合方法であって、
前記通電は2以上の通電工程を有し、
前記通電は、少なくとも対の電極を用いる第一の通電工程と、
前記第一の通電に用いられない電極を少なくともひとつ含む対の電極を用いた第2の通電工程を有することを特徴とする通電接合方法。
【請求項3】
請求項2に記載された通電接合方法であって、
前記第一の通電により一部の部材を他の部材と接触するまで熱膨張させ、前記第2の通電により前記接触した部材を接合することを特徴とする通電接合方法。
【請求項4】
請求項2に記載された通電接合方法であって、
前記第一の通電によりはめ込み部を有する部材を熱膨張させ、前記部材のはめ込み部にはめ込み部材を挿入し、前記はめ込み部を有する部材を熱収縮させ、前記はめ込み部を有する部材とはめ込み部材を接触させ、前記第二の通電工程により前記接触した部材を接合することを特徴とする通電加熱方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載された通電接合方法であって、前記部材の接触について導通検知手段により検知し、前記検知により前記第一の通電工程を第二の通電工程に切替えることを特徴とする通電接合方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された通電接合方法であって、
前記部材の接合は前記部材が固相状態で行われることを特徴とする通電接合方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載された通電接合方法であって、
前記接合される部材の接触面は加圧手段、または加圧機能を具備した電極により面圧を付与されていることを特徴とする通電接合方法。
【請求項8】
複数の通電可能な部材を接触させ、複数の電極により前記部材に通電を行って前記部材を接合する通電接合方法であって、
前記接合される部材を、前記接触面の周囲の少なくとも一部に所定形状の空間を有する状態で加圧し、前記加圧により前記部材の一部を前記所定形状の空間内に移動させて接合することを特徴とする通電接合方法。
【請求項9】
複数の通電可能な部材を接触させ、複数の電極により前記部材に通電を行って前記部材を接合する通電接合方法であって、
前記接合される部材のいずれか少なくとも一の部材は、前記接触面に凹部を有することを特徴とする通電接合方法。
【請求項10】
複数の通電可能な部材を接触させ、複数の電極により前記部材に通電を行って前記部材を接合する通電接合方法であって、
前記部材の接触面側に所定形状の溝を形成した型部材を用い、通電加熱により軟化した部材の一部を加圧により変形させて型部材の溝部へ塑性変形させることを特徴とする通電接合方法。
【請求項11】
複数の通電可能な板状部材を接触させて部材間に通電を行い、前記部材を接合する通電接合方法であって、
前記板状部材の少なくとも一部を重ね、対抗配置したプレス装置に挟み、
前記重ね合わせ部を通過する電流を通電し、前記部材のうち少なくとも重ね合わせ部を加熱し、前記重ね合わせ部を前記プレス装置によりせん断変形することを特徴とする通電接合方法。
【請求項12】
少なくとも3以上の電極を有する通電手段と、複数の通電可能な部材を接触保持する保持手段とを有し、前記電極がひとつの接合部材に少なくとも一の電極が接触するよう配置されている通電接合装置であって、
前記電極のうち対の電極間に所望の電流を供給し、かつ前記電極のうち使用する電極を変えて通電経路を切替える電源装置を有することを特徴とする通電接合装置。
【請求項13】
複数の電極よりなる通電手段と、前記複数の電極のうち任意の電極間に所望の電流を供給する電源装置と、複数の接合部材間の接合面に面圧を与える加圧手段を有し、前記電極がひとつの接合部材に少なくとも一の電極が接触するよう配置されている通電接合装置であって、
前記通電手段は少なくとも3以上の電極を有し、
前記通電接合装置は前記電極間の導通を検知する検知手段または前記部材の表面温度を測定する計測手段を有し、
前記電源装置は前記電極間の導通の情報または前記部材の表面温度の情報により前記電極間の通電経路または前記供給される電流を切替えるスイッチ手段を有することを特徴とする通電接合装置。
【請求項14】
複数の電極よりなる通電手段と、前記複数の電極のうち任意の電極間に所望の電流を供給する電源装置と、複数の接合部材間の接合面に面圧を与える加圧手段を有し、前記電極がひとつの接合部材に少なくとも一の電極が接触するよう配置されている通電接合装置であって、
前記通電接合装置は前記部材の表面温度を測定する計測手段を有し、前記加圧装置は前記部材の表面温度の情報により加圧手段位置を動かすスイッチ手段を有し、
前記加圧手段は前記接合面に向かって移動する機構を有することを特徴とする通電接合装置。
【請求項15】
請求項14に記載された通電接合装置であって、
前記スイッチ手段は、前記表面温度の情報が固相線温度または固相線温度より低い所定値となった場合に加圧手段位置を動かすことを特徴とする通電接合装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載された通電接合装置であって、
前記通電接合装置は前記接合面に接して前記加圧手段位置を動かした場合に接合部材の一部を塑性変形させて入れる凹部を有する押さえ型を有することを特徴とする通電接合装置。
【請求項17】
請求項14または15に記載された通電接合装置であって、
前記加圧手段は、当該加圧手段位置を動かした場合に接合部材の一部を塑性変形させて入れる凹部を有することを特徴とする通電接合装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−30013(P2007−30013A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219856(P2005−219856)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】