速度測定装置
【課題】 異なる測定対象物に対する測定を適切に行えること
【解決手段】 マイクロ波を送受信するホーンアンテナ23と、そのホーンアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、それらホーンアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体10と、を備える。ケース本体は、本体部分10aと、本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなる拡大部11bとを備え、その拡大部内にホーンアンテナを収納する。ケース本体の下面には、脚部12c,12dを設ける。これにより、脚部を利用して地面に安定して設置することができると共に、本体部分を手で持つこともでき、各種の測定対象物に対する測定が行える。
【解決手段】 マイクロ波を送受信するホーンアンテナ23と、そのホーンアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、それらホーンアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体10と、を備える。ケース本体は、本体部分10aと、本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなる拡大部11bとを備え、その拡大部内にホーンアンテナを収納する。ケース本体の下面には、脚部12c,12dを設ける。これにより、脚部を利用して地面に安定して設置することができると共に、本体部分を手で持つこともでき、各種の測定対象物に対する測定が行える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を用いた速度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動する測定対象物の最大速度を測定する速度測定装置として、ドップラーセンサを用いたものが知られている。これは、非測定対象物である物体に向けてマイクロ波を照射し、物体による反射波を測定する。物体がマイクロ波の進行方向に対して運動している時は、ドップラー効果によって反射波の周波数が変化するため、これと発射波の周波数を比較することにより、物体の速さを算出することができる。この種のドップラーセンサを用いた従来の速度測定装置では、一般に野球において、投手が投げるボールの速度(球速)を測定するのに用いられる。
【0003】
この種の速度測定装置は、測定機器が収納された略円筒状の本体と、その本体の下方に突出するハンドル部を備えた形状となっている。この種の速度測定装置は、測定者がハンドル部を手で持つと共に、本体前面を測定対象物に向けて測定する。一般にこの種の速度測定装置は、投手が投げるボールの球速を測定するのに用いられるのが有名であるが、テニスのサーブの球速などにも用いられる。
【0004】
また、特許文献1に示すように、ケース本体を略直方体状の矩形の箱体としたものがある。このタイプでは、地面にそのまま置くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−211814
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のハンドル部を備えた速度測定装置は、球速を測定するのには適しているが、それ以外の測定対象物に対する測定には適さない。また、特許文献1に開示された装置は、地面に置くことはできるものの、球速の測定のために手でもって測定するといった一般的な使用をするのには適さない。さらに、異なる複数種の測定対象物に対して適切に測定したいという課題がある。また、マイクロ波の送受方向などが一目でわかりにくいといった課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、(1)マイクロ波を送受信するアンテナと、そのアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、それらアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体と、を備え、前記ケース本体は、本体部分と、その本体部分の先端側に設けられたアンテナ収納部(実施形態の「拡大部10b」に対応)と、有し、そのアンテナ収納部の上下方向の長さが、前記本体部分の上下方向の長さよりも長くした。
【0008】
これにより、マイクロ波を送受信するアンテナとしては、ホーンアンテナや、パッチアンテナなどがあるが、マイクロ波を送受する面が比較的広くなるため、アンテナ収納部の寸法形状は比較的大きくなり、上下方向の高さも増すが、それに比べて本体部分の寸法形状を小さくすることができる。従って、その本体部分を手で持つことが容易に行える。すなわち、仮にアンテナの送受信する面が前方を向いた状態で当該アンテナをケース本体内に収納した場合、ケース本体の縦断面形状は、前後方向でほぼ同じとすると、ケース本体部分を手で持つことはしにくくなるが、本発明では、本体部分が小さくなり、手で持つことが可能となる。
【0009】
また、アンテナ収納部は、上下方向の長さ、すなわち高さ・厚みが本体部分のそれよりも長くしているが、広がる方向は、実施形態のように上下両方向であっても良いし、片側のみでも良い。また、上下両方に広がるようにした場合でも、その突出量は異なっていても良い。上方のみに広がるようにした場合には、ケース本体の下面は平らになるので、そのまま地面に置くと、地面と水平に設置することができる。よって、アンテナの送受信方向がケース本体の下面と平行とすると、アンテナの送受信方向も水平にすることができる。また、アンテナ収納部が下方にも突出する形態を取る場合、ケース本体をそのまま地面に設置すると、ケース本体自体は斜め上方を向いた姿勢となる。よって、アンテナの送受信方向がケース本体の下面と平行とすると、アンテナの送受信方向は、斜め上方に向くが、アンテナ収納部の下方への突出量を適宜に設定することで、マイクロ波の送受信方向が地面とほぼ水平になったり、斜め上方になってもその角度を小さくしたりすることができる。よって、本発明では、手に持って測定する場合と、地面等に設置して測定する場合の異なる態様での測定に対応できる。
【0010】
(2)前記アンテナは、ホーンアンテナであり、前記アンテナ収納部は、前記本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなるホーンアンテナ収納部とするとよい。換言すると、マイクロ波を送受信するホーンアンテナと、そのホーンアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、それらホーンアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体と、を備え、前記ケース本体は、本体部分と、その本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなるホーンアンテナ収納部(実施形態の「拡大部10b」に対応)とを有するようにしてもよい。
【0011】
ケース本体の形状が、先端部分がラッパ状に広がり、ホーンアンテナがその位置に収納されていることと、ホーンアンテナの向きを容易に推測することができる。しかも、本体部分は、ホーンアンテナ収納部に比べて細くすることができるので、その本体部分を手で持つことが容易に行える。よって、例えば、ボールの球速などを測定する際に、ケース本体を手でもって操作することが適切に行え、しかも、ボール等の測定対象物に容易にホーンアンテナの送受信面を正対させることができる。
【0012】
(3)前記測定対象物の速度は、ピッチャーの投球したボールの速度、バットのスイング速度、打球の速度、走者の走行速度、自動車の走行速度の少なくとも1つと、ゴルフクラブのスイング速度、ゴルフクラブによって打ち出した打球の速度の少なくとも1つとすることができる。前者は、三脚を用いたり手持ちしたりして測定をし、後者は地面に置いた測定をする。このように、本発明では、いずれの測定態様にも好適な構造となる。
【0013】
(4)前記本体部分の上面に表示部を設けるとよい。ホーンアンテナ収納部の上面は、傾斜面となるが、その後方側の本体部分の上面に表示部を設けることで、ホーンアンテナ側から見た場合にも、表示部が見やすくなる。
【0014】
(5)前記アンテナの上方(例えば、ホーンアンテナの上面)に、第2アンテナを配置するとよい。このようにすると、第2アンテナの感度を向上させることができる。第2アンテナは、実施形態では、リモコンアンテナ24に対応する。
【0015】
(6)前記アンテナ収納部の上面には、上方に突出する凸部を設け、前記第2アンテナの少なくとも一部をその凸部内に位置させるとよい。このようにすると、第2アンテナの位置を容易に理解させることができると共に、ケース本体の外形寸法を必要以上に大きくすることが抑制できる。
【0016】
(7)前記ケース本体の上面にリモコン受信部(無線・赤外線含む)を有する凸部を設け、凸部に照準器の少なくとも一部を設けるとよい。
【0017】
(8)前記ケース本体の上面に、測定開始用のスタートボタンを配置するとよい。操作がしやすくなる。特に、地面に置いた場合でも、スタートボタンが上にあることで、上方から押下するといった簡単な操作で指示できる。スタートボタンは実施形態のスタートストップボタン15に対応する。実施形態では、強制終了するストップボタンの機能も兼用させたが、スタート指示のみを与えるボタンでも良い。なお、ケース本体の上面にスタートボタン以外の他のボタンを設ける場合には、スタートボタンの大きさは、他のボタンより大きなサイズとすると良い。
【0018】
(9)前記スタートボタンは、その表示色を前記ケース本体の上面の周囲の色と異ならせるとよい。スタートボタンの位置が目立つので、操作性が向上する。また、例えばスタートボタンの押し忘れの防止に貢献する。
【0019】
(10)前記ケース本体の上面には、前記アンテナにおけるマイクロ波の送受信方向を示す突起を同一直線上に複数設けるとよい。実施形態では、第1,第2突起20a,20bに対応する。第2突起20bは、凸部の上に設けたが、別の位置に設けても妨げない。但し、実施形態のように凸部の上に設けることで、効率よく適度な高さ位置に設置することができる。
【0020】
(11)前記ケース本体の下面に、下方に突出する複数の脚部を設けるとよい。ゴルフボールの球速や、ゴルフクラブのスイングスピードを測定するような場合、速度測定装置を地面の上に置くことになるが、複数の脚部で支持することで、地面がデコボコであっても安定して設置することができると共に、水平に設置しやすくなる。なお、特に実施形態のように、ホーンアンテナが上下に広がるものであり、それに伴いケース本体の下面も先端側が下側に延びる傾斜面としているような場合には、脚部を設けることで、本体部分を持ち上げ、安定した姿勢で支持できる。
【0021】
(12)前記ケース本体の下方に電池ボックスを設け、その電池ボックスを覆う電池蓋と、前記複数の脚部の少なくとも一つを一体化するとよい。電池蓋と脚部を一体化することで、効率よく適宜な場所に適宜な寸法形状のものを設置できる。
【0022】
(13)前記複数の脚部は、前後に空間をおいて配置するとよい。このようにすると、その空間部分に掌を置いて本体部分を持つことができ、安定して保持できる。よって、手でもって測定するような場合に適する。
(14)前記空間の前側に位置する前記脚部の底面に、三脚取付部を設けるとよい。
【0023】
(15)前記複数の脚部の少なくとも一つに、指を引っかけるための窪みを設けるとよい。このようにすると、野球のボールの球速を測定するなど、一般的な使用方法において手でもって操作するのに適する。
【0024】
(16)前記ケース本体の側面には、水平ラインが設けられているとよい。実施形態では、ケース本体を上ケース11と下ケース12を突き合わせて構成し、その突き合わせの接合部分に水平ラインが形成されるようにしたが、別途ラインを形成しても良い。このようにすると、水平状態にあるか否かが容易に確認できる。突き合わせの接合部分に水平ラインが形成されるようにする場合、その水平ラインに沿うケース内部に、防水パッキンを設けるとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、アンテナの向きが容易にわかり、マイクロ波の送受方向などが一目でわかるので、正しい向きに設置することができる。さらに、手で持ったり、地面に設置したりするなど、各種の態様で測定することができる。また、アンテナとしてホーンアンテナを用い、そのホーンアンテナの上下方向の中心位置と、ケース本体の上下方向の中心位置を合わせると、上記のマイクロ波の送受方向がより確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る速度測定装置の好適な一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る速度測定装置の好適な一実施形態を示す下方からの斜視図である。
【図3】その側面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】その正面図である。
【図6】その側面図である。
【図7】その底面図である。
【図8】上ケース11を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図9】上ケース11を取り除いた状態を示す側面図である。
【図10】端子用カバーを取り除いた状態を示す側面図である。
【図11】電池蓋を取り除いた状態を示す底面図である。
【図12】電池蓋を取り除いた状態を示す下方からの斜視図である。
【図13】取付治具を装着した状態を示す下方からの斜視図である。
【図14】取付治具を装着した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明の好適な一実施形態を説明する。速度測定装置は、マイクロ波ドップラーセンサを用い、そのマイクロ波ドップラーセンサから出力されるドップラー信号に基づき(実際には、適宜増幅する)、制御部で演算処理をして速度を求め、その求めた結果を表示部へ出力するものである。
【0028】
そして、本実施形態の速度測定装置は、モード切替により、異なる種類の測定対象物の速度を測定できる。例えば、ボールの速度等(初速・終速等)を測定するピッチングモードと、バットのスイング速度や打球の速度等を測定するバッティングモードと、短距離走の走者の走行速度を測定する短距離モードと、ゴルフクラブのスイング速度や打ち出した打球の速度や推定飛距離等を求めるゴルフモードと、自動車の走行速度を測定する自動車モード等がある。いずれのモードの場合も、単発モードと連続モードがある。単発モードは、測定対象物の1回の移動毎に測定を終了し、結果を表示するモードである。連続モードは、複数回の移動に伴う測定データを連続して記録するモードである。
【0029】
そして、速度測定装置のケース本体10は、扁平矩形状の本体部10aと、その本体部位10aの前側に設けられ連続的にラッパ状に広がる前方部位10bと、を有する。前方部位10bは、その厚さ(高さ)が前方(先端)に行くに従って、上下方向に徐々にほぼ均等に長くなる。よって、ケース本体10の上下面の中心位置を結ぶラインは、一直線上に位置する。同様に、前方部位10bは、左右方向にも前方に行くに従って均等に広がる形状となる。
【0030】
本体部位10aは、ユーザが手で握り持つ部位となるので、握りやすい寸法形状に設定される。後述するように、前方部位10b内には、ホーンアンテナ23が内蔵されるため、前方部位10bの上下面は、上下に広がるホーンアンテナ23の傾斜面に沿うような寸法形状に設定される。
【0031】
ホーンアンテナ23は、金属の板(ブリキ・アルミ等)を、プレスしたり、板金したりして、複数の金属部材を組み合わせて作るようにしてもよいが、金属の板を加工したり、複数の金属部材を組み合わせて形成すると、微少な振動が発生しやすくなり、測定結果が正確な値とならない可能性がある。そこで、本実施形態のホーンアンテナ23は、ダイカスト、鋳物、削りだし等により、金属の一体形成により構成している。特に、本装置は、手に持って測定対象物の速度を測定することもできるが、手に持って測定する際には、ホーンアンテナ23が振動しやすく、測定結果が正確な値にならない場合がある。しかし、本実施形態では、ホーンアンテナ23を一体形成により作成したため、手に持った際のホーンアンテナ23の振動を抑えることができ、測定結果を正確に保つことができる。
【0032】
ケース本体10は、上下に2分割された上ケース11と下ケース12とを互いに突合わせて構成される。上ケース11は、下方並びに前方が開口され、下ケース12は上方並びに前方が開口されている。上ケース11の下端縁と、下ケース12の上端縁の寸法形状は一致し、両ケース11,12を突き合わせることで前方の開口部位を除きケース本体10が閉塞される。そして、それら両ケース11,12の接触面間に防水パッキン37を介在させ、防水構造としている。
【0033】
そして、上ケース11は、本体ケース10の本体部位10aを構成する平坦部11aと、その平坦部11aの前方に連続して形成される上下に広がる拡大部11bと、を備えている。下ケース12は、本体ケース10の本体部10aを構成する平坦部12aと、その平坦部12aの前方に連続して形成される下方にむけて湾曲する湾曲部12bと、を備えている。上ケース11の平坦部11aの高さと、下ケース12の平坦部12aの高さはほぼ一致している。これにより、上ケース11と下ケース12の接合面となる両平坦部11a,12aの接触面は、本体部位10aの上下方向の中央位置に位置する。よって、両者の接合面に形成されるラインL1も直線形状となり、本体部位10aの中央を長手方向に進むように配置される。このラインL1を目立たせることで、ホーンアンテナ23から出射されるマイクロ波の進む方向をイメージさせやすくすることができる。
【0034】
特に、本実施形態では、図9等に示すように、ホーンアンテナ23の上下方向の中心線L3と、ケース本体10の上下面の中心位置を結ぶラインL1とが同一水平面内に位置するようにしているので、上記のマイクロ波の進む方向がよりわかりやすくなる。もちろん、必ずしもホーンアンテナ23と、ケース本体10のそれぞれの上下方向の中心線が同一平面内にする必要はなく、仮に同一平面内に存在していなくても、平行であれば、おおよそのマイクロ波の進む方向がわかるので好ましい。
【0035】
一方、上ケース11の拡大部11bと、下ケース12の湾曲部12bとにより、本体部位10の前方部位10bが形成され、拡大部11bはその上下面がそれぞれ上下方向に拡大していくので、それに伴い、その下面に接合される下ケース12の湾曲部12bの上面も徐々に下降する。さらに、枠局部12bの上下方向の高さ・幅は、前方に行くに従って徐々に狭くなる。これにより、前方部位10bを構成する拡大部11bと湾曲部12bのとの接合部位のラインL2は、上記の直線上のラインL1から続き前方に行くに従って、下方に湾曲しながら移動し、前方部位10bの前端位置では、ほぼ下端位置に至る。つまり、ケース本体10の前端位置では、上ケース11がほぼ全面を位置し、下ケース12は下面を構成することになる。
【0036】
そして、上ケース11並びに下ケース12は、その前面が開口しているので、その開口部位に平板状の蓋部材13が装着されて閉塞される。また、この蓋部材13の色(例えば、黒・ダークグレー等の暗い色)を、上ケース11並びに下ケース12の側面や前面の色(例えば、シルバー等の明るい色)と異なるようにしている。これにより、蓋部材13の存在位置が明確になる。
【0037】
さらに、図9左側や図5に示すように、ホーンアンテナ23の開口面の形状と、蓋部材13の形状を略同一ないし、ホーンアンテナから出射される電波の広がり分だけ蓋部材13の方を拡大させた形状とすることにより、ユーザが無意識のうちに、適切な方向を向けて配置したり、電波の出射方向に存在する測定対象物との間の障害物を取り除いたりすることができる
また、上ケース11の平坦部11aの上面所定位置には、適宜の寸法形状の開口部(窓孔)が設けられ、その開口部に対向して、表示パネル14と、スタートストップボタン15と、操作スイッチボタン16と、電源スイッチボタン17を露出配置させている。表示パネル14は、液晶ディスプレイ等で構成され、比較的大きな矩形状の表示エリアを構成し、速度の測定結果を描画したり、設定時のメニュー項目を描画したりする。
【0038】
スタートストップボタン15は、長方形状の平面形状をなし、その上面は、上ケース11の上面よりも突出させている。このスタートストップボタン15は、測定の開始/終了を制御するものである。本装置に内蔵される制御部は、スタートボタン15の押下を検知すると測定を開始し、次にスタートボタン15の押下を検知すると測定を終了する。さらに、スタートストップボタン15の色を、上ケース11の上面の色や、他のボタン16,17と異なるようにする。例えば、上ケース11の上面を、黒・ダークグレー等の落ち着いた色にし、スタートストップボタン15の色をオレンジ・暖色系その他の明るい目立つ色とするとよい。これによりスタートストップボタン15が強調され、測定開始や停止など、他のボタンに比べて頻繁に操作するスタートストップボタン15に対する操作がしやすくなる。
【0039】
操作スイッチボタン16は、前後左右に90度間隔で配置された4つの選択キーと、中心に設けられた確定キーを備えている。ユーザは、これらの適宜のキーを操作し、表示パネル14上に表示されたメニュー項目を選択・確定し、所定の指示を与える。すなわち、制御部は、電源投入に伴い或いは所定のボタン操作を認識すると表示パネル14にメニュー画面を描画し、選択キーの押下を検知すると、その指定された方向に選択候補項目を移動し、確定キーの押下を検知すると、その時に選択候補項目になっていた項目に対応する処理を実行する。
【0040】
さらに、スタートストップボタン15並びに操作スイッチボタン16は、上ケース11の上面よりも上方に突出させ、ユーザが押しやすくしている。また、ボタンの周囲を上ケース11の上面より一段下げることで押しやすくする構造を採ってもよい。さらに、それらの組み合わせ、すなわち、上ケースよりも突出させ、ボタンの周囲も一段下げルようにしても良く、そのように組み合わせることで、最も操作性は良好となる。さらに、スタートストップボタン15の平面形状を、ケース本体10の幅方向に延びる長方形で比較的大きくすることで、ユーザが上ケース11の上面を直視しなくても操作できる。さらに、本体部分10aを片手で保持した状態で、その保持している手の指を用いて操作できる箇所に設けることで、片手での操作が可能となると共に、スタートストップボタン15の位置も指を適宜伸ばすことで操作可能な範囲にあることで、ブラインドタッチのように当該スタートストップボタン15を見なくとも操作ができる。よって、例えば、スタートストップボタン15を、上記の組み合わせの構成を採り、操作スイッチボタン16の構成は、上ケース11の上面よりも上方に突出させる構成を採り、電源ボタン17の構成は上ケース11の上面と面一或いは一段下げる構成を採ることで、スタートストップボタン15の操作性が最も良好で、次に操作スイッチボタン16となり、電源ボタン17の操作性が最も低くなる。
【0041】
一方、電源ボタン17は、ユーザが速度測定装置の電源のオン/オフの指令を与えるためのもので、電源オフの状態で電源ボタン17が押下されると電源が投入され、電源オンの状態で電源ボタン17が押下されると電源が遮断される。使用中に誤って電源が遮断されることを防止するため、電源ボタン17の上面は、上ケース11の上面よりも低く奥まった位置に設置されると共に、寸法形状も小さくしている。さらに、電源を遮断する際には、長押し(一定秒数継続して押し続ける)されることを条件にしてもよい。もちろん、必ずしも上ケース11の上面よりも下方に奥まらせる必要なく、電源ボタン17の上面と上ケース11の上面とを面一にしたり、突出量を少なくしたりすることでも、同種の効果が得られる。
【0042】
上ケース11の拡大部11bの上面には、上方に突出する凸部11dが設けられている。この凸部11dは、幅方向の中央に設けられる。また、上ケース11の前面の上片中央には、速度測定装置の中心線上で前後方向に延びるように第1突起20aを形成し、さらに、上記の凸部11dの上面の前方中央、すなわち、速度測定装置の中心線上には前後方向に延びるように第2突起20bを形成する。これら第1,第2突起20a,20bを結ぶ線は、速度測定装置の中心線に一致する。さらに、図4から図6等に示すように、第1突起20aは、本速度測定装置の最も上方に位置している。さらに、第2突起20bも、その第1突起20aとほぼ同じ高さに位置させている。よって、速度測定装置をその後方側から見た場合、第1,第2突起20a,20bが照準器の役割を発揮し、測定対象物の移動方向に正対させることが容易に行える。
【0043】
また、ケース本体10の内部には、各種のモードを実行するための電子回路・部品が適宜の位置に実装されている。その一部を示すと、図8,図9に示すように、ケース本体10の前方部位内にホーンアンテナ23が設置される。このホーンアンテナ23の寸法形状は、図8,図9で取り外して状態で示している上ケースの拡大部の内面形状に沿うようにしている。さらに、ホーンアンテナ23の上面側には、回路基板25上に実装されたリモコンアンテナ24を配置している。このリモコンアンテナ24は、図示省略するリモコン機器との間で通信をし、制御部がリモコンからの指令を受けて各種の設定・制御を行ったり、リモコン機器に対して測定結果等を送信したりする。そして、このリモコンアンテナ24の一部または全部が、上ケース11に設けた凸部11d内に収納される。
【0044】
このように、リモコンアンテナ24をホーンアンテナ23の上方に設置し、しかも、速度測定装置全体から見ても上方に位置させたことで、感度が向上する。さらに、ユーザにとっても、凸部11d内にリモコンアンテナ24が位置していることを知ることで、リモコンアンテナ24の存在位置を容易に推測でき、凸部11d(リモコンアンテナ24)にリモコン機器を向けてリモコン操作をすることで、より良好な通信環境を構築することができる。
【0045】
さらに前述のようにこのリモコンアンテナ24を格納する凸部11dに第2突起20bを設けて照準器の役割を発揮することを兼ねることにより、本速度測定装置を測定対象物に向けて設置する際に、リモコンアンテナ24の位置を意識づけることができるとともに、リモコンの利用時に第2突起20bを意識付けることができ照準器の存在を意識づけることができる。
【0046】
本実施形態では、リモコンとの信号の送受を無線で行う無線リモコンとし、リモコンアンテナ24で無線を受信する構成としたが、信号の送受を赤外線で行う赤外線リモコンとし、リモコンアンテナに変えて赤外線送受信器を、凸部11d内に設けるようにしてもよい。この場合、凸部11dの上面及び側面は赤外線を透過する素材を用いるとよい。このようにすれば、赤外線リモコンを向けるべき方向が凸部11dの方向であることを容易に認識することができるため、赤外線リモコンを凸部11dの方向へ向けてリモコン操作をしてもらいやすくなり、本機の周囲からのリモコンの信号を受信しやすくなる。その結果、リモコン操作が確実に行えるようになる。
【0047】
また、図6等に示すように、上ケース11の側面所定位置には、ゴム・樹脂等からなる弾性変形可能な端子用保護カバー22を設けている。端子用保護カバー22は、その裏面側の一端22aにて下ケース12に設けた突片に連結する。端子用保護カバー22は、係る一端22aを基準として開閉できる。そして、端子用保護カバー22を開いた状態では、図10等に示すように、USBコネクタ26と、メモリカードスロット27が露出する。このUSBコネクタ26を介してケーブル接続されたパソコン等の外部の装置とデータの送受を行うことができる。また、メモリカードスロット27内に所定のメモリカードを装着しておくことで、そのメモリカードに測定結果を記録し、その測定結果を当該メモリカードを媒体として外部の装置に移行することができる。また、メモリカードには、速度測定装置が各種のモードを実行するためのデータを格納しておき、制御部は、そのメモリカードに格納されたデータを利用しながら動作することもできる。
【0048】
下ケース12の下面後方には、下方に突出する第1脚部12cを設ける。また、下ケース12の下面前方には、下方に突出する第2脚部12dを設ける。例えば、ゴルフモードにおけるゴルフクラブのスイング速度や、ゴルフボールの球速などを測定する場合、測定対象物は地面付近を移動するため、速度測定装置も地面に設置することになる。このとき、第1脚部12c,12dの下面を地面に置くことで、ケース本体10を所望の向き・姿勢にすることができる。例えば、第1脚部12cと第2脚部12dの下面は、平坦面となるとともに同一平面上に配置するとともに、その同一平面をケース本体10の本体部分10aと平行にすると、速度測定装置を地面に置いた場合に、速度測定装置の向きは、地面の向きと平行になる。
【0049】
さらに、本実施形態では、第1脚部12cと第2脚部12dを所定距離だけ離し、両者間に空間を形成している。これにより、本体部分10aを手で持つようにした場合でも、その空間内に掌を位置させることができ、第2脚部12dの存在が邪魔になること無く、持ちやすい。しかも、第1脚部12cは、平面がU字状にすることで窪み12fを設け、指を挿入してしっかりと持つことができるようにしている。これにより、ピッチングモードのように手でもってピッチャーが投げるボールに照準を合わせ、球速を測定するような場合にも、操作性は良好となる。
【0050】
また、第1脚部12cは、電池蓋12eに一体的に形成している。すなわち、図11,図12に示すように、下ケース12の後方領域には、電池ボックス30を設けており、その電池ボックス30内に複数の電池31を収納する。電子ボックス30の周縁には、電子蓋12eの周縁に対向する部位に無端状の防水パッキン38を配置している。これにより、電池蓋12eを、電子ボックス30を閉塞するように装着すると、電池蓋12eの内周面の全周に渡り防水パッキン38が密着する。これにより、電池蓋12eの周縁から内部に水等が進入するのが防止される。
【0051】
速度測定装置の内部回路は、この電池31からの電源供給に伴い動作する。このように、電池蓋12eと第1脚部12cを一体に形成することで、部品点数を削減することができる。しかも、電池31をケース本体10の後端に位置させることで、電池蓋12eも下ケースの後方領域に位置するようになり、一方、第1脚部12cの設置位置も、ケース本体10の前後両端側で支持する点から後方領域に位置するのが好ましい。そして、第1脚部12cと電池蓋12eを別体で形成すると、それぞれの寸法形状が小さくなってしまうが、一体にすることで第1脚部12cも適度な大きさにすることができるので、所望の寸法形状を採ることができる。係る構成にすると、速度測定装置を手で持った場合、ケース本体10の後端側の電池部分を握ることになるので、電池の重量を手で確実に支えることができる。
【0052】
さらに、第2脚部12dには、三脚35(図では、三脚の上端の取付部の一部を描画している)を装着できる三脚取付部12gを備える。特に、バッティングモードにおけるバットスイングを測定したり、短距離モードにおける走者の走る速度を測定したりする場合には、ある程度の高さに設置する必要があるので、三脚等を用いると、所望の高さに固定できるので好ましい。
【0053】
電池31をケース本体10の後端に配置する一方、ホーンアンテナ23をケース本体10の前方部位10bに配置し、電池とホーンアンテナの重量バランスの取れる重心位置に近い位置に三脚取付部12gを設けることで、本機を三脚等に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0054】
さらに、下ケース12の後端縁には、ストラップ取付部12hを設けている。このストラップ取付部12hを利用して、速度測定装置に適宜のストラップを取り付けることができる。ストラップとしては、ハンドストラップでもよいが、ネックストラップとするのが好適である。
【0055】
本実施形態では、ホーンアンテナを用いることとしたが、これに限らず各種のアンテナを用いることができる。例えば、本実施形態におけるホーンアンテナ23の開口面の位置、すなわち、蓋部材13の裏面側にパッチアンテナを配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 ケース本体
11 上ケース
12 下ケース
12c 第1脚部
12d 第2脚部
13 蓋部材
14 表示パネル
15 スタートストップボタン
16 操作スイッチボタン
17 電源スイッチボタン
23 ホーンアンテナ
24 リモコンアンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を用いた速度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動する測定対象物の最大速度を測定する速度測定装置として、ドップラーセンサを用いたものが知られている。これは、非測定対象物である物体に向けてマイクロ波を照射し、物体による反射波を測定する。物体がマイクロ波の進行方向に対して運動している時は、ドップラー効果によって反射波の周波数が変化するため、これと発射波の周波数を比較することにより、物体の速さを算出することができる。この種のドップラーセンサを用いた従来の速度測定装置では、一般に野球において、投手が投げるボールの速度(球速)を測定するのに用いられる。
【0003】
この種の速度測定装置は、測定機器が収納された略円筒状の本体と、その本体の下方に突出するハンドル部を備えた形状となっている。この種の速度測定装置は、測定者がハンドル部を手で持つと共に、本体前面を測定対象物に向けて測定する。一般にこの種の速度測定装置は、投手が投げるボールの球速を測定するのに用いられるのが有名であるが、テニスのサーブの球速などにも用いられる。
【0004】
また、特許文献1に示すように、ケース本体を略直方体状の矩形の箱体としたものがある。このタイプでは、地面にそのまま置くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−211814
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のハンドル部を備えた速度測定装置は、球速を測定するのには適しているが、それ以外の測定対象物に対する測定には適さない。また、特許文献1に開示された装置は、地面に置くことはできるものの、球速の測定のために手でもって測定するといった一般的な使用をするのには適さない。さらに、異なる複数種の測定対象物に対して適切に測定したいという課題がある。また、マイクロ波の送受方向などが一目でわかりにくいといった課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、(1)マイクロ波を送受信するアンテナと、そのアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、それらアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体と、を備え、前記ケース本体は、本体部分と、その本体部分の先端側に設けられたアンテナ収納部(実施形態の「拡大部10b」に対応)と、有し、そのアンテナ収納部の上下方向の長さが、前記本体部分の上下方向の長さよりも長くした。
【0008】
これにより、マイクロ波を送受信するアンテナとしては、ホーンアンテナや、パッチアンテナなどがあるが、マイクロ波を送受する面が比較的広くなるため、アンテナ収納部の寸法形状は比較的大きくなり、上下方向の高さも増すが、それに比べて本体部分の寸法形状を小さくすることができる。従って、その本体部分を手で持つことが容易に行える。すなわち、仮にアンテナの送受信する面が前方を向いた状態で当該アンテナをケース本体内に収納した場合、ケース本体の縦断面形状は、前後方向でほぼ同じとすると、ケース本体部分を手で持つことはしにくくなるが、本発明では、本体部分が小さくなり、手で持つことが可能となる。
【0009】
また、アンテナ収納部は、上下方向の長さ、すなわち高さ・厚みが本体部分のそれよりも長くしているが、広がる方向は、実施形態のように上下両方向であっても良いし、片側のみでも良い。また、上下両方に広がるようにした場合でも、その突出量は異なっていても良い。上方のみに広がるようにした場合には、ケース本体の下面は平らになるので、そのまま地面に置くと、地面と水平に設置することができる。よって、アンテナの送受信方向がケース本体の下面と平行とすると、アンテナの送受信方向も水平にすることができる。また、アンテナ収納部が下方にも突出する形態を取る場合、ケース本体をそのまま地面に設置すると、ケース本体自体は斜め上方を向いた姿勢となる。よって、アンテナの送受信方向がケース本体の下面と平行とすると、アンテナの送受信方向は、斜め上方に向くが、アンテナ収納部の下方への突出量を適宜に設定することで、マイクロ波の送受信方向が地面とほぼ水平になったり、斜め上方になってもその角度を小さくしたりすることができる。よって、本発明では、手に持って測定する場合と、地面等に設置して測定する場合の異なる態様での測定に対応できる。
【0010】
(2)前記アンテナは、ホーンアンテナであり、前記アンテナ収納部は、前記本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなるホーンアンテナ収納部とするとよい。換言すると、マイクロ波を送受信するホーンアンテナと、そのホーンアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、それらホーンアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体と、を備え、前記ケース本体は、本体部分と、その本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなるホーンアンテナ収納部(実施形態の「拡大部10b」に対応)とを有するようにしてもよい。
【0011】
ケース本体の形状が、先端部分がラッパ状に広がり、ホーンアンテナがその位置に収納されていることと、ホーンアンテナの向きを容易に推測することができる。しかも、本体部分は、ホーンアンテナ収納部に比べて細くすることができるので、その本体部分を手で持つことが容易に行える。よって、例えば、ボールの球速などを測定する際に、ケース本体を手でもって操作することが適切に行え、しかも、ボール等の測定対象物に容易にホーンアンテナの送受信面を正対させることができる。
【0012】
(3)前記測定対象物の速度は、ピッチャーの投球したボールの速度、バットのスイング速度、打球の速度、走者の走行速度、自動車の走行速度の少なくとも1つと、ゴルフクラブのスイング速度、ゴルフクラブによって打ち出した打球の速度の少なくとも1つとすることができる。前者は、三脚を用いたり手持ちしたりして測定をし、後者は地面に置いた測定をする。このように、本発明では、いずれの測定態様にも好適な構造となる。
【0013】
(4)前記本体部分の上面に表示部を設けるとよい。ホーンアンテナ収納部の上面は、傾斜面となるが、その後方側の本体部分の上面に表示部を設けることで、ホーンアンテナ側から見た場合にも、表示部が見やすくなる。
【0014】
(5)前記アンテナの上方(例えば、ホーンアンテナの上面)に、第2アンテナを配置するとよい。このようにすると、第2アンテナの感度を向上させることができる。第2アンテナは、実施形態では、リモコンアンテナ24に対応する。
【0015】
(6)前記アンテナ収納部の上面には、上方に突出する凸部を設け、前記第2アンテナの少なくとも一部をその凸部内に位置させるとよい。このようにすると、第2アンテナの位置を容易に理解させることができると共に、ケース本体の外形寸法を必要以上に大きくすることが抑制できる。
【0016】
(7)前記ケース本体の上面にリモコン受信部(無線・赤外線含む)を有する凸部を設け、凸部に照準器の少なくとも一部を設けるとよい。
【0017】
(8)前記ケース本体の上面に、測定開始用のスタートボタンを配置するとよい。操作がしやすくなる。特に、地面に置いた場合でも、スタートボタンが上にあることで、上方から押下するといった簡単な操作で指示できる。スタートボタンは実施形態のスタートストップボタン15に対応する。実施形態では、強制終了するストップボタンの機能も兼用させたが、スタート指示のみを与えるボタンでも良い。なお、ケース本体の上面にスタートボタン以外の他のボタンを設ける場合には、スタートボタンの大きさは、他のボタンより大きなサイズとすると良い。
【0018】
(9)前記スタートボタンは、その表示色を前記ケース本体の上面の周囲の色と異ならせるとよい。スタートボタンの位置が目立つので、操作性が向上する。また、例えばスタートボタンの押し忘れの防止に貢献する。
【0019】
(10)前記ケース本体の上面には、前記アンテナにおけるマイクロ波の送受信方向を示す突起を同一直線上に複数設けるとよい。実施形態では、第1,第2突起20a,20bに対応する。第2突起20bは、凸部の上に設けたが、別の位置に設けても妨げない。但し、実施形態のように凸部の上に設けることで、効率よく適度な高さ位置に設置することができる。
【0020】
(11)前記ケース本体の下面に、下方に突出する複数の脚部を設けるとよい。ゴルフボールの球速や、ゴルフクラブのスイングスピードを測定するような場合、速度測定装置を地面の上に置くことになるが、複数の脚部で支持することで、地面がデコボコであっても安定して設置することができると共に、水平に設置しやすくなる。なお、特に実施形態のように、ホーンアンテナが上下に広がるものであり、それに伴いケース本体の下面も先端側が下側に延びる傾斜面としているような場合には、脚部を設けることで、本体部分を持ち上げ、安定した姿勢で支持できる。
【0021】
(12)前記ケース本体の下方に電池ボックスを設け、その電池ボックスを覆う電池蓋と、前記複数の脚部の少なくとも一つを一体化するとよい。電池蓋と脚部を一体化することで、効率よく適宜な場所に適宜な寸法形状のものを設置できる。
【0022】
(13)前記複数の脚部は、前後に空間をおいて配置するとよい。このようにすると、その空間部分に掌を置いて本体部分を持つことができ、安定して保持できる。よって、手でもって測定するような場合に適する。
(14)前記空間の前側に位置する前記脚部の底面に、三脚取付部を設けるとよい。
【0023】
(15)前記複数の脚部の少なくとも一つに、指を引っかけるための窪みを設けるとよい。このようにすると、野球のボールの球速を測定するなど、一般的な使用方法において手でもって操作するのに適する。
【0024】
(16)前記ケース本体の側面には、水平ラインが設けられているとよい。実施形態では、ケース本体を上ケース11と下ケース12を突き合わせて構成し、その突き合わせの接合部分に水平ラインが形成されるようにしたが、別途ラインを形成しても良い。このようにすると、水平状態にあるか否かが容易に確認できる。突き合わせの接合部分に水平ラインが形成されるようにする場合、その水平ラインに沿うケース内部に、防水パッキンを設けるとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、アンテナの向きが容易にわかり、マイクロ波の送受方向などが一目でわかるので、正しい向きに設置することができる。さらに、手で持ったり、地面に設置したりするなど、各種の態様で測定することができる。また、アンテナとしてホーンアンテナを用い、そのホーンアンテナの上下方向の中心位置と、ケース本体の上下方向の中心位置を合わせると、上記のマイクロ波の送受方向がより確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る速度測定装置の好適な一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る速度測定装置の好適な一実施形態を示す下方からの斜視図である。
【図3】その側面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】その正面図である。
【図6】その側面図である。
【図7】その底面図である。
【図8】上ケース11を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図9】上ケース11を取り除いた状態を示す側面図である。
【図10】端子用カバーを取り除いた状態を示す側面図である。
【図11】電池蓋を取り除いた状態を示す底面図である。
【図12】電池蓋を取り除いた状態を示す下方からの斜視図である。
【図13】取付治具を装着した状態を示す下方からの斜視図である。
【図14】取付治具を装着した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明の好適な一実施形態を説明する。速度測定装置は、マイクロ波ドップラーセンサを用い、そのマイクロ波ドップラーセンサから出力されるドップラー信号に基づき(実際には、適宜増幅する)、制御部で演算処理をして速度を求め、その求めた結果を表示部へ出力するものである。
【0028】
そして、本実施形態の速度測定装置は、モード切替により、異なる種類の測定対象物の速度を測定できる。例えば、ボールの速度等(初速・終速等)を測定するピッチングモードと、バットのスイング速度や打球の速度等を測定するバッティングモードと、短距離走の走者の走行速度を測定する短距離モードと、ゴルフクラブのスイング速度や打ち出した打球の速度や推定飛距離等を求めるゴルフモードと、自動車の走行速度を測定する自動車モード等がある。いずれのモードの場合も、単発モードと連続モードがある。単発モードは、測定対象物の1回の移動毎に測定を終了し、結果を表示するモードである。連続モードは、複数回の移動に伴う測定データを連続して記録するモードである。
【0029】
そして、速度測定装置のケース本体10は、扁平矩形状の本体部10aと、その本体部位10aの前側に設けられ連続的にラッパ状に広がる前方部位10bと、を有する。前方部位10bは、その厚さ(高さ)が前方(先端)に行くに従って、上下方向に徐々にほぼ均等に長くなる。よって、ケース本体10の上下面の中心位置を結ぶラインは、一直線上に位置する。同様に、前方部位10bは、左右方向にも前方に行くに従って均等に広がる形状となる。
【0030】
本体部位10aは、ユーザが手で握り持つ部位となるので、握りやすい寸法形状に設定される。後述するように、前方部位10b内には、ホーンアンテナ23が内蔵されるため、前方部位10bの上下面は、上下に広がるホーンアンテナ23の傾斜面に沿うような寸法形状に設定される。
【0031】
ホーンアンテナ23は、金属の板(ブリキ・アルミ等)を、プレスしたり、板金したりして、複数の金属部材を組み合わせて作るようにしてもよいが、金属の板を加工したり、複数の金属部材を組み合わせて形成すると、微少な振動が発生しやすくなり、測定結果が正確な値とならない可能性がある。そこで、本実施形態のホーンアンテナ23は、ダイカスト、鋳物、削りだし等により、金属の一体形成により構成している。特に、本装置は、手に持って測定対象物の速度を測定することもできるが、手に持って測定する際には、ホーンアンテナ23が振動しやすく、測定結果が正確な値にならない場合がある。しかし、本実施形態では、ホーンアンテナ23を一体形成により作成したため、手に持った際のホーンアンテナ23の振動を抑えることができ、測定結果を正確に保つことができる。
【0032】
ケース本体10は、上下に2分割された上ケース11と下ケース12とを互いに突合わせて構成される。上ケース11は、下方並びに前方が開口され、下ケース12は上方並びに前方が開口されている。上ケース11の下端縁と、下ケース12の上端縁の寸法形状は一致し、両ケース11,12を突き合わせることで前方の開口部位を除きケース本体10が閉塞される。そして、それら両ケース11,12の接触面間に防水パッキン37を介在させ、防水構造としている。
【0033】
そして、上ケース11は、本体ケース10の本体部位10aを構成する平坦部11aと、その平坦部11aの前方に連続して形成される上下に広がる拡大部11bと、を備えている。下ケース12は、本体ケース10の本体部10aを構成する平坦部12aと、その平坦部12aの前方に連続して形成される下方にむけて湾曲する湾曲部12bと、を備えている。上ケース11の平坦部11aの高さと、下ケース12の平坦部12aの高さはほぼ一致している。これにより、上ケース11と下ケース12の接合面となる両平坦部11a,12aの接触面は、本体部位10aの上下方向の中央位置に位置する。よって、両者の接合面に形成されるラインL1も直線形状となり、本体部位10aの中央を長手方向に進むように配置される。このラインL1を目立たせることで、ホーンアンテナ23から出射されるマイクロ波の進む方向をイメージさせやすくすることができる。
【0034】
特に、本実施形態では、図9等に示すように、ホーンアンテナ23の上下方向の中心線L3と、ケース本体10の上下面の中心位置を結ぶラインL1とが同一水平面内に位置するようにしているので、上記のマイクロ波の進む方向がよりわかりやすくなる。もちろん、必ずしもホーンアンテナ23と、ケース本体10のそれぞれの上下方向の中心線が同一平面内にする必要はなく、仮に同一平面内に存在していなくても、平行であれば、おおよそのマイクロ波の進む方向がわかるので好ましい。
【0035】
一方、上ケース11の拡大部11bと、下ケース12の湾曲部12bとにより、本体部位10の前方部位10bが形成され、拡大部11bはその上下面がそれぞれ上下方向に拡大していくので、それに伴い、その下面に接合される下ケース12の湾曲部12bの上面も徐々に下降する。さらに、枠局部12bの上下方向の高さ・幅は、前方に行くに従って徐々に狭くなる。これにより、前方部位10bを構成する拡大部11bと湾曲部12bのとの接合部位のラインL2は、上記の直線上のラインL1から続き前方に行くに従って、下方に湾曲しながら移動し、前方部位10bの前端位置では、ほぼ下端位置に至る。つまり、ケース本体10の前端位置では、上ケース11がほぼ全面を位置し、下ケース12は下面を構成することになる。
【0036】
そして、上ケース11並びに下ケース12は、その前面が開口しているので、その開口部位に平板状の蓋部材13が装着されて閉塞される。また、この蓋部材13の色(例えば、黒・ダークグレー等の暗い色)を、上ケース11並びに下ケース12の側面や前面の色(例えば、シルバー等の明るい色)と異なるようにしている。これにより、蓋部材13の存在位置が明確になる。
【0037】
さらに、図9左側や図5に示すように、ホーンアンテナ23の開口面の形状と、蓋部材13の形状を略同一ないし、ホーンアンテナから出射される電波の広がり分だけ蓋部材13の方を拡大させた形状とすることにより、ユーザが無意識のうちに、適切な方向を向けて配置したり、電波の出射方向に存在する測定対象物との間の障害物を取り除いたりすることができる
また、上ケース11の平坦部11aの上面所定位置には、適宜の寸法形状の開口部(窓孔)が設けられ、その開口部に対向して、表示パネル14と、スタートストップボタン15と、操作スイッチボタン16と、電源スイッチボタン17を露出配置させている。表示パネル14は、液晶ディスプレイ等で構成され、比較的大きな矩形状の表示エリアを構成し、速度の測定結果を描画したり、設定時のメニュー項目を描画したりする。
【0038】
スタートストップボタン15は、長方形状の平面形状をなし、その上面は、上ケース11の上面よりも突出させている。このスタートストップボタン15は、測定の開始/終了を制御するものである。本装置に内蔵される制御部は、スタートボタン15の押下を検知すると測定を開始し、次にスタートボタン15の押下を検知すると測定を終了する。さらに、スタートストップボタン15の色を、上ケース11の上面の色や、他のボタン16,17と異なるようにする。例えば、上ケース11の上面を、黒・ダークグレー等の落ち着いた色にし、スタートストップボタン15の色をオレンジ・暖色系その他の明るい目立つ色とするとよい。これによりスタートストップボタン15が強調され、測定開始や停止など、他のボタンに比べて頻繁に操作するスタートストップボタン15に対する操作がしやすくなる。
【0039】
操作スイッチボタン16は、前後左右に90度間隔で配置された4つの選択キーと、中心に設けられた確定キーを備えている。ユーザは、これらの適宜のキーを操作し、表示パネル14上に表示されたメニュー項目を選択・確定し、所定の指示を与える。すなわち、制御部は、電源投入に伴い或いは所定のボタン操作を認識すると表示パネル14にメニュー画面を描画し、選択キーの押下を検知すると、その指定された方向に選択候補項目を移動し、確定キーの押下を検知すると、その時に選択候補項目になっていた項目に対応する処理を実行する。
【0040】
さらに、スタートストップボタン15並びに操作スイッチボタン16は、上ケース11の上面よりも上方に突出させ、ユーザが押しやすくしている。また、ボタンの周囲を上ケース11の上面より一段下げることで押しやすくする構造を採ってもよい。さらに、それらの組み合わせ、すなわち、上ケースよりも突出させ、ボタンの周囲も一段下げルようにしても良く、そのように組み合わせることで、最も操作性は良好となる。さらに、スタートストップボタン15の平面形状を、ケース本体10の幅方向に延びる長方形で比較的大きくすることで、ユーザが上ケース11の上面を直視しなくても操作できる。さらに、本体部分10aを片手で保持した状態で、その保持している手の指を用いて操作できる箇所に設けることで、片手での操作が可能となると共に、スタートストップボタン15の位置も指を適宜伸ばすことで操作可能な範囲にあることで、ブラインドタッチのように当該スタートストップボタン15を見なくとも操作ができる。よって、例えば、スタートストップボタン15を、上記の組み合わせの構成を採り、操作スイッチボタン16の構成は、上ケース11の上面よりも上方に突出させる構成を採り、電源ボタン17の構成は上ケース11の上面と面一或いは一段下げる構成を採ることで、スタートストップボタン15の操作性が最も良好で、次に操作スイッチボタン16となり、電源ボタン17の操作性が最も低くなる。
【0041】
一方、電源ボタン17は、ユーザが速度測定装置の電源のオン/オフの指令を与えるためのもので、電源オフの状態で電源ボタン17が押下されると電源が投入され、電源オンの状態で電源ボタン17が押下されると電源が遮断される。使用中に誤って電源が遮断されることを防止するため、電源ボタン17の上面は、上ケース11の上面よりも低く奥まった位置に設置されると共に、寸法形状も小さくしている。さらに、電源を遮断する際には、長押し(一定秒数継続して押し続ける)されることを条件にしてもよい。もちろん、必ずしも上ケース11の上面よりも下方に奥まらせる必要なく、電源ボタン17の上面と上ケース11の上面とを面一にしたり、突出量を少なくしたりすることでも、同種の効果が得られる。
【0042】
上ケース11の拡大部11bの上面には、上方に突出する凸部11dが設けられている。この凸部11dは、幅方向の中央に設けられる。また、上ケース11の前面の上片中央には、速度測定装置の中心線上で前後方向に延びるように第1突起20aを形成し、さらに、上記の凸部11dの上面の前方中央、すなわち、速度測定装置の中心線上には前後方向に延びるように第2突起20bを形成する。これら第1,第2突起20a,20bを結ぶ線は、速度測定装置の中心線に一致する。さらに、図4から図6等に示すように、第1突起20aは、本速度測定装置の最も上方に位置している。さらに、第2突起20bも、その第1突起20aとほぼ同じ高さに位置させている。よって、速度測定装置をその後方側から見た場合、第1,第2突起20a,20bが照準器の役割を発揮し、測定対象物の移動方向に正対させることが容易に行える。
【0043】
また、ケース本体10の内部には、各種のモードを実行するための電子回路・部品が適宜の位置に実装されている。その一部を示すと、図8,図9に示すように、ケース本体10の前方部位内にホーンアンテナ23が設置される。このホーンアンテナ23の寸法形状は、図8,図9で取り外して状態で示している上ケースの拡大部の内面形状に沿うようにしている。さらに、ホーンアンテナ23の上面側には、回路基板25上に実装されたリモコンアンテナ24を配置している。このリモコンアンテナ24は、図示省略するリモコン機器との間で通信をし、制御部がリモコンからの指令を受けて各種の設定・制御を行ったり、リモコン機器に対して測定結果等を送信したりする。そして、このリモコンアンテナ24の一部または全部が、上ケース11に設けた凸部11d内に収納される。
【0044】
このように、リモコンアンテナ24をホーンアンテナ23の上方に設置し、しかも、速度測定装置全体から見ても上方に位置させたことで、感度が向上する。さらに、ユーザにとっても、凸部11d内にリモコンアンテナ24が位置していることを知ることで、リモコンアンテナ24の存在位置を容易に推測でき、凸部11d(リモコンアンテナ24)にリモコン機器を向けてリモコン操作をすることで、より良好な通信環境を構築することができる。
【0045】
さらに前述のようにこのリモコンアンテナ24を格納する凸部11dに第2突起20bを設けて照準器の役割を発揮することを兼ねることにより、本速度測定装置を測定対象物に向けて設置する際に、リモコンアンテナ24の位置を意識づけることができるとともに、リモコンの利用時に第2突起20bを意識付けることができ照準器の存在を意識づけることができる。
【0046】
本実施形態では、リモコンとの信号の送受を無線で行う無線リモコンとし、リモコンアンテナ24で無線を受信する構成としたが、信号の送受を赤外線で行う赤外線リモコンとし、リモコンアンテナに変えて赤外線送受信器を、凸部11d内に設けるようにしてもよい。この場合、凸部11dの上面及び側面は赤外線を透過する素材を用いるとよい。このようにすれば、赤外線リモコンを向けるべき方向が凸部11dの方向であることを容易に認識することができるため、赤外線リモコンを凸部11dの方向へ向けてリモコン操作をしてもらいやすくなり、本機の周囲からのリモコンの信号を受信しやすくなる。その結果、リモコン操作が確実に行えるようになる。
【0047】
また、図6等に示すように、上ケース11の側面所定位置には、ゴム・樹脂等からなる弾性変形可能な端子用保護カバー22を設けている。端子用保護カバー22は、その裏面側の一端22aにて下ケース12に設けた突片に連結する。端子用保護カバー22は、係る一端22aを基準として開閉できる。そして、端子用保護カバー22を開いた状態では、図10等に示すように、USBコネクタ26と、メモリカードスロット27が露出する。このUSBコネクタ26を介してケーブル接続されたパソコン等の外部の装置とデータの送受を行うことができる。また、メモリカードスロット27内に所定のメモリカードを装着しておくことで、そのメモリカードに測定結果を記録し、その測定結果を当該メモリカードを媒体として外部の装置に移行することができる。また、メモリカードには、速度測定装置が各種のモードを実行するためのデータを格納しておき、制御部は、そのメモリカードに格納されたデータを利用しながら動作することもできる。
【0048】
下ケース12の下面後方には、下方に突出する第1脚部12cを設ける。また、下ケース12の下面前方には、下方に突出する第2脚部12dを設ける。例えば、ゴルフモードにおけるゴルフクラブのスイング速度や、ゴルフボールの球速などを測定する場合、測定対象物は地面付近を移動するため、速度測定装置も地面に設置することになる。このとき、第1脚部12c,12dの下面を地面に置くことで、ケース本体10を所望の向き・姿勢にすることができる。例えば、第1脚部12cと第2脚部12dの下面は、平坦面となるとともに同一平面上に配置するとともに、その同一平面をケース本体10の本体部分10aと平行にすると、速度測定装置を地面に置いた場合に、速度測定装置の向きは、地面の向きと平行になる。
【0049】
さらに、本実施形態では、第1脚部12cと第2脚部12dを所定距離だけ離し、両者間に空間を形成している。これにより、本体部分10aを手で持つようにした場合でも、その空間内に掌を位置させることができ、第2脚部12dの存在が邪魔になること無く、持ちやすい。しかも、第1脚部12cは、平面がU字状にすることで窪み12fを設け、指を挿入してしっかりと持つことができるようにしている。これにより、ピッチングモードのように手でもってピッチャーが投げるボールに照準を合わせ、球速を測定するような場合にも、操作性は良好となる。
【0050】
また、第1脚部12cは、電池蓋12eに一体的に形成している。すなわち、図11,図12に示すように、下ケース12の後方領域には、電池ボックス30を設けており、その電池ボックス30内に複数の電池31を収納する。電子ボックス30の周縁には、電子蓋12eの周縁に対向する部位に無端状の防水パッキン38を配置している。これにより、電池蓋12eを、電子ボックス30を閉塞するように装着すると、電池蓋12eの内周面の全周に渡り防水パッキン38が密着する。これにより、電池蓋12eの周縁から内部に水等が進入するのが防止される。
【0051】
速度測定装置の内部回路は、この電池31からの電源供給に伴い動作する。このように、電池蓋12eと第1脚部12cを一体に形成することで、部品点数を削減することができる。しかも、電池31をケース本体10の後端に位置させることで、電池蓋12eも下ケースの後方領域に位置するようになり、一方、第1脚部12cの設置位置も、ケース本体10の前後両端側で支持する点から後方領域に位置するのが好ましい。そして、第1脚部12cと電池蓋12eを別体で形成すると、それぞれの寸法形状が小さくなってしまうが、一体にすることで第1脚部12cも適度な大きさにすることができるので、所望の寸法形状を採ることができる。係る構成にすると、速度測定装置を手で持った場合、ケース本体10の後端側の電池部分を握ることになるので、電池の重量を手で確実に支えることができる。
【0052】
さらに、第2脚部12dには、三脚35(図では、三脚の上端の取付部の一部を描画している)を装着できる三脚取付部12gを備える。特に、バッティングモードにおけるバットスイングを測定したり、短距離モードにおける走者の走る速度を測定したりする場合には、ある程度の高さに設置する必要があるので、三脚等を用いると、所望の高さに固定できるので好ましい。
【0053】
電池31をケース本体10の後端に配置する一方、ホーンアンテナ23をケース本体10の前方部位10bに配置し、電池とホーンアンテナの重量バランスの取れる重心位置に近い位置に三脚取付部12gを設けることで、本機を三脚等に取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0054】
さらに、下ケース12の後端縁には、ストラップ取付部12hを設けている。このストラップ取付部12hを利用して、速度測定装置に適宜のストラップを取り付けることができる。ストラップとしては、ハンドストラップでもよいが、ネックストラップとするのが好適である。
【0055】
本実施形態では、ホーンアンテナを用いることとしたが、これに限らず各種のアンテナを用いることができる。例えば、本実施形態におけるホーンアンテナ23の開口面の位置、すなわち、蓋部材13の裏面側にパッチアンテナを配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 ケース本体
11 上ケース
12 下ケース
12c 第1脚部
12d 第2脚部
13 蓋部材
14 表示パネル
15 スタートストップボタン
16 操作スイッチボタン
17 電源スイッチボタン
23 ホーンアンテナ
24 リモコンアンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を送受信するアンテナと、
そのアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、
それらアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体と、を備え、
前記ケース本体は、本体部分と、その本体部分の先端側に設けられたアンテナ収納部と、有し、
そのアンテナ収納部の上下方向の長さが、前記本体部分の上下方向の長さよりも長くしたことを特徴とする速度測定装置。
【請求項2】
前記アンテナは、ホーンアンテナであり、
前記アンテナ収納部は、前記本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなるホーンアンテナ収納部であることを特徴とする請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項3】
前記測定対象物の速度は、ピッチャーの投球したボールの速度、バットのスイング速度、打球の速度、走者の走行速度、自動車の走行速度の少なくとも1つと、ゴルフクラブのスイング速度、ゴルフクラブによって打ち出した打球の速度の少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の速度測定装置。
【請求項4】
前記本体部分の上面に表示部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項5】
前記アンテナの上方に、第2アンテナを配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項6】
前記アンテナ収納部の上面には、上方に突出する凸部を設け、
前記第2アンテナの少なくとも一部をその凸部内に位置させることを特徴とする請求項5に記載の速度測定装置。
【請求項7】
前記ケース本体の上面にリモコン受信部を有する凸部を設け、凸部に照準器の少なくとも一部を設けることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項8】
前記ケース本体の上面に、測定開始用のスタートボタンを配置したことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項9】
前記スタートボタンは、その表示色を前記ケース本体の上面の周囲の色と異ならせることを特徴とする請求項8に記載の速度測定装置。
【請求項10】
前記ケース本体の上面には、前記アンテナにおけるマイクロ波の送受信方向を示す突起を同一直線上に複数設けたことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の速度測定装置。
【請求項11】
前記ケース本体の下面に、下方に突出する複数の脚部を設けたことを特徴する請求項1から10のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項12】
前記ケース本体の下方に電池ボックスを設け、その電池ボックスを覆う電池蓋と、前記複数の脚部の少なくとも一つを一体化したことを特徴とする請求項11に記載の速度測定装置。
【請求項13】
前記複数の脚部は、前後に空間をおいて配置することを特徴とする請求項11または12に記載の速度測定装置。
【請求項14】
前記空間の前側に位置する前記脚部の底面に、三脚取付部を設けたことを特徴とする請求項13に記載の速度測定装置。
【請求項15】
)
前記複数の脚部の少なくとも一つに、指を引っかけるための窪みを設けたことを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項16】
前記ケース本体の側面には、水平ラインが設けられていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項1】
マイクロ波を送受信するアンテナと、
そのアンテナから出力される信号に基づき測定対象物の速度を測定するための制御を行う制御部と、
それらアンテナ並びに制御部を内蔵するケース本体と、を備え、
前記ケース本体は、本体部分と、その本体部分の先端側に設けられたアンテナ収納部と、有し、
そのアンテナ収納部の上下方向の長さが、前記本体部分の上下方向の長さよりも長くしたことを特徴とする速度測定装置。
【請求項2】
前記アンテナは、ホーンアンテナであり、
前記アンテナ収納部は、前記本体部分から先端に向けて徐々に高さが広くなるホーンアンテナ収納部であることを特徴とする請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項3】
前記測定対象物の速度は、ピッチャーの投球したボールの速度、バットのスイング速度、打球の速度、走者の走行速度、自動車の走行速度の少なくとも1つと、ゴルフクラブのスイング速度、ゴルフクラブによって打ち出した打球の速度の少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の速度測定装置。
【請求項4】
前記本体部分の上面に表示部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項5】
前記アンテナの上方に、第2アンテナを配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項6】
前記アンテナ収納部の上面には、上方に突出する凸部を設け、
前記第2アンテナの少なくとも一部をその凸部内に位置させることを特徴とする請求項5に記載の速度測定装置。
【請求項7】
前記ケース本体の上面にリモコン受信部を有する凸部を設け、凸部に照準器の少なくとも一部を設けることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項8】
前記ケース本体の上面に、測定開始用のスタートボタンを配置したことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項9】
前記スタートボタンは、その表示色を前記ケース本体の上面の周囲の色と異ならせることを特徴とする請求項8に記載の速度測定装置。
【請求項10】
前記ケース本体の上面には、前記アンテナにおけるマイクロ波の送受信方向を示す突起を同一直線上に複数設けたことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の速度測定装置。
【請求項11】
前記ケース本体の下面に、下方に突出する複数の脚部を設けたことを特徴する請求項1から10のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項12】
前記ケース本体の下方に電池ボックスを設け、その電池ボックスを覆う電池蓋と、前記複数の脚部の少なくとも一つを一体化したことを特徴とする請求項11に記載の速度測定装置。
【請求項13】
前記複数の脚部は、前後に空間をおいて配置することを特徴とする請求項11または12に記載の速度測定装置。
【請求項14】
前記空間の前側に位置する前記脚部の底面に、三脚取付部を設けたことを特徴とする請求項13に記載の速度測定装置。
【請求項15】
)
前記複数の脚部の少なくとも一つに、指を引っかけるための窪みを設けたことを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項16】
前記ケース本体の側面には、水平ラインが設けられていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−102718(P2011−102718A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256968(P2009−256968)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
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