説明

造形物の製造方法及び造形物

【課題】内部の構造を正確に再現することができる造形物の製造方法及び造形物を提供すること。
【解決手段】造形物の製造方法は、粉体材料が配置される造形可能領域のうち、第1の液体材料を第1の領域に供給し、前記第1の領域の前記粉体材料を硬化させることで、溶媒により溶解されない非溶性の第1の部分を形成することを含む。積層造形技術を用いて、前記造形可能領域のうち、前記第1の液体材料とは異なる、第2の液体材料を、前記第1の領域に囲まれるように設けられた第2の領域の前記粉体材料に供給し、前記第2の領域の前記粉体材料を硬化させることで、前記溶媒により溶解され得る可溶性の第2の部分が形成される。前記第2の部分が前記溶媒により溶解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、積層造形技術を用いた造形物の製造方法及びその造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積層造形技術により人体のモデルを製造する技術が開示されている。具体的には、この製造方法は、CT(Computed Tomography)スキャナーにより得られた形状データを、コンピュータで図形処理することで、多層の断面情報を取得し、その多層の断面情報に基づいて、感光性樹脂に光線を照射して単位厚さごとに感光性樹脂を硬化させることにより人体のモデルを形成する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、積層造形技術を用いた例として、特許文献2に記載の3次元造形装置は、CT画像データに基づいて、インクジェットヘッドを用いて粉体材料にインクを選択的に供給することにより、粉体材料を硬化させ、造形物を形成する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−236627号公報
【特許文献2】特開2010−194942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
造形物の外観だけでなく、その内部の構造を正確に再現することができる造形物の実現が望まれている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、内部の構造を正確に再現することができる造形物の製造方法及び造形物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術に係る造形物の製造方法は、粉体材料が配置される造形可能領域のうち、第1の液体材料を第1の領域に供給し、前記第1の領域の前記粉体材料を硬化させることで、溶媒により溶解されない非溶性の第1の部分を形成することを含む。
積層造形技術を用いて、前記造形可能領域のうち、前記第1の液体材料とは異なる、第2の液体材料を、前記第1の領域に囲まれるように設けられた第2の領域の前記粉体材料に供給し、前記第2の領域の前記粉体材料を硬化させることで、前記溶媒により溶解され得る可溶性の第2の部分が形成される。
前記第2の部分が前記溶媒により溶解される。
【0008】
本技術では、非溶性の第1の部分に囲まれるように設けられた可溶性の第2の部分を溶媒により溶解させることにより、第1の部分に囲まれるように設けられた空洞部を有する造形物を形成することができる。これにより、この造形物の内部に空洞部を形成することができ、その内部の構造を正確に再現することができる。
【0009】
完成された造形物において、空洞部のすべてが第1の部分に囲まれている必要はなく、例えばその空洞部の一部が第1の部分から露出していてもよい。あるいは、完成された造形物のうち、空洞部のすべてが第1の部分に囲まれている場合、第2の部分を溶解させてその第2の部分を除去するために、少なくとも第1の部分の一部に穴が設けられていればよい。
【0010】
前記造形物の製造方法は、前記第2の部分を前記溶媒により溶解させる前に、さらに、造形の対象となる対象物の3次元画像データに基づき、前記造形物のうち前記第1及び前記第2の部分とは異なる第3の部分を形成するための成形型を形成することを含んでもよい。
前記成形型と、前記形成された、前記第1の部分及び前記第2の部分を含む硬化物との間に、前記粉体材料とは異なる材料を供給し、これを硬化させることで、少なくとも前記第1の部分の一部を覆う前記第3の部分が形成される。
【0011】
第2の部分が溶媒により溶解される前に、第3の部分を形成するための材料が、成形型に供給されるので、第2の部分は第3の部分が形成される時に用いられるマスクあるいはスペーサーとして機能することができる。
【0012】
前記第3の部分を形成するための材料は、可視光の透過型の材料であってもよい。第3の部分が造形物の表面を含む層を形成する部分である場合、ユーザーが、造形物の外側から、第3の部分を介して造形物の内部を見ることができる。
【0013】
前記第1の部分は、前記造形の対象となる対象物には含まれない部分に対応するベース部と、前記ベース部上に形成される、前記対象物に含まれる部分に対応する本体部とを有してもよい。その場合、前記第3の部分を形成する工程では、前記成形型により前記本体部が覆われるように前記成形型が前記ベース部に当接した状態で、前記第3の部分が形成する材料を供給される。これにより、容易に第3の部分を形成することができる。
【0014】
前記第3の部分が前記第1の部分より柔らかくなるように前記造形物が形成されてもよい。これにより、内部の構造に比べ柔らかい表層の構造を有する造形物を実現できる。
【0015】
前記第1の液体材料は、バインダーを含む液体材料であり、前記第2の液体材料は、前記バインダーを含まない液体材料であってもよい。
【0016】
積層造形技術において、インクジェットヘッドにより前記第1及び前記第2の液体材料が吐出されてもよい。これにより、高精細な造形物を形成することができる。
【0017】
本技術に係る造形物は、上記の製造方法により製造された造形物である。
【発明の効果】
【0018】
以上、本技術によれば、造形物の内部の構造を正確に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本技術の一実施形態に係る造形装置を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す造形装置の側面図である。
【図3】図3は、図1に示す造形装置の平面図である。
【図4】図4は、一実施形態に係るプリントヘッドを示す図であり、下方から見た斜視図である。
【図5】図5は、造形装置の機械的な動作を順に示す図であり、側面から見た模式図である。
【図6】図6は、造形物の一例として、人間の頭部の一部の造形物を示す図である。
【図7】図7は、図6におけるA−A線断面図である。
【図8】図8は、図6の造形物の製造方法を説明するための図であり、頭蓋骨のCTデータ等を示す。
【図9】図9は、図6の造形物の製造方法を説明するための図であり、肉部のCTデータ等を示す。
【図10】図10は、図6の造形物の製造方法を順に説明するための図である。
【図11】図11は、図6の造形物の製造方法を説明するための図であり、離型により肉部が形成された造形物を示す図である。
【図12】図12は、人間の組織のCT値を示す表である。
【図13】図13は、他の例に係る造形物の製造方法を説明するための図であり、CTデータを示す。
【図14】図14は、図13に示した造形物の製造方法を説明するための図であり、造形装置の造形可能領域を、Z方向で見た断面図である。
【図15】図15は、造形可能領域内で形成される、図14に示した硬化物の表面に肉部を形成するための成形型の硬化物を示す断面図である。
【図16】図16は、図15に示した成形型を用いて、顎部を覆うように肉部が形成された造形物を示す断面図である。
【図17】図17は、顎部の内部の硬化物が溶解して形成された造形物を示す断面図である。
【図18】図18は、顎部及び腫瘍部を含む、最終的な造形物を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0021】
[造形装置]
【0022】
(造形装置の構成)
図1は、本技術の一実施形態に係る造形装置を示す図である。図2は、図1に示す造形装置の側面図であり、図3は、その平面図である。
【0023】
造形装置100は、造形ユニット50と、これに隣接して配置された制御ユニット60とを備える。造形ユニット50は、フレーム1と、このフレーム1上に固定されたプレート2とを備える。プレート2の概ね中央部には、プレート2の長手方向であるY方向に沿って造形作業用の開口部2aが設けられている。その開口部2aの下部には、粉体材料(以下、単に粉体という。)の供給部10、粉体による造形物が形成される造形部20、及び、粉体の排出路部材31(図1ではこれを省略)が配置されている。これら供給部10、造形部20及び排出路部材31は、図2及び図3に示すように、それらの図中左側からY方向に沿って順に並ぶように配置されている。
【0024】
なお、プレート2上にも図示しないフレームが設けられ、図1に示すように、フレームにカバーが取り付けられている。カバーはアクリル等により形成され、ユーザーが、造形ユニット50の外部からその内部を見ることができるようになっている。また、このカバーは、静電気を帯びた粉体が取り付いたりして視認性を妨げないように、静電防止処理が施されている。
【0025】
供給部10は、粉体4(図5参照)を貯留することが可能な供給ボックス11、供給ボックス11内に配置され供給ボックス11に貯留された粉体4を下から押し上げることで、開口部2aを介してプレート2上に粉体4を供給する供給ステージ12、供給ステージ12を供給ボックス11内で昇降させる昇降機構13を有する。昇降機構13として、ボールネジ機構、ベルト機構、ラックアンドピニオン機構、またはシリンダ機構等が用いられる。
【0026】
図1及び2に示すように、この供給部10上には、作業者またはロボットにより粉体が供給されて一時的に貯溜されるタンクシューター15が設けられている。タンクシューター15の底部には、例えば電気的な制御で開閉する図示しないカバーが設けられている。このカバーが開くと、貯溜されている粉体が自重で落下し、供給部10に供給される。
【0027】
粉体4としては、水溶性の材料が用いられ、例えば、食塩、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの無機物が用いられる。塩化ナトリウムとにがり成分(硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなど)が混合されたものが用いられてもよい。すなわち、これは塩化ナトリウムを主成分とするものである。あるいは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸アンモニウム、メタアクリル酸ナトリウムやその共重合体などの有機物を用いることもできる。
【0028】
粉体4の平均粒子径は、典型的には10μm以上100μm以下である。食塩が用いられることにより、例えば金属またはプラスチック等の粉体材料を用いる場合に比べ、粉体材料の抽出や加工等に要するエネルギーが低いので環境に良い。
【0029】
供給部10に隣接して配置された造形部20は、粉体4を貯留することが可能な造形ボックス21、造形ボックス21内に配置され、粉体4が堆積され、形成される造形物を下から支持する造形ステージ22、造形ステージ22を造形ボックス21内で昇降させる昇降機構23を有する。昇降機構23として、ボールネジ機構、ベルト機構、ラックアンドピニオン機構、またはシリンダ機構等が用いられる。
【0030】
図2で見て、造形ボックス21のX方向の長さは10〜30cm、そのY方向の長さは20〜50cmに設定されるが、この範囲に限られない。この造形ボックス21内に収容された粉体が配置される領域が、造形可能領域となる。
【0031】
各ボックス11、12及び31の上部は開口され、それらの開口面は、プレート2の開口部2aにそれぞれ対面するように配置されている。
【0032】
プレート2の開口部2aの供給部10側の端部付近には、供給部10から供給された粉体4を造形部20に搬送するローラ16が配置されている。ローラ16は、各ボックス11、12及び31の配列方向とは水平面内で直交する方向、すなわちX方向に沿って設けられた回転軸17を有する。回転軸17を回転させる図示しないモータも設けられている。プレート2上にはローラ16をY方向に移動させる図示しない機構が設けられている。
【0033】
排出路部材31は、図2に示すように、昇降機構23をよけるために折れるように設けられている。排出路部材31の下部には、回収ボックス34が配置されている。排出路部材31を自重により落下する余剰の粉体が、この回収ボックス34に回収されるようになっている。
【0034】
プレート上には、プリントヘッド41、及びこのプリントヘッド41をX−Y方向に移動させる移動機構26が設けられている。プリントヘッド41は、造形部20において造形ステージ22上の粉体4にインクを吐出することが可能になっている。
【0035】
移動機構26は、開口部2aのX方向での両側でY方向に沿って延設されたガイドレール25、これらのガイドレール25の端部に設けられたY軸駆動機構28、これらのガイドレール25の間に架け渡されたX軸駆動機構27を有する。X軸駆動機構27にプリントヘッド41がX方向に移動可能に接続されている。また、X軸駆動機構27は、ガイドレール25に沿って、Y軸駆動機構28によりY方向に移動可能となっている。X軸駆動機構27及びY軸駆動機構28は、ボールネジ機構、ベルト機構、またはラックアンドピニオン機構等により構成されている。
【0036】
制御ユニット60は、CPU、RAM及びROMを有するコンピュータの機能を備える。また、制御ユニット60は、前面の上部に配置された表示部61、及びその下部に配置された入力操作機器62を有している。入力操作機器62は、典型的にはキーボードにより構成される。表示部61は、タッチパネルによる入力デバイスを有していてもよい。
【0037】
この制御ユニット60にはCT(Computed Tomography)データが入力される。制御ユニット60は、入力されたCTデータに基づいて、造形物を形成するために、造形ユニット50の各部の動き及びそのタイミングを制御する。CTデータは、後述するように、例えば、CTヒストグラムのデータ及びCT画像データのうち少なくとも一方のデータである。
【0038】
図4は、一実施形態に係るプリントヘッド41を示す図であり、下方から見た斜視図である。
【0039】
このプリントヘッド41は、一般的なプリンタ用のプリントヘッド41の構造を備えるものが用いられればよい。例えば、プリントヘッド41のケース44内には、複数のインクタンク45が設けられている。各インクタンク45は、シアン、マゼンダ及びイエローの各色(以下CMYという。)のインクを貯溜するタンク45C、45M及び45Yである。
【0040】
また、ケース44内には、例えば透明インク(第1の液体材料)を貯溜するタンク45Tが設けられている。この透明インクは、バインダーの成分を含む。バインダーは、典型的にはポリビニルアルコールが挙げられるが、これに限られない。
【0041】
上記タンク45C、45M及び45Yに貯溜された各色のインク(第2の液体材料)には、タンク45T内の透明インクに含まれるバインダーの成分は含まれない。各色のインクの材料としては、例えば水性インクが用いられ、市販のインクジェットプリンタ用のインクを用いることも可能である。インクは、粉体4の材料に応じて油性であってもよい。
【0042】
プリントヘッド41の下部には、複数のインクジェットヘッド46が配置されている。これらのインクジェットヘッド46は、図示しないインクの流路を介して上記各インクタンク45にそれぞれ接続されている。インクジェットヘッド46は、ピエゾ型やサーマル型のような公知の機構を利用して、インクを吐出することが可能となっている。インクジェットヘッド46が用いられることにより、高精細な造形物を形成することができる。
【0043】
(造形装置の動作)
図5は、造形装置100の機械的な動作を順に示す図であり、側面から見た模式図である。造形装置100が造形物の形成する前の段階で、造形の対象となる対象物のCTデータが制御ユニット60に入力される。医療分野では、CTの画像データである3次元画像データは、例えばDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)データとして扱われる。造形ユニット50は、CTデータに基づいて、造形物を1層ずつ積層して形成していく。DICOMデータは、カラー化された画像データを含んでいてもよく、この場合、造形装置100は、カラー化された造形物を形成することができる。
【0044】
図5A〜Dでは、後述するように、プリントヘッド41からインクが吐出されることで粉体4が硬化される層が1層分(所定の層厚分)形成される工程が示されている。粉体4及び未硬化の粉体4がドットのハッチングで示され、硬化層が黒塗りで示されている。
【0045】
図5Aに示すように、供給ボックス11には既に上記のタンクシューター15から粉体4が供給されて貯溜さている。造形部20の造形ステージ22には、硬化層及び未硬化の粉体層が積層された状態となっており、この状態から、硬化層を1層形成する工程が開始される。図5Aにおいて、ローラ16及びプリントヘッド41が示されている位置が、ぞれぞれの待機位置とされる。
【0046】
まず、図5Bに示すように、供給部10の供給ステージ12に堆積している粉体4が昇降機構13(図2参照)により押し上げられ、1層分の粉体層よりも少し過剰な量の粉体4が、プレート2の上面2bより高い位置まで供給される。また、造形部20において、昇降機構23により造形ステージ22が降下することで、硬化層及び未硬化の粉体層の上面とプレート2の上面2bとの間に、粉体層(硬化層)の1層分の厚みの間隔が設けられる。
【0047】
図5Bにおいて粉体層の1層分の厚みuは、典型的には、0.1mm〜0.2mm程度であるが、この範囲より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0048】
図5Cに示すように、図5Cにおいてローラ16が反時計回りに回転しつつ、白抜きの矢印の方向に移動することにより、供給部10から供給された粉体4が搬送される。ここで、ローラ16の回転方向は、ローラ16を回転自在にして(ローラ16の回転軸にかかる回転力をフリーにして)白抜きの矢印の方向に移動させたとしたときに、ローラ16と造形部20との摩擦によりローラ16が回転するであろう方向に対して逆の方向である。このようなローラ16の回転により粉体4が搬送されることで、造形部20の硬化層及び未硬化の粉体層の上面に設けられた間隔に粉体4が充填されて、均一に均された粉体層が形成される。
【0049】
図5Dに示すように、ローラ16が造形部20を通過して、過剰な量の粉体4を排出路部材から排出する。そしてローラ16が待機位置まで戻る動作と連動するように、プリントヘッド41が移動機構26の駆動により移動しながら、上記着色された画像を描くようにインクを吐出する。この場合、粉体層に水性インク(カラーインク及び透明インク)が浸透し、インクが吐出された部分の粉体4が互いに接着され、硬化層が形成される。
【0050】
ここで、粉体を硬化させる(固める)ために、プリントヘッド41は、バインダーを含む透明インクを吐出する。つまり、着色されたインク(CMYインク)が吐出された領域と同じ領域に、透明インクが吐出されることにより、着色された粉体の硬化層が形成される。
【0051】
なお、着色しない硬化層を形成する場合、プリントヘッド41は、透明インクのみを造形可能領域に選択的に吐出すればよい。
【0052】
なお、ローラ16が粉体4を搬送し終えて待機位置に戻った後に、プリントヘッド41は移動を開始し、インクの吐出を開始させてもよい。しかし、上記のように、ローラ16の戻り動作の時間帯とヘッドの移動動作の時間帯とが重なることにより、処理時間を短縮することができる。
【0053】
プリントヘッド41が待機位置まで戻ると、図5Aに示す状態に戻り、1層分の着色されたDICOMデータに対応する、硬化物が形成される。造形装置100は、以上のような動作を繰り返すことにより、硬化層が積層されて造形物が形成されていく。
【0054】
造形物が作業者またはロボットにより取り出された後、造形装置100とは別の、図示しない加熱装置により造形物が加熱されることで、さらに硬度の高い造形物を得るようにしてもよい。
【0055】
[本技術に係る造形物の製造方法]
【0056】
近年では、CTスキャン装置や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置の普及に伴い、特定個人の患部の画像を取得し、PC(Personal Computer)の画面上で患部の状態を観察することや、あるいは、整形を行うためのシミュレーションを行うことが一般的になってきている。これらは、手術に際して、手術時間の短縮になることから患者の負担を軽減し、このようなシミュレーションを手術の事前に行うことにより、医者の負担を軽減する等、様々なメリットを有している。さらに、骨等の実物をモデル化したもので、手術前のシミュレーションを行う場合もある。以下では、上記造形装置100を用いて、そういった患者の患部を含む造形物を製造するための製造方法について説明する。
【0057】
(例1)
図6は、造形物の一例として、人間の頭部の一部の造形物を示す図である。図7は、図6におけるA−A線断面図である。この造形物200は、ベース部201と、ベース部201上に形成された硬質部202と、硬質部202を覆うように形成された軟質部203とを有する。ベース部201は、もちろん、造形の対象となる対象物(すなわち人間の頭部)には含まれない部分である。
【0058】
図7に示すように、ベース部201と硬質部202との間には空洞部204が形成されている。つまり、この例に係る造形物200は、人間の頭部を硬質部202(第1の部分)及びそれより柔らかい軟質部203(第3の部分)の2種類の異なる材料で表現されている。硬質部202は、主に骨部を表現し、軟質部203は、主に筋肉、脂肪及び皮膚を表現している。そして、特に、軟質部203は可視光を透過させる透過型の材料、つまり透明な材料で形成されている。
【0059】
図8〜11は、この造形物200の製造方法を説明するための図である。コンピュータ(例えば上記造形装置100の制御ユニット60)は、例えば図8Aに示すCTヒストグラム、及び、このCTヒストグラムのデータに対応するCT画像データを保持している。CT画像データは、公知の方法により生成され、例えばDICOMデータとして作成される。なお、制御ユニット60がCT画像データを生成してもよい。
【0060】
コンピュータは、例えば、図8Aに示すCTヒストグラムにフィルターをかけることで、造形の対象となる対象物の画像を得ることができる。ここで、図12は、人間の組織のCT値を示す表である。すなわちCT値は、水の硬度を基準値0とし、CT値が大きいほど、その組織の硬度が高いことを示している。図8Aのグラフの横軸がCT値であり、縦軸が頻度(量)を示す。
【0061】
このようにフィルタリングされて得られる画像が、造形の対象となる対象物の画像となる。図8Aに示す例では、コンピュータは、所定より大きいCT値(グレーで示す部分であり、例えば硬質部202の一部である骨部に相当する。)を抽出し、図8Bに示すような画像が得られる。そして、造形装置100は、積層造形技術を用いて、このCT画像データに基づいて、硬質部202の一部としての骨部と、後に空洞部204とされる領域(第2の領域)に対応する部分である空洞部形成領域204’(第2の部分)(図10A参照)を形成する。硬質部202は、後述する溶媒に対して非溶性の性質を持ち、軟質部203は、その溶媒に対して可溶性の性質を持つ。
【0062】
図10Aは、その硬質部202’及びこの硬質部202’に囲まれるように形成された空洞部形成領域204’を有する硬化物(ベース部201’を含む)を示す断面図である。造形装置100が硬質部202’を形成するにあたり、少なくとも、バインダーを含む透明インクを、造形可能領域のうちこのベース部201’も含んだ硬質部202’に対応する領域(第1の領域)に供給する。この場合、制御ユニット60は、骨部(空洞部形成領域204’も含む)のCT画像データとベース部201とを貼り合わせたデータに基づいて、透明インクを吐出する。この図10Aに示す硬化物のうち、ベース部201’以外の部分が本体部として機能する。
【0063】
硬質部202’を着色する場合は、造形装置100は、カラーインクもその第1の領域に吐出する。例えば粉体の主成分が食塩である場合、その食塩の色は白であるため、白い骨部を形成するためにはカラー化の必要はなく、その下地の色である白をそのまま利用することができる。
【0064】
なお、造形装置100が図10Aに示す硬化物を形成する場合、ベース部201’から顔の表面側に向けて積層するようにこの硬化物を形成すればよい。あるいは、造形装置100は、ベース部201が垂直に立設するように、頭側から顎側(またはその逆)に向けて積層するようにこの硬化物を形成してもよい。
【0065】
また、造形装置100が空洞部形成領域204’を形成するために、バインダーを含まないカラーインクCMYのうちいずれか少なくとも1つを、造形可能領域のうち、この空洞部形成領域204’に対応する領域(第2の領域)に供給する。例えば、粉体が、上記したポリビニルピロリドン等の接着剤の機能を有する成分を含んでいれば、そのポリビニルピロリドンが、カラーインクに含まれる水分に溶け、粉体がある程度の接着性を保持する(一時的に接着性を保持する)ようになる。これにより、上記透明インクに含まれるバインダーがカラーインクに含まれなくても、粉体を一時的に硬化させることができる。これにより、空洞部形成領域204’が形成される。
【0066】
なお、図8Cは、空洞部204が形成された状態の硬化物を示す図である。
【0067】
次に、図9Aに示すように、コンピュータは、CTヒストグラムのうち軟質部203である肉部(不皮膚部等も含む)を抽出するためのフィルタリングを行い、これにより、図9Bに示す画像を得る。コンピュータは、この画像データを用いて例えばブーリアン演算を行うことで、その軟質部203が反転された成形型の画像を得る。造形装置100は、積層造形技術を用いて、この成形型205の画像データに基づいて、図9C及び図10Bに示すような成形型205を形成する。この場合、成形型205も上記透明インクの供給により形成されればよい。
【0068】
そして図10Cに示すように、このようにして形成された、図10Aに示す硬化物210と、図10Bに示す成形型205とが合わせられ、これらの間に、粉体とは異なる材料(成形材料)203’が供給される。この成形材料203’は典型的には熱硬化性樹脂であり、例えばシリコーン樹脂が用いられる。この成形材料203’が充填された後、例えば、150度の温度、30分程度の時間で加熱処理が行われることで、その樹脂が硬化する。具体的には、成形型205により本体部が覆われるように成形型205の枠部がベース部201に当接した状態で、成形型205に設けられたスプルー205aを介して成形材料203’が、硬化物210と成形型205との間のキャビティに供給される。
【0069】
その結果、硬質部202’の少なくとも一部を覆うように、肉部としての軟質部203(第3の部分)が形成される。この例では軟質部203を形成するので、成形材料203’として、硬化後に得られる硬度が比較的柔らかい材料が用いられるが、造形の対象に応じて成形材料は適宜変更され得る。
【0070】
スプルー205aは、成形型205を積層造形技術により形成する時に同時に形成されてもよい。あるいは、スプルー205aを有しない成形型205が積層造形技術により形成され、その後、積層造形技術以外の加工技術によって、その成形型205にスプルー205aが形成されてもよい。
【0071】
空洞部形成領域204’には、一時的に硬化された粉体が詰まっている。図10Cに示した成形工程においては、この空洞部形成領域204’にある粉体が、この成形材料に対するマスクあるいはスペーサーとして機能する。図10に示す断面図で見ると、骨部(硬質部202’)にはその骨部の内側と外側が連通していないように見える。しかし、人間の頭蓋骨は、図8Bに示すように少なくとも眼球が収められる穴及び鼻腔を形成するための穴を有する。仮に、空洞部形成領域204’に粉体がないと、それらの骨部のそれらの穴を介して成形材料が骨部の内側に浸入することになる。
【0072】
その後、図11に示すように、成形型205により軟質部203が形成された後、離型が行われる。
【0073】
そして、図10Dに示すように、例えばベース部201に1つまたは複数の排出穴201aが開けられ、これらの排出穴201aから溶媒が流し込まれる。その溶媒によって、バインダーが含まれないカラーインクの供給により一時的に硬化した粉体が溶解する。溶解された粉体は、排出穴201aから排出される。これにより、図6に示した造形物200が製造される。
【0074】
溶媒としては、水、エタノールなどが用いられる。溶媒は、これらに限られず、空洞部204を形成するための粉体の一時的な硬化物を解除でき、空洞部204以外の粉体の硬化状態には影響を与えない材料であれば何でもよい。
【0075】
以上、本実施形態に係る製造方法によれば、非溶性の部分に囲まれるように設けられた可溶性の部分を溶媒により溶解させることにより、非溶性の部分に囲まれるように設けられた空洞部204を有する造形物200を形成することができる。これにより、この造形物200の内部に設けられた空洞部204を形成することができ、その内部の構造を正確に再現することができる。
【0076】
また、本実施形態では、図10Aに示す、空洞部形成領域204’を含む硬化物210が、積層造形技術により一度に形成されるので、容易に空洞部204を形成することができ、製造時間の短縮化にも寄与する。また、
【0077】
上述のように医者等のユーザーは、内部の構造が容易に把握できるので、本技術は、手術のシミュレーションや患者への説明等に有用である。
【0078】
(例2)
次に、図13〜17を参照して、他の例に係る造形物の製造方法を説明する。本例2も、上記例1と同様の製造方法である。
【0079】
図13A〜Cは、人間の顎骨にできた腫瘍を含む造形物を形成するためのCT画像を示す図である。コンピュータは、上記のCTヒストグラムを用いて、図13Aに示す人間の顎部302のCT画像、図13Bに示す腫瘍のCT画像、及び図13Cに示すそれらが合成された画像を生成する。
【0080】
図14は、造形装置100の造形可能領域、すなわち造形ボックス21の内部の領域を、Z方向で見た断面図である。この硬化物310は、板状のベース部301’、顎部302、腫瘍部306及び顎部302の内部304’を有する。ベース部301’、顎部302及び腫瘍部306が形成される領域は第1の領域であり、バインダーを含むインクの吐出により、同じ粉体材料が硬化することで形成される。顎部302の内部304’の領域は、後に空洞部304が形成される第2の領域である。この顎部302の内部304’は、バインダーを含まないインクの吐出により、上記ベース部301’、顎部302及び腫瘍部306の材料と同じ粉体材料が一時的に硬化することで、形成される。
【0081】
この場合、例えば顎部302のうち骨部は白、顎部302のうち歯は青、顎部302のうち神経管や血管は赤、腫瘍部306は緑のように、各部に異なる色が着けられる。
【0082】
図15は、上記例1と同様に、造形ボックス21内で形成される、図14に示した硬化物の表面に肉部を形成するための成形型305の硬化物を示す断面図である。このように、積層造形技術により、成形型305が形成される。成形型305の材料も、硬化物310(図14参照)の粉体材料と同じでよい。次に、図16に示すように、図15に示した成形型305を用いて、顎部302を覆うように肉部が形成される。肉部303は、例1と同様に、例えば透明の、樹脂やゴムが用いられる。
【0083】
そして、図17に示すように離型が行われ、ベース部301’に開けられた排出穴301aを介して溶媒が注入される。これにより、顎部302の内部の硬化物が溶解し、排出穴から溶解された硬化物が排出され、空洞部304が形成される。このようにして、図18に示すように、人の顎部302に発生した腫瘍部306等を、医者等のユーザーが造形物300の外側から観ることができる造形物300を形成することができる。
【0084】
本実施形態では、造形物300の内部に設けられた空洞部304を形成することができ、その内部の構造を正確に再現することができる。
【0085】
[その他の実施形態]
【0086】
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が実現される。
【0087】
上記造形装置100は、粉体材料を用いて積層造形を行う装置としての一例であり、装置の構造は、本技術の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0088】
上記実施形態では、プリントヘッド41には、カラーインク用のタンクと、バインダーを含む透明インク用のタンクとが設けられていた。しかし、プリントヘッド41には、バインダーを含まない透明インク用のタンクが設けられ、空洞部204、304を形成する領域には、そのバインダーを含まない透明インクが供給されてもよい。
【0089】
上記実施形態では1つのプリントヘッドが設けられたが、複数のプリントヘッドが設けられていてもよい。その場合、バインダーを含まないカラー用のインクタンクを備えるプリントヘッドと、バインダーを含む透明インク用のインクタンクを備えるプリントヘッドとが設けられてもよい。
【0090】
上記実施形態に係るプリントヘッド41は、複数のインクタンク及び複数のインクジェットヘッドを有した。しかし、プリントヘッドは、複数のインクタンク及び1つのインクジェットヘッドを有していてもよい。
【0091】
上記実施形態では、バインダーを含む透明インクを、溶媒に非溶性の造形部分を形成するための第1の液体材料とし、バインダーを含まないインクを、溶媒に可溶性の造形部分を形成するための第2の液体材料とした。しかし、溶媒に非溶性の部分を形成するための第1の液体材料と、溶媒により溶解され得る可溶性の第2の部分を形成するための第2の液体材料との違いが、少なくもバインダー成分量(成分比率)の違いであってもよい。すなわち、第1の液体材料は、第1の成分比率でバインダーを含み、第2の液体材料は、第1の成分比率より低い第2の成分比率でバインダーを含んでいてもよい。これら第1及び第2の成分比率は、当業者によって、粉体材料及び溶媒材料に応じて、これら粉体材料及び溶媒材料も含めた種々の組み合わせの材料で設定され得る。
【0092】
そのほか、プリントヘッドから吐出される液体材料の組成及び粉体材料の組成に、その実質的な機能を変更しないような、本質でない材料が添加されていてもよい。
【0093】
粉体がバインダー成分を含まず、インクもバインダー成分を含まない場合には、例えば、第2の液体材料として溶媒に可溶性の接着剤を吐出するヘッドが造形装置100に設けられることにより、空洞部204を形成する領域の粉体を硬化させることができる。すなわち、このヘッドは、硬化層を一時的に形成するための接着剤を吐出可能である。
【0094】
上記実施形態の例1、2では、骨部(及び空洞部204、304を形成するための部分)が積層造形技術により形成され、肉部が成形型205、305により形成された。しかし、骨部及び肉部の両方が積層造形技術により形成されてもよい。
【0095】
上記例1、2に係る造形物は、医療分野で使用される造形物を例に挙げたが、本技術は、工業分野で使用される、機械、装置、部品等を造形の対象とした造形物にも適用され得る。
【0096】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0097】
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)積層造形技術を用いて、粉体材料が配置される造形可能領域のうち、第1の液体材料を第1の領域に供給し、前記第1の領域の前記粉体材料を硬化させることで、溶媒により溶解されない非溶性の第1の部分を形成し、
積層造形技術を用いて、前記造形可能領域のうち、前記第1の液体材料とは異なる、第2の液体材料を、前記第1の領域に囲まれるように設けられた第2の領域の前記粉体材料に供給し、前記第2の領域の前記粉体材料を硬化させることで、前記溶媒により溶解され得る可溶性の第2の部分を形成し、
前記第2の部分を前記溶媒により溶解させる
造形物の製造方法。
(2)(1)に記載の造形物の製造方法であって、
前記第2の部分を前記溶媒により溶解させる前に、さらに、
造形の対象となる対象物の3次元画像データに基づき、前記造形物のうち前記第1及び前記第2の部分とは異なる第3の部分を形成するための成形型を形成し、
前記成形型と、前記形成された、前記第1の部分及び前記第2の部分を含む硬化物との間に、前記粉体材料とは異なる材料を供給し、これを硬化させることで、少なくとも前記第1の部分の一部を覆う前記第3の部分を形成する
造形物の製造方法。
(3)(2)に記載の造形物の製造方法であって、
前記第3の部分を形成するための材料は、可視光の透過型の材料である
造形物の製造方法。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の造形物の製造方法であって、
前記第1の部分は、前記造形の対象となる対象物には含まれない部分に対応するベース部と、前記ベース部上に形成される、前記対象物に含まれる部分に対応する本体部とを有し、
前記第3の部分を形成する工程では、前記成形型により前記本体部が覆われるように前記成形型が前記ベース部に当接した状態で、前記第3の部分を形成する材料を供給する
造形物の製造方法。
(5)(2)から(4)のうちいずれか1つに記載の造形物の製造方法であって、
前記第3の部分が前記第1の部分より柔らかくなるように前記造形物が形成される
造形物の製造方法。
(6)(1)から(5)のうちいずれか1つに記載の造形物の製造方法であって、
前記第1の液体材料は、バインダーを含む液体材料であり、
前記第2の液体材料は、前記バインダーを含まない液体材料である
造形物の製造方法。
(7)(1)から(6)のうちいずれか1つに記載の造形物の製造方法であって、
積層造形技術において、インクジェットヘッドにより前記第1及び前記第2の液体材料を吐出させる
造形物の製造方法。
(8) 積層造形技術を用いて、粉体材料が配置される造形可能領域のうち、第1の液体材料を第1の領域に供給し、前記第1の領域の前記粉体材料を硬化させることで、溶媒により溶解されない非溶性の第1の部分を形成し、
積層造形技術を用いて、前記造形可能領域のうち、前記第1の液体材料とは異なる、第2の液体材料を、前記第1の領域に囲まれるように設けられた第2の領域の前記粉体材料に供給し、前記第2の領域の前記粉体材料を硬化させることで、前記溶媒により溶解され得る可溶性の第2の部分を形成し、
前記第2の部分を前記溶媒により溶解させる
製造方法により製造された造形物。
【符号の説明】
【0098】
21…造形ボックス
22…造形ステージ
46…インクジェットヘッド
60…制御ユニット
100…造形装置、
200、300…造形物
201、301…ベース部
202、302…硬質部
203…軟質部
204…空洞部
204’、304’…空洞部形成領域
205、305…成形型
210、310…硬化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形技術を用いて、粉体材料が配置される造形可能領域のうち、第1の液体材料を第1の領域に供給し、前記第1の領域の前記粉体材料を硬化させることで、溶媒により溶解されない非溶性の第1の部分を形成し、
積層造形技術を用いて、前記造形可能領域のうち、前記第1の液体材料とは異なる、第2の液体材料を、前記第1の領域に囲まれるように設けられた第2の領域の前記粉体材料に供給し、前記第2の領域の前記粉体材料を硬化させることで、前記溶媒により溶解され得る可溶性の第2の部分を形成し、
前記第2の部分を前記溶媒により溶解させる
造形物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の造形物の製造方法であって、
前記第2の部分を前記溶媒により溶解させる前に、さらに、
造形の対象となる対象物の3次元画像データに基づき、前記造形物のうち前記第1及び前記第2の部分とは異なる第3の部分を形成するための成形型を形成し、
前記成形型と、前記形成された、前記第1の部分及び前記第2の部分を含む硬化物との間に、前記粉体材料とは異なる材料を供給し、これを硬化させることで、少なくとも前記第1の部分の一部を覆う前記第3の部分を形成する
造形物の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の造形物の製造方法であって、
前記第3の部分を形成するための材料は、可視光の透過型の材料である
造形物の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の造形物の製造方法であって、
前記第1の部分は、前記造形の対象となる対象物には含まれない部分に対応するベース部と、前記ベース部上に形成される、前記対象物に含まれる部分に対応する本体部とを有し、
前記第3の部分を形成する工程では、前記成形型により前記本体部が覆われるように前記成形型が前記ベース部に当接した状態で、前記第3の部分を形成する材料を供給する
造形物の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の造形物の製造方法であって、
前記第3の部分が前記第1の部分より柔らかくなるように前記造形物が形成される
造形物の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の造形物の製造方法であって、
前記第1の液体材料は、バインダーを含む液体材料であり、
前記第2の液体材料は、前記バインダーを含まない液体材料である
造形物の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の造形物の製造方法であって、
積層造形技術において、インクジェットヘッドにより前記第1及び前記第2の液体材料を吐出させる
造形物の製造方法。
【請求項8】
積層造形技術を用いて、粉体材料が配置される造形可能領域のうち、第1の液体材料を第1の領域に供給し、前記第1の領域の前記粉体材料を硬化させることで、溶媒により溶解されない非溶性の第1の部分を形成し、
積層造形技術を用いて、前記造形可能領域のうち、前記第1の液体材料とは異なる、第2の液体材料を、前記第1の領域に囲まれるように設けられた第2の領域の前記粉体材料に供給し、前記第2の領域の前記粉体材料を硬化させることで、前記溶媒により溶解され得る可溶性の第2の部分を形成し、
前記第2の部分を前記溶媒により溶解させる
製造方法により製造された造形物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図18】
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