説明

造粒方法及び造粒装置

【課題】 処理精度及び処理効率の向上を図ると共に、装置の小型化を図れるようにすることにある。
【解決手段】 傾斜する造粒皿に造粒原料と添加液とを連続して供給し、造粒皿を回転して造粒するに当って、截頭円錐状の造粒皿10の内周面に突設された環状仕切壁11によって底部側の成長域12と開口部側の形成域13とに区画しておき、成長域内に造粒原料を供給して造粒物Aを生成し、成長域で生成された造粒物を、造粒物搬送手段50によって所定の粒径の形成粒とそれ以外の粒径に選別する分級手段である筒状篩40に供給して、形成粒を形成域に取り出し、所定の粒径以下の粒径の造粒物を成長域内に循環させ、成長域で生成された造粒物を、再度筒状篩40に供給して造粒物を形成域に取り出すことを繰り返し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微粉末の造粒物を生成する造粒方法及び造粒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、微粉末の造粒物を生成する方法(装置)として、傾斜する有底筒状の造粒皿に造粒原料と添加液とを連続して供給し、造粒皿を回転して造粒する造粒方法(装置)が知られている。この造粒方法(装置)によれば、傾斜する造粒皿に粉状の造粒原料と例えば水又は水に凝集剤や結合材を添加した添加液とを供給し、造粒皿の回転に伴う遠心力で持ち上げられ、その自重によって下方への落下により造粒すると共に、所定の粒径の造粒物に成長させ、成長された形成粒をオーバーフローにより排出することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−174859公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特開平10−174859公報に記載の技術においては、1回の処理によって造粒皿から排出される造粒物中には、所定粒径の形成粒(製品粒)以外に粒径の小さい細粒,粉末や、所定粒径より粒径の大きい粗粒が混在する虞がある。そのため、造粒皿から排出される造粒物を分級して、製品粒と細粒,粉末と粗粒の3種類に分離し、細粒,粉末は、排出後に、コンベアあるいは空気輸送管等の造粒装置とは別の動力を用いた装置によって輸送された後、再度造粒を行って製品粒になるように再処理されている。また、粗粒は、コンベア等の造粒装置とは別の動力を用いた装置によって輸送された後、前工程の乾燥・解砕工程へ戻されて再処理されている。
【0004】
したがって、従来のこの種の造粒方法(装置)においては、造粒の排出直後の分級装置が必要な上、細粒,粉末及び粗粒共に再処理のために輸送等の余分なエネルギーが必要となり、処理効率の低下及び装置の大型化を招くという問題があった。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、処理精度及び処理効率の向上を図ると共に、装置の小型化を図れるようにした造粒方法及び造粒装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明は、以下のように構成したものである。
【0007】
請求項1記載の発明に係る造粒方法は、傾斜する造粒皿に造粒原料と添加液とを連続して供給し、上記造粒皿を回転して造粒する造粒方法であって、 上記造粒皿の内周面に突設された環状仕切壁にて底部側の成長域と開口部側の形成域とに区画しておき、上記成長域内に上記造粒原料を供給して造粒物を生成し、成長域で生成された造粒物を、所定の粒径の形成粒とそれ以外の粒径に選別する分級手段に供給して、形成粒を上記形成域に取り出し、所定の粒径以下の粒径の造粒物を上記成長域内に循環させて造粒物を生成し、成長域で生成された造粒物を、再度上記分級手段に供給して造粒物を形成域に取り出すことを繰り返して行う、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の造粒方法において、 上記成長域内の造粒原料に添加液を供給して造粒原料同士を接着させて造粒物を生成し、上記形成域内の造粒物に添加液を供給して造粒物への付着液分による補強を行う、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明に係る造粒装置は、請求項1記載の発明に係る造粒方法を具現化するもので、 傾斜する造粒皿に造粒原料と添加液とを連続して供給し、上記造粒皿を回転して造粒する造粒装置であって、 内周面に突設された環状仕切壁によって区画される底部側の成長域と開口部側の形成域を有する造粒皿と、 上記形成域と成長域に跨って配設され、所定の粒径の形成粒とそれ以外の粒径に選別すると共に、形成粒を上記形成域に取り出し、形成粒の粒径以下の粒径の造粒物を上記成長域に戻す分級手段と、 上記造粒皿の回転に伴って上記成長域内で生成された造粒物を成長域から取り出して上記分級手段に供給する造粒物搬送手段と、を具備する、ことを特徴とする。この場合、上記造粒皿の形状は任意の形状であってもよく、例えば有底円筒状、円錐状あるいは截頭円錐状のいずれであってもよいが、好ましくは截頭円錐状に形成する方がよい。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明に係る造粒方法を具現化するもので、 請求項4記載の造粒装置において、 上記成長域内の造粒原料に添加液を供給する第1の液供給手段と、上記形成域内の造粒物に添加液を供給する第2の液供給手段とを更に具備する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、 請求項4又は5記載の造粒装置において、 上記分級手段を、成長域部が形成粒径より若干小径の多数の選別孔を有し、形成域部が形成粒径と同じ孔径の多数の形成孔を有する筒状篩にて形成し、 上記筒状篩を、該筒状篩の軸方向を外側に向かって下り勾配にすると共に、軸を中心として回転可能に形成し、該筒状篩によって分級された所定粒径以上の造粒物を筒状篩内を介して外部に排出可能に形成してなることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、上記造粒物搬送手段は、造粒皿の環状仕切壁に装着され、造粒皿の回転に伴って成長域内で生成された造粒物を掬い取って上記筒状篩の成長域側に落下させる搬送部材と、該搬送部材から落下された造粒物を受け止めて上記筒状篩内に案内する案内シュートと、を具備することを特徴とする。
【0013】
この発明において、上記造粒原料は微粉末であれば任意のものでよく、例えばアルミナ粉末を適用することができる(請求項3,8)。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
【0015】
(1)請求項1,4記載の発明によれば、傾斜する造粒皿内において形成域と区画された成長域内に造粒原料を供給し、成長域で生成された造粒物を、造粒物搬送手段によって所定の粒径の成長粒とそれ以外の粒径に選別する分級手段に供給して形成粒を形成域に取り出し、所定の粒径以下の粒径の造粒物を成長域内に循環させて造粒物を生成し、成長域で生成された造粒物を、再度造粒物搬送手段によって分級手段に供給して造粒物を形成域に取り出すことを繰り返し行うことにより、処理精度の高い所定の粒径の造粒物(製品粒)を造粒することができる。また、造粒皿内において、所定の粒径の造粒物(製品粒)を造粒することができるので、造粒の処理精度及び処理効率の向上が図れると共に、装置の小型化が図れる。
【0016】
(2)請求項2,5記載の発明によれば、造粒皿内に区画された成長域内の造粒原料に添加液を供給して造粒原料同士を接着させて造粒物を生成し、また、形成域内の造粒物に添加液を供給して造粒物への付着液分による補強を行うことにより、上記(1)に加えて、更に処理精度及び処理効率の向上を図ることができる。
【0017】
(3)請求項6記載の発明によれば、分級手段を、成長域部が形成粒径より若干小径の多数の選別孔を有し、形成域部が形成粒径と同じ孔径の多数の形成孔を有する筒状篩にて形成し、筒状篩を外側に向かって下り勾配に配設すると共に、軸を中心にして回転し、該筒状篩によって分級された所定粒径以上の造粒物を筒状篩内を介して外部に排出することにより、筒状篩内に供給された造粒物を分散させつつ筒状篩内を移動して形成粒とそれ以外の造粒物とに分級することができる。したがって、上記(1),(2)に加えて、更に処理精度及び処理効率の向上を図ることができる。
【0018】
(4)請求項7記載の発明によれば、造粒物搬送手段は、造粒皿の環状仕切壁に装着され、造粒皿の回転に伴って成長域内で生成された造粒物を掬い取って筒状篩の成長域側に落下させる搬送部材と、該搬送部材から落下された造粒物を受け止めて筒状篩内に案内する案内シュートとを具備することにより、搬送部材が造粒皿の回転に伴って回動して成長域内に生成された造粒物を掬い取って、掬い取った造粒物を、案内シュートを介して分級手段に確実に供給することができる。したがって、上記(1)〜(3)に加えて、更に処理精度及び処理効率の向上を図ることができる。
【0019】
(5)請求項3,8記載の発明によれば、アルミナ粉末から均一粒径のアルミナを連続的に造粒することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明に係る造粒装置の一例を示す概略断面図である。ここでは、アルミナの造粒装置について説明する。
【0022】
上記造粒装置は、鉛直方向に対して傾斜して配設され、内周面に突設された環状仕切壁11によって区画される底部側の成長域12と開口部側の形成域13を有する回転可能な造粒皿10と、造粒皿10の成長域12内に造粒原料であるアルミナ粉末を供給する原料供給ノズル20と、成長域12と形成域13内にそれぞれ添加液(例えば水)を供給する第1及び第2の液供給手段31,32(以下に、第1,第2の噴霧ノズル31,32という)と、形成域13と成長域12に跨って配設され、所定の粒径の形成粒とそれ以外の粒径に選別すると共に、形成粒を形成域13に取り出し、形成粒の粒径以下の粒径の造粒物を成長域12に戻す分級手段である筒状篩40と、造粒皿10内に配設され、成長域12内で生成された造粒物Aを成長域12から取り出して筒状篩40に供給する造粒物搬送手段50とで主に構成されている。
【0023】
上記造粒皿10は、截頭円錐状に形成されており、モータ7によって回転可能に設けられている。この場合、図4及び図5に示すように、架台1上に取付部材2を介して回転方向の変換可能な回転伝達部3が載置されており、この回転伝達部3の出力側に、造粒皿10の底部に突設される回転軸14が連結されている。また、回転伝達部3の入力側には従動プーリ4が装着され、この従動プーリ4と、架台に載置されたモータ7の駆動軸7aに装着された駆動プーリ5とに伝達ベルト6が掛け渡されて、モータ7からの駆動が回転伝達部3によって回転方向が変換されて回転軸14及び造粒皿10に伝達されるようになっている。
【0024】
上記原料供給ノズル20は、図1に示すように、開閉バルブV1を介設する供給管路22を介して原料収容タンク21に接続されている。
【0025】
上記第1及び第2の噴霧ノズル31,32は、圧送用気体である空気によって添加液を成長域12内の造粒物A、又は形成域13内の造粒物Aに向かって噴霧する例えば2流体ノズルによって形成されている。この場合、第1及び第2の噴霧ノズル31,32は、例えば、図2に示すように、ノズル孔33に連通する空気供給路34の途中に添加液供給路35が連通されており、空気供給路34に開閉バルブV2を介設した空気供給管路36を介して空気供給源37が接続され、添加液供給路35に開閉バルブV3を介設した添加液供給管路38を介して添加液供給源39が接続されている。
【0026】
上記のように構成される第1の噴霧ノズル31によれば、回転する造粒皿10の成長域12内に供給された造粒原料であるアルミナ粉末に添加液を噴霧状に供給することにより、アルミナ粉末同士を接着させて造粒物Aを生成することができる。また、第2の噴霧ノズル32によれば、形成域13内の造粒物Aに添加液を噴霧状に供給することにより、造粒物Aへの付着液分による補強を行うことができる。
【0027】
なお、上記説明では、第1及び第2の噴霧ノズル31,32が2流体ノズルにて形成される場合について説明したが、第1及び第2の噴霧ノズル31,32は必ずしも2流体ノズルである必要はなく、1流体ノズルであってもよい。また、噴霧ノズル31,32に代えて、添加液を供給する液供給手段を用いてもよい。
【0028】
上記筒状篩40は、成長域部が形成粒径より若干小径の多数の選別孔42を有し、形成域部が形成粒径と同じ孔径の多数の形成孔43を有する円筒状の篩体41にて形成されており、筒状篩40によって分級された所定粒径以上の造粒物(粗粒)を筒状篩40内を介して外部に排出可能に形成されている。また、筒状篩40は、該筒状篩40の軸方向を外側に向かって下り勾配に配設されると共に、軸を中心として回転可能に形成されている。この場合、図6に示すように、篩体41の外方側端部に環状部材44が装着され、この環状部材44の周方向に適宜間隔をおいて突設される複数の連結部材45を介して円板46が連結されており、連結部材45間に形成される開口部47から所定粒径以上の造粒物(粗粒)が外部に排出されるようになっている。また、円板46の中心部に篩用回転軸48が突設されており、この篩用回転軸48に装着される従動プーリ8aと、装置内の固定部(図示せず)に設置される筒状篩回転用モータ7Aの駆動軸7bに装着される駆動プーリ8bに伝達ベルト9が掛け渡されている。
【0029】
なお、筒状篩40は、造粒皿10の回転方向と同じ方向に回転されるように構成されている。このように、筒状篩40の回転方向を、造粒皿10の回転方向と同じ方向にすることにより、筒状篩40の回転に伴って分級(選別)されて形成域13内に落下する造粒物A(形成粒)が筒状篩40の回転に伴って落下するため、同方向に回転する造粒皿10の形成域内の造粒物に衝突して舞上がるのを抑制することができ、外部への飛散を防止することができる。
【0030】
一方、上記造粒物搬送手段50は、造粒皿10の環状仕切壁11に装着され、造粒皿10の回転に伴って成長域内で生成された造粒物Aを掬い取って筒状篩40の成長域側に落下させる搬送部材51と、該搬送部材51から落下された造粒物Aを受け止めて筒状篩40内に案内する案内シュート52とで主に構成されている。
【0031】
この場合、搬送部材51は、図3に示すように、対向する略矩形状の側片53,54と、両側片53,54の一端同士を連結する略矩形状の傾斜連結片55とからなる略コ字状のピース部材によって形成されている。この場合、側片53,54のうちの一方の側片53は、他方の側片54より長く形成されており、接着手段例えば磁石又は両面接着テープ等によって環状仕切壁11の成長域側面に接着されている。また、他方の側片54の先端には、側片53側に向かって略直角状に折曲する折曲片56が形成されている。なお、搬送部材51は、環状仕切壁11に適宜間隔をおいて複数例えば3個取り付けられている。
【0032】
このように構成される搬送部材51は、造粒皿10の回転方向に開口するように側片53が接着されて、造粒皿10の回転に伴って成長域12内に生成された造粒物Aを掬い、掬い取った造粒物Aを上方部位から筒状篩40の成長域側に落下させることができるようになっている。この場合、搬送部材51の材質は任意でよいが、造粒材料や添加液の影響を受けない材料を選定する必要がある。例えば、酸性液を噴霧する場合には、耐酸性を有する材料を使用する必要がある。
【0033】
また、案内シュート52は、上方に向かって拡開するホッパ57と、このホッパ57の下端に連通する垂下ダクト58と、垂下ダクト58の下端に屈曲状に連通して筒状篩40の先端開口部内に挿入配置される供給ダクト59とで構成されている。
【0034】
上記のように、搬送部材51と案内シュート52とで造粒物搬送手段50を構成することにより、造粒皿10の回転に伴って成長域12内に造粒された造粒物Aを搬送部材51によって掬い取って上方に移動し、上方位置で搬送部材51が反転して掬い取った造粒物Aを案内シュート52のホッパ57内に落下させ、垂下ダクト58及び供給ダクト59を介して筒状篩40内に確実に供給することができる。
【0035】
次に、この発明に係る造粒方法の手順について説明する。まず、開閉バルブV1を開放して原料収容タンク21内に収容されている造粒原料を、原料供給ノズル20を介して回転する造粒皿10の成長域12内に供給する。成長域12内に供給された造粒原料は、造粒皿10の回転に伴う遠心力で持ち上げられ、その自重によって下方への落下により造粒すると共に、第1の噴霧ノズル31から供給される添加液によって互いに接着して所定の粒径の造粒物Aに成長する。このとき、造粒皿10が截頭円錐状に形成されているので、造粒皿10の回転に伴う遠心力によって造粒原料は環状仕切壁11側に円滑に移動することができる。
【0036】
成長域12内で所定の粒径に成長された造粒物Aは、造粒皿10の回転と共に回動する搬送部材51によって掬い取られた後、造粒皿10内における上方位置から案内シュート52のホッパ57内に落下し、垂下ダクト58及び供給ダクト59を介して筒状篩40内に供給される。
【0037】
このとき、筒状篩40は外方に向かって下り勾配に傾斜し、かつ、回転しているので、筒状篩40内に供給された造粒物Aは、周方向に分散されつつ筒状篩40の内方側の一端から外方側の他端に向かって略螺旋状に移動し、この移動過程において、まず、形成粒径より小径の造粒物Aは選別孔42を通過して成長域12内に戻され、次に形成粒径と同じ孔径の造粒物Aは形成孔43を通過して形成域13内に取り出される。形成域13内に取り出された造粒物Aには第2の噴霧ノズル32から添加液が供給されるので、造粒物Aは付着液分によって補強される。なお、形成粒径以上の造粒物A(粗粒)は筒状篩40内を通って筒状篩40の外側端部の開口部47を介して外部に排出される。
【0038】
造粒皿10及び筒状篩40を連続して回転することにより、上記の工程が連続して行われるので、成長域12内に戻された所定粒径以下の造粒物は再度成長されて、搬送部材51によって掬い取られて、上記と同様に案内シュート52を介して筒状篩40内に供給され、筒状篩40によって分級(選別)される。以後、同様に所定粒径以下の造粒物を循環させて所定粒径の造粒物A(形成粒)を生成する。形成域13内に取り出された造粒物A(形成粒)は、形成粒収容タンク70に収容されて、造粒装置から搬出される。
【0039】
なお、筒状篩40内から外部に排出された所定粒径以上の造粒物(粗粒)は、粗粒収容タンク71内に収容されて、再度、解砕装置によって粉砕された後、原料収容タンク21内に収容されて、再度、造粒装置によって造粒される。
【0040】
なお、上記実施形態では、この発明に係る造粒装置(方法)をアルミナの造粒に適用した場合について説明したが、アルミナ以外の粒体の造粒にも適用可能である。
【実施例】
【0041】
次に、この発明に係る造粒装置(方法)を用いた造粒物の製造実験について説明する。
【0042】
<実験条件>
・原料:ローソーダアルミナ(LS−110){日本軽金属(株)製}、
粒径;1.37μm、比表面積;2.0m/g
・試験設備
a)実施例:造粒皿サイズ;900mmφ外、435mmφ内×400mmH、
ベーンフィーダ、
回転円筒篩;目開きが2.0mmと3.0mmの2種類の篩網を使用
b)比較例:造粒皿サイズ;900mmφ外、435mmφ内×400mmH、
環状仕切壁及び回転円筒篩なし、
ベーンフィーダ
・運転条件
a)実施例:連続原料投入量;10〜15kg/h、
水供給量;0.5〜3kg/h・ノズル×2、
造粒皿回転数;15〜20rpm、造粒皿傾斜角度;53°
b)比較例:連続原料投入量;10〜15kg/h、
水供給量;0.5〜3kg/h・ノズル×1、
造粒皿回転数;15〜20rpm、造粒皿傾斜角度;53°
上記条件の下で実験を行ったところ、表1に示すような結果が得られた。
【表1】

【0043】
上記実験の結果、実施例では、粒度が3.00mmφより大きい造粒物の収率は1%であり、ほとんど無視し得る造粒皿内剥離スケールの範囲であった。また、粒度が2.36〜3.00mmφの造粒物の収率は、7%であり、粒度が2.00〜2.36mmφの造粒物の収率は50%、粒度が1.70〜2.00mmφの造粒物の収率は41%、粒度が1.40〜1.70mmφの造粒物の収率は1%であった。なお、粒度が1.40mmφより小さい造粒物の収率は0であった。実施例では、平均粒径が約2mmφのシャープな粒度分布を有する造粒物を得ることができた。
【0044】
これに対し、比較例では、粒度が3.00mmφより大きい造粒物の収率は、5%であり、粒度が2.36〜3.00mmφの造粒物の収率は6%、粒度が2.00〜2.36mmφの造粒物の収率は5%、粒度が1.70〜2.00mmφの造粒物の収率は36%、粒度が1.40〜1.70mmφの造粒物の収率は23%、粒度が1.00〜1.40mmφの造粒物の収率は11%であった。なお、粒度が1.00mmφより小さい造粒物の収率は15%であった。比較例では、粒径が1.00mmφよりも小さいものから3.00mmφよりも大きいものまでを含むブロードな粒径分布を有する造粒物となってしまい、実施例のようなほぼ均一な粒径を有する造粒物を得ることは難しい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に係る造粒装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】この発明に係る造粒装置の噴霧ノズルの一例を示す概略断面図である。
【図3】この発明における搬送部材を示す斜視図である。
【図4】この発明における造粒皿の一部を断面で示す造粒装置の側面図である。
【図5】上記造粒皿の要部を断面で示す造粒装置の正面図である。
【図6】この発明における筒状篩の一部を断面で示す側面図である。
【符号の説明】
【0046】
A 造粒物
7 造粒皿回転用モータ
7A 筒状篩回転用モータ
10 造粒皿
11 環状仕切壁
12 成長域
13 形成域
20 原料供給ノズル
31 第1の噴霧ノズル(第1の液供給手段)
32 第2の噴霧ノズル(第2の液供給手段)
40 筒状篩(分級手段)
42 選別孔
43 形成孔
50 造粒物搬送手段
51 搬送部材
52 案内シュート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜する造粒皿に造粒原料と添加液とを連続して供給し、上記造粒皿を回転して造粒する造粒方法であって、
上記造粒皿の内周面に突設された環状仕切壁にて底部側の成長域と開口部側の形成域とに区画しておき、上記成長域内に上記造粒原料を供給して造粒物を生成し、成長域で生成された造粒物を、所定の粒径の形成粒とそれ以外の粒径に選別する分級手段に供給して、形成粒を上記形成域に取り出し、所定の粒径以下の粒径の造粒物を上記成長域内に循環させて造粒物を生成し、成長域で生成された造粒物を、再度上記分級手段に供給して造粒物を形成域に取り出すことを繰り返して行う、ことを特徴とする造粒方法。
【請求項2】
請求項1記載の造粒方法において、
上記成長域内の造粒原料に添加液を供給して造粒原料同士を接着させて造粒物を生成し、上記形成域内の造粒物に添加液を供給して造粒物への付着液分による補強を行う、ことを特徴とする造粒方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の造粒方法において、
上記造粒原料がアルミナ粉末であることを特徴とする造粒方法。
【請求項4】
傾斜する造粒皿に造粒原料と添加液とを連続して供給し、上記造粒皿を回転して造粒する造粒装置であって、
内周面に突設された環状仕切壁によって区画される底部側の成長域と開口部側の形成域を有する造粒皿と、
上記形成域と成長域に跨って配設され、所定の粒径の形成粒とそれ以外の粒径に選別すると共に、形成粒を上記形成域に取り出し、形成粒の粒径以下の粒径の造粒物を上記成長域に戻す分級手段と、
上記造粒皿の回転に伴って上記成長域内で生成された造粒物を成長域から取り出して上記分級手段に供給する造粒物搬送手段と、を具備する、ことを特徴とする造粒装置。
【請求項5】
請求項4記載の造粒装置において、
上記成長域内の造粒原料に添加液を供給する第1の液供給手段と、上記形成域内の造粒物に添加液を供給する第2の液供給手段とを更に具備する、ことを特徴とする造粒装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の造粒装置において、
上記分級手段を、成長域部が形成粒径より若干小径の多数の選別孔を有し、形成域部が形成粒径と同じ孔径の多数の形成孔を有する筒状篩にて形成し、
上記筒状篩を、該筒状篩の軸方向を外側に向かって下り勾配にすると共に、軸を中心として回転可能に形成し、該筒状篩によって分級された所定粒径以上の造粒物を筒状篩内を介して外部に排出可能に形成してなる、ことを特徴とする造粒装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の造粒装置において、
上記造粒物搬送手段は、造粒皿の環状仕切壁に装着され、造粒皿の回転に伴って成長域内で生成された造粒物を掬い取って上記筒状篩の成長域側に落下させる搬送部材と、該搬送部材から落下された造粒物を受け止めて上記筒状篩内に案内する案内シュートと、を具備する、ことを特徴とする造粒装置。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれかに記載の造粒装置において、
上記造粒原料がアルミナ粉末であることを特徴とする造粒装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−198567(P2006−198567A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14996(P2005−14996)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】