説明

連結式クッキー型

【課題】抜き取る所定の形状の数だけクッキー型を準備するよりも、少ない量のクッキー型で対応が可能である連結式クッキー型を提供する。
【解決手段】このクッキー型は、複数の部分型3と、各部分型3を連結して組合せ全体型5を完成させるための連結手段11と、を有する。連結手段11は、クッキー生地に押圧される部分型3の縁部7に形成されクッキー生地が連続するための窓13と、2つの前記窓同士が接して連通した状態で連結を行なう機構15と、を有する。この機構15は、一方の前記窓13の外側に設けられる雄部25と、他方の前記窓13の外側に設けられる雌部27と、を有して構成される。雄部25は、前記一方の窓13の外側で、部分型3の外側面部に接した状態で固定される一枚の第1板材29からなり、雌部27は、他方の窓13の外側で、第1板材29の左右端部を保持する一対のL字状断面を有する第2板材31からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クッキー生地から一部を所定の形に抜き取るための閉じた形状を有するクッキー型の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の上記クッキー型は、抜き取る所定の形状の数が多くなっても、その数と同じ数のクッキー型が必要となる。
下記特許文献1には、抜き取る所定の形状を複数種類用いて組み合わせて、一つの大きな組合せクッキーを作ることが提案されている。
下記特許文献2には、抜き取った所定の形状を複数種類用いて組み合わせて、立体的な一つの大きな組合せクッキーを作ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録3033451
【特許文献2】特開2008-079571
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2の場合でも、抜き取る所定の形状の数と同じ数だけクッキー型が必要となることは同じである。
また、抜き取る形状を目新しいものにしようとすると、新しいクッキー型が必要になってしまう。そして、古くて、あまり使用しなくなったクッキー型は、保管場所を広く必要としてしまう。
この発明は、以上の問題点を解決するために、抜き取る所定の形状の数だけクッキー型を準備するよりも、少ない量のクッキー型で対応が可能で、新しいクッキー型がなくても、抜き取る形状を目新しいものにでき、保管場所をあまり必要としてしない連結式クッキー型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、第一発明は、クッキー生地から一部を所定の形に抜き取るための閉じた形状を有するクッキー型において、複数の部分型と、各部分型を連結して組合せ全体型を完成させるための連結手段と、を有し、前記連結手段は、クッキー生地に押圧される部分型の縁部に形成されクッキー生地が連続するための窓と、2つの前記窓同士が接して連通した状態で連結を行なう機構と、を有し、この機構は、一方の前記窓の外側に設けられる雄部と、他方の前記窓の外側に設けられる雌部と、を有して構成されることを特徴とする連結式クッキー型である。
【0006】
第二発明は、さらに、雄部は、前記一方の窓の外側で、前記部分型の外側面部に接した状態で固定される一枚の第1板材からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記第1板材の左右端部を保持する一対のL字状断面を有する第2板材からなることを特徴とする連結式クッキー型である。
【0007】
第三発明は、さらに、雄部は、前記一方の窓の外側で、この窓の左右縁に、前記部分型の外側面部に接した状態で固定される一対の第1板対材からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記第1板対材の左または右の外側端部を保持する一対のL字状断面を有する第2板材からなることを特徴とする連結式クッキー型である。
【0008】
第四発明は、さらに、前記雄部は、前記一方の窓の外側で、この窓の左右縁に沿って、一端が片持ち状に固定される一対の棒材からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記棒材を挿入して保持する一対の筒状部材からなることを特徴とする連結式クッキー型である。
【0009】
第五発明は、さらに、前記雄部は、前記一方の窓の外側で、この窓の左右縁に沿って一体的に形成され、外側へ突出する一対の板状凸部からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記板状凸部を挿入して保持する、対で設けられるスリットからなることを特徴とする連結式クッキー型である。
【発明の効果】
【0010】
第一、第二、第三、第四、又は第五発明によれば、複数の部分型を、連結手段により連結して組合せ全体型を完成させるので、抜き取る所定の形状の数は、完成される全体型の種類の数により決まる。そして全体型の種類の数は、全部を常に用意する必要はなく、結果として、少ない量のクッキー型で対応が可能である。
【0011】
また、新しいクッキー型がなくても、部分型の組合せを変えることで、抜き取る形状を目新しいものにできる。
さらに、全体型の種類の数に比べて、部分型の量を小さくでき、保管場所をあまり必要としてしない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の第一実施形態を示すもので、(A)は完成型の全体図、(B)は(A)の連結手段の機構を構成する雌部の斜視図、(C)は(B)に対する雄部の斜視図、(D)は(A)によって抜き取られるクッキー生地の形状の斜視図である。
【図2】第二実施形態を示すもので、(A)は完成型の全体図、(B)は(A)の連結手段の機構を構成する雌部の斜視図、(C)は(B)に対する雄部の斜視図である。
【図3】(B’)は第三実施形態を示す連結手段の機構を構成する雌部の斜視図、(C’)は(B’)に対する雄部の斜視図、(B”)は第四実施形態を示す連結手段の機構を構成する雌部の斜視図、(C”)は(B”)に対する雄部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第一実施形態]
この発明の第一実施形態を、図1に示す。
同図(A)は、クッキー生地から一部1(同図(D))を所定の形に抜き取るための閉じた形状を有するクッキー型であって、3つの部分型3を連結して組合せた全体型5である。この全体型5は、使用に際しては、通常のクッキー型と同様に、図中、裏返して、すなわち上下を逆にして、クッキー生地に押圧される。よって、図示される全体型5の上の縁部7が、クッキー生地を切って抜き取る。
【0014】
この全体型5は、動物の顔の形をなし、二つの耳と、一つの顔本体の合計3つの部分型3を、連結して組合せ完成される。各部分型3は、共通の幅を有する帯状の金属板9を屈曲したものである。
同図(B)(C)に示すように、連結手段11は、窓13と、連結を行なう機構15と、を有する。窓13は、クッキー生地に押圧される部分型3の縁部7に形成され、クッキー生地から所定の形に抜き取る際に、クッキー生地が顔と耳の間で連続する働きを有する。顔本体の部分型17の窓13は、縁部7に沿って切り欠かれた、四角形の切欠窓19である。耳の部分型の窓23は、帯状の金属板9を幅方向に縦断して切り取った縦断窓23である。
連結を行なう機構15は、2つの窓同士が接して連通した状態で連結を行なうためのものである。
【0015】
連結手段11の機構15は、雄部25と雌部27と、を有して構成される。雄部25は、一方の部分型3、すなわち耳の部分型21に形成される窓13の外側に設けられる。
雌部27は、他方の部分型3、すなわち顔本体の部分型17に形成される窓13の外側に設けられる。
さらに、雄部25は、一枚の第1板材29からなり、縦断窓23の外側で、縦断窓23を跨ぎ、縦断窓23の一部を覆って、溶接され、その結果、部分型3の帯状の金属板9がなす外側面部におおよそ接した状態で固定される。この第1板材29は、部分型3と同質の金属板9で四角形の平面を有する。固定された状態で、この第1板材29が覆う縦断窓23のうち残った露出部分は、切欠窓19の大きさや形状と同じである。
【0016】
また、雌部27は、他方の切欠窓19の外側で、切欠窓19の左右に設けられる一対の第2板材31からなる。これらの第2板材31は、第1板材29の左または右端部を保持するL字状断面を有する。
【0017】
「第一実施形態の効果」
この実施形態によれば、連結手段11の雄部25を、雌部27の上から挿入して、雌部27と、顔本体の部分型17の金属板9との間に、嵌合させ保持する。これにより、しっかりと連結が行なわれる。この連結は、2つの耳の部分型21で行なわれ、よって全体の組合せがなされ、全体型5を完成させる。
耳の形は、表現する動物の種類をほとんど決定することができる。ウサギの長い耳、熊の丸くて小さな耳、ネズミの大きな丸い耳、虎や猫のとんがった耳、ダックスフンド犬の垂れ下がった耳、鹿の角を伴う耳、・・など、耳によって多くの動物を表現できる。
【0018】
クッキー生地から抜き取る所定の形状の数、すなわち動物の顔の数は、完成される全体型5の種類の数により決まる。しかし、そして全体型5の種類の数は、全部を常に用意する必要はない。耳の形だけを変えながら、次々と、クッキー生地から異なる種類の動物の顔の形を抜き取ることができる。結果として、部分型としての型の数は増えるものの、型全体の総量を減らすことができ、よって小さな量のクッキー型で対応が可能である。
【0019】
このことは、新しいクッキー型がなくても、部分型3の組合せを変えることで、抜き取る形状を目新しいものにできることも意味する。
さらに、従来のように全体型5の種類の数だけクッキー型を用意する場合に比べ、部分型3の量は小さくでき、保管場所をあまり必要としてしない。
また、雄部25は、一枚の第1板材29からなり、縦断窓23へ跨いで溶接されるので、耳の部分型21を閉じた形状にでき、耳の部分型21の強度を向上できる。
【0020】
[第二実施形態]
この発明の第二実施形態を、図2に示す。
図1の第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
この全体型5は、やはり第一実施形態と同様に、動物の顔の形をなし、2つの耳の形状のみが異なる。すなわち、第一実施形態で使用した顔本体の部分型17を共用し、異なった丸い形状の耳の部分型21のみを使用する。
【0021】
連結手段11の機構15を構成する雄部25は、耳の部分型21に形成される縦断窓23の外側で、この窓13の左右縁に溶接して固定される一対の第1板対材33からなる。これら一対の第1板対材33は、部分型3の外側面部に概略接した状態である。
また、雌部27は、顔本体の部分型17に形成される切欠窓19の外側で、切欠窓19の左右に設けられる一対の第2板材31からなる。これらの第2板材31は、第1板対材33の左または右の外側端部を保持する一対のL字状断面を有する。
連結時には、第一実施形態と同様に、部分型21をつまんで、図のように、雄部25を、雌部27の上から挿入して、嵌合させることも可能である。しかし、別の嵌合方法も可能である。すなわち、クッキーの型は少しやわらかい金属板であるから、部分型21を指でやや強くつまみ、縦断窓23の窓幅を小さくし、よって一対の第1板対材33を、その幅を狭めた状態で、一対の第2板材31の間へ位置させ、部分型21の外側面部に当接させ、その状態で指の力を抜けば、部分型21の縦断窓23の窓幅はもとの状態へ広がり、よって一対の第1板対材33もその幅が元の状態へ広がり、一対の第2板材31へ嵌合する。このようにすれば、嵌合動作が容易になる。
【0022】
「第二実施形態の効果」
この実施形態によれば、第一実施形態とほぼ同様の効果を有し、さらに、雄部25は、一対が、耳の部分型21に形成される縦断窓23の左右縁に固定されるので、耳の部分型21の形状は開いた形状のままであり、開いた耳の部分型21の内部を洗浄しやすく、清潔を保ちやすい。
【0023】
[第三実施形態]
この発明の第二実施形態を、図3(B’)(C’)に示す。
第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
連結手段11の機構15を構成する雄部25は、耳の部分型21に形成される縦断窓23の外側で、この縦断窓23の左右縁に沿って、固定される一対の棒材35からなる。各棒材35は、縁部7が存在する面と同一面に沿って突出するフランジ37に対して、一端が片持ち状に固定される。
【0024】
また、雌部27は、顔本体の部分型17に形成される切欠窓19の外側で、切欠窓19の左右に溶接して設けられる一対の筒状部材39からなる。これらの筒状部材39は、棒材35の自由端を挿入してしっかり保持する。
【0025】
「第三実施形態の効果」
この実施形態によれば、第一実施形態とほぼ同様の効果を有し、さらに、雌部27を構成する筒状部材39は、切欠窓19の左右に全長が溶接して設けられるので、しっかりと溶接でき、よって、連結を強固に行える。
【0026】
[第四実施形態]
この発明の第二実施形態を、図3(B”)(C”)に示す。
第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
連結手段11の機構15を構成する雄部25は、耳の部分型21に形成される縦断窓23の外側に形成される板状凸部41からなる。これらの板状凸部41は、縦断窓23の左右縁に各一対形成され、縦断窓23に沿って一体的に形成され、外側へ突出する。
また、雌部27は、顔本体の部分型17に形成される切欠窓19の外側で、雄部25の板状凸部41を挿入して保持するスリット43からなる。このスリット43は、雄部25に対応して設けられ、よって切欠窓19の左右縁に各一対形成される。
【0027】
「第四実施形態の効果」
この実施形態によれば、第一実施形態とほぼ同様の効果を有し、さらに、雄部25と雌部27が簡便な構成であり、製造コストを抑えることができる。
【0028】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、全体型5は、動物の顔の形をなし、顔本体の部分型17と2つの耳の部分型21を連結し組み合わせるものであったが、他の実施形態では、必要に応じて他の形を採用できる。
【0029】
例えば、全体型5は、動物の身体の形をなし、身体本体の部分型、2つの脚の部分型、顔の部分型を連結し組み合わせるものでも良い。
この際に、顔の部分型として、第一から第四実施形態の全体型5を使用してもよい。すなわち、第一から第四実施形態の顔本体の部分型17に、新たに、連結手段11の機構15を構成する雄部25または雌部27を設け、身体本体の部分型に、対応する雌部27または雄部25を設ければ、よい。よって、合計6つの部分型により動物の身体の形が組み合わされ、組合せの種類は豊富になる。
組合せの種類が豊富になれば、部分型としての型の数も相対的に減り、型全体の総量ももちろん減らすことができる。
【符号の説明】
【0030】
1…クッキー生地から抜き取られた一部、3…部分型、5…全体型、7…縁部、9…金属板、11…連結手段、13…窓、15…機構、17…顔本体の部分型、19…切欠窓、21…耳の部分型、23…縦断窓、25…雄部、27…雌部、29…第1板材、31…第2板材、33…第1板対材、35…棒材、37…フランジ、39…筒状部材、41…板状凸部、43…スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッキー生地から一部を所定の形に抜き取るための閉じた形状を有するクッキー型において、複数の部分型と、各部分型を連結して組合せ全体型を完成させるための連結手段と、を有し、前記連結手段は、クッキー生地に押圧される部分型の縁部に形成されクッキー生地が連続するための窓と、2つの前記窓同士が接して連通した状態で連結を行なう機構と、を有し、この機構は、一方の前記窓の外側に設けられる雄部と、他方の前記窓の外側に設けられる雌部と、を有して構成されることを特徴とする連結式クッキー型。
【請求項2】
前記雄部は、前記一方の窓の外側で、前記部分型の外側面部に接した状態で固定される一枚の第1板材からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記第1板材の左右端部を保持する一対のL字状断面を有する第2板材からなることを特徴とする請求項1に記載の連結式クッキー型。
【請求項3】
前記雄部は、前記一方の窓の外側で、この窓の左右縁に、前記部分型の外側面部に接した状態で固定される一対の第1板対材からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記第1板対材の左または右の外側端部を保持する一対のL字状断面を有する第2板材からなることを特徴とする請求項1に記載の連結式クッキー型。
【請求項4】
前記雄部は、前記一方の窓の外側で、この窓の左右縁に沿って、一端が片持ち状に固定される一対の棒材からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記棒材を挿入して保持する一対の筒状部材からなることを特徴とする請求項1に記載の連結式クッキー型。
【請求項5】
前記雄部は、前記一方の窓の外側で、この窓の左右縁に沿って一体的に形成され、外側へ突出する一対の板状凸部からなり、前記雌部は、前記他方の窓の外側で、前記板状凸部を挿入して保持する、対で設けられるスリットからなることを特徴とする請求項1に記載の連結式クッキー型。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−125223(P2011−125223A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283707(P2009−283707)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(509344858)
【Fターム(参考)】