説明

連結給湯システム

【課題】給湯器に供給される水の温度が高く、全ての給湯器が給湯運転を停止している場合に、出湯量が不十分となることを防止することができる連結給湯システムを提供する。
【解決手段】各給湯器1は、給水管3aからの水の供給量を示す水量情報を連結ユニット2に送信し、連結ユニット2は、全ての給湯器1において加熱手段11による水の加熱が停止した状態であって、少なくとも1台の給湯器1が給水可能な状態であるときに、各給湯器1から受信した水量情報から各給湯器1への水の供給量を検知して、各給湯器1への水の供給量の総量の変化に応じて、給水させる給湯器1の台数を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の給湯器に接続された連結ユニットにより各給湯器の運転を制御する連結給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の給湯器に接続された連結ユニットにより各給湯器の運転を制御する連結給湯システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、専用設計でコストが高い大型の給湯器を設置することなく、必要な給湯能力に合わせて汎用的な低コストの給湯器を複数連結して設置すればよいため、給湯システムの製造コストを抑えることができる。
【0003】
そして、従来の連結給湯システムにおいては、給湯管の先端に接続された全ての蛇口が閉じられている場合には、予め設定された待機台数(少なくとも1台)の給湯器のみが給水管から供給される水を給湯管へ送出可能な状態とされていた。
【0004】
この状態で何れかの蛇口が開けられると、待機中の給湯器に水が供給され、給湯器に供給された水が給湯目標温度の湯となるように加熱する給湯運転が開始される。そして、従来の連結給湯システムでは、給湯運転中の給湯器の作動状態に応じて給湯器の運転台数を増加させていた。即ち、給湯運転中の給湯器により、要求される出湯量に対して給湯目標温度を維持する為に必要となる加熱量が確保できなくなったときに、給湯器の運転台数を増加させていた。
【0005】
ここで、近年、コジェネレーションシステム(ソーラー給湯システム等)が連結給湯システムと併設されるケースが増えている。そしてコジェネレーションシステムが併設された連結給湯システムの場合、給湯器へ供給される水の温度がコジェネレーションシステムによる予熱により、既に給湯目標温度以上となる場合がある。
【0006】
この場合、上述したように従来の連結給湯システムでは、給湯器の台数増加の判断は給湯運転の実行中にのみ行われていた。そのため、各給湯器が給湯運転を停止した状態となるときには、給湯器の運転台数を増加させる処理は実行されなかった。このため、給水温度が高く給湯運転が行われないときには、大量の出湯が要求されている場合であっても、給湯器の運転台数が増加されず、待機台数分の出湯量しか給湯管に流れないため、出湯量が不十分になってしまうという問題があった。
【特許文献1】特許第2882822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、給湯器に供給される水の温度が高く、全ての給湯器が給湯運転を停止している場合であっても、出湯量が不十分となることを防止することができる連結給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、供給された水が流れる通水管と、該通水管へ供給された水を加熱する加熱手段と、前記通水管への水の供給量を検出する水量検出手段と、前記通水管への水の供給が可能な給水可能状態と前記通水管への水の供給が遮断された給水遮断状態とを切替える給水切替手段と、前記通水管から給湯目標温度の湯が送出されるように前記加熱手段を作動させる給湯制御手段と、第1の通信手段とを有する複数の給湯器と、前記第1の通信手段を介して前記各給湯器と通信を行うための第2の通信手段を有し、前記各給湯器との通信により前記給水可能状態にある給湯器の台数を制御する連結ユニットとを備える連結給湯システムを以下の如く改良している。
【0009】
即ち本発明の連結給湯システムは、前記各給湯器は、前記水量検出手段により検出された前記通水管への水の供給量を示す水量情報を前記連結ユニットに送信し、前記連結ユニットは、全ての前記給湯器において前記加熱手段による水の加熱が停止した状態であって、少なくとも1台の前記給湯器が前記給水可能状態であるときに、前記各給湯器から受信した前記水量情報に基づいて前記各給湯器への水の供給量を検知し、前記各給湯器への水の供給量の総量の変化に応じて、前記給水可能状態にある前記給湯器の台数を増加させることを特徴とする。
【0010】
係る構成によれば、連結ユニットは、全ての給湯器が加熱手段による水の加熱を停止した状態であって、少なくとも1台の給湯器が給水可能状態であるときに、各給湯器から受信した水量情報に基づいて、各給湯器への水の供給量を検知する。そして、連結ユニットは、各給湯器への水の供給量の総量の変化に応じて、給水可能状態にある給湯器の台数を増加させる。
【0011】
このため、給湯器へ供給される水の温度が高く、全ての給湯器が加熱手段による水の加熱を停止した場合であっても、要求される出湯量の増加に応じて給水可能状態にある給湯器の台数を増加させることができ、これにより出湯量を増加させることができる。
【0012】
又、各給湯器への水の供給量の総量の変化に応じて給水可能状態にある給湯器の台数を増加させる構成として、全ての給湯器において加熱手段による水の加熱が停止した状態であって、少なくとも1台の給湯器が給水可能状態であるときに、水の供給量が第1の所定値以上である給水可能状態にある給湯器の台数が、水の供給量が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下である給水可能状態にある給湯器の台数よりも多くなったときに、連結ユニットが給水可能状態にある前記給湯器の台数を増加させる構成とすることができる。
【0013】
係る構成によれば、水の供給量が第1の所定値以上である給水可能状態にある給湯器の台数が、水の供給量が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下である給水可能状態にある給湯器の台数よりも多くなったときには、各給湯器への水の供給量の総量が増加したと判断できる。そこで、このとき、連結ユニットにより給湯可能状態にある給湯器の台数を増加させることによって、連結給湯システムの出湯量が不十分となることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図1から図4を参照して説明する。図1は本発明の連結給湯システムの実施形態を示した説明図、図2は本実施形態の給湯器の構成を示した説明図、図3は本実施形態の給湯器の制御の実行手段を示したフローチャート、図4は本実施形態の連結ユニットの制御の実行手段を示したフローチャートである。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態の連結給湯システムは、複数の給湯器1と、各給湯器1を制御する連結ユニット2と、給水管3aと給湯管3bとで構成された循環路3と、循環路3に設けられて循環路3中の水を循環させる循環ポンプ4と、給湯管3bに接続された複数の蛇口5とを備える。各給湯器1は、給水管3aから水が供給され、給湯管3bへ湯を送出するように、循環路3に接続されている。
【0016】
係る連結給湯システムにおいては、全ての蛇口5が閉じられているとき、循環ポンプ4の作動により、循環路3中の水が、給湯器1で加熱されながら循環路3を循環する状態となる。そのため、蛇口5が開かれたときには、直ちに湯が供給される。
【0017】
又、給水管3aには、ソーラー給湯システム32を介して水道管31から水が供給される。ソーラー給湯システム32は、水道管31から供給される水を貯める貯湯槽32aと、太陽熱を集熱するソーラーパネル32bと、貯湯槽32aとソーラーパネル32bとの間で不凍液を循環させる循環路32cとを備え、ソーラーパネル32bで集熱した熱を不凍液が回収し、不凍液が貯湯槽32a内で放熱することにより貯湯槽32a内の水が温められる。そして、貯湯槽32a内で温められた水が給水管3aに供給される。
【0018】
各給湯器1は、図2に示すように、給水管3aと給湯管3bとを通水可能に接続する通水管3cと、通水管3cに設けられた熱交換器10と、給水管3aから通水管3cへ供給される水を熱交換器10を介して加熱するガスバーナ11と、通水管3cに供給される水の供給量を検出する水量検出手段6と、通水管3cへの水の供給が可能な給水可能状態と通水管3cへの水の供給が遮断された給水遮断状態とを切替える給水切替手段としての水量サーボ7とを備える。本実施形態では加熱手段は熱交換器10とガスバーナ11とで構成される。
【0019】
又、通水管3cには出湯温度を検出する出湯温度センサ8が設けられ、各給湯器1には、水量検出手段6により検出された水の供給量がガスバーナ11により水を加熱する際に必要な最低限の水の供給量である閾値以上であるときに、出湯温度センサ8で検出された出湯温度が連結ユニット2から指示された給湯目標温度となるように、ガスバーナ11の燃焼量を制御する給湯制御手段の機能を有する電装ユニット9が設けられている。又、電装ユニット9は連結ユニット2と信号の送受信を行う第1の通信手段としての機能を備える。
【0020】
電装ユニット9は、連結ユニット2からの要求信号に応じて、水量サーボ7の作動状態を示す給水情報と、水量検出手段6により検出された通水管3cへの水の供給量を示す水量情報とを運転情報として連結ユニット2に送信する。給水情報は、水量サーボ7により通水管3cへの水の供給が可能な給水可能状態とされていることを表す「通水」と、水量サーボ7により通水管3cへの水の供給が遮断された給水遮断状態とされていることを表す「止水」との何れかで示される。水量情報は、通水管3cへの水の供給量を予め設定された「大」・「中」・「小」・「0」の4つにレベル分けして示される。ここで、水量情報「大」が本発明の第1の所定値以上の水の供給量に該当し、水量情報「小」が本発明の第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の水の供給量に該当する。
【0021】
連結ユニット2は、第1の通信手段としての機能を有する電装ユニット9と通信を行うための第2の通信手段としての機能を備える。又、連結ユニット2は、所定のタイミングで各給湯器1に前記運転情報を要求する要求信号を送信する要求送信処理を実行し、各給湯器1から受信した前記運転情報に応じて給水可能状態にある給湯器1の台数を増減させる台数増減処理を実行する。尚、この台数増減処理では、給水可能状態にある給湯器1の台数が予め設定された待機台数(少なくとも1台)である場合には、給水可能状態にある給湯器1の台数を減少させないようにしている。
【0022】
次に図3を参照して、各給湯器1の電装ユニット9による前記運転情報の送信処理について説明する。電装ユニット9は、連結ユニット2からの前記運転情報の要求信号を受信すると、まず、STEP1で、電装ユニット9は水量検出手段6により検出される水の供給量が0であるか否かを確認する。水の供給量が0である場合には、水量サーボ7により水が遮断されているため、STEP7に分岐し、電装ユニット9は、給水情報として「止水」を選択し、水量情報として水の供給量「0」を選択する。そして、STEP6に進み、電装ユニット9は選択された前記運転情報を連結ユニット2に送信する。
【0023】
STEP1で水量検出手段6により検出された水の供給量が0でない場合には、STEP2に進み、電装ユニット9は給水情報として「通水」を選択する。そして、STEP3に進み、電装ユニット9は水量検出手段6により検出された水の供給量が「小」であるか否かを確認する。水の供給量が「小」である場合には、STEP8に分岐し、電装ユニット9は、水量情報として水の供給量「小」を選択して、STEP6に進み、選択された前記運転情報を連結ユニット2に送信する。
【0024】
STEP3で水の供給量が「小」でない場合には、STEP4に進み、電装ユニット9は水の供給量が「中」であるか否かを確認する。水の供給量が「中」である場合には、STEP9に分岐し、電装ユニット9は、水量情報として水の供給量「中」を選択して、STEP6に進み、選択された前記運転情報を連結ユニット2に送信する。
【0025】
STEP4で、水の供給量が「中」でない場合には、STEP5に進み、電装ユニット9は、水量情報として水の供給量「大」を選択し、STEP6に進んで、選択された前記運転情報を連結ユニット2に送信する。
【0026】
次いで図4を参照し、連結ユニット2の台数増減処理について説明する。STEP21で連結ユニット2は、受信した運転情報に基づいて、給水可能状態にある給湯器1、即ち、給水情報が「通水」である給湯器1のうち、水量情報が「大」(水の供給量が第1の所定値以上)の給湯器1の台数が、水量情報が「小」(水の供給量が第2の所定値以下)の給湯器1の台数を超えているか否かを確認する。
【0027】
給水可能状態にある給湯器1のうち水量情報が「大」の給湯器1が、水量情報が「小」の給湯器1の台数を超えている場合には、STEP24に分岐し、連結ユニット2は、受信した運転情報に基づいて、給水遮断状態にある給湯器1、即ち、給水情報が「止水」の給湯器1のうちの1台に対して、水を供給させるように指示信号を出し、給水可能状態にある給湯器1の台数を増加させる。このように、増加させる台数を1台ずつにすることによって、台数を増加させたときに給水可能状態にある給湯器1台あたりの水の供給量が、大幅に低下して、ガスバーナ11の燃焼条件である前記閾値よりも少なくなることを回避することができる。
【0028】
次いで、STEP22に進み、連結ユニット2は、給水情報が「通水」である給湯器1の台数が、前記待機台数を超えているか否かを確認する。給水情報が「通水」である給湯器1の台数が、前記待機台数を超えていない場合には、連結ユニット2はそのまま台数増減処理を終了する。
【0029】
STEP22で給水情報が「通水」である給湯器1の台数が前記待機台数を超えている場合には、STEP23に進み、連結ユニット2は、給水情報が「通水」である給湯器1のうち、水量情報が「小」の給湯器1の台数が、水量情報が「大」の給湯器1の台数を超えているか否かを確認する。水量情報が「小」の給湯器1の台数が、水量情報が「大」の給湯器1の台数を超えている場合には、STEP25に分岐し、給水情報が「通水」である給湯器1のうちの1台の給湯器1への水の供給を遮断させて給水遮断状態とするように、連結ユニット2は給湯器1へ指示信号を送る。
【0030】
本実施形態の連結給湯システムによれば、給湯器1へ供給される水の温度がソーラー給湯システム32の予熱により既に給湯目標温度となり、全ての給湯器1がガスバーナ11による水の加熱を停止した場合であっても、要求される出湯量の増加に応じて給水可能状態にある給湯器1の台数を増加させることができ、これにより出湯量を増加させることができる。
【0031】
尚、本実施形態においては、連結給湯システムに併設されたコジェネレーションシステムとしてソーラー給湯システムを用いて説明したが、これに限られず、連結給湯システムに供給される水を排熱等を利用して予熱するコジェネレーションシステムであれば他のものであってもよい。
【0032】
又、本実施形態においては、図3のSTEP1で示すように、給水情報として「通水」・「止水」を選択する際に、給湯器1への水の供給量が0であるか否かで判断するものを説明したが、これに限られず、例えば、電装ユニット9による水量サーボ7への指示信号に基づいて給水情報の「通水」・「止水」を選択するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の連結給湯システムの実施形態を示した説明図。
【図2】本実施形態の給湯器の構成を示した説明図。
【図3】本実施形態の給湯器の制御の実行手段を示したフローチャート。
【図4】本実施形態の連結ユニットの制御の実行手段を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0034】
1…給湯器、 10…熱交換器、 11…ガスバーナ、 2…連結ユニット、 3…循環路、 3a…給水管、 3b…給湯管、 3c…通水管、 4…循環ポンプ、 5…蛇口、 6…水量検出手段、 7…水量サーボ、 8…出湯温度センサ、 9…電装ユニット、 31…水道管、 32…ソーラー給湯システム、 32a…貯湯槽、 32b…ソーラーパネル、 32c…循環路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水が流れる通水管と、該通水管へ供給された水を加熱する加熱手段と、前記通水管への水の供給量を検出する水量検出手段と、前記通水管への水の供給が可能な給水可能状態と前記通水管への水の供給が遮断された給水遮断状態とを切替える給水切替手段と、前記通水管から給湯目標温度の湯が送出されるように前記加熱手段を作動させる給湯制御手段と、第1の通信手段とを有する複数の給湯器と、
前記第1の通信手段を介して前記各給湯器と通信を行うための第2の通信手段を有し、前記各給湯器との通信により前記給水可能状態にある給湯器の台数を制御する連結ユニットとを備える連結給湯システムにおいて、
前記各給湯器は、前記水量検出手段により検出された前記通水管への水の供給量を示す水量情報を前記連結ユニットに送信し、
前記連結ユニットは、全ての前記給湯器において前記加熱手段による水の加熱が停止した状態であって、少なくとも1台の前記給湯器が前記給水可能状態であるときに、前記各給湯器から受信した前記水量情報に基づいて前記各給湯器への水の供給量を検知し、前記各給湯器への水の供給量の総量の変化に応じて、前記給水可能状態にある前記給湯器の台数を増加させることを特徴とする連結給湯システム。
【請求項2】
前記連結ユニットは、全ての前記給湯器において前記加熱手段による水の加熱が停止した状態であって、少なくとも1台の前記給湯器が前記給水可能状態であるときに、水の供給量が第1の所定値以上である前記給水可能状態にある前記給湯器の台数が、水の供給量が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下である前記給水可能状態にある前記給湯器の台数よりも多くなったときには、前記給水可能状態にある前記給湯器の台数を増加させることを特徴とする請求項1に記載の連結給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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