説明

連結装置及びその連結装置を有する画像形成装置

【課題】取付孔の形成されたジョイントと、そのジョイントの取付孔に圧入された軸を連結する連結装置において、軸に対してジョイントががたつくことを阻止する。
【解決手段】軸34に固定され、かつ該軸34のほぼ半径方向に貫通して延び、軸34に嵌合したジョイント36に形成された係合溝46に嵌合したピン45と、軸34に形成され、該軸34の端面49において開口したねじ穴50にねじ込まれて締め付けられ、頭部52がジョイント36の面53に圧接したねじ51とを具備し、ねじ穴50にねじ込まれたねじ51を締め付けることにより、ピン45を係合溝46の面55に圧接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付孔の形成された回転体と、該回転体の取付孔に圧入された軸とを連結する連結装置と、その連結装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軸と、その軸が嵌合した回転体とを連結する連結装置は、従来より各種の技術分野において採用されている。かかる連結装置は、軸に固定されたピンを、回転体に形成された係合溝に嵌合させることにより、軸と回転体との相対回転を禁止し、軸と回転体が一体となって回転できるように構成されている。その際、軸を回転体に形成された取付孔に圧入させるように構成した場合、軸に固定されたピンと、そのピンが嵌合した係合溝の面との間にわずかな隙間が形成されるように構成する必要がある。このようにしなければ、実際に、ピンを係合溝に嵌合させることが不可能となるためである。
【0003】
ところが、ピンとこれが嵌合した係合溝の面との間に隙間があると、例えば軸から回転体に回転を伝えるとき、回転体が、軸の周方向にがたつくおそれを免れない。そこで、軸の端面側に形成したねじ穴にねじをねじ込み、そのねじを締め付けることによって、当該ねじの頭部を直接又は他の部材を介して回転体に圧接し、その回転体を、軸に固定された部材に圧接させ、その部材と回転体との間に作用する摩擦力によって、回転体ががたつくことを防止するように構成した連結装置が知られている。ところが、かかる連結装置によって軸と回転体とを連結した場合も、そのピンと係合溝の面との間には、依然としてわずかな隙間が残されているので、軸と回転体を回転させたとき、そのわずかな隙間の分、軸と回転体が一体となって回転できなくなるおそれを免れない。
【0004】
なお、軸と回転体との連結装置を備えた画像形成装置は下記特許文献1に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−235838
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述した従来の欠点を簡単な構成によって除去した連結装置と、その連結装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、取付孔の形成された回転体と、該回転体の取付孔に圧入された軸とを連結する連結装置であって、前記軸に固定され、かつ該軸のほぼ半径方向に貫通して延び、前記回転体に形成された係合溝に嵌合したピンと、前記軸に形成され、該軸の端面において開口したねじ穴にねじ込まれて締め付けられ、頭部が直接又は他の部材を介して前記回転体に圧接したねじとを具備する連結装置において、前記ねじ穴にねじ込まれたねじを締め付けることにより、前記ピンが前記係合溝の面に圧接するように、該係合溝が形成されていることを特徴とする連結装置を提案する(請求項1)。
【0008】
また、上記請求項1に記載の連結装置において、前記ねじの頭部が直接又は他の部材を介して圧接する回転体の面と、前記軸の端面との間に当該軸の軸線方向に間隔があけられていると有利である(請求項2)。
【0009】
さらに、上記請求項1又は2に記載の連結装置において、前記ピンが金属より成り、前記回転体が樹脂により構成されていると有利である(請求項3)。
【0010】
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の連結装置において、前記ピンが複数本設けられていると有利である(請求項4)。
【0011】
さらに、上記請求項4に記載の連結装置において、前記複数のピンが、前記軸の周方向にほぼ等角度をなして配置されていると有利である(請求項5)。
【0012】
また、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の連結装置において、前記ねじ穴にねじ込まれたねじを締め付けたとき、前記ピンが前記係合溝の互いに対向する側面に圧接するように、該係合溝が形成されていると有利である(請求項6)。
【0013】
さらに、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の連結装置において、前記係合溝に圧接するピンの部分に凹凸が形成されていると有利である(請求項7)。
【0014】
また、上記請求項7に記載の連結装置において、前記ピンの長手方向の少なくとも一端側に凹凸が形成され、該凹凸の形成されたピン部分の直径が、他のピン部分の直径よりも小さく設定されていると有利である(請求項8)。
【0015】
さらに、本発明は、上記目的を達成するため、請求項1乃至8のいずれかに記載の連結装置と、該連結装置により連結された軸及び回転体とを備えた画像形成装置を提案する(請求項9)。
【0016】
また、上記請求項9に記載の画像形成装置において、前記回転体は、表面にトナー像が形成される感光体の感光体軸に固定された相手ジョイントに着脱可能に係合するジョイントより成り、モータの回転が、前記軸、ジョイント、相手ジョイント及び感光体軸を介して感光体に伝達されると共に、該感光体は、前記モータによって、画像形成時の回転方向と逆方向にも回転されるように構成されていると有利である(請求項10)。
【0017】
さらに、上記請求項9に記載の画像形成装置において、前記回転体は、感光体からトナー像を転写される中間転写ベルトを駆動する駆動ローラのローラ軸に固定された相手ジョイントに着脱可能に係合するジョイントより成り、モータの回転が、前記軸、ジョイント、相手ジョイント及びローラ軸を介して駆動ローラに伝達されると共に、該駆動ローラは、前記モータによって、画像形成時の回転方向と逆方向にも回転されるように構成されていると有利である(請求項11)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ねじの締め付けによって、ピンが係合溝の面に圧接するので、常に軸と回転体は一体となって回転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態例を説明し、併せて前述の従来の欠点を図面に則してより具体的に明らかにする。
【0020】
図1は本発明に係る連結装置が採用される画像形成装置の一例を示す概略断面図である。ここに示した画像形成装置は、その画像形成装置本体1内に配置されたドラム状の4つの感光体2と、同じく画像形成装置本体1内に配置された無端ベルトより成る中間転写ベルト3を有している。中間転写ベルト3は、駆動ローラ4Aと従動ローラ4B,4C,4Dとに巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される。
【0021】
なお、本明細書においては、上述した4つの感光体を識別する必要のあるときは、これらに符号2Y,2M,2C,2BKを付し、必要に応じて、これらを第1、第2、第3及び第4の感光体と称し、これらを特に識別する必要のないときは、その感光体に符号2を付して示すことにする。
【0022】
第1乃至第4の各感光体2Y乃至2BKは、中間転写ベルト3に当接しながら図1における時計方向に回転駆動され、このとき第1の感光体2Yは帯電ローラ7によって所定の極性に帯電される。次いでその帯電面に光学ユニット8から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって感光体2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置9によってイエロートナー像として可視像化される。また中間転写ベルト3を挟んで、感光体2Yと反対側に一次転写ローラ12が配置され、この転写ローラ12に転写電圧が印加されることによって、感光体2Y上のトナー像が矢印A方向に回転する中間転写ベルト3上に一次転写される。トナー像転写後の感光体2Y上に付着する転写残トナーはクリーニング装置13のクリーニングブレード25によって除去される。このクリーニングブレード25は、感光体2Yの表面の移動方向に対してカウンタ向きの姿勢で該表面に圧接している。
【0023】
全く同様にして、第2乃至第4の感光体2M,2C,2BK上にマゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に重ねトナー像が形成される。
【0024】
一方、画像形成装置本体1内の下部には、例えば転写紙又は樹脂フィルムなどから成る記録媒体Pを収容した給紙カセット14と、給紙ローラ15を有する給紙装置16が配置され、給紙ローラ15の回転によって最上位の記録媒体Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録媒体は、レジストローラ対17の回転によって、所定のタイミングで中間転写ベルト3と、これに対置された二次転写ローラ18との間に給送される。このとき、二次転写ローラ18に所定の転写電圧が印加されることによって、中間転写ベルト3上の重ねトナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0025】
重ねトナー像を二次転写された記録媒体は、さらに上方に搬送され、定着装置19の定着ローラ20と加圧ローラ21との間を通り、記録媒体上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置19を通過した記録媒体は画像形成装置本体1の上部の排紙部22に排出される。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーはクリーニング装置24のクリーニングブレード26によって除去される。このクリーニングブレード26も、中間転写ベルト3の表面の移動方向に対してカウンタ向きの姿勢でその表面に圧接している。
【0026】
画像形成動作は上述の如く行われ、その動作を終了した後、感光体2と中間転写ベルト3はその回転を止められる。その際、感光体2Yの表面に、クリーニングブレード25の先端エッジ部が圧接したまま感光体2Yが停止したとすると、画像形成装置の作動を停止している間中、クリーニングブレード25が感光体2Yの表面に大きな圧力で圧接したままとなり、これによって感光体2Yが早期に劣化するおそれがある。これは、他の感光体2M,2C,2BKにおいても全く同様である。さらに中間転写ベルト3用のクリーニングブレード26がそのベルト表面に大きな圧力で圧接したまま、中間転写ベルト3が停止した場合も、その中間転写ベルトの寿命が縮められるおそれを免れない。
【0027】
そこで、本例の画像形成装置においては、中間転写ベルト3上の重ねトナー像が記録媒体に二次転写された後に、各感光体2Y乃至2BKと、中間転写ベルト3が、画像形成時の回転方向と逆方向に極くわずかな距離(例えば2mm)だけ回転駆動されるように構成されている。これにより、各感光体2Y乃至2BKの表面に対するクリーニングブレード25の加圧力が弱められ、同じく中間転写ベルト3の表面に対するクリーニングブレード26の加圧力が弱められる。この状態で画像形成装置の作動が停止されるので、感光体2Y乃至2BKと中間転写ベルト3の寿命が縮められる不具合を防止できる。
【0028】
また、図1に示した画像形成装置においては、感光体2Yと、そのまわりに配設された現像装置9、帯電ローラ7及びクリーニング装置13の各プロセス機器が一体的に組み付けられてプロセスカートリッジ27Yが構成されている。他の感光体2M,2C,2BKと、そのまわりのプロセス機器によっても、それぞれプロセスカートリッジ27M,27C,27BKが構成され、その各プロセスカートリッジは画像形成装置本体1に着脱可能に装着されている。これらのプロセスカートリッジについても、これらを特に識別する必要のないときは、当該プロセスカートリッジに符号27を付して示すことにする。
【0029】
図2は、1つのプロセスカートリッジ27を画像形成装置本体の奥方向Cに押し込んでセットするときの当該プロセスカートリッジ27の感光体2を示す説明図である。この図に示すように、画像形成装置本体1の奥側の後側板28には、感光体2を回転駆動する駆動ユニット29が配置されている。この駆動ユニット29は、画像形成装置本体の後側板28に着脱可能に固定された2枚の支持板30,31を有し、これらの支持板30,31には、図3及び図4にも示すように、軸受32,33を介して、例えば金属より成る軸34が回転可能に支持されている。この軸34には樹脂製のギア35が、がたつくことのないように一体に固着されている。これらの軸受32,33はボールベアリングより成るが、図4には、その軸受32,33を簡略化して示してある(他の図においても同じ)。また、軸34には、後述する連結装置によって、回転体の一例であるジョイント36が連結され、このジョイント36の内周面には多数の歯39が形成されている。さらに、支持板31にはモータ37が支持され、その出力ギア38が上述のギア35に噛み合っている。
【0030】
一方、感光体2に固定された感光体軸40には、上述のジョイント36に着脱可能に係合する相手ジョイント41が、がたつくことなく固定されていて、この相手ジョイント41にはその外周面に多数の歯42が形成されている。プロセスカートリッジ27を奥方向Cに押し込んでいくと、感光体軸40に固定された相手ジョイント41が、駆動ユニット29の軸34に連結されたジョイント36に嵌合し、両ジョイント36,41の歯39,42に互いに係合する。
【0031】
上述のようにプロセスカートリッジ27を画像形成装置本体1にセットした状態で、モータ37が作動を開始すると、その回転が出力ギア38、ギア35、軸34、ジョイント36、相手ジョイント41及び感光体軸40を介して、感光体2に伝えられ、該感光体が回転駆動される。これにより、前述のように、その感光体の表面にトナー像が形成される。中間転写ベルト3上の重ねトナー像が記録媒体に二次転写された後、モータ37がわずかな時間だけ逆転され、その回転が上述したところと同じく感光体2に伝えられる。これにより感光体2が画像形成動作時と反対の方向に回転駆動される。
【0032】
ここで、図5に明示するように、回転体の一例であるジョイント36には、その中心部に取付孔44が形成され、この取付孔44に軸34が圧入され、そのジョイント36と軸34とが連結装置によって連結されているが、本例の連結装置の構成を説明するに先立って、従来の連結装置の一例を明らかにする。
【0033】
図13に示すように、回転体の一例であるジョイント36に形成された取付孔44に、軸34が圧入されていて、その軸34には、そのほぼ半径方向に貫通して延びるピン45が固定されている。ピン45は軸34に圧入されて該軸34に固定され、当該軸34に対してがたつくことはない。一方、図14の(a)にも示すように、ジョイント36には、係合溝46が形成され、この係合溝46にピン45が嵌合している。このピン45は、軸34が回転したとき、その軸34とジョイント36の相対回転を禁止し、軸34とジョイント36が一体となって回転できるようにする部材である。
【0034】
その際、軸34をジョイント36の取付孔44に圧入して、これらを組み付けるように構成した場合には、図14の(a)に示すように、軸34に固定されたピン45と、そのピン45が嵌合した係合溝46の側面47,48との間にわずかな隙間Gが形成されるように構成しないと、実際に、ピン45を係合溝46に嵌合させることができない。このように隙間Gが形成された状態で、画像形成動作が開始されて軸34が回転駆動されると、その隙間Gの分、ジョイント36が軸34に対してがたつくおそれを免れない。
【0035】
そこで、従来の連結装置においても、軸34に形成されていて、その軸34の端面49において開口したねじ穴50にねじ51をねじ込み、そのねじ51を締め付けることによって、ねじ51の頭部52をジョイント36の面53に圧接させ、これによってジョイント36の軸受32を向いた側の面154を、その軸受32の内輪に圧接させている。このようにして、軸34が回転したとき、ジョイント36の面154と軸受32の内輪との間に大きな摩擦力が発生するので、ジョイント36が軸34に対してがたつくことなく、これらを一体となって回転させることが可能となる。
【0036】
ところが、前述のように、感光体が逆転するように構成されていると、次のように、軸34の回転が一瞬の間、ジョイント36に伝わらず、これらが一体となって回転できなくなるおそれがある。
【0037】
画像形成動作が開始されて、軸34が回転すると、ジョイント36と相手ジョイント41を介して軸34に連結された感光体(図13には示さず)が所定の方向に回転するが、このとき感光体には大きな外力が加えられるので、ピン45と係合溝46の側面47,48との間の隙間Gに相当する分だけ、ジョイント36が軸34に対して相対的に回転し、図14の(b)に示すように、ピン45の各端部は、係合溝46の一方の側面47と他方の側面48にそれぞれ圧接する。この状態で画像形成動作が行われる。次に、中間転写ベルト上の重ねトナー像が記録媒体に二次転写された後、感光体は逆転するので、今度は、ジョイント36が軸34に対して、上述した向きと逆向きに相対的に回転し、図14の(c)に示すように、ピン45の各端部が係合溝46の他方の側面48と一方の側面47にそれぞれに圧接する。
【0038】
上述のように、軸34をジョイント36に形成された取付孔44に圧入によって嵌合し、しかもねじ51をねじ込んでジョイント36の面154を軸受32の内輪に圧接させても、ピン45と係合溝46の面の間には依然としてわずかな隙間Gが残されているので、軸34とジョイント36を回転させたとき、そのわずかな隙間Gの分、軸34からの回転がジョイント36に伝わらずに、これらが一体となって回転できなくなるおそれがある。その際、軸34が回転を開始した時に、その軸34とジョイント36が即座に相対回転してしまえば、特に問題はないが、ジョイント36と、軸34に固定された軸受32の内輪とが大きな力で圧接しているので、軸34が回転を開始した後に、ゆっくりと軸34とジョイント36が相対的に回転する。しかも各プロセスカートリッジ27Y乃至27BKの各感光体2Y乃至2BKと、その各感光体に連結された軸とが相対回転する時期が一定していない。このため、画像形成動作時に、各感光体2Y乃至2BKがランダムに、その軸34に対して相対回転するおそれがあり、これによって、中間転写ベルト3に一次転写された重ねトナー像に色ずれが発生するおそれを免れない。
【0039】
これに対し、本例の画像形成装置においては、図5に示したように、取付孔44の形成された回転体の一例であるジョイント36と、そのジョイント36の取付孔44に圧入された軸34とを連結する連結装置が次のように構成されている。
【0040】
図5及び図6に示すように、本例の連結装置も、軸34に形成された孔54に圧入によって嵌合され、該軸34に固定されたピン45を有している。このピン45は、軸34のほぼ半径方向に貫通して延び、ジョイント36に形成された係合溝46に嵌合している。さらに、軸34には、その端面49において開口するねじ穴50が形成され、そのねじ穴50のめねじにねじ51がねじ込まれている。本例の連結装置も、軸34に形成されたねじ穴50にねじ込まれるねじ51を有しているのである。
【0041】
図7及び図8は、ねじ51をねじ穴50に螺着する前の様子を示している。このとき、係合溝46に嵌合したピン45と、その係合溝46の側面47,48との間に隙間Gが形成されていると共に、ピン45と、係合溝46の底面55との間にも隙間Gが形成されている。このときの状態は、従来の連結装置を示した図14の(a)と同様である。
【0042】
ここで、ねじ51をねじ穴50にねじ込んで、そのねじ51を締め付けると、図5に示したように、その頭部52がジョイント36の面53に圧接するが、ジョイント36が軸受32に圧接することはない。このため、ピン45と面53との間のジョイント部分が強く圧縮され、図5及び図6に示すように、ピン45が係合溝46の底面55に強く圧接する。このように、ねじ穴50にねじ込まれたねじ51を締め付けることにより、ピン45が係合溝46の面に圧接するように、係合溝46が形成されているのである。かかる構成により、軸34がいずれの方向に回転したときも、常に軸34とジョイント36が一体となって回転し、軸34の回転が一瞬たりとも、感光体2に伝えられえない事態が発生することはない。このため、画像形成動作時に、全ての感光体2Y乃至2BKが高い精度で同期して回転し、中間転写ベルトに一次転写された重ねトナー像に色ずれが発生する不具合を防止することができる。
【0043】
また、プロセスカートリッジの着脱時などに、相手ジョイント41がジョイント36に強く当たるなどして、ジョイント36が損傷したようなときは、ねじ51を緩めて、これを外し、そのジョイント36を交換することができる。
【0044】
上述した実施形態例では、ねじ51の頭部52を直接ジョイント36の面53に圧接させたが、図9に示すように、ワッシャ56などの他の部材を介して、ねじ51の頭部52をジョイント36の面53に圧接させることもできる。
【0045】
また、図5及び図9に示すように、ねじ51の頭部52が直接又は他の部材を介して圧接するジョイント36の面53と、軸34の端面49との間に、その軸34の軸線方向に間隔Dがあけられていると、ねじ51の締め付けによって、ジョイント36の面53とピン45との間のジョイント部分を大きく圧縮変形させて、ピン45を係合溝46の面に確実に圧接させることができる。
【0046】
また、ピン45が金属より成り、ジョイント36より成る回転体が樹脂により構成されていると、ねじ51を締め付けたとき、ピン45が圧接した係合溝46の面を比較的大きく変形させて、そのピン45を係合溝46の面に食い込ませることができるので、軸34に対するジョイント36のがたつきをより一層確実になくすことができる。
【0047】
また、図10に示すように、軸34に複数のピン45,45を圧入によって固定すると共に、ジョイント36に、ピン45,45の数と同じ数の係合溝を形成し、その各ピンを各係合溝に嵌合し、ねじ51(図5、図9)を締め付けることによって、その各ピン45,45を係合溝の面に圧接させるように構成することもできる。このように、ピン45を複数本設けることによって、ねじ51を締め付けたときに、各ピン45,45と、各係合溝の面との圧接力を弱くすることができ、これによってジョイント36の耐久性を高めることが可能である。
【0048】
その際、複数のピン45,45が、軸34の周方向にほぼ等角度をなして配置されていると、各ピン45,45が均等の圧力でジョイント36の係合溝の面に圧接するので、係合溝の一部の面にだけ過度に大きな圧力が及ぼされることを防止でき、これによってもジョイント36の耐久性を高めることができる。図10に示した例では、各ピン45,45が互いにほぼ45°の角度をなして配置されている。
【0049】
さらに、図11に示すように、係合溝46を、その底面55に向けて幅が狭くなったほぼV字形に形成することにより、ねじ穴50にねじ込まれたねじ51を締め付けたとき、ピン45が係合溝46の互いに対向する側面47,48に圧接するように構成すると、ピン45と各側面47,48との当接面における単位面積当りの圧力を小さくすることができ、これによってもジョイント36の耐久性を高めることが可能である。
【0050】
さらに、図12の(a)に示すように、ジョイントの係合溝の面に圧接するピン45の部分に、例えばローレット加工を施すことによって、凹凸57を形成することもできる。このようにすると、ねじ51を締め付けたとき、凹凸57の形成されたピン45の部分が係合溝46の面に食い込むことができるので、軸34に対するジョイント36のがたつきをより一層確実に除去することができる。
【0051】
図12の(a)に示した例では、ピン45の長手方向一端側にだけ凹凸57が形成されている。これは、ピン45の長手方向他端側にも凹凸を形成すると、軸34に形成された孔54に、ピン45を圧入するとき、その凹凸57の凸部が孔54の内周面に強く当り、その凸部が削られてしまうからである。
【0052】
そこで、図12の(b)に示すように、凹凸57が形成されたピン部分58の直径を、他のピン部分59の直径よりも小さく設定することが好ましい。このようにすれば、ピン45を孔54に圧入するとき、その凹凸57の凸部が削られてしまうおそれはない。このように構成すると、ピン45の長手方向の両端側に凹凸57を形成することもできる。また、一端側にだけ凹凸57を形成したときも、その一端側を孔54に圧入することができる。ピン45の長手方向の少なくとも一端側に凹凸57を形成することができるのである。
【0053】
以上説明した画像形成装置においては、図2に示したように、軸34に嵌合した回転体が、表面にトナー像が形成される感光体2の感光体軸40に固定された相手ジョイント41に着脱可能に係合するジョイント36より成り、モータ37の回転が、軸34、ジョイント36、相手ジョイント41及び感光体軸40を介して感光体2に伝達されると共に、その感光体2は、モータ37によって、画像形成時の回転方向と逆方向にも回転されるように構成されている。このように、本発明に係る連結装置を、感光体を駆動する軸34と、その軸34が嵌合したジョイント36とを連結する装置に有利に適用することができるが、他の軸と、これが嵌合した回転体を連結する連結装置に適用することもできる。例えば、図1に示した中間転写ベルト3を支持する駆動ローラ4Aを駆動する軸と、その軸が嵌合したジョイントを連結する装置として、本発明に係る連結装置を使用することもできる。かかる画像形成装置においては、軸が嵌合した回転体は、感光体2からトナー像を転写される中間転写ベルト3を駆動する駆動ローラ4Aのローラ軸に固定された相手ジョイントに着脱可能に係合するジョイントより成り、モータの回転が、上記軸、ジョイント、相手ジョイント及びローラ軸を介して駆動ローラ4Aに伝達されると共に、その駆動ローラ4Aは、上記モータによって、画像形成時の回転方向と逆方向にも回転されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】感光体と、その感光体を回転駆動する駆動ユニットを示す概略平面図である。
【図3】軸に固定されたギアと、その軸に連結されたジョイントの斜視図である。
【図4】軸に固定されたギアと、その軸に連結されたジョイントの断面斜視図である。
【図5】軸と、その軸に連結されたジョイントの縦断面図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】ねじ穴にねじをねじ込む前の様子を示す、図5と同様な縦断面図である。
【図8】ねじ穴にねじをねじ込む前の様子を示す、図6と同様な縦断面図である。
【図9】ねじの頭部を、ワッシャを介してジョイントの面に圧接させた例を示す、図5と同様な縦断面図である。
【図10】軸に2本のピンを圧入した例を示す斜視図である。
【図11】係合溝がほぼV字形に形成された例を示す、図6と同様な断面図である。
【図12】ピンに凹凸を形成した例を示す斜視図である。
【図13】従来の連結装置を示す縦断面図である。
【図14】図13のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0055】
2,2Y,2M,2C,2BK 感光体
3 中間転写ベルト
4A 駆動ローラ
34 軸
36 ジョイント
37 モータ
40 感光体軸
41 相手ジョイント
44 取付孔
45 ピン
46 係合溝
47,48 側面
49 端面
50 ねじ穴
51 ねじ
52 頭部
53,55 面
57 凹凸
58,59 ピン部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔の形成された回転体と、該回転体の取付孔に圧入された軸とを連結する連結装置であって、前記軸に固定され、かつ該軸のほぼ半径方向に貫通して延び、前記回転体に形成された係合溝に嵌合したピンと、前記軸に形成され、該軸の端面において開口したねじ穴にねじ込まれて締め付けられ、頭部が直接又は他の部材を介して前記回転体に圧接したねじとを具備する連結装置において、
前記ねじ穴にねじ込まれたねじを締め付けることにより、前記ピンが前記係合溝の面に圧接するように、該係合溝が形成されていることを特徴とする連結装置。
【請求項2】
前記ねじの頭部が直接又は他の部材を介して圧接する回転体の面と、前記軸の端面との間に当該軸の軸線方向に間隔があけられている請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記ピンが金属より成り、前記回転体が樹脂により構成されている請求項1又は2に記載の連結装置。
【請求項4】
前記ピンが複数本設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の連結装置。
【請求項5】
前記複数のピンが、前記軸の周方向にほぼ等角度をなして配置されている請求項4に記載の連結装置。
【請求項6】
前記ねじ穴にねじ込まれたねじを締め付けたとき、前記ピンが前記係合溝の互いに対向する側面に圧接するように、該係合溝が形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の連結装置。
【請求項7】
前記係合溝に圧接するピンの部分に凹凸が形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の連結装置。
【請求項8】
前記ピンの長手方向の少なくとも一端側に凹凸が形成され、該凹凸の形成されたピン部分の直径が、他のピン部分の直径よりも小さく設定されている請求項7に記載の連結装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の連結装置と、該連結装置により連結された軸及び回転体とを備えた画像形成装置。
【請求項10】
前記回転体は、表面にトナー像が形成される感光体の感光体軸に固定された相手ジョイントに着脱可能に係合するジョイントより成り、モータの回転が、前記軸、ジョイント、相手ジョイント及び感光体軸を介して感光体に伝達されると共に、該感光体は、前記モータによって、画像形成時の回転方向と逆方向にも回転されるように構成されている請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記回転体は、感光体からトナー像を転写される中間転写ベルトを駆動する駆動ローラのローラ軸に固定された相手ジョイントに着脱可能に係合するジョイントより成り、モータの回転が、前記軸、ジョイント、相手ジョイント及びローラ軸を介して駆動ローラに伝達されると共に、該駆動ローラは、前記モータによって、画像形成時の回転方向と逆方向にも回転されるように構成されている請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−9231(P2008−9231A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181084(P2006−181084)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】