説明

連続シリカ生成方法およびそれから調製したシリカ生成物

【解決手段】(a)酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属を液状媒質の流れを含むループ反応領域に連続的に供給し、ここで前記酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属の少なくとも一部が反応してシリカ生成物を前記ループ反応領域内の液状媒質において形成し、(b)前記液状媒質をループ反応領域を経て連続的に再循環し、(c)前記シリカ生成物を含む液状媒質の一部を前記ループ反応領域から連続的に取り出すことを備えるシリカ生成物を調製する連続方法を開示する。シリカ生成物および該シリカ生成物を含む歯磨剤組成物も開示する。連続ループ反応器も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2010年2月24日に出願された米国特許出願第12/711,321号の利益を主張し、その全ての開示内容をここに参照して援用する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
沈降シリカは、酸性化剤をアルカリ金属に加えて非晶質シリカを沈殿させることにより調製できる。生成した沈殿物を普通反応媒体からろ別し、次いで洗浄し、乾燥する。一般に、適当な粒径および粒度分布を付与するために、乾燥シリカをその後機械的に粉砕する。工業規模では、前述のステップを結合した段階的なバッチプロセスによってシリカを調製することができる。かかるプロセスが資本集約できるような設備が必要であるが、これは特に反応体が消費されていない際に遊休時間が存在する場合プロセスに非効率性をしばしばもたらす。様々な他のシリカ生成プロセスが存在する一方、これらプロセスの多くは制御および規模の拡大が困難で、多くのものはシリカが生成された後の拡張処理ステップを今なお要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、従来のシリカ生成方法における前述の欠点に対処する改善されたシリカ生成方法の必要性が存在する。この必要性および他の必要性は本発明によって充足される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要約)
ここに開示するシリカ生成物を調製する連続方法は、(a)液状媒質の流れを含むループ反応領域に酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属を連続的に供給し、ここで少なくとも酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属の一部が反応してシリカ生成物をループ反応領域内の液状媒質に形成し;(b)前記液状媒質をループ反応領域中を連続的に再循環し;(c)前記シリカ生成物を含む液状媒質の一部をループ反応領域から連続的に取り出すことを備える。
【0005】
また、最大100cc/100gの吸油量値を有するシリカ粒子を開示するもので、この場合シリカ粒子の少なくとも80%が丸々としたものに丸められ、またシリカ粒子は0.9超の球形度(S80)因子および8.0mg損失/100,000回転未満のブラス・アインレーナー(Brass Einlehner)摩耗値を有する。
【0006】
さらにまた、3〜15μmの粒径と、100cc/100g超の吸油量値と、20%シリカ装填で少なくとも85の外被清浄比(pellicle cleaning ratio、PCR)値を有するシリカ粒子を開示する。
【0007】
また、シリカ粒子を組成物の5〜50重量%の範囲の量で含む歯磨剤組成物を開示するもので、ここで前記シリカ粒子は100cc/100gまでの吸油量値と、0.9超の球形度(S80)因子と、8.0mg損失/100,000回転未満のブラス・アインレーナー摩耗値とを有し、またシリカ粒子の少なくとも80%が丸々としたものに丸められている。
【0008】
さらに、シリカ粒子を組成物の5〜50重量%の範囲の量で含む歯磨剤組成物を開示するもので、ここで前記シリカ粒子は3〜15μmの粒径と、100cc/100g超の吸油量値と、20%シリカ装填で少なくとも85の外被清浄比(PCR)値とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の利点は、部分的には本明細書のこの後で説明され、部分的には本明細書から明らかになり、あるいは後述する実施形態の実施によってわかるだろう。後述の利点は、添付の特許請求の範囲で個々に指摘される要素および組み合わせによって、実現および達成される。前述の概要および以下の詳細な説明はともに、例示的および説明的なものに過ぎず、限定のためではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、典型的な連続ループ反応器の略図である。
【図2】図2は、実施例2Eに関するスラリ(丸)、噴霧乾燥(ひし形)、ハンマーミル(三角)のホリバ製粒径スキャンを示すプロットである。ZEODENT103シリカを比較用に示す(四角)。
【図3】図3Aおよび3Bは、本発明の方法により調製した実施例2Dの走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図4】図4Aおよび4Bは、本発明の方法により調製した実施例2RのSEM画像である。
【図5】図5Aおよび5Bは、本発明の方法により調製した実施例2EのSEM画像である。
【図6】図6Aおよび6Bは、ZEODENT113およびZEODENT165のSEM画像である。
【図7】図7は、本発明の方法により調製した実施例2FのSEM画像である。
【図8】図8は、粒子丸みの図形描写である。
【図9】図9は、丸み計算指標の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
本発明の化合物、組成物、複合体、物品、装置および/または方法を開示し、説明する前に、以下に説明する実施形態は特定の化合物、組成物、複合体、物品、装置、方法または使用に限定されず、もちろん異なるものになってもよいことが理解される。また、ここで用いる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけで、限定を意図するものではない。
【0012】
本明細書およびこれに従う特許請求の範囲において、以下の意味を持つものとして定義されるいくつかの用語が参照される。
【0013】
本明細書の全体を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む」、または「含む(comprises)」もしくは「備える(comprising)」のような変化系は、述べられた要素(integer)またはステップ、または複数の要素またはステップの群の包括の意味であり、他の要素またはステップ、または他の複数の要素またはステップの群を除外する意味ではないと理解される。
【0014】
本明細書および添付された特許請求の範囲において、文脈上明らかに他の意味を指すべき場合を除き、単冠詞「a」、「an」および「the」は複数指示対象を含むことに注意すべきである。したがって、例えば「酸性化剤」は2つまたはそれ以上の材料を合成したものへの指示を含み、他も同様である。
【0015】
「任意の(optional)」、または、「任意に(optionally)」、という表現は後に記述された事象又は状況が生ずることも有り得るし、生じないことも有り得ることを意味し、本明細書ではそのような事象又は状況が生じる場合(あるいは生じない場合)を適宜説明している。
【0016】
本明細書では、範囲を一つの特定の値で「約」として、および/またはもう一つの特定の値で「約」として表現する場合がある。かかる範囲を表現する際に、別の実施形態はある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が概数として表現される場合は、「約」の先行詞を用いることにより、特定の値が別の実施形態を形成すると理解される。さらに、それぞれの範囲の終点はもう一つの終点との関連で共に意味があり、別の終点とは独立していると理解される。
【0017】
本明細書には、本発明の方法及び組成物に使用できるか、それに関連して使用できるか、それに対する製造に使用できるか、またはその製品であるところ化合物、組成物および構成要素が開示されている。これらおよびその他の材料を本明細書に開示し、当該材料の組み合わせ、サブセット、相互作用物、群などが記載されている場合、個々の材料や組み合わされた材料が明記されていなかったり、その化合物の置換・変更が明記されていないとしても、当該明記されていない材料等も本明細書に記載されているものとする。例えば、多くの異なる酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属が開示・説明されている場合、当該酸性化剤およびケイ酸金属の組み合わせや置換の全ては本明細書に記載されたものとする(但し、それを否定する説明がある場合を除く)。従って、試剤A、B、Cのクラスと試剤D、E、Fのクラスと組み合わせ分子A−Dとが記載されている場合、たとえ個々の試剤が記載されていなくても個々の試剤およびそれらの組み合わせは記載されているものとする。つまり、上記の例の場合、A、B、CとD、E、Fが開示され且つA−Dの組み合わせが開示されているので、A−Eの組み合わせ、A−Fの組み合わせ、B−Dの組み合わせ、B−Eの組み合わせ、B−Fの組み合わせ、C−Dの組み合わせ、C−Eの組み合わせおよびC−Fの組み合わせは記載されていると考える。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせも記載されていると考える。つまり、上記の例の場合、例えば、A−E、B−F、C−Eも記載されていると考える(やはり、A、B、CとD、E、Fが開示され且つA−Dの組み合わせが開示されているので)。この考え方は本明細書の全ての記載に適用される。例えば、開示された組成物を製造したり使用したりする方法の各ステップに適用される。従って、追加できるステップがある場合、各追加工程は本明細書に開示された実施形態・実施例またはこれらの組み合わせにおいて実施することができるし、それらは本発明の範囲内のものと考えられる。
【0018】
(シリカ生成物の調製方法)
一実施形態では、本発明の方法は酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩を液状媒質の流れを含む連続ループ反応領域に供給する連続法であり、ここで少なくとも酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩の一部が反応してループ反応領域の液状媒質内シリカ生成物を形成する。酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩を連続ループ反応領域に供給すると、ループ反応領域内の内容物(すなわち液状媒質)が連続的に再循環される。シリカ生成物は、シリカ生成物を含む液状媒質の一部を取り出すことにより回収され、一実施形態ではループ反応領域内に加えた原材料の体積に等しい。
【0019】
ここで用いる「ループ反応領域」は、酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩が反応してシリカ生成物を形成する再循環液状媒質を含む連続的な回路を形成する反応器内の領域を指す。後述するように、一実施形態ではループ反応領域が一つまたはそれ以上のループ反応器のパイプからなる連続的なループ壁によって定義される。一般に、ループ反応領域内の液状媒質は、プロセスの段階に応じて様々な組成を持つ。酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩を液状媒質へ添加するに先だって、媒質は水か、適当な水溶液または水分散液(スラリ)のみ含むことができる。一実施形態では、酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩を反応領域に供給するに先だって、液状媒質は種シリカを含むことができ、これはループ反応領域内ののゲル化を弱め、シリカ生成物の形成を補助するのに役立つことができる。特定の実施形態では、酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩の添加に先だって、沈降シリカ、硫酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムおよび水を先ず反応領域に加え、所要に応じて再循環し、その後酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩を加えることができる。酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩を反応領域に供給すると、シリカ生成物が液体反応媒質に生じる。シリカ生成物は、一般に沈殿物であり、従って液体反応媒質内で分散相となる。一実施形態では、所望のシリカ生成物の収集に先立って、種シリカ生成物をループ反応領域から除去することができる。
【0020】
処理温度および圧力は大きく異なってもよく、所望するシリカ生成物の種類に依存することができる。本方法の一実施形態では、約室温から約130℃までの温度を液状媒質で維持する。同様に、様々な圧力を用いることができる。圧力は大気圧から高圧までとすることができる。例えば、連続ループ反応器を本方法で用いるとき、該反応器は、反応器内の広範囲な圧力を制御するための背圧弁を具えることができる。
【0021】
アルカリ金属ケイ酸塩および酸性化剤を反応領域に様々な割合で供給することができる。アルカリ金属ケイ酸塩の添加割合は、一般に所望のケイ酸塩濃度を反応領域で維持するようなものであり、一方酸性化剤の添加割合は、所望のpHを反応領域で維持するようなものである。一実施形態では、アルカリ金属ケイ酸塩をループ反応領域に少なくとも0.5L/分の割合で供給する。アルカリ金属ケイ酸塩の最大の添加割合は、ループ反応領域の体積およびシリカ生成プロセスの規模に依存して大きく変わる。例えば、大きな体積の反応器を用いる非常に大規模な方法では、ケイ酸塩の高い添加割合が望ましい。一特定例では、アルカリ金属ケイ酸塩を0.5〜5L/分または0.5〜3L/分の割合で供給する。
【0022】
一般に、酸性化剤を反応領域に2.5〜10.5の液状媒質内pHを維持するに十分な速度で供給する。別の実施形態では、酸性化剤を反応領域に7.0〜10の液状媒質内pH、または7.0〜8.5の液状媒質内pHを維持するに十分な速度で供給する。例えば、特定の実施形態では、約7.5のpHを液状媒質内で維持する。液状媒質のpHは、あらゆる従来のpH感応電極により監視することができる。いくつかの例では、液状媒質のpHは、液状媒質(スラリ)のpHを直接測定して評価することができる。これらの例では、液体反応媒質のpHが大抵2.5〜10.5若しくは6〜10または7〜8.5の範囲である。
【0023】
液状媒質は、反応領域内の混合度またはズレ度合いのようなループ反応領域に存在する状況に応じて、また生成プロセスの規模に応じて様々な割合で再循環することができる。一般に、液状媒質はループ反応領域中を少なくとも15L/分の速度で再循環する。ある特定の例では、液状媒質はループ反応領域中を15〜100L/分若しくは30〜80L/分または70〜80L/分の速度で再循環する。
【0024】
種々の酸や、アルカリ金属ケイ酸塩と反応してシリカ生成物を形成し得る他の試剤を含めたさまざまな酸性化剤を用いることができる。酸または酸性化剤は、強い鉱酸、例えば硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等のようなルイス酸またはブレンステッド酸とすることができる。かかる酸を反応領域に希釈溶液として添加することができる。ある特定の例として、酸性化剤として6〜35質量%、より好ましくは10〜17質量%の硝酸溶液をループ反応領域に供給することができる。他の実施形態では、COのような気体を酸性化剤として用いることができる。二酸化炭素は弱酸(炭酸)を生成するので、かかる弱酸を用いる場合、約8.5よりも大きな対象pHを維持するのが液状媒質にとって望ましい場合がある。
【0025】
さらに別の実施形態では、酸性化剤を所望のシリカ生成物の種類に基づいて選択することができる。例えば、硫酸アルミニウムの酸性溶液を酸性化剤として用いることができ、その結果シリカ生成物はアルカリ性のアルミノケイ酸塩となる。具体例として、硫酸アルミニウムを硫酸に添加し、この混合物を酸性化剤として用いることができる。
【0026】
金属ケイ酸塩、2ケイ酸塩等を含む任意適当なアルカリ金属ケイ酸塩を本発明の方法で用いることができる。水溶性のケイ酸カリウムおよびケイ酸ナトリウムが特に好ましい。一般に、本発明の許容し得るシリカ生成物は、アルカリ金属:ケイ酸塩の様々なモル比を有するケイ酸塩で作製することができる。ケイ酸ナトリウムについては、例えば、NaO:SiOのモル比が一般に1:1〜1:3.5、好ましくは1:2.4〜1:3.4の範囲である。ループ反応領域に供給するアルカリ金属ケイ酸塩は、酸性化剤と同様に水溶液として供給するのが好ましい。ループ反応領域に供給するアルカリケイ酸塩溶液は、一般にループ反応領域に供給するアルカリケイ酸塩溶液の全質量に対し約8〜35質量%、より好ましくは約8〜20質量%のアルカリ金属ケイ酸塩を含むことができる。
【0027】
所望に応じて、また供給溶液のアルカリケイ酸塩または酸性化剤の濃度を減らすために、該溶液をループ反応領域に供給する前に希釈水を供給溶液に加えることができ、および/または希釈水をループ反応領域に別々に供給し、その後アルカリ金属ケイ酸塩および/または酸性化剤と、任意の他の液状媒質内容物と混合することができる。
【0028】
所望量の酸性化剤およびアルカリケイ酸塩をループ反応領域に加えると、液状媒質はループ反応領域内を一般に平均して1分当たり3回再循環する。液状媒質がループ反応領域内を再循環する回数は、平均して、ここで「平均通過数」として表わし、以下の方程式に従って計算される。シリカ生成物を取り出す前の再循環ループ内での滞留時間は、反応系の体積を原材料添加割合(アルカリ金属ケイ酸塩添加率+酸性化剤添加率)によって除算することにより計算される。次いで、1分当たりの通過数は再循環速度を全体の系の体積で除算することにより算出することができる。その次に、滞留時間を1分当たりの通過数で乗じて平均通過数を得ることができる。
【数1】

【0029】
シリカ生成物は、平均通過数が3〜200、または10〜200となるように再循環することができる。一般に、平均通過数が高いほど、シリカ生成物の球形度および真円度が大きくなる。従って、再循環通過数(平均通過数)は所望のシリカ生成物の種類に基づいて選択することができる。
【0030】
シリカ生成物は、様々なメカニズムによりループ反応領域から取り出すことができる。一実施形態では、後述するように、連続ループ反応器を本方法に用い、これはループ反応領域からシリカ生成物を取り出すための弁を含むことができる。しかしながら、シリカ生成物を含む液状媒質の一部を反応領域から取り出すように追加の液体を反応領域に添加する(つまり反応領域が溢れる)ことによってシリカ生成物をループ反応領域から移すのが好ましい。これは、一実施形態では、酸性化剤および/またはアルカリ金属ケイ酸塩をループ反応領域内に連続的に加えることによって達成することができ、液状媒質の一部が添加している酸性化剤および/またはアルカリ金属ケイ酸塩の体積によって容量分析的に移されるからである。
【0031】
本方法のいくつかの実施形態では、酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩を連続的に添加する一方、液状媒質を再循環し、またシリカ生成物を取り出している。したがって、一実施形態では、本方法のそれぞれのステップは連続的かつ同時に生じる。さらに別の実施形態では、酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩をループ反応領域にそれぞれ同時に供給する。酸性化剤およびアルカリ金属ケイ酸塩は、ループ反応領域に沿って異なる点でループ反応器に供給するのが好ましい。例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を酸性化剤に対しループの上流で添加することができるので、酸性化剤を反応領域に供給すると、アルカリ金属ケイ酸塩はすでに存在するようになる。
【0032】
シリカ生成物の構造を修正することは、温度、イオン強度、添加速度、エネルギー入力を修正することにより達成することができる。一般に、温度、再循環速度、酸性化剤/アルカリ金属ケイ酸塩の添加率の変化は、シリカ生成物の物理的特性に最大の変化をもたらす。一般に、液状媒質を多く再循環するほど、再循環ループにおけるシリカ生成物の滞留時間が長くなり(添加速度がゆっくりし)、温度が高いほど、生成するシリカ生成物の構造(吸油量によって定義される)が低くなる。液状媒質のpHを操作すると、約9.0より下のpHを用いるとき、ループ反応領域内のシリカ沈着物(付着物)を最小にすることが観察された。
【0033】
シリカ生成物は、ループ反応領域から適当な容器内に取り出した後に収集し、所要に応じて処理することができる。いくつかの実施形態では、シリカ生成物は更なる処理(塩などを取り除くための洗浄以外のもの)を必要とせず、湿潤固形状物として出荷し得るか、または所望に応じて乾燥することができる。一実施形態では、例えば、生成するシリカ生成物を当業界で既知の方法に従って噴霧乾燥することができる。或いはまた、シリカ生成物の湿潤固形状物を得、再スラリ化し、スラリ形態で取扱い、供給するか、または濾塊として直接供給することができる。一般に、ここに開示するシリカ生成物の乾燥は、シリカを乾燥する、例えば噴霧乾燥、ノズル乾燥(例えば塔または噴水)、フラッシュ乾燥、回転車輪乾燥またはオーブン/流動床乾燥のために用いる任意の従来の設備により行うことができる。乾燥シリカ生成物は、一般に1〜15質量%の水分レベルを有すべきである。シリカ反応生成物の特性および乾燥処理の両方が、かさ密度および液体キャリア容量に影響を与えると知られている。
【0034】
別の実施形態では、所望のシリカ生成物の特性に応じて、シリカ生成物に様々な処理を施すことができる。例えば、シリカ生成物を収集した後、シリカスラリのpHを調整する、例えばろ過および洗浄に続いて硫酸のような酸を用いてより低くすることができる。この例では、シリカ生成物を所望の導電性、例えば1500μS〜2000μS(ジーメンス)まで洗浄し、続いて上述したように乾燥することができる。
【0035】
乾燥シリカ生成物のサイズをさらに小さくするためには、所要に応じて、従来の粉砕および破砕装置を用いることができる。金槌または揺れフライス装置を粉砕用に一回または多重回数用いてもよく、また微粉砕を流体エネルギーまたはエアージェットミルにより行うことができる。所望のサイズに粉砕した生成物は、従来の分離技術、例えば遠心分離器、分級器または適切なメッシュサイズの振動篩などによって他のサイズと分けてもよい。
【0036】
乾燥生成物またはスラリ形状の生成物のサイズに影響するシリカ生成物の分離前および/または合成中に生成するシリカ生成物の粒径を小さくする方法もある。これらは、メディアミルに限定しないが、高剪断装置(例えば高剪断ポンプまたはローターステーターミキサー)または超音波装置の使用を含み、いくつかの実施形態では、製造処理中例えば再循環ループに用いることができる。湿式シリカ生成物で行う粒径の減少は、乾燥前のいつでも行うことができる。
【0037】
(シリカ生成物)
様々な種類のシリカ生成物が、出発材料および処理条件に応じてここに開示した方法を用いて調製することができる。一実施形態では、本発明のシリカ生成物が100cc/100gまでの吸油量を有するシリカ粒子である。かかる実施形態では、シリカ粒子の少なくとも80%が丸々としたものに丸められている。これらシリカ粒子はまた、0.9よりも大きな球形度(S80)因子および100,000回転当たり8.0mgの減量未満のブラス・アインレーナー摩耗値を有する。
【0038】
ここで用いる「丸められた」粒子は、平面およびほとんど存在しない小さな凹部を備えるなだらかに丸められた角を有するものである。「丸々とした」粒子は、平面、角、または識別可能な凹部を有しない均一な凸状の粒輪郭を有するものである。
【0039】
丸々としたものに丸められた本発明のシリカ粒子の特徴付けを以下の手順に従って行う。シリカ粒子の代表的な試料を収集し、走査型電子顕微鏡により検査する。写真は、全体の画像を代表する2つの異なる倍率で撮られている。初めの画像は約200の倍率で撮られ、試料同質性のセンスを得るために用いられる。次に、約20,000の倍率のSEM画像を評価する。好ましくは、画像に表われる約20の粒子の最小値があるべきで、全体として試料の代表的な写真であることに注意が払われるべきである。次いで、この画像の粒子を表1に従う分類によって評価、特徴付けする。100cc/100gまでの吸油量を有する本発明の粒子の少なくとも80%が丸々としたものに丸められたとして特徴付けすることができる。
【0040】
表1 粒子の丸みの特徴付け
【表1】

【0041】
粒子の丸みの特徴付けを補助するために、図8に示し標準的なシルエット図を用いることができる。拡大SEM画像内に表示されたような粒子を、図8に示した標準粒子丸みチャートと比較し、それに応じて分類する。この処理を通常沈降分離学で行う。具体的な例として、本方法により調製した図3〜5に示す粒子を、図8との対比により丸々としたものに丸められたとして事実上分類され、これは粒子の少なくとも80%が丸々としたものに丸められたことを意味する。対照的に、従来のバッチ法により調製した図6に示すシリカ生成物は、図8との対比により平坦な側面および鋭くギザギザな縁が観測し得るで、ほとんど角、亜角、亜円のものとして分類された。
【0042】
100cc/100g未満の吸油量値を有する本発明のシリカ粒子は、丸みの指標に従って特徴付けることもできる。ここで用いる「丸みの指標」とは、コーナーおよび縁の曲率半径と、粒子の内接円の最大半径との比率によって定義される。丸みの指標は以下の方程式に従って計算することができる。
【数2】

ここで、rは各コーナーの曲率半径であり、Nはコーナーの数であり、Rは粒子の内接円の最大半径である。各曲率半径rを計算し、合計する。次いで、この値をコーナーの数で除算することにより平均化する。次に、得られた値を内接円の最大半径Rにより除算する。このプロセスは手動によるか、または20,000の倍率のSEM画像を用いる市販の図形分析ソフトウェアによって行うことができる。
【0043】
図9を参照すると、r,・・・,rはそれぞれのコーナーの曲率半径であり、Rは粒子の内接円の最大半径である。一例とした、内接円の最大半径に等しい平均曲率半径を有する完全な球体は、1.0の丸み指標を有する。粒子の縁および面の数が増加するにつれて、式の分子が減少し、粒子の全体の丸みが減少する。丸みは、「地層学と沈降学」第2版、著者Krumbein,Sloss(1963年)に詳細が議論され、その丸みの教示をここに参照して援用する。
【0044】
一実施形態では、本発明のシリカ粒子は100gあたり100cc以下のオイル吸着値を有し、ここでシリカ粒子の少なくとも80%が少なくとも0.8、より好ましくは少なくとも0.9の丸み指数を有する。かかるシリカ粒子はまた、0.9よりも大きな球形度(S80)因子および100,000回転当たり8.0mg損失未満のブラス・アインレーナー摩耗値を有する。これら粒子の少なくとも80%は、上述したように、図8に示したシルエットとの対比により丸々としたものに丸められたとして分類することができる。丸み指標の計算のプロセスは上述のとおりであり、すなわち、20,000の倍率のSEM画像で好ましくは少なくとも20粒子を有する代表試料が評価される。
【0045】
100cc/100gまでの吸油量値を有する本発明のシリカ粒子はまた、少なくとも0.9の球形度因子(S80)を有する。ここで用いるS80は、以下のように定義、算出される。シリカ粒子試料を代表する20,000の倍率のSEM画像を写真画像ソフトウェアに取り込み、それぞれの粒子の輪郭(2次元的)をトレースする。互いに近接するが、互いに接触しない至近距離にある粒子は、評価用の独立した粒子と認識すべきである。輪郭付けした粒子を顔料で色付けし、その画像を粒子の周長および面積を決定し得る粒子特徴化ソフトウェア(例えばメリーランド州ベセスダ市Media Cybernetics社から入手可能なIMAGE−PRO PLUS)に取り込む。次いで、粒子の球形度を以下の方程式に従って計算することができる。
【数3】

ここで周長とは粒子の輪郭付けトレースに由来したソフトウェア計測周長であり、面積は粒子のトレースされた周長内のソフトウェア計測面積である。
【0046】
上記計算は、SEM画像内で完全に一致する各粒子に対して行う。次いで、これら値を値別に分類し、これら値の最低20%を廃棄する。これら値の残り80%を平均化してS80を得る。一例として、図5に示した粒子の球形度因子(S80)は0.97であることが分かる。
【0047】
100cc/100gより大きな吸油量値を有するシリカ粒子は、一般に上述したシリカ粒子と同じ高さの球形度および丸みを有しないことが観察された。しかしながら、かかる粒子は粘性を上昇させる能力を有し、歯磨剤組成物において優れた洗浄力を付与する。これら粒子の典型的な画像を図7に示し、これは以下の実施例2で説明した試料2Fである。
【0048】
従って、さらなる実施形態では、本発明のシリカ粒子は、100cc/100gより大きな吸油量値を有することができる。これら粒子は、上述した100cc/100g以下の吸油量値を有する粒子と同じ丸みおよび球形度を示さない場合がある。しかしながら、100cc/100gより大きな吸油量値を有するシリカ粒子は、3〜15μmの粒径を有するとして特徴付けられ、一般に20%シリカ装填で少なくとも85、例えば85〜120の外被洗浄比(PCR)値を示す。
【0049】
本発明のシリカ粒子はまた、後述する様々な別の特性によって特徴付けられる。他に記載されない限り、以下の特性は100cc/100g以下の吸油量値および100cc/100gより大きな吸油量値を有する粒子のいずれにも言及する。
【0050】
本発明のシリカ粒子のメジアン粒径を、処理中の様々な段階で、また様々な粒子の取り扱いステップの前後に求める。ここで用いるメジアン粒径、平均粒径(APS)およびD50は、試料の50%がより小さなサイズを有し、試料の50%がより大きなサイズを有する粒径をここでは指す。
【0051】
一実施形態では、本発明のシリカ粒子が液体反応媒質内に存在したままで3〜10μm、好ましくは3〜8μm、より好ましくは4〜6μmのメジアン粒径を有する。特定の例では、液体反応媒質内のシリカ粒子のメジアン粒径は5〜6μmである。液体反応媒質内の粒子のメジアン粒径を求めるためには、液体反応媒質のアリコートを再循環反応領域から、例えば容積変位により取り除き、そしてアリコート内の粒子を分析することができる。
【0052】
シリカ生成物をループ反応領域から取り出し、シリカ生成物を乾燥した後であるが、あらゆる微粉砕ステップ前で、生成したシリカ粒子は3〜25μmのメジアン粒径を有する。いくつかの例では、乾燥後だが微粉砕前に、シリカ粒子は3〜15μmのメジアン粒径を有する。さらに他の例では、乾燥後だが微粉砕前に、シリカ粒子は4〜8μmのメジアン粒径を有する。
【0053】
上述したように、微粉砕を用いて乾燥シリカ粒子の粒径を減ずることができる。例えば、レイモンド微粉砕またはエアー微粉砕後に、シリカ粒子は一般に3〜10μmのメジアン粒径を有する。特定の例では、微粉砕(レイモンド微粉砕および/またはエアー微粉砕を含む)後に、シリカ粒子は3〜7μm、または実に5〜7μmの粒径を有する。
【0054】
一般に、粒子の乾燥粒径、球形度および丸みはシリカの構造に関係すると観察された。構造が低いと、液体反応媒質(スラリ)の粒径分布に対しほとんど変化のない丸々とした/より高い球形度の粒子の高い比率が乾燥によりもたらされる。構造が増加すると、丸々とした粒子のレベル/高い球形度が減少し、平均粒径が乾燥により増大する。高い構造の試料は、穏やかなレイモンド微粉砕でそれらのスラリ粒径を減少することができる。より激しいレイモンド微粉砕でもエアー微粉砕でも、粒径をスラリ粒径よりも小さくすることは実質的にない。低い構造の生成物の微粉砕は、粒径に大した変化をもたらさない。シリカ粒子の構造は、一般に吸油量能力を指す。従って、低い構造のシリカは低い吸油量能力を有し、一方高い構造のシリカは高い吸油量能力を有する。
【0055】
メジアン粒径は、ペンシルバニア州ブースウィンのホリバ・インスツルメンツ社から市販の型番LA−930(またはLA−300または同等物)のレーザ光散乱装置を用いて求めた。
【0056】
一般に、本発明のシリカ粒子は狭い粒径分布を有する。粒径分布は、均等係数、曲率係数および分布の対称性を含む多数のパラメータに基づいて評価することができる。均等係数(Cu)はD60/D10として定義される。曲率係数(Cc)は(D30/(D10×D60))として定義される。ピーク対称性もまた、(D90−D50)/(D50―D10)として定義することができ、ここで1.0の形状値が完全に対称的な曲面を表す。シリカ粒子の均等係数は一般に1.8〜2.5の範囲である。曲率係数は一般に0.2〜0.31の範囲であり、一方曲面の形状値は一般に1.3〜1.7の範囲である。具体例では、ピーク対称性は1.3〜1.5の範囲で、シリカ粒子の極めて対称的な分布を示した。
【0057】
本発明のシリカ粒子は、シリカ100gあたり57〜272ccの水の範囲である水吸収値を有したものの、水吸収値はさらに高くすることができる。水吸収値はC.W.Brabender Instrument,Inc製の吸収計「C」トルクレオメータによって求める。およそシリカ(またはケイ酸)の1/3カップを吸収計の混合室に移し、150rpmで混合する。次いで、水を6ml/分の速度で加え、粉末の混合に必要なトルクを記録する。水が粉末により吸収されると、粉末が自由流動粉末からペーストに変形するので、トルクが最大値に達する。最大トルクに到達した際に加えられた水の全体積を、100gの粉末によって吸収され得る水の量に標準化する。粉末を受け入れたままの基準(予め乾燥していない)で用いるので、水分の無い粉末の値を用いて、以下の方程式により「水分補正水AbC値」を計算する。
【数4】

【0058】
吸収計を通常用いて、ASTM D 2414法 BおよびC並びにASTM D 3493に従うカーボンブラックのオイル数を求める。
【0059】
上述したように、一実施形態では、本発明のシリカ粒子は100cc/100g以下、例えば30〜100cc/100gの吸油量値を有し、他の実施形態では、シリカ粒子は100cc/100g超、例えば100cc/100gを超えて150cc/100g以下の吸油量値を有する。一般に、本発明のシリカ粒子は、シリカ100gあたり30〜171cc(cmまたはmL)の油吸収の吸油量能力を有することが観察された。
【0060】
吸油量値は、抹消法(ASTM D281)を用いて測定した。この方法は、堅いパテ状のペーストが形成されるまでアマニ油/シリカ混合物をなめらかな表面のヘラで擦り込むことによってアマニ油をシリカに混合する原理に基づく。散開するときに丸まるペースト混合物に必要な油の量を測定することによりシリカの吸油量値を算出することができ、これはシリカ吸収能力を飽和するシリカの単位重量あたりに必要な油の体積を表す。より高い吸油量値のレベルは、より高いシリカ構造を示す。低い値は低い構造シリカと思われることを示す。吸油量値は以下の方程式によって求めることができる。
【数5】

【0061】
本発明のシリカ粒子は、一般に10〜425m/gの範囲のBET表面積を示す。特定の例では、シリカ粒子が10〜300m/g、好ましくは50〜350m/gの範囲のBET表面積を示す。開示されたシリカ粒子のBET表面積はBrunaur et al., J. Am.Chem. Soc., 60, 309(1938)のBET窒素吸収方法によって求め、そのBET表面積測定の教示についてここに参照して援用する。
【0062】
開示されたシリカ粒子のCTAB表面積は、一般に10〜250m/gの範囲であり、いくつかの例では50〜200m/gの範囲である。シリカのCTAB表面積は、シリカ表面上でCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)を吸収し、余剰分を遠心分離によって分離し、界面活性剤電極を用いてラウリル硫酸ナトリウムの滴定によって定量することによって求める。具体的には、約0.5gのシリカを100mlのCTAB溶液(5.5g/L)と共に250mlビーカーに入れ、電気撹拌プレート上で1時間混合し、次いで10,000rpmで30分遠心分離する。1mlの10%トリトンX100を、100mlビーカーの上澄み5mlに加える。pHを0.1NのHClで3.0〜3.5に調節し、終点を測定するために界面活性剤電極(Brinkmann SUR1501−DL)を用いて試料を0.0100モル(M)のラウリル硫酸ナトリウムで滴定する。
【0063】
開示されたシリカ粒子の水銀(Hg)侵入体積は、一般に0.5〜3mL/gの範囲である。水銀侵入体積または全細孔容積(Hg)は、Micromeritics Autopore II 9220装置を用いた水銀圧入法により測定する。
【0064】
細孔の直径は、130°に等しい接触角シータおよび485dynes/cmに等しい表面張力ガンマを採用したWashburn方程式によって算出することができる。水銀を圧力の関数として粒子の空隙に押し込み、試料1グラムあたりに侵入した水銀の体積を各圧力設定で算出する。ここに現れた全細孔容積は、真空から60,000psiまでの圧力下で侵入した水銀の蓄積した体積を意味する。各圧力設定での体積増分(cm/g)を、圧力設定増分に対応する細孔の半径または直径に対してプロットする。細孔半径又は直径曲線に対する侵入体積のピークは、細孔径分布のモードに相当し、試料中の最も共通する細孔径を同定する。特に、試料サイズを調節して、5mLのバルブおよび約1.1mLの幹体積を有する粉末針入度計で25〜75%の幹体積を達成する。試料を50μmの水銀圧力まで排気し、5分間保持する。水銀は、およそ103のデータ収集点のそれぞれで1.5〜60,000psiで10秒の平衡時間で細孔を充填する。
【0065】
本発明のシリカ粒子の水溶液は、一般に100,000回転当たり10mg損失未満、好ましくは100,000回転当たり8.0mg損失未満、より好ましくは100,000回転当たり5.0mg損失未満のブラス・アインレーナー摩耗(BEA)値を示す。BEA値は、通常少なくとも1である。BEA値の具体的な範囲は100,000回転あたり1〜10、1〜8、1〜7、および1〜5mg損失を含む。
【0066】
本発明のシリカ生成物の硬度を測定するのに用いるブラス・アインレーナー摩耗(BEA)試験がKarpeらによる米国特許第6,616,916号に詳細に説明され、そのBEA摩耗試験の教示についてここに参照して援用する。一般に、試験は下記のように用いるEinlehner AT−1000 Abraderを含む;(1)Foudrinier真鍮製ワイヤスクリーンを秤量し、10%水性シリカ懸濁液の作用下に一定時間曝す;(2)次いで摩耗量を100,000回転当たりFoudrinier真鍮製ワイヤスクリーンから損失した真鍮のmgとして求める。mg単位で測定した損失の結果を、10%ブラス・アインレーナー(BE)摩耗値として特徴付ける。
【0067】
シリカ粒子のテクニダイン(Technidyne)輝度値は、一般に95〜100の範囲である。具体的な例では、テクニダイン輝度値は97〜100、あるいは実に98〜100の範囲である。輝度を測定するためには、微粉末シリカを滑らかな表面のペレットにプレスし、テクニダイン輝度計S−5/BCを用いて分析する。この装置は、試料を45°の角度で照射し、反射光を0°で見る二光束の光学システムを有する。これは、TAPPI試験法T452およびT646ならびにASTM StandardD985に適合する。粉末物質を約1cmのペレットに滑らかで、緩んだ粒子や光沢のないペレット表面を与えるに十分な圧力でプレスする。
【0068】
開示されたシリカ粒子の分散体は、一般に1.4超の屈折率(RI)値を有する。いくつかの例では、開示されたシリカ粒子の分散体は、1.4〜1.5のRI値を有する。分散体は、一般に20〜75の範囲の%透過率(%T)を有する。
【0069】
屈折率および光透過度を測定するために、様々なグリセリン/水の貯蔵液(約10)を調製するので、これら溶液の屈折率は1.428〜1.460の間にある。通常、これら貯蔵液は水中で70重量%〜90重量%グリセリンの範囲をカバーする。RIを測定するために、標準溶液の1滴または2滴を別に屈折計(Abbe 60 Refractometer Model 10450)の固定プレート上に置く。カバープレートを所定の位置に取り付け、固定する。光源および屈折計のスイッチを入れ、各標準溶液の屈折率を読み取る。
【0070】
別の20mlのボトルにおいて、2.0+/−0.01mlの開示されたシリカ生成物を18.0+/−0.01mlの各それぞれのグリセリン/水貯蔵溶液に加える(150超の吸油量値が測定された生成物に対する試験では、1.0gの開示されたシリカ生成物および19.0gの貯蔵グリセリン/水溶液を使用)。次いで、ボトルを力強く振ってシリカ分散体を形成し、ストッパーをボトルから取り除き、ボトルをデシケーターに置き、その後真空ポンプ(約24インチHg)で排気した。
【0071】
次いで、分散体を120分間脱気し、完全な脱気について視覚的に検査する。590nmでの“%T”(Spectronic 20D+)を、製造作業者の指示書に従い、試料が室温に戻った(およそ10分)後に測定する。開示されたシリカ生成物の%Tを、各分散体のアリコートをクォーツ製キュベット内に置き、各試料に対し波長590nmで%Tを0〜100の目盛りで読み取ることにより測定する。%透過率対貯蔵溶液のRIを曲線上にプロットする。シリカのRIは、%T対RI曲線のプロットしたピーク最大値(縦座標またはX値)の位置として定義する。ピーク最大値のY値(または横座標)は%Tである。
【0072】
シリカ粒子をろ過し、水洗して硫酸ナトリウムレベル(存在する場合)を許容レベルまで下げることができる。反応生成物の洗浄は、一般にろ過後に行う。所要に応じて、ここに記載した次のステップに進む前に、洗浄された湿潤塊のpHを調整することができる。本発明のシリカ粒子の硫酸ナトリウム含有量は、約6%以下とすることができる。硫酸ナトリウム含有量は、シリカスラリの既知の濃度の伝導率によって測定した。具体的には、38gのシリカの湿潤塊試料をモデルナンバー30のHamilton Beach混合器の4分の1混合カップに秤量し、140mlの脱イオン水を加えた。スラリを5〜7分間混合し、その後スラリを250mlのメスシリンダーに移し、ミキサーカップを洗浄するための水を用いて、シリンダーに脱イオン水を250mlの印まで充填した。メスシリンダー(蓋付)を数回ひっくり返すことにより試料を混合した。Cole Parmer CON 500 Model#19950のような導電率計を用いて、スラリの導電率を求めた。硫酸ナトリウム含有量を、硫酸ナトリウム/シリカ組成物スラリの既知の加法により得た標準曲線と試料の伝導率とを比較することにより求めた。
【0073】
(歯磨剤組成物)
本発明のシリカ生成物は、特に研磨剤や洗浄剤の一部または全部として歯磨剤組成物に有用である。ここで用いる「歯磨剤組成物」は、例えば歯の接触可能表面を洗浄することにより腔衛生を維持するのに使用し得る組成物を指す。歯磨剤組成物は、液体、粉末またはペーストとすることができる。一般に、歯磨剤組成は主として水、洗浄剤、保湿剤、結合剤、香味剤および微粉砕したパウダー状研磨剤(開示したシリカ生成物)からなる。本発明のシリカ粒子は、歯磨剤組成物に組み込まれると、約5〜50質量%、好ましくは約10〜50質量%、より好ましくは約10〜35質量%のレベルで存在することができる。具体例として、歯磨剤組成物は、約20質量%で存在するシリカ粒子を含むことができる。
【0074】
典型的な口腔用歯磨剤または口腔用洗浄剤は、下記の成分の任意の一つ以上を任意適当な量、例えば以下の量(重量%)で含むことができる。下記の例のシリカ増粘剤は、当業界で既知のあらゆる増粘剤、例えば後述するようなZEODENT生成物とすることができ、および/または本発明のシリカ粒子を含むことができる。研磨剤は、本発明のシリカ粒子を表2に示す量で含むのが好ましい。
【0075】
表2 典型的な歯磨剤組成物における成分および相対量
【表2】

【0076】
開示されたシリカ粒子は、歯磨剤組成物における研磨剤として単独で、若しくはここに開示するかまたは当業界で既知な他の研磨材料との添加剤または共研磨剤として利用できる。したがって、他の従来型の研磨添加物のいくらでも、本発明の歯磨剤組成物中に存在することができる。かかる他の研磨粒子としては、例えば、沈降炭酸カルシウム(PCC)、重質炭酸カルシウム(GCC)、チョーク、ベントナイト、第二リン酸カルシウムまたはその二水和物、シリカゲル(それだけで、および任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈降シリカ(同様にそれだけで、および任意の構造のもの)、パーライト、二酸化チタン、第二リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、仮焼アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒状熱硬化性樹脂および他の適当な研磨材料が挙げられる。かかる材料を歯磨剤組成物にを導入してターゲット製剤の研磨特性を調整することができる。
【0077】
研磨剤成分に加えて、歯磨剤は一つ以上の感覚刺激性の増強剤を含むこともできる。感覚刺激性の増強剤としては、保湿剤、甘味料、界面活性剤、香味料、着色料および増粘料(ときには結合材、ガム、安定化剤としても既知)が挙げられる。
【0078】
保湿剤は、乾燥から歯磨剤を防ぐほかに、体や「口の質感」を歯磨剤に加えるのに役立つ。適当な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、水素化デンプン加水分解物およびその混合物が挙げられる。具体例では、保湿剤が歯磨剤組成物の約20〜50質量%、例えば40%の量で存在する。
【0079】
甘味料を歯磨剤組成物(例えば歯磨き粉)に加えて、満足のいく味を生成物に授けることができる。適当な甘味料としては、サッカリン(サッカリンナトリウム、サッカリンカリウムまたはサッカリンカルシウムとして)、シクラミン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩として)、アセスルファムカリウム、ソーマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリシルヒジン、D型グルコース、果糖、スクロース、マンノースおよびグルコースが挙げられる。
【0080】
界面活性剤を本発明の歯磨剤組成物に用いて、該組成物をより美容上許容できるようにすることができる。界面活性剤は、組成物に洗浄および発泡特性を付与する洗浄材料であるのが好ましい。適当な界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸塩、ミリストイルサルコシン酸塩、パルミトイルサルコシン酸塩、ステアロイルサルコシン酸塩およびオレオイルサルコシン酸塩のアルカリ金属またはアンモニウム塩、ポリオキシエチレンソルビタンのモノステアレート、イソステアレートおよびラウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシン、N−ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシンまたはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウムおよびエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレン・オキシド凝縮物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタインなどのような安全かつ有効量のアニオン、カチオン、非イオン、双性イオン、両性およびベタインの界面活性剤である。ラウリル硫酸ナトリウムが好適な界面活性剤である。界面活性剤は、通常本発明の口腔ケア組成物中に約0.1〜15質量%、好ましくは約0.3〜5質量%、例えば約0.3〜2.5質量%の量で存在する。
【0081】
香味剤も歯磨剤組成物に加えることができる。適当な香味剤としては、限定しないが、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、サッサフラス油、クローブの油、シナモン、アネトール、メンソール、チモール、オイゲノール、オイカリプトール、レモン、オレンジおよびフルーツの香りやスパイスの香りなどを付与する他のかかる風味化合物が挙げられる。これら香味剤は、一般にアルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸ならびに脂肪族、芳香族および他のアルコールの混合物を含む。
【0082】
着色剤を加えて、生成物の美的外観を改善することができる。適当な着色剤としては、限定しないが、FDAのような適切な規制機関によって認可されている着色剤、および欧州食品医薬品指令にリストされているものが挙げられ、またTiOのような顔料やFD&CおよびD&C染料のような色素を含む。
【0083】
増粘剤は、練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するため、歯磨剤組成物に有用である。適当な増粘剤としては、シリカ増粘剤;デンプン;デンプンのグリセライト;カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアガムおよびセルロースガムのようなガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン;セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよび硫酸化セルロースのようなセルロース化合物;ヘクトライトクレイのような天然および合成クレイ;並びにこれらの混合物が挙げられる。増粘剤又はバインダの典型的な量は、練り歯磨き組成物の約0〜15重量%である。
【0084】
歯磨き粉組成物内での利用に有用なシリカ増粘剤は、例えば非限定的な例として、ZEODENT165シリカのような非晶質沈降シリカを含む。他の好適な(限定しないが)シリカ増粘剤は、ZEODENT153,163および/または167、およびZEOFREE177および/または265シリカ生成物を含み、全てがジェイ・エム・フーバー・コーポレーション(J.M.Huber Corporation)から入手可能である。
【0085】
治療薬を組成物に用いて、虫歯、歯周病および温度感受性の予防および治療を提供することができる。治療薬の例としては、限定しないが、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化スズ、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウムなどのようなフッ化物源;ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸一水素三ナトリウムのような縮合リン酸塩;トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、トリメタホスフェートおよびピロホスフェート;トリクロサン、ビスグアニド、アレキシジン、クロルヘキシジンおよびグルコン酸クロルヘキシジンのような抗微生物剤;パパイン、ブロメライン、グルコアミラーゼ、アミラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、タンナーゼおよびプロテアーゼのような酵素;塩化ベンザルコニウム(BZK)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、塩化セチルピリジニウム(CPC)および臭化ドミフェンのような第四級アンモニウム化合物;クエン酸亜鉛、塩化亜鉛およびフッ化スズのような金属塩;サンギナリアエキスおよびサンギナリン;ユーカリプトール、メントール、チモールおよびサリチル酸メチルのような精油;フッ化アミン;過酸化物などが挙げられる。治療薬は、歯磨剤に単独で又は組み合わせて治療上安全および有効レベルで使用し得る。
【0086】
保存剤も本発明の組成物に加えて、細菌成長を防止することができる。メチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウムのような口腔組成物用に承認された適当な保存剤を安全かつ有効量で加えることができる。
【0087】
開示された歯磨剤には、様々な追加成分、例えば脱感作薬、治療薬、その他の虫歯予防剤、キレート剤/封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、その他の歯垢防止/歯石防止剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素、酵素、pH調整剤、酸化剤、抗酸化剤なども加えることができる。
【0088】
歯磨剤組成物はまた、典型的には溶媒を含み、それは通常水である。一般に、上述の添加剤のほかに組成物の残り部分には水が供給される。水は好ましくは脱イオン化され、また不純物が無い。歯磨剤は通常約5重量%〜約70重量%の水を含み、例えば5重量%〜35重量%、具体的には11%の水を含む。
【0089】
開示された歯磨剤組成物の具体例は、10〜50重量%の開示されたシリカ粒子、グリセリン、ソルビトール、水、CARBOWAX600、CEKOL、ピロリン酸四ナトリウム、サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム、ZEODENT、二酸化チタン、ラウリル硫酸ナトリウム、香味料、および任意の着色料を含むものである。
【0090】
ここに開示された歯磨剤組成物は種々の測定法を用いて評価することができる。歯磨剤組成物の清掃性は、通常外被清掃比(“PCR”)値に関して表される。PCR試験は、歯磨剤組成物が固定されたブラッシング条件下で歯から外被膜を除去する能力を測定する。PCR試験は“In Vitro Removal of Stain With Dentifrice”G.K.Stookeyら、J.Dental Res.,61,1236-9,1982に記載されており、そのPCRについての教示をここに参照して援用する。一般に、本発明の歯磨剤組成物は、20%の負荷レベルで少なくとも85、たとえば約85〜107のPCR値を有する。
【0091】
本発明の歯磨剤組成物の放射性象牙質研磨(RDA)は、一般に少なくとも100、例えば約100〜315である。本発明で用いるシリカ粒子を含む歯磨剤のRDA値は、HeffereのJournal of Dental Res., July-August 1976,55(4),pp.563-573、またWasonの米国特許第4,340,583号、4,420,312号および4,421,527号に記載の方法に従って求められ、これらのRDA測定の教示についてここに参照して援用する。PCRおよびRDAの結果はいずれも歯磨剤組成物の成分の性質および濃度によって変動する。PCRおよびRDA値は無単位である。
【0092】
開示された歯磨剤組成物の歯磨き粉(歯磨剤)の粘度は変化し、Helipath T−Fスピンドルを備え、5rpmにセットしたBrookfield粘度計Model RVTを利用して、練り歯磨きの粘度を25℃で、スピンドルが練り歯磨き試験試料を通って降下するときの3つの異なる高さで測定し、結果を平均化することにより測定することができる。Brookfield粘度はセンチポアズ(cP)で表される。
【0093】
(連続ループ反応器)
本発明の方法は、種々の実施形態において、連続ループ反応器または管状反応器を用いて行うことができる。適当な連続ループ反応器は、一般に一つ以上のパイプにより画定した連続ループと全て流体連結する酸性化剤用入り口と、ケイ酸アルカリ金属用入り口と、生成物の取り出し口とを備える。連続ループ内の液状媒質を、ループ自体の中にあるポンプのような種々の手段を用いて再循環する。連続ループ反応器の他の構成要素は、限定しないが、液状媒質の温度を制御するためのループ内の熱交換器、圧力制御のための背圧弁および/または液体反応媒質の内容物を混合するためのループ内のインライン混合装置を含むことができる。
【0094】
図1を参照すると、典型的な連続ループ反応器100は、酸性化剤をループ反応領域の液状媒質に導入するための酸性化剤入り口110と、ケイ酸アルカリ金属をループ反応領域に導入するためのケイ酸アルカリ金属入り口120とを備える。ループ反応領域は、連続ループを画定する一つ以上のパイプ130によって定まる。一つ以上のパイプ130を介して液状媒質を再循環させるためのポンプ140を含む様々な他の構成要素がまた、連続ループ反応器100内に存在できる。本発明の処理中に、ポンプ140は液体反応媒質と液体連結すべきである。連続ループはまた、インライン混合装置150と液体連結してもよい。図1に示した例では、インライン混合装置150は酸性化剤の入り口と液体連結し、酸性化剤を連続ループに入れるのを促進し、液状媒質をループ反応領域の内側で混合するのに役立つ。熱交換器160はまた、連続ループにおいて液状媒質の温度を制御するために存在することができる。したがって、熱交換器160は連続ループを画定する一つ以上のパイプ130と熱連結する。酸性化剤、ケイ酸アルカリ金属または上述した別の液体を反応器に連続的に加えると、液状媒質が連続ループから溢れ、生成物取り出し口170を介してループ反応領域から離脱する。次いで、生成物を収集する。具体的な実施形態では、反応器がループ反応器内の圧力を規制する背圧弁(図示せず)のような一つ以上のパイプ130と液体連結する一つ以上の圧力制御装置を備えることができる。
【0095】
任意適当なポンプ140をループ反応器に用いることができる。インラインミキサー装置150は、高い剪断環境を再循環液状媒質に提供するのにある程度用いられ、好ましくは回転子/固定子型のインラインミキサーである。有用な回転子/固定子ミキサーの例としてはSilverson Machines,Inc製Silverson Model 450LSのようなSilversonインラインミキサー;またはIKA-WorksInc.,Wilmington,North Carolina 26405の市販品およびModel ME−410/420Xおよび450Xを含むCharles Ross and Son Company,Hauppage,NY11788の市販品がある。
【実施例】
【0096】
(実施例)
以下の実施例は、当該分野の当業者に、ここに請求する化合物、組成物、物品、装置および/または方法がいかになされ、評価されるかの、完全な開示および説明を提供するために提供され、純粋に本発明の実施形態を意図したもので、本発明者らが発明とみなす範囲を限定することを意図するものではない。使用する数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力はしてきたが、誤差や偏差はありうる。特に断りのない限り、部は重量部であり、温度は摂氏または室温であり、圧力は大気圧であるかそれに近い圧力である。
【0097】
(実施例1 連続ループ反応器)
連続ループ反応器は、反応スラリを取り出す前に何回も循環できる再循環ループで設計された(図1参照)。再循環ループは、可撓性ホースの部分により一緒に結合された固定パイプの部分からなる。パイプ/ホースの内径はおよそ1インチとした。ループの片側にポンプを配置して反応物を循環し、反対側にSILVERSONのインラインミキサーを設けて系に付加的な剪断を付与し、また酸性化剤を導入するための入り口として用いる。ポンプとミキサーとの間に静的ミキサー熱交換器(Chemineer, Inc., Dayton, Ohioから入手可能なKENICS Model 1−Pilot−HT−EX 32)を設けてシリカの生成中に温度制御手段をもたらした。酸性化剤入り口の後に位置する取り出しパイプにより、ケイ酸塩および酸性化剤を添加する速度の関数として生成物を取り出しことが可能となる。取り出しパイプはまた、反応系を100℃超の温度で作動可能とする背圧弁を備えることができる。生成物の取り出しパイプは、生成物を追加修正(例えばpH調整)用のタンクに収集するように指向させるか、または生成物をロータリー型またはプレス型ろ過器に直接取り出すことができる。生成物を7.0超のpHで調製するときに、酸を生成物取り出しラインに任意選択的に加えて合成後のpH調整を避けることができる。
【0098】
(実施例2 シリカ生成物の調製)
シリカ生成物を、実施例1に記載した連続ループ反応器を用いて調製した。酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属を連続ループ反応器に導入するに先立って、沈降シリカ、硫酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムおよび水を先ず加え、80L/minで再循環する。これは、ここで液体反応媒質を指し、上述したとおりこれに酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属をさらに加えることができる。この最初のステップを行って再循環ループを典型的なバッチの近似的な含有量および濃度で満たし、これにより所望のシリカ生成物を収集する前にパージ時間を最小化する。このステップはまた、ループ反応器内容物のゲル化を最小化する信じられている。しかしながら、系をゲル化または塞ぐことなしに、水だけを充填したループ反応器に酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属を直接加えることができることに注目すべきである。したがって、液体反応媒質は、酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属の導入に先んじて、種シリカなしで水を含むことができる。
【0099】
1.5kgのZEODENT103と、1.34kgの硫酸ナトリウムと、11.1Lのケイ酸ナトリウム(2.65モル比(MR)、13.3%)と、20Lの水との溶液を調製した。次いで、この溶液およそ15.5Lをループ反応器の再循環ループに加え、68℃に加熱した。60Hz(3485RPM)で作動する再循環ループ内のSILVERSONインラインミキサーを用いて内容物を80L/分で再循環した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および硫酸(11.4%)をループに同時に1.7L/分のケイ酸塩速度で、かつpH9.5を維持するに十分な酸速度で加えた。所要に応じて、酸速度をして前記pHを維持した。所望のシリカ生成物を収集する前に、系から不要なシリカを除外するためにこれらの状況下で酸およびケイ酸塩を40分間加えた。40分経過後、収集容器を空にして内容物を取り出した。温度を約60℃(特に指定しない限り、収集温度は反応器の温度と同一である)に維持しながらシリカ生成物を40RPMの撹拌で容器に収集する間、酸およびケイ酸塩を連続的に加えた。所望量のシリカ生成物を収集した後、酸およびケイ酸塩の添加を止めた。ループの内容物は循環できた。収集容器のシリカ生成物を硫酸の手動添加でpH5.0に調節し、次いでおよそ1500μSの導電率でろ過、洗浄し、その後乾燥した。
【0100】
試料2B〜2Eを表3に示した条件下で得た。
【0101】
試料2F〜2Sは、pH調節を洗浄/ろ過ステップの前に行わなかった以外実施例2Aに従って得た。乾燥に先んじて、生成物のpHを希釈硫酸の手動添加で5.5に調節した。
【0102】
試料2Jは、乾燥に先んじてpHを6.5に調節した以外実施例2Fに従って得た。
【0103】
試料2Nは、固定子をSILVERSONインラインミキサーから取り除いた以外上述した連続ループ反応器を用いて得た。
【0104】
表3 実施例2A〜2Sの反応条件の要約。
【表3】

【0105】
表3を参照すると、酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属を所定速度で加え、液体反応媒質に対し所定のパーセントで維持した。酸性化剤は硫酸であり、ケイ酸アルカリ金属はケイ酸ナトリウムである。
【0106】
平均通過数、すなわち所定の粒子が取り出し前に沈殿ループを動き回る近似の回数は、以下の方法によって算出することができる。下記に示した方程式を参照すると、取り出し前の再循環ループにおけるシリカ生成物の滞留時間は、系の体積を原材料速度(ケイ酸の添加速度+酸の添加速度)で除することにより算出する。次いで、通過数/分は再循環速度を系の体積で除することにより算出する。その後、滞留時間を通過数/分で乗して平均通過数を得る。
【数6】

【0107】
平均通過数が増加すると、粒子の球形度および丸み特性が改善する。
【0108】
一般に、連続ループ反応器は、反応中に所定の条件を容易に維持し得る。上述したとおり、所定のシリカ流速で酸の速度を調節して所望のpHを達成した。酸の速度が安定化すると、所望条件での連続操作が維持できた。pHの調節は、酸添加速度の修正により達成された。pH2.5〜9.5および温度24〜122℃の範囲の条件を具体的に試験し、液体反応媒質の遮断またはゲル化が観測されなかった。
【0109】
(実施例3 実施例2で調製したシリカ粒子)
実施例2で調製したシリカ生成物を特徴付けた。最も試験した反応条件下での反応スラリ粒径(再循環ループ内の粒子の粒径)は、一般に4〜8μmであり、最も多い例では4〜6μmに収まる。粒子の乾燥粒径および球形度/丸みは、シリカの構造に直接関係する。構造が低いと、スラリ粒径分布からの変化がほとんど無い高い球形度および丸みを有するより高い割合の非塊状粒子が乾燥により生じた。構造が高くなると、粒子凝集レベルが増加し、粒子の球形度および丸みが減少し、平均粒径が乾燥により増加する。
【0110】
高い構造の試料は、穏やかなレイモンド製粉でそのスラリ粒径を減少することができる。激しいレイモンド製粉およびエアー製粉は、スラリ粒径よりも粒径を小さくすることは実質的にない。低い構造の製粉は、粒径の大幅な変化をもたらさない。連続法により生成したシリカの粒径分布はガウス分布で、典型的には従来法で調製した沈降シリカよりも広くない。連続反応器で調製した粒子のスラリ、噴霧乾燥、レイモンド製粉およびエアー製粉粒径を表4に示す。残りの実施例については、未製粉の乾燥シリカ試料を「−1」で、レイモンド製粉の試料を「−2」で、エアー製粉の試料を「−3」で指定した。連続ループ法および従来法で調製したシリカ生成物の粒径分布を図2に示す。
【0111】
表4 連続ループ法により調製したシリカ生成物のスラリ、噴霧乾燥および製粉粒径
【表4】

【0112】
上述し、表3に列挙した反応条件は、一般に32〜171cc/100gの吸油量値を有する「低い」から「中高構造」の典型的なシリカ生成物の生成を可能にする。生成したシリカ生成物の水分補正した水AbC値は、57〜272cc/100gの範囲である。CTAB表面積は10〜250m/gの範囲である。BET表面積は17〜424の範囲で、従来のバッチ法で生成した典型的な沈降シリカ材料よりも高い。連続法で調製したシリカ生成物の輝度値は非常に良く、その高い球形度および丸みに起因しそうだ。ここに開示した連続法によって得たシリカ生成物は、pH7未満で調製したものを除き、通常96超の輝度値を示した。開示した方法によって調製したシリカ生成物の物理特性を表5に示す。
【0113】
表5 連続反応器試料の物理特性
【表5】

【0114】
ここに開示した連続法を用いて調製した典型的なシリカ粒子バッチの粒径分布も評価した。結果を表6に示す。均等係数(Cu)をD60/D10として定義する。曲率係数(Cc)を(D30/(D10×D60))として定義する。ピーク対称性を(D90−D50)/(D50―D10)として定義し、ここで1.0のピーク対称性値が完全に対称的な分布を表わす。
【0115】
表6 粒径分布特性
【表6】

【0116】
ここに開示した連続法によって調製したシリカ生成物の走査型電子顕微鏡写真は、従来のシリカと比べてより球形で均質な分布を示す。球形度/丸みのレベルは、一般に低い構造の生成物で、より大きい。その理由は、該生成物が乾燥により容易に凝集しないからである。構造のレベルが増加すると、球形度/丸みの程度および粒子の均質性が低下する。連続ループ法で調製したシリカ生成物と、従来のバッチ技術で調製した生成物とを比較すると、球形度および丸みの違いをはっきり観測することができる。連続ループ反応器により調製した低い、中間、中高構造のシリカ生成物と、従来のバッチ法によって調製したものとの走査型電子顕微鏡写真を図3〜6に示す。
【0117】
SILVERSONインラインミキサーによって系に付与する剪断レベルの修正も調査した。30〜60Hzの電源入力の調節および固定子のSILVERSONインラインミキサーからの除去は、生成した粒子の球形度および丸みの品質に実質的に影響しない。しかし、平均通過数は粒子の球形度および丸みに相関する。試料2P、2Qおよび2Rは、再循環速度(および平均通過数)を変えた以外類似の条件下で得た。試料2Rは、最も高い平均通過数(71)であるが、試料2Pおよび2Qと比べて、最も高い球形度および粒子丸みを有することが分かった。
【0118】
(実施例4 異なる酸性化剤から調製したシリカ粒子)
(i)4A
1.5kgのZEODENT103と、1.34kgの硫酸ナトリウムと、11.1Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)と、20Lの水とからなる溶液を調製した。次いで、この溶液約15.5Lを実施例1に記載したループ反応器の再循環ループに加え、50℃に加熱した。60Hz(3485RPM)で作動する再循環ループ内のSILVERSONインラインミキサーを用いて、内容物を78L/分で再循環した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)および二酸化炭素(99.9%)をループに同時に0.5L/分のケイ酸塩速度で、またpH9.3を維持するのに十分な二酸化炭素速度(およそ47L/分の流速)で加えた。所要に応じて、二酸化炭素速度を調整して上記pHを維持した。所望の材料を収集する前に、系から不要なシリカを除外するためにこれら状況下で二酸化炭素およびケイ酸塩を40分間加えた。40分経過後、収集容器を空にし、内容物を取り出した。温度をおよそ50℃で維持しながら40RPMの撹拌でシリカ生成物を容器に収集する間、二酸化炭素およびケイ酸塩を連続的に加えた。所望量の生成物を収集した後、二酸化炭素およびケイ酸塩の添加を止めた。ループの内容物を循環できた。収集容器のシリカ生成物を硫酸の手動付加添加でpH6.0に調節し、次いでおよそ1500μSの導電率でろ過、洗浄し、その後乾燥し、必要に応じて製粉した。
【0119】
(ii)4B
試料4Bは、ケイ酸ナトリウムが10重量%の硫酸ナトリウムを含有し、8.5のpHを維持されおよそ64L/分の二酸化炭素流速で維持した以外試料4Aの方法に従って得た。
【0120】
(iii)4C
1.5kgのZEODENT103と、1.34kgの硫酸ナトリウムと、11.1Lのケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)と、20Lの水とからなる溶液を調製した。この溶液約15.5Lをループ反応器の再循環ループに加え、43℃に加熱した。60Hz(3485RPM)で作動する再循環ループ内のSILVERSONインラインミキサーを用いて、内容物を80L/分で再循環した。ケイ酸ナトリウム(2.65MR、13.3%)と、23g/Lの濃度の硫酸ナトリウムを含む硫酸(11.4%)とをループに同時に2.55L/分のケイ酸塩速度で、かつpH7.5を維持するに十分な酸速度で加えた。所要に応じて、酸速度を調節して上記pHを維持した。所望のシリカ材料を収集する前に、系から不要なシリカを除外するためにこれら状況下で酸(硫酸ナトリウムを含有する)およびケイ酸塩を40分間加えた。40分経過後、収集容器を空にし、内容物を取り出した。温度をおよそ45℃に維持しながら40RPMの撹拌でシリカ生成物を容器に収集する間、酸(硫酸ナトリウムを含有する)およびケイ酸塩を連続的に加えた。所望量の生成物を収集した後、酸およびケイ酸塩の添加を止めた。ループの内容物は循環できた。次いで、収集容器のシリカ生成物をおよそ1500μSの導電率でろ過、洗浄した。噴霧乾燥に先んじて、pHを硫酸の手動添加で6.0に調節した。
【0121】
(iv)4D
試料4Dは、ケイ酸塩速度が1.7L/分で、pHを7.1で維持し、反応温度が95℃で、収集温度を約90℃で維持した以外、試料4Cに従って得た。
【0122】
(v)4E
試料4Eは、ケイ酸塩濃度が19.5%で、17%の硫酸が8.5g/Lの濃度の硫酸アルミニウムを含有し、反応温度が40℃で、pHを7.5で維持した以外、試料5Dに従って得た。
【0123】
表7 実施例4で調製したシリカ試料の物理特性
【表7】

【0124】
硫酸に加えて、添加物および他の酸性化剤を連続ループ反応器に用いて沈降シリカを生成することができる。実施例4Aおよび4Bでは、酸性化剤として硫酸の代わりに二酸化炭素を用いた。これは、ガスを連続ループ反応器にSILVERSONミキサーを介して導入することにより達成された。二酸化炭素の流速が制限されるので、反応と所望のpH維持するに十分な時間で二酸化炭素を導入するためには、これらの実施例ではより遅いケイ酸塩速度(0.5L/min)を用いた。二酸化炭素が弱酸(炭酸)を生成するため、8.5超のpHターゲットを用いた。実施例4Aで得たシリカ生成物は、(SEM)で観測して高い球形度および丸みを有した。5〜7μm範囲のメジアン粒径を達成するのにレイモンド製粉またはエアー製粉は必要でない。実施例4C、4Dおよび4Eでは酸性化剤として水性硫酸ナトリウムおよび硫酸の混合液を用い、物理特性を表7に示す。
【0125】
(実施例5 歯磨剤組成物)
開示したシリカ粒子を含む歯磨剤組成物を調製した。歯磨剤組成物に有用なシリカ生成物のいくつかの重要な特性を評価した。開示した連続法により生成した典型的なシリカ粒子のアインレーナー摩耗値は予測よりも著しく低く、1.8〜8.1mg損失/100k回転の範囲であった。従来の沈降シリカ生成物では、構造が低いので、アインレーナー値は通常増加する。開示した連続法によるシリカ生成物では、この傾向は観測されなかった。アインレーナー値は粒径と一致した。試験した典型的なシリカ生成物のパースペクス(Perspex)摩耗値も、予測よりずっと低く、3.3〜8.7の範囲であった。
【0126】
パーセント透過率(%T)値は、4%のソルビトール試験方法によると20〜80%の範囲であった。調製した全ての試料で1.439を超える屈折率(RI)値を観測した。典型的な沈降シリカ生成物に対するRI値の増加は、低い反応温度に起因したと思われる。試験した4つの試料の粉末RDA値は、ヘファレン(Hefferren)法を用いる試験で、105〜221の範囲であった。この試験はインディアナ大学歯学部(Indiana University School of Density)によって行われた。
【0127】
連続方法はまた、塩化セチルピリジニウム(CPC)のようなカチオン系成分と親和性のあるシリカ生成物を調製するのに有用であることが分かった。CPCは、口内洗浄剤に用いてプラーク、歯石および歯肉炎を減らすカチオン系の抗菌剤である。従来のシリカ材料は、CPC分子のカチオン系部分と、負に帯電したシリカ表面との間での強い相互作用のために、通常CPCと親和性がない。CPCとシリカの親和性を改善するために、CPC結合に入手できる表面積を減少した非常に低い構造のシリカ生成物を調製することができる。従来のバッチ技術によるCPCに親和なシリカ生成物の生産には問題があり、なぜならば通常所望の構造を達成するのにバッチ回数を増加することが必要となり、しかも低い輝度値がかかる高密度のシリカの製粉により生じ得るからである。開示した連続方法の利用により、所望の粒径範囲を得るためにハンマー製粉またはエアー製粉を要しないので、受容できる生産速度および非常によい輝度値で低い構造のシリカ生成物を調製することが可能となる。歯用のシリカに行った試験の概要を表8に示す。
【0128】
表8 連続方法により調製したシリカ生成物の摩耗および光学データ
【表8】

【0129】
構造範囲が広がる構造のいくつかの試料を、PCR、RDA、REA試験用の歯磨き粉の製剤のために選択した。試料を、20%の負荷で、また従来のシリカ材料と結合した低い装填レベルで歯磨剤に処方した。これら製剤を表9〜12に示す。これらの試料のいくつかと、他の範囲のものとを、歯磨剤の安定性評価のために2つの異なる製剤にした。
【0130】
表9 歯磨き粉製剤
【表9】

【0131】
表10 歯磨き粉製剤
【表10】

【0132】
表11 歯磨き粉製剤
【表11】

【0133】
表12 歯磨き粉製剤
【表12】

【0134】
表9〜12に列挙した歯磨き粉製剤の特性を表13に示す。調製した歯磨き粉の試料は、25℃で6週間のエージングの後に、受容できる審美性を有することが分かった。同一期間を経過した後のフッ化物の有用性値は、全て85%超であった。連続シリカ法により得たシリカ生成物の粘度上昇は、実施例5Wおよび5Xを除く全ての試料に関して低い構造のシリカに類似しており、ZEODENT113よりも粘度上昇により効率的であった。
【0135】
広範囲のシリカ生成物についてPCR、RDA、およびREA値を測定した。試験した試料では、PCR値は83(実施例5AE)〜107(実施例5AA)の範囲であった。装填レベル10〜15%で製剤すると、PCR値は一般に90〜100の範囲であった。歯磨剤のRDA値は、試験したシリカの構造および装填レベルに応じて94〜315の範囲である。実施例5AAは、2Jで調製したシリカの20%装填で、315の最大RDA値を有した。これは生産した中で最も低い構造のシリカ生成物であり、したがって最も摩耗性がある。ZEODENT113のような従来のシリカ材料と5〜10%の装填レベルで結合して製剤すると、ZEODENT113単独を超えた洗浄力の改善が観測された。連続ループ反応器によって高い構造レベルで生産したいくつかのシリカ生成物も試験すると、従来の高い洗浄力のあるシリカ材料に似たPCR値を有する(実施例5Xおよび5W)ことを見出し、また20%装填のZEODENT113を含む歯磨剤よりも一層効率的に粘度を上げることがわかった(実施例5R)。連続ループ反応器で調製した高い構造のシリカ生成物の洗浄特性は、従来の中間〜高い構造のシリカ材料よりも一層高いPCR値およびRDA値を示した。実施例5Xおよぶ5Wのシリカ生成物は二元機能性を示す、すなわち非常に優れた洗浄機能を付与する一方、十分な粘度上昇を提供する。
【0136】
連続ループ反応器で得た低い〜中間の構造のシリカ生成物のREA値は、ZEODENT113のそれより低いか同じであり、これら材料の球形の性質がZEODENT103のような従来の高い洗浄力のあるシリカ材料よりもエナメルを摩耗しにくいことを示す。歯磨剤の試験データを表13にまとめる。
【0137】
表13 表7〜10に示した製剤用の歯磨剤データ
【表13】

【0138】
(実施例6 アルミノケイ酸ナトリウムとアルミノケイ酸ナトリウムマグネシウムの調製)
(i)6A
1.5kgのZEODENT103と、1.34kgの硫酸ナトリウムと、11.1Lのケイ酸ナトリウム(3.32MR,20.0%)と、20Lの水とからなる溶液を調製した。次いで、この溶液およそ15.5Lを実施例1に記載したループ反応器の再循環ループに加え、60℃に加熱した。60Hz(3485RPM)で作動する再循環ループ内のSILVERSONインラインミキサーを用いて、内容物を80L/分で再循環した。硫酸ナトリウム(3.32MR,20.0%)および硫酸アルミニウム溶液(11.4%)をループに同時に1.7L/分のケイ酸塩の速度およびpH8.5を維持するに十分な硫酸アルミニウムの速度で加えた。所要に応じて、酸の速度を調節して上記pHを維持した。所望の材料を収集する前に、不要なシリカを系からパージするためにこれら状況下で酸およびケイ酸塩を40分間加えた。40分経過後、収集容器を空にし、その中身を取り出した。温度を約60℃で維持しながら40RPMで撹拌してケイ酸塩生成物を容器に収集する間、酸および硫酸アルミニウムを連続的に加えた。所望量の生成物を収集した後、硫酸アルミニウムおよびケイ酸塩の添加を止めた。ループの内容物は循環することできた。次いで、収集容器のケイ酸塩生成物を約1500μSの導電率でろ過、洗浄し、その後乾燥した。
【0139】
(ii)6B
実施例6Bは、再循環速度が77L/分で、反応温度が36℃で、収集容器の温度を室温で保持した以外、実施例6Aに従って行った。試料を乾燥後にレイモンド製粉した。
【0140】
(iii)6C
実施例6Cは、静的ミキサー熱交換器を装置から取り除き、反応温度を32℃とした以外、実施例6Bに従って行った。
【0141】
(iv)6D
実施例6Dは、水性硫酸アルミニウム濃度が14.5%で、ケイ酸塩の速度が3.4L/分で、反応温度が24℃である以外、実施例6Cに従って行った。
【0142】
(v)6E
静的ミキサー熱交換器をループ反応器から取り除いた。1.5kgのZEODENT103と、1.34kgの硫酸ナトリウムと、11.1Lのケイ酸ナトリウム(3.32MR,20.0%)と、20Lの水とからなる溶液を調製した。この溶液およそ15.5Lをループ反応器の再循環ループに加え、39℃に加熱した。60Hz(3485RPM)で作動する再循環ループ内のSILVERSONインラインミキサーを用いて、内容物を110L/分で再循環した。4.5g/Lの水酸化マグネシウムを含むケイ酸ナトリウム(3.32MR,20.0%)および水性硫酸アルミニウム(34.0%)をループに同時に2.5L/分のケイ酸塩速度およびpH8.8を維持するに十分な水性硫酸アルミニウム速度で加えた。所要に応じて、水性硫酸アルミニウム速度を調節して上記pHを維持した。所望の材料を収集する前に、不要なシリカを系からパージするためにこれら状況下で水性硫酸アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを含むケイ酸塩を25分間加えた。25分経過後、収集容器を空にし、その中身を取り出した。温度を約39℃で維持しながら40RPMで撹拌してケイ酸塩生成物を容器から収集する間、水性硫酸アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを含むケイ酸塩を連続的に加えた。所望量の生成物を収集した後、水性硫酸アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを含むケイ酸塩の添加を止めた。ループの内容物は循環できた。次いで、収集容器のケイ酸塩生成物を約1500μSの導電率でろ過、洗浄し、その後乾燥した。
【0143】
表14 実施例6で調製したシリカ生成物の物理特性
【表14】

【0144】
実施例6A、6B、6Cおよび6Dは、ケイ酸ナトリウムを水性硫酸アルミニウムで中和することによる連続ループ反応器内でのアルミノケイ酸ナトリウムの調製を説明した。水性硫酸アルミニウムをループ反応器にSILVERSONインラインミキサーを介して導入する。通過回数の修正を用いて、約60〜122cc/100gの吸油量値を有する様々な生成物を生産した。実施例6Eは、ケイ酸ナトリウム/水酸化マグネシウムを水性硫酸アルミニウムで中和することによるアルミノケイ酸ナトリウムマグネシウムの調製を説明する。これらシリカ生成物の特性を表14に列挙する。これらの実施例で生産した材料は、高い球形度を有し、実際丸々であった。かかる材料は、塗装、コーティングおよび紙への応用に適用性を有する。
【0145】
ここに説明した本化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法には、種々の修正および変形が可能である。ここに説明した本化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法の他の実施実施形態は、ここに開示した化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法の開示内容と実践への考察から明らかになるであろう。明細書および実施例は例示のみを目的としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属を液状媒質の流れを含むループ反応領域に連続的に供給し、ここで前記酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属の少なくとも一部が反応してシリカ生成物を前記ループ反応領域の液状媒質に形成し、
(b)前記液状媒質を前記ループ反応領域を経て連続的に再循環し、
(c)前記シリカ生成物を含む液状媒質の一部を前記ループ反応領域から連続的に取り出すことを備えるシリカ生成物を調製する連続方法。
【請求項2】
前記(a)〜(c)のステップを同時に行う請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ループ反応領域から取り出す液状媒質の一部を、前記ループ反応領域に供給する酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属の量に比例する量で取り出す請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ループ反応領域から取り出す液状媒質の一部を、前記ループ反応領域に供給する酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属の速度に比例する速度で取り出す請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸性化剤およびケイ酸アルカリ金属を、前記ループ反応領域に沿った異なる点で該ループ反応領域に供給する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記液状媒質を前記反応領域を経て少なくとも15L/分の速度で再循環する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ケイ酸アルカリ金属を前記ループ反応領域に少なくとも0.5L/分の速度で供給する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性化剤を前記ループ反応領域に、前記液状媒質内で2.5〜10.5のpHを維持するに十分な速度で供給する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸性化剤を前記ループ反応領域に、前記液状媒質内で7.0〜10.0のpHを維持するに十分な速度で供給する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記シリカ生成物を含む液状媒質を、前記ループ反応領域から取り出すに先立って前記ループ反応領域を経て10〜200回再循環する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法を連続ループ反応器内で行う請求項1に記載の方法。
【請求項12】
最大100cc/100gの吸油量値を有するシリカ粒子であって、該シリカ粒子の少なくとも80%を丸々としたものに丸め、0.9超の球形度(S80)因子および8.0mg損失/100,000回転未満のブラス・アインレーナー摩耗値を有するシリカ粒子。
【請求項13】
前記シリカ粒子は、3〜15μmのメジアン粒径を有する請求項12に記載のシリカ粒子。
【請求項14】
前記シリカ粒子は、3〜10μmのメジアン粒径を有する請求項12に記載のシリカ粒子。
【請求項15】
前記シリカ粒子は、30〜80cc/100gの吸油量値を有する請求項12に記載のシリカ粒子。
【請求項16】
前記シリカ粒子は、50〜350m/gのBET表面積を有する請求項12に記載のシリカ粒子。
【請求項17】
3〜15μmの粒径と、100cc/100g超の吸油量値と、20%のシリカ装填で少なくとも85の外被清浄比(PCR)値を有するシリカ粒子。
【請求項18】
前記シリカ粒子は、3〜10μmのメジアン粒径を有する請求項17に記載のシリカ粒子。
【請求項19】
前記シリカ粒子は、100cc/100g超で150cc/100gまでの吸油量値を有する請求項17に記載のシリカ粒子。
【請求項20】
前記シリカ粒子は、20%装填で85〜120の外被清浄比(PCR)値を有する請求項17に記載のシリカ粒子。
【請求項21】
前記シリカ粒子は、50〜350m/gのBET表面積を有する請求項17に記載のシリカ粒子。
【請求項22】
シリカ粒子を組成物の5〜50重量%の量で含む歯磨剤組成物であって、前記シリカ粒子が100cc/100gまでの吸油量値と、0.9超の球形度(S80)因子と、8.0mg損失/100,000回転未満のブラス・アインレーナー摩耗値とを有し、シリカ粒子の少なくとも80%が丸々としたものに丸められた歯磨剤組成物。
【請求項23】
前記組成物は、保湿剤、溶媒、結合剤、治療薬、キレート剤、前記シリカ粒子以外の増粘剤、界面活性剤、前記シリカ粒子以外の研磨剤、甘味剤、着色剤、香味剤または防腐剤の一つ以上を含む請求項22に記載の歯磨剤組成物。
【請求項24】
前記シリカ粒子は、3〜15μmのメジアン粒径を有する請求項22に記載の歯磨剤組成物。
【請求項25】
前記シリカ粒子は、3〜10μmのメジアン粒径を有する請求項22に記載の歯磨剤組成物。
【請求項26】
前記シリカ粒子は、30〜80cc/100gの吸油量値を有する請求項22に記載の歯磨剤組成物。
【請求項27】
前記シリカ粒子は、50〜350m/gのBET表面積を有する請求項22に記載の歯磨剤組成物。
【請求項28】
前記組成物は、少なくとも100の放射性象牙質研磨(RDA)値を有する請求項22に記載の歯磨剤組成物。
【請求項29】
前記組成物は、少なくとも85の外被清浄比(PCR)値を有する請求項22に記載の歯磨剤組成物。
【請求項30】
シリカ粒子を組成物の5〜50重量%の量で含む歯磨剤組成物であって、前記シリカ粒子が3〜15μmのメジアン粒径と、100cc/100g超の吸油量値と、20%装填で少なくとも85の外被清浄比(PCR)値とを有する歯磨剤組成物。
【請求項31】
前記組成物は、保湿剤、溶媒、結合剤、治療薬、キレート剤、前記シリカ粒子以外の増粘剤、界面活性剤、前記シリカ粒子以外の研磨剤、甘味剤、着色剤、香味剤、または防腐剤の一つ以上を含む請求項30に記載の歯磨剤組成物。
【請求項32】
前記シリカ粒子は、3〜10μmのメジアン粒径を有する請求項30に記載の歯磨剤組成物。
【請求項33】
前記シリカ粒子は、30〜80cc/100gの吸油量値を示す請求項30に記載の歯磨剤組成物。
【請求項34】
前記シリカ粒子は、50〜350m/gのBET表面積を有する請求項30に記載の歯磨剤組成物。
【請求項35】
前記組成物は、少なくとも100の放射性象牙質研磨(RDA)値を示す請求項30に記載の歯磨剤組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−520503(P2013−520503A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555065(P2012−555065)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/025626
【国際公開番号】WO2011/106289
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(501449816)ジェイ・エム・フーバー・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】