連続セラミックナノファイバ、製造方法およびこれを用いる装置
任意にpまたはn型ドープした連続セラミック(例えば炭化ケイ素)ナノファイバ(502,602,604,606,608,702,704,1102,1104)は、ポリマセラミック前駆体をエレクトロスピニングすることによって製造され、ポリマセラミック前駆体の細い繊維を生成し、これは次いで熱分解される。セラミックナノファイバは、強化された複合材料(400)、熱電発電機(600,700)、および高温粒子フィルタ(1200)に限定されない様々なアプリケーションに用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にナノテクノロジに関する。本発明は、特に連続炭化ケイ素ナノファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年の間にナノテクノロジに対する関心が高まってきた。ナノテクノロジは、材料の少なくとも1つの寸法が非常に微小な規模に縮小されたときのみ発生する材料特性に関係する。このような規模の量では、機械的影響が発生して集合体のものとは異なる変化した材料特性を導く。
【0003】
セラミックスは、工学アプリケーションに要求する多くの長所を有すると知られている。ナノスケールで得られるものを含んだセラミック材料の特性を利用することができるように、連続セラミックナノファイバを大量生産することが望ましいであろう。
【0004】
特に炭化ケイ素は、高度な硬さ(ダイヤモンドが10であるモーズ硬度計で9)および高弾性率の材料であり、主に研磨材として用いられるが、電子デバイス内の半導体材料としても用いられてきた。炭化ケイ素ナノファイバは化学蒸着法によって生成されてきたが、プロセスが遅く高価であり、限られた長さのファイバしか生成できない。炭化ケイ素ナノファイバの大量生産を可能にすることが望ましいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、例示的な実施形態によって記載されており、限定されないが、同一符号が類似要素を示す以下の添付図面に示される。
【0006】
【図1】図1は、セラミックナノファイバの製造方法のフローチャートである。
【図2】図2は、炭化ケイ素前駆体の準備方法のフローチャートである。
【図3】図3は、セラミックナノファイバの製造装置の概略図である。
【図4】図4は、別材料の基体に埋め込まれたセラミックナノファイバを有する棒状の複合材料を示す図である。
【図5】図5は、図4に示す棒材の一部の拡大図である。
【図6】図6は、nおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバで作成された熱電発電機の概略図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態によるnおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバで生成された熱電発電機の分解図である。
【図8】図8は、相対的に高電力密度の熱電発電機を作るのに用いられる炭化ケイ素ナノファイバの台形波形状のpおよびn型ドープストリップの配置の平面図である。
【図9】図9は、相対的に高電力密度の熱電発電機を作るのに用いられる炭化ケイ素ナノファイバの台形波形状のpおよびn型ドープストリップの配置の下面図である。
【図10】図10は、図8および9に示す配置の斜視図である。
【図11】図11は、nおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバの台形ストリップの代替配置を示す。
【図12】図12は、例えばディーゼルエンジンの粒子状自動車廃気ガスをフィルタする炭化ケイ素ナノファイバ濾過材を用いた高温動作可能な粒子フィルタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
必要に応じて本発明の詳細な実施形態がここで開示される。しかしながら、開示された実施形態は本発明の単なる例示であり、これは様々な形態で具現化できることを理解すべきである。したがって、本書で開示された特定の構造的および機能的な詳細は、限定するものと解すべきでなく、単にクレームの基礎として、および実際に何れかの適切な詳細構造に本発明を様々に使用する当業者に教示する代表的な基礎として解すべきである。さらに本書で用いる用語と語句は、限定するものと解すべきでなく、むしろ本発明の理解可能な記載を提供するためのものと解すべきである。
【0008】
本書で用いる用語「一または1」は、1または1より多いものとして規定される。本書で用いる用語「複数」は、2または2より多いものとして規定される。本書で用いる用語「別」は、少なくとも第2またはそれ以上として規定される。本書で用いる用語「含む」および/または「有する」は、具える(すなわちオープンランゲージ)として規定する。本書で用いる用語「連結された」は、接続されたとして規定するが、必ずしも直接的ではなく、必ずしも機械的ではない。
【0009】
図1は、連続セラミックナノファイバ100、例えば炭化ケイ素ナノファイバの製造方法のフローチャートである。ブロック102では、ポリマセラミック前駆体が得られる。例えば、炭化ケイ素を生成するために使用される一の種類の前駆体は、生成されたポリカルボシランである。使用される別の種類の炭化ケイ素前駆体は、ポリシランである。双方は、ニューヨーク州マルタのStarfire(登録商標)Systems,Incから利用可能である。ポリカルボシランは、日本の日本カーボン株式会社から利用可能である。ノースカロライナ州シャーロットのClariant’s Kion Specialty Polymersは、窒化ケイ素の前駆体であるポリシラザンを生成している。
【0010】
使用される別のポリマ炭化ケイ素前駆体は、米国特許第6,020,447号明細書の教示によって合成することができる。要するに’447の特許は、クロロシランの還元カップリングに関係するプロセスを教示しており、超音波の存在下でポリシランを形成する。
【0011】
ポリシラザン前駆体は、窒化ケイ素(Si3N4)ナノファイバを生成するために用いることができる。ポリシラザンは、クロロシランのアンモノリシスによって生成される。ポリボラジン前駆体は、窒化ホウ素(BN)ナノファイバを生成するために用いることができる。ポリボラジンは、クロロボランのアンモノリシスによって生成することができる。ポリボラン前駆体は、炭化ホウ素(B4C)を生成するために用いることができる。前述のものは、アルゴンまたは窒素中で熱分解することができる。
【0012】
酸化物セラミックナノファイバも本書で記載された方法によって生成することができる。例えばゾル・ゲル剤、または加水分解されたアルコキシド(例えばチタンイソプロポキシド)は、空気中で熱分解して酸化物型セラミックナノファイバを得ることができる。幾つかの酸化物は、熱電装置を製造するためにも用いることができる。
【0013】
ブロック104では、ポリマセラミック前駆体を溶媒に溶かし、ポリマセラミック前駆体の溶液を生成する。トルエン、テトラヒドロフラン、またはその混合物などの溶媒が用いられる。
【0014】
図5,6,7に示し、後述する熱電発電機500,600,700などの幾つかのアプリケーション用にpおよびn型ドープ炭化ケイ素連続ナノファイバを得ることが望ましい。ブロック106では、ドーパント前駆体が溶媒に加えられる。適切なp型ドーパント前駆体は、亜リン酸(III)有機金属化合物、例えばジフェニルホスフィノエチレンである。n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバの生成に適切なポリマ前駆体は、第一級、第二級、第三級の有機アミン(例えばメラミン、グアニジン)、無機アミン、有機金属シラザンなどの化学種を含む窒素の形態で少量のドーパントを溶かされた適切な溶媒にSiC前駆体を溶かすことによって生成することができる。
【0015】
他のドーパントは、ホウ素、アルミニウム、および有機金属化合物を含むカーボンからも生成される。
【0016】
再び図1を参照してブロック108では、ポリマセラミック前駆体がエレクトロスピニングされてポリマセラミック前駆体の細い連続繊維を生成する。ポリマセラミック前駆体をエレクトロスピニングする装置は、図2に示されており、後述される。方法100のブロック110では、ポリマセラミック前駆体の細い連続繊維は、ポリマセラミック前駆体の細い連続繊維を連続セラミックナノファイバに変換するために熱分解される。ポリマセラミック前駆体は、アルゴンまたは窒素の不活性雰囲気中で1000℃以上の温度に加熱することによって熱分解することができる。
【0017】
図2は、炭化ケイ素前駆体の準備方法のフローチャートである。ブロック202では、溶媒(例えばトルエン)にモノマ(例えばクロロシラン)を溶かした溶液が準備される。ブロック204では、アルカリ金属(例えばナトリウム)または少なくとも1つのアルカリ金属を含む合金が溶液に入れられる。ブロック206では、溶液を超音波にかけるか、(例えば80℃以下の温度に)加熱して、溶液内でポリマ前駆体(例えばポリシラン)を合成する。ブロック208では、遠心分離機にかけ、続いて洗浄することによってポリマ前駆体が溶液から抽出される。
【0018】
図3は、セラミックナノファイバ、例えば炭化ケイ素ナノファイバの製造装置300の概略図である。図3を参照すると、ポリマセラミック前駆体溶液302のリザーバがポンプ304に接続されていることが分かる。ポンプ304は、エレクトロスピニングスピナレット306にポリマセラミック前駆体溶液を汲み上げる。高電圧電源308は、スピナレット306とドラム310に接続されている。スピナレット306とドラム310の間に大きな電位差が設定される。この大きな電位差によって、スピナレット306からポリマセラミック前駆体溶液を取り出し、ポリマセラミック前駆体の細い繊維を生成することができる。ポリマセラミック前駆体の細い連続繊維は、ドラム310上に集められる。周期的にドラムを停止し、ドラム上に集まったポリマセラミック前駆体の細い繊維を取り外すことができる。装置300が動作する際にドラムモータ312がドラム310を回転する。マスタコントローラ314(例えば機器制御ソフトウェアと共に構成されたデスクトップコンピュータ)は、装置300の動作を制御するためにドラムモータ312、高電圧電源308、およびポンプ304に連結される。図3に示す装置および図1と図2に記載された方法に従って生成される連続炭化ケイ素ナノファイバは、長さ1ミリメートル以下のCVDによって生成される炭化ケイ素ナノファイバとその長さによって区別される。
【0019】
あるいは、ポリマセラミック前駆体の細い繊維を集めるためにドラム310を用いるのではなく、平板、コンベヤベルト、または連続繊維の材料を用いてもよい。別の代替実施形態によれば、ドラム310を用いるのではなく、(機械加工または別のプロセスによって形成された)形状面を有する対象物が用いられる。形状面はテンプレートとして機能し、その上に堆積するポリマセラミックナノファイバの細い連続繊維のマット形状を決定する。例えば、後述する図7および8に示す熱電発電機に用いる炭化ケイ素ストリップを形成するために、矩形波表面形状を有するテンプレートを用いてもよい。他の場合では、テンプレートを用いて他の形状を有する構造的部分を形成し、テンプレートによって規定してもよい。不織のファイバ繊維の最終形状は、エンボシングによって形成することができる。
【0020】
図4は、別材料504の基体に埋め込まれたセラミックナノファイバ502を有する棒状の複合材料400を示しており、図5は、図4に示す棒材400の一部の拡大図である。基体を形成する別材料は、例えばイミド化されたポリアミド酸(ポリイミド)、ポリエステル、もしくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高分子材料、または銅、タングステン、インジウム、ガリウム、もしくはアルミニウムなどの金属でよい。ポリマ基体の場合には、セラミックナノファイバは溶融状態で基体内にファイバの溶浸によって加えられてもよいし、ポリイミドの場合には、ポリアミド酸が溶浸され、次いで200℃超でポリイミドにイミド化することができる。金属基体の場合には、金属が溶融状態のときに金属内にセラミックナノファイバを追い込むことでセラミックナノファイバが入れられる。セラミックナノファイバは、複合材料の機械的特性、例えば強度、弾性係数を強化する。基体材料内にセラミックナノファイバを入れる前に任意にセラミックナノファイバを切断することができる。
【0021】
図6は、連続n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ602,604のストリップと、連続p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606,608のストリップとで作成された熱電発電機600の概略図である。ストリップは、無作為に配列した炭化ケイ素ナノファイバのマットから切断される。炭化ケイ素ナノファイバは、そのナノスケールがフォノンを分散させ、これによってその耐熱性を強化するので熱電発電機で十分機能する。図6に示すように、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ602,604と、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606,608とは、熱源接点610とヒートシンク612の間で交互に配置される。熱源接点は、内燃機関の排気システムなどの廃熱源に接して配置することができる。第1の終端電極614は、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバの第1のストリップ602に接してヒートシンク612上に配置される。第1の結合電極616は、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ602の第1のストリップと、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606の第1のストリップとに接して熱源接点610上に配置される。第2の結合電極618は、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606の第1のストリップと、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ604の第2のストリップとに接してヒートシンク612上に配置される。第3の結合電極620は、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ604の第2のストリップと、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ608の第2のストリップとに接して熱源接点610上に配置される。第2の終端電極622は、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ608の第2のストリップに接してヒートシンク612上に配置される。結合電極616,618,620は、直列回路で炭化ケイ素ナノファイバを接続する。結合電極616,618,620と終端電極614,622は、熱源接点610とヒートシンク612に炭化ケイ素ナノファイバ602,604,606,608を熱的に連結する。図6に示すnおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバと結合電極を繰り返すパターンを延長してより高電圧の出力を提供することができることに注意されたい。nおよびp型ドープナノファイバのストリップが図面の面に垂直に延在することで、これらは相対的に大きい面積を有し、熱電発電機600が相対的に高い電流を生成する。結合電極616,618,620に接している炭化ケイ素ナノファイバ602,604,606,608の少なくとも一部は、電気的結合を強化するために金属化することができる。金属化は、炭化ケイ素ナノファイバ602,604,606,608をCu,Ag,Niなどの金属で電気めっきまたは無電解にめっきすることによって達成される。次にめっきした部分は、結合電極602,604,606,608に半田付けまたはろう付けすることができる。あるいは、半田付けまたはろう付けの代わりに銀で満たした接着剤またはガラスを用いてもよく、この場合にはめっきも必要ないであろう。
【0022】
図7は、本発明の別の実施形態による熱電発電機700の分解図である。熱電発電機700は、Y軸方向(図中に示す)に延在するn型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ702の5つの直線的で曲がりくねった形状のストリップのセットを有する。n型ドープストリップ702と垂直に交差して、X軸方向(図中に示す)に延在するp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ704の5つの直線的で曲がりくねった形状のストリップのセットが配置される。各型の5つのストリップが示されているが、実際にはそれ以上の各型が用いられる。ストリップは、その厚さが個々のナノファイバの直径を大きく超えるという点で不織マットの特徴も有しており、ファイバを分離する相対的に大容量の空間がある。ストリップ702,704は、熱源接点706とヒートシンク接点708の間に配置される(ヒートシンク接点を用いるのではなく、ヒートシンク自身を代用してもよい)。ストリップ702,704に面する熱源接点706の底面710は、ストリップ702,704に面するヒートシンク接点708の頂面712と共に図7で可視である。複数の冷却側の結合電極714(図面を混雑させないように一組のみ符号を付ける)はヒートシンク接点708の頂面712上に配置され、複数の加熱側の結合電極716は熱源接点706の底面710上に配置される。波を記載するのに用いる用語「類似性(analogy)によって」を適用して、ストリップ702,704は加熱側の結合電極716と接触して配列された山と、冷却側の結合電極714と接触して配列された谷とを有していると述べることができる。加熱側の結合電極716は、Y軸方向に延在し、隣接したn型ドープストリップ702とp型ドープストリップ704の一対の山を結合する。冷却側の結合電極714は、X軸方向に延在し、隣接したn型ドープストリップ702とp型ドープストリップ704の隣接した一対の谷を結合する。結合電極714,716とストリップ702,704は、ともに熱電発電機700を通る複数の電気回路の経路を形成する。図7に示す矢印1,2,3,4は電気回路の経路の基礎部分を示しており、これはX方向で周期的に繰り返して熱電発電機700を通る一つの電気経路を形成する。矢印1は、n型ドープストリップ702からp型ドープストリップ704へ加熱側の結合電極716を通過する。矢印2は、p型ドープストリップ704の山から谷へ傾斜した部分を下る。矢印3は、p型ドープストリップ704からn型ドープストリップ702へ冷却側の結合電極714を通過し、矢印4は、n型ドープストリップ702の谷から山へ傾斜した部分を上る。このパターンは、ほぼX方向に発電機700を横断する際に数回繰り返される。このような発電機を通る複数の経路は、熱電発電機によって供給すべき電力負荷のインピーダンス特性に依存して、直列または並列の何れかで接続することができる。直線的で曲がりくねった構成は、熱源接点706からヒートシンク接点708への付随的な(parasitic)熱伝導率を制限する一方で、電流の発電容量を増加させる大きな接触面積を提供する。
【0023】
ストリップを記載するのに上記で用いた用語「直線的で曲がりくねった」に関して言えば、この輪郭は曲がりくねった輪郭にほぼ似ているが、連続して曲がっているのではなく直線区間で構成されていることを意味する。この形状を記載する別の方法は、「台形波」と表現される。あるいは、台形波形状の代わりに、のこぎり波、三角波、または矩形波としてストリップは表現されるかもしれない。殆どの任意の周期形状は、冷却側の結合電極714と連続的に接触する。
【0024】
図7に示す熱電発電機の場合には、結合電極714,716と電気的に接触させるためにこれは十分であり、ストリップの山と谷の部分に無電解に金属化または電気めっきを施して、結合電極714,716にこれらを半田付けまたはろう付けする。選択された結合電極は、終端電極として用いてもよい。
【0025】
熱源接点706とヒートシンク接点708の利用面積を増加させるために、図7に示すストリップ702,704の2つの構成は共に入れ子にすることができる。特に図7に示すn型ドープストリップ702の間に、Y軸方向に延在する付加的なn型ドープストリップ702が配置され、図7に示すp型ドープストリップ704の間に付加的なp型ドープストリップ704が配置され、図7に示すp型ドープストリップ704と同じX軸方向に延在して並べられる。これを考慮すると、ストリップ702,704は形状は周期的であり、付加的なストリップは2分の1波長だけ「シフトされた位相」であると言える。言い換えれば、各ドーパント型の各ストリップの谷は、同じドーパント型の隣りの山に揃えられる。頂部と底部から見たとき、得られる入れ子の構造はn型ドープとp型ドープの領域のチェッカーボードパターンを示すであろう。得られる構造の平面図および下面図は、図8および9に示される。図8および9では、右上がり斜線でクロスハッチングされた四角形が、n型ドープストリップのn型ドープ領域を示し、右下がり斜線でクロスハッチングされた四角形がp型ドープストリップ704のp型ドープ領域を示す。図10は、図8および9に示す構成の斜視図を示す。この設計は、熱電発電機の単位体積当たりの発電を増加させる。
【0026】
図11は、炭化ケイ素ナノファイバのp型ドープ1102とn型ドープ1104の台形波形状ストリップの代替構成を示しており、これは図6に示す熱電発電機に用いることができる。この場合には、ストリップ1102と1104が同一方向(例えば図6の頁平面)に延在する。この構成は、(ストリップの山と谷の)接点領域を増加させるという利点があり、熱電発電機の隙間の材料の断面積を低減して熱電発電機の加熱側と冷却側の付随的な熱伝導を制御する一方で電流の発生を増加させる。
【0027】
図12は、セラミック、例えば炭化ケイ素ナノファイバ濾過材1202を用いた、例えばディーゼルエンジンの粒子状自動車廃気ガスをフィルタする高温動作可能な粒子フィルタ1200である。セラミックナノファイバ濾過材1202は、ガスの流通を可能にする入口1206と出口1208を含むハウジング1204内に配置される。
【0028】
本発明の好適な他の実施形態が示され、記載されたが、本発明がこれに限定されないことは明らかであろう。以下のクレームによって規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、多くの変更、代替、変形、置換、および均等物が当業者に想起されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にナノテクノロジに関する。本発明は、特に連続炭化ケイ素ナノファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年の間にナノテクノロジに対する関心が高まってきた。ナノテクノロジは、材料の少なくとも1つの寸法が非常に微小な規模に縮小されたときのみ発生する材料特性に関係する。このような規模の量では、機械的影響が発生して集合体のものとは異なる変化した材料特性を導く。
【0003】
セラミックスは、工学アプリケーションに要求する多くの長所を有すると知られている。ナノスケールで得られるものを含んだセラミック材料の特性を利用することができるように、連続セラミックナノファイバを大量生産することが望ましいであろう。
【0004】
特に炭化ケイ素は、高度な硬さ(ダイヤモンドが10であるモーズ硬度計で9)および高弾性率の材料であり、主に研磨材として用いられるが、電子デバイス内の半導体材料としても用いられてきた。炭化ケイ素ナノファイバは化学蒸着法によって生成されてきたが、プロセスが遅く高価であり、限られた長さのファイバしか生成できない。炭化ケイ素ナノファイバの大量生産を可能にすることが望ましいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、例示的な実施形態によって記載されており、限定されないが、同一符号が類似要素を示す以下の添付図面に示される。
【0006】
【図1】図1は、セラミックナノファイバの製造方法のフローチャートである。
【図2】図2は、炭化ケイ素前駆体の準備方法のフローチャートである。
【図3】図3は、セラミックナノファイバの製造装置の概略図である。
【図4】図4は、別材料の基体に埋め込まれたセラミックナノファイバを有する棒状の複合材料を示す図である。
【図5】図5は、図4に示す棒材の一部の拡大図である。
【図6】図6は、nおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバで作成された熱電発電機の概略図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態によるnおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバで生成された熱電発電機の分解図である。
【図8】図8は、相対的に高電力密度の熱電発電機を作るのに用いられる炭化ケイ素ナノファイバの台形波形状のpおよびn型ドープストリップの配置の平面図である。
【図9】図9は、相対的に高電力密度の熱電発電機を作るのに用いられる炭化ケイ素ナノファイバの台形波形状のpおよびn型ドープストリップの配置の下面図である。
【図10】図10は、図8および9に示す配置の斜視図である。
【図11】図11は、nおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバの台形ストリップの代替配置を示す。
【図12】図12は、例えばディーゼルエンジンの粒子状自動車廃気ガスをフィルタする炭化ケイ素ナノファイバ濾過材を用いた高温動作可能な粒子フィルタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
必要に応じて本発明の詳細な実施形態がここで開示される。しかしながら、開示された実施形態は本発明の単なる例示であり、これは様々な形態で具現化できることを理解すべきである。したがって、本書で開示された特定の構造的および機能的な詳細は、限定するものと解すべきでなく、単にクレームの基礎として、および実際に何れかの適切な詳細構造に本発明を様々に使用する当業者に教示する代表的な基礎として解すべきである。さらに本書で用いる用語と語句は、限定するものと解すべきでなく、むしろ本発明の理解可能な記載を提供するためのものと解すべきである。
【0008】
本書で用いる用語「一または1」は、1または1より多いものとして規定される。本書で用いる用語「複数」は、2または2より多いものとして規定される。本書で用いる用語「別」は、少なくとも第2またはそれ以上として規定される。本書で用いる用語「含む」および/または「有する」は、具える(すなわちオープンランゲージ)として規定する。本書で用いる用語「連結された」は、接続されたとして規定するが、必ずしも直接的ではなく、必ずしも機械的ではない。
【0009】
図1は、連続セラミックナノファイバ100、例えば炭化ケイ素ナノファイバの製造方法のフローチャートである。ブロック102では、ポリマセラミック前駆体が得られる。例えば、炭化ケイ素を生成するために使用される一の種類の前駆体は、生成されたポリカルボシランである。使用される別の種類の炭化ケイ素前駆体は、ポリシランである。双方は、ニューヨーク州マルタのStarfire(登録商標)Systems,Incから利用可能である。ポリカルボシランは、日本の日本カーボン株式会社から利用可能である。ノースカロライナ州シャーロットのClariant’s Kion Specialty Polymersは、窒化ケイ素の前駆体であるポリシラザンを生成している。
【0010】
使用される別のポリマ炭化ケイ素前駆体は、米国特許第6,020,447号明細書の教示によって合成することができる。要するに’447の特許は、クロロシランの還元カップリングに関係するプロセスを教示しており、超音波の存在下でポリシランを形成する。
【0011】
ポリシラザン前駆体は、窒化ケイ素(Si3N4)ナノファイバを生成するために用いることができる。ポリシラザンは、クロロシランのアンモノリシスによって生成される。ポリボラジン前駆体は、窒化ホウ素(BN)ナノファイバを生成するために用いることができる。ポリボラジンは、クロロボランのアンモノリシスによって生成することができる。ポリボラン前駆体は、炭化ホウ素(B4C)を生成するために用いることができる。前述のものは、アルゴンまたは窒素中で熱分解することができる。
【0012】
酸化物セラミックナノファイバも本書で記載された方法によって生成することができる。例えばゾル・ゲル剤、または加水分解されたアルコキシド(例えばチタンイソプロポキシド)は、空気中で熱分解して酸化物型セラミックナノファイバを得ることができる。幾つかの酸化物は、熱電装置を製造するためにも用いることができる。
【0013】
ブロック104では、ポリマセラミック前駆体を溶媒に溶かし、ポリマセラミック前駆体の溶液を生成する。トルエン、テトラヒドロフラン、またはその混合物などの溶媒が用いられる。
【0014】
図5,6,7に示し、後述する熱電発電機500,600,700などの幾つかのアプリケーション用にpおよびn型ドープ炭化ケイ素連続ナノファイバを得ることが望ましい。ブロック106では、ドーパント前駆体が溶媒に加えられる。適切なp型ドーパント前駆体は、亜リン酸(III)有機金属化合物、例えばジフェニルホスフィノエチレンである。n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバの生成に適切なポリマ前駆体は、第一級、第二級、第三級の有機アミン(例えばメラミン、グアニジン)、無機アミン、有機金属シラザンなどの化学種を含む窒素の形態で少量のドーパントを溶かされた適切な溶媒にSiC前駆体を溶かすことによって生成することができる。
【0015】
他のドーパントは、ホウ素、アルミニウム、および有機金属化合物を含むカーボンからも生成される。
【0016】
再び図1を参照してブロック108では、ポリマセラミック前駆体がエレクトロスピニングされてポリマセラミック前駆体の細い連続繊維を生成する。ポリマセラミック前駆体をエレクトロスピニングする装置は、図2に示されており、後述される。方法100のブロック110では、ポリマセラミック前駆体の細い連続繊維は、ポリマセラミック前駆体の細い連続繊維を連続セラミックナノファイバに変換するために熱分解される。ポリマセラミック前駆体は、アルゴンまたは窒素の不活性雰囲気中で1000℃以上の温度に加熱することによって熱分解することができる。
【0017】
図2は、炭化ケイ素前駆体の準備方法のフローチャートである。ブロック202では、溶媒(例えばトルエン)にモノマ(例えばクロロシラン)を溶かした溶液が準備される。ブロック204では、アルカリ金属(例えばナトリウム)または少なくとも1つのアルカリ金属を含む合金が溶液に入れられる。ブロック206では、溶液を超音波にかけるか、(例えば80℃以下の温度に)加熱して、溶液内でポリマ前駆体(例えばポリシラン)を合成する。ブロック208では、遠心分離機にかけ、続いて洗浄することによってポリマ前駆体が溶液から抽出される。
【0018】
図3は、セラミックナノファイバ、例えば炭化ケイ素ナノファイバの製造装置300の概略図である。図3を参照すると、ポリマセラミック前駆体溶液302のリザーバがポンプ304に接続されていることが分かる。ポンプ304は、エレクトロスピニングスピナレット306にポリマセラミック前駆体溶液を汲み上げる。高電圧電源308は、スピナレット306とドラム310に接続されている。スピナレット306とドラム310の間に大きな電位差が設定される。この大きな電位差によって、スピナレット306からポリマセラミック前駆体溶液を取り出し、ポリマセラミック前駆体の細い繊維を生成することができる。ポリマセラミック前駆体の細い連続繊維は、ドラム310上に集められる。周期的にドラムを停止し、ドラム上に集まったポリマセラミック前駆体の細い繊維を取り外すことができる。装置300が動作する際にドラムモータ312がドラム310を回転する。マスタコントローラ314(例えば機器制御ソフトウェアと共に構成されたデスクトップコンピュータ)は、装置300の動作を制御するためにドラムモータ312、高電圧電源308、およびポンプ304に連結される。図3に示す装置および図1と図2に記載された方法に従って生成される連続炭化ケイ素ナノファイバは、長さ1ミリメートル以下のCVDによって生成される炭化ケイ素ナノファイバとその長さによって区別される。
【0019】
あるいは、ポリマセラミック前駆体の細い繊維を集めるためにドラム310を用いるのではなく、平板、コンベヤベルト、または連続繊維の材料を用いてもよい。別の代替実施形態によれば、ドラム310を用いるのではなく、(機械加工または別のプロセスによって形成された)形状面を有する対象物が用いられる。形状面はテンプレートとして機能し、その上に堆積するポリマセラミックナノファイバの細い連続繊維のマット形状を決定する。例えば、後述する図7および8に示す熱電発電機に用いる炭化ケイ素ストリップを形成するために、矩形波表面形状を有するテンプレートを用いてもよい。他の場合では、テンプレートを用いて他の形状を有する構造的部分を形成し、テンプレートによって規定してもよい。不織のファイバ繊維の最終形状は、エンボシングによって形成することができる。
【0020】
図4は、別材料504の基体に埋め込まれたセラミックナノファイバ502を有する棒状の複合材料400を示しており、図5は、図4に示す棒材400の一部の拡大図である。基体を形成する別材料は、例えばイミド化されたポリアミド酸(ポリイミド)、ポリエステル、もしくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高分子材料、または銅、タングステン、インジウム、ガリウム、もしくはアルミニウムなどの金属でよい。ポリマ基体の場合には、セラミックナノファイバは溶融状態で基体内にファイバの溶浸によって加えられてもよいし、ポリイミドの場合には、ポリアミド酸が溶浸され、次いで200℃超でポリイミドにイミド化することができる。金属基体の場合には、金属が溶融状態のときに金属内にセラミックナノファイバを追い込むことでセラミックナノファイバが入れられる。セラミックナノファイバは、複合材料の機械的特性、例えば強度、弾性係数を強化する。基体材料内にセラミックナノファイバを入れる前に任意にセラミックナノファイバを切断することができる。
【0021】
図6は、連続n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ602,604のストリップと、連続p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606,608のストリップとで作成された熱電発電機600の概略図である。ストリップは、無作為に配列した炭化ケイ素ナノファイバのマットから切断される。炭化ケイ素ナノファイバは、そのナノスケールがフォノンを分散させ、これによってその耐熱性を強化するので熱電発電機で十分機能する。図6に示すように、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ602,604と、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606,608とは、熱源接点610とヒートシンク612の間で交互に配置される。熱源接点は、内燃機関の排気システムなどの廃熱源に接して配置することができる。第1の終端電極614は、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバの第1のストリップ602に接してヒートシンク612上に配置される。第1の結合電極616は、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ602の第1のストリップと、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606の第1のストリップとに接して熱源接点610上に配置される。第2の結合電極618は、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ606の第1のストリップと、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ604の第2のストリップとに接してヒートシンク612上に配置される。第3の結合電極620は、n型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ604の第2のストリップと、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ608の第2のストリップとに接して熱源接点610上に配置される。第2の終端電極622は、p型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ608の第2のストリップに接してヒートシンク612上に配置される。結合電極616,618,620は、直列回路で炭化ケイ素ナノファイバを接続する。結合電極616,618,620と終端電極614,622は、熱源接点610とヒートシンク612に炭化ケイ素ナノファイバ602,604,606,608を熱的に連結する。図6に示すnおよびp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバと結合電極を繰り返すパターンを延長してより高電圧の出力を提供することができることに注意されたい。nおよびp型ドープナノファイバのストリップが図面の面に垂直に延在することで、これらは相対的に大きい面積を有し、熱電発電機600が相対的に高い電流を生成する。結合電極616,618,620に接している炭化ケイ素ナノファイバ602,604,606,608の少なくとも一部は、電気的結合を強化するために金属化することができる。金属化は、炭化ケイ素ナノファイバ602,604,606,608をCu,Ag,Niなどの金属で電気めっきまたは無電解にめっきすることによって達成される。次にめっきした部分は、結合電極602,604,606,608に半田付けまたはろう付けすることができる。あるいは、半田付けまたはろう付けの代わりに銀で満たした接着剤またはガラスを用いてもよく、この場合にはめっきも必要ないであろう。
【0022】
図7は、本発明の別の実施形態による熱電発電機700の分解図である。熱電発電機700は、Y軸方向(図中に示す)に延在するn型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ702の5つの直線的で曲がりくねった形状のストリップのセットを有する。n型ドープストリップ702と垂直に交差して、X軸方向(図中に示す)に延在するp型ドープ炭化ケイ素ナノファイバ704の5つの直線的で曲がりくねった形状のストリップのセットが配置される。各型の5つのストリップが示されているが、実際にはそれ以上の各型が用いられる。ストリップは、その厚さが個々のナノファイバの直径を大きく超えるという点で不織マットの特徴も有しており、ファイバを分離する相対的に大容量の空間がある。ストリップ702,704は、熱源接点706とヒートシンク接点708の間に配置される(ヒートシンク接点を用いるのではなく、ヒートシンク自身を代用してもよい)。ストリップ702,704に面する熱源接点706の底面710は、ストリップ702,704に面するヒートシンク接点708の頂面712と共に図7で可視である。複数の冷却側の結合電極714(図面を混雑させないように一組のみ符号を付ける)はヒートシンク接点708の頂面712上に配置され、複数の加熱側の結合電極716は熱源接点706の底面710上に配置される。波を記載するのに用いる用語「類似性(analogy)によって」を適用して、ストリップ702,704は加熱側の結合電極716と接触して配列された山と、冷却側の結合電極714と接触して配列された谷とを有していると述べることができる。加熱側の結合電極716は、Y軸方向に延在し、隣接したn型ドープストリップ702とp型ドープストリップ704の一対の山を結合する。冷却側の結合電極714は、X軸方向に延在し、隣接したn型ドープストリップ702とp型ドープストリップ704の隣接した一対の谷を結合する。結合電極714,716とストリップ702,704は、ともに熱電発電機700を通る複数の電気回路の経路を形成する。図7に示す矢印1,2,3,4は電気回路の経路の基礎部分を示しており、これはX方向で周期的に繰り返して熱電発電機700を通る一つの電気経路を形成する。矢印1は、n型ドープストリップ702からp型ドープストリップ704へ加熱側の結合電極716を通過する。矢印2は、p型ドープストリップ704の山から谷へ傾斜した部分を下る。矢印3は、p型ドープストリップ704からn型ドープストリップ702へ冷却側の結合電極714を通過し、矢印4は、n型ドープストリップ702の谷から山へ傾斜した部分を上る。このパターンは、ほぼX方向に発電機700を横断する際に数回繰り返される。このような発電機を通る複数の経路は、熱電発電機によって供給すべき電力負荷のインピーダンス特性に依存して、直列または並列の何れかで接続することができる。直線的で曲がりくねった構成は、熱源接点706からヒートシンク接点708への付随的な(parasitic)熱伝導率を制限する一方で、電流の発電容量を増加させる大きな接触面積を提供する。
【0023】
ストリップを記載するのに上記で用いた用語「直線的で曲がりくねった」に関して言えば、この輪郭は曲がりくねった輪郭にほぼ似ているが、連続して曲がっているのではなく直線区間で構成されていることを意味する。この形状を記載する別の方法は、「台形波」と表現される。あるいは、台形波形状の代わりに、のこぎり波、三角波、または矩形波としてストリップは表現されるかもしれない。殆どの任意の周期形状は、冷却側の結合電極714と連続的に接触する。
【0024】
図7に示す熱電発電機の場合には、結合電極714,716と電気的に接触させるためにこれは十分であり、ストリップの山と谷の部分に無電解に金属化または電気めっきを施して、結合電極714,716にこれらを半田付けまたはろう付けする。選択された結合電極は、終端電極として用いてもよい。
【0025】
熱源接点706とヒートシンク接点708の利用面積を増加させるために、図7に示すストリップ702,704の2つの構成は共に入れ子にすることができる。特に図7に示すn型ドープストリップ702の間に、Y軸方向に延在する付加的なn型ドープストリップ702が配置され、図7に示すp型ドープストリップ704の間に付加的なp型ドープストリップ704が配置され、図7に示すp型ドープストリップ704と同じX軸方向に延在して並べられる。これを考慮すると、ストリップ702,704は形状は周期的であり、付加的なストリップは2分の1波長だけ「シフトされた位相」であると言える。言い換えれば、各ドーパント型の各ストリップの谷は、同じドーパント型の隣りの山に揃えられる。頂部と底部から見たとき、得られる入れ子の構造はn型ドープとp型ドープの領域のチェッカーボードパターンを示すであろう。得られる構造の平面図および下面図は、図8および9に示される。図8および9では、右上がり斜線でクロスハッチングされた四角形が、n型ドープストリップのn型ドープ領域を示し、右下がり斜線でクロスハッチングされた四角形がp型ドープストリップ704のp型ドープ領域を示す。図10は、図8および9に示す構成の斜視図を示す。この設計は、熱電発電機の単位体積当たりの発電を増加させる。
【0026】
図11は、炭化ケイ素ナノファイバのp型ドープ1102とn型ドープ1104の台形波形状ストリップの代替構成を示しており、これは図6に示す熱電発電機に用いることができる。この場合には、ストリップ1102と1104が同一方向(例えば図6の頁平面)に延在する。この構成は、(ストリップの山と谷の)接点領域を増加させるという利点があり、熱電発電機の隙間の材料の断面積を低減して熱電発電機の加熱側と冷却側の付随的な熱伝導を制御する一方で電流の発生を増加させる。
【0027】
図12は、セラミック、例えば炭化ケイ素ナノファイバ濾過材1202を用いた、例えばディーゼルエンジンの粒子状自動車廃気ガスをフィルタする高温動作可能な粒子フィルタ1200である。セラミックナノファイバ濾過材1202は、ガスの流通を可能にする入口1206と出口1208を含むハウジング1204内に配置される。
【0028】
本発明の好適な他の実施形態が示され、記載されたが、本発明がこれに限定されないことは明らかであろう。以下のクレームによって規定される本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、多くの変更、代替、変形、置換、および均等物が当業者に想起されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続セラミックナノファイバの製造方法において、
ポリマセラミック前駆体を得るステップと;
ポリマセラミック前駆体の溶液を得るために溶媒に前記ポリマセラミック前駆体を溶かすステップと;
連続ポリマセラミック前駆体の細い繊維を生成するために前記ポリマセラミック前駆体の溶液をエレクトロスピニングするステップと;
前記ポリマセラミック前駆体の細い繊維を熱分解するステップと、を具えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、前記ポリマセラミック前駆体を得るステップは、ポリシラザン、ポリボラジン、およびポリボランから成る群から選択されたポリマ前駆体を得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法であって、前記ポリマセラミック前駆体を得るステップは、加水分解されたアルコキシドを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法であって、前記加水分解されたアルコキシドを得るステップは、チタンイソプロポキシドを得るステップを含み;
熱分解するステップは、酸素の存在下で熱分解するステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法であって、前記ポリマセラミック前駆体を得るステップは、ポリマ炭化ケイ素前駆体を得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法であって、前記ポリマ炭化ケイ素前駆体を得るステップは、ポリシランを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の製造方法であって、前記ポリマ炭化ケイ素前駆体を得るステップは、ポリカルボシランを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の製造方法であって、ドーパント含有化合物を得るステップと;エレクトロスピニングに先立って前記溶液と前記ドーパント含有化合物を混合するステップとをさらに具えることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
連続セラミックナノファイバの製造装置において、
セラミック前駆体溶液のリザーバと;
エレクトロスピニングスピナレットと;
前記セラミック前駆体溶液のリザーバおよび前記エレクトロスピニングスピナレットに連結されたポンプと;
前記エレクトロスピニングスピナレットを接続した高電圧電源と、を具えることを特徴とする製造装置。
【請求項10】
基体と;
前記基体中に分散したセラミックナノファイバと、を具えることを特徴とする複合材料。
【請求項11】
請求項10に記載の複合材料であって、前記セラミックナノファイバが連続的であることを特徴とする複合材料。
【請求項12】
請求項10に記載の複合材料であって、前記セラミックナノファイバが炭化ケイ素ナノファイバを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項13】
請求項10に記載の複合材料であって、前記基体が金属を含むことを特徴とする複合材料。
【請求項14】
請求項13に記載の複合材料であって、前記金属が銅、タングステン、アルミニウム、インジウム、ガリウムから成る群から選択されることを特徴とする複合材料。
【請求項15】
請求項10に記載の複合材料であって、前記基体がポリマであることを特徴とする複合材料。
【請求項16】
請求項15に記載の複合材料であって、前記基体がポリアミド酸であることを特徴とする複合材料。
【請求項17】
請求項16に記載の複合材料であって、前記ポリアミド酸がポリイミドにイミド化されることを特徴とする複合材料。
【請求項18】
熱源接点と;
ヒートシンクと;
前記熱源接点と前記ヒートシンクに熱的に連結された連続p型ドープナノファイバのマットと;
前記熱源接点と前記ヒートシンクに熱的に連結された連続n型ドープナノファイバのマットと;
前記連続p型ドープナノファイバのマットと前記連続n型ドープナノファイバのマットを連結する結合電極と、を具えることを特徴とする熱源発電機。
【請求項19】
請求項18に記載の熱源発電機であって、前記連続p型ドープナノファイバのマットは第1のストリップとして形成され、前記連続n型ドープナノファイバのマットは第2のストリップとして形成されることを特徴とする熱源発電機。
【請求項20】
請求項19に記載の熱源発電機であって、前記連続p型ドープナノファイバの第1のストリップは周期形状を有しており、第1の方向に延在して配置され、前記連続n型ドープナノファイバの第2のストリップは前記周期形状を有しており、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在して配置され、前記連続p型ドープナノファイバの第1のストリップと触れずに交差することを特徴とする熱源発電機。
【請求項21】
請求項20に記載の熱源発電機であって、前記周期形状を有しており、前記第1の方向に延在して配置され、前記第1のストリップに対して前記周期形状の2分の1波長だけ位相をずらした連続p型ドープナノファイバの第3のストリップをさらに具えることを特徴とする熱源発電機。
【請求項22】
請求項21に記載の熱源発電機であって、前記周期形状を有しており、前記第2の方向に延在して配置され、前記第2のストリップに対して前記周期形状の2分の1波長だけ位相をずらした連続n型ドープナノファイバの第4のストリップをさらに具えることを特徴とする熱源発電機。
【請求項23】
請求項18に記載の熱源発電機であって、前記p型ドープナノファイバおよび前記n型ドープナノファイバが炭化ケイ素を含むことを特徴とする熱源発電機。
【請求項24】
ハウジングと;
ハウジング内に配置された連続ナノファイバと、を具えることを特徴とする高温粒子フィルタ。
【請求項1】
連続セラミックナノファイバの製造方法において、
ポリマセラミック前駆体を得るステップと;
ポリマセラミック前駆体の溶液を得るために溶媒に前記ポリマセラミック前駆体を溶かすステップと;
連続ポリマセラミック前駆体の細い繊維を生成するために前記ポリマセラミック前駆体の溶液をエレクトロスピニングするステップと;
前記ポリマセラミック前駆体の細い繊維を熱分解するステップと、を具えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、前記ポリマセラミック前駆体を得るステップは、ポリシラザン、ポリボラジン、およびポリボランから成る群から選択されたポリマ前駆体を得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法であって、前記ポリマセラミック前駆体を得るステップは、加水分解されたアルコキシドを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法であって、前記加水分解されたアルコキシドを得るステップは、チタンイソプロポキシドを得るステップを含み;
熱分解するステップは、酸素の存在下で熱分解するステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法であって、前記ポリマセラミック前駆体を得るステップは、ポリマ炭化ケイ素前駆体を得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法であって、前記ポリマ炭化ケイ素前駆体を得るステップは、ポリシランを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の製造方法であって、前記ポリマ炭化ケイ素前駆体を得るステップは、ポリカルボシランを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の製造方法であって、ドーパント含有化合物を得るステップと;エレクトロスピニングに先立って前記溶液と前記ドーパント含有化合物を混合するステップとをさらに具えることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
連続セラミックナノファイバの製造装置において、
セラミック前駆体溶液のリザーバと;
エレクトロスピニングスピナレットと;
前記セラミック前駆体溶液のリザーバおよび前記エレクトロスピニングスピナレットに連結されたポンプと;
前記エレクトロスピニングスピナレットを接続した高電圧電源と、を具えることを特徴とする製造装置。
【請求項10】
基体と;
前記基体中に分散したセラミックナノファイバと、を具えることを特徴とする複合材料。
【請求項11】
請求項10に記載の複合材料であって、前記セラミックナノファイバが連続的であることを特徴とする複合材料。
【請求項12】
請求項10に記載の複合材料であって、前記セラミックナノファイバが炭化ケイ素ナノファイバを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項13】
請求項10に記載の複合材料であって、前記基体が金属を含むことを特徴とする複合材料。
【請求項14】
請求項13に記載の複合材料であって、前記金属が銅、タングステン、アルミニウム、インジウム、ガリウムから成る群から選択されることを特徴とする複合材料。
【請求項15】
請求項10に記載の複合材料であって、前記基体がポリマであることを特徴とする複合材料。
【請求項16】
請求項15に記載の複合材料であって、前記基体がポリアミド酸であることを特徴とする複合材料。
【請求項17】
請求項16に記載の複合材料であって、前記ポリアミド酸がポリイミドにイミド化されることを特徴とする複合材料。
【請求項18】
熱源接点と;
ヒートシンクと;
前記熱源接点と前記ヒートシンクに熱的に連結された連続p型ドープナノファイバのマットと;
前記熱源接点と前記ヒートシンクに熱的に連結された連続n型ドープナノファイバのマットと;
前記連続p型ドープナノファイバのマットと前記連続n型ドープナノファイバのマットを連結する結合電極と、を具えることを特徴とする熱源発電機。
【請求項19】
請求項18に記載の熱源発電機であって、前記連続p型ドープナノファイバのマットは第1のストリップとして形成され、前記連続n型ドープナノファイバのマットは第2のストリップとして形成されることを特徴とする熱源発電機。
【請求項20】
請求項19に記載の熱源発電機であって、前記連続p型ドープナノファイバの第1のストリップは周期形状を有しており、第1の方向に延在して配置され、前記連続n型ドープナノファイバの第2のストリップは前記周期形状を有しており、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在して配置され、前記連続p型ドープナノファイバの第1のストリップと触れずに交差することを特徴とする熱源発電機。
【請求項21】
請求項20に記載の熱源発電機であって、前記周期形状を有しており、前記第1の方向に延在して配置され、前記第1のストリップに対して前記周期形状の2分の1波長だけ位相をずらした連続p型ドープナノファイバの第3のストリップをさらに具えることを特徴とする熱源発電機。
【請求項22】
請求項21に記載の熱源発電機であって、前記周期形状を有しており、前記第2の方向に延在して配置され、前記第2のストリップに対して前記周期形状の2分の1波長だけ位相をずらした連続n型ドープナノファイバの第4のストリップをさらに具えることを特徴とする熱源発電機。
【請求項23】
請求項18に記載の熱源発電機であって、前記p型ドープナノファイバおよび前記n型ドープナノファイバが炭化ケイ素を含むことを特徴とする熱源発電機。
【請求項24】
ハウジングと;
ハウジング内に配置された連続ナノファイバと、を具えることを特徴とする高温粒子フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−539349(P2010−539349A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525840(P2010−525840)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010900
【国際公開番号】WO2009/038767
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510072939)
【氏名又は名称原語表記】CZUBAROW,Pawel
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010900
【国際公開番号】WO2009/038767
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510072939)
【氏名又は名称原語表記】CZUBAROW,Pawel
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]