説明

連続包装体の送り制御装置

【課題】収容部との厚みの差の少ない横シール部を安定して検出して横シール部を正確に切断可能にできる連続包装体の送り制御装置を提供する。
【解決手段】送り制御装置は、所定の小袋部分26の袋長の測定値が前記許容範囲を超えたと判定された場合に、所定の小袋部分26についての袋長を前記算出した平均袋長に代替えし、かつ、所定の小袋部分26の次に搬送される小袋部分26の袋長の測定を行い(測定制御手段46)、前記代替えした平均袋長および次の小袋部分26の袋長の測定値を合計した値が、2つ分の小袋部分26の前記許容範囲内か否かを判定し(第2の袋長判定手段48)、前記平均袋長および次の袋長測定値の合計した値が、2つ分の小袋部分26の前記許容範囲内であると判定された場合に、送り制御は正常であるとして送り制御を続行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調味料等の食品を小袋に収容したものを連包にした連続包装体の切断位置検出における送り制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店頭に並ぶ各種商品には包装体内に収納したものが多く、一般に、カップ麺等の食品商品は調味料等の小袋と共に容器包装体内に同封している。
【0003】
一般に、その小袋(パウチ、包装体)は、包装袋に同封するまでは、各小袋同士が所定の短い間隔をおいて繋がった状態(「連包状」ともいう)の連続包装体で流通や取り扱いが行なわれている。
【0004】
詳しくは、連続包装体は、筒状の樹脂シートに適宜の間隔で幅方向に沿った横シール部を溶着によって形成して、この横シール部間を収容部にする。この場合、この収容部において一方(連続包装体長さ方向一方)の横シール部を形成した状態で被包装物を充填し、その後に他方の横シール部を溶着によって形成して被包装物を樹脂シート内に封入する。このようにして、その横シール部同士の間が小袋になる。
【0005】
その連続包装体の状態で小袋投入場所まで搬送され、連続包装体から個々に分けられた小袋が、包装袋内に投入される。
【0006】
このような小袋は、複数のものが帯状に連続した連続包装体の状態では同封ラインに供給できないので、ライン供給前に個々の小袋に分割して(横シール部の切断による)当該同封ラインに供給される。
【0007】
例えば特開平09−278007号公報(:特許文献1)では、小袋を個別に包装体内に投入する装置を提案している。
【0008】
従来、上記のような連続包装体に対して、切断(計数・印刷・検査)等を目的として所定の位置まで搬送を行なうには、正確な切断位置の検出が必要である。
【0009】
一つの連続包装体の終端に、次の連続包装体の始端を接続して連続的に小袋切断工程を行なう。この場合、連続包装体同士を継ぎ目テープで接続する。
【0010】
しかしながら、そのテープ厚みが増すことによりシール部分と中身部分の検出(判断)ができない接続不良が発生することがある。
【0011】
このような場合でも、連続包装体の形態から、与えられている条件を基にシール部分を認識させ正確に切断する必要がある。
【0012】
ここで、連続包装体は、一般に、図8に示すような形態を有している。
【0013】
図8に示すように、連続包装体は、その幅方向の一端部(両端部のものもある)が熱シールされた縦シール部aと、長さ方向に間隔を置いて横方向(幅方向)に熱シールされた横シール部bとが加工されたものであり、これらの縦シール部aと横シール部bによって各収容部(中身を包装した部分)cが個別化されている。
【0014】
そして、上記したように、連続包装体同士が継ぎ目テープdで接続されている場合は、図9に示すような形態になる。
【0015】
図9に示すように、継ぎ目テープdを張り付けて接続する継ぎ目部分eでは、横シール部b、b同士が重なったり、継ぎ目テープdにより厚みが増加したりする。
【0016】
切断機において、連続包装体の横シール部(切断位置)を切断部に搬送し、切断部に連続包装体の横シール部bを切断する。この際に、一般的に、搬送される連続包装体の横シール部bと収容部cとの厚みの差を測定して、横シール部bを検出、すなわち、切断位置を検出している。
【0017】
このとき、中身部分は内容量や内容物によっては均一な厚みにならない。
【0018】
厚みの偏りにより誤検出を防止するために、設定されている袋長を基本として袋長を監視したり、横シール部の長さを監視したりして、正確に横シール部を検出すように工夫されている。
【0019】
しかしながら、連続包装体が継ぎ目テープで接続されると、横シール部の厚みが増加し横シール部と中身部分(収容部)との区別ができなくなる。すなわち正しい長さで接続されていても、袋長または横シール部の長さを測定することができない。また、継め目部分の厚みを横シール部と判定できるように厚み検出精度を低下させることは可能だが、厚み検出精度を低下させると内容量の少ない包装体等、厚みの差の少ない包装体での横シール部の検出が不安定になる。
【0020】
したがって、継ぎ目テープで厚みが増加していても、正常な長さで接続されている連続包装体の横シール部を判定する技術が求められるという技術的課題がある。
【0021】
なお、一般的な、ロール厚み式検出器では、スプリングの力によって閉じられた2本のロール間に連続包装体を搬送させそれら2本のロールは連続包装体の厚みに応じて開閉を行ない、これら2本のロール間の距離をセンサーにて検出することで連続包装体の厚みを検出する。このように、2本のロール間の距離をセンサーにて検出しても上記の技術的課題は残ったままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平09−278007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上述の実情に鑑み、継ぎ目テープで横シール部同士接続した場合など、収容部との厚みの差の少ない横シール部を安定して検出して横シール部を正確に切断可能にできる連続包装体の送り制御装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は連続包装体の送り制御装置に係るものである。
【0025】
本発明は、筒状の樹脂材に長さ方向に間隔を置いて横シール部を形成し、当該長さ方向に対をなす横シール部間の中空の収容部内に物を収容して小袋部分とし、その小袋部分が複数連なった連続包装体について、その連続包装体を長さ方向に搬送する際に、該連続包装体の送り長さを制御する送り制御装置において、
搬送される連続包装体の横シール部を該連続包装体の厚さの大小によって検出する横シール部検出手段と、
前記横シール部検出手段によって検出された、横シール部間のピッチ長さに基づき前記小袋部分の袋長を測定する袋長測定手段と、
袋長測定手段によって測定した袋長の測定値を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された前記袋長の測定値の複数のものから、前記袋長の平均値を求める平均袋長算出手段と、
前記袋長測定手段によって測定した所定の小袋部分の袋長が予め設定された袋長の許容範囲内に入るか否かを判定する第1の袋長判定手段と、
当該第1の袋長判定手段によって所定の小袋部分の袋長の測定値が前記許容範囲を超えたと判定された場合に、所定の小袋部分についての袋長を前記算出した平均袋長に代替えし、かつ、所定の小袋部分の次に搬送される小袋部分の袋長の測定を行なわせる測定制御手段と、
前記代替えした平均袋長および次の小袋部分の袋長の測定値を合計した値が、2つ分の小袋部分の前記許容範囲内か否かを判定する第2の袋長判定手段と、
当該第2の袋長判定手段によって前記平均袋長および次の袋長測定値の合計した値が、2つ分の小袋部分の前記許容範囲内であると判定された場合に、送り制御は正常であるとして送り制御を続行するようにしたことを特徴とする連続包装体の送り制御装置である。
【0026】
本発明においては、当該第2の袋長判定手段によって前記平均袋長および次の小袋部分の袋長の合計値が、2つ分の小袋部分の袋長の前記許容範囲内であると判定された場合に、所定の小袋部分の袋長の測定値として平均袋長を、かつ、次の小袋部分の袋長の測定値を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段を備えたことが好適である。
【0027】
また、本発明においては、連続包装体の横シール部を切断して各小袋部分に分割する切断装置に連続包装体を搬送する際に連続包装体の送り制御をする送り制御装置である場合、
前記第1の袋長判定手段によって所定の小袋部分の袋長の測定値が前記許容範囲内を超えたと判定され、かつ、前記第2の袋長判定手段によって、前記代替えした平均袋長および次の袋長の合計値が、2つ分の小袋の袋長の前記許容範囲を超えたと判定された場合に、送り制御および切断装置を停止することが好適である。
【0028】
本発明においては、横シール部検出手段が対向するロールによって連続包装体を挟み付け、当該ロール同士の間隔の変化によって連続包装体の厚さを検出するものであることが好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の連続包装体の送り制御装置によれば、測定制御手段によって、当該第1の袋長判定手段によって所定の小袋部分の袋長の測定値が前記許容範囲を超えたと判定された場合に、所定の小袋部分についての袋長を前記算出した平均袋長に代替えし、かつ、次に搬送される小袋部分の袋長の測定を行なわせ、第2の袋長判定手段によって、前記代替えした平均袋長および次の袋長の測定値を合計した値が、2つ分の小袋部分の前記許容範囲内か否かを判定し、当該第2の袋長判定手段によって前記平均袋長および次の袋長測定値の合計した値が、2つ分の小袋部分の前記許容範囲内であると判定された場合に、送り制御は正常であるとして送り制御を続行するようにしている。
【0030】
したがって、一つの連続包装体に他の連続包装体をシールテープ等の継ぎ目テープによって接続して、該継ぎ目テープによって横シール部の厚みが大きくなりすぎて中身部分と横シール部の区別が付きにくい場合においても、連続包装体の各小袋部分の長さを検出して搬送を連続実行できる。
【0031】
また、継め目部分の厚みを横シール部と判定できるように厚み検出精度を低下させる等して、内容量の少ない包装体等、厚みの差の少ない包装体での横シール部の検出が不安定でも小袋の長さ測定を確実にできる。
【0032】
したがって、継ぎ目テープで厚みが増加していても、正常な長さで接続されている連続包装体の横シール部を判定できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る連続包装体の送り制御装置の全体説明図である。
【図2】図1の送り制御装置の制御ブロック図である。
【図3】図1の送り制御装置の送り制御プログラムのフローチャートである。
【図4】図3のフローチャート中の平均袋長計算プログラムのフローチャートである。
【図5】連続包装体の継ぎ目接続を正常にした状態の説明図で、(a)は正面説明図、(b)は側方視説明図である。
【図6】連続包装体の継ぎ目接続を正常よりも短くした状態の説明図で、(a)は正面説明図、(b)は側方視説明図である。
【図7】連続包装体の継ぎ目接続を正常よりも長くした状態の説明図で、(a)は正面説明図、(b)は側方視説明図である。
【図8】連続包装体の説明図で、(a)は正面説明図、(b)は側方視説明図である。
【図9】連続包装体の継ぎ目接続の説明図で、(a)は正面説明図、(b)は側方視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0035】
図1〜図6は、実施形態に係る連続包装体の送り制御装置の説明図である。
【0036】
実施形態に係る連続包装体の送り制御装置は、幅方向一端部に縦シール12がある筒状の樹脂材に長さ方向に間隔を置いて横シール部14を形成し、当該長さ方向に対をなす横シール部14,14間の中空の中身部分(「収容部」に相当)16内に液状、粒状粉状の内容物を収容して小袋部分26とし、その小袋部分26が複数連なった連続包装体10について、その連続包装体10を長さ方向に搬送する際に、該連続包装体10の送り長さを制御する送り制御装置に係るものである。
【0037】
なお、連続包装体10は、前述の図7に示すように、その幅方向の一端部(両端部のものもある)が熱シールされた縦シール部12と、長さ方向に間隔を置いて横方向(幅方向)に熱シールされた横シール部14とが加工されたものであり、これらの縦シール部12と横シール部14によって各中身部分16が個別化されているものである。
【0038】
送り制御装置においては、図1に示すように、箱詰め等された連続包装体10がロール(鍔付きロール)18によって幅方向位置が規制され、該ロール18を経由して送り出される。その送り出された連続包装体10を厚み検出器(包装間隔検出器)20に通す。厚み検出器20は連続包装体10の厚みを検出する。この連続包装体10は、厚み検出器20を通った後に対向する連続包装体搬送ロール(ローラとも称する)22、22に挟まれて下方の切断部24に送られる。切断部24では当該連続包装体10を切断して各個の小袋部分(切断した横シール部14と中身部分)26を小袋に分けて投入シュート28から図示しない搬送ラインに投入する。なお、送り制御装置には、装置全体がフレーム30上に設けられて支持されている。また、装置の上部には、前記厚み検出器20の検出信号を入力して、送り制御のために各種設定および各種演算をするコンピュータが収納されたコントロールボックス32が設けられ、さらにその上方に連続包装体10の送り状態(正常・異常)を表示する表示灯34が設けられる。
【0039】
図2のブロック図は、送り制御装置を上記コントロールボックス内のCPU(中央制御処理ユニット)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)や各種シーケンサによってハードウェア的またはソフトウェア的に構築した構造について説明するものである。
【0040】
送り制御装置は、図2に示すように、搬送される連続包装体10の横シール部14を該連続包装体10の厚さの大小を、厚み検出器20の検出結果に基づき検出する横シール部検出手段36と、前記横シール部検出手段36によって検出された、横シール部14間のピッチ長さに基づき前記小袋部分26の袋長を測定する袋長測定手段38と、袋長測定手段38によって測定した袋長の測定値を記憶する上記RAM等の記憶手段40と、記憶手段40に記憶された前記袋長の測定値の複数のものから、前記袋長の平均値を求める平均袋長算出手段42と、前記袋長測定手段38によって測定した所定の小袋部分26の袋長が予め設定された袋長の許容範囲内に入るか否かを判定する第1の袋長判定手段44と、当該第1の袋長判定手段44によって所定の小袋部分26の袋長の測定値が前記許容範囲を超えたと判定された場合に、所定の小袋部分26についての袋長を前記算出した平均袋長に代替えし、かつ、所定の小袋部分26の次に搬送される小袋部分26の袋長の測定を行なわせる測定制御手段46と、前記代替えした平均袋長および次の小袋部分26の袋長の測定値を合計した値が、2つ分の小袋部分26の前記許容範囲内か否かを判定する第2の袋長判定手段48と、当該第2の袋長判定手段48によって前記平均袋長および次の袋長測定値の合計した値が、2つ分の小袋部分26の前記許容範囲内であると判定された場合に、送り制御は正常であるとして送り制御を続行するようにしたものであり、各手段は、コントロールボックス32のCPUによって構成している。
【0041】
なお、当該第2の袋長判定手段48によって前記平均袋長および次の小袋部分26の袋長の合計値が、2つ分の小袋部分26の袋長の前記許容範囲内であると判定された場合に、所定の小袋部分26の袋長の測定値として平均袋長を、かつ、次の小袋部分26の袋長の測定値を前記記憶手段40に記憶させる記憶制御手段50を備えている。
【0042】
また、実施形態の送り制御装置は、連続包装体10の横シール部14を切断して各小袋部分26に分割する切断装置に連続包装体10を搬送する際に連続包装体10の送り制御をする送り制御装置であり、前記第1の袋長判定手段44によって所定の小袋部分26の袋長の測定値が前記許容範囲内を超えたと判定され、かつ、前記第2の袋長判定手段48によって、前記代替えした平均袋長および次の袋長の合計値が、2つ分の小袋の袋長の前記許容範囲を超えたと判定された場合に、送り制御および切断装置を停止する。
【0043】
連続包装体10は、幅方向の一方端に縦シール部12が形成されたものであるが、縦シール部12は幅方向の両方に形成してもよい。また、縦シール部12の無い連続包装体10であってもよい。
【0044】
横シール部検出手段36は、対向するロールによって連続包装体10を挟み付け、当該ロール同士の間隔によって、連続包装体10の厚みを検出する厚み検出器20の出力に基づき、横シール部14を検出するものである。
具体的には、厚み検出器20は、横シール部から中身部分にかけての連続包装体の厚みを連続的に検出するものであって、厚みが設定値以上であれば中身部分のオン状態であるとし、設定値未満であれば横シール部14のオフ状態であるとする。対向するロールは対のアーム先端に取り付けられ、そのアーム先端の間隔変化によって厚み検出器20がオン/オフする構成であるので、厚み検出器20の取り付け状態をダイヤル回転で調整することによって、オン/オフを切り換える厚みの設定を行なうことができる手動方式のものである。また、厚み検出器20としてロールの間隔自体を測定するセンサを用いることによって、連続包装体の種別登録等をしてオン/オフする判定基準値を切換えるようにすることも可能である。
【0045】
また、コントロールボックス32には、そのCPUの演算結果によって、連続包装体搬送ロール22や切断部24の駆動を制御する駆動制御手段54を設けている。
【0046】
〔袋長検出プログラム〕
連続包装体の送り制御装置の具体的な袋長検出プログラムについて、図3〜図4に示すフローチャートにしたがって説明する。図3は袋長検出プログラムの全体、図4はその中でのサブルーチンとして実行される平均袋長計算プログラムを示している。
【0047】
この袋長検出プログラムは、搬送される連続包装体を、一定搬送量毎にピッチ検出器にて監視して、袋長を測定するものであって、上記した横シール部検出手段36、袋長測定手段38、平均袋長算出手段42、第1の袋長判定手段44、測定制御手段46、第2の袋長判定手段48、および、記憶制御手段50の機能を奏するものである。
【0048】
ここでは、厚み検出器20を使用して横シール部14間のピッチ検出を、立ち上がり部(横シール部14から中身部分16への変化点)の検出によって行なう手順(ピッチ検出器)を採用している。
【0049】
袋長検出プログラムは、図3に示すような、一定の搬送量毎に割り込みプログラムとして実行される。この一定量が袋長検出の分解能となる。実施形態では、搬送1mm毎にこのプログラムが実行されて厚み検出器20のセンサー出力を読み込むものとする。
【0050】
プログラムの中で使用されるカウント等はプログラムの実行回数であり、すなわち、mm単位ということなる。
【0051】
袋長測定手段38として行なう袋長検出は、設定されている最少袋長から最大袋長までの許可範囲内のピッチ検出器の状態(厚み検出器20の検出状態)を監視して、パターン認識により袋長検出の基準位置(立ち上がり検出)とし基準位置から次の基準位置までの搬送距離を袋長として測定する。
【0052】
このパターン認識とは、ピッチ検出器のセンサー(厚み検出器20)の誤検出等を防止するためのもので、主に、センサーの状態が連続することで真の状態(正常な状態)であると認識させる。立ち上がり検出の場合、立ち上がり手前は横シール部14であり、厚み検出器20は連続OFF状態であり、立ち上がり以降は中身部分であり、厚み検出器20は連続ON状態となる。したがって、袋長の許可範囲内で連続OFF後の連続ON状態を検出することで、基準位置(立ち上がり)を判定する。
【0053】
この連続OFF及びON状態の距離は、使用する連続包装体の小袋部分に合った距離(最小袋長、最大袋長)を予めプログラム実行前に設定する。
【0054】
2つの連続包装体10、10をその尾端と先端同士を継ぎ目テープ56によって接続した場合に、接続部分を挟んで前後2袋分が正常な長さの場合を図5に、正常よりも短い場合を図6に、正常よりも長い場合を図7に示す。
【0055】
〔設定パラメータ〕
(1) この場合、設定値として与えるパラメータは、
・最小袋長:MIN_PITCH
・最大袋長:MAX_PITCH
・(収容部の)確定距離:ON_CNT
・(横シール部の)確定距離:OFF_CNT
測定分解能を1mm単位とし、説明のため、上記設定値も1mm単位のデータとする。
【0056】
(2) プログラム内での使用デバイスは、
・厚み検出器20からのセンサー入力ポート
:PORT_X (0:ロール閉(横シール部、オフOFFに対応)、1:ロール開(中身部分:オンONに対応))
・袋長検出カウンタ Pulse
・確定袋長保存データ Pitch
・オン確定距離計測カウンタ OnCnt
・オフ確定距離計測カウンタ OffCnt
・パスカウント PassCnt(袋長代替えカウント、ワンパスの場合1回のみ代替え可能)
・平均袋長 Average
上記カウンタ等はこのプログラムの実行前にセット送り後に初期化される。
【0057】
〔袋長検出プログラムの内容〕
図3に示す、この袋長検出プログラムは、連続包装体10を連続搬送している際に、一定の搬送量毎に割り込んで実行される(割り込プログラム)。図3、図4では各ステップ101等をS101等と記載する。
【0058】
また、このプログラム実行前のセット送り後に初期化されている。
【0059】
初期化により、Pulse=ON_CNT,OnCnt=OffCnt=PassCnt=0とされる。
【0060】
連続包装体10を搬送ロールに搬送する際に、1mmの送りピッチで割り込袋長検出プログラムの実行を開始する。開始によって、前記袋長検出カウンタPulseを+1加算する(ステップ101)。
【0061】
そして、前記袋長検出カウンタPulseが最小袋長MIN_PITCHより小さいか否かを判定する(ステップ102)。
【0062】
小さいと判断された場合(ステップ102:Y)、厚み検出器20のロール開・閉のいずれであるかを判定する(ステップ103)。この場合、厚み検出器20からのセンサー入力ポートPORT_Xが1であるならばロール間が開であり(ステップ103:1)、オフ確定距離計測カウンタOffCntにゼロ0を入れてクリアし(ステップ104)、この割り込プログラムを終了する。
【0063】
一方、前記のセンサー入力ポートPORT_Xが0であるならばロール間が閉であり(ステップ103:0)、オフ確定距離計測カウンタOffCntが(横シール部の)確定距離OFF_CNTより小さいか否かを判定する(ステップ105)。その判定結果が小さいものならば、オフ確定距離計測カウンタOffCntのカウント値を1増やして(ステップ106)、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。
【0064】
ここで、前述した前記袋長検出カウンタPulseが最小袋長MIN_PITCH以上ならば(ステップ102:N)、前記袋長検出カウンタPulseが最大袋長:MAX_PITCHより小さいか否かを判定する(ステップ107)。第1の袋長判定手段44に相当する。
【0065】
判定結果が非で前記袋長検出カウンタPulseが最大袋長:MAX_PITCH以上であるならば(ステップ107:N)、厚み検出器20からのセンサー入力ポートPORT_Xが1か0かを判定する(ステップ108)。
【0066】
センサー入力ポートPORT_Xが1で開ならば(ステップ108:1)、オフ確定距離計測カウンタOffCntが(横シール部の)確定距離OFF_CNTセンサー以上か否かを判定する(ステップ109)。判定結果が正ならば(ステップ109:Y)、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値を1増やして(ステップ110)、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値が(収容部の)確定距離:ON_CNT以上か否かを判定する(ステップ111)。ステップ111の判定結果が非で、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値が(収容部の)確定距離ON_CNT未満であるならば(ステップ111:N)、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。
【0067】
ステップ111の判定結果が正で、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値が(収容部の)確定距離:ON_CNT以上であるならば(ステップ111:Y)、袋長を確定する(ステップ112)。第2の袋長判定手段48に相当する。
【0068】
つまり、ステップ112では、確定袋長保存データPitch=袋長検出カウンタPulse-(収容部の)確定距離ON_CNTとする。
また、袋長検出カウンタPulseを(収容部の)確定距離ON_CNTとする。また、オン確定距離計測カウンタOnCnt=0、オフ確定距離計測カウンタOffCnt=0、およびパスカウントPassCnt=0としていずれもクリアする。
【0069】
次いで、上記袋長確定後は、平均袋長を更新するため、図4に示すような平均袋長計算プログラム1を実行する(ステップ113)。平均袋長計算プログラムが終了したならば、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。
【0070】
一方、ステップ108においてセンサー入力ポートPORT_Xが0で閉(ステップ108:0)、または、ステップ109においてオフ確定距離計測カウンタOffCntが(横シール部の)確定距離OFF_CNTセンサー以上でなくそれ未満ならば(ステップ109:N)、パスカウントPassCnt Pulseが1未満か否かを判定する(ステップ114)。
【0071】
判定結果で正であるならば(ステップ114:Y)、袋長を平均袋長で代替えする(ステップ115)。測定制御手段46に相当する。
【0072】
この場合、パスカウントPassCntを1加算(インクリメント)する。
【0073】
また、確定袋長保存データPitchに平均袋長Averageを入れる。
また、袋長検出カウンタPulseを、袋長検出カウンタPulse=袋長検出カウンタPulse−平均袋長Averageとする。
また、オン確定距離計測カウンタOnCnt=0、オフ確定距離計測カウンタOffCnt=0として、これらのカウント値をクリアする。上記ステップ115の代替え処理が終了したならば、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。
【0074】
一方、判定結果が非であるならば(ステップ114:N)、袋長の異常としての処理を行なう(ステップ116)。すなわち、実施形態では、袋長異常発生により、装置停止処理を実行する。復帰にはセット送りから実行され、セット送り後に初期化を行なう。ここではデバイスの初期化は不要である。そしてステップ116の袋異常処理が終了したならば、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。上記したように図6の接続部分周囲の2ピッチが短い場合と、図7のように接続部分が前後の2ピッチが長い場合、異常とする。
【0075】
ここで、上述のステップ107において、前記袋長検出カウンタPulseが最大袋長MAX_PITCHより小さいか否かを判定した結果が正であり、前記袋長検出カウンタPulseが最大袋長MAX_PITCH未満であるならば(ステップ107:Y)、ステップ117に進んで
、厚み検出器20のロール開・閉のいずれであるかを判定する(ステップ117)。
【0076】
ステップ117の判定結果が、厚み検出器20からのセンサー入力ポートPORT_Xが1でありつまりロール間が開であるならば(ステップ117:1)、オフ確定距離計測カウンタOffCntが(横シール部の)確定距離OFF_CNT未満か否かを判定する(ステップ118)。判定結果が正ならば(ステップ118:Y)、オフ確定距離計測カウンタOffCntのカウント値を0としてクリアする(ステップ119)。クリア後、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。
【0077】
一方、判定結果が非ならば(ステップ118:N)、オン確定距離計測カウンタOnCntに1加算(インクリメント)する(ステップ120)。次いで、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値が(収容部の)確定距離:ON_CNT以上か否かを判定する(ステップ121)。判定結果が正ならば、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値が(収容部の)確定距離:ON_CNT以上であるならば(ステップ121:Y)、袋長を確定する(ステップ122)。第2の袋長判定手段48に相当する。
【0078】
つまり、ステップ122では、確定袋長保存データPitch=袋長検出カウンタPulse-(収容部の)確定距離ON_CNTとする。
また、袋長検出カウンタPulseを(収容部の)確定距離ON_CNTとする。また、オン確定距離計測カウンタOnCnt=0、オフ確定距離計測カウンタOffCnt=0、およびパスカウントPassCnt=0としていずれもクリアする。
【0079】
次いで、上記袋長確定後は、平均袋長を更新するため、図4に示すような平均袋長計算プログラム1を実行する(ステップ123)。平均袋長計算プログラムが終了したならば、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。
【0080】
ここで、前記のステップ117の判定結果でセンサー入力ポートPORT_Xが0であるならばロール間が閉であり(ステップ117:0)、オフ確定距離計測カウンタOffCntが(横シール部の)確定距離OFF_CNTより小さいか否かを判定する(ステップ124)。その判定結果が正で小さいものならば、オフ確定距離計測カウンタOffCntのカウント値を1増やし(ステップ125)、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値を0にクリアする(ステップ126)。一方、ステップ124の判定結果が非で、オフ確定距離計測カウンタOffCntが(横シール部の)確定距離OFF_CNT以上ならば、オン確定距離計測カウンタOnCntのカウント値を0にクリアする(ステップ126)。ステップ126でカウント値をクリア後、この割り込プログラムを一旦終了して(END)、次の割り込まで待機する。
【0081】
〔平均袋長計算プログラム1〕
次に、図4に示す、平均袋長計算プログラム1を実行する平均袋長更新プログラムを説明する。
【0082】
この平均袋長更新プログラムは袋長確定時に実行される。この図4の場合は、平均に使用する最大袋数は10袋の例を説明する。Table[0]〜Table[9]の10個のテーブルに保存する。また、このプログラムは、実行前のセット送り後に初期化される。初期化によりi=No=Average=0とされる。
【0083】
この平均長計算プログラム1が実行されると、まず、カウンタiが10未満か否かを判定し(ステップ201)、判定結果が正ならばカウンタiを1加算する(ステップ202)。選択カウンタ[No]で選択されている[No]番目のテーブルTable[No]に確定袋長保存データPitchを格納する(ステップ203)。
【0084】
なお、上記ステップ201判定結果が非で、上記カウンタiが10以上ならば、カウンタを1加算すること無く、ステップ203の処理を行なう。
【0085】
次いで、各テーブルのデータの総和Sumを計算する。つまり、総和Sum=Table[0]とデータを加算し、総和Sum=Sum+Table[1]〜総和Sum=Sum+Table[9]と次次に加算して総和をとり、その総和Sumをカウンタiで除して(Sum/i)=平均値Averageを算出する(ステップ204)。
【0086】
次いで、選択カウンタ[No]の値を1加算する(ステップ205)。次いで、選択カウンタ[No]が9を超えているか否かを判定し(ステップ206)、判定結果が正で選択カウンタ[No]が9を超えているときは、選択カウンタ[No]=0としてクリアし(ステップ208)、平均長計算プログラム1を終了し次の実行まで待機する。一方、判定結果が非で選択カウンタ[No]が9以下の場合も、平均長計算プログラム1を終了し次の実行まで待機する。
【0087】
実施形態に係る連続包装体10の送り制御装置によれば、当該第1の袋長判定手段44によって所定の小袋部分26の袋長の測定値が前記許容範囲を超えたと判定された場合に、測定制御手段46は、所定の小袋部分26についての袋長を前記算出した平均袋長に代替えし、かつ、次に搬送される小袋部分26の袋長の測定を行なわせ、第2の袋長判定手段48は、前記代替えした平均袋長および次の袋長の測定値を合計した値が、2つ分の小袋部分26の前記許容範囲内か否かを判定し、当該第2の袋長判定手段48によって前記平均袋長および次の袋長測定値の合計した値が、2つ分の小袋部分26の前記許容範囲内であると判定された場合に、送り制御は正常であるとして送り制御を続行するようにした。
【0088】
したがって、一つの連続包装体10に他の連続包装体10をシールテープ等の継ぎ目テープによって接続して、該継ぎ目テープによって横シール部14の厚みが大きくなりすぎて中身部分16と横シール部14の区別が付きにくい場合においても、連続包装体10の各小袋部分26の長さを検出して搬送を連続実行できる。
【0089】
また、継め目部分の厚みを横シール部14と判定できるように厚み検出精度を低下させても、内容量の少ない包装体等、厚みの差の少ない包装体での横シール部14の検出が不安定でも小袋の長さ測定を確実にできる。
【0090】
よって、継ぎ目テープで厚みが増加していても、正常な長さで接続されている連続包装体10の横シール部14を判定できるという優れた効果を奏し得る。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の連続包装体の送り制御装置は、調味料等の食品を小袋に収容したものを連包にした連続包装体の他、洗剤等の日用品、接着剤等の材料を小袋に収容して連包にした連続包装体の送り制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 連続包装体
12 縦シール部
14 横シール部
16 中身部分
18 ロール
20 厚み検出器
22 連続包装体搬送ロール
24 切断部
26 小袋部分
28 投入シュート
30 フレーム
32 コントロールボックス
34 表示灯
36 横シール部検出手段
38 袋長測定手段
40 記憶手段
42 平均袋長算出手段
44 第1の袋長判定手段
46 測定制御手段
48 第2の袋長判定手段
50 記憶制御手段
52 設定入力部
54 駆動制御手段
56 継ぎ目テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の樹脂材に長さ方向に間隔を置いて横シール部を形成し、当該長さ方向に対をなす横シール部間の中空の収容部内に物を収容して小袋部分とし、その小袋部分が複数連なった連続包装体について、その連続包装体を長さ方向に搬送する際に、該連続包装体の送り長さを制御する送り制御装置において、
搬送される連続包装体の横シール部を該連続包装体の厚さの大小によって検出する横シール部検出手段と、
前記横シール部検出手段によって検出された、横シール部間のピッチ長さに基づき前記小袋部分の袋長を測定する袋長測定手段と、
袋長測定手段によって測定した袋長の測定値を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された前記袋長の測定値の複数のものから、前記袋長の平均値を求める平均袋長算出手段と、
前記袋長測定手段によって測定した所定の小袋部分の袋長が予め設定された袋長の許容範囲内に入るか否かを判定する第1の袋長判定手段と、
当該第1の袋長判定手段によって所定の小袋部分の袋長の測定値が前記許容範囲を超えたと判定された場合に、所定の小袋部分についての袋長を前記算出した平均袋長に代替えし、かつ、所定の小袋部分の次に搬送される小袋部分の袋長の測定を行なわせる測定制御手段と、
前記代替えした平均袋長および次の小袋部分の袋長の測定値を合計した値が、2つ分の小袋部分の前記許容範囲内か否かを判定する第2の袋長判定手段と、
当該第2の袋長判定手段によって前記平均袋長および次の袋長測定値の合計した値が、2つ分の小袋部分の前記許容範囲内であると判定された場合に、送り制御は正常であるとして送り制御を続行するようにしたことを特徴とする連続包装体の送り制御装置。
【請求項2】
当該第2の袋長判定手段によって前記平均袋長および次の小袋部分の袋長の合計値が、2つ分の小袋部分の袋長の前記許容範囲内であると判定された場合に、所定の小袋部分の袋長の測定値として平均袋長を、かつ、次の小袋部分の袋長の測定値を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の連続包装体の送り制御装置。
【請求項3】
連続包装体の横シール部を切断して各小袋部分に分割する切断装置に連続包装体を搬送する際に連続包装体の送り制御をする送り制御装置である場合、
前記第1の袋長判定手段によって所定の小袋部分の袋長の測定値が前記許容範囲内を超えたと判定され、かつ、前記第2の袋長判定手段によって、前記代替えした平均袋長および次の袋長の合計値が、2つ分の小袋の袋長の前記許容範囲を超えたと判定された場合に、
送り制御および切断装置を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の連続包装体の送り制御装置。
【請求項4】
横シール部検出手段が対向するロールによって連続包装体を挟み付け、当該ロール同士の間隔の変化によって連続包装体の厚さを検出するものであることを特徴とする請求項1ないし3のうちの1項に記載の連続包装体の送り制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176758(P2012−176758A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39622(P2011−39622)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(591272343)株式会社三橋製作所 (13)
【Fターム(参考)】