説明

連続微粒子相を有する複合不織繊維ウェブ、並びにその作製及び使用方法

本開示は、実質的に連続である3次元網状組織を形成する微粒子の集団を有する埋め込まれた相と、微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団を含むマトリックス相と、を含む複合不織繊維ウェブに関する。また、本開示は、実質的に連続である3次元網状組織を形成する微粒子の集団を有する埋め込まれた相と、微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団を含むマトリックス相と、を含む複合不織繊維ウェブの作製方法に関する。上述の方法により調製された複合不織繊維ウェブから作製された物品もまた、開示される。代表的な実施形態では、これらの物品は、ガス濾過用品、液体濾過用品、音声吸収用品、表面洗浄用品、細胞成長支援用品、薬物送達用品、個人衛生用品、及び創傷包帯用品を含むことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年12月31日に出願された米国特許仮出願第61/017,842号の利益を主張し、その開示内容の全体を参照として本明細書に援用する。
【0002】
(技術分野)
本開示は、少なくとも1つの連続微粒子相を有する不織繊維ウェブ並びにそのようなウェブの作製方法及び使用方法に関する。本開示は、更に、吸収性物品において有用なサブマイクロメータファイバー及び/又はマイクロファイバーを含む複合不織繊維ウェブに関する。
【背景技術】
【0003】
不織繊維ウェブは、例えば、表面洗浄用吸収性拭き取り用品として、ろ過媒体用ガス及び/又は液体吸収剤として、並びに音声及び/又は熱を吸収するためのバリア材料として、有用な吸収性物品の製造に使用されてきた。高い吸収力が要求されるいくつかの用途において、高い表面積の微細な繊維で作られた高多孔性の不織ウェブの使用が望ましい場合がある。また、特定のガス又は液体ろ過用途では、微細な不織繊維で形成されたウェブに微細な吸着微粒子を組み入れることが望ましい場合がある。しかし、微細な繊維は取り扱いの際にへこんで又は破砕して、多孔性及び/又は吸収のために利用可能な表面積を低減する一方、不織物品を通過する流体の圧力降下を増す傾向を有する。特にガス及び液体ろ過用途では、高い吸収性を維持しながらも、不織物品を通る圧力の降下を低く維持することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型の液体ろ過システム(例えば家庭用水ろ過システム)を提供する必要は引き続きある。更に、液体ろ過物品を形成するプロセス中、ろ過媒体として有用な不織繊維ウェブの劣化又は損傷を最低限にすることが望ましい。また、水ろ過システムにわたる圧力降下を増加せずに、高充填の活性な吸収剤及び/又は吸着剤微粒子を有する液体ろ過物品を提供する必要がある。また、繊維マトリックス内に微粒子を効果的に保持することによって浸透液への粒子の放出を防ぐ、微粒子充填不織繊維ウェブを提供することが望ましい。加えて、改善された有効寿命及び濾過効力を有する液体濾過物品を提供する必要は引き続きある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一観点において、本開示は、実質的に連続である3次元網状組織を形成する微粒子の集団を更に含む埋め込まれた相と、それらの微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団と、を含む複合不織繊維ウェブに関する。
【0006】
別の観点において、本開示は、実質的に連続である3次元網状組織内の微粒子の集団を更に含む埋め込まれた相と、それらの微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団と、を含む複合不織繊維ウェブの作製方法に関する。
【0007】
追加的な観点において、本開示は、上記の方法により調製された複合不織繊維ウェブで作られた物品に関する。代表的な実施形態では、この物品は、ガス濾過用品、液体濾過用品、音声吸収用品、表面洗浄用品、細胞成長支援用品、薬物送達用品、個人向け衛生用品、及び創傷包帯用品から選択される。
【0008】
本開示による複合不織繊維ウェブの代表的な実施形態は、多様な用途におけるそれらの使用を可能にする構造的特徴を有することができ、抜群の吸収力及び/又は吸着性を有することができ、流体濾過媒体として使用したときに高い多孔性、高い流体透過性、及び/又は低い圧力降下を呈することができ、コスト効果に優れた効率的な方法で製造することができる。
【0009】
本開示の代表的な実施形態の多様な観点及び利点を以上に記述した。上記の本発明の概要は、本発明の特定の代表的な実施形態の図示された各実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」により、本明細書に開示される原理を利用した特定の好ましい実施形態をより具体的に例示する。本開示の代表的な実施形態について、添付の図を参照して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本開示の代表的な実施形態による実質的に連続である微粒子相を含む例示的な単層複合不織繊維ウェブの概略図。
【図1B】本開示の別の代表的な実施形態による実質的に連続である微粒子相を含む例示的な単層複合不織繊維ウェブの概略図。
【図1C】本開示の追加的な代表的な実施形態による実質的に連続である微粒子相を含む例示的な単層複合不織繊維ウェブの概略図。
【図1D】本開示の代表的な実施形態による実質的に連続である微粒子相を含む例示的な多層複合不織繊維ウェブの概略図。
【図2】本開示の代表的な実施形態による実質的に連続である微粒子相を含む複合不織繊維ウェブを形成するための例示的装置の全体的略図。
【図3】本開示の別の代表的な実施形態による実質的に連続である微粒子相を含む複合不織繊維ウェブを形成するための例示的装置の全体的略図。
【図4】本開示の追加的な代表的な実施形態による実質的に連続である微粒子相を含む複合不織繊維ウェブを形成するための例示的装置の全体的略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
用語
本明細書で使用する用語を以下に定義する。
【0012】
「マイクロファイバー」とは、最低でも1マイクロメートルの直径中央値を有する繊維を意味する。
【0013】
「超極細マイクロファイバー」とは、2マイクロメートル以下の直径中央値を有するマイクロファイバーを意味する。
【0014】
「サブマイクロメータファイバー」とは、1マイクロメートル未満の直径中央値を有する繊維を意味する。
【0015】
本明細書中で特定の種類のマイクロファイバーのバッチ、群、アレイといった表現を用いる場合(例、サブマイクロメータファイバーのアレイ)、そのアレイにおけるマイクロファイバーの完全な集団か、又は単一のバッチのマイクロファイバーの完全な集団を意味し、そのアレイ又はバッチのサブマイクロメータ径の部分のみを意味するものではない。
【0016】
「配向された連続マイクロファイバー」とは、ダイから出て、処理ステーションを通り、そこで繊維が永久的に引き延ばされ、繊維内のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に対して整列するように永久的に配向される本質的に連続な繊維のことを指す(繊維に関して使用される「配向された」とは、繊維のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に沿って整列していることを意味する)。
【0017】
「メルトブロー繊維」とは、溶融状態の繊維形成材料をダイのオリフィスを通じて高速のガス流中に押し出すことによって製造され、押し出された材料はガス流中で先ず細径化され次いで繊維の塊として固化するものを意味する。
【0018】
「別に調製されたマイクロファイバー」とは、マイクロファイバーストリームが最初はより大きいマイクロファイバーストリームから空間的に分離している(例えば約25mm(1インチ)以上の距離をあけて)が、その溶融紡糸繊維ストリームに飛翔中に合流して分散するように位置決めされたマイクロファイバー形成装置(例えばダイ)から製造されるマイクロファイバーのストリームを意味する。
【0019】
「不織布ウェブ」とは、繊維が絡まり合ったり、点固着していることを特徴とする繊維のウェブを意味する。
【0020】
「自己支持性がある」とは、実質的に引き裂けたり破裂することなく、ドレープすることができ、かつ取り扱うことができるような、十分なコヒーレンシー及び強度を有するウェブを意味する。
【0021】
「ソリディティ」は、次の等式によって定義される。
【0022】
【数1】

【0023】
「ウェブ坪量」は、10cm×10cmのウェブ試料を元に計算される。
【0024】
「ウェブ厚さ」は、150Paの圧力を付加した5cm×12.5cmの寸法の試験器フット部を有する厚さ試験ゲージを用いて、10cm×10cmのウェブ試料で測定される。
【0025】
「かさ比重」は、文献から採用される、ウェブが作られるポリマー又はポリマーブレンドのかさ比重である。
【0026】
「分子的に同じ」ポリマーとは、本質的に同じ繰り返し分子単位を有するが、分子量、製造方法、市販形態などは異なっている場合があるポリマーを意味する。
【0027】
「メルトブロー」及び「メルトブロー工程」とは、空気又はその他の細径化するための流体と接触させながら長繊維を繊維にまで細くし、更にその後、細径化された繊維層を収集しながら、長繊維を形成するために、繊維形成材料を複数のオリフィスを通して押し出すことにより、不織布ウェブを形成する方法を意味する。
【0028】
「フィラメントを細径化して繊維にする」という用語は、フィラメントのセグメントを、より長く、より小さな直径のセグメントに変化させることを意味する。
【0029】
「スパンボンド」及び「スパンボンドプロセス」とは、低粘度の溶融物を複数のオリフィスを通して押し出すことにより長繊維を形成し、少なくともその長繊維の表面を凝固するために長繊維を空気又はその他の流体で急冷して、少なくとも部分的に凝固した長繊維を空気又はその他の流体と接触させ長繊維を繊維にまで細径化し、かつ所望により細径化した繊維の層をカレンダー処理することにより不織布ウェブを形成する方法を意味する。
【0030】
「スパンボンド繊維」とは、スパンボンドプロセスを用いて作製された繊維を意味する。このような繊維は一般的に連続であり、かつ十分に絡んでいる又は点固着しているので、1つの完全なスパンボンド繊維をこのような繊維の塊から取り除くことは通常可能ではない。
【0031】
「ダイ」とは、メルトブロープロセス及びスパンボンドプロセス(ただし限定せず)を含むポリマー溶融プロセス及び繊維押出しプロセスに使用する加工用アセンブリを意味する。
【0032】
「粒子」及び「微粒子」は、実質上互換的に使用される。概して、粒子又は微粒子とは、超微粒子形状の材料の個々の片又は単独の部分を意味する。しかし、微粒子は、また、超微粒子形状の中で関連し合って又は塊としてまとまっている単独粒子の集団も含む場合がある。したがって、本開示の特定の代表的な実施形態に使用される単独粒子は、塊となって、又は物理的に噛み合って、又は静電的に関連し合って、又は他の何らかのやり方で関連して、微粒子を形成する場合がある。場合によっては、米国特許第5,332,426号(タン(Tang)ら)に記述されているように、単独粒子の凝集体の形状の微粒子が意図的に形成される場合がある。
【0033】
「粒子充填されたメルトブローン媒体」又は「複合不織繊維ウェブ」とは、繊維の間に捕捉された粒子、選択的に、吸収剤及び/又は吸着剤である粒子を含有する、開かれた構造の、絡み合った繊維の密集体を有する不織布ウェブ、例えば、サブマイクロメータファイバー及び選択的にマイクロファイバーを意味する。
【0034】
「捕捉される」とは、粒子がウェブの繊維中に分布されて物理的に保持されていることを表す。一般に、繊維及び粒子に沿って点接触及び線接触しているので、粒子のほぼ全ての表面積が流体とのやり取りに利用できる。
【0035】
「自己固着」とは、点固着又はカレンダー加工におけるような固体接触圧力を加えることなく、オーブン内又はスルーエアーボンダーを用いて得られるような高温における繊維間の固着を意味する。
【0036】
「カレンダー加工」とは、製品(例えば高分子吸収剤を充填したウェブ)をローラーに通して圧縮材料を得るプロセスを意味する。ローラーは所望により、加熱してよい。
【0037】
「高密度化」とは、フィルター巻き取り軸若しくはマンドレルの上に直接又は間接的に堆積した繊維を、堆積前若しくはその後で圧縮し、そして意図的であろうと若しくは形成中の又は形成されたフィルターを取り扱う一部のプロセスの人為的な影響としてであろうと、より多孔性の低い面積を広く又は局所的に形成するように製造するプロセスを意味する。高密度化はまた、ウェブのカレンダー加工法を含む。
【0038】
「流体処理ユニット」又は「流体濾過システム」とは、濾過媒体を有するシステムと、未浄化の流体、例えば未処理の水を処理済みの流体から分離する方法と、を意味する。これには典型的に、フィルター要素用のフィルターハウジングと、処理済みの流体をフィルターハウジングから適した方法で離すための出口と、が包含される。
【0039】
「空隙体積」とは、たとえばフィルターのような多孔質本体部の非占有体積のパーセンテージ又は分率を表すものであり、フィルターの容積と重量を測定した上で、このフィルターの重量と、同一容積を有するフィルターの構成物質の理論上の(空隙の無い)固体重量とを比較することで計算される。
【0040】
「多孔性」とは、材料中の空隙の量である。孔及び空隙の寸法、頻度、数、及び/又は相互接続性が、材料の多孔性に影響する。
【0041】
「層(Layer)」とは、2つの主面間に形成される単一の層(stratum)を意味する。層(layer)は、単一のウェブの内部に存在する場合があり、例えば、ウェブの厚さを画定する第1及び第2の主層を有する単一のウェブにある複数の層(strata)が成す単一の層(stratum)である。また、層(layer)は、ウェブが、第2のウェブの厚さを画定する第1及び第2の主面を有する第2のウェブによって上から又は下から重ねられたとき、例えば、ウェブの厚さを画定する第1及び第2の主面を有する第1のウェブ内の単一層(stratum)として、複数のウェブを含む複合物品内に存在する場合があり、この場合、第1及び第2のウェブのそれぞれが、少なくとも1つの層を形成する。加えて、(複数の)層が、それぞれのウェブが1つの層を形成する単一のウェブ内、及びそのウェブと1つ以上の他のウェブとの間に同時に存在する場合がある。
【0042】
特定の第1の層を言及して「隣接している」という場合、第1と第2の層が隣り合い(すなわち隣接し)互いに接触する、あるいは直接には接触しないが互いに切れ目がなく連続である(すなわちその第1と第2の層との間に入る1つ以上の追加層がある)位置でもう1つの第2の層と接合していることを意味する。
【0043】
「微粒子密度勾配」、「吸着密度勾配」、及び「繊維集団密度勾配」とは、特定の繊維集団内の微粒子、吸着剤、又は繊維材料の量(例えば、ウェブの画定された面積の単位体積あたりの、与えられた材料の数、重量、又は体積)が、複合不織繊維ウェブ全体で均一である必要がなく、ウェブの特定のエリアでより多くの材料を提供し、他のエリアでより少ない材料を提供するために変化できることを意味する。
【0044】
ここで、本開示の多様な代表的な実施形態について、特定の図を参照して説明する。本開示の特定の代表的な実施形態の代表的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、多様な修正及び変更を採ることができる。したがって、本発明の実施形態は以下に記述する代表的な実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0045】
A.複合不織繊維ウェブ
一観点において、本開示は、実質的に連続である3次元網状組織を形成する粒子の集団を更に含む埋め込まれた相と、それらの粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団と、を含む複合不織繊維ウェブを提供する。
【0046】
本開示の一つの代表的な実施形態では、マイクロファイバー及び/又はサブマイクロメータファイバーを含む不織繊維ウェブに微粒子が組み込まれて、その微粒子が、マイクロファイバー及び/又はサブマイクロメータファイバーを含む実質的に連続である第2の相内の実質的に連続である第1の相を形成する。これら第1及び第2の相は、したがって、どちらも実質的に共連続である。
【0047】
本開示の別の代表的な実施形態では、マイクロファイバーを含む不織繊維ウェブにサブマイクロメータファイバーが組み込まれて、それらのサブマイクロメータファイバーが、マイクロファイバーを含む実質的に連続である第2の相内の実質的に連続である第1の相を形成する。これら第1及び第2の相は、したがって、どちらも実質的に共連続である。
【0048】
本開示の追加的な代表的な実施形態では、微粒子及び不連続(例えば、短繊維長)マイクロファイバーが、マイクロファイバー及び/又はサブマイクロメータファイバーを含む不織繊維ウェブに組み込まれて、微粒子及び短繊維長マイクロファイバーが、マイクロファイバー及び/又はサブマイクロメータファイバーを含む実質的に連続である第2の相内の実質的に連続である第1の相を形成する。これら第1及び第2の相は、したがって、どちらも実質的に共連続である。
【0049】
図1Aを参照すると、本開示による複合不織繊維ウェブの一つの代表的な実施形態を図示する概略図が示されている。単層複合不織繊維ウェブ10は、実質的に連続である3次元網状組織を形成する微細粒子の形状の微粒子の集団14を含む埋め込まれた相と、微粒子14の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団12を含むマトリックス相と、によって形成される。
【0050】
図1Aに例示した実施形態では、微粒子14は、それぞれの単独粒子が少なくとも1つの他の粒子と表面対表面の接触をしている単独の個別の粒子として示されており、実質的に連続である単独粒子の3次元網状組織(例えば、粒子の連鎖)から成る埋め込まれた相を形成している。
【0051】
図1Aの単独粒子は、均一でない幾何学形を有する固体粒子として図示されているが、微粒子の集団は任意の形及び/又は構造の粒子を含むことができるものと理解されたい。例えば、一部又は全ての粒子は、均一の規則的な幾何学形(例えば、球形、楕円形、多角形、針のような形など)を有することができ、また、不規則な形を有することさえできる。加えて、中空又は多孔質の粒子を使用することができる。
【0052】
図1Bに例示する別の代表的な実施形態では、単層複合不織繊維ウェブ20は、実質的に連続である3次元網状組織を形成する不連続繊維の形状の微粒子の集団24を含む埋め込まれた相と、微粒子24の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団22を含むマトリックス相と、によって形成される。図1Bに例示した実施形態では、微粒子24は、それぞれの単独の不連続繊維が少なくとも1つの他の不連続繊維と表面対表面の接触をしている単独の不連続繊維として示されており、実質的に連続である単独粒子の3次元網状組織(例えば、単独の不連続繊維の連鎖)から成る埋め込まれた相を形成している。
【0053】
図1Cに例示する別の代表的な実施形態では、単層複合不織繊維ウェブ30は、複数の不連続繊維36と一緒に結合された単独粒子の形状にある微粒子の集団34を含む埋め込まれた相と、実質的に連続である3次元網状組織を形成する粒子と、微粒子34の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団32を含むマトリックス相と、によって形成される。
【0054】
図1Cに例示した実施形態では、微粒子34は、それぞれの単独粒子が少なくとも1つの他の粒子と表面対表面の接触をしている単独の個別の粒子として示されており、実質的に連続である単独粒子の3次元網状組織(例えば、粒子の連鎖)から成る埋め込まれた相を形成している。しかし、単独粒子34の少なくとも一部分は複数の不連続繊維36によって一緒に保持されるので、単独粒子34は図のように表面対表面接触している必要はなく、単独の不連続繊維のそれぞれは、少なくとも1つの他の不連続繊維又はもう1つの微粒子と表面対表面接触しているので、単独粒子の実質的に連続である3次元網状組織(例えば、単独の不連続繊維の鎖)から成る埋め込まれた相を形成する。
【0055】
更に、図1Cの単独粒子は、均一でない幾何学形を有する固体粒子として図示されているが、微粒子の集団は任意の形及び/又は構造の粒子を含むことができるものと理解されたい。例えば、一部又は全ての粒子は、均一な規則的な幾何学形(例えば、球形、楕円形、多角形、針のような形など)を有することができ、また、不規則な形を有することさえできる。加えて、中空又は多孔質の粒子を使用することができる。
【0056】
図1Dに例示した別の代表的な実施形態では、多層複合不織繊維ウェブが形成されている。多層複合不織繊維ウェブ40は、支持体層50を含む。図1Dに示すように、支持体層50は、複数の不連続繊維と一緒に結合された単独粒子の形状にある、実質的に連続である3次元網状組織を形成する微粒子34の集団を含む埋め込まれた相と、実質的に連続である3次元網状組織を形成する微粒子と、微粒子34の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団32を含むマトリックス相と、によって形成される、図1Cに示した単層複合不織繊維ウェブ30を支持することができる。あるいは、この任意の支持体層を使用して、図1Aの単層複合不織繊維ウェブ10(図示せず)又は図1Bの単層複合不織繊維ウェブ20(図示せず)を支持することができる。
【0057】
図1Dでは2層構造が図示されているが、他の多層複合不織繊維ウェブ構造も本開示の範囲に含まれるものと理解されたい。したがって、例えば、任意の構造及び/又は組成を有し、かつ任意の順序で配列された3、4、5、又は任意の数の層を含む多層複合不織繊維ウェブ構造は、少なくとも1つの層が、実質的に連続である3次元網状組織を形成する粒子の集団を更に含む埋め込まれた相と、微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団を含むマトリックス相とを含む限り、本発明の範囲に含まれる。
【0058】
繊維の集団を含むマトリックス相を、マイクロファイバーのストリームとサブマイクロメータファイバーのストリームを組み合わせることによって形成できることが発見され、いくつかの実施形態では、これは、1又は2マイクロメートル以下の直径中央値を有する非常に微細なマイクロファイバーのストリームであり、サブマイクロメータファイバーがマイクロファイバーのストリームによって捕獲されてマイクロファイバーの間に分散される場合がある。そのような実施形態は、米国特許仮出願第61/071,230号の開示と共に組み合わされるとき、本開示の範囲に含まれる。
【0059】
したがって、上記の組み合わされた開示の範囲に含まれる特定の代表的な実施形態(図示せず)において、マトリックス相を含む繊維の集団の少なくとも一部分は、サブマイクロメータファイバーを含む場合がある。他の代表的な実施形態において、マトリックス相を含む繊維の集団の少なくとも一部分は、サブマイクロメータファイバーの集団を含み、マトリックス相は、マイクロファイバーの集団を更に含む。追加的な代表的な実施形態において(図示せず)、サブマイクロメータファイバーの集団は、マイクロファイバーの集団と共に形成される。他の代表的な実施形態において(図示せず)、サブマイクロメータファイバーの集団の少なくとも一部分は、マイクロファイバーの集団から分離して形成される。いくつかの代表的な実施形態において(図示せず)、マイクロファイバーの集団は、サブマイクロメータファイバーの集団と組成的に同じである。
【0060】
上記の組み合わされた開示の範囲に含まれる追加的な代表的な実施形態において(図示せず)、複合不織繊維ウェブは厚さを有し、マイクロファイバーの数に対するサブマイクロメータファイバーの数の比率は複合不織繊維ウェブの厚さにわたって変化する。いくつかの代表的な実施形態において(図示せず)、マイクロファイバーの数に対するサブマイクロメータファイバーの数の比率は、複合不織繊維ウェブの厚さにわたって減少する。他の代表的な実施形態において(図示せず)、マイクロファイバーの数に対するサブマイクロメータファイバーの数の比率は、複合不織繊維ウェブの半分の厚さによって画定される中央線の近くのピーク値から、複合不織繊維ウェブの表面でのより低い値まで、変化する。
【0061】
また、上述の組み合わされた開示の特定の実施形態を用いて、収集されたマイクロファイバーを、好ましくは自己生成熱結合工程によって結合して、信頼できるやり方でマイクロファイバーが保持及び保護されることにより、自立型のコヒレントなマトリックスを形成することができ、マトリックスでは、最低限のマイクロファイバーの損失又は破砕で、ウェブの取り扱い及び使用ができる。好ましくは、マイクロファイバーは半結晶性のポリマー材料からなる配向繊維であるので、ウェブの機械的又は物理的特性を増す。
【0062】
更に、上記の組み合わされた開示の範囲に含まれる追加的な代表的な実施形態では、微粒子の少なくとも一部分を、繊維の集団の少なくとも一部分と結合することができる。特定の追加的な実施形態では、微粒子の少なくとも一部分を、分離形成されたファイバーの集団の少なくとも一部分と結合することができる。現在好ましい特定の実施形態では、微粒子の少なくとも一部分を、マイクロファイバーの集団の少なくとも一部分と結合することができる。
【0063】
本開示による複合不織繊維ウェブの任意の代表的な実施形態では、ウェブは、ウェブの具体的な最終用途に依存して変化する場合がある坪量を呈する。典型的には、このウェブは、平方メートル当たり約1000グラム(gsm)未満の坪量を有する。幾つかの実施形態では、このウェブの坪量は約1.0gsm〜約500gsmである。他の実施形態では、このウェブの坪量は約10gsm〜約300gsmである。
【0064】
この複合不織繊維ウェブは、坪量の場合と同じくウェブの具体的な最終用途に依存して変化する場合がある厚さを呈する。典型的に、ウェブの厚さは約300ミリメートル(mm)未満である。幾つかの実施形態では、ウェブの厚さは約0.5mm〜約150mmである。他の実施形態では、ウェブの厚さは約1.0mm〜約50mmである。
【0065】
他の代表的な実施形態では、複合不織繊維ウェブは、厚さを有することができ、10%未満のソリディティを呈する。具体的には、出願者は、結果的にもたらされる複合不織繊維ウェブの多孔性及び透過性を制御するために、複合不織繊維ウェブ内のマイクロファイバーの数に対するサブマイクロメータファイバーの数の比率を制御することによってソリディティを10%未満に制御することは、これまで知られていなかったと考える。
【0066】
ここで、本開示による代表的な実施形態の複合不織繊維ウェブの多様な特性及び構成要素について説明する。
【0067】
B.複合不織繊維ウェブ構成要素
本開示の複合不織繊維ウェブは、以下の構成要素の1つ以上を含み得る。
【0068】
1.微粒子成分
上述したように、本開示による代表的な実施形態の複合不織繊維ウェブは、微粒子の集団を含む埋め込まれた相を含む。任意の好適な微粒子物質を選択することができる。好適な微粒子は、多様な物理的形態(例えば、固体粒子、多孔質粒子、中空の気泡体、疑集体、不連続繊維、短繊維、フレークなど)、形(例えば、球形、楕円形、多角形、針状の形など)、形の均一性(例えば、単分散、実質的に均一、不均一又は不規則であるなど)、組成(例えば、無機微粒子、有機微粒子、又はこれらの組み合わせ)、及びサイズ(例えば、サブマイクロメータサイズ、ミクロサイズなど)を有することができる。
【0069】
微粒子のサイズに特定して参照すると、いくつかの代表的な実施形態では、微粒子の集団のサイズを制御することが望ましい場合がある。いくつかの代表的な実施形態では、微粒子は、集団の直径中央値が1マイクロメータ(μm)未満、より好ましくは約0.9μm未満、更により好ましくは0.5μm未満、最も好ましくは約0.25μm未満である、サブマイクロメータサイズの微粒子の集団を含む。そのようなサブマイクロメータサイズの微粒子は、高い表面積及び/又は高い吸収力及び/又は吸着能力が望まれる用途において特に有用である場合がある。追加的な代表的な実施形態では、サブマイクロメータサイズの微粒子の集団は、集団の直径中央値が少なくとも0.001μm、より好ましくは少なくとも約0.01μm、更により好ましくは少なくとも約0.1μm、最も好ましくは少なくとも約0.2μmである、集団の直径中央値を有する。
【0070】
追加的な代表的な実施形態では、微粒子は、集団の直径中央値が多くとも約2,000μm、より好ましくは多くとも約1,000μm、最も好ましくは多くとも約500μmを有するミクロンサイズの微粒子の集団を含む。他の代表的な実施形態では、微粒子は、多くとも約10μm、より好ましくは多くとも約5μm、更により好ましくは多くとも約2μmの直径中央値を有するミクロンサイズの微粒子の集団を含む。特定の代表的な実施形態では、微粒子は、上述の直径中央値を有する不連続繊維を含む場合がある。
【0071】
また、単一の完成したウェブ内に複数のタイプの微粒子を使用してもよい。複数のタイプの微粒子を使用すると、たとえそれらの微粒子のタイプの1つが同じタイプの別の微粒子と結合しなくとも、連続である微粒子ウェブを生成することが可能となり得る。このタイプのシステムの一例は、2つのタイプの粒子、すなわち、1つが微粒子を一緒に結合するものであり(例えば、不連続高分子繊維微粒子)、もう1つがウェブに望ましい目的のために有効な粒子として作用するもの(例えば、活性炭のような吸着微粒子)である2つのタイプの粒子を使用するものである。そのような代表的な実施形態は、流体濾過用途に特に有用であり得る。
【0072】
そのような特定の代表的な実施形態では、微粒子を一緒に結合して繊維成分のメッシュ又は支持マトリックスを形成するように接着性又は「粘着性」にすることが可能な表面を有する少なくとも1つの微粒子を使用することが有利である場合がある。これに関して、有用な微粒子は、不連続繊維の形態であり得る、例えば熱可塑性ポリマーであるポリマーを含むことができる。好適なポリマーとしては、ポリオレフィン、特に、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPE、例えばエクソンモービルケミカル社(Exxon-Mobil Chemical Company)(テキサス州ヒューストン)より入手可能なVISTMAXX(商標)が挙げられる。追加的な代表的な実施形態では、特に表面層又は表面被覆としてのTPEを含む微粒子が好ましい場合があり、これは概してTPEがどちらかというと粘着性であり、複合不織繊維ウェブを形成するために、繊維を追加する前に微粒子を一緒に結合して3次元網状組織を形成するのを助けることができるからである。特定の代表的な実施形態では、VISTMAXX(商標)TPEを含む微粒子は、きつい化学薬品環境、特に低pH(例えば、約3以下のpH)及び高いpH(例えば、約9以上のpH)に対する抵抗力の改善を提供する場合がある。
【0073】
追加的な代表的な実施形態では、少なくとも1つの吸着微粒子、例えば、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせを使用することが有利である場合がある。種々の吸着剤粒子を採用することができる。望ましくは、吸着剤粒子は、吸着又は目的とする使用条件の下で存在が予想される気体、エアゾール、若しくは液体を吸着する能力を持つ。
【0074】
吸着剤粒子は、ビーズ、フレーク、顆粒、若しくは粒塊を含む、いかなる使用可能な形式をとることもできる。好ましい吸着剤粒子には、活性炭と、アルミナ及びその他の金属酸化物と、重炭酸ナトリウムと、吸着、化学反応、若しくは融合により構成要素を流体から取り除くことができる金属微粒子(例えば、銀粒子)と、ホプカライト(一酸化炭素の酸化触媒作用することができる)などのような微粒子状触媒剤と、酢酸などのような酸性溶液、若しくは水を含む水酸化ナトリウムなどのようなアルカリ性溶液で処理された粘土及びその他の鉱物と、イオン交換樹脂と、モレキュラーシーブ及びその他のゼオライトと、シリカと、殺生物剤と、殺真菌剤と、殺ウイルス剤とが含まれる。活性単炭及びアルミナは、特に好ましい吸着剤粒子である。また、例えば、気体の混合物を吸収するために、吸着剤粒子の混合物を採用することができるが、実際問題として、気体の混合物を取り扱うには、個々の層に別々の吸着剤粒子を採用して、多層シート状物品を組み立てる方がよりよい場合がある。
【0075】
望ましい吸着剤粒子の粒径は大幅に変えることができ、これは通常目的とする使用条件にある程度基づいて選ばれる。一般的ガイドとして、これらの吸着剤粒子のサイズは、約0.001〜約3000μmの直径中央値で変化できる。好ましくは、吸着剤粒子は、約0.01〜約1500μmの直径中央値、より好ましくは約0.02〜約750μmの直径中央値、最も好ましくは約0.05〜約300μmの直径中央値である。特定の代表的な実施形態では、吸着剤粒子は、1μm未満の集団の直径中央値を有するナノ微粒子を含む場合がある。多孔質のナノ微粒子は、流体媒質からの汚染物質を収着(例えば吸収及び/又は吸着)するための高い表面積を提供するという利点を有する場合がある。
【0076】
異なる粒径範囲を有する吸着剤粒子の混合物(例えば、二峰性混合物)を採用することもできるが、実際問題としては、上流側により大きい吸着剤粒子を、下流側により小さい吸着剤粒子を採用して多層シート状物品を組み立てる方がよりよい。少なくとも80重量%の吸着剤粒子、より好ましくは少なくとも84重量%、更に最も好ましくは少なくとも90重量%の吸着剤粒子はウェブの中に捕捉されている。ウェブの坪量として表現すると、吸着剤粒子充填濃度は、例えば、比較的細かい(すなわち直径が小さい)吸着剤粒子では、少なくとも約500gsm(例えば、サブマイクロメートルサイズ)であり、比較的粗い吸着剤粒子では少なくとも2,000gsm(例えば、ミクロンサイズ)である。
【0077】
2.繊維成分
上述のように、本開示の代表的な実施形態の複合不織繊維ウェブは、微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団を含むマトリックス相を含む。好適な繊維集団は、サブマイクロメータファイバー、マイクロファイバー、極細マイクロファイバー、又はこれらの組み合わせを含むことが可能である。
【0078】
特定の代表的な実施形態では、繊維の集団は、配向されている場合がある。配向された繊維とは、繊維内に分子の配向がある繊維である。完全に配向された高分子繊維及び部分的に配向された高分子繊維は既知であり、市販のものが入手可能である。繊維の配向は、複屈折、熱収縮、X線散乱、及び弾性率を含む数々の方法で測定可能である(例えば、「ポリマープロセシングの原則(Principles of Polymer Processing)」(ゼヘブ・タドモア(Zehev Tadmor)及びコスタス・ゴゴス(Costas Gogos)著、ジョンワイリーアンドサンズ、ニューヨーク、1979年、p77〜84を参照)。
【0079】
注意すべき重要なことは、結晶質及び非晶質の材料の両方が結晶化度から独立して分子配向を呈することができるので、分子配向が結晶化度とは異なることである。したがって、メルトブローン又は電界紡糸によって作製された商業的に既知のサブマイクロメータファイバーがたとえ配向されていなくとも、これらのプロセスを用いて作製された繊維に分子の配向を与える既知の方法がある。ただし、トロビン(Trobin)(例えば、米国特許第4,536,361号を参照)により記述されたプロセスは、分子配向された繊維を作り出さないことが示されている。
【0080】
a.サブマイクロメータファイバー
本開示の複合不織繊維ウェブは、1つ以上の微細なサブマイクロメータファイバー成分を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、好ましい微細なサブマイクロメータファーバー成分は、1マイクロメータ(μm)未満の繊維直径中央値を有するサブマイクロメータファイバー成分である。いくつかの代表的な実施形態では、サブマイクロメータファイバー成分は約0.2μm〜約0.9μmの範囲の繊維直径中央値を有する繊維を含む。他の代表的な実施形態では、サブマイクロメータファイバー成分は約0.5μm〜約0.7μmの範囲の繊維直径中央値を有する繊維を含む。
【0081】
本開示において、所定のサブマイクロメータファイバー構成要素の中の繊維の「繊維直径中央値」は、例えば、走査型電子顕微鏡を用いることによるように、繊維構造の画像を1つ以上作製すること、1つ以上の画像において明確に視認できる繊維の、繊維直径の合計数がxとなる繊維直径を測定すること、及びxの繊維直径の繊維直径中央値を計算すること、によって求められる。典型的に、xは約50超であり、そして望ましくは約50〜約200の範囲である。
【0082】
いくつかの代表的な実施形態では、サブマイクロメータファイバー成分は、1つ以上の高分子材料を含む場合がある。好適な高分子材料としては、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド(ナイロン−6及びナイロン−6,6)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルフォン、液晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0083】
サブマイクロメータファイバー成分は、上記のポリマー又はコポリマーの任意の1つを含む一成分繊維を含む場合がある。この代表的な実施形態では、一成分繊維は、後述する添加物類を含有してよいが、上述の高分子材料から選択される単繊維形成用材料を含む。更に、この代表的な実施形態では、一成分繊維類は、典型的に、1つ以上の添加物を25重量%まで有する前述の高分子材料のうちいずれか1つを少なくとも75重量%含む。望ましくは一成分繊維類は、上述の高分子材料のうちいずれか1つを少なくとも80重量%、より望ましくは少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、更に100重量%までも含み、ここで、重量はいずれも繊維の総重量を基準とする。
【0084】
サブマイクロメータファイバー成分はまた、(1)前述の高分子材料のうち2つ以上と、(2)後述するような添加物1つ以上とから形成される多成分繊維を含んでもよい。本明細書で使用するとき、用語「多成分繊維」は、2つ以上の高分子材料から形成される繊維を指すために用いられる。好適な多成分繊維の配置には、シース−コア配置、並列配置、及び「アイランド−イン−ザ−シー」配置が挙げられるがこれらに限定されない。
【0085】
多成分繊維から形成されるサブマイクロメータファイバー成分において、望ましくは、多成分繊維は、繊維の総重量に対して、(1)前述のポリマーのうち2つ以上を約75〜約99重量%、及び(2)1つ以上の追加の繊維形成用材料を約25〜約1重量%、含む。
【0086】
b.マイクロファイバー
本開示の複合不織繊維ウェブは、マイクロファイバー成分のような、1つ以上の粗い繊維成分を含む場合がある。いくつかの実施形態では、好ましい粗い繊維成分は、少なくとも1μmの繊維直径中央値を有する繊維を含むマイクロファイバー成分である。いくつかの代表的な実施形態では、マイクロファイバー成分は約2μm〜約100μmの範囲の繊維直径中央値を有する繊維を含む。他の代表的な実施形態では、マイクロファイバー成分は約5μm〜約50μmの範囲の繊維直径中央値を有する繊維を含む。
【0087】
本開示において、所定のマイクロファイバー成分における繊維の「繊維直径中央値」は、例えば、走査型電子顕微鏡を用いることによるように、繊維構造の画像を1つ以上作製すること、1つ以上の画像において明確に視認できる繊維の、繊維直径の合計数がxとなる繊維直径を測定すること、及びxの繊維直径の繊維直径中央値を計算すること、によって求められる。典型的に、xは約50超であり、そして望ましくは約50〜約200の範囲である。
【0088】
いくつかの代表的な実施形態では、マイクロファイバー成分は、1つ以上の高分子材料を含む場合がある。一般にいずれかの繊維形成ポリマー材料をマイクロファイバーを調製する際に使用してもよいが、普通、繊維形成材料は半結晶性であるのが好ましい。ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びウレタンが繊維形成に一般に使用されるに特に有用である。ウェブはまた非晶質ポリマー、例えばポリスチレンから調製されている。本明細書中に記載される特定のポリマーは単なる例であって、広範な種類の他のポリマー又は繊維形成材料が有用である。
【0089】
好適な高分子材料としては、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド(ナイロン−6及びナイロン−6,6)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルフォン、液晶ポリマー、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0090】
多様な合成繊維形成高分子材料を採用でき、線状低密度ポリエチレン熱可塑性材料、特に、線状低密度ポリエチレンのような延伸性熱可塑性材料(例えば、ダウレックス(DOWLEX)(商標)(ミシガン州ミッドランド所在のダウケミカル社(Dow Chemical Company)から入手可能)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPE、例えば、エンゲージ(ENGAGE)(商標)(ミシガン州ミッドランド所在のダウケミカル社(Dow Chemical Company))、ビスタマックス(VISTAMAXX)(商標)(テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービルケミカル社(Exxon-Mobil Chemical Company)から入手可能)、エチレンαオレフィンコポリマー(例えば、イグザクト(EXACT)(商標)(テキサス州ヒューストン所在のエクソンモービルケミカル社(Exxon-Mobil Chemical Company))、及びエンゲージ(ENGAGE)(商標)(ミシガン州ミッドランド所在のダウケミカル社(Dow Chemical Company))から入手可能なエチレンブテンコポリマー、エチレンヘキセンコポリマー、又はエチレンオクテンコポリマー)、エチレンビニルアセテートポリマー(例えば、エルバックス(ELVAX)(商標)(デラウェア州ウィルミントン所在のE.I.デュポン社(E.I. DuPont de Nemours & Co.,)から入手可能)、ポリブチレンエラストマー(例えば、クラスチン(CRASTIN)(商標)(デラウェア州ウィルミントン所在のE.I.デュポン社(E.I. DuPont de Nemours & Co.,)及びポリブテン−1(POLYBUTENE-1)(商標)(デラウェア州ウィルミントン所在のバゼルポリオレフィン社(Basell Polyolefins)から入手可能)、エラストマー合成ブロックコポリマー(例えば、クラトン(KRATON)(商標)(テキサス州ヒューストン所在のクラトンポリマーズ社(Kraton Polymers)及びソルプレン(SOLPRENE)(商標)(テキサス州ヒューストン所在のダイナゾルエラストマー社(Dynasol Elastomers)から入手可能)、及びポリエーテルブロックコポリアミドエラストマー材料(例えば、ペバックス(PEBAX)(商標)(フランス、コロンベ所在のアルケマ社(Arkema)から入手可能))を含む。特に好ましいのは、TPEである。
【0091】
また、多様な天然繊維形成材料を、本開示の代表的な実施形態による不織マイクロファイバーに取り入れることができる。好ましい天然材料としては、(例えば、炭素繊維を作製するための)ビツメン又はピッチが含まれる。繊維形成材料は、融解された形状でもよく、好適な溶媒で運んでもよい。また、反応性モノマーを採用し、それらがダイへ運ばれる又はダイを通過するにつれて相互に反応させることができる。不織布ウェブは、繊維の混合物を、単層(例えば、2つの共通のダイ先端を共有する、密な間隔で置かれたダイ空洞を用いて作製されたもの)、複数の層(例えば、積み上げて配列された複数のダイ空洞を用いて作製されたもの)、又は多成分繊維の1つ以上の層(米国特許第6,057,256号(クルーガー(Krueger)ら)に記述されているようなもの)の中に含有することができる。
【0092】
また繊維は、顔料や染料などの特定の添加剤がブレンドされた材料を含む、材料のブレンドから形成されてもよい。2成分サブマイクロメータファイバーであってもよいが、2成分マイクロファイバー、例えばコア−シース又は並列2成分繊維が調製されてもよい(本明細書にて「2成分」とは、2つ以上の構成成分を有する繊維を含み、各構成成分が繊維の断面積の一部を占め、繊維の実質的な長さにわたって延びているものである)。しかし、本開示の代表的な実施形態は、1成分繊維(こうした繊維において繊維は断面にわたって本質的に同じ組成を有するが、「1成分」は、実質的に均一な組成の連続相が断面にわたって及び繊維の長さにかけて延びているブレンド又は添加剤含有材料を含む)に関して特に有用であり、有利である。他の利益のうち、単一構成成分繊維を使用可能であることが、製造の複雑性を低減し、ウェブの使用における制限をほぼなくす。
【0093】
前述の繊維形成用材料に加えて、様々な添加物を繊維溶融物に添加し、押し出して、添加物を繊維に組み込んでもよい。典型的に、添加物の量は、繊維の総重量に対して、約25重量%未満、望ましくは約5.0重量%までである。適する添加物には、微粒子、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、流動性調整剤、硬化速度遅延剤、接着促進剤(シラン、チタン酸塩など)、補助剤、衝撃改質剤、発泡性微小球、熱伝導性粒子、電気伝導性粒子、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズ又はバブル、酸化防止剤、蛍光増白剤、抗菌剤、界面活性剤、難燃剤、及びフッ素化学品が含まれるが、これらに限るものではない。
【0094】
添加物のうち1つ以上を用いて、得られる繊維及び層の重量及び/又はコストを軽減してもよく、粘度を調整してもよく、又は繊維の熱的特性を変性してもよく、あるいは電気特性、光学特性、密度に関する特性、液体バリア若しくは接着剤の粘着性に関する特性を包含する、添加物の物理特性に由来する様々な物理特性活性を付与してもよい。
【0095】
3.任意の支持体層
本開示の複合不織繊維ウェブは、図1Dに示す代表的な実施形態の多層複合不織繊維物品40の支持体層50のような支持体層を更に含むことが可能である。支持体層は、存在するとき、複合不織繊維物品のほとんどの強度を提供することができる。幾つかの実施形態では、前述のサブマイクロメータファイバー成分は、非常に低い強度を有する傾向があり、通常の処理中に損傷する可能性がある。サブマイクロメータファイバー成分を支持体層に取り付けることは、サブマイクロメータファイバー成分に強度を与える一方、ソリディティを低く保持するので、サブマイクロメータファイバー成分に望まれる吸収特性を保持する。多層複合不織繊維ウェブ構造は、また、ウェブをロール形状に巻くこと、ウェブをロールから外すこと、鋳造、ひだ付け、折り畳み、短繊維化、ウィービングなど(ただし限定せず)を含む場合がある更なる加工のための十分な強度を提供することができる。
【0096】
本開示では様々な支持体層を利用してよい。適した支持体層としては、これらに限定されないが、不織布、織布、ニット織物、発泡体層、フィルム、紙の層、裏面粘着層、箔、メッシュ、弾性のある布地(すなわち、弾性特性を有する前述の織布、ニット織物、若しくは不織布のうちいずれか)、有孔ウェブ、裏面粘着層、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一つの代表的な実施形態では、支持体層は高分子不織布を含む。適した不織の高分子布としては、これらに限定されないが、スパンボンド布地、メルトブローン布地、短繊維長の繊維(すなわち、約100mm未満の繊維長を有する繊維)のカードウェブ、ニードルパンチ布地、スピリットフィルムウェブ、水流絡合ウェブ、エアレイド短繊維ウェブ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の代表的な実施形態では、支持体層は、結合された短繊維長繊維のウェブを含む。以下に詳述するように、結合は、例えば、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤による結合、水流交絡、ニードルパンチ加工、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを使用して実行することができる。
【0097】
支持体層は、複合不織繊維物品の特定の最終用途に応じた、坪量と厚さを有してよい。本開示の幾つかの実施形態では、複合不織繊維物品の全体の坪量及び/又は厚さは最小レベルで保持されるのが望ましい。別の実施形態では、全体の最小坪量及び/又は厚さが所定の用途において要求される場合がある。典型的に、支持体層の坪量は約150gsm未満である。幾つかの実施形態では、支持体層の坪量は約5.0gsm〜約100gsmである。別の実施形態では、支持体層の坪量は約10gsm〜約75gsmである。
【0098】
坪量と同様に、支持体層はある厚さを有してよく、この厚さは、複合不織繊維物品の特定の最終用途に応じて変化する。典型的に、支持体層の厚さは約150ミリメートル(mm)未満である。幾つかの実施形態では、支持体層の厚さは約1.0mm〜約35mmである。別の実施形態では、支持体層の厚さは約2.0mm〜約25mmである。
【0099】
特定の代表的な実施形態では、支持体層は、例えば、複数のマイクロファイバーであるマイクロファイバー成分を含む場合がある。そのような実施形態では、上述のサブマイクロメータファイバー集団をマイクロファイバー支持体層上に直接に配置して、多層複合不織繊維ウェブを形成することができる。任意に、上述のマイクロファイバー集団を、マイクロファイバー支持体層上のサブマイクロメータファイバー集団と共に又はその上を覆って、配置することができる。特定の代表的な実施形態では、支持体層を含む複数のマイクロファイバーは、この上層を形成するマイクロファイバーの集団と組成的に同じである。
【0100】
サブマイクロメータファイバー成分は、所与の支持体層に恒久的に又は一時的に結合される場合がある。本開示のいくつかの実施形態では、サブマイクロメータファイバー成分は、支持体層へ恒久的に結合される(すなわち、サブマイクロメータファイバー成分は支持体層へ、それと恒久的に結合されることを意図して取り付けられる)。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態では、上述のサブマイクロメータファイバー成分は、剥離ライナのように支持体層に暫定的に(すなわち支持体層から取り外し可能に)結合される場合がある。そのような実施形態では、サブマイクロメータファイバー成分は、暫定支持体層上に所望の長さの間、支持されてよく、また所望により暫定支持体層上で更に加工された後、第2の支持体層へ恒久的に結合されてもよい。
【0102】
本開示の代表的な実施形態では、支持体層は、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド布地を含む。本開示の更なる代表的な実施形態では、支持体層は、短繊維長の繊維のカードウェブを含み、この場合、短繊維長の繊維は、(i)低融点繊維若しくはバインダー繊維と(ii)高融点繊維若しくは構造繊維とを含む。典型的に、バインダー繊維の融点と構造繊維の融点との差は少なくとも10℃超であるが、バインダー繊維の融点は、構造繊維の融点よりも少なくとも10℃低い。適したバインダー繊維としては、これらに限定されないが、前述の高分子繊維のうちのいずれかが挙げられる。適した構造繊維としては、これらに限定されないが、前述の高分子繊維のうちのいずれか、並びにセラミック繊維、ガラス繊維、及び金属繊維などの無機繊維、及びセルロース繊維などの有機繊維が挙げられる。
【0103】
現在好ましい特定の実施形態では、支持体層は、短繊維長繊維のカードウェブを含み、短繊維長繊維は、PETの一成分と、PET/共PETの二成分短繊維長繊維を含む。現在好ましい一つの代表的な実施形態では、支持体層は、短繊維長繊維のカードウェブを含み、短繊維長繊維は、(i)2成分バインダー繊維を約20重量%(例えば、カンザス州ウィチタ所在のインビスタ社(Invista, Inc.)から入手可能なインビスタ(INVISTA)(商標)T254繊維を12d×3.81cm(約1.5インチ)と、(ii)構造繊維を約80重量%(例えば、インビスタ(INVISTA)(商標)T293PET繊維)を32d×7.62cm(約3インチ)と、を含む。
【0104】
上述のように、支持体層は、1層以上を互いに組み合わせて含んでよい。代表的な一実施形態では、支持体層は、不織布又はフィルムなどの第1層と、サブマイクロメータファイバー構成要素とは反対側の第1層上に接着剤層とを含む。この実施形態では、接着剤層は、第1層の外表面の一部又は全体を覆っていてよい。接着剤は、感圧接着剤、熱活性化接着剤などを包含するいかなる既知の接着剤を含んでもよい。接着剤層が感圧接着剤を含むとき、複合不織繊維物品は、剥離ライナーを更に含んで、感圧接着剤の一時的な保護を付与することが可能である。
【0105】
4.任意の追加的な層
本開示の複合不織繊維ウェブは、微粒子充填された繊維層、又は任意の支持体層、又はこれら両方(図示せず)と組み合わされた追加的な層を含むことができる。
【0106】
適した追加の層としては、これらに限定されないが、色保有層(例えば、印刷層)、任意の前述の支持体層、別個の平均繊維直径及び/又は物理的組成物を有する1層以上の追加のサブマイクロメータファイバー成分、更なる絶縁性能のための1層以上の二次微細サブマイクロメータファイバー層(例えば、メルトブローンウェブ又はガラス繊維布地)、発泡体、粒子の層、箔層、フィルム、装飾的な布地層、膜(すなわち、制御された透過性を有するフィルム、例えば、透析膜、逆浸透性膜など)、網状織物、メッシュ、配線網状組織若しくは管状の網状組織(すなわち、電気搬送用のワイヤー層、又は加熱ブランケット用の配線網状組織及び冷却ブランケットの中を流れる冷却剤用の管状の網状組織のような、様々な流体を搬送するための管/パイプ群の層)、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
5.任意の取り付け手段
特定の代表的な実施形態では、本開示の複合不織繊維ウェブは、複合不織繊維物品を基材に取り付けることを可能にするために1つ以上の取り付け手段を更に含む場合がある。上述のように、接着剤を使用して複合不織繊維物品を取り付けることができる。接着剤に加えて、その他の取付手段を使用してもよい。好適な取付手段には、ネジ、釘、クリップ、ステープル、ステッチ、ねじ切り、フック及びループ材料などの機械的なファスナが含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
複合不織繊維物品を各種の基材に取り付けるために、1つ以上の取り付け手段を使用することができる。代表的な基材には、自動車の構成要素、自動車の内装(すなわち、パッセンジャー・コンパートメント、エンジン・コンパートメント、トランクなど)、建物の壁面(すなわち、内装の壁面あるいは外装の壁面)、建物の天井(すなわち、室内の天井面あるいは屋外の天井面)、建物の壁あるいは天井のための建設材料(天井タイル、木材要素、石膏ボードなど)、部屋の区切り、金属板、ガラス基材、ドア、窓、機械の構成要素、電気製品の構成要素(すなわち、室内用電気機器の表面あるいは屋外用電気機器の表面)、パイプ若しくはホースの表面、コンピューター若しくは電気機器の表面、音響録音若しくは再生装置、電気製品、コンピューター等のハウジング若しくはケースが含まれるが、これらに限るものではない。
【0109】
C.複合不織繊維ウェブ形成プロセス
微粒子充填された複合不織繊維ウェブは既知である。微粒子充填された不織布ウェブを生成する既知の方法は、概して、不織布ウェブ自体が、組み合わされた不織/微粒子システムを支持するために十分な強度及び物性を有することを要求する。既知の方法は、不織布ウェブが特定の用途のために微粒子を支持する十分な強度又は剛性を有していない場合、よく機能しない。結合された微粒子充填ウェブは、その微粒子システムが形成された後に、結合された微粒子システム内に繊維が交じり合うことが非常に困難であるので、結合された微粒子充填ウェブの製作もまた、問題がある。
【0110】
本開示の特定の代表的な実施形態は、不織繊維が微粒子と交じり合って複合不織繊維ウェブを形成する前に、微粒子が、実質的に連続である3次元網状組織を形成する複合不織繊維ウェブを作り出すことによって、この問題を克服することができる。特定の実施形態では、そのような複合不織繊維ウェブは、微粒子充填不織繊維ウェブの組み合わせ構造を支持するために不織布ウェブの物理的特性に依存しない。
【0111】
実質的に連続である3次元網状組織に微粒子の集団を最初に形成することによって、繊維と繊維の結合又は繊維と微粒子との結合に伴う問題を回避することが可能であり得る。特に、非常に小さい直径の繊維(例えば、サブマイクロメータファイバー)又は弱い若しくは不連続性の繊維は、概して、ほとんど強度がなく乏しい結合のウェブをもたらす。そのような弱いウェブを製造するプロセスの例としては、メルトブロー、トロビン(Torobin)プロセス、及びいくつかの商用形態のエアレイングが挙げられる。
【0112】
特定の、あまり強くない繊維を使用することは、また、より強い繊維を使うことに勝る利点を提供することが可能である。サブマイクロメータファイバー及び極微細マイクロファイバーは元々弱い性質であり、濾過及び断熱のような用途で利益となる非常に高い比表面積を提供する。小径の繊維(例えば、サブマイクロメータファイバー及び極微細マイクロファイバー)は、また、主にそれらの弱さのために、より高い密度の構造の中に砕けて入り込む傾向がより強い。完成したウェブ全体に分散された、連続である微粒子が埋め込まれた相を形成することによって、この弱い繊維を支持し、過度の圧密を避けることができる。より低い密度の微細繊維ウェブは、概して、より高い密度のウェブより低い圧力降下を呈する一方、その変化しない直径のために、大きい比表面積を尚、呈する。この、より低い密度の構造は、また、繊維又は他の微粒子のいずれかによって閉塞される微粒子表面の量を最低限にすることができる。
【0113】
したがって、別の観点において、本開示は、実質的に連続である3次元網状組織内に微粒子の集団を有する埋め込まれた相を形成する工程と、微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する繊維の集団含むマトリックス相を形成する工程と、を含む複合不織繊維ウェブの作製方法を提供する。
【0114】
特定の代表的な実施形態では、本開示による複合不織繊維ウェブを作り出すプロセスは、微粒子のストリームを生成し、そのストリームを空気伝達される繊維のストリームと組み合わせることによって実行できる。次に、この組み合わされたストリームを収集してウェブにする。いくつかの代表的な実施形態では、この混合又は収集プロセスの間に、又は別のプロセス工程中に、微粒子を繊維に結合することが可能である。
【0115】
1.微粒子網状組織の形成
不織繊維ストリームにストリーム微粒子を付加するための既知の多様な方法がある。好適な方法は、米国特許第4,118,531号(ハウザー(Hause))、同第6,872,311号(コズロウ(Koslow))、同第6,494,974号(リッデル(Riddell))、並びに米国特許出願公開第2005/0266760号(クハブラ(Chhabra)及びイゼル(Isele))、同第2005/0287891号(パーク(Park))、及び同第2006/0096911号(ブレイ(Brey)ら)に記述されている。出願者は、実質的に連続である3次元網状組織に微粒子の集団を最初に形成することによって、微粒子ストリームを繊維ストリームと組み合わせるときに繊維をそれら自体又は微粒子と結合することに伴う問題を避けることが可能であり得ることを発見した。好ましくは、複合不織繊維ウェブを形成するために微粒子を不織繊維ストリームに埋め込む前に、微粒子を一緒に結合して実質的に連続である3次元網状組織を形成する。
【0116】
いくつかの代表的な実施形態では、微粒子を一緒に結合して、不織繊維が微粒子と交じり合って複合不織繊維ウェブを形成する前に、実質的に連続である3次元網状組織を形成する。特定の代表的な実施形態では、熱、圧力、溶媒、接着剤、放射線(例えば微粒子の硬化可能な成分を放射線で硬化することによって)、もつれ、振動などを使用して微粒子の結合を達成できる。
【0117】
特定の実施形態では、微粒子密度勾配を、例えば軸方向又は半径方向にウェブ内に作り出すことができる。軸方向に微粒子密度勾配を作り出すことは、ウェブの厚さ方向に対して垂直方向にウェブの長さに沿って、ウェブの一端での正方形領域当たりの微粒子の量がもう一方の端での量と異なっていることを意味する。一方、半径方向における微粒子密度勾配(例えば、概して円筒形にウェブが巻かれているとき)は、微粒子の量がウェブの半径(例えば、厚さ)方向に沿って変化することを意味する。
【0118】
密度の変化(例えば、数、重量又は体積に基づく微粒子、吸着剤又は繊維集団濃度)は線形である必要はないが、必要に応じて変化することができる。例えば、密度は、単一の工程の変化、複数の工程の変化、正弦的変化、軸方向又は半径方向における勾配として、ウェブの厚さにわたって増加又は減少する濃度勾配の数として、厚さ方向におけるウェブの中央線の近くのピーク値からウェブの厚さを画定する1つ又は両方の主面の近くで低い値に減少する濃度勾配の数として、などによって変動できる。
【0119】
2.繊維形成プロセス
不織繊維を生成する既知の方法及び微粒子を組み合わせる機会を提供する他の任意の方法を含む本開示の実施形態による複合不織繊維ウェブを作製するために好適な繊維ストリームは、ウェブ形成プロセスの間に繊維ストリームを伴う、実質的に連続である3次元網状組織で形成される。特定の実施形態では、繊維ストリームはサブマイクロメータファイバー、マイクロファイバー、又はサブマイクロメータファイバーとマイクロファイバーのブレンドを含む場合がある。
【0120】
サブマイクロメータファイバーストリームを製造する多くのプロセスを使用することができ、これには、メルトブロー、溶融紡糸、電界紡糸、ガスジェットフィブリル化、又はこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特に好適なプロセスとしては、米国特許第3,874,886号(レベック(Levecque)ら)、同第4,363,646号(トロビン(Torobin))、同第4,536,361号(トロビン(Torobin))、同第5,227,107号(ディッケンソン(Dickenson)ら)、同第6,183,670号(トロビン(Torobin))、同第6,269,513号(トロビン(Torobin))、同第6,315,806号(トロビン(Torobin))、同第6,743,273号(チュン(Chung)ら)、同第6,800,226号(ガーキン(Gerking))、ドイツ特許第19929709 C2号(ガーキン(Gerking))、及び国際公開特許第2007/001990 A2号(クラウス(Krause)ら)が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
また、サブマイクロメータ繊維を形成するために好適なプロセスは、電界紡糸プロセス、例えば、米国特許第1,975,504号(フォームハルス(Formhals))に記述されているプロセスも含む。サブマイクロメータ繊維を形成するための他の好適なプロセスは、米国特許第6,114,017号(ファブリカンテ(Fabbricante)ら)、同第6,382,526 B1号(レネカー(Reneker)ら)、及び同第6,861,025 B2号(エリクソン(Erickson)ら)に記述されている。
【0122】
また、マイクロファイバーストリームを製造するために多くのプロセスを使用することができる数々の方法は、メルトブロー、溶融紡糸、フィラメント押出し加工、プレクシフィラメント形成、スパンボンド法、湿式紡糸、乾式紡糸、又はこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。マイクロファイバーを形成するための好適なプロセスは、米国特許第6,315,806号(トロビン(Torobin))、同第6,114,017号(ファブリカンテ(Fabbricante)ら)、同第6,382,526 B1号(レネカー(Reneker)ら)、及び同第6,861,025 B2号(エリクソン(Erickson)ら)に記述されている。あるいは、マイクロファイバーの集団を短繊維に形成又は転換して、例えば米国特許第4,118,531号(ハウザー(Hauser))に記述されているようなプロセスを用いて、サブマイクロメータファイバーの集団と組み合わせることができる。
【0123】
いくつかの代表的な実施形態では、複合不織繊維ウェブの作製方法は、ファイバーストリームの混合、水流交絡、湿式形成、プレックスフィラメントの形成、又はこれらの組み合わせによって、粗いマイクロファイバー集団を、微細なマイクロファイバー集団、極微細マイクロファイバー集団、又はサブマイクロファイバー集団と混合する工程を含む。粗いマイクロファイバーの集団を微細繊維、極微細繊維、又はサブマイクロメータファイバーの集団と組み合わせる際、1つ又は両方のタイプの繊維の複数のストリームを使用することができ、ストリームを任意の順序で組み合わせることができる。このようにして、望まれる多様な濃度勾配及び/又は層の構造を呈する不織複合繊維ウェブを形成することができる。
【0124】
例えば、特定の代表的な実施形態では、微細繊維、極微細繊維、又はサブマイクロメータファイバーの集団を粗いマイクロファイバーの集団と組み合わせて不均一な繊維の混合物を形成することができる。特定の代表的な実施形態では、微細繊維、極微細繊維、又はサブマイクロメータファイバーの集団の少なくとも一部分が、マイクロファイバーの集団の少なくとも一部分と相互に混合される。他の代表的な実施形態では、微細繊維、極微細繊維、又はサブマイクロメータファイバーの集団を、マイクロファイバーの集団を含む下層を覆う上層として形成することができる。特定の代表的な実施形態では、マイクロファイバーの集団を、微細繊維、極微細繊維、又はサブマイクロメータファイバーの集団を含む下層上の上層として形成することができる。
【0125】
他の代表的な実施形態では、2つ以上の繊維形成ダイを操作して、混合フィラメントエアストリームを形成する代わりに分離層を形成することができる。ダイはまた、並べて操作することで、要素が回転式マンドレル上を横断するときに明確な層状効果を生み出すことも可能である。1つ以上のダイに様々なポリマー又は多成分繊維を用いることによって、性能に更なる変化が生じる可能性もある。
【0126】
また、勾配の付いた又は層状のフィルター要素は、前進するコレクターマンドレルを用いて、微粒子をウェブの対象領域へのみ添加する粒子ローダーを有することによって、形成できる。このことは、狭い粒子ローダーを更に広幅のダイとあわせて用いることで、又は粒子ローダー内に模様付きフィードロールを用いることで、達成できる。フィードロールは機械加工された空洞部を用いて、ロールがドクターブレードと対向して回転するときに容積測定の供給量を制御する。フィードローラーの前面にわたる(又はその周囲の)空洞部の容積を変えることによって、微粒子の局所的な供給を制御することができ、その結果、得られるウェブ中における微粒子の局所添加重量を制御することもできる。
【0127】
別の方法は、粒子ローダー内で分割ホッパーを利用することである。微粒子は、フィーディングを施したい分割された領域にのみ添加される。この方法はまた、分割された領域内で様々な粒子の利用を可能にすることで2つの粒子寸法を利用できるようにするか、又は処理済みの吸着剤若しくは特別な性能を有するものの追加を制御することもできる。複数の粒子ローダーを用いて、対象領域に添加される粒子の量若しくは種類を変えることもできる。
【0128】
これらのアプローチを使用することによって、特定の用途のために作られた直接形成された複合不織繊維ウェブを形成することができる。例えば、微細なポリプロピレン繊維の内側層は、マンドレルコアのすぐ近くに形成することができ、脱落や剥がれを軽減するのに役立つ。内側層の次には、第一次分離のために、粒子配合されたウェブの中間層を提供することができる。加えて、この中間層の上には、所望の機能を有する外側層を形成することができ、例えば、その外側層は、より大きな汚染物質を第一次分離層に達する前に除去するように更に大きな孔径を有する、及び/又は追加のプレフィルター層として働くようにより大きな直径の繊維を有することができる。多くの他の利用可能な配置はまた、当業者によって製造することも可能であり、本開示の範疇にあると見込まれる。
【0129】
3.任意の結合工程
繊維の状態、及びマイクロファイバーとサブマイクロメータファイバーの相対的割合に依存して、収集の間に繊維と微粒子との間及び繊維と繊維との間に何らかの結合が生じる場合がある。しかし、ウェブをより取り扱い易くして、マトリックス内にサブマイクロメータファイバーをより良好に保持できるようにして(「結合」繊維は、繊維と繊維を堅く付着させるので、それらは一般にウェブが通常の取り扱いに供される場合でも分離しないことを意味する)、所望の粘稠度のマトリックスを提供するために、収集されたウェブにおける繊維と微粒子との間又は繊維と繊維と間の更なる結合が望ましい場合がある。
【0130】
特定の代表的な実施形態では、マイクロファイバーとサブマイクロメータファイバーとのブレンドを一緒に結合することが可能である。結合は、例えば、熱接着、接着剤結合、粉末化結合剤、水流交絡、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを使用して達成できる。点結合プロセスで加えられる熱及び圧力を用いるか、又は平滑なカレンダーロールによる従来の結合技法を用いることができるが、このようなプロセスは、繊維の望ましくない変形又はウェブの圧縮を引き起こす場合がある。繊維を結合するためのより好ましい技法は、米国特許第2008/0038976 A1号に開示されている。
【0131】
4.任意の追加的プロセス工程
複合不織繊維ウェブの作製方法及びその任意の結合方法に加えて、以下のプロセス工程の1つ以上を、いったん形成されたウェブに対して実行することができる。
【0132】
(1)複合不織繊維ウェブを更なるプロセス作業に向けたプロセス経路に沿って前進させる工程、
(2)1つ以上の追加層をサブマイクロメータファイバー成分の、マイクロファイバー成分の、及び/又は任意の支持層の、外面と接触させる工程、
(3)複合不織繊維ウェブのカレンダー加工工程、
(4)複合不織繊維ウェブを表面処理剤又は他の組成物(例えば、難燃剤組成物、接着剤組成物、又は印刷層)でコーティングする工程、
(5)複合不織繊維ウェブを厚紙又はプラスチック管に取り付ける工程、
(6)複合不織繊維ウェブをロール形状に巻く工程、
(7)複合不織繊維ウェブをスリットして2つ以上のスリットロール及び/又は複数のスリットシートを形成する工程、
(8)成形型内に複合不織繊維ウェブを配置して、複合不織繊維ウェブを新しい形に成型する工程、
(9)存在する場合には、露出した任意の感圧性接着剤の層の上に剥離ライナーを塗布する工程、及び
(10)複合不織繊維ウェブを別の基材に接着剤又は他のいずれかの取付手段(クリップ、ブラケット、ボルト/ネジ、釘、若しくはストラップを含むがこれに限定されない)により取り付ける工程。
【0133】
3.複合不織繊維ウェブ形成
装置図2を参照すると、本開示による複合不織繊維ウェブ作製装置300の一つの代表的な実施形態の概略図である。図2は、不織微粒子充填ウェブを作製するための微粒子充填装置60を示す。ホッパー76を通った微粒子74は、フィードロール78、及びドクターブレード80を通過する。電動ブラシロール82はフィードロール78を回転する。ネジ付きアジャスター84は、ウェブを横断する均一性、及びフィードロール78を通過する微粒子の漏れ量の割合を改善するために、動かすことができる。総合的な微粒子流量は、フィードロール78の回転速度を変更することにより調節できる。フィードロール78の表面は、異なる微粒子に対する供給性能を最適化するために変えられる場合がある。微粒子74のカスケード86は、シュート88を通ってフィードロール78から落下し、チャネル94から出て、微粒子のストリーム96を形成する。
【0134】
微粒子のストリーム96は、実質的に連続である3次元網状組織14における微粒子の集団を形成する。特定の好ましい実施形態では、微粒子の少なくとも一部分が結合して、実質的に連続である3次元網状組織を形成する。微粒子間の結合は、例えば、熱、圧力、溶媒、接着剤、放射線、振動、もつれ合いなどを用いて達成することができる。図2は、微粒子のストリーム96が熱可塑性ポリマー微粒子を含み、加熱によって微粒子の表面が柔らかくなり微粒子が結合されている現在の好ましい一実施形態を示す。加熱は、例えば、任意の加熱要素102及び/又は102’からの熱い気流を用いて実行できる。
【0135】
図2に概して示されるように、繊維形成装置101から出てくる繊維のストリーム100は、微粒子96のストリームの間に入り込む。図2に点線で示されるように、繊維の任意の第2のストリーム100aは、任意の繊維形成ダイ101aからの微粒子のストリーム96内に導入することができる。ストリームは移動距離21の間に合流して、複合不織繊維ウェブ10’として収集装置3上に配置される。
【0136】
図2に示すように、繊維の任意の第3のストリーム100bを、複合不織繊維ウェブ10’が任意の繊維形成ダイ101bを通過する連続スクリーンタイプのコレクター19上にて輸送される間に、ウェブ10’内に導入することができる。所望により、繊維形成ダイ101bを、任意の繊維形成ダイ101a及び/又は繊維形成ダイ101の1つ又は両方と組み合わせて使用することができる。
【0137】
本開示の代表的な実施形態は、図2のように、スクリーンで覆われたドラム(図示せず)上のベルトタイプのコレクター19のような連続スクリーンタイプのコレクター上に複合不織繊維ウェブ10’を収集することによって、又は当該技術分野で既知の代替方法を用いて、実行できる。複合不織繊維ウェブ10’をロール23に巻くことができる。
【0138】
図2に示す特定の代表的な実施形態では、コレクター19の上に取り付けられた制御された加熱装置200の下をコレクター19を移動することによって複合不織繊維ウェブ10’が運ばれ得る。図の加熱装置200では、熱された空気(空気導管207を通って加熱装置200に供給される)の長い又はナイフのようなストリーム210が、加熱装置200の下のコレクター19上で移動する複合不織繊維ウェブ10’の上に吹きかけられる。
【0139】
多量の空気は、マイクロファイバー形成装置を通過し、繊維が区域215内でコレクターに到達するときに処理されなければなならい。空気排気装置14は、好ましくは、加熱装置200のスロット209の下方にあるように十分延びている(並びに、以下に説明されるように、加熱されたストリーム210を超えて220と標識されたエリアを通る距離218まで下流方向に延びる)。十分な空気は、領域216でウェブ及びコレクターの中を通って、ウェブを加工空気の様々なストリームの下の適切な位置に保持する。加熱領域217下のプレート内の十分な開口は、処理空気がウェブを通過できると共に空気が均等に分配されることを確実にするために十分な抵抗の提供を可能にする。
【0140】
加熱を更に制御するために、塊は、加熱された空気のストリーム210の適用後に素早く急冷に供される。こうした急冷は、一般にその塊が制御された熱空気ストリーム210を離れた直後に周囲の空気を複合不織繊維ウェブ10’にわたって上全体に引き込むことによって達成できる。図2の数字220は、ウェブが熱空気ストリームを通過した後に空気排気装置によって周囲空気をウェブを通して引き込む領域を示す。空気排気装置(図示せず)は、加熱装置200を超えて距離218をコレクターに沿って延在して、複合不織繊維ウェブ10’全体の完全な冷却及び/又は急冷を確保することができる。
【0141】
図3は、本開示による複合不織繊維ウェブ作製装置400の代替の代表的な実施形態の概略図である。図3は、メルトブロープロセスにて複合不織繊維ウェブを作製するための微粒子充填装置60の使用を図示する。溶融した繊維形成高分子材料は、不織布ダイ62に入口63を通して入り、ダイキャビティ66のダイスロット64(すべて二点鎖線で示される)を通して流れ、ダイキャビティ66からオリフィス67のようなオリフィスを通って一連の長繊維68として出る。空気マニフォールド70を通して導かれた減衰化流体(一般的には空気)が、フィラメント68をダイ出口72において繊維98に減衰化する。
【0142】
一方、ホッパー76を通った微粒子74は、フィードロール78、及びドクターブレード80を通過する。電動ブラシロール82はフィードロール78を回転する。ウェブを横断する均一性、及びフィードロール78を通過する微粒子の漏れ量の割合を改善するために、ネジ付きアジャスター84を動かすことができる。総合的な微粒子流量は、フィードロール78の回転速度を変更することにより調節できる。フィードロール78の表面は、異なる微粒子での供給性能を最適化するために変えることができる。微粒子74のカスケード86が、フィードロール78からシュート88を通って落下する。空気又はその他の流体がマニフォールド90及びキャビティ92を貫通し、落下する微粒子74を、高分子材料のフィラメント68及び繊維98の間のストリーム96の中を、チャネル94を貫通して導く。微粒子74と繊維98の混合物は自己支持性複合不織繊維ウェブ10’’を形成し、多孔質コレクター150に載る。所望により、任意の支持体層50を任意のロール152から供給し、複合不織繊維ウェブ10’’の収集及び支持のために使用できる。
【0143】
図4は、本開示による複合不織繊維ウェブ作製装置500の別の代表的な実施形態を図示する。図4は、代替方法であるメルトブロー繊維形成プロセスで複合不織繊維ウェブを作製するための微粒子充填装置60の使用を図示する。
【0144】
図4に概して図示されるように、代表的な実施形態の装置500は、メルトブローン繊維162、164の概して反対のストリームをコレクター100に向けて発射する2つの概して縦に斜めに配置されたメルトブローダイ66を使用する。その一方で、微粒子74はホッパー166を貫通して導管168へ移される。空気インペラ170は空気を第2の導管172を通させ、それにより微粒子をしかるべく導管168から第2の導管172へと導く。微粒子は、凝集性の微粒子ストリーム176としてノズル174から射出されて、メルトブローンされた繊維のストリーム162及び164と組み合わされる。微粒子ストリーム176及びメルトブローンされた繊維のストリーム162、164は、自己支持性不織布ウェブ10’’’を形成し、多孔質のコレクター150上に載る。図4の装置を使用してメルトブロー工程が実行される方法に関する詳細は、当業者には周知であろう。
【0145】
D.複合不織繊維ウェブの使用方法
本開示は、多様な吸収用途における本開示の複合不織繊維ウェブの使用方法もまた、目的とする。代表的な実施形態では、この物品は、ガス濾過用品、液体濾過用品、音声吸収用品、表面洗浄用品、細胞成長支援用品、薬物送達用品、個人向け衛生用品、又は創傷包帯用品として使用できる。
【0146】
特定の例示的なガス濾過用途において、本明細書に記述されたようなウェブは、過度の圧力降下を伴わずに、はるかに改善された粒子捕獲を提供できる。微粒子自体は、標的種又はエアロゾルを空気から捕獲するために活性であることができる。より低い繊維密度を利用することによって、そのようなシステムは、高度に充填された微細繊維層より低い圧力降下を有することになる。また、繊維及び微粒子をエレクトレットとして潜在的に帯電させて、追加的な微粒子捕獲性能をもたらすことも可能である。
【0147】
加えて、本開示の特定の代表的な実施形態による、低ソリディティの複合不織繊維ウェブは、より低いソリディティの結果として低減された圧力降下により、ガス濾過用途において有利である場合がある。繊維ウェブのソリディティの減少は、概して、その圧力降下を低減することになる。本開示の、低ソリディティのサブマイクロメータ複合不織繊維ウェブの微粒子充填と同時に、より低い圧力降下の増加もまた、結果としてもたらされる場合がある。微粒子充填されたサブマイクロメータファイバーを形成するための現在の方法は、より粗いマイクロファイバーウェブでの場合よりはるかに高い圧力降下をもたらすが、これは、微細なサブマイクロメータファイバーウェブのより高いソリディティにある程度よるものである。
【0148】
加えて、ガス濾過でのサブマイクロメータファイバーの使用は、サブマイクロメータファイバーが提供する改善された微粒子捕獲効率により、特に有利である場合がある。特に、サブマイクロメータファイバーは、小径の空気輸送微粒子の捕獲において、より粗い繊維よりも優れている場合がある。例えば、サブマイクロメータファイバーは、約1000ナノメートル(nm)未満、より好ましくは約500nm未満、更により好ましくは約100nm未満、最も好ましくは約50nm未満の寸法を有する空気輸送微粒子をより効率的に捕獲することが可能である。このようなガスフィルターは、人身保護用呼吸用マスク、暖房・換気・空調(HVAC)フィルター、自動車用エアフィルター(例えば、自動車エンジンエアクリーナー、自動車排気ガス濾過、自動車乗客室空気濾過)、及び他のガス−粒子濾過用途において特に有用である場合がある。
【0149】
また、本開示の特定の代表的な実施形態の複合不織繊維ウェブの形態で低ソリディティを伴うサブマイクロメータファイバーを含有する液体フィルターは、改善された深さの充填(depthloading)という利点を有する一方で、サブマイクロメートルの液体輸送微粒子の捕獲のために小孔径を維持することができる。これらの性状は、詰まりを伴わずにチャレンジ微粒子(challenge particulates)をフィルターがより多く捕獲することを可能にすることによって、フィルターの充填性能を改善する。
【0150】
加えて、特定の液体濾過用途では、連続微粒子相が、画定された孔構造を許すことによって、深さ濾過機能(depth filtration functionality)をもたらすことが可能である。更に、より高い繊維及び/又は微粒子表面積を使用して、フィルターとの化学結合又は反応を促進することができる。また、この微粒子相は、取り扱い、処理、又は使用によるフィルターの破砕を防ぐよう作用することができる。
【0151】
本開示の特定の代表的な実施形態の複合不織繊維ウェブは、また、断熱又は防音材料としても有用である場合がある。断熱材としてウェブを使用することは、本開示の特定の実施形態により提供される低い繊維密度を有利に利用できる。より低い繊維密度は、停滞した空気をより多く捕えて、熱伝導性を低減することを可能にする。微細繊維の表面積が増加していることは、また、音声の減衰及び吸収にも有用である場合がある。そのような実施形態で有用となり得る微粒子としては、相変化材料、匂い吸収剤、及びエアロゲルが含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
本開示の特定の代表的な実施形態による低密度複合不織繊維ウェブは、また、表面洗浄用、例えば個人衛生用途及び洗浄用途において有用である場合がある。この低密度構造がより優れた流体制御を可能にする一方で、吸収性、抗菌性、又は匂い制御のような性状を提供するために微粒子を選択することができる。この低密度構造は、また、拭き取り用品として使用したときに布の中に汚れ、土、及び破片を捕える機会の向上をもたらす。また、特定の代表的な実施形態の低ソリディティ複合不織繊維ウェブが提供する構造は、柔らかい拭き取り用品の提供において有効である場合があり、一方、低ソリディティは、洗浄剤の及び破片を捕えるための高い孔体積のためのリザーバを提供する利点をもたらす場合がある。
【0153】
本開示のいくつかの代表的な実施形態の低ソリディティサブマイクロメータファイバー含有複合不織繊維ウェブは、また、メンブレンを支持するために好ましい基材でもある。この低ソリディティ微細ウェブは、メンブレンの物理的支持体としてだけでなく、深さプレフィルター(depthpre-filter)としても、メンブレンの寿命を改善することができる。そのようなシステムの使用は、非常に有効な対称又は非対称メンブレンとして作用できる。そのようなメンブレンの用途としては、電解質排除、限外濾過、逆浸透、選択的結合、及び/又は吸着、及び燃料電池輸送及び反応システムが挙げられる。
【0154】
本開示のいくつかの特定の実施形態の低ソリディティサブマイクロメータ複合不織繊維ウェブは、また、細胞成長促進のために有用な合成マトリックスである場合がある。微細なサブマイクロメータファイバーを伴う開かれた構造は、自然発生的システムを模倣することができ、より生体内的な挙動を促進する。これは、繊維マトリックス内に細胞がほとんど又は全く浸透しない、高ソリディティの繊維ウェブが合成ベースメントメンブレンとして作用する現在の製品(例えば、ミネソタ州ミネアポリス所在のドナルドソン社(Donaldson Corp.)から入手可能なドナルドソンウルトラウェブ(Donaldson Ultra-Web)(商標)シンセティックECM)と比べた場合である。
【0155】
本開示の特定の代表的な実施形態による低ソリディティの粒子充填されたサブマイクロメータファイバーウェブは、また、この不織布ウェブ内の細胞の成長の促進にも有用である場合がある。十分に微細な繊維を有することは、細胞が繊維を合成マトリックスとして利用することを可能にし、一方、微粒子は栄養素、生理活性化合物、抗菌製剤などを供給するために作用できる。不織布ウェブのソリディティが高過ぎる場合、標的細胞が繊維マトリックス内で成長できず、結果的に異なる細胞の挙動をもたらす可能性がある。
【0156】
いくつかの用途では、本開示の特定の代表的な実施形態による不織複合繊維ウェブは、薬物送達及び/又は創傷包帯として有用である場合がある。例えば、治療のために傷に送達される薬物となる微粒子を選択することができる。
【0157】
記述したような複合不織繊維ウェブは、また、特定の代表的な実施形態では、プロセス上で有益かつ独自の多数の利点を有する場合がある。例えば、特定の代表的な実施形態では、単層のみから成り、マイクロファイバー、極微細マイクロファイバー、及び/又はサブマイクロメータファイバーを含む場合がある微粒子と繊維の混合物を含む有用な最終製品を調製することができる。そのような単層ウェブは製作上重要な効率を提供する場合があり、例えば、積層プロセス及び装置の排除並びに多数の中間体材料の低減によって、製品の複雑さ及び廃棄物を低減する場合がある。本発明の特定の代表的な実施形態の製造ウェブの直接ウェブ形成の性質、すなわち1つの本質的に直接の動きによって繊維形成高分子材料がウェブに転換される性質が与えることができる本発明の特定の代表的な実施形態のウェブは、かなり経済的であり得る。またウェブの全ての繊維が同じポリマー組成物を含む場合、ウェブは完全にリサイクル可能となり得る。
【0158】
加えて、本発明の特定の代表的な実施形態の複合不織繊維ウェブは、多層製品を製造するために使用することが可能であり、また、多様な物理的形態で使用することが可能である。例えば、このウェブを成形すること又はプリーツ形状にすること、及びその収集されたウェブ形状で使用することができる。本発明の特定の実施形態で可能となる非常に小さい直径の繊維(例えば、極微細マイクロファイバー及び/又はサブマイクロメータファイバー)の使用によって、改善された濾過性能及び断熱又は防音性能のような有益な効果と共に、大きく増加された繊維表面積をこのウェブに提供することができる。いくつかの実施形態では、異なる直径の繊維を使用することによって、流体濾過及び音声吸収における吸収力を特定の用途に合わせて調整することができる。複合不織繊維ウェブを通る圧力の降下も、また、下げることができる。
【0159】
特定の代表的な実施形態では、本開示の開示された多孔質シート材料による複合不織繊維ウェブを使用して、当業者に周知となるであろう、有機溶媒、無機蒸気、及び他の物質を含む広範な化学物質を、捕獲又は吸着することができる。
【0160】
当業者にはよく分かるであろうが、カバーウェブ、硬化層、帯電した不織布ウェブなどのような粒子濾過層、又はその他の機能的若しくは装飾的な層などのような1つ以上の追加の層を採用してもよい。この開示された複合不織繊維ウェブは、溶剤を含有する雰囲気で使用するための個人向け呼吸用マスクのための交換可能なカートリッジの作製に特に有用であり得る。しかし、この開示された複合不織繊維ウェブは、多様な追加的な用途を有し得る。
【0161】
例えば、代表的な実施形態の複合不織繊維ウェブは、その中に多孔質シート状物品を通して空気を濾過して入れる、薬品防護服などのような個人用若しくは集団用の保護装具、フード、個別エンクロージャー(例えば隔離室)、シェルター(例えば、テント又はその他の可搬若しくは永久構造物)、及びその他の個人用又は集団用の保護装具であってもよい。この開示されたウェブは、また、取り囲まれた区域に入る又はその中で循環する気体の調節用フィルタを提供するために、好適なハウジングによって支持されてもよい。この開示されたウェブは、更なる(例えば、既存の)フィルタ構造に組み合わせることができる前置フィルタ又は後置フィルタを提供するために、更に使用されてもまたよい。追加的な用途は、当業者にはよく分かるであろう。
【実施例】
【0162】
本開示の代表的な実施形態を上述し、そして更に実施例として以下にも例示しているが、これらは、本発明の範囲を多少なりとも限定する意図はない。それとは逆に、本明細書中の説明を読むことによって、本開示の趣旨及び/又は添付の請求項の範囲を逸脱することなく当業者に示唆され得る様々な他の実施形態、修正、及びそれらの等価物に頼ることができることが明確に分かる。更に、本開示の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値にみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来有している。最低限でも、また特許請求の範囲の範囲と等価物の原則の適用を制限しようとするものではないが、それぞれの数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、通常の数値のまるめ方を適用することによって解釈されるべきである。
【0163】
連続微粒子相を有する複合不織繊維ウェブの製作
代表的な実施形態の複合ウェブは、米国特許第4,536,361号に記述されているプロセスからの繊維ストリームを伴う多様な微粒子ストリームの組み合わせによって作製された。このプロセスは、繊維形成ダイが水平より約45度下の角度を狙って水平真空コレクターに向かうように構成した。微粒子は、微粒子ストリームが繊維ストリーム中に縦に落下するように繊維ダイの上のトレーから振り出された。複合ウェブは、真空コレクター上で収集して、コレクターベルトから巻き取った。コレクターベルト上にウェブが形成された後、追加的結合は行わなかった。
【0164】
この繊維プロセスは、トータルペトロケミカルス社(Total Petrochemicals)(テキサス州ヒューストン所在)の等級3960のポリプロピレンを用いた。直径1.9cm(3/4”)の単独推進器押出成形機を用いてポリマーを融解し、サブミクロン繊維(sub-micron fiber)形成ダイに供給した。290℃に熱したダイに、毎分7グラムの速度でポリマーを供給した。室温空気を552kPa(平方インチ当たり80パウンド)の圧力でダイに供給した。全ての試料で、繊維プロセス条件は一定に保持した。
【0165】
以下の微粒子を使用した。
【0166】
試料A:微粒子なし、対照試料
試料B:マキシブラスト社(Maxi-Blast Incorporated)(インディアナ州サウスベンド所在)のマキシブラスト熱硬化性ブラスト媒体
試料C:クラレケミカル(日本所在)の12×20格子状活性炭、GG型
試料D:PICA USA社(オハイオ州コロンバス所在)の80×325メッシュ活性炭、CC型
試料E:240グリットのアルミナ研磨粉
【0167】
走査電子顕微鏡を用いて試料Aの繊維直径中間値を測定したところ、試料Aの繊維直径中間値は0.86マイクロメートルであった。それぞれの試料の坪量を測定した結果を表Iに報告する。
【0168】
【表1】

【0169】
それぞれの試料の繊維の坪量を基に計算される繊維質量分率は、全ての試料でほぼ一定に維持された。
【0170】
それぞれの試料の厚さは、微粒子充填されたウェブ試料の破砕抵抗の尺度として、付加圧力の作用として測定された。15、30、60、120、150、及び225パスカルの圧力を用い、ウェブの厚さをミル単位で測定した(1ミルは25マイクロメートルに相当する)。破砕抵抗の結果は、15Paの圧力でのウェブの厚さに対する、与えられた付加圧力で測定されたウェブの厚さの比率として表し、したがって、100%に正規化した。付加された圧力の作用の結果として測定された厚さと破砕抵抗を表IIに示す。微粒子充填された全ての複合ウェブは、対照ウェブに比べて改善された圧縮抵抗を示す。
【0171】
【表2】

【0172】
本明細書全体を通し、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「実施形態」を指す参照は、「実施形態(embodiment)」という用語の前に「例示的(exemplary)」という用語が含まれて「代表的な実施形態(exemplary embodiment)」と書き表されているかどうかに関わらず、その実施形態の、ある特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の特定の代表的な実施形態の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本発明の特定の代表的な実施形態の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0173】
特定の実施形態を本明細書は詳細に説明しているが、前述の理解によれば、これらの実施形態に対して当業者が容易に代替、変更、及び同等を想起できるであろうことを理解されたい。したがって、本開示は上述の例示の実施形態に過度に限定されないものと理解されたい。特に、本明細書において使用される端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図される(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。加えて、本明細書に使用される全ての数は、用語「約」によって修飾されることを前提とする。更に、本明細書にて参照される全ての出版物及び特許は、それぞれの個々の出版物又は特許が参照により援用されることを明確にかつ個別に指示したかのごとく、それらの全体が同じ範囲で、参照により本明細書に援用される。多様な代表的な実施形態を説明してきた。これら及び他の実施形態は、下記の特許請求の範囲の範疇にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合不織繊維ウェブであって、
実質的に連続である3次元網状組織を形成する微粒子の集団を含む埋め込まれた相と、
前記微粒子の周囲の3次元網状組織を形成する繊維の集団を含むマトリックス相と、を含む、ウェブ。
【請求項2】
前記微粒子の集団が、無機微粒子、有機微粒子、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のウェブ。
【請求項3】
前記微粒子の集団が、不均一の固体微粒子、実質的に均一の固体微粒子、中空の気泡体、短繊維、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項4】
前記微粒子の集団が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項5】
前記微粒子の集団が、少なくとも1マイクロメートル(μm)の直径中央値を有する、請求項1に記載のウェブ。
【請求項6】
前記微粒子の集団が、1μm未満の直径中央値を有する、請求項1に記載のウェブ。
【請求項7】
前記繊維の集団を含む前記3次元網状組織が実質的に連続である、請求項1に記載のウェブ。
【請求項8】
前記繊維の集団が配向されている、請求項1に記載のウェブ。
【請求項9】
前記繊維の集団が、1μm未満の直径中央値を有する、請求項1に記載のウェブ。
【請求項10】
前記繊維の集団が、約0.2μm〜約0.9μmの範囲の繊維直径中間値を有する、請求項9に記載のウェブ。
【請求項11】
前記繊維の集団が、少なくとも1μmの直径中央値を有する、請求項1に記載のウェブ。
【請求項12】
前記繊維の集団が、約2μm〜約50μmの範囲の繊維直径中間値を有する、請求項11に記載のウェブ。
【請求項13】
前記ウェブが厚さを有し、10%未満のソリディティを呈する、請求項1に記載のウェブ。
【請求項14】
前記繊維の集団が高分子繊維を含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項15】
前記高分子繊維が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニールアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、液晶ポリマー、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のウェブ。
【請求項16】
前記高分子繊維がポリオレフィン繊維を含む、請求項14に記載のウェブ。
【請求項17】
前記微粒子の集団の少なくとも一部分が、別に形成された繊維の少なくとも一部分と結合されている、請求項1に記載のウェブ。
【請求項18】
前記別に形成された繊維の少なくとも一部分と結合されている前記微粒子の集団が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤による結合、摩擦による結合、水流交絡、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて結合される、請求項17に記載のウェブ。
【請求項19】
前記微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する前記繊維の集団が、サブマイクロメータファイバーを含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項20】
前記マトリックス相がマイクロファイバーの集団を更に含む、請求項19に記載のウェブ。
【請求項21】
前記マイクロファイバーの集団が前記サブマイクロメータファイバーの集団と組成的に同じである、請求項20に記載のウェブ。
【請求項22】
前記マイクロファイバーの集団が前記サブマイクロメータファイバーの集団と別に形成される、請求項20に記載のウェブ。
【請求項23】
前記複合不織繊維ウェブが厚さを有し、前記マイクロファイバーの数に対する前記サブマイクロメータファイバーの数の比率が前記複合不織繊維ウェブの厚さにわたって変化する、請求項20に記載のウェブ。
【請求項24】
前記マイクロファイバーの数に対する前記サブマイクロメータファイバーの数の前記比率が前記複合不織繊維ウェブの厚さにわたって減少する、請求項23に記載のウェブ。
【請求項25】
前記マイクロファイバーの数に対する前記サブマイクロメータファイバーの数の前記比率が、前記複合不織繊維ウェブの半分の厚さによって画定される中央線の近くのピーク値から、前記複合不織繊維ウェブの表面でのより低い値まで変化する、請求項23に記載のウェブ。
【請求項26】
支持体層を更に含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項27】
前記支持体層が、不織布、織布、ニット織物、発泡体層、フィルム、紙の層、裏面粘着層、又はこれらの組み合わせを含む、請求項26に記載のウェブ。
【請求項28】
前記支持体層が高分子不織布を含む、請求項26に記載のウェブ。
【請求項29】
前記支持体層が、結合された短繊維のウェブを含み、更に、前記支持体層が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤、水流交絡法、ニードルパンチ法、カレンダ加工、又はこれらの組み合わせを用いて結合される、請求項26に記載のウェブ。
【請求項30】
複合不織繊維ウェブの作製方法であって、
a.実質的に連続である3次元網状組織にある微粒子の集団を含む埋め込まれた相を形成する工程と、
b.前記微粒子の周囲の3次元網状組織を形成する繊維の集団を含むマトリックス相を形成する工程と、を含む、作製方法。
【請求項31】
前記微粒子の集団が、不均一の固体微粒子、実質的に均一の固体微粒子、中空の気泡体、短繊維、又はこれらの組み合わせを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記微粒子の集団が、吸収剤、吸着剤、活性炭、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、分子ふるい、又はこれらの組み合わせを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記微粒子の集団が、少なくとも1マイクロメートル(μm)の直径中央値を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記微粒子の集団が、1μm未満の直径中央値を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記繊維の集団を含む前記3次元網状組織が実質的に連続である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記繊維の集団が配向されている、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記繊維の集団が、1μm未満の直径中央値を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記繊維の集団が、約0.2μm〜約0.9μmの範囲の繊維直径中間値を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記繊維の集団が、少なくとも1μmの直径中央値を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記繊維の集団が、約2μm〜約50μmの範囲の繊維直径中間値を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ウェブが厚さを有し、10%未満のソリディティを呈する、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記繊維の集団が高分子繊維を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記高分子繊維が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニールアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、液晶ポリマー、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記高分子繊維がポリオレフィン繊維を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記微粒子の集団の少なくとも一部分が、別に形成された繊維の少なくとも一部分と結合されている、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
前記別に形成された繊維の少なくとも一部分と結合されている前記微粒子の集団が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤による結合、摩擦による結合、水流交絡、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせを用いて結合される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記微粒子の周囲に3次元網状組織を形成する前記繊維の集団が、サブマイクロメータファイバーを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項48】
前記マトリックス相がマイクロファイバーの集団を更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記マイクロファイバーの集団が前記サブマイクロメータファイバーの集団と組成的に同じである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記マイクロファイバーの集団が前記サブマイクロメータファイバーの集団と別に形成される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記複合不織繊維ウェブが厚さを有し、前記マイクロファイバーの数に対する前記サブマイクロメータファイバーの数の前記比率が前記複合不織繊維ウェブの厚さにわたって変化する、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記マイクロファイバーの数に対する前記サブマイクロメータファイバーの数の前記比率が前記複合不織繊維ウェブの厚さにわたって減少する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記マイクロファイバーの数に対する前記サブマイクロメータファイバーの数の前記比率が、前記複合不織繊維ウェブの半分の厚さによって画定される中央線の近くのピーク値から、前記複合不織繊維ウェブの表面でのより低い値まで変化する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記埋め込まれた相及び前記マトリックス相の1つ又は両方のための支持体層を提供する工程を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項55】
前記支持体層が、不織布、織布、ニット織物、発泡体層、フィルム、紙の層、裏面粘着層、又はこれらの組み合わせを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記支持体層が高分子不織布を含む、請求項54に記載のウェブ。
【請求項57】
前記支持体層が、結合された短繊維のウェブを含み、更に、前記結合された短繊維の少なくとも一部分が、熱接着、接着剤結合、粉末結合剤、水流交絡、ニードルパンチ法、カレンダー加工、又はこれらの組み合わせによって、前記埋め込まれた相及び前記マトリックス相の1つ又は両方と結合される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
請求項30に記載の方法により調製された複合不織繊維ウェブを含む物品であって、ガス濾過用品、液体濾過用品、音声吸収用品、表面洗浄用品、細胞成長支援用品、薬物送達用品、個人衛生用品、及び創傷包帯用品からなる群から選択される、物品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−508830(P2011−508830A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540771(P2010−540771)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/086770
【国際公開番号】WO2009/088648
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】