説明

連続性保証書込方法及び連続性保証書込プログラム

【課題】着脱可能な記憶媒体に地図データ等の経路誘導データを連続性を保証して書き込むことを可能にする。
【解決手段】連続性保証書込方法においては、コンピュータが、経路誘導装置における地図及び地点表示のために提供する経路誘導データの複数のファイルの内、最大サイズのファイル以外をサイズの小さい順に着脱可能記憶媒体に書き込むステップと;ガーベージコレクションにより前記記憶媒体の記憶領域の最適化を実行するステップと;前記最大サイズのファイルを前記記憶媒体に書き込むステップとを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な記憶媒体に地図データ等の経路誘導データを連続性を保証して書き込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置等の経路誘導装置は、着脱可能な記憶媒体(リムーバルメディア)であるメモリカードに予め格納(書き込み)されている地図データ等の経路誘導データを読み出し、経路誘導のための地図及び地点を表示する。
【0003】
着脱可能記憶媒体に地図データ等の経路誘導データを格納するには、例えばレンタカー会社に配置されているパーソナルコンピュータ等のデータ処理装置が利用される。レンタカー会社の操作者は、データ処理装置を操作し、インターネット上のWeb(WWW:World Wide Web)サイトの地図配信サーバから有償の経路誘導データをダウンロードして、ハードディスクに格納する。
【0004】
ハードディスクに格納された経路誘導データは、Windows(登録商標)などのOS(Operating System)のファイル転送機能を利用して、着脱可能記憶媒体に書き込まれる。このとき、OSでは、キャシュメモリ領域を経由して、経路誘導データの複数ファイルを着脱可能記憶媒体に転送する。
【0005】
この仕組みは「遅延書き込み」と称され、高速なファイル転送を実現しているが、複数のファイルを同時に転送すると、個々のファイルが物理的に連続した記憶領域に格納(配置)される保証がない。OSでは、物理的に連続した記憶領域に配置されていないファイル(断片化ファイル)に対しても、ファイル管理システム(FAT)により、ファイルアクセス可能である。
【0006】
しかし、このような断片化ファイルから成る経路誘導データを着脱可能記憶媒体から読み出して利用する場合、経路誘導装置では、経路誘導データに高速にアクセスする必要の制約から、上記ファイル管理システムを使用していないので、正常に経路誘導データにアクセスすることができず、地図表示が正常に行えない等の不具合が生じることを免れない(図1参照)。
【特許文献1】特表2004−522230号公報
【特許文献2】特開2002−278828号公報
【特許文献3】特開2006−134136号公報
【特許文献4】特開2002−350155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、着脱可能な記憶媒体に地図データ等の経路誘導データを連続性を保証して書き込むことを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の連続性保証書込方法は、
コンピュータが、
経路誘導装置における地図及び地点表示のために提供する経路誘導データの複数のファイルの内、最大サイズのファイル以外をサイズの小さい順に着脱可能記憶媒体に書き込むステップと;
ガーベージコレクションにより前記記憶媒体の記憶領域の最適化を実行するステップと;
前記最大サイズのファイルを前記記憶媒体に書き込むステップとを実行する。
【0009】
この構成において、前記最大サイズのファイルの書き込み後に、前記記憶媒体の記憶領域の断片化有無を分析及び判定するステップを更に実行する。また、前記記憶媒体をフォーマットするステップを更に実行する。
【0010】
上述した連続性保証書込方法はプログラムとして実施することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着脱可能な記憶媒体に地図データ等の経路誘導データを連続性を保証して書き込むことができるので、ナビゲーション装置等の経路誘導装置における正常な地図及び地点表示を可能にする。
【0012】
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための最良の形態を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されてはならない。
【0014】
[システム概要]
一実施の形態におけるシステムの概要を説明するための図2を参照すると、この経路誘導先データ管理システム(単に、データ管理システムと記載することもある)は、ナビゲーション装置(NAVI)1と、ナビゲーション装置1に提供する地図データ等の経路誘導データを作成するデータ処理装置100とを含む。
【0015】
ナビゲーション装置1としては、例えば富士通テン株式会社のAVN(登録商標:Audio Visual Navigation)等の車載用ナビゲーション装置がある。ただし、本発明は、例え
ば携帯型のナビゲーション機能を有する電子機器等、車載して利用できるものであれば如何なる電子機器にも適用可能である。
【0016】
ナビゲーション装置1は、2DIN(Deutsche Industrie Normen)の本体・モニタ一
体型カーナビゲーション装置であり、車両の現在地や目的地までの経路の案内等を行うカーナビゲーション機能、各種オーディオ/ビジュアル(AV)コンテンツの再生機能、及び放送波を受信する機能等を有している。ナビゲーション装置1は、運転席や助手席の乗員の手が届きやすいダッシュボードの中央付近に設置された状態で使用されるものであり、メインユニット2とディスプレイユニット3とで構成されている。
【0017】
ナビゲーション装置1は、メインユニット2を構成するメモリカードインタフェースを介して、着脱可能な記憶媒体(リムーバルメディア)であるメモリカードに予め格納(書き込み)されている経路誘導データを読み出し、所定の処理を施した後、ディスプレイユニット3を構成する表示部に経路誘導のための地図及び地点を表示する。この経路誘導データには、地図データ及び地図上の地点を示す地点データ等を含む画像データと、音声で経路誘導するための音声データとが含まれる。
【0018】
メモリカードに地図データ等の経路誘導データを格納するには、例えばレンタカー会社
(企業の営業所)に配置されているパーソナルコンピュータ等のデータ処理装置100が利用される。レンタカー会社の操作者(法人ユーザ)は、データ処理装置100を操作し、インターネット上のWebサイトの地図配信サーバから有償の経路誘導データをダウンロードして、ハードディスクに格納する。
【0019】
ハードディスクに格納された経路誘導データは、操作者からの指定操作に応じて、Windows(登録商標)などのOSのファイル転送機能を利用して、メモリカードに書き込まれる。このとき、OSでは、キャシュメモリ領域を経由して、経路誘導データの複数のファイルをメモリカードに転送(遅延書き込み)するので、個々のファイルが物理的に連続した記憶領域に格納(配置)される保証がない。OSでは、物理的に連続した記憶領域に配置されていないファイル(断片化ファイル)に対しても、ファイル管理システム(FAT)により、ファイルアクセス可能である。
【0020】
しかし、このような断片化ファイルから成る経路誘導データをメモリカードから読み出して利用する場合、ナビゲーション装置1では、経路誘導データに高速にアクセスする必要の制約から、上記ファイル管理システムを使用していないので、メモリカードにおける経路誘導データに正常にアクセスすることができず、地図表示が正常に行えない。
【0021】
これに対処するために、データ処理装置100においては、メモリカードに地図データ等の経路誘導データを連続性を保証して書き込む処理機能が必要である。
【0022】
[データ処理装置の構成]
図3は、図2におけるデータ処理装置100のハードウェア構成を示す。このデータ処理装置100は、ここではパーソナルコンピュータと、OSと、パーソナルコンピュータで実行されるコンピュータプログラムとによって実現される。
【0023】
このデータ処理装置100は、CPU101と、メモリ102と、各種インタフェース103,105,107,109,111,113と、これらのインタフェースを通じてCPU1に接続される周辺装置104,106,108,110,112,117とを含む。ここでは、周辺装置の例として、ハードディスク駆動装置104、入力装置106、表示装置108、ネットワークインタフェース110、着脱可能記憶媒体駆動装置112、及びメモリカード・リーダ・ライタ117が示されている。
【0024】
CPU101は、メモリ102に展開されたプログラムを実行し、データ処理装置100の各種機能を提供する。メモリ102は、CPU101が実行可能な形式でプログラムを保持する。また、メモリ102は、CPU101が処理するデータを保持する。メモリ102は、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)等である。ただし、メモリ102として、フラッシュメモリを用いてもよい。
【0025】
ハードディスク駆動装置104は、ハードディスクにアクセスし、CPU101が処理したデータ、CPU101で実行されるプログラム等を記憶する。入力装置106は、例えば、キーボード等の文字入力装置、マウス等のポインティングデバイスなどである。表示装置108は、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル等である。
【0026】
ネットワークインタフェース110は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)基板である。着脱可能記憶媒体駆動装置112は、例えば、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリカード(SDメモリカード、USBメモリカード)等の駆動装置である。
【0027】
CPU101で実行されるプログラムは、通常、ネットワークインタフェース110、
あるいは着脱可能記憶媒体駆動装置112を通じて、ハードディスクに保存され、メモリ102に展開される。メモリカード・リーダ・ライタ117は、CPU101の指令に従い、装着されたメモリカードとCPU101との間で、データを入出力する。
【0028】
後に詳述する連続性保証書込処理機能を論理的に実現するには、データ処理装置100は、OS標準の各種ツールと連携する連続性保証書込プログラムを備えている。
【0029】
[データ処理装置の処理]
図4は、データ処理装置100における経路誘導データの連続性保証書込処理の手順を示している。
【0030】
この連続性保証書込処理を実施する前に、例えば、レンタカー会社の操作者は、パーソナルコンピュータであるデータ処理装置100を操作し、インターネット上のWebサイトの地図配信サーバから地図データ等の経路誘導データファイル(地図ファイルと記載することもある)をダウンロードして、ハードディスクに格納しておく。通常、ダウンロード対象の地図ファイルは圧縮処理されているので、ハードディスクに格納する前に解凍処理を施して複数の地図ファイルに分解しておく。
【0031】
連続性保証書込処理においては、先ず、データ処理装置100(厳密には、連続性保証書込処理プログラム)は、操作者からの指定操作を契機にして、着脱可能記憶媒体としてのSDメモリカード(単に、SDカードと記載することもある)をフォーマット(初期化)する(S1(図4中の丸付き数字1))。このとき、OSの標準フォーマットツールを利用する、つまり連携動作する。
【0032】
次に、データ処理装置100は、OSのファイル転送機能により、ハードディスクに格納している地図ファイルをフォーマットされたSDカードに順次に書き込む(S2(丸付き数字2))。このとき、空き領域を確保するために、書込対象の地図ファイルの内、サイズ(容量)が最大の地図ファイル以外をサイズの小さい順に1つずつSDカードに書き込む。ここでは、最小サイズ(20バイト)の「XXXX.DAT」から最大サイズ(1,400Mバイト)の「○○○○.KWI」までの8つのファイル名の地図ファイルをSDカードへの書込対象とするが、最大サイズの地図ファイルは除外するので、7番目のサイズ(1,000Mバイト)の地図ファイル「△△△△.KWI」までがSDカードに書き込まれる。また、連続性保証書込処理プログラムは、書込対象の複数の地図ファイルのファイル名及びサイズをそれぞれ把握している。
【0033】
次に、データ処理装置100は、OS標準のディスクデフラグツールにより、SDカードドライブ(着脱可能記憶媒体駆動装置112)を介して、SDカードの記憶領域の再配置または最適化(デフラグ/ガーベージコレクション)を実行する(S3(丸付き数字3))。このとき、操作者がコマンドプロンプトからdefragコマンドにより指定し実行してもよい。
【0034】
次に、データ処理装置100は、処理手順S2において、SDカードへの書き込みを行わなかった最大サイズの地図ファイルをハードディスクから読み出して、SDカードに書き込む(S4(丸付き数字4))。
【0035】
さらに、データ処理装置100は、SDカードへの全ての地図ファイルの書き込みが完了した時点で、SDカードに対してデフラグツールにより、SDカードの記憶領域の断片化発生の有無を分析する(S5(丸付き数字5))。このとき、操作者がコマンドプロンプトからdefragコマンド(分析のみ)により実行してもよい。
【0036】
データ処理装置100は、この分析の結果を判定し、SDカードの記憶領域の断片化が発生していなければ、処理を終了するが、SDカードの記憶領域の断片化が発生していれば、処理手順S1−S5を再度実行する(S6(丸付き数字6))。なお、処理手順S1−S5を繰り返し実行しても断片化が発生するときは、ハードディスク駆動装置104を介してハードディスクの最適化を行うことにより対処可能である。
【0037】
上述した連続性保証書込処理によって作成されたSDカードから地図データ等の経路誘導データを読み出すときは、ナビゲーション装置1において、シーケンシャルアクセス(決め打ち)で行うため、高速処理が可能である。つまり、ナビゲーション装置1は、SDカードに格納されている複数の地図ファイルの各ヘッダを検出したときは、その地図ファイルが物理的に連続した記憶領域に格納されているものとして、シーケンシャルアクセスする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】メモリカードの記憶領域の断片化を例示する図。
【図2】データ管理システムの構成を例示する図。
【図3】データ処理装置のハードウェア構成を例示する図。
【図4】データ処理装置における連続性保証書込処理の手順を説明するための図。
【符号の説明】
【0039】
1 ナビゲーション装置
2 メインユニット
3 ディスプレイユニット
100 データ処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
経路誘導装置における地図及び地点表示のために提供する経路誘導データの複数のファイルの内、最大サイズのファイル以外をサイズの小さい順に着脱可能記憶媒体に書き込むステップと;
ガーベージコレクションにより前記記憶媒体の記憶領域の最適化を実行するステップと;
前記最大サイズのファイルを前記記憶媒体に書き込むステップと;
を実行する連続性保証書込方法。
【請求項2】
前記最大サイズのファイルの書き込み後に、前記記憶媒体の記憶領域の断片化有無を分析及び判定するステップ
を更に実行する請求項1記載の連続性保証書込方法。
【請求項3】
前記記憶媒体をフォーマットするステップ
を更に実行する請求項1記載の連続性保証書込方法。
【請求項4】
コンピュータに、
経路誘導装置における地図及び地点表示のために提供する経路誘導データの複数のファイルの内、最大サイズのファイル以外をサイズの小さい順に着脱可能記憶媒体に書き込むステップと;
ガーベージコレクションにより前記記憶媒体の記憶領域の最適化を実行するステップと;
前記最大サイズのファイルを前記記憶媒体に書き込むステップと;
を実行させる連続性保証書込プログラム。
【請求項5】
前記最大サイズのファイルの書き込み後に、前記記憶媒体の記憶領域の断片化有無を分析及び判定するステップ
を更に実行させる請求項4記載の連続性保証書込プログラム。
【請求項6】
前記記憶媒体をフォーマットするステップ
を更に実行させる請求項4記載の連続性保証書込プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−86185(P2010−86185A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252945(P2008−252945)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】