説明

連続桁橋

【課題】鋼桁部とPC桁部とが径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁を備えた連続桁橋において、その接合部の軽量化を図るとともに、その施工時間の短縮および施工コスト低減を図る。
【解決手段】鋼桁部20AとPC桁部20Bとの接合部20Cにおける主桁部分を鋼コンクリート複合部22Cとして構成する。この鋼コンクリート複合部22Cは、鋼桁部20Aの主桁22Aの端部を埋め込むようにしてコンクリートを打設することにより形成する。そして、この鋼コンクリート複合部22Cにおいて、PC桁部20Bの主桁22Bに配置される複数のPC鋼材30の定着を行う。これにより、接合部20Cに応力集中を生じさせることなく鋼桁部20AおよびPC桁部20B間の応力伝達を滑らかに行わせる。その際、従来のように新たなPC構造を設ける必要をなくし、接合部20Cの軽量化および施工性向上を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、鋼製の主桁を有する鋼桁部と、プレストレストコンクリート(PC)製の主桁を有するPC桁部とが、径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁を備えた連続桁橋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
混合桁は、鋼桁部とPC桁部とが径間部において橋軸方向に接合された構成を有しているので、これを連続桁橋に適用することにより、支間長に長短がある場合であっても、支間相互間の応力バランスをとることが可能となる。例えば、中央支間長が長い3径間連続桁橋において、その中央径間に、軽くて施工性に優れた鋼桁を配置するとともに、その側径間に、重量のある混合桁を配置することにより、橋長を抑えた上で応力バランスをとることが可能となる。
【0003】
一方、このような混合桁においては、その鋼桁部とPC桁部との接合部に応力集中を生じさせることなく、鋼桁部およびPC桁部間における応力伝達を滑らかに行わせることが必要となる。
【0004】
このため従来、例えば「特許文献1」に記載されているように、混合桁における鋼桁部とPC桁部との接合部に位置する横桁に、新たなPC構造を設けることにより、鋼桁部およびPC桁部間における応力伝達を滑らかに行わせる工夫がなされている。
【0005】
図7は、上記従来の混合桁における鋼桁部とPC桁部との接合部を、橋軸方向に沿った側断面で示す図である。
【0006】
同図に示すように、この混合桁120における鋼桁部120AとPC桁部120Bとの接合部120Cは、該接合部120Cに位置する横桁126における鋼桁部120A寄りの部分にセル状の鋼殻部140を形成しておき、この横桁126に対して複数のPC鋼材150を橋軸方向に延びるように配置して、これらを緊張することにより、プレストレスが導入される構成となっている。そして、このようなPC構造を設けることにより、接合部120Cに応力集中が生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−232009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の混合桁120においては、その鋼桁部120AとPC桁部120Bとの接合部120Cに位置する横桁126に、新たなPC構造が設けられることとなるので、そのための複数のPC鋼材150が必要となる。また、これら複数のPC鋼材150を定着するために、横桁126の橋軸方向長さをある程度長くすることが必要となり、その重量がかなり大きなものとなる。しかも、セル状の鋼殻部140が必要となるため、その鋼重がかなり大きなものとなる。さらに、この鋼殻部140にはコンクリートを充填する必要があるが、その施工を行うことは容易でない。
【0009】
以上のことから、上記従来の混合桁120においては、鋼桁部120AとPC桁部120Bとの接合部120Cの重量がかなり大きいものとなってしまい、かつ、この接合部120Cの施工に多大な時間とコストがかかってしまう、という問題がある。
【0010】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、鋼桁部とPC桁部とが径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁を備えた連続桁橋において、その鋼桁部とPC桁部との接合部の軽量化を図ることができるとともに施工時間の短縮および施工コストの低減を図ることができる連続桁橋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、鋼桁部とPC桁部との接合部を、PC桁部の主桁に配置されるPC鋼材を利用したPC構造とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0012】
すなわち、本願発明に係る連続桁橋は、
鋼製の主桁を有する鋼桁部と、プレストレストコンクリート製の主桁を有するPC桁部とが、径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁を備えた連続桁橋において、
上記鋼桁部と上記PC桁部との接合部における主桁部分が、上記鋼桁部の主桁の端部を埋め込むようにしてコンクリートを打設することにより形成された鋼コンクリート複合部として構成されており、
この鋼コンクリート複合部において、上記PC桁部の主桁に配置される複数のPC鋼材の定着が行われている、ことを特徴とするものである。
【0013】
上記「混合桁」は、単一の主桁を有するものであってもよいし、複数の主桁を有するものであってもよい。
【0014】
上記「鋼桁部」および「PC桁部」における主桁以外の部分の具体的構成は、特に限定されるものではない。
【0015】
上記「鋼製の主桁」の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば、I形断面、箱形断面等が採用可能である。
【0016】
上記「プレストレストコンクリート製の主桁」の断面形状についても、特に限定されるものではなく、また、そのコンクリート部分は、コンクリートのみで構成されていてもよいし、鉄筋コンクリートで構成されていてもよい。
【0017】
上記「複数のPC鋼材」の具体的な構成およびその配置本数は、特に限定されるものではない。また、これら「複数のPC鋼材」の具体的な定着位置についても、特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
上記構成に示すように、本願発明に係る連続桁橋は、鋼桁部とPC桁部とが径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁を備えているが、この混合桁は、その鋼桁部とPC桁部との接合部における主桁部分が、その鋼桁部の主桁の端部を埋め込むようにしてコンクリートを打設することにより形成された鋼コンクリート複合部として構成されており、そして、この鋼コンクリート複合部において、PC桁部の主桁に配置される複数のPC鋼材の定着が行われているので、その接合部に応力集中を生じさせることなく、鋼桁部およびPC桁部間における応力伝達を滑らかに行わせることができる。
【0019】
その際、本願発明に係る混合桁においては、従来のように鋼桁部とPC桁部との接合部に位置する横桁に、新たなPC構造を設ける必要がなくなるので、そのための複数のPC鋼材が不要となる。またこれにより、これら複数のPC鋼材を定着する必要もなくなるので、横桁の橋軸方向長さを、構造上必要な長さまで大幅に短縮することができる。
【0020】
しかも、本願発明に係る混合桁においては、従来のようなセル状の鋼殻部が不要となるので、その鋼重を大幅に低減することができ、さらに、この鋼殻部にコンクリートを充填する必要もなくなるので、施工性を大幅に向上させることができる。
【0021】
したがって本願発明によれば、鋼桁部とPC桁部とが径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁を備えた連続桁橋において、その鋼桁部とPC桁部との接合部の軽量化を図ることができるとともに施工時間の短縮および施工コストの低減を図ることができる。
【0022】
上記構成において、PC桁部の主桁に配置される複数のPC鋼材の定着が、鋼コンクリート複合部における橋軸方向の複数箇所において行われる構成とすれば、鋼桁部およびPC桁部間における応力伝達を一層滑らかに行わせることができる。
【0023】
上記構成において、鋼桁部の主桁がプレートガーダとして構成される場合には、この主桁の下フランジの下面により鋼コンクリート複合部の下端面が構成されるようにすれば、鋼桁部とPC桁部との接合部に生じる正の曲げモーメントにより、鋼コンクリート複合部のコンクリート部分が損傷してしまわないようにすることができる。
【0024】
この場合において、鋼桁部の主桁におけるPC桁部側の端部が、その下フランジよりも上フランジが短尺となるように形成された構成とすれば、鋼桁部およびPC桁部間における応力伝達をより一層滑らかに行わせることができる。
【0025】
また、この場合において、鋼桁部の主桁とPC桁部の主桁とが、橋軸直交方向に互いに変位した状態で配置された混合桁においては、その鋼桁部における主桁の下フランジが、鋼コンクリート複合部の位置において、該主桁のウェブに関してPC桁部の主桁側に位置する部分が相対的に広幅となるように形成された構成とするとともに、複数のPC鋼材の鋼コンクリート複合部への定着が、鋼桁部における主桁のウェブよりもPC桁部の主桁側において行われる構成とすれば、鋼桁部の主桁とPC桁部の主桁とが、橋軸直交方向に互いに変位しているにもかかわらず、複数のPC鋼材の配置を無理なく行うことができ、これにより鋼桁部およびPC桁部間における応力伝達機能を十分維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の一実施形態に係る混合桁を備えた連続桁橋を示す、橋軸方向に沿った側面図
【図2】図1のII-II 線断面図
【図3】図2のIII-III 線断面図
【図4】図2のIV-IV 線断面図
【図5】上記混合桁における一方の主桁を、橋軸方向の複数箇所における橋軸直交断面で示す図
【図6】上記一方の主桁の要部を示す斜視図
【図7】従来例を示す、図4と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本願発明の一実施形態に係る混合桁20を備えた連続桁橋10を示す、橋軸方向に沿った側面図であり、図2は、そのII-II 線断面図である。また、図3および4は、図2のIII-III 線およびIV-IV 線断面図である。
【0029】
これらの図に示すように、この連続桁橋10は、中央径間の支間長が長い3径間連続桁橋であって、その中央径間に鋼桁12が配置されるとともに、その橋軸方向両側の側径間に混合桁20が各々配置された構成となっている。これら1対の混合桁20は、いずれも同様の構成を有しているので、以下、その一方の混合桁20について説明する。
【0030】
本実施形態に係る混合桁20は、左右1対の主桁22の上端部に上床版24が配置されてなる二主桁構造を有している。そして、この混合桁20は、鋼製の主桁22Aを有する鋼桁部20Aと、プレストレストコンクリート製の主桁22Bを有するPC桁部20Bとが、径間部において橋軸方向に接合された構成となっている。
【0031】
その際、この混合桁20の各主桁22は、そのPC桁部20Bの各主桁22Bが、その鋼桁部20Aの各主桁22Aに対して、橋軸直交方向内側へ多少変位した状態で配置されている。
【0032】
鋼桁部20Aの各主桁22Aは、ウェブ22A1、上フランジ22A2および下フランジ22A3からなるプレートガーダとして構成されている。一方、PC桁部20Bの各主桁22Bは、逆台形の断面形状を有している。
【0033】
そして、混合桁20における鋼桁部20AとPC桁部20Bとの接合部20Cは、その左右1対の主桁部分が、鋼桁部20Aの各主桁22Aの端部を埋め込むようにしてコンクリートを打設することにより、PC桁部20Bの各主桁22Bの延長上に形成された鋼コンクリート複合部22Cとして構成されている。
【0034】
これら各鋼コンクリート複合部22Cは、PC桁部20Bの各主桁22Bと同様、逆台形の断面形状を有している。ただし、これら各鋼コンクリート複合部22Cは、PC桁部20Bの各主桁22Bよりも広幅で形成されており、これにより、PC桁部20Bの各主桁22Bと鋼桁部20Aの各主桁22Aとの橋軸直交方向の変位分を吸収するようになっている。
【0035】
これら各鋼コンクリート複合部22CおよびPC桁部20Bの各主桁22Bにおけるコンクリート部分は、鉄筋コンクリート(RC)で構成されている。
【0036】
混合桁20における接合部20Cの鋼桁部20A側の端部には、橋軸直交方向に延びる鉄筋コンクリート製の横桁26が配置されている。
【0037】
上床版24は、鉄筋コンクリート製であり、その橋軸直交方向には複数のPC鋼材(図示せず)が配置されている。また、この上床版24におけるPC桁部20Bの部分には、その橋軸方向にも複数のPC鋼材(図示せず)が配置されている。
【0038】
本実施形態に係る混合桁20は、左右対称形状を有しているので、以下、その左右1対の主桁22のうちの一方について説明する。
【0039】
図5は、一方の主桁22を、橋軸方向の複数箇所における橋軸直交断面で示す図である。具体的には、同図(a)は、図4のVa-Va 線断面図であり、同図(b)は、図4のVb-Vb 線断面図であり、同図(c)は、図4のVc-Vc 線断面図であり、同図(d)は、図4のVd-Vd 線断面図である。また、図6は、一方の主桁22の要部を示す斜視図である。
【0040】
これらの図にも示すように、鋼桁部20Aの主桁22AにおけるPC桁部20B側の端部は、そのウェブ22A1および下フランジ22A3よりも上フランジ22A2が短尺となるように形成されている。具体的には、ウェブ22A1および下フランジ22A3は、鋼コンクリート複合部22CにおけるPC桁部20B側の端部位置まで延びており、上フランジ22A2は、鋼コンクリート複合部22Cにおける橋軸方向の略中央位置まで延びている。
【0041】
鋼桁部20Aの主桁22AにおけるPC桁部20B側の端部(すなわち鋼コンクリート複合部22Cに埋め込まれる部分)には、そのウェブ22A1の両面と、その上フランジ22Aの上面と、その下フランジ22A3の上面とに、複数のスタッドジベル28が設けられている。これら複数のスタッドジベル28は、鋼コンクリート複合部22Cにおける鋼桁部20A側の端面22C1に近い位置において、相対的に密になるように配置されている。
【0042】
鋼桁部20Aの主桁22Aは、その下フランジ22A3が、PC桁部20B側の端部およびその近傍において、そのウェブ22A1よりも橋軸直交方向内側に位置する部分が相対的に広幅となるように形成されている。その際、この下フランジ22A3における橋軸直交方向内側の端縁の位置は、PC桁部20Bの主桁22Bの下端面における橋軸直交方向内側の端縁と同じ位置に設定されている。
【0043】
接合部20Cの主桁部分である鋼コンクリート複合部22Cは、上述したように、広幅の逆台形の断面形状を有しているが、その下端面は、鋼桁部20Aの主桁22Aにおける下フランジ22A3の下面により構成されている。そして、この下フランジ22A3の下面と面一となるように、PC桁部20Bの主桁22Bの下端面が形成されている。
【0044】
PC桁部20Bの主桁22Bには、橋軸方向に延びる複数のPC鋼材30が配置されている。これら複数のPC鋼材30における鋼桁部20A側の端部の定着は、鋼コンクリート複合部22Cにおける橋軸方向の3箇所において行われている。その際、これら複数のPC鋼材30の定着は、鋼桁部20Aにおける主桁22Aのウェブ22A1よりも橋軸直交方向内側において行われている。
【0045】
具体的には、複数のPC鋼材30として、20本のPC鋼材30が配置されている。その際、8本のPC鋼材30は、鋼コンクリート複合部22Cにおける鋼桁部20A側の端面22C1において、4段2列配置で行われている。また、残り12本のPC鋼材30は、鋼コンクリート複合部22Cにおける橋軸直交方向内側の壁面に突出形成された2箇所の定着用突起部22C2、22C3の各々において、6段1列配置で行われている。これら2箇所の定着用突起部22C2、22C3は、鋼コンクリート複合部22Cの橋軸方向長さを略3等分した位置に形成されている。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態に係る混合桁20は、その鋼桁部20AとPC桁部20Bとの接合部20Cにおける主桁部分が、その鋼桁部20Aの主桁22Aの端部を埋め込むようにしてコンクリートを打設することにより形成された鋼コンクリート複合部22Cとして構成されており、そして、この鋼コンクリート複合部22Cにおいて、PC桁部20Bの主桁22Bに配置される複数のPC鋼材30の定着が行われているので、その接合部20Cに応力集中を生じさせることなく、鋼桁部20AおよびPC桁部20B間における応力伝達を滑らかに行わせることができる。
【0047】
その際、本実施形態に係る混合桁20においては、従来のように鋼桁部とPC桁部との接合部に位置する横桁に新たなPC構造を設ける必要がなくなるので、そのための複数のPC鋼材が不要となる。またこれにより、これら複数のPC鋼材を定着する必要もなくなるので、横桁26の橋軸方向長さを、構造上必要な長さまで大幅に短縮することができる。
【0048】
しかも、本実施形態に係る混合桁20においては、従来のようなセル状の鋼殻部が必要となるため、鋼重を大幅に低減することができ、さらに、この鋼殻部にコンクリートを充填する必要もなくなるので、施工性を大幅に向上させることができる。
【0049】
したがって本実施形態によれば、鋼桁部20AとPC桁部20Bとが径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁20において、その接合部20Cの軽量化を図ることができるとともに施工時間の短縮および施工コストの低減を図ることができる。
【0050】
特に、本実施形態に係る混合桁20は、そのPC桁部20Bに配置される複数のPC鋼材30の定着が、鋼コンクリート複合部22Cにおける橋軸方向の複数箇所において行われる構成となっているので、鋼桁部20AおよびPC桁部20B間における応力伝達を一層滑らかに行わせることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る混合桁20は、その鋼桁部20Aの主桁22Aがプレートガーダとして構成されており、この主桁22Aの下フランジ22A3の下面により、鋼コンクリート複合部22Cの下端面が構成されているので、鋼桁部20AとPC桁部20Bとの接合部20Cに生じる正の曲げモーメントにより、鋼コンクリート複合部22Cのコンクリート部分が損傷してしまわないようにすることができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る混合桁20は、その鋼桁部20Aの主桁22AにおけるPC桁部20B側の端部が、その下フランジ22A3よりも上フランジ22A2が短尺となるように形成されているので、鋼桁部20AおよびPC桁部20B間における応力伝達をより一層滑らかに行わせることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る混合桁20は、そのPC桁部20Bの主桁22Bが鋼桁部20Aの主桁22Aに対して橋軸直交方向内側へ多少変位しているが、鋼桁部20Aの主桁22Aは、鋼コンクリート複合部22Cの位置において、その下フランジ22A3が、そのウェブ22A1よりも橋軸直交方向内側に位置する部分が相対的に広幅となるように形成されており、そして、複数のPC鋼材30の鋼コンクリート複合部22Cへの定着が、ウェブ22A1よりも橋軸直交方向内側において行われているので、複数のPC鋼材30の配置を無理なく行うことができ、これにより鋼桁部20AおよびPC桁部20B間における応力伝達機能を十分維持することができる。
【0054】
さらに、本実施形態に係る混合桁20においては、鋼桁部20Aの主桁22AにおけるPC桁部20B側の端部の、鋼コンクリート複合部22Cに埋め込まれる部分に、複数のスタッドジベル28が設けられているので、鋼桁部20AおよびPC桁部20B間における応力伝達をより一層確実に行わせることができる。
【0055】
なお、上記実施形態においては、鋼桁部20Aの主桁22AにおけるPC桁部20B側の端部において、そのウェブ22A1が下フランジ22A3と同じ位置まで延びているものとして説明したが、このようにする代わりに、ウェブ22A1のPC桁部20B側の端縁が、上フランジ22A2から下フランジ22A3にかけて斜めに傾斜して延びるように形成された構成とすることも可能である。
【0056】
また、上記実施形態においては、鋼桁部20Aの主桁22Aにおける鋼コンクリート複合部22Cへの埋込み部分に、複数のスタッドジベル28が設けられているものとして説明したが、これら複数のスタッドジベル28に代えて、主桁22Aにおける上記埋込み部分に位置するウェブ22A1、上フランジ22A、あるいは下フランジ22A3に、複数の小孔を形成することにより、ジベルを構成することも可能である。
【0057】
さらに、上記実施形態においては、PC桁部20Bの主桁22Bが鋼桁部20Aの主桁22Aに対して橋軸直交方向内側へ変位しているものとして説明したが、PC桁部20Bの主桁22Bが鋼桁部20Aの主桁22Aに対して橋軸直交方向外側へ変位している場合においても、主桁22の構成を、複数のPC鋼材30の配置を含めて、鋼桁部20Aにおける主桁22Aのウェブ22A1に関して左右対称の形状を有する構成とすれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
なお、鋼桁部20Aの主桁22AとPC桁部20Bの主桁22Bとが一直線上に配置されている場合においても、上記実施形態の構成を採用することにより、上記実施形態と同様の作用効果が得られることはもちろんである。その際、複数のPC鋼材30の定着を、鋼コンクリート複合部22Cの左右両側において行うようにすることも可能である。
【0059】
また、上記実施形態に係る混合桁20は、左右1対の主桁20を有しているものとして説明したが、主桁20が単一である場合、あるいは、主桁20が3つ以上である場合においても、上記実施形態の構成を採用することにより、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 連続桁橋
12 鋼桁
20 混合桁
20A 鋼桁部
20B PC桁部
20C 接合部
22、22A、22B 主桁
22A1 ウェブ
22A2 上フランジ
22A3 下フランジ
22C 鋼コンクリート複合部
22C1 端面
22C2、22C3 定着用突起部
24 上床版
26 横桁
28 スタッドジベル
30 PC鋼材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製の主桁を有する鋼桁部と、プレストレストコンクリート製の主桁を有するPC桁部とが、径間部において橋軸方向に接合されてなる混合桁を備えた連続桁橋において、
上記鋼桁部と上記PC桁部との接合部における主桁部分が、上記鋼桁部の主桁の端部を埋め込むようにしてコンクリートを打設することにより形成された鋼コンクリート複合部として構成されており、
この鋼コンクリート複合部において、上記PC桁部の主桁に配置される複数のPC鋼材の定着が行われている、ことを特徴とする連続桁橋。
【請求項2】
上記複数のPC鋼材の定着が、上記鋼コンクリート複合部における橋軸方向の複数箇所において行われている、ことを特徴とする請求項1記載の連続桁橋。
【請求項3】
上記鋼桁部の主桁が、プレートガーダとして構成されており、
この主桁の下フランジの下面により鋼コンクリート複合部の下端面が構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の連続桁橋。
【請求項4】
上記鋼桁部の主桁における上記PC桁部側の端部が、上記下フランジよりも上記上フランジが短尺となるように形成されている、ことを特徴とする請求項3記載の連続桁橋。
【請求項5】
上記鋼桁部の主桁と上記PC桁部の主桁とが、橋軸直交方向に互いに変位した状態で配置されており、
上記鋼桁部における主桁の下フランジが、上記鋼コンクリート複合部の位置において、該主桁のウェブに関して上記PC桁部の主桁側に位置する部分が相対的に広幅となるように形成されており、
上記複数のPC鋼材の上記鋼コンクリート複合部への定着が、上記鋼桁部における主桁のウェブよりも上記PC桁部の主桁側において行われている、ことを特徴とする請求項3または4記載の連続桁橋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−11171(P2013−11171A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229614(P2012−229614)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2007−303899(P2007−303899)の分割
【原出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】