説明

連続炒り葉装置及び釜炒り茶製造設備

【課題】殺青処理用円筒の燃焼ガスの余熱を利用して再炒り葉用円筒において高温で再度炒り葉し、炒り葉工程からの燃焼ガスを有効利用した連続粗揉装置を組み込んで熱効率を向上させると共に炒り葉処理能力を向上させて製茶品質を向上させる。
【解決手段】加熱室14内に殺青処理用円筒8の上に再炒り葉用円筒10が配置され、加熱室14の下部には、殺青処理用円筒8を下部から加熱するための複数のガンタイプバーナー15が間隔をおいて配置され、加熱室14内と連続粗揉装置9内とは加熱室14内の熱風を連続粗揉装置9内に導入可能に連通ダクト16で連通され、殺青処理用円筒8と連続粗揉装置9が殺青処理用円筒8で殺青処理された炒り葉を連続粗揉装置9へ搬送する第1の垂直バケットコンベヤ12で接続され、連続粗揉装置9と再炒り葉用円筒10が連続粗揉装置9で粗揉された粗揉葉を再炒り葉用円筒10へ搬送する第2の垂直バケットコンベヤ13で接続されている連続炒り葉装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生茶葉を炒って炒り葉する連続炒り葉装置及びこの連続炒り葉装置が配置された釜炒り茶製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
釜炒り茶は、生茶葉を300℃以上に熱した釜で炒って製茶することにより得られる、爽快で香ばしい香りとさっぱりした喉ごしに特徴のあるお茶である。釜炒り茶の製造技術については、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
図9は従来の釜炒り茶の製茶設備の一例を示すブロック図である。
(1)炒り葉工程
生茶葉は、第一円筒51で炒り葉されて酵素殺青される。次いで、揉圧装置52で揉み込みされる。揉圧後、第二円筒53で乾燥される。次いで、加熱処理して葉振るい後、粉取りする。
(2)揉捻工程
葉振るい処理後に粉取りされて排出される茶葉を揉捻機54へ投入して茶葉に圧力を加えて回転揉みして炒り葉水分むらをなくす。
(3)中揉工程
揉捻処理後の茶葉を中揉機55へ投入し、回転ドラム内で熱風を当てながら撹拌すると同時に、揉み手により茶葉を揉みながら乾燥する。
(4)水乾工程
中揉処理後の茶葉を直火式の水乾機56へ投入し、高温に加熱された回転ドラム内で攪拌乾燥しながら成形する。
(5)締炒工程
水乾処理後の茶葉を直火式の締炒機57へ投入し、高温に加熱された回転ドラム内で攪拌乾燥しながら茶葉に締めを与える。
(6)乾燥工程
締炒処理後の茶葉を乾燥機58へ投入し、高温に加熱された熱風により、茶葉を連続的に通風乾燥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−69980号公報
【特許文献2】特許第2958295号公報
【特許文献3】特許第3689404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の炒り葉装置は、その処理能力が小さいために処理に長時間の労力を要することから、釜炒り茶生産量が拡大しないことの大きな要因となっていた。
【0006】
また、第1円筒及び第2円筒の加熱源としてそれぞれに独立してバーナーを使用しているため、熱効率が悪く、また温度制御も難しいため、炒り葉時の煙臭やコゲなどが発生しやすく、乾燥工程で釜炒り茶の持つ香ばしさが飛んでしまうなどの品質の低下もあった。
【0007】
以上のような釜炒り茶の現状に対して、炒り葉処理の能力が大きく、釜炒り茶が安定供給でき、品質面においても釜炒り茶本来の香りがあり、煙臭などの欠点がない製茶品質を向上させる炒り葉機の開発が望まれていた。
【0008】
そこで、本発明は、殺青処理用円筒の燃焼ガスの余熱を利用して再炒り葉用円筒において高温で再度炒り葉するようにし、さらに、炒り葉工程からの燃焼ガスを有効利用した連続粗揉装置を殺青処理用円筒と再炒り葉用円筒の間に組み込むことにより、連続炒り葉装置の熱効率を向上させると共に炒り葉処理能力を向上させて製茶品質を向上させる製茶を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、釜炒り茶製造設備に配置されている連続炒り葉装置であって、生茶葉を炒り葉して殺青処理する回転可能な円筒状の殺青処理用円筒と、殺青処理用円筒で殺青処理された炒り葉を回転する揉み手とさらい手で粗揉する連続粗揉装置と、連続粗揉装置で粗揉された粗揉葉を再炒り葉する回転可能な円筒状の再炒り葉用円筒とを備え、殺青処理用円筒及び再炒り葉用円筒は加熱室内に殺青処理用円筒の上に再炒り葉用円筒が配置され、加熱室の下部には、殺青処理用円筒を下部から加熱するための複数のガンタイプバーナーが間隔をおいて配置され、加熱室内と連続粗揉装置内とは加熱室内の熱風を連続粗揉装置内に導入可能に連通ダクトで連通され、殺青処理用円筒と連続粗揉装置が殺青処理用円筒で殺青処理された炒り葉を連続粗揉装置へ搬送する第1の垂直バケットコンベヤで接続され、連続粗揉装置と再炒り葉用円筒が連続粗揉装置で粗揉された粗揉葉を再炒り葉用円筒へ搬送する第2の垂直バケットコンベヤで接続されていることを特徴とする連続炒り葉装置である。
【0010】
請求項2の発明は、連通ダクトに送風ファンで空気を取り入れて送風する送風ダクトが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の連続炒り葉装置である。
【0011】
請求項3の発明は、前記加熱室の上部にダンパー付き排気筒が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続炒り葉装置である。
【0012】
請求項4の発明は、前記再炒り葉用円筒の粗揉葉供給側の開口に再炒り葉用円筒内に送風する送風装置が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続炒り葉装置である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の連続炒り葉装置の下流に、揉捻機、第一水乾機、中揉機、第二水乾機、締炒機、乾燥機が順次配置されていることを特徴とする釜炒り茶製造設備である。
【0014】
請求項6の発明は、前記水乾機に茶葉温度を計測する赤外線放射温度計が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の釜炒り茶製造設備である。
【発明の効果】
【0015】
本発明による連続炒り葉装置は、加熱室内に殺青処理用円筒と再炒り葉用円筒が収納されるとともに、加熱室の熱風が連続粗揉装置に送られて熱源に利用されるようになっているため、再炒り葉用円筒、連続粗揉装置のそれぞれに加熱源を設ける必要がないので熱効率を高めることができる。
【0016】
また、本発明による連続炒り葉装置は、殺青処理用円筒、再炒り葉用円筒、連続粗揉装置が合理的に組み合わせて一体化され、排ガス(熱)が有効利用されることから加熱源の数が減少するので、装置がコンパクトになると共に、省エネに対応できる。
【0017】
また、本発明による連続炒り葉装置は、殺青処理用円筒を加熱するガンタイプガスバーナーを温度センサーと指示調節計により高精度に制御するので、燃焼ガスを有効利用しながら、ムラのない乾燥により煙臭やコゲ等の欠点のない、高品質な炒り葉処理が可能となる。
【0018】
さらに、再炒り葉用円筒を殺青処理用円筒の余熱を利用して、従来よりも高温で再度炒り葉することにより乾燥効率を高めており、従来のモリ式の釜炒り茶設備に比べて炒り葉処理能力を大幅に向上させることが可能となる。
【0019】
また、炒り葉工程後の処理において、従来の水乾機、締妙機は排気温度を測りながら、間接的に茶葉処理温度を制御していたが、新型機では放射温度計により機内の茶葉温度を直接計測しながらガンタイプガスバーナーにより加熱温度を精密制御することにより、色沢並びに香味の優れた、高品質釜炒り茶の効率的生産が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の釜炒り茶製造設備を示すブロック図である。
【図2】本発明の連続炒り葉装置の平面図である。
【図3】本発明の連続炒り葉装置の側面図である。
【図4】本発明の連続炒り葉装置の正面図である。
【図5】本発明の連続炒り葉装置の垂直断面図である。
【図6】本発明の連続炒り葉装置の長手方向断面図である。
【図7】本発明の水乾機の長手方向断面図である。
【図8】本発明の水乾機の垂直断面図である。
【図9】従来の釜炒り茶製造設備を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すブロック図において、本発明の連続炒り葉装置を配置した釜炒り茶製造設備は、連続炒り葉装置1、揉捻機2、第一水乾機3、中揉機4、第二水乾機5、締炒機6、乾燥機7が順次配置される。
【0022】
連続炒り葉装置1では、生茶葉が殺青処理用円筒8で酸化酵素殺青処理され、殺青処理された炒り葉を連続粗揉装置9で粗揉しながら乾燥する。粗揉葉は再炒り葉用円筒10に導入されて再び炒り葉処理され、再炒り葉を冷却粉取装置11に通して葉茎の屑部分や焦げ部分を除去する。
【0023】
連続炒り葉装置1の炒り葉を揉捻機2で揉み込みした後、水乾機3で直火乾燥する。次いで、中揉機4で温風成形する。次いで水乾機5で直火乾燥する。水乾後、締炒機6で直火成形した後、乾燥機7で最終乾燥する。
【0024】
図2〜図6に示す連続炒り葉装置において、連続炒り葉装置1は、機枠の一方の側に下段に殺青処理用円筒8及び上段に再炒り葉用円筒10、他方の側の中段に連続粗揉装置9が配置されている。殺青処理用円筒8と連続粗揉装置9は第1の垂直バケットコンベヤ12で接続され、連続粗揉装置9と再炒り葉用円筒10は第2の垂直バケットコンベヤ13で接続されている。連続炒り葉装置1に供給された生茶葉は、殺青処理用円筒8、第1の垂直バケットコンベヤ12、連続粗揉装置9、第2の垂直バケットコンベヤ13、再炒り葉用円筒10を順次通過して炒り葉される。
【0025】
円筒状で鋼製の殺青処理用円筒8は、茶葉が入側から出側に自重で移動するように傾斜して回転可能に配置されている。殺青処理用円筒8と再炒り葉用円筒10は、これらを取り囲む一つの加熱室14の内部に上下に配置されている。殺青処理用円筒8と再炒り葉用円筒10は、鋼製であり、従来の円筒のように内面にセラミックスをコーティングを行わなくても熱効率がよく、円筒の製造コスト、ランニングコストを低減させることができる。
【0026】
加熱室14の下部には、殺青処理用円筒8を下部から加熱するための複数のガンタイプガスバーナー15が間隔をおいて配置されている。ガンタイプガスバーナー15からは加熱室14内の殺青処理用円筒8の外周面に向けて火炎が噴射され、これによって殺青処理用円筒8の外周面が加熱され、その熱伝導により殺青処理用円筒8の内部の生茶葉が炒り葉されて酵素殺青される。
【0027】
同時にガンタイプガスバーナー15により生成した熱風は、加熱室14内を上昇して再炒り葉用円筒10を加熱し、粗揉葉を再炒り葉し、さらに上昇して連続粗揉装置9へ導入される。温度センサー(熱電対)が殺青用円筒8と加熱室14内壁(耐熱タイル貼り)の間に設置され、測定された温度を基にガンタイプガスバーナー15の火力を制御して加熱室内温度が所定温度(約450〜550℃)となるように加熱制御される。
【0028】
加熱室14の上部は連続粗揉装置9内と連通ダクト16を介して連通しており、加熱室14内を上昇した熱風が連通ダクト16を通って連続粗揉装置9へ導入される。なお、加熱室14の上部にはダンパー17aを備えた排気筒17が設けられ、運転時にはダンパー17aを閉めて熱風を加熱室14内に閉じ込め、殺青処理用円筒8や再炒り葉用円筒10を冷却する必要がある場合に開放する。
【0029】
連通ダクト16には送風ファン18aで空気を取り入れて送風する送風ダクト18が接続されている。送風ファン18aの送風(常温)を調節して連続粗揉装置9内の温度が調節される。
【0030】
なお、ガンタイプバーナーに、熱源をガスではなく重油タイプのガンタイプバーナーを使用することも可能である。この場合、燃焼後の排気ガスを直接連続粗揉機に導入することはできないため、再炒り葉用円筒上部に熱交換部を設け、風量を調節可能なファンで外部から取り込んだ常温の空気を熱交換部で加温後連続粗揉部に導入する。重油の方が安いためランニングコストを低減できる。
【0031】
殺青処理用円筒8は、モーターによりチェーンを介して回転する。殺青処理用円筒8の内周面には突条の葉送り桟32が間隔をおいて複数設けられ、殺青処理用円筒8の回転に伴い葉送り桟19により茶葉が落下と移動により撹拌されて均一に加熱殺青される。
【0032】
殺青処理用円筒8の一方の茶葉供給側の開口には、殺青処理用円筒8内に生茶葉を供給する茶葉供給シュート20が配置され、茶葉供給シュート20の下部の円筒21内に配置された殺青処理用円筒8内に連通する中空シャフト22のスクリュー22aにより生茶葉が殺青処理用円筒8内へ供給される。殺青処理用円筒8の他方の炒り葉排出側の開口には、殺青処理されて排出する炒り葉の粉を取る回転型の篩い23が配置され、篩い後の炒り葉は第1垂直バケットコンベヤ12により、連続粗揉装置9へ搬送される。
【0033】
また、茶葉供給側の開口付近には殺青処理時に生茶葉から発生する蒸気を、排蒸ファン24により中空シャフト22を通して殺青処理用円筒8内部から排出する排蒸気装置が配置されており、その排蒸量は炒り葉排出側の開口の基部に設置した温度センサー(熱電対)により計測した廃熱蒸気温度が所定温度(約35〜45℃)になるよう制御される。
【0034】
炒り葉の粗揉を流動的に行う連続粗揉装置9は、加熱室14の熱風が導入されるように連通ダクト16により加熱室14に接続されている。
【0035】
連続粗揉装置9の内部は従来の粗揉装置と同じく、底竹25を内張りした揉胴26内に回転軸27により回転する揉み手28及びさらい手29を備えた構造となっており、第1垂直バケットコンベヤ12から炒り葉投入口30へ投入された炒り葉は粗揉されながら粗揉葉排出口31まで移動し排出される。
【0036】
連続粗揉装置9内での茶葉の粗揉乾燥程度の調節は、開閉レバー31aによる貯留量の調節、揉み手回転数、粗揉葉風送装置30aの風量、熱風の温度および風量の調節により行う。
【0037】
連続粗揉装置9から排出された粗揉葉を再炒り葉する再炒り葉用円筒10は、殺青処理用円筒8と同様に、モーターによりチェーンを介して回転する。再炒り葉用円筒10の内周面には、突条の葉送り桟32が間隔をおいて複数設けられている。再炒り葉用円筒10の回転に伴い、葉送り桟32により茶葉が落下と移動により撹拌されて均一に炒り葉される。
【0038】
再炒り葉用円筒10の一方の粗揉葉供給側の開口には、再炒り葉用円筒10内に粗揉葉を供給する粗揉葉供給シュート33が配置され、他方の炒り葉排出側の開口には、炒り葉排出シュート34が配置されている。
【0039】
また、再炒り葉用円筒10の粗揉葉供給側の開口には、再炒り葉用円筒10内に送風する送風装置35が配置されている。送風装置35は、再炒り葉用円筒10内で茶葉処理時に発生する水蒸気の排出を促進すると同時に、茶葉を風送して乾燥程度を調整する機能を有する。茶葉は、葉送り桟32及び送風装置35の送風によって送られる。
【0040】
上記の連続炒り葉装置1では、所定量の生茶葉が茶葉供給シュート20から殺青処理用円筒8に供給されて炒り葉により酸化酵素殺青処理され、連続的に殺青処理用円筒8から排出される。
【0041】
殺青処理された茶葉は篩い23を経て第1の垂直バケットコンベヤ12で粗揉装置9に導入され、粗揉されながら乾燥される。
【0042】
粗揉した茶葉は粗揉装置9の下部から排出され、第2の垂直バケットコンベヤ13で再炒り葉用円筒10に導入されて再び炒り葉処理される。
【0043】
再炒り葉用円筒10から連続的に排出される炒り葉を冷却・粉取するため、従来から使用されている回転式粉取り装置(図示せず)に通して酵素殺青に発生する葉茎の屑部分、焦げ部分を除去する。
【0044】
連続炒り葉装置1に次いで、揉捻機2により炒り葉を揉み込みする。揉捻機は従来から使用されている公知の揉捻機を使用する。
【0045】
揉捻機2による揉捻に次いで、第一水乾機3で直火乾燥する。図7、8に示す水乾機は、円筒ドラム状の回転胴36の内周に茶葉攪拌用の桟37と排出用の桟38が設けられており、正転により茶葉攪拌用の桟37で茶葉を攪拌しながら回転胴36の内部に保持し、逆転により排出用の桟38で茶葉を排出する。
【0046】
回転胴36の一方は円形の金属板で閉じられており、その中央部に茶葉投入口39があり、その横に茶葉取出口40が設けられている。回転胴36のもう一方は、金属の網で閉じられており、その外側に排気用ファン41を有している。
【0047】
回転胴36は周囲を保温用の外壁42で覆われ、外壁42の下部からガンタイプバーナー43で加熱して回転胴36に伝熱後、上部排気筒44から廃熱する構造となっている。ガンタイプバーナー43による加熱の制御は、茶葉投入口39の横に配置した赤外線放射温度計45、上部排気筒44に設置した燃焼ガス温度センサー(熱電対)46および排気用ファン41のダクト47付近に取り付けた排気温度センサー(熱電対)48から一つを選択して行うことが可能である。
【0048】
従来の水乾機では、排気の温度を測定して間接的に茶葉乾燥温度を制御していたが、排気の温度による制御では、間接的であるために乾燥程度に応じて茶温を最適にコントロールすることが困難であり、製茶品質(特に色沢、香味)にばらつきが生じやすいという問題があったが、本発明では、赤外線放射温度計45を用いて直接茶温を計測し加温を制御することにより、色沢、香味等の製茶品質を改善すると同時に、乾燥程度に応じた茶温管理の最適化により乾燥効率を高めることが可能となった。このような性能を持つ水乾機を中揉機4の前に組み入れることによって、製茶品質並びに製茶効率が向上する。
【0049】
第1水乾機3に次いで、温風成形する中揉機4が配置される。中揉機4には、従来から使用されている公知の中揉機を使用する。
【0050】
中揉機4に次いで、直火乾燥成形を行う第二水乾機5が配置される。第二水乾機5には、第一水乾機3と同様に、機内の茶葉温度を計測する赤外線放射温度計45が配置され、連動したガンタイプバーナー43により加温制御を行うことで、乾燥効率を高め、色沢、香味等の製茶品質を改善することが可能となる。
【0051】
第二水乾機5に次いで、直火成形する締炒機6が配置される。機内の茶葉温度を計測する赤外線放射温度計が配置され、連動したガンタイプバーナーにより加温制御を行うことで、乾燥効率を高め、色沢、香味等の製茶品質を改善することが可能となる。
【0052】
締炒機に次いで最終乾燥する乾燥機が配置される。乾燥機には、従来から使用されている公知の乾燥機を使用する。
【実施例】
【0053】
生茶葉(含水率78質量%)60kgを、連続炒り葉装置1の殺青処理用円筒8に投入し、37〜42rpmで回転させながら加熱室内温度450〜550℃の温度で炒り葉処理すると、茶葉の通過時間は2〜3分内外で含水率70質量%の炒り葉となった。
【0054】
さらに、この炒り葉を第1の垂直バケットコンベヤ12で連続粗揉装置9に導入し、揉み手28及びさらい手29を40〜45rpmで回転させながら通過時間15〜20分間粗揉した後に連続粗揉装置9の底部から排出し含水率63質量%の粗揉葉を得た。
【0055】
排出した粗揉茶を第2の垂直バケットコンベヤ13で再炒り葉用円筒10に導入し、18〜20rpmで回転させながら加熱室内温度250〜350℃の温度で再び炒り葉処理すると、茶葉の通過時間は3分内外で含水率54質量%の炒り葉となった。炒り葉を貯留後、揉捻機(カワサキ機工(株)製、60k型)に投入し、30分程度揉捻を行う(含水率質量52質量%)。
【0056】
得られた茶葉を図7〜10に示す第一水乾機により33〜36℃の茶葉温度で30分程度乾燥し含水率42質量%の第一水乾処理葉を得た。
【0057】
第一水乾された茶葉を中揉機(カワサキ機工(株)製、60k型)により揉みながら30分程度水分を抜き(含水率31質量%)、図7〜10に示す第二水乾機によりで30分程度乾燥した(含水率19質量%)。
【0058】
さらに、締炒機により35〜38℃の茶葉温度で30分程度締炒りを行い含水率8質量%の締め炒り処理葉を得た。
【0059】
最後に、熱風式透気乾燥機((株)寺田製作所製、120−2型)により、排気温度70℃で30分程度乾燥を行った(含水率4質量%)。
【符号の説明】
【0060】
1:連続炒り葉装置 2:揉捻機
3:第一水乾機 4:中揉機
5:第二水乾機 6:締炒機
7:乾燥機 8:殺青処理用円筒
9:連続粗揉装置 10:再炒り葉用円筒
11:冷却粉取装置 12:第1の垂直バケットコンベヤ
13:第2の垂直バケットコンベヤ 14:加熱室
15:ガンタイプバーナー 16:連通ダクト
17:排気筒 18:送風ダクト
19:葉送り桟 20:茶葉供給シュート
21:円筒 22:中空シャフト
23:篩い 24:排蒸ファン
25:底竹 26:揉胴
27:回転軸 28:揉み手
29:さらい手 30:炒り葉投入口
31:粗揉葉排出口 32:葉送り桟
33:粗揉葉供給シュート 34:炒り葉排出シュート
35:送風装置 36:回転胴
37:茶葉攪拌用の桟 38:排出用の桟
39:茶葉投入口 40:茶葉取出口
41:排気用ファン 42:保温用の外壁
43:ガンタイプバーナー 44:上部排気筒
45:赤外線放射温度計 46:燃焼ガス温度センサー
47:ダクト 48:排気温度センサー
51:第一円筒 52:揉圧装置
53:第二円筒 54:揉捻機
55:中揉機 56:水乾機
57:締炒機 58:乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釜炒り茶製造設備に配置されている連続炒り葉装置であって、
生茶葉を炒り葉して殺青処理する回転可能な円筒状の殺青処理用円筒と、殺青処理用円筒で殺青処理された炒り葉を回転する揉み手とさらい手で粗揉する連続粗揉装置と、連続粗揉装置で粗揉された粗揉葉を再炒り葉する回転可能な円筒状の再炒り葉用円筒とを備え、
殺青処理用円筒及び再炒り葉用円筒は加熱室内に殺青処理用円筒の上に再炒り葉用円筒が配置され、加熱室の下部には、殺青処理用円筒を下部から加熱するための複数のガンタイプバーナーが間隔をおいて配置され、
加熱室内と連続粗揉装置内とは加熱室内の熱風を連続粗揉装置内に導入可能なように連通ダクトで連通され、
殺青処理用円筒と連続粗揉装置が殺青処理用円筒で殺青処理された炒り葉を連続粗揉装置へ搬送する第1の垂直バケットコンベヤで接続され、
連続粗揉装置と再炒り葉用円筒が連続粗揉装置で粗揉された粗揉葉を再炒り葉用円筒へ搬送する第2の垂直バケットコンベヤで接続されていることを特徴とする連続炒り葉装置。
【請求項2】
連通ダクトに送風ファンで空気を取り入れて送風する送風ダクトが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の連続炒り葉装置。
【請求項3】
前記加熱室の上部にダンパー付き排気筒が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続炒り葉装置。
【請求項4】
前記再炒り葉用円筒の粗揉葉供給側の開口に再炒り葉用円筒内に送風する送風装置が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続炒り葉装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の連続炒り葉装置の下流に、揉捻機、第一水乾機、中揉機、第二水乾機、締炒機、乾燥機が順次配置されていることを特徴とする釜炒り茶製造設備。
【請求項6】
前記第一水乾機、第二水乾機および締炒機に機内の茶葉温度を計測する赤外線放射温度計が配置され、連動したガンタイプバーナーにより加温制御していることを特徴とする請求項5に記載の釜炒り茶製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−254803(P2011−254803A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−257887(P2010−257887)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(590003722)佐賀県 (38)
【Fターム(参考)】