説明

連続燃焼ガスタービン及びそのようなガスタービンのための燃焼器の排出物を減少させるための方法

【課題】
連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器で、排出物を減少するSEV燃焼器又は方法を提供することである。
【解決手段】
本発明は、連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器に関し、空気/燃料混合物が第1のバーナーで燃焼され、かつ、続いて、高温ガスが、SEV燃焼器(1)に、更なる燃焼のために案内されている。SEV燃焼器(1)は、高温ガスを燃料と混合するための混合領域(8)と燃焼領域(9)とを区切る室壁(5)を備えた部屋と、高温ガスを混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(2)と、燃料を混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(12)と、蒸気を混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(10、13)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続燃焼ガスタービン及びそのようなガスタービンのための燃焼器の排出物及びフラッシュバックを減少させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続燃焼するガスタービンは、ガスタービンの効率を向上させ、かつ、ガスタービンの排出物を減少可能なことが知られている。これは、タービン入口温度を増加させることによる方法によって達成さえる。連続燃焼ガスタービンで、燃料は第1の燃焼器で燃焼され、かつ、高温燃焼ガスが第1のタービンを通過し、続いて、SEV燃焼器と知られ、燃料が燃焼器に伸びるランスを通じて案内される第2の燃焼器に供給される。高温ガスの燃焼は、SEV燃焼器で達成され、かつ、燃焼ガスが、続いて、第2のタービンに供給される。
【0003】
SEV燃焼器は、元来、天然ガス及び石油事業のために設計された。従来のSEV燃焼器のデザインは、耐久性と、高濃度水素内容物を備えた合成ガス又は燃料を使用する場合に、自動発火(早期発火)又はフラッシュバックが起きる高い可能性との両方の点で課題がある。フラッシュバック事象は、事前混合領域で、早期に、かつ、望まれない再点火することであり、それは、NOx排出物の1桁分の増加が生成され、かつ、バーナー部分に重大な破損を生じさせる。
【0004】
合成ガス、又は、MBTUのような高濃度水素燃料を使用するための新しい燃焼器デザインは、フラッシュバックの危険を軽減するために、燃料注入器システムを再設計を必要としている。新しい注入器デザインは、高反応性の水素を含んでいる燃料を考慮にいれ、従来のSEV燃焼器の壁は、流出空気によって冷却され、かつ、運搬された空気は、対流してランスシステムを冷却している。この冷却は、耐久性の問題を十分に引き起こすことが証明されている。
【0005】
経験は、MBtuのような高濃度水素燃料の極めて異なる熱特性に取り組むために再設計することがSEV燃焼器のためにさらに必要性があることを示している。それは、より遅い点火時間遅れ、より高い断熱火炎温度、及び、より高い火炎速度を持つことである。より高い流率が、天然ガスのような従来の燃料に比べて高濃度水素燃料のより低い密度のために、必要とされもしている。存在するデザインをこのような厳しい燃料に適用することは、多くの排出物と安全性の問題を生じる。SEV燃焼器デザインを向上するために、希薄なガス流を増加すること、又は、実行するために費用のかかる大規模な開発及び検証取り組みが必要なSEV燃焼器の形状を改善することが提案されもしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの課題を取り扱う。本発明の多数の観点の1つは、排出物を排気、及び/又は、安全性を向上するために改善されたデザインを備えた連続ガスタービンのためのSEV燃焼器を供給することを含有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、これらの課題は、請求項1の特徴を備えた連続燃焼ガスタービンのSEV燃料器、及び、請求項7の特徴を備えた連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器で、排出物を減少し、及び/又は、安全性を向上する方法によって解決される。本発明による方法及びSEV燃焼器の好ましい実施例は、従属請求項で示されている。
【0008】
本発明の第1の観点によると、連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器の排出物を減少及び/又安全性を向上するための方法が提供され、空気/燃料混合物が第1のバーナーで燃焼され、かつ、続いて、高温ガスが、SEV燃焼器(1)に、更なる燃焼のために案内されており、SEV燃焼器は、高温ガスを燃料と混合するための混合領域(8)と燃焼領域(9)とを備えている。本発明によると、蒸気が、SEV燃焼器の混合領域(8)に案内される。
【0009】
SEV燃焼器の混合領域に蒸気を案内することは、ランスのための改良された冷却を提供するのに貢献し、かつ、有害排出物、特に、NOxを減少することに貢献するフラッシュバック、保炎、及び、自動発火の抵抗力を増加させる。蒸気の炎抑制特性は、蒸気との反応が、炎での急激な連鎖濃度を減少させる事実のために、ガスタービン動作状況で、燃料の反応度を減少させる。
【0010】
本発明の好ましい実施例では、蒸気は、SEV燃焼器の壁を冷却するために使用される。冷却のための蒸気の使用は、従来のSEV燃焼器の冷却よりも効率よく冷却可能であり、かつ、SEV混合領域での空気キャリア及び空気冷却の必要をなくすことができる。
【0011】
更に好ましい実施例では、蒸気は、燃料を案内するために、混合領域に伸びるランスを冷却するために使用される。
【0012】
本発明の第2の観点によると、空気/燃料混合物が第1のバーナーで燃焼され、かつ、続いて、高温ガスが、SEV燃焼器(1)に、更なる燃焼のために案内する連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器は、高温ガスを燃料と混合するための混合領域(8)と燃焼領域(9)とを区切る室壁(5)を備えた部屋と、高温ガスを混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(2)と、燃料を混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(12)と、蒸気を混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(10、13)とを備えている。
【0013】
本発明の上記及び他の目的、特徴、効果は、次の図面と併せて、ある好ましい実施例の次の記述からより明確になるだろう。
【0014】
本発明は、図面で図式的に示した実施例に関して記載され、かつ、以下により詳細に図面を参照にして記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるSEV燃焼器である。
【図2】従来技術のSEV燃焼器である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、従来技術によるSEV(連続環境)燃焼器1を図式的に示している。SEV燃焼器1は、連続燃焼するガスタービン(図示せず)の一部を形成し、その場合、燃料は第1の燃焼器で燃焼され、かつ、高温燃焼ガス2が第1のタービンを通過し、続いて、SEVタービンとして知られている燃料が案内される第2の燃焼器に供給される。高温燃焼ガス2は、渦生成器又は生成器の形で、入口3を通って、SEV燃焼器1に案内される。燃焼ガス2は、SEV燃焼器1での更なる燃焼のために、十分な酸化ガスを含んでいる。SEV燃焼器1は燃料を燃焼器1に案内するために燃料ランス4を備えている。燃焼器内部スペースは、燃焼フロントパネル6を備える室壁5によって区切られている。燃焼フロントパネル6は、SEV燃焼器を通る高温ガスの流れに、ほぼ垂直に位置している。点線7は、ランス4から注入された燃料が燃焼ガス2と混合する上流混合領域8と、下流燃焼領域9との間の境界を示している。従来例のSEV燃焼器の壁5は、空気冷却され、かつ、運搬される空気は、対流的にランスシステム4を冷却している。従来のSEV燃焼器は、合成ガス、又は、MBTUのような高濃度水素含有燃料を用いる場合、不十分な冷却、かつ、自動発火(早期発火)又はフラッシュバックの出現の高い可能性の問題がある。これは、燃焼境界7がさらに上流に移動し、NOx排出物の増加及び安全性の減少を導いている。燃焼器1の壁5は、中央のコア流で空気と燃料が取り込まれるフィルム層を備えている。コアから壁5に燃料濃度の急な勾配がある。そのような等量比の急激な変化(壁に向かって傾き、かつ、コアに向かって高濃度)の存在は、排出物を増加し、かつ、フラッシュバックの安全性を減少することにより大きな燃焼動的振動を起こす。
【0017】
図1は、本発明によるSEV燃焼器を図式的に示している。図2の同じ特徴のために、同じ参照記号が用いられている。連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器1で、排出物を減少し、及び/又は、安全性を向上するための方法は、蒸気を燃焼器の混合領域8に案内又は注入することによって生じる。注入された蒸気は、燃焼器1でのフラッシュバック、保炎、及び、自動発火の抵抗を増加し、それは、有害な排気物、特にNOx排気物を減少し、かつ、安全性を向上する。蒸気の炎抑制特性は、蒸気との反応が、炎での急激な連鎖濃度を減少させる事実のために、ガスタービン操作状況での燃料の反応度を減少する。さらに、蒸気の追加は、消炎ひずみ速度を大いに増加させ、それによって、混合領域でさらなる抑制フレームが維持される。
【0018】
蒸気は、好ましくは、矢印10で示されたように、燃焼器1の混合領域8で、壁5を通じて案内される。有利には、蒸気は、燃焼器1の壁5のしみ出し冷却のために用いることが可能である。このため、複数の小さな穴が、燃焼器1の壁5に供給されている。蒸気が燃焼器壁5に案内されるため、上述の大きな燃焼動的振幅が減少される。
【0019】
蒸気を混合領域8に注入するために、燃焼器の出力は増加し、かつ、それゆえ、燃料フロントパネル6は、より高温になる。蒸気は、燃焼フロントパネル6を冷却するために用いられもする。燃焼フロントパネル6に、適切な冷却を提供し、その結果、蒸気は対流冷却を矢印11に示すように供給する。蒸気は、混合領域の追加の冷却のために、燃焼フロントパネル6を介して、混合領域8に注入されもし、フロントパネル6は、蒸気を用いてしみ出し冷却されもする。
【0020】
本発明の更なる実施例では、蒸気は、燃焼器1のランス4を通じて案内又は注入されることも可能である。有利には、蒸気は、ランスの先端で、かつ、好ましくは、燃料注入器穴の上流位置で、蒸気入口13を通じて、ガス流2に注入される。ランスから混合領域8に蒸気を注入することは、燃料が燃焼器壁5を貫通するのを防ぎ、かつ、それゆえ、燃料とガス流2との改善された混合を促進する。ランス4は、適切な冷却通路を備えており、その結果、蒸気はランス4を冷却するために用いられる。
【0021】
蒸気冷却は、燃料-空気の混合を供給するのを助け、かつ、フレーム温度を減少し、その結果NOx排出物を減少している。
【0022】
本発明による実施例の先の記述は、図解の目的にのみ用いられるべきであり、本発明の範囲を限定するために考慮されるべきでない。
【0023】
特に、好ましい実施例の観点で、当業者は、形態を変化及び修正可能であり、詳細は、本発明の範囲から逸脱することなしに作成され得る。したがって、本発明の開示は、限定されるべきではない。本発明の開示は、次の請求項で説明する発明の範囲を明確にするための代わりとして提供されるべきである。
【符号の説明】
【0024】
1.SEV燃焼器
2.燃焼ガス
3.入口
4.燃料ランス
5.バーナー壁
6.燃焼フロントパネル
7.フレーム境界
8.混合領域
9.燃焼領域
10.矢印
11.矢印
12.燃料入口
13.蒸気入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気/燃焼混合物が第1の燃焼器で燃焼され、かつ、
続いて、高温ガスと燃料とが混合する混合領域(8)を備えたSEV燃焼器(1)に、高温ガスが、更なる燃焼のために案内される連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器(1)で、排出物を減少し、及び/又は、安全性を向上するための方法において、
蒸気がSEV燃焼器の混合領域に案内されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記蒸気は、SEV燃焼器のバーナー壁(5)を冷却するために用いられることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記蒸気は、燃料を案内するための混合領域(8)に伸びるランス(4)を冷却するために用いられることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法において、
前記蒸気は、燃料を案内するための混合領域(8)に伸びるランス(4)を通じて、混合領域(8)に案内されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法において、
SEV燃焼器(1)の壁(5)を通じて、混合領域(8)に案内されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の方法において、
前記蒸気は、SEV燃焼器壁(5)の一部によって構成され、かつ、SEV燃焼器を通る高温ガスの流れとほぼ垂直に位置している燃料フロントパネル(6)を冷却するために用いられることを特徴とする方法。
【請求項7】
空気/燃焼混合物が第1の燃焼器で燃焼され、かつ、続いて、高温ガスが更なる燃焼のためにSEV燃焼器(1)に案内される連続燃焼ガスタービンのSEV燃焼器において、
SEV燃焼器(1)は、高温ガスを燃焼と混合するための混合領域(8)と燃焼領域(9)とを区切る室壁(5)を備える部屋と、
高温ガスを混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(2)と、
燃料を混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(12)と、
蒸気を混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(10、13)とを備えることを特徴とするSEV燃焼器。
【請求項8】
請求項7に記載のSEV燃焼器(1)において、
蒸気を混合領域(8)に案内するための少なくとも1つの入口(10)は、前記室壁(5)に備えられることを特徴とするSEV燃焼器。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のSEV燃焼器(1)において、
SEV燃焼器(1)は、燃料を混合領域(8)に案内するために、混合領域(8)に伸びるランス(4)を備え、
蒸気を混合領域に案内する少なくとも1つの入口(13)がランス上に備えられていることを特徴とするSEV燃焼器。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1つに記載のSEV燃焼器(1)において、
冷却通路が、ランスを冷却する蒸気を供給するために、ランス(4)に形成されていることを特徴とするSEV燃焼器。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1つに記載のSEV燃焼器(1)において、
冷却通路が、室壁(5)を冷却するための蒸気を供給するために、室壁(5)の一部で形成され、又は、室壁(5)の一部に隣接していることを特徴とするSEV燃焼器。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか1つに記載のSEV燃焼器(1)において、
室壁(5)の一部が、SEV燃焼器(1)を通る高温ガスの流れにほぼ垂直に位置し、かつ、蒸気で燃焼フロントパネル(6)を冷却するための蒸気冷却通路又は穴を備えた燃焼フロントパネル(6)を形成していることを特徴とするSEV燃焼器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−85086(P2010−85086A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−224156(P2009−224156)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland