説明

連続紙印刷装置

【課題】 複数の印刷手段を備えた構成の両面印刷を行う連続紙印刷装置において、スタッカ部でのジャムの発生を防止する。
【解決手段】 複数台(N台;N≧2)の印刷手段を利用して連続紙上に印刷を行う連続紙印刷装置において、印刷を開始する前に、頁の印刷実行順番から数えてi台目(iは、1≦i≦N−1の整数)の印刷手段の所定位置にある連続紙ミシン目の山谷状態に対応して、所定の規則でi+1台目(2≦i+1≦N)の印刷手段の所定位置にある連続紙ミシン目の山谷状態を判定する判定手段を設け連続紙印刷装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続紙印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続紙印刷装置としては、上位装置から印刷ジョブデータを受信して印刷手段で連続紙に印刷するプリンタで、印刷頁に対応する山/谷を認識する認識手段と、印刷開始頁の認識の結果、谷折り時は該当する頁から印刷し、山折り時は1頁空送りしてから印刷する山/谷頁制御手段とを備え、ジョブ名等が表に出て綴じた時に印刷が見易くミシン目の山/谷の認識が容易な連続紙印刷装置が知られている。(例えば特許文献1)
更に、第1プリンタに設けられたマーク印刷手段と、第2プリンタに設けられたマーク検出手段を備え、第1プリンタのマーク印刷手段は連続紙の第1面にマークを印刷し、第2プリンタの印刷制御部はマーク検出手段によりマークを検出した時、連続紙の第2面の印刷制御を開始する連続紙印刷システムが知られている。(例えば特許文献2)
しかしながら従来技術においては、山谷を検出する認識手段をもっているが、複数台の印刷手段で印刷を実行する印刷装置では、後段印刷手段の連続紙ミシン目の山谷形状が、前段印刷手段通過時に定着ロール通過時の圧着により失われ,山谷の判別が困難になる。山谷形状は失われても、ミシン目の折り癖は連続紙に残っているため、後段印刷手段で連続紙を用紙出力先スタッカに折りたたむときに、山谷のセット状態が印刷開始前に反転するようにとりつけられると、連続紙がたわみ、スタッカ部内で連続紙がきれいに折りたためず用紙ジャムを発生する恐れがある。
【0003】
更に、従来技術では、連続紙の両面印刷システムに見るマーク検出による前段,後段の印刷手段の印刷同期は、連続紙の山谷セット条件が後段印刷手段で正しさが保証できないために、後段印刷手段のスタッカ部での連続紙を正しく折りたためず、用紙ジャムが発生しやすいという課題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平07−137375号
【0005】
【特許文献2】特開平07−237336号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の印刷手段を備えた構成の両面印刷を行う連続紙印刷装置において、スタッカ部でのジャムの発生を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数台(N台;N≧2)の印刷手段を利用して連続紙上に印刷を行う連続紙印刷装置において、印刷を開始する前に、頁の印刷実行順番から数えてi台目(iは、1≦i≦N−1の整数)の印刷手段の所定位置にある連続紙ミシン目の山谷状態に対応して、次の規則でi+1台目(2≦i+1≦N)の印刷手段の所定位置にある連続紙ミシン目の山谷状態を判定する判定手段を設けた連続紙印刷装置で課題を解決する。
【0008】
【数1】

【0009】
(ここで、D=i台目の印刷手段からi+1台目の印刷手段間の連続紙長さ(単位は頁)、Si+1=i+1台目の印刷手段の所定位置での連続紙ミシン目の山谷状態、S=i台目印刷手段の所定位置での連続紙ミシン目の山谷状態、iは、1≦i≦N−1の整数、N=印刷手段の台数(N≧2)とする。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の印刷手段を備えた両面印刷を行う連続紙印刷装置において、スタッカ部でのジャムの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の連続紙印刷装置について、その実施例を説明する。
【0012】
図1は連続紙印刷装置のの全体構成であり、両面印刷を実行する大まかな流れを説明する。なお本実施例では、説明を単純化するため、印刷手段の台数を2台(N=2)とするが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
ホストコンピュータ1は、任意の応用プログラムを実行し、それらの生成する印刷データ20を、印刷制御手段2へ送信する。印刷制御手段2は、ホストコンピュータ1から送信された印刷データ20を受信し、ビットマップ形式画像などの画像データ形式への描画処理を実行し、かつ、その描画画像を第1の印刷メカ制御手段4と第2の印刷メカ制御手段5へ送信し、第1の印刷メカ制御手段4と第2の印刷メカ制御手段5が、画像データをラスタースキャン信号に変換し、第1の印刷手段6と第2の印刷手段7が、連続紙上に印刷する。
【0014】
第1の印刷メカ制御手段4は、印刷制御手段2からの印刷画像データと印刷メカ制御情報21を受信して、第1の印刷手段6へそれらを送信する。第1の印刷手段6は、印刷メカ制御情報24に従って連続紙25を入力し、第1の現像手段8により連続紙上に印刷画像の現像を行い、現像された同連続紙を、第1の定着手段9を通過させて定着処理を行って第1の印刷手段6から出力する。
【0015】
印刷反転手段19は、第1の印刷手段6の出力した連続紙を入力して、連続紙の表の面と、裏の面を反転させて出力する。第2の印刷手段7は、その内部構成は第1の印刷手段6と同一で、連続紙反転手段19が出力した連続紙を入力し、第1の印刷手段6で印刷した連続紙頁面の反対頁面を印刷する。
【0016】
印刷を開始する前に、オペレータは、連続紙のミシン目を、第1の印刷手段6の所定位置に位置合わせを行った後に、同連続紙ミシン目の山谷状態を目視確認し、その山谷状態をスイッチなどの山谷状態入力手段12から入力する。オペレータが入力した第1の印刷手段6の連続紙山谷情報S22を入力として、山谷状態判定手段13は、第2の印刷手段7の連続紙山谷状態S23を計算して求め、連続紙山谷情報S22を第1の印刷メカ制御手段4へ、連続紙山谷情報S23を第2の印刷メカ制御手段5へそれぞれ送信する。
【0017】
連続紙山谷情報S22を受信した第1の印刷メカ制御手段4は、連続紙山谷情報S22を第1の山谷状態表示手段14へ渡す。第1の山谷状態表示手段14は、連続紙山谷情報S22を入力して第1の印刷手段6の連続紙山谷状態を、発光ダイオードなどの表示器に表示または点灯する。
【0018】
山谷状態判定手段13が出力した連続紙山谷情報S23を入力すると、第2の印刷メカ制御手段5は、連続紙山谷情報S23を第2の山谷状態表示手段15と連続紙折り畳み制御山谷信号出力手段16に渡す。
【0019】
次に、印刷開始に先立って、オペレータが第1の印刷手段6と第2の印刷手段7に連続紙25を装着する操作手順を説明する。連続紙の装着手順は,概ね次のものとなる。
第1の印刷手段6への連続紙の取り付け。
第1の印刷手段6からの用紙送り。
第2の印刷手段7への連続紙の取り付け。
第1の印刷手段6と第2の印刷手段7間の用紙距離の調整。
【0020】
第1の印刷手段6への連続紙取りつけは、次のようなオペレータ操作により行う。オペレータは第1の連続紙入力手段18から連続紙25を引き出し第1の印刷手段6へ取りつける。第1の印刷手段6と第2の印刷手段7は、それぞれ独立に連続紙を送るために図2に示すような連続紙設定パネルを用意する。
【0021】
オペレータが図2に示す連続紙設定パネル上の左方向用紙送りスイッチまたは右方向用紙送りスイッチを押下すると、一定長の細かい刻み(例えば1刻みを1/6インチとする)を単位にして、連続紙を図2において、左方向または右方向へ移動させることができる。オペレータは、左方向用紙送りスイッチと右方向用紙送りスイッチを操作して、図2の連続紙位置調整用目盛りの連続紙ミシン目位置合わせの基準位置へ、連続紙のミシン目が来るように調整する。連続紙ミシン目を印刷機構の基準位置に取りつけると、オペレータは、図4に示す山谷確認位置にある連続紙ミシン目の山谷状態を目視により判断して、その山谷状態に対応して図2の山設定スイッチまたは谷設定スイッチを押下する。ここで連続紙印刷装置は、押下された山設定スイッチまたは谷設定スイッチに対応する連続紙山谷状態ランプを点灯させる。
【0022】
このようにして、オペレータは連続紙設定パネルを操作して、第1の印刷手段と、第2の印刷手段のそれぞれに連続紙をとりつける。第1の印刷手段6と第2の印刷手段7への連続紙の用紙とりつけが終了すると,オペレータは、第1の印刷手段6と第2の印刷手段7間の用紙距離を調整する。
【0023】
本連続紙印刷装置は、連続紙への高速印刷を実行するために、第1の印刷手段6で連続紙の表の頁面を印刷し、第2の印刷手段7で連続紙の裏の頁面を印刷するという構成を採るので、第1の印刷手段6から第2の印刷手段7間の連続紙の距離D(inch)は、一定長さ以上が必要となる。両者の印刷手段に連続紙を取り付ける時、あるいは印刷実行中、ともに、同連続紙は、印刷手段間で、一定以上の距離が保持される必要がある。
【0024】
図3に、第1の印刷手段と第2の印刷手段間の用紙距離を調整するために使用する用紙送り指示画面を示し、図4に、第1の印刷手段と第2の印刷手段間の用紙距離と頁の位置関係を示す。
【0025】
オペレータが、図3に表示されている「プリンタ1」側の「送り」ボタンを押下すると、「送り頁数」に表示した頁数だけ、第1の印刷手段6が用紙送りを行い、対話処理手段3は、「用紙距離」を送った頁数分だけ増加させて表示する。一方、オペレータが、図3に表示されている「プリンタ2」側の「送り」ボタンを押下すると、「送り頁数」に表示した頁数だけ、第2の印刷手段7が用紙送りを行い、対話処理手段3は、「用紙距離」を送った頁数分だけ減じて表示する。
【0026】
オペレータは、「用紙距離」の頁数が、あらかじめ設定し記憶した「用紙距離最適値」になるように、この用紙送り操作を行う。この用紙送り操作時は、第1の印刷手段6から送り出す連続紙上に、図2に示すような頁毎に頁番号N1を印刷する。
【0027】
オペレータは、第1の印刷手段6と第2の印刷手段7間に適切な用紙距離を確保すると、第2の印刷手段7へ連続紙を取りつけ、第2の印刷手段7の頁数確認位置42(図4に示す)に到着している連続紙上に印字された頁番号N1を読み取る。オペレータは、その印字された頁番号N1を、対話処理手段3へ入力すると、印刷制御手段2は、印刷手段間用紙距離頁数Pを式1より計算して求める。
P=N0−N1+M2/Lpage …(式1)
式1の各変数の意味は、以下の通りである。
P=印刷手段間用紙距離(頁)
N0=第1の印刷手段が送り出した用紙頁数(頁)
N1=第2の印刷手段の頁数確認位置(図4の42)に到着している連続紙上に印字された頁番号(頁)
M2=第2の印刷手段の転写位置(図4の43’)から頁数確認位置(図4の42)までの用紙長(inch)
Lpage=連続紙1頁分、ミシン目から次のミシン目までの距離・頁長(inch)
ここで示した式1による印刷手段間用紙距離P(頁)は、図4に示した印刷手段と送り出された連続紙頁の位置関係により次のようにして求める。
【0028】
第1の印刷手段側の連続紙ミシン目山谷確認位置(図4の41)から、連続紙ミシン目山谷確認位置(図4の41’)までの用紙距離をD(inch)とおくと、
D+M1=(N0−N1+1)×Lpage+M1+M2
D=(N0−N1+1)×Lpage+M2
P=D/Lpageであるから、両辺をLpage(≠0)で割り、
P=D/Lpage=(N0−N1+1)+M2/Lpage …(式2)
が求まる。このようにして、第1の印刷手段と第2の印刷手段の用紙距離が確定する。
【0029】
次に、本発明における連続紙ミシン目山谷状態の判定の原理と、その処理手順について説明する。
【0030】
第2の印刷手段7で連続紙ミシン目山谷状態を判定する原理は次の通りである。
【0031】
図4に示す通り、第2の印刷手段7の山谷確認位置41’での連続紙ミシン目山谷状態は、第1の印刷手段6の同確認位置41から、第2の印刷手段の同確認位置41’間の連続紙頁数が、奇数か偶数か、及び第1の印刷手段の同確認位置41での連続紙ミシン目山谷状態から判定できる。
【0032】
すなわち、
第1の印刷手段から第2の印刷手段間の用紙距離(頁)=P,
第1の印刷手段の山谷確認位置41での連続紙山谷状態=S
第2の印刷手段の山谷確認位置41’での連続紙山谷状態=Sとおくと
【0033】
【数2】

【0034】
となる。
【0035】
前述の原理を印刷手段が複数台(N,N≧2)ある場合に、i台目の印刷手段(i=2,3,…N)の連続紙山谷状態を求める手続きに一般化し、図7のフローチャートに示す。本プログラム手続きは、i台目プリンタ連続紙山谷状態を入力し、i+1台目プリンタ連続紙山谷状態を求める手段をプログラムにより実現するものである。
【0036】
プリンタi-1からプリンタi間の用紙距離P、プリンタ番号i、連続紙山谷状態Si−1を引数として入力し、P=偶数であればS=Si−1(ステップA020)とし、P=奇数であればS=NOTSi−1(ステップA030)とし、実行を呼び出し元へ戻す。
【0037】
前述のi台目プリンタ連続紙山谷状態判定手続きを呼び出して、プリンタ全台の連続紙山谷状態を求める手段を、プログラムにより実現した手続きを、図8のフローチャートに示す。同手続きは、N=印刷手段の台数(N≧2)、印刷手段i−1から印刷手段iまでの用紙距離P(i=1,2,…,N−1)(頁)を入力とし、全印刷手段の連続紙ミシン目山谷状態S,S,…Sを出力として求める機能を実行する。
【0038】
最初のステップB010は、オペレータ判断により印刷手段1台目の連続紙ミシン目山谷状態を入力したスイッチ状態を読み、変数Sに求める。
【0039】
次に繰り返しループ処理の制御変数iを2に初期設定する(ステップB020)。以降、「連続紙山谷状態取得」手続きを、ステップB030からステップB050で繰り返し処理して、全ての印刷手段の連続紙ミシン目山谷状態S,S,…Sを求める。
【0040】
全印刷手段の印刷進行に対し、1頁毎にリアルタイムに連続紙山谷状態を求める手段と、全印刷手段の山谷状態をリアルタイムに更新して表示する手段を、プログラムにより実現するアルゴリズムを図9,図10,図11により説明する。
【0041】
図6にプログラム構成と印刷手段の関係を示す。
【0042】
第1の印刷手段から第Nの印刷手段のそれぞれに対応して、その印刷処理を行うタスクである「印刷プロセス1タスク」〜「印刷プロセスNタスク」は、1個以上のMPU下に並列に実行するマルチタスク構成をとる。「印刷プロセス1タスク」〜「印刷プロセスNタスク」は、それぞれが、連続紙山谷状態変数s[1]〜s[N]を共有資源として書き込みと読み出しを行う。「印刷プロセス1タスク」〜「印刷プロセスNタスク」は、処理アルゴリズムを同一とするので、代表として図9に「印刷プロセスiタスク」(i=1,2,…,N)としてフローチャートに示す。
【0043】
印刷プロセスiタスクは、i=1,2,…,Nに対して、それぞれ独立したタスクとして並列に実行し、それぞれのタスクが図11に示す連続紙送り信号割り込み処理iと連動して動作する。連続紙送り信号割り込み処理iは、一定長の用紙送り(例えば1/6inch長)毎に発生する連続紙送り信号割り込み事象時に起動する割り込み処理である。
【0044】
「印刷プロセスiタスク」は、1頁印刷起動毎にタスク待ちを行い、そのタスク待ちを「連続紙送り割り込み処理i」が解除するという連携動作をとり、マルチタスクの並列実行と、印刷手段1からNでの印刷の並列実行を可能とする。
【0045】
「印刷プロセスiタスク」は、連続紙送り割り込み処理との同期実行のために、変数「印刷済連続紙長」を用意し、「印刷済連続紙長」を0にして(ステップC010)1頁印刷を起動し(ステップC020)、自タスクを待ち状態にして(ステップC030)、1頁印刷の終了を待つ。「印刷プロセスiタスク」が印刷毎の終了を待つ間、連続紙送りの一定長(ここでは1/6inch)毎に用紙送り垂直同期信号として割り込み信号がアサートされる。同割り込み信号がアサートされると、「連続紙送り割り込み処理」が起動される。
【0046】
「連続紙割り込み処理i」は、「印刷済連続紙長」≧「規定頁長」となるかを判定し(ステップD010)、条件が成立しない場合は「印刷済連続紙長」を1/6inchだけ増加させ、割り込み信号を終了して次の割り込み発生に備え、条件が成立した場合は一頁分の印刷が終了したので、「印刷プロセスiタスク」のタスク待ち解除のシステムコールを発行し(ステップD020)、「印刷済連続紙長」を0とする(ステップD030)。
【0047】
タスク待ちが解除されると、「印刷プロセスiタスク」は実行を再開する。すなわち、印刷手段iの連続紙山谷状態Sを反転し(ステップC040)、手続き「山谷状態表示」を呼び出し、ステップC010へ戻る。
【0048】
「山谷状態表示手続きi」は、印刷手段iから印刷手段N手段の連続紙山谷状態を表示する手続きである。「山谷状態表示手続きi」は、印刷手段iの用紙状態表示装置に、印刷手段iの連続紙山谷状態を表示し、呼び出し元へ実行を戻す。
【0049】
次に、リアルタイムで連続紙折り畳み制御を行う手段について説明する。
【0050】
図5の右半分側は、最後段にある印刷手段の連続紙ミシン目山谷の初期状態が”谷”で開始された場合の連続紙折り畳みアーム振れ角の時間的変化と、それに対応する山谷信号の時間的変化を示し、図5の左半分側は、連続紙ミシン目山谷の初期状態が”山”で開始された場合の同変化を示す。
【0051】
例えば、図5右半分の図の連続紙折り畳みアームの振れ角を数式で表現すると、
θ = θ0×cos(πXt/60)…(式3)
X=印刷速度(ppm)
t=時刻(sec)
θ0=アームの初期角度(rad)
となる。
【0052】
一方、図5左半分の連続紙折り畳みアームの振れ角は、式3で、時刻t=60/X(sec)を開始時刻とすることで、連続紙折り畳みアーム振れ角θを求められる。
θ=θ×cos(πX(t−60/X)/60)…(式4)
以上の考え方により、連続紙折り畳みアームの角度制御をプログラムで実現するアルゴリズムを図12,図13のフローチャートにより示す。
【0053】
連続紙折り畳みのプログラムは、「連続紙折り畳み制御タスク」と、「タイマー割込み処理」により構成する。連続紙折り畳みに関わり、「タイマー割り込み処理」が一定周期時間で用紙折り畳みアームの振れ角を式3,式4により求め、求まった振れ角により、「用紙折りたたみ制御タスク」がアーム位置移動を行う。
【0054】
以下、この用紙折りたたみのプログラム制御を、フローチャートにより説明する。「連続紙折り畳み制御タスク」は、「山谷状態取得」手続きを呼び出し、最後段印刷手段の連続紙山谷状態を求める(ステップF010)。ここで、山谷の初期状態が山であれば、式3の開始時刻tを60/X(sec)とし(ステップF030)、山谷の初期状態が谷であれば、式3の開始時刻tを0(sec)とし(ステップF040)、式3に従って、連続紙折り畳みアームの初期角度θ(rad)を求める(ステップF060)。変数「前回の山谷状態」の初期値は、変数「現在の山谷状態」と同じ値にする(ステップF050)。ステップF080〜F100は、周期T(sec)で割込みのかかるタイマー割込みにより、T(sec)毎に折り畳みアーム角度を制御する繰り返し処理となる。タイマー割込み処理は、式3に従ってT(sec)周期に、振れ角度θ(rad)を求める。変数「用紙送り状態」は、印刷開始時と印刷処理中に1とし、用紙送り停止時に0と設定し、かつ、連続紙折り畳み処理を「用紙送り状態」=1の条件で行うことにより、用紙送りを実行していない時に折り畳み動作がおこることを防ぐ。
【0055】
ステップG010では、「用紙送り状態」=1(用紙送り中)の時のみ、タイマー割込みの処理を行うようにし、「用紙送り状態」≠1(用紙送り中でない)の時には、タイマー割込み処理をバイパスし、ノー・オペレーションとして終了する。
【0056】
ステップG010で、用紙送り中と判定した場合は、「山谷状態取得」手続きを呼び出し、変数「現在の山谷状態」に現在の最後段印刷手段の連続紙山谷状態を得る(ステップG020)。
【0057】
次に時刻を示す変数が実数加算によりオーバーフロー(桁あふれ)をすること、及び加算による式3の演算誤差集積を防止するために、山谷信号が山から谷に変化する立ち下がりのタイミングにより、時刻を0に戻す式3の周期性を利用した時刻合わせを行う。すなわち、前回のタイマー割込み実行時の連続紙山谷状態が”山”で、今回のタイマー割込み実行時が”谷”であれば、時刻変数t=0(ステップG040)とし、それ以外の時刻をT(sec)だけ先に進める(ステップG050)。
【0058】
ステップG060は、次のタイマー割込み実行時に、前回のタイマー割り込み時の連続紙山谷状態を参照できるように変数「前回の山谷状態」に、現在の連続紙山谷状態を記憶する。
【0059】
ステップG070では、決定した時刻tについての、アーム振れ角θ(rad)を、式3に基づいて計算し、タスク実行待ち状態のタスク待ちを解除して(ステップG080)、割込み処理を終了する。
【0060】
タイマー割り込み処理のタスク待ち解除により、実行可能状態となった「折り畳み制御タスク」は、タイマー割込み処理により計算された振れ角θ(rad)へ、連続紙折り畳みアームを移動し(ステップF090)、次のタイマー割込みによりθが計算されるまで、タスク実行待ち状態になる(ステップF100)。
【0061】
以降は、タイマー割込み処理が実行時間での振れ角θを計算で求め、待ち状態の連続紙折りたたみタスクを実行可能とし、「折り畳み制御タスク」の実行が再開すると、タイマー割込み処理の求めた振れ角θへ連続紙折り畳みアームを移動するという手順を繰り返すこととで、連続紙の折り畳みが進行する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施例である連続紙印刷装置のブロック図である。
【図2】連続紙設定パネルと連続紙の位置調整を示す模式図である。
【図3】紙送り指示画面を示す図である。
【図4】連続紙印刷装置と連続紙頁の位置関係を示す模式図である。
【図5】スタッカ部の用紙折りたたみ制御を示す模式図である。
【図6】印刷プロセスタスクの構成図である。
【図7】連続紙山谷状態取得手続きのフローチャートである。
【図8】印刷手段全台の山谷状態を求める手続きのフローチャートである。
【図9】印刷プロセスのフローチャートである。
【図10】山谷表示手続きのフローチャートである。
【図11】連続紙送り割込み処理のフローチャートである。
【図12】用紙折りたたみ制御のフローチャートである。
【図13】タイマー割込み処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1…ホストコンピュータ、2…印刷制御手段、3…対話処理手段、4…第1の印刷メカ制御手段、5…第2の印刷メカ制御手段、6…第1の印刷手段、7…第2の印刷手段、12…山谷状態入力手段、13…山谷状態判定手段、20…印刷データ、21,21’…印刷画像・印刷メカ制御情報。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台(N台;N≧2)の印刷手段を利用して連続紙上に印刷を行う連続紙印刷装置において、
印刷を開始する前に、頁の印刷実行順番から数えてi台目(iは、1≦i≦N−1の整数)の印刷手段の所定位置にある連続紙ミシン目の山谷状態に対応して、次の規則でi+1台目(2≦i+1≦N)の印刷手段の所定位置にある連続紙ミシン目の山谷状態を判定する判定手段を設けたことを特徴とする連続紙印刷装置。
【数1】

(ここで、D=i台目の印刷手段からi+1台目の印刷手段間の連続紙長さ(単位は頁)、Si+1=i+1台目の印刷手段の所定位置での連続紙ミシン目の山谷状態、S=i台目印刷手段の所定位置での連続紙ミシン目の山谷状態、iは、1≦i≦N−1の整数、N=印刷手段の台数(N≧2)とする。)
【請求項2】
頁の印刷実行順番から数えて1台目の印刷手段での所定位置の連続紙ミシン目の山谷状態を、オペレータ判断によりスイッチ等の入力手段を介して初期設定する設定手段を有し、かつ連続紙ミシン目の山谷状態を判断する手段を、頁の印刷順番から数えて2台目以降の全ての印刷手段に適用することで、全ての印刷手段での所定位置の連続紙ミシン目山谷状態を、印刷を開始する前に判定する判定手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の連続紙印刷装置。
【請求項3】
全ての印刷手段それぞれについて連続紙山谷状態の印刷開始前初期状態を求めた後、全ての印刷手段それぞれについて、1頁印刷する毎に記憶されている連続紙ミシン目の山谷状態を反転して再記憶し、印刷実行中の実時間にて、全ての印刷手段それぞれの連続紙山谷状態を判定する判定手段を設けたことを特徴とする請求項1,2いずれかに記載の連続紙印刷装置。
【請求項4】
全ての印刷手段の連続紙山谷状態を判定する判定手段から出力する連続紙ミシン目山谷情報を利用して、全ての印刷手段のそれぞれについて、連続紙ミシン目山谷状態を、印刷実行中の実時間にて、表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の連続紙印刷装置。
【請求項5】
印刷実行時の紙送りの進行に対して、連続紙ミシン目の山谷状態を利用して最後段の印刷手段における連続紙ミシン目山谷状態を求め、前記ミシン目山谷状態の変化1周期の立ち上がり,または立ち下がりのタイミングに同期して、記憶する時刻を0に戻し、連続紙折り畳み手段の機械的アーム振れ周期運動の角度を、以下の関数で算出して制御する連続紙折り畳み手段を設けたことを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の連続紙印刷装置。
t=0:(連続紙ミシン目山谷信号の立ち下がり(または立ち上がり)のタイミングの時)
t=t+T:(連続紙ミシン目山谷信号がその他のタイミングの時。Tは定数)
印刷速度=P(ppm)
アームの振れ初期角度=θ(rad)
アームの振れ角度=θ=θ×cos((π×P/60)×t)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−264252(P2006−264252A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89140(P2005−89140)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】