説明

連続運転管理システム

【課題】ドライバが特段の注意を払うことなく、継続運転可能時間及び運転離脱時間(休憩時間)を認識出来る連続運転管理システムの提供。
【解決手段】車両が運転しているか否かを判断する運転判断装置(1)と、車両の運転時間を決定し且つドライバが休憩している時間を決定する機能を有する制御手段(10)と、車両のドライバが当該車両を連続して運転することが出来る運転可能時間を表示する機能を有する表示手段(2)とを有し、前記制御手段(10)は連続運転可能時間を演算する機能を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載され、ドライバに対して例えば法令に定められた連続運転時間を遵守させるべく注意を喚起する連続運転管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
必要な休憩時間の分割取得対応処理を可能とし、正確な連続運転時間の管理を図った車両の運転管理システムが開示されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、従来の運転管理システムでは、
法令に定められた時間の運転離脱情況を確認することが困難である、
運転離脱時の時間カウントをドライバ自身が管理する必要がある、
運転可能時間が不明なため、法令規定時間を超過する場合がある、
必要な運転離脱時間が不明なため、必要以上の運転離脱を行うことがある、
大型車両の場合、運転離脱する場所、すなわち駐車エリアが限られるため駐車エリア探しの運転中に法令規定時間を超過することがある、
等の各種問題が存在する。
【0003】
その他にも種々の技術が提案されているが(特許文献2〜16)、何れも上述した各種問題点を解決する手段は開示されていない。
【特許文献1】特開2004−234260号公報
【特許文献2】特開平7−215089号公報
【特許文献3】特開2006−194797号公報
【特許文献4】特開昭62−245919号公報
【特許文献5】特開平8−212498号公報
【特許文献6】特許第3992314号公報
【特許文献7】特開平10−166892号公報
【特許文献8】特開2002−288704号公報
【特許文献9】特開2006−177735号公報
【特許文献10】特開平6−34394号公報
【特許文献11】特開平9−7021号公報
【特許文献12】特許第3194459号公報
【特許文献13】特開平9−81816号公報
【特許文献14】特許第3194461号公報
【特許文献15】特開平11−66370号公報
【特許文献16】特許第3560213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、ドライバが特段の労力を費やすことなく、継続運転可能時間や運転離脱時間(休憩時間)を容易に認識することが出来る様な連続運転管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の連続運転管理システムは、車両が運転されているか否かを判断する運転判断装置(例えば、車速計測手段:車速センサ1)と、車両の運転時間を決定し且つドライバが休憩している時間(運転をしない時間)を決定する機能を有する制御手段(10)と、車両のドライバが当該車両を連続して運転することが出来る運転可能時間(連続運転可能時間)を表示する機能を有する表示手段(2)とを有し、前記制御手段(10)は運転可能時間を演算する機能を有していることを特徴としている(請求項1)。
【0006】
本発明において、ドライバが表示手段(2)に運転可能時間を表示させる操作を行なう操作手段(4)を有し、前記表示手段(2)は操作手段(4)に対して行なわれた操作に応答して運転可能時間を表示(図2、図3)する機能を有しても良い(請求項2)。
【0007】
また、前記制御手段(10)は、車両のドライバが連続して取得した休憩時間を決定する(S221、S30)機能と、当該休憩時間の合計(休憩取得)を演算する(S24、S32)機能とを有しており、前記表示手段(2)は、前記休憩時間を表示する(図3)機能と、休憩時間の合計(休憩取得)を表示する(図3)機能とを有するのが好ましい(請求項3)。
【0008】
さらに、前記制御手段(10)は、ドライバが運転した合計時間(運転時間)を演算する機能と、運転した合計時間(運転時間)と第1のしきい値(例えば210分)とを比較する(S7)機能と、運転した合計時間(運転時間)が第1のしきい値を越えた場合にはドライバに対して運転を中断する旨を要求(運転離脱要求S8)する機能と、ドライバに対して運転を中断する旨を要求(運転離脱要求)した際に表示手段(2)に運転可能時間を表示させる(S8)機能とを有するのが好ましい(請求項4)。
【0009】
或いは本発明において、前記制御手段(10)は、ドライバが運転した合計時間(運転時間)と第2のしきい値(法令により定められた時間:例えば240分)とを比較する機能(S9)と、運転した合計時間(運転時間)が第2のしきい値(第2のしきい値240分)を越えた場合にはドライバに対して(法令違反である旨の)警告をする(S10)機能とを有するのが好ましい(請求項5)。
【0010】
これに加えて、運前記制御手段(10)は、ドライバが連続して取得した休憩時間と第3のしきい値(第3のしきい値/法令により認められた時間:例えば10分)とを比較して(S221、S30)、連続して取得した休憩時間が第3のしきい値よりも短時間である場合には当該休憩時間を休憩時間の合計(休憩取得)には加算しない(S222、S34)機能を有することが出来る(請求項6)。
【発明の効果】
【0011】
上述する構成を具備する本発明によれば、制御手段(10)で車両のドライバが当該車両を連続して運転することが出来る運転可能時間(連続運転可能時間)を演算して、演算された運転可能時間を表示手段(2)で表示することが出来るので、車両のドライバは表示手段(2)に表示された運転可能時間を視認することにより、例えば法令で定められた連続運転時間(第2のしきい値)を超過してしまうまで、どの程度の時間が残されているか(運転可能時間)を瞬時に把握することが出来る。
すなわち、ドライバが、例えば法令に定められた時間(第2のしきい値)に対する運転離脱状況を瞬時に確認することが出来て、係る運転離脱状況に対応して、適正な運転離脱のタイミングを図ることが出来る。
【0012】
その結果、ドライバが、例えば連続運転に関する法令を遵守することが可能となる。
また、特に車両が大型車である場合に、運転可能時間を把握することにより、条件が限られた運転離脱(休憩)場所を探すための時間を予め計算して、運転離脱(休憩)場所を探すことが出来る。従って、条件が限られた運転離脱(休憩)場所を探している間に、例えば法令に定められた時間(第2のしきい値)を超過してしまうことが防止される。
【0013】
本発明において、ドライバが操作手段(4)を操作することにより(例えば、スイッチを押すことにより)、前記表示手段(2)は運転可能時間を表示される様に構成すれば(請求項2)、ドライバが運転可能時間を容易に視認することが可能となる。
【0014】
そして本発明において、車両のドライバが連続して取得した休憩時間と、当該休憩時間の合計(休憩取得)とを表示する様に構成すれば(請求項3)、連続運転に関する状況をより正確に把握することが出来ることで、必要以上の運転離脱を行なわずに済み、運送効率が向上する。
それに加えて、本発明によれば、必要な休憩を取得した際に、アナウンスを行なう機能(例えば、「目覚まし」に類似する機能)を付加することが出来る。係る機能を設けることにより、ドライバは休憩中に安心して仮眠をすることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る連続運転管理システムは、運転判断装置である車速計測手段(車速センサ)1、表示手段である表示モニタ2、警告手段である音声警告装置3、操作手段4、制御手段10を備えている。
制御手段10は、計時手段であるタイマ11、運転時間演算手段12、休憩時間演算手段13、運転可能時間演算手段14、記憶手段であるデータベース15、比較手段16、判断手段17を含んでいる。
【0016】
制御手段10において、運転時間演算手段12は、車速センサ1が検出した車速がゼロではない旨の情報から、車両が運転されているという情報を獲得することが出来る。そして、運転時間演算手段12は、車両が運転されている旨の情報とタイマ11による経過時間とによって、運転時間を演算する機能を有している。
休憩時間演算手段13は、車速センサ1が検出した車速がゼロである旨の情報から、車両が停車しているという情報を獲得することが出来る。そして、休憩時間演算手段13は、車両が停車しているという情報と、タイマ11による経過時間とによって、休憩時間を演算する機能を有している。
ここで、車速センサ1が検出した車速がゼロであり、車両が停車しているという状態は、「作業中」(例えば、荷積み、荷卸し作業の最中)を含む。
【0017】
運転可能時間演算手段14は、運転時間演算手段12で演算した運転時間と、第2のしきい値(法令で定められた継続可能な連続運転時間240分)に基づいて、且つ、休憩時間演算手段13で演算した休憩時間の合計値を参照して、運転可能な残り時間を演算するように構成されている。
【0018】
データベース15は、各種設定値、例えば法令で定められた連続運転可能時間(第2のしきい値:240分)や、その連続運転可能時間中にとらなくてはならない休憩時間(必要休憩時間:30分)や、法令上で休憩時間と認められる連続した休憩時間(第3のしきい値:10分)等を予め記憶するように構成されている。
【0019】
ここで、各種設定値に関して説明する。
「第1のしきい値」は法令で定められた連続運転可能時間(4時間;240分)から、設定時間(例えば30分)を減算した時間(例えば210分)である。ここで、「設定時間(例えば30分)」は、法令で定められた連続運転可能時間(4時間:240分)が経過してしまう以前の段階に、ドライバに休憩取得を予告(警告)して、休憩取得を喚起するのに十分な時間であると共に、運転状態から確実に休憩をとるのに十分な時間として設定されている。
「第2のしきい値」は、法令で定められた連続して運転可能な時間、すなわち連続運転可能時間(4時間:240分)そのものである。
「第3のしきい値」は、法令上で休憩時間と認められる連続した休憩時間、或いは最短の休憩時間であり、10分間と規定されている。
【0020】
法令において、連続して運転できる時間は4時間(240分)までに制限されている。そして4時間を超える運転時間については、運転の間に、運転をしない時間を30分以上とる必要がある。係る法令の運用に関しては、4時間30分を1セットと考えると理解し易い。ここで、運転をしない時間としては、休憩時間のみならず、荷役等の作業時間や荷待ち時間を含めることが出来る。本明細書において、「休憩時間」なる文言を「運転をしない時間」という意味で用いられる場合や、荷役等の作業で運転をしない時間を「休憩」とみなす場合がある。
運転をしない時間はまとめて取らなくても良く、複数回に分割して取得すれば良いことになっている。但し、1回の休憩時間が第3のしきい値(10分)に満たない場合は、法令上は、「運転をしない時間」とはみなされず、合計休憩時間(上述した1セットの4時間30分の間における運転をしない時間の合計値)の30分間には含まれない(カウントされない)ことになっている。
なお本発明において、上述した第1〜第3のしきい値は、管理者側やドライバ等が任意に設定するようにしても良い。
【0021】
比較手段16は、運転時間演算手段12で演算した運転時間、休憩時間演算手段13で演算した休憩時間及び合計休憩時間、運転可能時間演算手段14で演算した運転可能時間を、データベース15に記憶された各種データ、例えば、第1〜第3のしきい値と比較する機能を有している。
【0022】
判断手段17は、比較手段16で比較した結果に基づき、表示モニタ2及び/又は警告手段に対して、警告内容を表示させ、及び/又は、音声警告を発生させるか否かを判断する。そして判断手段17は、係る警告内容を表示・発生する旨の制御信号を、表示手段2及び/又は警告手段に対して発信するように構成されている。
さらに判断手段17は、第3のしきい値未満の休憩時間を、合計休憩時間に合算しない判断を下す機能を有している。
【0023】
ここで、表示及び/又は発生する警告内容としては、例えば、
「連続運転です。休憩して下さい」(運転離脱要求:運転時間が第1のしきい値を越えた場合)、
「連続運転可能時間オーバーです。休憩して下さい」(法令違反である旨の警告:運転時間が第2のしきい値を越えた場合)、
等である。そして、係る警告内容が表示手段2で表示され、及び/又は、警告手段により音声ガイドがなされる。
【0024】
図2〜図4は、表示手段である表示モニタ2の画面の例を示している。
図2〜図4の例では、表示モニタ2として、タッチセンサ(スイッチ)を内蔵したタッチパネルタイプのディスプレイを採用しており、操作手段4はタッチパネルにおけるタッチスイッチとして構成されている。
ただし、タッチパネルを用いた表示装置に代えて、表示部分と操作スイッチとを個別に設けることも出来る。
そして図2〜図4で示す表示モニタ2では、ドライバが指先でモニタ2上の特定のエリアを接触することにより、必要な操作(例えば、入力操作)に対応するスイッチの入切を行なうことが出来る。
【0025】
図示の実施形態に係る連続運転管理システムにおける表示モニタ2として、例えば、図示しないナビゲーションシステムの画面を兼用しても良い。
さらに、燃費情報(瞬間燃費情報や運転可能距離情報)をドライバに表示して省燃費運転を促進するシステムにおけるディスプレイに、図示の実施形態に係る連続運転管理システムで表示されるべき各種情報を表示させることも可能である。
【0026】
図2で示す表示画面では、残りの運転可能な時間(連続運転可能時間)のみを表示している。ドライバが最も気に掛けるのが連続運転可能時間であり、運転開始時や運転中に、「運転可能な時間がどの程度存在するのか?」について疑問が生じた場合には、直ちに連続運転可能時間をチェックしたい、という要請が存在する。
図2で示す表示画面は係る要請に応えるものであり、図示の実施形態に係る連続運転管理システムでは、表示モニタ2における特定のエリアをドライバの指が接触することにより、表示モニタ2における表示内容の如何に拘らず、直ちに図2で示すような表示画面に切り換えることが出来る様に構成されている。これにより、ドライバが要求する場合に、瞬時に連続運転可能時間がチェック出来る。
【0027】
図2で示すような表示画面に切り換える手順については、図7を参照して後述する。
なお、図2では図示を省略しているが、実連続運転時間等を表示モニタ2に同時に表示することも可能である。
【0028】
図3で示す表示画面では、作業状態表示エリア21、運転可能時間表示エリア22、合計有効休憩時間表示エリア23、現在休憩時間表示エリア24、空積状態表示エリア25が示されている。
図3で示す表示画面では、荷積中で、残された連続運転可能時間が160分、それまでの有効休憩時間の積算値が20分で、現在の離脱時間が10分51秒であり、実車(積車)状態であることを表示する内容が例示されている。
図3では、空積状態表示エリア25は一つだけ設けられており、実車の状態であるか、空車の状態であるかにより、空積状態表示エリア25の表示内容が切り換わるように構成されている。ただし、空車の状態と実車の状態とを別々のエリアで表示する様に構成しても良い。
【0029】
図4で示す表示画面では、主として作業に係る情報の入力を行なうエリアが表示されている。
図4において、符号2で示す表示画面には、連結状態入力エリア27、積載状態入力エリア28、道路種別入力エリア29、休憩入力エリア30、待機状態入力エリア31、荷卸入力エリア32、荷積入力エリア33、積卸入力エリア34が設けられている。
【0030】
図4において、連結状態入力エリア27は、連結車両において、トレーラを連結した状態であるか、切り離した状態であるかを入力するエリアである。また、道路種別入力エリア29は、車両が運転しているのが一般道であるか高速道であるかを入力するエリアである。
また、図4で示す表示画面において、例えば、表示エリア26において、連続運転可能時間(例えば240分)が表示されるように構成されている。
【0031】
図4におけるエリア27〜34は、例えば、停車してイグニションを切った(エンジンストップした)際に、実行しようとする作業に関連している。ただし、係る作業は、イグニション−ONの状態(エンジンが作動している状態)でも実行出来る。
ドライバは、エンジンストップした際に、その時点で行なうべき入力操作に対応して、エリア27〜34の何れかに、指で接触して(タッチスイッチにより)必要な入力操作を行なうのである。
【0032】
次に、図5、図6を主に参照して、そして図1〜図4をも参照して、図示の実施形態に係る連続運転管理システムの制御について説明する。
図5は連続運転管理におけるメインルーチンを示しており、図6は作業及び/又は休憩の際における制御(換言すれば、運転離脱時における制御)を示している。
【0033】
図5において、管理をスタートしたならばタイマ11により計時を開始し(ステップS1)、イグニションをONにして(ステップS2)、ステップS3に進む。
ステップS3では、表示モニタ2において、図2〜図4で示す表示画面、或いはその他の表示画面が表示されたか否かを判断する。
表示モニタ2に所定の表示画面が表示されたならば(ステップS3がYES)ステップS4に進み、所定の表示画面が表示されない場合には(ステップS3がNO)、ステップS51に進む。
【0034】
表示モニタ2に所定の表示画面が表示されなければ(ステップS3がNO)、ステップS51でタイマ11が作動し、所定の待機時間が経過するか否かを判断する(ステップS52)。
所定の待機時間が経過したならば(ステップS52がYES)、タイマをリセットして(ステップS53)、表示モニタ2が所定の表示画面を表示するか否かを判定する(ステップS54)。
表示モニタ2が所定の表示画面を表示すれば(ステップS54がYES)、ステップS4に進む。
一方、表示モニタ2が所定の表示画面を表示しなければ(ステップS54がNO)、表示モニタ2が故障したと判断して、その旨を図示しないLED等を点灯し、或いは、音声による警報を発生する(ステップS55)。
【0035】
モニタ2に所定の表示画面が表示され(ステップS3、ステップS54がYES)、ステップS4に進んだならば、車速センサ1の計測結果により車両が運転を開始したか否かを判断する。
車速がゼロで、車両が停車したままの状態であれば、待機する(ステップS4がNOのループ)。図5では明示されていないが、車速がゼロで車両が停車している場合には、図6で示す制御が実行される。
車両が運転を開始したならば(ステップS4がYES)、ステップS5に進む。
【0036】
ステップS5では、車速センサ1によって車両速度を計測することにより、車両が運転されているか否かをチェックする。上述のように、車速がゼロとなり車両が停車している場合には、図6で示す制御が実行される(図5では図示せず)。そしてステップS6に進む。
ステップS6では、残りの運転可能な時間(連続運転可能時間)を表示する(例えば、図4の態様)。そしてステップS7に進む。
【0037】
ステップS7では、制御手段10は、連続運転時間が第1のしきい値を経過したか否かを判断する。
上述した通り、第1のしきい値(例えば210分)は、連続運転可能時間240分から、所定時間(ステップS7では「α」と表示:例えば30分)を減算した数値である。
【0038】
連続運転時間が、第1のしきい値(210分)を経過したならば(ステップS7がYES)ステップS8に進み、経過していなければ(ステップS7がNO)ステップS12まで進む。
ステップS12において、制御手段10は、運転状態が続いているか否かを判断する。運転が続いている場合には(ステップ12がNO)、ステップS7に戻る。
ステップS12において、車両が停止したならば(ステップS12がYES)、図6のステップS14に進み、停車時の制御を実行する。
【0039】
連続運転時間が第1のしきい値(210分)を経過して(ステップS7がYES)ステップS8に進んだならば、表示モニタ2で「連続運転です。休憩して下さい」等の警告を表示し、及び/又は、音声警告手段3によって「連続運転です。休憩して下さい」等を警告して(第1の警告)、ドライバに対して、法令上、休憩が必要になる旨を予告或いは喚起する(ドライバに対して運転離脱要求を行う)。
そして、ステップS9に進む。
【0040】
ステップS9において、制御手段10は、連続運転時間が第2のしきい値(240分)を経過したか否かを判断する。連続運転時間が第2のしきい値(240分)を経過したならば(ステップS9がYES)ステップS10に進み、経過していなければ(ステップS9がNO)、ステップS13に進む。
ステップS10において、制御手段10は、第2の警告として、例えば「連続運転可能時間オーバーです。休憩して下さい。」等の情報或いは警告を、表示モニタ2において表示し、及び/又は、音声警告装置から警告音声を発生する。
【0041】
ステップS10で法令違反である旨の警告を行った後、制御手段10は、法令で定める連続運転可能時間(240分)を超過してしまった旨をデータベース15に記録する。
そして、ステップS9に戻り、運転時間の計時と、モニタ2による表示とを継続する。
【0042】
連続運転時間が第2のしきい値(240分)を経過していない(ステップS9がNO)ステップS13では、制御手段10は車速センサ1からの情報に基づいて、車両が停車しているか否かを判断する。
車両が停車していれば(ステップS13がYES)、図6のステップS14に進み、停車時の制御を実行する。
車両が運転中であれば(ステップS13がNO)、ステップS9に戻る。
【0043】
上述した通り、図6では、車両が停車している場合の制御を実行している。
図6において、ステップS14では、制御手段10は、イグニションを切ったか否か(エンジンを停止させたか否か)を判断する。イグニションを切りエンジンを停止させたなら(ステップS14がYES)、ステップS27に進む。
一方、イグニションが切られておらず、エンジンが作動していれば(ステップS14がNO)、ステップS15まで進む。
【0044】
ステップS15では、例えば荷役に関する作業(荷積みや荷卸し)を行うことが予測される。ステップS15では、モニタ2及び/又は音声警告装置3によって、例えば、「該当するエリアにタッチして下さい」等の表示及び/又は音声ガイダンスが行われる。ここで、「該当するエリアにタッチ」するとは、例示の荷役に関する作業に関して必要な入力を行なうため、表示画面の特定のエリアにタッチして、タッチスイッチによる入切を行なう。
なお、図6のステップS15においては、「該当するエリアにタッチして下さい」とは表記せず、「作業であればスイッチを押してください」と表記している。
そしてステップS16に進み、制御手段10は、ドライバが該当するエリア(タッチスイッチ)を押したか否かを判断する。
【0045】
ドライバが該当するタッチスイッチ(例えば、図4の荷積入力エリア33)に触れたのであれば(ステップS16がYES:ステップS16では「作業スイッチ押したか?」と表記)、荷積入力エリア33に触れた直後からの時間を計時(時間のカウント開始)する(ステップS17)。
そしてステップS18において、運転離脱をしている旨、すなわち運転が中断(休憩を開始)した旨をモニタ2に表示する(運転離脱表示:図3)。ここでステップS18において、荷積入力エリア33を変色し、点灯しても良い。運転離脱表示を行なったならば、ステップS19に進む。
一方、ステップS16で作業スイッチを押してないと判断したなら(ステップS16がNO)、ステップS27まで進む。
【0046】
ステップS19では、例えば、「作業終了であれば解除スイッチを押してください」という表示がモニタ2に表示され、及び/又は、音声警告装置3によって音声ガイダンスが行われる。そしてステップS20に進む。
ステップS20では、制御手段10は、作業解除スイッチを押したか(荷積入力エリア33に再度触れたか)否かを判断する。荷積入力エリア33に触れた(作業終了スイッチを押した)のであれば(ステップS20がYES)、作業が終了したと判断して、ステップS17で開始した計時を停止する(ステップS21)。そして、ステップS221に進む。
作業解除スイッチを押していない場合(ステップS20)、ステップS20が「NO」のループにおいて、図示はされていないが、所定時間が経過すると音声警告装置3による音声ガイダンスは停止する。
【0047】
ステップS221では、作業カウント開始から第3のしきい値未満で作業が解除スイッチが押されたか否かを判断する。
作業カウント開始から第3のしきい値未満で作業解除スイッチが押された場合には(ステップS221がYES)、休憩とみなした作業時間にカウントせずに、キャンセルして(ステップS222)、ステップS35に進む。
作業カウント開始から第3のしきい値以上が経過してから作業解除スイッチが押された場合には(ステップS221がNO)、ステップS23に進む。
【0048】
ステップS23において、制御手段10は、既にカウント(合算或いは積算)されている休憩時間があるか否かを判断する。既にカウントされた休憩時間があれば(ステップS23がYES)、休憩とみなした作業時間を当該休憩時間に加算し(ステップS24)、ステップS25に進む。
一方、既にカウントされた休憩時間が存在しなければ(ステップS23がNO)、そのままステップS25まで進む。
【0049】
ステップS25では、車両の運転が再び開始されたか否かを判断する。
車両の運転が開始されていなければ(ステップS25がNO)、ステップS14へ移動する。
車両の運転が開始されていたら(ステップS25がYES)、ステップS26に進み、休憩とみなした作業時間を経過時間(図5のステップS3で計時を開始してからの経過時間)から減算して、ドライバが運転した合計時間を求める。そして、ステップS35に進む。
【0050】
エンジンが停止しており(ステップS14がYES)、或いは作業に関する情報を入力するタッチスイッチにドライバが触れていなければ(ステップS16がNO)、ステップS27において、休憩を開始したと判断して、休憩時間のカウントを開始する。
ステップS28では、車両の運転が再開されたか否かを判断する。車両の運転が再開されたならば(ステップS28がYES)、休憩時間のカウントを停止して休憩時間を計算し(ステップS29)、ステップS30に進む。
車両の運転が再開されない間(ステップS28がNOのループ)は、休憩時間のカウントが継続される。
【0051】
ステップS30では、休憩カウント開始から第3のしきい値(10分)未満で運転が開始されたか否かを判断する。休憩カウント開始から第3のしきい値(10分)未満で運転が開始された場合(ステップS30がYES)には、運転開始までの休憩時間は法令上で休憩として認められるものではないと判断して、休憩時間に加算せずに、キャンセルする(ステップS34)。そして、ステップS35まで進む。
ステップS30において、第3のしきい値(10分)の経過後、車両の運転が開始されたならば(ステップS30がNO)、ステップS31に進み、制御手段10は、既にカウント(積算或いは合算)がされている休憩時間が存在するか否かを判断する。
【0052】
既に合算されている休憩時間が存在するのであれば(ステップS31がYES)、当該存在している休憩時間にステップS29で計算された休憩時間を合算する(ステップS32)。そして、図5のステップS3で計時を開始してからの経過時間から、ステップS32で合算された休憩時間を減算して、ドライバが運転した合計時間を求める(ステップS33)。
既に合算されている休憩時間が存在しなければ(ステップS31がNO)、ステップS33に進み、図5のステップS3で計時を開始してからの経過時間から、ステップS29で計算された休憩時間を減算して、ドライバが運転した合計時間を求める。
そしてステップS35に進む。
【0053】
ステップS35では、制御手段10は、ステップS26とステップS33で演算した「ドライバが運転した合計時間」が、第1のしきい値を超えているか、或いは、第2のしきい値を超えているかを判断する。
「ドライバが運転した合計時間」が、第1のしきい値(例えば、210分)を超えていない場合には(ステップS35が「第1のしきい値を超えるまで」)、図5のステップS7に進む。
「ドライバが運転した合計時間」が、第1のしきい値(例えば、210分)は超えているが、第2のしきい値(240分)を超えていない場合には(ステップS35が「第2のしきい値を超えるまで」)、図5のステップS9に進む。
「ドライバが運転した合計時間」が、第2のしきい値(240分)を超えている場合には(ステップS35が「第2のしきい値を超えた」)、図5のステップS10に進む。
【0054】
図1〜図6で説明した連続運転管理システムによれば、制御手段10でドライバが当該車両を連続して運転することが出来る運転可能時間を演算して、演算された連続運転可能時間を表示モニタ2で表示し、或いは、音声警告装置3によって警告を与える。そのためドライバは、表示モニタ2に表示された運転可能時間を視認することにより、法令で定められた連続運転時間(第2のしきい値:240分)を超過するまで、どの程度の時間が残されているか(連続運転可能時間)を瞬時に把握することが出来る。
また、ドライバが法令に定められた時間(第2のしきい値:240分)に対する運転離脱状況、すなわち取得した休憩時間についても、瞬時に確認することが出来るので、係る運転離脱状況をも考慮して、ドライバをして適正な運転離脱のタイミングを図ることを可能にしている。
【0055】
その結果、ドライバに、連続運転に関する法令を遵守させることが可能となる。
特に車両が大型車である場合に、運転可能時間を把握することにより、条件が限られた運転離脱(休憩)場所を探すための時間の余裕を予め計算して、運転離脱(休憩)場所を探すことが出来る。
また、休憩場所を探すための時間に関する余裕(例えば、30分間)を見て、第1のしきい値(例えば210分)を設定すれば、第1のしきい値を超過して、第1の警告或いは運転離脱要求が表示された後に、休憩場所を探せば良い。換言すれば、条件が限られた運転離脱(休憩)場所を探している間に、法令に定められた時間(第2のしきい値:240分)を超過してしまうことが防止出来る。
【0056】
上述したように、ドライバにとって最も気になるのは連続運転可能時間であり、運転開始時や運転中に、「運転可能な時間がどの程度存在するのか?」について疑問が生じた場合には、直ちに連続運転可能時間をチェックしたい、という要請が存在する。
図7は係る要請に応えるための制御を示している。
図7のステップS41において、ドライバが運転開始時や運転中に、「運転可能な時間がどの程度存在するのか?」について疑問が生じた場合には(ステップS41がYES)、表示モニタ2の所定のエリアに触れて、図2で示すような表示画面に切り換える(ステップS42)。
上述したように、表示モニタ2における特定のエリアをドライバの指が接触することにより、表示モニタ2における表示内容の如何に拘らず、直ちに図2で示すような表示画面に切り換えることが出来る様に構成されている。これにより、ドライバが要求する場合に、瞬時に連続運転可能時間がチェック出来るのである。ここで、表示モニタ2に連続運転可能時間等を常時表示させても良い。
【0057】
モニタ2の画面を図2で示すような表示画面に切り換えたならば(ステップS42)、タイマ11により計時を開始する。そしてモニタ2の画面を図2で示すような表示画面に切り換えた後、所定時間が経過したならば(ステップS44がYES)、ステップS42で図2で示す表示画面に切り換えられた表示モニタ2の画面を、ステップS42で切り換えた以前の画面に復帰させる(ステップS45)。それと共に、タイマ11による計時を終了する。
ドライバが連続運転可能時間をチェックすれば、表示モニタ2を図2で示すような表示画面に保持する必要はない。そのため、ステップS43〜S45の制御を行ない、連続運転可能時間チェック以前の画面(例えば、省燃費運転をアドバイスするための画面等)に復帰させて、ドライバに必要な情報を提供可能な状態にするのである。
そして、ステップS41に戻る(ステップS46)。
【0058】
すなわち、図示の実施形態において、図7で示すような制御が可能に構成されているので、ドライバが操作手段(図示の実施形態の例では表示モニタ2のタッチパネルに設けられたタッチセンサ或いはタッチスイッチ4)を操作することにより、モニタ2が連続運転可能時間を瞬時に表示することが出来る。その結果、ドライバが連続運転可能時間を容易に視認することが可能となる。
【0059】
そして図示の実施形態において、ドライバが連続して取得した休憩時間と、当該休憩時間の合計(休憩取得)とを表示する様に構成されているので、連続運転に関する状況をより正確に把握することが出来る。
【0060】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態の連続運転管理システムの構成を示すブロック図。
【図2】表示手段に連続運転可能時間のみを表示した状態を示す図。
【図3】表示手段に運転可能時間、有効休憩時間及び現在の離脱時間を表示した状態を示す図。
【図4】表示手段に各種作業に関する情報を入力操作するタッチスイッチを表示した状態を示す図。
【図5】実施形態に係る制御を示すフローチャート。
【図6】実施形態に係る制御において、各種作業時と休憩時の制御を示すフローチャート。
【図7】実施形態に係る制御において、連続運転可能時間を表示させる制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0062】
1・・・車速センサ
2・・・表示手段/表示モニタ
3・・・警告手段/音声警告装置
4・・・操作手段/タッチスイッチ
10・・・制御手段
11・・・計時手段/タイマ
12・・・運転時間演算手段
13・・・休憩時間演算手段
14・・・運転可能時間演算手段
15・・・記憶手段/データベース
16・・・比較手段
17・・・判断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が運転されているか否かを判断する運転判断装置と、車両の運転時間を決定し且つドライバが休憩している時間を決定する機能を有する制御手段と、車両のドライバが当該車両を連続して運転することが出来る運転可能時間を表示する機能を有する表示手段とを有し、前記制御手段は運転可能時間を演算する機能を有することを特徴とする連続運転管理システム。
【請求項2】
ドライバが表示手段に運転可能時間を表示させる操作を行なう操作手段を有し、前記表示手段は操作手段に対して行なわれた操作に応答して運転可能時間を表示する機能を有する請求項1の連続運転管理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、車両のドライバが連続して取得した休憩時間を決定する機能と、当該休憩時間の合計を演算する機能とを有しており、前記表示手段は、前記休憩時間を表示する機能と、休憩時間の合計を表示する機能とを有する請求項1、2の何れかの連続運転管理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、ドライバが運転した合計時間を演算する機能と、運転した合計時間と第1のしきい値とを比較する機能と、運転した合計時間が第1のしきい値を越えた場合にはドライバに対して運転を中断する旨を要求する機能と、ドライバに対して運転を中断する旨を要求した際に表示手段に運転可能時間を表示させる機能とを有する請求項1〜3の何れか1項の連続運転管理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、ドライバが運転した合計時間と第2のしきい値とを比較する機能と、運転した合計時間が第2のしきい値を越えた場合にはドライバに対して警告をする機能とを有する請求項1〜4の何れか1項の連続運転管理システム。
【請求項6】
運前記制御手段は、ドライバが連続して取得した休憩時間と第3のしきい値とを比較して、連続して取得した休憩時間が第3のしきい値よりも短時間である場合には当該休憩時間を休憩時間の合計には加算しない機能を有する請求項1〜5の何れか1項の連続運転管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−146360(P2010−146360A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323886(P2008−323886)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】