進入装置
医療用品を患者の身体空間の内部へ配置する進入装置。この装置は、細長い本体と針ハブとを含んでいる針を有している。この装置は、上記針の上記細長い本体の表面に配置され、かつ、上記針の上記細長い本体に沿ってスライドすることのできる拡張器と、医療用品とをさらに含んでいる。医療用品は、拡張器の表面に配置され、かつ、拡張器に沿ってスライドすることができる。トラックが拡張器から近位方向に延びている。針ハブは、上記トラックの少なくとも一部に沿って、第1位置と第2位置との間でスライドする。この装置は、針ハブが第2位置にあるときに近位方向における針のさらなる軸方向移動を阻止するために、上記トラックと針ハブとの間に作動可能に配置されたロック機構をさらに含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、出願番号60/912,645号(2007年4月18日に出願された)、出願番号60/948,136号(2007年7月5日に出願された)および出願番号61/036,900号(2008年3月14日に出願された)の米国仮特許出願に対する米国特許法第119条(e)の下での利益を主張するものであり、それらの仮特許出願のすべては、参照によってそれらの全部がこの明細書の中に明確に引用されている。
[背景]
【0002】
この発明は一般に、医療用品(たとえば、カテーテル、カニューレ、シースなどのようなもの)を、たとえば動脈、静脈、血管、体腔、または排液部位のような身体空間の中へ導入しかつ/または送出するための進入装置に関するものである。
[関連技術の説明]
【0003】
カテーテルまたは血管シースを血管の中へ挿入するための好ましい非外科的方法には、患者の血管の中へ挿入される進入針が含まれるセルディンガー法(Seldinger tecqnique)または修正セルディンガー法の使用が含まれている。この針と血管を通して案内用ワイヤが挿入される。この針が取り外され、その後、上記案内用ワイヤにわたって、拡張器およびシースが、組み合わされてまたは別々に挿入される。拡張器およびシースは、いっしょにまたは別々に、組織を通して血管の中へ短い距離だけ挿入され、その後、拡張器および案内用ワイヤは取り外されて廃棄される。その後、カテーテルまたは他の医療用品を、上記シースを通して血管の中へ所望の位置まで挿入することができ、または、上記シースを血管の中に容易に残すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの血管進入装置が知られている。米国特許第4,241,019号、第4,289,450号、第4,756,230号、第4,978,334号、第5,124,544号、第5,424,410号、第5,312,355号、第5,212,052号、第5,558,132号、第5,885,217号、第6,120,460号、第6,179,823号、第6,210,332号、第6,726,659号および第7,025,746号には、このような装置の例が開示されている。しかしながら、これらの装置のどれにも、医師および他の医療サービス提供者が選り好みするであろう使用の容易さおよび安全性がない。このため、より使いやすくてより安全な血管進入装置、とりわけ、血管が穿刺されたときにそれを明確にかつ直ちに表示するであろう同装置と、オーバーワイヤ式血管進入における不測の刺傷および他の付随的リスクを軽減するであろう同装置とについての要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の実施形態には、カテーテルまたはシースを患者の身体の内部における空間、たとえば血管または排液部位のような空間へ送出するのに有用である進入装置についてのいくつかの特徴が含まれている。この発明の適用範囲を制限することなく、そのいっそう顕著な特徴が簡単に論述される。この論述を考慮した後に、また具体的には、以下の好ましい実施形態の項における詳細な説明をこの項と組み合わせて読み込んだ後に、何人も、これらの実施形態の特徴および観点によって、従来の進入装置に優るいくつかの利点がどのようにもたらされるかを理解するであろう。
【0006】
この発明の1つの観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には針が含まれており、この針は、遠位端がある細長い針本体と、この針本体がそこから延びているハブとを有している。この装置には、上記針本体の表面に配置された拡張器がさらに含まれている。この針および拡張器は、針の遠位端が拡張器の遠位に位置する第1位置と針の遠位端が拡張器の内部に位置する第2位置との間で、互いに移動可能である。拡張器には、拡張器ハブと、この拡張器ハブから延びている細長い拡張器シャフトとが含まれている。この装置には、上記第2位置にあるときに拡張器に対する針の移動を阻止するために、針と拡張器との間で作動するロック機構がさらに含まれている。このロック機構は、上記第1位置から上記第2位置への針の移動が、この移動に対する抵抗を小さくするためのこのロック機構による係合なしで可能になるように、構成されている。
【0007】
この発明の別の観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には、長手軸がある針本体、遠位先端、および上記針本体がそこから延びている針ハブを有している針が含まれている。この装置には、拡張器シャフトと拡張器ハブとを有している拡張器がさらに含まれている。拡張器シャフトは、上記針本体の表面に配置され、かつ、上記針本体に沿ってスライド可能であり、拡張器ハブは、上記針ハブの遠位に配置されている。この装置には、管状部分とハブとを有している医療用品がさらに含まれている。管状部分は、拡張器の表面に配置され、かつ、拡張器に沿ってスライド可能であり、ハブは、拡張器ハブの遠位に配置されている。この装置には、拡張器ハブから近位方向へ延びるトラックと、拡張器に対する針の近位方向移動を選択的に阻止するために、上記トラックと上記針ハブとの間に作動可能に配置されたロック機構とが含まれている。
【0008】
この発明のさらに別の観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には、遠位端と第1開窓とを有している針が含まれている。この装置には、上記針の表面に配置され、かつ、上記針に沿ってスライド可能であり、第2開窓を有している拡張器がさらに含まれている。少なくとも1つの方向における第1開窓および第2開窓の一方には、上記方向における第1開窓および第2開窓の他方よりも大きい寸法がある。この装置には、同軸に配置され、かつ、拡張器にわたって長手方向に移動可能である医療用品がさらに含まれている。
【0009】
さらに別の観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には、遠位端と少なくとも1つの開窓とを有している針が含まれている。この装置には、上記針の少なくとも一部の表面に配置されたシャフトを有している拡張器がさらに含まれている。この装置には、拡張器の少なくとも一部の表面に配置された医療用品と、この針と上記医療用品の外面との間に配置されて上記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路とがさらに含まれている。この通路は、上記針における上記開窓に通じているとともに、拡張器の長手軸に対して360度よりも小さいスパン角を有している。
【0010】
別の観点には、医療用品を身体空間の内部へ配置するための事前組立型進入装置が含まれている。この装置には、少なくとも1つの開窓がある遠位端を有している針と、この針の少なくとも一部に同軸に配置されたシャフトを含んでいる拡張器とが含まれている。この装置には、拡張器の少なくとも一部に対して同軸に配置された医療用品と、上記針とこの医療用品の外面との間に形成された少なくとも1つの細長い通路とがさらに含まれている。この通路は、上記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びている。この通路は、上記針における上記開窓に通じている。この通路は、医療装置の内面に、拡張器の外面に、または拡張器の内面に形成された溝によって、またはこのような溝の組み合わせによって、少なくとも一部分に画定されている。いくつかのモードでは、この溝は上記針の長手軸の周りに一部だけ延びており、また、他のモードでは、この溝は上記軸に沿ってらせん状に延びている。
【0011】
もっと別の観点は、針・拡張器組立体をその拡張器がその針の少なくとも一部に対して同軸に配置された患者から取り外す方法である。この方法には、針を拡張器に対して第1位置から第2位置まで移動させるステップが含まれている。この針の遠位端は、上記第1位置では拡張器の遠位に位置している。この針の遠位端は、上記第2位置では拡張器の内部に位置している。この方法には、この針がいったん上記第2位置に到ると、拡張器に対するこの針のさらなる移動を阻止するステップが含まれている。
【0012】
さらに別の観点には、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置が含まれている。この装置には、遠位端および長手軸を有している針と、この針の少なくとも一部に配置され、かつ、外面を有している拡張器とが備わっている。医療用品が、拡張器の少なくとも一部に配置されているとともに内面を有している。この医療用品の内面の少なくとも一部または拡張器の外面の一部には、それらの間に長手軸に沿って延びる隙間を形成するように、拡張器の外面またはこの医療用品の内面の隣接部分の形状とは(それぞれ)異なる形状がある。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも針が患者の体内に挿入されたときにその針と拡張器との間の相対回転運動を阻止するために、解除可能な連結装置が設けられている。このような相対回転運動を阻止することによって、針と拡張器とにおける連通用開窓を整合状態に保持して、血液または流体が流れる簡易通路をもたらすことができる。したがって、その針が患者の血管または排液部位へ入ると、血液または他の体液が直ちにその通路へ流入する。その結果、血液または流体の噴出は、針の先端が血管または排液部位へ入ったことを表示するために、シース(またはカテーテル)を通して見ることができる。
【0014】
たとえば、拡張器は、いくつかの実施形態では、拡張器ハブと1つ以上の側面開窓を有している拡張器とを備えているが、これに限定されるものではない。この拡張器ハブには、ルアー継手と解除可能なロック機構とが備わっていてもよい。解除可能なロック機構は、拡張器を針ハブのような他の部分へ解除可能に係合させてその拡張器を固定するように構成することができる。針ハブと拡張器ハブとがこれらの間の回転を防止するために解除可能にロックされると、拡張器における上記1つ以上の側面開窓の少なくとも一部が、針における1つ以上の側面開窓の少なくとも一部に整合する。ロック機構は、針と拡張器との間の偶発的軸方向相対移動を阻止するように構成することもできる。
【0015】
この医療用品にはシースとシースハブとが含まれているのが好ましいものの、必ずしもそうでなくてもよい。シースは、一部または全部が、透明の、半透明の、半透光性の、または透光性の材料から作られていてもよい。このような透光性の、半透明の、半透光性の、および透明の材料によれば、臨床医は、血液または他の体液が、上記針開窓を通して、拡張器の上記側面開窓を通して針の中へ入ると、また、拡張器とシースとの間の観察用空間の中へ入ると、それを見ることができる。シースには、上記観察用空間を覆い隠さないように配置された放射線不透過性ストライプがあってもよい。
【0016】
この発明のこれらの観点および他の観点は、添付図面による好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、当業者に容易に明らかになるであろう。しかしながら、この発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
この明細書の中に開示されたこの進入装置の、これらのおよび他の特徴、観点、および利点は、この発明を図示するように、また、限定しないように意図された好ましい実施形態の図面を参照しながら、以下に説明される。加えて、図を通じて、同一の参照符号は、図示された実施形態の同一の構成要素を指定するために使用されてきた。図示された実施形態同士の間における同様の構成要素は、別の実施形態を表示するために、添字がある同一の参照番号として同様に書き込まれている。以下は、それぞれの図面の簡単な説明である。
【0018】
【図1A】図1Aは、この発明によって構成された進入装置の好ましい実施形態の斜視図であり、針、拡張器、および医療用品と同軸に一線配置された予備負荷型案内用ワイヤ部分を示している。
【0019】
【図1B】図1Bは、図1Aに描かれた実施形態の平面図である。
【0020】
【図2A】図2Aは、図1Aにおける針の平面図であり、遠位端の近傍における開窓を示している。
【0021】
【図2B】図2Bは、図1Aにおける針の側面図であり、近位端の近傍におけるフィンを示している。
【0022】
【図2C】図2Cは、図2Aにおける線2C−2Cに沿って得られた断面図である。
【0023】
【図2D】図2Dは、図2Aにおける針の一部の拡大平面図であり、上記開窓を示している。
【0024】
【図2E】図2Eは、図2Aにおける針の針ハブの拡大平面図である。
【0025】
【図2F】図2Fは、図2Aにおける針の針ハブの拡大側面図である。
【0026】
【図2G】図2Gは、図2Aにおける針の針ハブの拡大近位端図である。
【0027】
【図3A】図3Aは、図1Aにおける拡張器の平面図であり、遠位端の近傍における開窓を示している。図3Aはまた、拡張器とシースとの間から空気を排出するためにルアー表面に長手方向に配置された溝を示している。
【0028】
【図3B】図3Bは、図3Aにおける線3B−3Bに沿って得られた断面図である。
【0029】
【図3C】図3Cは、図3Aにおける拡張器の一部の拡大平面図であり、上記開窓と長手溝とを示している。
【0030】
【図3D】図3Dは、図3Aにおける拡張器ハブの拡大端面図である。
【0031】
【図3E】図3Eは、拡張器ハブの別の実施形態の斜視図であり、この拡張器ハブには、対応するねじ溝のあるシースへ固定するように構成されたロック用スピンナットが含まれている。
【0032】
【図3F】図3Fは、図3Aにおける線3F−3Fに沿って得られた断面図であり、上記ルアー表面の円周に等間隔で配置された溝を示している。
【0033】
【図4A】図4Aは、図1Aにおけるシースの平面図であり、シースの近位端へ接続されたシースハブを示している。
【0034】
【図4B】図4Bは、図4Aにおける線4B−4Bに沿って得られた断面図である。
【0035】
【図4C】図4Cは、図4Aにおけるシースの拡大端面図である。
【0036】
【図4D】図4Dは、図4Aにおけるシースの近位部分の拡大斜視図である。
【0037】
【図5A】図5Aは、図1Aにおける案内用ワイヤ部分の斜視図であり、案内用ワイヤの近位端へ接続された案内用ワイヤハブを示している。
【0038】
【図5B】図5Bは、図5Aに描かれた実施形態の案内用ワイヤ部分の平面図である。
【0039】
【図6A】図6Aは、図1Aにおけるトラックの斜視図である。
【0040】
【図6B】図6Bは、図6Aにおけるトラックの平面図であり、針を拡張器に対してロックするためのロック機構を示している。
【0041】
【図6C】図6Cは、図6Bにおけるトラックの側面図である。
【0042】
【図6D】図6Dは、図6Bにおけるロック機構の拡大図である。
【0043】
【図6E】図6Eは、案内用ワイヤ部分を予備負荷状態にロックする別のロック機構の拡大図である。
【0044】
【図7A】図7Aは、図1Aにおける進入装置の平面図であり、予備負荷状態にあるトラックへロックされた案内用ワイヤ部分がある図6Eにおけるロック機構を示している。
【0045】
【図7B】図7Bは、図7Aにおける進入装置とロック機構との側面図である。
【0046】
【図7C】図7Cは、図7Aの進入装置の断面図であり、ある要素と上記トラックの止め部との間に配置された案内用ワイヤハブを示している。
【0047】
【図7D】図7Dは、図7Bにおける進入装置の拡大端面図であり、上記トラックから延びているとともに案内用ワイヤハブの少なくとも一部の周りにある2つのアームを示している。
【0048】
【図8A】図8Aは、図1Aに描かれた実施形態の平面図であり、その進入装置の遠位端における患者の体内への挿入を示している。
【0049】
【図8B】図8Bは、図8Aに描かれた実施形態の拡大図であり、患者に隣接している進入装置の区域に焦点が合わされている。
【0050】
【図8C】図8Cは、図8Bに描かれた実施形態の一部の拡大図であり、拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を隠れ線で示している。
【0051】
【図8D】図8Dは、図8Cに描かれた実施形態の部分の拡大断面図であり、流体が針の内側からシースと拡張器との間に形成された通路へ流れることができるように、拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を示している。
【0052】
【図8E】図8Eは、流体が0.002インチの隙間高さ幅のある通路へ引き上げられる速度を示しているグラフである。
【0053】
【図8F】図8Fは、流体が0.001インチの隙間高さ幅のある通路へ引き上げられる速度を示しているグラフである。
【0054】
【図8G】図8Gは、流体が0.0005インチの隙間高さ幅のある通路へ引き上げられる速度を示しているグラフである。
【0055】
【図8H】図8Hは、拡張器における通路の遠位領域を通して得られた、図8Cに描かれた実施形態の一部の拡大断面図である。
【0056】
【図8I】図8Iは、図8Aに描かれた実施形態の拡大図であり、針ハブが第1位置にあるときに針ハブが拡張器ハブへロックされた区域に焦点が合わされている。
【0057】
【図8J】図8Jは、図8Iに描かれた実施形態の断面図である。
【0058】
【図9A】図9Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、針の先端から遠位方向に推進された案内用ワイヤを示している。
【0059】
【図9B】図9Bは、図9Aに描かれた実施形態の拡大図であり、針ハブが第1位置にあるときに案内用ワイヤハブが針ハブへロックされた区域に焦点が合わされている。
【0060】
【図9C】図9Cは、図9Bに描かれた実施形態の断面図である。
【0061】
【図10A】図10Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、拡張器とシースとが図9Aに示された位置から針本体に対して遠位へ推進されることを示している。
【0062】
【図10B】図10Bは、図10Aに描かれた実施形態の拡大後面図であり、針ハブが第2位置にあるときに針ハブがトラックへロックされた区域に焦点が合わされている。
【0063】
【図11A】図11Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、案内用ワイヤ、針本体、および拡張器がシースから取り外された状態を示している。
【0064】
【図11B】図11Bは、図11Aに示された実施形態の一部の拡大図であり、案内用ワイヤ、針本体、および拡張器がシースから取り外される間に拡張器によって被覆された針の先端を示している。
【0065】
【図12A】図12Aは、針と拡張器とにおける整合した開口または開窓の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0066】
【図12B】図12Bは、図12Aにおける線13B−13Bに沿った拡大断面図であり、流体が針の内側からシースと拡張器との間に形成された通路へ流れることができるように拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を示している。
【0067】
【図13A】図13Aは、針と拡張器とにおける整合した開口または開窓の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0068】
【図13B】図13Bは、図13Aにおける線13B−13Bに沿った拡大断面図であり、流体が針の内側からシースと拡張器との間に形成された通路へ流れることができるように拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を示している。
【0069】
【図14A】図14Aは、拡張器とシースとの間に形成された通路の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0070】
【図14B】図14Bは、図14Aにおける線14B−14Bに沿った断面図であり、シースの中へ延びている通路の太さを示している。
【0071】
【図15A】図15Aは、拡張器とシースとの間に形成された通路の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0072】
【図15B】図15Bは、図15Aにおける線15B−15Bに沿った断面図であり、拡張器とシースとの両方の中へ延びている通路の太さを示している。
【0073】
【図16A】図16Aは、拡張器とシースとの間に形成された通路の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0074】
【図16B】図16Bは、図15Aにおける線16B−16Bに沿った断面図であり、拡張器の中へ延びているスプラインの形態にある、等間隔に配置された複数の通路を示している。
【0075】
【図17】図17は、この進入装置の別の実施形態における拡大断面図であり、相異なる形状を有しているシースと拡張器との間に形成された通路を示している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
この開示によれば、医療用品(たとえば、カテーテルまたはシース)を、血管または排液部位へ送出するための進入装置がもたらされる。図1Aは、この発明の好ましい実施形態によって血管(たとえば、静脈または動脈)の中へ挿入されるように構成された進入装置20を示している。この進入装置は、以下ではこの状況(すなわち、血管進入についての状況)において説明されるが、この進入装置は、医療用品(たとえば、カテーテルまたはシース)を患者の身体の内部における他の箇所(たとえば排液部位)の中へ進入させるとともに配置するために、また、他の諸目的(たとえば、膿瘍を排出すること)のために使用することもできる。
【0077】
この進入装置のこの実施形態は、代表的な単一部材型管状医療用品を患者の体内における身体空間の中へ配置する状況において開示されている。いったん配置されると、管状用品はその後、他の医療用品(たとえば、カテーテル、案内用ワイヤなど)を受け入れて身体空間の中への進入をもたらすために使用することができ、かつ/または、流体を身体空間の中へ導入しまたは流体を身体空間から除去する(たとえば排液)ための通路をもたらすために使用することができる。図示されたこの実施形態では、上記管状医療用品は、静脈の中への流体の流れをもたらすために本来、構成されたシースまたはカテーテルである。しかしながら、この発明の原理は、単一部材型のシースまたはカテーテルの配置に、または、シースまたはカテーテルを介する医療用品のその後の挿入に限定されるものではない。そうではなくて、この明細書に開示された進入装置を、他の型のシース、流体排出・送出チューブ、および単一内腔カテーテルまたは複数内腔カテーテルを含む1つ以上の他の型の医療用品を患者の体内に直接、または別の医療用品を介して間接的に配置することと組み合わせて首尾よく利用することもできるということは、この開示を考慮すれば、当業者によって理解されるであろう。
【0078】
たとえば、この明細書に開示された進入装置は、中心静脈カテーテル、周辺に挿入された中心カテーテル、血液透析カテーテル、外科的排液チューブ、引き剥がし型シース、多部材型シース、検査鏡、および外部のまたは移植された電子装置またはセンサへ接続されたワイヤまたはケーブルのための電線用導管を直接または間接的に配置するように構成することもできるが、このような構成に限定されることはない。先に説明したように、上掲の医療用品は、この進入装置の拡張器、針、および案内用ワイヤを介して患者の体内へ直接配置してもよく、または、この進入装置の拡張器、針、および案内用ワイヤを介して患者の体内へ配置された医療用品を介してその後、患者の体内へ配置してもよい。
【0079】
さらに、この明細書に開示された実施形態は、単一の医療用品の同軸挿入に限定されるものではない。たとえば、2つのカテーテルは挿入されたあるカテーテルを介して患者の体内へ挿入してもよく、第2カテーテルは挿入された第1カテーテルを介して患者の体内へ挿入してもよい。さらに、ある導管を血管または他の身体空間の中へ供給するのに加えて、拡張器、針、および案内用ワイヤを介して挿入された医療用品に、その後に挿入された医療用品の管腔に加えて、管腔を形成することができる。当業者は、この明細書に開示された装置およびシステムのための付加的な用途を発見することもできる。したがって、シース(たとえば微小穿刺用のための)と組み合わされたこの進入装置の図示および説明は、この進入装置における可能性のある1つの用途の単なる典型である。
【0080】
図1Aおよび図1Bは、進入装置20の好ましい実施形態を示している。進入装置20は、針22、拡張器24、およびシース26が備わっている。図示されたこの実施形態では、この進入装置には、案内用ワイヤ部分28およびトラック30もまた含まれている。図1Bに最も良好に認めることができるように、拡張器24は針22に同軸に取り付けられているのが好ましく、また、シース26は拡張器24に同軸に取り付けられている。この進入装置の諸構成要素の伸縮性は、これらの構成要素をそれらの軸が同軸ではなく実質的に平行に配置されるように配置すること(たとえばモノレール型設計)によっても達成することができる。
【0081】
これらの構成要素のそれぞれには、末端または移行部分(すなわちハブ)における管腔継手と、この継手から延びる細長い構造体とが含まれている。したがって、図示されたこの実施形態では、針22には、針ハブ34から遠位へ延びる針本体32が含まれ、拡張器24には、拡張器ハブ38から遠位へ延びる拡張器シャフト36が含まれ、シース26には、シースハブ42から遠位へ延びるシース本体40が含まれている。案内用ワイヤ部分28には、案内用ワイヤ44と、好ましくは案内用ワイヤのハブまたはキャップ46とが備わっている。図示されたこの実施形態では、案内用ワイヤのハブ46は案内用ワイヤ44の近位端に配置されているが、他の用途では、このハブ46は案内用ワイヤ44の端部同士の間におけるある箇所に配置することができる。
【0082】
図2A〜図2Gは、この進入装置の好ましい実施形態によって構成され、進入装置20の他の構成要素から分離された、針22の針本体32と針ハブ34とを示している。図2Aおよび図2Bに最も良好に認めることができるように、針ハブ34は針本体32の近位端に配置されている。針本体32は、針22の遠位部分50の近傍における遠位端で終わっており、針ハブ34は、針22の近位部分52に位置している。
【0083】
針本体32には、円形で一定直径の内側繰り穴と円形で一定直径の外面とを有している細長い管状形状があるのが好ましい。しかしながら、他の実施形態では、針本体32には、他の繰り穴と外側形状(たとえば、楕円形断面形状のような形状であるが、これに限定されるものではない)とがあってもよい。この針の内面または外面には、溝または通路が含まれていてもよい。溝または通路は、上記針の繰り穴の内部における流体を、針22のある構造体の周りかまたはそのある構造体かのいずれかへ案内することができ、または針22の内部(たとえば、上記案内用ワイヤの周り)に案内することができる。いくつかの実施形態では、上記の溝または通路によって、拡張器に対する針22の所望方位の維持を支援することができる。
【0084】
針本体32には、目標とされた皮下身体空間へ進入するための充分に長い長さがあり、また、過度の外傷を引き起こすことなくその身体空間へ進入するときの挿入力に耐えるための充分な太さ寸法がある。多くの用途では、上記針本体には、3〜20cmの長さが、また、より好ましくは3〜10cmの長さがある。たとえば、成人の胸部における身体空間(たとえば血管)へ進入するためには、針本体32には、7cm以上の長さがあるのが好ましく、また、9cm以上の長さがあるのがより好ましく、また、9〜10cmの長さがあるのが最も好ましい。この針の寸法は、18ゲージ以下であるのが好ましく、また、18〜28ゲージであるのがより好ましく、また、微小穿刺の用途(周辺静脈内注射)については18〜26ゲージであるのが最も好ましい。新生児への用途については、針本体32の長さおよび太さは、顕著にいっそう短くかついっそう小さいものでなければならず、たとえば、長さが3〜4cmで太さが26〜28ゲージであるのが好ましい。
【0085】
図2Aおよび図2Dに最も良好に認めることができるように、針本体32には、針本体32の遠位端の近傍に、少なくとも1つの開窓または開口56が含まれている。この開窓56は、以下で詳しく説明するように、針本体32の壁を貫通して延びており、また、針本体32に対してさまざまな形状および方位を有している。加えて、針本体32には、遠位部分50に配置された斜切先端54があってもよい。
【0086】
図2Aに示されたように、フィン58は、針先端における上記斜切面の周辺部位と針における開口または開窓56とに整合した針ハブ34の周りにおける周辺部位に配置されているのが好ましい。すなわち、フィン58は、上記斜切面と上記開窓とともに動かされる。使用の間に医師または医療サービス提供者は、上記斜切面が血管の内側にあり、かつ、上記開窓が上記のシースおよび/または拡張器によって被覆されている場合であっても、露出したフィン58の方位に留意することで、上記斜切状針先端(および開窓56)の方位を決定することができる。たとえば、図示された実施形態では、患者から離れたフィン58の方位が、血管の内部における上記針先端の斜切の上方方位と一致する。図2Cに示されたように、開窓56もまた、フィン58と同じ側にある。
【0087】
図2Bに最も明確に示されたように、図示されたこの実施形態の針ハブ34には、指保持部、タブまたはフィン58がある。このフィン58によって、針ハブ34を手で操作するためのつかみ領域がもたらされている。たとえば、医師または医療サービス提供者は、針ハブ34を拡張器24および/またはシース26に対して安定させるために、人差し指および親指をフィン58の側面に置くことができる。図示されたこの実施形態では、拡張器/シースが上記針にわたって遠位にスライドすると、針ハブ34は、第1位置121と第2位置123との間をトラック30に沿って相対的にスライドする。フィン58は、挿入ステップ(これについては以下で説明される)を遂行するときに、保持することができる。加えて、フィン58は、拡張器ハブ38を回転させる間に針ハブ34を安定させるために使用することができる。さらにまた、フィン58は、針ハブ34がトラック30に沿った任意の位置に配置されたときに、進入装置20をつかむための支援部として、医師または医療サービス提供者によって使用することができる。
【0088】
図2Dは、針本体32における側面の開口または開窓56の拡大図である。1つ以上の開窓56によって、針本体32の側面を通じる通路がもたらされている。図2Dに示された開窓56には長円形状がある。しかしながら、側面開口56の形状は、図示された実施形態に限定されることがなく、また、円形、長円形、正方形、または他の形状でもよい。
【0089】
ここで、図2E〜図2Gを特に参照すると、針ハブ34には、針ハブ34の近位部分および遠位部分にロック構造体が含まれているのが好ましい。これらのロック構造体は、ルアー−ねじ型の継手であってもよく、別の型の継手であってもよい。
【0090】
針ハブ34の近位部分52におけるロック構造体によって、医師または医療サービス提供者は、別の医療用品を針ハブ34の近位端へ固定することができる。たとえば、図示されたこの実施形態における針ハブ34には、管状のフランジまたはリップ63が含まれている。このリップ63には、針ハブ34を対応するルアー−ナットロック用形状構成で他の医療用品へ取り付けることができるように、ねじ部が設けられている。加えて、医師または医療サービス提供者は、所望に応じて他の手順を実行するために、注射器または監視用設備を近位端におけるロック構造体へ取り付けることができる。針ハブ34には、これらの構成が特定の用途のために望ましいときには、その近位端および/または側面口部に隔壁が含まれていてもよい。
【0091】
針ハブ34の遠位端におけるロック構造体によって、医師または医療サービス提供者はたとえば、針ハブ34が第1位置121にあるときに、針ハブ34を拡張器ハブ38へロックすることができる。図示されたこの実施形態では、ロック構造体には、針ハブ34におけるラッチ要素66が含まれている。このラッチ要素66は、針ハブ34を拡張器ハブ38へ解除可能にロックする。このロック構造体によって、医療サービス提供者は、針ハブ34、拡張器ハブ38、またはこれら両方をつかみながら、上記針を患者の体内へ推進させることができる。
【0092】
以下でいっそう詳しく説明されるように、案内用ワイヤ44は、針ハブ34の中空部分62を通して、針本体32を通して、穿刺された血管の中へ導入される。案内用ワイヤ44によって、医療サービス提供者は、拡張器24およびシース26を血管の中へ案内することができる。
【0093】
針ハブ34には、針ハブ34が第1位置121と第2位置123との間でトラック30に沿ってスライドすることのできる2つの中子68が備わっていることもある。この好ましい実施形態では、針ハブ34の2つの中子68は、第1位置121と第2位置123との間でトラック30に係合しているが、他の実施形態では、針ハブ34は、第1位置121と第2位置123との間でトラック30の長さの一部にわたってだけ、トラック30と係合している。トラック30と針ハブ34との間のスライド用相互連結は、他の協働構造体(たとえば、蟻継手の対応するピン部と尾部)を使用して達成することもできる。
【0094】
図3Aは、図1Aに描かれた実施形態の拡張器24の平面図である。図3Bは、図3Aにおける線3B−3Bに沿って得られた、図3Aに描かれた実施形態の拡張器24の断面図である。図3Aおよび図3Bに示されたように、図示された拡張器24には、拡張器シャフト36、拡張器ハブ38、遠位領域70、および近位領域72が備わっている。図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36には側面の開口または開窓74が含まれているが、他の実施形態では、拡張器シャフト36には、より少ない数のまたはより多い数の開窓74が含まれていてもよい。たとえば、拡張器シャフト36には開窓74が含まれていなくてもよく、その場合には、拡張器の内部に血液噴出チャンバが配置されている(以下でいっそう詳しく説明されるように)。
【0095】
拡張器ハブ38には1つ以上の通気口が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、拡張器ハブ38における通気口は溝75によって形成されている。加えて、拡張器シャフト36には、拡張器シャフト36の外面に形成された1つ以上の長手通路が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、この通路は開放通路である。この開放通路の側壁は突条76によって形成されている。図示されたこの実施形態では、突条76は、シース26と界接するほぼ平滑なアーチ状外面を画定しているが、他の実施形態では、これらの突条は他の形状(たとえば、いっそう目立つ頂点を画定することのできる形状)であってもよい。いったんシース本体40内で組立られると、拡張器シャフト36の開いている通路がシース本体40の内径によって閉められる。
【0096】
図3Cは、図3Aに示された実施形態の一部の拡大平面図である。上で述べたように、図示された拡張器シャフト36には、1つ以上の側面開口74と、突条76同士の間に形成された1つ以上の通路とが備わっている。側面の開口または開窓74によって、拡張器シャフト36の側面を通る流体通路がもたらされている。側面開口74の形状は、図示されたこの実施形態に限定されることがなく、また、円形、長円形、正方形であってもよく、または別の形状であってもよい。図3Cに示された開口または開窓74には長円形の形状がある。
【0097】
図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36における開口74には、長円形の形状があり、その主軸は、この針における長円形開口56の主軸に対して非平行である。たとえば、針の開口56は長手方向に延びているとともに拡張器の開口74は円周方向に延びていてもよく、またはこの逆であってもよい。換言すると、拡張器の開口74の長軸は針の開口56の長軸に対してほぼ垂直に配置されている。以下で付加的な実施形態とともに説明されるように、これらの開口56,76は、製作公差および回転不均衡を考慮するために、かなりの程度の重なりを得るのが好ましい他の形状、寸法および方位を有していてもよい。このため、上記開窓の1つには、少なくとも1つの方向において、同じ方向における他の1つの開窓よりも大きい寸法があるのが好ましい。したがって、図示されたこの実施形態では、針の開口56には、拡張器の開窓74の長手寸法よりも長い長手寸法がある。
【0098】
突条76同士の間に形成された通路は、ある遠位箇所から開口74までの近位方向に延びている。図示されたこの実施形態における突条76は、上記シースの内部における拡張器シャフト36の均衡をとるために、拡張器シャフト36に沿って、かつ、拡張器シャフト36の両側面に配置されている。図示されたこの実施形態では、これらの突条76によって、それらの間に2つの通路が形成されている。上記シースの内部における拡張器の均衡をとることで、拡張器は、等しい圧力を上記シースの内側円周へ付与することができる。
【0099】
拡張器ハブ38には、拡張器24の近位領域72と遠位領域とにロック構造体が含まれていてもよい。それぞれのロック構造体は、ルアー型継手であってもよく、または他の型の継手であってもよい。図示されたこの実施形態では、拡張器ハブ38には、第1ルアー継手78、第2ルアー継手80、リップ77、およびベース79が備わっている。第1ルアー継手78は、図2Eに示された針22における針ハブ34に係合している。第2ルアー継手80は、第1ルアー継手78に対して遠位に配置されている。いくつかの実施形態では、第2ルアー継手80(たとえば雄ルアー滑り継手)は、図1Aに示されたシース26におけるシースハブ42(たとえば雌ルアー滑り継手)に係合するように構成することができる。さらに、これら構成要素における雄−雌ルアー滑り継手を、逆にすることができる。
【0100】
図3Dは、図3Aにおける拡張器24の拡大近位端面図である。図3Dに最も明確に示されたように、拡張器ハブ38には、針ハブ34が第1位置121にあるときに、図2E〜図2Fに示された針ハブ34におけるラッチ要素66に解除可能に係合して拡張器ハブ38を針ハブ34へ固定する開口82が備わっている。また、拡張器ハブおよび針ハブ34における雄−雌ルアー滑り継手を、他の実施形態では逆にすることもできる。
【0101】
拡張器24の色は、血液または他の流体と拡張器24との対比を促進するように選択することができる。たとえば、血液噴出の間に、血管の中における針の適切な配置を確認するために、拡張器24と上記シースとの間に流れる血液が観察される。流体がシースと拡張器24との間を流れるときの流体の視認性を増大させるために、シースは、流体の色と対照的である色がある拡張器24に対して、透明のまたは透光性の材料から製造されるのが好ましい。たとえば、拡張器24は、赤い血液とのその対比を強めるために白い色であってもよい。拡張器24の他の色は、流体の色と所望の対比度とによって採用することができる。さらに、血液噴出の上記領域における拡張器の一部だけに、異なる色のある残部との対比色があってもよい。針と拡張器24との間に形成された通路がある実施形態については、拡張器24は、医師がシースと拡張器24との両方を通して血液噴出を観察することができるように、シースと同様に、透明のまたは透光性の材料から製造することができる。
【0102】
図3Eは、拡張器ハブ38Aの別の実施形態の拡大斜視図である。この拡張器ハブ38Aは、スピンナットまたはつば84をさらに含んでいる点を除いて、図3Aに示された拡張器ハブ38に類似している。スピンナット84の近位端は、拡張器ハブ38における環状溝73(図3Aを参照のこと)に対して回転する。スピンナット84は、環状溝73の内部にいったん配置されると、遠位方向における移動が阻止されるが、拡張器ハブ38Aに対しては自由に回転する。スピンナット84には、シース26における対応の相互係合要素へロックされる相互係合要素が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、スピンナット84には、図1Aに示されたシース26におけるシースハブ42の雄ねじと係合する雌ねじが含まれている。
【0103】
拡張器24またはシース26には、空気またはガスを拡張器24とシース26との間から、かつ/または、針と拡張器との間から逃がすかまたは排出することのできる1つ以上の通路が、別々にまたはいっしょに形成されていてもよい。この1つ以上の通路は、それを通じて空気を通すことができる一方で、血液のような液体の流れを阻止するように、さらに寸法仕上げされていてもよい。この1つ以上の通路は、シース26の壁、上記シースハブ、拡張器ハブ38、拡張器シャフトの露出部分におけるものであってもよく、かつ/または、拡張器24およびシース26の隣接面同士に形成されていてもよい。たとえば、図3Aは、拡張器24とシース26との隣接面同士の間に形成されて長手方向に配置された溝75を示している。そのような通気用通路は迷路であってもよい。これらの隣接面によって、シース26と拡張器24との間にルアー滑り継手が形成されている。
【0104】
図3Fは、図3Aにおける線3F−3Fに沿って得られた断面図であり、等間隔に配置される必要はないものの上記ルアー滑り表面の周辺に等間隔で配置された溝75を示している。これらの溝75は、血液噴出が生じたときに空気が拡張器とシースのような医療用品との間から逃げることができるように、寸法仕上げされている。上述のように、1つ以上の通路は、表面溝75の形態にある必要はなく、代わりに、開口または通路の形態にあればよい。
【0105】
図示されたこの実施形態では、1つ以上の通路によって、空気がシースと拡張器ハブとの間のルアー継手を介して通り抜けることができる。図示されたこの実施形態では、通路75の遠位端はルアー継手の遠位側面に位置しており、通路75の近位端はルアー継手の近位側面に位置している。
【0106】
1つ以上の通路は、血液または他の液体を濾過するように寸法仕上げされていてもよく、または、空気の通過を可能にする一方で液体の通過を阻止するフィルタまたは他の構造体が含まれていてもよい。たとえば、シース自体には、小さい開口、微細孔または多孔性材料の形態にある1つ以上の通路が含まれていてもよい。1つ以上の通路の寸法と流体分子および形成された要素(たとえば赤血球)の予想寸法に左右されるが、シースにおける1つ以上の小さい開口、微細孔または多孔性材料によって、血液を保持しながら空気を通すことのできる多孔性通気口を形成することができる。
【0107】
突条拡張器の製造方法がこれから説明される。第1に、押出成形法が使用されて、拡張器の外径(OD)部にまたは実体部分の内部に1つ以上の長手溝または長手通路を有している長い管状体が作られる。この長い管状体は、単一の拡張器の必要な長さを超えており、また、単一の拡張器の長さよりも数倍長い長さを有しているのが好ましい。この押出成形法には製造用ダイが採用されるが、このダイには、拡張器の内径および外径についての所望の幾何学的形状と、長手溝または長手通路または内側通路の太さおよび円周スパンとを反映する幾何学的形状が備わっている。図示された図1〜図11の実施形態では、上記長い管状体には、シースの内部における拡張器の均衡をいっそうよくするために、この管状体の両側面に2つの長手OD通路が含まれている。しかしながら、単一の通路によって、血液噴出のための可視的表示部をもたらすことができる。これら2つの通路は、押出成形された管状体の長さに沿って延びているのが好ましい。図示されたこの実施形態には、拡張器とシースとの間に配置された1つ以上の通路が含まれているが、これに加えて、またはこれに代えて、針と拡張器との間に、拡張器の内部に、かつ/またはシースの内部に、1つ以上の通路を形成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、拡張器24は、一部または全部が透明の、透光性の、または半透明の材料から作られており、通路内における流体の噴出を視認できるようになっている。
【0108】
図示されたこの実施形態に戻れば、押出成形された管状体は、単一の拡張器のために適切な長さに切断される。この好ましい方法では、これら2つのOD溝は切断された拡張器の全長にわたって延びている。
【0109】
その後、切断された拡張器の端部に、先端を二次成形するために先端加工プロセスが採用される。切断された拡張器の端部は、仕上げられた拡張器の先端における所望の幾何学的形状に合致する幾何学的形状があるダイ/マンドレルの中へ押し込まれる。この所望の幾何学的形状は、たとえばシースの内径に応じて選択される。シースおよび拡張器については、溝付きの拡張器とシースとの間に形成された通路までの近位方向における血流を促進するために、先端の近傍に締まり嵌め部または封止部を形成することが好ましい。上記先端領域における拡張器のODは遠位方向に先細りであるのが好ましい。
【0110】
ダイ/マンドレルの中では、上記先端へ熱エネルギーが付与されて、その先端はダイ/マンドレルに合致するように二次加工される。この熱エネルギーは、赤外線熱源または高周波熱源からの放射熱の使用が含まれる、任意の公知方法によって付与される。この先端加工プロセスの一部として、上記先端領域における拡張器は、上記の溝が基本的に除去されるように二次加工される。上記の溝が除去されると、拡張器には、先端の近傍に締まり嵌め部または封止部を形成することができる。これらの溝は、シース26の先端が拡張器の上に位置する箇所では、その箇所の近位側面における拡張器の残部に沿って維持されている。ダイ/マンドレルから取り外された後に、拡張器の先端部は、あらゆる製造残留物を除去するために洗浄されるとともに、必要に応じて切断される。
【0111】
拡張器における1つ以上の開窓は、上記先端領域の近傍で、また、上記溝の中または近傍で拡張器を通して切除されている。それぞれの開窓は、ドリルまたはレーザが含まれる任意の公知手段によって切除することができる。さらに、開窓のための長円形形状または他の形状を達成するために、その切除装置を拡張器に対して移動させてもよく、または、逆に拡張器をその切除装置に対して移動させてもよい。
【0112】
上記先端部とは反対側にある拡張器の端部は、上記拡張器ハブを拡張器の上へオーバーモールドすることを促進するために、フレア加工することができる。
【0113】
図4Aは、図1Aに描かれた実施形態のシース26の平面図である。図4Bは、図4Aに描かれた実施形態のシース26の、線4B−4Bに沿って得られた断面図である。図4Cは、図4Aにおけるシース26の拡大近位端面図である。図4Dは、図4Aにおけるシース26のシースハブ42の拡大斜視図である。図4A〜図4Dに示されたように、シース26には、シース本体40、シースハブ42、遠位部分90、および近位領域92が備わっている。このシース本体40は、透明の、半透明の、透光性の、または半透光性の材料から一部または全部を作ることができる。シース本体40にはまた、たとえば、硫酸バリウムの縞のような、1つ以上の放射線不透過性マーカが含まれていてもよい。好ましい実施形態では、このシースには、その本体40の直径に沿って反対側面に配置されたそのような放射線不透過性の縞が2本含まれている。
【0114】
シース本体40は、カテーテルまたは他の医療用品(たとえば案内用ワイヤ)が血管の中に挿入される単一部材のシースである。そのような実施形態では、シース本体40によって、カテーテルまたは他の医療用品(たとえば案内用ワイヤ)の挿入のための導管が形成されている。導管を設けるのに加えて、上記シースまたは上記シースの一部によって、上記カテーテルの管腔とともに、管腔を形成することができる。たとえば、シース本体40それ自体が第3管腔を形成しているシース本体40を通して二重管腔カテーテルを挿入することで、三重管腔カテーテルに相当するものを形成することができる。
【0115】
進入装置20を採用した後に、血管の中に挿入されるカテーテルまたは医療用品の型に応じて、シース本体40の一部または全部を取り除くことは有利であるかも知れない。たとえば、カテーテルまたは他の医療用品が血管の中に挿入された後に、シース本体40の一部を分離するかまたは引き剥がして取り去ることができる。医師または他の医療サービス提供者がシース本体40の一部または全部を容易に取り去ることができるために、引き剥がしシースには、打ち抜き穴、鋸歯状切欠、削り出し部、または他の構造体が含まれていてもよく、または他の材料(たとえば、ビスマスが含有されたPTFE)が含まれていてもよい。
【0116】
シースハブ42には、ルアー滑り継手とロック部材94とが含まれている。このロック部材94には、対応する構造体に嵌合するかまたは係合するロック構造体または取付構造体が備わっていてもよい。たとえば、ロック部材94は、拡張器ハブ38の第2ルアー継手80に係合するように構成されたルアー継手94であってもよい。
【0117】
図4Cおよび図4Dに最も良好に認めることができるように、シースハブ42は、拡張器ハブ38のロック機構または第2ルアー継手80が実質的に遮られていないシースハブ42へ入ることができるように設計されているのが好ましい。しかしながら、使用時にシースハブ53が拡張器シャフト36にわたる所望箇所にいったん置かれると、医師または医療サービス提供者は、シースハブ42を押したり、引いたり、またはねじったりすることができ、また、場合によっては、ロック部材94と別の医療用品における対応継手との係合を解除するかまたは係合を行うことができる。ロック部材94はたとえば、拡張器ハブ38とシースハブ42とが解除可能に連結するように機構的嵌合を引き起こすルアー継手、突出凸部、くぼみなどであってよい。図示されたこの実施形態では、シースハブ42のロック部材94にはルアー継手が備わっている。シースハブ42は拡張器ハブ38における対応する第2ルアー継手80に係合するのが好ましい。このロック位置は、拡張器ハブ38をシースハブ42に対して引いたり、押し込んだり、押したり、またはねじったりすることによって係合が解除され、または係合が行われるのが好ましい。
【0118】
いくつかの実施形態では、シースハブ42にはリップ95が備わっている。このリップ95には、シースハブ42を対応するロック構成のある他の医療用品へ取り付けることができるように、ねじが切られていてもよい。
【0119】
シースハブ42には、医師または医療サービス提供者がシース26および/または進入装置20を容易につかむかまたは手で操作することができるように、1つ以上の表面構成が備わっているのが好ましい。図示されたこの実施形態では、シースハブ42には、正方形状のグリップ96および突条98が含まれている。
【0120】
付加的ないくつかの実施形態では、シースハブ42には、シース本体40を進入装置20の他の部分から容易に解除して取り外すことを可能にするために、放射状に延びるウイングまたは把手構造体が備わっていてもよい。いくつかの用途では、これらのウイングは、医療サービス提供者にシースハブ42を壊すためのテコがもたらされるように寸法仕上げされている。たとえば、シースハブ42には、シースハブ42の半体同士を接続する薄い膜が備わっていてもよい。この膜は、医療サービス提供者がシースハブ42をこの進入装置から取り外すことを決定するまでシースハブ42の半体同士をともに維持するように寸法仕上げされている。医療サービス提供者は上記ウイングを手で操作してこの膜を破り、シースハブ42を取り外し可能な半体に分離する。
【0121】
図5Aは、図1Aに描かれた実施形態における案内用ワイヤ部分28の斜視図である。図5Bは、案内用ワイヤハブ46が含まれているのが好ましい、図5Aに描かれた案内用ワイヤ部分28の平面図である。この案内用ワイヤハブ46には、医師または医療サービス提供者が案内用ワイヤハブ46および/または進入装置20を容易につかむかまたは手で操作することができるように、1つ以上の表面構成が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、案内用ワイヤハブ46には1つ以上の突条110が備わっている。予備負荷の掛けられた状態では、案内用ワイヤハブ46が第3位置125にあるときに、案内用ワイヤハブ46の外面がトラック30におけるロック機構130に係合する。
【0122】
いくつかの実施形態では、案内用ワイヤ44によって、それが格納されたときに自己吸引機能をもたらすように、上記針本体の内径との間に締まり嵌めが形成されている。たとえば、案内用ワイヤ44の外径は、この案内用ワイヤの長さに沿って、または案内用ワイヤ44の一部だけに沿って、上記針との間に締まり嵌めが形成されるように、選定することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、この案内用ワイヤの遠位端部分には、この案内用ワイヤの他の部分に比べて減少した直径がある。このような減少直径部分の寸法は、この案内用ワイヤが上記針の遠位先端を越えて推進されたときであっても流体が上記針本体における開窓56を通ることができるように、選定することができる。
【0124】
図6Aは、図1Aに描かれた実施形態におけるトラック30の斜視図である。図6Bは、図6Aに示されたトラック30の平面図である。図6Cは、図6Aに示されたトラック30の側面図である。図6A〜図6Cに示されたように、図示されたこの実施形態におけるトラック30には、遠位部分120、近位部分122、このトラックを拡張器ハブ38へ接続する遠位ロック部材124、針ハブ34が第1位置121からトラック30に沿った第2位置123までいったんスライドすると針ハブ34のさらなる遠位移動および近位移動を阻止するロック機構128、および案内用ワイヤハブ46が予備負荷状態または第3位置125にあるときにその案内用ワイヤハブをトラック30へ取り付けることができるロック機構130が備わっている。このトラックはポリカーボネート材料から作られているのが好ましいものの、以下で説明するように、他の材料を使用することができる。
【0125】
トラック30には、図6Aおよび図6Bに最も明確に示されたように、減少幅のトラック部分132がさらに含まれている。この減少幅によって、上記針ハブのトラック30への組み付けが促進される。図示されたこの実施形態には、トラック30の遠位部分120にリブ133が含まれている。このリブ133によって、遠位ロック部材124とトラック30の残部との間に付加的な構造補強がもたらされている。
【0126】
図1Aに示されたように、遠位ロック部材124が拡張器24へ接続されて、トラック30が拡張器24から近位へ延びることができるようになる。たとえば、ロック部材124には、拡張器ハブのリップ77と拡張器ハブのベース79との間で拡張器ハブ38へ接続される2つの湾曲状アーム124が備わっている。ロック部材124によって、拡張器ハブ38に対する、遠位方向または近位方向におけるトラック30の移動が制限されるが、トラック30は拡張器ハブ38の周りに自由に回転することができる。
【0127】
図6Dは、図6Bに描かれた実施形態における一部の拡大図である。示されたように、ロック機構128は、第2位置123の領域における上記トラックの幅を変えることによって形成されている。たとえば、図示されたこの実施形態には、遠位方向に増大している幅のトラック部分134、増大している幅のトラック部分134の遠位にある減少幅のトラック部分136、および2つのフィンガー要素138が含まれている。これら2つのフィンガー要素138は、トラック部分136の遠位端からトラック30の近位端へ向かって突出しているとともに、トラック30の長手軸からフレア状に張り出している。
【0128】
図6Eは、図6Bに描かれた実施形態における一部の拡大図である。ロック機構130は、上記案内用ワイヤハブが第3位置にあるときにその案内用ワイヤハブの一部またはトラック30の一部に係合するクリップ、留め金、または他の構造体によって形成されている。これらの係合構造体のいくつかまたはすべては、トラック30の一部、上記案内用ワイヤハブの一部であってもよく、またはトラック30と上記案内用ワイヤハブとの間で分けられていてもよい。図示されたこの実施形態では、ロック機構130は、トラック30から延びているとともに、上記案内用ワイヤハブに係合している。ロック機構130には、トラック30から突出している長方形要素140、トラック30から長方形要素140の遠位へ突出している2つのトラックアーム142、およびトラック30からトラックアーム142の遠位へ突出している止め部144が備わっている。
【0129】
図示されたこの実施形態では、上記針ハブと上記拡張器との間のロック機構は、上記拡張器ハブの近位側面に存在している。しかしながら、他の実施形態では、このロック機構は、他の箇所に同様に配置することができる。たとえば、このロック機構にロック用ヒンジによって接続された2つの枢支レバーが含まれている場合には、このロック機構は、上記針ハブに対して半径方向に配置することができる。そのような実施形態では、一方のレバーが拡張器へ枢動状に接続され、他方のレバーが針へ枢動状に接続されている。針ハブが拡張器ハブから離れて移動すると、これらのレバーは上記ヒンジがロックされる箇所へ真っ直ぐになる。同様な効果は、拡張器に対する針ハブの、特定箇所を越えるつなぎ綱状の制限的近位移動によって得ることができ、それによって、これらの構成要素が互いにロックされる。さらに別の実施形態では、細長い構造体が、拡張器の内部で針ハブから、針本体に対して平行に延びている。針ハブが拡張器から離れて充分な距離だけいったん移動すると、上記ロック機構の付加的構造体(たとえば移動止め)が上記の細長い構造体に係合して、拡張器に対する針のさらなる移動が阻止される。したがって、これらの付加的な実施形態によって示されたように、針と拡張器との間で作動するロック機構は、拡張器ハブに対するさまざまな箇所で配置することができる。
【0130】
図7Aは、案内用ワイヤで予備負荷が掛けられた、図1Aに描かれた実施形態における進入装置の拡大平面図である。図7Bは、図7Aに描かれた実施形態の側面図である。図7Cは、図7Aに描かれた実施形態の線7C−7Cに沿った断面図である。図7Dは、図7Aの進入装置20の近位端面図である。この予備負荷状態では、案内用ワイヤハブ46は、案内用ワイヤハブ46が第3位置に位置したときにトラック30へロックされる。この位置では、案内用ワイヤハブ46は長方形要素140と止め部144との間でトラック30へ固定することができる。たとえば、案内用ワイヤハブ46は、長方形要素140と止め部144との間で解除可能にロックすることができる。加えて、トラックアーム142によって、案内用ワイヤハブ46をトラック30へさらに固定することができる。このロック機構によって、案内用ワイヤハブ46が第3位置125にあるときに、少なくとも遠位方向における案内用ワイヤ44の偶発的な回転運動および軸上移動を阻止することができる。もちろん、医療サービス提供者は、進入装置20を通した上記案内用ワイヤの遠位移動を可能にするために、案内用ワイヤハブ46をトラック30から係合解除することができる。
【0131】
図7A〜図7Cに示された予備負荷状態では、針ハブ34は、針ハブ34が第1位置121にあるときに、拡張器ハブ38へロックされる。このロック位置では、上記の針および拡張器における開口または開窓は、互いに位置合わせ状態または整合状態にある。ロックされると、針22および拡張器24は、互いに対する少なくとも偶発的な回転運動および軸上移動を阻止することができる。針ハブ34に対する拡張器ハブの偶発的な回転を防止することによって、上記の開窓または開口におけるそれらの一般的整合が維持される。
【0132】
この予備負荷状態では、拡張器ハブ38はシースハブ42へ固定されている。これによって、拡張器24とシース26との間の少なくとも偶発的な回転運動および軸上移動を阻止することができる。シースハブ42と拡張器24とにルアー滑り継手だけがある実施形態では、拡張器24とシースハブ42とは互いに対して回転することができる。
【0133】
図8Aは、図1Aに書かれた実施形態の平面図であり、進入装置20を使用する1つの方法のある操作ステップを示している。図8Aには、静脈のような血管148の中へ挿入された進入装置20の針本体32が描かれている。説明されたこの方法は血管への進入に関するものであるが、進入装置20は、シースまたはカテーテルを患者の身体の内部における他の部位(たとえば、膿瘍を排出するための部位)へ進入させてその部位に位置させるために、また、他の諸目的のために使用することもできる。
【0134】
図8Bは、図8Aに示された実施形態の、線8B−8Bによって囲まれた部分の拡大平面図である。図8Cは、図8Bに示された実施形態の、線8C−8Cによって囲まれた部分の拡大図である。図8Dは、図8Cに描かれた実施形態の、線8D−8Dに沿った拡大断面図である。
【0135】
上で述べたように、針本体32には、その側壁に1つ以上の側面開口56が備わっている。拡張器シャフト36には1つ以上の側面開口74が備わっている。これらの側面開口56,74は、縦横比と同様に、形状が同じであっても異なっていてもよい。図示されたこの実施形態では、針本体32における側面開口56には、拡張器シャフト36における側面開口74とは異なった縦横比がある。針本体32における側面開口56は1つの方向(たとえば、針本体32の長手軸に対して実質的に平行である方向)に長くされている。拡張器シャフト36における側面開口74は異なった方向(たとえば、拡張器シャフト36の円周に沿う方向)に長くされている。針本体32および拡張器シャフト36に偏位した細長い開口56,74があることで、針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74が充分に整合して、血液が針の側面開口56および拡張器の側面開口74を通して流れる、という可能性が増大する。図8A〜図8Dは、ただ一組の対応側面開口同士の間の整合を示している。他の組の側面開口もまた、針本体32と拡張器シャフト36との相対方位によって、整合したりまたは整合しなかったりする。
【0136】
図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36は、針本体32と拡張器シャフト36との間の環状空間150を最小限にするために、同軸に配置されている。拡張器シャフト36の内面152は、針本体32の外面154に直接、位置する必要はないものの、そうであってもよい。好ましいのは、この実施形態において、拡張器シャフト36と針本体32との間の環状空間150の中への血液またはその成分(または他の体液)の流れを阻止するために、針本体32の外面154と拡張器シャフト36の内面152との間の環状空間150が最小限にされていることである。好都合なことに、この構成によって、複数の外面への血液の出現が最小限になるとともに、汚染、感染、および凝固のおそれが減少する。
【0137】
図8Aに示されたように、拡張器シャフト36は、針本体32に配置された一方の側面開口56の少なくとも一部が拡張器シャフト36における一方の側面開口74の少なくとも一部に回転整合するように、針本体32へ同軸に取り付けられている。好ましいのは、針本体32と拡張器シャフト36とによって回転整合が維持されて、血液が針の側面開口56と拡張器の側面開口74とを通して流れることである。
【0138】
先に述べたように、シース本体40は、一部または全部が、透明の、半透明の、半透光性の、または透光性の材料から作られているのが好ましく、その場合には、血液が、(1)針の側面開口56を通して、(2)拡張器の側面開口74を通して、針本体32の中へ流れ、また、(3)通路156の中へ流れるときに、医師または医療サービス提供者はその血液を見ることができる。いくつかのモードでは、通路156は、拡張器シャフト36とシース本体40との間に形成されているとともに、拡張器シャフト36における1つ以上の突条76によって画定されている。いくつかのモードでは、通路156は、透光性材料から構成されているのが好ましい拡張器シャフト36の壁の内部に形成されている。血液によって、針本体32の斜切先端54が血管148を穿刺したことが医師または医療サービス提供者に表示されるであろう。
【0139】
いくつかの実施形態では、針本体32および拡張器シャフト36には、(ともに)複数の側面開口があってもよく、これらの側面開口のいくつかまたは全部は回転整合することができる。
【0140】
通路156には、シース26の長さとほとんど同じ広がりを有する軸方向長さがある。他の実施形態では、通路156は、説明されたばかりの細長い通路156よりもかなり小さくてもよい。たとえば、通路156は、シース26の遠位部分、中間部分および/または近位部分の内部に配置することができるが、これに限定されることはない。これに代えて、通路156は、シース26の軸方向長さに沿った直線形状、湾曲形状またはらせん形状を有していてもよく、またはそのような形状のうちの複数のものによって形成されていてもよい。通路156には、さまざまな太さおよびスパン角があってもよい。通路156の太さは、ほとんどゼロに近いものから0.010インチまでの範囲にある。通路156には約0.0005インチ〜約0.003インチの太さがあるのが好ましい。通路156には約0.001インチ〜約0.002インチの太さがあるのがより好ましい。通路156には、拡張器24の軸に対して、約30度〜約210度の、またはそれ以上であって360度よりも小さいスパン角Φがあるのが好ましい。通路156には、約60度〜150度のスパン角Φがあるのがより好ましい。図示されたこの実施形態では、通路156は120度に及んでいる。この太さおよびスパン角Φは、流体(たとえば全血)が通路156に入ると、通路156の内部に生じる毛管現象を最適化するように、選定することができ、また、体腔における予想圧力とその液体の粘度とに基づいてさらに選定することができる。
【0141】
図8E〜図8Gは、上記スパン角が120度であり、接触角(θ)が5度であり、円周長さ(H)が60度で0.64ミリメートルであるときに、流体が通路156の表面までどれほど速く引き上げられるかを示している試験データのグラフである。それぞれのグラフにおいて、充満長さ(mm)がy軸にプロットされているとともに、時間(秒)がx軸にプロットされている。これらの試験は、周辺血管において直面した圧力に類似した流体力学的圧力で実施された。図8Eは、流体が0.002インチの隙間高さ幅のある通路156へ引き上げられる速度を示しており、図8Fは、流体が0.001インチの隙間高さ幅のある通路156へ引き上げられる速度を示しており、図8Gは、流体が0.0005インチの隙間高さ幅のある通路156へ引き上げられる速度を示している。図8E〜図8Gに示されたように、流体は、0.0005インチの隙間高さ幅のある通路において最も速く引き上げられ、0.001インチの隙間高さ幅のある通路において次に速く引き上げられ、0.002インチの隙間高さ幅のある通路において次に速く引き上げられる。
【0142】
上で説明された通路156の形状とその結果による毛管現象とは、全血とは異なる粘度がある他の流体(たとえば、白血球、膿、尿、血漿)とは対照的に、全血とともに使用するために最適化された。しかしながら、通路156の形状は、開示された形状に限定されることがなく、また、膿のような他の液体を排出するために最適化することができる。さらに、上で説明された通路156の形状は、圧力が低い領域に位置する血管と同様に、血管の中における圧力が毛管現象を増進させ、結果として血液噴出を増進させる、周辺に位置する血管のために最適化された。たとえば、身体の胸部領域では、静脈における予想圧力は、患者が呼吸するときの、周辺に位置する静脈におけるそれよりも低いであろう。身体の他の領域における進入装置20を使用するための通路の異なる寸法は、血管または体腔の内部における予想圧力を考慮に入れることで、採用することができる。
【0143】
加えて、拡張器シャフト36の外面160および/またはシース本体40の内面158を、通路156の内部における毛管現象を促進するかまたは増進させるための物質で被覆することができる。たとえば、拡張器シャフト36の外面160および/またはシース本体40の内面158を被覆して毛管現象を増進させるために、親水性物質を使用することができる。同様に、これらの構成要素の一方または双方は親水性材料から作ることができる。患者の体内へシース26を容易に挿入するための潤滑剤として作用するために、親水性物質をシース26の外面に付加的に塗布することができる。シース26の外側に他の潤滑剤または滑らかなコーティングを使用することができ、または、シースの少なくとも外面を滑らかな材料から形成することができる。加えて、シース26は、進入装置20の臨床的用途を促進するために、シースから溶離する薬剤(たとえばヘパリン)でコーティングし、または形成することができる。
【0144】
図8Hは、図8Cに描かれた実施形態の、線8H−8Hに沿った断面図である。図示された進入装置20のこの領域では、シース本体40は、シース本体40と拡張器シャフト36との相対移動をなお可能にする一方で、シース本体40と拡張器シャフト36との間の環状空間157を最小限にするために、同軸に位置決めされている。シース本体40の内面158は拡張器シャフト36の外面160に直接、位置している必要はないものの、そうであってもよい。拡張器シャフト36の外面160とシース本体40の内面158と間の環状界接面157は、拡張器シャフト36における開口74からの血液またはその成分(または他の体液)の遠位流動を阻止するために、この領域では減少されていてもよい。
【0145】
図8Iは、図8Aに示されて線8I−8Iによって囲まれた実施形態の拡大平面図である。図8Jは、図8Iに描かれた実施形態の断面図である。図8Iおよび図8Jは、針ハブが第1位置121にあるときに拡張器ハブ38へロックされた針ハブ34を示している。拡張器シャフト36は、拡張器シャフト36の中空部分84を針本体32にわたって滑らせるとともに拡張器ハブ38を針ハブ34へ解除可能に固定することによって、針本体32へ同軸に取り付けることができる。拡張器ハブ38の近位端86は、針ハブ34と機構的に嵌合しかつ連結するように構成されている。
【0146】
拡張器シャフト36は、拡張器シャフト36が針本体32に対する同軸位置へ取り付けられかつ同軸位置から取り外されるように、またはその逆が行われるように、針本体32へ取り外し可能に取り付けることができる。このロック機構によれば、針ハブ34が第1位置にあるときに針22と拡張器24との間における偶発的な回転運動および軸上移動を少なくともいくらか阻止することができる。示されたように、針ハブ34には、拡張器ハブ38のルアー継手78へロックされるルアー継手64があってもよい。さらにまた、針ハブ34には、拡張器ハブ38における開口82へロックされるラッチ要素66があってもよい。
【0147】
加えて、図8Iおよび図8Jは、進入装置20が血管148の中へ挿入されたときにシースハブ42に係合した拡張器ハブ38を示している。シースハブ42の近位端86は、拡張器ハブ38に機構的に嵌合しかつ解除可能に係合するように構成されているのが好ましい。示されたように、拡張器ハブ38におけるルアー継手80は上記シースハブのロック部材94に係合することができる。その結果として生じる摩擦嵌合によって、進入装置20が血管148の中へ挿入されたときに拡張器24とシース26との間における偶発的な回転運動および軸上移動を少なくともいくらか阻止することができる。
【0148】
図9Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、進入装置20のさらに別の操作ステップを示している。図9Aには、血管148の中へ遠位方向に推進された進入装置20の案内用ワイヤ44が描かれている。これは、案内用ワイヤハブ46を第3位置125から遠位方向に推進することによって達成することができる。案内用ワイヤハブ46はその後、針ハブ34が第1位置121に到ると、針ハブ34へロックされる。
【0149】
図9Bは、図9Aに示された実施形態の、線9B−9Bによって囲まれた部分の拡大側面図である。図9Cは、図9Bに描かれた実施形態の断面図である。図9Cは、案内用ワイヤハブ46と針ハブ34との間のロック機構を示している。案内用ワイヤハブ46は、針ハブ34に機構的に嵌合し、かつ、解除可能にまたは不可逆的に連結するように構成されているのが好ましい。示されたように、案内用ワイヤハブ46には、案内用ワイヤハブ46の内面における小突出部162が含まれている。この案内用ワイヤハブの小突出部162は、小突出部162が針ハブ34のリップにおけるねじ溝の内部に固定されるまで案内用ワイヤハブ46を遠位方向へ推進することによって、針ハブ34の表面にロックされる。他の実施形態では、案内用ワイヤハブ46は、対応するねじ要素によって針ハブ34へロックされる。
【0150】
図10Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、進入装置20のさらに別の操作ステップを示している。図10Aには、血管148の中へ遠位方向に推進された拡張器シャフト36とシース本体40とが描かれている。これは、拡張器ハブ38を針ハブ34から取り外し、拡張器24およびシース26を上記案内用ワイヤおよび上記針に沿って針ハブ34に対して遠位方向に推進することによって、達成することができる。図10Aは、拡張器24およびシース26に対する針22および案内用ワイヤ部分28の近位移動をさらに示している。針ハブ34は、針ハブ34が第2位置123へ到ると、トラック30へロックされるであろう。
【0151】
図10Bは、図10Aに示された実施形態の、線10B−10Bによって囲まれた部分の拡大後面図である。図10Bに描かれたように、針ハブ34は、第2位置123において、ロック機構128によってトラック30の表面へロックされる。針ハブの中子68は、トラックフィンガー138にわたって近位方向にスライドし、また、この中子68は、トラックフィンガー138と幅が増大しているトラック部分134との間の箇所にロックされる。これによって、針ハブ34が第2位置123へ到ると、少なくとも遠位方向における針本体32の軸上移動が阻止され、また、いっそう好ましくは、その軸上移動が実質不可逆的に防止される。図示されたこの実施形態では、ロック機構128によって、いったん係合した針ハブ34が近位方向か遠位方向かのいずれか一方に移動することが不可逆的に防止される。さらにまた、針22の遠位先端54は、針ハブ34が第2位置123へ到ると、拡張器24の中へ引き込まれて、さや状に被覆される。したがって、このロック機構によれば、使用中に拡張器シャフト36が針本体32にわたっていったん推進されると、針本体32の遠位部分50に配置された斜切先端54が拡張器シャフト36の遠位端を越えて推進されるのが阻止される。したがって、拡張器シャフト36によれば、針本体32の鋭利な斜切先端54がさや状に被覆されて、偶発的な刺傷のおそれが阻止される。
【0152】
図11Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、進入装置20の最終操作ステップを示している。図11Aは、血管148の内部に適切に挿入されたシース本体40を残してその血管から案内用ワイヤ44および拡張器シャフト36を取り外すことを示している。図11Bは、図11Aに示された実施形態の、線11B−11Bによって囲まれた部分の拡大平面図である。図11Bに明確に示されたように、拡張器シャフト36の遠位端と案内用ワイヤ44とは針本体32の鋭利な斜切先端54を越えて延びており、偶発的な刺傷のおそれが阻止されている。
【0153】
上で述べたように、針本体32および拡張器シャフト36に相異なる縦横比の開口56,74があることで、針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74が整合して、血液が針の側面開口56および拡張器の側面開口74を通して実質的に遮られることなく流れる可能性が増大するであろう。
【0154】
以下のいくつかの実施形態では、1つの実施形態からの構造体であって別の実施形態からの構造体に類似している構造体には、独自の添字が含まれるそれぞれの実施形態と同一根の参照番号が共用されている(32,32A,32Bなど)。図12Aは、図8Bおよび図8Cに示された針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74の別の実施形態の平面図である。図12Bは、図12Aに描かれた実施形態の、線12B−12Bに沿った拡大断面図である。図12Aおよび図12Bには、長円形開口56Aのある針本体32Aと円形開口74Aのある拡張器シャフト36Aとが描かれている。他のいくつかの実施形態では、上記針には円形開口があってもよく、上記拡張器には長円形開口があってもよい。これらの実施形態によれば、開口56A,74Aが少なくとも実質的に整合して、血液が針の側面開口56Aおよび拡張器の側面開口74Aを通して流れる可能性が増大する。
【0155】
図13Aは、図8Bおよび図8Cに示された針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74の別の実施形態の平面図である。図13Bは、図13Aに描かれた実施形態の、13B−13Bに沿った拡大断面図である。図13Aおよび図13Bには、円形開口56Bがある針本体32Bと、針本体32Bにおける円形開口56Bよりも大きい円形開口74Bがある拡張器シャフト36Bとが描かれている。他のいくつかの実施形態では、上記拡張器における開口は、上記針における開口よりも小さいものでもよい。これらの実施形態によれば、開口56B,74Bが少なくとも実質的に整合して、血液が針の側面開口56Bおよび拡張器の側面開口74Bを通して流れる可能性もまた増大する。
【0156】
上で述べたように、拡張器シャフト36には、シース本体40と拡張器シャフト36との間に導管または流路を形成するために、突条76同士の間に形成された1つ以上の通路156があってもよく、それによって、医師または医療サービス提供者は、針本体32の斜切先端54が血管を適切に穿刺した後に血液を観察することができ、または、上記通路は、突条によることなく、可能性のあるさまざまな構成の軸方向くぼみを押出加工することによって、または、上記拡張器シャフトまたは上記拡張器本体の内部に充分に囲まれた通路を形成することによって、形成することができる。
【0157】
図14Aは、図8Cに描かれた突条76の別の実施形態の平面図である。図14Bは、図8Dに描かれた突条76の別の実施形態の拡大断面図である。図14Aおよび図14Bには、シース本体40Cと拡張器シャフト36Cとの間に少なくとも1つの通路156Cを形成するシース本体40Cの内面158Cにおける2つの突条76Cが描かれている。
【0158】
図15Aは、図8Cに描かれた突条76の別の実施形態の平面図である。図15Bは、図8Dに描かれた突条76の別の実施形態の拡大断面図である。図15Aおよび図15Bには、シース本体40Dと拡張器シャフト36Dとの間に通路156Dを形成するために組み合わされる、シース本体40Dの内面158Dにおける2つの突条76Dと、拡張器シャフト36Dの外面160Dにおける2つの突条76Eとが描かれている。たとえば、所望の通路太さが約0.001インチであれば、シース本体40Dの内面158Dにおける2つの突条76Dはそれぞれ、約0.0005インチの太さであり、また、拡張器シャフト36Dの外面160Dにおける2つの突条76Eはそれぞれ、約0.0005インチの太さである。
【0159】
図16Aは、図8Cに描かれた突条76の別の実施形態の平面図である。図16Bは、図8Dに描かれた突条76の別の実施形態の拡大断面図である。図16Aおよび図16Bには、拡張器シャフト36Eの外面160Eにおける多くの突条が描かれている。隣接する突条同士の間はスプライン76Fである。これらのスプライン76Fによって、シース本体40Eと拡張器シャフト36Eとの間に複数の通路156Eが形成されている。これらの通路156Eの1つ以上には、同じスパン角Φがあってもよく、または異なったスパン角Φがあってもよい。図示されたこの実施形態では、これらの通路156Eには、120度および23度のスパン角Φがある。別の実施形態では、単一の突条76は拡張器の外面の周りにおいてその長さに沿ったらせん状のものであってもよい。
【0160】
図17は、この進入装置の別の実施形態における拡大断面図であり、相異なる形状を有している医療用品またはシース本体40Fと拡張器シャフト36Fとの間に形成された通路156Fを示している。図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36Fの外面は横断面が楕円形であり、シース本体40Fの内面は横断面が円形である。横断面が楕円形である拡張器シャフト36Fと、横断面が円形である隣接するシース本体40Fとによって、シース本体40Fと拡張器シャフト36Fとの間に1つ以上の通路または隙間156Fが形成されている。もちろん、シース本体40Fおよび拡張器シャフト36Fの形状は、断面が円形および楕円形に限定されることがなく、また、シース本体40Fおよび拡張器シャフト36Fの隣接領域同士における相異なる形状同士の他の任意の組み合わせを含んでいてもよい。いくつかのモードでは、拡張器シャフト36Fの外面は断面が楕円形であり、シース本体または医療用品40Fの内面は断面が円形である。いくつかのモードでは、拡張器シャフト36Fの外面は断面が円形であり、医療用品40Fの内面は断面が楕円形である。隙間または通路156Fは、長手軸、この長手軸に沿ったらせん状通路、この長手軸に沿った直線状通路、またはこの進入装置に沿った他の通路に従うことができる。いくつかのモードでは、上記直線状通路は上記長手軸に対して平行である。隙間または通路156Fの太さは、隙間または通路156Fの長さの少なくとも一部に沿って変化していてもよい。
【0161】
他のいくつかの実施形態では、通路156は、上記シースの内面における1つの完全な突条と上記拡張器の外面における1つの完全な突条とを備えていることによって、形成することができる。他のいくつかの実施形態では、上記シースの内面には通路156の長さの50%を延びる2つの突条があり、また、上記拡張器の外面には通路156の長さの残り50%を延びる2つの突条がある。
【0162】
この明細書において説明されたこれらの実施形態は、慣用の生体適合性材料から構成されている。たとえば、上記針は、セラミック、硬質ポリマー、または、ステンレス鋼、ニチノールなどのような金属からなっているのが好ましい。他の諸要素は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマーおよびパーフルオロ(エチレン−プロピレン)コポリマーのようなコポリマー、ポリウレタンポリマーまたはコポリマーのような適切なポリマー材料から形成することができる。
【0163】
上で述べたように、この進入装置は、カテーテルを患者の体内における他の部位へ配置するために使用することができる。したがって、たとえば、この進入装置は、膿瘍から流体を排出するために、気胸から空気を排出するために、また、腹腔へ進入するために、さまざまなカテーテルとして、またはさまざまなカテーテルとともに使用することができるが、これらに限定されるものではない。そのような用途では、体液は、上記針が適切に配置された時点を表示するために、観察空間へ流入する。
【0164】
この発明はいくつかの好ましい実施形態および実施例の状況で開示されてきたが、この発明が、具体的に開示された実施形態を越えて他の代替実施形態および/または発明の使用および明らかな改造およびその同等物まで及ぶ、ということは当業者によって理解されるであろう。加えて、この発明のいくつかの変形例が示され、かつ、詳細に説明されてきたが、この発明の適用範囲の内部にある他の改造は、この開示に基づいて当業者に容易に明らかであろう。これらの実施形態の特定の諸構成および諸観点のさまざまな主結合または副結合は、これらを行うことができるとともに、この発明の適用範囲の内部になお属している、ということが予想される。したがって、開示されたこれらの実施形態のさまざまな構成および観点は、開示された発明の変形モードを形成するために、互いに組み合わせたり、置き換えたりすることができる、ということを理解すべきである。すなわち、この明細書に開示されたこの発明の適用範囲は、上で述べられた特定の開示実施形態によって限定されるべきではなく、この開示および以下の特許請求の範囲の公正な読み取りによってだけ決定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
この出願は、出願番号60/912,645号(2007年4月18日に出願された)、出願番号60/948,136号(2007年7月5日に出願された)および出願番号61/036,900号(2008年3月14日に出願された)の米国仮特許出願に対する米国特許法第119条(e)の下での利益を主張するものであり、それらの仮特許出願のすべては、参照によってそれらの全部がこの明細書の中に明確に引用されている。
[背景]
【0002】
この発明は一般に、医療用品(たとえば、カテーテル、カニューレ、シースなどのようなもの)を、たとえば動脈、静脈、血管、体腔、または排液部位のような身体空間の中へ導入しかつ/または送出するための進入装置に関するものである。
[関連技術の説明]
【0003】
カテーテルまたは血管シースを血管の中へ挿入するための好ましい非外科的方法には、患者の血管の中へ挿入される進入針が含まれるセルディンガー法(Seldinger tecqnique)または修正セルディンガー法の使用が含まれている。この針と血管を通して案内用ワイヤが挿入される。この針が取り外され、その後、上記案内用ワイヤにわたって、拡張器およびシースが、組み合わされてまたは別々に挿入される。拡張器およびシースは、いっしょにまたは別々に、組織を通して血管の中へ短い距離だけ挿入され、その後、拡張器および案内用ワイヤは取り外されて廃棄される。その後、カテーテルまたは他の医療用品を、上記シースを通して血管の中へ所望の位置まで挿入することができ、または、上記シースを血管の中に容易に残すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの血管進入装置が知られている。米国特許第4,241,019号、第4,289,450号、第4,756,230号、第4,978,334号、第5,124,544号、第5,424,410号、第5,312,355号、第5,212,052号、第5,558,132号、第5,885,217号、第6,120,460号、第6,179,823号、第6,210,332号、第6,726,659号および第7,025,746号には、このような装置の例が開示されている。しかしながら、これらの装置のどれにも、医師および他の医療サービス提供者が選り好みするであろう使用の容易さおよび安全性がない。このため、より使いやすくてより安全な血管進入装置、とりわけ、血管が穿刺されたときにそれを明確にかつ直ちに表示するであろう同装置と、オーバーワイヤ式血管進入における不測の刺傷および他の付随的リスクを軽減するであろう同装置とについての要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の実施形態には、カテーテルまたはシースを患者の身体の内部における空間、たとえば血管または排液部位のような空間へ送出するのに有用である進入装置についてのいくつかの特徴が含まれている。この発明の適用範囲を制限することなく、そのいっそう顕著な特徴が簡単に論述される。この論述を考慮した後に、また具体的には、以下の好ましい実施形態の項における詳細な説明をこの項と組み合わせて読み込んだ後に、何人も、これらの実施形態の特徴および観点によって、従来の進入装置に優るいくつかの利点がどのようにもたらされるかを理解するであろう。
【0006】
この発明の1つの観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には針が含まれており、この針は、遠位端がある細長い針本体と、この針本体がそこから延びているハブとを有している。この装置には、上記針本体の表面に配置された拡張器がさらに含まれている。この針および拡張器は、針の遠位端が拡張器の遠位に位置する第1位置と針の遠位端が拡張器の内部に位置する第2位置との間で、互いに移動可能である。拡張器には、拡張器ハブと、この拡張器ハブから延びている細長い拡張器シャフトとが含まれている。この装置には、上記第2位置にあるときに拡張器に対する針の移動を阻止するために、針と拡張器との間で作動するロック機構がさらに含まれている。このロック機構は、上記第1位置から上記第2位置への針の移動が、この移動に対する抵抗を小さくするためのこのロック機構による係合なしで可能になるように、構成されている。
【0007】
この発明の別の観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には、長手軸がある針本体、遠位先端、および上記針本体がそこから延びている針ハブを有している針が含まれている。この装置には、拡張器シャフトと拡張器ハブとを有している拡張器がさらに含まれている。拡張器シャフトは、上記針本体の表面に配置され、かつ、上記針本体に沿ってスライド可能であり、拡張器ハブは、上記針ハブの遠位に配置されている。この装置には、管状部分とハブとを有している医療用品がさらに含まれている。管状部分は、拡張器の表面に配置され、かつ、拡張器に沿ってスライド可能であり、ハブは、拡張器ハブの遠位に配置されている。この装置には、拡張器ハブから近位方向へ延びるトラックと、拡張器に対する針の近位方向移動を選択的に阻止するために、上記トラックと上記針ハブとの間に作動可能に配置されたロック機構とが含まれている。
【0008】
この発明のさらに別の観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には、遠位端と第1開窓とを有している針が含まれている。この装置には、上記針の表面に配置され、かつ、上記針に沿ってスライド可能であり、第2開窓を有している拡張器がさらに含まれている。少なくとも1つの方向における第1開窓および第2開窓の一方には、上記方向における第1開窓および第2開窓の他方よりも大きい寸法がある。この装置には、同軸に配置され、かつ、拡張器にわたって長手方向に移動可能である医療用品がさらに含まれている。
【0009】
さらに別の観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には、遠位端と少なくとも1つの開窓とを有している針が含まれている。この装置には、上記針の少なくとも一部の表面に配置されたシャフトを有している拡張器がさらに含まれている。この装置には、拡張器の少なくとも一部の表面に配置された医療用品と、この針と上記医療用品の外面との間に配置されて上記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路とがさらに含まれている。この通路は、上記針における上記開窓に通じているとともに、拡張器の長手軸に対して360度よりも小さいスパン角を有している。
【0010】
別の観点には、医療用品を身体空間の内部へ配置するための事前組立型進入装置が含まれている。この装置には、少なくとも1つの開窓がある遠位端を有している針と、この針の少なくとも一部に同軸に配置されたシャフトを含んでいる拡張器とが含まれている。この装置には、拡張器の少なくとも一部に対して同軸に配置された医療用品と、上記針とこの医療用品の外面との間に形成された少なくとも1つの細長い通路とがさらに含まれている。この通路は、上記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びている。この通路は、上記針における上記開窓に通じている。この通路は、医療装置の内面に、拡張器の外面に、または拡張器の内面に形成された溝によって、またはこのような溝の組み合わせによって、少なくとも一部分に画定されている。いくつかのモードでは、この溝は上記針の長手軸の周りに一部だけ延びており、また、他のモードでは、この溝は上記軸に沿ってらせん状に延びている。
【0011】
もっと別の観点は、針・拡張器組立体をその拡張器がその針の少なくとも一部に対して同軸に配置された患者から取り外す方法である。この方法には、針を拡張器に対して第1位置から第2位置まで移動させるステップが含まれている。この針の遠位端は、上記第1位置では拡張器の遠位に位置している。この針の遠位端は、上記第2位置では拡張器の内部に位置している。この方法には、この針がいったん上記第2位置に到ると、拡張器に対するこの針のさらなる移動を阻止するステップが含まれている。
【0012】
さらに別の観点には、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置が含まれている。この装置には、遠位端および長手軸を有している針と、この針の少なくとも一部に配置され、かつ、外面を有している拡張器とが備わっている。医療用品が、拡張器の少なくとも一部に配置されているとともに内面を有している。この医療用品の内面の少なくとも一部または拡張器の外面の一部には、それらの間に長手軸に沿って延びる隙間を形成するように、拡張器の外面またはこの医療用品の内面の隣接部分の形状とは(それぞれ)異なる形状がある。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも針が患者の体内に挿入されたときにその針と拡張器との間の相対回転運動を阻止するために、解除可能な連結装置が設けられている。このような相対回転運動を阻止することによって、針と拡張器とにおける連通用開窓を整合状態に保持して、血液または流体が流れる簡易通路をもたらすことができる。したがって、その針が患者の血管または排液部位へ入ると、血液または他の体液が直ちにその通路へ流入する。その結果、血液または流体の噴出は、針の先端が血管または排液部位へ入ったことを表示するために、シース(またはカテーテル)を通して見ることができる。
【0014】
たとえば、拡張器は、いくつかの実施形態では、拡張器ハブと1つ以上の側面開窓を有している拡張器とを備えているが、これに限定されるものではない。この拡張器ハブには、ルアー継手と解除可能なロック機構とが備わっていてもよい。解除可能なロック機構は、拡張器を針ハブのような他の部分へ解除可能に係合させてその拡張器を固定するように構成することができる。針ハブと拡張器ハブとがこれらの間の回転を防止するために解除可能にロックされると、拡張器における上記1つ以上の側面開窓の少なくとも一部が、針における1つ以上の側面開窓の少なくとも一部に整合する。ロック機構は、針と拡張器との間の偶発的軸方向相対移動を阻止するように構成することもできる。
【0015】
この医療用品にはシースとシースハブとが含まれているのが好ましいものの、必ずしもそうでなくてもよい。シースは、一部または全部が、透明の、半透明の、半透光性の、または透光性の材料から作られていてもよい。このような透光性の、半透明の、半透光性の、および透明の材料によれば、臨床医は、血液または他の体液が、上記針開窓を通して、拡張器の上記側面開窓を通して針の中へ入ると、また、拡張器とシースとの間の観察用空間の中へ入ると、それを見ることができる。シースには、上記観察用空間を覆い隠さないように配置された放射線不透過性ストライプがあってもよい。
【0016】
この発明のこれらの観点および他の観点は、添付図面による好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、当業者に容易に明らかになるであろう。しかしながら、この発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
この明細書の中に開示されたこの進入装置の、これらのおよび他の特徴、観点、および利点は、この発明を図示するように、また、限定しないように意図された好ましい実施形態の図面を参照しながら、以下に説明される。加えて、図を通じて、同一の参照符号は、図示された実施形態の同一の構成要素を指定するために使用されてきた。図示された実施形態同士の間における同様の構成要素は、別の実施形態を表示するために、添字がある同一の参照番号として同様に書き込まれている。以下は、それぞれの図面の簡単な説明である。
【0018】
【図1A】図1Aは、この発明によって構成された進入装置の好ましい実施形態の斜視図であり、針、拡張器、および医療用品と同軸に一線配置された予備負荷型案内用ワイヤ部分を示している。
【0019】
【図1B】図1Bは、図1Aに描かれた実施形態の平面図である。
【0020】
【図2A】図2Aは、図1Aにおける針の平面図であり、遠位端の近傍における開窓を示している。
【0021】
【図2B】図2Bは、図1Aにおける針の側面図であり、近位端の近傍におけるフィンを示している。
【0022】
【図2C】図2Cは、図2Aにおける線2C−2Cに沿って得られた断面図である。
【0023】
【図2D】図2Dは、図2Aにおける針の一部の拡大平面図であり、上記開窓を示している。
【0024】
【図2E】図2Eは、図2Aにおける針の針ハブの拡大平面図である。
【0025】
【図2F】図2Fは、図2Aにおける針の針ハブの拡大側面図である。
【0026】
【図2G】図2Gは、図2Aにおける針の針ハブの拡大近位端図である。
【0027】
【図3A】図3Aは、図1Aにおける拡張器の平面図であり、遠位端の近傍における開窓を示している。図3Aはまた、拡張器とシースとの間から空気を排出するためにルアー表面に長手方向に配置された溝を示している。
【0028】
【図3B】図3Bは、図3Aにおける線3B−3Bに沿って得られた断面図である。
【0029】
【図3C】図3Cは、図3Aにおける拡張器の一部の拡大平面図であり、上記開窓と長手溝とを示している。
【0030】
【図3D】図3Dは、図3Aにおける拡張器ハブの拡大端面図である。
【0031】
【図3E】図3Eは、拡張器ハブの別の実施形態の斜視図であり、この拡張器ハブには、対応するねじ溝のあるシースへ固定するように構成されたロック用スピンナットが含まれている。
【0032】
【図3F】図3Fは、図3Aにおける線3F−3Fに沿って得られた断面図であり、上記ルアー表面の円周に等間隔で配置された溝を示している。
【0033】
【図4A】図4Aは、図1Aにおけるシースの平面図であり、シースの近位端へ接続されたシースハブを示している。
【0034】
【図4B】図4Bは、図4Aにおける線4B−4Bに沿って得られた断面図である。
【0035】
【図4C】図4Cは、図4Aにおけるシースの拡大端面図である。
【0036】
【図4D】図4Dは、図4Aにおけるシースの近位部分の拡大斜視図である。
【0037】
【図5A】図5Aは、図1Aにおける案内用ワイヤ部分の斜視図であり、案内用ワイヤの近位端へ接続された案内用ワイヤハブを示している。
【0038】
【図5B】図5Bは、図5Aに描かれた実施形態の案内用ワイヤ部分の平面図である。
【0039】
【図6A】図6Aは、図1Aにおけるトラックの斜視図である。
【0040】
【図6B】図6Bは、図6Aにおけるトラックの平面図であり、針を拡張器に対してロックするためのロック機構を示している。
【0041】
【図6C】図6Cは、図6Bにおけるトラックの側面図である。
【0042】
【図6D】図6Dは、図6Bにおけるロック機構の拡大図である。
【0043】
【図6E】図6Eは、案内用ワイヤ部分を予備負荷状態にロックする別のロック機構の拡大図である。
【0044】
【図7A】図7Aは、図1Aにおける進入装置の平面図であり、予備負荷状態にあるトラックへロックされた案内用ワイヤ部分がある図6Eにおけるロック機構を示している。
【0045】
【図7B】図7Bは、図7Aにおける進入装置とロック機構との側面図である。
【0046】
【図7C】図7Cは、図7Aの進入装置の断面図であり、ある要素と上記トラックの止め部との間に配置された案内用ワイヤハブを示している。
【0047】
【図7D】図7Dは、図7Bにおける進入装置の拡大端面図であり、上記トラックから延びているとともに案内用ワイヤハブの少なくとも一部の周りにある2つのアームを示している。
【0048】
【図8A】図8Aは、図1Aに描かれた実施形態の平面図であり、その進入装置の遠位端における患者の体内への挿入を示している。
【0049】
【図8B】図8Bは、図8Aに描かれた実施形態の拡大図であり、患者に隣接している進入装置の区域に焦点が合わされている。
【0050】
【図8C】図8Cは、図8Bに描かれた実施形態の一部の拡大図であり、拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を隠れ線で示している。
【0051】
【図8D】図8Dは、図8Cに描かれた実施形態の部分の拡大断面図であり、流体が針の内側からシースと拡張器との間に形成された通路へ流れることができるように、拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を示している。
【0052】
【図8E】図8Eは、流体が0.002インチの隙間高さ幅のある通路へ引き上げられる速度を示しているグラフである。
【0053】
【図8F】図8Fは、流体が0.001インチの隙間高さ幅のある通路へ引き上げられる速度を示しているグラフである。
【0054】
【図8G】図8Gは、流体が0.0005インチの隙間高さ幅のある通路へ引き上げられる速度を示しているグラフである。
【0055】
【図8H】図8Hは、拡張器における通路の遠位領域を通して得られた、図8Cに描かれた実施形態の一部の拡大断面図である。
【0056】
【図8I】図8Iは、図8Aに描かれた実施形態の拡大図であり、針ハブが第1位置にあるときに針ハブが拡張器ハブへロックされた区域に焦点が合わされている。
【0057】
【図8J】図8Jは、図8Iに描かれた実施形態の断面図である。
【0058】
【図9A】図9Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、針の先端から遠位方向に推進された案内用ワイヤを示している。
【0059】
【図9B】図9Bは、図9Aに描かれた実施形態の拡大図であり、針ハブが第1位置にあるときに案内用ワイヤハブが針ハブへロックされた区域に焦点が合わされている。
【0060】
【図9C】図9Cは、図9Bに描かれた実施形態の断面図である。
【0061】
【図10A】図10Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、拡張器とシースとが図9Aに示された位置から針本体に対して遠位へ推進されることを示している。
【0062】
【図10B】図10Bは、図10Aに描かれた実施形態の拡大後面図であり、針ハブが第2位置にあるときに針ハブがトラックへロックされた区域に焦点が合わされている。
【0063】
【図11A】図11Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、案内用ワイヤ、針本体、および拡張器がシースから取り外された状態を示している。
【0064】
【図11B】図11Bは、図11Aに示された実施形態の一部の拡大図であり、案内用ワイヤ、針本体、および拡張器がシースから取り外される間に拡張器によって被覆された針の先端を示している。
【0065】
【図12A】図12Aは、針と拡張器とにおける整合した開口または開窓の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0066】
【図12B】図12Bは、図12Aにおける線13B−13Bに沿った拡大断面図であり、流体が針の内側からシースと拡張器との間に形成された通路へ流れることができるように拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を示している。
【0067】
【図13A】図13Aは、針と拡張器とにおける整合した開口または開窓の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0068】
【図13B】図13Bは、図13Aにおける線13B−13Bに沿った拡大断面図であり、流体が針の内側からシースと拡張器との間に形成された通路へ流れることができるように拡張器の開口または開窓に整合した針の開口または開窓を示している。
【0069】
【図14A】図14Aは、拡張器とシースとの間に形成された通路の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0070】
【図14B】図14Bは、図14Aにおける線14B−14Bに沿った断面図であり、シースの中へ延びている通路の太さを示している。
【0071】
【図15A】図15Aは、拡張器とシースとの間に形成された通路の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0072】
【図15B】図15Bは、図15Aにおける線15B−15Bに沿った断面図であり、拡張器とシースとの両方の中へ延びている通路の太さを示している。
【0073】
【図16A】図16Aは、拡張器とシースとの間に形成された通路の別の実施形態を示している拡大平面図である。
【0074】
【図16B】図16Bは、図15Aにおける線16B−16Bに沿った断面図であり、拡張器の中へ延びているスプラインの形態にある、等間隔に配置された複数の通路を示している。
【0075】
【図17】図17は、この進入装置の別の実施形態における拡大断面図であり、相異なる形状を有しているシースと拡張器との間に形成された通路を示している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
この開示によれば、医療用品(たとえば、カテーテルまたはシース)を、血管または排液部位へ送出するための進入装置がもたらされる。図1Aは、この発明の好ましい実施形態によって血管(たとえば、静脈または動脈)の中へ挿入されるように構成された進入装置20を示している。この進入装置は、以下ではこの状況(すなわち、血管進入についての状況)において説明されるが、この進入装置は、医療用品(たとえば、カテーテルまたはシース)を患者の身体の内部における他の箇所(たとえば排液部位)の中へ進入させるとともに配置するために、また、他の諸目的(たとえば、膿瘍を排出すること)のために使用することもできる。
【0077】
この進入装置のこの実施形態は、代表的な単一部材型管状医療用品を患者の体内における身体空間の中へ配置する状況において開示されている。いったん配置されると、管状用品はその後、他の医療用品(たとえば、カテーテル、案内用ワイヤなど)を受け入れて身体空間の中への進入をもたらすために使用することができ、かつ/または、流体を身体空間の中へ導入しまたは流体を身体空間から除去する(たとえば排液)ための通路をもたらすために使用することができる。図示されたこの実施形態では、上記管状医療用品は、静脈の中への流体の流れをもたらすために本来、構成されたシースまたはカテーテルである。しかしながら、この発明の原理は、単一部材型のシースまたはカテーテルの配置に、または、シースまたはカテーテルを介する医療用品のその後の挿入に限定されるものではない。そうではなくて、この明細書に開示された進入装置を、他の型のシース、流体排出・送出チューブ、および単一内腔カテーテルまたは複数内腔カテーテルを含む1つ以上の他の型の医療用品を患者の体内に直接、または別の医療用品を介して間接的に配置することと組み合わせて首尾よく利用することもできるということは、この開示を考慮すれば、当業者によって理解されるであろう。
【0078】
たとえば、この明細書に開示された進入装置は、中心静脈カテーテル、周辺に挿入された中心カテーテル、血液透析カテーテル、外科的排液チューブ、引き剥がし型シース、多部材型シース、検査鏡、および外部のまたは移植された電子装置またはセンサへ接続されたワイヤまたはケーブルのための電線用導管を直接または間接的に配置するように構成することもできるが、このような構成に限定されることはない。先に説明したように、上掲の医療用品は、この進入装置の拡張器、針、および案内用ワイヤを介して患者の体内へ直接配置してもよく、または、この進入装置の拡張器、針、および案内用ワイヤを介して患者の体内へ配置された医療用品を介してその後、患者の体内へ配置してもよい。
【0079】
さらに、この明細書に開示された実施形態は、単一の医療用品の同軸挿入に限定されるものではない。たとえば、2つのカテーテルは挿入されたあるカテーテルを介して患者の体内へ挿入してもよく、第2カテーテルは挿入された第1カテーテルを介して患者の体内へ挿入してもよい。さらに、ある導管を血管または他の身体空間の中へ供給するのに加えて、拡張器、針、および案内用ワイヤを介して挿入された医療用品に、その後に挿入された医療用品の管腔に加えて、管腔を形成することができる。当業者は、この明細書に開示された装置およびシステムのための付加的な用途を発見することもできる。したがって、シース(たとえば微小穿刺用のための)と組み合わされたこの進入装置の図示および説明は、この進入装置における可能性のある1つの用途の単なる典型である。
【0080】
図1Aおよび図1Bは、進入装置20の好ましい実施形態を示している。進入装置20は、針22、拡張器24、およびシース26が備わっている。図示されたこの実施形態では、この進入装置には、案内用ワイヤ部分28およびトラック30もまた含まれている。図1Bに最も良好に認めることができるように、拡張器24は針22に同軸に取り付けられているのが好ましく、また、シース26は拡張器24に同軸に取り付けられている。この進入装置の諸構成要素の伸縮性は、これらの構成要素をそれらの軸が同軸ではなく実質的に平行に配置されるように配置すること(たとえばモノレール型設計)によっても達成することができる。
【0081】
これらの構成要素のそれぞれには、末端または移行部分(すなわちハブ)における管腔継手と、この継手から延びる細長い構造体とが含まれている。したがって、図示されたこの実施形態では、針22には、針ハブ34から遠位へ延びる針本体32が含まれ、拡張器24には、拡張器ハブ38から遠位へ延びる拡張器シャフト36が含まれ、シース26には、シースハブ42から遠位へ延びるシース本体40が含まれている。案内用ワイヤ部分28には、案内用ワイヤ44と、好ましくは案内用ワイヤのハブまたはキャップ46とが備わっている。図示されたこの実施形態では、案内用ワイヤのハブ46は案内用ワイヤ44の近位端に配置されているが、他の用途では、このハブ46は案内用ワイヤ44の端部同士の間におけるある箇所に配置することができる。
【0082】
図2A〜図2Gは、この進入装置の好ましい実施形態によって構成され、進入装置20の他の構成要素から分離された、針22の針本体32と針ハブ34とを示している。図2Aおよび図2Bに最も良好に認めることができるように、針ハブ34は針本体32の近位端に配置されている。針本体32は、針22の遠位部分50の近傍における遠位端で終わっており、針ハブ34は、針22の近位部分52に位置している。
【0083】
針本体32には、円形で一定直径の内側繰り穴と円形で一定直径の外面とを有している細長い管状形状があるのが好ましい。しかしながら、他の実施形態では、針本体32には、他の繰り穴と外側形状(たとえば、楕円形断面形状のような形状であるが、これに限定されるものではない)とがあってもよい。この針の内面または外面には、溝または通路が含まれていてもよい。溝または通路は、上記針の繰り穴の内部における流体を、針22のある構造体の周りかまたはそのある構造体かのいずれかへ案内することができ、または針22の内部(たとえば、上記案内用ワイヤの周り)に案内することができる。いくつかの実施形態では、上記の溝または通路によって、拡張器に対する針22の所望方位の維持を支援することができる。
【0084】
針本体32には、目標とされた皮下身体空間へ進入するための充分に長い長さがあり、また、過度の外傷を引き起こすことなくその身体空間へ進入するときの挿入力に耐えるための充分な太さ寸法がある。多くの用途では、上記針本体には、3〜20cmの長さが、また、より好ましくは3〜10cmの長さがある。たとえば、成人の胸部における身体空間(たとえば血管)へ進入するためには、針本体32には、7cm以上の長さがあるのが好ましく、また、9cm以上の長さがあるのがより好ましく、また、9〜10cmの長さがあるのが最も好ましい。この針の寸法は、18ゲージ以下であるのが好ましく、また、18〜28ゲージであるのがより好ましく、また、微小穿刺の用途(周辺静脈内注射)については18〜26ゲージであるのが最も好ましい。新生児への用途については、針本体32の長さおよび太さは、顕著にいっそう短くかついっそう小さいものでなければならず、たとえば、長さが3〜4cmで太さが26〜28ゲージであるのが好ましい。
【0085】
図2Aおよび図2Dに最も良好に認めることができるように、針本体32には、針本体32の遠位端の近傍に、少なくとも1つの開窓または開口56が含まれている。この開窓56は、以下で詳しく説明するように、針本体32の壁を貫通して延びており、また、針本体32に対してさまざまな形状および方位を有している。加えて、針本体32には、遠位部分50に配置された斜切先端54があってもよい。
【0086】
図2Aに示されたように、フィン58は、針先端における上記斜切面の周辺部位と針における開口または開窓56とに整合した針ハブ34の周りにおける周辺部位に配置されているのが好ましい。すなわち、フィン58は、上記斜切面と上記開窓とともに動かされる。使用の間に医師または医療サービス提供者は、上記斜切面が血管の内側にあり、かつ、上記開窓が上記のシースおよび/または拡張器によって被覆されている場合であっても、露出したフィン58の方位に留意することで、上記斜切状針先端(および開窓56)の方位を決定することができる。たとえば、図示された実施形態では、患者から離れたフィン58の方位が、血管の内部における上記針先端の斜切の上方方位と一致する。図2Cに示されたように、開窓56もまた、フィン58と同じ側にある。
【0087】
図2Bに最も明確に示されたように、図示されたこの実施形態の針ハブ34には、指保持部、タブまたはフィン58がある。このフィン58によって、針ハブ34を手で操作するためのつかみ領域がもたらされている。たとえば、医師または医療サービス提供者は、針ハブ34を拡張器24および/またはシース26に対して安定させるために、人差し指および親指をフィン58の側面に置くことができる。図示されたこの実施形態では、拡張器/シースが上記針にわたって遠位にスライドすると、針ハブ34は、第1位置121と第2位置123との間をトラック30に沿って相対的にスライドする。フィン58は、挿入ステップ(これについては以下で説明される)を遂行するときに、保持することができる。加えて、フィン58は、拡張器ハブ38を回転させる間に針ハブ34を安定させるために使用することができる。さらにまた、フィン58は、針ハブ34がトラック30に沿った任意の位置に配置されたときに、進入装置20をつかむための支援部として、医師または医療サービス提供者によって使用することができる。
【0088】
図2Dは、針本体32における側面の開口または開窓56の拡大図である。1つ以上の開窓56によって、針本体32の側面を通じる通路がもたらされている。図2Dに示された開窓56には長円形状がある。しかしながら、側面開口56の形状は、図示された実施形態に限定されることがなく、また、円形、長円形、正方形、または他の形状でもよい。
【0089】
ここで、図2E〜図2Gを特に参照すると、針ハブ34には、針ハブ34の近位部分および遠位部分にロック構造体が含まれているのが好ましい。これらのロック構造体は、ルアー−ねじ型の継手であってもよく、別の型の継手であってもよい。
【0090】
針ハブ34の近位部分52におけるロック構造体によって、医師または医療サービス提供者は、別の医療用品を針ハブ34の近位端へ固定することができる。たとえば、図示されたこの実施形態における針ハブ34には、管状のフランジまたはリップ63が含まれている。このリップ63には、針ハブ34を対応するルアー−ナットロック用形状構成で他の医療用品へ取り付けることができるように、ねじ部が設けられている。加えて、医師または医療サービス提供者は、所望に応じて他の手順を実行するために、注射器または監視用設備を近位端におけるロック構造体へ取り付けることができる。針ハブ34には、これらの構成が特定の用途のために望ましいときには、その近位端および/または側面口部に隔壁が含まれていてもよい。
【0091】
針ハブ34の遠位端におけるロック構造体によって、医師または医療サービス提供者はたとえば、針ハブ34が第1位置121にあるときに、針ハブ34を拡張器ハブ38へロックすることができる。図示されたこの実施形態では、ロック構造体には、針ハブ34におけるラッチ要素66が含まれている。このラッチ要素66は、針ハブ34を拡張器ハブ38へ解除可能にロックする。このロック構造体によって、医療サービス提供者は、針ハブ34、拡張器ハブ38、またはこれら両方をつかみながら、上記針を患者の体内へ推進させることができる。
【0092】
以下でいっそう詳しく説明されるように、案内用ワイヤ44は、針ハブ34の中空部分62を通して、針本体32を通して、穿刺された血管の中へ導入される。案内用ワイヤ44によって、医療サービス提供者は、拡張器24およびシース26を血管の中へ案内することができる。
【0093】
針ハブ34には、針ハブ34が第1位置121と第2位置123との間でトラック30に沿ってスライドすることのできる2つの中子68が備わっていることもある。この好ましい実施形態では、針ハブ34の2つの中子68は、第1位置121と第2位置123との間でトラック30に係合しているが、他の実施形態では、針ハブ34は、第1位置121と第2位置123との間でトラック30の長さの一部にわたってだけ、トラック30と係合している。トラック30と針ハブ34との間のスライド用相互連結は、他の協働構造体(たとえば、蟻継手の対応するピン部と尾部)を使用して達成することもできる。
【0094】
図3Aは、図1Aに描かれた実施形態の拡張器24の平面図である。図3Bは、図3Aにおける線3B−3Bに沿って得られた、図3Aに描かれた実施形態の拡張器24の断面図である。図3Aおよび図3Bに示されたように、図示された拡張器24には、拡張器シャフト36、拡張器ハブ38、遠位領域70、および近位領域72が備わっている。図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36には側面の開口または開窓74が含まれているが、他の実施形態では、拡張器シャフト36には、より少ない数のまたはより多い数の開窓74が含まれていてもよい。たとえば、拡張器シャフト36には開窓74が含まれていなくてもよく、その場合には、拡張器の内部に血液噴出チャンバが配置されている(以下でいっそう詳しく説明されるように)。
【0095】
拡張器ハブ38には1つ以上の通気口が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、拡張器ハブ38における通気口は溝75によって形成されている。加えて、拡張器シャフト36には、拡張器シャフト36の外面に形成された1つ以上の長手通路が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、この通路は開放通路である。この開放通路の側壁は突条76によって形成されている。図示されたこの実施形態では、突条76は、シース26と界接するほぼ平滑なアーチ状外面を画定しているが、他の実施形態では、これらの突条は他の形状(たとえば、いっそう目立つ頂点を画定することのできる形状)であってもよい。いったんシース本体40内で組立られると、拡張器シャフト36の開いている通路がシース本体40の内径によって閉められる。
【0096】
図3Cは、図3Aに示された実施形態の一部の拡大平面図である。上で述べたように、図示された拡張器シャフト36には、1つ以上の側面開口74と、突条76同士の間に形成された1つ以上の通路とが備わっている。側面の開口または開窓74によって、拡張器シャフト36の側面を通る流体通路がもたらされている。側面開口74の形状は、図示されたこの実施形態に限定されることがなく、また、円形、長円形、正方形であってもよく、または別の形状であってもよい。図3Cに示された開口または開窓74には長円形の形状がある。
【0097】
図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36における開口74には、長円形の形状があり、その主軸は、この針における長円形開口56の主軸に対して非平行である。たとえば、針の開口56は長手方向に延びているとともに拡張器の開口74は円周方向に延びていてもよく、またはこの逆であってもよい。換言すると、拡張器の開口74の長軸は針の開口56の長軸に対してほぼ垂直に配置されている。以下で付加的な実施形態とともに説明されるように、これらの開口56,76は、製作公差および回転不均衡を考慮するために、かなりの程度の重なりを得るのが好ましい他の形状、寸法および方位を有していてもよい。このため、上記開窓の1つには、少なくとも1つの方向において、同じ方向における他の1つの開窓よりも大きい寸法があるのが好ましい。したがって、図示されたこの実施形態では、針の開口56には、拡張器の開窓74の長手寸法よりも長い長手寸法がある。
【0098】
突条76同士の間に形成された通路は、ある遠位箇所から開口74までの近位方向に延びている。図示されたこの実施形態における突条76は、上記シースの内部における拡張器シャフト36の均衡をとるために、拡張器シャフト36に沿って、かつ、拡張器シャフト36の両側面に配置されている。図示されたこの実施形態では、これらの突条76によって、それらの間に2つの通路が形成されている。上記シースの内部における拡張器の均衡をとることで、拡張器は、等しい圧力を上記シースの内側円周へ付与することができる。
【0099】
拡張器ハブ38には、拡張器24の近位領域72と遠位領域とにロック構造体が含まれていてもよい。それぞれのロック構造体は、ルアー型継手であってもよく、または他の型の継手であってもよい。図示されたこの実施形態では、拡張器ハブ38には、第1ルアー継手78、第2ルアー継手80、リップ77、およびベース79が備わっている。第1ルアー継手78は、図2Eに示された針22における針ハブ34に係合している。第2ルアー継手80は、第1ルアー継手78に対して遠位に配置されている。いくつかの実施形態では、第2ルアー継手80(たとえば雄ルアー滑り継手)は、図1Aに示されたシース26におけるシースハブ42(たとえば雌ルアー滑り継手)に係合するように構成することができる。さらに、これら構成要素における雄−雌ルアー滑り継手を、逆にすることができる。
【0100】
図3Dは、図3Aにおける拡張器24の拡大近位端面図である。図3Dに最も明確に示されたように、拡張器ハブ38には、針ハブ34が第1位置121にあるときに、図2E〜図2Fに示された針ハブ34におけるラッチ要素66に解除可能に係合して拡張器ハブ38を針ハブ34へ固定する開口82が備わっている。また、拡張器ハブおよび針ハブ34における雄−雌ルアー滑り継手を、他の実施形態では逆にすることもできる。
【0101】
拡張器24の色は、血液または他の流体と拡張器24との対比を促進するように選択することができる。たとえば、血液噴出の間に、血管の中における針の適切な配置を確認するために、拡張器24と上記シースとの間に流れる血液が観察される。流体がシースと拡張器24との間を流れるときの流体の視認性を増大させるために、シースは、流体の色と対照的である色がある拡張器24に対して、透明のまたは透光性の材料から製造されるのが好ましい。たとえば、拡張器24は、赤い血液とのその対比を強めるために白い色であってもよい。拡張器24の他の色は、流体の色と所望の対比度とによって採用することができる。さらに、血液噴出の上記領域における拡張器の一部だけに、異なる色のある残部との対比色があってもよい。針と拡張器24との間に形成された通路がある実施形態については、拡張器24は、医師がシースと拡張器24との両方を通して血液噴出を観察することができるように、シースと同様に、透明のまたは透光性の材料から製造することができる。
【0102】
図3Eは、拡張器ハブ38Aの別の実施形態の拡大斜視図である。この拡張器ハブ38Aは、スピンナットまたはつば84をさらに含んでいる点を除いて、図3Aに示された拡張器ハブ38に類似している。スピンナット84の近位端は、拡張器ハブ38における環状溝73(図3Aを参照のこと)に対して回転する。スピンナット84は、環状溝73の内部にいったん配置されると、遠位方向における移動が阻止されるが、拡張器ハブ38Aに対しては自由に回転する。スピンナット84には、シース26における対応の相互係合要素へロックされる相互係合要素が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、スピンナット84には、図1Aに示されたシース26におけるシースハブ42の雄ねじと係合する雌ねじが含まれている。
【0103】
拡張器24またはシース26には、空気またはガスを拡張器24とシース26との間から、かつ/または、針と拡張器との間から逃がすかまたは排出することのできる1つ以上の通路が、別々にまたはいっしょに形成されていてもよい。この1つ以上の通路は、それを通じて空気を通すことができる一方で、血液のような液体の流れを阻止するように、さらに寸法仕上げされていてもよい。この1つ以上の通路は、シース26の壁、上記シースハブ、拡張器ハブ38、拡張器シャフトの露出部分におけるものであってもよく、かつ/または、拡張器24およびシース26の隣接面同士に形成されていてもよい。たとえば、図3Aは、拡張器24とシース26との隣接面同士の間に形成されて長手方向に配置された溝75を示している。そのような通気用通路は迷路であってもよい。これらの隣接面によって、シース26と拡張器24との間にルアー滑り継手が形成されている。
【0104】
図3Fは、図3Aにおける線3F−3Fに沿って得られた断面図であり、等間隔に配置される必要はないものの上記ルアー滑り表面の周辺に等間隔で配置された溝75を示している。これらの溝75は、血液噴出が生じたときに空気が拡張器とシースのような医療用品との間から逃げることができるように、寸法仕上げされている。上述のように、1つ以上の通路は、表面溝75の形態にある必要はなく、代わりに、開口または通路の形態にあればよい。
【0105】
図示されたこの実施形態では、1つ以上の通路によって、空気がシースと拡張器ハブとの間のルアー継手を介して通り抜けることができる。図示されたこの実施形態では、通路75の遠位端はルアー継手の遠位側面に位置しており、通路75の近位端はルアー継手の近位側面に位置している。
【0106】
1つ以上の通路は、血液または他の液体を濾過するように寸法仕上げされていてもよく、または、空気の通過を可能にする一方で液体の通過を阻止するフィルタまたは他の構造体が含まれていてもよい。たとえば、シース自体には、小さい開口、微細孔または多孔性材料の形態にある1つ以上の通路が含まれていてもよい。1つ以上の通路の寸法と流体分子および形成された要素(たとえば赤血球)の予想寸法に左右されるが、シースにおける1つ以上の小さい開口、微細孔または多孔性材料によって、血液を保持しながら空気を通すことのできる多孔性通気口を形成することができる。
【0107】
突条拡張器の製造方法がこれから説明される。第1に、押出成形法が使用されて、拡張器の外径(OD)部にまたは実体部分の内部に1つ以上の長手溝または長手通路を有している長い管状体が作られる。この長い管状体は、単一の拡張器の必要な長さを超えており、また、単一の拡張器の長さよりも数倍長い長さを有しているのが好ましい。この押出成形法には製造用ダイが採用されるが、このダイには、拡張器の内径および外径についての所望の幾何学的形状と、長手溝または長手通路または内側通路の太さおよび円周スパンとを反映する幾何学的形状が備わっている。図示された図1〜図11の実施形態では、上記長い管状体には、シースの内部における拡張器の均衡をいっそうよくするために、この管状体の両側面に2つの長手OD通路が含まれている。しかしながら、単一の通路によって、血液噴出のための可視的表示部をもたらすことができる。これら2つの通路は、押出成形された管状体の長さに沿って延びているのが好ましい。図示されたこの実施形態には、拡張器とシースとの間に配置された1つ以上の通路が含まれているが、これに加えて、またはこれに代えて、針と拡張器との間に、拡張器の内部に、かつ/またはシースの内部に、1つ以上の通路を形成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、拡張器24は、一部または全部が透明の、透光性の、または半透明の材料から作られており、通路内における流体の噴出を視認できるようになっている。
【0108】
図示されたこの実施形態に戻れば、押出成形された管状体は、単一の拡張器のために適切な長さに切断される。この好ましい方法では、これら2つのOD溝は切断された拡張器の全長にわたって延びている。
【0109】
その後、切断された拡張器の端部に、先端を二次成形するために先端加工プロセスが採用される。切断された拡張器の端部は、仕上げられた拡張器の先端における所望の幾何学的形状に合致する幾何学的形状があるダイ/マンドレルの中へ押し込まれる。この所望の幾何学的形状は、たとえばシースの内径に応じて選択される。シースおよび拡張器については、溝付きの拡張器とシースとの間に形成された通路までの近位方向における血流を促進するために、先端の近傍に締まり嵌め部または封止部を形成することが好ましい。上記先端領域における拡張器のODは遠位方向に先細りであるのが好ましい。
【0110】
ダイ/マンドレルの中では、上記先端へ熱エネルギーが付与されて、その先端はダイ/マンドレルに合致するように二次加工される。この熱エネルギーは、赤外線熱源または高周波熱源からの放射熱の使用が含まれる、任意の公知方法によって付与される。この先端加工プロセスの一部として、上記先端領域における拡張器は、上記の溝が基本的に除去されるように二次加工される。上記の溝が除去されると、拡張器には、先端の近傍に締まり嵌め部または封止部を形成することができる。これらの溝は、シース26の先端が拡張器の上に位置する箇所では、その箇所の近位側面における拡張器の残部に沿って維持されている。ダイ/マンドレルから取り外された後に、拡張器の先端部は、あらゆる製造残留物を除去するために洗浄されるとともに、必要に応じて切断される。
【0111】
拡張器における1つ以上の開窓は、上記先端領域の近傍で、また、上記溝の中または近傍で拡張器を通して切除されている。それぞれの開窓は、ドリルまたはレーザが含まれる任意の公知手段によって切除することができる。さらに、開窓のための長円形形状または他の形状を達成するために、その切除装置を拡張器に対して移動させてもよく、または、逆に拡張器をその切除装置に対して移動させてもよい。
【0112】
上記先端部とは反対側にある拡張器の端部は、上記拡張器ハブを拡張器の上へオーバーモールドすることを促進するために、フレア加工することができる。
【0113】
図4Aは、図1Aに描かれた実施形態のシース26の平面図である。図4Bは、図4Aに描かれた実施形態のシース26の、線4B−4Bに沿って得られた断面図である。図4Cは、図4Aにおけるシース26の拡大近位端面図である。図4Dは、図4Aにおけるシース26のシースハブ42の拡大斜視図である。図4A〜図4Dに示されたように、シース26には、シース本体40、シースハブ42、遠位部分90、および近位領域92が備わっている。このシース本体40は、透明の、半透明の、透光性の、または半透光性の材料から一部または全部を作ることができる。シース本体40にはまた、たとえば、硫酸バリウムの縞のような、1つ以上の放射線不透過性マーカが含まれていてもよい。好ましい実施形態では、このシースには、その本体40の直径に沿って反対側面に配置されたそのような放射線不透過性の縞が2本含まれている。
【0114】
シース本体40は、カテーテルまたは他の医療用品(たとえば案内用ワイヤ)が血管の中に挿入される単一部材のシースである。そのような実施形態では、シース本体40によって、カテーテルまたは他の医療用品(たとえば案内用ワイヤ)の挿入のための導管が形成されている。導管を設けるのに加えて、上記シースまたは上記シースの一部によって、上記カテーテルの管腔とともに、管腔を形成することができる。たとえば、シース本体40それ自体が第3管腔を形成しているシース本体40を通して二重管腔カテーテルを挿入することで、三重管腔カテーテルに相当するものを形成することができる。
【0115】
進入装置20を採用した後に、血管の中に挿入されるカテーテルまたは医療用品の型に応じて、シース本体40の一部または全部を取り除くことは有利であるかも知れない。たとえば、カテーテルまたは他の医療用品が血管の中に挿入された後に、シース本体40の一部を分離するかまたは引き剥がして取り去ることができる。医師または他の医療サービス提供者がシース本体40の一部または全部を容易に取り去ることができるために、引き剥がしシースには、打ち抜き穴、鋸歯状切欠、削り出し部、または他の構造体が含まれていてもよく、または他の材料(たとえば、ビスマスが含有されたPTFE)が含まれていてもよい。
【0116】
シースハブ42には、ルアー滑り継手とロック部材94とが含まれている。このロック部材94には、対応する構造体に嵌合するかまたは係合するロック構造体または取付構造体が備わっていてもよい。たとえば、ロック部材94は、拡張器ハブ38の第2ルアー継手80に係合するように構成されたルアー継手94であってもよい。
【0117】
図4Cおよび図4Dに最も良好に認めることができるように、シースハブ42は、拡張器ハブ38のロック機構または第2ルアー継手80が実質的に遮られていないシースハブ42へ入ることができるように設計されているのが好ましい。しかしながら、使用時にシースハブ53が拡張器シャフト36にわたる所望箇所にいったん置かれると、医師または医療サービス提供者は、シースハブ42を押したり、引いたり、またはねじったりすることができ、また、場合によっては、ロック部材94と別の医療用品における対応継手との係合を解除するかまたは係合を行うことができる。ロック部材94はたとえば、拡張器ハブ38とシースハブ42とが解除可能に連結するように機構的嵌合を引き起こすルアー継手、突出凸部、くぼみなどであってよい。図示されたこの実施形態では、シースハブ42のロック部材94にはルアー継手が備わっている。シースハブ42は拡張器ハブ38における対応する第2ルアー継手80に係合するのが好ましい。このロック位置は、拡張器ハブ38をシースハブ42に対して引いたり、押し込んだり、押したり、またはねじったりすることによって係合が解除され、または係合が行われるのが好ましい。
【0118】
いくつかの実施形態では、シースハブ42にはリップ95が備わっている。このリップ95には、シースハブ42を対応するロック構成のある他の医療用品へ取り付けることができるように、ねじが切られていてもよい。
【0119】
シースハブ42には、医師または医療サービス提供者がシース26および/または進入装置20を容易につかむかまたは手で操作することができるように、1つ以上の表面構成が備わっているのが好ましい。図示されたこの実施形態では、シースハブ42には、正方形状のグリップ96および突条98が含まれている。
【0120】
付加的ないくつかの実施形態では、シースハブ42には、シース本体40を進入装置20の他の部分から容易に解除して取り外すことを可能にするために、放射状に延びるウイングまたは把手構造体が備わっていてもよい。いくつかの用途では、これらのウイングは、医療サービス提供者にシースハブ42を壊すためのテコがもたらされるように寸法仕上げされている。たとえば、シースハブ42には、シースハブ42の半体同士を接続する薄い膜が備わっていてもよい。この膜は、医療サービス提供者がシースハブ42をこの進入装置から取り外すことを決定するまでシースハブ42の半体同士をともに維持するように寸法仕上げされている。医療サービス提供者は上記ウイングを手で操作してこの膜を破り、シースハブ42を取り外し可能な半体に分離する。
【0121】
図5Aは、図1Aに描かれた実施形態における案内用ワイヤ部分28の斜視図である。図5Bは、案内用ワイヤハブ46が含まれているのが好ましい、図5Aに描かれた案内用ワイヤ部分28の平面図である。この案内用ワイヤハブ46には、医師または医療サービス提供者が案内用ワイヤハブ46および/または進入装置20を容易につかむかまたは手で操作することができるように、1つ以上の表面構成が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、案内用ワイヤハブ46には1つ以上の突条110が備わっている。予備負荷の掛けられた状態では、案内用ワイヤハブ46が第3位置125にあるときに、案内用ワイヤハブ46の外面がトラック30におけるロック機構130に係合する。
【0122】
いくつかの実施形態では、案内用ワイヤ44によって、それが格納されたときに自己吸引機能をもたらすように、上記針本体の内径との間に締まり嵌めが形成されている。たとえば、案内用ワイヤ44の外径は、この案内用ワイヤの長さに沿って、または案内用ワイヤ44の一部だけに沿って、上記針との間に締まり嵌めが形成されるように、選定することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、この案内用ワイヤの遠位端部分には、この案内用ワイヤの他の部分に比べて減少した直径がある。このような減少直径部分の寸法は、この案内用ワイヤが上記針の遠位先端を越えて推進されたときであっても流体が上記針本体における開窓56を通ることができるように、選定することができる。
【0124】
図6Aは、図1Aに描かれた実施形態におけるトラック30の斜視図である。図6Bは、図6Aに示されたトラック30の平面図である。図6Cは、図6Aに示されたトラック30の側面図である。図6A〜図6Cに示されたように、図示されたこの実施形態におけるトラック30には、遠位部分120、近位部分122、このトラックを拡張器ハブ38へ接続する遠位ロック部材124、針ハブ34が第1位置121からトラック30に沿った第2位置123までいったんスライドすると針ハブ34のさらなる遠位移動および近位移動を阻止するロック機構128、および案内用ワイヤハブ46が予備負荷状態または第3位置125にあるときにその案内用ワイヤハブをトラック30へ取り付けることができるロック機構130が備わっている。このトラックはポリカーボネート材料から作られているのが好ましいものの、以下で説明するように、他の材料を使用することができる。
【0125】
トラック30には、図6Aおよび図6Bに最も明確に示されたように、減少幅のトラック部分132がさらに含まれている。この減少幅によって、上記針ハブのトラック30への組み付けが促進される。図示されたこの実施形態には、トラック30の遠位部分120にリブ133が含まれている。このリブ133によって、遠位ロック部材124とトラック30の残部との間に付加的な構造補強がもたらされている。
【0126】
図1Aに示されたように、遠位ロック部材124が拡張器24へ接続されて、トラック30が拡張器24から近位へ延びることができるようになる。たとえば、ロック部材124には、拡張器ハブのリップ77と拡張器ハブのベース79との間で拡張器ハブ38へ接続される2つの湾曲状アーム124が備わっている。ロック部材124によって、拡張器ハブ38に対する、遠位方向または近位方向におけるトラック30の移動が制限されるが、トラック30は拡張器ハブ38の周りに自由に回転することができる。
【0127】
図6Dは、図6Bに描かれた実施形態における一部の拡大図である。示されたように、ロック機構128は、第2位置123の領域における上記トラックの幅を変えることによって形成されている。たとえば、図示されたこの実施形態には、遠位方向に増大している幅のトラック部分134、増大している幅のトラック部分134の遠位にある減少幅のトラック部分136、および2つのフィンガー要素138が含まれている。これら2つのフィンガー要素138は、トラック部分136の遠位端からトラック30の近位端へ向かって突出しているとともに、トラック30の長手軸からフレア状に張り出している。
【0128】
図6Eは、図6Bに描かれた実施形態における一部の拡大図である。ロック機構130は、上記案内用ワイヤハブが第3位置にあるときにその案内用ワイヤハブの一部またはトラック30の一部に係合するクリップ、留め金、または他の構造体によって形成されている。これらの係合構造体のいくつかまたはすべては、トラック30の一部、上記案内用ワイヤハブの一部であってもよく、またはトラック30と上記案内用ワイヤハブとの間で分けられていてもよい。図示されたこの実施形態では、ロック機構130は、トラック30から延びているとともに、上記案内用ワイヤハブに係合している。ロック機構130には、トラック30から突出している長方形要素140、トラック30から長方形要素140の遠位へ突出している2つのトラックアーム142、およびトラック30からトラックアーム142の遠位へ突出している止め部144が備わっている。
【0129】
図示されたこの実施形態では、上記針ハブと上記拡張器との間のロック機構は、上記拡張器ハブの近位側面に存在している。しかしながら、他の実施形態では、このロック機構は、他の箇所に同様に配置することができる。たとえば、このロック機構にロック用ヒンジによって接続された2つの枢支レバーが含まれている場合には、このロック機構は、上記針ハブに対して半径方向に配置することができる。そのような実施形態では、一方のレバーが拡張器へ枢動状に接続され、他方のレバーが針へ枢動状に接続されている。針ハブが拡張器ハブから離れて移動すると、これらのレバーは上記ヒンジがロックされる箇所へ真っ直ぐになる。同様な効果は、拡張器に対する針ハブの、特定箇所を越えるつなぎ綱状の制限的近位移動によって得ることができ、それによって、これらの構成要素が互いにロックされる。さらに別の実施形態では、細長い構造体が、拡張器の内部で針ハブから、針本体に対して平行に延びている。針ハブが拡張器から離れて充分な距離だけいったん移動すると、上記ロック機構の付加的構造体(たとえば移動止め)が上記の細長い構造体に係合して、拡張器に対する針のさらなる移動が阻止される。したがって、これらの付加的な実施形態によって示されたように、針と拡張器との間で作動するロック機構は、拡張器ハブに対するさまざまな箇所で配置することができる。
【0130】
図7Aは、案内用ワイヤで予備負荷が掛けられた、図1Aに描かれた実施形態における進入装置の拡大平面図である。図7Bは、図7Aに描かれた実施形態の側面図である。図7Cは、図7Aに描かれた実施形態の線7C−7Cに沿った断面図である。図7Dは、図7Aの進入装置20の近位端面図である。この予備負荷状態では、案内用ワイヤハブ46は、案内用ワイヤハブ46が第3位置に位置したときにトラック30へロックされる。この位置では、案内用ワイヤハブ46は長方形要素140と止め部144との間でトラック30へ固定することができる。たとえば、案内用ワイヤハブ46は、長方形要素140と止め部144との間で解除可能にロックすることができる。加えて、トラックアーム142によって、案内用ワイヤハブ46をトラック30へさらに固定することができる。このロック機構によって、案内用ワイヤハブ46が第3位置125にあるときに、少なくとも遠位方向における案内用ワイヤ44の偶発的な回転運動および軸上移動を阻止することができる。もちろん、医療サービス提供者は、進入装置20を通した上記案内用ワイヤの遠位移動を可能にするために、案内用ワイヤハブ46をトラック30から係合解除することができる。
【0131】
図7A〜図7Cに示された予備負荷状態では、針ハブ34は、針ハブ34が第1位置121にあるときに、拡張器ハブ38へロックされる。このロック位置では、上記の針および拡張器における開口または開窓は、互いに位置合わせ状態または整合状態にある。ロックされると、針22および拡張器24は、互いに対する少なくとも偶発的な回転運動および軸上移動を阻止することができる。針ハブ34に対する拡張器ハブの偶発的な回転を防止することによって、上記の開窓または開口におけるそれらの一般的整合が維持される。
【0132】
この予備負荷状態では、拡張器ハブ38はシースハブ42へ固定されている。これによって、拡張器24とシース26との間の少なくとも偶発的な回転運動および軸上移動を阻止することができる。シースハブ42と拡張器24とにルアー滑り継手だけがある実施形態では、拡張器24とシースハブ42とは互いに対して回転することができる。
【0133】
図8Aは、図1Aに書かれた実施形態の平面図であり、進入装置20を使用する1つの方法のある操作ステップを示している。図8Aには、静脈のような血管148の中へ挿入された進入装置20の針本体32が描かれている。説明されたこの方法は血管への進入に関するものであるが、進入装置20は、シースまたはカテーテルを患者の身体の内部における他の部位(たとえば、膿瘍を排出するための部位)へ進入させてその部位に位置させるために、また、他の諸目的のために使用することもできる。
【0134】
図8Bは、図8Aに示された実施形態の、線8B−8Bによって囲まれた部分の拡大平面図である。図8Cは、図8Bに示された実施形態の、線8C−8Cによって囲まれた部分の拡大図である。図8Dは、図8Cに描かれた実施形態の、線8D−8Dに沿った拡大断面図である。
【0135】
上で述べたように、針本体32には、その側壁に1つ以上の側面開口56が備わっている。拡張器シャフト36には1つ以上の側面開口74が備わっている。これらの側面開口56,74は、縦横比と同様に、形状が同じであっても異なっていてもよい。図示されたこの実施形態では、針本体32における側面開口56には、拡張器シャフト36における側面開口74とは異なった縦横比がある。針本体32における側面開口56は1つの方向(たとえば、針本体32の長手軸に対して実質的に平行である方向)に長くされている。拡張器シャフト36における側面開口74は異なった方向(たとえば、拡張器シャフト36の円周に沿う方向)に長くされている。針本体32および拡張器シャフト36に偏位した細長い開口56,74があることで、針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74が充分に整合して、血液が針の側面開口56および拡張器の側面開口74を通して流れる、という可能性が増大する。図8A〜図8Dは、ただ一組の対応側面開口同士の間の整合を示している。他の組の側面開口もまた、針本体32と拡張器シャフト36との相対方位によって、整合したりまたは整合しなかったりする。
【0136】
図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36は、針本体32と拡張器シャフト36との間の環状空間150を最小限にするために、同軸に配置されている。拡張器シャフト36の内面152は、針本体32の外面154に直接、位置する必要はないものの、そうであってもよい。好ましいのは、この実施形態において、拡張器シャフト36と針本体32との間の環状空間150の中への血液またはその成分(または他の体液)の流れを阻止するために、針本体32の外面154と拡張器シャフト36の内面152との間の環状空間150が最小限にされていることである。好都合なことに、この構成によって、複数の外面への血液の出現が最小限になるとともに、汚染、感染、および凝固のおそれが減少する。
【0137】
図8Aに示されたように、拡張器シャフト36は、針本体32に配置された一方の側面開口56の少なくとも一部が拡張器シャフト36における一方の側面開口74の少なくとも一部に回転整合するように、針本体32へ同軸に取り付けられている。好ましいのは、針本体32と拡張器シャフト36とによって回転整合が維持されて、血液が針の側面開口56と拡張器の側面開口74とを通して流れることである。
【0138】
先に述べたように、シース本体40は、一部または全部が、透明の、半透明の、半透光性の、または透光性の材料から作られているのが好ましく、その場合には、血液が、(1)針の側面開口56を通して、(2)拡張器の側面開口74を通して、針本体32の中へ流れ、また、(3)通路156の中へ流れるときに、医師または医療サービス提供者はその血液を見ることができる。いくつかのモードでは、通路156は、拡張器シャフト36とシース本体40との間に形成されているとともに、拡張器シャフト36における1つ以上の突条76によって画定されている。いくつかのモードでは、通路156は、透光性材料から構成されているのが好ましい拡張器シャフト36の壁の内部に形成されている。血液によって、針本体32の斜切先端54が血管148を穿刺したことが医師または医療サービス提供者に表示されるであろう。
【0139】
いくつかの実施形態では、針本体32および拡張器シャフト36には、(ともに)複数の側面開口があってもよく、これらの側面開口のいくつかまたは全部は回転整合することができる。
【0140】
通路156には、シース26の長さとほとんど同じ広がりを有する軸方向長さがある。他の実施形態では、通路156は、説明されたばかりの細長い通路156よりもかなり小さくてもよい。たとえば、通路156は、シース26の遠位部分、中間部分および/または近位部分の内部に配置することができるが、これに限定されることはない。これに代えて、通路156は、シース26の軸方向長さに沿った直線形状、湾曲形状またはらせん形状を有していてもよく、またはそのような形状のうちの複数のものによって形成されていてもよい。通路156には、さまざまな太さおよびスパン角があってもよい。通路156の太さは、ほとんどゼロに近いものから0.010インチまでの範囲にある。通路156には約0.0005インチ〜約0.003インチの太さがあるのが好ましい。通路156には約0.001インチ〜約0.002インチの太さがあるのがより好ましい。通路156には、拡張器24の軸に対して、約30度〜約210度の、またはそれ以上であって360度よりも小さいスパン角Φがあるのが好ましい。通路156には、約60度〜150度のスパン角Φがあるのがより好ましい。図示されたこの実施形態では、通路156は120度に及んでいる。この太さおよびスパン角Φは、流体(たとえば全血)が通路156に入ると、通路156の内部に生じる毛管現象を最適化するように、選定することができ、また、体腔における予想圧力とその液体の粘度とに基づいてさらに選定することができる。
【0141】
図8E〜図8Gは、上記スパン角が120度であり、接触角(θ)が5度であり、円周長さ(H)が60度で0.64ミリメートルであるときに、流体が通路156の表面までどれほど速く引き上げられるかを示している試験データのグラフである。それぞれのグラフにおいて、充満長さ(mm)がy軸にプロットされているとともに、時間(秒)がx軸にプロットされている。これらの試験は、周辺血管において直面した圧力に類似した流体力学的圧力で実施された。図8Eは、流体が0.002インチの隙間高さ幅のある通路156へ引き上げられる速度を示しており、図8Fは、流体が0.001インチの隙間高さ幅のある通路156へ引き上げられる速度を示しており、図8Gは、流体が0.0005インチの隙間高さ幅のある通路156へ引き上げられる速度を示している。図8E〜図8Gに示されたように、流体は、0.0005インチの隙間高さ幅のある通路において最も速く引き上げられ、0.001インチの隙間高さ幅のある通路において次に速く引き上げられ、0.002インチの隙間高さ幅のある通路において次に速く引き上げられる。
【0142】
上で説明された通路156の形状とその結果による毛管現象とは、全血とは異なる粘度がある他の流体(たとえば、白血球、膿、尿、血漿)とは対照的に、全血とともに使用するために最適化された。しかしながら、通路156の形状は、開示された形状に限定されることがなく、また、膿のような他の液体を排出するために最適化することができる。さらに、上で説明された通路156の形状は、圧力が低い領域に位置する血管と同様に、血管の中における圧力が毛管現象を増進させ、結果として血液噴出を増進させる、周辺に位置する血管のために最適化された。たとえば、身体の胸部領域では、静脈における予想圧力は、患者が呼吸するときの、周辺に位置する静脈におけるそれよりも低いであろう。身体の他の領域における進入装置20を使用するための通路の異なる寸法は、血管または体腔の内部における予想圧力を考慮に入れることで、採用することができる。
【0143】
加えて、拡張器シャフト36の外面160および/またはシース本体40の内面158を、通路156の内部における毛管現象を促進するかまたは増進させるための物質で被覆することができる。たとえば、拡張器シャフト36の外面160および/またはシース本体40の内面158を被覆して毛管現象を増進させるために、親水性物質を使用することができる。同様に、これらの構成要素の一方または双方は親水性材料から作ることができる。患者の体内へシース26を容易に挿入するための潤滑剤として作用するために、親水性物質をシース26の外面に付加的に塗布することができる。シース26の外側に他の潤滑剤または滑らかなコーティングを使用することができ、または、シースの少なくとも外面を滑らかな材料から形成することができる。加えて、シース26は、進入装置20の臨床的用途を促進するために、シースから溶離する薬剤(たとえばヘパリン)でコーティングし、または形成することができる。
【0144】
図8Hは、図8Cに描かれた実施形態の、線8H−8Hに沿った断面図である。図示された進入装置20のこの領域では、シース本体40は、シース本体40と拡張器シャフト36との相対移動をなお可能にする一方で、シース本体40と拡張器シャフト36との間の環状空間157を最小限にするために、同軸に位置決めされている。シース本体40の内面158は拡張器シャフト36の外面160に直接、位置している必要はないものの、そうであってもよい。拡張器シャフト36の外面160とシース本体40の内面158と間の環状界接面157は、拡張器シャフト36における開口74からの血液またはその成分(または他の体液)の遠位流動を阻止するために、この領域では減少されていてもよい。
【0145】
図8Iは、図8Aに示されて線8I−8Iによって囲まれた実施形態の拡大平面図である。図8Jは、図8Iに描かれた実施形態の断面図である。図8Iおよび図8Jは、針ハブが第1位置121にあるときに拡張器ハブ38へロックされた針ハブ34を示している。拡張器シャフト36は、拡張器シャフト36の中空部分84を針本体32にわたって滑らせるとともに拡張器ハブ38を針ハブ34へ解除可能に固定することによって、針本体32へ同軸に取り付けることができる。拡張器ハブ38の近位端86は、針ハブ34と機構的に嵌合しかつ連結するように構成されている。
【0146】
拡張器シャフト36は、拡張器シャフト36が針本体32に対する同軸位置へ取り付けられかつ同軸位置から取り外されるように、またはその逆が行われるように、針本体32へ取り外し可能に取り付けることができる。このロック機構によれば、針ハブ34が第1位置にあるときに針22と拡張器24との間における偶発的な回転運動および軸上移動を少なくともいくらか阻止することができる。示されたように、針ハブ34には、拡張器ハブ38のルアー継手78へロックされるルアー継手64があってもよい。さらにまた、針ハブ34には、拡張器ハブ38における開口82へロックされるラッチ要素66があってもよい。
【0147】
加えて、図8Iおよび図8Jは、進入装置20が血管148の中へ挿入されたときにシースハブ42に係合した拡張器ハブ38を示している。シースハブ42の近位端86は、拡張器ハブ38に機構的に嵌合しかつ解除可能に係合するように構成されているのが好ましい。示されたように、拡張器ハブ38におけるルアー継手80は上記シースハブのロック部材94に係合することができる。その結果として生じる摩擦嵌合によって、進入装置20が血管148の中へ挿入されたときに拡張器24とシース26との間における偶発的な回転運動および軸上移動を少なくともいくらか阻止することができる。
【0148】
図9Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、進入装置20のさらに別の操作ステップを示している。図9Aには、血管148の中へ遠位方向に推進された進入装置20の案内用ワイヤ44が描かれている。これは、案内用ワイヤハブ46を第3位置125から遠位方向に推進することによって達成することができる。案内用ワイヤハブ46はその後、針ハブ34が第1位置121に到ると、針ハブ34へロックされる。
【0149】
図9Bは、図9Aに示された実施形態の、線9B−9Bによって囲まれた部分の拡大側面図である。図9Cは、図9Bに描かれた実施形態の断面図である。図9Cは、案内用ワイヤハブ46と針ハブ34との間のロック機構を示している。案内用ワイヤハブ46は、針ハブ34に機構的に嵌合し、かつ、解除可能にまたは不可逆的に連結するように構成されているのが好ましい。示されたように、案内用ワイヤハブ46には、案内用ワイヤハブ46の内面における小突出部162が含まれている。この案内用ワイヤハブの小突出部162は、小突出部162が針ハブ34のリップにおけるねじ溝の内部に固定されるまで案内用ワイヤハブ46を遠位方向へ推進することによって、針ハブ34の表面にロックされる。他の実施形態では、案内用ワイヤハブ46は、対応するねじ要素によって針ハブ34へロックされる。
【0150】
図10Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、進入装置20のさらに別の操作ステップを示している。図10Aには、血管148の中へ遠位方向に推進された拡張器シャフト36とシース本体40とが描かれている。これは、拡張器ハブ38を針ハブ34から取り外し、拡張器24およびシース26を上記案内用ワイヤおよび上記針に沿って針ハブ34に対して遠位方向に推進することによって、達成することができる。図10Aは、拡張器24およびシース26に対する針22および案内用ワイヤ部分28の近位移動をさらに示している。針ハブ34は、針ハブ34が第2位置123へ到ると、トラック30へロックされるであろう。
【0151】
図10Bは、図10Aに示された実施形態の、線10B−10Bによって囲まれた部分の拡大後面図である。図10Bに描かれたように、針ハブ34は、第2位置123において、ロック機構128によってトラック30の表面へロックされる。針ハブの中子68は、トラックフィンガー138にわたって近位方向にスライドし、また、この中子68は、トラックフィンガー138と幅が増大しているトラック部分134との間の箇所にロックされる。これによって、針ハブ34が第2位置123へ到ると、少なくとも遠位方向における針本体32の軸上移動が阻止され、また、いっそう好ましくは、その軸上移動が実質不可逆的に防止される。図示されたこの実施形態では、ロック機構128によって、いったん係合した針ハブ34が近位方向か遠位方向かのいずれか一方に移動することが不可逆的に防止される。さらにまた、針22の遠位先端54は、針ハブ34が第2位置123へ到ると、拡張器24の中へ引き込まれて、さや状に被覆される。したがって、このロック機構によれば、使用中に拡張器シャフト36が針本体32にわたっていったん推進されると、針本体32の遠位部分50に配置された斜切先端54が拡張器シャフト36の遠位端を越えて推進されるのが阻止される。したがって、拡張器シャフト36によれば、針本体32の鋭利な斜切先端54がさや状に被覆されて、偶発的な刺傷のおそれが阻止される。
【0152】
図11Aは、図1Aに描かれた実施形態の側面図であり、進入装置20の最終操作ステップを示している。図11Aは、血管148の内部に適切に挿入されたシース本体40を残してその血管から案内用ワイヤ44および拡張器シャフト36を取り外すことを示している。図11Bは、図11Aに示された実施形態の、線11B−11Bによって囲まれた部分の拡大平面図である。図11Bに明確に示されたように、拡張器シャフト36の遠位端と案内用ワイヤ44とは針本体32の鋭利な斜切先端54を越えて延びており、偶発的な刺傷のおそれが阻止されている。
【0153】
上で述べたように、針本体32および拡張器シャフト36に相異なる縦横比の開口56,74があることで、針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74が整合して、血液が針の側面開口56および拡張器の側面開口74を通して実質的に遮られることなく流れる可能性が増大するであろう。
【0154】
以下のいくつかの実施形態では、1つの実施形態からの構造体であって別の実施形態からの構造体に類似している構造体には、独自の添字が含まれるそれぞれの実施形態と同一根の参照番号が共用されている(32,32A,32Bなど)。図12Aは、図8Bおよび図8Cに示された針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74の別の実施形態の平面図である。図12Bは、図12Aに描かれた実施形態の、線12B−12Bに沿った拡大断面図である。図12Aおよび図12Bには、長円形開口56Aのある針本体32Aと円形開口74Aのある拡張器シャフト36Aとが描かれている。他のいくつかの実施形態では、上記針には円形開口があってもよく、上記拡張器には長円形開口があってもよい。これらの実施形態によれば、開口56A,74Aが少なくとも実質的に整合して、血液が針の側面開口56Aおよび拡張器の側面開口74Aを通して流れる可能性が増大する。
【0155】
図13Aは、図8Bおよび図8Cに示された針本体32および拡張器シャフト36における開口56,74の別の実施形態の平面図である。図13Bは、図13Aに描かれた実施形態の、13B−13Bに沿った拡大断面図である。図13Aおよび図13Bには、円形開口56Bがある針本体32Bと、針本体32Bにおける円形開口56Bよりも大きい円形開口74Bがある拡張器シャフト36Bとが描かれている。他のいくつかの実施形態では、上記拡張器における開口は、上記針における開口よりも小さいものでもよい。これらの実施形態によれば、開口56B,74Bが少なくとも実質的に整合して、血液が針の側面開口56Bおよび拡張器の側面開口74Bを通して流れる可能性もまた増大する。
【0156】
上で述べたように、拡張器シャフト36には、シース本体40と拡張器シャフト36との間に導管または流路を形成するために、突条76同士の間に形成された1つ以上の通路156があってもよく、それによって、医師または医療サービス提供者は、針本体32の斜切先端54が血管を適切に穿刺した後に血液を観察することができ、または、上記通路は、突条によることなく、可能性のあるさまざまな構成の軸方向くぼみを押出加工することによって、または、上記拡張器シャフトまたは上記拡張器本体の内部に充分に囲まれた通路を形成することによって、形成することができる。
【0157】
図14Aは、図8Cに描かれた突条76の別の実施形態の平面図である。図14Bは、図8Dに描かれた突条76の別の実施形態の拡大断面図である。図14Aおよび図14Bには、シース本体40Cと拡張器シャフト36Cとの間に少なくとも1つの通路156Cを形成するシース本体40Cの内面158Cにおける2つの突条76Cが描かれている。
【0158】
図15Aは、図8Cに描かれた突条76の別の実施形態の平面図である。図15Bは、図8Dに描かれた突条76の別の実施形態の拡大断面図である。図15Aおよび図15Bには、シース本体40Dと拡張器シャフト36Dとの間に通路156Dを形成するために組み合わされる、シース本体40Dの内面158Dにおける2つの突条76Dと、拡張器シャフト36Dの外面160Dにおける2つの突条76Eとが描かれている。たとえば、所望の通路太さが約0.001インチであれば、シース本体40Dの内面158Dにおける2つの突条76Dはそれぞれ、約0.0005インチの太さであり、また、拡張器シャフト36Dの外面160Dにおける2つの突条76Eはそれぞれ、約0.0005インチの太さである。
【0159】
図16Aは、図8Cに描かれた突条76の別の実施形態の平面図である。図16Bは、図8Dに描かれた突条76の別の実施形態の拡大断面図である。図16Aおよび図16Bには、拡張器シャフト36Eの外面160Eにおける多くの突条が描かれている。隣接する突条同士の間はスプライン76Fである。これらのスプライン76Fによって、シース本体40Eと拡張器シャフト36Eとの間に複数の通路156Eが形成されている。これらの通路156Eの1つ以上には、同じスパン角Φがあってもよく、または異なったスパン角Φがあってもよい。図示されたこの実施形態では、これらの通路156Eには、120度および23度のスパン角Φがある。別の実施形態では、単一の突条76は拡張器の外面の周りにおいてその長さに沿ったらせん状のものであってもよい。
【0160】
図17は、この進入装置の別の実施形態における拡大断面図であり、相異なる形状を有している医療用品またはシース本体40Fと拡張器シャフト36Fとの間に形成された通路156Fを示している。図示されたこの実施形態では、拡張器シャフト36Fの外面は横断面が楕円形であり、シース本体40Fの内面は横断面が円形である。横断面が楕円形である拡張器シャフト36Fと、横断面が円形である隣接するシース本体40Fとによって、シース本体40Fと拡張器シャフト36Fとの間に1つ以上の通路または隙間156Fが形成されている。もちろん、シース本体40Fおよび拡張器シャフト36Fの形状は、断面が円形および楕円形に限定されることがなく、また、シース本体40Fおよび拡張器シャフト36Fの隣接領域同士における相異なる形状同士の他の任意の組み合わせを含んでいてもよい。いくつかのモードでは、拡張器シャフト36Fの外面は断面が楕円形であり、シース本体または医療用品40Fの内面は断面が円形である。いくつかのモードでは、拡張器シャフト36Fの外面は断面が円形であり、医療用品40Fの内面は断面が楕円形である。隙間または通路156Fは、長手軸、この長手軸に沿ったらせん状通路、この長手軸に沿った直線状通路、またはこの進入装置に沿った他の通路に従うことができる。いくつかのモードでは、上記直線状通路は上記長手軸に対して平行である。隙間または通路156Fの太さは、隙間または通路156Fの長さの少なくとも一部に沿って変化していてもよい。
【0161】
他のいくつかの実施形態では、通路156は、上記シースの内面における1つの完全な突条と上記拡張器の外面における1つの完全な突条とを備えていることによって、形成することができる。他のいくつかの実施形態では、上記シースの内面には通路156の長さの50%を延びる2つの突条があり、また、上記拡張器の外面には通路156の長さの残り50%を延びる2つの突条がある。
【0162】
この明細書において説明されたこれらの実施形態は、慣用の生体適合性材料から構成されている。たとえば、上記針は、セラミック、硬質ポリマー、または、ステンレス鋼、ニチノールなどのような金属からなっているのが好ましい。他の諸要素は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマーおよびパーフルオロ(エチレン−プロピレン)コポリマーのようなコポリマー、ポリウレタンポリマーまたはコポリマーのような適切なポリマー材料から形成することができる。
【0163】
上で述べたように、この進入装置は、カテーテルを患者の体内における他の部位へ配置するために使用することができる。したがって、たとえば、この進入装置は、膿瘍から流体を排出するために、気胸から空気を排出するために、また、腹腔へ進入するために、さまざまなカテーテルとして、またはさまざまなカテーテルとともに使用することができるが、これらに限定されるものではない。そのような用途では、体液は、上記針が適切に配置された時点を表示するために、観察空間へ流入する。
【0164】
この発明はいくつかの好ましい実施形態および実施例の状況で開示されてきたが、この発明が、具体的に開示された実施形態を越えて他の代替実施形態および/または発明の使用および明らかな改造およびその同等物まで及ぶ、ということは当業者によって理解されるであろう。加えて、この発明のいくつかの変形例が示され、かつ、詳細に説明されてきたが、この発明の適用範囲の内部にある他の改造は、この開示に基づいて当業者に容易に明らかであろう。これらの実施形態の特定の諸構成および諸観点のさまざまな主結合または副結合は、これらを行うことができるとともに、この発明の適用範囲の内部になお属している、ということが予想される。したがって、開示されたこれらの実施形態のさまざまな構成および観点は、開示された発明の変形モードを形成するために、互いに組み合わせたり、置き換えたりすることができる、ということを理解すべきである。すなわち、この明細書に開示されたこの発明の適用範囲は、上で述べられた特定の開示実施形態によって限定されるべきではなく、この開示および以下の特許請求の範囲の公正な読み取りによってだけ決定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端がある細長い針本体と、この針本体がそこから延びているハブとを有している針、
前記針本体の表面に配置された拡張器であって、前記針とこの拡張器とが、前記針の遠位端がこの拡張器の遠位に位置する第1位置と前記針の遠位端がこの拡張器の内部に位置する第2位置との間で互いに移動可能であり、この拡張器が、拡張器ハブと、この拡張器ハブから延びている細長い拡張器シャフトとを含んでいる拡張器、および
前記第2位置にあるときに前記拡張器に対する前記針の移動を阻止するために前記針と前記拡張器との間で作動するロック機構であって、前記第1位置から前記第2位置への前記針の移動がこの移動に対する抵抗を小さくするためにこのロック機構による係合なしで可能になるように構成されているロック機構
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項2】
前記針の長手方向長さは、前記拡張器の長手方向長さよりも長く、かつ、前記第1位置と前記第2位置との間の距離は、前記針の長手方向長さよりも短い、請求項1に記載の進入装置。
【請求項3】
前記拡張器の表面に配置された医療用品を付加的に備えており、前記医療用品および前記拡張器は、互いに対して移動可能である、請求項1に記載の進入装置。
【請求項4】
前記医療用品は、カテーテルである、請求項1に記載の進入装置。
【請求項5】
前記医療用品は、シースである、請求項1に記載の進入装置。
【請求項6】
前記シースは、カテーテルの少なくとも一部を受け入れるように構成されている、請求項5に記載の進入装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、前記拡張器ハブの近位側面に支持されかつ前記拡張器ハブから間隔を置いて配置された第1部材と、前記針によって支持された第2部材とを備えており、第1部材および第2部材は、前記針ハブが前記拡張器ハブから離れた距離だけ移動されると互いに係合するように構成されており、前記距離は、前記針のハブおよび前記拡張器のハブが並置されると前記針本体の遠位端が前記拡張器を越えて延びる距離よりも長い、請求項1に記載の進入装置。
【請求項8】
細長い支持体が、前記ロック機構の前記第1部材を、前記拡張器ハブから間隔を置いて配置された箇所で懸架している、請求項7に記載の進入装置。
【請求項9】
前記細長い支持体および前記針ハブは、前記針が前記細長い支持体に沿ってスライドするように協働用構造体を含んでいる、請求項8に記載の進入装置。
【請求項10】
前記細長い支持体は、前記拡張器ハブへ回転可能に連結されている、請求項9に記載の進入装置。
【請求項11】
前記細長い支持体は、前記針本体の長手軸に対して概ね平行に位置している、請求項8に記載の進入装置。
【請求項12】
前記細長い支持体は、前記拡張器ハブの前記近位側面へ延びている、請求項8に記載の進入装置。
【請求項13】
案内用ワイヤキャップから遠位へ延びている案内用ワイヤを付加的に備えており、前記案内用ワイヤキャップは、前記細長い支持体へ取り外し可能に連結されている、請求項8に記載の進入装置。
【請求項14】
前記案内用ワイヤキャップは、前前記ロック機構の前記第1部材の直近である箇所で前記細長い支持体に係合している、請求項13に記載の進入装置。
【請求項15】
前記針本体は、少なくとも1つの開窓を含んでおり、また、前記拡張器シャフトは、前記針の開窓に通じる少なくとも1つの開窓を含んでいる、請求項1に記載の進入装置。
【請求項16】
前記開窓の1つは、少なくとも1つの方向において、前記開窓の他の1つよりも大きい寸法を有している、請求項15に記載の進入装置。
【請求項17】
前記拡張器シャフトに対して同軸に配置された医療用品と、前記拡張器シャフトと前記医療用品との間に形成され、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路とを付加的に備え、前記通路が、前記拡張器シャフトにおける前記開窓に通じており、かつ、前記拡張器シャフトの長さに対して垂直である方向に、前記拡張器シャフトの最大外径よりも小さい寸法を有している、請求項15に記載の進入装置。
【請求項18】
前記拡張器シャフトに対して同軸に配置された医療用品と、前記拡張器シャフトと前記医療用品との間に形成され、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路とを付加的に備え、前記通路が、前記拡張器シャフトにおける前記開窓に通じており、かつ、前記拡張器の長手軸に対して360度よりも小さいスパン角を有している、請求項15に記載の進入装置。
【請求項19】
長手軸を有していて遠位先端がある針本体と、この針本体がそこから延びている針ハブとを含んでいる針、
拡張器シャフトと拡張器ハブとを含んでおり、拡張器シャフトが、前記針本体の表面に配置され、かつ、前記針本体に沿ってスライド可能であり、拡張器ハブが、前記針ハブの遠位に配置されている拡張器、
管状部分とハブとを備え、管状部分が、前記拡張器の表面に配置され、かつ、前記拡張器に沿ってスライド可能であり、ハブが、拡張器ハブの遠位に配置されている医療用品、
前記拡張器ハブから近位方向に延びているトラック、および
前記拡張器に対する前記針の近位移動を選択的に阻止するように、前記トラックと前記針との間に作動可能に配置されたロック機構
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項20】
前記針は、前記トラックに係合する少なくとも1つの中子を備えている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項21】
前記トラックは、前記拡張器ハブの長手軸の周りに回転可能である、請求項19に記載の進入装置。
【請求項22】
前記ロック機構は、前記トラックから突出する少なくとも1つのフィンガー要素を備えている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項23】
前記トラックの幅は、その長手方向長さに沿って変化している、請求項19に記載の進入装置。
【請求項24】
前記針は、前記トラックの少なくとも一部に沿って第1位置と第2位置との間でスライドするように構成され、前記第2位置は、前記第1位置の近位側面の表面にあり、前記ロック機構は、前記針が前記第2位置にあるときに前記針のさらなる近位移動を阻止している、請求項19に記載の進入装置。
【請求項25】
前記拡張器の長手方向長さは、前記針が少なくとも前記第2位置にあるときに前記針本体の前記遠位先端が前記拡張器の内部に位置するように、充分に長い、請求項24に記載の進入装置。
【請求項26】
前記ロック機構は、前記トラックにおける長穴から構成され、この長穴は、長手軸に対して垂直に配置され、かつ、前記針が少なくとも前記第2位置にあるときに前記針の前記少なくとも1つの中子を受け入れるように構成されている、請求項24に記載の進入装置。
【請求項27】
案内用ワイヤをさらに備え、前記針本体と前記案内用ワイヤとが、前記針本体の少なくとも一部を通してスライドすることができるように前記案内用ワイヤと同軸に配置されている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項28】
前記案内用ワイヤは、ワイヤとハブとから構成され、そのハブが前記針ハブと係合するように構成されている、請求項27に記載の進入装置。
【請求項29】
前記トラックと前記案内用ワイヤハブとの間に作動可能に配置された第2ロック機構をさらに備え、この第2ロック機構は、前記案内用ワイヤが前記針本体を通してスライドすると前記案内用ワイヤハブが遠位方向に移動することができるように、前記トラックから前記案内用ワイヤハブを選択的に取り外すように構成されている、請求項28に記載の進入装置。
【請求項30】
前記第2ロック機構は、
前記トラックから突出しているとともに、前記トラックに対する近位方向における前記ハブの長手方向移動を阻止するように構成された要素、
この要素の遠位側面において前記トラックから突出する少なくとも1つのアームであって、前記トラックに対する少なくとも側方方向における前記ハブの移動を選択的に阻止するように構成されている少なくとも1つのアーム、および
前記少なくとも1つのアームの遠位側面において前記トラックから突出する止め部であって、前記トラックに対する遠位方向における前記ハブの長手方向移動を選択的に阻止するように構成されている止め部
を備えている、請求項29に記載の進入装置。
【請求項31】
前記トラックは、前記拡張器へ回転可能に接続されている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項32】
前記針ハブと前記拡張器ハブとの間で第3ロック機構が作動する、請求項19に記載の進入装置。
【請求項33】
前記第3ロック機構は、前記針と前記拡張器ハブとの間の相対回転運動によってロック解除され、また、前記針ハブは、前記拡張器ハブの外面の上方へ突出する長手タブを含んでいる、請求項32に記載の進入装置。
【請求項34】
前記針本体は、斜切状遠位先端を含み、また、前記タブは、前記斜切面が形成された前記針本体の側面に対応する前記針ハブの側面に位置している、請求項33に記載の進入装置。
【請求項35】
遠位端と第1開窓とを有している針、
この針の表面に、かつ、この針に沿ってスライド可能に配置され、第2開窓を有しており、前記第1開窓および前記第2開窓の一方が、少なくとも1つの方向において、前記方向における前記第1開窓および前記第2開窓の他方よりも大きい寸法を有している拡張器、および
前記拡張器にわたって、同軸に配置されており、かつ、長手方向に移動可能である医療用品
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの方向は、長手方向である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項37】
前記少なくとも1つの方向は、円周方向である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項38】
前記第1開窓の形状が長円形であり、前記第2開窓の形状が円形である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項39】
前記第1開窓および前記第2開窓のそれぞれの形状が長円形である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項40】
長円形の前記第1開窓が長円形の前記第2開窓に対して概ね垂直に配置されている、請求項35に記載の進入装置。
【請求項41】
遠位端と少なくとも1つの開窓とを有している針、
この針の少なくとも一部の表面に配置されたシャフトを含んでいる拡張器、
この拡張器の少なくとも一部の表面に配置された医療用品、および
前記針と前記医療用品の外面との間に配置され、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路
を備えてなり、
この通路が、前記針における前記開窓に通じており、かつ、前記拡張器の長手軸に対して360度よりも小さいスパン角を有している
医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項42】
前記拡張器が第2開窓を備え、この第2開窓が前記針における前記開窓に通じている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項43】
前記第2開窓の少なくとも一部が前記拡張器における前記開窓の一部に整合している、請求項42に記載の進入装置。
【請求項44】
前記通路は、前記拡張器と前記医療用品との間に配置されている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項45】
前記通路は、前記拡張器シャフトの外面に形成された少なくとも1つの長手溝によって、少なくとも一部分に画定されている、請求項44に記載の進入装置。
【請求項46】
前記溝は、およそ120度のスパン角を有している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項47】
前記溝の少なくとも一部は、約0.001インチの半径寸法を有している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項48】
前記長手溝は、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも一部に沿ったらせん状通路に従っている、請求項44に記載の進入装置。
【請求項49】
前記拡張器シャフトの外面における前記他の溝に対して直径に沿って対向配置された第2長手溝を付加的に備えている、請求項44に記載の進入装置。
【請求項50】
前記溝は、前記拡張器シャフトの長さよりも短い長手方向長さを有している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項51】
前記溝の遠位端が前記拡張器の遠位端の近位に位置している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項52】
その拡張器がその針の少なくとも一部に対して同軸に配置されている針・拡張器組立体を患者から取り外す方法であって、
針を拡張器に対して、針の遠位端が拡張器の遠位に位置している第1位置から針の遠位端が拡張器の内部に位置している第2位置まで移動させるステップ、および
針がいったん前記第2位置に到ると、拡張器に対する針のさらなる移動を阻止するステップ
を含んでいる、針・拡張器組立体を患者から取り外す方法。
【請求項53】
前記針が前記第1位置にあるときに概ね整合した開窓を通して流体を導くステップ、および、前記針が前記第2位置にあるときに前記拡張器における開窓と前記針における開窓とを非整合状態にするステップを付加的に含んでいる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記針が前記第1位置にあるときに前記針を前記拡張器へロックするステップをさらに含んでいる、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記針をロックするステップは、前記針を前記拡張器に対して共通軸の周りに回転させることからなっている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
遠位端と長手軸とを有している針、
この針の少なくとも一部の表面に配置され、かつ、外面を有している拡張器、および
この拡張器の少なくとも一部の表面に配置され、かつ、内面を有している医療用品
を備えてなり、
前記医療用品の前記内面の少なくとも一部が、前記長手軸に沿って延びている隙間をそれらの間に形成するために、前記拡張器の外面の隣接部分とは似ていない形状を有している、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項57】
前記拡張器の前記外面が長円形であり、前記医療用品の前記内面が円形である、請求項56に記載の進入装置。
【請求項58】
前記拡張器の前記外面が円形であり、前記医療用品の前記内面が正方形である、請求項56に記載の進入装置。
【請求項59】
前記隙間は、前記長手軸に沿ったらせん状通路に従っている、請求項56に記載の進入装置。
【請求項60】
前記隙間は、前記長手軸に沿った直線状通路に従っている、請求項56に記載の進入装置。
【請求項61】
前記直線状通路は、前記長手軸に対して平行である、請求項60に記載の進入装置。
【請求項62】
前記隙間の太さが前記隙間の長さの少なくとも一部に沿って変化している、請求項56に記載の進入装置。
【請求項63】
前記医療用品および前記拡張器の一方が溝の付いた面を含んでいる、請求項56に記載の進入装置。
【請求項1】
遠位端がある細長い針本体と、この針本体がそこから延びているハブとを有している針、
前記針本体の表面に配置された拡張器であって、前記針とこの拡張器とが、前記針の遠位端がこの拡張器の遠位に位置する第1位置と前記針の遠位端がこの拡張器の内部に位置する第2位置との間で互いに移動可能であり、この拡張器が、拡張器ハブと、この拡張器ハブから延びている細長い拡張器シャフトとを含んでいる拡張器、および
前記第2位置にあるときに前記拡張器に対する前記針の移動を阻止するために前記針と前記拡張器との間で作動するロック機構であって、前記第1位置から前記第2位置への前記針の移動がこの移動に対する抵抗を小さくするためにこのロック機構による係合なしで可能になるように構成されているロック機構
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項2】
前記針の長手方向長さは、前記拡張器の長手方向長さよりも長く、かつ、前記第1位置と前記第2位置との間の距離は、前記針の長手方向長さよりも短い、請求項1に記載の進入装置。
【請求項3】
前記拡張器の表面に配置された医療用品を付加的に備えており、前記医療用品および前記拡張器は、互いに対して移動可能である、請求項1に記載の進入装置。
【請求項4】
前記医療用品は、カテーテルである、請求項1に記載の進入装置。
【請求項5】
前記医療用品は、シースである、請求項1に記載の進入装置。
【請求項6】
前記シースは、カテーテルの少なくとも一部を受け入れるように構成されている、請求項5に記載の進入装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、前記拡張器ハブの近位側面に支持されかつ前記拡張器ハブから間隔を置いて配置された第1部材と、前記針によって支持された第2部材とを備えており、第1部材および第2部材は、前記針ハブが前記拡張器ハブから離れた距離だけ移動されると互いに係合するように構成されており、前記距離は、前記針のハブおよび前記拡張器のハブが並置されると前記針本体の遠位端が前記拡張器を越えて延びる距離よりも長い、請求項1に記載の進入装置。
【請求項8】
細長い支持体が、前記ロック機構の前記第1部材を、前記拡張器ハブから間隔を置いて配置された箇所で懸架している、請求項7に記載の進入装置。
【請求項9】
前記細長い支持体および前記針ハブは、前記針が前記細長い支持体に沿ってスライドするように協働用構造体を含んでいる、請求項8に記載の進入装置。
【請求項10】
前記細長い支持体は、前記拡張器ハブへ回転可能に連結されている、請求項9に記載の進入装置。
【請求項11】
前記細長い支持体は、前記針本体の長手軸に対して概ね平行に位置している、請求項8に記載の進入装置。
【請求項12】
前記細長い支持体は、前記拡張器ハブの前記近位側面へ延びている、請求項8に記載の進入装置。
【請求項13】
案内用ワイヤキャップから遠位へ延びている案内用ワイヤを付加的に備えており、前記案内用ワイヤキャップは、前記細長い支持体へ取り外し可能に連結されている、請求項8に記載の進入装置。
【請求項14】
前記案内用ワイヤキャップは、前前記ロック機構の前記第1部材の直近である箇所で前記細長い支持体に係合している、請求項13に記載の進入装置。
【請求項15】
前記針本体は、少なくとも1つの開窓を含んでおり、また、前記拡張器シャフトは、前記針の開窓に通じる少なくとも1つの開窓を含んでいる、請求項1に記載の進入装置。
【請求項16】
前記開窓の1つは、少なくとも1つの方向において、前記開窓の他の1つよりも大きい寸法を有している、請求項15に記載の進入装置。
【請求項17】
前記拡張器シャフトに対して同軸に配置された医療用品と、前記拡張器シャフトと前記医療用品との間に形成され、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路とを付加的に備え、前記通路が、前記拡張器シャフトにおける前記開窓に通じており、かつ、前記拡張器シャフトの長さに対して垂直である方向に、前記拡張器シャフトの最大外径よりも小さい寸法を有している、請求項15に記載の進入装置。
【請求項18】
前記拡張器シャフトに対して同軸に配置された医療用品と、前記拡張器シャフトと前記医療用品との間に形成され、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路とを付加的に備え、前記通路が、前記拡張器シャフトにおける前記開窓に通じており、かつ、前記拡張器の長手軸に対して360度よりも小さいスパン角を有している、請求項15に記載の進入装置。
【請求項19】
長手軸を有していて遠位先端がある針本体と、この針本体がそこから延びている針ハブとを含んでいる針、
拡張器シャフトと拡張器ハブとを含んでおり、拡張器シャフトが、前記針本体の表面に配置され、かつ、前記針本体に沿ってスライド可能であり、拡張器ハブが、前記針ハブの遠位に配置されている拡張器、
管状部分とハブとを備え、管状部分が、前記拡張器の表面に配置され、かつ、前記拡張器に沿ってスライド可能であり、ハブが、拡張器ハブの遠位に配置されている医療用品、
前記拡張器ハブから近位方向に延びているトラック、および
前記拡張器に対する前記針の近位移動を選択的に阻止するように、前記トラックと前記針との間に作動可能に配置されたロック機構
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項20】
前記針は、前記トラックに係合する少なくとも1つの中子を備えている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項21】
前記トラックは、前記拡張器ハブの長手軸の周りに回転可能である、請求項19に記載の進入装置。
【請求項22】
前記ロック機構は、前記トラックから突出する少なくとも1つのフィンガー要素を備えている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項23】
前記トラックの幅は、その長手方向長さに沿って変化している、請求項19に記載の進入装置。
【請求項24】
前記針は、前記トラックの少なくとも一部に沿って第1位置と第2位置との間でスライドするように構成され、前記第2位置は、前記第1位置の近位側面の表面にあり、前記ロック機構は、前記針が前記第2位置にあるときに前記針のさらなる近位移動を阻止している、請求項19に記載の進入装置。
【請求項25】
前記拡張器の長手方向長さは、前記針が少なくとも前記第2位置にあるときに前記針本体の前記遠位先端が前記拡張器の内部に位置するように、充分に長い、請求項24に記載の進入装置。
【請求項26】
前記ロック機構は、前記トラックにおける長穴から構成され、この長穴は、長手軸に対して垂直に配置され、かつ、前記針が少なくとも前記第2位置にあるときに前記針の前記少なくとも1つの中子を受け入れるように構成されている、請求項24に記載の進入装置。
【請求項27】
案内用ワイヤをさらに備え、前記針本体と前記案内用ワイヤとが、前記針本体の少なくとも一部を通してスライドすることができるように前記案内用ワイヤと同軸に配置されている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項28】
前記案内用ワイヤは、ワイヤとハブとから構成され、そのハブが前記針ハブと係合するように構成されている、請求項27に記載の進入装置。
【請求項29】
前記トラックと前記案内用ワイヤハブとの間に作動可能に配置された第2ロック機構をさらに備え、この第2ロック機構は、前記案内用ワイヤが前記針本体を通してスライドすると前記案内用ワイヤハブが遠位方向に移動することができるように、前記トラックから前記案内用ワイヤハブを選択的に取り外すように構成されている、請求項28に記載の進入装置。
【請求項30】
前記第2ロック機構は、
前記トラックから突出しているとともに、前記トラックに対する近位方向における前記ハブの長手方向移動を阻止するように構成された要素、
この要素の遠位側面において前記トラックから突出する少なくとも1つのアームであって、前記トラックに対する少なくとも側方方向における前記ハブの移動を選択的に阻止するように構成されている少なくとも1つのアーム、および
前記少なくとも1つのアームの遠位側面において前記トラックから突出する止め部であって、前記トラックに対する遠位方向における前記ハブの長手方向移動を選択的に阻止するように構成されている止め部
を備えている、請求項29に記載の進入装置。
【請求項31】
前記トラックは、前記拡張器へ回転可能に接続されている、請求項19に記載の進入装置。
【請求項32】
前記針ハブと前記拡張器ハブとの間で第3ロック機構が作動する、請求項19に記載の進入装置。
【請求項33】
前記第3ロック機構は、前記針と前記拡張器ハブとの間の相対回転運動によってロック解除され、また、前記針ハブは、前記拡張器ハブの外面の上方へ突出する長手タブを含んでいる、請求項32に記載の進入装置。
【請求項34】
前記針本体は、斜切状遠位先端を含み、また、前記タブは、前記斜切面が形成された前記針本体の側面に対応する前記針ハブの側面に位置している、請求項33に記載の進入装置。
【請求項35】
遠位端と第1開窓とを有している針、
この針の表面に、かつ、この針に沿ってスライド可能に配置され、第2開窓を有しており、前記第1開窓および前記第2開窓の一方が、少なくとも1つの方向において、前記方向における前記第1開窓および前記第2開窓の他方よりも大きい寸法を有している拡張器、および
前記拡張器にわたって、同軸に配置されており、かつ、長手方向に移動可能である医療用品
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの方向は、長手方向である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項37】
前記少なくとも1つの方向は、円周方向である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項38】
前記第1開窓の形状が長円形であり、前記第2開窓の形状が円形である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項39】
前記第1開窓および前記第2開窓のそれぞれの形状が長円形である、請求項35に記載の進入装置。
【請求項40】
長円形の前記第1開窓が長円形の前記第2開窓に対して概ね垂直に配置されている、請求項35に記載の進入装置。
【請求項41】
遠位端と少なくとも1つの開窓とを有している針、
この針の少なくとも一部の表面に配置されたシャフトを含んでいる拡張器、
この拡張器の少なくとも一部の表面に配置された医療用品、および
前記針と前記医療用品の外面との間に配置され、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも実質的部分に沿って延びる少なくとも1つの細長い通路
を備えてなり、
この通路が、前記針における前記開窓に通じており、かつ、前記拡張器の長手軸に対して360度よりも小さいスパン角を有している
医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項42】
前記拡張器が第2開窓を備え、この第2開窓が前記針における前記開窓に通じている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項43】
前記第2開窓の少なくとも一部が前記拡張器における前記開窓の一部に整合している、請求項42に記載の進入装置。
【請求項44】
前記通路は、前記拡張器と前記医療用品との間に配置されている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項45】
前記通路は、前記拡張器シャフトの外面に形成された少なくとも1つの長手溝によって、少なくとも一部分に画定されている、請求項44に記載の進入装置。
【請求項46】
前記溝は、およそ120度のスパン角を有している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項47】
前記溝の少なくとも一部は、約0.001インチの半径寸法を有している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項48】
前記長手溝は、前記拡張器シャフトの長さの少なくとも一部に沿ったらせん状通路に従っている、請求項44に記載の進入装置。
【請求項49】
前記拡張器シャフトの外面における前記他の溝に対して直径に沿って対向配置された第2長手溝を付加的に備えている、請求項44に記載の進入装置。
【請求項50】
前記溝は、前記拡張器シャフトの長さよりも短い長手方向長さを有している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項51】
前記溝の遠位端が前記拡張器の遠位端の近位に位置している、請求項44に記載の進入装置。
【請求項52】
その拡張器がその針の少なくとも一部に対して同軸に配置されている針・拡張器組立体を患者から取り外す方法であって、
針を拡張器に対して、針の遠位端が拡張器の遠位に位置している第1位置から針の遠位端が拡張器の内部に位置している第2位置まで移動させるステップ、および
針がいったん前記第2位置に到ると、拡張器に対する針のさらなる移動を阻止するステップ
を含んでいる、針・拡張器組立体を患者から取り外す方法。
【請求項53】
前記針が前記第1位置にあるときに概ね整合した開窓を通して流体を導くステップ、および、前記針が前記第2位置にあるときに前記拡張器における開窓と前記針における開窓とを非整合状態にするステップを付加的に含んでいる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記針が前記第1位置にあるときに前記針を前記拡張器へロックするステップをさらに含んでいる、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記針をロックするステップは、前記針を前記拡張器に対して共通軸の周りに回転させることからなっている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
遠位端と長手軸とを有している針、
この針の少なくとも一部の表面に配置され、かつ、外面を有している拡張器、および
この拡張器の少なくとも一部の表面に配置され、かつ、内面を有している医療用品
を備えてなり、
前記医療用品の前記内面の少なくとも一部が、前記長手軸に沿って延びている隙間をそれらの間に形成するために、前記拡張器の外面の隣接部分とは似ていない形状を有している、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項57】
前記拡張器の前記外面が長円形であり、前記医療用品の前記内面が円形である、請求項56に記載の進入装置。
【請求項58】
前記拡張器の前記外面が円形であり、前記医療用品の前記内面が正方形である、請求項56に記載の進入装置。
【請求項59】
前記隙間は、前記長手軸に沿ったらせん状通路に従っている、請求項56に記載の進入装置。
【請求項60】
前記隙間は、前記長手軸に沿った直線状通路に従っている、請求項56に記載の進入装置。
【請求項61】
前記直線状通路は、前記長手軸に対して平行である、請求項60に記載の進入装置。
【請求項62】
前記隙間の太さが前記隙間の長さの少なくとも一部に沿って変化している、請求項56に記載の進入装置。
【請求項63】
前記医療用品および前記拡張器の一方が溝の付いた面を含んでいる、請求項56に記載の進入装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図8J】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図8J】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【公表番号】特表2010−524590(P2010−524590A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504300(P2010−504300)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060930
【国際公開番号】WO2008/131300
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(507324142)アクセス サイエンティフィック、インク. (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060930
【国際公開番号】WO2008/131300
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(507324142)アクセス サイエンティフィック、インク. (7)
【Fターム(参考)】
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