説明

進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法

【課題】設計作業の各フェーズでの設計の困難性を考慮して進捗状況を管理すること。
【解決手段】グラフ100は、設計作業の作業時間とその進捗率との相関をあらわしている。グラフ100において、フェーズ1では、レイアウトや新規の機構を考えるために、作業時間に対してCAD操作があまり進まない。フェーズ2では、一気にCAD操作が進み、それにともなって進捗率が一気に増える。フェーズ3では、出図前のチェックや訂正に時間がかかるため、CAD操作の速度が鈍化し、フィーチャ数の増加が緩やかになる。このように、設計作業の進捗率は、作業時間の経過とともに単純に増加するものではなく、各フェーズにおける設計の困難性に応じて増加する。そこで、作業時間に対する進捗率の勾配をフェーズごとに変えることにより、設計作業の各フェーズでの設計の困難性を考慮して進捗状況を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業の進捗状況を管理する技術に関し、特に、CAD(Computer Aided Design)図面に関する設計作業の進捗状況を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品開発では、設計の手戻りを防ぐために、管理者の管理端末において、各設計者による設計作業の進捗状況を把握し、適切なアドバイスを設計者に与えることで、設計上の問題を早期に解決することが重要である。このため、外部から設計作業の進捗状況を定量的に把握するための技術が望まれていた。
【0003】
そこで、従来において、設計作業の進捗状況を管理する管理端末において、所定の時間間隔で図面データおよびその画像データを取得し、完成までの進捗度を算出したあと、画像データと進捗度とを合わせて表示する技術が開示されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−190199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、設計作業の各フェーズにおける設計の困難性を考慮して、作業時間に対する進捗状況を判断することは難しいという問題があった。たとえば、初期フェーズでは、製品のレイアウトや新規機構を考えるため、作業時間に対してCAD操作があまり進まない。それ故に、このような設計作業の実情を管理者が理解して、進捗状況の妥当性を判断する必要があった。
【0006】
この妥当性の判断には、設計に対する知識が必要となるだけでなく、各フェーズにおける設計の困難性を理解し、各設計者の設計作業の内容を詳細に把握する必要がある。これでは、進捗管理にかかる管理者の負担が増大するとともに、進捗状況の把握が曖昧となる場合があった。このため、依然として設計の手戻りを防ぐことができず、設計期間の長期化を招くという問題があった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、設計作業の各フェーズでの設計の困難性を考慮して進捗状況を管理することで、設計の手戻りを防止し、設計期間の短縮化を図ることができる進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法は、管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得し、取得された確定済みの作業工数の前記一連の作業工数に対する比率を算出し、作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、算出された比率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出し、抽出された現時点のフェーズの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出し、算出された目標作業時間と取得された累積作業時間とを比較し、比較された比較結果を出力することを要件とする。
【0009】
この進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法によれば、作業時間に対する進捗率の勾配をフェーズごとに変えて、設計作業の進捗状況を判断することができる。
【発明の効果】
【0010】
この進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法によれば、設計作業の各フェーズでの設計の困難性を考慮して進捗状況を管理することで、設計の手戻りを防止し、設計期間の短縮化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。この進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法では、作業時間に対する進捗率の勾配をフェーズごとに変えることにより、各フェーズにおける設計の困難性に応じて進捗状況を判断することができ、設計作業の実情に合った適切な進捗管理をおこなうことができる。
【0012】
なお、本明細書において、進捗管理装置とは進捗管理サーバであり、進捗管理プログラムとは進捗管理サーバにインストールされたプログラムである。ただし、進捗管理プログラムは、管理端末またはCAD端末にインストールされていてもよい。
【0013】
(進捗管理の概要)
まず、本実施の形態にかかる進捗管理の概要について説明する。ここでは、3次元CADの設計作業の進捗管理を例に挙げる。図1は、作業時間に対する進捗率の変動グラフを示す説明図である。グラフ100は、設計作業の作業時間とその進捗率との相関をあらわしている。なお、グラフ100の横軸は設計作業の作業時間[H]であり、縦軸はその進捗率[%]である。
【0014】
ここで、進捗率とは、設計対象の完成までに要するCADのフィーチャ数(履歴数)と設計済みのフィーチャ数とを用いて得られる指標である。フィーチャとは、基本形状およびパラメータ(寸法など)によって表現され、特定の形状に対して予め決められた操作を実行することで作成されるモデルである。
【0015】
フィーチャとしては、たとえば、フィレット、シェル、面取り穴、ボス、リブなどがある。設計対象の最終形状は、複数のフィーチャで構成されることになる。また、図1中、H1、H2はグラフ100の傾きが変わる変曲点をあらわしている。さらに、図1中、Tは設計作業にかかる目標作業時間をあらわしている。
【0016】
グラフ100において、まず、フェーズ1(進捗率:0〜20[%])では、レイアウトや新規の機構を考えるために、作業時間に対してCAD操作があまり進まない。なお、フェーズとは、設計作業全体を進捗率で区分する作業段階である。フェーズ1では、製品の構造を決定する重要な部品の形状を決定することとなる。
【0017】
フェーズ2(進捗率:20〜80[%])では、一気にCAD操作が進み、それにともなって進捗率が一気に増える。フェーズ2では、フェーズ1で決定された形状に対して、付随的に付加するブラケットや逃げのための切り欠きなどを作成する単純作業をおこなうため、CAD操作が一気に進む。
【0018】
フェーズ3(進捗率:80〜100[%])では、出図前のチェックや訂正に時間がかかるため、CAD操作の速度が鈍化し、フィーチャ数の増加が緩やかになる。このように、設計作業の進捗率は、作業時間の経過とともに単純に増加するものではなく、各フェーズ1〜3における設計の困難性に応じて増加する。
【0019】
そこで、本進捗管理では、作業時間に対する進捗率の勾配をフェーズごとに変えることにより、設計作業の各フェーズでの設計の困難性を考慮して進捗状況を管理する。これにより、設計作業の進捗状況を適切に判断することができ、設計作業の実情に合った進捗管理を可能とし、設計作業の効率化を図る。
【0020】
また、設計作業全体を区分する各フェーズの進捗率は、設計対象の難易度に応じて変化する。ここで、難易度とは、設計対象の完成までに必要となるCADのフィーチャ数によって決まる指標である。ここではフィーチャ数が多いほど難易度は高くなる。図2は、難易度が異なる設計対象の変動グラフを示す説明図である。
【0021】
図2において、グラフ210は、難易度が低い設計対象に関する設計作業の作業時間とその進捗率との相関をあらわしている。図2中、H3、H4はグラフ210の変曲点をあらわしている。さらに、図2中、T1は設計作業にかかる目標作業時間をあらわしている。
【0022】
また、グラフ220は、難易度が高い設計対象に関する設計作業の作業時間とその進捗率との相関をあらわしている。図2中、H5、H6はグラフ220の変曲点をあらわしている。さらに、図2中、T2は設計作業にかかる目標作業時間をあらわしている(ただし、T1<T2)。
【0023】
グラフ210、220に示すように、設計作業全体を区分する各フェーズ1〜3の進捗率は、設計対象の難易度に応じて変化している。たとえば、作業時間に対してCAD操作があまり進まないフェーズ1は、難易度が低い設計対象の0〜10[%]に対して、難易度が高い設計対象では0〜30[%]となっている。それ故に、グラフ210、220の軌跡は、大きく異なるものとなっている。
【0024】
そこで、本進捗管理では、設計作業の難しさをあらわす難易度ごとに、フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を変えることにより、設計対象の難易度を考慮して進捗状況を管理する。これにより、設計作業の進捗状況を、設計対象の難易度に応じて適切に判断することができる。
【0025】
また、設計作業の作業時間に対する進捗率の増加は、設計者のスキルレベルに応じて変化する。図3は、スキルレベルの異なる設計者の変動グラフを示す説明図である。図3において、グラフ310は、スキルレベルが高いベテランの作業時間とその進捗率との相関をあらわしている。図3中、H7、H8はグラフ310の変曲点をあらわしている。さらに、図3中、T3は設計作業にかかる目標作業時間をあらわしている。
【0026】
また、グラフ320は、スキルレベルが低い新人の作業時間とその進捗率との相関をあらわしている。図3中、H9、H10はグラフ320の変曲点をあらわしている。さらに、図3中、T4は設計作業にかかる目標作業時間をあらわしている(ただし、T3<T4)。
【0027】
グラフ310、320に示すように、設計作業の作業時間に対する進捗率の増加は、設計者のスキルレベルに応じて変化する。たとえば、グラフ310において1度目の変曲点となる作業時間taは、グラフ320において1度目の変曲点となる作業時間tbよりも短い。これは、ベテランの設計者が、新人の設計者に比べて作業効率が高いことを示しいている。
【0028】
そこで、本進捗管理では、設計者のスキルレベルを考慮して進捗状況を管理する。これにより、設計作業の進捗状況を、設計者のスキルレベルに応じて適切に判断することができる。
【0029】
(CADシステムのシステム構成)
つぎに、本実施の形態にかかるCADシステムのシステム構成について説明する。図4は、CADシステムのシステム構成図である。図4において、CADシステム400は、進捗管理サーバ401と、管理端末402と、CAD端末403−1〜403−Nとがインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク410を介して接続されている。
【0030】
進捗管理サーバ401は、図6〜図10に示す各種データベースなどを備え、各設計者の設計作業の進捗状況を管理するコンピュータ装置である。管理端末402は、CADシステム400の管理者が使用するコンピュータ装置であり、各設計者の設計作業の進捗状況を出力する機能を有する。CAD端末403−1〜403−Nは、設計者が使用するコンピュータ装置であり、CAD図面を作成する機能を有する。
【0031】
CADシステム400では、管理者が、管理端末402を使用して進捗管理サーバ401にアクセスすることで、各設計者が使用するCAD端末403−1〜403−Nに出向くことなく、設計作業の進捗状況を外部から確認することができる。
【0032】
(コンピュータ装置のハードウェア構成)
つぎに、実施の形態にかかるコンピュータ装置(図4に示した進捗管理サーバ401、管理端末402およびCAD端末403−1〜403−N)のハードウェア構成について説明する。図5は、実施の形態にかかるコンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図5において、コンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read‐Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、磁気ディスクドライブ504と、磁気ディスク505と、光ディスクドライブ506と、光ディスク507と、ディスプレイ508と、I/F(Interface)509と、キーボード510と、マウス511と、スキャナ512と、プリンタ513と、を備えている。また、各構成部はバス500によってそれぞれ接続されている。
【0033】
ここで、CPU501は、コンピュータ装置の全体の制御を司る。ROM502は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。磁気ディスクドライブ504は、CPU501の制御にしたがって磁気ディスク505に対するデータのリード/ライトを制御する。磁気ディスク505は、磁気ディスクドライブ504の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0034】
光ディスクドライブ506は、CPU501の制御にしたがって光ディスク507に対するデータのリード/ライトを制御する。光ディスク507は、光ディスクドライブ506の制御で書き込まれたデータを記憶したり、光ディスク507に記憶されたデータをコンピュータに読み取らせたりする。
【0035】
ディスプレイ508は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。このディスプレイ508は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0036】
インターフェース(以下、「I/F」と略する。)509は、通信回線を通じてLAN、WAN、インターネットなどのネットワーク410に接続され、このネットワーク410を介して他の装置に接続される。そして、I/F509は、ネットワーク410と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F509には、たとえばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0037】
キーボード510は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウス511は、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などをおこなう。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
【0038】
スキャナ512は、画像を光学的に読み取り、コンピュータ装置内に画像データを取り込む。なお、スキャナ512は、OCR(Optical Character Reader)機能を持たせてもよい。また、プリンタ513は、画像データや文書データを印刷する。プリンタ513には、たとえば、レーザプリンタやインクジェットプリンタを採用することができる。
【0039】
(各種データベースなどの記憶内容)
つぎに、各種データベースなどについて説明する。各種データベースなどは、図5に示した進捗管理サーバ401のROM502、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置によりその機能を実現する。
【0040】
図6は、部品DB(データベース)の記憶内容の一例を示す説明図である。図6において、部品DB600は、部品ID、部品名、フィーチャ数、難易度、設計者名、スキルレベル、実績作業時間およびデータファイル名といったフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、各部品に関する部品情報600−1〜600−nがレコードとして記憶されることとなる。
【0041】
ここで、部品IDとは、設計済みの部品を識別する識別子である。部品名とは、部品の名称である。フィーチャ数とは、部品の完成までに要するCADのフィーチャ数である。難易度とは、部品の設計の難しさをあらわす指標である。ここでは、設計が難しくなるほど難易度の数値が大きくなる。この難易度は、たとえば、部品の完成までに要するCADのフィーチャ数によって決定される。
【0042】
設計者名とは、部品の設計者の名称である。スキルレベルとは、設計者の熟練度をあらわす指標である。ここでは、設計者の熟練度が高くなるほどスキルレベルの数値が小さくなる。実績作業時間とは、部品の設計作業の開始から終了までにかかった作業時間である。データファイル名とは、部品の画像データのファイル名である。
【0043】
図7は、進捗管理DBの記憶内容の一例を示す説明図である。図7において、進捗管理DB700は、管理ID、部品名、目標フィーチャ数、目標作業時間、難易度、設計者名、スキルレベル、累積フィーチャ数、累積作業時間およびデータファイル名といったフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、各部品に関する進捗管理情報700−1〜700−mがレコードとして記憶されることとなる。
【0044】
ここで、管理IDとは、管理対象を識別する識別子である。目標フィーチャ数とは、部品の完成までに要するCADのフィーチャ数である。目標作業時間とは、部品の完成までに要する目標作業時間である。累積フィーチャ数とは、現時点でのフィーチャ数である。累積作業時間とは、現時点での作業時間である。
【0045】
図8は、変曲点テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。図8において、変曲点テーブル800は、各スキルレベル1〜3について、難易度、変曲点1、変曲点2、作業時間指数をフィールドとして有しており、レコードごとに、作業時間に対する進捗率の変動グラフの変曲点情報800−1〜800−15が記憶されている。
【0046】
ここで、変曲点1とは、作業時間に対する進捗率の変動グラフの1度目の変曲点となる進捗率である。変曲点2とは、作業時間に対する進捗率の変動グラフの2度目の変曲点となる進捗率である。作業時間指数とは、設計者のスキルレベルおよび設計対象の難易度によって設定される指標である。ここでは、スキルレベル1の設計者が難易度1の設計対象を設計する場合の作業時間指数を「1」としている。この作業時間指数は、スキルレベルまたは難易度が高くなるとともに大きくなる。
【0047】
図9は、作業効率係数テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。図9において、作業効率係数テーブル900は、各スキルレベル1〜3の作業効率係数について、難易度、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3をフィールドとして有しており、レコードごとに、各フェーズ1〜3の作業効率に関する作業効率係数情報900−1〜900−15が記憶されている。
【0048】
ここで、作業効率係数とは、設計作業の作業効率をあらわす係数である。この作業効率係数は、作業効率が低下するほど値が大きくなり、作業効率が向上するほど値が小さくなる。また、この作業効率係数は、難易度が高くなるほど値が大きくなる。
【0049】
図10は、スケジュール管理DBの記憶内容の一例を示す説明図である。図10において、スケジュール管理DB1000は、管理ID、部品名、設計者名、開始日、終了予定日、更新日、累積作業時間、進捗率および警告フラグといったフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、各部品に関するスケジュール管理情報1000−1〜1000−mがレコードとして記憶されることとなる。
【0050】
ここで、開始日とは、設計作業の開始日である。終了予定日とは、設計作業の終了予定日である。更新日とは、設計作業の進捗状況を更新した更新日である。進捗率とは、現時点での設計作業の進捗率である。警告フラグとは、設計作業の進捗遅れをあらわすフラグである。なお、図示は省略するが、警告フラグが「ON」のレコードには、警告情報が関連付けて記憶されている。
【0051】
(CADシステムの概要)
つぎに、CADシステム400の概要について説明する。図11は、CADシステムの概要を示す説明図である。なお、以下において、CAD端末403−1〜403−Nを単に「CAD端末403」と表記する。
【0052】
図11において、まず、(1)CAD端末403において、設計者の操作入力により、設計対象となる部品の部品名、作業開始日および終了予定日を入力する。入力された各種情報は、ネットワーク410を介して、CAD端末403から進捗管理サーバ401に送信され、新たなレコードとしてスケジュール管理DB1000に登録される。
【0053】
このあと、(2)CAD端末403において、設計対象と類似形状の部品を部品DB600の中から検索する。具体的には、たとえば、進捗管理サーバ401にアクセスして、設計対象の部品名を手掛かりに、類似形状の部品のレコードを部品DB600の中から検索し、その検索結果を取得する。
【0054】
つぎに、(3)CAD端末403において、検索された類似形状の部品の完成までに要するCADのフィーチャ数を、設計対象の目標フィーチャ数に設定する。具体的には、たとえば、部品DB600の中から部品Biが検索された場合、設計対象の目標フィーチャ数を「200」に設定する。
【0055】
このあと、(4)CAD端末403において、設計対象のモデリングを実施する。そして、(5)CAD端末403において、設計対象に関する図面データを保存して、承認処理を実行する。ここで、承認処理とは、CADの機能を利用して、管理者などに設計作業の完了の承認を受ける処理である。
【0056】
また、図面データの保存を契機に、設計対象に関するモデリング情報(後述の図13参照)が、ネットワーク410を介して、CAD端末403から進捗管理サーバ401に送信され、進捗管理DB700に記憶される。なお、初回送信時には、進捗管理サーバ401において、モデリング情報に管理IDが付与されて、新たなレコードとして進捗管理DB700に登録される。また、初回以降は、名称を手掛かりにレコードが特定され、そのレコード内容が更新される。
【0057】
(6)承認処理が実行された結果、未承認の場合は、進捗管理サーバ401において、設計対象に関する設計作業の進捗状況を管理する進捗管理処理が実行される。ここで、進捗遅れとなっている場合(図11中「NG」)は、(7)進捗遅れを示す警告情報を作成して、(8)スケジュール管理DB1000のレコード内容を更新する。一方、進捗遅れとなっていない場合(図11中「OK」)は、(8)スケジュール管理DB1000のレコード内容を更新する。
【0058】
また、(9)承認処理が実行された結果、承認の場合は、進捗管理サーバ401において、設計対象に関する図面データを部品DB600に登録する。そして、(10)進捗管理DB700から該当レコードを削除する。最後に、(11)スケジュール管理DB1000のレコード内容を更新する。
【0059】
(進捗管理サーバの機能的構成)
つぎに、進捗管理サーバ401の機能的構成について説明する。図12は、進捗管理サーバの機能的構成を示すブロック図である。図12において、進捗管理サーバ401は、取得部1201と、第1の算出部1202と、抽出部1203と、第2の算出部1204と、比較部1205と、判定部1206と、作成部1207と、補正部1208と、出力部1209と、を含む構成である。
【0060】
この制御部となる機能(取得部1201〜出力部1209)は、具体的には、たとえば、図5に示したROM502、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU501に実行させることにより、または、I/F509により、その機能を実現する。
【0061】
取得部1201は、管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得する機能を有する。ここで、作業とは、コンピュータ上で実施される作業であり、たとえば、工業製品や工業機械の部品設計、建築物設計、キャラクタデザイン、電子文書の作成などがある。
【0062】
また、一連の作業工数とは、全作業が完了するまでに要する作業工数である。確定済みの作業工数とは、全作業のうち完了している作業工数である。累積作業時間とは、確定済みの作業工数にかかった現時点での作業時間である。実績作業時間とは、管理対象と同一または類似の作業が完了するまでにかかった目標作業時間である。
【0063】
以下において、作業とは、CAD図面の設計作業であり、一連の作業工数とは、CAD図面の完成までに要するCADの目標フィーチャ数(履歴数)であり、確定済みの作業工数とは、現時点でのCADの累積フィーチャ数である。ここでは、上記目標フィーチャ数、累積フィーチャ数、累積作業時間および目標(実績)作業時間を含む情報を「モデリング情報」と表記する。
【0064】
具体的には、たとえば、CPU501が、CAD端末403から送信されてくるモデリング情報をI/F509を介して受信することとしてもよい。また、CPU501が、図5に示したキーボード510やマウス511を用いたユーザの操作入力により、モデリング情報を受け付けることとしてもよく、また、データベースやライブラリからの抽出により取得することとしてもよい。なお、取得されたモデリング情報は、たとえば、図7に示した進捗管理DB700に記憶される。
【0065】
ここで、モデリング情報の具体例について説明する。図13は、モデリング情報の具体例を示す説明図である。図13において、モデリング情報1300は、部品名、目標フィーチャ数、難易度、設計者名、スキルレベル、累積フィーチャ数、累積作業時間、目標作業時間およびデータファイル名といったフィールドを有し、各フィールドに情報が設定されている。
【0066】
この場合、CPU501が、CAD端末403から送信されてくるモデリング情報1300をI/F509を介して受信して、進捗管理DB700に記憶する。このとき、CPU501が、モデリング情報1300に管理IDを付与して、進捗管理DB700に記憶する(初回のみ)。初回以降は、部品名などを手掛かりに、進捗管理DB700の該当レコードを特定し、そのレコードの累積フィーチャ数、累積作業時間および目標作業時間を更新することとなる。なお、図示は省略するが、モデリング情報1300には、設計作業の進捗状況を更新した更新日がタイムスタンプとして付与されている。さらに、図示は省略するが、モデリング情報1300には、目標作業時間が計測された際の作業者のスキルレベルおよび計測対象の部品の難易度が含まれていてもよい。
【0067】
第1の算出部1202は、取得されたモデリング情報に基づいて、設計作業の現時点の進捗率を算出する機能を有する。具体的には、たとえば、CPU501が、累積フィーチャ数の目標フィーチャ数に対する比率を求めることで現時点の進捗率を算出する。算出された算出結果は、たとえば、図5に示したROM502、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置に記憶される。
【0068】
ここで、モデリング情報1300を例に挙げて、第1の算出部1202による算出処理について説明する。この場合、CPU501が、モデリング情報1300の目標フィーチャ数および累積フィーチャ数を参照して、累積フィーチャ数の目標フィーチャ数に対する比率(=20/200)を算出する。ここでは、現時点の進捗率は10[%]となる。
【0069】
抽出部1203は、設計作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、算出された現時点の進捗率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出する機能を有する。ここで、テーブルとは、たとえば、図9に示した作業効率係数テーブル900である。
【0070】
また、作業時間に対する進捗率の勾配とは、単位作業時間当たりの進捗率の増加分をあらわす指標である。この勾配は、たとえば、作業時間に対する進捗率をあらわす変動グラフにおけるフェーズごとの傾きでもよく、また、フェーズ間の相対的な作業効率をあらわす作業効率係数でもよい。
【0071】
ここで、上述した『現時点の進捗率:10[%]』を例に挙げて、抽出部1203による抽出処理について説明する。この場合、まず、CPU501が、モデリング情報1300の難易度およびスキルレベルを参照して、図8に示した変曲点テーブル800の中から変曲点情報800−2を特定する。
【0072】
そして、CPU501が、現時点の進捗率から現時点のフェーズを特定する。ここでは、1度目の変曲点が10[%]のため、現時点のフェーズはフェーズ1(0〜10[%])となる。つぎに、CPU501が、モデリング情報1300の難易度およびスキルレベルを参照して、作業効率係数テーブル900の中から作業効率係数情報900−2を特定する。
【0073】
そして、CPU501が、現時点のフェーズから作業効率係数を特定し、その作業効率係数を作業効率係数テーブル900の中から抽出する。ここでは、現時点のフェーズがフェーズ1のため、作業効率係数は1.22となる。なお、抽出された抽出結果は、たとえば、ROM502、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置に記憶される。
【0074】
第2の算出部1204は、抽出された現時点のフェーズの勾配と、設計作業にかかる目標作業時間とに基づいて、現時点の進捗率に対する目標作業時間を算出する機能を有する。以下、現時点の進捗率に対する目標作業時間を算出する具体的な処理内容の一例について説明する。なお、算出された算出結果は、たとえば、ROM502、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置に記憶される。
【0075】
具体的には、たとえば、まず、CPU501が、現時点のフェーズ以前のフェーズごとの勾配を抽出する。そして、CPU501が、抽出された現時点のフェーズ以前のフェーズごとの勾配と、設計作業にかかる目標作業時間とに基づいて、現時点の進捗率に対する目標作業時間を算出する。
【0076】
より具体的には、たとえば、CPU501が、下記式(1)および(2)を用いて、現時点の進捗率に対する目標作業時間を算出することができる。ただし、RTaは現時点の進捗率に対する目標作業時間であり、RT(k−1)はフェーズ(k−1)の設計作業にかかる目標作業時間であり、Taは設計作業にかかる目標作業時間であり、RPは現時点の進捗率であり、CPk-1は直前のフェーズから現時点のフェーズに切り替わる変曲点の進捗率であり、ECkは現時点のフェーズの作業効率係数であり、ECk-1はフェーズ(k−1)の作業効率係数である。また、RT(0)=0である。
【0077】
【数1】

【0078】
RT(k−1)=Ta×CPk-1×ECk-1 ・・・(2)
【0079】
上述した例では、現時点のフェーズがフェーズ1のため、k=1として各パラメータの値を上記式(1)に代入すると、現時点の進捗率に対する目標作業時間RTaは、『RTa=0+{120×(0.1−0)×1.22}=14.64[H]』となる。
【0080】
比較部1205は、第2の算出部1204によって算出された現時点の進捗率に対する目標作業時間と取得部1201によって取得された累積作業時間とを比較する機能を有する。上述した例では、現時点の進捗率に対する目標作業時間「14.64[H]」と累積作業時間「14[H]」とを比較することとなる。比較された比較結果は、たとえば、ROM502、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置に記憶される。
【0081】
出力部1209は、比較された比較結果を出力する機能を有する。具体的には、たとえば、CPU501が、現時点の進捗率に対する目標作業時間と累積作業時間とを関連付けてI/F509に出力する。出力形式としては、たとえば、ディスプレイ508への表示、プリンタ513への印刷出力、I/F509による外部装置への送信がある。また、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置に記憶することとしてもよい。
【0082】
判定部1206は、比較部1205によって比較された結果、累積作業時間が現時点の進捗率に対する目標作業時間以下か否かを判定する機能を有する。具体的には、たとえば、CPU501が、累積作業時間から現時点の進捗率に対する目標作業時間を差し引いた値が0以上か否かを判断する。ここで、差し引いた値が0以上でない場合、CPU501が、累積作業時間が現時点の進捗率に対する目標作業時間以下と判定する。
【0083】
作成部1207は、累積作業時間が現時点の進捗率に対する目標作業時間以下でないと判定された場合、設計作業の進捗遅れに関する警告情報を作成する機能を有する。具体的には、たとえば、CPU501が、累積作業時間から現時点の進捗率に対する目標作業時間を差し引いた値を、進捗遅れの作業時間とする警告メッセージを作成する。
【0084】
また、出力部1209は、作成された警告情報を出力する機能を有する。具体的には、たとえば、CPU501が、作成された警告情報をスケジュール管理DB1000に記憶する。より具体的には、たとえば、管理IDを手掛かりに、スケジュール管理DB1000の中から該当レコードを特定し、警告フラグを「ON」に変更するとともに、そのレコードと警告情報とを関連付けて記憶する。
【0085】
補正部1208は、設計者のスキルレベルと、設計作業にかかる実績作業時間が計測された際の設計者(以下、「前設計者」)のスキルレベルとに基づいて、現時点の進捗率に対する目標作業時間を補正する機能を有する。補正された補正結果は、たとえば、ROM502、RAM503、磁気ディスク505、光ディスク507などの記憶装置に記憶される。
【0086】
具体的には、たとえば、CPU501が、モデリング情報に含まれている実績作業時間の計測対象となった部品の難易度と前設計者のスキルレベルを手掛かりに、前作業者のスキルレベルに応じた作業時間指数を変曲点テーブル800から抽出する。そして、CPU501が、前作業者のスキルレベルに応じた作業時間指数の、設計者のスキルレベルに応じた作業時間指数に対する比率を用いて、現時点の進捗率に対する目標作業時間を補正する。
【0087】
より具体的には、たとえば、CPU501が、現時点の進捗率に対する目標作業時間と、上記比率とを掛け合わせることで、現時点の進捗率に対する目標作業時間を補正する。この場合、CPU501が、補正後の目標作業時間と累積作業時間とを比較することとなる。
【0088】
(スケジュール管理画面)
ここで、管理端末402のディスプレイ508に表示されるスケジュール管理画面について説明する。このスケジュール管理画面は、管理端末402から進捗管理サーバ401のスケジュール管理DB1000にアクセスすることで、ディスプレイ508に表示される。
【0089】
図14は、スケジュール管理画面の一例を示す説明図である。図14において、スケジュール管理画面1400には、管理対象のインデックス1410が表示されている。管理端末402において、ユーザの操作入力により、カーソルCを移動させて任意の管理対象を指定することで、スケジュール管理表1420を表示させることができる。
【0090】
スケジュール管理画面1400において、棒グラフ1430は、設計作業の開始日および終了予定日をあらわしている。ここでは、3月17日が設計作業の終了予定日となっている。また、棒グラフ1440は、設計作業の更新日をあらわしている。ここでは、3月6日が更新日となっている。
【0091】
また、警告情報1450は、進捗遅れを示すメッセージをあらわしている。ここでは、フェーズ1において、4[H]の進捗遅れが発生している。さらに、画像データ1460は、現時点で設計済みの部品に関する画像データである。管理者は、このスケジュール管理画面1400を確認することで、各設計者の設計作業の進捗状況を把握することができる。
【0092】
(進捗管理サーバによる進捗管理処理手順)
つぎに、本実施の形態にかかる進捗管理サーバ401による進捗管理処理手順について説明する。図15は、進捗管理サーバによる進捗管理処理手順の一例を示すフローチャートである。図15のフローチャートにおいて、まず、取得部1201により、CAD端末403からのモデリング情報を取得したか否かを判断する(ステップS1501)。
【0093】
ここで、モデリング情報を取得するのを待って(ステップS1501:No)、取得した場合(ステップS1501:Yes)、第1の算出部1202により、取得したモデリング情報に基づいて、累積フィーチャ数の目標フィーチャ数に対する比率を求めて、現時点の進捗率を算出する(ステップS1502)。
【0094】
つぎに、CPU501により、モデリング情報の難易度およびスキルレベルを参照して、変曲点テーブル800の中から該当レコードを特定して、算出された現時点の進捗率から現時点のフェーズを特定する(ステップS1503)。そして、抽出部1203により、現時点のフェーズ以前のフェーズごとの作業効率係数を作業効率係数テーブル900の中から抽出する(ステップS1504)。
【0095】
このあと、第2の算出部1204により、上記式(1)および(2)を用いて、現時点の進捗率に対する目標作業時間を算出する(ステップS1505)。そして、抽出部1203により、モデリング情報を参照して、設計者および前設計者のスキルレベルに応じた作業時間指数を変曲点テーブル800から抽出する(ステップS1506)。
【0096】
つぎに、補正部1208により、前作業者の作業時間指数の設計者の作業時間指数に対する比率と、算出された目標作業時間とを掛け合わせることで、現時点の進捗率に対する目標作業時間を補正する(ステップS1507)。そして、比較部1205により、算出された現時点の進捗率に対する目標作業時間とモデリング情報に含まれる累積作業時間とを比較する(ステップS1508)。
【0097】
つぎに、判定部1206により、累積作業時間が現時点の進捗率に対する目標作業時間以下か否かを判定する(ステップS1509)。ここで、累積作業時間が現時点の進捗率に対する目標作業時間以下でない場合(ステップS1509:No)、作成部1207により、設計作業の進捗遅れに関する警告情報を作成する(ステップS1510)。
【0098】
そして、CPU501により、作成された警告情報とモデリング情報とに基づいて、スケジュール管理DB1000のレコード内容を更新して(ステップS1511)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0099】
また、ステップS1509において、累積作業時間が現時点の進捗率に対する目標作業時間以下の場合(ステップS1509:Yes)、CPU501により、モデリング情報に基づいて、スケジュール管理DB1000のレコード内容を更新して(ステップS1511)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態によれば、作業時間に対する進捗率の勾配をフェーズごとに変えることにより、設計作業の各フェーズでの設計の困難性を考慮して進捗状況を管理することができる。また、設計作業の難しさをあらわす難易度ごとに、フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を変えることにより、設計対象の難易度を考慮して進捗状況を管理することができる。
【0101】
さらに、設計者のスキルレベルを考慮して、現時点の進捗率に対する目標作業時間を補正することができる。これにより、設計作業の進捗状況を、設計者のスキルレベルに応じて適切に判断することができる。
【0102】
これらのことから、この進捗管理プログラム、進捗管理装置、および進捗管理方法によれば、設計作業の実情に合った進捗管理を可能とすることで、設計の手戻りを防止し、設計期間の短縮化を図ることができる
【0103】
なお、本実施の形態で説明した進捗管理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能であってもよい。
【0104】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0105】
(付記1)入力装置、出力装置および記憶装置を備えるコンピュータを、
前記入力装置により、管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得して、前記記憶装置に記憶する取得手段、
前記取得手段によって取得された確定済みの作業工数の前記一連の作業工数に対する比率を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第1の算出手段、
作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、前記第1の算出手段によって算出された比率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶する抽出手段、
前記抽出手段によって抽出された現時点のフェーズの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第2の算出手段、
前記第2の算出手段によって算出された目標作業時間と前記取得手段によって取得された累積作業時間とを比較して、その比較結果を前記記憶装置に記憶する比較手段、
前記出力装置により、前記比較手段によって比較された比較結果を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする進捗管理プログラム。
【0106】
(付記2)前記コンピュータを、
前記比較手段によって比較された結果、前記累積作業時間が前記目標作業時間以下か否かを判定して、その判定結果を前記記憶装置に記憶する判定手段、
前記判定手段によって前記累積作業時間が前記目標作業時間以下でないと判定された場合、前記一連の作業工数の進捗遅れに関する警告情報を作成して、前記記憶装置に記憶する作成手段として機能させ、
前記出力手段は、
前記出力装置により、前記作成手段によって作成された警告情報を出力することを特徴とする付記1に記載の進捗管理プログラム。
【0107】
(付記3)前記作成手段は、
前記累積作業時間から前記目標作業時間を差し引いた進捗遅れ時間を示す警告情報を作成して、前記記憶装置に記憶することを特徴とする付記2に記載の進捗管理プログラム。
【0108】
(付記4)前記抽出手段は、
前記現時点のフェーズ以前のフェーズごとの勾配を抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶し、
前記第2の算出手段は、
前記抽出手段によって抽出された現時点のフェーズ以前のフェーズごとの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の進捗管理プログラム。
【0109】
(付記5)前記テーブルは、作業の難しさをあらわす難易度ごとに、前記フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶しており、
前記抽出手段は、
前記一連の作業工数の難易度および前記比率から特定される現時点のフェーズの勾配を前記テーブルの中から抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の進捗管理プログラム。
【0110】
(付記6)前記コンピュータを、
前記一連の作業工数の作業者のスキルレベルと、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間が計測された際の作業者(以下、「前作業者」)のスキルレベルとに基づいて、前記目標作業時間を補正して、その補正結果を前記記憶装置に記憶する補正手段として機能させ、
前記テーブルは、さらに、作業者のスキルレベルごとに作業時間を重み付けするスキル係数を記憶しており、
前記取得手段は、
前記入力装置により、さらに、前記作業者のスキルレベルと、前記前作業者のスキルレベルとを取得して、前記記憶装置に記憶し、
前記抽出手段は、
前記作業者および前記前作業者のスキルレベルに応じた第1および第2のスキル係数を前記テーブルの中から抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶し、
前記補正手段は、
前記抽出手段によって抽出された第1および第2のスキル係数に基づいて、前記第2の算出手段によって算出された目標作業時間を補正して、その補正結果を前記記憶装置に記憶し、
前記比較手段は、
前記補正手段によって補正された補正後の目標作業時間と前記累積作業時間とを比較して、その比較結果を前記記憶装置に記憶することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の進捗管理プログラム。
【0111】
(付記7)付記1〜6のいずれか一つに記載の進捗管理プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【0112】
(付記8)管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された確定済みの作業工数の前記一連の作業工数に対する比率を算出する第1の算出手段と、
作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、前記第1の算出手段によって算出された比率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された現時点のフェーズの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出する第2の算出手段と、
前記第2の算出手段によって算出された目標作業時間と前記取得手段によって取得された累積作業時間とを比較する比較手段と、
前記比較手段によって比較された比較結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする進捗管理装置。
【0113】
(付記9)入力装置、出力装置および記憶装置を備えるコンピュータが、
前記入力装置により、管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得して、前記記憶装置に記憶する取得工程と、
前記取得工程によって取得された確定済みの作業工数の前記一連の作業工数に対する比率を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第1の算出工程と、
作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、前記第1の算出工程によって算出された比率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された現時点のフェーズの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第2の算出工程と、
前記第2の算出工程によって算出された目標作業時間と前記取得工程によって取得された累積作業時間とを比較して、その比較結果を前記記憶装置に記憶する比較工程と、
前記出力装置により、前記比較工程によって比較された比較結果を出力する出力工程と、
を実行することを特徴とする進捗管理方法。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】作業時間に対する進捗率の変動グラフを示す説明図である。
【図2】難易度が異なる設計対象の変動グラフを示す説明図である。
【図3】スキルレベルの異なる設計者の変動グラフを示す説明図である。
【図4】CADシステムのシステム構成図である。
【図5】実施の形態にかかるコンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】部品DBの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図7】進捗管理DBの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図8】変曲点テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図9】作業効率係数テーブルの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図10】スケジュール管理DBの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図11】CADシステムの概要を示す説明図である。
【図12】進捗管理サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図13】モデリング情報の具体例を示す説明図である。
【図14】スケジュール管理画面の一例を示す説明図である。
【図15】進捗管理サーバによる進捗管理処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0115】
400 CADシステム
401 進捗管理サーバ
402 管理端末
403−1〜403−N,403 CAD端末
1201 取得部
1202 第1の算出部
1203 抽出部
1204 第2の算出部
1205 比較部
1206 判定部
1207 作成部
1208 補正部
1209 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置、出力装置および記憶装置を備えるコンピュータを、
前記入力装置により、管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得して、前記記憶装置に記憶する取得手段、
前記取得手段によって取得された確定済みの作業工数の前記一連の作業工数に対する比率を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第1の算出手段、
作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、前記第1の算出手段によって算出された比率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶する抽出手段、
前記抽出手段によって抽出された現時点のフェーズの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第2の算出手段、
前記第2の算出手段によって算出された目標作業時間と前記取得手段によって取得された累積作業時間とを比較して、その比較結果を前記記憶装置に記憶する比較手段、
前記出力装置により、前記比較手段によって比較された比較結果を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする進捗管理プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記比較手段によって比較された結果、前記累積作業時間が前記目標作業時間以下か否かを判定して、その判定結果を前記記憶装置に記憶する判定手段、
前記判定手段によって前記累積作業時間が前記目標作業時間以下でないと判定された場合、前記一連の作業工数の進捗遅れに関する警告情報を作成して、前記記憶装置に記憶する作成手段として機能させ、
前記出力手段は、
前記出力装置により、前記作成手段によって作成された警告情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の進捗管理プログラム。
【請求項3】
前記抽出手段は、
前記現時点のフェーズ以前のフェーズごとの勾配を抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶し、
前記第2の算出手段は、
前記抽出手段によって抽出された現時点のフェーズ以前のフェーズごとの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の進捗管理プログラム。
【請求項4】
管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された確定済みの作業工数の前記一連の作業工数に対する比率を算出する第1の算出手段と、
作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、前記第1の算出手段によって算出された比率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された現時点のフェーズの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出する第2の算出手段と、
前記第2の算出手段によって算出された目標作業時間と前記取得手段によって取得された累積作業時間とを比較する比較手段と、
前記比較手段によって比較された比較結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする進捗管理装置。
【請求項5】
入力装置、出力装置および記憶装置を備えるコンピュータが、
前記入力装置により、管理対象となる一連の作業工数のうち確定済みの作業工数と、当該確定済みの作業工数にかかった累積作業時間と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とを取得して、前記記憶装置に記憶する取得工程と、
前記取得工程によって取得された確定済みの作業工数の前記一連の作業工数に対する比率を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第1の算出工程と、
作業全体を進捗率で区分するフェーズごとに、当該フェーズの作業時間に対する進捗率の勾配を記憶するテーブルの中から、前記第1の算出工程によって算出された比率から特定される現時点のフェーズの勾配を抽出して、その抽出結果を前記記憶装置に記憶する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された現時点のフェーズの勾配と、前記一連の作業工数にかかる実績作業時間とに基づいて、前記比率に対する目標作業時間を算出して、その算出結果を前記記憶装置に記憶する第2の算出工程と、
前記第2の算出工程によって算出された目標作業時間と前記取得工程によって取得された累積作業時間とを比較して、その比較結果を前記記憶装置に記憶する比較工程と、
前記出力装置により、前記比較工程によって比較された比較結果を出力する出力工程と、
を実行することを特徴とする進捗管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−113396(P2010−113396A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283090(P2008−283090)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】