説明

遅い回復および向上した引裂強さを有する粘弾性フォーム

本発明は、遅い回復および向上した引裂強度を有する低レジリエンス粘弾性フォームおよび該フォームの製造方法に関する。本発明の粘弾性フォームは、ポリイソシアネートとイソシアネート反応性成分との発泡剤、界面活性剤および触媒の存在下における反応生成物を含んでなる。適当なイソシアネート反応性成分は、1分子あたり約2〜約4個の反応性ヒドロキシル基、約280〜約2000の当量を有する、少なくとも約5重量%の少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含み、該ポリエーテルポリオールは、少なくとも2個の芳香族環を含有し、約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、および約100〜約575の当量を有する有機化合物のアルコキシル化生成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮後に遅い回復を示す低レジリエンス粘弾性フォームおよび該粘弾性フォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート系ポリマーフォームおよび該フォームの製造方法は、米国特許第6790871号に記載されている。該特許のこれらのイソシアネートポリマー軟質フォームは、低レジリエンス、約0℃以下のTおよび約−20℃〜約+60℃の温度範囲にわたって測定された中央値から約35%以下のtanδ(delta)における変化を特徴とする。これらの低レジリエンス軟質フォームはウレタン形成性化学物質、水、およびハロゲン化パラフィン、第1級ヒドロキシル基を含むC/C脂肪族ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される可塑剤を含んでなる反応混合物から製造される。
【0003】
低レジリエンスを呈す軟質ポリウレタンフォームおよびこれらのポリウレタンフォームの製造方法は、EP1457508に開示されている。これらの軟質フォームは、30%以下のコアレジリエンスおよび−80℃〜−60℃の範囲内のガラス転移点を特徴とする。該特許のポリウレタンフォームはポリオールとポリイソシアネート成分との触媒、発泡安定剤および発泡剤の存在下における反応生成物を含んでなり、該ポリオール成分は5〜15mgKOH/gのヒドロキシル価を特徴とし、および好ましくは、DMC錯体触媒によるアルキレンオキシドの開環付加重合によって得られるポリオキシアルキレンポリオールである。そこに適当であると開示されているポリオールのための開始剤として、ビスフェノールAを含む幅広い種類の化合物、およびフェノール樹脂および/またはノボラック樹脂のような縮合型化合物が挙げられる。
【0004】
米国特許第6204300号には低レジリエンスウレタンフォームが記載されている。これらのフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒および発泡剤を含んでなり、−70℃〜−20℃の温度範囲および0℃〜60℃の温度範囲のいずれかに少なくとも1つのガラス転移点を有する。好適なポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオール、ビニルポリマー含有ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリオキシアルキレンポリエステルブロックコポリマーポリオールからなる群から選択される。
【0005】
軟質ポリウレタンフォームおよびこれらのフォームの製造方法は米国特許第6136879号に開示されている。これらのフォームは、高度のエネルギー吸収特性および快い感触を有する。これらのフォームの反発レジリエンスは30%以下であり、−20℃での25%圧縮力撓み値と+20℃での25%圧縮力撓み値の間の差異によって表される圧縮力撓みの温度依存性は0.030kg/cm以下である。適当な反応成分として、ポリイソシアネート、分子量2000〜8000を有するポリオールおよび100以下の分子量を有する一価アルコールが挙げられる。さらに、該反応は、少量の化合物、例えばノニルフェノールまたはノニルフェノールのような化合物のエトキシル化生成物などの存在下に生じ得る。
【0006】
ポリオールが例えばフェノール化合物のような1以上の芳香族環基を含有する化合物を含む種々のスターターのオキシアルキル化によって製造され得ることは、既知であって、当技術分野に記載されている。フェノール化合物をオキシアルキル化するためのある既知の方法は、米国特許第6541673号に記載されている。該方法は、オキシアルキル化の初期部を高温で縮合し、その一方で第二アルキル化をより低い温度で縮合する二段法である。さらに、オキシアルキル化の圧力は段階的であり得、最も高い圧力は該反応の高温相中に生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6790871号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1457508号明細書
【特許文献3】米国特許第6204300号明細書
【特許文献4】米国特許第6136879号明細書
【特許文献5】米国特許第6541673号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
低レジリエンス粘弾性フォームは、商業的に広く製造され、マットレス、枕、家具、自動車用および人間工学的物品のような多くの物品に用途が見出される。これらの用途要件を充足するために、該フォームはフォーム表面上で休息する体の形状に適合することおよび、体を取り除くとゆっくりではあるが完全に回復することが期待される。しかしながら、適合性を強化し、粘弾性フォームの回復率を減少させるために、減少したイソシアネート指数でまたは低官能価中間体を用いて実行することによってポリウレタンの架橋密度を減少させることは慣例である。このことは、不適切な強度特性、特に低引裂強度を有するフォーム、および長期の応力を伴う用途における失敗を生じさせることがある。例えば、ベッド用の粘弾性トッパーパッドは、きつく折り畳まれ、輸送するために箱に梱包され、販売されるまで貯蔵されることが多い。折り畳まれた折り目のそれぞれの外側での高い引っ張り応力は、フォームが十分な耐引裂性を有していない場合には貯蔵中にフォームが裂ける原因となることがある。向上した耐引裂性と共により良好な体適合性および遅い回復を提供するフォームの開発は歓迎されるであろう。
【0009】
粘弾性フォームの他の共通の特徴は高い感温性である。従って、粘弾性フォームが室温で柔軟でしなやかな感触を呈すが、温度が下がるにつれて触ると非常に固く、および脆弱になることは珍しいことではない。著しく減少した感温性を有する粘弾性フォームは、より低い温度への暴露を伴う用途、例えば自動車におけるフォームクッション性部品などに有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
意外にも、本発明の方法によって製造される低レジリエンス粘弾性フォームがより遅い回復速度およびより良好な耐引裂性を提供することが見出された。また、該フォームは温度変化に対して減少した感度を呈す。
【0011】
本発明は、遅い回復、向上した引裂強度、および向上した感温性等級を呈す低レジリエンス粘弾性フォームを製造する方法に関する。本発明はまた、該方法によって製造された粘弾性フォームにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的のために、低レジリエンス粘弾性フォームは、ASTM D3574−03のボール反発試験手順によって測定された25%未満のレジリエンス値を有すると定義される。
【0013】
本発明の低レジリエンス粘弾性フォームの製造方法は、
(A)(1)ポリイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分とを、
(3)少なくとも1つの発泡剤、
(4)少なくとも1つの界面活性剤、および
(5)少なくとも1つの触媒
の存在下に約70〜約120のイソシアネート指数で反応させることを含んでなる。
【0014】
適当なイソシアネート反応性成分(2)は、
(a)1分子あたり平均約2〜約4個の反応性ヒドロキシル基を含有し、約280〜約2000の当量を有する、成分(2)100重量%を基準として5〜100重量%の少なくとも1つのポリエーテルポリオールであって、該ポリエーテルポリオールが、少なくとも2個の芳香族環を含有し、約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、および約100〜約575の当量を有する1以上の有機化合物のアルコキシル化生成物であるポリエーテルポリオール、および必要に応じて、
(b)成分(2)100重量%を基準として0〜95重量%の1以上のイソシアネート反応性化合物(ただし該化合物はポリエーテルポリオール(a)と異なる)
を含んでなる。
【0015】
本発明の低レジリエンス粘弾性フォームは、
(1)ポリイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分とを、
(3)少なくとも1つの発泡剤、
(4)少なくとも1つの界面活性剤、および
(5)少なくとも1つの触媒
の存在下における反応生成物を含んでなり、該イソシアネート反応性成分(2)は少なくとも1つの上記のポリエーテルポリオールを含み、該反応を約70〜約120のイソシアネート指数で実施する。
【0016】
本発明に従えば、成分(1)として用いるべき適当なポリイソシアネートとして、例えばモノマージイソシアネート、NCOプレポリマー、好ましくは液体ポリイソシアネートが挙げられる。適当なモノマージイソシアネートは、式R(NCO)(式中、Rは、約56〜1000、好ましくは約84〜400の分子量を有する有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除去することによって得られた有機基を表す)により示され得る。本発明による方法に好適なジイソシアネートは、Rが4〜12個の炭素原子を有する二価脂肪族炭化水素基、6〜13個の炭素原子を有する二価脂環式炭化水素基、7〜20個の炭素原子を有する二価芳香脂肪族炭化水素基または6〜18個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基を表す上記の式により表されるものである。好適なモノマージイソシアネートは、Rが芳香族炭化水素基を表すものである。
【0017】
適当な有機ジイソシアネートの例として、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレンおよびこれらの混合物が挙げられる。3個以上のイソシアネート基を含有する芳香族ポリイソシアネート、例えば、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートおよびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物をホスゲン化することによって得られたポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)などを用いることもできる。
【0018】
本発明に従えば、ポリイソシアネート組成物の少なくとも一部をNCOプレポリマーの形態で存在させ得る。本発明に従ってポリイソシアネート組成物として用いることもできるNCOプレポリマーは、前記のポリイソシアネートおよび少なくとも2個のイソシアネート反応性基、好ましくは少なくとも2個のヒドロキシ基を含有する有機化合物から製造される。
【0019】
本発明のポリイソシアネートが芳香族ポリイソシアネートであることは好適である。適当な芳香族ポリイソシアネートのいくつかの例は、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレンおよびこれらの混合物である。3個以上のイソシアネート基を含有する芳香族ポリイソシアネート、例えば、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネートおよびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物をホスゲン化することによって得られたポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)を用いることもできる。
【0020】
本特許請求の範囲の発明のためのポリイソシアネートがトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの種々の異性体、およびポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)組成物であることはより好適である。本発明においてより好適なポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)組成物は、約2.1〜約3.5、好ましくは2.1〜2.8、もっとも好ましくは2.1〜2.4の官能価、および約26%〜約33.4%、好ましくは約30.5%〜約33%のNCO基含有量、および約20重量%〜約90重量%、好ましくは約40重量%〜約90重量%のモノマージイソシアネート含有量を有するものである。これらのイソシアネートのポリマーMDI含有量は約10〜約80重量%、好ましくは約10重量%〜約60重量%まで変化する。本明細書において用いるポリマーMDIとは、モノマージイソシアネート(すなわち、二環化合物)に加えて三環およびそれ以上の環を含む生成物を含有するポリメチレンポリ(フェニルイソシアネート)のことである。
【0021】
本発明に従えば、イソシアネート反応性成分(2)は典型的に、
(a)1分子あたり平均約2〜約4個の反応性ヒドロキシル基を含有し、約280〜約2000の当量を有する、少なくとも約5重量%〜100重量%の少なくとも1つのポリエーテルポリオールであって、該ポリエーテルポリオールは、有機化合物がそれぞれ少なくとも2個の芳香族環、約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、および約100〜約575の当量を有する1以上の有機化合物のアルコキシル化生成物であるポリエーテルポリオール、および、
(b)0〜約95重量%の少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物(ただし該化合物は上記の(a)において定義される1以上のポリエーテルポリオールと異なる)
を含んでなり、(a)および(b)の重量%の合計が成分(2)の100重量%となる。
【0022】
1分子あたり平均約2〜約4個の反応性ヒドロキシル基を含有し、約280〜約2000の当量を有する、イソシアネート反応性成分(2)の上記の成分(a)ポリエーテルポリオールは、成分(2)イソシアネート反応性成分100重量%を基準として、好ましくは少なくとも40重量%の量で、より好ましくは少なくとも60重量%の量で存在する。残りの成分(2)イソシアネート反応性成分は、少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物(b)(ただし該化合物は上記の成分(a)と異なる)を含んでなる。従って、成分(b)は成分(2)イソシアネート反応性成分100重量%を基準として、好ましくは約60重量%以下、より好ましくは約40重量%以下の量で存在する。
【0023】
成分(2)の1以上のイソシアネート反応性化合物(b)として用いるべき適当な化合物には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリマーポリオール、PHDポリオール、PIPAポリオールなど、および低分子量ポリヒドロキシ架橋剤、鎖延長剤、および反応性改質剤など、およびこれらの混合物からなる群から選択される1以上の化合物が含まれる。単官能性ヒドロキシル含有成分が成分(b)に適当であり得ることも理解される。いわゆる従来のポリエーテルポリオールがイソシアネート反応性成分(2)中の成分(b)の一部または全部として存在することも可能である。全てのこれらの化合物はポリウレタン化学の分野において既知である。
【0024】
本発明において、用語従来のポリエーテルポリオールとは、平均ヒドロキシル官能価および平均当量に関して上記の成分(a)のポリエーテルポリオールと重複し得るポリエーテルポリオールのことであるが、少なくとも2個の芳香族環、約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、約100〜約575の当量を有する有機化合物を含むスターターのアルコキシル化生成物を含んでなるポリエーテルポリオールは除外する。従来のポリエーテルポリオールは、例えばPHDポリオール、PIPAポリオールおよびポリマーポリオールのような化合物中のベースポリオールとして用いることもできる。これらの型の化合物は概して、適当なベースポリオール中の固体(ポリマーポリオールの場合にはスチレンおよびアクリロニトリルのラジカル開始反応によって形成したポリマーなど)の安定性分散体として記載され得る。
【0025】
本明細書においてイソシアネート反応性成分(2)の一部または全部として用いる適当なポリエーテルポリオール(a)は典型的に、少なくとも約280、好ましくは少なくとも約470、より好ましくは少なくとも約700の当量を有する。これらのポリエーテルポリオールはまた、典型的には、約2000以下、好ましくは約1600以下、より好ましくは約1400以下の当量を有する。該ポリエーテルポリオールは、これらの上限値と下限値の任意な組み合わせの間の(これらの値も含む)範囲の当量、例えば、約280〜約2000、好ましくは約470〜約1600、より好ましく約700〜約1400を有し得る。
【0026】
これらのポリエーテルポリオールはまた、典型的には、1分子あたり平均少なくとも約2個のヒドロキシル基を含有する。ポリエーテルポリオールはまた、典型的には、1分子あたり、約4個以下、好ましくは約3個以下のヒドロキシル基を含有する。さらに、これらのポリエーテルポリオールは、これらの上限値と下限値の任意な組み合わせの間の(これらの値も含む)範囲の1分子あたりのヒドロキシル基の平均数、例えば、1分子あたり、約2〜約4個、好ましくは約2〜約3個、より好ましくは2個のヒドロキシル基を含有し得る。
【0027】
これらのポリエーテルポリオールは、既知であって、例えば、1以上の適当な有機化合物を1以上のアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得られ得る。適当な有機化合物として、少なくとも2個の芳香族環を含有し、約100〜約575の当量を有し、約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を有するものが挙げられる。適当な有機化合物は、1化合物あたり少なくとも約2個の芳香族環、好ましくは1化合物あたり2〜4個の芳香族環、より好ましくは1化合物あたり2個の芳香族環を含有する。
【0028】
本発明におけるポリエーテルポリオール(2)(a)を形成するためにアルコキシル化されたこれらの有機化合物は、典型的には、少なくとも約100、好ましくは少なくとも約110の当量を有する。これらの有機化合物はまた、典型的には、約575以下、好ましくは約400以下の当量を有する。特に好適な実施態様においては、有機化合物は約114の当量を有する。該有機化合物は、これらの上限値と下限値の任意な組み合わせの間の(これらの値も含む)範囲の当量、約100〜約575、好ましくは約110〜約400を有し得る。
【0029】
ポリエーテルポリオールを製造するために用いるこれらの有機化合物は、典型的には、1化合物あたり少なくとも約2個のツェレビチノフ活性水素原子を含有する。有機化合物はまた、典型的には、約4個以下のツェレビチノフ活性水素原子、好ましくは約3個以下のツェレビチノフ活性水素原子を含有する。さらに、これらの有機化合物は、これらの上限値と下限値の任意な組み合わせの間の(これらの値も含む)範囲のツェレビチノフ活性水素原子の数、例えば、約2個〜約4個、好ましくは約2個〜約3個を含有し得る。もっとも好ましくは、該有機化合物は、約2個のツェレビチノフ活性水素原子を含有する。ヒドロキシル官能性基およびアミン官能性基は、ツェレビチノフ活性水素原子の好適な源を表す。
【0030】
さらに、ポリエーテルポリオールを製造するために用いる有機化合物はまた、典型的には、1化合物あたり少なくとも2個および4個以下の芳香族環を含有する。好ましくは、該有機化合物は、2個の芳香族環を含有する。
【0031】
ビスフェノールA(すなわち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロパンまたはBPA)は本発明において特に好適な有機化合物である。
【0032】
本発明に従えば、ポリエーテルポリオールを製造するための適当な有機化合物が縮合芳香族環を含有しないことは好適である。言い換えれば、これらの有機化合物は、芳香族環が側鎖を除いて8原子未満の長さ、好ましくは4原子未満の長さである適当な結合部によって一緒に結合している2個以上の芳香族環を好ましく含有する。もっとも好適な結合部は、1〜4個の炭素原子、好ましくは1〜2個の炭素原子の長さのアルキル基である。さらに、芳香族環を結合するアルキル基はツェレビチノフ活性水素原子を一緒に含有してもよいが、含有しなくてもよい。
【0033】
該結合部はまた、サリチルエーテル2−[(2−ヒドロキシフェニル)−メトキシメチル]フェノールのようなジヒドロキシベンジルエーテル中、および低分子量液体フェノキシ樹脂中に見られるようなエーテル結合を含有することもできる。
【0034】
本発明によるスターターとして用いるべき適当な有機化合物のいくつかの例として、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(すなわちビスフェノール A)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)ブタン、2,2’−メチレンジフェノール、5−(3,5−ジヒドロキシフェニル)ベンゼン−1,3−ジオール(すなわちジレゾルシノール)、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェノール、4−(4−ヒドロキシフェニル)スルホニルフェノール(ビスフェノール S)、4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−イル]フェノール(ビスフェノール B)、2−[(2−ヒドロキシ−フェニル)メチル]フェノール(ビスフェノール F)、2−[4−[2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−プロパン−2−イル]フェノキシ]エタノール、1−[4−[2−[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン−2−イル]フェノキシ]プロパン−2−オール、4−[2−(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)プロパン−2−イル]−2−メチル−フェノール(ビスフェノール C)、4−[(E)−4−(4−ヒドロキシフェニル)へクス−3−エン−3−イル]フェノール、4−[2−(4−ヒドロキシ−3−プロパン−2−イル−フェニル)プロパン−2−イル]−2−プロパン−2−イル−フェノール(ビスフェノール G)、2,4−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−2−イル]フェノール(ビスフェノール I)、2−[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−2−イル]フェノール(2,4’−ビスフェノール A)、4−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、2−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]フェノール、4,4’−ジヒドロキシビベンジル、4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェノール、3−[2−(3−ヒドロキシ−フェノキシ)エトキシ]フェノール、3−[4−(3−ヒドロキシフェニル)ヘキサン−3−イル]フェノールなどが挙げられる。
【0035】
上記のように、有機化合物は、アミン官能性基、例えば4−[(4−アミノフェニル)メチル]アニリンおよび2−[(4−アミノフェニル)メチル]アニリン(すなわちMDA異性体)、トリフェニルグアニジン、ジフェニルメタンジアミン、4−[(4−アミノ−3−メチル−フェニル)メチル]−2−メチル−アニリン、4−[(2−アミノフェニル)メチル]−2−エチル−6−メチル−アニリン、4−[(4−アミノフェニル)メチル]−2−エチル−6−メチル−アニリンなどに由来するツェレビチノフ活性水素原子を含有することもできる。
【0036】
これらの化学化合物の低分子量アルコキシレートはまた、有機化合物の好適なクラスを示す。エトキシレートおよびプロポキシレートは好適である。ビスフェノールAおよびビスフェノールアルコキシレートはもっとも好適な化合物である。
【0037】
本発明に従えば、1以上の上記の有機化合物は、上記の特徴、すなわち当量および1分子あたりのヒドロキシル基の平均数を有するポリエーテルポリオール(2)(a)を形成するために1以上のアルキレンオキシド(すなわちエポキシド)でアルコキシル化される。適当なエポキシドとして、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリンが挙げられる。エチレンオキシド(EO)および/またはプロピレンオキシド(PO)は好適である。50:50〜100:0までのPO:EOの重量比は好適である。PO:EOの重量比が70:30〜100:0であることはより好適である。スターターである有機化合物のアルコキシル化は典型的には、1以上の適当な触媒、例えばDMC、BFまたはKOHなどの存在下に生じる。これらのエポキシド、好ましくはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを、混合物の状態で、または逐次的に、少なくとも2個の芳香族環、約2〜約4のツェレビチノフ活性水素原子を含有し約100〜約575の当量を有する上記の有機化合物に化学的に付加させることも可能である。
【0038】
本発明のための最も好適なポリエーテルポリオール(2)(a)はビスフェノールA出発ポリエーテルポリオールである。該ビスフェノールA出発ポリエーテルポリオールは、少なくとも約280の当量、好ましくは少なくとも約470、もっとも好ましくは少なくとも約700の当量を有する。該ビスフェノールA出発ポリエーテルポリオールはまた、約2000以下、好ましくは約1600以下、もっとも好ましくは約1400以下の当量を有する。さらに、該ビスフェノールA出発ポリエーテルポリオールは、これらの上限値と下限値の任意の組み合わせの間の(これらの値を含む)範囲の当量、例えば、約280〜約2000、好ましくは約470〜約1600、もっとも好ましくは約700〜約1400の当量を有し得る。このようなビスフェノールA出発ポリエーテルポリオールは1分子あたり約2個のヒドロキシル基を含有する。
【0039】
本発明のある実施態様においては、ポリエーテルポリオール(2)(a)およびイソシアネート反応性化合物(2)(b)の少なくとも一部は、該ポリエーテルポリオール(2)(a)を形成するのに適した上記の1以上の有機化合物および該イソシアネート反応性化合物(2)(b)のための適当なスターターの少なくとも一部をアルコキシル化することによって同時に製造される。従って、該実施態様において、(2)(b)のためのスターターは、アルコキシル化によってポリエーテルポリオール(2)(b)を形成する、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンなどのような低分子量化合物であり得る。
【0040】
本発明の他の実施態様においては、イソシアネート反応性成分(2)(b)は1以上の高分子量化合物、例えばポリエーテルポリオールなどを含み得る。該実施態様においては、ポリエーテルポリオール(2)(a)を形成するためにアルコキシル化された有機化合物と共にヒールプロセスにおいて該ポリエーテルポリオールをさらにアルコキシル化することが可能である。ヒール型プロセスにおいては、アルコキシル化を1以上の複金属シアン化物(DMC)触媒の存在下に生させることは好適である。
【0041】
本発明におけるイソシアネート反応性成分(2)の製造のための好適なヒールプロセスは、本出願が米国特許商標局に出願された日と同じである、2006年に米国特許商標局に出願された、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願番号[Agent Docket No. 8759](この開示を参照によって本明細書に組み入れる)に記載された一段階「ヒール」プロセスである。そこに記載されているように、好適なビスフェノールA出発ポリエーテルポリオールは、ビスフェノールAと約280〜約2000の当量を有するビスフェノールA出発ポリエーテルポリオールを混合し、該混合物を1以上のアルキレンオキシドで1以上の複金属シアン化物触媒の存在下にアルコキシル化することによって製造される。適当なアルキレンオキシドとして、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが挙げられる。しかしながら、本発明におけるイソシアネート反応性成分(2)のポリエーテルポリオール(2)(a)は、2006年に出願された、本発明の譲受人に譲渡された同時継続中の米国特許出願番号[Agent Docket No. 8759]の一段階プロセスによって製造されたものに制限されない。
【0042】
本発明に従えば、本発明において用いることができる複金属シアン化物化合物のいくつかの例は、これらに限定されないが、例えばヘキサシアノコバルト酸(III)亜鉛、ヘキサシアノ鉄酸(III)亜鉛、ヘキサシアノ鉄酸(II)ニッケル、ヘキサシアノコバルト酸(III)コバルトなどが挙げられる。適当な複金属シアン化物錯体のさらなる例は、米国特許第5158922号中に列挙されている(この開示は参照によって本明細書中に組み込まれる)。ヘキサシアノコバルト酸(III)亜鉛は好適である。
【0043】
複金属シアン化物(DMC)化合物および有機錯化剤を含んでなり、および触媒の量を基準として約5〜約80重量%の約500を超える数平均分子量を有するポリエーテルから製造される固体DMC触媒は特に好適である。これらの触媒は、ポリエーテルの非存在下で製造された同様の触媒と比較して、エポキシド重合についての活性を増強する。このような触媒は、既知であって、例えば、米国特許第5482908号中に記載されている(この開示は参照によって本明細書中に組み込まれる)。適当な複金属シアン化物(DMC)化合物は、水溶性金属塩と水溶性金属シアニド塩の反応生成物である。
【0044】
本発明による成分(3)として用いるべき適当な発泡剤として、これらに限定されないが、例えば、水、二酸化炭素、アセトン、塩素化炭化水素、フルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、低沸点炭化水素および他の低沸点有機化合物のような化合物が挙げられる。適当なハイドロフルオロカーボンの幾つかの例として、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、およびクロロジフルオロメタン(HCFC−22)のような化合物が挙げられ、適当なハイドロフルオロカーボンの幾つかの例として、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、および1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン(HFC−356mffm)のような化合物が挙げられ、適当な過フッ素化炭化水素の幾つかの例として、ペルフルオロペンタンまたはペルフルオロヘキサンのような化合物が挙げられ、適当な炭化水素の幾つかの例として、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサンの種々の異性体、またはこれらの混合物が挙げられる。水および二酸化炭素は、より好ましい発泡剤であり、水が最も好適である。
【0045】
本発明によれば、用いる発泡剤の量は、約20pcf以下、より好ましくは約12pcf以下、もっとも好ましくは約8pcf以下の範囲の密度を有するフォームを製造するのに十分であることが好適である。本発明のフォームは、典型的には、約0.5pcf以上、好ましくは約1.0pcf以上、もっとも好ましくは約1.5pcf以上の密度を有する。さらに、本発明のフォームは、これらの上限値と下限値の任意の組み合わせの間の(これらの値も含む)範囲の密度、例えば、0.5pcf〜20pcf、好ましくは1.0pcf〜12pcf、もっとも好ましくは1.5pcf〜8pcfを有し得る。
【0046】
本発明による成分(4)として用いるべき適当な界面活性剤として、例えば、粘弾性ポリウレタンフォームに適した任意の既知の界面活性剤が挙げられる。これらには、例えば、これらに限定されないが、シリコーン型界面活性剤、フッ素型界面活性剤などが含まれる。シリコーン界面活性剤のある型は、具体的には、側鎖中に有機基を有する有機ポリシロキサン鎖を含んでなるポリシロキサン鎖を有する化合物である。ジメチルシロキサンはこの例である。有機シリコーンコポリマー界面活性剤は、ポリウレタンフォームの製造に広く用いられ、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンコポリマーが好適なクラスである。適当な界面活性剤の幾つかの例として、Degussa−Goldschmidt、General Electric、Air Productsなどから市販されている化合物、例えばNIAX Silicones L−620、L−5614、L−627、L−6164、L−3858、L−635、U−2000など、およびTEGOSTAB Silicones B−8002、B−2370、B−8229、B−8715Fなど、およびDABCO DC5160、DC5169、DC5164などとして販売されるものなどが挙げられる。
【0047】
本発明によれば、1以上の触媒(5)を用いる。任意の適当なウレタン触媒を用いることができ、これには既知の第3級アミン化合物および有機金属化合物が含まれる。適当な第3級アミン触媒の例として、トリエチレンジアミン、N−メチル−モルホリン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラ−メチルエチレンジアミン、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチル−プロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピル−プロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミンおよびジメチル−ベンジルアミンが挙げられる。適当な有機金属触媒の例として、有機水銀、有機鉛、有機鉄、有機チタン、および有機錫触媒が挙げられ、有機錫触媒が好適である。適当な有機錫触媒として、好ましくはカルボン酸の錫(II)塩、例えば酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、錫(II)エチルヘキソエート、およびラウリン酸錫(II)、ならびに錫(IV)化合物、例えばジブチル錫ジラウレート、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マレエート、およびジオクチル錫ジアセテートが挙げられる。適当なビスマス化合物として、ビスマスネオデカノエート、ビスマスベルサレート、および当技術分野で既知の種々のビスマスカルボキシレートが挙げられる。また、塩化第一錫のような金属塩は、ウレタン反応のための触媒として働くこともできる。このような触媒は、典型的には、ポリイソシアネートの反応速度をある程度まで増加させる量で用いられる。典型的な量は、成分(2)イソシアネート反応性成分100重量部当たり、約0.05〜約5重量部(pbw)、好ましくは約0.1〜約2重量部(pbw)の触媒である。
【0048】
さらに、例えば離型剤、顔料、気泡調整剤、難燃加工剤、可塑剤、染料、帯電防止剤、抗微生物剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、鉱油、充填剤および強化剤を含む、当業者に既知の種々の他の任意の添加剤を本発明の粘弾性フォームに用いることができる。
【0049】
低レジリエンス粘弾性フォームの商業的な生産には、適当なポリイソシアネートとイソシアネート反応性成分を一緒に、粘弾性フォームを製造するのに適しているとポリウレタン化学の分野において知られている、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの界面活性剤、および少なくとも1つの触媒の存在下に混合することが含まれる。
【0050】
本発明の低レジリエンス粘弾性ポリウレタンフォームを、当業者に周知の多くの発泡法によって製造してよい(例えばPOLYURETHANE HANDBOOK、Gunter Oertel編集、Hanser Publications、ミュンヘン、著作権1985年を参照されたい)。連続的または不連続的な「ワンショット」発泡法は好適である。「ワンショット」連続法において調製成分を、一緒にし、混合し、および典型的に、発泡性混合物を十分な高さまでフリーライズさせる移動コンベア上に連続的に付与する(例えばスラブ材法)。移動側面の制限は、典型的に、製造されるフォームの幅を制御する。不連続的な「ワンショット」法においては、制御された量の反応物質および他の成分を、一緒に混合し、次いで、フォームをライズさせ、および硬化させる容器中に付与する。ある実施例は、化学物質を、混合し、所望の寸法の箱中に付与し、およびフリーライズさせるか、もしくは上部の制約がライズを制限するために用いられる場合には制御された高さまでライズさせるボックスフォーム法である。これらの箱は、大きな横断面(6フィート×12フィート)を有していてよく、または特別な部品のために比較的小さくてもよい。ボックス発泡においておよび連続的スラブ材製造において製造されるフォームの大きなバンを、スライスし、および異なったサイズに整えてよく、および用途に応じて種々の形状に裁断してよい。これは、粘弾性フォームのマットレスおよびマットレストッパーを製造するための好適な方法である。
【0051】
広く用いられている、商業的に重要な不連続法は、計測された量の成分を所望の形状の金型中に付与する「ワンショット」成型フォーム法である。該フォームは、ライズし、および金型キャビティを充填し、目的とする用途に必要な形状を有する部品を生じさせる。該方法は、粘弾性フォーム枕および自動車部品、例えばヘッドレストなどを製造するために一般に用いられる。
【0052】
本発明によるフリーライズ粘弾性フォームのプロセスおよび製造は、米国特許第6391935号にさらに詳細に説明されている(この開示は参照によって本明細書に組み入れられる)。
【0053】
粘弾性フォームは、枕、マットレストッパー、人間工学的パッド、スポーツ機材などの製造に広範囲な使用が見出された。意外にも、本発明のポリエーテルポリオールは、従来の粘弾性ポリエーテルポリオールを用いて製造されるフォームと比較して、変形からの遅い回復、向上した引裂強度および低感温性を呈す低レジリエンス粘弾性フォームを提供することが見出された。記載したように、本発明の低レジリエンス粘弾性フォームは、ASTM D3574−03のボール反発手順によって測定された25%未満のレジリエンス値を有すると定義される。該フォームは、好ましくは20%未満、もっとも好ましくは15%未満のレジリエンス値を有する。これらのフォームの感温性等級は典型的には0.4を越える。
【0054】
本発明に従えば、存在する任意の水を含む、ポリイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分の反応性量は、イソシアネート指数(イソシアネート反応性成分と反応させることが可能なNCOの化学量論的百分率)が典型的には少なくとも約70、好ましくは少なくとも約80、より好ましくは少なくとも約90であるような量である。ポリイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分の反応性量はまた、典型的には、イソシアネート指数(NCO指数)が約120以下、好ましくは約115以下、より好ましくは約110以下であるような量である。最後に、ポリイソシアネートおよびイソシアネート反応性成分の反応性量は、イソシアネート指数がこれらの上限値と下限値の任意の組み合わせの間の(これらの値も含む)範囲、例えば、約70〜約120、好ましくは約80〜約115、より好ましくは約90〜約110であるような量で存在する。
【0055】
本発明において、ヒドロキシル価は、ポリオール1グラムから調製された完全フタリル化誘導体を完全に加水分解するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。ヒドロキシル価は、方程式:
OH=(56.1×1000×f)/mol.wt.=56100/eq.wt.
〔式中、
OHは、ポリオールのヒドロキシル価を表し、
fは、ポリオールの公称官能価、すなわちポリオールを製造するために用いるスターターの1分子あたりのヒドロキシル基の平均数を表し、
mol.wt.は、ポリオールの数平均分子量を表し、および
eq.wt.は、1ヒドロキシル基あたりの平均ポリオール当量を表す〕
によって定義してもよい。
【0056】
以下の実施例により、本発明についての詳細をさらに説明する。先に記載した本発明は、これらの実施例によって精神または範囲が制限されるべきではない。当業者であれば、以下の方法の条件の既知の変形を用いることができることを容易に理解するであろう。特記がない限り、全ての温度はセルシウス度であり、全ての部およびパーセンテージはそれぞれ重量部および重量%である。
【実施例】
【0057】
〔ISO A:〕
80重量%の2,4−異性体および20重量%の2,6−異性体からなるトルエンジイソシアネート。
〔ISO B:〕
約32.1重量%のNCO基含有量、約2.4の官能価を有し、および約45%の4,4’−異性体、約17%の2,4’−異性体および約2%の2,2’−異性体を含んでなる約64%の全モノマー含有量、および約36重量%のMDI系列の高分子量同族体を有するポリマーポリメチレンポリイソシアネート。
〔ISO C:〕
約32.4重量%のNCO基含有量、約2.2の官能価を有し、約52%の4,4’−異性体、約19%の2,4’−異性体および約3%の2,2’−異性体を含んでなる約74%の全モノマー含有量および約26重量%のMDI系列の高分子量同族体を有するポリマーポリメチレンポリイソシアネート。
【0058】
〔ポリオール A:〕
ビスフェノールAをPOおよびEOでアルコキシル化することによって製造した、 OH価200および当量約280を有するビスフェノールA出発ポリエーテルポリオール。該生成物は、8重量%EOを含有する。
【0059】
ポリオールAを以下の手順によって製造した:
ビスフェノールA(326g)および市販されているDMC触媒(0.08g)を、機械式撹拌機を備えたステンレス鋼反応器中に充填し、攪拌しながら165℃にゆっくり加熱してBPAを融解した。BPAを融解した後、窒素の流れを反応器を通じてスパージすることで反応器を真空ストリップ(0.5psia)して、残存する微量の水を30分間除去した。真空バルブを閉め、反応器を遮断し、プロピレンオキシド(35g)およびエチレンオキシド(6g)の初期投入分を反応器中に送り出した。数分後、触媒が活性化され、およびオキシドを消費され始めたことを示す反応器中の圧力の急速な低下を観察した。プロピレンオキシド(373g)およびエチレンオキシド(60g)の残りの投入分を、一定の供給速度で87分間にわたって添加した。供給が完了した後、該反応混合物を130℃でさらに30分間攪拌した後、真空ストリップ(30分;130℃)し、反応器から無色透明液体を取り出した。BHT(0.4g;500ppm)を熱ポリオール中に溶解させた。
【0060】
〔ポリオール B:〕
ビスフェノールAをプロポキシル化することによって製造した、 OH価112および当量約500を有するビスフェノールA出発ポリエーテルポリオール。
【0061】
ポリオールBを以下の手順によって製造した:
ビスフェノールA(4000g)および市販されているDMC触媒(0.877g)を、機械式撹拌機を備えたステンレス鋼反応器中に充填し、攪拌しながら165℃にゆっくり加熱してBPAを融解した。BPAを融解した後、窒素の流れを反応器を通じてスパージすることで反応器を真空ストリップ(0.5psia)して、残存する微量の水を30分間除去した。真空バルブを閉め、反応器を遮断し、プロピレンオキシド(500g)の初期投入分を反応器中に送り出した。数分後、触媒が活性化され、およびオキシドが消費され始めたことを示す反応器中の圧力の急速な低下を観察した。プロピレンオキシド(13035g)の残りの投入分を、一定の供給速度で180分間にわたって添加した。供給が完了した後、該反応混合物を130℃でさらに30分間攪拌した後、真空ストリップ(30分;130℃)し、反応器から無色透明液体を取り出した。BHT(1.75g;100ppm)を熱ポリオール中に溶解した。
【0062】
〔ポリオール C:〕
ビスフェノールAをプロポキシル化することによって製造した、 OH価56および当量約1000を有するビスフェノールA出発ポリエーテルポリオール。
【0063】
ポリオールCを以下の手順によって製造した:
ビスフェノールA(2100g)および市販されているDMC触媒(0.922g)を、機械式撹拌機を備えたステンレス鋼反応器中に充填し、攪拌しながら165℃にゆっくり加熱してBPAを融解した。BPAを融解した後、窒素の流れを反応器を通じてスパージすることで反応器を真空ストリップ(0.5psia)して、残存する微量の水を30分間除去した。真空バルブを閉め、反応器を遮断し、プロピレンオキシド(330g)の初期投入分を反応器中に送り出した。数分後、触媒が活性化され、およびオキシドが消費され始めたことを示す反応器中の圧力の急速な低下を観察した。プロピレンオキシド(16000g)の残りの投入分を、一定の供給速度で222分間にわたって添加した。供給が完了した後、該反応混合物を130℃でさらに30分間攪拌した後、真空ストリップ(30分;130℃)し、反応器から無色透明液体を取り出した。BHT(1.84g;100ppm)を熱ポリオール中に溶解した。
【0064】
〔ポリオール C2:〕
混合PO/EO供給により製造した、 OH価56および当量約1000を有するビスフェノールA出発ポリエーテルポリオール。
【0065】
ポリオールC2を以下の手順によって製造した:
ビスフェノールA(3176g)の2モルプロポキシレートおよび市販されているDMC触媒(0.922g)を、機械式撹拌機を備えたステンレス鋼反応器中に充填し、攪拌しながら165℃にゆっくり加熱した。窒素の流れを反応器を通じてスパージすることで反応器を真空ストリップ(0.5psia)して、残存する微量の水を30分間除去した。真空バルブを閉め、反応器を遮断し、プロピレンオキシド(150g)の初期投入分を反応器中に送り出した。数分後、触媒が活性化され、およびオキシドが消費され始めたことを示す反応器中の圧力の急速な低下を観察した。プロピレンオキシド(8654g)およびエチレンオキシド(920g)の第1混合ブロックを、オキシド供給を停止した時点で一定の供給速度で123分間にわたって添加し、反応器を130℃に冷却した。窒素圧を20psiaに加圧し、プロピレンオキシド(2765g)およびエチレンオキシド(2765g)の第2混合ブロックを一定の供給速度で79分間にわたって添加した。供給が完了した後、該反応混合物を130℃でさらに30分間攪拌した後、真空ストリップ(30分;130℃)し、反応器から無色透明液体を取り出した。BHT(1.84g;100ppm)を熱ポリオール中に溶解した。
【0066】
〔ポリオール D:〕
KOH触媒作用を用いてプロピレンオキシド約92重量%およびエチレンオキシド約8重量%でアルコキシル化することによって製造された、官能価6、OH価28および当量約2000を有するソルビトール出発ポリエーテルポリオール。
〔ポリオール E:〕
ポリエーテルモノオール50重量%およびポリエーテルポリオール50重量%を含んでなるポリオールブレンド、該ブレンドは官能価約2.4、OH価約94および当量約597を有する。該モノオールを、プロピレンオキシド約92重量%およびエチレンオキシド約8重量%での脂肪族アルコールのDMC触媒アルコキシル化によってヒドロキシル価約18および当量約3120に製造した;および該ポリエーテルポリオールを、プロピレンオキシド約82重量%およびエチレンオキシド約18重量%でのグリセリンのDMC触媒アルコキシル化によってOH価約170および当量約330に製造した。
〔ポリオール F:〕
ポリエーテルモノオール33重量%、ポリエーテルジオール23重量%およびポリエーテルトリオール45重量%を含んでなるポリオールブレンド、該ブレンドは官能価約2.4、OH価約120および当量約470を有する。該モノオールを、プロピレンオキシド約90重量%およびエチレンオキシド約10重量%での脂肪族アルコールのDMC触媒アルコキシル化によってヒドロキシル価約18および当量約3120に製造した;該ポリエーテルジオールを、プロピレンオキシド約80重量%およびエチレンオキシド約20重量%でのプロピレングリコールのDMC触媒アルコキシル化によってOH価約170および当量約330に製造した;該ポリエーテルトリオールを、プロピレンオキシド約80重量%およびエチレンオキシド約20重量%でのグリセリンのDMC触媒アルコキシル化によってOH価約170および当量約330に製造した。
〔ポリオール G:〕
グリセリンのKOHプロポキシル化によってOH価約168および当量約333に製造されたポリエーテルトリオール
〔ポリオール H:〕
プロピレンオキシド約93重量%およびエチレンオキシド約7重量%でのグリセリンと少量のプロピレングリコールをアルコキシル化することによって製造された、官能価約2.8、OH価約56および当量約1000を有する、グリセリン開始ポリエーテルポリオール。
〔ポリオール I:〕
100%プロピレンオキシドでグリセリンをアルコキシル化することによって製造された、官能価約3、OH価約28および当量約2000を有する、グリセリン開始ポリエーテルポリオール。
〔ポリオール J:〕
プロピレンオキシド100重量%でプロピレングリコールをアルコキシル化することによって製造された、官能価約2、OH価約112および当量約500を有する、プロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。
〔ポリオール K:〕
プロピレンオキシド100重量%でプロピレングリコールをアルコキシル化することによって製造された、官能価約2、OH価約56および当量約1000を有する、プロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。
〔ポリオール L:〕
固体約12重量%を含有し、OH価約27を有するSAN添加ポリマーポリオール。該ベースポリオールは、ポリエーテルトリオールと、グリセリンとソルビトールをプロポキシル化し、次いで100%EOでキャップして約80%の第1級ヒドロキシル含有量を付与することによって製造されたヘキソールのブレンドであった。該ベースポリオールの平均官能価は約4であり、平均当量は約1830である。
〔ポリオール M:〕
固体約43重量%を含有し、OH価約20を有するSAN添加ポリマーポリオール。該ベースポリオールは、グリセリンを約80%POでプロポキシル化し、次いで約20%EOでキャップして約88%の第1級ヒドロキシル含有量を付与することによって製造されたトリオールであった。該ベースポリオールは官能価約3および当量約1580を有する。
〔ポリオール N:〕
プロピレンオキシド約87重量%、次いでキャップとしてのエチレンオキシド約13重量%でグリセリンをアルコキシル化することによって製造された、官能価約3、OH価約28および当量約2000を有する、グリセリン開始ポリエーテルポリオール。
〔ポリオール O:〕
プロピレンオキシド(全オキシドの4.9重量%)のブロック、次いでプロピレンオキシド(全オキシドの22.4重量%)およびエチレンオキシド(全オキシドの62.7重量%)の混合ブロックでのグリセリンのKOH触媒アルコキシル化によって製造され、エチレンオキシド(全オキシドの10重量%)のブロックで仕上がった、官能価約3、ヒドロキシル価約37を有するポリエーテルポリオール。
〔ポリオール P:〕
プロピレンオキシド約18重量%およびエチレンオキシド約82重量%の混合物でグリセリンをアルコキシル化することによって製造された、官能価約6、OH価約100および当量約560を有する、ソルビトール開始ポリエーテルポリオール。
〔ポリオール Q:〕
エチレンオキシド約100重量%でグリセリンをアルコキシル化することによって製造された、官能価約3、OH価約168および当量約330を有する、グリセリン開始ポリエーテルポリオール。
〔DP−1022:〕
OH価約1245を有するグリコール改質剤。
〔触媒 A〕
General Electric(OSi)製NIAX C−183として市販されているアミン触媒ブレンド。
〔触媒 B〕
General Electric(OSi)製NIAX Catalyst A−33として市販されているアミン触媒。
〔触媒 C〕
General Electric(OSi)製NIAX Catalyst A−1として市販されているアミン触媒。
〔触媒 D〕
Air Products製DABCO Catalyst PC−77として市販されているアミン触媒。
〔触媒 E〕
ジブチル錫ジラウレート、Air Products製DABCO Catalyst T−12として市販されている触媒。
〔触媒 F〕
オクタン酸第一錫、Air Products製DABCO Catalyst T−9として市販されている触媒。
〔界面活性剤 A〕
General Electric(OSi)製NIAX Silicone L−620として市販されているシリコーン界面活性剤。
〔界面活性剤 B〕
General Electric(OSi)製NIAX Surfactant L−5614として市販されているシリコーン界面活性剤。
〔界面活性剤 C〕
General Electric(OSi)製NIAX Surfactant L−6164として市販されているシリコーン界面活性剤。
〔界面活性剤 D〕
Air Products製DABCO Surfactant B−8715LFとして市販されているシリコーン界面活性剤。
〔界面活性剤 E〕
General Electric(OSi)製NIAX Surfactant U−2000として市販されているシリコーン界面活性剤。
〔難燃剤 A〕
AKZO−Noble製FYROL FR−38として市販されているクロロホスフェート難燃剤。
【0067】
本発明および比較例の粘弾性フォームを製造するために用いる処方物を以下の表1A、2、3、4Aおよび5Aに示す。相関的な化学量論を表す100での割合として示された、反応に使用できるイソシアネート反応性基の全数に対する反応に使用できるイソシアネート官能性基の計算された化学量論的数を表すNCO指数を除いて、全ての値は重量部である。表1乃至4の実施例は下記のフリーライズ法によって製造した。
【0068】
ポリオール、水、シリコーン界面活性剤、アミン触媒、用いる場合には錫触媒E、および他の非イソシアネート添加剤を、バッフルを取り付けた半ガロンまたは1ガロンの円筒容器に添加した。該内容物を、2つのタービンインペラーを有する撹拌機を用いて2400rpmにて60秒間混合した。次いで、該混合物を15秒間脱気した。用いる場合には錫触媒Fをこの時点で添加した。脱気後、該内容物を2400rpmにて15秒間混合し、その間に、約7秒間の残りの混合でイソシアネート成分を添加した。次いで、該混合物を、14×14×6インチの段ボール箱中に注ぎ、そこで、反応が完了するまで、フリーライズさせた。バンを少なくとも6インチの高さにするのに十分なバッチサイズを用いた。新たに製造したバンを5分間オーブン中で120℃で硬化し、次いで周囲条件で最低2日間硬化させた。発泡および硬化の間に行った観察を表1C、2、3および4Bに示す。次いで該バンを12×12×4インチに切り取り、最小厚み約0.5インチまで3回ローラーで押しつぶした。次いでこれらの試料を試験する前に少なくとも16時間、標準的な温度(〜23℃)および湿度(〜50%)で状態調節した。
【0069】
表5の実施例は次の成型フォームプロセスによって製造した。ポリオール、水、シリコーン界面活性剤、アミン触媒および他の任意の成分を、バッフルを取り付けた半ガロンの円筒容器に添加した。該内容物を、2つのタービンインペラーを有する撹拌機を用いて3700rpmにて60秒間混合した。次いで、該混合物を60秒間脱気した。イソシアネートを該容器に添加し、該内容物を5秒間混合した。次いで、該混合物を、必要な量が金型に移るのを確実にするために混合容器を振盪させながら、65℃に予備加熱した、予め状態調節した金型に注いだ。該金型を直ちにクランプで閉めて密閉した。発泡反応を5〜7分の所定の離型時間進行させ、その後、該フォームを離型した。実施例23〜26を15インチ×15インチ×2インチ厚の金型において製造し、その一方、実施例27〜29を15インチ×15インチ×4インチ厚の金型において製造した。該フォームを、フォーム特性を計測する前に7日間室温で熟成させた。
【0070】
フォーム特性を表1B、2、3、4Bおよび5Bに示す。他の標準的な物理的特性または機械的特性と共にレジリエンスおよび引裂強度を、以下、特記のない限り、ASTM D3574−03に記載された手順によって計測した。湿潤圧縮永久歪み(50%)は、1試料あたり3つの2×2×1”試験片の高さを計測し、その高さの50%まで圧縮し、22時間圧縮状態で50℃および95%相対湿度で保持し、圧縮固定から試験片を取り外し、および30分間室温で試験片を回復させ、高さを再測定し、次いで元の高さに対する平均百分率高さ損失を決定することによって決定した。
【0071】
粘弾性フォームの回復特性は、標準的なIFD試験装置を用いて、典型的には12×12×4インチ試験片を用いて以下の一般的な手順によって計測した。フォームが圧縮脚に1lbの力を及ぼすまで、IFD圧縮脚を下げることにより、フォーム試料の高さを決定した。次いで試料を該高さの95%に圧縮し(5%圧縮)、1分間保持し、その時間の後に5%IFD読み取りを行った。次いで該試料をこの元の高さの25%に圧縮し(75%圧縮)、1分間保持した。脚を5%高さまでできるだけ素早く戻し、回復するフォームが脚に及ぼす力を試験に応じて1分間または5分間記録した。試料の回復を比較するために1つまたは幾つかの以下のパラメータを決定した。
【0072】
70%力回復時間、秒=回復するフォームが脚に元の5%IFD力の70%を及ぼす時間
【0073】
95%高さ回復時間、秒=回復するフォームが5%高さでIFD脚に1ポンドの力を及ぼす時間
【0074】
感温性率を、典型的には5×5×4インチのフォーム試験片および標準的なIFD試験装置を用いて決定した。該フォーム試験片を、所定の温かい温度および冷たい温度、典型的には+20℃および−20℃のいずれかで少なくとも16時間状態調節し、すぐに試験するためにIFD装置に素早く移した。1lb力での高さを決定し、次いで試料を20インチ/分でその高さの75%まですぐに圧縮し(25%圧縮)、1秒後に力の読み取りを行った。各温度で試験片を状態調節するために該手順を繰り返した。感温性率は以下のように計算した。

【0075】
1に近い感温性率ほど、より小さい感温性を示す。
【0076】
表1A乃至1Cにおける実施例は、引裂強度および遅い回復における向上が比較フォーム(比較例1、4、5、6、9および10)に対して比較的低水準の所定のポリエーテルポリオールの使用による本発明の低レジリエンス粘弾性フォーム(実施例2、3、7、8)によって提供されることを示す。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
表2における実施例は、引裂強度および遅い回復における向上が比較フォーム(比較例13)と比べて、比較的高水準の所定のポリエーテルポリオールの使用による本発明のフォーム(実施例11、12)によって提供されることを示す。
【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
表4A乃至4Bにおける実施例は、引裂強度および遅い回復における向上が比較フォーム(比較例18、20、21)と比べて、異なる所定のポリエーテルポリオールの使用による本発明のフォーム(実施例17、19、22)に付与されることを示す。
【0084】
【表6】

【0085】
【表7】

【0086】
【表8】

【0087】
【表9】

【0088】
表5A乃至5Bにおける実施例は、引裂強度および遅い回復における向上が比較フォーム(比較例26、28、29)と比べて所定のポリエーテルポリオールの使用による本発明の成型フォーム(実施例23、24、25、27)に付与されることを示す。実施例23および24は、本発明のフォームが同様の硬度およびわずかに早い回復時間を有する比較フォーム(比較例26)と比べると向上した感温性を呈すことを示す。
【0089】
例示の目的で本発明を上記に詳しく説明したが、そのような詳細は、単なる例示目的にすぎず、請求の範囲によって限定され得ることを除き、本発明の精神および範囲から逸脱せずに当業者によって変更され得ると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低レジリエンス粘弾性フォームの製造方法であって、
(A)(1)少なくとも1つのポリイソシアネート成分と、
(2)(a)1分子あたり約2〜約4個の反応性ヒドロキシル基を含有し、約280〜約2000の当量を有する、成分(2)100重量%を基準として5〜100重量%の少なくとも1つのポリエーテルポリオールであって、該ポリエーテルポリオールが1化合物あたり少なくとも2個の芳香族環、約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、および約100〜約575の平均当量を有する1以上の有機化合物のアルコキシル化生成物であるポリエーテルポリオール、および必要に応じて、
(b)成分(2)100重量%を基準として0〜95重量%の1以上のイソシアネート反応性化合物(ただし該化合物はポリエーテルポリオール(a)と異なる)
を含んでなるイソシアネート反応性成分とを、
(3)1以上の発泡剤、
(4)1以上の界面活性剤、および
(5)1以上の触媒
の存在下に約70〜約120のイソシアネート指数で反応させる工程を含んでなる、前記方法。
【請求項2】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)は、1分子あたり平均約2〜約3個の反応性ヒドロキシル基を含有し、および約470〜約1600の平均当量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)は、1化合物あたり2〜4個の芳香族環、平均約2〜約3個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、約110〜400の平均当量を有する1以上の有機化合物のアルコキシル化生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1以上の有機化合物のツェレビチノフ活性水素原子はヒドロキシル官能性基に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)のためのスターターは、ビスフェノールA、ビスフェノールAアルコキシレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記イソシアネート反応性成分(2)は、
(a)40〜100重量%の少なくとも1つのポリオール、および
(b)0〜60重量%の少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物
を含み、(a)および(b)の合計がイソシアネート反応性成分(2)の100重量%となる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イソシアネート反応性化合物(2)(b)は、ポリエーテルポリオール、架橋剤、鎖延長剤およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記イソシアネート反応性成分(2)は約200〜約2000の平均当量および約2〜約4の平均官能価を有し、前記イソシアネート反応性化合物(2)(b)は約30〜約6000の平均当量および約2〜約6の平均官能価を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)は、1以上の複金属シアン化物触媒の存在下における1以上の有機化合物のアルコキシル化生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)を形成するためにアルコキシル化され、1化合物あたり少なくとも2個の芳香族環、平均約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、約100〜約575の平均当量を有する、1以上の有機化合物は、ビスフェノールA、ビスフェノールAアルコキシレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)および前記イソシアネート反応性化合物(2)(b)の少なくとも一部を、該ポリエーテルポリオール(2)(a)のためのスターターである1以上の有機化合物および該イソシアネート反応性化合物(2)(b)のための適当なスターターの少なくとも一部をアルコキシル化することによって同時に製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アルコキシル化を少なくとも1つの複金属シアン化物触媒の存在下に生じさせる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
フォームは20%未満のレジリエンスを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(A)(1)少なくとも1つのポリイソシアネート成分と、
(2)(a)1分子あたり約2〜約4個の反応性ヒドロキシル基を含有し、約280〜約2000の当量を有する、成分(2)100重量%を基準として5〜100重量%の少なくとも1つのポリエーテルポリオールであって、該ポリエーテルポリオールが1化合物あたり少なくとも2個の芳香族環、約2〜約4個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、および約100〜約575の平均当量を有する1以上の有機化合物のアルコキシル化生成物であるポリエーテルポリオール、および必要に応じて、
(b)成分(2)100重量%を基準として0〜95重量%の1以上のイソシアネート反応性化合物(ただし該化合物はポリエーテルポリオール(a)と異なる)
を含んでなるイソシアネート反応性成分との、
(3)1以上の発泡剤、
(4)1以上の界面活性剤、および
(5)1以上の触媒
の存在下における約70〜約120のイソシアネート指数での反応生成物を含んでなる、低レジリエンス粘弾性フォーム。
【請求項15】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)は、1分子あたり平均約2〜約3個の反応性ヒドロキシル基を含有し、約470〜約1600の平均当量を有する、請求項14に記載のフォーム。
【請求項16】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)は、1化合物あたり2〜4個の芳香族環、平均約2〜約3個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、約110〜400の平均当量を有する1以上の有機化合物のアルコキシル化生成物である、請求項14に記載のフォーム。
【請求項17】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)のためのスターターは、ビスフェノールA、ビスフェノールAアルコキシレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載のフォーム。
【請求項18】
前記イソシアネート反応性成分(2)は約200〜約2000の平均当量および約2〜約4の平均官能価を有し、前記イソシアネート反応性化合物(2)(b)は約30〜約6000の平均当量および約2〜約6の平均官能価を有する、請求項14に記載のフォーム。
【請求項19】
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)および前記イソシアネート反応性化合物(2)(b)の少なくとも一部を、該ポリエーテルポリオール(2)(a)のためのスターターである1以上の有機化合物および該イソシアネート反応性化合物(2)(b)のための適当なスターターの少なくとも一部をアルコキシル化することによって同時に製造する、請求項14に記載のフォーム。
【請求項20】
アルコキシル化を少なくとも1つの複金属シアン化物触媒の存在下に生じさせる、請求項19に記載のフォーム。

【公表番号】特表2009−541576(P2009−541576A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518163(P2009−518163)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/014371
【国際公開番号】WO2008/002435
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】