説明

遊具設備用連結金具

【課題】隣り合う二つの設備構成部材に渡される連結金具について緩衝効果を高め、遊具設備を利用する幼児が安全に遊ぶことができるようにする。
【解決手段】緩衝体5のボルト孔に対応する位置それぞれに、ボルト孔に通す取付ボルトの頭部寸法より大きい深さ寸法の座ぐり部9を設け、二つの座ぐり部9の間に渡る凹溝部10の長さ方向に沿う辺に可撓性を有する可撓壁11を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は滑り台や階段、柵パネル、円支柱などの設備構成部材を組み合せてなる遊具設備の前記設備構成部材を連結するために用いる連結金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、公園などの屋外で幼児が遊ぶことができる設備として、滑り台やジャングルジムなどの複数の遊具をまとめて一つの遊具設備として提供されるようになってきている。この遊具設備では、複数の遊具を単に連結するのではなく、例えば滑り台の滑り板、手摺り、ジャングルジムの棒部材、柵パネル、壁パネル、床パネルなどの各種の設備構成部材を設置環境や所望のデザインなどに応じて選択して組み合わせることができるようにしていて、設備構成部材の一つであって支承部材の役割をする円支柱を、事前に設定された位置それぞれに立設し、この円支柱に遊具部分が支持されるように各種の設備構成部材の組み合わせながらそれぞれの遊具を構成している。
【0003】
このような遊具設備に関して本出願人では、円支柱とこの円支柱に並ぶ柵パネルや壁パネルなどとする設備構成部材を組み付けるに際して、取付ボルトの頭部が飛び出ないように座ぐりを有する連結金具を用いて両者を連結する工夫を提案している(特許文献1参照)。
また、本出願人においては、前記円支柱を間にして並ぶ設備構成部材をその円支柱に支承させるに際し、略弧状とした一対の連結金具で円支柱を挟み込みながらその連結金具の両端に、柵パネルや壁パネルなどの設備構成部材を止め付けるようにし、その連結金具にあっては弾性ゴムで覆われた構造として安全性を高める工夫を提案している(特許文献2参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3095923号公報
【特許文献2】特開2007−127204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、このような遊具設備において、上述したように設備構成部材の一つであって支承部材の役割をする円支柱とこの円支柱に組み付ける柵パネルなどに渡して連結するための前者の連結金具についても緩衝材を設けて安全性の向上が要望されるようになってきた。
そこで、本発明は円支柱とこれに組み付けるパネルとの両者に限ることなく隣り合う二つの設備構成部材に渡される連結金具について緩衝効果を高めるようにすることを課題とし、遊具設備を利用する幼児が安全に遊ぶことができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、複数の設備構成部材を連結してなる遊具設備の隣り合う前記設備構成部材に渡される連結金具であって、前記隣り合う設備構成部材に対応する二つの取付板部を有し、前記取付板部それぞれに該取付板部を設備構成部材に止め付けるための取付ボルトを通すボルト孔が開口されている金具本体と、前記金具本体における取付板部の設備構成部材側の対向面とこの対向面とは反対側のボルト孔周囲とを除く表面に分離困難に密着して覆う弾性ゴムの緩衝体とからなり、前記緩衝体のボルト孔に対応する位置それぞれに、ボルト孔に通す取付ボルトの頭部寸法より大きい深さ寸法の座ぐり部を設け、前記二つの座ぐり部の間に渡る凹溝部の長さ方向に沿う辺に可撓性を有する可撓壁を設けたことを特徴とする遊具設備用連結金具を提供して、上記課題を解消するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ボルト孔に取付ボルトを通して連結金具を設備構成部材にボルト止めしてもその取付ボルトの頭部が緩衝体の座ぐり部から突出することがない。座ぐり部が凹溝部に連続しているために座ぐり部が深孔とはならず、幼児が指を座ぐり部に入れて取付ボルトの頭部に触わるようなことをしても指先が抜けなくなるということがない。さらに、座ぐり部に連続する凹溝部に可撓性のある可撓壁が設けられているため、その可撓壁の倒れ込みによっても緩衝性を奏するものとなり、屋外での紫外線や熱、雨水などを考慮しながら緩衝性を損なわない緩衝体とする弾性ゴムの素材の選択幅が広がるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに本発明を図1から図5に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は遊具設備用連結金具で、該遊具設備用連結金具1は、それぞれ遊具設備における設備構成部材である金属パイプの円支柱2とこの円支柱2に並設する壁パネル3とに渡って位置していて、図1に示すように円支柱2にこの円支柱2の径方向に沿う配置とした壁パネル3を組み付けて支持させるために用いられるものである。
この遊具設備用連結金具1は金属製の金具本体4を成型金型に入れて行なうインサート成型手法によりその金具本体4に弾性ゴムからなる緩衝体5を一体としている(図5参照)。まず、金具本体4は、図4に示すように円支柱2の外周面形状に応じて湾曲した一方の取付板部6とこの取付板部6の端部から円支柱2の径方向に向けて張り出て壁パネル3に対応するように平板状としたもう一方の取付板部7とからなり、二つの取付板部6,7との間の屈曲部分にはこの屈曲部分の強度を保つリブ8が一体に設けられているとともに、取付板部6,7それぞれには円支柱2や壁パネル3に止め付ける取付ボルトを通すボルト孔9が開口されている。
【0008】
緩衝体5は、図5の断面で示されているように金具本体4における取付板部6,7の設備構成部材側の対向面6a,7aとこの対向面6a,7aとは反対側のボルト孔周囲とを除く表面に分離困難に密着して覆っている。さらにこの緩衝体5のボルト孔9に対応する位置には、取付ボルトの頭部aを配置できる内空間とした凹所である座ぐり部10が設けられている。この座ぐり部10それぞれは取付ボルトの頭部寸法(高さ寸法)より大きい深さ寸法であり、取付ボルトによりこの連結金具1を設備構成部材(上記円支柱や壁パネルなど)にボルト止めしたときに取付ボルトの頭部が突出しないように設けられている(図1参照)。
また、図2と図3に示されているように二つの座ぐり部10はこの二つの座ぐり部10の間に渡る凹溝部11に連続し、座ぐり部10それぞれが深い円孔とならずに外方に向けて広がりを有した形状に形成している。さらにこの実施の形態では二つの座ぐり部10と前記凹溝部11とが一体となって一つの凹部を有する緩衝体5としている。
【0009】
この遊具設備用連結金具1での緩衝体5にあっては、図5に示されているように凹溝部11の長さ方向に沿う辺それぞれに可撓性を有する可撓壁12を設けており。この可撓壁12に他物、例えば幼児の手などが当たってときには可撓壁12が変形して衝撃を吸収するようにしており、緩衝体5の弾性ゴム自体の弾性変形による緩衝効果に、前記可撓壁12の形状変形による緩衝効果が加わって高い緩衝性を有するものである。
【0010】
上記金具本体には一例としてステンレス鋼SUS304を採用することが良好である。また、緩衝体を形成する弾性ゴムの一例としてエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を採用することが良好であり、耐候性や耐摺性を備えるとともに、機械的耐性や化学的耐性もある。なお、本発明では材料がこれらに限定されるものではない。また、円支柱と壁パネルとに渡る連結金具に限定されるものではなく、並設される二つの設備構成部材に渡る連結金具に適用することができるものである。さらに、連結金具で繋ぎ止められる設備構成部材は金属製のものに限定されず、例えば木製のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る遊具設備用連結金具の一例における連結形態を示す説明図である。
【図2】実施の例を示すもので、(イ)は上方から見た状態を示す説明図、(ロ)は側方から見た状態を示す説明図、(ハ)は下方から見た状態を示す説明図である。
【図3】同じく実施の例を示すもので、(イ)は凹溝部の長手方向での一方から見た状態を示す説明図、(ロ)は凹溝部の長手方向での他方から見た湾曲取付板部側を示す説明図である。
【図4】実施の例における金具本体を示すもので、(イ)は側方から見た状態を示す説明図、(ロ)は上方から見た状態を示す説明図、(ハ)は平板状取付板部側から見た状態を示す説明図、(ニ)は湾曲状取付板部側から見た状態を示す説明図である。
【図5】実施の例の断面を示すもので、(イ)は図3(ロ)のA−A線に沿った断面を示す説明図、(ロ)は図2(イ)のB−B線に沿った断面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0012】
1…遊具設備用連結金具
2…円支柱
3…壁パネル
4…金具本体
5…緩衝体
6…取付板部
7…取付板部
9…ボルト孔
10…座ぐり部
11…凹溝部
12…可撓壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備構成部材を連結してなる遊具設備の隣り合う前記設備構成部材に渡される連結金具であって、前記隣り合う設備構成部材に対応する二つの取付板部を有し、前記取付板部それぞれに該取付板部を設備構成部材に止め付けるための取付ボルトを通すボルト孔が開口されている金具本体と、前記金具本体における取付板部の設備構成部材側の対向面とこの対向面とは反対側のボルト孔周囲とを除く表面に分離困難に密着して覆う弾性ゴムの緩衝体とからなり、
前記緩衝体のボルト孔に対応する位置それぞれに、ボルト孔に通す取付ボルトの頭部寸法より大きい深さ寸法の座ぐり部を設け、前記二つの座ぐり部の間に渡る凹溝部の長さ方向に沿う辺に可撓性を有する可撓壁を設けたことを特徴とする遊具設備用連結金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−250302(P2009−250302A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97283(P2008−97283)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(500068865)株式会社ジャクエツ (3)
【Fターム(参考)】