説明

遊技システム

【課題】遊技媒体の不正な貸出を検知する。
【解決手段】遊技球を投入して遊技するパチンコ機5と、前記パチンコ機5との間で相互に暗号通信可能に接続され、前記遊技球の貸出指示信号を前記パチンコ機5に暗号通信により送信し当該パチンコ機5に貸出動作を行わせる遊技球貸出装置65と、を備え、前記パチンコ機5は、前記遊技球の貸出動作をするごとに貸出結果信号を前記遊技球貸出装置65に暗号通信により送信し、前記遊技球貸出装置65は、前記パチンコ機5から受信した貸出結果信号と、前記パチンコ機5に送信した前記貸出指示信号との対応に基づいて、貸出指示がない遊技媒体の貸出動作を検知する遊技システム15を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の不正検知技術に係り、特に、遊技媒体の不正な貸出の検知技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機等の遊技機が設置された遊技店舗では、各遊技機の出球状況をホールコンピューターにより監視し出球異常を検知することで、遊技機に対する不正行為を速やかに発見する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−325944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技機には、遊技媒体を貸出す遊技媒体貸出装置が並設されていることが多い。この場合、従来の技術によれば、遊技機での賞球に伴う出球増加は管理可能であるものの、遊技媒体貸出装置からの貸出による出球増加を管理できない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、遊技媒体の不正な貸出を検知できる遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技媒体を投入して遊技する遊技機と、前記遊技機との間で相互に暗号通信可能に接続され、前記遊技媒体の貸出指示を前記遊技機に暗号通信により送信し当該遊技機に貸出動作を行わせる遊技媒体貸出装置と、を備え、前記遊技機は、前記遊技媒体の貸出動作をするごとに貸出結果を前記遊技媒体貸出装置に暗号通信により送信し、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技機から受信した貸出結果と、前記遊技機に送信した前記貸出指示との対応に基づいて、前記貸出指示がない遊技媒体の貸出動作を検知することを特徴とする遊技システムを提供する。
【0006】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置は、前記貸出指示によらない遊技媒体の貸出しを検知した場合、前記遊技機への遊技媒体の貸出動作を禁止するか、報知するか、或いは前記遊技機での遊技を制限するかの少なくともいずれか1の動作を行うことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記遊技システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技機の遊技状態、及び賞球との関係に基づいて賞球の異常を検知し、当該異常を検知した場合に、前記遊技機への遊技媒体の貸出動作を禁止するか、報知するか、或いは前記遊技機での遊技を制限するかの少なくともいずれか1の動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技機には遊技媒体の貸出指示が暗号通信により送信されることから、不正な貸出指示を遊技機に入力して当該遊技機に不正に貸出動作を行わせるといった不正行為を防止できる。これに加え、遊技媒体貸出装置が、遊技媒体の貸出ごとに送信される貸出結果と、遊技機に送信した貸出指示との対応に基づいて貸出指示によらない遊技媒体の貸出動作を検知するため、遊技機において不正に貸出動作が誘発された場合でも、遊技媒体貸出装置で、これを検知することができる。特に、貸出結果も暗号通信により遊技媒体貸出装置に入力されるから、通信経路上で遊技媒体貸出装置への貸出結果の出力を無効にする等の信号操作が行われるのを防止することができ、不正な貸出を確実に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技サービスシステムの全体構成を示す図である。
【図2】遊技システムの電気的構成を示す図である。
【図3】貸出動作の異常を判定する貸出異常判定処理のフローチャートである。
【図4】出球の異常を検知する際の遊技システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技サービスシステム1の構成を示す図である。
遊技サービスシステム1は、遊技店舗2に導入されている遊技管理システム3と、サービス提供サーバー群4とを備えている。遊技管理システム3は、遊技機の一例たるパチンコ機5から遊技情報を取得して管理するシステムであり、複数台のパチンコ機5及びCR(Card Reader)ユニット(遊技球貸出装置)6等を備えて構成されている。サービス提供サーバー群4は、遊技管理システム3に対して各種サービスを提供するサーバー群である。
【0011】
サービス提供サーバー群4には、大別すると、ベンダー系に属するベンダー系サーバー群4Aと、データセンター系に属するデータセンター系サーバー群4Bとが含まれており、それぞれがインターネット等の広域網11を介して遊技管理システム3に通信可能に接続されている。
ベンダー系サーバー群4Aには、遊技機メーカーサーバー12Aと、販社・中古機業者サーバー12Bと、カード会社サーバー12Cと、コンテンツプロバイダーサーバー12Dとが含まれている。
遊技機メーカーサーバー12Aは、パチンコ機5を製造する遊技機メーカーが所有するサーバーであり、販社・中古機業者サーバー12Bは、パチンコ機5を販売する販売会社や中古のパチンコ機5を販売する中古機業者が所有するサーバーである。これら遊技機メーカーサーバー12A、及び販社・中古機業者サーバー12Bからは、製造、或いは販売したパチンコ機5の識別情報(例えば製造番号)と、後述する基板間認証に供される認証情報としての遊技機ID(例えば、遊技機メイン基板40のCPU固有ID61(図2))と、出荷先とが後述する遊技機ID管理センターサーバー13Dに送信され、当該遊技機ID管理センターサーバー13Dで対応付けて管理される。
カード会社サーバー12Cは、遊技球の貸し出しに供する後述するプリペイド媒体14を製造販売するカード会社によって利用され、プリペイド媒体の製造番号やシリアル番号の照会サービスを提供するサーバーである。遊技店舗側は、かかる照会サービスを利用することで、偽造等された不正なプリペイド媒体を発見できる。
コンテンツプロバイダーサーバー12Dは、コンテンツを配信するプロバイダーによって利用され、各種コンテンツを配信するサーバーである。コンテンツの例としては、例えば遊技機メーカーによって登録されたパチンコ機5のPR(Public Relations)コンテンツや、遊技性能、遊技方法等の説明コンテンツなどが挙げられる。かかるコンテンツは、遊技管理システム3の例えば各CRユニット6に配信され、後述のタッチ液晶モジュール27などに表示されて遊技者に提供される。
【0012】
データセンター系サーバー群4Bには、コンテンツ配信データセンターサーバー13Aと、プリペイド管理データセンターサーバー13Bと、第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cと、遊技機ID管理センターサーバー13Dと、不正情報監視センターサーバー13Eとが含まれている。
コンテンツ配信データセンターサーバー13Aは、TVや映画などの動画や音楽等のエンターテイメントコンテンツを配信するサーバーであり、かかるコンテンツは、遊技管理システム3の各CRユニット6に配信されタッチ液晶モジュール27などに表示される。
プリペイド管理データセンターサーバー13Bは、遊技店舗2で利用されている各プリペイド媒体14の残価値の記録・照会サービスを提供するサーバーである。また第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cは、遊技店舗2の会員となった遊技者ごとに遊技球の貯玉数の記録・照会サービスを提供するサーバーである。遊技店舗側は、これらプリペイド管理データセンターサーバー13B、及び第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cが記録しているデータと遊技管理システム3で管理しているデータとの間の整合性を検証可能になっている。
【0013】
遊技機ID管理センターサーバー13Dは、パチンコ機5の識別情報と、上記遊技機IDと、当該パチンコ機5の出荷先の遊技店舗2とを対応付けたデータを管理し、各遊技店舗2の遊技管理システム3から照会可能にするサーバーである。すなわち、どの遊技機IDのどのパチンコ機5がどの遊技店舗2に設置されているかが遊技機ID管理センターサーバー13Dで管理され、また各遊技店舗2から参照可能になる。かかるデータは、遊技機メーカー、販社、或いは中古機業者がパチンコ機5を遊技店舗2に出荷するごとに遊技機メーカーサーバー12A、又は販社・中古機業者サーバー12Bから登録され、また遊技店舗2がパチンコ機5を撤去するごとに、対応するパチンコ機5のデータが抹消される。また、データ登録者以外にデータを参照できる者を出荷先の遊技店舗2に限定するために、出荷先の遊技店舗2には、当該出荷先に対応付けられた遊技機IDを参照するためのデータアクセスID及びパスワードが付与されている。遊技店舗2側は、これらを用いて遊技機ID管理センターサーバー13Dにアクセスすることで、当該遊技店舗2のみが遊技機IDを参照し取得可能になる。
なお、遊技機ID管理センターサーバー13Dの管理データには、他に任意の情報を含めることができ、例えば遊技機メーカー名やパチンコ機5の機種名の情報等を含めても良い。
不正情報監視センターサーバー13Eは、何らかの理由で不正と認められたパチンコ機5の識別情報を照会可能に管理するサーバーである。遊技店舗側は、不正情報監視センターサーバー13Eに問い合わせることで、所有のパチンコ機5が不正なものでないかを確認できる。
【0014】
次いで、遊技管理システム3を構成する各装置について詳述する。
遊技管理システム3は、複数台のパチンコ機5及びCR(Card Reader)ユニット(遊技球貸出装置)6と、精算機7と、管理コンピュータ群8とを備え、CRユニット6、精算機7及び管理コンピュータ群8のそれぞれが店内LAN9、或いは専用通信線10により通信可能に接続されている。
パチンコ機5は、遊技球を遊技媒体に使用する遊技機である。このパチンコ機5は、遊技者が、価値媒体たるプリペイド媒体14を購入、或いはプリペイド媒体14に現金をチャージし、該プリペイド媒体14の残価値を代償として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機であり、パチンコ機5と、当該パチンコ機5と暗号通信可能に接続され、プリペイド媒体14を読み取る上記CRユニット6とを備えて遊技システム15が構成され、パチンコ機5は、CRユニット6と電気的に接続されている(通電状態である)事を条件に遊技球を発射可能に構成されている。
【0015】
パチンコ機5は、遊技盤(ゲージ盤)16の前面に前面ガラス17を設け、該前面ガラス17を通じて遊技盤16の遊技領域を視認可能に構成したパチンコ機本体18を備えている。遊技盤16の遊技領域には、遊技球通過時に賞球が得られる始動口19や入賞口20、常閉状態の大入賞口(いわゆるアタッカー)21と、これら始動口19、入賞口20及び大入賞口21のいずれにも入賞しなかった遊技球(いわゆるアウト玉)を遊技領域から遊技盤16の裏側に導いて回収する回収口22と、多数の障害釘23と、始動口19への遊技球の入賞(通過)に伴い図柄を変動表示する図柄表示ユニットとしての遊技機液晶表示器24とが設けられている。
【0016】
パチンコ機本体18の正面には、遊技球の貸出操作用の貸出スイッチ25A、プリペイド媒体14の返却(遊技終了の指示)操作用の返却スイッチ25B、遊技機液晶表示器24での表示演出時などに操作入力するプッシュボタン25C等の各種操作ボタンが設けられている。
またパチンコ機本体18の右下には、遊技球を遊技盤16の遊技領域に1発ずつ所定の時間間隔で発射する遊技球発射ハンドル26が設けられている。遊技球発射ハンドル26の操作に伴って発射された遊技球が始動口19を通過したことを契機にパチンコ機5は特賞の当落抽選を行うとともに、遊技機液晶表示器24に図柄を後述する表示演出を伴って変動表示し、停止図柄により当落抽選結果を遊技者に通知する。また当選時には、パチンコ機5は、大入賞口21を開放して遊技球が入賞し易い状態とすることで遊技者に持玉を増やす機会を与える。
【0017】
ここで、このパチンコ機5は、所定個数(例えば25個)の遊技球をパチンコ機本体18に封入し、これらの遊技球をパチンコ機本体18の中で循環利用する封入球式の遊技機として構成されている。具体的には、パチンコ機5は、遊技盤16に発射され、入賞口20等に入賞した遊技球(いわゆるセーフ玉)及び回収口22に回収された遊技球(いわゆるアウト玉)をそれぞれ遊技盤16の裏側に回収し、発射位置に還流する循環流路(図示せず)を有し、当該循環流路内に所定個数の遊技球を封入して、封入した遊技球を繰り返して遊技領域に発射することで遊技を行うように構成されている。封入球式のパチンコ機5においては、パチンコ機本体18の外部から遊技球を補充する必要がないため、パチンコ機本体18の正面に、遊技球を一時的に貯留するいわゆる上皿や、上皿からパチンコ機本体18の内部に遊技球を捕球する捕球口、上皿に賞球を排出する排出口等は設けられておらず、かかる上皿等が従来配設された箇所(すなわち、前面ガラス17の下)には、タッチ液晶モジュール27が設けられている。
タッチ液晶モジュール27は、パチンコ機本体18の台枠に組み込まれたタッチ操作可能な表示ユニットであり、CRユニット6の操作部及び表示部として機能する。
【0018】
CRユニット6は、各パチンコ機5の片側に配置され互いに通信可能に接続されており、プリペイド媒体14の残価値がゼロでない事を条件に、貸出スイッチ25Aの操作を示す貸出操作信号をパチンコ機5から受信した場合に遊技球の貸出指示信号を出力する。プリペイド媒体14の残価値は、管理コンピュータ群8(より正確には後述するプリペイド管理サーバー35B)に管理されており、CRユニット6は、玉貸完了時に、管理コンピュータ群8との間で貸出玉数に応じてプリペイド媒体14の残価値を減じる処理を行う。なお、CRユニット6は、玉貸時における残価値の使用単位(例えば100円単位、500円単位など)や、1個の遊技球あたりの貸出単価(例えば4円/玉、1円/玉など)を予め設定可能に構成されており、遊技場側が営業形態に応じて適宜に設定・変更可能に成されている。
【0019】
プリペイド媒体14にはICを内蔵した硬貨形状のICコイン14A及びカード型の会員カード14Bが用いられている。会員カード14Bは、遊技店に会員登録している顧客に貸与される記録媒体であり、ICコイン14Aは、それ以外の顧客(いわゆる、ビジター)に貸与される記録媒体である。プリペイド媒体14には、カード会社によって付された、一意に特定するための識別情報が付与されており、この識別情報と残価値とが対応付けられて管理コンピュータ群8により管理されている。
【0020】
このCRユニット6は、プリペイド媒体14の発行機能を有し、紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を挿入する紙幣挿入口28、ICコイン14Aを投入するコイン投入口29、ICコイン14Aを排出するコイン排出口30、会員カード14Bを挿入する会員カード挿入口31が設けられている。
CRユニット6は、紙幣挿入口28に紙幣が挿入された場合、管理コンピュータ群8と通信して紙幣の額面に応じた価値をプリペイド媒体14に付与する処理を行う。具体的には、CRユニット6は、プリペイド媒体14として会員カード14Bが挿入されている場合には、会員カード14Bの残価値を管理する管理コンピュータ群8に対し、会員カード14Bの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード14Bへのプリペイド残高のチャージが行われる。また、会員カード14Bが挿入されていない場合には、CRユニット6は、新規にICコイン14Aを発行するとともに、ICコイン14Aの残価値を管理する管理コンピュータ群8に対し、このICコイン14Aの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード14Bを持たない遊技者に、プリペイド媒体14としてのICコイン14Aが新規に発行される。
【0021】
CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されている間、その残価値をタッチ液晶モジュール27に表示し、貸出スイッチ25Aの操作により玉貸が行われるごとに、残価値を減算更新し、また更新後の残価値をタッチ液晶モジュール27に表示する。また、CRユニット6は、返却スイッチ25Bが操作されたときには、プリペイド媒体14を排出するとともに、プリペイド媒体14の識別情報と残価値とを管理コンピュータ群8に送信し、これにより、CRユニット6から排出されたときのプリペイド媒体14の最終的な残価値が管理コンピュータ群8に記録される。
精算機7は、プリペイド媒体14の残価値を精算する装置であり、この精算機7には、ICコイン14Aのコイン投入口32及び会員カード14Bのカード挿入口33が設けられている。精算機7は、プリペイド媒体14が投入された場合、残価値を上記管理コンピュータ群8に問い合わせ、残価値に応じた金額を払い出す。精算機7は、金額払出完了後に、その旨を管理コンピュータ群8に通知し、管理コンピュータ群8が、そのプリペイド媒体14の残価値として記録している値をクリアすることで精算が完了する。
【0022】
この遊技管理システム3においては、パチンコ機5ごとにデータ表示器34を備えている。データ表示器34は、対応するパチンコ機5の過去営業日の大当たり情報や、当日の大当たり回数、前回大当たりからの図柄変動回数(スタート回数)といった遊技情報を表示する表示パネル34Aを有する。またデータ表示器34には、表示パネル34Aの他にも、遊技場のホールスタッフを呼び出す呼出ボタンや、パチンコ機5の大当たり状態や確率変動遊技状態、時短遊技状態等の所定の遊技状態を報知するランプ等が設けられている。各データ表示器34は、対応するパチンコ機5と通信するCRユニット6に接続され、パチンコ機5が出力する遊技情報をCRユニット6から取得して表示パネル34Aに表示する。
【0023】
管理コンピュータ群8は、遊技台計数管理装置35Aと、プリペイド管理サーバー35Bと、持玉管理サーバー35Cと、会員・景品管理サーバー35Dと、コンテンツサーバー35Eと、遊技機ID管理サーバー35Fとを備えている。
遊技台計数管理装置35Aは、いわゆるホールコンピュータ(図示では「ホールコン」)と呼ばれる装置であり、各パチンコ機5での出球や大当たり回数、エラー状況、パチンコ機5のパチンコ機本体18が備える扉の開放等の遊技機に係る遊技情報、並びに、各CRユニット6への入金や再プレイ、プリペイド残価値の消費等に関する情報をCRユニット6から取得して中枢的に管理する。遊技台計数管理装置35Aは、かかる各種の情報を、パチンコ機5からではなくCRユニット6から取得する。すなわち、遊技台計数管理装置35AとCRユニット6とはパラレル信号線10A、及び/或いはホールコンI/F装置36を中継器に備えたシリアル信号線10Bを介して接続されており、CRユニット6がパチンコ機5から逐次情報を受信して遊技台計数管理装置35Aに出力する。
【0024】
プリペイド管理サーバー35Bは、プリペイド媒体14としてのICコイン14A及び会員カード14Bの各識別情報と残価値を対応付けて記憶し、これらの残価値を管理するサーバーである。CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されたときには、当該プリペイド媒体14の識別情報に対応する残価値をプリペイド管理サーバー35Bに問い合わせ、応答により得られた残価値をタッチ液晶モジュール27に度数表示する。
プリペイド媒体14の残価値は、CRユニット6でのチャージによって増加し、また玉貸によって減少し、プリペイド管理サーバー35Bは、これらチャージ及び玉貸しに応じて残価値を更新する。すなわち、CRユニット6が残価値をプリペイド媒体14にチャージした場合には、プリペイド管理サーバー35Bは、チャージされた残価値を識別情報とともに取得して残価値を加算更新する。貸出スイッチ25Aの操作に応じてCRユニット6が玉貸を行った場合には、プリペイド管理サーバー35Bは、かかる玉貸の代償価値をプリペイド媒体14の識別情報とともに取得して残価値を減算更新する。
このプリペイド管理サーバー35Bには、上述した精算機7が店内LAN9を介して接続されており、精算機7にプリペイド媒体14が投入されると、精算機7がプリペイド媒体14の残価値をプリペイド管理サーバー35Bに問い合わせて、残価値に応じた金額払い出し等の精算を行う。
【0025】
持玉管理サーバー35Cは、遊技者の持玉数を管理するサーバーである。具体的には、持玉管理サーバー35Cは、遊技者の持玉数を、投入されているプリペイド媒体14の識別情報とともに店内LAN9を介してCRユニット6から取得して管理する。遊技者は、獲得当日に限り、持玉を遊技に使用することができ、CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されたときには、当該プリペイド媒体14の識別情報に対応する持玉数を持玉管理サーバー35Cに問い合わせ、応答により得られた持玉数をタッチ液晶モジュール27に表示する。このときCRユニット6は、持玉を使って遊技球の払い出しを受けるための持玉使用ボタン(図示せず)をタッチ液晶モジュール27に表示し、当該持玉使用ボタンが操作された場合には、所定玉数の遊技球の払出指示信号をパチンコ機5に出力するとともに、持玉管理サーバー35Cに対してプリペイド媒体14の識別情報とともに使用持玉数を送信する。持玉管理サーバー35Cは、使用持玉数を取得すると、対応するプリペイド媒体14の持玉数を減算更新する。また、CRユニット6は、プリペイド媒体14の排出時には、持玉管理サーバー35Cに対してプリペイド媒体14の識別情報とともに最終的な持玉数を送信し、この持玉数が持玉管理サーバー35Cに記録される。なお、持玉管理サーバー35CとCRユニット6との間の通信障害に備え、遊技者の持玉数をプリペイド媒体14にも記録する構成としても良い。
【0026】
会員・景品管理サーバー35Dは、顧客会員と景品交換の管理をするサーバーである。顧客会員の管理について詳述すると、顧客の氏名や年齢、性別、職業、携帯電話番号、会員番号、サービス利用のための暗証番号、会員カード14Bの識別情報、顧客が遊技場に預けている再遊技可能な遊技媒体数(いわゆる貯玉数)、遊技履歴に係る情報が管理される。顧客会員には、氏名や年齢等を通知して会員登録を済ました顧客のみならず、会員登録をせずに遊技を行う顧客、いわゆるビジター会員も含まれる。すなわち、ビジター会員には当日限り有効の専用の会員カード14Bが発行され、当該会員カード14BをCRユニット6に挿入して遊技を行うこととなる。
CRユニット6は、会員カード14Bが挿入された場合、タッチ液晶モジュール27に暗証番号入力画面を表示して入力を促し、入力された暗証番号及び会員カード14Bの識別情報の正当性を会員・景品管理サーバー35Dに問い合わせる。ただし、会員カード14Bがビジター会員用である場合には、かかる問い合わせは省略しても良い。CRユニット6は、これらの正当性が会員・景品管理サーバー35Dによって認められた場合に限り、当該会員・景品管理サーバー35Dから貯玉数を取得し、タッチ液晶モジュール27に表示する。またCRユニット6は貯玉が使用されるごとに会員・景品管理サーバー35Dに貯玉使用数を送信し、これにより会員・景品管理サーバー35Dが当該顧客の貯玉数を減算更新する。
【0027】
また、この遊技管理システム3においては、遊技者が持玉を景品や貯玉に交換可能になされており、会員・景品管理サーバー35Dは、この景品交換の管理機能を有する。
すなわち、遊技者が景品カウンター(図示せず)等で持玉を景品に交換した場合、当該景品カウンターに設置されたPOS端末を含むPOSシステム37から持玉を交換した旨が、プリペイド媒体14の識別情報とともに持玉管理サーバー35Cに入力され、持玉管理サーバー35Cがプリペイド媒体14の識別情報に対応する持玉数を減算更新することで交換が完了する。このとき、会員カード14Bを利用して遊技を行った顧客会員が景品交換した場合に、当該顧客会員が交換した景品を会員・景品管理サーバー35Dに記録して管理するようにしても良い。
また、顧客会員が持玉を貯玉に交換するときには、会員・景品管理サーバー35Dに、貯玉数がプリペイド媒体14の識別情報とともに送信され、顧客会員の会員カード14Bに対応付けて管理されている貯玉数が加算更新され、また同様に第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cが管理する貯玉数のデータも更新される。
なお、遊技場の営業日の終了時に、持玉がゼロでない会員カード14Bが持玉管理サーバー35Cに記録されている場合に、当該持玉管理サーバー35Cが会員・景品管理サーバー35Dに記録を転送し、当該会員・景品管理サーバー35Dが管理する会員カード14Bの貯玉に持玉を加算することで、自動で振り替えるようにしても良い。
【0028】
コンテンツサーバー35Eは、上記コンテンツプロバイダーサーバー12D、及び上記コンテンツ配信データセンターサーバー13Aのそれぞれから各種コンテンツを取得し、各CRユニット6に配信する。
遊技機ID管理サーバー35Fは、所定のデータアクセスIDとパスワードを用いて遊技機ID管理センターサーバー13Dにアクセスし、自店に設置されたパチンコ機5の識別情報(製造番号等)に基づいて、遊技機ID、及び出荷先情報を上記遊技機ID管理センターサーバー13Dから取得して、パチンコ機5に対するCRユニット6に配信可能にする。
さらに、この遊技機ID管理サーバー35Fは、パチンコ機5が後述する相互認証に失敗したときに、当該パチンコ機5からCRユニット6を介して認証要求を受け付け、遊技機ID管理センターサーバー13Dから取得した遊技機IDに基づいて認証する機能を備えている。また、パチンコ機5内での相互認証、及び遊技機ID管理サーバー35Fとの認証の両方の認証に失敗したパチンコ機5の情報は、遊技機ID管理サーバー35Fから不正情報監視センターサーバー13Eに送信され登録される。このとき、認証に失敗したパチンコ機5の情報を不正情報監視センターサーバー13Eだけでなく遊技機ID管理センターサーバー13Dにも送信するようにしても良い。
【0029】
図2は、遊技システム15の機能的構成を示す図である。
パチンコ機5は、図2に示すように、主基板に分類される遊技機メイン基板40及び払出制御基板41と、主基板に対する周辺基板である演出用サブ基板42及び発射制御基板43とを備えている。主基板は、当落抽選及び遊技球の獲得に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する回路を実装した基板である。
遊技機メイン基板40は、入賞に伴う賞球の払出指示や特賞の当落を抽選する主制御CPU40Aを備えた基板である。具体的には、パチンコ機5は、始動口19、入賞口20及び大入賞口21のそれぞれに遊技球の入賞を検知する入賞検知センサ44を備え、検知信号が遊技機メイン基板40に出力される。遊技機メイン基板40、始動口19、入賞口20及び大入賞口21ごとに賞球数を対応付けて記憶する入賞口別賞球数記憶部45を備え、入賞口への入賞が検知されるごとに、当該入賞口に応じた数の賞球の払い出しを指示する払出指示信号を払出制御基板41に出力し、また遊技盤16に賞球数別に設けた賞球通知灯(賞球表示灯)46を点灯する。この賞球通知灯46の点灯は、入賞を検知したとき、及び払出制御基板41に払出指示信号を出力したときのいずれかを契機として行われる。このように、賞球が発生する契機の都度、賞球通知灯46が点灯することで、遊技者に入賞の発生を確実に報知することができる。
なお、賞球通知灯46は、賞球個数が異なる各入賞口20及び大入賞口21ごとに設けても良いし、少なくとも大入賞口21に1つと他の入賞口20に共通して1つ設ける構成としても良い。さらに、遊技球が始動口19を通過した時に賞球が発生する場合には、当該始動口19に対応した賞球通知灯46を設ける構成としても良い。
【0030】
また遊技機メイン基板40は、始動口19への入賞の検知を契機として特賞の当落抽選を行い、当落抽選結果を図柄表示部(いわゆる、特別図柄表示器)47に表示する。特賞当選時には、遊技機メイン基板40は遊技状態を特別遊技状態(いわゆる大当たり遊技状態や確率変動状態、時間短縮遊技状態など)に移行させ、特別遊技状態の終了条件成立に伴って通常の遊技状態に移行する。図柄表示部47は、遊技盤16に視認可能に設けられ、例えば7セグメント表示器や多数のLEDランプにより構成されており、表示図柄(7セグ表示や点灯LEDランプの組み合わせ)によって当落抽選結果を表示する。図柄表示部47では、当落抽選結果を示す表示図柄が、遊技機メイン基板40が都度決定する時間の変動表示を経て表示される。また、遊技機メイン基板40は、遊技機液晶表示器24や音源、ランプ等により当落抽選結果に応じた遊技演出を行うべく、どういった演出を行うかを指定し、また図柄の変動時間(当落抽選結果の表示タイミング)等を指定する演出指示信号を、当落抽選結果を示す大当たり発生信号とともに演出用サブ基板42に出力する。さらに遊技機メイン基板40には、パチンコ機本体18に設けられた前面扉の開放等の各種異常情報が払出制御基板41から入力された場合には、音声やランプ、遊技機液晶表示器24などの演出に供する各種の手段を適宜用いて異常を報知する。
【0031】
払出制御基板41は、遊技者が使用可能な遊技球の玉数、当該遊技球の払出及び発射を管理する払出制御CPU41Aを備えた基板であり、CRユニット6との通電状態に基づいて接続状態を監視し、正常に接続されていない(非導通状態)の場合は、遊技球の発射を禁止する。
ここで、このパチンコ機5は、上述の通り、封入球式の遊技機として構成されているため、遊技中にパチンコ機5の外から遊技球が投入されることはなく、当該遊技球の実際の投入に代えて、発射可能な遊技球の投入がデジタルデータ上で行われる。すなわち、払出制御基板41は、遊技者が発射可能な遊技球の残数(以下、「発射可能玉数」と言う)を記憶する遊技機管理発射可能玉数記憶部48を備え、発射可能玉数が「ゼロ」でない事を条件に、遊技球の発射を許可する発射許可信号を後述する発射制御基板43に出力する。払出制御基板41は、CRユニット6から貸出指示信号が入力された場合、所定貸玉個数の遊技球の投入に代えて、当該所定貸玉個数分を発射可能玉数に加算し、加算結果をCRユニット6に返信する。
【0032】
また、払出制御基板41には、発射可能玉数の増減を管理可能にすべく、回収口22に回収されたアウト玉を検知するアウト玉検知センサ49、発射後遊技領域に到達しなかった遊技球であるファウル玉を検知するファウル玉検知センサ50、及び、発射された遊技球を検知する1或いは複数の発射球検知センサ51(図示例では1つ)のそれぞれの検知信号が入力される。そして、払出制御基板41は、遊技機メイン基板40から賞球払出指示信号を受けるごと、ファウル玉が検知されるごと、及びCRユニット6から貸出指示信号のいずれかが入力されるごとに発射可能玉数を加算更新し、また発射球検知センサ51の検知信号が入力されるごとに発射可能玉数を減算更新することで発射可能玉数を(すなわち遊技者の持玉数)を管理し、また、この発射可能玉数を遊技機管理発射可能玉数表示灯52に外部から視認可能に常時表示する。遊技中の発射可能玉数は、CRユニット6の制御の下、パチンコ機5に設けられたタッチ液晶モジュール27にも表示される。これに加え、遊技機管理発射可能玉数表示灯52を外部から視認可能に設けることで、タッチ液晶モジュール27が故障などしても、遊技者は遊技中の持玉数を把握することができるようになっている。なお、アウト玉検知センサ49及びファウル玉検知センサ50の出力を遊技機メイン基板40に入力し、当該遊技機メイン基板40から払出制御基板41に出力する構成としても良い。また、上記貸出指示は、プリペイド媒体14の残価値を対価とした貸出に限らず、貯玉を用いた再プレイ、持玉の払い出しの利用に基づく指示も含む。このとき、不正防止を目的に1回の貸出あたりの玉数に上限をCRユニット6等に設定することもできる。
【0033】
払出制御基板41が管理する上記発射可能玉数は、遊技終了時に決済される。すなわち、遊技者が遊技を終了すべく、会員カード14Bの返却スイッチ25Bを操作すると、CRユニット6から発射可能玉数移行要求コマンドが払出制御基板41に出力される。払出制御基板41は、この発射可能玉数移行要求コマンドを受信した場合、発射可能玉数をCRユニット6に価値移行する処理(決済処理)を行い、発射可能玉数をゼロにクリアする。CRユニット6に移行した価値は、当該CRユニット6から持玉管理サーバー35Cに持玉数として出力され、そのパチンコ機5に設定された遊技球の貸出単価とともに記録される。
【0034】
上記発射制御基板43は、発射許可信号が払出制御基板41から入力されている事を条件に遊技球の発射を制御する基板であり、また遊技球の発射が可能か否かを示す発射状態信号を払出制御基板41に出力する。この発射制御基板43により、図示せぬ発射装置が制御され、遊技球発射ハンドル26の操作量に応じた弾発力で遊技球が発射される。
また払出制御基板41には、球磨制御基板53が接続されている。球磨制御基板53は、パチンコ機5に封入されている遊技球の玉磨機構を制御する基板である。払出制御基板41は、遊技球発射時に打ち出し可能な遊技球が無くならないように球磨制御基板53から玉磨状態を取得しながら制御する。
さらに、払出制御基板41には、パチンコ機本体18に設けられた各種センサ(前面扉開放センサ、玉数異常検知センサ等)の検知信号が入力され、当該検知信号が遊技機メイン基板40に出力されて異常が判定される。
【0035】
演出用サブ基板42は、遊技機メイン基板40の演出指示信号に基づいて、遊技機液晶表示器24や図示せぬ音源、台枠ランプを制御して、当落抽選結果に応じた遊技演出を行う回路を搭載した基板であり、遊技機メイン基板40に対して信号を出力することはなく、その動作が遊技機メイン基板40の当落抽選結果に影響を及ぼす事がないように構成されている。演出用サブ基板42は、各表示演出に用いる画像データを記憶し、遊技機メイン基板40の演出指示信号及び演出の進行に合わせて画像データを順次読み出し、この画像データに基づく画像信号を遊技機液晶表示器24に出力して、遊技機液晶表示器24に表示させる。
【0036】
またパチンコ機5は、上述した部材の他にも、図2に示すように、外部端子板54と、CR基板55と、遊技機搭載暗号基板56とを備え、さらに、パチンコ機本体18には上述したタッチ液晶モジュール27が組み込まれている。
外部端子板54は、遊技情報を示す外部端子出力信号SoutをCRユニット6に一方向に出力する端子板であり、CRユニット6から外部端子板54への信号入力は禁止されている。外部端子板54から出力される遊技情報は、遊技機メイン基板40及び払出制御基板41が管理する情報である。この遊技情報には、パチンコ機5での大当たり発生を示す大当たり信号、図柄表示部47での図柄の変動停止を示す図柄停止信号(スタート信号)、賞球数を示す賞球信号、アウト玉数を示すアウト玉信号、ファウル玉数を示すファウル玉信号等が含まれている。この遊技情報をCRユニット6が取得することで、大当たり信号及び図柄変動停止信号に基づいて大当たり発生や大当たり発生回数、図柄変動回数(スタート回数)を特定し、また、アウト玉信号、ファウル玉信号及び賞球信号に基づいて、払出制御基板41とは別に差玉を管理し、また、それらの情報を遊技台計数管理装置35Aに出力する。
【0037】
CR基板55は、上記貸出スイッチ25A及び返却スイッチ25Bのスイッチ操作信号をCRユニット6に出力する基板である。また、このCR基板55には、度数表示器57及び貸出可能ランプ58が接続されており、CR基板55は、CRユニット6から入力されたプリペイド媒体14の残価値を示す度数を度数表示器57に7セグメント等で表示するとともに、CRユニット6からの貸出許可信号の有無に応じて貸出可能ランプ58を点灯する。
【0038】
遊技機搭載暗号基板56は、CRユニット6とのシリアル通信インターフェースとして機能するとともに、所定の暗号通信方式によりCRユニット6との間で送受する通信データを暗号化/復号化する基板である。この遊技機搭載暗号基板56は、基板外部から内部の処理動作、処理内容等を特定不可能な、いわゆるブラックボックスとして構成されている。遊技機搭載暗号基板56には、通信データの暗号化/復号化を行う専用の半導体チップであるセキュリティチップ60Aと、汎用CPU56Aとが実装されている。CRユニット6との間で通信データの暗号化/復号化に用いられる暗号キーは、例えば初回或いは毎回の電源投入時に、CRユニット6からセキュリティチップ60Aに入力され保持される。なお、CRユニット6から暗号キーをパチンコ機5のセキュリティチップ60Aに直接送信する構成に限らず、当該暗号キーの代わりに当該暗号キーを生成するための情報をCRユニット6がセキュリティチップ60Aに入力し、この情報に基づいてセキュリティチップ60Aが暗号キーを生成する構成としても良い。また、CRユニット6は、遊技機ID管理サーバー35Fからパチンコ機5の遊技機IDを取得可能なことから、CRユニット6、及びパチンコ機5が、それぞれ遊技機IDに基づいて暗号キーを生成する構成としても良い。
【0039】
遊技機搭載暗号基板56を通じてパチンコ機5とCRユニット6との間で送受される通信データは、主に、改ざん等により出球に影響を及ぼす虞れがあるデータである。具体的には、貸出指示信号、貸出結果信号、払出指示信号、払出結果信号、及びスイッチ押下信号が暗号通信により送受される。貸出指示信号は、CRユニット6がパチンコ機5に遊技球の貸出を指示する信号であり、貸出結果信号は、パチンコ機5で遊技球の貸出を行ったことをCRユニット6に通知する信号である。また払出指示信号は、CRユニット6がパチンコ機5に遊技者の貯玉或いは持玉の使用に基づく払出を指示する信号であり、払出結果信号は、パチンコ機5で遊技者の貯玉或いは持玉の払出を行ったことをCRユニット6に通知する信号である。スイッチ押下信号は、CR基板55から出力される貸出スイッチ25A及び返却スイッチ25Bのスイッチの押下操作を示す信号である。また、遊技者の貯玉或いは持玉の払出操作はタッチ液晶モジュール27に対するタッチ操作により行われてCRユニット6に入力される。
【0040】
また、主基板に分類される上記遊技機メイン基板40及び払出制御基板41には、基板間で相互認証を行うためのセキュリティチップ60B、60Cがそれぞれ実装されている。セキュリティチップ60B、60Cは、それぞれ認証情報たる遊技機IDを予め保持している。そして、相互認証時には、セキュリティチップ60B、60Cが遊技機IDを交換し合い、受け取った遊技機IDと自身が保持する遊技機IDとに基づいて相手の基板の正当性を認証することで相互認証する。
【0041】
ここで、一般に、パチンコ機5は、遊技機メイン基板40を遊技盤16に取り付け、払出制御基板41をパチンコ機本体18の本体枠に取り付けて構成されている。この構成においては、パチンコ機本体18の本体枠を機種毎に共通に使用し、遊技盤16を機種毎に設けることで複数の機種が構成されており、実際に、遊技店舗2においてパチンコ機5を入れ替える時には、遊技盤16だけを取り替えるという運用が一般的である。このような場合に、パチンコ機本体18に、本来とは異なる他の遊技盤16を誤って取り付けてしまったときであっても、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の相互認証が不成立となることから、作業者は、上記のような誤取付を容易に察知することができ、誤った組み合わせ状態でのパチンコ機5の稼働を防止できる。
【0042】
パチンコ機本体18に組み込まれたタッチ液晶モジュール27は、CRユニット6により制御されて当該CRユニット6の表示部及び操作部として機能する。すなわち、CRユニット6が遊技球貸出装置の装置本体に、タッチ液晶モジュール27が遊技球貸出装置の表示部及び操作部にそれぞれ相当し、これらによって遊技球貸出装置65が構成される。
【0043】
タッチ液晶モジュール27は、遊技球貸出装置65の装置本体たるCRユニット6に互いに通信可能に接続されており、タッチパネルを備えた液晶表示部66を備え、この液晶表示部66の表示画像を制御する画像表示制御信号SgがCRユニット6から入力されている。液晶表示部66に対するタッチ操作は、CRユニット6にタッチ操作入力信号Stとして出力され、当該CRユニット6にタッチ操作が入力される。すなわち、このタッチ液晶モジュール27は、パチンコ機5に組み込まれているものの、その表示動作はCRユニット6によって制御され、なおかつ、入力操作はCRユニット6に出力されており、CRユニット6の表示部及び操作部として構成されている。
【0044】
また、CRユニット6からタッチ液晶モジュール27には、当該タッチ液晶モジュール27の電力供給線67を介して動作電力が供給されている。すなわち、タッチ液晶モジュール27は、CRユニット6との間でパチンコ機5を介さずに直接的に通信し、また、動作電力もCRユニット6から供給を受ける構成であるため、パチンコ機5が備える電気回路を変更する必要が無く、製造等が容易となる。
また、タッチ液晶モジュール27は、遊技機液晶表示器24での表示演出により操作入力が要求されたときの演出ボタンとしても機能し、かかる演出ボタンの操作が演出用サブ基板42に入力される。
一方、演出用サブ基板42からは、遊技機液晶表示器24に出力する演出画像信号がタッチ液晶モジュール27にも出力され、当該演出画像信号に基づく表示が成されており、所望のタイミングで演出画像を静止画としてキャプチャしてコレクションできるようになっている。
【0045】
CRユニット6は、貸出装置制御基板68と、プリペイド媒体14を読み書きする価値媒体R/W69と、所定の遊技者に対してコンテンツを配信等のサービスを提供すべく遊技者IDを記録した例えば非接触IC内蔵型の携帯電話等に対し遊技機IDを読み書きするID識別媒体R/W70と、紙幣識別機71と、リモコン操作を受け付けるためのリモコン受光部72と、各種異常等を検知するためのセンサ類73と、貸出装置搭載暗号基板74と、電源モジュール75とを備えている。
電源モジュール75は、CRユニット6の各部に電源を供給するとともに、上記のように、タッチ液晶モジュール27にも電力を供給する。また、この電源モジュール75の電力が貸出I/F用電源として、パチンコ機5の遊技機搭載暗号基板56、払出制御基板41、及びCR基板55のそれぞれに出力されている。遊技機搭載暗号基板56、及びCR基板55は、この貸出I/F用電源を駆動電源とし駆動し、また、払出制御基板41は貸出I/F用電源の入力を検知することでCRユニット6との導通状態を検知する。すなわち、払出制御基板41への貸出I/F用電源の入力を遮蔽することでパチンコ機5とCRユニット6とが非導通状態となり、パチンコ機5での遊技球の発射が禁止される。なお、遊技機搭載暗号基板56、及びCR基板55は、貸出I/F用電源の供給を検知していれば、パチンコ機5が備える電源を駆動電源として駆動しても良い。
【0046】
このCRユニット6には、パチンコ機5との接続コネクタとして、外部端子板54及び遊技機搭載暗号基板56との間の通信線を接続するコネクタCAと、タッチ液晶モジュール27との間の通信線を接続するコネクタCBとが、それぞれ別々に設けられている。
【0047】
貸出装置制御基板68は、制御手段として、各部を制御する主制御用のCPU76Aと、高速I/O(Input/Output)用のCPU76Bとを、それぞれに別々に有している。CPU76Bは、主としてタッチ液晶モジュール27に各種情報を表示するための画像処理や、当該タッチ液晶モジュール27に対するタッチ操作の受付処理といった、高速なデータのI/Oを要求される処理の制御を主に実行するものである。すなわち、貸出装置制御基板68には、高速I/O部品として、コンテンツサーバー35Eとの通信インターフェースである高速I/F77と、ワンセグ放送(ワンセグ:携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)を受信してタッチ液晶モジュール27に表示するワンセグユニット78と、画像や動画のキャッシュとして機能する画像・動画一時記憶部79と、タッチ液晶モジュール27との間で画像表示制御信号Sgを送受する通信I/Fとである高速通信I/F80と、当該タッチ液晶モジュール27からのタッチ操作信号の入力インターフェースであるシリアル通信I/F81とが設けられており、これらがCPU76Bによって制御される。このように画像処理等のデータの高速I/Oが要求される処理用に専用のCPU76Bを設けることで処理の遅延が防止される。
【0048】
2つのCPU76AとCPU76Bとは、それぞれCPU間通信I/F82A、82Bによって相互にデータ通信可能に接続され、連携が図られている。
主制御用のCPU76Aは、プリペイド媒体14や会員カード14Bのデータの読み書き、管理コンピュータ群8、及びデータ表示器34とのデータ送受等の制御、パチンコ機5に対する玉貸制御の他、さらに遊技中におけるプリペイド媒体14の残価値、持玉及び再プレイ可能玉数(貯玉数)を管理する。
詳述すると、CPU76Aは、キャッシュメモリを備え、当該キャッシュメモリを、プリペイド残価値記憶部83、貸出装置管理持玉数記憶部84、再プレイ可能玉数記憶部85、遊技機管理残玉数記憶部86として機能させる。
プリペイド残価値記憶部83は、プリペイド媒体14の残価値を記憶するものであり、プリペイド媒体14の投入時、或いは発行時にプリペイド管理サーバー35Bから取得した残価値を初期値として記憶し、玉貸操作に伴って残価値を減算更新し、またチャージ操作に伴って加算更新する。
【0049】
貸出装置管理持玉数記憶部84は、遊技者の持玉数を記憶する。すなわち、プリペイド媒体14がCRユニット6に投入されたときに、持玉管理サーバー35Cで管理されている持玉数が読み出されて貸出装置管理持玉数記憶部84に貸出装置管理持玉数として格納され、またタッチ液晶モジュール27に表示される。この貸出装置管理玉数は、遊技者が持玉を使用するごとに減算更新される。また、この貸出装置管理玉数は、パチンコ機5に記録されている遊技機管理発射可能玉数をパチンコ機5から持玉に移行する操作を遊技者が行った事を契機に加算更新される。本実施形態では、遊技終了のための返却スイッチ25Bの操作を移行操作とみなし、プリペイド媒体14の返却時に、貸出装置管理持玉数を遊技機管理発射可能玉数で加算更新し、更新後の貸出装置管理玉数を持玉管理サーバー35Cに通知し、またプリペイド媒体13に記録する。この移行操作に伴い、遊技機管理発射可能玉数は「ゼロ」にクリアされる。
なお、持玉管理サーバー35Cで管理されている持玉数を貸出装置管理持玉数記憶部84に格納する構成に限らず、例えばプリペイド媒体14に記録されている持玉数や会員・景品管理サーバー35Dで管理されている貯玉数を貸出装置管理持玉数記憶部84に格納しても良い。
また、遊技機管理発射可能玉数から持玉への移行の契機としては、上記の他にも、例えばタッチ液晶モジュール27に設けた移行操作のためのボタンに対するタッチ操作や、休憩時にパチンコ機5をロックするための休憩ボタンが操作されたときなどが挙げられる。休憩ボタン操作時のパチンコ機5のロックについて簡単に説明すると、ロック時には、CRユニット6が貸出指示信号を送信しないようにすることでパチンコ機5での遊技球の貸出動作が行われないようになり、また遊技機管理発射可能玉数が持玉に移行して「ゼロ」にクリアされることで、遊技球を用いた遊技ができない状態(ロック状態)に維持される。
【0050】
再プレイ可能玉数記憶部85は、遊技者の貯玉数を記憶するものであり、会員カード14Bの挿入後パスワード認証正常終了時に、会員・景品管理サーバー35Dから取得した貯玉数を初期値として記憶し、貯玉の払出操作に伴って貯玉数を減算更新する。この貯玉数は、タッチ液晶モジュール27に再プレイ可能玉数として表示され、返却スイッチ25Bの操作時に、再プレイ可能玉数記憶部85に記憶されている貯玉数が会員・景品管理サーバー35Dに送信されて記録される。
【0051】
またCPU76Aは、上記CPU76Bが高速I/O部品を制御したのに対して、それよりも低速で良いI/O部品を制御する。すなわち、貸出装置制御基板68には、店内LAN9を介した管理コンピュータ群8との通信インターフェースであるシリアル通信I/F88と、ホールコンI/F装置36を介した遊技台計数管理装置35Aとの通信インターフェースであるシリアル通信I/F89と、パチンコ機5の外部端子板54との通信インターフェースである入力専用のシリアル通信I/F90と、後述する貸出装置搭載暗号基板74との通信インターフェースであるシリアル通信I/F91とを備え、これらがCPU76Aによって制御されている。
また、貸出装置制御基板68には、パラレル信号線10Aを介して遊技台計数管理装置35Aと接続するためのパラレルポート92が設けられており、パラレルポート92からの出力が光MOSリレー等の駆動回路を備えた信号変換器93で信号変換され、パラレル出力用コネクタ94に接続されたパラレル信号線10Aを介して遊技台計数管理装置35Aに出力される。
【0052】
上記貸出装置搭載暗号基板74は、パチンコ機5の遊技機搭載暗号基板56を介して入出力される通信データを、当該遊技機搭載暗号基板56のセキュリティチップ60Aと同様のアルゴリズムで暗号化/復号化する基板であり、セキュリティチップ60Dと、汎用CPU95とを備えている。また、貸出装置制御基板68にもセキュリティチップ60Eが搭載されており、これらセキュリティチップ60D、60Eはそれぞれ、相互認証するための認証キーを予め保持する。この貸出装置搭載暗号基板74は、遊技機搭載暗号基板56と同様に、基板外部から内部の処理動作、処理内容等を特定不可能な、いわゆるブラックボックスとして構成されている。
【0053】
貸出装置搭載暗号基板74と遊技機搭載暗号基板56とは、それぞれCRユニット6の電源モジュール75とパチンコ機5の電源とによって駆動されるが、相互間の通信路の電気的ノイズを低減するために、貸出装置搭載暗号基板74、及び遊技機搭載暗号基板56をCRユニット6、及びパチンコ機5から電気的に絶縁する構成としても良い。すなわち、貸出装置搭載暗号基板74、及び遊技機搭載暗号基板56の通信路用に供される専用の所定電圧の直流電源をCRユニット6に設ける構成としても良い。また、専用の直流電源に対して、所定電圧を生成するための電力をパチンコ機5側から電力線PLを介して供給する構成としても良い。
【0054】
そして、CRユニット6の電源投入時等の所定のタイミングで、貸出装置搭載暗号基板74のセキュリティチップ60Dが主導的にセキュリティチップ60Eと相互認証を行い、認証結果を遊技台計数管理装置35A及びタッチ液晶モジュール27に出力する。このとき、貸出装置搭載暗号基板74は、貸出装置制御基板68が不正に交換される等して相互認証が不成立となった場合には、パチンコ機5への貸出指示信号の出力を遮断する等して強制的に貸出不能状態にする。これにより、貸出装置制御基板68が不正交換された状態での貸出を禁止できる。また、貸出装置搭載暗号基板74が主導的に相互認証を開始することで、貸出装置制御基板68に対する不正が発見し易くなる。
【0055】
またパチンコ機5においも、遊技機メイン基板40と払出制御基板41との間で相互認証が行われ、かかる相互認証結果がCRユニット6に出力される。CRユニット6には、パチンコ機5での相互認証が成立している場合には、パチンコ機5での相互認証に用いられた認証情報が正規なものか否か、すなわち、遊技機メーカーや販社、中古機業者によって遊技機ID管理センターサーバー13Dに登録され遊技機ID管理サーバー35Fに登録しているものか否かを判定することによって行われる。この認証処理により、パチンコ機5の内部の認証にかかる基板が全て交換される等して認証が不正に成立した場合であっても、これを発見することができる。
【0056】
ところで、CRユニット6の貸出装置搭載暗号基板74と、上記パチンコ機5の遊技機搭載暗号基板56との間の暗号通信により送受するデータには、遊技球の貸出に係る信号である貸出指示信号、貸出結果信号、払出指示信号、及び払出結果信号が含まれている。これらのうち貸出結果信号は、貸出指示信号と対の信号であり、払出結果信号は払出指示信号と対の信号であることから、CRユニット6から貸出指示信号、及び払出指示信号が出力されない限り、これらの信号がCRユニット6に入力されることはない。換言すれば、貸出指示信号/払出指示信号の出力によらずに、パチンコ機5から貸出結果信号/払出指示信号がCRユニット6に入力された場合には、パチンコ機5で不正な貸出/払出が行われたこととなる。
【0057】
そこで、CRユニット6の貸出装置制御基板68には、貸出結果信号、及び払出結果信号が入力された場合に、貸出指示信号、及び払出指示信号の出力との対応がとれているか否かを判定することで、パチンコ機5における異常な貸出動作/払出動作を判定する異常判定部98が設けられている。この異常判定部98の機能は、所定のプログラムをCPU76Aが実行することで実現されている。
【0058】
また、この異常判定部98は、パチンコ機5での出球異常も検知するように構成されている。詳述すると、一般に、パチンコ機5では、遊技状態(例えば通常遊技状態、時間短縮遊技状態、確率変動遊技状態、或いは大当たり遊技状態)ごとに、発生する頻度が低い、或いは発生し得ない賞球数(賞球種別)が存在することから、この遊技状態と賞球数、及び、その賞球数の発生頻度とを対応付けて監視することで出球の異常が検知可能である。これら遊技状態や賞球数は、上述の外部端子出力信号Soutとしてパチンコ機5からCRユニット6に入力されているため、異常判定部98は、この外部端子出力信号Soutに基づいてパチンコ機5の出球異常も判定することとしている。
【0059】
図3は、異常判定部98が貸出動作の異常を判定する貸出異常処理のフローチャートである。
パチンコ機5への遊技球の貸出、及び払出について説明すると、パチンコ機5に設けられた貸出スイッチ25Aの操作により貸出スイッチ押下信号がCRユニット6に入力された場合、プリペイド媒体14の残価値がゼロでない事を条件にパチンコ機5に対して貸出指示信号が暗号通信によりCRユニット6から出力される。また、タッチ液晶モジュール27に対する遊技者の貯玉或いは持玉の払出操作がタッチ操作により行われた場合、当該払出操作を示すタッチ操作入力信号StがCRユニット6に入力され、遊技に使用可能な数の貯玉/持玉があることを条件に、払出指示信号がパチンコ機5に対して暗号通信によりCRユニット6から出力される。
異常判定部98は、かかる貸出指示信号、及び払出指示信号の出力を監視しており、貸出指示信号、又は払出指示信号が出力された場合(ステップSa1:Yes)、貸出指示信号、又は払出指示信号を出力した事を、出力記録フラグ98A(図2)を初期状態から変えることで記録する(ステップSa2)。
【0060】
また、パチンコ機5から貸出結果信号、又は払出結果信号が入力された場合(ステップSa3:Yes)、異常判定部98は、貸出指示信号、又は払出指示信号の出力の記録があるか否かを、出力記録フラグ98Aが初期状態であるか否かに基づいて判定する(ステップSa4)。貸出指示信号、又は払出指示信号の出力記録がある場合(ステップSa4:Yes)、CRユニット6が出力した貸出指示信号、又は払出指示信号に対して正当に貸出動作、又は払出動作が行われたことを示す。そこで、異常判定部98は、貸出指示信号、又は払出指示信号の出力記録を出力記録フラグ98Aの状態を初期化するなどして消去した後(ステップSa5)、処理ステップをステップSa1に戻す。
【0061】
一方、貸出指示信号、又は払出指示信号の出力記録がなかった場合(ステップSa4:No)、CRユニット6が指示を出していない不当(異常)な貸出動作、又は払出動作が行われたことを示す。このため、異常判定部98は、ランプ点滅や警報音の出力などにより異常を報知するとともに、かかる異常を遊技台計数管理装置35Aに出力する(ステップSa6)。これにより、不正行為等による不当な貸出動作、又は払出動作が速やかに検知され、周囲の店員や遊技台計数管理装置35Aの監視員等に報知される。
【0062】
このとき、ランプがスピーカの故障等により遊技店舗2側への異常報知が遅れた場合、その間、不当な貸出動作が行われる等して出球が不当に増えてしまう可能性がある。そこで異常判定部98は、貸出スイッチ押下信号や持球や貯玉の払出操作信号が入力されても貸出指示信号及び持球や貯玉の払出指示信号の出力を禁止する(ステップSa7)。さらに、異常判定部98は、パチンコ機5の遊技を制限する(ステップSa8)。遊技制限の態様としては、例えば、パチンコ機5の払出制御基板41が管理している遊技機管理発射可能玉数からCRユニット6への価値移行による決済処理を禁止するという制限や、CRユニット6に店員権限によるエラー解除操作が必要なエラーを強制的に発生させ、当該エラー中はプリペイド媒体14からの残価値の引落し(遊技球の貸出)やプリペイド媒体14の返却をできなくするという制限が挙げられる。パチンコ機5の遊技制限時には、遊技台計数管理装置35Aのみならず、例えばデータ表示器34や管理コンピュータ群8などの他の外部機器にエラーを通知しても良い。
【0063】
図4は、出球の異常を検知する際の遊技システム15の動作を示すシーケンス図である。
パチンコ機5での遊技に伴い遊技球が入賞口20や大入賞口21等に入賞すると、かかる入賞を遊技機メイン基板40が検知し(ステップSb1)、所定個数の遊技球の払い出しを指示する賞球払出指示が払出制御基板41に出力する(ステップSb2)。遊技球の払い出し個数は、複数の入賞口20及び大入賞口21のどこに入賞したかによって決定される。払出制御基板41は、賞球払出指示が入力されると、当該指示を受けた旨を賞球払出指示通知として外部端子板54を介してCRユニット6の異常判定部98に出力する(ステップSb3)。この賞球払出指示通知にも、異常判定部98が賞球種別を識別可能にするために、賞球払出指示通知にも賞球個数が含められている。そして、異常判定部98は、この賞球払出指示通知をメモリ等に格納した賞球記録98Bに記録して管理する(ステップ)。
また、払出制御基板41は、賞球払出指示に応じて賞球の払い出しを行い(ステップSb5)、払い出しが完了した旨を示す賞球払出完了通知を外部端子板54を介してCRユニット6に出力する(ステップSb6)。この賞球払出完了通知にも賞球種別を識別可能にすべく賞球個数が含められている。
【0064】
CRユニット6の異常判定部98は、賞球払出完了通知を受信すると、当該賞球払出完了通知に対応する賞球払出指示通知が賞球記録98Bに記録されているか否かを判定する(ステップSb7)。記録がある場合には(ステップSb7:Yes)、該当する賞球払出指示通知に完了フラグ等を付加して払出が完了した事を記録する(ステップSb8)。
一方、記録が無い場合(ステップSb7:No)、遊技機メイン基板40が指示していない賞球の払い出しが行われた事を示すため、異常判定部98は、上述の貸出異常判定処理のステップSa6〜Sa8と同様に、異常報知(ステップSa6)、貸出指示信号及び払出指示信号の出力禁止(ステップSa7)、及びパチンコ機5の遊技制限(ステップSa8)を行うことになる。
これにより、異常な賞球払い出しを速やかに検知して報知し、また遊技を制限することで、異常な賞球による出球がパチンコ機5からCRユニット6等に価値移行できなくなる。
【0065】
さて、入賞口20や大入賞口21への入賞が何らかの原因で誤検知された場合、或いは入賞口20、大入賞口21に不正な道具を使って遊技球を入賞させた場合には、賞球発生の都度、賞球払出指示通知と、これと対になる賞球払出完了通知がCRユニット6に出力されることから、上記の処理では検知できない。
そこで異常判定部98は、発生した賞球の個数が現在の遊技状態で発生し得るか否かに基づいて異常を判定する(ステップSb9)。
詳述すると、遊技盤16に設けられた多数の賞球口のうち、例えば大入賞口21は大当遊技状態以外のときは全閉し入賞が生じることはない。したがって、大入賞口21への入賞時に払い出されるべき個数の賞球が大当遊技状態以外のときに発生している場合には、賞球に何らかの異常が発生していることを示す。異常判定部98には、遊技状態と、そのときに発生し得ない賞球の個数との対応を規定した出球異常判定テーブル98C(図2)が格納されており、異常判定部98は、この出球異常判定テーブル98Cを参照し賞球の異常を判定する。なお遊技状態については、例えば外部端子出力信号Soutに基づいて判定される。そして、異常な賞球が発生した場合には(ステップSb9:No)、異常判定部98は、上述の貸出異常判定処理のステップSa6〜Sa8と同様に、異常報知(ステップSa6)、貸出指示信号及び払出指示信号の出力禁止(ステップSa7)、及びパチンコ機5の遊技制限(ステップSa8)を行うことになる。
【0066】
一方、現在の遊技状態で発生し得る個数の賞球であった場合(ステップSb9:Yes)、異常判定部98は、その個数の賞球の発生頻度を今回の賞球発生により更新し(ステップSb10)、現在の遊技状態で発生し得る頻度か否かを判定する(ステップSb11)。
詳述すると、時間短縮遊技状態や確率変動遊技状態時には、所定入賞口への遊技球の入賞をアシストするように所定の役物(いわゆるチューリップ)が頻繁に稼動し、当該所定入賞口への入賞頻度が増加する。換言すれば、時間短縮遊技状態や確率変動遊技状態以外の遊技状態時に、所定入賞口への入賞頻度が増大している場合には、賞球に何らかの異常が発生していることを示す。かかる遊技状態と賞球発生頻度との関係は、上記出球異常判定テーブル98Cに予め規定されており、異常判定部98は、この出球異常判定テーブル98Cに基づいて賞球発生頻度の現在の遊技状態での妥当性を判定する。なお、賞球の発生頻度は上記賞球記録98Bの記録に基づき算出される。
そして、現在遊技状態で発生し得る賞球頻度を超えている場合(ステップSb11:No)、異常判定部98は、処理ステップを上記ステップSa6〜Sa8に進め、異常報知(ステップSa6)、貸出指示信号及び払出指示信号の出力禁止(ステップSa7)、及びパチンコ機5の遊技制限(ステップSa8)を行う。
【0067】
なお、上述の出球異常検知動作において、払出制御基板41が外部端子板54を介してCRユニット6に、賞球払出指示通知、及び賞球払出完了通知を出力する構成としたが、これに限らず、払出制御基板41が遊技機搭載暗号基板56を通じてCRユニット6に賞球払出指示通知、及び賞球払出完了通知を出力する構成とし、通信のセキュリティを高めても良い。さらに、この構成においては、CRユニット6からパチンコ機5の払出制御基板41に対して遊技機搭載暗号基板56を通じて信号を入力することができるため、前掲図4において、異常判定部98が賞球払出指示通知を受信し(ステップSb3)、賞球記録98Bに記録した後(ステップSb4)、払出制御基板41に対して払出許可を出力し、払出制御基板41は、当該払出許可が入力された場合に限り、賞球の払い出しを行う(ステップSb5)構成にしても良い。この構成によれば、異常判定部98が賞球払出指示通知を受信したときに、賞球払出指示の妥当性を、例えば図4のステップSb8〜Sb10で説明した手法等に基づいて判定し、異常な賞球払出指示と推定される場合には払出許可を出力しないことで賞球の払い出しを未然に防止できる。
【0068】
また、上述の貸出異常判定処理(図3)、及び出球異常の検出動作(図4)において、異常検知時にCRユニット6がパチンコ機5の遊技を制限する(ステップSa8)構成としたが、これに限らず、CRユニット6がパチンコ機5での遊技を禁止する構成としても良い。すなわち、図3及び図4のステップSa8においては、CRユニット6が貸出I/F用電源を遮断してCRユニット6とパチンコ機5の間を非導通状態にする等してパチンコ機5の遊技球発射を禁止して遊技不能状態に移行させ遊技を禁止する。これにより、不当に貸出され、或いは払出された遊技球での遊技が阻止され、当該遊技による入賞等によって出球が生じるなどの二次被害を防止できる。さらに、この遊技禁止状態にあっては、例えば返却スイッチ25Bの操作を無効にする等することで、パチンコ機5の払出制御基板41が管理している遊技機管理発射可能玉数のCRユニット6への移動による決済も禁止される。これにより、封入球式のパチンコ機5にあっては、持玉の決済が完全に不可能になることから、不当に貸出され、或いは払出された遊技球による決済を確実に防止できる。
【0069】
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、本実施形態によれば、CRユニット6がパチンコ機5に遊技球の貸出指示信号を暗号通信により送信するため、不正な貸出指示信号をパチンコ機5に入力して不正に貸出動作を行わせるといった不正行為を防止できる。
これに加え、CRユニット6が、パチンコ機5からの貸出結果信号と、貸出指示信号との対応に基づいて、CRユニット6が指示していない遊技球の貸出動作を検知する構成としたため、パチンコ機5における不当な貸出動作を速やかに検知することができる。特に、パチンコ機5が貸出結果信号を暗号通信によりCRユニット6に送信するため、通信経路上で貸出結果信号を無効にする等の信号操作が行われるのを防止することができ、不正な貸出を確実に検知できる。
【0070】
また本実施形態によれば、CRユニット6の異常判定部98は、貸出指示信号によらない遊技球の貸出しを検知した場合、パチンコ機5への遊技球の貸出動作を禁止し、或いはパチンコ機5を遊技不能にする構成とした。この構成により、不当な貸出動作により貸し出された遊技球での遊技によって更に賞球が発生するなどの被害拡大を防止できる。
【0071】
また本実施形態によれば、CRユニット6の異常判定部98は、遊技中の出球の異常を検知した場合にも、パチンコ機5への遊技球の貸出動作を禁止し、或いはパチンコ機5を遊技不能にする構成とした。この構成により、出球異常時に速やかに遊技を中断させることができ、被害の拡大を阻止できる。
【0072】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0073】
例えば上述した実施形態では、パチンコ機5の一態様として封入球式の遊技機を例示したが、これに限らず、封入球式でないパチンコ機であっても良い。すなわち、封入球式でないパチンコ機(以下、「実球払出式パチンコ機」と言う)においては、パチンコ機本体の正面外部に遊技球を貯留する上皿が設けられ、この上皿に賞球や玉貸等によって遊技球が払い出される。上皿に貯留する遊技球は上皿と流路がつながっている遊技球の投入口からパチンコ機本体内に流入して発射台に繰り出されて発射され、遊技盤の遊技領域を落下後、入賞またはアウトによってパチンコ機本体裏側から島設備などに流出するよう構成されている。
【0074】
かかる実球払出式パチンコ機においては、実際の遊技球がパチンコ機の外部に露出した上皿に払い出されることから、払出制御基板で発射できる玉数が遊技機管理発射可能玉数として管理する必要はなく、上皿に物理的に貯留されている遊技球が上述の実施形態の発射可能玉数に相当する。発射可能玉数の増加は、賞球発生及び貸出などによりパチンコ機本体の上タンクから上皿へ遊技球が払出されることで、或いは遊技者等が遊技球を上皿に補給することで物理的に生じ、また、発射可能玉数の減少は、上皿の遊技球が発射されパチンコ機本体裏側の島設備に回収されることで生じる。このとき、ファイル玉は、パチンコ機本体内に設けられたファウル経路を通じて当該パチンコ機本体正面に設けられた下皿に返却されることで、ファイル玉により発射可能玉数が実質的に減少することはない。
【0075】
かかる実球払出式パチンコ機にも上述のCRユニット6が並設されデータ通信可能に接続されており、遊技者が遊技を開始する際には、貸出スイッチ25Aを操作して貸出しにより遊技球を上皿に補給したり、遊技者が手作業で上皿に補給する。また、遊技終了時には、上皿に貯留している遊技球を外部に排出させて取り出し、遊技者がパチンコ機の外部に保持している遊技球(いわゆる出球)を計数器で計数することで、発射可能玉数の決済が行われることとなる。この計数器の態様としては、パチンコ機ごとに設けた、いわゆる各台計数器も知られている。
【0076】
本発明が適用された実球払出式パチンコ機においては、実施形態と同様に、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41、及び遊技機搭載暗号基板56を備えるが、払出制御基板41が発射可能玉数を管理しない事は上述の通りである。また、払出制御基板41とCRユニット6との間の遊技球の貸出に関する通信(貸出(払出)指示信号や貸出(払出)結果信号)は、従前の実球払出式パチンコ機が中継基板を介して直接CRユニット6と通信する構成であるのに対して、本発明では遊技機搭載暗号基板56を介してのみ行われる。
そして、実球払出式パチンコ機とCRユニット6においても、図3に示す貸出異常判定処理、及び図4に示す出球異常検出動作が行われ、払出制御基板からCRユニット6に対して、貸出(払出)結果信号の出力に加え、賞球払出指示の通知が出力されることとなる。
【0077】
なお、本発明が適用された実球払出式パチンコ機においては、さらに上述した実施形態のパチンコ機5と同様に、払出制御基板41、遊技機メイン基板40、及び遊技機搭載暗号基板56のそれぞれに、セキュリティチップ60A、60B、60Cを設け、基板間で暗号通信する構成としても良い。この場合、電源投入時等のパチンコ機5が正常起動する前に、セキュリティチップ60A、60B、60Cのそれぞれが基板間で相互認証を行う構成としても良く、相互認証が成立したことを条件に、払出制御基板41、遊技機メイン基板40、及び遊技機搭載暗号基板56が相互に暗号通信を開始することになる。
また、本発明が適用された実球払出式パチンコ機と対になる遊技球貸出装置65においては、CRユニット6にタッチ液晶モジュール27に相当する表示操作部が設けられ、この表示操作部に、貯玉を使用した再プレイや、持玉の払出しのためのボタンや、プリペイド残度数、貯玉数、持玉残高などの表示が行われる。
【0078】
また上述した実施形態では、遊技機の一例としてパチンコ機5を例示したが、これに限らず、遊技媒体の投入を条件に、所定の抽選契機成立時に当落抽選を行う遊技機であれば、任意の遊技機に本発明を適用することができる。かかる遊技機には、例えば、遊技メダルを遊技媒体に使用し、遊技メダルの投入を条件に、操作レバーが操作された時に当落抽選を行うパチスロ機などが挙げられる。この場合には、本発明の遊技媒体貸出装置が遊技メダルをパチスロ機に貸し出す遊技メダル貸出装置に適用される。
【符号の説明】
【0079】
2 遊技店舗
3 遊技管理システム
5 パチンコ機(遊技機)
6 CRユニット
14 プリペイド媒体
15 遊技システム
16 遊技盤
20 入賞口
21 大入賞口
25A 貸出スイッチ
35A 遊技台計数管理装置
35B プリペイド管理サーバー
56 遊技機搭載暗号基板
65 遊技球貸出装置(遊技媒体貸出装置)
74 貸出装置搭載暗号基板
98 異常判定部
98A 出力記録フラグ
98B 賞球記録
98C 出球異常判定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を投入して遊技する遊技機と、
前記遊技機との間で相互に暗号通信可能に接続され、前記遊技媒体の貸出指示を前記遊技機に暗号通信により送信し当該遊技機に貸出動作を行わせる遊技媒体貸出装置と、
を備え、
前記遊技機は、前記遊技媒体の貸出動作をするごとに貸出結果を前記遊技媒体貸出装置に暗号通信により送信し、
前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技機から受信した貸出結果と、前記遊技機に送信した前記貸出指示との対応に基づいて、前記貸出指示がない遊技媒体の貸出動作を検知する
ことを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記遊技媒体貸出装置は、
前記貸出指示によらない遊技媒体の貸出しを検知した場合、前記遊技機への遊技媒体の貸出動作を禁止するか、報知するか、或いは前記遊技機での遊技を制限するかの少なくともいずれか1の動作を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記遊技媒体貸出装置は、
前記遊技機の遊技状態、及び賞球との関係に基づいて賞球の異常を検知し、当該異常を検知した場合に、前記遊技機への遊技媒体の貸出動作を禁止するか、報知するか、或いは前記遊技機での遊技を制限するかの少なくともいずれか1の動作を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−251047(P2011−251047A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127881(P2010−127881)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(501468770)株式会社ジョイコシステムズ (66)
【Fターム(参考)】