説明

遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出方法

【課題】基本貸出単位以上の有価価値が記録媒体に価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、端数分の遊技媒体の貸出処理を優先し、もって遊技客による遊技時並びに精算時の不利益を低減することを課題とする。
【解決手段】カード処理ユニット50が遊技機60から玉貸し要求を受け付けた際に、プリペイドカードの残度数に端数が存在するか否かを検出し、端数が検出された場合には、次回貸出度数単位データCを該検出された端数分に一時的に変更し、変更された次回貸出度数単位データCに基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体貸出操作に応答して記録媒体に価値付けられた有価価値から予め設定された所定の基本貸出単位の有価価値を減じつつ該基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理する遊技媒体貸出システムに関し、特に、基本貸出単位以上の有価価値が記録媒体に価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、端数分の遊技媒体の貸出処理を優先し、もって遊技客による遊技時並びに精算時の不利益を低減することができる遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店等の遊技店では、プリペイドカードと呼ばれる記録媒体を介してパチンコ玉等の遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出システムが導入されることが多い。かかる遊技媒体貸出システムでは、遊技客が遊技機に併設されたカード処理機に対してカード発行機等で発行されたプリペイドカードを挿入して貸出操作を行うと、プリペイドカードの残度数の範囲内で所定の基本貸出度数分のパチンコ玉等の遊技媒体が投出される。
【0003】
例えば、プリペイドカードの残度数が10度数であり、基本貸出度数単位が5度数である場合には、遊技客が一回玉貸しボタンを押下した際に、プリペイドカードの残度数が5度数減算されるとともに、5度数分のパチンコ玉が遊技機内部から投出される。引き続き遊技客により玉貸しボタンが押下されると、プリペイドカードの残度数が0度数となり、5度数分のパチンコ玉が遊技機内部から投出されることになる。
【0004】
ただし、パチンコ玉の貸出途中で一時的に玉詰まり等の異常が発生すると、基本貸出度数分のパチンコ玉を投出できず、例えば基本貸出度数単位5度数のうちの3度数分のパチンコ玉を貸し出した時点で異常が発生し、プリペイドカードの残度数は7度数(10−3=7)となり、3度数分のパチンコ玉のみが投出される。その後、引き続き遊技客により玉貸し操作がなされると、プリペイドカードの残度数が2度数(7−5=2)となり、プリペイドカードの残度数が基本貸出度数単位以下の端数(2<5)となってしまう。
【0005】
このため、特許文献1には、プリペイドカードの残度数が基本貸出度数単位以下の端数であるときに玉貸し操作が行われると、端数分の度数全て(上記の例では2度数分)のパチンコ玉を投出するよう構成した遊技用装置が開示されている。この特許文献1によれば、基本貸出度数単位以下の残度数がプリペイドカードに残った場合であっても、当該残った残度数をすべて使用することができる。
【0006】
このように、従来の遊技媒体貸出システムでは、パチンコ玉の貸出途中で一時的に玉詰まり等の異常が発生した場合に、基本貸出度数単位未満の端数の度数が順次持ち越され、最終的に特許文献1に係る発明によって端数分のパチンコ玉が貸し出されていた。
【0007】
【特許文献1】特許第3145675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術の遊技媒体貸出システムのように、パチンコ玉の貸出途中で一時的に玉詰まり等の異常が発生したとしても、本来的には基本貸出度数単位未満の端数の度数を順次持ち越すべきではない。
【0009】
その理由の一つは、もともと基本貸出度数単位とは、遊技機での遊技に必要なパチンコ玉数を考慮した度数(5度数)として遊技店において一律に設定される度数単位であり、適当に設定され自在に変更し得る性質のものではないからである。
【0010】
また、基本貸出度数単位未満の端数が生じると、例えば500円又は千円単位での精算処理のみを行うカード精算機に対応できず、精算不可能な度数が発生してしまい、遊技客の不測の不利益を招くためである。
【0011】
以上のことから、基本貸出度数単位以上の残度数がプリペイドカードに価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、基本貸出度数単位未満の端数を生じさせるのではなく、基本貸出度数単位のパチンコ玉の貸出処理を優先する必要がある。
【0012】
本発明は、上記従来技術による問題(課題)を解消するためになされたものであって、基本貸出単位以上の有価価値が記録媒体に価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、端数分の遊技媒体の貸出処理を優先し、もって遊技客による遊技時並びに精算時の不利益を低減することができる遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、遊技媒体貸出操作に応答して記録媒体に価値付けられた有価価値から予め設定された所定の基本貸出単位の有価価値を減じつつ該基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理する遊技媒体貸出システムであって、前記遊技媒体貸出操作を受け付けた際に、前記記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出する端数検出手段と、前記端数検出手段により端数が検出された場合には、前記基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更する貸出単位変更手段と、前記貸出単位変更手段により変更された端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理する貸出処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記貸出処理手段は、前記端数検出手段により端数が検出されない場合には、前記基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記端数検出手段は、前記記録媒体に価値付けられた有価価値を前記基本貸出単位で除算した剰余が0でない場合には、該剰余を前記記録媒体に価値付けられた有価価値の端数であると検出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、各遊技機に併設され、有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付けて該記録媒体に価値付けられた有価価値の範囲内で遊技媒体の貸出処理を行う台間機と、各記録媒体に価値付けられた有価価値を管理する管理装置とを有する遊技媒体貸出システムであって、前記台間機は、前記有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付ける記録媒体受付手段と、遊技客による遊技媒体の貸出操作を受け付ける貸出操作受付手段と、前記貸出操作受付手段により受け付けた一回の貸出操作で遊技媒体を貸出処理する所定の基本貸出単位を記憶する記憶手段と、前記記録媒体受付手段により受け付けた記録媒体に価値付けられた有価価値を前記管理装置に対して問い合わせる有価価値問い合わせ手段と、前記貸出操作受付手段により貸出操作を受け付けた際に、前記有価価値問い合わせ手段による問い合わせに応答して前記管理装置から返答される当該記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出する端数検出手段と、前記端数検出手段により端数が検出された場合には、前記記憶手段に記憶された基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更する貸出単位変更手段と、前記貸出単位変更手段により変更された端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理する貸出処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、遊技媒体貸出操作に応答して記録媒体に価値付けられた有価価値から予め設定された所定の基本貸出単位の有価価値を減じつつ該基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理する遊技媒体貸出方法であって、前記遊技媒体貸出操作を受け付けた際に、前記記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出する端数検出工程と、前記端数検出工程により端数が検出された場合には、前記基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更する貸出単位変更工程と、前記貸出単位変更工程により変更された端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理する貸出処理工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遊技媒体貸出操作を受け付けた際に、記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出し、端数が検出された場合には、基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更するとともに、変更された端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理するよう構成したので、基本貸出単位以上の有価価値が記録媒体に価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、端数分の遊技媒体の貸出処理を優先し、もって遊技客による遊技時並びに精算時の不利益を低減することができる。
【0019】
また、本発明によれば、端数が検出されない場合には、通常通りに基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理するよう構成したので、貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生しなかった場合には、通常通り基本貸出単位での遊技媒体の貸出処理を行うことができる。
【0020】
また、本発明によれば、記録媒体に価値付けられた有価価値を基本貸出単位で除算した剰余が0でない場合には、該剰余を記録媒体に価値付けられた有価価値の端数であると検出するよう構成したので、一時的な玉詰まり等の異常に起因した端数が発生したか否かを迅速かつ効率良く検出することができる。
【0021】
また、本発明によれば、一回の貸出操作で遊技媒体を貸出処理する所定の基本貸出単位を記憶しておき、記録媒体に価値付けられた有価価値を管理装置に対して問い合わせるとともに、貸出操作を受け付けた際に、問い合わせに応答して管理装置から返答される当該記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出し、端数が検出された場合には、予め記憶した基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更し、変更した端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理するよう構成したので、基本貸出単位以上の有価価値が記録媒体に価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、端数分の遊技媒体の貸出処理を優先し、もって遊技客による遊技時並びに精算時の不利益を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る遊技媒体貸出システム及び遊技媒体貸出方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では基本貸出度数単位を5度数とした場合を示すこととする。
【実施例】
【0023】
まず、本実施例に係る遊技媒体貸出システムの概念について説明する。図1は、本実施例に係る遊技媒体貸出システムの概念を説明するための説明図である。ここでは遊技店により予め一括設定される基本貸出度数単位が5度数であり、遊技客が所持するプリペイドカードの残度数が10度数であるものとする。
【0024】
かかる場合に、遊技客が遊技機に併設されたカード処理ユニットにプリペイドカードを挿入すると、このカード処理ユニットがプリペイドカードのカードIDを読み取ってターミナルコントローラ(以下「T/C」と言う)に送信し、該プリペイドカードの残度数を取得するとともに、この残度数を遊技機(パチンコ機)に通知する。これにより、図1中に示すように、残度数「10」が遊技機の表示部に表示される。
【0025】
ここで、遊技客が遊技機上に設けられた玉貸しボタンを操作すると、遊技機からカード処理ユニットに玉貸し要求が行われ、カード処理ユニットがT/Cに対して基本貸出度数単位(5度数)の減算を依頼しつつ、5度数分の玉貸し指示を遊技機に対して行う。この玉貸し指示を受け取った遊技機は、内部に設けた玉投出機構(ユニット)から遊技機に配設された上皿に5度数のパチンコ玉を投出することになる。
【0026】
ところで、遊技機が玉貸しを行っている途中で玉詰まり等の異常が発生すると、一時的に5度数分の玉貸しを行うことができなくなり、例えば5度数のうちの3度数を投出した段階で玉貸し処理が中断する。この時点では、遊技機上の表示部に表示された残度数は「7」となり、T/C上で管理する当該プリペイドカードの残度数も「7」となる。
【0027】
従来は、かかる状況下で再度遊技客により玉貸し操作が行われると、残度数「7」から基本貸出度数単位(5度数)分の玉貸し処理があらためて行われていたが、かかる処理を行うと基本貸出度数単位に満たない端数が持ち越され、最終的に端数分の残度数が残ることになる。
【0028】
遊技客は、「3度数」若しくは「8度数」の貸出操作を行ったのではなく、あくまでも「5度数」の貸出操作を行ったのであるから、かかる遊技客の意思は尊重すべきである。また、かかる「5度数」という貸出度数単位は通常のパチンコ遊技を考えた場合に意味のある度数であるので、それよりも少ない度数若しくは多い度数を貸し出すのは妥当ではない。さらに、カード精算機が500円単位及び1000円単位での精算しか対応しない場合には、かかる端数分について遊技客が精算できないという不利益を被ることになる。
【0029】
このため、本実施例に係る遊技媒体貸出システムでは、上記残度数「7」の状況下で遊技客によりあらためて玉貸し操作がなされた場合に、未払い出し分の端数である2度数(基本貸出度数単位(5度数)−貸出済み度数(3度数))を貸出度数単位とした玉貸し処理を行って残度数を「5」とし、その後貸出度数単位を基本貸出度数単位(5度数)とした玉貸しを行うこととしている。
【0030】
次に、本実施例に係る遊技媒体貸出システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施例に係る遊技媒体貸出システムのシステム構成を示すブロック図である。図2に示すように、この遊技媒体貸出システムは、T/C10、島コントローラ20、カード発行機30、カード精算機40、カード処理ユニット50及び遊技機60からなる。
【0031】
T/C10は、遊技店に少なくとも1台設置されたプリペイドカードの残度数等を管理する管理装置である。遊技店の係員は、このT/C10上で基本貸出度数単位を設定することができ、設定された基本貸出度数単位は各カード処理ユニット50に設定される。
【0032】
島コントローラ20は、遊技店内に形成される各島に設けられるとともに、T/C10と島内の各カード処理ユニット50との間に介在し、両者の間のデータ授受を中継する。カード発行機30は、カード処理ユニット50で利用されるプリペイドカードを発行する発行機であり、遊技客に対して現金若しくはデビットカードによるプリペイドカードの発行に対応する。
【0033】
カード精算機40は、発行済みのプリペイドカードに価値付けられた有価価値である残度数を精算する装置であり、具体的にはプリペイドカードの残度数のうちの500円単位又は1000円単位での精算を行う。例えば、プリペイドカードの残度数が35度数である場合には、遊技客により精算操作がなされた際に3500円(1000円札3枚と500円硬貨1枚)の現金を払い出す。なお、このカード精算機40では、装置を簡易化するために100円単位での精算には対応していない。このため、プリペイドカードの残度数
が37度数である場合でも、35度数の精算しか行わず、端数の2度数が価値付けられたプリペイドカードを排出することになる。
【0034】
カード処理ユニット50は、パチンコ玉によるパチンコ遊技を提供する遊技機60に併設され、プリペイドカードを用いたパチンコ玉の貸出処理を行う台間機である。具体的には、遊技客が所持するプリペイドカードを受け入れたならば、このプリペイドカードの残度数をT/C10に問い合わせて該残度数を遊技機60に通知して表示部上に表示させるとともに、遊技機60から玉貸し要求を受け付けたならば、T/C10に対して基本貸出度数単位の度数減算要求を行いつつ遊技機60に対してプリペイドカードの残度数の範囲内で玉貸し指示を行う。なお、このカード処理ユニット50は、紙幣を受け付けて該紙幣分の度数をプリペイドカードの残度数に追加できる機能を有する。
【0035】
かかるカード処理ユニット50は、通常は基本貸出度数単位での玉貸し処理を行うが、玉詰まり等の障害に起因してプリペイドカードの残度数に端数が存在する場合には、この端数分の玉貸し処理を優先的に行う点にその特徴がある。具体的には、遊技機60から玉貸し要求を受け付けたならば、当該プリペイドカードの残度数Aを基本貸出度数単位Bで除算した剰余を求め、この剰余が0でない場合には端数が存在し、この剰余が0である場合には端数が存在しないものと判定する。そして、この端数が存在しない場合には基本貸出度数単位での玉貸し処理を行い、端数が存在する場合にはこの端数を次回貸出度数単位C(=A%B)として玉貸し処理を行うことになる。なお、本実施例では「A%B」は、AをBで除算した剰余を示すものとする。
【0036】
次に、図1に示したT/C10の構成について説明する。図3は、図2に示したT/C10の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このT/C10は、入力部101、表示部102、インターフェース部103、記憶部104、カードデータ管理部105、基本貸出度数単位設定処理部106及び制御部107を有する。
【0037】
入力部101は、キーボードやマウス等の入力デバイスであり、基本貸出度数単位を設定する場合などに利用される。表示部102は、ディスプレイや液晶パネル等の表示デバイスであり、各種状態表示などを行う際に利用される。インターフェース部103は、島コントローラ20を介してカード発行機30、カード精算機40又はカード処理ユニット50とデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0038】
記憶部104は、ハードディスク装置等の記憶デバイスであり、ここにはプリペイドカードデータ104a及び基本貸出度数単位データBが格納される。プリペイドカードデータ104aは、図4に示すように各プリペイドカードIDごとに発行日、発行金額、残度数A及び期限等を記憶する管理データであり、基本貸出度数単位データBは、遊技店全体として遊技客による一貸出操作時にパチンコ玉を貸し出す度数単位を示すデータであり、本実施例では5度数としている。
【0039】
カードデータ管理部105は、記憶部104に記憶したプリペイドカードデータ104aを用いて各プリペイドカードの残度数等を管理する管理部である。このカードデータ管理部105は、カード発行機30による新規発行、カード精算機40による精算、カード処理ユニット50による玉貸し時並びに度数追加時にプリペイドカードデータ104aを更新することになる。
【0040】
基本貸出度数単位設定処理部106は、遊技店全体として各カード処理ユニット50による玉貸し度数単位である基本貸出度数単位を設定する処理部であり、この基本貸出度数単位はデフォルト状態で5度数に設定されている。そして、遊技店の係員が入力部101を用いて所定の操作を行ったならば、かかる入力部101による基本貸出度数単位を設定できる状態となる。なお、設定された基本貸出度数単位は基本貸出度数単位データBとして記憶部104に格納されるとともに、各カード処理ユニット50の電源投入時に該基本貸出度数単位データBがカード処理ユニット50に送信される。
【0041】
制御部107は、T/C10の全体制御を行う制御部であり、記憶部104に対するデータの読み書きやインターフェース部103を介したデータの送受信等の基本機能を司ることになる。
【0042】
次に、図2に示したカード処理ユニット50について説明する。図5は、図2に示したカード処理ユニット50の外観構成を示す正面図であり、図6は、図2に示したカード処理ユニット50の内部構成を示す機能ブロック図である。図5に示すように、このカード処理ユニット50の前面には、状態表示ランプ50a、紙幣挿入口50b、カード挿入口50c、表示部50d及び操作部50eが設けられている。
【0043】
状態表示ランプ50aは、玉貸し可能状態及び玉貸し不可状態等の状態に対応する色のランプを発光させて遊技客並びに遊技店の店員に状態を報知するためのランプであり、紙幣挿入口50bは挿入済みのプリペイドカードの残度数に新たな度数を価値付けるために遊技客から紙幣を受け付ける挿入口である。カード挿入口50cは、プリペイドカードの挿入を受け付ける挿入口であり、表示部50dは、カード挿入済みを示す状態等を表示するための表示部である。なお、プリペイドカードの残度数については遊技機60側で表示されるが、この表示部50d上に表示することもできる。操作部50eは、再プレイ操作、プリペイドカードの返却操作、暗証番号入力等を行う際に利用される操作部である。
【0044】
図6に示すように、このカード処理ユニット50の内部には、すでに説明した操作部50e及び表示部50d以外に、カードリーダ501、紙幣処理部502、インターフェース部503、インターフェース部504、記憶部505及び制御部506が設けられている。
【0045】
カードリーダ501は、カード挿入口50cに挿入されたプリペイドカードに記録されたプリペイドカードIDを読み取って制御部506に出力する読取部であり、紙幣処理部502は、紙幣挿入口50bから挿入された紙幣の種別判定、真偽判定並びに紙幣の搬送処理を行う処理部である。
【0046】
インターフェース部503は、島コントローラ20を介してT/C10との間の通信を行うためのインターフェースであり、インターフェース部504は、遊技機60との間のデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0047】
記憶部505は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ又はハードディスク等の記憶デバイスであり、電源投入時にT/C10から受け取った基本貸出度数単位データBと、次回の玉貸し操作時に参照される次回貸出度数単位データCとを記憶する。この次回貸出度数単位データCは、通常は基本貸出度数単位データBと一致するが、プリペイドカードの残度数に端数が生じた場合には、この端数分の度数が基本貸出度数単位データBとなる。
【0048】
制御部506は、カード処理ユニット50の全体制御を行う制御部であり、玉貸し処理部506a、貸出度数単位変更処理部506b及び残度数追加処理部506cを有する。玉貸し処理部506aは、プリペイドカードの残度数を利用した玉貸し処理を行う処理部であり、具体的には、遊技機60から玉貸し要求を受け付けた場合に、記憶部505に記憶した次回貸出度数単位データC分の度数を残度数から減算するようT/C10に要求しつつ、該次回貸出度数単位データC分のパチンコ玉を投出するよう遊技機60に対して指示することになる。
【0049】
貸出度数単位変更処理部506bは、遊技機60から玉貸し要求を受け付けた場合に、プリペイドカードの残度数に端数が存在するか否かを確認し、端数が存在する場合には該端数分の度数を次回貸出度数単位データCとし、端数が存在しない場合には基本貸出度数単位データBを次回貸出度数単位データCとして記憶部505に格納する処理部である。上記玉貸し処理部506aは、かかる貸出度数単位変更処理部506bによる処理後に玉貸し処理を行うことになる。
【0050】
残度数追加処理部506cは、遊技客が紙幣挿入口50bに紙幣を挿入した場合に、この紙幣分の度数をプリペイドカードの残度数に加算するようT/C10に通知する処理部である。
【0051】
次に、図2に示した遊技機40、カード処理ユニット50及びT/C10の玉貸し処理手順について説明する。図7は、図2に示した遊技機40、カード処理ユニット50及びT/C10の玉貸し処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは説明の便宜上プリペイドカードの残度数が基本貸出度数単位データB以上存在し、また次回貸出度数単位データCは初期値として基本貸出度数単位データBが設定されているものとする。
【0052】
図7に示すように、遊技客がカード処理ユニット50のカード挿入口にプリペイドカードを挿入し該カード処理ユニット50がこのプリペイドカードを受け付けると(ステップS101)、カードリーダによってプリペイドカードIDが読み取られ(ステップS102)、T/C10に対して残度数を問い合わせる残度数問合せ信号が送信される(ステップS103)。この残度数問合せ信号には、残度数の問合せ対象となるプリペイドカードIDが含まれる。
【0053】
この残度数問合せ信号を受信したT/C10は、記憶部104に記憶したプリペイドカードデータ104aをプリペイドカードIDをキーとして検索し(ステップS104)、検索した残度数Aをカード処理ユニット50に対して返送する(ステップS105)。この残度数Aを受信したカード処理ユニット50は、遊技機60に対して残度数Aを送信し(ステップS106)、遊技機60の表示部上に残度数を表示して、玉貸し操作の受付待ちの状態となる(ステップS107否定)。
【0054】
そして、遊技機60に設けられた玉貸しボタンの操作を受け付けたならば(ステップS107肯定)、遊技機60はカード処理ユニット50に対して玉貸し要求信号を送信する(ステップS108)。この玉貸し要求信号を受信したカード処理ユニット50は、記憶部505に記憶した基本貸出度数単位データBを読み出し(ステップS109)、残度数Aを基本貸出度数単位データBで除算した剰余が0であるか否か(A%Bが0であるか否か)を判定する(ステップS110)。
【0055】
その結果、剰余が0でない場合には(ステップS110否定)、次回貸出度数単位データCにその剰余であるA%Bを設定し(ステップS111)、T/C10に対して度数減算要求信号を送信する(ステップS112)。なお、この度数減算要求信号には、プリペイドカードID及び次回貸出度数単位データCが含まれる。
【0056】
この度数減算要求信号を受信したT/C10は、プリペイドカードデータ104aの当該プリペイドカードIDの残度数を減算処理した後に(ステップS113)、カード処理ユニット50に対して減算完了信号を通知する(ステップS114)。
【0057】
この減算完了信号を受信したカード処理ユニット50は、遊技機60に対して次回貸出度数単位データC分の玉貸し指示信号を送信し(ステップS115)、この玉貸し指示信号を受信した遊技機60は、次回貸出度数単位データC分の玉貸し処理を行った後に(ステップS116)、カード処理ユニット50に対して玉貸し完了信号を通知する(ステップS117)。この玉貸し完了信号を受信したカード処理ユニット50は、次回貸出度数単位データCに基本貸出度数単位データBを設定した後(ステップS118)処理を終了する。
【0058】
上述してきたように、本実施例では、カード処理ユニット50が遊技機60から玉貸し要求を受け付けた際に、プリペイドカードの残度数に端数が存在するか否かを検出し、端数が検出された場合には、次回貸出度数単位データCを該検出された端数分に一時的に変更し、変更された次回貸出度数単位データCに基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理するよう構成したので、基本貸出度数単位以上の残度数がプリペイドカードに価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、端数分のパチンコ玉の貸出処理を優先し、もって遊技客による遊技時並びに精算時の不利益を低減することができる。
【0059】
なお、本実施例では、記録媒体としてプリペイドカードを用いた場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技媒体貸出用コイン等の他の記録媒体を用いた場合に適用することもできる。
【0060】
また、本実施例では、本実施例では説明の便宜上、T/C10上で次回貸出度数単位データC分の減算処理を行った後に遊技機60が次回貸出度数単位データC分の玉貸し処理を一括して行う場合を示したが、一度数のごとの減算処理及び玉貸し処理を次回貸出度数単位データC分繰り返すよう構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明にかかる遊技媒体貸出システムは、基本貸出単位以上の有価価値が記録媒体に価値付けられている場合に、たとえ貸出途中で一時的な玉詰まり等の異常が発生したとしても、端数分の遊技媒体の貸出処理を優先し、もって遊技客による遊技時並びに精算時の不利益を低減する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施例に係る遊技媒体貸出システムの概念を説明するための説明図である。
【図2】本実施例に係る遊技媒体貸出システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したT/Cの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図3に示したプリペイドカードデータの一例を示す図である。
【図5】図2に示したカード処理ユニットの外観構成を示す正面図である。
【図6】図2に示したカード処理ユニットの内部構成を示す機能ブロック図である。
【図7】図2に示した遊技機、カード処理ユニット及びT/Cの玉貸し処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
A 残度数
B 基本貸出度数単位データ
C 次回貸出度数単位データ
10 ターミナルコントローラ(T/C)
20 島コントローラ
30 カード発行機
40 カード精算機
50 カード処理ユニット
50a 状態表示ランプ
50b 紙幣挿入口
50c カード挿入口
50d 表示部
50e 操作部
60 遊技機(パチンコ機)
101 入力部
102 表示部
103 インターフェース部
104 記憶部
104a プリペイドカードデータ
105 カードデータ管理部
106 基本貸出度数単位設定処理部
107 制御部
501 カードリーダ
502 紙幣処理部
503,504 インターフェース部
505 記憶部
506 制御部
506a 玉貸し処理部
506b 貸出度数単位変更処理部
506c 残度数追加処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体貸出操作に応答して記録媒体に価値付けられた有価価値から予め設定された所定の基本貸出単位の有価価値を減じつつ該基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理する遊技媒体貸出システムであって、
前記遊技媒体貸出操作を受け付けた際に、前記記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出する端数検出手段と、
前記端数検出手段により端数が検出された場合には、前記基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更する貸出単位変更手段と、
前記貸出単位変更手段により変更された端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理する貸出処理手段と
を備えたことを特徴とする遊技媒体貸出システム。
【請求項2】
前記貸出処理手段は、前記端数検出手段により端数が検出されない場合には、前記基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理することを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項3】
前記端数検出手段は、前記記録媒体に価値付けられた有価価値を前記基本貸出単位で除算した剰余が0でない場合には、該剰余を前記記録媒体に価値付けられた有価価値の端数であると検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技媒体貸出システム。
【請求項4】
各遊技機に併設され、有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付けて該記録媒体に価値付けられた有価価値の範囲内で遊技媒体の貸出処理を行う台間機と、各記録媒体に価値付けられた有価価値を管理する管理装置とを有する遊技媒体貸出システムであって、
前記台間機は、
前記有価価値が価値付けられた記録媒体を受け付ける記録媒体受付手段と、
遊技客による遊技媒体の貸出操作を受け付ける貸出操作受付手段と、
前記貸出操作受付手段により受け付けた一回の貸出操作で遊技媒体を貸出処理する所定の基本貸出単位を記憶する記憶手段と、
前記記録媒体受付手段により受け付けた記録媒体に価値付けられた有価価値を前記管理装置に対して問い合わせる有価価値問い合わせ手段と、
前記貸出操作受付手段により貸出操作を受け付けた際に、前記有価価値問い合わせ手段による問い合わせに応答して前記管理装置から返答される当該記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出する端数検出手段と、
前記端数検出手段により端数が検出された場合には、前記記憶手段に記憶された基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更する貸出単位変更手段と、
前記貸出単位変更手段により変更された端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理する貸出処理手段と
を備えたことを特徴とする遊技媒体貸出システム。
【請求項5】
遊技媒体貸出操作に応答して記録媒体に価値付けられた有価価値から予め設定された所定の基本貸出単位の有価価値を減じつつ該基本貸出単位の有価価値分の遊技媒体を貸出処理する遊技媒体貸出方法であって、
前記遊技媒体貸出操作を受け付けた際に、前記記録媒体に価値付けられた有価価値に端数が存在するか否かを検出する端数検出工程と、
前記端数検出工程により端数が検出された場合には、前記基本貸出単位を該検出された端数分の端数貸出単位に一時的に変更する貸出単位変更工程と、
前記貸出単位変更工程により変更された端数貸出単位に基づいて端数分の遊技媒体を優先的に貸出処理する貸出処理工程と
を含んだことを特徴とする遊技媒体貸出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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