遊技媒体貸出機
【課題】メダル等の遊技媒体が,補給口用扉に設けられている施錠機構の孔部に侵入することを防止し,遊技媒体の補給を円滑に行えるようにする。
【解決手段】遊技媒体を補給するための遊技媒体補給口161と,遊技媒体補給口161を閉塞する補給口用扉162とを備えた遊技媒体貸出機において,補給口用扉32を施錠する施錠機構196に,補給口用扉162の上縁部に形成された孔部212,孔部212から突出する施錠位置と孔部212から退出させられる解錠位置とに移動可能な可動片216を備え,さらに,可動片216が解錠位置に配置された際に孔部212を塞ぐ蓋片217を備えた。この蓋片217によって孔部212が塞がれた状態のとき,蓋片217と孔部212との間に形成される隙間が,遊技媒体が侵入できない大きさになるようにした。
【解決手段】遊技媒体を補給するための遊技媒体補給口161と,遊技媒体補給口161を閉塞する補給口用扉162とを備えた遊技媒体貸出機において,補給口用扉32を施錠する施錠機構196に,補給口用扉162の上縁部に形成された孔部212,孔部212から突出する施錠位置と孔部212から退出させられる解錠位置とに移動可能な可動片216を備え,さらに,可動片216が解錠位置に配置された際に孔部212を塞ぐ蓋片217を備えた。この蓋片217によって孔部212が塞がれた状態のとき,蓋片217と孔部212との間に形成される隙間が,遊技媒体が侵入できない大きさになるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えばスロットマシン等の遊技機に利用されるメダルを貸し出すメダル貸出機,パチンコ機等の遊技機に利用されるパチンコ玉を貸し出す玉貸機等に代表される遊技媒体貸出機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスロットマシン等の遊技機が設置された遊技ホールにおいては,スロットマシンの遊技媒体であるメダルを貸し出すメダル貸出機が,各遊技機の側方に,それぞれ一台ずつ配設されている(特許文献1参照)。遊技機で遊技を行おうとする客(遊技者)は,遊技機に隣接する(スロットマシンの場合は一般的に正面視においてスロットマシンの右側に設置されている)メダル貸出機に所定の金額の紙幣(例えば千円札)を投入し,メダル貸出機からメダルを借り受け,このメダルを利用してスロットマシンの遊技を行うようになっている。なお,一般的には,千円分の投入金額に対して50枚のメダルが貸し出されるようになっている。
【0003】
メダル貸出機内には,メダルが貯留されるメダル貯留部が備えられている。メダル貯留部の上方には,メダル貯留部にメダルを補給するためのメダル補給口,メダル補給口を開閉する補給口用扉等が備えられている。補給口用扉には施錠機構が設けられている(特許文献1,2参照)。
【0004】
補給口用扉は,その下縁部側に回転中心軸を備えた状態で,貸出機本体に取り付けられている(特許文献2参照)。メダルの補給を行う際,補給口用扉は,上方に向かうほどメダル補給口から離隔するように,貸出機本体に対して外側に向かって傾斜させた状態で保持され,これによりメダル補給口が開口される。また,補給口用扉の両側には,それぞれフランジ部が設けられており,このフランジ部がメダル補給口の外側に引き出され,メダル補給口と補給口用扉との間に渡って配置された状態になる。メダルは,補給口用扉とフランジ部によって形成された開口部分に投下され,両側のフランジ部によってガイドされながら,補給口用扉の傾斜面(内面)に沿って滑降し,メダル補給口を通過して,メダル貯留部に落下するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−325890号公報
【特許文献2】特開2003−220279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,従来のメダル貸出機にあっては,補給口用扉に設けられている施錠機構が,メダルを補給する際に邪魔になり,円滑に補給しにくい問題があった。例えば,補給口用扉の内面に施錠機構が突出していると,その部分にメダルが衝突するため,メダルが円滑に滑り降りていかなくなる問題があった。また,例えば施錠機構が補給口用扉内に内蔵された構成とし,施錠時にメダル補給口の上縁部と係合させられる可動片を,補給口用扉の上縁部に設けた孔部を通じて入出させるような構成にすることが考えられるが,この場合,メダルが孔部に引っ掛かったり挟まったりするおそれがあった。特にメダルを補給する際には,施錠機構は解錠状態になっており,可動片が孔部から退避した状態になるので,孔部が大きく開口され,メダルが侵入しやすい問題があった。このような問題は,孔部を小さくすれば解決するはずである。しかし,補給口用扉はメダルを充填したときに内部から圧力を受ける部材であり,これを閉じた状態で確実に施錠するためには,可動片にある程度の強度が要求されるため,十分な厚みを持たせる必要があり,この可動片の大きさに合わせて,孔部も大きくすることが要求される。その結果,孔部の幅がメダルの厚みより大きくなってしまい,メダルが孔部に入り込みやすくなる問題があった。
【0007】
本発明は,上記の点に鑑みてなされたものであり,メダル等の遊技媒体が,補給口用扉に設けられている施錠機構の孔部に侵入することを防止して,遊技媒体の補給を円滑に行うことができる遊技媒体貸出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため,本発明によれば,遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機であって,貸出機本体の側部に,遊技媒体を補給するための遊技媒体補給口と,補給口用扉とを備え,前記補給口用扉は,前記補給口用扉の下縁部側に配置された回転中心軸を中心として回転することにより,前記遊技媒体補給口を開閉させる構成とし,前記補給口用扉を施錠する施錠機構を備え,前記施錠機構は,前記補給口用扉の上縁部に形成された孔部,前記孔部から突出する施錠位置と前記孔部から退出させられる解錠位置とに移動可能な可動片,及び,前記可動片が前記解錠位置に配置された際に前記孔部を塞ぐ蓋片を備え,前記蓋片によって前記孔部が塞がれた状態において前記蓋片と前記孔部との間に形成される隙間は,前記遊技媒体が侵入できない大きさであることを特徴とする,遊技媒体貸出機が提供される。
【0009】
この遊技媒体貸出機にあっては,前記孔部は,前記遊技媒体の断面形状より大きくしても良い。前記可動片と前記蓋片は,前記施錠機構の鍵穴に挿入された鍵を回転させることにより,一体的に回転させられる構成としても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,施錠機構を解錠状態にしても,施錠機構の可動片を入出させるための孔部を蓋片によって塞ぐことができる。従って,補給口用扉を開いて遊技媒体を補給する際に,孔部に遊技媒体が侵入することを防止でき,遊技媒体の補給を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下,本発明にかかる実施形態を,遊技媒体貸出機の一例であるメダル貸出機を例にして,添付図面を用いて説明する。図1は,本実施の形態にかかるメダル貸出機1の外観を示している。図2は,メダル貸出機1の側壁を取り除いて内部構造を示した斜視図である。図3は,メダル貸出機1の要部ユニットの分解斜視図である。
【0012】
図2に示すように,メダル貸出機1は,貸出機本体3の内部にコイン処理装置5,メダル貸出機1全体の制御を行う主制御装置6,セキュリティブラックボックス(BB)7,紙幣処理装置(ビルバリユニット)10,後述する開口部138が開かれているか否かを検知する開閉検知センサ11,メダル送出装置(メダル払出装置)12,電源ユニット13が内蔵され,貸出機本体3の正面側(客側に向けられる前側部)に,上部パネル15,中部パネル16,下部パネル17が着脱可能に取り付けられた構成になっている。
【0013】
図2及び図3に示すように,貸出機本体3は,正面側(手前側)が開口された略直方体状をなす筐体40を備えている。筐体40は,高さ方向に細長く形成されており,正面視において左側に位置する左内側面40a,右側に位置する右内側面40b,奥側(後側)に位置する後内側面40c,天井面40d,底面40eを備えており,正面側には略長方形状をなす開口41が形成されている。
【0014】
筐体40内には,3枚の仕切板,即ち,第一仕切板45,第二仕切板46,第三仕切板47が取り付けられている。第一仕切板45は,筐体40の天井面40aの下方において,略水平に向けられて固定されている。第二仕切板46は,第一仕切板45の下方において,略水平に向けられて固定されている。第三仕切板47は,第二仕切板46の下方において,略水平に向けられて固定されている。即ち,筐体40の内部空間は,第一仕切板45,第二仕切板46,第三仕切板47によって,上下に4つの領域に仕切られている。
【0015】
なお,前述した上部パネル15は,天井面40dと第一仕切板45の上面との間において,開口41の上部を閉塞するように設けられている。中部パネル16は,第一仕切板45の下面と第二仕切板46の上面との間において,開口41の中間部(後述する開口部138)を閉塞するように設けられている。下部パネル17は,第二仕切板46の下面と底面40eとの間において,開口41の下部を閉塞するように設けられている。こうして,開口41全体が上部パネル15,中部パネル16,下部パネル17によって閉塞されるようになっている。
【0016】
また,コイン処理装置5,主制御装置6,BB7は,天井面40d,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,第一仕切板45の上面,及び,上部パネル15によって囲まれた空間(以下,「上部収容空間S1」という。)に収容されている。紙幣処理装置10は,第一仕切板45の下面,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,第二仕切板46の上面,及び,中部パネル16によって囲まれた空間(以下,「中間部収容空間S2」という。)に収容されている。メダル送出装置12は,第二仕切板46の下面,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,第三仕切板47の上面,及び,下部パネル17によって囲まれた空間(以下,「下部収容空間S3」という。)に収容されている。電源ユニット13は,第三仕切板47の下面,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,底面40e,及び,下部パネル17によって囲まれた空間(以下,「最下部収容空間S4」という。)に収容されている。
【0017】
次に,貸出機本体3に内蔵された各装置について詳細に説明する。ここで最初に,メダル貸出機1で使用される金銭代用体であるコインCと,メダル貸出機1で貸し出される遊技媒体としてのメダルMについて説明する。コインCは,例えば円盤形状をなしており,その内部に非接触データキャリアである電子部品が内蔵された構成になっている。各コインCに内蔵された電子部品には,各コインCの固有のIDコード等の情報を記憶したメモリがそれぞれ実装されている。また,遊技ホールで使用される各コインCには,互いに異なったIDコードが割り当てられる。なお,このIDコードは,例えば後述する売り上げ管理装置73によって記憶され,各コインCに関する情報は,各々のIDコードに関連付けて記憶され,売り上げ管理装置73によって管理されるようになっている。また,メダルMは,例えば円盤形状をなしており,導電性を有する金属等の材料によって形成されている。
【0018】
次に,コイン処理装置5について説明する。このコイン処理装置5は,後述するコイン投入口125に投入されたコインCを受け取り,また,内部に複数枚のコインCを貯留できるようになっている。また,コイン払出口126に対してコインCを排出する機能を有する。コイン処理装置5の内部には,コインCのIDコードを読み取るIDコード読み取り部が内蔵されている。また,コイン処理装置5は,主制御装置6(後述するコイン関連コントロール部221)に対して電気的に接続されており,主制御装置6(コイン関連コントロール部221)からコイン処理装置5に対して制御信号が送信され,また,コイン処理装置5から主制御装置6(コイン関連コントロール部221)に対してコインCのIDコード情報等が送信されるように構成されている。このコイン処理装置5の機能については,後に更に詳述する。
【0019】
主制御装置6には,メダル貸出機1に配設された各種の機器が電気信号を送信可能に接続されており,主制御装置6と各機器との間では,様々な情報の送受信が行われる。さらに,主制御装置6は,メダル貸出機1の外部に設置されたホールコンピュータ71に対して電気信号を送信可能に接続されている。この主制御装置6の機能構成については,後に更に詳述する。
【0020】
BB7は,メダル貸出機1における各種のデータを収集する機能を有し,また,図2に示すように,メダル貸出機1の外部に設置されたI/F(インターフェース)ユニット72に対して電気信号を送信可能に接続されている。なお,I/Fユニット72は,遊技ホールの売り上げ等を演算する売り上げ管理装置73に接続されている。即ち,BB7は,I/Fユニット72を介して売り上げ管理装置73に対し,各種の情報を送信できるようになっている。
【0021】
次に,紙幣処理装置10について説明する。図4は,紙幣処理装置10の構造を概略的に示した斜視図である。図4に示すように,紙幣処理装置10の装置本体10aの前面には,メダルMを借り受けるために客が紙幣E(例えば千円札等)を投入する紙幣投入口80が,横長のスリット状に開口されている。装置本体10aの内部には,紙幣投入口80に投入された紙幣Eの真偽及び紙幣Eの金額を識別する紙幣投入検知センサとしての紙幣識別器(ビルバリ)81,紙幣Eを収納して保管する紙幣収納部82,紙幣収納部82に収納された紙幣Eの存在の有無を検知する紙幣収納検知センサ84,紙幣処理装置10の動作を制御する紙幣処理装置制御部85が備えられている。
【0022】
紙幣識別器81は,紙幣処理装置制御部85に電気的に接続されており,紙幣処理装置制御部85から送信される制御信号に基づいて駆動される。また,紙幣Eの真偽に関する検知信号(真券判定信号),及び,紙幣Eの金額に関する検知信号は,紙幣処理装置制御部85に送信されるようになっている。
【0023】
紙幣収納検知センサ84も,紙幣処理装置制御部85に電気的に接続されており,検知信号を紙幣処理装置制御部85に送信するようになっている。紙幣収納検知センサ84としては,例えば光センサが用いられる。
【0024】
紙幣処理装置制御部85の制御により,紙幣処理装置10は,紙幣識別器81において紙幣Eが真正であると判定された場合,紙幣Eを紙幣収納部82に送り込み,紙幣Eが真正であると判定されなかった場合(紙幣Eが偽物である場合,あるいは,判定動作にエラーが生じた場合など)は,紙幣Eを紙幣投入口80の外に送り返すように駆動する。紙幣処理装置制御部85と前述した主制御装置6(後述する紙幣関連コントロール部222)とは,互いに電気信号を送受信可能に接続されている。即ち,紙幣識別器81の検知情報,及び,紙幣収納検知センサ84の検知情報は,紙幣処理装置制御部85を介して,主制御装置6(紙幣関連コントロール部222)に送信されるようになっている。また,主制御装置6(紙幣関連コントロール部222)から紙幣処理装置制御部85に,制御信号が送信されるように構成されている。
【0025】
図4に示すように,紙幣投入口80の前方には,紙幣Eを受ける紙幣用受け皿92が,装置本体10aに対して一体的に取り付けられている。紙幣用受け皿92は,紙幣投入口80の下縁に沿って横向きに設けられた底板92aと,底板92aの左右両側に配置されたガイド壁92b,92cとを備えている。かかる紙幣用受け皿92は,後述する中部パネル16に設けられた受け皿用開口148を介して,中部パネル16の外側に先端部が突出させられるようになっており,この突出させられた先端部と受け皿用開口148の上縁部との間に形成された隙間,即ち,底板92a,ガイド壁92b,92c及び受け皿用開口148の上縁部によって囲まれた,横長のスリット状の隙間に,紙幣Eが挿入されるようになっている。紙幣Eは,長手方向を前後方向(正面から奥側に向かう方向)に向けた状態で,当該隙間に差し込まれ,紙幣用受け皿92に略水平に向けて載せられ,紙幣投入口80を介して,装置本体10a内に挿入されるようになっている。また,装置本体10aの前面において,紙幣用受け皿92の下方には,紙幣収納部82から紙幣Eを取り出すための取り出し口93が設けられている。
【0026】
次に,開閉検知センサ11について説明する。図5は,開閉検知センサ11によって中部パネル16の開状態が検知される状態を示しており,図6は,開閉検知センサ11によって中部パネル16の閉状態が検知される状態を示している。かかる開閉検知センサ11としては,例えば光センサを用いることができ,例えば図5及び図6に示すように,センサ本体105,光を発光する発光部106,及び,発光部106から発光された光を受光する受光部107を備えた構成が用いられる。
【0027】
センサ本体105は,例えば互いに対向する位置に設けられた2本の腕部105a,105bを有する略コの字状に形成されている。一方の腕部105aには発光部106が備えられ,他方の腕部105bには,受光部107が備えられている。腕部105a,105bの間の隙間は,後述する中部パネル16の内面上縁部(自由端側)に形成されたセンサ用突起146が挿入されるセンサ用溝105cとなっている。また,図示の例では,センサ本体105は,第一仕切板45の下面前縁部近傍(後述する開口部138の上縁部近傍)に設けられており,センサ用溝105cの開口端部を前方(正面側)に向けるようにして配置されている。即ち,中部パネル16が後述する閉塞位置PE0にある場合に,センサ用溝105c内にセンサ用突起146が挿入されるように配置されている。
【0028】
発光部106は,例えば発光ダイオード等の発光素子を有している。また,発光部106は,配線を介して電源ユニット13に接続されている。受光部107は,例えばフォトトランジスタ等の受光素子を有している。受光部107は,信号線等を介して主制御装置6(後述する不正識別部231)に対して電気的に接続されている。
【0029】
通常,発光部106は受光部107に向かって光を発光させているが,中部パネル16の内面が開口部138に近接しており,センサ用突起146がセンサ用溝105cの開口端部を介してセンサ用溝105c内に挿入されている状態(図6参照)では,発光された光がセンサ用突起146によって遮られ,受光部107に受光されず,受光部107の受光素子に電流が発生することは無い。即ち,主制御装置6(不正識別部231)においては受光部107からの電気的信号(電流)が検出されず,換言すれば,開口部138が閉塞されている(閉状態である)ことを示す検知情報が主制御装置6(不正識別部231)に与えられる。一方,中部パネル16が外側に倒れて開口部138から離隔している状態,即ち,センサ用突起146がセンサ用溝105c内に存在せず,センサ用溝105cの開口端部から外側に退出した状態(図5参照)では,発光部106によって発光された光は遮られること無く,受光部107に受光され,受光素子に電流が発生する。即ち,主制御装置6において受光部107の電気的信号が検出され,これにより,開口部138が開かれている(開状態である)ことを示す検知情報が,主制御装置6(不正識別部231)に与えられる。
【0030】
主制御装置6(後述する不正識別部231)においては,受光部107の受光素子に電流が流れているか否かに基づいて,中部パネル16が後述する閉塞位置PE0にあるか否か,即ち,後述する開口部138が開口されているか否かを検知できる。つまり,受光素子に電流が流れていなければ,センサ用溝105cにセンサ用突起146が存在する,即ち,中部パネル16が閉塞位置PE0にあり,閉状態であると判定し,受光素子に電流が流れた場合は,センサ用溝105cにセンサ用突起146が存在しない,即ち,中部パネル16が閉塞位置PE0に無く,開状態であると判定できるようになっている。
【0031】
なお,センサ本体105の取り付け位置は,第一仕切板45の下面前縁部近傍(開口部138の上縁部近傍)に代えて,例えば第二仕切板46の上面前縁部近傍(開口部138の下縁部近傍)とし,後述するセンサ用突起146の取り付け位置は,中部パネル16の内面上縁部に代えて,中部パネル16の内面下縁部(後述する回転中心軸141a側)としても良い。このようにすると,開閉検知センサ11の誤動作をより効果的に防止できる。即ち,例えば中部パネル16や後述するヒンジ141等の取り付け位置に誤差があったり,あるいは,例えばヒンジ141の構造に誤差があって中部パネル16を動かすときにがたつきが生じたりするようなことがあっても,中部パネル16の下側ほど(回転中心軸141aに近いほど)誤差やがたつきが少なく,センサ用溝105cとセンサ用突起146との位置ずれも小さくなる。従って,実際にはセンサ用溝105c内にセンサ用突起146があって閉状態になっているにも関わらず,主制御装置6(不正識別部231)において開状態であると誤った判定がなされることを防止できる。即ち,開閉検知センサ11を用いた検知の信頼性の向上を図ることができる。
【0032】
また,発光部106に備える発光素子としては,赤外光を発光させるもの(例えば赤外発光ダイオード)を採用し,受光部107に備える受光素子としては,赤外光のみを検出するものを採用しても良い。この場合,例えば開閉検知センサ11の外部から受光部107に対して赤外光以外の光が入射しても,その光が受光素子で検出されることは無い。そのため,外部の光によって開閉検知センサ11の誤動作が生じることを防止できる。即ち,センサ用溝105c内にセンサ用突起146が有るにも関わらず,外部の光によって受光部107に電流が流れることを防止でき,ひいては,主制御装置6において開状態であると誤った判定がなされることを防止でき,開閉検知センサ11を用いた検知の信頼性の向上を図ることができる。
【0033】
また,センサ用突起146の表面は,なるべく反射光が少ない暗色にするとより好ましく,例えば黒色等の塗料をセンサ用突起146の表面に塗布し,あるいは,予め黒色に彩色された樹脂等を用いてセンサ用突起146を成型しても良い。この場合,発光部106から発光された光や外部からの光が,センサ用突起146の表面で乱反射することを抑制することができ,これにより,開閉検知センサ11の誤動作が生じることを防止できる。即ち,センサ用溝105c内にセンサ用突起146が有るにも関わらず,乱反射した光が受光部107に受光されることを防止でき,ひいては,主制御装置6において開状態であると誤った判定がなされることを防止でき,開閉検知センサ11を用いた検知の信頼性の向上を図ることができる。
【0034】
次に,メダル送出装置12の構成について詳細に説明する。図7は,メダル送出装置12の構造を概略的に示した縦断面図である。図7に示すように,メダル送出装置12は,本体ベース(躯体)110,本体ベース110の上部に取り付けられ,複数枚のメダルMを貯留する遊技媒体貯留部としてのメダルホッパー111,メダルホッパー111に収容されたメダルMを1枚単位で排出するメダル繰り出し機構112を備えている。メダル繰り出し機構112等の駆動制御は,送出装置制御部113からコネクタ114を介して送信される制御命令に基づいて行われる。
【0035】
本体ベース110は,例えば板圧2mm程度の金属板をプレス成型することにより略方形状に形成されている。本体ベース110の内部には,後述するメダル繰り出し機構112のモータ120等が設けられている。本体ベース110の側壁には,外部機器とメダル送出装置12の各部とを電気的に接続するためのコネクタ114が取り付けられている。
【0036】
メダルホッパー111は,上部が開口111aとなっており,下方に向かうに従い窄められた形状になっている。メダルホッパー111の底部側前部には,一枚のメダルMを排出可能な大きさに開口されたメダル送出口116が設けられている。
【0037】
メダルホッパー111には,メダルホッパー111に貯留されているメダルMの貯留量を検知する貯留量検知センサとして,例えば,貯留量が所定量より少なくなったこと(ニアエンプティ状態)を検知するメダル検知センサ(ニアエンプティセンサ)117が設けられている。メダル検知センサ117は,メダルホッパー111の底部から互いに同じ所定の高さの位置に設置された2つの端子部117a,117bを備えている。一方の端子部117aには,配線117c,コネクタ114を経由して電源ユニット13が電気的に接続されており,他方の端子部117bは,配線117d,コネクタ114を経由して送出装置制御部113に対して電気的に接続されている。
【0038】
即ち,端子部117a,117bが設置されている高さ以上にメダルMが貯留されており,メダルMが各端子部117a,117bにそれぞれ接触している場合に,端子部117aに電圧が印加されていると,電流が端子部117a,金属製の複数枚のメダルM,端子部117bに通電され,送出装置制御部113において電気的信号(電流)が検出されるように構成されている。これに対し,端子部117a,117bより低い位置までしかメダルMが貯留されていないと,メダルMが各端子部117a,117bに接触せず,この場合,端子部117aから端子部117bに電流が流れず,送出装置制御部113において電流が検出されないようになっている。従って,送出装置制御部113は,端子部117bに電流が通電されるか否かに基づいて,メダルMが所定の高さまで貯留されているか否か,即ち所定の貯留量があるか否かを検知できる。
【0039】
なお,メダルホッパー111におけるメダルMの所定の貯留量とは,例えば150枚程度である。本実施形態においては,所定の単位金額分(例えば1000円分)の金額価値と引き換えに一度に貸し出される所定枚数(例えば50枚)の約3倍程度に相当する量である。従って,所定の貯留量以下になったこと,即ちニアエンプティ状態が検知されたにも関わらずメダルMをメダルホッパー111に補給しない場合は,メダルMの貸し出しをあと2回までは行える見込みがあるが,3回目又は4回目の貸し出しにおいては,メダルMが不足し,所定枚数を貸し出せない可能性が高くなる。このため,本実施形態では,ニアエンプティ状態が検知された後に,メダルホッパー111に対して後述するようなメダルMの補給が行われることなく,次のメダルMの貸し出しが行われた場合は,メダルMの貯留量が不足している状態(エンプティ状態)と判定するようにしている。
【0040】
メダル繰り出し機構112は,メダルMを一枚ずつ収容可能な凹部118aが複数設けられている回転板118と,回転板118を回転させるモータ120とを備えている。
【0041】
モータ120の本体120aは,本体ベース110内に固定されている。また,モータ本体120aは,コネクタ114を経由して,送出装置制御部113に電気的に接続され,送出装置制御部113の制御命令によって駆動される。さらに,モータ本体120aは,コネクタ114を経由して,電源ユニット13に対して電気的に接続されている。モータ120の回転軸120bは,本体ベース110の上面を貫通してメダルホッパー111の底部に突出しており,軸方向を略鉛直方向に向けて備えられている。
【0042】
回転板118は,メダルホッパー111の底部に沿って配置されており,キャップ121a,止めピン121bなどからなる取り付け具121によって,回転軸120bに対して固定されている。回転軸120bは回転板118の中央部を貫通するように取り付けられている。回転板118の周縁部には,外周側に向かって突出させられた複数の爪118bが,回転軸120bの周囲を囲むように等角度位置毎に設けられており,回転板118の周方向において隣り合う爪118b同士の間が,凹部118aとなっている。メダルホッパー111内のメダルMは,上方から各凹部118a内に落下して装入され,凹部118aにおいて略水平な姿勢で一枚ずつ保持される。
【0043】
かかる構成において,モータ120を駆動させると,回転板118は回転軸120bと一体的に回転し,各凹部118a内に装入されたメダルMは,回転軸120bの周りで回転板118と共に回転移動する。そして,凹部118aが前側に移動してメダル送出口116に対向する位置に到達すると,メダル送出口116の近傍に設けられた図示しないガイドピン等の作用により,当該凹部118a内のメダルMが凹部118aから周縁部外側に向かって送出され,メダル送出口116を通じて,メダルホッパー111の外側に導出される。メダルMが送出された後の凹部118aには,再びメダルホッパー111内のメダルMが上側から供給される。そして,その隣に位置する次の凹部118aが,メダル送出口116に対向する位置に移動し,上記と同様にしてメダルMが凹部118aから導出される。こうして,メダル繰り出し機構112の駆動により,メダルMは各凹部118aからメダル送出口116に一枚ずつ順番に,連続的に送出される。メダル送出口116から送出されたメダルMは,後述するメダル送出ノズル165に導入されるように構成されている。
【0044】
また,メダル送出口116の近傍には,メダル送出口116からメダルMが送出されたことを検知する送出検知センサとして,送出したメダルMの枚数を計数するためのメダル計数器123が設けられている。メダル計数器123の検知信号は,コネクタ114を経由して送出装置制御部113に送信されるようになっている。
【0045】
送出装置制御部113は,主制御装置6(後述するメダル関連コントロール部223)に対して電気信号を送受信可能に接続されており,メダル検知センサ117の検知情報,及び,メダル計数器123の検知情報を,主制御装置6(メダル関連コントロール部223)に送信するようになっている。さらに,主制御装置6(メダル関連コントロール部223)から送出装置制御部113に対して,メダル繰り出し機構112の動作に関する制御信号が送信されるようになっている。
【0046】
次に,上部パネル15について詳細に説明する。図1,図2及び図3に示すように,上部パネル15には,金銭代用体であるコインCを貸出機本体3に投入するためのコイン投入口125,貸出機本体3からコインCを払い出すためのコイン払出口126,客に対してコインCの残高等の情報を表示する情報表示部127,メダル貸出機1の動作状態を点灯色等によって表示する状態表示ランプ128,客がコインCについて記憶された金額価値を利用するメダルMの貸し出しを要求する際に押圧操作する貸出要求スイッチ130,客がコインCの返却を要求する際に押圧操作するコイン返却スイッチ131,上部パネル15が貸出機本体3から外れないように施錠を行う施錠機構132等が設けられている。
【0047】
コイン投入口125に投入されたコインCは,前述したコイン処理装置5に導入されるようになっている。コインCが金額価値を有している場合は,そのコインCの金額価値の範囲内においてメダルMを借り受けることができる。また,貸出要求スイッチ130が一回押されるごとに,主制御装置6(後述するコイン関連コントロール部221)に対して貸出要求信号が送信され,その都度,コインCの金額価値の範囲内において,所定の単位金額分(例えば1000円分)に相当する所定枚数(例えば50枚)のメダルMが一括して貸し出されるように構成されている。一方,コイン返却スイッチ131が押されると,コイン返却スイッチ131から主制御装置6(コイン関連コントロール部221)に対して返却要求信号が送信され,これによりコインCがコイン処理装置5から排出され,コイン払出口126を通じて払い出されるように構成されている。
【0048】
なお,上部パネル15は,開口41に対して前後方向にスライドさせることにより,開口41に対して着脱可能に取り付けられている。また,前述したコイン処理装置5及び主制御装置6は,上部パネル15に対して固定され,これらコイン処理装置5,主制御装置6,上部パネル15によって,一つのユニットが構成されている。即ち,上部パネル15を開口41に対して前後方向にスライドさせると,コイン処理装置5,主制御装置6も上部パネル15と一体的にスライドさせられ,開口41を介して上部空間S1に対して一体的に挿入及び退出させることが可能になっている。
【0049】
次に,中部パネル16の構成について,図8〜図14を用いて詳細に説明する。ここで,図8は中部パネル16の斜視図であり,図9及び図10は中部パネル16を閉塞位置PE0に配置した状態を示しており,図11及び図12は中部パネル16を第一の開放位置PE1に配置した状態を示している。図13は,中部パネル16を第一の開放位置PE1からさらに引き出す際の様子を示している。図14は,中部パネル16を第二の開放位置PE2に配置した状態を示している。
【0050】
図8に示すように,中部パネル16は,例えば略方形平板状をなすパネル本体137を有しており,このパネル本体137の内面側によって,中間部収容空間S2の前側の開口,即ち,左内側面40aの前縁部,右内側面40bの前縁部,第一仕切板45の前縁部,及び,第二仕切板46の前縁部によって囲まれた開口部138(図3参照)を開閉できるようになっている。即ち,中部パネル16は,開口部138を開閉する開閉扉としての機能を有している。なお,開口部138は,後述する貸出機本体3の開口41の一部であり,略方形状をなしており,例えば店員(管理者)が紙幣収納部82から紙幣Eを取り出す際,あるいは,中間部収容空間S2内に備えられている機器(紙幣処理装置10,開閉検知センサ11等)のメンテナンス等の際に開口させられる。
【0051】
中部パネル16の中央部上側には,前述した紙幣収納部82から紙幣Eを取り出せないように施錠するための施錠機構140が設けられている。パネル本体137の下縁部は,ヒンジ141を介して,開口部138の下縁部(仕切り板46の前縁部)に対して回転可能に取り付けられている。また,パネル本体137の下縁部には,パネル本体137を開放方向に付勢する弾性部材(付勢部材)として,例えばねじりコイルばね(トーションスプリング)142が設けられている。パネル本体137の左右両側には,フランジ部145(左フランジ部145A,右フランジ部145B)がそれぞれ取り付けられている。パネル本体137の内面側(後側)上縁部には,前述したセンサ用溝105cに挿入されるセンサ用突起146が取り付けられている。パネル本体137の正面側の面には,装飾用の外板147が取り付けられている。また,中部パネル16には,前述した紙幣処理装置10の紙幣用受け皿92を通すための受け皿用開口148が,パネル本体137の内面側から外板147の外面まで貫通するように開口されている。
【0052】
施錠機構140の鍵穴140aは,中部パネル16の外面に開口されている。また,中部パネル16の内面側には,施錠用可動片140bが設けられている。施錠用可動片140bは,所定の鍵を鍵穴140aに差し入れて回転させることにより,上方又は側方に移動させることができる。一方,図9に示すように,開口部138の上端部(第一仕切板45の前縁部)には,施錠用可動片140bが係合する可動片用係合部140cが設けられている。中部パネル16が後述する閉塞位置PE0に配置されている状態において,施錠用可動片140bが上方に移動させられた場合には,施錠用可動片140bは可動片用係合部140cの内面に当接し,可動片用係合部140cの外側に移動しないように保持される。これにより,中部パネル16が外側に開かないように施錠される構成になっている。
【0053】
ヒンジ141の回転中心軸141aは,パネル本体137の下縁部側に沿って,略水平方向(左右方向)に向けて配置されている。中部パネル16は,この回転中心軸141aを中心として回転することにより,開口部138に対して近接及び外側(前側)に離隔することができる。
【0054】
ねじりコイルばね142は,例えばヒンジ141の両側にそれぞれ設けられている。ねじりコイルばね142の一端部は,パネル本体137の下縁部に取り付けられ,他端部は,開口部138の下縁部(仕切り板46の前縁部)に対して取り付けられている。このねじりコイルばね142は,中部パネル16を外側へ倒す方向に付勢するように備えられている。即ち,後述する閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に向かって,また,第一の開放位置PE1から第二の開放位置PE2に向かって移動させるような弾性力を発生させるように備えられている。
【0055】
次に,フランジ部145について説明する。図8に示すように,左フランジ部145Aは,正面側からみてパネル本体137の左側に備えられ,右フランジ部145Bは,正面側からみてパネル本体137の右側に備えられている。なお,左フランジ部145Aと右フランジ部145Bとは,互いに面対称な構成になっているため,以下では左フランジ部145Aについて詳細に説明し,右フランジ部145Bについては説明を省略し,実質的に同一の構成については,本明細書及び図面において同一の符号を付すこととする。
【0056】
左フランジ部145Aには,第一の係合部としての突起151aを有する弾性部材である板ばね151と,中部パネル16を後述する第二の開放位置PE2に倒した状態で保持するための係合保持部152が設けられている。係合保持部152は,板ばね151よりも下方かつ後方に設けられている。一方,図9及び図10に示すように,開口部138の正面側からみて左側の左縁部(筐体40の左内側面40aにおける前縁部)には,突起151a及び係合保持部152が選択的に係合させられる第二の係合部153が,開口部138の正面側からみて右縁部側に向かって突出するように設けられている。また,左フランジ部145Aは,図10に示すように,筐体40の左内側面40aに沿って延設されている。
【0057】
板ばね151は,両平面が左フランジ部145Aの側面に沿うように備えられ,また,パネル本体137側に向かうに従い(後方から前方に向かうに従い)次第にパネル本体137の上端部側に向かうように,パネル本体137に対して傾斜させて設けられている。また,板ばね151の両端部が左フランジ部145Aに対してそれぞれ固定されており,両端部の間は,左右方向において弾性変形可能になっており,左右方向にたわみを受けることで弾性力を発生させるように配設されている。第一の係合部としての突起151aは,この板ばね151の両端部の間に設けられている。突起151aは,左フランジ部145Aに形成された穴155を通じて,正面側からみて左フランジ部145Aの右側から左側に向かって突出するように設けられている。
【0058】
右フランジ部145Bは,図10に示すように,筐体40の右内側面40bに沿って延設されている。右フランジ部145Bにも,突起151aを有する板ばね151,中部パネル16を外側に倒した状態で保持するための係合保持部152,穴155が設けられている。図10に示すように,開口部138の正面側からみて右側の右縁部(筐体40の右内側面40bの前縁部)には,左縁部側に向かって突出するように設けられた第二の係合部153が備えられている。
【0059】
図9及び図10に示すように,中部パネル16が開口部138を閉塞する位置,即ち閉塞位置PE0に配置されている状態では,中部パネル16のパネル本体137は略鉛直に立設され,左フランジ部145A及び右フランジ部145Bは,開口部138より内側に配置され,左フランジ部145A,右フランジ部145Bにそれぞれ設けられた板ばね151の突起151aは,係合部153からそれぞれ内側(後方)に離隔させられ,各板ばね151はたわみを受けない状態になる。一方,ねじりコイルばね142はねじりを受けている状態になり,中部パネル16を開口部138から離隔させようとする向きに弾性力を生じさせるが,施錠機構140によって施錠を行うことにより,中部パネル16を閉塞位置PE0に固定させることができる。
【0060】
図11及び図12に示すように,中部パネル16が閉塞位置PE0から回転中心軸141aを中心として外側に回転させられ,第一の開放位置PE1に移動させられると,パネル本体137は下方から上方に向かうに従い外側に向かうように,貸出機本体3に対して傾斜させられた状態になる。左フランジ部145A及び右フランジ部145Bは,その上部が開口部138よりも外側に出た状態になり,各板ばね151の突起151aは,係合部153に対してそれぞれ内側から当接した状態になる。また,ねじりコイルばね142は,各突起151aが係合部153に当接しているときも,ねじりを受けている状態になっており,中部パネル16を開口部138から離隔させようとする向きに弾性力を生じさせる。こうして,ねじりコイルばね142によって外側に押されながら,各突起151aが係合部153にそれぞれ引っ掛かけられることで,中部パネル16は内側にも外側に移動しないように保持され,第一の開放位置PE1に静止させられる。
【0061】
即ち,中部パネル16が第一の開放位置PE1にある状態では,中部パネル16に作用する回転中心軸141aのまわりの力のモーメントが釣り合うように構成されている。つまり,回転中心軸141aのまわりでは,中部パネル16を外側に回転させようとする向きに作用するモーメントとして,中部パネル16の自重によるモーメント,及び,各ねじりコイルばね142の弾性力によるモーメントが働いているが,これらに対して逆向きに作用するモーメントとして,左右の第二の係合部153から各突起151aに対してそれぞれ与えられる後向きの抗力Fによるモーメントが働いており,これらの回転中心軸141aまわりのモーメントを総て足し合わせるとゼロになるように構成されている。また,各突起151aにそれぞれ加えられる抗力Fは,各板ばね151をそれぞれ左方向又は右方向に弾性変形させようとする外力としても作用するが,各板ばね151は,この状態で受ける抗力Fによっては,突起151aが第二の係合部153を乗り越えるほど大きく変位しないような剛性(ばね定数)を有している。以上のような関係を満たすように,ねじりコイルばね142のばね定数,板ばね151のばね定数等が適宜設定されている。
【0062】
中部パネル16を第一の開放位置PE1より外側に移動させようとする場合は,店員等の管理者が中部パネル16を更に外側に引き倒す等,中部パネル16に外力を与えることで,各板ばね151を弾性変形させ,各突起151aが係合部153の頂部を乗り越えるようにすれば良い。即ち図13に示すように,左フランジ部145Aに設けられた板ばね151の突起151aが左側の係合部153によって相対的に押されることで,穴155側(右側)に押し込まれ,板ばね151が右側に向かって撓み,かつ,右フランジ部145Bに設けられた板ばね151の突起151aが右側の係合部153に相対的に押されることで,穴155側(左側)に押し込まれ,板ばね151が左側に向かって撓むように,外力を加えれば良い。また,中部パネル16を第一の開放位置PE1より外側から内側に移動させようとする場合も,店員等が中部パネル16を内側に押し込む等,中部パネル16に外力を与えることで,各板ばね151を弾性変形させ,各突起151aが係合部153の頂部を乗り越えるようにすれば良い。こうして板ばね151を弾性変形させることで,各突起151aを係合部153の内側と外側とに移動させ,中部パネル16を第一の開放位置PE1と第一の開放位置PE1より外側とに移動させることができるようになっている。換言すれば,店員等が中部パネル16を人為的に引っ張ったりしない限り,各突起151aは係合部153を越えることはなく,中部パネル16は,第一の開放位置PE1から外側に移動しないようになっている。
【0063】
中部パネル16が第一の開放位置PE1よりさらに外側に移動させられ,図14に示すように,第二の開放位置PE2に移動させられると,パネル本体137は横向きに倒されて,開口部138より下方に移動する。左フランジ部145A,右フランジ部145Bは,開口部138から外側に出た状態になり,各板ばね151の突起151aは,係合部153の外側に移動した状態になる。そして,左フランジ部145A,右フランジ部145Bの係合保持部152が,下方(後方)から持ち上げられ,各係合部153に対してそれぞれ内側から当接した状態になる。また,ねじりコイルばね142は,ほぼねじりを受けず,殆ど弾性力を発生させない状態になる。こうして,各係合保持部152が係合部153にそれぞれ引っ掛かけられることで,中部パネル16はそれ以上下方に回転移動しないように保持され,第二の開放位置PE2に静止させられる。この第二の開放位置PE2においては,パネル本体137の内面は,貸出機本体3及び開口部138に対して最大角度(例えば90°以上)をなすように倒され,図示の例では,外側に向かうに従い下方に向かうように傾斜させられた状態になる。
【0064】
以上のように,中部パネル16は,開口部138を閉じる閉塞位置PE0,第一の開放位置PE1,開口部138を完全に開口させる第二の開放位置PE2に移動させた状態で保持できるようになっている。また,板ばね151は,突起151aと係合部153とが係合する係合状態と,突起151aと係合部153との係合が解除される係合解除状態と,に変形可能になっている。施錠機構140による施錠が行われていない状態では,閉塞位置PE0にある中部パネル16は,自重とねじりコイルばね142の付勢によって,閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に向かって自然に移動し,第一の開放位置PE1において自然に停止するようになっている。また,第一の開放位置PE1より外側では,中部パネル16は,ねじりコイルばね142の付勢及び自重によって,第二の開放位置PE2へと自然に移動させられ,第二の開放位置PE2で自然に静止するようになっている。こうして,開口部138を2段階に開口できるようになっている。
【0065】
なお,上記のように,第一の開放位置PE1において突起151aが係合させられる係合部と,第二の開放位置PE2において係合保持部152が係合させられる係合部とを,共通の第二の係合部153にすることで,これらを異なる係合部にして別々に備えるよりも,開口部138付近の構造を簡単にすることができる。
【0066】
また,パネル本体137が閉塞位置PE0に配置されている状態では,受け皿用開口148内に紙幣用受け皿92が配置され,パネル本体137が第一の開放位置PE1,第二の開放位置PE2などに配置されている状態では,受け皿用開口148が紙幣用受け皿92に対して相対的に外側に移動(回転中心軸141aを中心として回転)するようになっている。
【0067】
上述のように,受け皿用開口148内には,紙幣用受け皿62が先端部を前側に突出させた状態で配置されるが,中部パネル16を開閉する際に,この紙幣用受け皿62に対して受け皿用開口148が干渉することを避け,受け皿用開口148が余裕を持って移動させられるようにするため,正面からみて紙幣用受け皿92の外形よりも大きく形成されている。そのため,図15に示すように,受け皿用開口148の内縁と紙幣用受け皿92の外面との間には隙間が形成される。この場合,紙幣用受け皿92の下面と受け皿用開口148の下縁部との間の隙間156などに,特殊な器具等が差し込まれ,これにより取り出し口93を通じて紙幣収納部82から紙幣Eが抜き取られるおそれがある。このような不正行為を防止するため,邪魔板157が取り付けられている。
【0068】
邪魔板157は,例えば略長方形状の薄板状に形成されており,受け皿用開口148の下方において,パネル本体137の内側に沿って固定されている。そして,邪魔板157の上縁部が,受け皿用開口148の下縁部より上方に突出するように配置されている。図9に示すように,受け皿用開口148内に紙幣用受け皿92が配置されているときは,邪魔板157の上縁部が紙幣用受け皿92の底板92aの下面に沿って近接するように配置され,隙間156が塞がれるようになっている。これにより,隙間156に特殊な器具等が差し込まれることを防止でき,また,隙間156を介して紙幣Eが抜き取られることを防止できる。
【0069】
なお,隙間156を介して紙幣収納部82から紙幣Eが盗まれることを防止するためには,取り出し口93に蓋体を設けた構成とし,かかる蓋体と中部パネル16によって,紙幣収納部82を二重に閉塞することも考えられるが,そのような構造よりも,上記のような邪魔板157のみを備える構造の方が,簡単かつ安価に製作できる。また,そのような蓋体を設ける構造では,店員等の管理者が紙幣Eを取り出す際,蓋体の取り外しや取り付けに手間を要し,紙幣Eの回収作業の効率が悪くなるおそれがある。これに対し,上記のような邪魔板157を設けただけの構造であれば,店員等が紙幣Eを取り出す際,中部パネル16を外側に移動させるだけで,邪魔板157も中部パネル16と一体的に移動させることができ,開口部138を開口させると同時に,取り出し口93も外部に対して開口させることができる。また,紙幣Eを取り出した後には,中部パネル16を閉塞位置PE0に戻すだけで,邪魔板157も中部パネル16と一体的に,元の位置に戻すことができる。従って,蓋を取り外したり取り付けたりするような面倒な作業は不要であるため,紙幣Eの回収作業を迅速に行うことができる。
【0070】
次に,下部パネル17の構成について詳細に説明する。図1,図2及び図3に示すように,下部パネル17は,下部パネル本体160と,店員がメダルMを貸出機本体3内に投入(補給)するためのメダル補給口161を開閉する補給口用扉162と,を備えている。補給口用扉162は,下部パネル本体160の上方に設けられている。
【0071】
下部パネル本体160には,貸出機本体3からメダルMを排出させるパイプ状のメダル送出ノズル165が設けられている。このメダル送出ノズル165の先端部は,図示しないスロットマシン(メダル貸出機1の側方に隣接させて設けられる遊技機)に取り付けられているメダル用の受け皿内に向けて配置される。即ち,貸出機本体3から排出されたメダルMが,メダル送出ノズル165によってガイドされ,メダル用の受け皿に供給されるように構成されている。
【0072】
メダル補給口161は,貸出機本体3の開口41の一部をなす略方形状の開口部であり,第二仕切板46の下方,かつ,前述したメダルホッパー111の開口111aより上方に位置している。
【0073】
次に,補給口用扉162の構成について,図16〜図20を用いて詳細に説明する。ここで,図16は補給口用扉162を正面からみた状態を示しており,図17は補給口用扉162の縦断面図であり,図18は,補給口用扉162を開放位置PM1に配置した状態を正面側から示しており,図19は,補給口用扉162を閉塞位置PM0に配置した状態を後側から示しており,図20は,補給口用扉162を開放位置PM1に配置した状態を後側から示している。
【0074】
図16及び図17に示すように,補給口用扉162は,例えば略方形状をなす扉本体190を有しており,この扉本体190の内面側によって,メダル補給口161を開閉できるようになっている。扉本体190の下縁部は,ヒンジ191を介して,メダル補給口161の下縁部(下部パネル本体160の上縁部)に対して回転可能に取り付けられている。扉本体190の正面側の面には,装飾用の外板193が取り付けられている。また,図18に示すように,扉本体190の左右両側には,フランジ部195(左フランジ部195A,右フランジ部195B)がそれぞれ取り付けられている。左フランジ部195A,右フランジ部195Bは,それぞれ筐体40の左内側面40a,右内側面40bに沿って延設されている。さらに,補給口用扉162の中央部上側には,メダル補給口161が開かれないように施錠するための施錠機構196が設けられている。
【0075】
図16及び図17に示すように,ヒンジ191の回転中心軸191aは,扉本体190の下縁部側に沿って,略水平方向(左右方向)に向けて配置されている。また,ヒンジ191の一端部191bは,下部パネル本体160(即ち,メダル貸出機1の正面側の側壁部)に固定されている。ヒンジ191の他端部191cは,補給口用扉162の下部(図示の例では,後述する凸部201aの裏面側)に対して接続されている。こうして,補給口用扉162は,ヒンジ191を介して下部パネル本体160に連結されており,回転中心軸191aを中心として,端部191cと一体的に回転することにより,メダル補給口161に対して近接及び外側(前側)に離隔することができる。即ち,メダル補給口161を閉塞する閉塞位置PM0(図16及び図17参照)と,メダル補給口161を開く開放位置PM1(図18参照)と,に移動することができる。
【0076】
なお,回転中心軸191aは,補給口用扉162の内面よりも外面に近い位置,かつ,下部パネル本体160の内面よりも外面に近い位置に配置されている。従って,補給口用扉162は,下部パネル17の内面よりも外面に近い位置を支点として回転移動させられるようになっている。この場合,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の外面上端部とを近接させて配置しても,補給口用扉162を外側に倒したとき,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の外面上端部とが干渉することを抑制できる。従って,補給口用扉162の外面や下部パネル本体160の外面を,比較的簡素な形状にすることが可能であり,意匠性の向上を図ることができる。例えば,補給口用扉162を閉塞位置PM0に配置した状態では,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の外面上端部とを近接させ,外側からみたとき,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の上端部との間の間隙やヒンジ191等が目立たないようにすることができる。そして,補給口用扉162の外面と下部パネル本体160の外面が,連続した円滑な面を構成するような,意匠性の良い外観にすることができる。
【0077】
図16及び図17に示すように,補給口用扉162が閉塞位置PM0に配置された状態では,扉本体190は,メダル補給口161に沿って略鉛直に立設された状態になる。また,左フランジ部195A,右フランジ部195Bは,メダル補給口161より内側に収納された状態になる。
【0078】
一方,図18に示すように,補給口用扉162が開放位置PM1に配置された際は,扉本体190は,上方に向かうほど次第にメダル補給口161から外側に離隔するように,貸出機本体3に対して傾斜された状態になる。また,左フランジ部195A,右フランジ部195Bは,メダル補給口161から外側に引き出され,メダル補給口161と扉本体190との間に渡って配置された状態になる。即ち,各左フランジ部195A,右フランジ部195Bの縁部,傾斜させた扉本体190の上縁部,及び,貸出機本体3の前部によって囲まれた開口部分197が形成され,この開口部分197を通じて,メダルMが供給される構成になっている。
【0079】
図17及び図18に示すように,補給口用扉162の内面側下部には,第一の凹凸部201が設けられている。第一の凹凸部201は,扉本体190の下縁部から下方に向かって延びる複数の凸部201aと,各凸部201aの間にそれぞれ形成された複数の凹部201bとを備えており,熊手状(櫛歯状)に形成されている。図示の例では,各凸部201aは,互いに略平行に,左右方向において等間隔を空けて並べて配列されている。
【0080】
一方,筐体40の内部には,第一の凹凸部201とかみ合う第二の凹凸部202が設けられている。この第二の凹凸部202は,メダルMをメダル補給口161からメダルホッパー111の開口111aに誘導するガイド部材205に設けられている。
【0081】
ガイド部材205は,例えば筐体40の左内側面40a,右内側面40bに対して左右両端部がそれぞれ固定されて備えられている。ガイド部材205の上面は,補給口用扉162の下縁部側から内側の開口111a側(前方から後方)に向かうに従い次第に下方に向かうように傾斜させられた傾斜面206になっている。本実施形態においては,この傾斜面206が,補給口用扉162の下縁部側から貸出機本体3の内側に向かってメダルMを誘導するガイド面として構成されている。
【0082】
第二の凹凸部202は,傾斜面206の上部(前部)に形成されている。第二の凹凸部202は,斜め上方に向かって延びるように形成された複数の凸部202aと,凸部202aの間にそれぞれ形成された複数の凹部202bを有し,櫛歯状に形成されている。図示の例では,各凸部202aは,例えば細長い略長方形状の平板状に形成されており,互いに略平行に,左右方向において等間隔を空けて並べて配列されている。
【0083】
図19に示すように,補給口用扉162が閉塞位置PM0に配置された状態では,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202は,互いにずれた状態になっている。第一の凹凸部201に形成された凸部201aは,第二の凹凸部202に形成された凹部202bを通じて,傾斜面206の下方に挿入された状態になる。第二の凹凸部202に形成された凸部202aは,第一の凹凸部201に形成された凹部201bを通じて,扉本体190の内側の空洞190a内(図17参照)に挿入された状態になる。
【0084】
一方,図20に示すように,補給口用扉162が開放位置PM1に配置された状態では,第一の凹凸部201が第二の凹凸部202に向かって持ち上げられ,第二の凹凸部202とほぼ完全にかみ合った状態になる。第一の凹凸部201に形成された凸部201aは,第二の凹凸部202に形成された凹部202bにそれぞれ挿入され,これにより,各凹部202bが閉塞される。また,第二の凹凸部202に形成された凸部202aは,第一の凹凸部201に形成された凹部201bにそれぞれ挿入され,これにより,各凹部201bが閉塞される。こうして,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202が互いにかみ合うことにより,扉本体190の傾斜面(内面)と傾斜面206が連結され,開口部分197に投入されたメダルMは,扉本体190の傾斜面から傾斜面206に向かって円滑に滑降することができる。
【0085】
なお,第一の凹凸部201を第二の凹凸部202に対して円滑に移動させるため,凹部201bは凸部202aより大きく形成され,また,凹部202bは凸部201aより大きく形成されている。そのため,補給口用扉162を開放位置PM1に配置して第一の凹凸部201と第二の凹凸部202をかみ合わせた状態であっても,凹部201bの内面と凸部202aの外面との間,凹部202bの内面と凸部201aの外面との間には,若干の隙間が形成された状態になるが,このように第一の凹凸部201と第二の凹凸部202の間に形成される隙間は,メダルMが通過できない大きさになるように設定されている。即ち,いずれの箇所においても,隙間の幅がメダルMの厚さよりも狭くなっており,メダルMが隙間に侵入できないようになっている。従って,メダルMが第一の凹凸部201や第二の凹凸部202に引っ掛かったり隙間に挟まったりすることを防止できる。
【0086】
また,補給口用扉162を開放位置PM1に配置した状態において,第一の凹凸部201の上面は,第二の凹凸部202の上面や傾斜面206からみて,若干上方に突出させるようにしても良い(図20参照)。そうすれば,メダルMを第一の凹凸部201から第二の凹凸部202や傾斜面206上に,円滑に滑り落とすことができ,メダルMが第二の凹凸部202に引っ掛かることを確実に防止できる。
【0087】
さらに,補給口用扉162を閉塞位置PM0に配置した状態においても,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202の間に形成される隙間,即ち,凹部201bと凸部202aとの間に形成される隙間や,凹部202bと凸部201aとの間に形成される隙間は,メダルMが通過できない大きさになるように設定されている。即ち,いずれの箇所においても,隙間の幅がメダルMの厚さよりも狭くなっており,隙間にメダルMが侵入できないようになっている。このようにすると,例えばメダルホッパー111にメダルMが多く収納され,ガイド部材205の近傍までメダルMが蓄積されている場合であっても,メダルMが第一の凹凸部201と第二の凹凸部202との間の隙間に挟まることを防止できる。従って,メダル補給口161を開閉する際に,メダルMが当該隙間に挟まって補給口用扉162の移動の邪魔になることを防止でき,補給口用扉162を円滑に移動させることができる。
【0088】
なお,前述したヒンジ191は,ガイド部材205の傾斜面206より下方に配置されており,回転中心軸191aは,傾斜面206の上端部より外側かつ下方に,傾斜面206から離隔した位置に設けられている。このように,回転中心軸191aと傾斜面206が互いに離隔している場合,扉本体190は傾斜面206から離れて移動するが,扉本体190と傾斜面206の間には,上記のように第一の凹凸部201と第二の凹凸部202が設けられている。これにより,メダルMが扉本体190と傾斜面206の間に侵入することを防止できる。換言すれば,回転中心軸191aを傾斜面206に近い位置に設ける必要が無く,補給口用扉32,ヒンジ191,回転中心軸191aの配置等の設計の自由度を高めることができ,意匠性を重視した設計も可能になる。
【0089】
次に,施錠機構196について詳細に説明する。図16及び図17に示すように,施錠機構196は,補給口用扉162の内部に設けられている。施錠機構196は,外板193の外面に設けられた鍵穴211と,補給口用扉162の上縁部(上面)に形成されたスリット状の孔部212と,鍵穴211に挿入された鍵の回転に伴って回転させられる回転体213と,を備えている。
【0090】
孔部212は,例えば細長い略長方形状に形成されており,長さ方向を扉本体190の上縁部に沿った方向,即ち左右方向に向けた状態で設けられている。また,扉本体190の上面から空洞190aまで,上下方向に貫通するように開口されている。
【0091】
回転体213は,補給口用扉162の内部に形成された空洞190a内に配置されており,施錠用の可動片216と,可動片205が後述する解錠位置PK2に配置された際に孔部212を塞ぐ蓋片217とを有している。可動片216は,孔部212の短手方向の幅よりも小さい厚みを有する板状に形成されており,また,孔部212を通じて補給口用扉162の上縁部より上方に突出可能な高さを有している。一方,蓋片217は,例えば平板状をなし,また,横断面形状が孔部212より小さい略長方形状をなしており,孔部212からは突出せず,孔部212の下部開口を閉塞可能な大きさに形成されている。
【0092】
また,回転体213は,鍵穴211に所定の鍵を挿入し,鍵を回転させることにより,扉本体190に対して回転させられる。可動片216と蓋片217は,回転体213の回転によって,回転体213の回転中心軸の周りで一体的に回転させられるようになっている。これにより,可動片216は,補給口用扉162の施錠が行われる施錠位置PK1(図16)と,孔部212から退避させられ補給口用扉162の解錠が行われる解錠位置PK2(図21)とに移動することができ,蓋片217は,孔部212から退避させられる退避位置PK3(図16)と,孔部212を閉塞する閉塞位置PK4(図21)とに移動することができる。図示の例では,正面側からみて鍵,鍵穴211及び回転体213を左回転させることで,可動片216を解錠位置PK2から施錠位置PK1に移動させ,施錠機構196を施錠状態にすることができ,右回転させることで,可動片216を施錠位置PK1から解錠位置PK2に移動させ,施錠機構196を解錠状態にすることができる。
【0093】
図16に示すように,可動片216が施錠位置PK1にあるとき,可動片216は,孔部212を通じて補給口用扉162の上縁部より上方に突出させられた状態になり,補給口用扉162が閉塞位置PM0に配置された状態では,可動片216の上端部は,メダル補給口161の上縁部(仕切り板46の前縁部)に設けられた可動片用係合部220に内側から当接させられる。これにより,補給口用扉162が施錠された状態になる。一方,可動片216が施錠位置PK1にあるとき,蓋片217は空洞190a内の退避位置PK3に退避させられる。
【0094】
図21に示すように,可動片216が解錠位置PK2にある状態では,可動片216は孔部212から退出させられ,下方の空洞190a内に引き込まれる。即ち,可動片用係合部220から離隔させられ,これにより,補給口用扉162が解錠された状態になる。一方,可動片216が解錠位置PK2にあるとき,蓋片217は空洞190a内の閉塞位置PK4に配置され,上端部が孔部212の下部開口に対向させられた状態になる。
【0095】
ここで,施錠位置PK1に配置された可動片216と孔部212との間の隙間の幅は,いずれの箇所においてもメダルMの厚さtより小さくなるように,即ち,当該隙間にメダルMが侵入できない大きさになるように設計されている。また,図22に示すように,閉塞位置PK4に配置された蓋片217と孔部212との間の隙間の幅も,いずれの箇所においてもメダルMの厚さtより小さくなるように,即ち,当該隙間にメダルMが侵入できないようになっている。従って,例えばメダルMをメダル補給口161に投入する際に,施錠機構196を解錠状態にしても,蓋片217によって孔部212を塞ぐことにより,メダルMが孔部212に入り込んでしまうことを防止できる。特に,可動片216に十分な強度を持たせるために,可動片216を厚く形成しようとすると,孔部212の幅も広くする必要があり,この場合,孔部212の開口形状がメダルMの断面形状よりも大きくなってしまい(即ち,例えば,孔部212の短手方向の幅BがメダルMの厚さtより大きくなり,孔部212の左右方向(長手方向)の長さLがメダルMの直径dより大きくなってしまい),孔部212にメダルMが入り込み易くなるが,そのような場合も,蓋片217によって孔部212を塞ぐことにより,メダルMが孔部212に挟まったり,孔部212を通じて空洞190a内に落下したりしてしまうことを防止できる。従って,孔部212をメダルMより大きく形成しても支障がなく,ひいては可動片216に十分な厚みと強度を持たせることで,補給口用扉162を強固に施錠することができる。
【0096】
なお,閉塞位置PK4に配置された蓋片217と孔部212との間の隙間は,メダルMが侵入できない状態であれば良く,必ずしもすべての箇所でメダルMの厚さtより小さい幅でなくてもよい。例えば蓋片217の左右に形成される隙間Gなどは,左右方向の幅がメダルMの厚さtより大きくても,前後方向の長さ(即ち,孔部121の短手方向の幅B)がメダルMの直径dより十分に小さければ,メダルMの侵入を確実に防止できる。
【0097】
因みに,この施錠機構196は,下部パネル17全体の施錠機構としての機能も有している。即ち,下部パネル17を下部収容空間S3の前部及び最下部収容空間S4の前部において開口41を閉塞するように配置させ(図1参照),メダル補給口161を補給口用扉162によって閉じ,施錠機構196を施錠状態にすると,下部パネル17全体を開口41から外れないように固定できるようになっている。一方,施錠機構196を解錠状態にすると,メダル補給口161が開口可能になり,さらに,下部パネル本体160と筐体40との係合を解除させ,下部パネル本体160を開口41から取り外すことも可能な状態になる。
【0098】
次に,本実施形態にかかるメダル貸出機1の制御について,図23のブロック図を参照しながら説明する。図23に示すように,主制御装置6は,各種情報をメダル貸出機1の外部に対して入出力させる外部入出力コントロール部220,コイン処理装置5の制御等を行うコイン関連コントロール部221,紙幣処理装置10の制御等を行う紙幣関連コントロール部222,メダル送出装置12の制御等を行うメダル関連コントロール部223を備えている。また,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84及び開閉検知センサ11の検知情報d8に基づいて不正行為の有無を識別する第一の不正識別部231と,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84,コイン関連情報dc及びメダル計数器123の検知情報d123に基づいて不正行為の有無を識別する第二の不正識別部232とを備えている。さらに,紙幣識別器81の検知情報d81及びメダル検知センサ117の検知情報d117に基づいてメダルMを補給する必要があるか否かを判定する補給判定部233を備えている。
【0099】
外部入出力コントロール部220には,コイン関連コントロール部221,紙幣関連コントロール部222,メダル関連コントロール部223,第一の不正識別部231,第二の不正識別部232,補給判定部233から,それぞれ所定の情報が送信されるようになっている。また,外部入出力コントロール部220は,BB7,ホールコンピュータ71に対して,それぞれ各種情報を送受信可能に接続されている。外部入出力コントロール部220からBB7には,例えば,コイン関連コントロール部221(コイン処理装置5)からのコイン関連情報,紙幣識別器81の検知情報に基づく金額情報等が送信されるようになっている。また,外部入出力コントロール部220からホールコンピュータ71に対しては,例えば,紙幣識別器81の検知情報に基づく金額情報,開閉検知センサ11の検知情報に基づく中部パネル16の開閉情報,不正識別部231による識別情報,不正識別部232による識別情報,補給判定部233の判定に基づく補給要求信号等が送信されるようになっている。
【0100】
コイン関連コントロール部221には,コイン処理装置5,情報表示部127,貸出要求スイッチ130,コイン返却スイッチ131が,電気的に接続されている。また,コイン関連コントロール部221は,外部入出力コントロール部220に対して,電気的信号の送受信を行えるように接続されている。
【0101】
即ち,コイン関連コントロール部221には,コイン処理装置5において読み取られたコインCのIDコードの情報が送信され,コイン関連コントロール部221から外部入出力コントロール部220,BB7,I/Fユニット72を介して,売り上げ管理装置73にIDコードが送信されることにより,売り上げ管理装置73に対してコインCの金額価値等の情報の問い合わせが行われるように構成されている。また,コイン関連コントロール部221には,売り上げ管理装置73からI/Fユニット72,BB7,外部入出力コントロール部220を介して,コインCの金額価値等の情報が送信されるようになっている。
【0102】
さらに,コイン関連コントロール部221は,売り上げ管理装置73から受信したコインCの金額価値等の情報を,情報表示部127に対して表示させる制御を行うことができる。また,貸出要求スイッチ130が押された場合,貸出要求スイッチ130からコイン関連コントロール部221に電気的信号が送信され,コイン関連コントロール部221からメダル関連コントロール部223に対して電気的信号が送信され,メダル関連コントロール部223において,メダルMの貸し出しに関する制御が行われるようになっている。コイン返却スイッチ131が押された場合は,コイン返却スイッチ131からコイン関連コントロール部221に電気的信号が送信され,コイン関連コントロール部221からコイン処理装置5に対して制御信号が送信され,コインCがコイン払出口126から払い出される制御が行われる。以上のように,コイン関連コントロール部221は,コインCに関する制御を主に行うように構成されている。
【0103】
紙幣関連コントロール部222には,紙幣処理装置制御部85が電気的に接続されている。即ち,紙幣処理装置制御部85に対して,紙幣処理装置10の駆動を制御する制御信号を送信し,また,紙幣処理装置制御部85から,紙幣識別器81の検知情報,及び,紙幣収納検知センサ84の検知情報等を受信するようになっている。さらに,紙幣関連コントロール部222からメダル関連コントロール部223に対して電気的信号が送信されるように構成されている。即ち,紙幣識別器81の検知情報により真正な紙幣Eが投入されたことが検知されると,紙幣関連コントロール部222からメダル関連コントロール部223に対して電気的信号が送信され,メダル関連コントロール部223において,メダルMの貸し出しに関する制御が行われるようになっている。また,紙幣関連コントロール部222は,外部入出力コントロール部220に対して,紙幣識別器81の検知情報,紙幣収納検知センサ84の検知情報等の送信を行えるように接続されている。
【0104】
なお,紙幣処理装置10に高額紙幣E(例えば,所定の単位金額(1000円)よりも高い金額価値を有する五千円札や一万円札等)が投入された場合は,紙幣関連コントロール部222から外部入出力コントロール部220等を経由して,売り上げ管理装置73に対して,紙幣識別器81の検知情報が送信され,投入された高額紙幣Eの金額のうちメダルMの貸し出しに使用されなかった分の金額価値(残高)が,売り上げ管理装置73内において,いずれかのコインCのIDコードに対応させて記憶される(即ち,いずれかのコインCに残高が与えられる)ように構成しても良い。また,紙幣処理装置10に投入された紙幣Eの金額に関わらず,紙幣識別器81の検知情報が売り上げ管理装置73に送信され,投入された紙幣Eの金額価値がいずれかのコインCに与えられるようにしても良い。即ち,紙幣処理装置10に投入された紙幣Eの金額価値が,一旦,コインCの金額価値に換えて認識されるような構成にしても良い。そして,コインCに与えられた金額価値を使用して,メダルMが貸し出されることにより,コインCに与えられた金額価値から,貸し出されたメダルMの枚数分に相当する金額価値が差し引かれて,その差し引かれた後の新たな金額価値が,コインCの金額価値として記憶されるようにしても良い。
【0105】
メダル関連コントロール部223には,送出装置制御部113が電気的に接続されている。即ち,送出装置制御部113に対して,メダル繰り出し機構112の駆動を制御する制御信号を送信し,また,送出装置制御部113から,メダル検知センサ117の検知情報,及び,メダル計数器123の検知情報等を受信するようになっている。また,上述したように,メダル関連コントロール部223には,コイン関連コントロール部221,紙幣関連コントロール部222から電気的信号が送信され,メダル関連コントロール部223は,これらの情報に基づいて送出装置制御部113に対して制御信号を送信するようになっている。さらに,メダル関連コントロール部223は,外部入出力コントロール部220に対して,メダル検知センサ117の検知情報,メダル計数器123の検知情報等の送信を行えるように接続されている。
【0106】
不正識別部231には,紙幣関連コントロール部222から紙幣収納検知センサ84の検知情報d84が送信され,また,開閉検知センサ11から検知情報d8(受光部107の検知信号)が送信される。不正識別部231は,これらの検知情報d84,d8に基づいて不正行為の有無を識別する。即ち,検知情報d8が閉状態を示す検知情報であり,かつ,検知情報d84が,紙幣の存在が有る状態を示す検知情報から紙幣Eの存在が無い状態を示す検知情報に変化したことを条件に,不正行為がなされたと判定する。
【0107】
即ち,例えば店員が紙幣処理装置10から紙幣Eを回収する際には,開口部138が開かれた後,紙幣収納部82内から紙幣Eが取り出され,紙幣Eが無くなる(あるいは,紙幣Eの枚数が減少する)が,この場合は,紙幣Eは正規に取り出されたと判定するようになっている。一方,紙幣Eを盗もうとする人物が,開閉検知センサ11を正常に作動させないような細工を施して,開口部138を開口させた場合(例えば,中部パネル16を外す際,センサ用溝105cからセンサ用突起146を移動させながら,センサ用溝105cに障害物を挟み込み,発光部106から発光された光を遮断することで,開口部138が閉塞されているとセンサ本体105に認識させるようにしながら,中部パネル16を移動させた場合)は,不正識別部231においては,あたかも開口部138が閉じられた状態のままで,紙幣収納部82内にあった紙幣Eが無くなった(あるいは,紙幣Eの枚数が減少した)かのように認識される。このように,不正行為が行われた場合に生じ得る現象が確認された場合は,不正行為がなされたと判定するようになっている。
【0108】
不正識別部232には,コイン関連コントロール部221からコインCに関するコイン関連情報dcが送信され,紙幣関連コントロール部222から紙幣収納検知センサ84の検知情報d84が送信され,また,メダル関連コントロール部223からメダル計数器123の検知情報d123が送信される。不正識別部232は,これらのコイン関連情報dc,検知情報d84,d123に基づいて不正行為の有無を識別する。具体的には,コイン関連情報dcはコインCの投入が無いことを示す情報,あるいは,コインCは投入されたがその金額価値はゼロであることを示す情報であり,検知情報d84は紙幣Eが存在しないことを示す検知情報であり,かつ,検知情報d123はメダルMが送出されていることを示す検知情報であることを条件に,不正行為がなされたと判定する。即ち,メダル貸出機1に対して紙幣E又は金額価値のあるコインCのいずれも投入されていない状態でありながら,メダルホッパー111からメダルMが送出された場合に,不正行為がなされたと判定する。
【0109】
なお,不正識別部231(又は不正識別部232)において不正行為がなされたと判定されたことを店員に対して知らせる報知器を設けても良い。例えば,情報表示部127,状態表示ランプ128,あるいはホールコンピュータ71を報知器として用いても良い。例えば,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定された場合に,主制御装置6から情報表示部127に対して制御信号を送信する構成とし,警報を情報表示部127に目視で認識できるように表示するようにしても良い。また,状態表示ランプ128において,異状を表す表示色を点灯させるようにしても良い。あるいは,ホールコンピュータ71において,警報を画面に表示したり,警報音を鳴らしたりしても良い。
【0110】
また,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定された場合には,主制御装置6から各機器に対して制御信号を送信し,メダル貸出機1の稼動を停止させる(不能動化させる)ようにしても良い。例えば,コイン関連コントロール部221からコイン処理装置5に対して制御信号を送信し,コインCの投入,IDコード等の読み出し,コインCの返却等が不可能な状態にしても良い。また,紙幣関連コントロール部222から紙幣処理装置制御部85に対して制御信号を送信し,紙幣Eの投入ができない状態に,即ち,真正な紙幣Eが紙幣投入口80に差し込まれても,紙幣処理装置10内に取り込まれないようにしても良い。また,メダル関連コントロール部223から送出装置制御部113に対して制御信号を送信し,メダル繰り出し機構112の駆動を一時停止させ,メダルMの貸し出しを中止させるようにしても良い。なお,このようなメダル貸出機1の不能動化は,前述した報知器による報知をせずに行っても良いし,あるいは,報知器による報知と併せて行っても良い。
【0111】
また,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定された場合には,例えば遊技ホールに設置された監視カメラの照準が,当該メダル貸出機1,又は,当該メダル貸出機1に対応させて設けられた遊技機であるスロットマシンに合わせられるように構成しても良い。そうすれば,当該メダル貸出機1又は当該スロットマシンの付近に居る人物,即ち,不正行為を行った疑いが強い人物,又は不正行為を行っている最中の人物を,監視カメラを用いて監視でき,犯人の特定に有効である。例えば不正識別部231(232)から外部入出力コントロール部220に電気的信号が送信され,外部入出力コントロール部220からホールコンピュータ71に対して,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定されたことを示す識別情報が送信された場合に,ホールコンピュータ71から監視カメラに対して制御信号が送信され,これにより監視カメラの照準が調整されるようにしても良い。
【0112】
補給判定部233には,紙幣関連コントロール部222から紙幣識別器81の検知情報d81が送信され,また,メダル関連コントロール部223からはメダル検知センサ117の検知情報d117が送信される。補給判定部233は,これらの検知情報d81,d117に基づいて,メダルホッパー111にメダルMを補給する必要があるか否かを判定する。具体的には,検知情報d81は紙幣Eの投入があったことを示す検知情報であり,かつ,検知情報d117はニアエンプティ状態を示す検知情報であることを条件に,メダルMを補給する必要があると判定する。例えば,検知情報d81が紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報になったことが補給判定部233において確認されたときに,検知情報d117を受信して確認し,その検知情報d117がニアエンプティ状態を示す検知情報であった場合に,メダルMを補給する必要があると判定するようにしても良い。
【0113】
例えばメダル貸出機1に紙幣E(例えば千円札)が投入されたことによりメダルMが払い出されている最中に,メダルホッパー111内のメダルMの貯留量が減少し,ニアエンプティ状態(端子部117a,117bの高さ以下の貯留量)になると,補給判定部233において,メダルMを補給する必要があると判定される。そして,補給判定部233から外部入出力コントロール部220に電気的信号が送信され,さらに外部入出力コントロール部220からホールコンピュータ71に補給要求信号が送信される。一方,ニアエンプティ状態になっても,メダル貸出機1に紙幣Eが投入されていなければ,メダルMを補給する必要があるとは判定されず,補給要求信号が送信されることはない。このようにすると,紙幣Eを投入せずにメダルホッパー111からメダルMを取り出す不正行為が行われた場合には,ニアエンプティ状態になったとしても,メダルMの補給を行わないようにすることができる。即ち,そのような不正行為とメダルMの補給とが繰り返し行われることを防止できる。
【0114】
なお,メダル検知センサ117によってニアエンプティ状態が検知された後に,メダルMの補給が行われることなく,次のメダルMの貸し出しが行われた場合は,その貸し出しが終了した時点で,メダルMの貯留量が不足している状態,即ちエンプティ状態であると判定されるようにしても良い。そして,エンプティ状態と判定された場合は,メダル繰り出し機構112を駆動させない状態とし,メダルMの貸し出しを中止させるようにしても良い。また,エンプティ状態と判定されたことによりメダルMの貸し出しを中止させている間に,端子部117a,117b間で電流が通電されるようになった場合,即ち,メダルMが補給されることにより,メダルMが再び端子部117a,117bの高さ以上に貯留された場合は,ニアエンプティ状態及びエンプティ状態が解除されたと判定され,その場合は,メダル繰り出し機構112の駆動を再開可能な状態とし,メダルMの貸し出しが可能な状態に戻すようにしても良い。
【0115】
次に,以上のように構成されたメダル貸出機1の作用について説明する。紙幣Eと引き換えにメダルMを借り受けようとする客は,先ず,紙幣用受け皿92の前端部から紙幣投入口80に紙幣E(例えば千円札)を投入する。紙幣投入口80に投入された紙幣Eは,紙幣処理装置10の駆動によって,紙幣処理装置10内に取り込まれ,紙幣識別器81によって,紙幣Eの真偽が識別される。その結果,真正であると判定された紙幣Eは,金額が読み取られた後,紙幣収納部82に送り込まれる。一方,真正であると判定されなかった紙幣Eは,紙幣処理装置10から紙幣投入口80の外に送り返され,メダル貸出機1から排出される。
【0116】
紙幣Eの金額が紙幣識別器81によって読み取られると,その金額情報が,主制御装置6の紙幣関連コントロール部222に送信される。そして,紙幣関連コントロール部222から送出装置制御部113に対して制御信号が送信され,送出装置制御部113の制御により,紙幣識別器81で読み取られた金額情報に応じた枚数のメダルMを送出するように,メダル繰り出し機構112が駆動される。メダル繰り出し機構112の駆動により,メダルホッパー111内に貯留されたメダルMは,メダル送出口116から一枚ずつ順次送出され,メダル送出ノズル165を通じて,図示しないスロットマシンの受け皿に払い出される。
【0117】
メダル計数器123は,メダル送出口116から送出されたメダルMを検知し,送出装置制御部113に検知信号を送信する。これにより,送出装置制御部113は,送出したメダルMの枚数を認識することができる。そして,目標の枚数のメダルMが送出されると,メダル繰り出し機構112の駆動を停止させる制御信号を送信する。即ち,メダル貸出機1からのメダルMの払い出しが停止される。こうして,所定量のメダルMがスロットマシンの受け皿に払い出され,客は,メダル貸出機1に投入した紙幣Eと引き換えに,その投入した紙幣Eの金額分に応じた枚数のメダルMを借り受けることができる。例えば千円札を紙幣投入口80に投入した場合は,50枚のメダルMを一括して借り受けることができる。
【0118】
こうして,投入された紙幣Eの金額分に応じたメダルMが貸し出された後は,主制御装置6の紙幣関連コントロール部222,補給判定部233においては,紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報d81が解除される。これにより,投入された紙幣Eの金額価値が,既にメダルMの貸し出しに使用されたことが認識される。そして,次の紙幣Eの投入があったとき,紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報d81が再び送信されると,紙幣関連コントロール部222,補給判定部233において,未だ貸し出しに使用されていない新たな金額価値を有する紙幣Eが投入されたことが認識される。
【0119】
なお,紙幣識別器81から紙幣関連コントロール部222に送信された金額情報は,さらに紙幣関連コントロール部222から外部入出力コントロール部220を介して,BB7及びホールコンピュータ71にもそれぞれ送信され,BB7及びホールコンピュータ71においてそれぞれ記憶される。この金額情報は,売り上げの集計等に利用される。
【0120】
貸し出されたメダルMの枚数が,紙幣投入口80に投入された金額に応じた枚数よりも少なかった場合,即ち,投入された紙幣Eの金額価値X1よりも,貸し出されたメダルMの枚数に相当する金額価値X2が少なかった場合は,その余りの金額価値X3(=X1−X2)(例えば五千円札が投入され,千円分のメダルMが貸し出された場合は,残りの四千円分の金額価値(X1=5000,X2=1000,X3=4000))は,メダルMの貸し出しに使用せずに,コインCを利用して記憶させることも可能である。
【0121】
コイン処理装置5には,予め複数枚のコインCが収納されている。一方,ホールコンピュータ71には,遊技ホール内で使用される各コインCのIDコードが記憶されている。余った金額価値X3を記憶させる際は,まず,コイン処理装置5に収納されたコインCから,一枚のコインCが選択され,そのコインCのIDコードが,コイン処理装置5内に設けられたIDコード読み取り部によって読み取られる。読み取られたIDコードの情報は,コイン処理装置5からコイン関連コントロール部221に送信され,さらにコイン関連コントロール部221から外部入出力コントロール部220等を介して売り上げ管理装置73に送信される。また,紙幣関連コントロール部222から外部入出力コントロール部220等を介して売り上げ管理装置73に,金額価値X3の情報が送信される。売り上げ管理装置73においては,主制御装置6から送信されたIDコードの情報と,金額価値X3の情報とが,互いに対応させて(関連付けられて)記憶される。即ち,コイン処理装置5において選択された(IDコードが読み取られた)コインCが,金額価値X3を有することが記憶される。
【0122】
こうしてホールコンピュータ71において金額価値X3が与えられたコインCが,コイン払出口126を通じて払い出され,客に与えられる。かかる金額価値X3が与えられたコインCをメダル貸出機1に投入すれば,その金額価値X3を用いてメダルMを借り受けることもできるし,遊技ホール内の精算機に投入すれば,金額価値X3を現金に換金することもできる。
【0123】
コインCを利用してメダルMを借り受ける場合は,コインCをコイン投入口125に投入して,貸出要求スイッチ130を押せば良い。コイン投入口125に投入されたコインCは,コイン処理装置5内に取り込まれ,コイン処理装置5においてIDコードが読み取られる。読み取られたIDコードの情報は,コイン処理装置5からコイン関連コントロール部221等を介して売り上げ管理装置73に送信される。売り上げ管理装置73においては,受信した当該IDコードに基づいてそのIDコードに対応する金額価値等の情報,即ちコインCの金額価値等の情報が検索される。検索された情報は,売り上げ管理装置73から外部入出力コントロール部220等を介して,コイン関連コントロール部221に返信される。一方,貸出要求スイッチ130が押されると,コイン関連コントロール部221に電気的信号が送信される。すると,コイン関連コントロール部221は,売り上げ管理装置73から受信したコインCの金額価値情報と,貸出要求スイッチ130が押された回数nとを比較し,要求された枚数(50×n)のメダルMを貸し出せるか否かを判定する。その結果,貸し出せると判定した場合は,コイン関連コントロール部221からメダル関連コントロール部223に電気的信号が送信され,これによりメダル関連コントロール部223から送出装置制御部113に対して制御信号が送信され,送出装置制御部113の制御により,貸出要求スイッチ130が押された回数nに応じた枚数(50×n)のメダルMが送出される。こうして,紙幣Eを投入したときと同様に,メダルMを借り受けることができる。
【0124】
以上のようにして,各メダル貸出機1によるメダルMの貸し出しが行われる一方で,遊技ホールの店員は,所定時間毎(例えば約2時間毎)に,各メダル貸出機1の紙幣処理装置10から紙幣Eを回収する。紙幣Eを回収する際は,先ず,施錠機構140に所定の鍵を差し入れて,施錠機構140を解錠状態にする。解錠された中部パネル16は,ねじりコイルばね142の付勢力を受けて,閉塞位置PE0から自然に外側に倒れるが,左フランジ部145A,右フランジ部145Bに設けられた突起151aが,係合部153にそれぞれ引っ掛かることにより,第一の開放位置PE1において一旦停止させられる(図11及び図12参照)。
【0125】
このように中部パネル16が第一の開放位置PE1に保持されている状態では,開口部138は開口させられるものの,正面から観ると中部パネル16によって開口部138のほぼ全体が覆われており,完全には開口されていない状態になる。即ち,紙幣処理装置10の紙幣収納部82や取り出し口93が,正面視において中部パネル16によって覆われ,隠された状態になっており,紙幣収納部82から紙幣Eを取り出すことは困難な状態である。このように,中部パネル16が第一の開放位置PE1において一旦保持されるようにすることで,紙幣処理装置10から紙幣Eを盗み難くすることができる。即ち,中部パネル16を把持してさらに外側に倒さないと,紙幣処理装置10から紙幣Eを取り出せないので,紙幣Eを素早く取り出しにくい。従って,開口部138を開口させた後,例えば誤って床に落としてしまった鍵を拾う等,他の作業をした場合でも,店員が目を離した隙に,紙幣Eが安易に盗まれることを防止できる。
【0126】
また,このように中部パネル16が第一の開放位置PE1において停止させられることで,中部パネル16の施錠機構140を解錠しても,中部パネル16が第二の開放位置PE2まで一気に倒れることを防止できる。従って,中部パネル16の下縁部が,その下方に位置する下部パネル17(補給口用扉162の上縁部)等に対して勢い良く衝突することを防止できる。これにより,中部パネル16自体の損傷,及び,中部パネル16の衝突による下部パネル17の損傷が発生することを防止できる。さらに,中部パネル16を支持する保持係合部152と係合部153とが勢い良く衝突することを防止できるので,保持係合部152,係合部153の損傷も防止できる。こうして,中部パネル16やその周辺の構成部材が損傷することを防止できる。
【0127】
なお,第一の開放位置PE1における中部パネル16の傾斜角度は,第二の開放位置PE2における傾斜角度に比べて小さく,中部パネル16が閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に倒れるときに,中部パネル16の下縁部が下部パネル17等に対して勢い良く衝突することはない。さらに,板ばね151によって衝撃が吸収されるので,板ばね151の突起151aと係合部153とが当接しても,損傷が生じることを防止できる。このように,中部パネル16が閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に移動する際に,中部パネル16やその周辺の構成部材が損傷することを防止できる。
【0128】
こうして第一の開放位置PE1に一旦停止した中部パネル16を,把持して引っ張ることにより,第二の開放位置PE2に移動させる(図14参照)。すると,開口部138が完全に開口させられ,取り出し口93及び紙幣収納部82の内部が正面視において露出された状態,即ち,紙幣処理装置10から紙幣Eを取り出すことが可能な状態になる。かかる状態において,装置本体10aを貸出機本体3内に配置した状態のまま,取り出し口93を介して紙幣収納部82内の紙幣Eを取り出すことができる。紙幣Eを回収した後は,第二の開放位置PE2に保持されている中部パネル16を把持して持ち上げ,閉塞位置PE0に押し戻し,施錠機構140を施錠状態に戻して,鍵を抜き取る。
【0129】
このように開口部138の開閉,紙幣Eの取り出しが行われる一方で,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84,及び,開閉検知センサ11の検知情報d8は,不正識別部231に自動的に送信される。不正識別部231は,送信された検知情報d84,d8に基づいて,不正行為のおそれがあるか否かを自動的に識別する。上記のように紙幣Eが正規に取り出された場合は,開口部138が開かれた状態において,紙幣収納検知センサ84によって紙幣Eが検出されていた状態から検出されない状態になったことが,検知情報d84,d8の変化より確認され,この場合は,不正行為ではないと判定される。
【0130】
これに対し,紙幣処理装置10内の紙幣Eが不正に取り出された場合,即ち,開閉検知センサ11に細工を施し,開口部138が閉塞されていると認識させるようにしながら中部パネル16を動かし,紙幣Eを取り出した場合では,開口部138が閉じられた状態において,紙幣Eが検出されていた状態から検出されない状態になったことが,検知情報d8,及び,検知情報d84の変化より確認される。この場合は,不正識別部231において,不正行為であると判定される。なお,施錠装置22を不正に解錠して紙幣Eを取り出す不正行為も考えられるが,店員が紙幣Eを回収する時間は予め決められているので,その決められた時間以外において,開口部138が開かれたことが確認された場合は,直ちに不正行為であると判定することも可能である。こうして,不正行為であると不正識別部231が判定した場合は,その旨が店員に報知される。例えば,主制御装置6からホールコンピュータ71に,不正識別部231の識別情報が送信され,警報が自動的に表示されることにより,店員に報知される。
【0131】
ところで,メダル貸出機1からメダルMが送出されることにより,メダルホッパー111内のメダルMの量は次第に減少する。客が新たに紙幣Eを投入し,メダルMが送出されているときに,メダルホッパー111内からメダルMが無くなると,メダルMの送出ができなくなり,投入した金額分のメダルMを貸し出せなくなってしまう。このようなメダルMの不足は,遊技ホールの売り上げを低下させる原因になる。そのため,メダルホッパー111内には常に十分な量のメダルMを貯留しておく必要がある。メダルMを補給するタイミングは,補給判定部233によって自動的に検知される。
【0132】
メダルホッパー111内のメダルMが,メダル検知センサ117の端子部117a,117bの高さ以上に貯留されている間は,端子部117a,117bにメダルMが接触して通電が行われる。一方,メダルMの貯留量が端子部117a,117bの高さ以下になり,通電が行われなくなると,送出装置制御部113から主制御装置6のメダル関連コントロール部223に対して,貯留量が所定量以下になったこと(ニアエンプティ状態)を知らせる検知情報(ニアエンプティ信号)が送信され,さらに,メダル関連コントロール部223から補給判定部233に対して,メダル検知センサ117の検知情報d117が送信される。これにより,補給判定部233は,貯留量が所定の貯留量以下になったことを検知できる。また,補給判定部233は,紙幣識別器81の検知情報d81より,紙幣Eが投入されたか否かを検知する。そして,紙幣Eの投入が有った状態でメダルMの貯留量が所定量以下に減少した場合にのみ,メダルMを補給する必要があると判定する。すると,ホールコンピュータ71に対して補給要求信号が送信され,ホールコンピュータ71の画面等に,補給要求が自動的に提示される。補給要求が提示されたら,店員は,当該補給要求の送信源であるメダル貸出機1に対して,メダルMの補給を行う。
【0133】
補給判定部233は,紙幣収納部82に紙幣Eが投入された状態で,メダルホッパー111内のメダルMの貯留量が所定量以下になった(ニアエンプティ状態になった)場合にのみ,メダルホッパー111にメダルMを補給する必要があると判定し,ホールコンピュータ71に対して補給要求信号を送信する。これにより,ホールコンピュータ71の画面等に,補給要求が自動的に提示される。補給要求が提示されたら,店員は,当該補給要求の送信源であるメダル貸出機1に対して,メダルMの補給を行う。
【0134】
メダルMの補給を行う際は,先ず,施錠機構196に所定の鍵を差し入れて,施錠機構196を解錠状態にし,補給口用扉162を開放位置PM1に配置する(図18参照)。すると,左フランジ部195A,右フランジ部195Bが筐体40の外側に引き出され,開口部分197が形成される。また,補給口用扉162の内側に設けられた第一の凹凸部201と第二の凹凸部202とが,互いにかみ合った状態になり,扉本体190の傾斜面下部とガイド部材205の傾斜面206が連結される。こうして補給口用扉162を開放位置PM1に配置したら,開口部分197に複数枚のメダルMを一括して投下する。メダルMは,両側の左フランジ部195A,右フランジ部195Bの間において,扉本体190の傾斜面に沿って一斉に滑降し,メダル補給口161を通過して,傾斜面206上を滑降し,メダルホッパー111の開口111aに向かって落下する。こうして,メダルMがメダルホッパー111内に円滑に投入される。
【0135】
なお,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202との間の隙間は,メダルMが侵入できないように,十分に狭くなっている。従って,開口部分197に投入されたメダルMは,第一の凹凸部201や第二の凹凸部202に引っ掛かったり隙間に挟まったりすることなく,扉本体190の傾斜面から傾斜面206に向かって,円滑に滑降することができる。従って,メダルMの投入を円滑に行うことができる。
【0136】
また,補給口用扉162の上面には,メダルMの直径d及び厚みtよりも大きな幅B及び長さLを有する孔部212が形成されているが,施錠機構196が解錠状態になって可動片216が孔部212から退避している場合でも,孔部212には蓋片217が配置されている。そして,孔部212の内面と蓋片217の外面との間に形成される隙間には,メダルMが侵入できないようになっている。勿論,補給口用扉162を開いているときに可動片216が孔部212に位置している場合も,孔部212は可動片216によって塞がれるので,この場合も,メダルMが孔部212に侵入することを防止できる。従って,メダルMを開口部分197に投入する際に,メダルMが孔部212に入り込んだり,引っ掛かったり挟まったりしてしまうことを防止でき,メダルMを円滑に投入(補給)することができる。
【0137】
メダルMの補給後は,補給口用扉162を閉塞位置PM0に戻した後,施錠機構196を施錠状態に戻す。即ち,可動片216を施錠位置PK1に戻す。これにより,可動片216が可動片用係合部220に再び係合され,補給口用扉162が施錠された状態になる。このとき,孔部212や空洞190a内にメダルMが入り込んでいる心配はなく,可動片216や蓋片217の動きがメダルMに妨害されるおそれがない。従って,メダルMの侵入による施錠不良が起こらず,施錠を円滑かつ確実に行うことができる。
【0138】
ところで,メダル貸出機1においては,紙幣EやコインCを投入することなく,メダルMを取り出そうとする不正行為が行われるおそれがある。例えば,メダル送出口116等を通じて特殊な器具が差し込まれ,メダル繰り出し機構112が人為的に操作されることにより,メダルホッパー111からメダルMが取り出されるおそれがある。そのような不正行為は,不正識別部232の識別によって,自動的に発見することができる。不正識別部232は,金額価値のあるコインCが投入されておらず,紙幣収納部82に紙幣Eが存在しない状態でありながら,メダルホッパー111に貯留されたメダルMが減少する場合に,不正行為がなされたと判定する。こうして,不正行為がなされたと不正識別部232が判定した場合は,その旨が店員に報知される。例えば,主制御装置6からホールコンピュータ71に,不正識別部232の識別情報が送信され,警報が表示されることにより,店員に報知される。
【0139】
なお,不正行為により紙幣Eを投入することなくメダルMを取り出した場合でも,メダルMの貯留量が所定量以下になると,送出装置制御部113からメダル関連コントロール部223にニアエンプティ信号が送信され,補給判定部233によってメダルMの貯留量が所定量以下になったことが検知される。しかしながら,紙幣Eが投入されていない場合に貯留量が所定量以下になっても,補給判定部233は,メダルMを補給する必要があるとは判定せず,補給要求信号も送信されない。そのため,紙幣Eを投入せずにメダルMを抜き取る不正行為を行ったとしても,メダルMがメダルホッパー111から無くなってしまえば,そのような不正行為をそれ以上続けることはできなくなる。従って,紙幣Eを投入せずにメダルMを抜き取る不正行為が繰り返し行われることを防止でき,遊技ホールの経済的損失が増大することを防止できる。
【0140】
かかるメダル貸出機1によれば,施錠機構196を解錠状態にして,可動片216を孔部212から退出させても,孔部212を蓋片217によって塞ぐことができる。従って,メダル補給口161を開いてメダルMを補給する際に,補給口用扉162の孔部212にメダルMが侵入することを防止でき,メダルMの補給を円滑に行うことができる。また,メダルMの補給終了後,補給口用扉162を閉塞位置PM0に戻して施錠機構196の施錠を行うときに,孔部212や空洞190a内にメダルMが入り込んだりしていないので,可動片216の動きがメダルMに妨害されることもない。従って,メダルMの侵入による施錠不良を確実に防止できる。
【0141】
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0142】
メダル検知センサ117としては,以上の実施形態で説明した接触式のセンサに代えて,検知対象であるメダルMの有無を非接触で検出する近接センサを使用しても良い。例えば,電磁誘導を利用した誘導型近接センサ,静電容量の変化を利用した静電容量型近接センサ,光センサ等を適用しても良い。静電容量型近接センサを使用する場合は,検知対象であるメダルMを接地させることが好ましく,例えば本体ベース110にアース線等を接続して本体ベース110を接地させ,メダルホッパー111内のメダルMがメダルホッパー111及び本体ベース110を介して接地されるようにしても良い。光センサを使用する場合は,光を投光する投光部(発光素子)と,投光部から投光された光を受光する受光部(受光素子)を,互いに同じ高さにおいて対向する位置(例えば上記端子部117a,117bの位置)に設ければ良い。即ち,メダルMが所定の貯留量以上ある場合は,投光部から投光された光がメダルMによって遮られ,受光部で受光されない構成とし,一方,所定の貯留量のメダルMがない場合は,投光部から投光された光が遮られることなく,受光部で受光され,受光素子に電流が流れることにより受光が検出されるような構成にすれば良い。
【0143】
以上の実施形態では,中部パネル16が第二の開放位置PE2に位置するときに係合保持部152が係合させられる係合部は,中部パネル16が第一の開放位置PE1にあるときに突起151aが係合させられる第二の係合部153であるとしたが,第二の係合部153とは別に,係合保持部152が係合させられる係合部を設けても良い。
【0144】
以上の実施形態では,中部パネル16の左フランジ部145Aと右フランジ部145Bは,互いに対称な構成であり,中部パネル16には突起151a(板ばね151),係合保持部152が左右両側にそれぞれ一つずつ設けられているとしたが,突起151aは必ずしも左右両側に設けなくても良く,いずれか一方にのみ設けても良い。また,係合保持部152も必ずしも左右両側に設けなくても良く,いずれか一方にのみ設けても良い。この場合も,中部パネル16を第一の開放位置PE1,第二の開放位置PE2にそれぞれ保持させることができる。
【0145】
以上の実施形態では,第一の係合部は板ばね151に設けられた突起151a,第二の係合部は筐体40に固定して設けられた係合部153であるとしたが,第一の係合部や第二の係合部の構成は,上記のものに限定されない。例えば,左フランジ部145A,右フランジ部145Bの板ばねに151に代えて,筐体40側に板ばね等の弾性体を取り付け,かかる弾性体に第二の係合部(例えば突起等)を設けても良い。また,中部パネル16を付勢する弾性部材としては,ねじりコイルばね142を例示したが,弾性部材はかかるものに限定されず,例えばねじりコイルばね142に代えてゴム等を用いても良い。
【0146】
邪魔板157の形状も,以上の実施形態に示したものに限定されない。例えば図24に示すように,受け皿用開口148と取り出し口93との間を上下に仕切るように構成しても良い。図24に示す例では,邪魔板157’は,平板を縦断面形状が略L字型になるように折り曲げるようにして形成されており,受け皿用開口148の下方においてパネル本体137の内側に沿って固定される縦板部157aと,中部パネル16が閉塞位置PE0にあるときに紙幣用受け皿92の底板92aの下面に沿って横向きに配置される横板部157bとを備えている。即ち,横板部157bによって,受け皿用開口148と取り出し口93との間が上下に仕切られるように構成されている。横板部157bの後縁部は,底板92aと取り出し口93の上縁部との間の高さにおいて,紙幣処理装置10の装置本体10aの前面に近接させて配置されている。このようにすれば,邪魔板157’と装置本体10aとの間に特殊な器具等が挿入されることをより効果的に防止でき,紙幣Eの盗難を更に確実に防止できる。
【0147】
以上の実施形態では,中部パネル16の施錠機構140は鍵を用いて手動で施錠状態又は解錠状態にされるとしたが,中部パネル16の施錠機構は,遠隔操作によって施錠状態又は解錠状態にされるような構成としても良い。勿論,手動と遠隔操作のいずれによっても,施錠機構を操作して,解錠状態又は施錠状態にできるようにしても良い。例えば,中部パネル16の施錠機構と主制御装置6とを電気的に接続し,店員がホールコンピュータ71に対して解錠の命令を入力することにより,ホールコンピュータ71から主制御装置6に対して解錠命令の情報が送信され,主制御装置6から中部パネル16の施錠機構に対して,制御信号が送信され,これにより施錠機構が解錠状態にされる構成にしても良い。このように,遠隔操作によって施錠機構が解錠される場合でも,中部パネル16は直ぐには第二の開放位置PE2に倒れず,第一の開放位置PE1で一旦停止させられるので,紙幣Eを盗み難くすることができる。従って,店員がメダル貸出機1に向かう前に紙幣Eが紙幣収納部82から盗まれることを効果的に防止できる。
【0148】
また,遠隔操作による解錠後,店員がメダル貸出機1から紙幣Eを取り出す前に,中部パネル16が第一の開放位置PE1にあるか第二の開放位置PE2にあるかを確認することで,紙幣Eが盗まれている可能性があるか否かを,目視により判別することができる。即ち,中部パネル16が既に第二の開放位置PE2に倒れている場合,店員以外の者が,紙幣Eを抜き取るために中部パネル16を人為的に移動させた疑いがあると考えられる。従って,盗難を早期に発見でき,盗難を行った犯人が遊技ホールから逃亡する前に盗難の可能性を認識できる可能性が高くなり,犯人の特定にも有効である。
【0149】
また,遊技ホールに複数のメダル貸出機1が設置されている場合,これら複数のメダル貸出機1の中部パネル16に設けられた施錠機構が,遠隔操作によって一斉に解錠状態又は施錠状態にされるような構成にしても良い。なお,このような遠隔操作による一斉解錠(開口部138の一斉開口)は,例えば遊技ホールの閉店後,店員が各メダル貸出機1から紙幣Eを回収する際に行われるが,そのような紙幣回収作業が行われるときは,紙幣Eを盗もうとする者にとっては格好の機会であるから,その隙が狙われて,紙幣Eが盗まれるおそれがある。しかしながら,このように複数のメダル貸出機1の開口部138が一斉に開かれる場合も,各メダル貸出機1の中部パネル16をそれぞれ第一の開放位置PE1で停止させることにより,紙幣Eを盗み難くすることができる。従って,店員が各メダル貸出機1に向かう前に紙幣Eが盗まれることを効果的に防止できる。
【0150】
以上の実施形態では,補給要求が店員に対して報知され,店員が手作業でメダルMを補給する構成を説明したが,メダルMは自動補給システムによって自動的に補給されるようにしても良い。例えば,自動補給システムからメダルホッパー111にメダルMを供給するメダル供給路を配設し,また,補給判定部233から自動補給システムに対して補給要求信号が送信される構成としても良い。即ち,補給要求信号が自動補給システムに送信されると,自動補給システムからメダル供給路を介して,メダルMがメダルホッパー111に補給されるようなシステムにしても良い。
【0151】
紙幣収納検知センサ84は,紙幣収納部82内の紙幣Eの有無を検知するものとしたが,紙幣Eの枚数を検知できる構成にしても良い。その場合,不正識別部231は,開閉検知センサ11の検知情報d8が閉状態を示す検知情報であり,かつ,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84が紙幣Eの減少を示す検知情報であることを条件に,不正行為がなされたと判定する構成としても良い。そうすれば,紙幣収納部82に収納されている紙幣Eの一部のみが盗み取られた場合でも,その不正行為を発見することができる。
【0152】
以上の実施形態では,補給判定部233は,紙幣Eの投入があったときに,紙幣識別器81の検知情報d81とメダル検知センサ117の検知情報d117とに基づいて,メダルMを補給する必要があるか否かを判定する構成としたが,コインCの投入があったときにも,コイン関連情報(金額価値情報)dcと検知情報d117とに基づいて,メダルMを補給する必要があるか否かを判定できるようにしても良い。そうすれば,コインCの金額価値を利用したメダルMの貸し出しが行われたときに,メダルMが不足することを防止できる。具体的には,コイン関連コントロール部221から補給判定部233に対して送信されたコインCに関するコイン関連情報dcが,コインCの金額価値が所定の単位金額以上であることを示す情報であり,かつ,検知情報d117はメダルMの貯留量が所定量以下であることを示す検知情報であることを条件に,不正行為がなされたと判定するように構成すれば良い。一方,メダルMの貯留量が所定量以下になっても,メダル貸出機1に対して紙幣E,又は,所定の単位金額以上の金額価値を有するコインCのいずれも投入されていない場合は,メダルMを補給する必要があるとは判定せず,補給要求信号を送信しないようにすれば良い。このようにすると,紙幣EやコインCを投入せずにメダルホッパー111からメダルMを取り出す不正行為が行われた場合には,貯留量が所定量以下になったとしても,メダルMの補給を行わないようにすることができる。なお,コイン関連情報dcは,例えば貸出要求スイッチ130が押されたときに,コイン関連コントロール部221から補給判定部233に対して送信されるようにしても良い。即ち,貸出要求スイッチ130が押されたことを条件に,補給判定部233による判定が行われるようにしても良い。
【0153】
補給判定部233は,紙幣識別機81の検知情報d81とメダル検知センサ117の検知情報d117に基づいて判定を行うとしたが,検知情報d81,d117に加えて,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84を利用して判定を行う構成にしても良い。即ち,検知情報d81が紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報であり,検知情報d117は貯留量が所定量以下であることを示す検知情報であり,かつ,検知情報d84は,紙幣Eが存在することを示す検知情報であることを条件に,メダルMを補給する必要があると判定するようにしても良い。このようにすると,紙幣識別機81において識別された紙幣Eが,その後,紙幣収納部82に確実に収納されたことを確認できる。即ち,例えば不正行為の一つとして,紙幣Eに紐等を結び付けた状態で,紙幣Eを紙幣投入口80に投入し,紙幣識別機81に紙幣Eを識別させた後に,紙幣Eが紙幣収納部82に収納される前に,紐等を引っ張り,紙幣Eを紙幣投入口80から抜き出すといった行為が考えられるが,そのような不正行為が行われた場合に,メダルMが貸し出されても,メダルMの補給が行われることを防止できる。
【0154】
以上の実施形態では,紙幣E又はコインCのいずれかの投入に基づいてメダルMを貸し出すメダル貸出機1について説明したが,本実施形態は,コインCに基づく貸し出しを行わず,紙幣Eのみの投入に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機に応用することもできる。また,本実施形態は,現金として硬貨を使用できる遊技媒体貸出機,即ち,硬貨の投入に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機に応用することもできる。例えば,硬貨を収納する硬貨収納部,硬貨を取り出す際に開かれる開口部等を備えた遊技媒体貸出機において,開閉扉に中部パネル16の構成,即ち,第一の係合部と第二の係合部とを設ける構成等を適用し,開口部が2段階以上に開口される構成にしても良い。そうすれば,中部パネル16と同様に,開口部を開閉する開閉扉及びその周辺が損傷を受けることを防止でき,また,硬貨の盗難を防止できる。
【0155】
以上の実施形態では,遊技機としてはスロットマシンを例示し,遊技媒体としては略円盤状のメダルMを例示し,遊技媒体貸出機としては,スロットマシン用のメダルMを貸し出すメダル貸出機1を例示したが,遊技機,遊技媒体,遊技媒体貸出機は,上記のものに限定されない。例えば,遊技機はパチンコ台,遊技媒体はパチンコ玉であっても良く,遊技媒体貸出機は,パチンコ玉を貸し出す玉貸機であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は,例えばスロットマシンに用いられるメダルを貸し出すメダル貸出機,パチンコ玉を貸し出す玉貸機等,各種の遊技媒体貸出機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本実施形態にかかる遊技媒体貸出機の斜視図である。
【図2】遊技媒体貸出機の内部構造を示した斜視図である。
【図3】遊技媒体貸出機の主な内部構造を正面側に引き出して示した分解斜視図である。
【図4】紙幣処理装置の斜視図である。
【図5】開閉検知センサの構成を説明する斜視図である。
【図6】開閉検知センサの構成を説明する斜視図である。
【図7】メダル送出装置の構成を説明する断面図である。
【図8】中部パネルの斜視図である。
【図9】中部パネルを閉塞位置に配置した状態を示した側面図である。
【図10】中部パネルを閉塞位置に配置した状態を示した平面図である。
【図11】中部パネルを第一の開放位置に配置した状態を示した側面図である。
【図12】中部パネルを第一の開放位置に配置した状態を示した平面図である。
【図13】中部パネルを第一の開放位置から引き出す様子を示した平面図である。
【図14】中部パネルを第二の開放位置に配置した状態を示した側面図である。
【図15】紙幣用受け皿,受け皿用開口,邪魔板の関係を説明する説明図である。
【図16】補給口用扉の正面図である。
【図17】補給口用扉の縦断面図である。
【図18】補給口用扉を開放位置に配置した状態を示した斜視図である。
【図19】補給口用扉を閉塞位置に配置した状態を,補給口用扉の後側から示した斜視図である。
【図20】補給口用扉を開放位置に配置した状態を,補給口用扉の後側から示した斜視図である。
【図21】解錠状態にした補給口用扉の正面図である。
【図22】解錠状態にした補給口用扉を上縁部側からみた状態を示した説明図である。
【図23】メダル貸出機の配線系統を示した説明図である。
【図24】別の実施形態にかかる邪魔板を示した説明図である。
【符号の説明】
【0158】
C コイン
E 紙幣
M メダル
PK1 施錠位置
PK2 解錠位置
PK3 退避位置
PK4 閉塞位置
1 メダル貸出機
3 貸出機本体
15 上部パネル
16 中部パネル
17 下部パネル
161 メダル補給口
162 補給口用扉
196 施錠機構
211 鍵穴
212 孔部
213 回転体
216 可動片
217 蓋片
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えばスロットマシン等の遊技機に利用されるメダルを貸し出すメダル貸出機,パチンコ機等の遊技機に利用されるパチンコ玉を貸し出す玉貸機等に代表される遊技媒体貸出機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスロットマシン等の遊技機が設置された遊技ホールにおいては,スロットマシンの遊技媒体であるメダルを貸し出すメダル貸出機が,各遊技機の側方に,それぞれ一台ずつ配設されている(特許文献1参照)。遊技機で遊技を行おうとする客(遊技者)は,遊技機に隣接する(スロットマシンの場合は一般的に正面視においてスロットマシンの右側に設置されている)メダル貸出機に所定の金額の紙幣(例えば千円札)を投入し,メダル貸出機からメダルを借り受け,このメダルを利用してスロットマシンの遊技を行うようになっている。なお,一般的には,千円分の投入金額に対して50枚のメダルが貸し出されるようになっている。
【0003】
メダル貸出機内には,メダルが貯留されるメダル貯留部が備えられている。メダル貯留部の上方には,メダル貯留部にメダルを補給するためのメダル補給口,メダル補給口を開閉する補給口用扉等が備えられている。補給口用扉には施錠機構が設けられている(特許文献1,2参照)。
【0004】
補給口用扉は,その下縁部側に回転中心軸を備えた状態で,貸出機本体に取り付けられている(特許文献2参照)。メダルの補給を行う際,補給口用扉は,上方に向かうほどメダル補給口から離隔するように,貸出機本体に対して外側に向かって傾斜させた状態で保持され,これによりメダル補給口が開口される。また,補給口用扉の両側には,それぞれフランジ部が設けられており,このフランジ部がメダル補給口の外側に引き出され,メダル補給口と補給口用扉との間に渡って配置された状態になる。メダルは,補給口用扉とフランジ部によって形成された開口部分に投下され,両側のフランジ部によってガイドされながら,補給口用扉の傾斜面(内面)に沿って滑降し,メダル補給口を通過して,メダル貯留部に落下するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−325890号公報
【特許文献2】特開2003−220279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,従来のメダル貸出機にあっては,補給口用扉に設けられている施錠機構が,メダルを補給する際に邪魔になり,円滑に補給しにくい問題があった。例えば,補給口用扉の内面に施錠機構が突出していると,その部分にメダルが衝突するため,メダルが円滑に滑り降りていかなくなる問題があった。また,例えば施錠機構が補給口用扉内に内蔵された構成とし,施錠時にメダル補給口の上縁部と係合させられる可動片を,補給口用扉の上縁部に設けた孔部を通じて入出させるような構成にすることが考えられるが,この場合,メダルが孔部に引っ掛かったり挟まったりするおそれがあった。特にメダルを補給する際には,施錠機構は解錠状態になっており,可動片が孔部から退避した状態になるので,孔部が大きく開口され,メダルが侵入しやすい問題があった。このような問題は,孔部を小さくすれば解決するはずである。しかし,補給口用扉はメダルを充填したときに内部から圧力を受ける部材であり,これを閉じた状態で確実に施錠するためには,可動片にある程度の強度が要求されるため,十分な厚みを持たせる必要があり,この可動片の大きさに合わせて,孔部も大きくすることが要求される。その結果,孔部の幅がメダルの厚みより大きくなってしまい,メダルが孔部に入り込みやすくなる問題があった。
【0007】
本発明は,上記の点に鑑みてなされたものであり,メダル等の遊技媒体が,補給口用扉に設けられている施錠機構の孔部に侵入することを防止して,遊技媒体の補給を円滑に行うことができる遊技媒体貸出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため,本発明によれば,遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機であって,貸出機本体の側部に,遊技媒体を補給するための遊技媒体補給口と,補給口用扉とを備え,前記補給口用扉は,前記補給口用扉の下縁部側に配置された回転中心軸を中心として回転することにより,前記遊技媒体補給口を開閉させる構成とし,前記補給口用扉を施錠する施錠機構を備え,前記施錠機構は,前記補給口用扉の上縁部に形成された孔部,前記孔部から突出する施錠位置と前記孔部から退出させられる解錠位置とに移動可能な可動片,及び,前記可動片が前記解錠位置に配置された際に前記孔部を塞ぐ蓋片を備え,前記蓋片によって前記孔部が塞がれた状態において前記蓋片と前記孔部との間に形成される隙間は,前記遊技媒体が侵入できない大きさであることを特徴とする,遊技媒体貸出機が提供される。
【0009】
この遊技媒体貸出機にあっては,前記孔部は,前記遊技媒体の断面形状より大きくしても良い。前記可動片と前記蓋片は,前記施錠機構の鍵穴に挿入された鍵を回転させることにより,一体的に回転させられる構成としても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,施錠機構を解錠状態にしても,施錠機構の可動片を入出させるための孔部を蓋片によって塞ぐことができる。従って,補給口用扉を開いて遊技媒体を補給する際に,孔部に遊技媒体が侵入することを防止でき,遊技媒体の補給を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下,本発明にかかる実施形態を,遊技媒体貸出機の一例であるメダル貸出機を例にして,添付図面を用いて説明する。図1は,本実施の形態にかかるメダル貸出機1の外観を示している。図2は,メダル貸出機1の側壁を取り除いて内部構造を示した斜視図である。図3は,メダル貸出機1の要部ユニットの分解斜視図である。
【0012】
図2に示すように,メダル貸出機1は,貸出機本体3の内部にコイン処理装置5,メダル貸出機1全体の制御を行う主制御装置6,セキュリティブラックボックス(BB)7,紙幣処理装置(ビルバリユニット)10,後述する開口部138が開かれているか否かを検知する開閉検知センサ11,メダル送出装置(メダル払出装置)12,電源ユニット13が内蔵され,貸出機本体3の正面側(客側に向けられる前側部)に,上部パネル15,中部パネル16,下部パネル17が着脱可能に取り付けられた構成になっている。
【0013】
図2及び図3に示すように,貸出機本体3は,正面側(手前側)が開口された略直方体状をなす筐体40を備えている。筐体40は,高さ方向に細長く形成されており,正面視において左側に位置する左内側面40a,右側に位置する右内側面40b,奥側(後側)に位置する後内側面40c,天井面40d,底面40eを備えており,正面側には略長方形状をなす開口41が形成されている。
【0014】
筐体40内には,3枚の仕切板,即ち,第一仕切板45,第二仕切板46,第三仕切板47が取り付けられている。第一仕切板45は,筐体40の天井面40aの下方において,略水平に向けられて固定されている。第二仕切板46は,第一仕切板45の下方において,略水平に向けられて固定されている。第三仕切板47は,第二仕切板46の下方において,略水平に向けられて固定されている。即ち,筐体40の内部空間は,第一仕切板45,第二仕切板46,第三仕切板47によって,上下に4つの領域に仕切られている。
【0015】
なお,前述した上部パネル15は,天井面40dと第一仕切板45の上面との間において,開口41の上部を閉塞するように設けられている。中部パネル16は,第一仕切板45の下面と第二仕切板46の上面との間において,開口41の中間部(後述する開口部138)を閉塞するように設けられている。下部パネル17は,第二仕切板46の下面と底面40eとの間において,開口41の下部を閉塞するように設けられている。こうして,開口41全体が上部パネル15,中部パネル16,下部パネル17によって閉塞されるようになっている。
【0016】
また,コイン処理装置5,主制御装置6,BB7は,天井面40d,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,第一仕切板45の上面,及び,上部パネル15によって囲まれた空間(以下,「上部収容空間S1」という。)に収容されている。紙幣処理装置10は,第一仕切板45の下面,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,第二仕切板46の上面,及び,中部パネル16によって囲まれた空間(以下,「中間部収容空間S2」という。)に収容されている。メダル送出装置12は,第二仕切板46の下面,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,第三仕切板47の上面,及び,下部パネル17によって囲まれた空間(以下,「下部収容空間S3」という。)に収容されている。電源ユニット13は,第三仕切板47の下面,左内側面40a,右内側面40b,後内側面40c,底面40e,及び,下部パネル17によって囲まれた空間(以下,「最下部収容空間S4」という。)に収容されている。
【0017】
次に,貸出機本体3に内蔵された各装置について詳細に説明する。ここで最初に,メダル貸出機1で使用される金銭代用体であるコインCと,メダル貸出機1で貸し出される遊技媒体としてのメダルMについて説明する。コインCは,例えば円盤形状をなしており,その内部に非接触データキャリアである電子部品が内蔵された構成になっている。各コインCに内蔵された電子部品には,各コインCの固有のIDコード等の情報を記憶したメモリがそれぞれ実装されている。また,遊技ホールで使用される各コインCには,互いに異なったIDコードが割り当てられる。なお,このIDコードは,例えば後述する売り上げ管理装置73によって記憶され,各コインCに関する情報は,各々のIDコードに関連付けて記憶され,売り上げ管理装置73によって管理されるようになっている。また,メダルMは,例えば円盤形状をなしており,導電性を有する金属等の材料によって形成されている。
【0018】
次に,コイン処理装置5について説明する。このコイン処理装置5は,後述するコイン投入口125に投入されたコインCを受け取り,また,内部に複数枚のコインCを貯留できるようになっている。また,コイン払出口126に対してコインCを排出する機能を有する。コイン処理装置5の内部には,コインCのIDコードを読み取るIDコード読み取り部が内蔵されている。また,コイン処理装置5は,主制御装置6(後述するコイン関連コントロール部221)に対して電気的に接続されており,主制御装置6(コイン関連コントロール部221)からコイン処理装置5に対して制御信号が送信され,また,コイン処理装置5から主制御装置6(コイン関連コントロール部221)に対してコインCのIDコード情報等が送信されるように構成されている。このコイン処理装置5の機能については,後に更に詳述する。
【0019】
主制御装置6には,メダル貸出機1に配設された各種の機器が電気信号を送信可能に接続されており,主制御装置6と各機器との間では,様々な情報の送受信が行われる。さらに,主制御装置6は,メダル貸出機1の外部に設置されたホールコンピュータ71に対して電気信号を送信可能に接続されている。この主制御装置6の機能構成については,後に更に詳述する。
【0020】
BB7は,メダル貸出機1における各種のデータを収集する機能を有し,また,図2に示すように,メダル貸出機1の外部に設置されたI/F(インターフェース)ユニット72に対して電気信号を送信可能に接続されている。なお,I/Fユニット72は,遊技ホールの売り上げ等を演算する売り上げ管理装置73に接続されている。即ち,BB7は,I/Fユニット72を介して売り上げ管理装置73に対し,各種の情報を送信できるようになっている。
【0021】
次に,紙幣処理装置10について説明する。図4は,紙幣処理装置10の構造を概略的に示した斜視図である。図4に示すように,紙幣処理装置10の装置本体10aの前面には,メダルMを借り受けるために客が紙幣E(例えば千円札等)を投入する紙幣投入口80が,横長のスリット状に開口されている。装置本体10aの内部には,紙幣投入口80に投入された紙幣Eの真偽及び紙幣Eの金額を識別する紙幣投入検知センサとしての紙幣識別器(ビルバリ)81,紙幣Eを収納して保管する紙幣収納部82,紙幣収納部82に収納された紙幣Eの存在の有無を検知する紙幣収納検知センサ84,紙幣処理装置10の動作を制御する紙幣処理装置制御部85が備えられている。
【0022】
紙幣識別器81は,紙幣処理装置制御部85に電気的に接続されており,紙幣処理装置制御部85から送信される制御信号に基づいて駆動される。また,紙幣Eの真偽に関する検知信号(真券判定信号),及び,紙幣Eの金額に関する検知信号は,紙幣処理装置制御部85に送信されるようになっている。
【0023】
紙幣収納検知センサ84も,紙幣処理装置制御部85に電気的に接続されており,検知信号を紙幣処理装置制御部85に送信するようになっている。紙幣収納検知センサ84としては,例えば光センサが用いられる。
【0024】
紙幣処理装置制御部85の制御により,紙幣処理装置10は,紙幣識別器81において紙幣Eが真正であると判定された場合,紙幣Eを紙幣収納部82に送り込み,紙幣Eが真正であると判定されなかった場合(紙幣Eが偽物である場合,あるいは,判定動作にエラーが生じた場合など)は,紙幣Eを紙幣投入口80の外に送り返すように駆動する。紙幣処理装置制御部85と前述した主制御装置6(後述する紙幣関連コントロール部222)とは,互いに電気信号を送受信可能に接続されている。即ち,紙幣識別器81の検知情報,及び,紙幣収納検知センサ84の検知情報は,紙幣処理装置制御部85を介して,主制御装置6(紙幣関連コントロール部222)に送信されるようになっている。また,主制御装置6(紙幣関連コントロール部222)から紙幣処理装置制御部85に,制御信号が送信されるように構成されている。
【0025】
図4に示すように,紙幣投入口80の前方には,紙幣Eを受ける紙幣用受け皿92が,装置本体10aに対して一体的に取り付けられている。紙幣用受け皿92は,紙幣投入口80の下縁に沿って横向きに設けられた底板92aと,底板92aの左右両側に配置されたガイド壁92b,92cとを備えている。かかる紙幣用受け皿92は,後述する中部パネル16に設けられた受け皿用開口148を介して,中部パネル16の外側に先端部が突出させられるようになっており,この突出させられた先端部と受け皿用開口148の上縁部との間に形成された隙間,即ち,底板92a,ガイド壁92b,92c及び受け皿用開口148の上縁部によって囲まれた,横長のスリット状の隙間に,紙幣Eが挿入されるようになっている。紙幣Eは,長手方向を前後方向(正面から奥側に向かう方向)に向けた状態で,当該隙間に差し込まれ,紙幣用受け皿92に略水平に向けて載せられ,紙幣投入口80を介して,装置本体10a内に挿入されるようになっている。また,装置本体10aの前面において,紙幣用受け皿92の下方には,紙幣収納部82から紙幣Eを取り出すための取り出し口93が設けられている。
【0026】
次に,開閉検知センサ11について説明する。図5は,開閉検知センサ11によって中部パネル16の開状態が検知される状態を示しており,図6は,開閉検知センサ11によって中部パネル16の閉状態が検知される状態を示している。かかる開閉検知センサ11としては,例えば光センサを用いることができ,例えば図5及び図6に示すように,センサ本体105,光を発光する発光部106,及び,発光部106から発光された光を受光する受光部107を備えた構成が用いられる。
【0027】
センサ本体105は,例えば互いに対向する位置に設けられた2本の腕部105a,105bを有する略コの字状に形成されている。一方の腕部105aには発光部106が備えられ,他方の腕部105bには,受光部107が備えられている。腕部105a,105bの間の隙間は,後述する中部パネル16の内面上縁部(自由端側)に形成されたセンサ用突起146が挿入されるセンサ用溝105cとなっている。また,図示の例では,センサ本体105は,第一仕切板45の下面前縁部近傍(後述する開口部138の上縁部近傍)に設けられており,センサ用溝105cの開口端部を前方(正面側)に向けるようにして配置されている。即ち,中部パネル16が後述する閉塞位置PE0にある場合に,センサ用溝105c内にセンサ用突起146が挿入されるように配置されている。
【0028】
発光部106は,例えば発光ダイオード等の発光素子を有している。また,発光部106は,配線を介して電源ユニット13に接続されている。受光部107は,例えばフォトトランジスタ等の受光素子を有している。受光部107は,信号線等を介して主制御装置6(後述する不正識別部231)に対して電気的に接続されている。
【0029】
通常,発光部106は受光部107に向かって光を発光させているが,中部パネル16の内面が開口部138に近接しており,センサ用突起146がセンサ用溝105cの開口端部を介してセンサ用溝105c内に挿入されている状態(図6参照)では,発光された光がセンサ用突起146によって遮られ,受光部107に受光されず,受光部107の受光素子に電流が発生することは無い。即ち,主制御装置6(不正識別部231)においては受光部107からの電気的信号(電流)が検出されず,換言すれば,開口部138が閉塞されている(閉状態である)ことを示す検知情報が主制御装置6(不正識別部231)に与えられる。一方,中部パネル16が外側に倒れて開口部138から離隔している状態,即ち,センサ用突起146がセンサ用溝105c内に存在せず,センサ用溝105cの開口端部から外側に退出した状態(図5参照)では,発光部106によって発光された光は遮られること無く,受光部107に受光され,受光素子に電流が発生する。即ち,主制御装置6において受光部107の電気的信号が検出され,これにより,開口部138が開かれている(開状態である)ことを示す検知情報が,主制御装置6(不正識別部231)に与えられる。
【0030】
主制御装置6(後述する不正識別部231)においては,受光部107の受光素子に電流が流れているか否かに基づいて,中部パネル16が後述する閉塞位置PE0にあるか否か,即ち,後述する開口部138が開口されているか否かを検知できる。つまり,受光素子に電流が流れていなければ,センサ用溝105cにセンサ用突起146が存在する,即ち,中部パネル16が閉塞位置PE0にあり,閉状態であると判定し,受光素子に電流が流れた場合は,センサ用溝105cにセンサ用突起146が存在しない,即ち,中部パネル16が閉塞位置PE0に無く,開状態であると判定できるようになっている。
【0031】
なお,センサ本体105の取り付け位置は,第一仕切板45の下面前縁部近傍(開口部138の上縁部近傍)に代えて,例えば第二仕切板46の上面前縁部近傍(開口部138の下縁部近傍)とし,後述するセンサ用突起146の取り付け位置は,中部パネル16の内面上縁部に代えて,中部パネル16の内面下縁部(後述する回転中心軸141a側)としても良い。このようにすると,開閉検知センサ11の誤動作をより効果的に防止できる。即ち,例えば中部パネル16や後述するヒンジ141等の取り付け位置に誤差があったり,あるいは,例えばヒンジ141の構造に誤差があって中部パネル16を動かすときにがたつきが生じたりするようなことがあっても,中部パネル16の下側ほど(回転中心軸141aに近いほど)誤差やがたつきが少なく,センサ用溝105cとセンサ用突起146との位置ずれも小さくなる。従って,実際にはセンサ用溝105c内にセンサ用突起146があって閉状態になっているにも関わらず,主制御装置6(不正識別部231)において開状態であると誤った判定がなされることを防止できる。即ち,開閉検知センサ11を用いた検知の信頼性の向上を図ることができる。
【0032】
また,発光部106に備える発光素子としては,赤外光を発光させるもの(例えば赤外発光ダイオード)を採用し,受光部107に備える受光素子としては,赤外光のみを検出するものを採用しても良い。この場合,例えば開閉検知センサ11の外部から受光部107に対して赤外光以外の光が入射しても,その光が受光素子で検出されることは無い。そのため,外部の光によって開閉検知センサ11の誤動作が生じることを防止できる。即ち,センサ用溝105c内にセンサ用突起146が有るにも関わらず,外部の光によって受光部107に電流が流れることを防止でき,ひいては,主制御装置6において開状態であると誤った判定がなされることを防止でき,開閉検知センサ11を用いた検知の信頼性の向上を図ることができる。
【0033】
また,センサ用突起146の表面は,なるべく反射光が少ない暗色にするとより好ましく,例えば黒色等の塗料をセンサ用突起146の表面に塗布し,あるいは,予め黒色に彩色された樹脂等を用いてセンサ用突起146を成型しても良い。この場合,発光部106から発光された光や外部からの光が,センサ用突起146の表面で乱反射することを抑制することができ,これにより,開閉検知センサ11の誤動作が生じることを防止できる。即ち,センサ用溝105c内にセンサ用突起146が有るにも関わらず,乱反射した光が受光部107に受光されることを防止でき,ひいては,主制御装置6において開状態であると誤った判定がなされることを防止でき,開閉検知センサ11を用いた検知の信頼性の向上を図ることができる。
【0034】
次に,メダル送出装置12の構成について詳細に説明する。図7は,メダル送出装置12の構造を概略的に示した縦断面図である。図7に示すように,メダル送出装置12は,本体ベース(躯体)110,本体ベース110の上部に取り付けられ,複数枚のメダルMを貯留する遊技媒体貯留部としてのメダルホッパー111,メダルホッパー111に収容されたメダルMを1枚単位で排出するメダル繰り出し機構112を備えている。メダル繰り出し機構112等の駆動制御は,送出装置制御部113からコネクタ114を介して送信される制御命令に基づいて行われる。
【0035】
本体ベース110は,例えば板圧2mm程度の金属板をプレス成型することにより略方形状に形成されている。本体ベース110の内部には,後述するメダル繰り出し機構112のモータ120等が設けられている。本体ベース110の側壁には,外部機器とメダル送出装置12の各部とを電気的に接続するためのコネクタ114が取り付けられている。
【0036】
メダルホッパー111は,上部が開口111aとなっており,下方に向かうに従い窄められた形状になっている。メダルホッパー111の底部側前部には,一枚のメダルMを排出可能な大きさに開口されたメダル送出口116が設けられている。
【0037】
メダルホッパー111には,メダルホッパー111に貯留されているメダルMの貯留量を検知する貯留量検知センサとして,例えば,貯留量が所定量より少なくなったこと(ニアエンプティ状態)を検知するメダル検知センサ(ニアエンプティセンサ)117が設けられている。メダル検知センサ117は,メダルホッパー111の底部から互いに同じ所定の高さの位置に設置された2つの端子部117a,117bを備えている。一方の端子部117aには,配線117c,コネクタ114を経由して電源ユニット13が電気的に接続されており,他方の端子部117bは,配線117d,コネクタ114を経由して送出装置制御部113に対して電気的に接続されている。
【0038】
即ち,端子部117a,117bが設置されている高さ以上にメダルMが貯留されており,メダルMが各端子部117a,117bにそれぞれ接触している場合に,端子部117aに電圧が印加されていると,電流が端子部117a,金属製の複数枚のメダルM,端子部117bに通電され,送出装置制御部113において電気的信号(電流)が検出されるように構成されている。これに対し,端子部117a,117bより低い位置までしかメダルMが貯留されていないと,メダルMが各端子部117a,117bに接触せず,この場合,端子部117aから端子部117bに電流が流れず,送出装置制御部113において電流が検出されないようになっている。従って,送出装置制御部113は,端子部117bに電流が通電されるか否かに基づいて,メダルMが所定の高さまで貯留されているか否か,即ち所定の貯留量があるか否かを検知できる。
【0039】
なお,メダルホッパー111におけるメダルMの所定の貯留量とは,例えば150枚程度である。本実施形態においては,所定の単位金額分(例えば1000円分)の金額価値と引き換えに一度に貸し出される所定枚数(例えば50枚)の約3倍程度に相当する量である。従って,所定の貯留量以下になったこと,即ちニアエンプティ状態が検知されたにも関わらずメダルMをメダルホッパー111に補給しない場合は,メダルMの貸し出しをあと2回までは行える見込みがあるが,3回目又は4回目の貸し出しにおいては,メダルMが不足し,所定枚数を貸し出せない可能性が高くなる。このため,本実施形態では,ニアエンプティ状態が検知された後に,メダルホッパー111に対して後述するようなメダルMの補給が行われることなく,次のメダルMの貸し出しが行われた場合は,メダルMの貯留量が不足している状態(エンプティ状態)と判定するようにしている。
【0040】
メダル繰り出し機構112は,メダルMを一枚ずつ収容可能な凹部118aが複数設けられている回転板118と,回転板118を回転させるモータ120とを備えている。
【0041】
モータ120の本体120aは,本体ベース110内に固定されている。また,モータ本体120aは,コネクタ114を経由して,送出装置制御部113に電気的に接続され,送出装置制御部113の制御命令によって駆動される。さらに,モータ本体120aは,コネクタ114を経由して,電源ユニット13に対して電気的に接続されている。モータ120の回転軸120bは,本体ベース110の上面を貫通してメダルホッパー111の底部に突出しており,軸方向を略鉛直方向に向けて備えられている。
【0042】
回転板118は,メダルホッパー111の底部に沿って配置されており,キャップ121a,止めピン121bなどからなる取り付け具121によって,回転軸120bに対して固定されている。回転軸120bは回転板118の中央部を貫通するように取り付けられている。回転板118の周縁部には,外周側に向かって突出させられた複数の爪118bが,回転軸120bの周囲を囲むように等角度位置毎に設けられており,回転板118の周方向において隣り合う爪118b同士の間が,凹部118aとなっている。メダルホッパー111内のメダルMは,上方から各凹部118a内に落下して装入され,凹部118aにおいて略水平な姿勢で一枚ずつ保持される。
【0043】
かかる構成において,モータ120を駆動させると,回転板118は回転軸120bと一体的に回転し,各凹部118a内に装入されたメダルMは,回転軸120bの周りで回転板118と共に回転移動する。そして,凹部118aが前側に移動してメダル送出口116に対向する位置に到達すると,メダル送出口116の近傍に設けられた図示しないガイドピン等の作用により,当該凹部118a内のメダルMが凹部118aから周縁部外側に向かって送出され,メダル送出口116を通じて,メダルホッパー111の外側に導出される。メダルMが送出された後の凹部118aには,再びメダルホッパー111内のメダルMが上側から供給される。そして,その隣に位置する次の凹部118aが,メダル送出口116に対向する位置に移動し,上記と同様にしてメダルMが凹部118aから導出される。こうして,メダル繰り出し機構112の駆動により,メダルMは各凹部118aからメダル送出口116に一枚ずつ順番に,連続的に送出される。メダル送出口116から送出されたメダルMは,後述するメダル送出ノズル165に導入されるように構成されている。
【0044】
また,メダル送出口116の近傍には,メダル送出口116からメダルMが送出されたことを検知する送出検知センサとして,送出したメダルMの枚数を計数するためのメダル計数器123が設けられている。メダル計数器123の検知信号は,コネクタ114を経由して送出装置制御部113に送信されるようになっている。
【0045】
送出装置制御部113は,主制御装置6(後述するメダル関連コントロール部223)に対して電気信号を送受信可能に接続されており,メダル検知センサ117の検知情報,及び,メダル計数器123の検知情報を,主制御装置6(メダル関連コントロール部223)に送信するようになっている。さらに,主制御装置6(メダル関連コントロール部223)から送出装置制御部113に対して,メダル繰り出し機構112の動作に関する制御信号が送信されるようになっている。
【0046】
次に,上部パネル15について詳細に説明する。図1,図2及び図3に示すように,上部パネル15には,金銭代用体であるコインCを貸出機本体3に投入するためのコイン投入口125,貸出機本体3からコインCを払い出すためのコイン払出口126,客に対してコインCの残高等の情報を表示する情報表示部127,メダル貸出機1の動作状態を点灯色等によって表示する状態表示ランプ128,客がコインCについて記憶された金額価値を利用するメダルMの貸し出しを要求する際に押圧操作する貸出要求スイッチ130,客がコインCの返却を要求する際に押圧操作するコイン返却スイッチ131,上部パネル15が貸出機本体3から外れないように施錠を行う施錠機構132等が設けられている。
【0047】
コイン投入口125に投入されたコインCは,前述したコイン処理装置5に導入されるようになっている。コインCが金額価値を有している場合は,そのコインCの金額価値の範囲内においてメダルMを借り受けることができる。また,貸出要求スイッチ130が一回押されるごとに,主制御装置6(後述するコイン関連コントロール部221)に対して貸出要求信号が送信され,その都度,コインCの金額価値の範囲内において,所定の単位金額分(例えば1000円分)に相当する所定枚数(例えば50枚)のメダルMが一括して貸し出されるように構成されている。一方,コイン返却スイッチ131が押されると,コイン返却スイッチ131から主制御装置6(コイン関連コントロール部221)に対して返却要求信号が送信され,これによりコインCがコイン処理装置5から排出され,コイン払出口126を通じて払い出されるように構成されている。
【0048】
なお,上部パネル15は,開口41に対して前後方向にスライドさせることにより,開口41に対して着脱可能に取り付けられている。また,前述したコイン処理装置5及び主制御装置6は,上部パネル15に対して固定され,これらコイン処理装置5,主制御装置6,上部パネル15によって,一つのユニットが構成されている。即ち,上部パネル15を開口41に対して前後方向にスライドさせると,コイン処理装置5,主制御装置6も上部パネル15と一体的にスライドさせられ,開口41を介して上部空間S1に対して一体的に挿入及び退出させることが可能になっている。
【0049】
次に,中部パネル16の構成について,図8〜図14を用いて詳細に説明する。ここで,図8は中部パネル16の斜視図であり,図9及び図10は中部パネル16を閉塞位置PE0に配置した状態を示しており,図11及び図12は中部パネル16を第一の開放位置PE1に配置した状態を示している。図13は,中部パネル16を第一の開放位置PE1からさらに引き出す際の様子を示している。図14は,中部パネル16を第二の開放位置PE2に配置した状態を示している。
【0050】
図8に示すように,中部パネル16は,例えば略方形平板状をなすパネル本体137を有しており,このパネル本体137の内面側によって,中間部収容空間S2の前側の開口,即ち,左内側面40aの前縁部,右内側面40bの前縁部,第一仕切板45の前縁部,及び,第二仕切板46の前縁部によって囲まれた開口部138(図3参照)を開閉できるようになっている。即ち,中部パネル16は,開口部138を開閉する開閉扉としての機能を有している。なお,開口部138は,後述する貸出機本体3の開口41の一部であり,略方形状をなしており,例えば店員(管理者)が紙幣収納部82から紙幣Eを取り出す際,あるいは,中間部収容空間S2内に備えられている機器(紙幣処理装置10,開閉検知センサ11等)のメンテナンス等の際に開口させられる。
【0051】
中部パネル16の中央部上側には,前述した紙幣収納部82から紙幣Eを取り出せないように施錠するための施錠機構140が設けられている。パネル本体137の下縁部は,ヒンジ141を介して,開口部138の下縁部(仕切り板46の前縁部)に対して回転可能に取り付けられている。また,パネル本体137の下縁部には,パネル本体137を開放方向に付勢する弾性部材(付勢部材)として,例えばねじりコイルばね(トーションスプリング)142が設けられている。パネル本体137の左右両側には,フランジ部145(左フランジ部145A,右フランジ部145B)がそれぞれ取り付けられている。パネル本体137の内面側(後側)上縁部には,前述したセンサ用溝105cに挿入されるセンサ用突起146が取り付けられている。パネル本体137の正面側の面には,装飾用の外板147が取り付けられている。また,中部パネル16には,前述した紙幣処理装置10の紙幣用受け皿92を通すための受け皿用開口148が,パネル本体137の内面側から外板147の外面まで貫通するように開口されている。
【0052】
施錠機構140の鍵穴140aは,中部パネル16の外面に開口されている。また,中部パネル16の内面側には,施錠用可動片140bが設けられている。施錠用可動片140bは,所定の鍵を鍵穴140aに差し入れて回転させることにより,上方又は側方に移動させることができる。一方,図9に示すように,開口部138の上端部(第一仕切板45の前縁部)には,施錠用可動片140bが係合する可動片用係合部140cが設けられている。中部パネル16が後述する閉塞位置PE0に配置されている状態において,施錠用可動片140bが上方に移動させられた場合には,施錠用可動片140bは可動片用係合部140cの内面に当接し,可動片用係合部140cの外側に移動しないように保持される。これにより,中部パネル16が外側に開かないように施錠される構成になっている。
【0053】
ヒンジ141の回転中心軸141aは,パネル本体137の下縁部側に沿って,略水平方向(左右方向)に向けて配置されている。中部パネル16は,この回転中心軸141aを中心として回転することにより,開口部138に対して近接及び外側(前側)に離隔することができる。
【0054】
ねじりコイルばね142は,例えばヒンジ141の両側にそれぞれ設けられている。ねじりコイルばね142の一端部は,パネル本体137の下縁部に取り付けられ,他端部は,開口部138の下縁部(仕切り板46の前縁部)に対して取り付けられている。このねじりコイルばね142は,中部パネル16を外側へ倒す方向に付勢するように備えられている。即ち,後述する閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に向かって,また,第一の開放位置PE1から第二の開放位置PE2に向かって移動させるような弾性力を発生させるように備えられている。
【0055】
次に,フランジ部145について説明する。図8に示すように,左フランジ部145Aは,正面側からみてパネル本体137の左側に備えられ,右フランジ部145Bは,正面側からみてパネル本体137の右側に備えられている。なお,左フランジ部145Aと右フランジ部145Bとは,互いに面対称な構成になっているため,以下では左フランジ部145Aについて詳細に説明し,右フランジ部145Bについては説明を省略し,実質的に同一の構成については,本明細書及び図面において同一の符号を付すこととする。
【0056】
左フランジ部145Aには,第一の係合部としての突起151aを有する弾性部材である板ばね151と,中部パネル16を後述する第二の開放位置PE2に倒した状態で保持するための係合保持部152が設けられている。係合保持部152は,板ばね151よりも下方かつ後方に設けられている。一方,図9及び図10に示すように,開口部138の正面側からみて左側の左縁部(筐体40の左内側面40aにおける前縁部)には,突起151a及び係合保持部152が選択的に係合させられる第二の係合部153が,開口部138の正面側からみて右縁部側に向かって突出するように設けられている。また,左フランジ部145Aは,図10に示すように,筐体40の左内側面40aに沿って延設されている。
【0057】
板ばね151は,両平面が左フランジ部145Aの側面に沿うように備えられ,また,パネル本体137側に向かうに従い(後方から前方に向かうに従い)次第にパネル本体137の上端部側に向かうように,パネル本体137に対して傾斜させて設けられている。また,板ばね151の両端部が左フランジ部145Aに対してそれぞれ固定されており,両端部の間は,左右方向において弾性変形可能になっており,左右方向にたわみを受けることで弾性力を発生させるように配設されている。第一の係合部としての突起151aは,この板ばね151の両端部の間に設けられている。突起151aは,左フランジ部145Aに形成された穴155を通じて,正面側からみて左フランジ部145Aの右側から左側に向かって突出するように設けられている。
【0058】
右フランジ部145Bは,図10に示すように,筐体40の右内側面40bに沿って延設されている。右フランジ部145Bにも,突起151aを有する板ばね151,中部パネル16を外側に倒した状態で保持するための係合保持部152,穴155が設けられている。図10に示すように,開口部138の正面側からみて右側の右縁部(筐体40の右内側面40bの前縁部)には,左縁部側に向かって突出するように設けられた第二の係合部153が備えられている。
【0059】
図9及び図10に示すように,中部パネル16が開口部138を閉塞する位置,即ち閉塞位置PE0に配置されている状態では,中部パネル16のパネル本体137は略鉛直に立設され,左フランジ部145A及び右フランジ部145Bは,開口部138より内側に配置され,左フランジ部145A,右フランジ部145Bにそれぞれ設けられた板ばね151の突起151aは,係合部153からそれぞれ内側(後方)に離隔させられ,各板ばね151はたわみを受けない状態になる。一方,ねじりコイルばね142はねじりを受けている状態になり,中部パネル16を開口部138から離隔させようとする向きに弾性力を生じさせるが,施錠機構140によって施錠を行うことにより,中部パネル16を閉塞位置PE0に固定させることができる。
【0060】
図11及び図12に示すように,中部パネル16が閉塞位置PE0から回転中心軸141aを中心として外側に回転させられ,第一の開放位置PE1に移動させられると,パネル本体137は下方から上方に向かうに従い外側に向かうように,貸出機本体3に対して傾斜させられた状態になる。左フランジ部145A及び右フランジ部145Bは,その上部が開口部138よりも外側に出た状態になり,各板ばね151の突起151aは,係合部153に対してそれぞれ内側から当接した状態になる。また,ねじりコイルばね142は,各突起151aが係合部153に当接しているときも,ねじりを受けている状態になっており,中部パネル16を開口部138から離隔させようとする向きに弾性力を生じさせる。こうして,ねじりコイルばね142によって外側に押されながら,各突起151aが係合部153にそれぞれ引っ掛かけられることで,中部パネル16は内側にも外側に移動しないように保持され,第一の開放位置PE1に静止させられる。
【0061】
即ち,中部パネル16が第一の開放位置PE1にある状態では,中部パネル16に作用する回転中心軸141aのまわりの力のモーメントが釣り合うように構成されている。つまり,回転中心軸141aのまわりでは,中部パネル16を外側に回転させようとする向きに作用するモーメントとして,中部パネル16の自重によるモーメント,及び,各ねじりコイルばね142の弾性力によるモーメントが働いているが,これらに対して逆向きに作用するモーメントとして,左右の第二の係合部153から各突起151aに対してそれぞれ与えられる後向きの抗力Fによるモーメントが働いており,これらの回転中心軸141aまわりのモーメントを総て足し合わせるとゼロになるように構成されている。また,各突起151aにそれぞれ加えられる抗力Fは,各板ばね151をそれぞれ左方向又は右方向に弾性変形させようとする外力としても作用するが,各板ばね151は,この状態で受ける抗力Fによっては,突起151aが第二の係合部153を乗り越えるほど大きく変位しないような剛性(ばね定数)を有している。以上のような関係を満たすように,ねじりコイルばね142のばね定数,板ばね151のばね定数等が適宜設定されている。
【0062】
中部パネル16を第一の開放位置PE1より外側に移動させようとする場合は,店員等の管理者が中部パネル16を更に外側に引き倒す等,中部パネル16に外力を与えることで,各板ばね151を弾性変形させ,各突起151aが係合部153の頂部を乗り越えるようにすれば良い。即ち図13に示すように,左フランジ部145Aに設けられた板ばね151の突起151aが左側の係合部153によって相対的に押されることで,穴155側(右側)に押し込まれ,板ばね151が右側に向かって撓み,かつ,右フランジ部145Bに設けられた板ばね151の突起151aが右側の係合部153に相対的に押されることで,穴155側(左側)に押し込まれ,板ばね151が左側に向かって撓むように,外力を加えれば良い。また,中部パネル16を第一の開放位置PE1より外側から内側に移動させようとする場合も,店員等が中部パネル16を内側に押し込む等,中部パネル16に外力を与えることで,各板ばね151を弾性変形させ,各突起151aが係合部153の頂部を乗り越えるようにすれば良い。こうして板ばね151を弾性変形させることで,各突起151aを係合部153の内側と外側とに移動させ,中部パネル16を第一の開放位置PE1と第一の開放位置PE1より外側とに移動させることができるようになっている。換言すれば,店員等が中部パネル16を人為的に引っ張ったりしない限り,各突起151aは係合部153を越えることはなく,中部パネル16は,第一の開放位置PE1から外側に移動しないようになっている。
【0063】
中部パネル16が第一の開放位置PE1よりさらに外側に移動させられ,図14に示すように,第二の開放位置PE2に移動させられると,パネル本体137は横向きに倒されて,開口部138より下方に移動する。左フランジ部145A,右フランジ部145Bは,開口部138から外側に出た状態になり,各板ばね151の突起151aは,係合部153の外側に移動した状態になる。そして,左フランジ部145A,右フランジ部145Bの係合保持部152が,下方(後方)から持ち上げられ,各係合部153に対してそれぞれ内側から当接した状態になる。また,ねじりコイルばね142は,ほぼねじりを受けず,殆ど弾性力を発生させない状態になる。こうして,各係合保持部152が係合部153にそれぞれ引っ掛かけられることで,中部パネル16はそれ以上下方に回転移動しないように保持され,第二の開放位置PE2に静止させられる。この第二の開放位置PE2においては,パネル本体137の内面は,貸出機本体3及び開口部138に対して最大角度(例えば90°以上)をなすように倒され,図示の例では,外側に向かうに従い下方に向かうように傾斜させられた状態になる。
【0064】
以上のように,中部パネル16は,開口部138を閉じる閉塞位置PE0,第一の開放位置PE1,開口部138を完全に開口させる第二の開放位置PE2に移動させた状態で保持できるようになっている。また,板ばね151は,突起151aと係合部153とが係合する係合状態と,突起151aと係合部153との係合が解除される係合解除状態と,に変形可能になっている。施錠機構140による施錠が行われていない状態では,閉塞位置PE0にある中部パネル16は,自重とねじりコイルばね142の付勢によって,閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に向かって自然に移動し,第一の開放位置PE1において自然に停止するようになっている。また,第一の開放位置PE1より外側では,中部パネル16は,ねじりコイルばね142の付勢及び自重によって,第二の開放位置PE2へと自然に移動させられ,第二の開放位置PE2で自然に静止するようになっている。こうして,開口部138を2段階に開口できるようになっている。
【0065】
なお,上記のように,第一の開放位置PE1において突起151aが係合させられる係合部と,第二の開放位置PE2において係合保持部152が係合させられる係合部とを,共通の第二の係合部153にすることで,これらを異なる係合部にして別々に備えるよりも,開口部138付近の構造を簡単にすることができる。
【0066】
また,パネル本体137が閉塞位置PE0に配置されている状態では,受け皿用開口148内に紙幣用受け皿92が配置され,パネル本体137が第一の開放位置PE1,第二の開放位置PE2などに配置されている状態では,受け皿用開口148が紙幣用受け皿92に対して相対的に外側に移動(回転中心軸141aを中心として回転)するようになっている。
【0067】
上述のように,受け皿用開口148内には,紙幣用受け皿62が先端部を前側に突出させた状態で配置されるが,中部パネル16を開閉する際に,この紙幣用受け皿62に対して受け皿用開口148が干渉することを避け,受け皿用開口148が余裕を持って移動させられるようにするため,正面からみて紙幣用受け皿92の外形よりも大きく形成されている。そのため,図15に示すように,受け皿用開口148の内縁と紙幣用受け皿92の外面との間には隙間が形成される。この場合,紙幣用受け皿92の下面と受け皿用開口148の下縁部との間の隙間156などに,特殊な器具等が差し込まれ,これにより取り出し口93を通じて紙幣収納部82から紙幣Eが抜き取られるおそれがある。このような不正行為を防止するため,邪魔板157が取り付けられている。
【0068】
邪魔板157は,例えば略長方形状の薄板状に形成されており,受け皿用開口148の下方において,パネル本体137の内側に沿って固定されている。そして,邪魔板157の上縁部が,受け皿用開口148の下縁部より上方に突出するように配置されている。図9に示すように,受け皿用開口148内に紙幣用受け皿92が配置されているときは,邪魔板157の上縁部が紙幣用受け皿92の底板92aの下面に沿って近接するように配置され,隙間156が塞がれるようになっている。これにより,隙間156に特殊な器具等が差し込まれることを防止でき,また,隙間156を介して紙幣Eが抜き取られることを防止できる。
【0069】
なお,隙間156を介して紙幣収納部82から紙幣Eが盗まれることを防止するためには,取り出し口93に蓋体を設けた構成とし,かかる蓋体と中部パネル16によって,紙幣収納部82を二重に閉塞することも考えられるが,そのような構造よりも,上記のような邪魔板157のみを備える構造の方が,簡単かつ安価に製作できる。また,そのような蓋体を設ける構造では,店員等の管理者が紙幣Eを取り出す際,蓋体の取り外しや取り付けに手間を要し,紙幣Eの回収作業の効率が悪くなるおそれがある。これに対し,上記のような邪魔板157を設けただけの構造であれば,店員等が紙幣Eを取り出す際,中部パネル16を外側に移動させるだけで,邪魔板157も中部パネル16と一体的に移動させることができ,開口部138を開口させると同時に,取り出し口93も外部に対して開口させることができる。また,紙幣Eを取り出した後には,中部パネル16を閉塞位置PE0に戻すだけで,邪魔板157も中部パネル16と一体的に,元の位置に戻すことができる。従って,蓋を取り外したり取り付けたりするような面倒な作業は不要であるため,紙幣Eの回収作業を迅速に行うことができる。
【0070】
次に,下部パネル17の構成について詳細に説明する。図1,図2及び図3に示すように,下部パネル17は,下部パネル本体160と,店員がメダルMを貸出機本体3内に投入(補給)するためのメダル補給口161を開閉する補給口用扉162と,を備えている。補給口用扉162は,下部パネル本体160の上方に設けられている。
【0071】
下部パネル本体160には,貸出機本体3からメダルMを排出させるパイプ状のメダル送出ノズル165が設けられている。このメダル送出ノズル165の先端部は,図示しないスロットマシン(メダル貸出機1の側方に隣接させて設けられる遊技機)に取り付けられているメダル用の受け皿内に向けて配置される。即ち,貸出機本体3から排出されたメダルMが,メダル送出ノズル165によってガイドされ,メダル用の受け皿に供給されるように構成されている。
【0072】
メダル補給口161は,貸出機本体3の開口41の一部をなす略方形状の開口部であり,第二仕切板46の下方,かつ,前述したメダルホッパー111の開口111aより上方に位置している。
【0073】
次に,補給口用扉162の構成について,図16〜図20を用いて詳細に説明する。ここで,図16は補給口用扉162を正面からみた状態を示しており,図17は補給口用扉162の縦断面図であり,図18は,補給口用扉162を開放位置PM1に配置した状態を正面側から示しており,図19は,補給口用扉162を閉塞位置PM0に配置した状態を後側から示しており,図20は,補給口用扉162を開放位置PM1に配置した状態を後側から示している。
【0074】
図16及び図17に示すように,補給口用扉162は,例えば略方形状をなす扉本体190を有しており,この扉本体190の内面側によって,メダル補給口161を開閉できるようになっている。扉本体190の下縁部は,ヒンジ191を介して,メダル補給口161の下縁部(下部パネル本体160の上縁部)に対して回転可能に取り付けられている。扉本体190の正面側の面には,装飾用の外板193が取り付けられている。また,図18に示すように,扉本体190の左右両側には,フランジ部195(左フランジ部195A,右フランジ部195B)がそれぞれ取り付けられている。左フランジ部195A,右フランジ部195Bは,それぞれ筐体40の左内側面40a,右内側面40bに沿って延設されている。さらに,補給口用扉162の中央部上側には,メダル補給口161が開かれないように施錠するための施錠機構196が設けられている。
【0075】
図16及び図17に示すように,ヒンジ191の回転中心軸191aは,扉本体190の下縁部側に沿って,略水平方向(左右方向)に向けて配置されている。また,ヒンジ191の一端部191bは,下部パネル本体160(即ち,メダル貸出機1の正面側の側壁部)に固定されている。ヒンジ191の他端部191cは,補給口用扉162の下部(図示の例では,後述する凸部201aの裏面側)に対して接続されている。こうして,補給口用扉162は,ヒンジ191を介して下部パネル本体160に連結されており,回転中心軸191aを中心として,端部191cと一体的に回転することにより,メダル補給口161に対して近接及び外側(前側)に離隔することができる。即ち,メダル補給口161を閉塞する閉塞位置PM0(図16及び図17参照)と,メダル補給口161を開く開放位置PM1(図18参照)と,に移動することができる。
【0076】
なお,回転中心軸191aは,補給口用扉162の内面よりも外面に近い位置,かつ,下部パネル本体160の内面よりも外面に近い位置に配置されている。従って,補給口用扉162は,下部パネル17の内面よりも外面に近い位置を支点として回転移動させられるようになっている。この場合,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の外面上端部とを近接させて配置しても,補給口用扉162を外側に倒したとき,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の外面上端部とが干渉することを抑制できる。従って,補給口用扉162の外面や下部パネル本体160の外面を,比較的簡素な形状にすることが可能であり,意匠性の向上を図ることができる。例えば,補給口用扉162を閉塞位置PM0に配置した状態では,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の外面上端部とを近接させ,外側からみたとき,補給口用扉162の下端部と下部パネル本体160の上端部との間の間隙やヒンジ191等が目立たないようにすることができる。そして,補給口用扉162の外面と下部パネル本体160の外面が,連続した円滑な面を構成するような,意匠性の良い外観にすることができる。
【0077】
図16及び図17に示すように,補給口用扉162が閉塞位置PM0に配置された状態では,扉本体190は,メダル補給口161に沿って略鉛直に立設された状態になる。また,左フランジ部195A,右フランジ部195Bは,メダル補給口161より内側に収納された状態になる。
【0078】
一方,図18に示すように,補給口用扉162が開放位置PM1に配置された際は,扉本体190は,上方に向かうほど次第にメダル補給口161から外側に離隔するように,貸出機本体3に対して傾斜された状態になる。また,左フランジ部195A,右フランジ部195Bは,メダル補給口161から外側に引き出され,メダル補給口161と扉本体190との間に渡って配置された状態になる。即ち,各左フランジ部195A,右フランジ部195Bの縁部,傾斜させた扉本体190の上縁部,及び,貸出機本体3の前部によって囲まれた開口部分197が形成され,この開口部分197を通じて,メダルMが供給される構成になっている。
【0079】
図17及び図18に示すように,補給口用扉162の内面側下部には,第一の凹凸部201が設けられている。第一の凹凸部201は,扉本体190の下縁部から下方に向かって延びる複数の凸部201aと,各凸部201aの間にそれぞれ形成された複数の凹部201bとを備えており,熊手状(櫛歯状)に形成されている。図示の例では,各凸部201aは,互いに略平行に,左右方向において等間隔を空けて並べて配列されている。
【0080】
一方,筐体40の内部には,第一の凹凸部201とかみ合う第二の凹凸部202が設けられている。この第二の凹凸部202は,メダルMをメダル補給口161からメダルホッパー111の開口111aに誘導するガイド部材205に設けられている。
【0081】
ガイド部材205は,例えば筐体40の左内側面40a,右内側面40bに対して左右両端部がそれぞれ固定されて備えられている。ガイド部材205の上面は,補給口用扉162の下縁部側から内側の開口111a側(前方から後方)に向かうに従い次第に下方に向かうように傾斜させられた傾斜面206になっている。本実施形態においては,この傾斜面206が,補給口用扉162の下縁部側から貸出機本体3の内側に向かってメダルMを誘導するガイド面として構成されている。
【0082】
第二の凹凸部202は,傾斜面206の上部(前部)に形成されている。第二の凹凸部202は,斜め上方に向かって延びるように形成された複数の凸部202aと,凸部202aの間にそれぞれ形成された複数の凹部202bを有し,櫛歯状に形成されている。図示の例では,各凸部202aは,例えば細長い略長方形状の平板状に形成されており,互いに略平行に,左右方向において等間隔を空けて並べて配列されている。
【0083】
図19に示すように,補給口用扉162が閉塞位置PM0に配置された状態では,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202は,互いにずれた状態になっている。第一の凹凸部201に形成された凸部201aは,第二の凹凸部202に形成された凹部202bを通じて,傾斜面206の下方に挿入された状態になる。第二の凹凸部202に形成された凸部202aは,第一の凹凸部201に形成された凹部201bを通じて,扉本体190の内側の空洞190a内(図17参照)に挿入された状態になる。
【0084】
一方,図20に示すように,補給口用扉162が開放位置PM1に配置された状態では,第一の凹凸部201が第二の凹凸部202に向かって持ち上げられ,第二の凹凸部202とほぼ完全にかみ合った状態になる。第一の凹凸部201に形成された凸部201aは,第二の凹凸部202に形成された凹部202bにそれぞれ挿入され,これにより,各凹部202bが閉塞される。また,第二の凹凸部202に形成された凸部202aは,第一の凹凸部201に形成された凹部201bにそれぞれ挿入され,これにより,各凹部201bが閉塞される。こうして,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202が互いにかみ合うことにより,扉本体190の傾斜面(内面)と傾斜面206が連結され,開口部分197に投入されたメダルMは,扉本体190の傾斜面から傾斜面206に向かって円滑に滑降することができる。
【0085】
なお,第一の凹凸部201を第二の凹凸部202に対して円滑に移動させるため,凹部201bは凸部202aより大きく形成され,また,凹部202bは凸部201aより大きく形成されている。そのため,補給口用扉162を開放位置PM1に配置して第一の凹凸部201と第二の凹凸部202をかみ合わせた状態であっても,凹部201bの内面と凸部202aの外面との間,凹部202bの内面と凸部201aの外面との間には,若干の隙間が形成された状態になるが,このように第一の凹凸部201と第二の凹凸部202の間に形成される隙間は,メダルMが通過できない大きさになるように設定されている。即ち,いずれの箇所においても,隙間の幅がメダルMの厚さよりも狭くなっており,メダルMが隙間に侵入できないようになっている。従って,メダルMが第一の凹凸部201や第二の凹凸部202に引っ掛かったり隙間に挟まったりすることを防止できる。
【0086】
また,補給口用扉162を開放位置PM1に配置した状態において,第一の凹凸部201の上面は,第二の凹凸部202の上面や傾斜面206からみて,若干上方に突出させるようにしても良い(図20参照)。そうすれば,メダルMを第一の凹凸部201から第二の凹凸部202や傾斜面206上に,円滑に滑り落とすことができ,メダルMが第二の凹凸部202に引っ掛かることを確実に防止できる。
【0087】
さらに,補給口用扉162を閉塞位置PM0に配置した状態においても,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202の間に形成される隙間,即ち,凹部201bと凸部202aとの間に形成される隙間や,凹部202bと凸部201aとの間に形成される隙間は,メダルMが通過できない大きさになるように設定されている。即ち,いずれの箇所においても,隙間の幅がメダルMの厚さよりも狭くなっており,隙間にメダルMが侵入できないようになっている。このようにすると,例えばメダルホッパー111にメダルMが多く収納され,ガイド部材205の近傍までメダルMが蓄積されている場合であっても,メダルMが第一の凹凸部201と第二の凹凸部202との間の隙間に挟まることを防止できる。従って,メダル補給口161を開閉する際に,メダルMが当該隙間に挟まって補給口用扉162の移動の邪魔になることを防止でき,補給口用扉162を円滑に移動させることができる。
【0088】
なお,前述したヒンジ191は,ガイド部材205の傾斜面206より下方に配置されており,回転中心軸191aは,傾斜面206の上端部より外側かつ下方に,傾斜面206から離隔した位置に設けられている。このように,回転中心軸191aと傾斜面206が互いに離隔している場合,扉本体190は傾斜面206から離れて移動するが,扉本体190と傾斜面206の間には,上記のように第一の凹凸部201と第二の凹凸部202が設けられている。これにより,メダルMが扉本体190と傾斜面206の間に侵入することを防止できる。換言すれば,回転中心軸191aを傾斜面206に近い位置に設ける必要が無く,補給口用扉32,ヒンジ191,回転中心軸191aの配置等の設計の自由度を高めることができ,意匠性を重視した設計も可能になる。
【0089】
次に,施錠機構196について詳細に説明する。図16及び図17に示すように,施錠機構196は,補給口用扉162の内部に設けられている。施錠機構196は,外板193の外面に設けられた鍵穴211と,補給口用扉162の上縁部(上面)に形成されたスリット状の孔部212と,鍵穴211に挿入された鍵の回転に伴って回転させられる回転体213と,を備えている。
【0090】
孔部212は,例えば細長い略長方形状に形成されており,長さ方向を扉本体190の上縁部に沿った方向,即ち左右方向に向けた状態で設けられている。また,扉本体190の上面から空洞190aまで,上下方向に貫通するように開口されている。
【0091】
回転体213は,補給口用扉162の内部に形成された空洞190a内に配置されており,施錠用の可動片216と,可動片205が後述する解錠位置PK2に配置された際に孔部212を塞ぐ蓋片217とを有している。可動片216は,孔部212の短手方向の幅よりも小さい厚みを有する板状に形成されており,また,孔部212を通じて補給口用扉162の上縁部より上方に突出可能な高さを有している。一方,蓋片217は,例えば平板状をなし,また,横断面形状が孔部212より小さい略長方形状をなしており,孔部212からは突出せず,孔部212の下部開口を閉塞可能な大きさに形成されている。
【0092】
また,回転体213は,鍵穴211に所定の鍵を挿入し,鍵を回転させることにより,扉本体190に対して回転させられる。可動片216と蓋片217は,回転体213の回転によって,回転体213の回転中心軸の周りで一体的に回転させられるようになっている。これにより,可動片216は,補給口用扉162の施錠が行われる施錠位置PK1(図16)と,孔部212から退避させられ補給口用扉162の解錠が行われる解錠位置PK2(図21)とに移動することができ,蓋片217は,孔部212から退避させられる退避位置PK3(図16)と,孔部212を閉塞する閉塞位置PK4(図21)とに移動することができる。図示の例では,正面側からみて鍵,鍵穴211及び回転体213を左回転させることで,可動片216を解錠位置PK2から施錠位置PK1に移動させ,施錠機構196を施錠状態にすることができ,右回転させることで,可動片216を施錠位置PK1から解錠位置PK2に移動させ,施錠機構196を解錠状態にすることができる。
【0093】
図16に示すように,可動片216が施錠位置PK1にあるとき,可動片216は,孔部212を通じて補給口用扉162の上縁部より上方に突出させられた状態になり,補給口用扉162が閉塞位置PM0に配置された状態では,可動片216の上端部は,メダル補給口161の上縁部(仕切り板46の前縁部)に設けられた可動片用係合部220に内側から当接させられる。これにより,補給口用扉162が施錠された状態になる。一方,可動片216が施錠位置PK1にあるとき,蓋片217は空洞190a内の退避位置PK3に退避させられる。
【0094】
図21に示すように,可動片216が解錠位置PK2にある状態では,可動片216は孔部212から退出させられ,下方の空洞190a内に引き込まれる。即ち,可動片用係合部220から離隔させられ,これにより,補給口用扉162が解錠された状態になる。一方,可動片216が解錠位置PK2にあるとき,蓋片217は空洞190a内の閉塞位置PK4に配置され,上端部が孔部212の下部開口に対向させられた状態になる。
【0095】
ここで,施錠位置PK1に配置された可動片216と孔部212との間の隙間の幅は,いずれの箇所においてもメダルMの厚さtより小さくなるように,即ち,当該隙間にメダルMが侵入できない大きさになるように設計されている。また,図22に示すように,閉塞位置PK4に配置された蓋片217と孔部212との間の隙間の幅も,いずれの箇所においてもメダルMの厚さtより小さくなるように,即ち,当該隙間にメダルMが侵入できないようになっている。従って,例えばメダルMをメダル補給口161に投入する際に,施錠機構196を解錠状態にしても,蓋片217によって孔部212を塞ぐことにより,メダルMが孔部212に入り込んでしまうことを防止できる。特に,可動片216に十分な強度を持たせるために,可動片216を厚く形成しようとすると,孔部212の幅も広くする必要があり,この場合,孔部212の開口形状がメダルMの断面形状よりも大きくなってしまい(即ち,例えば,孔部212の短手方向の幅BがメダルMの厚さtより大きくなり,孔部212の左右方向(長手方向)の長さLがメダルMの直径dより大きくなってしまい),孔部212にメダルMが入り込み易くなるが,そのような場合も,蓋片217によって孔部212を塞ぐことにより,メダルMが孔部212に挟まったり,孔部212を通じて空洞190a内に落下したりしてしまうことを防止できる。従って,孔部212をメダルMより大きく形成しても支障がなく,ひいては可動片216に十分な厚みと強度を持たせることで,補給口用扉162を強固に施錠することができる。
【0096】
なお,閉塞位置PK4に配置された蓋片217と孔部212との間の隙間は,メダルMが侵入できない状態であれば良く,必ずしもすべての箇所でメダルMの厚さtより小さい幅でなくてもよい。例えば蓋片217の左右に形成される隙間Gなどは,左右方向の幅がメダルMの厚さtより大きくても,前後方向の長さ(即ち,孔部121の短手方向の幅B)がメダルMの直径dより十分に小さければ,メダルMの侵入を確実に防止できる。
【0097】
因みに,この施錠機構196は,下部パネル17全体の施錠機構としての機能も有している。即ち,下部パネル17を下部収容空間S3の前部及び最下部収容空間S4の前部において開口41を閉塞するように配置させ(図1参照),メダル補給口161を補給口用扉162によって閉じ,施錠機構196を施錠状態にすると,下部パネル17全体を開口41から外れないように固定できるようになっている。一方,施錠機構196を解錠状態にすると,メダル補給口161が開口可能になり,さらに,下部パネル本体160と筐体40との係合を解除させ,下部パネル本体160を開口41から取り外すことも可能な状態になる。
【0098】
次に,本実施形態にかかるメダル貸出機1の制御について,図23のブロック図を参照しながら説明する。図23に示すように,主制御装置6は,各種情報をメダル貸出機1の外部に対して入出力させる外部入出力コントロール部220,コイン処理装置5の制御等を行うコイン関連コントロール部221,紙幣処理装置10の制御等を行う紙幣関連コントロール部222,メダル送出装置12の制御等を行うメダル関連コントロール部223を備えている。また,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84及び開閉検知センサ11の検知情報d8に基づいて不正行為の有無を識別する第一の不正識別部231と,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84,コイン関連情報dc及びメダル計数器123の検知情報d123に基づいて不正行為の有無を識別する第二の不正識別部232とを備えている。さらに,紙幣識別器81の検知情報d81及びメダル検知センサ117の検知情報d117に基づいてメダルMを補給する必要があるか否かを判定する補給判定部233を備えている。
【0099】
外部入出力コントロール部220には,コイン関連コントロール部221,紙幣関連コントロール部222,メダル関連コントロール部223,第一の不正識別部231,第二の不正識別部232,補給判定部233から,それぞれ所定の情報が送信されるようになっている。また,外部入出力コントロール部220は,BB7,ホールコンピュータ71に対して,それぞれ各種情報を送受信可能に接続されている。外部入出力コントロール部220からBB7には,例えば,コイン関連コントロール部221(コイン処理装置5)からのコイン関連情報,紙幣識別器81の検知情報に基づく金額情報等が送信されるようになっている。また,外部入出力コントロール部220からホールコンピュータ71に対しては,例えば,紙幣識別器81の検知情報に基づく金額情報,開閉検知センサ11の検知情報に基づく中部パネル16の開閉情報,不正識別部231による識別情報,不正識別部232による識別情報,補給判定部233の判定に基づく補給要求信号等が送信されるようになっている。
【0100】
コイン関連コントロール部221には,コイン処理装置5,情報表示部127,貸出要求スイッチ130,コイン返却スイッチ131が,電気的に接続されている。また,コイン関連コントロール部221は,外部入出力コントロール部220に対して,電気的信号の送受信を行えるように接続されている。
【0101】
即ち,コイン関連コントロール部221には,コイン処理装置5において読み取られたコインCのIDコードの情報が送信され,コイン関連コントロール部221から外部入出力コントロール部220,BB7,I/Fユニット72を介して,売り上げ管理装置73にIDコードが送信されることにより,売り上げ管理装置73に対してコインCの金額価値等の情報の問い合わせが行われるように構成されている。また,コイン関連コントロール部221には,売り上げ管理装置73からI/Fユニット72,BB7,外部入出力コントロール部220を介して,コインCの金額価値等の情報が送信されるようになっている。
【0102】
さらに,コイン関連コントロール部221は,売り上げ管理装置73から受信したコインCの金額価値等の情報を,情報表示部127に対して表示させる制御を行うことができる。また,貸出要求スイッチ130が押された場合,貸出要求スイッチ130からコイン関連コントロール部221に電気的信号が送信され,コイン関連コントロール部221からメダル関連コントロール部223に対して電気的信号が送信され,メダル関連コントロール部223において,メダルMの貸し出しに関する制御が行われるようになっている。コイン返却スイッチ131が押された場合は,コイン返却スイッチ131からコイン関連コントロール部221に電気的信号が送信され,コイン関連コントロール部221からコイン処理装置5に対して制御信号が送信され,コインCがコイン払出口126から払い出される制御が行われる。以上のように,コイン関連コントロール部221は,コインCに関する制御を主に行うように構成されている。
【0103】
紙幣関連コントロール部222には,紙幣処理装置制御部85が電気的に接続されている。即ち,紙幣処理装置制御部85に対して,紙幣処理装置10の駆動を制御する制御信号を送信し,また,紙幣処理装置制御部85から,紙幣識別器81の検知情報,及び,紙幣収納検知センサ84の検知情報等を受信するようになっている。さらに,紙幣関連コントロール部222からメダル関連コントロール部223に対して電気的信号が送信されるように構成されている。即ち,紙幣識別器81の検知情報により真正な紙幣Eが投入されたことが検知されると,紙幣関連コントロール部222からメダル関連コントロール部223に対して電気的信号が送信され,メダル関連コントロール部223において,メダルMの貸し出しに関する制御が行われるようになっている。また,紙幣関連コントロール部222は,外部入出力コントロール部220に対して,紙幣識別器81の検知情報,紙幣収納検知センサ84の検知情報等の送信を行えるように接続されている。
【0104】
なお,紙幣処理装置10に高額紙幣E(例えば,所定の単位金額(1000円)よりも高い金額価値を有する五千円札や一万円札等)が投入された場合は,紙幣関連コントロール部222から外部入出力コントロール部220等を経由して,売り上げ管理装置73に対して,紙幣識別器81の検知情報が送信され,投入された高額紙幣Eの金額のうちメダルMの貸し出しに使用されなかった分の金額価値(残高)が,売り上げ管理装置73内において,いずれかのコインCのIDコードに対応させて記憶される(即ち,いずれかのコインCに残高が与えられる)ように構成しても良い。また,紙幣処理装置10に投入された紙幣Eの金額に関わらず,紙幣識別器81の検知情報が売り上げ管理装置73に送信され,投入された紙幣Eの金額価値がいずれかのコインCに与えられるようにしても良い。即ち,紙幣処理装置10に投入された紙幣Eの金額価値が,一旦,コインCの金額価値に換えて認識されるような構成にしても良い。そして,コインCに与えられた金額価値を使用して,メダルMが貸し出されることにより,コインCに与えられた金額価値から,貸し出されたメダルMの枚数分に相当する金額価値が差し引かれて,その差し引かれた後の新たな金額価値が,コインCの金額価値として記憶されるようにしても良い。
【0105】
メダル関連コントロール部223には,送出装置制御部113が電気的に接続されている。即ち,送出装置制御部113に対して,メダル繰り出し機構112の駆動を制御する制御信号を送信し,また,送出装置制御部113から,メダル検知センサ117の検知情報,及び,メダル計数器123の検知情報等を受信するようになっている。また,上述したように,メダル関連コントロール部223には,コイン関連コントロール部221,紙幣関連コントロール部222から電気的信号が送信され,メダル関連コントロール部223は,これらの情報に基づいて送出装置制御部113に対して制御信号を送信するようになっている。さらに,メダル関連コントロール部223は,外部入出力コントロール部220に対して,メダル検知センサ117の検知情報,メダル計数器123の検知情報等の送信を行えるように接続されている。
【0106】
不正識別部231には,紙幣関連コントロール部222から紙幣収納検知センサ84の検知情報d84が送信され,また,開閉検知センサ11から検知情報d8(受光部107の検知信号)が送信される。不正識別部231は,これらの検知情報d84,d8に基づいて不正行為の有無を識別する。即ち,検知情報d8が閉状態を示す検知情報であり,かつ,検知情報d84が,紙幣の存在が有る状態を示す検知情報から紙幣Eの存在が無い状態を示す検知情報に変化したことを条件に,不正行為がなされたと判定する。
【0107】
即ち,例えば店員が紙幣処理装置10から紙幣Eを回収する際には,開口部138が開かれた後,紙幣収納部82内から紙幣Eが取り出され,紙幣Eが無くなる(あるいは,紙幣Eの枚数が減少する)が,この場合は,紙幣Eは正規に取り出されたと判定するようになっている。一方,紙幣Eを盗もうとする人物が,開閉検知センサ11を正常に作動させないような細工を施して,開口部138を開口させた場合(例えば,中部パネル16を外す際,センサ用溝105cからセンサ用突起146を移動させながら,センサ用溝105cに障害物を挟み込み,発光部106から発光された光を遮断することで,開口部138が閉塞されているとセンサ本体105に認識させるようにしながら,中部パネル16を移動させた場合)は,不正識別部231においては,あたかも開口部138が閉じられた状態のままで,紙幣収納部82内にあった紙幣Eが無くなった(あるいは,紙幣Eの枚数が減少した)かのように認識される。このように,不正行為が行われた場合に生じ得る現象が確認された場合は,不正行為がなされたと判定するようになっている。
【0108】
不正識別部232には,コイン関連コントロール部221からコインCに関するコイン関連情報dcが送信され,紙幣関連コントロール部222から紙幣収納検知センサ84の検知情報d84が送信され,また,メダル関連コントロール部223からメダル計数器123の検知情報d123が送信される。不正識別部232は,これらのコイン関連情報dc,検知情報d84,d123に基づいて不正行為の有無を識別する。具体的には,コイン関連情報dcはコインCの投入が無いことを示す情報,あるいは,コインCは投入されたがその金額価値はゼロであることを示す情報であり,検知情報d84は紙幣Eが存在しないことを示す検知情報であり,かつ,検知情報d123はメダルMが送出されていることを示す検知情報であることを条件に,不正行為がなされたと判定する。即ち,メダル貸出機1に対して紙幣E又は金額価値のあるコインCのいずれも投入されていない状態でありながら,メダルホッパー111からメダルMが送出された場合に,不正行為がなされたと判定する。
【0109】
なお,不正識別部231(又は不正識別部232)において不正行為がなされたと判定されたことを店員に対して知らせる報知器を設けても良い。例えば,情報表示部127,状態表示ランプ128,あるいはホールコンピュータ71を報知器として用いても良い。例えば,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定された場合に,主制御装置6から情報表示部127に対して制御信号を送信する構成とし,警報を情報表示部127に目視で認識できるように表示するようにしても良い。また,状態表示ランプ128において,異状を表す表示色を点灯させるようにしても良い。あるいは,ホールコンピュータ71において,警報を画面に表示したり,警報音を鳴らしたりしても良い。
【0110】
また,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定された場合には,主制御装置6から各機器に対して制御信号を送信し,メダル貸出機1の稼動を停止させる(不能動化させる)ようにしても良い。例えば,コイン関連コントロール部221からコイン処理装置5に対して制御信号を送信し,コインCの投入,IDコード等の読み出し,コインCの返却等が不可能な状態にしても良い。また,紙幣関連コントロール部222から紙幣処理装置制御部85に対して制御信号を送信し,紙幣Eの投入ができない状態に,即ち,真正な紙幣Eが紙幣投入口80に差し込まれても,紙幣処理装置10内に取り込まれないようにしても良い。また,メダル関連コントロール部223から送出装置制御部113に対して制御信号を送信し,メダル繰り出し機構112の駆動を一時停止させ,メダルMの貸し出しを中止させるようにしても良い。なお,このようなメダル貸出機1の不能動化は,前述した報知器による報知をせずに行っても良いし,あるいは,報知器による報知と併せて行っても良い。
【0111】
また,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定された場合には,例えば遊技ホールに設置された監視カメラの照準が,当該メダル貸出機1,又は,当該メダル貸出機1に対応させて設けられた遊技機であるスロットマシンに合わせられるように構成しても良い。そうすれば,当該メダル貸出機1又は当該スロットマシンの付近に居る人物,即ち,不正行為を行った疑いが強い人物,又は不正行為を行っている最中の人物を,監視カメラを用いて監視でき,犯人の特定に有効である。例えば不正識別部231(232)から外部入出力コントロール部220に電気的信号が送信され,外部入出力コントロール部220からホールコンピュータ71に対して,不正識別部231(232)において不正行為がなされたと判定されたことを示す識別情報が送信された場合に,ホールコンピュータ71から監視カメラに対して制御信号が送信され,これにより監視カメラの照準が調整されるようにしても良い。
【0112】
補給判定部233には,紙幣関連コントロール部222から紙幣識別器81の検知情報d81が送信され,また,メダル関連コントロール部223からはメダル検知センサ117の検知情報d117が送信される。補給判定部233は,これらの検知情報d81,d117に基づいて,メダルホッパー111にメダルMを補給する必要があるか否かを判定する。具体的には,検知情報d81は紙幣Eの投入があったことを示す検知情報であり,かつ,検知情報d117はニアエンプティ状態を示す検知情報であることを条件に,メダルMを補給する必要があると判定する。例えば,検知情報d81が紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報になったことが補給判定部233において確認されたときに,検知情報d117を受信して確認し,その検知情報d117がニアエンプティ状態を示す検知情報であった場合に,メダルMを補給する必要があると判定するようにしても良い。
【0113】
例えばメダル貸出機1に紙幣E(例えば千円札)が投入されたことによりメダルMが払い出されている最中に,メダルホッパー111内のメダルMの貯留量が減少し,ニアエンプティ状態(端子部117a,117bの高さ以下の貯留量)になると,補給判定部233において,メダルMを補給する必要があると判定される。そして,補給判定部233から外部入出力コントロール部220に電気的信号が送信され,さらに外部入出力コントロール部220からホールコンピュータ71に補給要求信号が送信される。一方,ニアエンプティ状態になっても,メダル貸出機1に紙幣Eが投入されていなければ,メダルMを補給する必要があるとは判定されず,補給要求信号が送信されることはない。このようにすると,紙幣Eを投入せずにメダルホッパー111からメダルMを取り出す不正行為が行われた場合には,ニアエンプティ状態になったとしても,メダルMの補給を行わないようにすることができる。即ち,そのような不正行為とメダルMの補給とが繰り返し行われることを防止できる。
【0114】
なお,メダル検知センサ117によってニアエンプティ状態が検知された後に,メダルMの補給が行われることなく,次のメダルMの貸し出しが行われた場合は,その貸し出しが終了した時点で,メダルMの貯留量が不足している状態,即ちエンプティ状態であると判定されるようにしても良い。そして,エンプティ状態と判定された場合は,メダル繰り出し機構112を駆動させない状態とし,メダルMの貸し出しを中止させるようにしても良い。また,エンプティ状態と判定されたことによりメダルMの貸し出しを中止させている間に,端子部117a,117b間で電流が通電されるようになった場合,即ち,メダルMが補給されることにより,メダルMが再び端子部117a,117bの高さ以上に貯留された場合は,ニアエンプティ状態及びエンプティ状態が解除されたと判定され,その場合は,メダル繰り出し機構112の駆動を再開可能な状態とし,メダルMの貸し出しが可能な状態に戻すようにしても良い。
【0115】
次に,以上のように構成されたメダル貸出機1の作用について説明する。紙幣Eと引き換えにメダルMを借り受けようとする客は,先ず,紙幣用受け皿92の前端部から紙幣投入口80に紙幣E(例えば千円札)を投入する。紙幣投入口80に投入された紙幣Eは,紙幣処理装置10の駆動によって,紙幣処理装置10内に取り込まれ,紙幣識別器81によって,紙幣Eの真偽が識別される。その結果,真正であると判定された紙幣Eは,金額が読み取られた後,紙幣収納部82に送り込まれる。一方,真正であると判定されなかった紙幣Eは,紙幣処理装置10から紙幣投入口80の外に送り返され,メダル貸出機1から排出される。
【0116】
紙幣Eの金額が紙幣識別器81によって読み取られると,その金額情報が,主制御装置6の紙幣関連コントロール部222に送信される。そして,紙幣関連コントロール部222から送出装置制御部113に対して制御信号が送信され,送出装置制御部113の制御により,紙幣識別器81で読み取られた金額情報に応じた枚数のメダルMを送出するように,メダル繰り出し機構112が駆動される。メダル繰り出し機構112の駆動により,メダルホッパー111内に貯留されたメダルMは,メダル送出口116から一枚ずつ順次送出され,メダル送出ノズル165を通じて,図示しないスロットマシンの受け皿に払い出される。
【0117】
メダル計数器123は,メダル送出口116から送出されたメダルMを検知し,送出装置制御部113に検知信号を送信する。これにより,送出装置制御部113は,送出したメダルMの枚数を認識することができる。そして,目標の枚数のメダルMが送出されると,メダル繰り出し機構112の駆動を停止させる制御信号を送信する。即ち,メダル貸出機1からのメダルMの払い出しが停止される。こうして,所定量のメダルMがスロットマシンの受け皿に払い出され,客は,メダル貸出機1に投入した紙幣Eと引き換えに,その投入した紙幣Eの金額分に応じた枚数のメダルMを借り受けることができる。例えば千円札を紙幣投入口80に投入した場合は,50枚のメダルMを一括して借り受けることができる。
【0118】
こうして,投入された紙幣Eの金額分に応じたメダルMが貸し出された後は,主制御装置6の紙幣関連コントロール部222,補給判定部233においては,紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報d81が解除される。これにより,投入された紙幣Eの金額価値が,既にメダルMの貸し出しに使用されたことが認識される。そして,次の紙幣Eの投入があったとき,紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報d81が再び送信されると,紙幣関連コントロール部222,補給判定部233において,未だ貸し出しに使用されていない新たな金額価値を有する紙幣Eが投入されたことが認識される。
【0119】
なお,紙幣識別器81から紙幣関連コントロール部222に送信された金額情報は,さらに紙幣関連コントロール部222から外部入出力コントロール部220を介して,BB7及びホールコンピュータ71にもそれぞれ送信され,BB7及びホールコンピュータ71においてそれぞれ記憶される。この金額情報は,売り上げの集計等に利用される。
【0120】
貸し出されたメダルMの枚数が,紙幣投入口80に投入された金額に応じた枚数よりも少なかった場合,即ち,投入された紙幣Eの金額価値X1よりも,貸し出されたメダルMの枚数に相当する金額価値X2が少なかった場合は,その余りの金額価値X3(=X1−X2)(例えば五千円札が投入され,千円分のメダルMが貸し出された場合は,残りの四千円分の金額価値(X1=5000,X2=1000,X3=4000))は,メダルMの貸し出しに使用せずに,コインCを利用して記憶させることも可能である。
【0121】
コイン処理装置5には,予め複数枚のコインCが収納されている。一方,ホールコンピュータ71には,遊技ホール内で使用される各コインCのIDコードが記憶されている。余った金額価値X3を記憶させる際は,まず,コイン処理装置5に収納されたコインCから,一枚のコインCが選択され,そのコインCのIDコードが,コイン処理装置5内に設けられたIDコード読み取り部によって読み取られる。読み取られたIDコードの情報は,コイン処理装置5からコイン関連コントロール部221に送信され,さらにコイン関連コントロール部221から外部入出力コントロール部220等を介して売り上げ管理装置73に送信される。また,紙幣関連コントロール部222から外部入出力コントロール部220等を介して売り上げ管理装置73に,金額価値X3の情報が送信される。売り上げ管理装置73においては,主制御装置6から送信されたIDコードの情報と,金額価値X3の情報とが,互いに対応させて(関連付けられて)記憶される。即ち,コイン処理装置5において選択された(IDコードが読み取られた)コインCが,金額価値X3を有することが記憶される。
【0122】
こうしてホールコンピュータ71において金額価値X3が与えられたコインCが,コイン払出口126を通じて払い出され,客に与えられる。かかる金額価値X3が与えられたコインCをメダル貸出機1に投入すれば,その金額価値X3を用いてメダルMを借り受けることもできるし,遊技ホール内の精算機に投入すれば,金額価値X3を現金に換金することもできる。
【0123】
コインCを利用してメダルMを借り受ける場合は,コインCをコイン投入口125に投入して,貸出要求スイッチ130を押せば良い。コイン投入口125に投入されたコインCは,コイン処理装置5内に取り込まれ,コイン処理装置5においてIDコードが読み取られる。読み取られたIDコードの情報は,コイン処理装置5からコイン関連コントロール部221等を介して売り上げ管理装置73に送信される。売り上げ管理装置73においては,受信した当該IDコードに基づいてそのIDコードに対応する金額価値等の情報,即ちコインCの金額価値等の情報が検索される。検索された情報は,売り上げ管理装置73から外部入出力コントロール部220等を介して,コイン関連コントロール部221に返信される。一方,貸出要求スイッチ130が押されると,コイン関連コントロール部221に電気的信号が送信される。すると,コイン関連コントロール部221は,売り上げ管理装置73から受信したコインCの金額価値情報と,貸出要求スイッチ130が押された回数nとを比較し,要求された枚数(50×n)のメダルMを貸し出せるか否かを判定する。その結果,貸し出せると判定した場合は,コイン関連コントロール部221からメダル関連コントロール部223に電気的信号が送信され,これによりメダル関連コントロール部223から送出装置制御部113に対して制御信号が送信され,送出装置制御部113の制御により,貸出要求スイッチ130が押された回数nに応じた枚数(50×n)のメダルMが送出される。こうして,紙幣Eを投入したときと同様に,メダルMを借り受けることができる。
【0124】
以上のようにして,各メダル貸出機1によるメダルMの貸し出しが行われる一方で,遊技ホールの店員は,所定時間毎(例えば約2時間毎)に,各メダル貸出機1の紙幣処理装置10から紙幣Eを回収する。紙幣Eを回収する際は,先ず,施錠機構140に所定の鍵を差し入れて,施錠機構140を解錠状態にする。解錠された中部パネル16は,ねじりコイルばね142の付勢力を受けて,閉塞位置PE0から自然に外側に倒れるが,左フランジ部145A,右フランジ部145Bに設けられた突起151aが,係合部153にそれぞれ引っ掛かることにより,第一の開放位置PE1において一旦停止させられる(図11及び図12参照)。
【0125】
このように中部パネル16が第一の開放位置PE1に保持されている状態では,開口部138は開口させられるものの,正面から観ると中部パネル16によって開口部138のほぼ全体が覆われており,完全には開口されていない状態になる。即ち,紙幣処理装置10の紙幣収納部82や取り出し口93が,正面視において中部パネル16によって覆われ,隠された状態になっており,紙幣収納部82から紙幣Eを取り出すことは困難な状態である。このように,中部パネル16が第一の開放位置PE1において一旦保持されるようにすることで,紙幣処理装置10から紙幣Eを盗み難くすることができる。即ち,中部パネル16を把持してさらに外側に倒さないと,紙幣処理装置10から紙幣Eを取り出せないので,紙幣Eを素早く取り出しにくい。従って,開口部138を開口させた後,例えば誤って床に落としてしまった鍵を拾う等,他の作業をした場合でも,店員が目を離した隙に,紙幣Eが安易に盗まれることを防止できる。
【0126】
また,このように中部パネル16が第一の開放位置PE1において停止させられることで,中部パネル16の施錠機構140を解錠しても,中部パネル16が第二の開放位置PE2まで一気に倒れることを防止できる。従って,中部パネル16の下縁部が,その下方に位置する下部パネル17(補給口用扉162の上縁部)等に対して勢い良く衝突することを防止できる。これにより,中部パネル16自体の損傷,及び,中部パネル16の衝突による下部パネル17の損傷が発生することを防止できる。さらに,中部パネル16を支持する保持係合部152と係合部153とが勢い良く衝突することを防止できるので,保持係合部152,係合部153の損傷も防止できる。こうして,中部パネル16やその周辺の構成部材が損傷することを防止できる。
【0127】
なお,第一の開放位置PE1における中部パネル16の傾斜角度は,第二の開放位置PE2における傾斜角度に比べて小さく,中部パネル16が閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に倒れるときに,中部パネル16の下縁部が下部パネル17等に対して勢い良く衝突することはない。さらに,板ばね151によって衝撃が吸収されるので,板ばね151の突起151aと係合部153とが当接しても,損傷が生じることを防止できる。このように,中部パネル16が閉塞位置PE0から第一の開放位置PE1に移動する際に,中部パネル16やその周辺の構成部材が損傷することを防止できる。
【0128】
こうして第一の開放位置PE1に一旦停止した中部パネル16を,把持して引っ張ることにより,第二の開放位置PE2に移動させる(図14参照)。すると,開口部138が完全に開口させられ,取り出し口93及び紙幣収納部82の内部が正面視において露出された状態,即ち,紙幣処理装置10から紙幣Eを取り出すことが可能な状態になる。かかる状態において,装置本体10aを貸出機本体3内に配置した状態のまま,取り出し口93を介して紙幣収納部82内の紙幣Eを取り出すことができる。紙幣Eを回収した後は,第二の開放位置PE2に保持されている中部パネル16を把持して持ち上げ,閉塞位置PE0に押し戻し,施錠機構140を施錠状態に戻して,鍵を抜き取る。
【0129】
このように開口部138の開閉,紙幣Eの取り出しが行われる一方で,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84,及び,開閉検知センサ11の検知情報d8は,不正識別部231に自動的に送信される。不正識別部231は,送信された検知情報d84,d8に基づいて,不正行為のおそれがあるか否かを自動的に識別する。上記のように紙幣Eが正規に取り出された場合は,開口部138が開かれた状態において,紙幣収納検知センサ84によって紙幣Eが検出されていた状態から検出されない状態になったことが,検知情報d84,d8の変化より確認され,この場合は,不正行為ではないと判定される。
【0130】
これに対し,紙幣処理装置10内の紙幣Eが不正に取り出された場合,即ち,開閉検知センサ11に細工を施し,開口部138が閉塞されていると認識させるようにしながら中部パネル16を動かし,紙幣Eを取り出した場合では,開口部138が閉じられた状態において,紙幣Eが検出されていた状態から検出されない状態になったことが,検知情報d8,及び,検知情報d84の変化より確認される。この場合は,不正識別部231において,不正行為であると判定される。なお,施錠装置22を不正に解錠して紙幣Eを取り出す不正行為も考えられるが,店員が紙幣Eを回収する時間は予め決められているので,その決められた時間以外において,開口部138が開かれたことが確認された場合は,直ちに不正行為であると判定することも可能である。こうして,不正行為であると不正識別部231が判定した場合は,その旨が店員に報知される。例えば,主制御装置6からホールコンピュータ71に,不正識別部231の識別情報が送信され,警報が自動的に表示されることにより,店員に報知される。
【0131】
ところで,メダル貸出機1からメダルMが送出されることにより,メダルホッパー111内のメダルMの量は次第に減少する。客が新たに紙幣Eを投入し,メダルMが送出されているときに,メダルホッパー111内からメダルMが無くなると,メダルMの送出ができなくなり,投入した金額分のメダルMを貸し出せなくなってしまう。このようなメダルMの不足は,遊技ホールの売り上げを低下させる原因になる。そのため,メダルホッパー111内には常に十分な量のメダルMを貯留しておく必要がある。メダルMを補給するタイミングは,補給判定部233によって自動的に検知される。
【0132】
メダルホッパー111内のメダルMが,メダル検知センサ117の端子部117a,117bの高さ以上に貯留されている間は,端子部117a,117bにメダルMが接触して通電が行われる。一方,メダルMの貯留量が端子部117a,117bの高さ以下になり,通電が行われなくなると,送出装置制御部113から主制御装置6のメダル関連コントロール部223に対して,貯留量が所定量以下になったこと(ニアエンプティ状態)を知らせる検知情報(ニアエンプティ信号)が送信され,さらに,メダル関連コントロール部223から補給判定部233に対して,メダル検知センサ117の検知情報d117が送信される。これにより,補給判定部233は,貯留量が所定の貯留量以下になったことを検知できる。また,補給判定部233は,紙幣識別器81の検知情報d81より,紙幣Eが投入されたか否かを検知する。そして,紙幣Eの投入が有った状態でメダルMの貯留量が所定量以下に減少した場合にのみ,メダルMを補給する必要があると判定する。すると,ホールコンピュータ71に対して補給要求信号が送信され,ホールコンピュータ71の画面等に,補給要求が自動的に提示される。補給要求が提示されたら,店員は,当該補給要求の送信源であるメダル貸出機1に対して,メダルMの補給を行う。
【0133】
補給判定部233は,紙幣収納部82に紙幣Eが投入された状態で,メダルホッパー111内のメダルMの貯留量が所定量以下になった(ニアエンプティ状態になった)場合にのみ,メダルホッパー111にメダルMを補給する必要があると判定し,ホールコンピュータ71に対して補給要求信号を送信する。これにより,ホールコンピュータ71の画面等に,補給要求が自動的に提示される。補給要求が提示されたら,店員は,当該補給要求の送信源であるメダル貸出機1に対して,メダルMの補給を行う。
【0134】
メダルMの補給を行う際は,先ず,施錠機構196に所定の鍵を差し入れて,施錠機構196を解錠状態にし,補給口用扉162を開放位置PM1に配置する(図18参照)。すると,左フランジ部195A,右フランジ部195Bが筐体40の外側に引き出され,開口部分197が形成される。また,補給口用扉162の内側に設けられた第一の凹凸部201と第二の凹凸部202とが,互いにかみ合った状態になり,扉本体190の傾斜面下部とガイド部材205の傾斜面206が連結される。こうして補給口用扉162を開放位置PM1に配置したら,開口部分197に複数枚のメダルMを一括して投下する。メダルMは,両側の左フランジ部195A,右フランジ部195Bの間において,扉本体190の傾斜面に沿って一斉に滑降し,メダル補給口161を通過して,傾斜面206上を滑降し,メダルホッパー111の開口111aに向かって落下する。こうして,メダルMがメダルホッパー111内に円滑に投入される。
【0135】
なお,第一の凹凸部201と第二の凹凸部202との間の隙間は,メダルMが侵入できないように,十分に狭くなっている。従って,開口部分197に投入されたメダルMは,第一の凹凸部201や第二の凹凸部202に引っ掛かったり隙間に挟まったりすることなく,扉本体190の傾斜面から傾斜面206に向かって,円滑に滑降することができる。従って,メダルMの投入を円滑に行うことができる。
【0136】
また,補給口用扉162の上面には,メダルMの直径d及び厚みtよりも大きな幅B及び長さLを有する孔部212が形成されているが,施錠機構196が解錠状態になって可動片216が孔部212から退避している場合でも,孔部212には蓋片217が配置されている。そして,孔部212の内面と蓋片217の外面との間に形成される隙間には,メダルMが侵入できないようになっている。勿論,補給口用扉162を開いているときに可動片216が孔部212に位置している場合も,孔部212は可動片216によって塞がれるので,この場合も,メダルMが孔部212に侵入することを防止できる。従って,メダルMを開口部分197に投入する際に,メダルMが孔部212に入り込んだり,引っ掛かったり挟まったりしてしまうことを防止でき,メダルMを円滑に投入(補給)することができる。
【0137】
メダルMの補給後は,補給口用扉162を閉塞位置PM0に戻した後,施錠機構196を施錠状態に戻す。即ち,可動片216を施錠位置PK1に戻す。これにより,可動片216が可動片用係合部220に再び係合され,補給口用扉162が施錠された状態になる。このとき,孔部212や空洞190a内にメダルMが入り込んでいる心配はなく,可動片216や蓋片217の動きがメダルMに妨害されるおそれがない。従って,メダルMの侵入による施錠不良が起こらず,施錠を円滑かつ確実に行うことができる。
【0138】
ところで,メダル貸出機1においては,紙幣EやコインCを投入することなく,メダルMを取り出そうとする不正行為が行われるおそれがある。例えば,メダル送出口116等を通じて特殊な器具が差し込まれ,メダル繰り出し機構112が人為的に操作されることにより,メダルホッパー111からメダルMが取り出されるおそれがある。そのような不正行為は,不正識別部232の識別によって,自動的に発見することができる。不正識別部232は,金額価値のあるコインCが投入されておらず,紙幣収納部82に紙幣Eが存在しない状態でありながら,メダルホッパー111に貯留されたメダルMが減少する場合に,不正行為がなされたと判定する。こうして,不正行為がなされたと不正識別部232が判定した場合は,その旨が店員に報知される。例えば,主制御装置6からホールコンピュータ71に,不正識別部232の識別情報が送信され,警報が表示されることにより,店員に報知される。
【0139】
なお,不正行為により紙幣Eを投入することなくメダルMを取り出した場合でも,メダルMの貯留量が所定量以下になると,送出装置制御部113からメダル関連コントロール部223にニアエンプティ信号が送信され,補給判定部233によってメダルMの貯留量が所定量以下になったことが検知される。しかしながら,紙幣Eが投入されていない場合に貯留量が所定量以下になっても,補給判定部233は,メダルMを補給する必要があるとは判定せず,補給要求信号も送信されない。そのため,紙幣Eを投入せずにメダルMを抜き取る不正行為を行ったとしても,メダルMがメダルホッパー111から無くなってしまえば,そのような不正行為をそれ以上続けることはできなくなる。従って,紙幣Eを投入せずにメダルMを抜き取る不正行為が繰り返し行われることを防止でき,遊技ホールの経済的損失が増大することを防止できる。
【0140】
かかるメダル貸出機1によれば,施錠機構196を解錠状態にして,可動片216を孔部212から退出させても,孔部212を蓋片217によって塞ぐことができる。従って,メダル補給口161を開いてメダルMを補給する際に,補給口用扉162の孔部212にメダルMが侵入することを防止でき,メダルMの補給を円滑に行うことができる。また,メダルMの補給終了後,補給口用扉162を閉塞位置PM0に戻して施錠機構196の施錠を行うときに,孔部212や空洞190a内にメダルMが入り込んだりしていないので,可動片216の動きがメダルMに妨害されることもない。従って,メダルMの侵入による施錠不良を確実に防止できる。
【0141】
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0142】
メダル検知センサ117としては,以上の実施形態で説明した接触式のセンサに代えて,検知対象であるメダルMの有無を非接触で検出する近接センサを使用しても良い。例えば,電磁誘導を利用した誘導型近接センサ,静電容量の変化を利用した静電容量型近接センサ,光センサ等を適用しても良い。静電容量型近接センサを使用する場合は,検知対象であるメダルMを接地させることが好ましく,例えば本体ベース110にアース線等を接続して本体ベース110を接地させ,メダルホッパー111内のメダルMがメダルホッパー111及び本体ベース110を介して接地されるようにしても良い。光センサを使用する場合は,光を投光する投光部(発光素子)と,投光部から投光された光を受光する受光部(受光素子)を,互いに同じ高さにおいて対向する位置(例えば上記端子部117a,117bの位置)に設ければ良い。即ち,メダルMが所定の貯留量以上ある場合は,投光部から投光された光がメダルMによって遮られ,受光部で受光されない構成とし,一方,所定の貯留量のメダルMがない場合は,投光部から投光された光が遮られることなく,受光部で受光され,受光素子に電流が流れることにより受光が検出されるような構成にすれば良い。
【0143】
以上の実施形態では,中部パネル16が第二の開放位置PE2に位置するときに係合保持部152が係合させられる係合部は,中部パネル16が第一の開放位置PE1にあるときに突起151aが係合させられる第二の係合部153であるとしたが,第二の係合部153とは別に,係合保持部152が係合させられる係合部を設けても良い。
【0144】
以上の実施形態では,中部パネル16の左フランジ部145Aと右フランジ部145Bは,互いに対称な構成であり,中部パネル16には突起151a(板ばね151),係合保持部152が左右両側にそれぞれ一つずつ設けられているとしたが,突起151aは必ずしも左右両側に設けなくても良く,いずれか一方にのみ設けても良い。また,係合保持部152も必ずしも左右両側に設けなくても良く,いずれか一方にのみ設けても良い。この場合も,中部パネル16を第一の開放位置PE1,第二の開放位置PE2にそれぞれ保持させることができる。
【0145】
以上の実施形態では,第一の係合部は板ばね151に設けられた突起151a,第二の係合部は筐体40に固定して設けられた係合部153であるとしたが,第一の係合部や第二の係合部の構成は,上記のものに限定されない。例えば,左フランジ部145A,右フランジ部145Bの板ばねに151に代えて,筐体40側に板ばね等の弾性体を取り付け,かかる弾性体に第二の係合部(例えば突起等)を設けても良い。また,中部パネル16を付勢する弾性部材としては,ねじりコイルばね142を例示したが,弾性部材はかかるものに限定されず,例えばねじりコイルばね142に代えてゴム等を用いても良い。
【0146】
邪魔板157の形状も,以上の実施形態に示したものに限定されない。例えば図24に示すように,受け皿用開口148と取り出し口93との間を上下に仕切るように構成しても良い。図24に示す例では,邪魔板157’は,平板を縦断面形状が略L字型になるように折り曲げるようにして形成されており,受け皿用開口148の下方においてパネル本体137の内側に沿って固定される縦板部157aと,中部パネル16が閉塞位置PE0にあるときに紙幣用受け皿92の底板92aの下面に沿って横向きに配置される横板部157bとを備えている。即ち,横板部157bによって,受け皿用開口148と取り出し口93との間が上下に仕切られるように構成されている。横板部157bの後縁部は,底板92aと取り出し口93の上縁部との間の高さにおいて,紙幣処理装置10の装置本体10aの前面に近接させて配置されている。このようにすれば,邪魔板157’と装置本体10aとの間に特殊な器具等が挿入されることをより効果的に防止でき,紙幣Eの盗難を更に確実に防止できる。
【0147】
以上の実施形態では,中部パネル16の施錠機構140は鍵を用いて手動で施錠状態又は解錠状態にされるとしたが,中部パネル16の施錠機構は,遠隔操作によって施錠状態又は解錠状態にされるような構成としても良い。勿論,手動と遠隔操作のいずれによっても,施錠機構を操作して,解錠状態又は施錠状態にできるようにしても良い。例えば,中部パネル16の施錠機構と主制御装置6とを電気的に接続し,店員がホールコンピュータ71に対して解錠の命令を入力することにより,ホールコンピュータ71から主制御装置6に対して解錠命令の情報が送信され,主制御装置6から中部パネル16の施錠機構に対して,制御信号が送信され,これにより施錠機構が解錠状態にされる構成にしても良い。このように,遠隔操作によって施錠機構が解錠される場合でも,中部パネル16は直ぐには第二の開放位置PE2に倒れず,第一の開放位置PE1で一旦停止させられるので,紙幣Eを盗み難くすることができる。従って,店員がメダル貸出機1に向かう前に紙幣Eが紙幣収納部82から盗まれることを効果的に防止できる。
【0148】
また,遠隔操作による解錠後,店員がメダル貸出機1から紙幣Eを取り出す前に,中部パネル16が第一の開放位置PE1にあるか第二の開放位置PE2にあるかを確認することで,紙幣Eが盗まれている可能性があるか否かを,目視により判別することができる。即ち,中部パネル16が既に第二の開放位置PE2に倒れている場合,店員以外の者が,紙幣Eを抜き取るために中部パネル16を人為的に移動させた疑いがあると考えられる。従って,盗難を早期に発見でき,盗難を行った犯人が遊技ホールから逃亡する前に盗難の可能性を認識できる可能性が高くなり,犯人の特定にも有効である。
【0149】
また,遊技ホールに複数のメダル貸出機1が設置されている場合,これら複数のメダル貸出機1の中部パネル16に設けられた施錠機構が,遠隔操作によって一斉に解錠状態又は施錠状態にされるような構成にしても良い。なお,このような遠隔操作による一斉解錠(開口部138の一斉開口)は,例えば遊技ホールの閉店後,店員が各メダル貸出機1から紙幣Eを回収する際に行われるが,そのような紙幣回収作業が行われるときは,紙幣Eを盗もうとする者にとっては格好の機会であるから,その隙が狙われて,紙幣Eが盗まれるおそれがある。しかしながら,このように複数のメダル貸出機1の開口部138が一斉に開かれる場合も,各メダル貸出機1の中部パネル16をそれぞれ第一の開放位置PE1で停止させることにより,紙幣Eを盗み難くすることができる。従って,店員が各メダル貸出機1に向かう前に紙幣Eが盗まれることを効果的に防止できる。
【0150】
以上の実施形態では,補給要求が店員に対して報知され,店員が手作業でメダルMを補給する構成を説明したが,メダルMは自動補給システムによって自動的に補給されるようにしても良い。例えば,自動補給システムからメダルホッパー111にメダルMを供給するメダル供給路を配設し,また,補給判定部233から自動補給システムに対して補給要求信号が送信される構成としても良い。即ち,補給要求信号が自動補給システムに送信されると,自動補給システムからメダル供給路を介して,メダルMがメダルホッパー111に補給されるようなシステムにしても良い。
【0151】
紙幣収納検知センサ84は,紙幣収納部82内の紙幣Eの有無を検知するものとしたが,紙幣Eの枚数を検知できる構成にしても良い。その場合,不正識別部231は,開閉検知センサ11の検知情報d8が閉状態を示す検知情報であり,かつ,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84が紙幣Eの減少を示す検知情報であることを条件に,不正行為がなされたと判定する構成としても良い。そうすれば,紙幣収納部82に収納されている紙幣Eの一部のみが盗み取られた場合でも,その不正行為を発見することができる。
【0152】
以上の実施形態では,補給判定部233は,紙幣Eの投入があったときに,紙幣識別器81の検知情報d81とメダル検知センサ117の検知情報d117とに基づいて,メダルMを補給する必要があるか否かを判定する構成としたが,コインCの投入があったときにも,コイン関連情報(金額価値情報)dcと検知情報d117とに基づいて,メダルMを補給する必要があるか否かを判定できるようにしても良い。そうすれば,コインCの金額価値を利用したメダルMの貸し出しが行われたときに,メダルMが不足することを防止できる。具体的には,コイン関連コントロール部221から補給判定部233に対して送信されたコインCに関するコイン関連情報dcが,コインCの金額価値が所定の単位金額以上であることを示す情報であり,かつ,検知情報d117はメダルMの貯留量が所定量以下であることを示す検知情報であることを条件に,不正行為がなされたと判定するように構成すれば良い。一方,メダルMの貯留量が所定量以下になっても,メダル貸出機1に対して紙幣E,又は,所定の単位金額以上の金額価値を有するコインCのいずれも投入されていない場合は,メダルMを補給する必要があるとは判定せず,補給要求信号を送信しないようにすれば良い。このようにすると,紙幣EやコインCを投入せずにメダルホッパー111からメダルMを取り出す不正行為が行われた場合には,貯留量が所定量以下になったとしても,メダルMの補給を行わないようにすることができる。なお,コイン関連情報dcは,例えば貸出要求スイッチ130が押されたときに,コイン関連コントロール部221から補給判定部233に対して送信されるようにしても良い。即ち,貸出要求スイッチ130が押されたことを条件に,補給判定部233による判定が行われるようにしても良い。
【0153】
補給判定部233は,紙幣識別機81の検知情報d81とメダル検知センサ117の検知情報d117に基づいて判定を行うとしたが,検知情報d81,d117に加えて,紙幣収納検知センサ84の検知情報d84を利用して判定を行う構成にしても良い。即ち,検知情報d81が紙幣Eの投入が有ったことを示す検知情報であり,検知情報d117は貯留量が所定量以下であることを示す検知情報であり,かつ,検知情報d84は,紙幣Eが存在することを示す検知情報であることを条件に,メダルMを補給する必要があると判定するようにしても良い。このようにすると,紙幣識別機81において識別された紙幣Eが,その後,紙幣収納部82に確実に収納されたことを確認できる。即ち,例えば不正行為の一つとして,紙幣Eに紐等を結び付けた状態で,紙幣Eを紙幣投入口80に投入し,紙幣識別機81に紙幣Eを識別させた後に,紙幣Eが紙幣収納部82に収納される前に,紐等を引っ張り,紙幣Eを紙幣投入口80から抜き出すといった行為が考えられるが,そのような不正行為が行われた場合に,メダルMが貸し出されても,メダルMの補給が行われることを防止できる。
【0154】
以上の実施形態では,紙幣E又はコインCのいずれかの投入に基づいてメダルMを貸し出すメダル貸出機1について説明したが,本実施形態は,コインCに基づく貸し出しを行わず,紙幣Eのみの投入に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機に応用することもできる。また,本実施形態は,現金として硬貨を使用できる遊技媒体貸出機,即ち,硬貨の投入に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機に応用することもできる。例えば,硬貨を収納する硬貨収納部,硬貨を取り出す際に開かれる開口部等を備えた遊技媒体貸出機において,開閉扉に中部パネル16の構成,即ち,第一の係合部と第二の係合部とを設ける構成等を適用し,開口部が2段階以上に開口される構成にしても良い。そうすれば,中部パネル16と同様に,開口部を開閉する開閉扉及びその周辺が損傷を受けることを防止でき,また,硬貨の盗難を防止できる。
【0155】
以上の実施形態では,遊技機としてはスロットマシンを例示し,遊技媒体としては略円盤状のメダルMを例示し,遊技媒体貸出機としては,スロットマシン用のメダルMを貸し出すメダル貸出機1を例示したが,遊技機,遊技媒体,遊技媒体貸出機は,上記のものに限定されない。例えば,遊技機はパチンコ台,遊技媒体はパチンコ玉であっても良く,遊技媒体貸出機は,パチンコ玉を貸し出す玉貸機であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は,例えばスロットマシンに用いられるメダルを貸し出すメダル貸出機,パチンコ玉を貸し出す玉貸機等,各種の遊技媒体貸出機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本実施形態にかかる遊技媒体貸出機の斜視図である。
【図2】遊技媒体貸出機の内部構造を示した斜視図である。
【図3】遊技媒体貸出機の主な内部構造を正面側に引き出して示した分解斜視図である。
【図4】紙幣処理装置の斜視図である。
【図5】開閉検知センサの構成を説明する斜視図である。
【図6】開閉検知センサの構成を説明する斜視図である。
【図7】メダル送出装置の構成を説明する断面図である。
【図8】中部パネルの斜視図である。
【図9】中部パネルを閉塞位置に配置した状態を示した側面図である。
【図10】中部パネルを閉塞位置に配置した状態を示した平面図である。
【図11】中部パネルを第一の開放位置に配置した状態を示した側面図である。
【図12】中部パネルを第一の開放位置に配置した状態を示した平面図である。
【図13】中部パネルを第一の開放位置から引き出す様子を示した平面図である。
【図14】中部パネルを第二の開放位置に配置した状態を示した側面図である。
【図15】紙幣用受け皿,受け皿用開口,邪魔板の関係を説明する説明図である。
【図16】補給口用扉の正面図である。
【図17】補給口用扉の縦断面図である。
【図18】補給口用扉を開放位置に配置した状態を示した斜視図である。
【図19】補給口用扉を閉塞位置に配置した状態を,補給口用扉の後側から示した斜視図である。
【図20】補給口用扉を開放位置に配置した状態を,補給口用扉の後側から示した斜視図である。
【図21】解錠状態にした補給口用扉の正面図である。
【図22】解錠状態にした補給口用扉を上縁部側からみた状態を示した説明図である。
【図23】メダル貸出機の配線系統を示した説明図である。
【図24】別の実施形態にかかる邪魔板を示した説明図である。
【符号の説明】
【0158】
C コイン
E 紙幣
M メダル
PK1 施錠位置
PK2 解錠位置
PK3 退避位置
PK4 閉塞位置
1 メダル貸出機
3 貸出機本体
15 上部パネル
16 中部パネル
17 下部パネル
161 メダル補給口
162 補給口用扉
196 施錠機構
211 鍵穴
212 孔部
213 回転体
216 可動片
217 蓋片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機であって,
貸出機本体の側部に,遊技媒体を補給するための遊技媒体補給口と,補給口用扉とを備え,
前記補給口用扉は,前記補給口用扉の下縁部側に配置された回転中心軸を中心として回転することにより,前記遊技媒体補給口を開閉させる構成とし,
前記補給口用扉を施錠する施錠機構を備え,
前記施錠機構は,前記補給口用扉の上縁部に形成された孔部,前記孔部から突出する施錠位置と前記孔部から退出させられる解錠位置とに移動可能な可動片,及び,前記可動片が前記解錠位置に配置された際に前記孔部を塞ぐ蓋片を備え,
前記蓋片によって前記孔部が塞がれた状態において前記蓋片と前記孔部との間に形成される隙間は,前記遊技媒体が侵入できない大きさであることを特徴とする,遊技媒体貸出機。
【請求項2】
前記孔部は,前記遊技媒体の断面形状より大きいことを特徴とする,請求項1に記載の遊技媒体貸出機。
【請求項3】
前記可動片と前記蓋片は,前記施錠機構の鍵穴に挿入された鍵を回転させることにより,一体的に回転させられることを特徴とする,請求項1又は2に記載の遊技媒体貸出機。
【請求項1】
遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出機であって,
貸出機本体の側部に,遊技媒体を補給するための遊技媒体補給口と,補給口用扉とを備え,
前記補給口用扉は,前記補給口用扉の下縁部側に配置された回転中心軸を中心として回転することにより,前記遊技媒体補給口を開閉させる構成とし,
前記補給口用扉を施錠する施錠機構を備え,
前記施錠機構は,前記補給口用扉の上縁部に形成された孔部,前記孔部から突出する施錠位置と前記孔部から退出させられる解錠位置とに移動可能な可動片,及び,前記可動片が前記解錠位置に配置された際に前記孔部を塞ぐ蓋片を備え,
前記蓋片によって前記孔部が塞がれた状態において前記蓋片と前記孔部との間に形成される隙間は,前記遊技媒体が侵入できない大きさであることを特徴とする,遊技媒体貸出機。
【請求項2】
前記孔部は,前記遊技媒体の断面形状より大きいことを特徴とする,請求項1に記載の遊技媒体貸出機。
【請求項3】
前記可動片と前記蓋片は,前記施錠機構の鍵穴に挿入された鍵を回転させることにより,一体的に回転させられることを特徴とする,請求項1又は2に記載の遊技媒体貸出機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−236693(P2007−236693A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64397(P2006−64397)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000182616)株式会社サミーシステムズ (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000182616)株式会社サミーシステムズ (46)
【Fターム(参考)】
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