説明

遊技媒体貸出装置

【課題】 同じ遊技機での遊技の途中や、他の遊技機に移った場合でも、取得した遊技媒体を異なる貸出料金に換算して遊技可能にする。
【解決手段】 遊技媒体貸出装置1は、貸出手段により貸出される一遊技媒体のあたりの貸出料金が複数設定されるとともに、遊技者の操作により、複数の貸出料金から一の貸出料金を選択可能な貸出料金選択手段と、一の貸出料金で貸出された遊技媒体を元にして当該遊技機で取得され、前記計数手段で計数された遊技媒体数を、所定の条件下において(S12)、他の貸出料金に対応する遊技媒体数に換算する換算手段(S13)と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機毎に設置された遊技媒体貸出装置に関し、特に、取得した遊技媒体を計数する計数手段と、この計数した遊技媒体を返却する返却手段を備える遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、遊技媒体を貸出す遊技媒体貸出装置が、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機毎に設置されており、この遊技媒体貸出装置に、現金や、有価価値の記録された記録媒体(プリペードカード、ICコインなど)、貯玉会員カードを投入することで、予め定められた一遊技媒体あたりの貸出料金に基づいた数量の遊技媒体が払出されて遊技者に提供される。
近年では、この遊技媒体貸出装置と一体又は別体に、遊技媒体を計数する計数装置と、この計数装置で計数された遊技媒体を再び遊技者に返却する返却装置とを備えているものがある。
このような遊技媒体貸出装置では、貸出された遊技媒体を元にして当該遊技機で取得した遊技媒体を計数装置で計数させて、一時的に貯留させておくことができるとともに、この貯留した遊技媒体を、遊技に供するために、再び返却することができるように構成されている。
【0003】
近年の遊技場では、一遊技媒体あたりの貸出料金の多様化が進み、遊技場の所定のエリア毎や、機種毎に異なる貸出料金を設定する営業形態が多く見受けられる。
このような貸出料金の多様化に対応するために、遊技者に貸出料金を選択させる遊技用システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−226232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された遊技用システムでは、以下のような問題が解決できなかった。
例えば、一の貸出料金で貸出された遊技媒体を元にして遊技をした結果、大当り等に至り、この際に取得した遊技媒体を用いて、引き続き遊技を行う場合には、同じ貸出料金で遊技をせざるを得ず、遊技の途中で異なる他の貸出料金に変更することができなかった。
また、取得した遊技媒体を計数させて、所定の精算操作を行い、計数値が記録された記録媒体を発行させるとともに、この記録媒体を他の遊技機に設置された遊技媒体貸出装置に投入して遊技を開始する場合において、記録された計数値に対応する数量の遊技媒体を用いて遊技を行うことができるものの、この計数値を他の貸出料金に対応する遊技媒体数に換算するとともに、この換算した遊技媒体数を用いて遊技を行うことはできなかった。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、同じ遊技機において遊技の途中で異なる貸出料金に変更することができ、他の遊技機においても以前の遊技機で取得した遊技媒体を用いて、異なる貸出料金で遊技を行うことができる画期的な遊技媒体貸出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遊技媒体貸出装置は、遊技媒体を貸出す貸出手段と、遊技機で取得された遊技媒体を計数する計数手段と、この計数手段で計数された遊技媒体を返却する返却手段と、を備える遊技機毎に設置される遊技媒体貸出装置であって、前記貸出手段により貸出される一遊技媒体のあたりの貸出料金が複数設定されるとともに、遊技者の操作により、複数の貸出料金から一の貸出料金を選択可能な貸出料金選択手段と、前記一の貸出料金で貸出された遊技媒体を元にして当該遊技機で取得され、前記計数手段で計数された遊技媒体数を、他の貸出料金に対応する遊技媒体数に換算する換算手段と、が設けられ、前記返却手段は、前記貸出料金選択手段において他の貸出料金が選択されたときに、前記換算手段が換算した遊技媒体数を返却する構成としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技媒体貸出装置によれば、同じ遊技機での遊技の途中や、他の遊技機に移った場合でも、取得した遊技媒体を異なる貸出料金に換算して遊技を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置の計数部の内部構成を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置が適用される遊技場管理システムを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置が適用される遊技場管理システムの各装置間において送受される信号を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置において実行される貸出料金の変更処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置において実行されるICコインの発行処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る遊技媒体貸出装置において実行されるICコインの読取処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る遊技媒体貸出装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置の概略正面図であり、図2は、遊技媒体貸出装置の制御構成を示すブロック図であり、図3は、遊技媒体貸出装置の計数部の断面図である。また、図4は、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置が適用される遊技場管理システムの構成を示す説明図である。
【0011】
これらの図に示すように、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置1は、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機毎に設置され、現金や、プリペードカード、ICコイン、貯玉会員カードなどの有価価値を有する記録媒体を投入して、遊技媒体を貸出す遊技媒体貸出装置1であって、本実施形態では、パチンコ機100に隣接して配置され、現金が投入されて遊技球を貸出す現金玉貸機として構成されている。
本実施形態の遊技媒体貸出装置1は、パチンコ機100で取得した遊技球を計数する計数部20と、遊技球を貸出すとともに、計数部20で計数された遊技球を再び遊技に供するために返却する貸出・返却部10とを備えている。
【0012】
各部は、図2に示すように、中央演算処理装置(CPU)、記憶手段(ROM,RAM)、入出力インターフェイスなどで構成されたコンピュータからなる制御部5により制御される。そして、この記憶手段に記憶された制御プログラムが実行されることで、本実施形態の遊技媒体貸出装置1が、貸出手段、計数手段、返却手段、貸出料金選択手段、換算手段、選択禁止手段、ICコイン発行・読取手段、発行禁止手段、通信手段、表示手段、計数異常処理手段、交換率設定手段として動作するようになっている。
以下に、各部の構成及び動作について詳細に説明する。
【0013】
貸出・返却部10には、赤外線通信部11、紙幣投入口12a、硬貨投入口12b、投入額表示部13、ノズル14、貸出料金選択ボタン15a〜15c、ICコイン投入・返却口16とこれらに関連する装置が設けられている。
また、計数部20には、異常報知表示部21、積算値表示部22a、計数値表示部22bなどの表示部と、玉貸ボタン24a、返却ボタン24b、精算ボタン24c、離席ボタン24d、異常解除ボタン24eなどの操作手段と、スピーカ25、投入口26とこれらに関連する装置が設けられている。
【0014】
赤外線通信部11は、制御部5により制御される通信手段であり、店員等の遊技場関係者が携帯する端末装置と無線通信可能に接続され、例えば、たばこ、コーヒーなどの景品との交換する場合に、端末装置にこれらの該当する景品を入力するとともに、端末装置と赤外線通信部11とで通信を行うことで、制御部5が計数部20で計数された計数値や投入された現金から景品に応じた計数値や金額を減算するように構成されている。
【0015】
貨幣投入口12は、千円札などの紙幣が投入される紙幣投入口12aと、五百円硬貨などの硬貨が投入される硬貨投入口12bとを備えている。
この貨幣投入口12の内部には投入された貨幣を識別する貨幣識別部4が設けられており、制御部5は、識別された貨幣に対応する金額を、記憶手段(RAM)に記憶する。
【0016】
投入額表示部13は、制御部5により制御される7セグメントLEDなどの表示手段で構成され、各貨幣投入口12から投入され、記憶手段(RAM)に記憶された現金の合計が表示される。
【0017】
ノズル14は、貸出・返却に際して遊技球をパチンコ機100の上皿101に誘導して排出する管状誘導部材として構成されている。
このノズル14の内部には、貸出・返却に際して遊技球を送出する貸出装置7が設けられている。貸出装置7は、制御部5により制御される遊技球を一個ずつ送出する玉送出モータ7aと、貸出・返却数を計数する貸出計数センサ7bとを備えている。
制御部5は、貸出計数センサ7bからの検出信号を監視しつつ、玉送出モータ7aを制御することで、遊技球の貸出数と返却数を認識できるようになっている。
【0018】
貸出料金選択ボタン15a〜15cは、本発明の貸出料金選択手段における遊技者が操作可能な入力手段であり、本実施形態では、一遊技球あたり1円の貸出料金を選択可能な貸出料金選択ボタン15aと、2円の貸出料金を選択可能な貸出料金選択ボタン15bと、4円の貸出料金を選択可能な貸出料金選択ボタン15cの三つの選択ボタンが設けられている。
いずれかの貸出料金選択ボタン15が操作されると、制御部5に操作信号が入力され、操作された貸出料金選択ボタン15に対応した貸出料金が制御部5の記憶手段(RAM)に設定(記憶)される。
【0019】
電源投入時には、いずれの貸出料金にも設定されていない状態となっており、その後に遊技者が、いずれかの貸出料金に対応する貸出料金選択ボタン15を操作すると、操作された貸出料金選択ボタン15に対応するいずれかの貸出料金が記憶手段(RAM)に記憶される。さらに、この貸出料金と異なる貸出料金に対応する貸出料金選択ボタン15が操作されたときには、記憶された貸出料金が操作された貸出料金選択ボタン15に対応するいずれかの貸出料金に更新され、貸出料金が変更される(貸出料金選択手段)。そして、このように記憶(設定)された貸出料金に基づいて、遊技球の貸出しと返却とが行われる。
また、貸出料金選択ボタン15a〜15cには、制御部5により点灯制御される発光ダイオード(LED)が各々内蔵され、設定された貸出料金に対応するLEDが点灯するようになっている。なお、電源投入時には、いずれの貸出料金も設定されていない状態となっているため、LEDは消灯されている。
【0020】
ICコイン投入・返却口は、ICコインが投入されるとともに、後述の精算ボタン24cの操作に基づき、ICコインが発行(返却)されるICコインの出し入れ口として構成されている。
本実施形態で使用するICコイン70は、当該ICコイン70を特定可能なコインIDが読取可能に記録されているとともに、制御部5の記憶手段(RAM)に記憶された、貨幣投入口12から投入された現金の合計(残高)と、計数部20で計数された計数値と、設定された貸出料金と、計数値と貸出料金の積からなる積算値と、計数値に対応する遊技球数を現金と交換するための交換率と計数値と貸出料金との積からなる金額と、を記録可能な記録媒体として構成されている。そして、この発行されたICコイン70を、発行したパチンコ機100と異なるパチンコ機100に投入することで、記録された計数値等に基づいて、遊技球を返却させて遊技を行うことができる。
【0021】
ICコイン投入・返却口16の内部には、制御部5により制御されるICコインR/W(リーダ/ライタ)3が設けられている。ICコインR/W3は、ICコイン70に記録されているコインID、現金の残高、計数値、貸出料金、積算値、金額の読取りと、制御部5の記憶手段(RAM)に記憶された、現金の残高、計数値、貸出料金、積算値、金額の記録(書込み)を行う。
ICコインR/W3は、ICコイン投入・返却口16からICコイン70が投入されると、このICコイン70からコインID、現金の残高、計数値、貸出料金、積算値、金額などの情報を読取り、制御部5に転送する。制御部5は、これらの情報を記憶手段(RAM)に記憶するようになっている。
【0022】
この記憶手段に記憶された計数値と積算値又は金額は、制御部5により点灯制御される、後述の計数値表示部22bと、積算値表示部22aにそれぞれ表示される。
また、制御部5は、記憶した貸出料金に対応する貸出料金選択ボタン15に内蔵されたLEDを点灯させるとともに、現金の残高を投入額表示部13に表示させる。
【0023】
さらに、制御部5は、ICコイン70が投入されたときに、記憶した貸出料金に対応する貸出料金選択ボタン15と異なる貸出料金選択ボタン15が操作されると、記憶した計数値を、操作された貸出料金選択ボタン15の貸出料金に対応する計数値に換算する(換算手段)。
【0024】
例えば、貸出料金4円、計数値1000個が記録されているICコイン70が投入されて、これらの情報が記憶手段に記憶されたときに、貸出料金2円に対応する貸出料金選択ボタン15bが操作されると、制御部5は、遊技球一個当りの有価価値が半分になるため、計数値を、2倍の2000個に換算して記憶手段(RAM)に記憶する。
【0025】
また、ICコインR/W3は、記憶手段(RAM)に記憶している計数値又は投入された現金の残高があるときに、後述の精算ボタン24cが操作されると、制御部5から転送される現金の残高、計数値、貸出料金、積算値、金額をICコイン70に記録するとともに、ICコイン70を発行(返却)する。
【0026】
このように、本実施形態の遊技媒体貸出装置1は、ICコイン70に計数値と設定された貸出料金を記録して発行し、これを媒体として、異なるパチンコ機100に対応した遊技媒体計数装置1にICコイン70を投入して、計数値と貸出料金を読取り、前回遊技を行っていたパチンコ機100において設定されていた同じ貸出料金及び同じ計数値を用いて遊技を行うことができることは勿論のこと、換算手段により、異なる貸出料金で換算された計数値を用いて、遊技を行うことができる。
【0027】
なお、ICコイン70に記録させる計数値と貸出料金に代えて、これらの積算値のみを記録してもよい。すなわち、計数値と貸出料金とで表されるものは、その計数値に相当する遊技球数が有する有価価値に他ならず、積算値はこれを表すものであるから、代替可能である。
そして、換算手段は、この積算値から、設定された貸出料金に対応する計数値を簡単に算出できる。例えば、積算値4000円が記録されているICコイン70が投入された場合に、貸出料金2円に対応する貸出料金選択ボタン15bが操作されると、制御部5は、積算値4000円を貸出料金2円で割算することで、計数値2000個を算出することができる。
【0028】
さらに、ICコイン70に記録させる計数値と貸出料金に代えて、計数値に対応する遊技球数を現金と交換するための交換率と計数値と貸出料金との積からなる金額のみを記録することもできる。
上記の積算値は、計数値を設定された貸出料金に基づいて「円」に換算したものであり、取得した遊技球を等価交換で現金に交換可能な遊技場に適している。ところが、遊技場によっては、取得した遊技球を予め定めた交換率に従って現金と交換させる場合がある。
そこで、記憶手段(RAM)にこの交換率を予め記憶させるとともに、制御部5が計数値と貸出料金と交換率を積算し、この積である金額をICコイン70に記録することもできる。
【0029】
例えば、貸出料金4円で貸出された一の遊技球を2.5円で交換させる遊技場では、交換率0.625(=2.5/4)を予め記憶手段(RAM)に記憶させておき、4円の貸出料金で、計数値1000個の遊技球を取得したとすると、制御部5が積算する計数値と貸出料金と交換率の積である金額は2500円となり、この金額をICコイン70に記録する。
そして、換算手段は、この記録された金額から、設定された貸出料金に対応する計数値を簡単に算出できる。例えば、金額2500円が記録されているICコイン70が投入された場合に、貸出料金4円に対応する貸出料金選択ボタン15aが操作されると、制御部5は、金額2500円に交換率の逆数(=4/2.5)を乗算して、貸出料金4円で割算することで計数値1000個を算出することができる。この場合、貸出料金2円に対応する貸出料金選択ボタン15bが操作されると、制御部5は、金額2500円に交換率の逆数(=4/2.5)を乗算して、貸出料金2円で割算することで計数値2000個を算出することができる。
【0030】
さらに、この場合において記憶手段(RAM)に記憶させる交換率を貸出料金毎に変えることもできる。
例えば、貸出料金4円で貸出された一の遊技球を2.5円で交換させる場合には、交換率0.625(=2.5/4)を、貸出料金2円で貸出された一の遊技球を1.05円で交換させる場合には、交換率0.525(=1.05/2)を、貸出料金1円で貸出された一の遊技球を0.425円で交換させる場合には、交換率0.425(=0.425/1)を、それぞれ予め記憶手段(RAM)に記憶させておき、制御部5が計数値と貸出料金とこのそれぞれの交換率を積算し、この積である金額をICコイン70に記録することもできる。
そして、換算手段は、この記録された金額から、設定された貸出料金に対応する計数値を簡単に算出できる。例えば、金額2500円が記録されているICコイン70が投入された場合に、貸出料金1円に対応する貸出料金選択ボタン15cが操作されると、制御部5は、金額2500円に交換率の逆数(=1/0.425)を乗算して、貸出料金1円で割算することで計数値5882個を算出することができる。
【0031】
そして、さらに、この交換率を、遊技場に複数設置された遊技媒体貸出装置1毎に変えることもできる。
これにより、例えば、人気遊技機に対応して設置された遊技媒体貸出装置1と、不人気遊技機に対応して設置された遊技媒体貸出装置1とで、交換率を変えることができる。
一般的に、人気遊技機は客付きがよいことから、遊技場は、多くの売上げを確保したいがために、高い貸出料金での遊技を望む。ところが、このような遊技機を低い貸出料金で遊技させると、期待された売上げを確保することができないため、人気遊技機では、不人気遊技機に比べて交換率を低く設定したい。そこで、本実施形態の遊技媒体貸出装置1では、交換率を貸出料金毎に任意の値に設定することができるようになっている(交換率設定手段)。
【0032】
具体的には、店員等が前述の端末装置に、貸出料金毎に任意の値の交換率を入力するとともに、端末装置を操作して入力された交換率を赤外線通信部11に向けて赤外線送信することで、制御部5が、受信した貸出料金毎の交換率を記憶手段(RAM)に記憶するようになっている。そして、制御部5は、この記憶された貸出料金毎の交換率に基づいて、上述のように金額と計数値を算出する。
なお、後述する遊技場管理システムのように、複数の各遊技媒体貸出装置1が通信部6を介して管理装置50と接続されている場合には、管理装置50において、貸出料金毎の交換率を遊技媒体貸出装置1毎に個別に設定するとともに、各遊技媒体貸出装置1にこれを送信して各記憶手段(RAM)に設定(記憶)させることもできる。
【0033】
そして、このように設定された交換率を遊技者が確認できるように、例えば、各貸出料金に対応する貸出料金選択ボタン15が操作されると、制御部5は、積算値表示部22aを制御して、操作された貸出料金選択ボタン15に対応する交換率や、貸出された一の遊技球を現金と交換させる金額(例えば、4円の貸出料金であれば、2.5円)を所定時間表示させることもできる。これにより、遊技者は、当該遊技機で遊技を行うにあたり交換率を事前に把握できることから、取得した遊技球の現金との交換に関して不信感を抱くことなく遊技を行うことができる。
【0034】
異常報知表示部21は、制御部5により点灯制御される発光ダイオード(LED)などのランプを備え、不正に計数値を増加させる計数異常が発生したときに、点灯するように構成されている。
積算値表示部22aは、制御部5により点灯制御される7セグメントLEDなどの表示手段で構成され、制御部5が演算する貸出料金と計数値との積算値を表示する。
積算値は計数値を「円」に換算したものであり、遊技場における取得した遊技球と現金との交換率が等価交換である場合には、そこに表示された積算値は現金と交換可能な遊技者の所持金と同義であることから、遊技者は、遊技に投資可能な遊技資金を一目で把握することができる。
また、交換率が等価交換でない場合は、制御部5が貸出料金と計数値と前述したような所定の交換率を積算するとともに、この積を積算値表示部22aに表示させて、遊技者に現金と交換可能な金額を認識させることもできる。また、上記のように、貸出料金選択ボタン15が操作されると、対応して設定された交換率や貸出された一の遊技球を現金と交換させる金額を所定時間表示させるようになっている。
計数値表示部22bは、制御部5により点灯制御される7セグメントLEDなどの表示手段で構成され、計数値を表示する。
【0035】
玉貸ボタン24aは、遊技者によって操作される操作手段であり、貨幣投入口12から設定された貸出料金に対応する最低投入額以上の貨幣が投入されている場合、すなわち、記憶手段(RAM)に現金の残高が記憶されている場合に操作されると、操作信号が制御部5に入力され、制御部5が貸出装置7を制御することで、この貸出料金に応じた数量の遊技球がノズル14を介して貸出される。
例えば、貸出料金が1円で設定されているときには、最低投入額100円分に相当する遊技球100個が、貸出料金が2円で設定されているときには、最低投入額200円分に相当する100個が、貸出料金が4円で設定されているときには、最低投入額500円分に相当する遊技球125個が、各々一回の玉貸ボタン24aの操作によって貸出される。
【0036】
返却ボタン24bは、遊技者によって操作される操作手段であり、計数部20で計数された計数値がある場合、すなわち、記憶手段(RAM)に計数値が記憶されている場合に操作されると、操作信号が制御部5に入力され、制御部5が貸出装置7を制御することで、この計数値に相当する範囲内で遊技球が所定数単位(例えば、200個)に分けてノズル14を介して返却される。
【0037】
精算ボタン24cは、遊技の終了時に遊技者によって操作される操作手段であり、投入額表示部13に貨幣投入口12から投入された現金の残高がある場合と、計数部20で計数された計数値がある場合に操作されると、操作信号が制御部5に入力され、制御部5がICコインR/W3を制御することで、現金の残高、計数値、貸出料金、積算値、金額などの情報が記録されたICコイン70が返却(発行)される。
なお、この場合において、後述するように、計数部20で計数された計数値が、パチンコ機100から出力される所定の遊技信号に基づいて算出される遊技者が取得した遊技球数と一致しないときに、ICコイン70は発行されないため、パチンコ機100の上皿101や下皿102に滞留する遊技球を全て計数させる必要がある。
【0038】
離席ボタン24dは、遊技者が一時的に遊技中止する場合(例えば、トイレに行く場合や、食事休憩など)に操作される操作手段であり、投入額表示部13に貨幣投入口12から投入された現金の残高がある場合と、計数部20で計数された計数値がある場合に操作されると、操作信号が制御部5に入力され、制御部5が、所定時間、貸出料金選択ボタン15と、計数部20の計数を無効にするようになっている。また、このとき、玉貸ボタン24aと返却ボタン24bと精算ボタン24cの操作を無効にすることもできる。
この離席ボタン24dは、精算ボタン24cと同様な機能を有し、離席ボタン24dが操作されると、精算ボタン24cが操作された場合と同様な処理が行われ、一定の条件下において、ICコイン70が返却(発行)されるようになっている。
そして、返却したコインIDは記憶手段で記憶され、所定時間の経過、又は同じコインIDを有するICコイン70の投入により、上記の無効状態は解除される。
なお、後述の遊技場管理システムにおいて、他の遊技媒体管理装置1で、返却したコインIDを有するICコイン70の投入が検出された場合には、所定時間の経過を待たずに、その検出により無効状態を解除することもできる。
【0039】
異常解除ボタン24eは、異常計数時において、遊技場の店員に操作されることにより、操作信号が制御部5に入力され、制御部5が、異常状態を解除する操作手段である。
これにより、異常報知表示部21を消灯させ、異常計数時に出力させる異常報知音を停止させるなど、計数異常時に行われる計数異常処理を解除して、正常な状態に復帰させるようになっている。
スピーカ25は、制御部5により駆動制御される音声などを出力する出力手段であり、異常計数時には、異常報知音を出力するとともに、通常時には、各操作手段の操作方法などを音声で案内するように構成されている。
【0040】
次に、計数部20に設けられた遊技球を計数する構成について図3を用いて説明する。
計数部20は、遊技球Bを計数する構成として、投入口26、計数センサ2を備えている。
投入口26は、遊技球Bを投入可能に上方に開口され、パチンコ機100の下皿102から投下された遊技球Bを受入れるとともに、内部に設けられた計数センサ2に誘導するように構成されている。
詳細には、同図に示すように、投入口26に投入された遊技球Bは、計数センサ2に向かって傾斜する底面261を転動して、流路262を介して、計数センサ2を通過するとともに、連通口263を通じて、図示しない遊技機島に回収される。
【0041】
計数センサ2は、流路262に沿って下流側に位置する計数センサ2aと、上流側に位置する計数センサ2bの二つの計数センサが設けられ、各計数センサ2からの検出信号は、制御部5に入力される(図2参照)。制御部5は、計数センサ2aから入力される検出信号の入力数をカウントして、記憶手段(RAM)に計数値として記憶するようになっている。
このように、流路262に沿って二つの計数センサを設けることで、以下に示すように、制御部5が不正に計数値を増加させる計数異常を判定することができる。
【0042】
具体的には、遊技球Bが自然落下した場合には、計数センサ2bにより検出された後に、計数センサ2aに検出されることになるが、例えば、遊技球Bを糸で吊るし、何回も計数センサ2aだけに遊技球Bを検出させて計数値を不正に増加させる行為が行われたときには、計数センサ2bでは遊技球Bが検出されずに、計数センサ2aだけに検出されることになる。
そこで、制御部5は、計数センサ2aと計数センサ2bのそれぞれの検出数を比較し、不一致のときには、計数異常と判定するようになっている。
また、遊技球Bを糸で吊るして、計数センサ2に対して前後に移動させた場合において、計数センサ2aに遊技球Bを検出させた後、計数センサ2bが遊技球Bを検出したときは、遊技球Bが自然落下した場合と検出順序が異なる。
そこで、制御部5は、検出順序を監視し、計数センサ2bが遊技球Bせずに、計数センサ2aが先に検出したときには、計数異常を判定するようになっている。
また、計数センサ2aと計数センサ2bを遊技球Bの半径程度に接近させて配置し、二つの信号から遊技球の転動する方向に通過するとプラスの計数を行い、転動する方向と逆の方向に通過するとマイナスの計数を行うようにして、計数値の増加を困難にさせることで、上記の不正を防止することもできる。
【0043】
また、計数部20は、これらの計数異常のときに流路262を閉塞させる流路閉塞ソレノイド8を備えている。
流路閉塞ソレノイド8は、制御部5により制御させる駆動手段であり、通電により閉塞レバー8aを動作させ、流路262を閉塞するようになっている、これにより、制御部5が計数異常と判定したときに、遊技球Bを計数不能とすることができ、計数値の不正な増加を直ちに停止させることができる。
さらに、制御部5が計数異常と判定したときには、精算ボタン24cが操作されたとしても、ICコイン70の返却(発行)を禁止するようになっている。これにより、計数値の不正な増加を行う実利を喪失させることができる。
【0044】
また、本実施形態の遊技媒体貸出装置1は、パチンコ機100から遊技信号を受信可能に接続される通信部6を備えている(通信手段)。
パチンコ機100から出力される遊技信号には、当該パチンコ機100に投入された遊技球の投入数を示す投入信号(例えば、アウト信号)、当該パチンコ機100から払出された遊技球の払出数を示す払出信号(例えば、セーフ信号)のほか、大当り状態中に出力される大当り信号、一ゲーム毎に出力されるスタート信号などがある。
【0045】
本実施形態の通信部6には、投入信号と払出信号が入力されるようにパチンコ機100と接続され、制御部5は、これらの遊技信号と、記憶手段(RAM)に記憶されている貸出装置7を制御したときの貸出及び/又は返却した遊技球数とから当該パチンコ機100で取得された遊技球数を演算するようになっている。
具体的には、制御部5は、取得した遊技球数を次の演算式に基づき演算する。
取得した遊技球数=貸出・返却された遊技球数+払出(セーフ)信号の入力数−投入(アウト)信号の入力数
そして、制御部5は、以下に示すように、この取得した遊技球数と計数値とを比較し、この比較結果に基づいて貸出料金の変更及びICコイン70の発行を禁止するとともに、計数異常処理を行う。
【0046】
まず、制御部5は、上記の演算式に基づき、取得した遊技球数の値を判定し、取得した遊技球数がほぼゼロのときには、操作された貸出料金選択ボタン15に対応する貸出料金への変更を許容する。
これは、貸出・返却された遊技球数も含め、取得した遊技球数が全て当該パチンコ機100に投入された状態であり、遊技者は手持ちの遊技球がなく、新たに遊技球を買い足す状態、又は電源投入時の状態と判断できるため、特に他の貸出料金への変更を許容しても実害がないからである。
【0047】
また、制御部5は、取得した遊技球数と計数値とが所定の誤差範囲内(例えば、±10個)で一致するときには、操作された貸出料金選択ボタン15に対応する貸出料金への変更を許容する。
これは、取得した遊技球数をほぼ全て計数させた状態と判定できるため、特に他の貸出料金への変更を許容しても実害がないからである。
そして、この場合には、制御部5は、計数値を変更された他の貸出料金に対応する計数値に換算し、換算された計数値を、計数値表示部22bに表示するとともに、この計数値と変更された貸出料金との積を演算し、積算値を積算値表示部22aに表示する。
なお、前述した交換率が設定されているときには、計数値と変更された貸出料金と交換率との積からなる金額を表示してもよい。
さらに、返却ボタン24bが操作されたときには、換算された計数値の遊技球が貸出装置7からノズル14を介して送出され、その後は、変更された貸出料金において、遊技を行うことができるようになっている。
このように、本実施形態の遊技媒体貸出装置1は、遊技の途中において取得した遊技球数をほぼ全て計数させることで、異なる貸出料金に変更して遊技を行うことができる。
【0048】
一方、制御部5は、取得した遊技球数と計数値とが誤差範囲(例えば、±10個)を超えて一致しないときには、操作された貸出料金選択ボタン15に対応する貸出料金への変更を禁止する(選択禁止手段)。
これは、低い貸出料金で貸出された遊技球を元に遊技をした結果において取得した遊技球を、高い貸出料金で取得した遊技球として景品交換されることを防止するためである。
【0049】
具体的には、例えば、2円の貸出料金で貸出された遊技球を元に遊技をした結果、1000個の遊技球を取得した場合、1000個の有価価値は2000円であるが、この1000個が計数部20で計数されずに、貸出料金が例えば4円に変更されると、1000個の有価価値は4000円となり、遊技場が−2000円の損失を蒙ることになる。
また、この例において、貸出料金が例えば1円に変更されると、1000個の有価価値は1000円となり、遊技者が−1000円の損失を蒙ることになる。
そこで、このような事態を避けるため、取得した遊技球数と計数値とが誤差範囲を超えて一致しないときには、貸出料金への変更を禁止している。
これにより、遊技場のみならず、遊技者も損失を蒙ることなく、遊技を行うことができる。
【0050】
さらに、制御部5は、同様な理由から、取得した遊技球数と計数値とを比較して、計数値と取得した遊技球数とが所定の誤差範囲(例えば、±10個)を超えて一致しないときには、ICコイン70の発行(返却)を禁止している(発行禁止手段)。
これは、低い貸出料金で貸出された遊技球を元に遊技をした結果において取得した遊技球を、計数させずに、これを用いて、高い貸出料金が設定されている他のパチンコ機100で、遊技されることを防止するためである。
すなわち、例えば、計数値が取得した遊技球数より所定の誤差範囲を超えて少ないときに、ICコイン70の発行(返却)を許容すると、低い貸出料金で取得した遊技球のうち計数されない残りの遊技球を用いて、高い貸出料金が設定されている他のパチンコ機100で、遊技されるおそれがある。
そこで、このような事態を避けるため、取得した遊技球数と計数値とが誤差範囲を超えて一致しないときには、精算ボタン24cが操作されてもICコイン70の発行(返却)を禁止している。
これにより、遊技場に損失を与えることなく、遊技媒体貸出装置1を運用することができる。
【0051】
さらに、制御部5は、この場合において、取得した遊技球数と計数値と比較して、計数値が取得した遊技球数より所定の誤差範囲(例えば、10個)を超えて多いときに、計数異常と判定して、計数異常処理を実行するようになっている。
通常の遊技において、計数値が取得した遊技球数より多くなることはあり得ず、計数値が取得した遊技球数より多いときとは、例えば、正常に遊技球を計数させずに、遊技球を糸で吊るし、計数センサ2aに擬似的に遊技球を検出させて計数値を不正に増加させた場合である。
そこで、制御部5は、取得した遊技球数と計数値を監視し、誤差範囲を超えて計数値が増加したときに、計数異常と判定する。
【0052】
そして、計数異常と判定したときには、前述した各計数センサ2からの検出信号に基づく計数値が不一致となったときと、計数センサ2bより先に計数センサ2aから検出信号が入力されたときと同様に、制御部5は、異常報知表示部21と、スピーカ25を駆動制御して、計数異常を報知するとともに、流路閉塞ソレノイド8を制御して、閉塞レバー8aを動作させる。また、ICコイン70の発行(返却)も禁止するとともに、通信部6を介して、外部に計数異常信号を出力するようになっている。
なお、このような計数異常は、異常解除ボタン24eを操作することで解除することができる。
【0053】
このように、本実施形態の遊技媒体貸出装置1は、計数値と、パチンコ機100から出力される遊技信号に基づいて算出される遊技者が取得した遊技球数とを比較し、この比較結果に基づいて貸出料金の変更及びICコイン70の発行を禁止するとともに、計数異常処理を行うことで、一定の条件下において異なる貸出料金への変更を禁止しつつ、自由な貸出料金で遊技が行うことができるよう適正な運用が図られるようになっている。
【0054】
次に、このような遊技媒体貸出装置1を適用した遊技場管理システムについて説明する。
図4は、遊技媒体貸出装置1が適用される遊技場管理システムの構成を示し、図5は、この遊技場管理システムの各装置間において送受される信号を示す説明図である。
これらの図に示すように、この遊技場管理システムは、各々コンピュータからなる管理装置50と景品交換装置60とを備え、ネットワークを介して、複数の遊技媒体貸出装置1とパチンコ機100とを管理するように構成されている。
【0055】
遊技媒体貸出装置1とパチンコ機100は、中継情報処理装置からなる台コンピュータ30を介して接続されている。これにより、遊技媒体貸出装置1は、通信部6を介して投入信号と払出信号を受信して取得した遊技球数を算出するとともに、取得した遊技球数と計数値とを比較し、比較結果に基づいて前述した貸出料金の変更及びICコイン70の発行の禁止と、計数異常処理を行うようになっている。
【0056】
管理装置50は、台コンピュータ30及び中継情報処理装置からなる島コンピュータを介して遊技媒体貸出装置1と通信可能に接続された外部の記憶手段として構成され、遊技媒体貸出装置1から送信されるICコイン70のコインID毎に、積算値を記憶する。
これにより、以下に示すように、ICコイン70に積算値を記録することなく、全ての遊技媒体貸出装置1において、各ICコイン70の積算値を共有することができる。
【0057】
すなわち、ICコイン70の発行時において、遊技媒体貸出装置1は、コインIDと積算値を管理装置50に送信し、管理装置50にコインID毎の積算値を記憶させる。
そして、遊技媒体貸出装置1は、ICコイン70が投入されたときに、コインIDを管理装置50に送信して、このコインIDに対応する積算値を管理装置50から返送させる。
これにより、遊技媒体貸出装置1と通信可能に接続された管理装置50が、ICコイン70毎の積算値を一括して管理することから、ICコイン70に積算値のみならず、計数値、貸出料金、現金の残高を記憶させる必要がなくなり、記憶された情報を改ざんするような不正を排除することができ、セキュリティの向上が図られる。
なお、積算値に代えて、貸出料金と計数値と前述の交換率との積からなる金額としてもよい。
【0058】
また、管理装置50は、ホールコンピュータとして構成され、パチンコ機100からの投入(アウト)信号、払出(セーフ)信号、大当り信号、スタート信号を収集して遊技データを管理するとともに、遊技媒体貸出装置1から送信される貸出された遊技球数を示す貸玉信号を受信して、パチンコ機100毎の売上げを管理している。
また、遊技媒体貸出装置1から送信される計数異常信号を受信して、店員や遊技場管理者に計数異常に係る不正行為を報知するようになっている。
【0059】
景品交換装置60は、管理装置50と通信可能に接続され、管理装置50が管理するICコイン70毎の積算値を受信して、所定の景品交換処理を行うPOS装置として構成されている。
景品交換装置60は、ICコインR/W3と同様な機能を有するICコインリーダ60aを備えており、遊技者から提示されるICコイン70を店員がこのICコインリーダ60に投入することで、ICコイン70からコインIDを読取るとともに、このコインID管理装置50に送信して、このコインIDに対応する積算値を管理装置50から返送させ、この積算値に基づいて、景品交換処理を行うようになっている。
【0060】
景品交換処理では、現金との交換可能な特殊景品数の算出、たばこ等の商品景品に対応する景品数の算出を行う。
現金との交換可能な特殊景品数を算出する場合において、等価交換の遊技場では、積算値は現金と同じ扱いができることから、積算値に対応する特殊景品数を遊技者に渡せば足り、新たな演算処理を行う必要がないため、処理負担が軽減される。
また、等価交換でなく、現金と交換するときの交換率が貸出料金にかかわらず一律の場合には、管理装置50にこの交換率を記憶させ、管理装置50から積算値に交換率を乗じた値を返送させることもできる。
なお、この場合において、管理装置50がこの交換率を各遊技媒体貸出装置1に送信し、各遊技媒体貸出装置1が記憶する積算値に代えて、交換率を乗じた金額を記憶するとともに、この値を積算値表示部22bに表示させることもできる。
これにより、遊技者は、計数された計数値を現金と交換したときの有価価値を一目で認識できる。
また、管理装置50において、貸出料金毎の交換率の値を遊技媒体貸出装置1毎に個別に設定するとともに、遊技媒体貸出装置1に送信して各記憶手段に記憶させ、交換率を乗じた金額を積算値表示部22bに表示させることもできる。
【0061】
次に、遊技媒体貸出装置1において実行される貸出料金の変更処理と、ICコイン70の発行処理と、ICコイン70の読取処理について説明する。
図6は、遊技媒体貸出装置1において実行される貸出料金の変更処理を示すフローチャートであり、図7は、遊技媒体貸出装置1において実行されるICコイン70の発行処理を示すフローチャートである。また、図8は、遊技媒体貸出装置1において実行されるICコイン70の読取処理を示すフローチャートである。
【0062】
図6は、設定されている貸出料金と異なる貸出料金に対応する貸出料金選択ボタン15が操作されたときの貸出料金の変更処理を示している。
まず、同図に示すように、記憶手段(RAM)に記憶されている計数値の有無を判定し(S10)、計数値がないときには、処理を終了し(S10−No)、計数値があるときには(S10−Yes)、前述した演算式に基づき、取得した遊技球数を算出する(S11)。
そして、取得した遊技球数と計数値とを比較して(S12)、所定の誤差範囲内(例えば、±10個)で一致するときには(S12−Yes)、記憶する計数値を操作された異なる貸出料金に対応する計数値に換算し(S13)、換算した計数値を計数値表示部22bに表示する(S14)。
そして、返却ボタン24bが操作されると、この計数値に相当する遊技球数を返却して遊技を行うことができ、遊技の途中でも、貸出料金を変更することができる。
一方、誤差範囲を超えて一致しないときには(S12−No)、操作された貸出料金選択ボタン15に対応する貸出料金への変更を禁止する(S15)。このときには、取得した遊技球を全て計数させるように、スピーカ25を駆動させて、所定の音声案内を出力させることもできる。
【0063】
次に、ICコイン70の発行処理について図7を用いて説明する。
図7は、精算ボタン24cが操作されたときのICコイン70の発行処理を示している。
まず、同図に示すように、記憶手段(RAM)に記憶されている計数値の有無を判定し(S20)、計数値がないときには(S20−No)、処理を終了する。なお、計数値がなく、残高があるときには、ICコイン70を発行(返却)する。
残高の有無にかかわらず計数値があるときには(S20−Yes)、前述した演算式に基づき、取得した遊技球数を算出する(S21)。
そして、取得した遊技球数と計数値とを比較して(S22)、所定の誤差範囲内(例えば、±10個)で一致するときには(S22−Yes)、読取ったコインIDと積算値を管理装置50に送信し(S23)、ICコイン70を発行(返却)する(S24)。
なお、この場合において、積算値に代えて、金額や、計数値と貸出料金を送信することもできる。
一方、誤差範囲を超えて一致しないときには(S22−No)、ICコイン70の発行を禁止する(S25)。さらに、この不一致が取得した遊技球数より計数値のほうが多いか否かを判定し(S26)、多い場合には(S26−Yes)、計数異常とし、異常報知表示部21と、スピーカ25を駆動制御して、計数異常を報知するとともに(S27)、流路閉塞ソレノイド8を制御して、閉塞レバー8aを動作させ、計数を禁止し、管理装置50に計数異常信号を送信する(S28)。この場合、計数センサ2からの検出信号を無効としてもよい。
一方、取得した遊技球数より計数値のほうが少ない場合には(S26−No)、取得した遊技球を全て計数させるように、スピーカ25を駆動させて、所定の音声案内を出力させる。
なお、残高は、ICコイン70を所定の現金払戻(精算)装置に投入することで、払戻すことができる。
【0064】
次に、ICコイン70の読取処理について図8を用いて説明する。
図8は、ICコイン投入・返却口16にICコイン70が投入されたときのICコイン70の読取処理を示している。
まず、遊技媒体貸出装置1は、ICコイン70から読取ったコインIDを、管理装置50に送信する(S30)、その結果、管理装置50は、このコインIDに対応する積算値を取得して遊技媒体貸出装置1に送信する。遊技媒体貸出装置1はこの積算値を受信し(S31)、受信した積算値が、記憶手段(RAM)に記憶され、積算値表示部22aに表示される(S32)。なお、この場合において、管理装置50は、積算値に代えて、金額や、計数値と貸出料金を送信することもできる。
そして、いずれかの貸出料金選択ボタン15が操作されると、換算手段が、対応する貸出料金に基づいて、計数値を算出し、この計数値が計数値表示部22bに表示されるとともに、返却ボタン24bが操作されると、この計数値に相当する遊技球数を返却して遊技を行うことができる。このように、ICコイン70を媒体として、他の遊技媒体貸出装置1にICコイン70を投入することで、取得した遊技球数を、異なる貸出料金に換算して遊技を行うことができる。
【0065】
また、管理装置50は、離席ボタン24dが操作されたときに遊技媒体貸出装置1から送信される離席信号を受信したときには、一定時間内において、他のICコイン70が投入されて、当該遊技媒体貸出装置1から他のコインIDを受信したとしても、同じコインID以外が送信されない限り、他のコインIDに対応する積算値を送信しないようになっている。これにより、少しの間離席する遊技者を優先させることができ、遊技者の利便性が図られる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る遊技媒体貸出装置1によれば、同じ遊技機での遊技の途中や、他の遊技機に移った場合でも、取得した遊技媒体を異なる貸出料金に換算して遊技を継続できる。
【0067】
以上、本発明の遊技媒体貸出装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る遊技媒体貸出装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0068】
例えば、本実施形態では、遊技媒体貸出装置1は、現金を投入して遊技球が貸出される現金玉貸機として構成したが、プリペードカードを投入することで、遊技媒体が貸出させるカード式玉貸機や、貯玉会員カードを投入することで、貯玉が返却される玉貸機にも適用できることはいうまでもない。
また、遊技媒体として遊技球を使用する玉貸機に限らず、メダルを貸出すメダル貸機にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、遊技場に設置されている技媒体貸出装置に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 遊技媒体貸出装置
10 貸出・返却部
20 計数部
50 管理装置
60 景品交換装置
70 ICコイン
100 パチンコ機(遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を貸出す貸出手段と、遊技機で取得した遊技媒体を計数する計数手段と、この計数手段で計数された遊技媒体を返却する返却手段と、を備える遊技機毎に設置される遊技媒体貸出装置であって、
前記貸出手段により貸出される一遊技媒体のあたりの貸出料金が複数設定されるとともに、遊技者の操作により、複数の貸出料金から一の貸出料金を選択可能な貸出料金選択手段と、
前記一の貸出料金で貸出された遊技媒体を元にして当該遊技機で取得され、前記計数手段で計数された遊技媒体数を、他の貸出料金に対応する遊技媒体数に換算する換算手段と、が設けられ、
前記返却手段は、前記貸出料金選択手段において他の貸出料金が選択されたときに、前記換算手段が換算した遊技媒体数を返却することを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
前記計数手段で計数された計数値が、遊技機から出力される所定の遊技信号に基づいて算出される遊技者が取得した遊技媒体数と一致しないときに、前記貸出料金選択手段による他の貸出料金への変更を禁止する選択禁止手段を備える請求項1記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項3】
前記貸出料金と、前記計数手段で計数され、この貸出料金に対応する計数値とが記録された所定の記録媒体を機外に発行するとともに、機内に投入された前記記録媒体から、前記貸出料金と前記計数値とを読取る記録媒体発行・読取手段を備え、
前記換算手段は、前記記録媒体発行・読取手段により読取られた前記貸出料金と前記計数値に基づいて他の貸出料金に対応する遊技媒体数を換算する請求項1又は2記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項4】
固有IDが記録された所定のID記録媒体を機外に発行し、機内に投入された前記ID記録媒体から固有IDを読取る固有ID発行・読取手段と、
前記貸出料金と、前記計数手段で計数され、この貸出料金に対応する計数値とを前記固有ID毎に記憶する外部記憶手段と通信可能に接続され、前記固有ID発行・読取手段による発行及び読取毎に前記固有IDとこれに対応する前記貸出料金と前記計数値とを送受する通信手段と、を備え、
前記換算手段は、前記固有IDに対応して前記通信手段により受信した前記貸出料金と前記計数値に基づいて他の貸出料金に対応する遊技媒体数を換算する請求項1又は2記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項5】
前記計数手段で計数された計数値が、遊技機から出力される所定の遊技信号に基づいて算出される遊技者が取得した遊技媒体数と一致しないときに、前記記録媒体発行・読取手段又は固有ID発行・読取手段による記録媒体の発行を禁止する発行禁止手段を備える請求項3又は4記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項6】
前記貸出料金と前記計数値に代えて、前記貸出料金と前記計数値との積からなる積算値を用いるとともに、前記換算手段は、前記積算値から他の貸出料金に対応する遊技媒体数を換算する請求項3又は4記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項7】
前記計数値に対応する遊技媒体を現金と交換するための交換率を前記複数の貸出料金毎に任意な値に設定する交換率設定手段を備え、
前記貸出料金と前記計数値に代えて、前記貸出料金と前記計数値と前記交換率との積からなる金額を用いるとともに、前記換算手段は、前記金額から他の貸出料金に対応する遊技媒体数を換算する請求項3又は4記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項8】
前記貸出料金と前記計数値との積算値を表示する所定の表示手段を備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項9】
前記表示手段は、前記積算値に代えて、前記計数値に対応する現金と交換可能な金額を表示する請求項8記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項10】
前記計数手段で計数された計数値が、遊技機から出力される所定の遊技信号に基づいて算出される遊技者が取得した遊技媒体数より所定数以上多いときに、所定の処理を行う計数異常処理手段を備える請求項1〜9のいずれか一項に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項11】
前記計数異常処理手段は、前記計数手段による計数を禁止させる請求項10記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項12】
前記計数異常処理手段は、計数異常を外部に報知する請求項10又は11記載の遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−253146(P2010−253146A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108786(P2009−108786)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】