説明

遊技機の入賞球抽選装置

【課題】遊技機の抽選機構(振り分け機構)の構造が大当たり入賞口に入賞しやすい構造となっている場合でも、大当たり当選確率が不適切な程度に高まることを防止する遊技機の入賞球抽選装置を提供する。
【解決手段】遊技機の入賞球抽選装置であり、遊技機の遊技盤面上に打ち出された遊技球を導入し、入賞状態とする導入部と、供給される遊技球を抽選する抽選部と、導入部によって入賞状態とされた遊技球を貯留する貯留部と、からなり、貯留部は、貯留した遊技球のうち先頭位置にある遊技球を除く遊技球を抽選部に供給する。貯留部は、複数の遊技球を整列して貯留する貯留溝部と、貯留溝部の最先位置に設けられた排出口と、抽選部に向かって傾斜する傾斜面と、排出口の上方を経由して貯留溝に対して出没自在な磁石片と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ機等の弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の一種として始動入賞口への入賞を契機としていわゆる羽根と称される可動入賞装置が所定回数開放して、この間に遊技盤の略中央部に設けられた中央役物装置内部へ遊技球を侵入させ、中央役物装置内部に設けられた大当たり入賞口に入賞させることを競うものが知られている。中央役物装置内部に侵入した遊技球は、大当たり抽選の対象となり、中央役物装置内部に設けられた振り分け機構によって大当たり入賞口又ははずれ口のいずれかに振り分けられる。振り分け機構は、回転体等の可動部を有するもの、ステージ機構によるもの等その態様は様々であるが、一般的には、大当たり入賞口に入賞する確率がはずれ口に入賞する確率よりも低くなるように構造設計がなされており、容易に大当たり入賞口には入賞しないようになっている。大当たり入賞口に入賞すると遊技状態は、所定の大当たり遊技状態に移行し、大当たり遊技期間中は、遊技者は多数の遊技球を獲得する機会が与えられる。
【特許文献1】特開2003−250993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
振り分け機構の構造上大当たり入賞が極めて困難なものとなっていると、大当たり遊技に移行する機会が少なくなるので、遊技の興趣を損ないかねない。そこで、振り分け機構の構造を大当たり入賞口に入賞し易い構造とすることで、大当たり当選確率は高くなり遊技者の期待感、高揚感を増すことができる。しかしながら、振り分け機構の構造を単に大当たり入賞口に入賞し易い構造とするだけでは、大当たり当選確率が不適切な程度に高まることとなる。従って、この場合、大当たり当選確率を一定値以下に保つ何らかの機構が必要となる。
【0004】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、遊技機の抽選機構(振り分け機構)の構造が大当たり入賞口に入賞しやすい構造となっている場合でも、大当たり当選確率が不適切な程度に高まることを防止する遊技機の入賞球抽選装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る遊技機の入賞球抽選装置は、遊技機の入賞球抽選装置であって、前記遊技機の遊技盤面上に打ち出された遊技球を導入し、入賞状態とする導入部と、供給される遊技球を抽選する抽選部と、前記導入部によって入賞状態とされた遊技球を貯留する貯留部と、からなり、前記貯留部は、貯留した遊技球のうち先頭位置にある遊技球を除く遊技球を前記抽選部に供給することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しつつ説明する。尚、以下に示す図において、実質的に同一又は等価な構成要素、部分には同一の参照符を付している。
【0007】
図1は本発明の入賞球抽選装置100を搭載したパチンコ機10の概略の正面図である。パチンコ機10は、本体基部となる本体枠11と、本体枠11の内部に配置された遊技盤12と、遊技盤12の前方に設けられていて本体枠11に対して開閉自在な前面枠13と、を有する。遊技盤12は、その盤面上にガイドレール14で囲まれた遊技領域12aを備えており、かかる遊技領域12aに向けて遊技球が打ち出される。
【0008】
前面枠13の下方には、下扉枠15が設けられている。下扉枠15には、遊技者が保有する遊技球を収容する受け皿15aが設けられ且つ遊技球の発射の制御及び発射強度を制御するための操作ハンドル16が設けられている。操作ハンドル16は、パチンコ機10の右側部に配置されておりかつ遊技者が握りやすいように下扉枠15の表面高さから突出している。操作ハンドル16には、人体が触れることに応答して接触信号を生成する接触検知センサ(図示せず)が設けられている。当該接触検知センサから出力される接触信号は、パチンコ機10の背面側に設けられた制御装置(図示せず)に入力される。
【0009】
また、操作ハンドル16には、所定の角度範囲内で回動自在な打出調整部17が設けられている。打出調整部17は、パチンコ機10の背面側に設けられた遊技球の発射装置(図示せず)を駆動せしめる操作スイッチになっており、打出調整部17を基準位置から時計回り方向に回動せしめることによって該発射装置が作動するようになっている。打出調整部17は、バネ等の弾性体により反時計回り方向への付勢力が付与されており、待機状態においては基準位置に位置している。基準位置とは打ち出し調整部17の回動量がゼロである位置のことであり、かかる基準位置に打出調整部17が位置している場合には、遊技球は打ち出されないようになっている。
【0010】
遊技盤12には、遊技球の流下方向を変化せしめる多数の遊技釘23が植設され、更には、風車24等の障害物が設けられている。また、遊技盤12の最下部には入賞しなかった遊技球を回収するアウト口(図示せず)が設けられている。
【0011】
遊技盤12の略中央には、凹状空間25が形成されており、この凹状空間25内において本発明の入賞球抽選装置100が設けられている。入賞球抽選装置100は、その内部への遊技球の侵入許否を振り分ける可動羽根20と、供給される遊技球を複数の経路に振り分け、当該振り分け結果に応じて遊技状態の変化をもたらす抽選部30と、可動羽根20を通過して入賞球抽選装置100内部に侵入した遊技球を一時的に貯留して、貯留された遊技球の一部を抽選部30に供給する貯留部40と、を含む。
【0012】
遊技盤12の下方には、始動入賞口21が設けられており、その内部には、始動入賞口通過センサ(図示せず)が設けられている。遊技球が始動入賞口21に入賞すると、始動入賞口通過センサによって入賞したことが検知され、所定数の賞球がパチンコ機10から払い出されるとともに可動羽根20が所定回数の開閉動作を行う。遊技球は、可動羽根20の開放期間にのみ入賞球抽選装置100内部へ侵入することが可能となる。
【0013】
次に、本発明の入賞球抽選装置100の構成について以下に詳述する。図2は、入賞球抽選装置100の斜視図を示したものである。遊技球を入賞球抽選装置100内部へ導入するための導入部としての可動羽根20は、軸部20aを回転中心として回動自在に設けられており、開放位置若しくは閉鎖位置に位置決めされる。可動羽根20は、例えばソレノイド(図示せず)により駆動することとしてもよい。可動羽根20が開放位置にあるときは、入賞球抽選装置100内部への導入経路が開放状態となり、遊技盤上を流下する遊技球はこの開放期間においてのみ入賞球抽選装置100内部に侵入することが可能となる。尚、可動羽根20が開放している期間に入賞球抽選装置100内部に侵入した遊技球は可動羽根通過センサ(図示せず)によって検知され、検出信号が後述するメインコントローラに供給されるようになっている。可動羽根20を通過し、入賞球抽選装置100内部に導入された遊技球は入賞状態とされる。尚、可動羽根20の開放期間は、約1秒程度と短時間であるため、可動羽根20の1回の開放で入賞球抽選装置100内に侵入する遊技球は概ね3個以下となる。
【0014】
可動羽根20を通過して入賞球抽選装置100内に導入された遊技球は、案内通路50の上流に導かれる。案内通路50は、可動羽根20と貯留部40の間に設けられ、可動羽根20より導入された遊技球をその下流に設けられた貯留部40に導く。尚、案内通路50は、可動羽根20を通過した遊技球を貯留部40に導くものであればいかなる形態であってもよく、例えば遊技球が脱落しないように樋状に形成され、貯留部40に遊技球を導く経路が蛇行或いは屈曲していてもよい。
【0015】
抽選部30は、例えば、凹部空間25内の底面に設けられたすり鉢状凹部31と、その底面に形成された複数の入賞口32〜34によって構成される。貯留部40から抽選部30に遊技球が供給されると、遊技球は、凹部31の壁面に沿って旋回しつつその底面に導かれ、入賞口32〜34のいずれかに入賞することとなる。例えば、これらの入賞口32〜34のうちのいずれか1つは、大当たり入賞口となっており、他の2つははずれ口となっている。遊技球が大当たり入賞口に入賞するとその内部に設けられた入賞検知センサ(図示せず)により入賞が検知され、遊技状態が遊技者にとって有利な大当たり状態に移行する。大当たり遊技は、所定の終了条件が成立するまで継続し、遊技者は大当たり遊技期間中に多数の遊技球を獲得する機会が与えられる。一方、遊技球がはずれ口に入賞した場合には、所定数の遊技球が払い出されるのみで、大当たり遊技は実行されない。つまり、抽選部30は、供給される遊技球を大当たり入賞口又ははずれ口のいずれかに振り分けて、当該振り分け結果に応じて遊技状態の変化をもたらす。換言すれば、抽選部30によってもたらされる遊技球の振り分け作用により、大当たり抽選がなされているといえる。尚、上記した抽選部30の構成は例示にすぎず、大当たり入賞口とはずれ口のいずれかに遊技球を振り分ける形態のものに限らず、遊技状態に変化を与えるか否かの抽選を行う機構が構成されていればいかなる形態であってもよい。
【0016】
貯留部40は、可動羽根20および案内通路50を経由して入賞状態とされた遊技球を一次貯留し、貯留している遊技球の一部を抽選部30に供給し、抽選部30には供給しない他の貯留球を排出口41に排出する。すなわち、入賞球抽選装置100内に導入され、入賞状態とされた遊技球の一部のみが抽選部30による大当たり抽選の対象となり、他の遊技球は排出口41に収容され大当たり抽選の対象外とされる。
【0017】
案内通路50を経由して貯留溝42に導かれた遊技球は、貯留溝42内に貯留される。貯留溝42はその両側に壁部43および44が設けられており、貯留溝42内に貯留状態となっている遊技球が脱落しないようになっている。貯留溝42は、前方に向けて下り傾斜が形成されており、貯留溝42に導かれた遊技球は、前方に向けて転動するようになっている。貯留溝42は、遊技球1個が通過できる程度の幅で形成されており、図2に示すように遊技球は、入賞球抽選装置100内に導入された順に整列した状態で貯留溝42に貯留される。
【0018】
貯留溝42の最先位置には、貯留溝42の伸長方向に交差する方向であり且つ抽選部30に向けて下り方向の傾斜面46が形成されている。つまり、貯留溝42に導かれた遊技球は、貯留溝42を前方に向けて転動し、傾斜面46に沿って抽選部30に導かれることとなる。また、傾斜面46の頂上であって貯留溝42の伸長方向からやや側方にずれた位置には、排出口41が設けられている。排出口41の上方には、排出口41の直上を横切って移動し、貯留溝42に対して出没自在に設けられた磁石片45bと、磁石片45bを収容する筒状構造を有する鞘部45aとを含む排出制御機構45が設けられている。すなわち、磁石片45bは排出溝41の直上を横切って貯留溝42の伸長方向と交差する方向において直線的にスライドし、その先端部が鞘部45a内に収容される収容位置又は貯留溝42内に出現する突出位置に位置決めされる。鞘部45aは、その先端部が排出口41の上方に位置するように固定される。
【0019】
図3(a)および(b)に排出制御機構45の駆動部を含めた構造例を示す。排出制御機構45はソレノイド60に接続される。ソレノイド60は、ボビン61と、強磁性体からなる可動子62と、可動子62と対向配置された固定子63と、ボビン61に巻かれ可動子62および固定子63の周囲に配設されたコイル64と、可動子62の中央部内を貫挿して固定されているシャフト65と、シャフト65が貫挿されるとともに可動子62と固定子63との間に縮設されて可動子62を固定子63から離間する方向に反発力を付与するスプリング66と、コイル64により発生した磁気を効率よく通す磁気回路を構成する強磁性体からなるフレーム67と、から構成される。排出制御機構45の磁石片45bは、可動子62の先端部に連結される。ソレノイド60は、可動子62を固定子63に対して押し出し若しくは吸引せしめることにより、磁石片45bを固定された鞘部45aに対して直線移動せしめる。
【0020】
ここで、図3(a)は、磁石片45が突出位置にあるときの状態を示し、図3(b)は、収容位置にあるときの状態を示している。後述の駆動回路よりコイル64に励磁電流を流すことにより磁界が発生し、固定子63と可動子62との間に吸引力が発生する。この吸引力により、可動子62はスプリング66の反発力に抗して固定子63側に引き付けられ、可動子62に接続された磁石片45bが収容位置に位置決めされる(図3(b))。一方、コイル64に対する励磁電流の供給を停止させると、吸引力は発生しないためスプリング66の反発力により可動子62は固定子63から離間する方向に突出し、磁石片45は突出位置に位置決めされる(図3(a))。このように磁石片45bは、ソレノイド60のコイル64に供給される励磁電流を制御することにより位置決め制御がなされる。
【0021】
図4(a)〜(c)は、排出制御機構45の動作および、排出制御機構45の動作によってもたらされる遊技球の動作を段階的に示した斜視図である。以下、図4を参照しつつ貯留部40に貯留された遊技球の動作について説明する。排出制御機構45は、初期状態においては磁石片45bが突出位置に位置決めされる。すなわち、磁石片45bの先端部が、貯留溝42の最先位置における遊技球の通過経路上に位置するように位置決めがなされる。可動羽根20を通過した複数の遊技球は、貯留溝42に順次導かれ、貯留溝42内をその傾斜に沿って前方に向かって転動する。先頭位置の貯留球はその磁力によって磁石片45bに吸着し、転動を停止させる。後続の遊技球は先頭位置の貯留球によって進路が塞がれるので、貯留溝42内に滞留し、貯留溝42内に貯留される(図4(a))。
【0022】
この状態から磁石片45bが収納位置に位置決めされると、磁石片45bに吸着した遊技球は、吸着した状態を維持しつつ磁石片45bと一体的に移動する。これにより、先頭位置の貯留球が遊技球の通過経路上から取り除かれ進路が開放されるので、後続の遊技球すなわち2番目以降の貯留球は、貯留溝42の最先位置に設けられた傾斜面46に沿って転動し、抽選部30に導かれる(図4(b))。
【0023】
磁石片45bに吸着した遊技球は、磁石片45bが鞘部45a内部に収容されると、鞘部45aの端面と干渉し、磁石片45bとともに移動することができなくなるため、磁石片45bから離脱する。遊技球の離脱位置の下方には、排出口41が設けられており、磁石片45bから離脱した遊技球は、離脱位置から落下して排出口41に収容されることとなる(図4(c))。
【0024】
このように、貯留部40に貯留された遊技球のうち、先頭位置の貯留球のみ排出制御機構45により排出口41に導かれ、それ以外の後続の貯留球は抽選部30に導かれ大当たり抽選の対象とされる。つまり、貯留部40は、貯留した遊技球のうち先頭位置にある遊技球を除く遊技球を抽選部30に供給するのである。
【0025】
次に、図5に本発明の入賞球抽選装置100の動作制御を行う制御系のブロック図を示す。メインコントローラ200は、入賞球抽選装置100の動作制御を司る部分であり、高速演算処理をなすCPU、該CPUが実行する動作プログラムを格納したROM、該CPUの処理事項を一時的に記憶するRAMにより構成される。メインコントローラ200には、始動入賞口通過センサ201、可動羽根通過センサ202からの各検出信号が供給される。メインコントローラ200は、これらの検出信号に基づいて、可動羽根駆動用ソレノイド205に駆動信号(励磁電流)を供給する駆動回路203、または排出制御機構45の磁石片45bを駆動するためのソレノイド60に駆動信号(励磁電流)を供給する駆動回路204に制御信号を供給し、可動羽根20および排出制御機構45の動作制御を行う。駆動回路203、204は、かかる制御信号に応じて各ソレノイドに駆動信号(励磁電流)を供給し、可動羽根20および排出制御機構45を駆動する。
【0026】
図6は、メインコントローラ200が行う入賞球抽選装置100の動作プログラムのフローチャートである。以下、図6のフローチャートを参照しつつ入賞球抽選装置100の動作について説明する。メインコントローラ200は、パチンコ機10の起動時にソレノイド60を駆動する駆動回路204に排出制御機構45を初期位置に設定すべき制御信号を供給する。これにより、駆動回路204はソレノイド60に対する励磁電流の供給は行わず、排出制御機構45の磁石片45bは初期位置である突出位置に位置決めされる(ステップS1)。
【0027】
次にメインコントローラ200は、遊技球が始動入賞口21に入賞したか否かを判断する(ステップS2)。始動入賞口21に遊技球が入賞すると、始動入賞口通過センサ201からメインコントローラ200に向けて検出信号が供給される。メインコントローラ200は、かかる検出信号に基づいて始動入賞口21への遊技球の入賞を認識する。
【0028】
メインコントローラ200は、遊技球が始動入賞口21に入賞したことを認識すると、駆動回路203に制御信号を供給する。これに応じて駆動回路203は可動羽根駆動用ソレノイド(図示せず)に駆動信号(励磁電流)を供給し、可動羽根20を所定期間に亘って所定回数だけ開放状態に駆動する(ステップS3)。遊技球が可動羽根20の開放期間内に可動羽根20を通過して入賞球抽選装置100内部に導入されると、可動羽根通過センサ202からメインコントローラ200に向けて検出信号が供給される。当該開放期間中に可動羽根20を一番初めに通過した遊技球は、案内通路50を経由して貯留溝42の最先位置まで導かれ、磁石片45に吸着する。可動羽根開放期間内に複数の遊技球が入賞球抽選装置100内に導入された場合には、遊技球は導入された順に整列した状態で貯留溝42内に貯留される。
【0029】
次に、メインコントローラ200は、可動羽根通過センサ202から検出信号の供給を受けた時点から所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS4)。つまり、可動羽根20の開放期間中に遊技球が可動羽根を通過した時点から時間計測がスタートし、所定期間のカウントが行われる。所定期間は、例えば遊技球が可動羽根20を通過してから案内通路50を経由して貯留溝42に貯留されるまでに要する時間よりも長い時間に設定される。すなわち、この所定期間によって入賞球抽選装置100内に導入された遊技球を貯留溝42に貯留する時間が確保される。尚、所定期間の起算点は、遊技球が始動入賞口を通過した時点であってもよい。
【0030】
メインコントローラ200は、ステップS4において所定期間が経過したと判断した場合には、排出制御機構45の磁石片45bを収容位置に位置決めすべき制御信号を駆動回路204に供給する。かかる制御信号に基づいて駆動回路204は、ソレノイド60を構成するコイル64に駆動信号(励磁電流)を供給する。これにより、ソレノイド60の可動子62は固定子63に吸引され、可動子62に接続された磁石片45bは鞘部45a内に収容される(ステップS5)。磁石片45bに吸着した遊技球は、磁石片45bに吸着された状態で磁石片45bとともに移動し、鞘部45aとの干渉によって磁石片45bから離脱する。磁石片45bから離脱した遊技球は、離脱位置から落下し、その下方に位置する排出口41に収容される。一方、後続の遊技球は、傾斜面46に沿って転動し抽選部30に導かれる。
【0031】
メインコントローラ200は、磁石片45bを収容位置に位置決めした後、磁石片45bを突出位置に位置決めすべき制御信号を駆動回路204に供給する。かかる制御信号に応じて駆動回路204は、ソレノイド60への駆動信号(励磁電流)の供給を停止させる。これにより、可動子62と固定子63との間に吸引力が働かなくなるためソレノイド60を構成するスプリング66の反発力により可動子62は固定子63から離間し、可動子42に接続された磁石片45bを再び突出位置に位置決めし(ステップS6)、本ルーチンを終了させる。
【0032】
以上の説明から明らかなように、本発明の入賞球抽選装置によれば、可動羽根を通過して入賞状態とされた遊技球が貯留部に整列した状態で貯留され、貯留された遊技球のうち先頭位置にあるもののみが排出口に排出され抽選部による大当たり抽選の対象外とされ、2番目以降に貯留された遊技球が抽選部に供給され抽選の対象とされるので、抽選部の構造が大当たり入賞口に入賞しやすい構造となっていた場合でも、入賞状態とされた遊技球の当選確率が不適切な程度に高まることを防止することが可能となる。つまり、可動羽根を通過して入賞状態となった遊技球のうち抽選部による抽選の対象となる遊技球は、その前段に設けられた貯留部によって選別されるので、当選確率は一定値以下に保たれるのである。また、入賞球抽選装置内部に導入された遊技球は、一旦貯留部で貯留されるので、例えば抽選部が回転役物によって構成され、大当たり入賞口が回転しているような場合であっても、遊技者が遊技球の発射タイミングを調整して大当たり入賞を狙ういわゆる狙い打ちが困難となるため、かかる攻略法を阻止することができる。つまり、遊技者による技術介入要素は排除され、遊技者の技量の差によって大当たり発生頻度が異なるといった不公平を解消することができる。
【0033】
尚、上記した実施例においては、磁石片45bとこれに吸着した遊技球との離脱は、鞘部45aと遊技球を干渉させることにより行うこととしたが、磁石片を電磁石で構成することにより遊技球を吸着せしめる磁力の発生を電気的に制御できるようにし、離脱位置において磁力の発生を停止させることにより、磁石片に吸着した遊技球を離脱せしめることとしてもよい。
【0034】
また、上記実施例においては、本発明の入賞球抽選装置をいわゆる羽根物タイプの遊技機に適用した場合を例に説明したが、いわゆるデジパチタイプの遊技機にも適用することが可能である。デジパチタイプとは始動入賞口と、図柄表示装置と、アタッカーを備え、始動入賞口への入賞を起点に大当たり抽選が実行され、大当たりになった際には、図柄表示装置が「777」等の所定の大当りパターンを表示するとともに、アタッカーが規定回数開放する機種を指す。本発明の入賞球抽選装置をデジパチタイプに適用する場合、例えば導入部を経て入賞状態とされた遊技球を貯留部に貯留し、貯留された遊技球のうちの先頭位置の貯留球のみを始動入賞口に供給し、大当たり抽選の対象とする。つまり、デジパチタイプの場合、始動入賞口を抽選部として構成すればよい。また、本発明の入賞球抽選装置は、前記デジパチタイプの機能と羽根物タイプの機能とを併せ持つ、いわゆる機種混合タイプと呼ばれるパチンコ機に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の入賞球抽選装置を装備したパチンコ機の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例である入賞球抽選装置の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例である排出制御機構の駆動部の構成を示す図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の実施例である入賞球抽選装置の動作を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例である入賞球抽選装置の制御系を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施例である入賞球抽選装置の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10 パチンコ機
12 遊技盤
20 可動羽根
21 始動入賞口
30 抽選部
40 貯留部
41 排出口
42 貯留溝
45 排出制御機構
45a 鞘部
45b 磁石片
60 ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の入賞球抽選装置であって、
前記遊技機の遊技盤面上に打ち出された遊技球を導入し、入賞状態とする導入部と、
供給される遊技球を抽選する抽選部と、
前記導入部によって入賞状態とされた遊技球を貯留する貯留部と、からなり、
前記貯留部は、貯留した遊技球のうち先頭位置にある遊技球を除く遊技球を前記抽選部に供給することを特徴とする入賞球抽選装置。
【請求項2】
前記貯留部は、複数の遊技球を整列して貯留する貯留溝部と、
前記貯留溝部の最先位置に設けられた排出口と、
前記抽選部に向かって傾斜する傾斜面と、
前記排出口の上方を経由して前記貯留溝に対して出没自在な磁石片と、を有することを特徴とする入賞球抽選装置。
【請求項3】
前記貯留部は、前記磁石片を収容する鞘部と、前記鞘部に対して前記磁石片を移動させる駆動部と、更に含むことを特徴とする請求項2記載の入賞球抽選装置。
【請求項4】
前記鞘部の先端は、前記排出口の上方に位置していることを特徴とする請求項3に記載の入賞球抽選装置。
【請求項5】
前記磁石片は電磁石であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1に記載の入賞球抽選装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate