遊技機の制御基板ケース
【課題】 より簡易な構成で、不正なROM交換を目的としたこじ開けを有効に防止することができる制御基板ケースを提供すること。
【解決手段】 制御基板を格納する制御基板ケース10の右側面では、台座21aに貫挿されたかしめネジ80aがネジ受け部31aに嵌挿され、係止爪部38a,38bが爪受け部28a,28bに係止される。同様に、制御基板ケース10の左側面では、台座22aに貫挿されたかしめネジ90aがネジ受け部32aに嵌挿され、係止爪部38a,38bが爪受け部28a,28bに係止される。また、制御基板ケース10の下側面では、係止爪部34が爪受け部24に係止される。一方、制御基板ケース10の上側面では、T字型に突起した嵌挿凸部33a,33bが、コの字型に凹陥した嵌挿凹部23a,23bに嵌合される。
【解決手段】 制御基板を格納する制御基板ケース10の右側面では、台座21aに貫挿されたかしめネジ80aがネジ受け部31aに嵌挿され、係止爪部38a,38bが爪受け部28a,28bに係止される。同様に、制御基板ケース10の左側面では、台座22aに貫挿されたかしめネジ90aがネジ受け部32aに嵌挿され、係止爪部38a,38bが爪受け部28a,28bに係止される。また、制御基板ケース10の下側面では、係止爪部34が爪受け部24に係止される。一方、制御基板ケース10の上側面では、T字型に突起した嵌挿凸部33a,33bが、コの字型に凹陥した嵌挿凹部23a,23bに嵌合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPUやROM等の制御素子を備えた制御基板を収容するための制御基板ケースに関し、詳細には、遊技機用の制御基板を収容する遊技機の制御基板ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機では、遊技機の動作を制御するためのCPUやROM等の制御素子を備えた制御基板が、合成樹脂製の制御基板ケースの内部に収容されている。これは、制御基板ケースによって制御基板を保護するとともに、ROMを交換して遊技内容を恣意的に変更しようとする不正行為を防ぐためである。そして、この制御基板ケースについて、不正なROM交換を目的としたカバーのこじ開けをより確実に防止するために、さまざまな公知技術が知られている。
【0003】
例えば、ベース部材とカバー部材とで箱形の制御基板ケースを形成する場合に、カバー部材の側壁から先端を屈曲した係止片を延設させるとともに、ベース部材の側壁には同屈曲部分が貫通して係止可能なスリットを形成し、ベース部材とカバー部材とを合体させるときに係止片の先端が外側からスリットを通過して係止することにより、こじ開けようとしても係止構造が引き離し方向へのこじ開けに抗するように作用するものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
また、ボックスカバーがボックスベースの開放部分に覆設されて形成される制御基板ケースにおいて、ボックスベースの嵌挿凸部がボックスカバーの嵌挿凹部に嵌挿されるようにして、ボックスベース及びボックスカバーの合わせ目に薄板状の工具等を差し込み、基板ボックスをこじ開けようとしても、薄板状の工具等の先端部分が嵌挿凸部に突き当たり、その差し込みを防止することができるものが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
また、制御基板ケースの本体に、ヒンジ機構により枢結された一側縁を構成する側板部に係合孔を設ける一方、蓋体の裏面に本体の係合孔に嵌挿される係止片を設けて、蓋体が閉止されると本体の側板部の係合孔に蓋体の係止片が嵌挿されることで、蓋体が上動不能に位置規制されて変形させることができないものが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
【特許文献1】特開平10−65349号公報
【特許文献2】特開2001−204940号公報
【特許文献3】特開2001−347033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の遊技機の制御基板ケースのなかには、カバーの合わせ目からのこじ開けへの対策が不十分であるために、不正なROM交換を有効に防止できないものがあった。また、上記の特許文献1〜3に記載の発明に係る制御基板ケースは、不正なROM交換を目的としたこじ開けを防止するための構成を有するものの、かかる構成が複雑なものであるため、従来のものと比して製造が困難となり、また製造コストの負担を増大させる問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、より簡易な構成で、不正なROM交換を目的としたこじ開けを有効に防止することができる遊技機の制御基板ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の遊技機の制御基板ケースは、遊技機の制御をなす制御素子等を搭載の制御基板を格納するカバー部材とベース部材とで構成され、前記カバー部材と前記ベース部材とが各々対向する開口面の縁部に沿って組み合わされて、取り付けると抜くことが不可能なタイプの固定部材で、前記カバー部材の対向する2つの側面と、前記ベース部材の対向する2つの側面とが各々固定される遊技機の制御基板ケースであって、前記カバー部材及び前記ベース部材の一方における、前記対向する2つの側面とは異なる側面の少なくとも1つから突出する支持部材と、前記支持部材により支持された封止部材とから構成される嵌挿凸部と、前記カバー部材及び前記ベース部材の他方における、前記嵌挿凸部が設けられた側面と組み合わされる側面に、前記支持部材の断面形状と略均等に凹陥するように形成された嵌挿凹部とを備え、前記カバー部材と前記ベース部材は、前記嵌挿凹部が前記嵌挿凸部に嵌挿されて係合されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記嵌挿凸部においては、前記支持部材と前記封止部材とで係止部が形成され、前記嵌挿凹部における前記係止部に挿入される部位には、前記支持部材の高さと略均等となるように厚みが小さくなった段差部が形成され、前記嵌挿凹部が形成された側面の厚みは、前記嵌挿凸部が形成された側面の表面から前記封止部材の上端面までの高さと略均等であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記嵌挿凹部が形成された側面と、前記嵌挿凸部が形成された側面とは平行面をなし、かつ並列に密着して前記制御基板ケースの側面を形成するものであり、前記制御基板ケースの側面の表面では、前記嵌挿凹部が形成された側面の表面と、前記封止部材の上端面とが略同一の平面を形成することを特徴する。
【0011】
また、請求項4に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記嵌挿凸部は、前記支持部材の端部の両側面から突出するように前記封止部材が設けられて、T字型形状の部材を形成し、前記嵌挿凹部は、コの字型形状に凹陥するように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、カバー部材とベース部材とを取り付けると抜くことが不可能なタイプの固定部材によって固定する遊技機の制御基板ケースであって、カバー部材及びベース部材の一方に設けられた嵌挿凸部に、他方に設けられた嵌挿凹部が嵌挿されて係合される。よって、制御基板ケースにおいて固定部材によって固定されていない側面が、簡易な構成によりカバー部材及びベース部材が確実に係合されるようにして、不正なROM交換を目的とした制御基板ケースのこじ開けを有効に防止することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1に係る発明の効果に加えて、嵌挿凸部には係止部が形成される一方、嵌挿凹部には段差部が形成されて、嵌挿凹部が形成された側面の厚みは、嵌挿凸部が形成された側面の表面から封止部材の上端面までの高さと略均等である。よって、嵌挿凸部と嵌挿凹部とが係合されても不要な突出部位などが発生しないので、制御基板ケースの合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項2に係る発明の効果に加えて、嵌挿凹部が形成された側面と嵌挿凸部が形成された側面とが制御基板ケースの側面を形成し、嵌挿凹部が形成された側面の表面と封止部材の上端面が略同一平面を形成する。よって、嵌挿凸部と嵌挿凹部とが係合されても、その合わせ目の隙間を小さくすることができるので、制御基板ケースの合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0015】
また、請求項4に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1乃至3のいずれかに係る発明の効果に加えて、嵌挿凸部はT字型形状の部材であり、嵌挿凹部はコの字型形状に凹陥する。よって、嵌挿凸部及び嵌挿凹部を簡易な構成で形成することができ、本発明を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る遊技機の制御基板ケースの一実施の形態である、パチンコ機1の内部に取り付けられる制御基板ケース10について、図面を参照して説明する。まず、制御基板ケース10が設けられたパチンコ機1の構成について説明する。図1は、パチンコ機1の背面図である。図2は、パチンコ機1の背面における部分拡大図である。
【0017】
図1に示すように、パチンコ機1は、パチンコ機1本体を支持する正面視略長方形状の外枠2を備えており、この外枠2により遊技場の遊技機設置島(図示外)に設置される。そして、パチンコ機1の背面の右下部には、払出制御基板(図示外)を収納した払出制御基板ボックス5が設けられている。そして、払出制御基板ボックス5の上には、遊技機設置島に設置されたパチンコ機1の隣に設置され、現金やプリペイドカードを投入して、パチンコ機1で使用する遊技球を交換するためのカードユニット(図示外)と接続するためのカードユニット接続装置6が設けられている。
【0018】
また、パチンコ機1の前面の上約半分には各種入賞口や役物、液晶画面を備えた遊技盤(図示外)が備えられている。そして、この遊技盤の背面には液晶画面(図示外)の制御を行う図柄表示基板(図示外)や各種ランプや電動役物の制御を行う電飾基板(図示外)が設けられている。これらの図柄表示基板や電飾基板、遊技盤の背面、各種配線は、パチンコ機1の背面の略中央部に設けられたセンターカバー4により覆われて保護されている。また、カードユニット接続装置6の上部には、遊技機の前面に設けられている下皿(図示外)に遊技球を払い出す(排出する)ための払出装置7が設けられている。そして、パチンコ機1の背面上部、センターカバー4の上部には、遊技球タンク3が設けられており、遊技機設置島から供給された遊技球を貯留し、その遊技球を払出装置7へ供給する。
【0019】
図2に示すように、センターカバー4の内部には、CPUやROM等の制御素子を備えてパチンコ機1の主制御を司る制御基板(図示外)を収納した透明な樹脂製の制御基板ケース10が収容されている。なお、センターカバー4は透明な樹脂で形成されているため、その外部からセンターカバー4の内部を視認することが可能である。よって、設計者等がセンターカバー4の外部から、その内部に格納された制御基板ケース10を確認することができるようになっており、図2では理解の容易のため、制御基板ケース10を点線で表示している。
【0020】
次に、制御基板ケース10の構成について説明する。図3は、制御基板ケース10の分解斜視図である。
【0021】
図3に示すように、制御基板ケース10は、カバー部材20がかしめネジ80,90によりベース部材30に固定されて、中空の略箱状体に構成される。なお、カバー部材20とベース部材30との間に挟みこむように、CPUやROM等の制御素子を備えた制御基板が制御基板ケース10の内部に収容されるが、理解を容易とするために、制御基板は図示していない。
【0022】
まず、カバー部材20について説明する。カバー部材20は、一面が開口された箱状体であり、その開口面と対向する面が天板40である。しかし、開口面から天板40までの高さは、天板40の縦横方向の長さと比して小さいため、カバー部材20は全体として一面が開口された板状部材の外観をなす。そして、カバー部材20の開口面とベース部材30の開口面とが平行面をなすように対向させ、各開口面の縁部が合致するように相互に組み合わされて、制御基板ケース10が形成されることになる。
【0023】
天板40の縁部から開口面側に向けて4つの側面が設けられ、各側面にはカバー部材20をベース部材30に固定するための構成を有する。天板40の右縁部側(図3における右方向)に設けられた右側面41には、円筒状の貫通孔が穿設された台座21a,21b,21c,21dの4つの台座が設けられている。後述のように、台座21a〜21dは、各々ベース部材30のネジ受け部31a〜31dに対応して、かしめネジ80a〜80dを各々貫挿可能である。また、右側面41には、ベース部材30に設けられた係止爪部38a,38bが各々貫挿可能な貫通孔が穿設され、係止爪部38a,38bの先端に設けられる爪片が各々係止される係止部位を有する爪受け部28a,28bが設けられている。本実施の形態では、台座21aの下側に係止爪部38aが係止される爪受け部28aが、台座21dの上側に係止爪部38bが係止される爪受け部28bが、それぞれ設けられている。
【0024】
同様に、天板40の左縁部側(図3における左方向)に設けられた左側面42にも、円筒状の貫通孔が穿設された台座22a,22b,22c,22dの4つの台座が設けられている。後述のように、台座22a〜22dは、各々ベース部材30のネジ受け部32a〜32dに対応して、かしめネジ90a〜90dを各々貫挿可能である。また、左側面42にも、ベース部材30に設けられた係止爪部39a,39bが貫挿可能な貫通孔が穿設され、係止爪部39a,39bの先端に設けられる爪片が各々係止される係止部位を有する爪受け部29a,29bが設けられている。本実施の形態では、台座22aの上側に係止爪部39aが係止される爪受け部29aが、台座22dの下側に係止爪部39bが係止される爪受け部29bが、それぞれ設けられている。
【0025】
一方、天板40の下縁部側(図3における下方向)に設けられた下側面43には、開口面と天板40の略中間に位置し、開口面及び天板40と平行をなす段差面25が設けられている。この段差面25により、カバー部材20の下縁部では階段状に段差が形成される。そして、この段差面25の下端部には、若干隆起した爪受け部24が設けられており、ベース部材30の下端部に設けられた係止爪部34の先端の爪片が、この爪受け部24に係止される。
【0026】
他方、天板40の上縁部側(図3における上方向)に設けられた上側面44には、開口面側からコの字に凹陥された嵌挿凹部23a,23bが形成されている。本実施の形態では、上側面44の横方向(図3の左右方向)に対して略均等に2つの嵌挿凹部23a,23bが設けられており、それぞれベース部材30に設けられた嵌挿凸部33a,33bが係合されるが、詳細は後述する。
【0027】
次に、ベース部材30について説明する。ベース部材30は、一面が開口された箱状体であり、その開口面と対向する面が底板50である。しかし、開口面から底板50までの高さは、底板50の縦横方向の長さと比して小さいため、ベース部材30は全体として一面が開口された板状部材の外観をなす。なお、カバー部材20とベース部材30とがそれぞれ対向する開口面は、略同一の形状及び大きさをなす。
【0028】
底板50の縁部から開口面側に向けて4つの側面が設けられ、各側面にはカバー部材20をベース部材30に固定するための構成を有する。底板50の右縁部側(図3における右方向)に設けられた右側面51には、中空状のネジ孔が形成されたネジ受け部31a,31b,31c,31dの4つのネジ受け部が設けられている。後述のように、ネジ受け部31a〜31dは、各々カバー部材20の台座21a〜21dに対応して、かしめネジ80a〜80dを各々嵌挿可能である。また、右側面51には、開口面(カバー部材20)の方向に突出して、先端部付近が隆起して爪部が形成された矢印形状をなし、カバー部材20の爪受け部28a,28bに各々係合される係止爪部38a,38bが設けられている。本実施の形態では、ネジ受け部31aの下側に爪受け部28aに係止される係止爪部38aが、ネジ受け部31dの上側に爪受け部28bに係止される係止爪部38bが、それぞれ設けられている。
【0029】
同様に、底板50の左縁部側(図3における左方向)に設けられた左側面52には、中空状のネジ孔が形成されたネジ受け部32a,32b,32c,32dの4つのネジ受け部が設けられている。後述のように、ネジ受け部32a〜32dは、各々カバー部材20の台座22a〜22dに対応して、かしめネジ90a〜90dを各々嵌挿可能である。また、左側面52にも、開口面(カバー部材20)の方向に突出して、先端部付近が隆起して爪部が形成された矢印形状をなし、カバー部材20の爪受け部29a,29bに各々係合される係止爪部39a,39bが設けられている。本実施の形態では、ネジ受け部32aの上側に爪受け部29aに係止される係止爪部39aが、ネジ受け部32dの下側に爪受け部29bに係止される係止爪部39bが、それぞれ設けられている。
【0030】
一方、底板50の下縁部側(図3における下方向)に設けられた下側面53には、開口面(カバー部材20)の方向に突出して、先端部付近が隆起して爪部が形成された矢印形状をなし、カバー部材20の爪受け部24に係止される係止爪部34が設けられている。
【0031】
他方、底板50の上縁部側(図3における上方向)に設けられた上側面54には、底板50から上方向に突出してT字型をなす嵌挿凸部33a,33bが形成されている。本実施の形態では、上側面54の横方向(図3の左右方向)に対して略均等に2つの嵌挿凸部33a,33bが設けられており、それぞれカバー部材20に設けられた嵌挿凹部23a,23bに係合されるが、詳細は後述する。
【0032】
次に、かしめネジ80a〜80d(かしめネジ90a〜90d)について説明する。かしめネジ80a〜80d(かしめネジ90a〜90d)は、緊締方向にのみ螺回操作可能な頭部を有するワンウェイタイプのネジであり、胴部の先端には径が大きくなった大口径部を有している。そして、かしめネジ80a〜80d(かしめネジ90a〜90d)が、台座21a〜21d(台座22a〜22d)の貫通孔に貫挿され、かつネジ受け部31a〜31d(ネジ受け部32a〜32d)のネジ孔に貫嵌され、その大口径部がネジ孔において係止されることで、カバー部材20をベース部材30に密着固定するものであるが、詳細は後述する。
【0033】
以上のような構成において、カバー部材20の開口面とベース部材30の開口面とは同一形状をなし、これらの開口面を対向させつつ、その縁部を合致させるように両者を密着させることで、カバー部材20とベース部材30とが接触する四方縁部において両者が固定されて制御基板ケース10が構成される。
【0034】
次に、制御基板ケース10における上記固定部位を個別に説明する。図4は、制御基板ケース10の正面図である。図5は、右かしめ部11a〜11dの斜視断面図である。図6は、右かしめ部11aの部分拡大図である。図7は、係合部14の部分断面図である。
【0035】
図4に示すように、制御基板ケース10の右側面61では、台座21a〜21dとネジ受け部31a〜31dとが各々係合されて、かしめネジ80a〜80dが嵌着される右かしめ部11a〜11dが形成される。同様に、制御基板ケース10の左側面62では、台座22a〜22dとネジ受け部32a〜32dとが各々係合されて、かしめネジ90a〜90dが嵌着される左かしめ部12a〜12dが形成される。なお、右かしめ部11a〜11dの4箇所全てを用いる必要はなく、うちの1箇所にかしめネジ80a〜80dの1つを嵌着すればよく、同様に、左かしめ部12a〜12dの4箇所全てを用いる必要はなく、うちの1箇所にかしめネジ90a〜90dの1つを嵌着すればよい。以下では、番号「1」が付された右かしめ部11a及び左かしめ部12aを用いて固定する場合を例示する。
【0036】
図5及び図6に示すように、右かしめ部11aにおいて、台座21aはかしめネジ80aが貫挿される円柱状中空を有する筒状体210と、筒状体210を支持してカバー部材20に連結する連結部材211,212と、筒状体210の内部に設けられてかしめネジ80aの径の大きさに応じて伸縮してかしめネジ80aを固定する係止羽根213,214を備えている。また、筒状体210はネジ受け部31のネジ孔に連通される。なお、右かしめ部11b〜11dの構成も右かしめ部11aと同様であり、4つの筒状体が並列に設けられるとともに、台座21a〜21dはカバー部材20に一体に設けられている。また、左かしめ部12a〜12dの構成も右かしめ部11a〜11dと同様である。
【0037】
そして、制御基板ケース10を形成する場合、かしめネジ80aを筒状体210に挿入しその頭部を回動押圧して、かしめネジ80aの頭部が係止羽根213,214に当接するまで押し込む。すると、かしめネジ80aの胴部がその側面から係止羽根213,214により押圧されて固定され、胴部の先端に設けられた大口径部がネジ受け部31のネジ孔に嵌挿される。そして、かしめネジ80aはワンウェイタイプのネジであるから、かしめネジ80aは引き抜くことが不可能である(図5参照)。同様に、左かしめ部12aにもかしめネジ90aが嵌め込まれる。
【0038】
一方、内部の制御基板の検査や修理などの理由で、制御基板ケース10を開放する必要となった場合、ニッパーやカッター等で連結部材211,212を切断すれば筒状体210を取り外すことができるため、右かしめ部11a及びかしめネジ80aを破棄することができる(図6参照)。同様に左かしめ部12a及びかしめネジ90aも破棄すれば、制御基板ケース10を開放することができる。そして、再度制御基板ケース10を閉じる場合には、他の右かしめ部11b〜11d及び左かしめ部12b〜12dに、かしめネジ80b〜80d及びかしめネジ90b〜90dを嵌着すればよい。
【0039】
また、図4及び図5に示すように、制御基板ケース10の右側面61では、右かしめ部11aの下側において、爪受け部28aに形成された貫通孔に係止爪部38aが挿入され、係止爪部38aの先端に形成された爪部が爪受け部28aに係止されて、係合部18aが形成される。同様に右かしめ部11dの上側において、係止爪部38bが爪受け部28bに係止されて、係合部18bが形成される。なお、制御基板ケース10の左側面62でも、係止爪部39a,39bが爪受け部29a,29bに各々係止されて、係合部19a,19bが形成される。
【0040】
次に、図4及び図7に示すように、制御基板ケース10の下側面63では、カバー部材20の下端部において若干隆起するように形成された爪受け部24に、ベース部材30の下端部に設けられた係止爪部34の先端の爪片が係止されて、係合部14が形成される。
【0041】
以上のように、制御基板ケース10は、右側面61が係合部18a,18bと右かしめ部11a〜11dにより固定され、左側面62が係合部19a,19bと左かしめ部12a〜12dにより固定される。このように、対向する二側面で固定された制御基板ケース10は、通常は開放できない構成となっている。さらに、下側面63も係合部14により固定されるため、制御基板ケース10はより強固に固定される。しかし、上側面64からこじ開けようとする不正行為を簡易な構成で確実に防止するために、嵌挿凹部23a,23bと嵌挿凸部33a,33bとが各々係合された嵌挿部13a,13bを設けている。
【0042】
次に、嵌挿部13a,13bについて説明する。なお、以下では嵌挿部13aについて説明するが、嵌挿部13bも同じである。図8は、カバー部材20及びベース部材30の拡大平面図である。図9は、カバー部材20及びベース部材30のA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。図10は、嵌挿部13aのA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。図11は、制御基板ケース10の拡大背面図である。
【0043】
図8及び図9に示すように、カバー部材20に設けられた嵌挿凹部23aには、開口面側からコの字形状に凹陥された凹陥部231が形成され、カバー部材20の上側面44の長手方向(図8の上下方向)における凹陥部231の両側は、カバー部材20の上側面44の厚みよりも薄く段差状に形成された係合板232,233が設けられている。一方、ベース部材30に設けられた嵌挿凸部33aは、カバー部材20の上側面44(ベース部材30の上側面54)と平行をなす板状の部材である封止板332と、ベース部材30の上側面54から突出して封止板332を支持するコの字型の支持部材331とから構成されており、正面視、嵌挿凸部33aは封止板332が支持部材331の上端部の両側面から突出したようなT字型形状の外観をなす。
【0044】
また、平面視、封止板332の形状及び大きさは、嵌挿凹部23a(凹陥部231と係合板232,233とを含めた範囲)の形状及び大きさと略同一である。また、支持部材331により形成されるコの字型の断面形状は、平面視、凹陥部231に収容可能な形状及び大きさである。そして、ベース部材30の上側面54において、支持部材331と封止板332とで画される空間が係止部333,334である。係止部333は係合板232と同一の形状及び大きさをなし、係止部333に係合板232が嵌挿される。同様に、係止部334は係合板233と同一の形状及び大きさをなし、係止部334に係合板233が嵌挿される(図8参照)。
【0045】
また、正面視(側面視)、係合板232,233の厚みは、ベース部材30の上側面54から封止板332までの高さ(支持部材331の高さ)と略同一である。そして、係合板232,233の厚みと封止板332の厚みとを足すと、カバー部材20の上側面44の厚みと略均等となる。言い換えれば、支持部材331の下端部(ベース部材30の上側面54)から封止板332の上端面までの高さと、カバー部材20の上側面44の厚みと略均等となる(図9参照)。
【0046】
そして、カバー部材20をベース部材30に固定して制御基板ケース10を形成する場合は、カバー部材20の開口面とベース部材30の開口面とが平行面をなすように対向させ、かつ、カバー部材20の上側面44とベース部材30の上側面54が平行面をなすようにして、両開口面の縁部を合致させるように組み合わせると、嵌挿凹部23aと嵌挿凸部33aとが係合される(図8及び図9参照)。
【0047】
すると、図10及び図11に示すように、制御基板ケース10では、嵌挿凹部23a(嵌挿凹部23b)と嵌挿凸部33a(嵌挿凸部33b)とが係合されると、カバー部材20の上側面44とベース部材30の上側面54と並列に密着して、制御基板ケース10の上側面64を形成する(図4参照)。また、嵌挿凹部23a(嵌挿凹部23b)の係合板232,233が、嵌挿凸部33a(嵌挿凸部33b)の係止部333,334に各々嵌挿されて、嵌挿部13a(嵌挿部13b)が形成される。
【0048】
なお、上記の構成による嵌挿部13a,13bでは、係合板232,233の端部が制御基板ケース10の背面方向(図10の右方向)に突出することはない。また、封止板332の上端面は、カバー部材20の上側面44と同一平面上に位置するため、封止板332が制御基板ケース10の上側面64から上方向(図11の上方向)に突出することもない。すなわち、制御基板ケース10は、嵌挿部13a,13bによりカバー部材20とベース部材30とが密接に係合される結果、不必要な突出部位が生じず、かつその合わせ目の隙間が小さい構成となっている。
【0049】
以上、本実施の形態によるパチンコ機1の制御基板ケース10によれば、右側面61,と左側面62との対向する二側面において、かしめ部11a〜11d,かしめ部12a〜12dや係合部18a,18b,19a,19bで固定され、さらに下側面63は係合部14により係合される。一方、上側面64は嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bが係合された嵌挿部13a,13bにより固定される。すなわち、制御基板ケース10においてかしめ部や係合部等の固定部材によって固定されていない上側面64が、嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bという簡易な部材によりカバー部材20とベース部材30とが確実に係合される。よって、不正なROM交換を目的として制御基板ケース10の上側面64をこじ開けようとする行為を有効に防止することができる。
【0050】
また、嵌挿凸部33a,33bに係止部333,334が形成される一方、嵌挿凹部23a,23bには係止部333,334に各々挿入される係合板232,233を形成した。そして、カバー部材20の上側面44の厚みは、ベース部材30の上側面54から封止板332の上端面までの高さと略均等である。よって、嵌挿凹部23a,23bと嵌挿凸部33a,33bとが係合されても不要な突出部位などが発生しないので、制御基板ケース10の合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0051】
また、カバー部材20の上側面44とベース部材30の上側面54とは平行面をなし、かつ並列に密着して制御基板ケース10の上側面64が形成される。そして、この上側面64ではカバー部材20の上側面44と封止板332の上端面が、略同一の平面を形成する。よって、嵌挿凹部23a,23bと嵌挿凸部33a,33bとが係合されても、その合わせ目の隙間を小さくすることができるので、制御基板ケース10の合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0052】
また、嵌挿凹部23a,23bはコの字型形状に凹陥するように形成されており、嵌挿凸部33a,33bはT字型形状の部材として形成されており、いずれも固定部材としては単純な構造である。よって、嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bを簡易な構成とすることができ、本発明に係る制御基板ケース10を容易に実現することができる。
【0053】
ところで、上記実施の形態において、カバー部材20が本発明の「カバー部材」に相当し、ベース部材30が本発明の「ベース部材」に相当し、かしめネジ80a〜80d及びかしめネジ90a〜90dが本発明の「固定部材」に相当する。また、嵌挿凹部23a,23bが本発明の「嵌挿凹部」に相当し、係合板232,233が本発明の「段差部」に相当する。また、嵌挿凸部33a,33bが本発明の「嵌挿凸部」に相当し、支持部材331が本発明の「支持部材」に相当し、封止板332が本発明の「封止部材」に相当し、係止部333,334が本発明の「係止部」に相当する。また、カバー部材20の上側面44が、本発明の「嵌挿凹部が形成された側面」に相当する。ベース部材30の上側面54が、本発明の「嵌挿凸部が形成された側面」に相当する。
【0054】
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能なことはいうまでもない。
【0055】
上記実施の形態では、制御基板ケース10の上側面64に嵌挿部13a,13bの2つの嵌挿部を設けているが、嵌挿部を1つだけ設けてもよいし3つ以上設けてもよい。また、嵌挿部13a,13bを構成する嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bは、一対となるのであればカバー部材20及びベース部材30のいずれに設けてもよい。
【0056】
また、嵌挿部13a,13bは制御基板ケース10の上側面64に限定されることなく、他の側面部に設けてもよく、例えば、嵌挿部13a,13bを下側面63に設けてもよい。また、嵌挿部13a,13bを上側面64及び下側面63の両面に設けてもよいし、この場合は係合部14を設けない構成としてもよい。また、制御基板ケース10が、上側面64及び下側面63にかしめ部11a〜11d及びかしめ部12a〜12dが設けられて固定される構成の場合は、右側面61及び左側面62の少なくとも一方に嵌挿部13a,13bが設けられる構成としてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、制御基板ケース10の対向する二面が、かしめネジ80a〜80d及びかしめネジ90a〜90dによって固定されているが、取り付けると抜くことが不可能なタイプのものであれば、各種の固定部材を利用可能である。例えば、挿入すると抜くことが不可能なピン(矢尻タイプ,圧着タイプなど)や、所定トルク以上かかると頭部が切断される破断ネジなどを利用してもよい。
【0058】
また、嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bは、制御基板ケース10の実装や用途などに応じて、各種の態様をとることができる。例えば、カバー部材20の係合板232,233を設けずに、カバー部材20の上側面44が直接に係止部333,334に嵌挿される構成としてもよく、この場合は係止部333,334が上側面44の厚みと略同一の高さを有すればよい。また、支持部材331は直方体や円柱体などの部材として構成してもよいし、複数の支持部材331で封止板332を支持してもよい。そして、支持部材331の断面形状に合わせて、凹陥部231が半円状や三角形状などの任意の態様で凹陥してもよい。また、封止板332も楕円状や三角形状などの任意の態様で形成すればよい。そして、封止板332の形状に合わせて、嵌挿凹部23a,23bを任意の形状で形成すればよく、逆に封止板332の形状と嵌挿凹部23a,23bの形状とが一致しない構成としてもよい。
【0059】
同様に、係合部14,18a,18b,19a,19bは、先端が矢印形状をなす係止部材を利用しているが、有効にカバー部材20をベース部材30に係合することができれば、各種のものを利用すればよい。例えば、ネジによって固定するタイプのものでもよいし、雄部が雌部に嵌合して固定するタイプのものでもよい。また、これら係合部14,18a,18b,19a,19bは、本発明に必須の構成ではないため、本構成を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の遊技機の制御基板ケースは、パチンコ機1に用いられる制御基板ケースに限られず、パチコン機、パチスロ機等の各種の遊技機に用いられる制御基板ケースに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】パチンコ機1の背面図である。
【図2】パチンコ機1の背面における部分拡大図である。
【図3】制御基板ケース10の分解斜視図である。
【図4】制御基板ケース10の正面図である。
【図5】右かしめ部11a〜11dの斜視断面図である。
【図6】右かしめ部11aの部分拡大図である。
【図7】係合部14の部分断面図である。
【図8】カバー部材20及びベース部材30の拡大平面図である。
【図9】カバー部材20及びベース部材30のA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。
【図10】嵌挿部13aのA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。
【図11】制御基板ケース10の拡大背面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 パチンコ機
2 外枠
3 遊技球タンク
4 センターカバー
5 払出制御基板ボックス
6 カードユニット接続装置
7 払出装置
10 制御基板ケース
20 カバー部材
21a,21b,21c,21d 台座
22a,22b,22c,22d 台座
23a,23b 嵌挿凹部
30 ベース部材
31a,31b,31c,31d ネジ受け部
32a,32b,32c,32d ネジ受け部
33a,33b 嵌挿凸部
80a,80b,80c,80d かしめネジ
90a,90b,90c,90d かしめネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPUやROM等の制御素子を備えた制御基板を収容するための制御基板ケースに関し、詳細には、遊技機用の制御基板を収容する遊技機の制御基板ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機では、遊技機の動作を制御するためのCPUやROM等の制御素子を備えた制御基板が、合成樹脂製の制御基板ケースの内部に収容されている。これは、制御基板ケースによって制御基板を保護するとともに、ROMを交換して遊技内容を恣意的に変更しようとする不正行為を防ぐためである。そして、この制御基板ケースについて、不正なROM交換を目的としたカバーのこじ開けをより確実に防止するために、さまざまな公知技術が知られている。
【0003】
例えば、ベース部材とカバー部材とで箱形の制御基板ケースを形成する場合に、カバー部材の側壁から先端を屈曲した係止片を延設させるとともに、ベース部材の側壁には同屈曲部分が貫通して係止可能なスリットを形成し、ベース部材とカバー部材とを合体させるときに係止片の先端が外側からスリットを通過して係止することにより、こじ開けようとしても係止構造が引き離し方向へのこじ開けに抗するように作用するものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
また、ボックスカバーがボックスベースの開放部分に覆設されて形成される制御基板ケースにおいて、ボックスベースの嵌挿凸部がボックスカバーの嵌挿凹部に嵌挿されるようにして、ボックスベース及びボックスカバーの合わせ目に薄板状の工具等を差し込み、基板ボックスをこじ開けようとしても、薄板状の工具等の先端部分が嵌挿凸部に突き当たり、その差し込みを防止することができるものが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
また、制御基板ケースの本体に、ヒンジ機構により枢結された一側縁を構成する側板部に係合孔を設ける一方、蓋体の裏面に本体の係合孔に嵌挿される係止片を設けて、蓋体が閉止されると本体の側板部の係合孔に蓋体の係止片が嵌挿されることで、蓋体が上動不能に位置規制されて変形させることができないものが知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
【特許文献1】特開平10−65349号公報
【特許文献2】特開2001−204940号公報
【特許文献3】特開2001−347033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の遊技機の制御基板ケースのなかには、カバーの合わせ目からのこじ開けへの対策が不十分であるために、不正なROM交換を有効に防止できないものがあった。また、上記の特許文献1〜3に記載の発明に係る制御基板ケースは、不正なROM交換を目的としたこじ開けを防止するための構成を有するものの、かかる構成が複雑なものであるため、従来のものと比して製造が困難となり、また製造コストの負担を増大させる問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、より簡易な構成で、不正なROM交換を目的としたこじ開けを有効に防止することができる遊技機の制御基板ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の遊技機の制御基板ケースは、遊技機の制御をなす制御素子等を搭載の制御基板を格納するカバー部材とベース部材とで構成され、前記カバー部材と前記ベース部材とが各々対向する開口面の縁部に沿って組み合わされて、取り付けると抜くことが不可能なタイプの固定部材で、前記カバー部材の対向する2つの側面と、前記ベース部材の対向する2つの側面とが各々固定される遊技機の制御基板ケースであって、前記カバー部材及び前記ベース部材の一方における、前記対向する2つの側面とは異なる側面の少なくとも1つから突出する支持部材と、前記支持部材により支持された封止部材とから構成される嵌挿凸部と、前記カバー部材及び前記ベース部材の他方における、前記嵌挿凸部が設けられた側面と組み合わされる側面に、前記支持部材の断面形状と略均等に凹陥するように形成された嵌挿凹部とを備え、前記カバー部材と前記ベース部材は、前記嵌挿凹部が前記嵌挿凸部に嵌挿されて係合されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記嵌挿凸部においては、前記支持部材と前記封止部材とで係止部が形成され、前記嵌挿凹部における前記係止部に挿入される部位には、前記支持部材の高さと略均等となるように厚みが小さくなった段差部が形成され、前記嵌挿凹部が形成された側面の厚みは、前記嵌挿凸部が形成された側面の表面から前記封止部材の上端面までの高さと略均等であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記嵌挿凹部が形成された側面と、前記嵌挿凸部が形成された側面とは平行面をなし、かつ並列に密着して前記制御基板ケースの側面を形成するものであり、前記制御基板ケースの側面の表面では、前記嵌挿凹部が形成された側面の表面と、前記封止部材の上端面とが略同一の平面を形成することを特徴する。
【0011】
また、請求項4に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記嵌挿凸部は、前記支持部材の端部の両側面から突出するように前記封止部材が設けられて、T字型形状の部材を形成し、前記嵌挿凹部は、コの字型形状に凹陥するように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、カバー部材とベース部材とを取り付けると抜くことが不可能なタイプの固定部材によって固定する遊技機の制御基板ケースであって、カバー部材及びベース部材の一方に設けられた嵌挿凸部に、他方に設けられた嵌挿凹部が嵌挿されて係合される。よって、制御基板ケースにおいて固定部材によって固定されていない側面が、簡易な構成によりカバー部材及びベース部材が確実に係合されるようにして、不正なROM交換を目的とした制御基板ケースのこじ開けを有効に防止することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1に係る発明の効果に加えて、嵌挿凸部には係止部が形成される一方、嵌挿凹部には段差部が形成されて、嵌挿凹部が形成された側面の厚みは、嵌挿凸部が形成された側面の表面から封止部材の上端面までの高さと略均等である。よって、嵌挿凸部と嵌挿凹部とが係合されても不要な突出部位などが発生しないので、制御基板ケースの合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項2に係る発明の効果に加えて、嵌挿凹部が形成された側面と嵌挿凸部が形成された側面とが制御基板ケースの側面を形成し、嵌挿凹部が形成された側面の表面と封止部材の上端面が略同一平面を形成する。よって、嵌挿凸部と嵌挿凹部とが係合されても、その合わせ目の隙間を小さくすることができるので、制御基板ケースの合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0015】
また、請求項4に係る発明の遊技機の制御基板ケースでは、請求項1乃至3のいずれかに係る発明の効果に加えて、嵌挿凸部はT字型形状の部材であり、嵌挿凹部はコの字型形状に凹陥する。よって、嵌挿凸部及び嵌挿凹部を簡易な構成で形成することができ、本発明を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る遊技機の制御基板ケースの一実施の形態である、パチンコ機1の内部に取り付けられる制御基板ケース10について、図面を参照して説明する。まず、制御基板ケース10が設けられたパチンコ機1の構成について説明する。図1は、パチンコ機1の背面図である。図2は、パチンコ機1の背面における部分拡大図である。
【0017】
図1に示すように、パチンコ機1は、パチンコ機1本体を支持する正面視略長方形状の外枠2を備えており、この外枠2により遊技場の遊技機設置島(図示外)に設置される。そして、パチンコ機1の背面の右下部には、払出制御基板(図示外)を収納した払出制御基板ボックス5が設けられている。そして、払出制御基板ボックス5の上には、遊技機設置島に設置されたパチンコ機1の隣に設置され、現金やプリペイドカードを投入して、パチンコ機1で使用する遊技球を交換するためのカードユニット(図示外)と接続するためのカードユニット接続装置6が設けられている。
【0018】
また、パチンコ機1の前面の上約半分には各種入賞口や役物、液晶画面を備えた遊技盤(図示外)が備えられている。そして、この遊技盤の背面には液晶画面(図示外)の制御を行う図柄表示基板(図示外)や各種ランプや電動役物の制御を行う電飾基板(図示外)が設けられている。これらの図柄表示基板や電飾基板、遊技盤の背面、各種配線は、パチンコ機1の背面の略中央部に設けられたセンターカバー4により覆われて保護されている。また、カードユニット接続装置6の上部には、遊技機の前面に設けられている下皿(図示外)に遊技球を払い出す(排出する)ための払出装置7が設けられている。そして、パチンコ機1の背面上部、センターカバー4の上部には、遊技球タンク3が設けられており、遊技機設置島から供給された遊技球を貯留し、その遊技球を払出装置7へ供給する。
【0019】
図2に示すように、センターカバー4の内部には、CPUやROM等の制御素子を備えてパチンコ機1の主制御を司る制御基板(図示外)を収納した透明な樹脂製の制御基板ケース10が収容されている。なお、センターカバー4は透明な樹脂で形成されているため、その外部からセンターカバー4の内部を視認することが可能である。よって、設計者等がセンターカバー4の外部から、その内部に格納された制御基板ケース10を確認することができるようになっており、図2では理解の容易のため、制御基板ケース10を点線で表示している。
【0020】
次に、制御基板ケース10の構成について説明する。図3は、制御基板ケース10の分解斜視図である。
【0021】
図3に示すように、制御基板ケース10は、カバー部材20がかしめネジ80,90によりベース部材30に固定されて、中空の略箱状体に構成される。なお、カバー部材20とベース部材30との間に挟みこむように、CPUやROM等の制御素子を備えた制御基板が制御基板ケース10の内部に収容されるが、理解を容易とするために、制御基板は図示していない。
【0022】
まず、カバー部材20について説明する。カバー部材20は、一面が開口された箱状体であり、その開口面と対向する面が天板40である。しかし、開口面から天板40までの高さは、天板40の縦横方向の長さと比して小さいため、カバー部材20は全体として一面が開口された板状部材の外観をなす。そして、カバー部材20の開口面とベース部材30の開口面とが平行面をなすように対向させ、各開口面の縁部が合致するように相互に組み合わされて、制御基板ケース10が形成されることになる。
【0023】
天板40の縁部から開口面側に向けて4つの側面が設けられ、各側面にはカバー部材20をベース部材30に固定するための構成を有する。天板40の右縁部側(図3における右方向)に設けられた右側面41には、円筒状の貫通孔が穿設された台座21a,21b,21c,21dの4つの台座が設けられている。後述のように、台座21a〜21dは、各々ベース部材30のネジ受け部31a〜31dに対応して、かしめネジ80a〜80dを各々貫挿可能である。また、右側面41には、ベース部材30に設けられた係止爪部38a,38bが各々貫挿可能な貫通孔が穿設され、係止爪部38a,38bの先端に設けられる爪片が各々係止される係止部位を有する爪受け部28a,28bが設けられている。本実施の形態では、台座21aの下側に係止爪部38aが係止される爪受け部28aが、台座21dの上側に係止爪部38bが係止される爪受け部28bが、それぞれ設けられている。
【0024】
同様に、天板40の左縁部側(図3における左方向)に設けられた左側面42にも、円筒状の貫通孔が穿設された台座22a,22b,22c,22dの4つの台座が設けられている。後述のように、台座22a〜22dは、各々ベース部材30のネジ受け部32a〜32dに対応して、かしめネジ90a〜90dを各々貫挿可能である。また、左側面42にも、ベース部材30に設けられた係止爪部39a,39bが貫挿可能な貫通孔が穿設され、係止爪部39a,39bの先端に設けられる爪片が各々係止される係止部位を有する爪受け部29a,29bが設けられている。本実施の形態では、台座22aの上側に係止爪部39aが係止される爪受け部29aが、台座22dの下側に係止爪部39bが係止される爪受け部29bが、それぞれ設けられている。
【0025】
一方、天板40の下縁部側(図3における下方向)に設けられた下側面43には、開口面と天板40の略中間に位置し、開口面及び天板40と平行をなす段差面25が設けられている。この段差面25により、カバー部材20の下縁部では階段状に段差が形成される。そして、この段差面25の下端部には、若干隆起した爪受け部24が設けられており、ベース部材30の下端部に設けられた係止爪部34の先端の爪片が、この爪受け部24に係止される。
【0026】
他方、天板40の上縁部側(図3における上方向)に設けられた上側面44には、開口面側からコの字に凹陥された嵌挿凹部23a,23bが形成されている。本実施の形態では、上側面44の横方向(図3の左右方向)に対して略均等に2つの嵌挿凹部23a,23bが設けられており、それぞれベース部材30に設けられた嵌挿凸部33a,33bが係合されるが、詳細は後述する。
【0027】
次に、ベース部材30について説明する。ベース部材30は、一面が開口された箱状体であり、その開口面と対向する面が底板50である。しかし、開口面から底板50までの高さは、底板50の縦横方向の長さと比して小さいため、ベース部材30は全体として一面が開口された板状部材の外観をなす。なお、カバー部材20とベース部材30とがそれぞれ対向する開口面は、略同一の形状及び大きさをなす。
【0028】
底板50の縁部から開口面側に向けて4つの側面が設けられ、各側面にはカバー部材20をベース部材30に固定するための構成を有する。底板50の右縁部側(図3における右方向)に設けられた右側面51には、中空状のネジ孔が形成されたネジ受け部31a,31b,31c,31dの4つのネジ受け部が設けられている。後述のように、ネジ受け部31a〜31dは、各々カバー部材20の台座21a〜21dに対応して、かしめネジ80a〜80dを各々嵌挿可能である。また、右側面51には、開口面(カバー部材20)の方向に突出して、先端部付近が隆起して爪部が形成された矢印形状をなし、カバー部材20の爪受け部28a,28bに各々係合される係止爪部38a,38bが設けられている。本実施の形態では、ネジ受け部31aの下側に爪受け部28aに係止される係止爪部38aが、ネジ受け部31dの上側に爪受け部28bに係止される係止爪部38bが、それぞれ設けられている。
【0029】
同様に、底板50の左縁部側(図3における左方向)に設けられた左側面52には、中空状のネジ孔が形成されたネジ受け部32a,32b,32c,32dの4つのネジ受け部が設けられている。後述のように、ネジ受け部32a〜32dは、各々カバー部材20の台座22a〜22dに対応して、かしめネジ90a〜90dを各々嵌挿可能である。また、左側面52にも、開口面(カバー部材20)の方向に突出して、先端部付近が隆起して爪部が形成された矢印形状をなし、カバー部材20の爪受け部29a,29bに各々係合される係止爪部39a,39bが設けられている。本実施の形態では、ネジ受け部32aの上側に爪受け部29aに係止される係止爪部39aが、ネジ受け部32dの下側に爪受け部29bに係止される係止爪部39bが、それぞれ設けられている。
【0030】
一方、底板50の下縁部側(図3における下方向)に設けられた下側面53には、開口面(カバー部材20)の方向に突出して、先端部付近が隆起して爪部が形成された矢印形状をなし、カバー部材20の爪受け部24に係止される係止爪部34が設けられている。
【0031】
他方、底板50の上縁部側(図3における上方向)に設けられた上側面54には、底板50から上方向に突出してT字型をなす嵌挿凸部33a,33bが形成されている。本実施の形態では、上側面54の横方向(図3の左右方向)に対して略均等に2つの嵌挿凸部33a,33bが設けられており、それぞれカバー部材20に設けられた嵌挿凹部23a,23bに係合されるが、詳細は後述する。
【0032】
次に、かしめネジ80a〜80d(かしめネジ90a〜90d)について説明する。かしめネジ80a〜80d(かしめネジ90a〜90d)は、緊締方向にのみ螺回操作可能な頭部を有するワンウェイタイプのネジであり、胴部の先端には径が大きくなった大口径部を有している。そして、かしめネジ80a〜80d(かしめネジ90a〜90d)が、台座21a〜21d(台座22a〜22d)の貫通孔に貫挿され、かつネジ受け部31a〜31d(ネジ受け部32a〜32d)のネジ孔に貫嵌され、その大口径部がネジ孔において係止されることで、カバー部材20をベース部材30に密着固定するものであるが、詳細は後述する。
【0033】
以上のような構成において、カバー部材20の開口面とベース部材30の開口面とは同一形状をなし、これらの開口面を対向させつつ、その縁部を合致させるように両者を密着させることで、カバー部材20とベース部材30とが接触する四方縁部において両者が固定されて制御基板ケース10が構成される。
【0034】
次に、制御基板ケース10における上記固定部位を個別に説明する。図4は、制御基板ケース10の正面図である。図5は、右かしめ部11a〜11dの斜視断面図である。図6は、右かしめ部11aの部分拡大図である。図7は、係合部14の部分断面図である。
【0035】
図4に示すように、制御基板ケース10の右側面61では、台座21a〜21dとネジ受け部31a〜31dとが各々係合されて、かしめネジ80a〜80dが嵌着される右かしめ部11a〜11dが形成される。同様に、制御基板ケース10の左側面62では、台座22a〜22dとネジ受け部32a〜32dとが各々係合されて、かしめネジ90a〜90dが嵌着される左かしめ部12a〜12dが形成される。なお、右かしめ部11a〜11dの4箇所全てを用いる必要はなく、うちの1箇所にかしめネジ80a〜80dの1つを嵌着すればよく、同様に、左かしめ部12a〜12dの4箇所全てを用いる必要はなく、うちの1箇所にかしめネジ90a〜90dの1つを嵌着すればよい。以下では、番号「1」が付された右かしめ部11a及び左かしめ部12aを用いて固定する場合を例示する。
【0036】
図5及び図6に示すように、右かしめ部11aにおいて、台座21aはかしめネジ80aが貫挿される円柱状中空を有する筒状体210と、筒状体210を支持してカバー部材20に連結する連結部材211,212と、筒状体210の内部に設けられてかしめネジ80aの径の大きさに応じて伸縮してかしめネジ80aを固定する係止羽根213,214を備えている。また、筒状体210はネジ受け部31のネジ孔に連通される。なお、右かしめ部11b〜11dの構成も右かしめ部11aと同様であり、4つの筒状体が並列に設けられるとともに、台座21a〜21dはカバー部材20に一体に設けられている。また、左かしめ部12a〜12dの構成も右かしめ部11a〜11dと同様である。
【0037】
そして、制御基板ケース10を形成する場合、かしめネジ80aを筒状体210に挿入しその頭部を回動押圧して、かしめネジ80aの頭部が係止羽根213,214に当接するまで押し込む。すると、かしめネジ80aの胴部がその側面から係止羽根213,214により押圧されて固定され、胴部の先端に設けられた大口径部がネジ受け部31のネジ孔に嵌挿される。そして、かしめネジ80aはワンウェイタイプのネジであるから、かしめネジ80aは引き抜くことが不可能である(図5参照)。同様に、左かしめ部12aにもかしめネジ90aが嵌め込まれる。
【0038】
一方、内部の制御基板の検査や修理などの理由で、制御基板ケース10を開放する必要となった場合、ニッパーやカッター等で連結部材211,212を切断すれば筒状体210を取り外すことができるため、右かしめ部11a及びかしめネジ80aを破棄することができる(図6参照)。同様に左かしめ部12a及びかしめネジ90aも破棄すれば、制御基板ケース10を開放することができる。そして、再度制御基板ケース10を閉じる場合には、他の右かしめ部11b〜11d及び左かしめ部12b〜12dに、かしめネジ80b〜80d及びかしめネジ90b〜90dを嵌着すればよい。
【0039】
また、図4及び図5に示すように、制御基板ケース10の右側面61では、右かしめ部11aの下側において、爪受け部28aに形成された貫通孔に係止爪部38aが挿入され、係止爪部38aの先端に形成された爪部が爪受け部28aに係止されて、係合部18aが形成される。同様に右かしめ部11dの上側において、係止爪部38bが爪受け部28bに係止されて、係合部18bが形成される。なお、制御基板ケース10の左側面62でも、係止爪部39a,39bが爪受け部29a,29bに各々係止されて、係合部19a,19bが形成される。
【0040】
次に、図4及び図7に示すように、制御基板ケース10の下側面63では、カバー部材20の下端部において若干隆起するように形成された爪受け部24に、ベース部材30の下端部に設けられた係止爪部34の先端の爪片が係止されて、係合部14が形成される。
【0041】
以上のように、制御基板ケース10は、右側面61が係合部18a,18bと右かしめ部11a〜11dにより固定され、左側面62が係合部19a,19bと左かしめ部12a〜12dにより固定される。このように、対向する二側面で固定された制御基板ケース10は、通常は開放できない構成となっている。さらに、下側面63も係合部14により固定されるため、制御基板ケース10はより強固に固定される。しかし、上側面64からこじ開けようとする不正行為を簡易な構成で確実に防止するために、嵌挿凹部23a,23bと嵌挿凸部33a,33bとが各々係合された嵌挿部13a,13bを設けている。
【0042】
次に、嵌挿部13a,13bについて説明する。なお、以下では嵌挿部13aについて説明するが、嵌挿部13bも同じである。図8は、カバー部材20及びベース部材30の拡大平面図である。図9は、カバー部材20及びベース部材30のA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。図10は、嵌挿部13aのA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。図11は、制御基板ケース10の拡大背面図である。
【0043】
図8及び図9に示すように、カバー部材20に設けられた嵌挿凹部23aには、開口面側からコの字形状に凹陥された凹陥部231が形成され、カバー部材20の上側面44の長手方向(図8の上下方向)における凹陥部231の両側は、カバー部材20の上側面44の厚みよりも薄く段差状に形成された係合板232,233が設けられている。一方、ベース部材30に設けられた嵌挿凸部33aは、カバー部材20の上側面44(ベース部材30の上側面54)と平行をなす板状の部材である封止板332と、ベース部材30の上側面54から突出して封止板332を支持するコの字型の支持部材331とから構成されており、正面視、嵌挿凸部33aは封止板332が支持部材331の上端部の両側面から突出したようなT字型形状の外観をなす。
【0044】
また、平面視、封止板332の形状及び大きさは、嵌挿凹部23a(凹陥部231と係合板232,233とを含めた範囲)の形状及び大きさと略同一である。また、支持部材331により形成されるコの字型の断面形状は、平面視、凹陥部231に収容可能な形状及び大きさである。そして、ベース部材30の上側面54において、支持部材331と封止板332とで画される空間が係止部333,334である。係止部333は係合板232と同一の形状及び大きさをなし、係止部333に係合板232が嵌挿される。同様に、係止部334は係合板233と同一の形状及び大きさをなし、係止部334に係合板233が嵌挿される(図8参照)。
【0045】
また、正面視(側面視)、係合板232,233の厚みは、ベース部材30の上側面54から封止板332までの高さ(支持部材331の高さ)と略同一である。そして、係合板232,233の厚みと封止板332の厚みとを足すと、カバー部材20の上側面44の厚みと略均等となる。言い換えれば、支持部材331の下端部(ベース部材30の上側面54)から封止板332の上端面までの高さと、カバー部材20の上側面44の厚みと略均等となる(図9参照)。
【0046】
そして、カバー部材20をベース部材30に固定して制御基板ケース10を形成する場合は、カバー部材20の開口面とベース部材30の開口面とが平行面をなすように対向させ、かつ、カバー部材20の上側面44とベース部材30の上側面54が平行面をなすようにして、両開口面の縁部を合致させるように組み合わせると、嵌挿凹部23aと嵌挿凸部33aとが係合される(図8及び図9参照)。
【0047】
すると、図10及び図11に示すように、制御基板ケース10では、嵌挿凹部23a(嵌挿凹部23b)と嵌挿凸部33a(嵌挿凸部33b)とが係合されると、カバー部材20の上側面44とベース部材30の上側面54と並列に密着して、制御基板ケース10の上側面64を形成する(図4参照)。また、嵌挿凹部23a(嵌挿凹部23b)の係合板232,233が、嵌挿凸部33a(嵌挿凸部33b)の係止部333,334に各々嵌挿されて、嵌挿部13a(嵌挿部13b)が形成される。
【0048】
なお、上記の構成による嵌挿部13a,13bでは、係合板232,233の端部が制御基板ケース10の背面方向(図10の右方向)に突出することはない。また、封止板332の上端面は、カバー部材20の上側面44と同一平面上に位置するため、封止板332が制御基板ケース10の上側面64から上方向(図11の上方向)に突出することもない。すなわち、制御基板ケース10は、嵌挿部13a,13bによりカバー部材20とベース部材30とが密接に係合される結果、不必要な突出部位が生じず、かつその合わせ目の隙間が小さい構成となっている。
【0049】
以上、本実施の形態によるパチンコ機1の制御基板ケース10によれば、右側面61,と左側面62との対向する二側面において、かしめ部11a〜11d,かしめ部12a〜12dや係合部18a,18b,19a,19bで固定され、さらに下側面63は係合部14により係合される。一方、上側面64は嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bが係合された嵌挿部13a,13bにより固定される。すなわち、制御基板ケース10においてかしめ部や係合部等の固定部材によって固定されていない上側面64が、嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bという簡易な部材によりカバー部材20とベース部材30とが確実に係合される。よって、不正なROM交換を目的として制御基板ケース10の上側面64をこじ開けようとする行為を有効に防止することができる。
【0050】
また、嵌挿凸部33a,33bに係止部333,334が形成される一方、嵌挿凹部23a,23bには係止部333,334に各々挿入される係合板232,233を形成した。そして、カバー部材20の上側面44の厚みは、ベース部材30の上側面54から封止板332の上端面までの高さと略均等である。よって、嵌挿凹部23a,23bと嵌挿凸部33a,33bとが係合されても不要な突出部位などが発生しないので、制御基板ケース10の合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0051】
また、カバー部材20の上側面44とベース部材30の上側面54とは平行面をなし、かつ並列に密着して制御基板ケース10の上側面64が形成される。そして、この上側面64ではカバー部材20の上側面44と封止板332の上端面が、略同一の平面を形成する。よって、嵌挿凹部23a,23bと嵌挿凸部33a,33bとが係合されても、その合わせ目の隙間を小さくすることができるので、制御基板ケース10の合わせ目からこじ開けるような不正行為を確実に防止することができる。
【0052】
また、嵌挿凹部23a,23bはコの字型形状に凹陥するように形成されており、嵌挿凸部33a,33bはT字型形状の部材として形成されており、いずれも固定部材としては単純な構造である。よって、嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bを簡易な構成とすることができ、本発明に係る制御基板ケース10を容易に実現することができる。
【0053】
ところで、上記実施の形態において、カバー部材20が本発明の「カバー部材」に相当し、ベース部材30が本発明の「ベース部材」に相当し、かしめネジ80a〜80d及びかしめネジ90a〜90dが本発明の「固定部材」に相当する。また、嵌挿凹部23a,23bが本発明の「嵌挿凹部」に相当し、係合板232,233が本発明の「段差部」に相当する。また、嵌挿凸部33a,33bが本発明の「嵌挿凸部」に相当し、支持部材331が本発明の「支持部材」に相当し、封止板332が本発明の「封止部材」に相当し、係止部333,334が本発明の「係止部」に相当する。また、カバー部材20の上側面44が、本発明の「嵌挿凹部が形成された側面」に相当する。ベース部材30の上側面54が、本発明の「嵌挿凸部が形成された側面」に相当する。
【0054】
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能なことはいうまでもない。
【0055】
上記実施の形態では、制御基板ケース10の上側面64に嵌挿部13a,13bの2つの嵌挿部を設けているが、嵌挿部を1つだけ設けてもよいし3つ以上設けてもよい。また、嵌挿部13a,13bを構成する嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bは、一対となるのであればカバー部材20及びベース部材30のいずれに設けてもよい。
【0056】
また、嵌挿部13a,13bは制御基板ケース10の上側面64に限定されることなく、他の側面部に設けてもよく、例えば、嵌挿部13a,13bを下側面63に設けてもよい。また、嵌挿部13a,13bを上側面64及び下側面63の両面に設けてもよいし、この場合は係合部14を設けない構成としてもよい。また、制御基板ケース10が、上側面64及び下側面63にかしめ部11a〜11d及びかしめ部12a〜12dが設けられて固定される構成の場合は、右側面61及び左側面62の少なくとも一方に嵌挿部13a,13bが設けられる構成としてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、制御基板ケース10の対向する二面が、かしめネジ80a〜80d及びかしめネジ90a〜90dによって固定されているが、取り付けると抜くことが不可能なタイプのものであれば、各種の固定部材を利用可能である。例えば、挿入すると抜くことが不可能なピン(矢尻タイプ,圧着タイプなど)や、所定トルク以上かかると頭部が切断される破断ネジなどを利用してもよい。
【0058】
また、嵌挿凹部23a,23b及び嵌挿凸部33a,33bは、制御基板ケース10の実装や用途などに応じて、各種の態様をとることができる。例えば、カバー部材20の係合板232,233を設けずに、カバー部材20の上側面44が直接に係止部333,334に嵌挿される構成としてもよく、この場合は係止部333,334が上側面44の厚みと略同一の高さを有すればよい。また、支持部材331は直方体や円柱体などの部材として構成してもよいし、複数の支持部材331で封止板332を支持してもよい。そして、支持部材331の断面形状に合わせて、凹陥部231が半円状や三角形状などの任意の態様で凹陥してもよい。また、封止板332も楕円状や三角形状などの任意の態様で形成すればよい。そして、封止板332の形状に合わせて、嵌挿凹部23a,23bを任意の形状で形成すればよく、逆に封止板332の形状と嵌挿凹部23a,23bの形状とが一致しない構成としてもよい。
【0059】
同様に、係合部14,18a,18b,19a,19bは、先端が矢印形状をなす係止部材を利用しているが、有効にカバー部材20をベース部材30に係合することができれば、各種のものを利用すればよい。例えば、ネジによって固定するタイプのものでもよいし、雄部が雌部に嵌合して固定するタイプのものでもよい。また、これら係合部14,18a,18b,19a,19bは、本発明に必須の構成ではないため、本構成を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の遊技機の制御基板ケースは、パチンコ機1に用いられる制御基板ケースに限られず、パチコン機、パチスロ機等の各種の遊技機に用いられる制御基板ケースに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】パチンコ機1の背面図である。
【図2】パチンコ機1の背面における部分拡大図である。
【図3】制御基板ケース10の分解斜視図である。
【図4】制御基板ケース10の正面図である。
【図5】右かしめ部11a〜11dの斜視断面図である。
【図6】右かしめ部11aの部分拡大図である。
【図7】係合部14の部分断面図である。
【図8】カバー部材20及びベース部材30の拡大平面図である。
【図9】カバー部材20及びベース部材30のA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。
【図10】嵌挿部13aのA−A´線(図8)における矢視方向断面図である。
【図11】制御基板ケース10の拡大背面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 パチンコ機
2 外枠
3 遊技球タンク
4 センターカバー
5 払出制御基板ボックス
6 カードユニット接続装置
7 払出装置
10 制御基板ケース
20 カバー部材
21a,21b,21c,21d 台座
22a,22b,22c,22d 台座
23a,23b 嵌挿凹部
30 ベース部材
31a,31b,31c,31d ネジ受け部
32a,32b,32c,32d ネジ受け部
33a,33b 嵌挿凸部
80a,80b,80c,80d かしめネジ
90a,90b,90c,90d かしめネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の制御をなす制御素子等を搭載の制御基板を格納するカバー部材とベース部材とで構成され、前記カバー部材と前記ベース部材とが各々対向する開口面の縁部に沿って組み合わされて、取り付けると抜くことが不可能なタイプの固定部材で、前記カバー部材の対向する2つの側面と、前記ベース部材の対向する2つの側面とが各々固定される遊技機の制御基板ケースであって、
前記カバー部材及び前記ベース部材の一方における、前記対向する2つの側面とは異なる側面の少なくとも1つから突出する支持部材と、前記支持部材により支持された封止部材とから構成される嵌挿凸部と、
前記カバー部材及び前記ベース部材の他方における、前記嵌挿凸部が設けられた側面と組み合わされる側面に、前記支持部材の断面形状と略均等に凹陥するように形成された嵌挿凹部とを備え、
前記カバー部材と前記ベース部材は、前記嵌挿凹部が前記嵌挿凸部に嵌挿されて係合されることを特徴とする遊技機の制御基板ケース。
【請求項2】
前記嵌挿凸部においては、前記支持部材と前記封止部材とで係止部が形成され、
前記嵌挿凹部における前記係止部に挿入される部位には、前記支持部材の高さと略均等となるように厚みが小さくなった段差部が形成され、
前記嵌挿凹部が形成された側面の厚みは、前記嵌挿凸部が形成された側面の表面から前記封止部材の上端面までの高さと略均等であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の制御基板ケース。
【請求項3】
前記嵌挿凹部が形成された側面と、前記嵌挿凸部が形成された側面とは平行面をなし、かつ並列に密着して前記制御基板ケースの側面を形成するものであり、
前記制御基板ケースの側面の表面では、前記嵌挿凹部が形成された側面の表面と、前記封止部材の上端面とが略同一の平面を形成することを特徴する請求項2に記載の遊技機の制御基板ケース。
【請求項4】
前記嵌挿凸部は、前記支持部材の端部の両側面から突出するように前記封止部材が設けられて、T字型形状の部材を形成し、
前記嵌挿凹部は、コの字型形状に凹陥するように形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機の制御基板ケース。
【請求項1】
遊技機の制御をなす制御素子等を搭載の制御基板を格納するカバー部材とベース部材とで構成され、前記カバー部材と前記ベース部材とが各々対向する開口面の縁部に沿って組み合わされて、取り付けると抜くことが不可能なタイプの固定部材で、前記カバー部材の対向する2つの側面と、前記ベース部材の対向する2つの側面とが各々固定される遊技機の制御基板ケースであって、
前記カバー部材及び前記ベース部材の一方における、前記対向する2つの側面とは異なる側面の少なくとも1つから突出する支持部材と、前記支持部材により支持された封止部材とから構成される嵌挿凸部と、
前記カバー部材及び前記ベース部材の他方における、前記嵌挿凸部が設けられた側面と組み合わされる側面に、前記支持部材の断面形状と略均等に凹陥するように形成された嵌挿凹部とを備え、
前記カバー部材と前記ベース部材は、前記嵌挿凹部が前記嵌挿凸部に嵌挿されて係合されることを特徴とする遊技機の制御基板ケース。
【請求項2】
前記嵌挿凸部においては、前記支持部材と前記封止部材とで係止部が形成され、
前記嵌挿凹部における前記係止部に挿入される部位には、前記支持部材の高さと略均等となるように厚みが小さくなった段差部が形成され、
前記嵌挿凹部が形成された側面の厚みは、前記嵌挿凸部が形成された側面の表面から前記封止部材の上端面までの高さと略均等であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の制御基板ケース。
【請求項3】
前記嵌挿凹部が形成された側面と、前記嵌挿凸部が形成された側面とは平行面をなし、かつ並列に密着して前記制御基板ケースの側面を形成するものであり、
前記制御基板ケースの側面の表面では、前記嵌挿凹部が形成された側面の表面と、前記封止部材の上端面とが略同一の平面を形成することを特徴する請求項2に記載の遊技機の制御基板ケース。
【請求項4】
前記嵌挿凸部は、前記支持部材の端部の両側面から突出するように前記封止部材が設けられて、T字型形状の部材を形成し、
前記嵌挿凹部は、コの字型形状に凹陥するように形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機の制御基板ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−34608(P2006−34608A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219028(P2004−219028)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】
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