説明

遊技機の可動演出装置

【課題】固定部に対して近接離間する運動部に、固定部に設けられた駆動源からの回転動力を伝達することができる遊技機の可動演出装置を提供する。
【解決手段】運動部360を固定部200に対して近接離間させるとともに、伝達モータ250から伝達機構600を介して伝達される回転動力によって運動部360を固定部200に近接離間する方向以外の方向に運動させる遊技機1の可動演出装置100であって、伝達機構600は、伝達モータ250に連結される回転部材620と、回転部材620に立設される伝達軸630と、両端を伝達軸630及び運動部360にそれぞれ連結されるアーム640と、固定部200に設けられ、アーム640の回動支点となる支点軸650と、を具備し、アーム640の一端側及び中途部には、伝達軸630が摺動可能に挿通される伝達軸用長溝641及び支点軸650が摺動可能に挿通される支点軸用長溝642がそれぞれ形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾された可動部材を移動させることで演出を行う遊技機の可動演出装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装飾された可動部材を移動させることで演出を行う遊技機の可動演出装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の可動演出装置では、固定部(後方側ユニット)に設けられた駆動源(モータ)からの回転動力を、アーム(伝達部材)等を介して運動部(移動体)に伝達することで、当該運動部を所定の方向に移動させることができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の可動演出装置において、運動部を前記所定の方向に移動させるだけでなく、固定部に対して近接離間する方向にも移動させようとした場合、固定部に設けられた駆動源からの回転動力を近接状態の運動部及び離間状態の運動部に適切に伝達することが困難であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−214010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、固定部に対して近接離間する運動部(近接状態の運動部及び離間状態の運動部の両方)に、固定部に設けられた駆動源からの回転動力を伝達することができる遊技機の可動演出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、固定部と、前記固定部に対して移動可能に支持される運動部と、前記運動部を前記固定部に対して近接離間する方向に移動させる運動部移動手段と、前記固定部に設けられた駆動源からの回転動力を前記運動部に伝達する伝達機構と、を具備し、前記運動部移動手段によって前記運動部を前記固定部に対して近接離間させるとともに、前記駆動源から前記伝達機構を介して伝達される回転動力によって前記運動部に前記運動部移動手段による動きとは異なる動きをさせる遊技機の可動演出装置であって、前記伝達機構は、前記駆動源の出力軸に連結される回転部材と、前記回転部材の回動軸から所定距離離れた位置に立設される伝達軸と、一端側を前記伝達軸と連結されると共に、他端側を前記運動部と連結されるアームと、前記固定部に設けられると共に、前記アームの一端側と他端側との間に配置され、当該アームの回動支点となる支点軸と、を具備し、前記アームの一端側には前記伝達軸が前記アームの延出方向に摺動可能となるように挿通される伝達軸用長溝が形成されるとともに、前記アームの一端側と他端側との間には前記支点軸が前記アームの延出方向に摺動可能となるように挿通される支点軸用長溝が形成され、前記運動部が前記固定部に対して近接離間する方向に移動した場合に、前記伝達軸が前記伝達軸用長溝内を摺動するとともに前記支点軸が前記支点軸用長溝内を摺動するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、固定部に対して近接離間する運動部(近接状態の運動部及び離間状態の運動部の両方)に、固定部に設けられた駆動源からの回転動力を伝達することができる。また、可動する部材(運動部)に駆動源を設ける必要がないため、当該運動部が固定部に対して近接離間する際の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る可動演出装置を備えた遊技機の正面図。
【図2】同じく、遊技機の窓枠が開放された状態を示した前方斜視図。
【図3】同じく、遊技盤を示した正面図。
【図4】可動演出装置を示した正面図。
【図5】同じく、背面図。
【図6】同じく、背面斜視図。
【図7】可動部を示した背面図。
【図8】駆動機構を示した背面図。
【図9】駆動機構の左側を示した拡大背面図。
【図10】同じく駆動機構の右側を示した拡大背面図。
【図11】図9におけるX−X断面図。
【図12】可動部移動手段を示した背面図。
【図13】伝達機構を示した背面分解斜視図。
【図14】同じく、正面分解斜視図。
【図15】近接状態における可動部及び駆動機構を示した背面図。
【図16】(a)近接状態における駆動機構を示した背面図。(b)同じく、正面図。
【図17】離間状態における可動部移動手段を示した背面図。
【図18】離間状態における可動演出装置を示した正面図。
【図19】同じく、背面図。
【図20】離間状態における遊技盤を示した正面図。
【図21】離間状態における可動部及び駆動機構を示した背面図。
【図22】(a)離間状態における駆動機構を示した背面図。(b)同じく、正面図。
【図23】(a)役物作動状態における駆動機構を示した背面図。(b)同じく、正面図。
【図24】役物作動状態における可動部及び駆動機構を示した背面図。
【図25】役物作動状態における可動部を示した背面図。
【図26】同じく、駆動機構を示した背面図。
【図27】同じく、可動演出装置を示した正面図。
【図28】同じく、背面図。
【図29】役物作動状態における遊技盤を示した正面図。
【図30】(a)近接状態における駆動機構の動作の様子を示した正面図。(b)離間状態における駆動機構の動作の様子を示した正面図。
【図31】(a)近接状態において可動役物を作動させた様子を示した正面図。(b)離間状態において可動役物を作動させた様子を示した正面図。
【図32】装飾部材を移動させる駆動機構の様子を示した背面図。
【図33】(a)他の実施形態に係る可動役物の各可動部材が移動する前の様子を示した正面図。(b)同じく、各可動部材が移動した後の様子を示した正面図。
【図34】(a)他の実施形態に係る発光部材及び第三可動部材を示した正面図。(b)同じく、Y−Y断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明に係る遊技機の可動演出装置の一実施形態である可動演出装置100を備える遊技機1の全体的な構成について、図1から図3を用いて説明する。
なお、以下の説明では、遊技機1を遊技者から見て、手前側を遊技機1の前側とし、奥側を遊技機1の後側として、前後方向を規定する。また、遊技機1を遊技者から見て、左手側を遊技機1の左側とし、右手側を遊技機1の右側として、左右方向を規定する。
【0013】
遊技機1は、図1から図3が示すように、主として、外枠2と、中枠3と、窓枠4と、により構成される枠体に、各種の遊技部品が取り付けられて形成される。
【0014】
外枠2は、遊技機1の外郭を成し、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。外枠2は、パチンコホール等の遊技場に設けられた台島に設置される。外枠2には、中枠3が設けられる。
【0015】
中枠3は、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。中枠3は、外枠2の前側の開口部にヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。中枠3には、窓枠4と、下皿ユニット5と、遊技盤6と、が設けられる。
【0016】
窓枠4は、中央が開口された略平板状に形成される枠体である。窓枠4は、正面視で中枠3の下部を除く略全面に渡って配置される。窓枠4は、中枠3の前側の開口部にヒンジ部材を介して回動可能に支持される。窓枠4の中央には、正面視で略円形状の窓枠開口部7が形成される。窓枠開口部7は、透明板19により被覆される。窓枠開口部7の下部には、発射前の遊技球が貯溜される上皿8が配設される。窓枠開口部7の左右上方には、スピーカ9がそれぞれ配設される。
【0017】
下皿ユニット5は、中枠3の下部であって窓枠4の下方に取り付けられる。下皿ユニット5の中央には、上皿8から溢れた遊技球が貯溜される下皿17が配設される。下皿ユニット5の右部であって下皿17の右方には、発射ハンドル18が配設される。発射ハンドル18は、上皿8に貯溜された遊技球を発射可能に構成される。
【0018】
遊技盤6は、遊技球が転動する領域である遊技領域25が形成される部材である。遊技盤6は、窓枠4の後方であって、正面視で中枠3の下部を除く略全面に渡って配置される。遊技盤6は、中枠3に着脱可能に取り付けられる。なお、遊技盤6の遊技領域25は、窓枠4の窓枠開口部7の後方に配置され、前方から透明板19を介して視認可能に構成される。
【0019】
次に、遊技盤6の構成について、図3を用いてさらに詳細に説明する。
【0020】
遊技盤6は、図3に示すように、遊技板10と、ガイドレール11と、センター役物12と、図柄表示装置13と、可変入賞装置14と、大入賞装置15と、アウト口16と、可動演出装置100等により構成される。
【0021】
遊技板10は、四隅が適宜に切り欠かれた略平板状に形成される部材である。遊技板10には、遊技盤6を構成する各種の遊技部品が取り付けられる。
【0022】
ガイドレール11は、略円弧帯状に形成される部材である。ガイドレール11は、遊技板10に、前方へ向けて立ち上がり状に取り付けられる。ガイドレール11は、正面視で略円形状を形成するように配置される。なお、遊技板10においてガイドレール11によって略円形状に形成された内側の領域が、遊技球が転動する領域である遊技領域25として構成される。
【0023】
センター役物12は、その外観により遊技板10を装飾する部材である。センター役物12は正面視で略環状であって、その中央にセンター開口部27が前後方向に貫通して形成される。センター役物12は、遊技板10を前後方向に貫通するように当該遊技板10の中央から上部に渡って形成される孔に前方から挿入され、ボルト等によって取り付けられる。
【0024】
図柄表示装置13は、前方を臨むように配設された液晶画面26に図柄や数字等の変動(図柄遊技)を表示するように構成される装置である。図柄表示装置13は、遊技板10の後方に配置される。より詳細には、図柄表示装置13の液晶画面26が、遊技板10に取り付けられたセンター役物12のセンター開口部27の後方に配置される。これによって、前方からセンター開口部27を介して液晶画面26に表示される図柄遊技を視認することができる。
【0025】
可変入賞装置14は、所定の作動条件に応じて左右一対の可動片28が開閉作動し、始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)可能な開放状態と入球(入賞)不能な閉塞状態とに切り替え可能に構成される装置である。可変入賞装置14は、遊技領域25の左右中央部であってセンター役物12の下方に配置される。なお、可変入賞装置14は、前記開放状態において始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0026】
大入賞装置15は、所定の大当たり抽選により大当たりが選択されると、大入賞口15aを開放して遊技球が入球(入賞)可能に構成される装置である。大入賞装置15は、遊技領域25の左右中央部であって可変入賞装置14の下方に配置される。なお、大入賞装置15は、開放した大入賞口15aに遊技球が入球すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0027】
アウト口16は、遊技領域25を転動する遊技球が、大入賞口15aや始動入賞口14a等の各入賞口に入球(入賞)しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口16は、遊技領域25の最下部に配置される。なお、アウト口16に流入した遊技球は、遊技機1が設置されたパチンコホール等の遊技場側に回収される。
【0028】
次に、可動演出装置100の構成について詳細に説明する。
【0029】
図3から図5までに示す可動演出装置100は、液晶画面26に表示される図柄遊技に応じて可動し、遊技者に視覚的な印象(インパクト)を与えるためのものである。可動演出装置100は、液晶画面26の上部前方に配置されるとともに、前後方向においてセンター役物12と液晶画面26との間、すなわちセンター役物12よりも後方であって液晶画面26よりも前方に配置される。可動演出装置100は、主として、固定部200と、可動部300と、可動部移動手段400(図12等を参照)と、伝達機構600(図15等を参照)と、により構成される。
【0030】
まず、固定部200の構成について説明する。
【0031】
図4から図6までに示す固定部200は、遊技盤6に固定され、後述する可動部300等を支持するためのものである。固定部200は、主として固定側本体210、移動モータ支持部220、伝達モータ支持部230、スライド機構240及び伝達モータ250等を具備する。
【0032】
図4、図5及び図12に示す固定側本体210は、略直方体状の箱状の部材である。固定側本体210は、適宜遊技盤6に固定される。
固定側本体210の背面には、後方に向けて案内軸211・211が突設される。案内軸211・211は、固定側本体210の上下略中央部に、左右方向に互いに所定間隔をあけて配置される。
【0033】
図5、図13及び図14に示す移動モータ支持部220は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。移動モータ支持部220は、固定側本体210の背面に固定される。
【0034】
図5に示す伝達モータ支持部230は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。伝達モータ支持部230は、移動モータ支持部220の背面の左右略中央部に固定される。
【0035】
図5及び図6に示すスライド機構240は、主として固定スライド部材241及び可動スライド部材242等を具備する。
【0036】
固定スライド部材241は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。固定スライド部材241は、移動モータ支持部220の背面における伝達モータ支持部230の右側方に固定される。
【0037】
可動スライド部材242は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。可動スライド部材242は、固定スライド部材241に対して斜め方向(右上方向から左下方向)に摺動可能となるように設けられる。
【0038】
図5、図13及び図14に示す伝達モータ250は駆動源となるものである。伝達モータ250は、その出力軸251を前方に向けた状態で、伝達モータ支持部230に固定される。
【0039】
次に、可動部300の構成について説明する。
【0040】
図4から図11までに示す可動部300は、移動及び発光することにより演出を行い、遊技者に印象(インパクト)を与えるためのものである。可動部300は、主として可動側本体310、発光部材320、可動役物330、駆動機構340及び運動部360等を具備する。
【0041】
図6及び図7に示す可動側本体310は、略矩形板状の部材であり、その長手方向を左右方向に向けて配置される。
可動側本体310の右下端部及び左右略中央下端部には、それぞれ当該可動側本体310を前後方向に貫通する長孔311・311が形成される。当該長孔311・311は、その長手方向を左右方向に向けて形成される。
可動側本体310の背面には、後方に向けて案内軸312・312が突設される。案内軸312・312は、可動側本体310の上下略中央部に、左右方向に互いに所定間隔をあけて配置される。
可動側本体310の背面下部は、固定部200のスライド機構240の可動スライド部材242に固定され、当該可動スライド部材242に支持される。
【0042】
図7から図11までに示す発光部材320は、光を照射するためのものである。発光部材320は、略直方体状に形成される。発光部材320は可動側本体310の前方に配置され、当該可動側本体310に適宜固定される。発光部材320(特に当該発光部材320の前面)は透光性を有する部材で構成される。発光部材320の内部には発光手段(例えば、LED基板等)が適宜配置され、当該発光手段を発光させることにより、発光部材320の前方等に光を照射することができる。
発光部材320の背面には、複数の案内軸321・321・・・及び2つの回動軸322・322が後方に向けて適宜の位置に突設される。
【0043】
図4及び図7から図11までに示す可動役物330は、移動することにより演出を行い、遊技者に印象(インパクト)を与えるためのものである。可動役物330は、主として第一可動部材331、第二可動部材332、第三可動部材333、第四可動部材334、第五可動部材335、第一固定部材336及び第二固定部材337等を具備する。
【0044】
図4、図9及び図11に示す第一可動部材331は、発光部材320の一部を前方及び側方から覆うものである。第一可動部材331は、主として前面部331a、側面部331b及び透光部331c等を具備する。
【0045】
前面部331aは、略平板状の部分であり、その板面を前後方向に向けて、発光部材320の前方に配置される。
側面部331bは、略平板状の部分であり、前面部331aの左端、上端及び下端からそれぞれ後方に向けて突設される。側面部331bの後端は、前後方向において発光部材320の後端よりも後方まで延設される。
このように構成された前面部331a及び側面部331bによって、発光部材320の一部(より詳細には、発光部材320の左端部)は前方及び側方から覆われる。
【0046】
なお、本発明において発光部材320を「覆う」とは、当該発光部材320の前方及び側方に隙間無く可動役物330(より詳細には、第一可動部材331、第二可動部材332等)を配置することだけでなく、当該発光部材320の前方又は側方の一部に可動役物330を配置することも含むものとする。
【0047】
図4に示す透光部331cは、光透過性を有する部分であり、前面部331aに設けられる。透光部331cにおいては、前面部331aの後方から前方へと光を透過させることが可能である。透光部331cは、正面視においてアルファベットの「A」の文字の一部の形状を形成する。
【0048】
図4及び図7から図9までに示す第二可動部材332は、発光部材320の一部を前方及び側方から覆うものである。
第二可動部材332は、第一可動部材331と同様に前面部及び側面部を具備し、発光部材320の一部(より詳細には、発光部材320の左端部近傍下部)を前方及び側方から覆う。
第二可動部材332の前面部には透光部が設けられ、当該透光部は正面視においてアルファベットの「A」の文字の一部の形状を形成する。
【0049】
第三可動部材333は、発光部材320の一部を前方及び側方から覆うものである。
第三可動部材333は、第一可動部材331と同様に前面部及び側面部を具備し、発光部材320の一部(より詳細には、発光部材320の左右略中央下部)を前方及び側方から覆う。
第三可動部材333の前面部には透光部が設けられ、当該透光部は正面視においてアルファベットの「B」の文字の一部の形状を形成する。
【0050】
図4、図7、図8及び図10に示す第四可動部材334は、発光部材320の一部を前方及び側方から覆うものである。
第四可動部材334は、第一可動部材331と同様に前面部及び側面部を具備し、発光部材320の一部(より詳細には、発光部材320の左右略中央の上部から下部まで)を前方及び側方から覆う。
第四可動部材334の前面部には透光部が設けられ、当該透光部は正面視においてアルファベットの「B」の文字の一部の形状を形成する。
【0051】
第五可動部材335は、発光部材320の一部を前方及び側方から覆うものである。
第五可動部材335は、第一可動部材331と同様に前面部及び側面部を具備し、発光部材320の一部(より詳細には、発光部材320の右端部)を前方及び側方から覆う。
第五可動部材335の前面部には透光部が設けられ、当該透光部は正面視においてアルファベットの「C」の文字の一部の形状を形成する。
【0052】
図4及び図7から図9までに示す第一固定部材336は、発光部材320の一部を前方及び側方から覆うものである。
第一固定部材336は、第一可動部材331と同様に前面部及び側面部を具備し、発光部材320の一部(より詳細には、発光部材320の左右略中央上部)を前方及び側方から覆う。
第一固定部材336の前面部には透光部が設けられ、当該透光部は正面視においてアルファベットの「B」の文字の一部の形状を形成する。
【0053】
図4、図7、図8及び図10に示す第二固定部材337は、発光部材320の一部を前方及び側方から覆うものである。
第二固定部材337は、第一可動部材331と同様に前面部及び側面部を具備し、発光部材320の一部(より詳細には、発光部材320の右端部近傍下部)を前方及び側方から覆う。
第二固定部材337の前面部には透光部が設けられ、当該透光部は正面視においてアルファベットの「C」の文字の一部の形状を形成する。
【0054】
上述の如く構成された可動役物330において、第一可動部材331、第二可動部材332、第三可動部材333、第四可動部材334、第五可動部材335、第一固定部材336及び第二固定部材337が互いに近接するように配置されている場合(図4参照)、可動役物330全体としては略直方体形状の部材を構成する。
【0055】
また、上記各部材の隣り合う部材同士が対向する辺の形状は、正面視において同一形状となるように形成される。これによって、上記各部材が互いに近接するように配置されている場合、略直方体形状の部材にヒビが入っている状態を模すことができる。
【0056】
また、上記各部材が互いに近接するように配置されている場合(図4参照)、当該各部材の前面部に形成された透光部が集合して、可動役物330全体としての前面には「ABC」という文字列からなるキャラクタが構成される。
ここで、「キャラクタ」とは、性格や人格等、小説や映画等の登場人物、文字や記号等を広く意味するものである。
【0057】
図7から図11までに示す駆動機構340は、可動役物330を移動させるものである。駆動機構340は、主としてスライド部材341、後方ギヤ342、前方ギヤ343、第一アーム344、第一リンク部材345、第二リンク部材346、第三リンク部材347、第四リンク部材348、第二アーム349及び第五リンク部材350等を具備する。
【0058】
図7から図10までに示すスライド部材341は、長手方向を左右方向に向けて配置される略板状の部材である。スライド部材341は、その板面を前後方向に向けて、可動側本体の後方に配置される。
【0059】
スライド部材341には、当該スライド部材341を前後方向に貫通する長孔341a・341aが形成される。長孔341a・341aは、その長手方向を左右方向に向けて形成される。長孔341a・341aは、左右方向に互いに所定間隔(より詳細には、可動側本体310に設けられた案内軸312・312間の間隔と同じ間隔)をあけて配置される。当該長孔341a・341aには、それぞれ可動側本体310に設けられた案内軸312・312が挿通される。これによって、スライド部材341は左右方向にのみ摺動可能となるように案内される。
【0060】
スライド部材341の左上端部には、前方に向けて第一軸341bが突設される。
スライド部材341の右端部には、前方に向けて第二軸341cが突設される。
スライド部材341の左右略中央上部には、上方に向けてラック(歯)が形成される。
スライド部材341は、図示せぬスプリング(付勢部材)によって常時左方に向かって付勢される。
【0061】
後方ギヤ342は、スライド部材341の左右略中央上方に配置され、当該スライド部材341に形成されたラックと歯合される。
【0062】
前方ギヤ343は、後方ギヤ342と同一軸線上、かつ当該後方ギヤ342の前方に配置される。前方ギヤ343は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方に配置され、当該可動側本体310を前後方向に貫通する軸によって後方ギヤ342と連動連結される。このようにして、前方ギヤ343及び後方ギヤ342は、可動側本体310に回動可能に支持される。
【0063】
図8及び図9に示す第一アーム344は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第一アーム344は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方であって、前方ギヤ343の左側方に配置される。第一アーム344は、その長手方向を斜め方向(左上から右下)に向けて配置される。第一アーム344の長手方向中途部には、発光部材320に設けられた回動軸322が挿通されることにより、当該第一アーム344が回動可能に支持される。第一アーム344の一端(上端)には、スライド部材341の第一軸341bが回動可能に連結される。
【0064】
第一リンク部材345は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第一リンク部材345は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方であって、第二可動部材332の概ね後方に配置される。
第一リンク部材345には、当該第一リンク部材345を前後方向に貫通する長孔345a・345aが形成される。長孔345a・345aは、その長手方向を斜め方向(右上から左下)に向けて形成される。当該長孔345a・345aには、それぞれ発光部材320に設けられた案内軸321・321・・・が挿通される。これによって、第一リンク部材345は長孔345a・345aの長手方向に沿って摺動可能となるように案内される。
第一リンク部材345の右上端部は、第一アーム344の他端(下端)に回動可能に連結される。第一リンク部材345の下端部は、第二可動部材332の側面部の後端にピンにより固定される。
【0065】
図8、図9及び図11に示す第二リンク部材346は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第二リンク部材346は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方であって、第一可動部材331の概ね後方に配置される。
第二リンク部材346には、当該第二リンク部材346を前後方向に貫通する長孔346a・346aが形成される。長孔346a・346aは、その長手方向を略左右方向に向けて形成される。当該長孔346a・346aには、それぞれ発光部材320に設けられた案内軸321・321・・・が挿通される。これによって、第二リンク部材346は長孔346a・346aの長手方向に沿って摺動可能となるように案内される。
第二リンク部材346の右端部は、第一リンク部材345の左上端部に摺動可能に連結される。第二リンク部材346の上端部及び下端部は、第一可動部材331の側面部331bの後端にそれぞれピン346b・346bにより固定される。
【0066】
図8及び図9に示す第三リンク部材347は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第三リンク部材347は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方であって、第三可動部材333の概ね後方に配置される。
第三リンク部材347には、当該第三リンク部材347を前後方向に貫通する長孔347a・347aが形成される。長孔347a・347aは、その長手方向を上下方向に向けて形成される。当該長孔347a・347aには、それぞれ発光部材320に設けられた案内軸321・321・・・が挿通される。これによって、第三リンク部材347は長孔347a・347aの長手方向に沿って摺動可能となるように案内される。
第三リンク部材347の左上端部には、右方に向けてラック(歯)が形成され、当該ラックは、前方ギヤ343と歯合される。第三リンク部材347の下端部は、第三可動部材333の側面部の後端にピンにより固定される。
【0067】
図8及び図10に示す第四リンク部材348は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第四リンク部材348は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方であって、第四可動部材334の概ね後方に配置される。
第四リンク部材348には、当該第四リンク部材348を前後方向に貫通する長孔348a・348aが形成される。長孔348a・348aは、その長手方向を斜め方向(右上から左下)に向けて形成される。当該長孔348a・348aには、それぞれ発光部材320に設けられた案内軸321・321・・・が挿通される。これによって、第四リンク部材348は長孔348a・348aの長手方向に沿って摺動可能となるように案内される。
第四リンク部材348の左端部には、左上方に向けてラック(歯)が形成され、当該ラックは、前方ギヤ343と歯合される。第四リンク部材348の上端部は、第四可動部材334の側面部の後端にピンにより固定される。
【0068】
第二アーム349は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第二アーム349は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方であって、前方ギヤ343の右側方に配置される。第二アーム349は、その長手方向を斜め方向(左上から右下)に向けて配置される。第二アーム349の一端部(下端部)には、発光部材320に設けられた回動軸322が挿通されることにより、当該第二アーム349が回動可能に支持される。第二アーム349の他端(上端)には、スライド部材341の第二軸341cが回動可能に連結される。
【0069】
第五リンク部材350は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第五リンク部材350は、可動側本体310の前方かつ発光部材320の後方であって、第五可動部材335の概ね後方に配置される。
第五リンク部材350には、当該第五リンク部材350を前後方向に貫通する長孔350a・350a・・・が形成される。長孔350a・350a・・・は、その長手方向を略左右方向に向けて形成される。当該長孔350a・350a・・・には、それぞれ発光部材320に設けられた案内軸321・321・・・が挿通される。これによって、第五リンク部材350は長孔350a・350a・・・の長手方向に沿って摺動可能となるように案内される。
第五リンク部材350の左端部は、第二アーム349の長手方向中途部に回動可能であって摺動可能に連結される。第五リンク部材350の上端部及び下端部は、第五可動部材335の側面部の後端にピンにより固定される。
【0070】
上述の如く駆動機構340を構成することで、当該駆動機構340は、発光部材320及び可動役物330の後方に配置されることになる。
【0071】
図7、図13及び図14に示す運動部360は、駆動機構340の外部からの駆動力を、当該駆動機構340に伝達するためのものである。運動部360は、主として固定部361及び軸部362等を具備する。
【0072】
固定部361は、略平板状の部分であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。
軸部362は、固定部361の背面の左右中央から後方に向かって突設される。
【0073】
上述の如く構成された運動部360において、その固定部361は、駆動機構340のスライド部材341の背面の左下部に固定される。
【0074】
次に、運動部移動手段としての可動部移動手段400の構成について説明する。
【0075】
図6及び図12に示す可動部移動手段400は、可動部300を固定部200に対して近接離間する方向に移動させるものである。可動部移動手段400は、主として移動モータ410、出力ギヤ420、回動アーム430、スライド部材440、第一上部アーム450、第一下部アーム460、第一連結軸470、第二上部アーム480、第二下部アーム490、第二連結軸500及びセンサ510等を具備する。
【0076】
移動モータ410は、その出力軸を前方に向けた状態で、移動モータ支持部220(図5参照)に固定される。
出力ギヤ420は、移動モータ410の出力軸に固定される。
【0077】
回動アーム430は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。回動アーム430は、その長手方向を斜め方向(右上から左下)に向けて配置される。回動アーム430の一端(右上端)は略半円形状に形成され、当該回動アーム430は当該半円形の中心部に設けられる軸を介して固定部200に回動可能に支持される。回動アーム430の一端にはギヤ(歯)が形成され、当該ギヤは出力ギヤ420に歯合される。
【0078】
スライド部材440は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。スライド部材440は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。
スライド部材440には、当該スライド部材440を前後方向に貫通する長孔441・441が形成される。長孔441・441は、その長手方向を左右方向に向けて形成される。長孔441・441は、左右方向に互いに所定間隔(より詳細には、固定側本体210に設けられた案内軸211・211間の間隔と同じ間隔)をあけて配置される。当該長孔441・441には、それぞれ固定側本体210に設けられた案内軸211・211が挿通される。これによって、スライド部材440は左右方向にのみ摺動可能となるように案内される。
スライド部材440の左端部近傍は、回動アーム430の他端(左下端)と回動可能であって摺動可能に連結される。より詳細には、回動アーム430の他端に設けられたピンを、スライド部材440の左端部近傍に形成された上下に長い長孔に挿通することにより、当該回動アーム430とスライド部材440とが連結される。
【0079】
第一上部アーム450は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第一上部アーム450は、その長手方向を略上下方向に向けて配置される。第一上部アーム450の一端(上端)は、スライド部材440の左端部と回動可能に連結される。
【0080】
第一下部アーム460は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第一下部アーム460は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。第一下部アーム460の一端(左端)は、第一アーム連結軸461を介して第一上部アーム450の他端(下端)と相対回転不能となるように連結される。第一アーム連結軸461は、適宜固定部200に回動可能に支持される。
【0081】
第一連結軸470は、第一下部アーム460の他端(右端)から前方に突設される。第一連結軸470の前端は、可動側本体310に形成された左側の長孔311に挿通される。
【0082】
第二上部アーム480は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第二上部アーム480は、その長手方向を略上下方向に向けて配置される。第二上部アーム480の一端(上端)は、スライド部材440の右端部と回動可能に連結される。
第二上部アーム480の形状は、第一上部アーム450と同一となるように形成される。
【0083】
第二下部アーム490は、略平板状の部材であり、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。第二下部アーム490は、その長手方向を左右方向に向けて配置される。第二下部アーム490の一端(左端)は、第二アーム連結軸491を介して第二上部アーム480の他端(下端)と相対回転不能となるように連結される。第二アーム連結軸491は、適宜固定部200に回動可能に支持される。
第二下部アーム490の形状は、第一下部アーム460と同一となるように形成される。
【0084】
第二連結軸500は、第二下部アーム490の他端(右端)から前方に突設される。第二連結軸500の前端は、可動側本体310に形成された右側の長孔311に挿通される。
【0085】
センサ510は、回動アーム430の左上方に配置される。センサ510は、回動アーム430に形成される検出片が近接したことを検出することで、当該回動アーム430が所定の角度に回動したことを検出することができる。
【0086】
次に、伝達機構600の構成について説明する。
【0087】
図13から図16までに示す伝達機構600は、固定部200に設けられた伝達モータ250からの回転動力を運動部360に伝達するものである。伝達機構600は、主として伝達ギヤ610、回転部材620、伝達軸630、アーム640、支点軸650及びセンサ660等を具備する。
【0088】
伝達ギヤ610は、伝達モータ250の出力軸251に固定される。
【0089】
回転部材620は、略円形平板状の部材である。回転部材620は、伝達ギヤ610の概ね下方に配置され、回動軸621を介して固定部200に回動可能に支持される。
回転部材620の外周部にはギヤ(歯)が形成され、当該ギヤは伝達ギヤ610と歯合される。
【0090】
伝達軸630は、回転部材620の前面から前方に向かって突設される。伝達軸630は、回転部材620の回転中心(回動軸621)から所定距離離れた位置に立設される。
【0091】
アーム640は、略直方体状の部材である。アーム640は、その長手方向を斜め方向(右上から左下)に向けて配置される。アーム640は、図示せぬスプリング(付勢部材)によって常時右上方(アーム640の長手方向に沿った上方)に向かって付勢される。アーム640には、伝達軸用長溝641、支点軸用長溝642及び運動部用長溝643が形成される。
【0092】
伝達軸用長溝641は、アーム640の背面に形成される。伝達軸用長溝641は、その長手方向をアーム640の長手方向(延出方向)に向けて、当該アーム640の上端部近傍から当該アーム640の上下中央部よりやや上方にわたって形成される。
伝達軸用長溝641には、後方から伝達軸630が挿通される。
【0093】
支点軸用長溝642は、アーム640の前面に形成される。支点軸用長溝642は、その長手方向をアーム640の長手方向(延出方向)に向けて、当該アーム640の上端部近傍から当該アーム640の上下中央部よりやや下方にわたって形成される。
伝達軸用長溝641と支点軸用長溝642とが正面視において重複する部分においては、当該伝達軸用長溝641及び支点軸用長溝642によってアーム640が前後方向に貫通されることになる。
【0094】
運動部用長溝643は、アーム640の前面に形成される。運動部用長溝643は、その長手方向をアーム640の長手方向(延出方向)に向けて、当該アーム640の下端部近傍から当該アーム640の上下中央部よりやや下方(支点軸用長溝642のすぐ下方)にわたって形成される。
運動部用長溝643には、前方から運動部360の軸部362が挿通される。
【0095】
支点軸650は、アーム640の回動支点となるものである。支点軸650は、固定部200(より詳細には、移動モータ支持部220)の背面から後方に向かって突設される。
支点軸650は、アーム640の支点軸用長溝642に前方から挿通される。
【0096】
センサ660は、伝達ギヤ610の右上方に配置される。センサ660は、伝達ギヤ610に形成される検出片が近接したことを検出することで、当該伝達ギヤ610が所定の角度に回動したことを検出することができる。
【0097】
以下では、上述の如く構成された可動演出装置100の動作態様について説明する。
【0098】
まず、可動演出装置100が図3、図4及び図12に示す状態にある場合について説明する。
【0099】
この状態においては、可動部300は固定部200に最も近接する位置(固定部200に対して最も上方に移動した位置)にある。この可動演出装置100の状態を、以下では単に「近接状態」と記す。
【0100】
近接状態においては、可動部300は液晶画面26の上部前方に位置している。また、可動役物330を構成する第一可動部材331等の各部材は互いに近接し、可動役物330全体として略直方体の部材を構成している。この場合においては、可動役物330の前面には「ABC」という文字列からなるキャラクタが構成されるとともに、当該可動役物330にヒビが入ったような形状を模すことができる。また、この状態において発光部材320を発光させることで、可動役物330の「ABC」という文字列(透光部)を発光させ、遊技者に「ABC」の文字列(キャラクタ)の印象を強く与えることができる。
【0101】
次に、近接状態から可動部移動手段400を作動させた場合について説明する。
【0102】
図17に示すように、可動部移動手段400の移動モータ410を作動させ、出力ギヤ420(図6参照)を背面視反時計回りに回転させると、回動アーム430は背面視時計回りに回転する。回動アーム430が回転すると、当該回動アーム430に連結されたスライド部材440が右方に摺動する。この際、スライド部材440は案内軸211・211によって案内されているため、真っ直ぐ右方に向かって摺動する。
【0103】
スライド部材440が右方に摺動すると、当該スライド部材440に連結された第一上部アーム450及び第二上部アーム480が、それぞれ第一アーム連結軸461及び第二アーム連結軸491を中心として背面視反時計回りに回転する。第一上部アーム450及び第二上部アーム480が回転すると、当該第一上部アーム450及び第二上部アーム480にそれぞれ連結された第一下部アーム460及び第二下部アーム490も背面視反時計回りに回転する。
【0104】
第一下部アーム460及び第二下部アーム490が背面視反時計回りに回転することによって、当該第一下部アーム460及び第二下部アーム490の右端部は固定部200に対して下方に移動することになる。これによって、当該第一下部アーム460及び第二下部アーム490の右端部に連結された可動側本体310が固定部200に対して下方に移動することになり、ひいては運動部360(図21等参照)を含む可動部300全体が固定部200に対して下方に(すなわち、固定部200から離間する方向に)移動する(図18参照)。
【0105】
この際、図19に示すように、可動部300は、スライド機構240によって移動方向を案内されているため、当該可動部300は固定部200に対して真っ直ぐ左下方へと移動する(図18及び図19参照)。このようにして、図18から図20までに示すように、可動部300が固定部200に対して最も下方に移動したときの可動演出装置100の状態を、以下では単に「離間状態」と記す。
【0106】
図20に示すように、離間状態においては、可動部300は液晶画面26の上部から中央寄りに移動した位置にある。このように、近接状態から離間状態に遷移し、液晶画面26の中央付近に可動部300を移動させることで、遊技者の注意を可動部300に向けることができる。
【0107】
また、図21に示すように、可動演出装置100が近接状態から離間状態に遷移した場合、可動部300の運動部360も固定部200に対して下方(離間する方向)に移動している。
【0108】
この場合、図22に示すように、運動部360の軸部362が、アーム640の運動部用長溝643の下端に当接するとともに下方に向かって押圧するため、当該運動部360とともにアーム640も下方に移動する。この際、アーム640の伝達軸用長溝641及び支点軸用長溝642には、それぞれ伝達軸630及び支点軸650が挿通されているため、当該アーム640はこれら長溝の長手方向(すなわち、アーム640の延出方向)に沿って下方に摺動する。このようにして、近接状態(図16参照)から離間状態(図22参照)に遷移すると、アーム640に対する支点軸650の位置が上方へと移動する。
【0109】
次に、離間状態から伝達モータ250を作動させた場合について説明する。
【0110】
図23に示すように、伝達モータ250を作動させ、伝達ギヤ610を背面視時計回り(正面視反時計回り)に回転させると、当該伝達ギヤ610と歯合した回転部材620は背面視反時計回りに回転する。回転部材620が回転すると、当該回転部材620に設けられた伝達軸630は概ね左方に向かって移動する。これによって、当該伝達軸630はアーム640の上部を左方に向かって押圧することになり、当該アーム640は支点軸650を中心として背面視時計回り(正面視反時計回り)に回転する。
【0111】
アーム640が背面視時計回りに回転すると、当該アーム640の下端部に連結された運動部360は右方に移動する(すなわち、可動部移動手段400による動き(固定部200に対して下方に移動する動き)とは「異なる動き」をする)。運動部360が右方に移動すると、図24に示すように、当該運動部360が固定されたスライド部材341も右方に摺動する。この際、スライド部材341は案内軸312・312によって案内されているため、真っ直ぐ右方に向かって摺動する。
【0112】
図25及び図26に示すように、スライド部材341が右方に摺動すると、当該スライド部材341と連結された第一アーム344が背面視反時計回りに回転する。第一アーム344が回転すると、当該第一アーム344と連結された第一リンク部材345が、長孔345a・345a(図9参照)の長手方向に沿って左下方へと摺動する。これによって、当該第一リンク部材345に固定された第二可動部材332も左下方へと摺動する。
【0113】
また、第一リンク部材345が左下方へと摺動すると、当該第一リンク部材345と連結された第二リンク部材346が、長孔346a・346a(図9参照)の長手方向に沿って概ね左方へと摺動する。これによって、当該第二リンク部材346に固定された第一可動部材331も概ね左方へと摺動する。
【0114】
また、スライド部材341が右方に摺動すると、当該スライド部材341のラックと歯合した後方ギヤ342及び当該後方ギヤ342と連結された前方ギヤ343が背面視時計回りに回転する。
【0115】
前方ギヤ343が回転すると、当該前方ギヤ343と歯合したラックを介して、第三リンク部材347が長孔347a・347a(図9参照)の長手方向に沿って下方へと摺動する。これによって、当該第三リンク部材347に固定された第三可動部材333も下方へと摺動する。
【0116】
また、前方ギヤ343が回転すると、当該前方ギヤ343と歯合したラックを介して、第四リンク部材348が長孔348a・348a(図10参照)の長手方向に沿って右上方へと摺動する。これによって、当該第四リンク部材348に固定された第四可動部材334も右上方へと摺動する。
【0117】
また、スライド部材341が右方に摺動すると、当該スライド部材341と連結された第二アーム349が背面視半時計回りに回転する。第二アーム349が回転すると、当該第二アーム349と連結された第五リンク部材350が、長孔350a・350a・・・(図10参照)の長手方向に沿って概ね右方へと摺動する。これによって、当該第五リンク部材350に固定された第五可動部材335も概ね右方へと摺動する。
【0118】
上述の如く、伝達モータ250を作動させ、当該伝達モータ250の回転動力を伝達機構600を介して運動部360に伝達することで、図27及び図28に示すように、可動役物330の各可動部材をそれぞれ発光部材320に対して所定の方向に移動させることができる。このように、可動役物330の各可動部材が所定の方向に摺動したときの可動演出装置100の状態を、以下では単に「役物作動状態」と記す。
【0119】
図27及び図29に示すように、役物作動状態においては、可動役物330の各可動部材及び各固定部材が互いに離間するように移動している。これによって、近接状態や離間状態で可動役物330に入っていたヒビから当該可動役物330及び「ABC」の文字列からなるキャラクタが割れたような演出を行うことができ、遊技者に印象(インパクト)を与えることができる。
【0120】
また、役物作動状態においては、発光部材320のうち、可動役物330と対向しない部分、すなわちヒビ割れた部分のみを発光させることで、可動役物330が割れた印象を強調し、遊技者により強い印象を与えることができる。
【0121】
ここで、上記説明において、離間状態から伝達モータ250を作動させた場合、運動部360は可動部移動手段400による動きとは「異なる動き」をするものとした。当該「異なる動き」とは、運動部360の動作前の位置、動作後の位置及び動作する際の移動経路の少なくとも1つが、可動部移動手段400による動きとは異なるような動きを言うものとする。
例えば、動作前後の位置がいずれも同じであっても、動作する際の移動経路が異なれば異なる動きであり、動作する際の移動経路の一部が重複していても、動作前後の位置の少なくとも一方が異なれば異なる動きである。
【0122】
なお、可動演出装置100が役物作動状態にある場合において、伝達モータ250を上述とは逆方向に作動させると(すなわち、アーム640(図23等参照)を支点軸650を中心として背面視反時計回りに回転させると)、当該可動演出装置100を役物作動状態から離間状態に再び遷移させることができる。
また、可動演出装置100が離間状態にある場合において、移動モータ410を上述とは逆方向に作動させると(すなわち、スライド部材440(図17等参照)を左方に摺動させると)、当該可動演出装置100を離間状態から近接状態に再び遷移させることができる。
【0123】
以上の如く、本実施形態に係る遊技機1の可動演出装置100は、前面を発光させることが可能な発光部材320と、発光部材320の前面及び側面を覆うように配置され、少なくとも一部が光透過性を有する可動役物330と、発光部材320よりも後方に配置され、可動役物330を移動させる駆動機構340と、を具備し、可動役物330は複数の可動部材(第一可動部材331、第二可動部材332、第三可動部材333、第四可動部材334及び第五可動部材335)を備え、前記各可動部材は、発光部材320の前面を覆う前面部(例えば、第一可動部材331の前面部331a)及び発光部材320の側面を覆う側面部(例えば、第一可動部材331の側面部331b)を具備し、前記各可動部材の側面部と駆動機構340とが連結され、当該駆動機構340を駆動させることにより、前記各可動部材をそれぞれ発光部材320に対して所定の方向に移動させるものである。
このように構成することで、発光部材320よりも後方に、可動役物330(可動部材)を移動させるための駆動機構340を配置することにより、当該駆動機構340によって発光部材320から可動役物330に照射される光が遮られるのを防止することができる。
また、発光部材320を固定側(可動しない部材)に配置しているため、配線の取り回しを容易にすることができる。
【0124】
また、本実施形態に係る遊技機1の可動演出装置100は、固定部200と、固定部200に対して移動可能に支持される運動部360と、運動部360を固定部200に対して近接離間する方向に移動させる可動部移動手段400(運動部移動手段)と、固定部200に設けられた伝達モータ250(駆動源)からの回転動力を運動部360に伝達する伝達機構600と、を具備し、可動部移動手段400によって運動部360を固定部200に対して近接離間させるとともに、伝達モータ250から伝達機構600を介して伝達される回転動力によって運動部360に可動部移動手段400による動きとは異なる動きをさせる遊技機1の可動演出装置100であって、伝達機構600は、伝達モータ250の出力軸251に連結される回転部材620と、回転部材620の回動軸621から所定距離離れた位置に立設される伝達軸630と、一端側を伝達軸630と連結されると共に、他端側を運動部360と連結されるアーム640と、固定部200に設けられると共に、アーム640の一端側と他端側との間に配置され、当該アーム640の回動支点となる支点軸650と、を具備し、アーム640の一端側には伝達軸630がアーム640の延出方向に摺動可能となるように挿通される伝達軸用長溝641が形成されるとともに、アーム640の一端側と他端側との間には支点軸650がアーム640の延出方向に摺動可能となるように挿通される支点軸用長溝642が形成され、運動部360が固定部200に対して近接離間する方向に移動した場合に、伝達軸630が伝達軸用長溝641内を摺動するとともに支点軸650が支点軸用長溝642内を摺動するものである。
このように構成することにより、固定部200に対して近接離間する運動部360(近接状態の運動部360及び離間状態の運動部360の両方)に、固定部200に設けられた伝達モータ250からの回転動力を伝達することができる。また、可動する部材(運動部360)に駆動源を設ける必要がないため、当該運動部360が固定部200に対して近接離間する際の負荷を軽減することができる。
【0125】
なお、上述の如く、伝達機構600は可動演出装置100が離間状態にある場合に、伝達モータ250からの回転動力を運動部360に伝達するものとした(図23等参照)が、可動演出装置100が近接状態にある場合に伝達することも可能である。
【0126】
可動演出装置100が近接状態にある場合(図30(a)参照)においては、可動演出装置100が離間状態にある場合(図30(b)参照)に比べて、アーム640の回動支点となる支点軸650からアーム640の下端までの距離Lが短くなる。従って、伝達モータ250を同じ量だけ回転させた場合(すなわち、回転部材620を同じ量だけ回転させた場合)であっても、近接状態においては離間状態に比べてアーム640の下端の移動量が小さくなる。
【0127】
このように、伝達モータ250を同じ量だけ回転させた場合であっても、近接状態と離間状態とでアーム640の下端の移動量を変化させ、ひいては運動部360の移動量を変化させることができる。これによって、例えば、可動演出装置100が近接状態にある場合には、図31(a)に示すように、可動役物330の各可動部材を少しだけ移動させ、今にも割れそうな演出を行い、可動演出装置100が離間状態にある場合には、図31(b)に示すように、可動役物330の各可動部材を大きく移動させ、当該可動役物330が割れて各可動部材が飛び散ったような演出を行うことができる。
【0128】
また、本実施形態においては、伝達機構600によって伝達モータ250からの回転動力を運動部360に伝達し、可動役物330を作動させるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図32に示すように、伝達機構600のアーム640の下端に装飾部材700を設け、伝達モータ250からの回転動力によって当該装飾部材700を運動(移動)させる構成とすることも可能である。
【0129】
また、本実施形態においては、可動演出装置100が役物作動状態にある場合には、可動役物330の各可動部材が外側に広がるように移動し、当該可動役物330の前面に形成された「ABC」の文字列からなるキャラクタ(透光部)が正面視において発光部材320と重複しない位置まで移動するものであった(図27に示す第三可動部材333や第四可動部材334の透光部等)。
【0130】
しかし、例えば、図33に示すように、可動演出装置100が役物作動状態に遷移する前(図33(a)参照)と遷移した後(図33(b)参照)とで常にキャラクタ(透光部)が正面視において発光部材320と重複するように構成することも可能である。
図33に示す場合、第一可動部材331の透光部331c、第五可動部材335の透光部335c及び第二固定部材337の透光部337cが常に発光部材320の正面に位置する。このため、当該発光部材320のうち前記透光部と対向する部分を発光させることで、可動演出装置100が役物作動状態に遷移する前後で常に「DE」の文字列からなるキャラクタを発光させることができる。
【0131】
また、本実施形態においては、発光部材320は略直方体状に形成されるものとしたが、図34に示すように、断面視において台形状となるように形成することも可能である。このように構成することで、例えば図34(a)に示すように第四可動部材334の透光部334cが正面視において発光部材320と重複しない位置まで移動した場合であっても、当該発光部材320の側面(図34(b)における台形の斜辺部分)から斜め方向に光を照射し、透光部334cに光を導くことができる。これによって、可動演出装置100が役物作動状態に遷移した場合であっても、キャラクタ(透光部)を適切に発光させることができる。
【0132】
なお、可動役物330の形状は、本実施形態の如く正面視長方形状に限るものではなく、円形状やその他の多角形状等であっても良い。
また、駆動機構340は本実施形態の構成に限るものではなく、発光部材320よりも後方に配置され、可動役物330を移動させることが可能なものであれば良い。
また、可動役物330の側面部は、本実施形態の如く板状の部分に限るものではなく、発光部材320の後方まで延設される円柱形状のリブ等としても良い。
【0133】
また、本実施形態においては、可動部移動手段400(運動部移動手段)によって可動部300を下方に移動させることによって、運動部360を介して伝達機構600のアーム640を下方に摺動させるものとしたが、例えば運動部移動手段を伝達機構600のアーム640を直接下方に摺動させる機構としても良い。
【0134】
また、可動部300の移動方向は本実施形態に限定するものではない。
【0135】
また、可動役物330の各可動部材は「所定の方向」に移動するものとしたが、当該所定の方向とは、本実施形態の如く正面視において発光部材320に対して外側に散らばるような方向だけではなく、発光部材320に対して内側に集中するような方向等も含むものとする。
また、各可動部材が発光部材320に対して内側に集中するような方向に移動する場合とは、もともと割れて散らばっていた各可動部材が内側に集中して一つのかたまりになる場合だけでなく、もともと一つのかたまりになっていた各可動部材が、さらに内側に集中してより小さなかたまりになる場合等も含むものとする。
また、各可動部材が発光部材320に対して内側に集中するような方向に移動する場合には、当該各可動部材と発光部材320とが衝突(干渉)しないように、当該各可動部材と発光部材320とは十分な距離だけ離間しているものとする。
【符号の説明】
【0136】
1:遊技機,6:遊技盤,100:可動演出装置,200:固定部,250:伝達モータ,300:可動部,320:発光部材,330:可動役物,331:第一可動部材,331a:前面部,331b:側面部,331c:透光部,332:第二可動部材,333:第三可動部材,334:第四可動部材,335:第五可動部材,340:駆動機構,360:運動部,400:可動部移動手段,600:伝達機構,620:回転部材,630:伝達軸,640:アーム,650:支点軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
前記固定部に対して移動可能に支持される運動部と、
前記運動部を前記固定部に対して近接離間する方向に移動させる運動部移動手段と、
前記固定部に設けられた駆動源からの回転動力を前記運動部に伝達する伝達機構と、
を具備し、
前記運動部移動手段によって前記運動部を前記固定部に対して近接離間させるとともに、前記駆動源から前記伝達機構を介して伝達される回転動力によって前記運動部に前記運動部移動手段による動きとは異なる動きをさせる遊技機の可動演出装置であって、
前記伝達機構は、
前記駆動源の出力軸に連結される回転部材と、
前記回転部材の回動軸から所定距離離れた位置に立設される伝達軸と、
一端側を前記伝達軸と連結されると共に、他端側を前記運動部と連結されるアームと、
前記固定部に設けられると共に、前記アームの一端側と他端側との間に配置され、当該アームの回動支点となる支点軸と、
を具備し、
前記アームの一端側には前記伝達軸が前記アームの延出方向に摺動可能となるように挿通される伝達軸用長溝が形成されるとともに、前記アームの一端側と他端側との間には前記支点軸が前記アームの延出方向に摺動可能となるように挿通される支点軸用長溝が形成され、
前記運動部が前記固定部に対して近接離間する方向に移動した場合に、前記伝達軸が前記伝達軸用長溝内を摺動するとともに前記支点軸が前記支点軸用長溝内を摺動する、
遊技機の可動演出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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