説明

遊技機の演出装置

【課題】可動演出器によって高揚させられた遊技感を持続させることが可能な遊技機の演出装置を提供する。
【解決手段】遊技の進行に応じて図柄表示器3の前方位置へ進出する可動演出器4が設けられ、当該可動演出器4は、進出した状態で遊技球Bを受け入れるとともに、受け入れられた遊技球Bによって遊技機の状態が遊技者にとって有利な遊技状態、又は有利な遊技状態になることが期待できる状態に変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機の演出装置に関し、特に可動演出器を設けて遊技の演出性を高めた演出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の演出装置として例えば特許文献1に示されるものが提案されている。当該演出装置では、アームの先端に支持された回動片(可動演出器)が一定の遊技条件で図柄表示器の前方位置へ進出移動させられて、遊技者に新鮮な驚きを付与し遊技の演出性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−110255
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の上記演出装置では、可動演出器が図柄表示器の前方へ進出した時には遊技者の遊技感を高揚させる効果があるものの、その後の演出変化が特に無いために高揚した遊技感が持続しないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、可動演出器によって高揚させられた遊技感を持続させることが可能な遊技機の演出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、遊技の進行に応じて図柄表示器(3)の前方位置へ進出する可動演出器(4)が設けられ、当該可動演出器(4)は、進出した状態で遊技球(B)を受け入れるとともに、受け入れられた前記遊技球(B)によって遊技機の状態が遊技者にとって有利な遊技状態、又は有利な遊技状態になることが期待できる状態に変更されることを特徴とする。ここで、「遊技者にとって有利な遊技状態」とは、例えばアタッカーやチューリップが現れる等の、賞球を得易い状態になることをいう。また、「遊技者にとって有利な遊技状態になることが期待できる状態」とは、例えば抽選部が現れる等によって、二次抽選に発展した状態、または大当りの確率が高いときに見せる特別な演出として利用することで大当りの可能性が高まった状態になることをいう。
【0007】
本第1発明においては、可動演出器が、遊技者が通常注視している図柄表示器の前方位置へ進出することによって遊技者の遊技感が効果的に高揚させられるとともに、進出した状態で可動演出器が遊技球を受け入れて、受け入れられた遊技球によって遊技機の状態が遊技者にとって有利な遊技状態、又は有利な遊技状態になることが期待できる状態に変更されるから、高揚した遊技者の遊技感がその後も持続させられる。
【0008】
本第2発明では、受け入れられた前記遊技球(B)に連動して前記図柄表示器(3)の表示が変更されるようにする。本第2発明においては、図柄表示器の表示が変更されることによってより効果的に遊技者の遊技感が持続させられる。
【0009】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の遊技機の演出装置によれば、可動演出器の現出によって高揚させられた遊技感をその後も持続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す演出装置を備えたパチンコ遊技機の全体概略正面図である。
【図2】演出装置の拡大斜視図である。
【図3】演出装置に設けたV抽選部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0013】
(第1実施形態)
図1には本発明の演出装置を備えるパチンコ遊技機の全体概略正面図を示す。図1において、ガラス枠1の透明ガラス窓11を通して、本体枠に設けられた遊技盤2の遊技領域2aが視認できる。遊技領域2aの中央やや上部には、液晶型の矩形の図柄表示器3が設けられている。この図柄表示器3には詳細を後述する可動演出器4が付設されている。図柄表示器3の下方にはチューリップ型の始動入賞口5が位置している。なお、その他の遊技領域上の役物や釘等は図示を省略してある。
【0014】
図柄表示器3は遊技領域2aよりも段付きに後方に退入して位置している(図2参照)。そして、段付き部は、その上側面の大部分と右側面が、後述するように可動演出器4を出入させる開放口51,52となっている。一方、段付き部の周囲には遊技領域2aよりも前方へ突出する囲み壁6が形成されている。囲み壁6は正面から見て左上縁部分が切り欠かれて遊技球流入路61となっている。
【0015】
遊技球流入路61の、遊技領域2aに面する外側開口611にはこれを開閉する開閉翼62が設置されている。この開閉翼62は、上記始動入賞口5に遊技球が進入し、図柄表示器3上で一定の図柄(例えば「7」)の並びが成立すると、図略の駆動手段によって図2の鎖線で示すように外方へ開放させられる。遊技球流入路61の、図柄表示器3側に位置する内側開口612には、管状の遊技球案内通路63の上端開口が位置しており、遊技球案内通路63は上端開口から下方かつ後方へ屈曲して延びて下端開口は後方へ向いて開放している。
【0016】
可動演出器4は本実施形態では、いわゆるV抽選部41を備えるものとなっている。すなわち、可動演出器4は直線棒状の支持アーム42とその先端に設けられた円形のV抽選部41とからなる。支持アーム42はその下端が、図柄表示器3の下縁右端部下方の遊技盤2背後に回動可能に結合されている。支持アーム42は通常はV抽選部41を含んだ全体が遊技盤2又は装飾部の背後に隠れる後退位置(図1の鎖線)にある。
【0017】
始動入賞口5に遊技球が進入し、図柄表示器3上で上記図柄の並びが成立すると、図略の駆動手段によって支持アーム42は下端の結合部を中心にして図1の矢印で示すように、後退位置から開放口51,52(図2)を経て図柄表示器3の前方に至る進出位置へ回動させられて、遊技機の状態が遊技者にとって有利な遊技状態となることが期待できる状態になる。支持アーム42が進出位置へ回動した、遊技者にとって有利な遊技状態となることが期待できる状態では、支持アーム42先端のV抽選部41は図柄表示器3の前方でその上縁中央に移動する(図1)。なお、予め定められた時間が経過すると、支持アーム42が駆動手段によって後退位置へ戻し回動させられる。
【0018】
図2において、V抽選部41は円形のガイド壁411内に、駆動手段によって回転させられる回転板412を収納したものである。その詳細をさらに図3で説明すると、回転板412は厚肉の円板体で、円形の中心に位置する回転軸413回りに駆動手段によって回転駆動される。回転板412には周方向へ90度間隔で四箇所に、外周からU字形に凹陥する振分け溝414,415が形成されている。
【0019】
径方向対称位置にある振分け溝414と415はそれぞれ同形となっており、かつ振分け溝415は振分け溝414よりも浅くなっている。回転板412の背後の仕切壁418には回転軸413に近い位置と回転軸413から遠い位置にそれぞれ円形開口416,417が設けられている。そして、円形開口416は振分け溝414の底部に対応した位置に設けられており、円形開口417は振分け溝415の底部に対応した位置に設けられている。
【0020】
このうち、円形開口416内には「大当り」状態が確定したことを検出するための特別状態検出スイッチが設けられている。また、円形開口416,417からの流路は途中で合流して支持アーム421(図2)内に設けられた遊技球排出路421に連通している。なお、前述した遊技球案内通路63の下端開口は、回転板412の外周板面に向きこれに近接して位置している。
【0021】
このような構造の演出装置において、始動入賞口5に遊技球が進入し、図柄表示器上で一定の図柄(例えば「7」)の並びが成立すると、既述のように可動演出器4は遊技盤の背後に隠れた後退位置から開放口51,52(図2)を経て図柄表示器3の前方の進出位置へ回動させられ、遊技機の状態が遊技者にとって有利な遊技状態となることが期待できる状態となる。この状態では、支持アーム42先端のV抽選部41は図柄表示器3の前方でその上縁中央に移動しており(図1、図2)、V抽選部41に設けた回転板412はその回転軸413(図3)回りに一定速度で回転する。この時同時に開閉翼62は外方へ開放させられる。
【0022】
この状態で遊技領域2aへ打ち出した遊技球Bが、図2に示すように、開放された外側開口611から遊技球流入路61、遊技球案内管63を経てV抽選部41に至ると、抽選が開始される。すなわち、遊技球Bが回転板412の振分け溝414(図3)内に進入した場合には、遊技球Bはその底部に落下し、振分け溝414が円形開口416に一致する位置へ移動した段階で遊技球Bは円形開口416内へ進入する。これにより特別状態検出スイッチが作動させられて「大当り」状態となる。遊技球Bはその後遊技球排出路421へ排出される。一方、回転板412の振分け溝415に遊技球Bが進入すると、遊技球Bはその底部に落下し、振分け溝415が円形開口417に一致する位置へ移動した段階で遊技球Bは円形開口417内へ進入する。そして、そのまま遊技球Bは遊技球排出路421に排出される。
【0023】
このようにして、本実施形態の演出装置によれば、可動演出器が図柄表示器の前方へ進出することによって遊技者の遊技感を高揚させることができるとともに、進出した可動演出器が遊技球を受け入れ可能な状態になって、遊技球の進入による「大当り」の抽選が行われるから、高揚させられた遊技感が長く持続させられる。
【0024】
特に、本実施形態では、遊技領域2a、つまり遊技盤2の表面とこれより奥側に位置する図柄表示器3との間に可動演出器4が進出するようにしているから、可動演出器4を図柄表示器3に接近させることができる。これは可動演出器4の動きと図柄表示器3の表示を連動させる場合に両者の対応位置のズレを小さくできる点で有利である。
【0025】
また、可動演出器4の支持アーム42内に遊技球排出路421を設けているので、コンパクトかつスムーズに可動演出器4から遊技球を排出することができる。
【0026】
さらに、開閉翼62を設けたから、可動演出器4への遊技球の供給とその停止を確実に制御することができる。
【0027】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では可動演出器にV抽選部を設けた場合について説明したが、別途配置したV抽選部へ誘導する複数のルートで高確率ルートと一般ルートに振り分けるルート振り分け部を設けるようにしても良い。この場合、遊技者は可動演出器に取り込まれた遊技球が高確率ルートに誘導されるかどうかを注目するので、可動演出器が図柄表示器の前方に出現した後も継続して遊技者の注意をひきつけることができる。また、V抽選部に代えてアタッカーやチューリップ等の入賞器を設けて遊技者にとって有利な遊技状態を作り出しても良い。この場合、図柄表示器で大当り抽選遊技を行った後、可動演出器の出現とともに継続的に遊技者の注意をひきつけることができる。また入賞器を液晶の近傍に集約させることにより、遊技者が視線を遊技盤中央に集中し、大当たり中の液晶演出と入賞状態を同時に見ることもできる。アタッカーやチューリップ等の入賞器を図柄表示器近傍に固定的に配置して、当該入賞器の前方にカバーを設けてそのカバーを可動させて入賞器に注目させることも可能だが、可動演出器自体に入賞器を設けることにより「動いているものに注意が向きやすい」という人間の心理に相まって、可動演出器の移動開始から球の入賞期間中にわたり、可動演出器に注意をひきつけ続けることができる。
【0028】
図柄表示器と進出した可動演出器を連動させるようにしても良い。例えば、可動演出器に設けた入賞器への遊技球の進入すなわち入賞のタイミングに同期して、図柄表示器を発光させ、また可動演出器の入賞器に入った球数や払い出される賞球数を数字で表示させ、あるいは可動演出器に受け入れられた遊技球の移動に応じて図柄表示器で表示した演出画像を変更させる等である。なお、遊技球は実球である必要はなく、図柄表示器で表示させた擬似球であっても良い。
【0029】
可動演出器は遊技球を使った純粋な演出のみを行うものとし、別の入賞器へ入賞した遊技球を可動演出器に誘導して新たな演出を行わせるようにしても良い。例えば、リボルバー式拳銃を模した可動演出器を使った演出において、拳銃に遊技球が充填され液晶と連動した発砲動作によって遊技球が回収されるもの等とすることができる。この場合、遊技球を取り込んだ可動演出器が液晶と重なるように位置しているので、液晶との融合演出が容易になり臨場感溢れる演出が可能になる。
【0030】
可動演出器の移動方法は上記第1実施形態のように回動して側方から出現する構造に限られない。例えば、左右からスライドしても良いし、上方から下降、下方から上昇させるようにしても良い。また、可動演出器全体を移動させるのに代えて、遊技球振分け部分や入球口、中間通路部のみが移動するものであっても良い。
【符号の説明】
【0031】
2…遊技盤、2a…遊技領域、3…図柄表示器、4…可動演出器、41…V抽選部、412…回転板、414,415…振分け溝、416,417…円形開口、42…支持アーム、61…遊技球流入路、62…開閉翼、63…遊技球案内通路、B…遊技球。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行に応じて図柄表示器の前方位置へ進出する可動演出器が設けられ、当該可動演出器は、進出した状態で遊技球を受け入れるとともに、受け入れられた前記遊技球によって遊技機の状態が遊技者にとって有利な遊技状態、又は有利な遊技状態になることが期待できる状態に変更されることを特徴とする遊技機の演出装置。
【請求項2】
受け入れられた前記遊技球に連動して前記図柄表示器の表示が変更されるようにした請求項1に記載の遊技機の演出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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