説明

遊技機の球流下機構

【課題】球詰まりが生ずることを防止して、2条で流下する状態から1条で流下する状態へ円滑に球流路を絞ることができる遊技機の球流下機構を提供すること。
【解決手段】遊技機の球流下機構1は、一対の第1流路壁31A、31Bと一対の第2流路壁32A、32Bとを有している。一対の第1流路壁31A、31Bと一対の第2流路壁32A、32Bとの上流側位置には、一対の第1流路壁31A、31Bに略平行にして一対の第2流路壁32A、32B間に架け渡した仕切壁33を介して2条の球流路2A、2Bを形成してなる。2条の球流路2A、2Bに対する下流側位置には、他方の第1流路壁31Bに、2条の球流路2A、2Bを1条に絞るよう他方に向けて傾斜する傾斜壁部34が設けてあるとともに、一対の第2流路壁32A、32Bの双方に、2条の球流路2A、2Bを流下する遊技球8を交互に合流させるための球整流部35が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が流下する球流路を2条から1条に絞るよう構成した遊技機の球流下機構に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機においては、2条の状態で流下する遊技球を1条の状態で流下するよう球流路を絞ることが行われている。
例えば、特許文献1のパチンコ機のパチンコ球整流装置においては、上流側に位置する2列の球通路と、2列の球通路を1列に変更して整流案内する球寄せ案内路と、1列に規制誘導されたパチンコ球を送出する下流側の送出路とを設けることが開示されている。球寄せ案内路の一方側は、下方内側へ直線的に傾斜する直線傾斜面部として形成され、球寄せ案内路の他方側は、外方へ膨出して下方内側へ傾斜する湾曲斜面部として形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−173563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、パチンコ球の流れを2条から1条に絞る際には、直線傾斜面部を流下するパチンコ球と、湾曲斜面部を流下するパチンコ球との流下速度の差によって、一方の球通路を流下するパチンコ球と他方の球通路を流下するパチンコ球とを交互に割り込ませて、1条の流下状態を形成している。つまり、特許文献1においては、2列の球通路が並ぶ方向にのみパチンコ球の流れが変わるのみであり、2次元的にパチンコ球の流れを2条から1条に絞っている。そのため、球通路の絞り部分に球詰まりが発生することを防止するためには十分ではない。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、球詰まりが生ずることを防止して、2条で流下する状態から1条で流下する状態へ円滑に球流路を絞ることができる遊技機の球流下機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに対向する一対の第1流路壁と、該一対の第1流路壁に略直交して互いに対向する一対の第2流路壁とを有しており、
上記一対の第1流路壁と上記一対の第2流路壁との上流側位置には、該一対の第1流路壁に略平行にして該一対の第2流路壁間に架け渡した仕切壁を介して2条の球流路を形成してなり、
該2条の球流路に対する下流側位置には、上記一対の第1流路壁の一方又は双方に、上記2条の球流路を1条に絞るよう他方に向けて傾斜する傾斜壁部が設けてあるとともに、上記一対の第2流路壁の一方又は双方に、上記2条の球流路を流下する遊技球を交互に合流させるための球整流部が設けてあることを特徴とする遊技機の球流下機構にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機の球流下機構においては、2条の球流路に対する下流側位置には、一対の第1流路壁の一方又は双方に傾斜壁部を設けるとともに、一対の第2流路壁の一方又は双方に球整流部を設けている。
これにより、傾斜壁部によって2条の球流路を1条に絞りつつ、球整流部によって2条の球流路を流下する遊技球を交互に合流させることができる。そして、一対の第1流路壁が互いに対向する方向と一対の第2流路壁が互いに対向する方向とに遊技球の流れを変化させることができ、3次元的に遊技球の流れを2条から1条に絞ることができる。そのため、球流路を2条から1条に絞る部分に球詰まりが発生することを防止することができる。
【0008】
それ故、本発明の遊技機の球流下機構によれば、球詰まりが生ずることを防止して、2条で流下する状態から1条で流下する状態へ円滑に球流路を絞ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1にかかる、遊技機の球流下機構を左右方向から見た状態で示す断面説明図。
【図2】実施例1にかかる、遊技機の球流下機構を前方から見た状態で示す断面説明図。
【図3】実施例1にかかる、図2の一部を拡大して示す断面説明図。
【図4】実施例1にかかる、図2の一部を拡大して示す斜視説明図。
【図5】実施例1にかかる、本体枠を遊技機の裏側から見た状態で示す説明図。
【図6】実施例2にかかる、遊技機の球流下機構を左右方向から見た状態で示す断面説明図。
【図7】実施例2にかかる、遊技機の球流下機構を上方から見た状態で示す断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述した本発明の遊技機の球流下機構における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記球整流部は、一方の上記第2流路壁の内壁面と他方の上記第2流路壁の内壁面とにおいて、球流下方向の互いに異なる位置に形成した複数の突起であり、該複数の突起は、上記2条の球流路のうちの一方の球流路に対する下流側に位置する上記一対の第2流路壁において遊技球を蛇行させる第1突起と、上記2条の球流路のうちの他方の球流路に対する下流側に位置する上記一対の第2流路壁において遊技球を蛇行させる第2突起とから構成してあり、上記第1突起の球流下方向における頂点位置に対して、上記第2突起の球流下方向における頂点位置が下流側にそれぞれずれていることにより、上記一方の球流路に対する下流側を流下する遊技球同士の間に形成される空隙に向けて、上記他方の球流路に対する下流側を流下する遊技球が進入するよう構成してあることが好ましい(請求項2)。
【0011】
この場合には、第1突起と第2突起という簡易的な構造を用いた球整流部の構成によって、球流路を2条から1条に絞る際に、球詰まりの発生を効果的に防止することができる。
また、球整流部として形成された複数の突起の頂点位置を球流下方向において適宜ずらすことにより、球流下の過程において一方の球流路内に形成される空隙に向けて、他方の球流路から遊技球を流下させることができる。つまり、一方の球流路内に意図的に空隙を形成し、この空隙を利用して遊技球を円滑に合流させることができる。
【0012】
また、上記一対の第1流路壁のうちの一方の第1流路壁は、上下方向に沿って直線状に形成してあり、上記一対の第1流路壁のうちの他方の第1流路壁は、上記傾斜壁部として構成されて、一方の上記第1流路壁に向けて近づくよう上下方向に対して傾斜して形成してあり、上記第1突起の突出量に比べて、上記第2突起の突出量が小さくなっていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、第1突起及び第2突起の構造がより適切であり、球詰まりの発生をより効果的に防止することができる。
【0013】
つまり、2条の球流路を1条に絞るための構造である傾斜壁部を、一対の第1流路壁における片方のみに形成したことにより、第1流路壁の両方にそれぞれ傾斜壁部を形成した場合と比較して、次のメリットを得ることができる。
すなわち、遊技球を1条に合流させる過程において、合流付近を流下する遊技球に対して過度な負荷(球圧)が付与されることを軽減することができる。そのため、球詰まりの発生を防止しつつ円滑に遊技球を合流させて流下させることができる。
また、一方の第1流路壁を直線状に形成することにより、例えば、球流下機構を形成した部材を本体枠のベース部等に設置する場合において、ベース部側の被設置領域の構造を簡易的に形成することができる。
【0014】
また、合流する側の球流路である他方の球流路の側に形成される第2突起を、一方の球流路の側に形成される第1突起よりも、その突出量が小さくなるように形成したことにより、次のメリットを得ることもできる。
すなわち、他方の球流路を流下する遊技球が合流する過程において、遊技球に対して適度な遊び(ガタ)を有するように構成することができる。そのため、これによっても、球詰まりの発生を防止しつつ円滑に遊技球を合流させて流下させることができる。
【0015】
また、上記球整流部は、次のように構成することもできる。
すなわち、上記球整流部は、軸部と該軸部の外周に設けた螺旋状突起とからなるスクリューによって構成し、該スクリューは、一方の上記第2流路壁の側に上記軸部を支持させて、該軸部の回転軸線を球流下方向に向けて配設し、かつ、上記螺旋状突起の周方向の一部分を、上記2条の球流路に対する下流側に配置してなるとともに、遊技球の自重を受けて回転するよう構成し、一方の上記球流路に対する下流側を流下する遊技球と、他方の上記球流路に対する下流側を流下する遊技球とが、上記スクリューの上記螺旋状突起の間に交互に配置されて合流するよう構成することもできる。
この場合には、スクリューの回転によって、2条から1条への球流路の絞り、及び遊技球の合流を容易に行うことができる。
【0016】
また、上記一対の第1流路壁のうちの一方の上記第1流路壁は、上下方向に沿って直線状に形成し、上記一対の第1流路壁のうちの他方の第1流路壁は、上下方向に沿って直線状に形成した平行部と、該平行部に対する下流側位置において一方の第1流路壁に向けて近づくよう傾斜して形成した上記傾斜壁部とによって構成し、他方の上記第2流路壁の内壁面には、上記2条の球流路のうちの一方の球流路から該一方の球流路に対する下流側位置にかけて、その上下方向に沿って一方側リブを形成するとともに、上記2条の球流路のうちの他方の球流路から上記平行部の下流端部とほぼ同じ位置にかけて、その上下方向に沿って他方側リブを形成することができる。
【0017】
この場合には、他方の球流路に対する下流側位置である傾斜壁部を形成した位置の側方には、意図的に他方側リブを形成しないことにより、他方の球流路を流下する遊技球がその流下方向を一方の球流路側に向けて変える際に、遊技球が移動するための空間を適切に形成することができる。つまり、他方の球流路に対する下流側の傾斜壁部に沿って流下する遊技球は、スクリューを横切って(詳しくはスクリューの軸部を跨ぐように)一方の球流路に対する下流側へ合流する際に、遊技球1個分の通過が可能なように形成された上記空間を経由する。これにより、遊技球の流下経路を確実に形成し、適切に遊技球を合流させることができる。そのため、2条の球流路の合流部分に、遊技球の球詰まりが発生することを確実に防止することができる。
【実施例】
【0018】
以下に、本発明の遊技機の球流下機構にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の遊技機の球流下機構1は、図1、図2に示すごとく、互いに対向する一対の第1流路壁31A、31Bと、一対の第1流路壁31A、31Bに略直交して互いに対向する一対の第2流路壁32A、32Bとを有している。
一対の第1流路壁31A、31Bと一対の第2流路壁32A、32Bとによって形成された球流下機構1における上流側位置には、一対の第1流路壁31A、31Bに略平行にして一対の第2流路壁32A、32B間に架け渡した仕切壁33を介して2条の球流路2A、2Bを形成してなる。2条の球流路2A、2Bに対する下流側位置(球流下機構1における下流側位置)には、一対の第1流路壁31A、31Bの一方に、2条の球流路2A、2Bを1条に絞るよう他方に向けて傾斜する傾斜壁部34が設けてあるとともに、一対の第2流路壁32A、32Bの双方に、2条の球流路2A、2Bを流下する遊技球8を交互に合流させるための球整流部35が設けてある。
図1において、2条の球流路2A、2Bの形成範囲を符号Xで示し、2条の球流路2A、2Bに対する下流側位置の形成範囲を符号Yで示す。
【0019】
ここで、図1は、球流下機構1を遊技機の左右方向から見た状態で示し、図2は、球流下機構1を遊技機の前方から見た状態で示す。図3は、図2の一部を拡大して示し、図4は、他方の第1流路壁31Bの部分で切断し、図2の一部を拡大して斜視図にして示す。
また、以下の説明においては、便宜上、遊技球8は、8A〜8Gの符号をとって、後述する突起36(36A、36B)は、36A1〜36A3、36B1、36B2の符号をとって示すことがある。
【0020】
以下に、本例の遊技機の球流下機構1につき、図1〜図5を参照して詳説する。
本例の遊技機はパチンコ遊技機であり、外枠に対して本体枠4を開閉可能に配設してなる。
図5は、本体枠4を遊技機の裏側から見た状態で示す。同図に示すごとく、本体枠4の裏面側には、遊技球8を貯留する球タンク42、遊技球8を整列させる球レール43、2条に整列した遊技球8を蛇行して流下させる球流下流路部44、遊技球8の2条の流れを1条の流れに絞る球絞り流路部45、1条に整流した遊技球8を蛇行して流下させる繋ぎ流路部46、遊技球8を1球ずつ払い出す球払出装置47等が配設されている。本例の球流下機構1における一流路部として、球絞り流路部45が形成されている。
【0021】
本体枠4には、遊技領域が形成された遊技盤(図示略)が配設されており、この遊技盤には、大型の画像表示装置等の遊技装置が設置されている。また、本体枠4には、画像表示装置を配設する位置に対向して開口部41が形成されている。球タンク42及び球レール43は、開口部41に対する上側に配設され、球流下流路部44、球絞り流路部45、繋ぎ流路部46及び球払出装置47は、開口部41に対する側方に配設されている。
本例においては、図1〜図5において、遊技機における前方(遊技者側)を符号Fによって示し、上下方向を符号Hによって示し、左右方向を符号Wによって示す。また、本例の球流下機構1としての球絞り流路部45における球流下方向Hは、上下方向(鉛直方向)Hである。
【0022】
球タンク42に供給された遊技球8は、球レール43において2条の流れに整流され、球流下流路部44を流下した後、球流下機構1としての球絞り流路部45において2条から1条の流れに絞られる。そして、遊技球8は、球絞り流路部45及び繋ぎ流路部46から1条の流下状態で球払出装置47へ供給され、球払出装置47から1球ずつ本体枠4の前面側に設けた球皿へ払い出される。
【0023】
図1、図2に示すごとく、本例の球整流部35は、一方の第2流路壁32Aの内壁面と他方の第2流路壁32Bの内壁面とにおいて、球流下方向Hの互いに異なる位置に形成した複数の突起36である。複数の突起36は、2条の球流路2A、2Bのうちの一方の球流路2Aに対する下流側に位置する一対の第2流路壁32A、32Bにおいて遊技球8を蛇行させる第1突起36Aと、2条の球流路2A、2Bのうちの他方の球流路2Bに対する下流側に位置する一対の第2流路壁32A、32Bにおいて遊技球8を蛇行させる第2突起36Bとから構成してある。
【0024】
図1に示すごとく、一対の第1流路壁31A、31Bのうちの一方の第1流路壁31Aは、上下方向(鉛直方向)Hに沿って直線状に形成してあり、一対の第1流路壁31A、31Bのうちの他方の第1流路壁31Bは、傾斜壁部34として構成されて、一方の第1流路壁31Aに向けて近づくよう上下方向Hに対して傾斜して形成してある。本例の傾斜壁部34は、他方の第1流路壁31Bに対して設けてある。
他方の第1流路壁31Bにおいては、傾斜壁部34と、傾斜壁部34よりも上流側に位置して他方の球流路2Bにおいて上下方向Hに平行に形成された平行壁部37との間に、両者を段差傾斜状に繋ぐ段差傾斜部38が形成されている。つまり、他方の球流路2Bは、互いに対向する平行壁部37と仕切壁33、及び互いに対向する一対の第2流路壁32A、32Bによって囲まれた状態から、段差傾斜部38の斜面によって急に絞られ、かつ傾斜壁部34の緩斜面によって緩やかに絞られている。
【0025】
段差傾斜部38は、2条の球流路2A、2Bを1条の球流路に絞り始める絞り開始位置に形成されている。段差傾斜部38の形成によって、絞り込みが開始される初期段階においては比較的大きな球流下変化を形成しつつ(大きな付加力を与えつつ)、その後は緩やかな球流下変化を形成することができる。これにより、絞り開始位置に球詰まりが発生し難くし、あわせて円滑な遊技球の合流流下をさせることができる。
【0026】
図1、図2、図4に示すごとく、一方の球流路2Aに対する下流側に位置する流路部分は、直線状の一方の第1流路壁31A及び直線状の一対の第2流路壁32A、32Bに囲まれて形成されており、他方の球流路2Bに対する下流側に位置する流路部分は、傾斜壁部34を形成する他方の第1流路壁31B及び直線状の一対の第2流路壁32A、32Bに囲まれて形成されている。
【0027】
図3、図4に示すごとく、第1突起36A及び第2突起36Bのすべては、一対の傾斜面361による山型形状に形成されており、上下方向Hに一対に傾斜面を配置し上下方向Hの中間位置に頂点部362を形成してなる。
一方の第2流路壁32Aの内壁面においては、一方の球流路2Aに対する下流側位置に、上下に並んで2箇所に第1突起36A1、36A2が形成されており、他方の球流路2Bに対する下流側位置に、上側の第1突起36A1の横に位置する(上下方向Hにおいて略同じ高さに位置する)1箇所に第2突起36B1が形成されている。他方の第2流路壁32Bの内壁面においては、一方の球流路2Aに対する下流側位置に、2箇所に形成された第1突起36A1、36A2同士の間の上下位置の1箇所に第1突起36A3が形成されており、他方の球流路2Bに対する下流側位置に、第1突起36A3の横に位置する(上下方向Hにおいて略同じ高さに位置する)1箇所に第2突起36B2が形成されている。
【0028】
一方の球流路2Aに対する下流側位置においては、一方の第2流路壁32Aに形成した2つの第1突起36A1、36A2と、他方の第2流路壁32Bに形成した1つの第1突起36A3とによって、遊技球8を蛇行して流下させることができる。また、他方の球流路2Bに対する下流側位置においては、一方の第2流路壁32Aに形成した1つの第2突起36B1と、他方の第2流路壁32Bに形成した1つの第2突起36B2とによって、遊技球8を蛇行して流下させることができる。
【0029】
図3、図4に示すごとく、第2突起36Bは、第1突起36Aよりも小さな山型形状によって形成されている。すなわち、第2突起36Bの突出量は、第1突起36Aの突出量に比べて小さくなっている。
一方の第2流路壁32Aに形成された第2突起36B1の球流下方向Hにおける頂点位置は、一方の第2流路壁32Aに形成された上側の第1突起36A1の球流下方向Hにおける頂点位置に対して下流側にずれている。他方の第2流路壁32Bに形成された第2突起36B2の球流下方向Hにおける頂点位置は、他方の第2流路壁32Bに形成された第1突起36A3の球流下方向Hにおける頂点位置に対して下流側にずれている。
【0030】
つまり、一方の第2流路壁32Aに形成された第2突起36B1は、一方の第2流路壁32Aに形成された上側の第1突起36A1に対する横方向に位置する(上下方向Hにおいて略同じ高さに位置する)一方で、第1突起36A1に比べて、山型形状の突出量を小さく、かつ山型形状の頂点位置を下流側(下方)にずらしている。また、他方の第2流路壁32Bに形成された第2突起36B2についても同様に、他方の第2流路壁32Bに形成された第1突起36A3に対する横方向に位置する(上下方向Hにおいて略同じ高さに位置する)一方で、第1突起36A3に比べて、山型形状の突出量を小さく、かつ山型形状の頂点位置を下流側(下方)にずらしている。
そして、上記傾斜壁部34の形成と、上記第1突起36A及び第2突起36Bの構造とによって、球流下機構1としての球絞り流路部45においては、一方の球流路2Aに対する下流側を流下する遊技球8同士の間に形成される空隙に向けて、他方の球流路2Bに対する下流側を流下する遊技球8を進入させるようにして、遊技球8の2条の流れから1条の流れを形成することができる。
【0031】
本例の遊技機の球流下機構1においては、2条の球流路2A、2Bに対する下流側位置には、他方の第1流路壁31Bに傾斜壁部34を設けるとともに、一対の第2流路壁32A、32Bに球整流部35としての第1突起36A及び第2突起36Bを設けている。
これにより、傾斜壁部34によって2条の球流路2A、2Bを1条に絞りつつ、第1突起36A及び第2突起36Bによって2条の球流路2A、2Bを流下する遊技球8を交互に合流させることができる。
【0032】
より具体的には、一方の球流路2Aに対する下流側において複数の第1突起36Aによって蛇行して流下する遊技球8は、各第1突起36Aを形成する山型形状における上側斜面361に当接しながら流下し、他方の球流路2Bに対する下流側において複数の第2突起36Bによって蛇行して流下する遊技球8は、各第2突起36Bを形成する山型形状における上側斜面361に当接しながら流下する。
【0033】
また、図3に示すごとく、球流下機構1としての球絞り流路部45を遊技球8が流下する際には、一方の球流路2Aにおいては、最も上流側に位置する遊技球8Aは、一方の第2流路壁32Aにおける上側の第1突起36A1の上側斜面361に当接し、遊技球8Aの下流側に当接する遊技球8Bは、他方の第2流路壁32Bにおける第1突起36A3の上側斜面361に当接し、遊技球8Bの下流側に当接する遊技球8Cは、一方の第2流路壁32Aにおける下側の第1突起36A2の上側斜面361に当接する。
【0034】
また、他方の球流路2Bにおいては、一方の第2流路壁32Aにおける第2突起36B1の上側斜面361に当接する遊技球8Dが、遊技球8Aと遊技球8Bとの間に形成される空隙に入り込む。また、遊技球8Dの下流側に当接し、他方の第2流路壁32Bにおける第2突起36B2の上側斜面361に当接する遊技球8Eが、遊技球8Bと遊技球8Cとの間に形成される空隙に入り込む。
【0035】
こうして、球絞り流路部45においては、2条の球流路2A、2Bの下流側において、上流側から、遊技球8A、遊技球8D、遊技球8B、遊技球8E、遊技球8Cが並ぶ。そして、一方の球流路2Aを流下した遊技球8と他方の球流路2Bを流下した遊技球8とが交互に並んで、遊技球8が1条で流下する状態が形成される。
このように、2条の流下状態から1条の流下状態を円滑に形成することができるのは、上記傾斜壁部34を形成したことと、第1突起36Aに比べて第2突起36Bの山型形状の突出量を小さくし、かつ第1突起36Aに比べて第2突起36Bの山型形状の頂点位置を下流側にずらした構造にしたこととにより、第1突起36Aに当接する遊技球8同士の間に形成される空隙に向けて、第2突起36Bに当接する遊技球8を進入させるようにしたためである。
【0036】
また、傾斜壁部34の形成と、第1突起36A及び第2突起36Bの形成とによって、球流下機構1としての球絞り流路部45においては、一対の第1流路壁31A、31Bが互いに対向する方向と一対の第2流路壁32A、32Bが互いに対向する方向とに遊技球8の流れを変化させることができ、3次元的に遊技球8の流れを絞ることができる。そのため、球流路を2条から1条に絞る部分に球詰まりが発生することを防止することができる。
それ故、本例の遊技機の球流下機構1によれば、球詰まりが生ずることを防止して、2条で流下する状態から1条で流下する状態へ円滑に球流路2A、2Bを絞ることができる。
【0037】
(実施例2)
本例は、図6、図7に示すごとく、第1突起36A及び第2突起36Bを利用して球整流部35を形成する代わりに、スクリュー5を利用して球整流部35を形成した例である。
本例の球整流部35は、軸部51と軸部51の外周に設けた螺旋状突起52とからなるスクリュー5によって構成してある。
スクリュー5は、一方の第2流路壁32Aの側に軸部51を支持させて、軸部51の回転軸線を球流下方向Hに向けて配設してある。また、スクリュー5は、螺旋状突起52における上流側部分の一部を、2条の球流路2A、2Bの下流端部内に配置するとともに、その螺旋状突起52における下流側部分の一部を、2条の球流路2A、2Bに対する下流側に配置してなり、かつ遊技球8の自重を受けて回転するよう構成してある。
【0038】
流下する遊技球8の球圧を受けてスクリュー5が回転する際には、一方の球流路2A及び他方の球流路2Bの下流端部においては、螺旋状突起52の周方向の各部が、繰り返し現れて遊技球8に当接する。
図6に示すごとく、本例の一方の第1流路壁31A及び一対の第2流路壁32A、32Bは、上下方向Hに沿って直線状に形成されている。本例の他方の第1流路壁31Bは、上下方向Hに沿って直線状に形成した平行壁部37Xと、平行壁部37Xに対する下流側位置において下流側に向かうに従って一方の第1流路壁31Aに向けて近づくよう傾斜して形成した傾斜壁部34Xとによって構成されている。
スクリュー5の螺旋状突起52の下流側部分は、傾斜壁部34Xの傾斜面に沿って下流側に向かうに従って突出量を小さくして形成されている。
【0039】
一方の第2流路壁32Aの外方には、第2流路壁の側に配設したスクリュー5を覆うカバー394が配設されている。
他方の第2流路壁32Bの内壁面には、スクリュー5の上流側部分に対向する位置であって、2条の球流路2A、2Bを仕切る仕切壁33に連設して、上下方向Hに沿って仕切リブ391が形成されている。また、他方の第2流路壁32Bの内壁面には、一方の球流路2Aにおける上流側からこの球流路2Aに対する下流側位置にかけて、上下方向Hに沿って一方側リブ392が形成してあるとともに、他方の球流路2Bにおける上流側から平行部37Xの下流端部とほぼ同じ位置にかけて、上下方向Hに沿って他方側リブ393が形成してある。他方側リブ393は、平行壁部37Xの側方において、傾斜壁部34Xの上端部付近まで形成されている。
なお、図6において、2条の球流路2A、2Bの形成範囲を符号Xで示し、2条の球流路2A、2Bに対する下流側位置の形成範囲を符号Yで示す。
【0040】
こうして、他方の球流路2Bに対する下流側位置において、傾斜壁部34Xを形成した位置の側方には、意図的に他方側リブ393を形成しないことにより、他方の球流路2Bを流下する遊技球8が、その流下方向を一方の球流路2A側に向けて変える際に、遊技球8が移動するための空間310を適切に形成することができる。つまり、他方の球流路2Bに対する下流側位置に形成された傾斜壁部34Xに沿って流下する遊技球8は、スクリュー5を横切って(詳しくはスクリュー5の軸部51を跨ぐように)一方の球流路2Aに対する下流側へ合流する際に、遊技球1個分の通過が可能なように形成された空間310を経由することになる。これにより、遊技球8の流下経路を確実に形成し、適切に遊技球8を合流させることができる。つまり、遊技球8を、前後方向へ流下させると同時に左右方向Wへも流下させることができ、3次元的な遊技球8の流れを形成することができる。
そのため、2条の球流路2A、2Bの合流部分に、遊技球8の球詰まりが発生することを確実に防止しつつ、円滑に2条の球流路を1条に絞ることができる。
【0041】
また、一方側リブ392及び他方側リブ393の形成(詳しくは、各リブ392、393の突出先端面395が、仕切リブ391の側に向けて突出高さが低くなるテーパ状端面に形成されていること)により、一方の球流路2A及び他方の球流路2Bにおいて遊技球8をスクリュー5の側に近づけて流下させることができる。これにより、スクリュー5の螺旋状突起52の径方向位置に対して遊技球8を適切に近づけることができる。また、他方の第2流路壁32Bを、外方に膨らませることなく、上下方向Hに平行な形状として形成することができる。
【0042】
図6に示すごとく、スクリュー5における螺旋状突起52は、2条に形成されており、遊技球8は、一方の螺旋状突起52と他方の螺旋状突起52との間に形成された隙間53に順次配置されて流下する。一方の球流路2Aに対する下流側においては、螺旋状突起52によって仕切られて遊技球8Fが順次流下し、他方の球流路2Bに対する下流側においては、遊技球8Fが配置された螺旋状突起52間の隙間53と同じ隙間53に遊技球8Gが配置されて順次流下する。これにより、スクリュー5の下流側端部に対向する位置に遊技球8Fが流下したときには、この遊技球8Fの上流側に位置する遊技球8Fは螺旋状突起52によって流下が規制される。そのため、遊技球8Fが流下した後には、螺旋状突起52によって流下が規制されていない遊技球8Gが流下することになる。
【0043】
こうして、本例においては、一方の球流路2Aに対する下流側を流下する遊技球8Fと、他方の球流路2Bに対する下流側を流下する遊技球8Gとを、スクリュー5の螺旋状突起52同士の間の隙間53に交互に配置して合流させることができる。
本例の遊技機の球流下機構1においても、球詰まりが生ずることを防止して、2条で流下する状態から1条で流下する状態へ円滑に球流路2A、2Bを絞ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 球流下機構
2A、2B 球流路
31A、31B 第1流路壁
32A、32B 第2流路壁
33 仕切壁
34 傾斜壁部
35 球整流部
36A、36B 突起
4 本体枠
5 スクリュー
8 遊技球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の第1流路壁と、該一対の第1流路壁に略直交して互いに対向する一対の第2流路壁とを有しており、
上記一対の第1流路壁と上記一対の第2流路壁との上流側位置には、該一対の第1流路壁に略平行にして該一対の第2流路壁間に架け渡した仕切壁を介して2条の球流路を形成してなり、
該2条の球流路に対する下流側位置には、上記一対の第1流路壁の一方又は双方に、上記2条の球流路を1条に絞るよう他方に向けて傾斜する傾斜壁部が設けてあるとともに、上記一対の第2流路壁の一方又は双方に、上記2条の球流路を流下する遊技球を交互に合流させるための球整流部が設けてあることを特徴とする遊技機の球流下機構。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の球流下機構において、上記球整流部は、一方の上記第2流路壁の内壁面と他方の上記第2流路壁の内壁面とにおいて、球流下方向の互いに異なる位置に形成した複数の突起であり、
該複数の突起は、上記2条の球流路のうちの一方の球流路に対する下流側に位置する上記一対の第2流路壁において遊技球を蛇行させる第1突起と、上記2条の球流路のうちの他方の球流路に対する下流側に位置する上記一対の第2流路壁において遊技球を蛇行させる第2突起とから構成してあり、
上記第1突起の球流下方向における頂点位置に対して、上記第2突起の球流下方向における頂点位置が下流側にそれぞれずれていることにより、上記一方の球流路に対する下流側を流下する遊技球同士の間に形成される空隙に向けて、上記他方の球流路に対する下流側を流下する遊技球が進入するよう構成したことを特徴とする遊技機の球流下機構。
【請求項3】
請求項2に記載の遊技機の球流下機構において、上記一対の第1流路壁のうちの一方の第1流路壁は、上下方向に沿って直線状に形成してあり、
上記一対の第1流路壁のうちの他方の第1流路壁は、上記傾斜壁部として構成されて、一方の上記第1流路壁に向けて近づくよう上下方向に対して傾斜して形成してあり、
上記第1突起の突出量に比べて、上記第2突起の突出量が小さくなっていることを特徴とする遊技機の球流下機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−110556(P2012−110556A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263442(P2010−263442)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(500077959)株式会社MRD (150)
【Fターム(参考)】