説明

遊技機用入賞装置及びそれを備えた遊技機

【課題】 入賞扉寄りの前方に位置して遊技球の誘導を迅速に行うとともに、入賞口から導入された遊技球を、球噛みすることなくステージ部の後方にスムーズに誘導できる誘導壁を備えた遊技機用入賞装置及びそれを用いた遊技機を提供する。
【解決手段】入賞口11から排出口12へと続く球流路13が、入賞口11に対応して後方に延びる上流側流路14と、その上流側流路14の後端に形成されて遊技球を1個ずつ通過可能な導入口15から排出口12に接続する下流側流路16とを含み構成されている。そして、上流側流路14には、左右どちらかの一側端側又は両側端側に入賞口11から導入された遊技球を中央寄りに誘導案内するとともに、その中央寄りへの誘導方向が異なる態様で上下方向に並設された上側誘導部39aと下側誘導部39bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用入賞装置及びそれを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機用入賞装置(アタッカー)には、入賞扉の後方の入賞領域において、入賞口から導入された遊技球を入賞領域の左右方向中央寄りに誘導案内するために、ステージの後端部で中央側ほど後方へ傾斜する左右対称形態で立設された複数の誘導壁を備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−131527号公報
【0004】
特許文献1では、入賞装置の小型化の要請を受けて薄型化を図りつつ、入賞口から導入され導出口から導出される遊技球を、入賞領域において縦置き式の入賞検知手段により迅速かつ正確に入賞検知することができるようにしたものである。そして、その入賞装置では、遊技球の入賞検知を迅速に行うために、具体的には入賞した遊技球を左右方向中央寄りに迅速に誘導するために、ステージの奥行きを短くし、誘導壁をより前方に位置するように形成している。これにより、入賞口から導入された遊技球を早い段階で誘導壁によって左右方向中央寄りに誘導することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、誘導壁が前方に位置してくると、その誘導壁と閉鎖状態の入賞扉との間の距離が狭くなるので、入賞扉が閉鎖するときに遊技球が挟まって閉鎖動作が遅れ、余分な遊技球が入賞してしまう虞もあり、さらには球噛みが発生し易くなるというジレンマがある。従って、入賞口から導入された遊技球をステージ奥に一層スムーズに誘導できる誘導壁の構成の開発が要求されている。
【0006】
本発明の課題は、上記実情に鑑みてなされたものであり、入賞扉寄りの前方に位置して遊技球の誘導を迅速に行うとともに、入賞口から導入された遊技球を、球噛みすることなくステージ奥にスムーズに誘導できる誘導壁を備えた遊技機用入賞装置及びそれを用いた遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機用入賞装置は、
遊技盤の盤面上に形成された遊技領域から遊技球を導入するための入賞口と、該入賞口から導入した遊技球を遊技盤の後方で排出する排出口と、入賞口から排出口へと続く球流路と、を有して遊技盤に固定される遊技機用入賞装置において、
遊技盤と平行状で左右方向に延びる回動軸線周りで回動可能に配置され、遊技盤に沿って起立することにより入賞口を閉鎖して球流路への遊技球の導入を困難又は不能にする閉鎖位置と、その閉鎖位置から前方側に倒伏することにより入賞口を開放して球流路への遊技球の導入を容易又は可能にする開放位置とに変位する入賞扉と、
その入賞扉に対して直接的に又は他部材を介して間接的に連係し、該入賞扉を閉鎖位置と開放位置との間で変位させる電気的駆動源と、を備え、
球流路は、入賞口に対応して後方に延びる上流側流路と、その上流側流路の下流端に形成されて遊技球を1個ずつ通過可能な導入口から排出口に接続する下流側流路とを含み、
上流側流路は、左右どちらかの一側端側又は両側端側に入賞口から導入された遊技球を中央寄りに誘導案内するとともに、その中央寄りへの誘導方向が異なる態様で上下方向に並設された上側誘導部と下側誘導部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
上記遊技機用入賞装置が遊技盤に固定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の遊技機用入賞装置及びそれを備えた遊技機によれば、入賞口から排出口へと続く球流路が、入賞口に対応して後方に延びる上流側流路と、その上流側流路の後端に形成されて遊技球を1個ずつ通過可能な導入口から排出口に接続する下流側流路とを含み構成されている。そして、上流側流路には、左右どちらかの一側端側又は両側端側に入賞口から導入された遊技球を中央寄りに誘導案内するとともに、その中央寄りへの誘導方向が異なる態様で上下方向に並設された上側誘導部と下側誘導部とを備えている。これによれば、上下方向に誘導部が並設されているので、上流側流路(球流路)に導入される遊技球が入賞扉で受け止められて弾んで導入した場合にも、効率よく中央寄りに誘導することができる。また、誘導方向が異なる態様で上下の誘導部が並設されているので、入賞扉が開放位置から閉鎖位置に変位する際に、遊技球を押し上げながら閉鎖していく場合にも、開放位置(通常位置)と押し上げ位置での誘導方向を異ならせて遊技球を効率よく中央寄りに誘導するとともに、遊技球の球噛みを効果的に防止することができる。
【0010】
また、上側誘導部と下側誘導部とは、所定の前後方向距離に対して中央寄りへ誘導案内する左右方向距離が、上側誘導部よりも下側誘導部の方が大きくなるように設定された構成とすることができる。これによれば、上流側流路(の底壁)を転動するときには、下側誘導部によって遊技球は中央寄りに誘導されるので、確実に所定の中央位置まで遊技球を誘導案内することができる。また、反対に、所定の前後方向距離に対する左右方向距離が、下側誘導部よりも上側誘導部の方が小さくなるように設定されているので、下側誘導部の中央寄り上方に空間が形成され、入賞扉が開放位置から閉鎖位置に変位する際に、遊技球を押し上げながら閉鎖していく場合に、その空間が遊技球の退避スペースとして機能して、入賞扉と誘導部(下側誘導部)との球噛みを効果的に防止することができる。
【0011】
また、上側誘導部と下側誘導部とは、上側誘導部の始端部が下側誘導部の始端部よりも前方側に位置するように設定されている。これによれば、開放位置の入賞扉は後方側が低位(前方側が高位)となるように傾斜して保持されるので、上側誘導部の始端部を下側誘導部よりも前方側に位置させることで、入賞扉上の遊技球をより前方位置で中央寄りに誘導開始することが可能となり、迅速に遊技球を誘導することができる。
【0012】
上流側流路の天井面には、上側誘導部によって誘導案内される遊技球の流路に対応して段差状の凹部が形成されている。これによれば、上側誘導部によって誘導案内される遊技球は、入賞扉が開放位置から閉鎖位置に変位する際に該入賞扉に押し上げられて天井面を転動するように誘導案内されるので、天井面の段差状の凹部で遊技球の移動に変化が起こり、球噛みを防止することができる。
【0013】
また、上側誘導部及び下側誘導部は、閉鎖位置にある入賞扉との間が遊技球の直径よりも小さくなるように形成されている。これによれば、上側誘導部及び下側誘導部がより前方に位置するので、迅速に遊技球を中央寄りに誘導案内することができる。また、上側誘導部と下側誘導部とを備えることにより、誘導部と入賞扉との間での遊技球の球噛みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技機の一例を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る遊技機用入賞装置の一例を示す斜視図であり、(A)は入賞扉が閉鎖位置に変位した状態を示す図であり、(B)は入賞扉が開放位置に変位した状態を示す図である。
【図3】図2(B)の遊技機用入賞装置の平面図、正面図及び底面図である。
【図4】図2(A)の遊技機用入賞装置の分解斜視図である。
【図5】図3(B)のC−C切断線における断面図である。
【図6】図5の要部D,Eの拡大図である。
【図7】入賞扉が閉鎖位置に変位した状態で、上側誘導部による遊技球の案内状態を説明する図であり、(A)は入賞装置の一例を示す斜視図、(B)は図3(A)のA−A切断線における断面図、(C)は図3(B)のC−C切断線における断面図である。
【図8】図7に対応し、下側誘導部による遊技球の案内状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0016】
図1に示すように、遊技機1(以下、パチンコ機1ともいう)には、遊技盤2が設けられている。この遊技盤2の盤面2a(前面)には、円弧状のガイドレール2cが立設され、そのガイドレール2cによって略円形状に区画された遊技領域2bが形成されている。そして、遊技領域2bの中央には、液晶表示部3が搭載され、その液晶表示部3の下方(遊技領域2bの中央下部)にアタッカーと云われる遊技機用入賞装置4(以下、入賞装置4ともいう)が配置されている。また、液晶表示部3と入賞装置4との間には、始動入賞口を有して一対の回動翼片5aによって形成される電動チューリップ(電チュー)5が配置されている。
【0017】
なお、本明細書において、パチンコ機1における上下方向とは遊技盤2の盤面2aに沿う態様で遊技球が流下する方向(鉛直方向)を意味する。また、前後方向とは、遊技盤2の盤面2aに直交する方向(水平方向)を意味し、盤面2aの遊技者側が前側であり、盤面2aの奥側が後側である。また、左右方向とは、上下方向及び前後方向にそれぞれ直交する方向(水平方向)を意味する。
【0018】
図1乃至図4に示すように、この入賞装置4は、遊技盤2に固定され、その遊技盤2の盤面2a上に形成された遊技領域2bから遊技球を導入するための入賞口11と、該入賞口11から導入した遊技球を遊技盤2の後方で排出する排出口12と、入賞口11から排出口12へと続く球流路13とを有している。
【0019】
具体的な態様として、入賞装置4は、遊技盤2に固定するための台板20と、その台板20の後面側に組付けられるケース体30とを備えている。そして、この台板20には、左右方向を長手方向とする矩形状をなし、厚さ方向(前後方向)に貫通した開口21が形成されており、この開口21が入賞口11(大入賞口)を形成している。また、ケース体30は、上下に分割する形態で上ケース30Aと下ケース30Bとを含み構成され、下ケース30Bに上下方向に貫通した開口31が形成されており、開口31が排出口12を形成している。そして、上ケース30Aと下ケース30Bとが組み合わさって、入賞口11と排出口12とを接続する球流路13が形成されている。従って、図示しない発射装置からガイドレール2cに沿って打ち出された遊技球は、遊技盤2の盤面2a上に形成された遊技領域2bから入賞口11(開口21)を通過して入賞し、球流路13によって遊技盤2の後方側に誘導されて排出口12(開口31)で排出されることとなる。なお、開口31は、L字状に形成されており、左右方向に延びる開口領域には、後述する検出スイッチ55が開口領域を部分的に塞ぐ形で配置され、前後方向に延びる開口領域によって排出口12が形成されるようになっている。
【0020】
また、入賞装置4は、入賞口11(開口21)に対応して台板20又はケース体30に組付けられる入賞扉40を備えている。入賞扉40は、正面視において左右方向が長手方向となる矩形状の板状形態をなし(図1参照)、台板20の開口21(入賞口11)に嵌め込まれるように、その開口21の下縁21u側で左右方向に延びる遊技盤2に平行な回動軸線O1周りで回動可能に配置されている。そして、入賞扉40は、遊技盤2に沿って起立することにより入賞口11を閉鎖して球流路13への遊技球の導入を困難又は不能にする閉鎖位置(図2(A)参照)と、その閉鎖位置から前方側に倒伏することにより入賞口11を開放して球流路13への遊技球の導入を容易又は可能にする開放位置(図2(B)参照)とに回動変位する。
【0021】
具体的な態様として、入賞扉40は、両側部下端に回動軸線O1に沿って軸穴41,41が穿設されており、この軸穴41,41に上ケース30A及び下ケース30Bの軸支部32a,32bに軸支された軸ピン42,42が挿通されて回転可能に固定されている。また、入賞扉40は、両側部で後方に延出された延出部43,43が形成されている。遊技者側から見て左側の延出部43には、外側に突出形成(例えば、回動軸線O1に平行状)された凸部44が設けられている(図5参照)。凸部44は、入賞扉40が変位する際に後述する伝動部材54の作用を受ける被作用部である。
【0022】
また、入賞装置4は、入賞扉40に対して直接的に又は他部材を介して間接的に連係し、入賞扉40を閉鎖位置と開放位置との間で変位させる電気的駆動源としてのソレノイド50を備えている。ソレノイド50は、通電することにより励磁するコイル部を有したソレノイド本体51と、そのソレノイド本体51に支持されて前後方向で直線的に変位可能なプランジャ52と、ソレノイド本体51とプランジャ52との間に配置され、プランジャ52を前方側に付勢するコイルばね53とを備えている。そして、ソレノイド50は、そのプランジャ52を前方側の突出位置と後方側の後退位置とでそれぞれ保持することにより、入賞扉40を回動軸線O1周りで回動して閉鎖位置と開放位置とに変位させることとなる。
【0023】
また、入賞装置4は、入賞扉40とソレノイド50との間に配置されプランジャ52の駆動力を入賞扉40に伝動する伝動部材54を備えている。伝動部材54は、入賞扉40の回動軸線O1よりも後方においてその回動軸線O1と平行な揺動軸線O2周りで揺動可能に配置されている。即ち、伝動部材54は、揺動軸線O2に沿って突出する揺動軸54aを備えている。また、伝動部材54は、プランジャ52のフランジ状のプランジャヘッド52aに連係される被作用部54bと、入賞扉40の延出部43の凸部44に連係してその揺動変位を入賞扉40に伝動する作用片54cとを備えている。なお、伝動部材54の揺動軸54aは、上ケース30A及び下ケース30Bに形成された軸支部33a,33bによって軸支されている。
【0024】
また、入賞装置4は、入賞口11で入賞した遊技球を検出する検出スイッチ55を備えている。検出スイッチ55は、上ケース30A及び下ケース30Bに収容される形態で球流路13上に配置され、該球流路13を流下する遊技球を検出する。
【0025】
上ケース30A及び下ケース30Bは、図4に示すように、ソレノイド50を収容するソレノイド収容部34a,34bと、伝動部材54を収容する伝動部材収容部35a,35bと、検出スイッチ55を収容するスイッチ収容部36a,36bと、を備えている。また、下ケース30Bには、開放位置に変位した入賞扉40に接続され、入賞した遊技球を検出スイッチ55へ誘導するステージ部37が形成されている。上ケース30Aには、下ケース30Bのステージ部37の後端で起立するように奥壁38が形成されている。
【0026】
そして、上ケース30A及び下ケース30Bには、図2(B)及び図4に示すように、ステージ部37の両端部で起立(垂下)するとともに、遊技球を中央寄りに誘導案内するための上側誘導部39aと下側誘導部39bとが形成されている。上側誘導部39aと下側誘導部39bは、球流路13(上流側流路14)の左右両側端側に形成されており、入賞口11から導入された遊技球を中央寄りに誘導案内するとともに、その中央寄りへの誘導方向が異なる態様で上下方向に並設されている。なお、上側誘導部39aと下側誘導部39bとは、球流路13(上流側流路14)の左右どちらかの一側端側に形成されているだけでもよい。以下、上側誘導部39aと下側誘導部39bとをまとめて誘導部39ともいう。
【0027】
ここで、球流路13は、入賞口11に対応して後方に延びる上流側流路14と、その上流側流路14の後端に形成されて遊技球を1個ずつ通過可能な導入口15から排出口12に接続する下流側流路16とを含み構成されている。即ち、上流側流路14において、ステージ部37が底壁を構成し、誘導部39が側壁を構成している。そして、誘導部39と奥壁38との間の開口が導入口15を構成する。
【0028】
そして、図4に示すように、ステージ部37(上流側流路14)は、導入口15の前方領域にその導入口15へ遊技球を転動案内するために後方側に行くほど低位となした第1転動面37aが形成され、その第1転動面37aに隣接した側方領域に左右方向においては第1転動面37aに行くほど低位となし、前後方向においては前方側に行くほど低位となした第2転動面37bが形成されている。
【0029】
また、導入口15は、上流側流路14の後端で左右方向に所定の間隔を隔てて少なくとも2箇所に設けられており、その隣り合う導入口15のそれぞれの前方領域に第1転動面37a,37aが形成され、その第1転動面37a,37aによって挟まれた側方領域に、左右方向において所定の中間位置が頂部Tとなるように双方の第1転動面37a,37a側に行くほど低位となした第2転動面37b,37bがそれぞれ形成されている。
【0030】
誘導部39の説明に戻り、上側誘導部39aと下側誘導部39bとは、左右両側端から導入口15に向けて、中央側に行くほど後位置となるように傾斜して形成されている。上側誘導部39aと下側誘導部39bとは、所定の前後方向距離Zに対して中央寄りへ誘導案内する左右方向距離が、上側誘導部39aよりも下側誘導部39bの方が大きくなるように設定されている。また、上側誘導部39aと下側誘導部39bとは、所定の左右方向距離Xに対して中央寄りへ誘導案内する前後方向距離が、上側誘導部39aよりも下側誘導部39bの方が小さくなるように設定されている(図6(B)参照)。
【0031】
具体的な態様として、上側誘導部39aは、屈曲部60を有して段階的(本実施形態では2段階)に誘導案内量(傾斜角度)を変化した誘導壁として形成され、その誘導壁の上流側領域に、上下方向に幅狭に突出形成された誘導リブ61を含み構成されている。これにより、誘導リブ61が、上側誘導部39aの上流側領域で遊技球の誘導を行うこととなる。
【0032】
そして、上側誘導部39aは、図5及び図6に示すように、下(上)から見て、下側誘導部39bの後方側に後退するように形成され、その後退した位置から誘導リブ61が下側誘導部39bの前方に突出するように形成されている。すなわち、誘導リブ61(上側誘導部39a)の始端部s1が下側誘導部39bの始端部s2よりも前方側に位置するように設定されている。また、誘導リブ61の始端部s1は、下側誘導部39bの始端部s2よりも左右方向の外側に位置するように設定されている(図6(B)参照)。これにより、入賞口11(入賞扉40)から導入される遊技球を早い段階で左右方向中央寄りに誘導案内することが可能となる。
【0033】
また、図3(B)及び図5、図6に示すように、上流側流路14の天井面には、上側誘導部39aによって誘導案内される遊技球の流路に対応して段差状の凹部69が形成されている。具体的な態様として、台板20には、開口21の周縁部から後方に立ち上がり、上流側流路14を接続するようにケース体30が固定される周壁部22が形成されている。そして、凹部69は、その周壁部22の上辺22aの内壁面(下面)に所定の間隔を隔てて左右に1つずつ、計2箇所に形成されている。また、凹部69は、誘導リブ61の終端部における左右方向位置から中央寄りに向けて窪むように形成されている。
【0034】
次に、図7及び図8を用いて、入賞口11から導入した遊技球が上流側流路14において誘導部39に誘導案内される流下パターンを説明する。図7に示すように、ソレノイド50が通電状態(励磁)となると、伝動部材54を介して入賞扉40が開放位置に保持される。そして入賞扉40の右端から入賞口11に導入された遊技球B1は、上側誘導部39aの誘導リブ61に当接し(特に、図7(C)参照)、左右方向中央寄り側に向けて誘導案内が開始される。このとき、遊技球B1は、入賞扉40上の前後方向の中途に位置しており、下側誘導部39bから前方及び上方に離間した状態となる。
【0035】
そして、遊技球B1は、誘導リブ61によって左右方向中央寄り側に向けて誘導案内されると、下側誘導部39bに当接し、上側誘導部39aの誘導リブ61の当接(誘導案内)が切り離されて、遊技球B2の状態となる(図8参照)。そして、遊技球B2は、下側誘導部39bによって引き続き左右方向中央寄り側に向けて誘導案内が行われる。遊技球B2は、下側誘導部39bの終端部まで左右方向中央寄り側に向けて誘導案内された後、ステージ部37における第1転動面37aの傾斜によって後方の導入口15へ向かって転動し、検出スイッチ55により入賞が検知され、下流側流路16を介して排出口12から排出されることとなる。
【0036】
ここで、図7(B)及び図8(B)に示すように、上側誘導部39a及び下側誘導部39bは、閉鎖位置にある入賞扉40(一点鎖線)との間が遊技球の直径よりも小さくなるように形成されている。これにより、誘導部39が、入賞扉40寄りの前方に位置して遊技球の誘導案内を迅速に行うとともに、入賞口11から導入された遊技球を、球噛みすることなくステージ部37の奥側(導入口15)にスムーズに誘導案内することができる。ひいては、検出スイッチ55をより前方に配置して、入賞から検出までの時間を短くすることができる。
【0037】
そして、誘導部39は、上述の如く、上側誘導部39aが下側誘導部39bに対して後退し、下側誘導部39bの上方及び上側誘導部39aの前方にスペースが形成されているので、遊技球B1,B2のように遊技球が誘導部39によって誘導案内されている状態で、入賞扉40が開放位置から閉鎖位置へと移行し、入賞扉40に押し上げられる場合にも、上記スペースによって、球噛みすることなく下側誘導部39bに乗り上がることができ、さらには、台板20における周壁部22の上辺22aに形成された凹部69の段差によって、遊技球の転動(流下)に変化を与えることができ、より一層効果的に球噛みを回避して遊技球を導入口15へと誘導することができる。
【0038】
なお、本発明では遊技機の一例としてパチンコ機について説明したが、他に例えばアレンジボール遊技機、雀球遊技機等の入賞装置が設けられる遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 パチンコ機(遊技機)
2 遊技盤
2b 遊技領域
2c ガイドレール
3 液晶表示部
4 入賞装置(遊技機用入賞装置)
5 電動チューリップ
11 入賞口
12 排出口
13 球流路
14 上流側流路
15 導入口
16 下流側流路
20 台板
21 開口
22 周壁部
22a 上辺
30 ケース体
30A 上ケース
30B 下ケース
31 開口
32a,32b 軸支部
33a,33b 軸支部
34a,34b ソレノイド収容部
35a,35b 伝動部材収容部
36a,36b スイッチ収容部
37 ステージ部
37a 第1転動面
37b 第2転動面
38 奥壁
39a,39b 誘導部
40 入賞扉
41 軸穴
42 軸ピン
43 延出部
44 凸部
50 ソレノイド(電気的駆動源)
51 ソレノイド本体
52 プランジャ
52a プランジャヘッド
53 コイルばね
54 伝動部材
55 検出スイッチ
60 屈曲部
61 誘導リブ
69 凹部
B1,B2 遊技球
O1 回動軸線
O2 揺動軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の盤面上に形成された遊技領域から遊技球を導入するための入賞口と、該入賞口から導入した遊技球を前記遊技盤の後方で排出する排出口と、前記入賞口から排出口へと続く球流路と、を有して前記遊技盤に固定される遊技機用入賞装置において、
前記遊技盤と平行状で左右方向に延びる回動軸線周りで回動可能に配置され、前記遊技盤に沿って起立することにより前記入賞口を閉鎖して前記球流路への遊技球の導入を困難又は不能にする閉鎖位置と、その閉鎖位置から前方側に倒伏することにより前記入賞口を開放して前記球流路への遊技球の導入を容易又は可能にする開放位置とに変位する入賞扉と、
その入賞扉に対して直接的に又は他部材を介して間接的に連係し、該入賞扉を前記閉鎖位置と開放位置との間で変位させる電気的駆動源と、を備え、
前記球流路は、前記入賞口に対応して後方に延びる上流側流路と、その上流側流路の下流端に形成されて遊技球を1個ずつ通過可能な導入口から前記排出口に接続する下流側流路とを含み、
前記上流側流路は、左右どちらかの一側端側又は両側端側に前記入賞口から導入された遊技球を中央寄りに誘導案内するとともに、その中央寄りへの誘導方向が異なる態様で上下方向に並設された上側誘導部と下側誘導部とを備えていることを特徴とする遊技機用入賞装置。
【請求項2】
前記上側誘導部と下側誘導部とは、所定の前後方向距離に対して中央寄りへ誘導案内する左右方向距離が、上側誘導部よりも下側誘導部の方が大きくなるように設定されている請求項1に記載の遊技機用入賞装置。
【請求項3】
前記上側誘導部と下側誘導部とは、上側誘導部の始端部が下側誘導部の始端部よりも前方側に位置するように設定されている請求項2に記載の遊技機用入賞装置。
【請求項4】
前記上流側流路の天井面には、前記上側誘導部によって誘導案内される遊技球の流路に対応して段差状の凹部が形成されている請求項2又は3に記載の遊技機用入賞装置。
【請求項5】
前記上側誘導部及び下側誘導部は、閉鎖位置にある前記入賞扉との間が遊技球の直径よりも小さくなるように形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の遊技機用入賞装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の遊技機用入賞装置が前記遊技盤に固定されたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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