説明

遊技機用基板ケース

【課題】遊技機用基板ケースにおいて、弛める方向への螺子回しを不能とするにあたっての構造を外部に露出することの無い内部に形成することによって、不正行為に対しての防犯性をより高める。
【解決手段】ケース本体20に対するカバー体30の組付け状態を保持するロック機構40は、ロックスクリュー50とスクリュー受けボックス60とを備える。ロックスクリュー50の少なくとも中間範囲に形成された雄螺子部53とスクリュー受けボックス60のボックス内に形成された雌螺子部70とは、閉塞状態にあるスクリュー受けボックス60のボックス内にてロックスクリュー50の後退螺子回しを規制する。これによって、弛める方向にロックスクリュー50を螺子回ししようとしても、雄螺子部53と雌螺子部70が螺合している部分に手のかけれないものとすることができ、不正行為に対する防犯性をより高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機を制御する制御基板を収容して、遊技機内部に設置される遊技機用基板ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機にあっては、遊技機内部に制御基板が設置されている。この制御基板は、遊技に関する各種の制御処理を行うために設置されるものであり、例えば、大当り等に関しての各種の制御処理を行うメイン制御基板、賞球払出し等に関しての払出し制御処理を行う払出し制御基板、電飾等に関してのランプ制御処理を行うランプ制御基板、発射装置の遊技球発射制御処理を行う遊技球発射制御基板等がある。このような制御基板の中には、法定によって交換あるいは操作等の不正行為(ゴト行為)を規制するように要請されるものがある。このため、このように要請される制御基板は、第三者に開けられてしまうのを防止する基板ケースに収容され、このような不正行為を規制するようにしている。
【0003】
ところで、上記したように制御基板を収容する基板ケースにあっては、第三者に開けられてしまうのを防止するために、この基板ケースの開き個所をカシメたり或いは熱圧着したりして、強固に閉じられたものが知られている。しかしながら、カシメる例にあっては新たなカシメ部品を用意して開けた後に再びカシメたり、熱圧着する例にあっては開けた後に専用工具を用いて再び熱圧着したりして、開けた後に閉じることが再現し易いものとなっており、上記した不正行為を規制する上での問題点があった。
そこで、このような問題点に対して閉じることの再現を難しくするように、螺子部材が配設されて構成される基板ケースが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1および特許文献2にて開示される基板ケースの螺子部材は、一度螺子締結させると、弛める方向への螺子回しが不能となるように構成されている。このため、不正行為者が基板ケースを開けるには、少なくとも封緘されている個所を破壊しなければならず、基板ケースが開けられてしまった場合には、破壊された痕跡が残されるようになっている。そうすると、基板ケースが開けられた痕跡から、管理者は、制御基板に対して不正行為があったのではないかと直ぐに判別できることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3261084号
【特許文献2】特開2005−218468
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した基板ケースの螺子部材は、弛める方向への螺子回しを規制する構成を、外部に露出した螺子部材の螺子頭に形成したものとしているので、不正行為者の何らかの工夫によって、弛める方向に対しての螺子回しされてしまうことも考えられる。このため、上記した特許文献にて開示される基板ケースにあっては、不正行為に対する防犯性が未だに脆弱であるとの指摘がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機を制御する制御基板を収容し、該遊技機内部に設置される遊技機用基板ケースにおいて、弛める方向への螺子回しを不能とするにあたっての構造を外部に露出することの無い内部に形成することによって、不正行為に対しての防犯性をより高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するにあたって本発明に係る遊技機用基板ケースは、次の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1の発明に係る遊技機用基板ケースは、パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機を制御する制御基板を収容して、該遊技機内部に設置される遊技機用基板ケースであって、前記制御基板を収容する基板収容部が設けられたケース本体と、該基板収容部に該制御基板を収容した状態で該ケース本体に組み付けられて密封構造とするカバー体と、該ケース本体に対する該カバー体の組付け状態を保持するロック機構とを備え、前記ロック機構は、雄螺子部が少なくとも中間範囲に形成され且つ前記ケース本体側にて支持される螺子部材と、該雄螺子部に対応する雌螺子部がボックス内に形成された螺子受けボックスと、前記カバー体に一体的に設けられた係合フック部とを備え、前記螺子部材は、基端側に該螺子部材を螺子回しするための操作部が設けられ、且つ先端側に前進螺子回し一杯状態で前記係合フック部と係合し該カバー体の前記ケース本体に対する組付け状態を保持する係合端部が設けられており、前記螺子受けボックスは、前記ケース本体に一体的に設けられたボックス本体と、該ボックス本体の開口個所を閉塞するように該ボックス本体に対して組み付けられる蓋状部材とを備え、前記螺子部材の少なくとも中間範囲に形成された前記雄螺子部と、前記螺子受けボックスのボックス内に形成された前記雌螺子部とは、前記螺子部材の前進螺子回しのみを許可し、且つ該螺子部材の後退螺子回しを規制するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この遊技機用基板ケースによれば、ケース本体に対するカバー体の組付け状態を保持するロック機構は、螺子部材と螺子受けボックスとを備え、螺子部材の少なくとも中間範囲に形成された雄螺子部と螺子受けボックスのボックス内に形成された雌螺子部とは、閉塞状態にある螺子受けボックスのボックス内にて螺子部材の後退螺子回しを規制することとなるので、弛める方向への螺子回しを不能とするにあたっての構造は、外部に露出していない閉塞されたボックスの内部にて設けられたものとなる。
これによって、不正行為を行おうとする者が、弛める方向に螺子回ししようとしても、雄螺子部と雌螺子部が螺合している部分に手のかけれないものとすることができ、不正行為に対する防犯性をより高めることができる。
【0010】
第2の発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第1の発明に係る遊技機用基板ケースにおいて、前記ケース本体、前記カバー体、および前記ロック機構は、合成樹脂にて形成されており、前記係合フック部は、前記螺子部材の前進方向に複数並べられて前記カバー体から切取り可能に設けられており、前記係合端部が係合している状態の前記係合フック部は、前記カバー体から切り取られることによって、該係合端部の係合を解除して前記ケース本体に対する前記カバー体の組付け状態の保持を解除するとともに、前記螺子部材の新たな前進螺子回しも可能とするようになっており、前記螺子部材の前記係合端部は、該螺子部材の新たな前進螺子回しによって該螺子部材が新たに前進螺子回し一杯状態となった場合に、複数並べられて設けられる新たな前記係合フック部に対して係合して前記ケース本体に対する前記カバー体の組付け状態を新たに保持することを特徴とする。
【0011】
この遊技機用基板ケースによれば、管理者が遊技機用基板ケースの内部を確認しようと遊技機用基板ケースを開けたい場合には、係合フック部をカバー体から切り取ることによって係合端部の係合を解除し、ケース本体に対するカバー体の組付け状態の保持を解除することにより行う。これに対し、管理者が遊技機用基板ケースの内部を確認した後に遊技機用基板ケースを再び閉じる場合には、螺子部材の新たな前進螺子回しによって螺子部材が新たに前進螺子回し一杯状態とすることにより行う。すなわち、螺子部材が新たに前進螺子回し一杯状態となった場合には、複数並べられて設けられる新たな係合フック部に対して新たに螺子部材の係合端部が係合して、ケース本体に対するカバー体の組付け状態を新たに保持する。これによって、管理者は、内部を確認した後に開けた遊技機用基板ケースを再び閉じることができる。もって、この遊技機用基板ケースによれば、管理者は、内部を確認するために、複数回に亘って簡単に遊技機用基板ケースを開け閉めすることができる。
また、この遊技機用基板ケースによれば、ケース本体、カバー体、およびロック機構は、合成樹脂にて形成されているので、遊技機用基板ケースを廃棄する際には、溶解処理してリサイクルすることができることとなり、リサイクル性の観点から有利なものとなる。
【0012】
第3の発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第1の発明または前記第2の発明に係る遊技機用基板ケースにおいて、前記雄螺子部または前記雌螺子部の何れか一方には、螺子山から突出する爪部が設けられており、前記雄螺子部または前記雌螺子部の何れか他方には、前記螺子部材を螺子回しすることにより前記爪部が当接するカエシ部が設けられており、前記螺子部材を前進螺子回しして前記爪部を前記カエシ部に当接させた場合には、前記爪部は前記カエシ部に対して弾性的に没するように移動して該カエシ部を乗り越え、前記螺子部材の前進螺子回しを許可するようになっており、前記螺子部材を後退螺子回しして前記爪部を前記カエシ部に当接させた場合には、前記爪部は前記カエシ部に対して当接したままとなる突出状態を維持し、前記螺子部材の後退螺子回しを規制するようになっていることを特徴とする。
【0013】
この遊技機用基板ケースによれば、螺子部材を前進螺子回しさせた場合には、カエシ部に当接した爪部は、カエシ部に対して弾性的に没するように移動してカエシ部を乗り越え、螺子部材の前進螺子回しを許可することとなる。これに対して、螺子部材を後退螺子回しした場合には、カエシ部に当接した爪部は、カエシ部に対して当接したままとなる突出状態を維持し、螺子部材の後退螺子回しを規制することとなる。
これによって、螺子部材は、先端側に配設された係合端部をカバー体の係合フック部に係合させようと前進螺子回しすることはできるが、この係合を解除しようと後退螺子回しすることはできないものとなる。したがって、螺子部材は、一度締結させると弛める方向への螺子回しが不能となるので、この遊技機用基板ケースを開けるには少なくとも封緘されている個所を破壊することを要することとなる。もって、管理者は、遊技機用基板ケースを開けた痕跡から、不正行為があった事を直ぐに判別することができるようになる。
【0014】
第4の発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第3の発明に係る遊技機用基板ケースにおいて、前記爪部は、前記雄螺子部に対して揺動可能に一体化状態で形成されており、前記カエシ部は、前記雌螺子部に対して固定された一体化状態で形成されていることを特徴とする。
この遊技機用基板ケースによれば、爪部は雄螺子部に対して揺動可能に一体化状態で形成されており、カエシ部は雌螺子部に対して固定された一体化状態で形成されているので、爪部は雄螺子部の一体成形により製造でき、カエシ部は雌螺子部の一体成形により製造でき、製造上において有利となる。
【0015】
第5の発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第1の発明から前記第4の発明の何れかに係る遊技機用基板ケースにおいて、前記ロック機構は、1セットだけをケース本体の長手方向の側部に沿って設けられていることを特徴とする。
この遊技機用基板ケースによれば、ロック機構は1セットだけを前記ケース本体の長手方向の側部に沿って設けられているので、上記した螺子部材および螺子受けボックスに関して、前進後退方向の長さを最長化させて設計することができる。これによって、螺子部材の少なくとも中間範囲に形成される雄螺子部と、螺子受けボックスのボックス内に形成される雌螺子部とを最長化させて設計することができるので、このロック機構としての機能を、より効果的に発揮することができる。
【0016】
第6の発明に係る遊技機用基板ケースは、前記第1の発明から前記第5の発明の何れかに係る遊技機用基板ケースにおいて、前記螺子部材の前記操作部は、先端側が前記雄螺子部の基端側と一体的に連結される首部と、該首部の基端側にツマミ形状を有して該首部と一体的に成形される操作部本体とを備え、前記首部は、前記螺子部材を後退螺子回しした場合に、前記雄螺子部と前記雌螺子部とによる該螺子部材の後退螺子回しの規制を受けて、前記雄螺子部に対する連結が解除されるようになっていることを特徴とする。
この遊技機用基板ケースによれば、螺子部材を後退螺子回しした場合に、雄螺子部と雌螺子部とによる螺子部材の後退螺子回しの規制を受けて、首部は雄螺子部に対する連結が解除されるようになっているので、この首部と一体的に成形される操作部本体も雄螺子部から外れることとなり、螺子部材の後退螺子回ししようとしても後退螺子回しすることができなくなる。これによって、不正行為を行おうとする者が、螺子部材を弛める方向に螺子回ししようとしても、操作部が外れてしまって螺子回しすることができず、不正行為に対しての防犯性をより高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明に係る遊技機用基板ケースによれば、不正行為を行おうとする者が、弛める方向に螺子回ししようとしても、雄螺子部と雌螺子部が螺合している部分に手をかけることができず、不正行為に対する防犯性をより高めることができる。
第2の発明に係る遊技機用基板ケースによれば、複数回に亘って管理者は簡単に開け閉めを行うことができ、さらにリサイクル性の観点から有利なものとなる。
第3の発明に係る遊技機用基板ケースによれば、管理者は、ケースを開けた痕跡から不正行為があった事を直ぐに判別することができるようになる。
第4の発明に係る遊技機用基板ケースによれば、爪部は雄螺子部の一体成形により製造でき、カエシ部は雌螺子部の一体成形により製造でき、製造上において有利となる。
第5の発明に係る遊技機用基板ケースによれば、螺子部材の少なくとも中間範囲に形成される雄螺子部と、螺子受けボックスのボックス内に形成される雌螺子部とを最長化させて設計することができるので、このロック機構としての機能を、より効果的に発揮することができる。
第6の発明に係る遊技機用基板ケースによれば、不正行為を行おうとする者が、螺子部材を弛める方向に螺子回ししようとしても、操作部が外れてしまって螺子回しすることができず、不正行為に対しての防犯性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】遊技機用基板ケースを示す斜視図である。
【図2】図1に示す遊技機用基板ケースの分解状態を示す分解斜視図である。
【図3】ケース本体に対してカバー体を組み付けていく状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す遊技機用基板ケースの上面図である。
【図5】図1におけるV−V断面矢視を示す遊技機用基板ケースの断面図である。
【図6】図1におけるVI−VI断面矢視を示す遊技機用基板ケースの断面図である。
【図7】図1におけるVII−VII断面矢視を示す遊技機用基板ケースの断面図である。
【図8】第1段階の係合状態にあるロックスクリューを示す斜視図である。
【図9】第2段階の係合状態にあるロックスクリューを示す斜視図である。
【図10】図9に示す第2段階の係合状態にあるロックスクリューの断面視を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、遊技機用基板ケース10を示す斜視図である。図2は、図1に示す遊技機用基板ケース10の分解状態を示す分解斜視図である。図3は、ケース本体20に対してカバー体30を組み付けていく状態を示す斜視図である。図4は、図1に示す遊技機用基板ケース10の上面図である。なお、図1および図4については、ロックスクリュー50が前進螺子回し一杯状態の図となっている。また、以下においては、図示の遊技機用基板ケースを説明するための便宜において、図示の遊技機用基板ケースに関して上下前後左右の方向付けをしている。
遊技機用基板ケース10は、パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機の内部に設置されるものであり、この遊技機の遊技に関する制御を行う制御基板を収容するものである。遊技機用基板ケース10は、図1および図2に示すように、概略、ケース本体20と、このケース本体20に組み付けられるカバー体30と、ケース本体20に対するカバー体30の組付け状態を保持するロック機構40とを備えて構成される。
なお、これらケース本体20、カバー体30、およびロック機構40は、耐久性や耐衝撃性等に優れた例えばポリカーボネート等の合成樹脂のみで形成されている。
【0020】
ケース本体20は、図2および図3に示すように、後に説明するカバー体30が組み付けられることにより、制御基板(不図示)を収容するための密封された筐体構造をなす。なお、この制御基板としては、法定によって交換あるいは操作等の不正行為(ゴト行為)を規制するように要請されるものであり、例えば、大当り等に関しての各種の制御処理を行うメイン制御基板や、賞球払出し等に関しての払出し制御処理を行う払出し制御基板等が挙げられる。すなわち、ケース本体20には、図2に示すように、制御基板(不図示)を収容する基板収容部21が設けられており、この基板収容部21に制御基板を収容した状態でカバー体30をスライドさせてケース本体20に組み付けるようになっている。
具体的には、ケース本体20は、カバー体30をスライドさせて組み付けるにあたって、上下前後左右6つの側面のうち、隣接する2面を開口形状にて形成される。すなわち、ケース本体20は、図示上面および図示後面を切り欠くようにされた開口形状にて形成される。また、ケース本体20には、カバー体30を組付け状態とするための、カバー体30の嵌合部31が嵌合する嵌合孔22が形成されている。この嵌合孔22は、ケース本体20の図示左右の略4隅にそれぞれ設けられ、カバー体30の嵌合部31に対応している。なお、このケース本体20にあっては、後述のロック機構40において詳しく説明するが、ケース本体20の図示前側において、ロック機構40の一部を構成するボックス本体61を含めたスクリュー収納部25が、ケース本体20と一体的に形成されている。
【0021】
これに対しカバー体30は、制御基板(不図示)を収容した状態で、ケース本体20の図示上面と図示後面とを閉塞するように、スライドさせてケース本体20に対して組み付けられる。このカバー体30は、上下前後左右6つの側面のうち、図示下面を切り欠くようにされた開口形状を有して形成されている。カバー体30は、上記したケース本体20の嵌合孔22に嵌合される嵌合部31が、図示左右の略4隅にそれぞれ設けられている。なお、後述のロック機構40において詳しく説明するが、図4に示すように、カバー体30の図示前側には、ロック機構40の一部を構成する係合フック部32(32a,32b)が、ロックスクリュー50の前進方向に2つ並べられるようにして、カバー体30に一体的に成形されるようにして設けられている。この係合フック部32(32a,32b)は、ロックスクリュー50が前進螺子回し一杯状態となっている場合に、このロックスクリュー50の係合端部52が係合する部分であり、カバー体30からニッパー等の専用工具を用いて切取り可能に形成されている。
【0022】
次に、ロック機構40について説明する。図5は、図1におけるV−V断面矢視を示す遊技機用基板ケースの断面図である。図6は、図1におけるVI−VI断面矢視を示す遊技機用基板ケースの断面図である。図7は、図1におけるVII−VII断面矢視を示す遊技機用基板ケースの断面図である。なお、これら図5〜図7については、図1と同様にロックスクリュー50が前進螺子回し一杯状態の図となっている。
ロック機構40は、図1等に示すように、1セットだけをケース本体20の長手方向の側部に沿って設けられている。このロック機構40は、図2に示すように、上記したケース本体20側にて支持される螺子部材としてのロックスクリュー50と、このロックスクリュー50を受ける螺子受けボックスとしてのスクリュー受けボックス60と、上記したカバー体30に一体的に設けられる係合フック部32(32a,32b)とを備えて構成されるものであり、以下、これらロックスクリュー50、スクリュー受けボックス60、係合フック部32(32a,32b)の詳細について説明する。
【0023】
ロックスクリュー50について説明する。
ロックスクリュー50は、図2および図3に示すように、略棒螺子状にて形成されるものであり、本発明に係る螺子部材に相当する部材である。つまり、ロックスクリュー50は、ケース本体20に一体的に設けられるスクリュー受けボックス60に受け入れられつつ支持されるものであり、螺子回しされることによって、ケース本体20およびカバー体30に対して相対的に前進あるいは後退する。ここで、ロックスクリュー50の図示右側となる基端側には、螺子回しするための操作部51が設けられている。これに対しロックスクリュー50の図示左側となる先端側には、上記した係合フック部32(32a,32b)と係合する係合端部52が設けられている。また、この操作部51と係合端部52との間の範囲に設定されるロックスクリュー50の中間範囲には、雄螺子部53が形成されている。なお、これら操作部51、係合端部52、雄螺子部53は、合成樹脂としてのポリカーボネートを一体成形することにより形成されている。
【0024】
次に、これら操作部51、係合端部52、雄螺子部53について詳細に説明する。
操作部51は、ロックスクリュー50を操作するにあたって管理者が手で摘んで回転操作する部分である。操作部51は、概略、雄螺子部53と一体的に連結される首部51aと、この首部51aと一体的に成形される操作部本体51bとを備えて構成される。
首部51aは、先端側が雄螺子部53の基端側と一体的に連結され且つ基端側が操作部本体51bの先端側と一体的に連結されるように成形されるものである。この首部51aは、ロックスクリュー50を後退螺子回しした場合に、後に説明する雄螺子部53と雌螺子部70とによるロックスクリュー50の後退螺子回しの規制を受けて、雄螺子部53に対する連結が解除されるように、ポキリと折れてしまうようになっている。つまり、首部51aは、雄螺子部53や操作部本体51bに比して、回転に抗する応力に対して破壊され易いように形成されている。具体的には、首部51aの外径は、雄螺子部53や操作部本体51bの外径に比して小さくなるように設定されて成形されている。また、操作部本体51bは、先端側が首部51aの基端側と一体的に連結されるように成形されるものであり、管理者が手で摘んで回転操作できるように、外部に露出するツマミ形状を有して形成される。
係合端部52は、操作部51とは反対側となる先端側に設けられるものであり、外形上は円柱端部形状にて形成されている。この係合端部52は、図5および図6に示すように、上記したようにロックスクリュー50を前進螺子回しし、このロックスクリュー50の前進が一杯となる前進螺子回し一杯状態となった場合に、カバー体30の係合フック部32(32a,32b)に対して係合する部分となっている。なお、ロックスクリュー50は、上記したようにケース本体20に支持されているので、このように係合端部52が係合フック部32(32a,32b)と係合する場合には、ケース本体20に対するカバー体30の組付け状態は、このロックスクリュー50にて保持されることとなる。
【0025】
ところで、上記したロックスクリュー50のうち、操作部51と係合端部52との間の範囲に設定される中間範囲には、後に説明するスクリュー受けボックス60のボックス内に形成された雌螺子部70に対応する雄螺子部53が形成されている。この雄螺子部53は、上記した操作部51と係合端部52とを除く範囲に螺子山が形成されることにより構成される。この雄螺子部53の螺子山は、ロックスクリュー50を右回しした場合に、このロックスクリュー50がスクリュー受けボックス60に対して前進するように形成されている。
ここで、雄螺子部53には、揺動可能に一体化状態で形成され、螺子山から突出する爪部57が設けられたものとなっている(図7参照)。具体的には、雄螺子部53の中央部分には、後に説明する雌螺子部70(71,75)に設けられたカエシ部72,76に対応した爪機構55が設けられている。この爪機構55は、後に説明する雌螺子部70(71,75)のカエシ部72,76とともに、ロックスクリュー50の前進螺子回しのみを許可し且つロックスクリュー50の後退螺子回しを規制するように機能する部分となっている。
爪機構55は、図7に示すように、概略、雄螺子部53の中央部分に設けられた貫通孔56の開口部56a,56aから、爪部57,57を外方に突出させるようにして構成される。具体的には、貫通孔56は、雄螺子部53の周面のうち180度の相対位置となる一対個所に開口部56a,56aが形成されるように、ロックスクリュー50の径方向に貫通させるようにして形成される。そして、この雄螺子部53の周面の180度の相対位置に形成された開口部56a,56aからは、2つの爪部57,57の先端側を構成する係止端部58,58のそれぞれが外方に突出するようにして、2つの爪部57,57は設けられている。具体的には、図7に示すように、2つの爪部57,57は、基端側が貫通孔56内の対向位置する内壁面56b,56bに対して一体化状態で形成されつつ、中間個所が貫通孔56内で右回り方向に折り曲げられるようになっており、先端側となる係止端部58,58が貫通孔56の開口部56a,56aから外方に突出するように形成されるものとなっている。つまり、係止端部58,58は、雄螺子部53の周面の180度の相対位置から外方に突出するようになっている。なお、この2つの爪部57,57は、中間個所が貫通孔56内で右回り方向に折り曲げられるようにして形成されているので、左回り方向には揺動スペースが大きく設定されたものとなっており、2つの爪部57,57は、揺動可能に弾性変形し易くなっている。これに対して、2つの爪部57,57は、右回り方向には揺動スペースが小さく設定されたものとなっており、2つの爪部57,57は、弾性変形し難く揺動が規制されたものとなっている。
ここで、係止端部58,58は、雄螺子部53の外周面となる螺子山から外方に突出するようになっており、前進螺子回し(図1における右回し)方向に向かう側面には通過許可用テーパ面59a,59aが形成されており、この反対側となる後退螺子回し(図1における左回し)方向に向かう側面には通過規制用当接面59b,59bが形成されている。通過許可用テーパ面59a,59aは、端部に向かうにしたがって後退螺子回し(図1における左回し)方向に傾斜する傾斜面状にて形成されている。これに対して、通過規制用当接面59b,59bは、端部に向かうにしたがって傾斜することなく、ロックスクリュー50の径方向に沿う平面状にて形成されている。なお、この係止端部58,58の外周面には、上記した雄螺子部53と同様な、ロックスクリュー50を右回しした場合にスクリュー受けボックス60に対してロックスクリュー50を前進させるような螺子山が形成されている。
【0026】
次に、スクリュー受けボックス60について説明する。
スクリュー受けボックス60は、図1および図4に示すようにロックスクリュー50を螺子入れた場合に、このボックス内に対して外部からの侵入を不可とするような閉塞状態となるように、ボックス状にて形成されるものである。このスクリュー受けボックス60は、本発明に係る螺子受けボックスに相当する部材である。このスクリュー受けボックス60は、上記したケース本体20に一体成形されたボックス本体61と、このボックス本体61の開口個所62を閉塞するようにボックス本体61に対して組み付けられる蓋状部材65とを備える。なお、このボックス本体61は、ケース本体20の図示前側において、ケース本体20と一体的に形成されるスクリュー収納部25の一部としてケース本体20と一体的に形成されている。
すなわち、スクリュー収納部25は、ケース本体20の前側面の図示中間部から図示右側端までの個所を前側に張り出すようにして形成されるものであり、上記したロックスクリュー50を収納するにあたって適当な大きさを有して形成されている。スクリュー収納部25は、図2に示すように、概略、ロックスクリュー50の螺子入れ方向に沿って、係合フック収容部26と、ボックス本体61と、操作保護カバー部27とを、一体的に並べて形成されている。
【0027】
係合フック収容部26は、図2等に示すように、ケース本体20に対してスライドして組み付けられるカバー体30に設けられた係合フック部32(32a,32b)を収容する部分であり、基板収容部21と連なるように形成されている。
ボックス本体61は、図2等に示すように、係合フック収容部26の図示右側に隣接して形成されるものであり、図示上側および図示左右両側が開口された略箱状にて形成されている。このボックス本体61の図示上側には、長方形状の開口個所62が形成されている。この開口個所62は、次に説明する蓋状部材65が組み付けられることにより、閉塞するようになっている。また、ボックス本体61の開口個所62の端縁近くのうち図示前後両側には、ボックス本体61に蓋状部材65を組み付けた場合に、この蓋状部材65の掛止雄部68,68が引っ掛かる掛止雌部64,64が形成されている。また、図6に示すように、ボックス本体61の図示左右両側には、ロックスクリュー50を挿通するだけの円形状で開口したスクリュー挿通用開口部63,63が形成されている。つまり、スクリュー挿通用開口部63,63に挿通させたロックスクリュー50は、このスクリュー挿通用開口部63,63によって図示上側への移動が規制される。
操作保護カバー部27は、ボックス本体61の図示右側に隣接して形成されるものであり、螺子入れ状態のロックスクリュー50の雄螺子部53が、何らかの道具によって掴まれ勝手に回されてしまわないように、このロックスクリュー50の雄螺子部53の周囲を保護するために設けられるものである。このため、この操作保護カバー部27は、ロックスクリュー50のうち外部に露出する雄螺子部53を保護するように、囲い壁27a,27bを有して形成されている。なお、この操作保護カバー部27(27a,27b)は、後にも説明するが、このケース本体20からニッパー等の専用工具を用いて切取り可能に形成されている。
【0028】
蓋状部材65は、図2等に示すように、ボックス本体61の開口個所62を閉塞するように、ボックス本体61に対して組み付けられるものである。この蓋状部材65は、側面視略コ字状に形成されるものであって、概略、蓋本体66と、螺子入れ孔67,67と、掛止雄部68,68とを備える。
蓋本体66は、この蓋状部材65をボックス本体61に組み付けた場合に、このボックス本体61の開口個所62を閉塞するように略平板状に形成される。この蓋本体66は、図6に示すように、図示左右両側には螺子入れ孔67,67が平板交差方向に延在するとともに、図示前後両側には掛止雄部68,68が形成されている。
螺子入れ孔67,67は、この蓋状部材65をボックス本体61に組み付けた場合に、このボックス本体61のスクリュー挿通用開口部63,63と隣接するように位置して、ロックスクリュー50が螺子入れられるように形成される。具体的には、この螺子入れ孔67,67は、スクリュー挿通用開口部63,63と同様、ロックスクリュー50を挿通するだけの円形状に開口して形成される。また、この螺子入れ孔67,67の内周面には、ロックスクリュー50の雄螺子部53が螺子止めされるように、次に説明する雌螺子部70(71,75)と連なる雌螺子形状が形成されている。このため、この蓋状部材65をボックス本体61に組み付けた状態で、ロックスクリュー50を螺子入れ孔67,67に螺子入れていると、蓋状部材65は、ケース本体20にて支持されるロックスクリュー50によって支持されることとなる。具体的には、ロックスクリュー50は、挿通したスクリュー挿通用開口部63,63によって図示上側への移動が規制され、蓋状部材65も、このように移動が規制されるロックスクリュー50によって図示上側の移動が規制されることとなる。つまり、蓋状部材65は、スクリュー挿通用開口部63,63に挿通されたロックスクリュー50を介することによって所謂「閂構造」として機能させ、ボックス本体61(ケース本体20)に対して確実に組み付けられる。
掛止雄部68,68は、図示のようにフック状に形成され、蓋状部材65をボックス本体61に組み付けた場合に、ボックス本体61の掛止雌部64,64に引っ掛かるものである。
【0029】
次に、上記したようにロックスクリュー50に形成された雄螺子部53に対応して、スクリュー受けボックス60のボックス内に形成される雌螺子部70(71,75)について説明する。
このスクリュー受けボックス60のボックス内には、上記したロックスクリュー50に形成される雄螺子部53に対応した雌螺子部70(71,75)が形成されている。すなわち、図6および図7に示すように、スクリュー受けボックス60のボックス内には、上記したボックス本体61の下側内面に第1雌螺子部71が設けられており、蓋状部材65の上側内面に第2雌螺子部75が設けられている。これら第1雌螺子部71および第2雌螺子部75は、蓋状部材65をボックス本体61に組み付けた場合に、互いに対向するように設けられるものである。
ここで、雌螺子部70には、この雌螺子部70(71,75)に対して固定された一体化状態で形成され、ロックスクリュー50を螺子回しすることにより爪部57が当接するカエシ部72,76が設けられている。具体的には、第1雌螺子部71および第2雌螺子部75には、カエシ部72,76が形成されている。すなわち、図7に示すように、第1雌螺子部71および第2雌螺子部75のカエシ部72,76は、ロックスクリュー50を前進螺子回し(図7における右回し)した場合に、ロックスクリュー50の通過許可用テーパ面59a,59aが当たる部分を、この通過許可用テーパ面59a,59aの傾斜面状に対応して面接触するように傾斜面状に形成されている。また、第1雌螺子部71および第2雌螺子部75のカエシ部72,76は、ロックスクリュー50を後退螺子回し(図7における左回し)した場合に、ロックスクリュー50の通過規制用当接面59b,59bが当たる部分を、この通過規制用当接面59b,59bの平面状に対応して面接触するように、ロックスクリュー50の径方向に沿う平面状にて成されている。
つまり、このように爪部57とカエシ部72,76とが構成されたものとなっていると、ロックスクリュー50を右回しの前進螺子回しして爪部57をカエシ部72,76に当接させた場合には、爪部57はカエシ部72,76に対して弾性的に没するように移動してカエシ部72,76を乗り越え、ロックスクリュー50の前進螺子回しを許可するようになる。これに対して、ロックスクリュー50を左回しの後退螺子回しして、爪部57をカエシ部72,76に当接させた場合には、爪部57はカエシ部72,76に対して当接したままとなる突出状態を維持し、ロックスクリュー50の後退螺子回しを規制するようになる。
【0030】
上記のように構成された遊技機用基板ケース10によれば、次のような作用効果を奏することができる。
すなわち、この遊技機用基板ケース10によれば、ケース本体20に対するカバー体30の組付け状態を保持するロック機構40は、ロックスクリュー50とスクリュー受けボックス60とを備え、ロックスクリュー50の少なくとも中間範囲に形成された雄螺子部53とスクリュー受けボックス60のボックス内に形成された雌螺子部70とが、閉塞状態にあるスクリュー受けボックス60のボックス内にてロックスクリュー50の後退螺子回しを規制する。これによって、ロックスクリュー50の弛める方向への螺子回しを不能とするにあたっての構造を、外部に露出していない閉塞されたボックスの内部にて設けたものとすることができ、もって、不正行為を行おうとする者が、弛める方向に螺子回ししようとしても、雄螺子部53と雌螺子部70が螺合している部分に手のかけれないものとすることができ、不正行為に対する防犯性をより高めることができる。
【0031】
ところで、図8は、第1段階の係合状態にあるロックスクリュー50を示す斜視図である。図9は、第2段階の係合状態にあるロックスクリュー50を示す斜視図である。図10は、図9に示す第2段階の係合状態にあるロックスクリュー50の断面視を示す断面図である。
すなわち、カバー体30は、ケース本体20に対して、図示上側から図示下側に向かうように移動して当接させ、図3から図1に変化するように図示後側から図示前側に向かうようにスライド移動させることによって、ケース本体20に組み付けられたものとすることができる。ここで、係合端部52が係合する状態(第1段階の係合状態、図6参照)の第1係合フック部32aが、図8から図9に変化するようにカバー体30から切り取られることで、第1係合フック部32aに対する係合端部52の係合は解除される。そうすると、ケース本体20に対するカバー体30の組付け状態の保持は解除されて、管理者は、遊技機用基板ケース10の内部を確認しようと遊技機用基板ケース10を開けることができる。なお、第1係合フック部32aおよび操作保護カバー部27が、カバー体30およびケース本体20から切り取られることで、ロックスクリュー50は、新たに前進螺子回し可能となる。他方、図9および図10に示すように、このロックスクリュー50の新たな前進螺子回しによってロックスクリュー50が新たに前進螺子回し一杯状態となった場合には、ロックスクリュー50の係合端部52は、次の新たな第2係合フック部32bに対して係合する(第2段階の係合状態)。そうすると、ケース本体20に対するカバー体30の組付け状態は新たに保持されて、管理者は、内部を確認した後の遊技機用基板ケース10を再び閉じることができる。もって、この遊技機用基板ケース10によれば、管理者は、内部を確認するために、2回に亘って簡単に遊技機用基板ケース10を開け閉めすることができる。
また、この遊技機用基板ケース10によれば、ケース本体20、カバー体30、およびロック機構40は、合成樹脂にて形成されているので、遊技機用基板ケース10を廃棄する際には、溶解処理してリサイクルすることができることとなり、リサイクル性の観点から有利なものとなる。
【0032】
また、この遊技機用基板ケース10によれば、図7に示すように、ロックスクリュー50を前進螺子回しさせた場合には、カエシ部72,76に当接した爪部57は、カエシ部72,76に対して弾性的に没するように移動してカエシ部72,76を乗り越え、ロックスクリュー50の前進螺子回しを許可することとなる。これに対して、ロックスクリュー50を後退螺子回しした場合には、カエシ部72,76に当接した爪部57は、カエシ部72,76に対して当接したままとなる突出状態を維持し、ロックスクリュー50の後退螺子回しを規制することとなる。
これによって、ロックスクリュー50は、先端側に配設された係合端部52をカバー体30の係合フック部32(32a,32b)に係合させようと前進螺子回しすることはできるが、この係合を解除しようと後退螺子回しすることはできないものとなる。したがって、ロックスクリュー50は、一度締結させると弛める方向への螺子回しが不能となるので、この遊技機用基板ケース10を開けるには少なくとも封緘されている個所を破壊することを要することとなる。もって、管理者は、遊技機用基板ケース10を開けた痕跡から、不正行為があった事を直ぐに判別することができるようになる。
また、この遊技機用基板ケース10によれば、爪部57は雄螺子部53に対して揺動可能に一体化状態で形成されており、カエシ部72,76は雌螺子部71,75に対して固定された一体化状態で形成されているので、爪部57は雄螺子部53の一体成形により製造でき、カエシ部72,76は雌螺子部71,75の一体成形により製造でき、製造上において有利となる。
【0033】
また、この遊技機用基板ケース10によれば、ロック機構40は1セットだけをケース本体20の長手方向の側部に沿って設けられているので、上記したロックスクリュー50およびスクリュー受けボックス60に関して、前進後退方向の長さを最長化させて設計することができる。これによって、ロックスクリュー50の少なくとも中間範囲に形成される雄螺子部53と、スクリュー受けボックス60のボックス内に形成される雌螺子部70とを最長化させて設計することができるので、このロック機構40としての機能を、より効果的に発揮することができる。
この遊技機用基板ケース10によれば、ロックスクリュー50を後退螺子回しした場合に、雄螺子部53と雌螺子部70(71,75)とによるロックスクリュー50の後退螺子回しの規制を受けて、首部51aは雄螺子部53に対する連結が解除されるように折れることとなっているので、この首部51aと一体的に成形される操作部本体51bも雄螺子部53から外れることとなり、ロックスクリュー50の後退螺子回ししようとしても後退螺子回しすることができなくなる。これによって、不正行為を行おうとする者が、ロックスクリュー50を弛める方向に螺子回ししようとしても、操作部51が外れてしまって螺子回しすることができず、不正行為に対しての防犯性をより高めることができる。
【0034】
なお、本発明に係る遊技機用基板ケースにあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜に変更することができる。
例えば、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10にあっては、ケース本体20、カバー体30、およびロック機構40は、耐久性や耐衝撃性等に優れた例えばポリカーボネートのみで形成されるものであったが、本発明に係る遊技機用基板ケースは、これに限定されることなく、適宜の合成樹脂が選択されるものであってもよい。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10における係合フック部32(32a,32b)は、ロックスクリュー50の前進方向に2つ並べられるようにしてカバー体30に一体的に成形されるようにして設けられるものであった。しかしながら、本発明に係る遊技機用基板ケースの係合フック部は、これに限定されることなく、螺子部材(ロックスクリュー50)の前進方向に、適宜の数が並べられるようにして設けられるものであってよい。また、係合フック部がカバー体から切り取られる構成としては、上記した工具によるものではなく、例えば手で切り取られるような構成であってもよい。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10における2つの爪部57,57は、ロックスクリュー50の前進螺子回しとなる右回しに限って揺動可能に弾性変形し易く構成するものであった。しかしながら、本発明に係る遊技機用基板ケースの爪部は、これに限定されることなく、螺子部材を前進螺子回ししてカエシ部に当接させた場合に限ってカエシ部に対して弾性的に没するように移動してカエシ部を乗り越えて螺子部材の前進螺子回しを許可するようになっており、螺子部材を後退螺子回しして爪部をカエシ部に当接させた場合にはカエシ部に対して当接したままとなる突出状態を維持して螺子部材の後退螺子回しを規制するようになっていれば、例えば弾性部材を介して爪部を配設するなどの適宜の態様を採用することができる。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10における2つの爪部57,57は、雄螺子部53に対して設けられるものであり、カエシ部72,76は、雌螺子部71,75に対して設けられるものであった。しかしながら、本発明に係る遊技機用基板ケースの爪部およびカエシ部は、これに限定されることなく、例えば、爪部は雌螺子部に対して設けられるものであり、カエシ部は雄螺子部に対して設けられるものであってもよい。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10におけるロック機構40は、1セットだけをケース本体20の長手方向の側部に沿って設けられるものであった。しかしながら、本発明に係る遊技機用基板ケースにおけるロック機構としては、これに限定されることなく、例えば短手方向の側部に沿って1セット設けられるものであってもよく、適宜の側部に沿って設けられるものであってもよい。また、遊技機用基板ケース10に設けられるロック機構40は、遊技機用基板ケース10に対して1セットに限られず、2セットや3セット等の複数セット設けられるものであってもよい。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10における首部51aは、雄螺子部53や操作部本体51bに比して、回転に抗する応力に対してポキリと折れてしまうような破壊され易いように形成されるものであった。しかしながら、本発明に係る遊技機用基板ケースにおける首部は、これに限定されることなく、例えば雄螺子部に対して「逆螺子構造」によって連結するなど、螺子部材を後退螺子回しした場合に、螺子部材の後退螺子回しの規制を受けて雄螺子部に対する連結が解除されるようになるものであれば、適宜の構成を選択することができる。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10における操作部本体51bは、首部51aの基端側にツマミ形状を有して首部51aと一体的に成形されるものであった。しかしながら、本発明に係る遊技機用基板ケースにおける操作部本体としては、これに限定されることなく、例えばプラスドライバやマイナスドライバ等のドライバ工具を用いて操作するように構成されるものであってもよく、適宜の構成を選択することができる。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10におけるカバー体30は、図3に示すように図示上側から図示下側に向かうように移動して当接させ、図3から図1に変化するように図示後側から図示前側に向かうようにスライド移動させることによって、ケース本体20に組み付けられるものであった。しかしながら、カバー体30のケース本体20に対する組付けとしては、これに限定されることなく、例えば、上記した実施形態とは異なる方向にスライド移動させて組付けるようなものであってもよい。つまり、嵌合孔22と、これに対応する嵌合部31とは、ケース本体20およびカバー体30に対して適宜の位置方向を選択して配設可能であり、この嵌合構造(嵌合孔22と嵌合部31との嵌め合い構造)にしたがって、カバー体30はケース本体20に対して組み付けられるものであってよい。なお、この際の係合フック部を含めたロック機構は、この嵌め合いによって成立するケース本体に対するカバー体の組付け状態を保持するように、遊技機用基板ケースに対して設けられるものとなる。
また、上記した実施の形態における遊技機用基板ケース10におけるスクリュー受けボックス60の蓋状部材65は、図2に示すように、図示上側を開口させたボックス本体61に対して、図示上側から図示下側に向かって組み付けられるものであった。しかしながら、ケース本体20に一体成形されたボックス本体61に対する蓋状部材65の組付け方向としては、例えば図示前側を開口させたボックス本体61に対して図示前側から図示後側に向かって組み付けられるものであってもよい。また、スクリュー受けボックス60のボックス内に形成される雌螺子部としては、これに対応して形成されるものであればよく、上記した例に限定されることなく、適宜ボックス内にて形成されるものであればよい。
【符号の説明】
【0035】
10 遊技機用基板ケース
20 ケース本体
21 基板収容部
22 嵌合孔
25 スクリュー収納部
26 係合フック収容部
27 操作保護カバー部
27a,27b 囲い壁
30 カバー体
31 嵌合部
32a(32) 第1係合フック部
32b(32) 第2係合フック部
40 ロック機構
50 ロックスクリュー(螺子部材)
51 操作部
51a 首部
51b 操作部本体
52 係合端部
53 雄螺子部
55 爪機構
56 貫通孔
56a 開口部
56b 内壁面
57 爪部
58 係止端部
59a 通過許可用テーパ面
59b 通過規制用当接面
60 スクリュー受けボックス(螺子受けボックス)
61 ボックス本体
62 開口個所
63 スクリュー挿通用開口部
64 掛止雌部
65 蓋状部材
66 蓋本体
67 螺子入れ孔
68 掛止雄部
70 雌螺子部
71 第1雌螺子部
75 第2雌螺子部
72,76 カエシ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ遊技機やパチスロ遊技機等の遊技機を制御する制御基板を収容して、該遊技機内部に設置される遊技機用基板ケースであって、
前記制御基板を収容する基板収容部が設けられたケース本体と、該基板収容部に該制御基板を収容した状態で該ケース本体に組み付けられて密封構造とするカバー体と、該ケース本体に対する該カバー体の組付け状態を保持するロック機構とを備え、
前記ロック機構は、雄螺子部が少なくとも中間範囲に形成され且つ前記ケース本体側にて支持される螺子部材と、該雄螺子部に対応する雌螺子部がボックス内に形成された螺子受けボックスと、前記カバー体に一体的に設けられた係合フック部とを備え、
前記螺子部材は、基端側に該螺子部材を螺子回しするための操作部が設けられ、且つ先端側に前進螺子回し一杯状態で前記係合フック部と係合し該カバー体の前記ケース本体に対する組付け状態を保持する係合端部が設けられており、
前記螺子受けボックスは、前記ケース本体に一体的に設けられたボックス本体と、該ボックス本体の開口個所を閉塞するように該ボックス本体に対して組み付けられる蓋状部材とを備え、
前記螺子部材の少なくとも中間範囲に形成された前記雄螺子部と、前記螺子受けボックスのボックス内に形成された前記雌螺子部とは、前記螺子部材の前進螺子回しのみを許可し、且つ該螺子部材の後退螺子回しを規制するように構成されていることを特徴とする遊技機用基板ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機用基板ケースにおいて、
前記ケース本体、前記カバー体、および前記ロック機構は、合成樹脂にて形成されており、
前記係合フック部は、前記螺子部材の前進方向に複数並べられて前記カバー体から切取り可能に設けられており、
前記係合端部が係合している状態の前記係合フック部は、前記カバー体から切り取られることによって、該係合端部の係合を解除して前記ケース本体に対する前記カバー体の組付け状態の保持を解除するとともに、前記螺子部材の新たな前進螺子回しも可能とするようになっており、
前記螺子部材の前記係合端部は、該螺子部材の新たな前進螺子回しによって該螺子部材が新たに前進螺子回し一杯状態となった場合に、複数並べられて設けられる新たな前記係合フック部に対して係合して前記ケース本体に対する前記カバー体の組付け状態を新たに保持することを特徴とする遊技機用基板ケース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の遊技機用基板ケースにおいて、
前記雄螺子部または前記雌螺子部の何れか一方には、螺子山から突出する爪部が設けられており、
前記雄螺子部または前記雌螺子部の何れか他方には、前記螺子部材を螺子回しすることにより前記爪部が当接するカエシ部が設けられており、
前記螺子部材を前進螺子回しして前記爪部を前記カエシ部に当接させた場合には、前記爪部は前記カエシ部に対して弾性的に没するように移動して該カエシ部を乗り越え、前記螺子部材の前進螺子回しを許可するようになっており、
前記螺子部材を後退螺子回しして前記爪部を前記カエシ部に当接させた場合には、前記爪部は前記カエシ部に対して当接したままとなる突出状態を維持し、前記螺子部材の後退螺子回しを規制するようになっていることを特徴とする遊技機用基板ケース。
【請求項4】
請求項3に記載の遊技機用基板ケースにおいて、
前記爪部は、前記雄螺子部に対して揺動可能に一体化状態で形成されており、
前記カエシ部は、前記雌螺子部に対して固定された一体化状態で形成されていることを特徴とする遊技機用基板ケース。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の遊技機用基板ケースにおいて、
前記ロック機構は、1セットだけを前記ケース本体の長手方向の側部に沿って設けられていることを特徴とする遊技機用基板ケース。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の遊技機用基板ケースにおいて、
前記螺子部材の前記操作部は、先端側が前記雄螺子部の基端側と一体的に連結される首部と、該首部の基端側にツマミ形状を有して該首部と一体的に成形される操作部本体とを備え、
前記首部は、前記螺子部材を後退螺子回しした場合に、前記雄螺子部と前記雌螺子部とによる該螺子部材の後退螺子回しの規制を受けて、前記雄螺子部に対する連結が解除されるようになっていることを特徴とする遊技機基板ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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