説明

遊技機

【課題】発射位置に2個以上の遊技球が待機することを確実に防止すると共に、発射位置に待機する遊技球が安定した状態で発射動作を行える遊技機を提供する。
【解決手段】発射位置20aにて待機していた遊技球P1を弾発した後の弾発部12aが弾発位置にあるとき、発射レールユニット20の変換部材23は発射杵123に押圧されて回収口15を遮蔽するように延出する第1状態となり、球送り装置の球送り部材55により遊技球P2が供給され、パルスモータ122の定速回転に伴って弾発部12aが弾発準備位置へ引き戻されて行くと、コイルスプリング24の弾性により変換部材23が反発射方向へ延出する第2状態となって回収口15が開放され、ファール球を回収可能な状態とし、遊技球P2が発射位置20a上で安定するのに十分な時間が経過した後に弾発部12aが弾発準備位置から勢い良く弾発位置へ到達して、遊技球P2が安定発射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射に供する遊技球が待機する発射位置が傾斜下部に設けられ、発射方向へ向けて上り傾斜する発射レールと、前記発射レールの発射位置に待機する遊技球を、弾発位置と弾発準備位置とを往復移動する弾発部によって遊技領域へ発射する発射装置と、前記発射装置の発射動作に連動して動作し、発射位置に待機する遊技球を弾発するように弾発部が弾発位置に移動した直後に、球取込流路より取り込んだ遊技球を発射位置に1個宛て送出する球送り装置と、前記発射レールの発射方向端側に形成され、遊技領域へ到達できずにファールとなった遊技球を回収する回収口と、を備え、前記発射レールは、発射位置に遊技球が1個のみ待機できるレール長とした遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技球を用いた弾発遊技を行える遊技機においては、球供給皿に貯留された遊技球を球送り装置により1個宛て発射位置に供給し、発射位置にて待機する遊技球を発射装置の弾発部により弾発して発射勢を与え、発射レールおよびガイドレールを経て遊技領域に到達するように構成されている。なお、弾発遊技においては、遊技球の発射勢を適宜に調整することで、遊技領域における遊技球の流下経路が様々に変化することから、遊技者は発射装置の弾発力を適宜調整するが、この調整過程等で発射勢が弱すぎると、発射球が遊技領域に到達できないで、ガイドレールを逆流下して戻る、いわゆるファール球となってしまうことがある。
【0003】
このようなファール球がガイドレールもしくは発射レール上にあると、後続の遊技球を発射する際の障害となるので、発射レールとガイドレールとの境界あるいは発射レールの途中等に回収口を開口させておき、逆流下してきたファール球を回収口からファール球導出路へ導き出す構造を採用した遊技機が広く用いられている。
【0004】
しかし、発射された遊技球の発射勢が極端に弱く、回収口にすら到達しなかった場合には、ファール球導出路から導出されないで発射レール上に残留してしまうため、2個(あるいはそれ以上)の遊技球を発射装置により弾発するのと同じこととなり、発射装置による適切な発射動作が行えない。
【0005】
そこで、複数の遊技球が打球発射位置およびその近傍に待機することのないよう、遊技球を1個のみ載置できる長さに設定されたレール面上を打球発射位置とし、レール面の一方端から発射杆の槌を突入させ、レール面の他方端にファール球を取り込む通路を形成することにより、打球発射位置には1個の遊技球しか載らないものとし、打球発射位置にて弾発された遊技球はファール球取込通路を越えて発射されるか、ファール球取込通路から取り込まれて下受皿に戻される構造の球レールを採用したパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−182030号公報
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のパチンコ機においては、球送り装置および発射装置の構造上、遊技球が打球発射位置に供給される際には打球発射位置に発射杆の槌が待機しているため、弾発動作直後で微振動している発射杆に遊技球が当たって弾かれ、ファール球取込用の通路へ落ちてしまい、打球発射位置に遊技球が待機していないために発射動作が実行されないという不具合が生ずることもあった。
【0008】
このような不具合を回避するために、発射杆の槌が打球発射位置から退いた後に遊技球を供給する方法が考えられるが、遊技球を打球発射位置へ供給するタイミングを遅らせると、遊技球が発射位置に安定して待機するまでの時間が短くなり、未だ微振動しているときに発射杆の槌で打ち出されてしまうことで、いわゆるムラ跳びの原因になる可能性もあり、効果的な回避方法とは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、発射位置に2個以上の遊技球が待機することを確実に防止すると共に、発射位置に待機する遊技球が安定した状態で発射動作を行える遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、発射に供する遊技球が待機する発射位置が傾斜下部に設けられ、発射方向へ向けて上り傾斜する発射レールと、前記発射レールの発射位置に待機する遊技球を、弾発位置と弾発準備位置とを往復移動する弾発部によって遊技領域へ発射する発射装置と、前記発射装置の発射動作に連動して動作し、発射位置に待機する遊技球を弾発するように弾発部が弾発位置に移動した直後に、球取込流路より取り込んだ遊技球を発射位置に1個宛て送出する球送り装置と、前記発射レールの発射方向端側に形成され、遊技領域へ到達できずにファールとなった遊技球を回収する回収口と、を備え、前記発射レールは、発射位置に遊技球が1個のみ待機できるレール長とした遊技機において、前記発射レールの発射方向端から前記回収口に延出する第1状態と、前記回収口に延出しない第2状態とに変換可能な変換部材と、前記変換部材を、第1状態と第2状態とに変換動作させる変換部材動作手段と、を備え、前記変換部材動作手段は、前記発射装置の弾発部が弾発位置にあるとき変換部材を第1状態とし、弾発部が弾発位置から弾発準備位置へ移動することにより変換部材を第1状態から第2状態へ変換させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技機において、前記変換部材は、前記発射レールよりも長尺に形成すると共に、前記発射レールの下面と該発射レールの下方に位置する取付部材の上面との間に摺動可能に保持され、発射レールの発射方向端より変換部材を延出させることで第1状態を、発射レールの反発射方向端より変換部材を延出させることで第2状態を各々生ぜしめ、前記変換部材動作手段は、前記変換部材の反発射方向端部に形成した押圧受部と、前記発射装置の弾発部が発射位置へ移動すると前記押圧受部を押圧して第1状態となるまで変換部材を押圧し、少なくとも弾発部が弾発準備位置へ移動したときには前記押圧受部を押圧しない変換押圧部と、前記変換部材を発射レールの反発射方向端より延出させる第2状態を保持するように付勢するが、前記変換押圧部から変換部材の押圧受部に加わる押圧力には屈して、変換部材が第1状態に押圧されることを阻害しない付勢手段と、で構成したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の遊技機において、前記球送り装置により送出された遊技球は、前記第1状態にある変換部材上に落下させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る遊技機によれば、発射装置による発射動作が行われて弾発部が弾発位置にあるとき、変換部材動作手段が変換部材を第1状態に変換動作させるので、球送り装置により発射位置に送出された遊技球が弾発部に衝接して弾かれたとしても、変換部材が回収口に延出しているため、未だ弾発されていない遊技球が回収口から回収されることを効果的に防止できる。また、変換部材が回収口に延出している第1状態のとき、発射勢の弱かった先行する遊技球が残留していたり、球送り装置の不良等に起因して複数の遊技球が供給されたりした場合でも、弾発部が発射準備位置へ移動することに伴って変換部材が回収口に延出しない第2状態に変換するので、発射レールの発射位置には1個の遊技球のみが待機して、他の遊技球は回収口から回収されることとなり、発射装置による適正な発射動作を確実に行うことができる。しかも、球送り装置による遊技球の送出は、弾発部が弾発位置にあるときに行うことで、弾発部が弾発準備位置へ移動した後に弾発位置へ戻って遊技球を弾発するまでに十分な時間を確保し、遊技球が発射位置で安定したところで発射するので、ムラ跳びが問題となることもない。
【0014】
また、請求項2に係る遊技機によれば、変換部材は、発射レールよりも長尺に形成すると共に、発射レールの下面と該発射レールの下方に位置する取付部材の上面との間に摺動可能に保持され、発射レールの発射方向端より変換部材を延出させることで第1状態を、発射レールの反発射方向端より変換部材を延出させることで第2状態を各々生ぜしめ、変換部材動作手段は、変換部材の反発射方向端部に形成した押圧受部と、発射装置の弾発部が発射位置へ移動すると押圧受部を押圧して第1状態となるまで変換部材を押圧し、少なくとも弾発部が弾発準備位置へ移動したときには押圧受部を押圧しない変換押圧部と、変換部材を発射レールの反発射方向端より延出させる第2状態を保持するように付勢するが、変換押圧部から変換部材の押圧受部に加わる押圧力には屈して、変換部材が第1状態に押圧されることを阻害しない付勢手段と、で構成したので、弾発部の往復動作に基づく発射動作と変換部材の変換動作との連係動作を確実ならしめ、且つ、変換部材と変換部材動作手段を簡単な構造で実現できる。
【0015】
また、請求項3に係る遊技機によれば、球送り装置により送出された遊技球は、第1状態にある変換部材上に落下させるようにしたので、弾発位置の弾発部にぶつかる可能性のある発射位置よりも適宜傾斜上方位置に供給された遊技球は、変換部材から発射レールへ流下して発射位置に至ることとなる。よって、球送り装置により送出された遊技球が発射レールに落下する前に弾発部にぶつかって弾かれてしまい、発射位置で安定するまでに長時間を要してムラ跳びを起こす原因となったり、タイミング悪く変換部材が第2状態に変換したときに回収口から回収されてしまうような不具合を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る遊技機の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1に示すのは、弾球遊技を行える遊技機1の正面図で、遊技機本体1aの側方に遊技球を貸し出すためのプリペイドカードを処理するカードユニット1bを備えるものとしてある。なお、遊技機本体1aには遊技に関連した各種機能(後に詳述)を付加し、カードユニット1bにはプリペイドカード(所定の金額で予め販売される弾球遊技用のカードであって、通貨と等価な有価データを記憶させたものをいう)の使用を可能ならしめるカード制御機能や球貸制御機能等を付加してある。
【0018】
遊技機本体1aは、機枠2の前面側に額縁状の前面枠3を開閉可能に設け、該前面枠3に開設した窓部の前面側にガラス枠4と開閉パネル5を開閉可能に軸着し、窓部の背面側には窓部を塞ぐようにして遊技盤6を装着し、前面枠3の下部前面側に球受皿7と発射操作ハンドル8などを取り付けてある。
【0019】
また、開閉パネル5には遊技球貯留手段として球供給皿9を設け、該球供給皿9より打球発射機構(後に詳述)へ供給された遊技球が弾発され、ガイドレール10を介して遊技盤6の遊技部6a(主として、ガラス枠4の装飾部材4aにより覆われていない遊技窓部4bから遊技者が視認できる状態になっている領域)へ到達する。なお、遊技部6aには、障害釘6bが植設されると共に、変動表示ゲームを行うための変動表示装置6cや球の入賞状態が変化する変動入賞装置6cといった大型の遊技装置のほか、種々の入賞口6e等が配置され、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球は、アウト口6fから回収される。
【0020】
図2に示すのは、遊技機本体1aにおいて、機枠2に対して前面枠3を開き、この前面枠3に対してガラス枠4と開閉パネル5を開いた状態を示すものであり、本図2においては、前面枠3が備える遊技盤収納フレーム11の遊技盤収納空部11aから遊技盤6を取り除いてある。この遊技盤収納フレーム11の下部一側(本実施形態においては、前面枠3の開放側)に打球発射機構(後に詳述)を設けてあり、開閉パネル5に設けた球送り装置51の球供給口52から発射用の遊技球が1個宛て供給されるのである。
【0021】
図3は、球送り装置51が設けられる開閉パネル5の裏面側を示す。球供給皿9に貯留された遊技球は、球送り装置51のカバー部材53内に形成された球供給路54へ整列状に供給され、球送り部材55へ誘導される。この球送り部材55には、球供給路54から流下してくる遊技球を1個のみ受け入れ得る球受け凹部55aを備え、軸支部55bを回動中芯として、球受け凹部55aが球供給路54に臨む球受け位置と球受け凹部55aが球供給口52に臨む球供給位置とに揺動可能な構造である。
【0022】
なお、本構成例の球送り部材55の下面には、作動受部55cを形成し、この作動受部55cに対して上方へ押し上げる力が作用していないときには球受け凹部55aが球供給位置にあるが、作動受部55cに対して上方へ押し上げる力が作用すると、球送り部材55が上方へ所定角度回転した場合には球受け凹部55aが球受け位置に変換し、球供給路54の最先端で待機していた遊技球Pが球受け凹部55aに受け入れられる。そして、作動受部55cに対して上方へ押し上げる力が無くなると、球送り部材55は自重により下方へ所定角度回転し、球受け凹部55aが球供給口52に臨む球供給位置に戻り、遊技球Pは自重により球供給口52から打球発射機構へ流下して行く。
【0023】
上述した球送り装置51の球供給口52から1個宛て供給される遊技球を弾発する打球発射機構は、主として発射レールユニット20(図4,図6,図7を参照)と発射装置12(図5を参照)とから構成する。
【0024】
遊技盤収納フレーム11の前面側に設けられる発射レールユニット20には、開閉パネル5の球供給口52から供給される遊技球が待機する発射位置20aが傾斜下部に設けられ、発射レール部材21の上面(本構成例では、下方に浅く窪む略V字型の断面形状として球の安定性を良くした面)である発射レールは発射方向へ向けて上り傾斜する。発射レールユニット20の発射位置20aに待機する遊技球は、発射装置12の弾発部12a(弾発位置と弾発準備位置とを往復移動する部位)が当たることで適宜な発射勢を受け、発射位置20aから飛び出し、中継レール13および上記遊技盤6のガイドレール10を経て遊技部6aへ到達する。
【0025】
発射装置12は、図5に示すように、取付ベース121に取り付けた駆動源たるパルスモータ122の回転力に基づいて発射杵123を揺動動作させることで、発射杆123の揺動側先端部に設けた弾発部12aが弾発位置から弾発待機位置へ徐々に移動した後、勢い良く弾発位置へ戻る動作が繰り返される。上記発射杵123は、例えば金属の板材を加工して形成したもので、回動軸から少なくとも一方向に延出する柄部の先端における発射レールユニット20に向う側に弾発部12aを形成したものである。
【0026】
なお、弾発部12aが弾発位置に到達した際には、緩衝作用を期せる弾性ゴム等より構成した発射杵ストッパ124に発射杆123の柄部前縁(発射レールユニット20に臨む側縁)適所が当接することにより、一定の弾発位置にて止まると共に、発射杵123の柄部前縁適所が発射レールユニット20にも当接することとなり、この発射レールユニット20に当接する部位を変換押圧部123aとする。また、発射操作ハンドル8の回転量に応じて動作するバネ機構125によって、弾発時の発射勢を調整する。
【0027】
上記発射装置12の発射杵123の適所には作用部126を設けてあり、この作用部126を連動部材14の連動脚部141に係合することで、発射杵123の揺動動作に応じて連動脚部141も回動軸142に対して往復回動し、連動脚部141と一体的に回動する球送り部材作動部143が上向き或いは下向きに回転することとなる。すなわち、この球送り部材作動部143の回動力を、上記球送り装置51の球送り部材55の下面である作動受部55cに作用させることで、球送り部材55の球受け凹部55aを球受け位置と球供給位置へ相互に変換することができる。なお、発射杵123の揺動動作と球送り部材55の変換動作との連係については後述する。
【0028】
上記発射レールユニット20により形成される発射レールの発射方向端と、中継レール13との間には回収口15を形成し、発射勢が足りなかったために遊技部6aへ到達できずに中継レール13を戻り流下してファールとなった遊技球を回収する。回収口15から回収されたファール球は、球受皿7に連通するファール球誘導路16を経て遊技者に戻される。
【0029】
本実施形態においては、上記回収口15の直上方に球送り装置51の球供給口52が開口するものとしてあり(図4中、一点鎖線で示す)、球送り装置51から送り出された遊技球は発射レールユニット20の発射レール上には供給されない構造とした。以下、この構造で発射球を受け入れ可能な発射レールユニット20の詳細を図6および図7に基づいて説明する。
【0030】
発射レールユニット20の発射レール部材21は、板材を屈曲加工して形成したもので、発射レールとして機能する発射レール構成部21aの両側から下方へ延出する側板部21b,21bを有し、レール面21aは遊技球が1個のみ待機できるレール長に設定する。なお、好ましいレール長としては球径の1.5倍程度であり、レール面が上方傾斜するように配置される発射レールユニット20においては、1つの遊技球が発射位置20aに待機している状態で、2個目の遊技球を発射レール上に載せても、その重心位置は発射レール部材21の前端よりも前側(回収口15側)にあるため、2個目の遊技球はレール上に止まることはなく、回収口15へ自重落下して行くのである。
【0031】
上記発射レール部材21の側板部21b,21b間には取付部材22を介挿し、ビス等の止着手段により遊技盤収納フレーム11に固着される。また、取付部材22の上面部22aと発射レール部材21の発射レール構成部21aの下面との間には適宜な空部が形成されるものとし、この空部にて変換部材23が摺動可能に保持される。この変換部材23は、発射レール部材21のレール長よりも長尺とし、変換部材23が発射レール部材21の発射方向端から回収口15に延出する第1状態(図6(b)を参照)と、回収口15に延出しない第2状態(図6(a)を参照)とに変換可能とする。
【0032】
より具体的には、変換部材23の発射方向端に形成した前側当接部23aが中継レール13の後端に当着して、回収口15を完全に閉塞した状態が第1状態であり、変換部材23の前側当接部23aが取付部材22の前面に当着して、回収口15をほぼ全開させた状態が第2状態である。また、第1状態においては、変換部材23の反発射方向端に形成した後側当接部23bが取付部材22の後面にほぼ当着した状態となり、第2状態においては、発射レール部材21の反発射方向端より延出する変換部材23の後側当接部23bが取付部材22の後面より離隔した状態となる。
【0033】
この変換部材23が常態においては第2状態を保持するように付勢する付勢手段として、変換部材23における後側当接部23bの前面と取付部材22の後面との間にコイルスプリング24を介挿してある。従って、コイルスプリング24の伸張力に抗して後側当接部23bを発射レール部材21の反発射方向端へ押圧する力(図6(a)中、白抜き矢印で示す方向の力)が作用すると、変換部材23は第1状態に変換し、この力が消失すると変換部材23はコイルスプリング24の作用により第2状態に復帰する。
【0034】
しかして、本実施形態においては、変換部材23を第1状態へ変換する押圧力として、弾発部12aが弾発準備位置から弾発位置へ移動する際の発射杵123の回動力を用いるものとし、コイルスプリング24としては、発射杆123の回動により変換押圧部123aが押圧受部としての後側当接部23bを押圧する押圧力に屈し、変換部材23が第2状態から第1状態に変換することを阻害しない程度の反発特性を有するものを採用する。すなわち、発射装置12の発射杵123、該発射杵123の変換押圧部123aから押圧力を受ける変換部材23の後側当接部23b、コイルスプリング24等が協働することで、変換部材23を第1状態と第2状態とに変換動作させる変換部材動作手段としての機能が実現されるのである。
【0035】
なお、発射杆123の変換押圧部123aから押圧力を受ける押圧受部として機能する変換部材23の後側当接部23bの後面には、有弾性素材よりなる緩衝部材25を設け、この緩衝部材25を介して間接的に後側当接部23bを押圧するものとしたが、変換押圧部123aに緩衝部材を設けて後側当接部23bに押圧力を与えるようにしても良いし、後側当接部23b自体を有弾性素材で形成しても良い。また、コイルスプリング24は、取付部材22の後面に設けたコイルスプリング取付凹部22bに取り付けるものとし、変換部材23が第1状態に変換されて、変換部材23の後側当接部23bの前面が取付部材22の後面に当着する際には、コイルスプリング24はコイルスプリング取付凹部22b内に圧縮収納された状態となるような構成としたが、これに限らず、後側当接部23bの後面を牽引して第2状態に付勢する等、公知既存の付勢手法を適宜に採用して構わない。
【0036】
次に、発射レールユニット20における変換部材23の状態変換と、発射装置12の発射動作と、球送り装置51の球送り動作との連携を、図8に基づいて説明する。
【0037】
先ず、弾発部12aが発射位置20aに待機していた最先の遊技球P1を弾発し、遊技球P1が中継レール13を経て発射された直後である図8(a)の常態においては、連動部材14の連動脚部141は発射杵123の作用部126から後方回動させる力を受けていないので、球送り部材作動部143が球送り部材55を上方回動させる力は作用しておらず、球送り部材55は球受け凹部55aが球供給口52に臨む球供給位置に変換し、球受け凹部55aに受け入れた後続の遊技球P2を球供給口52から供給する。
【0038】
このように、弾発部12aが弾発位置にあるとき、発射杵123の変換押圧部123aがコイルスプリング24の伸張力に抗して後側当接部23bを押圧することで、発射レールユニット20の変換部材23は第1状態に変換しているので、回収口15は変換部材23により遮蔽されており、球供給口52より供給された遊技球は変換部材23上に落下して発射位置20aへ流下して行く。
【0039】
なお、弾発部12aが弾発位置にあるとき、遊技球P2は本来の発射位置20aまで流下して行くことはできず、弾発部12aの先端に当たった状態で止まったり、微振動している弾発部12aに弾かれたりする可能性もあるが、発射杵123の柄部に形成した変換押圧部123aにより後側当接部23bが押圧されて第2状態に変換された変換部材23が回収口15を遮蔽しているので、遊技球P2は回収口15に取り込まれることはない。すなわち、弾発部12aを設けた発射杵123に変換押圧部123aを直接形成する構造とすれば、弾発部が弾発位置にあるとき、確実に変換部材23を第1状態に変換させることができるので、簡易な構造により、発射装置12による弾発動作と発射レールユニット20における変換部材23の状態変換動作との連携を確実に実現できるという利点がある。
【0040】
その後、パルスモータ122のモータ軸122aが所定方向(図中、A方向)へ定速回転を続けると、モータ軸122aに取り付けられたカム17が、発射杵123と一体的に設けたカム当接部18に当接し、カム当接部18を押し下げる方向(図8(b)中、B1方向)へ押圧し、支持軸123bに対して発射杵123の上端側にある弾発部12aを後方へ退かせる。これにより、弾発部12aが弾発位置から退き、遊技球P2は発射位置20aに待機するようになると共に、発射杵123の変換押圧部123aが発射レール部材21の反発射方向端から遠ざかることで、コイルスプリング24の伸張力により変換部材23の反発射方向の延出量が増えて第2状態へと変換されてゆく。
【0041】
すなわち、本実施形態に係る遊技機1においては、変換部材動作手段は、発射装置12の弾発部12aが弾発位置にあるとき変換部材23を第1状態とし、弾発部12aが弾発位置から弾発準備位置へ移動することにより変換部材23を第1状態から第2状態へ変換させるようにしたので、例えば、直前に弾発された遊技球P1の発射勢が弱かったために、遊技球P1がファール球となって中継レール13を逆流下してきたとしても、発射位置には遊技球P2のみが待機することとなり、ファール球となった遊技球P1は回収口15から回収されるので、発射装置12による適正な発射動作を確実に行うことができる。
【0042】
無論、球送り装置51の不具合等に起因して複数の遊技球が一度に発射レールユニット20上へ供給された場合でも、1個の遊技球のみが発射位置20a上に待機し、残りの遊技球は全て回収口15から回収されるので、発射装置12による適正な発射動作を確実に行うことができる。しかも、球送り装置51による遊技球の送出は、弾発部12aが弾発位置にあるときに行うことで、弾発部12aが弾発準備位置へ移動した後に弾発位置へ戻って遊技球を弾発するまでに十分な時間を確保し、遊技球が発射位置20aで安定したところで発射するので、ムラ跳びが問題となることもない。
【0043】
なお、本実施形態においては、図8(b)に示すように、弾発部12aが弾発位置から最も遠ざかった弾発準備位置へ到達するよりも前に、変換部材23が第2状態に変換する(コイルスプリング24が最も伸びきる)ものとしたが、これに限らず、少なくとも、弾発部12aが弾発準備位置にあるときに発射杵123の変換押圧部123aが変換部材23の後側当接部23bを押圧しない状態(変換部材23が第2状態となっている状態)を生ぜしめる構造であれば良い。
【0044】
一方、弾発部12aが弾発位置から弾発準備位置へと移動して行くとき、発射杵123の回動動作に伴って、作用部126が連動部材14の連動脚部141を反発射方向へ引き込んで行くので、球送り部材作動部143が球送り部材55の作動受部55cを徐々に押し上げて行き、カム17がカム当接部18から脱するよりも適宜手前で、球送り部材55の球受け凹部55aが球供給路54にて待機している遊技球P3を受け入れる球受入位置に到達する(図8(c)を参照)。
【0045】
そして、更にパルスモータ122が所定方向(図中、A方向)へ定速回転を続け、弾発部12aが弾発位置から最も遠ざかった弾発準備位置に達すると、カム17がカム当接部18から脱し、発射杵123はバネ機構125により調整された付勢力で戻り回動し、弾発部12aが弾発位置20aにて待機する遊技球P2を勢い良く弾発すると共に、発射杵123の弾発部123aが変換部材23の後側当接部23bを押圧して変換部材23を第1状態に変換させ、球送り部材作動部143が球送り部材55を上方回動させる力が消失することで、球送り部材55は球受け凹部55aが球供給口52に臨む球供給位置に変換し、球受け凹部55aに受け入れた後続の遊技球P3を球供給口52から供給し、この遊技球P3は第1状態に変換された変換部材23上に落下する。
【0046】
以上本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は全て例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。
【0047】
例えば、変換部材23が第1状態において回収口15を完全に閉塞しない構造としても良いし、球送り装置51の球供給口52は発射レール上に開口する構造としても良い。また、発射装置の構造も、発射杵を往復揺動させるものに限らず、ソレノイドのプランジャ先端に弾発部を形成し、プランジャの動作を弾発力として用いる構造でも良い。斯くする場合には、変換部材23を第2状態から第1状態に変換させる押圧力を与える変換押圧部を別途設ける必要がある。
【0048】
また、変換部材23を弾発動作と連動させて状態変換させる変換部材動作手段の構造も本実施形態に限定されるものではなく、公知既存の連係動作手法を適用して構わない。例えば、発射装置12の動作に連動して動作する連動部材14の動きに連動させて変換部材23を第1状態と第2状態に変換させるようにしても良いし、パルスモータ122のモータ軸122aに取り付けられたカム17の回転に連動させて変換部材23を第1状態と第2状態に変換させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係る遊技機の正面図である。
【図2】遊技機本体(前面枠、ガラス枠、前面パネルを開いた状態)の前面側斜視図である。
【図3】開閉パネルの裏面図である。
【図4】遊技盤収納部材における弾発機構形成部位の概略正面図である。
【図5】発射装置の斜視図である。
【図6】発射レールユニットの状態変換説明図である。
【図7】発射レールユニットの分解斜視図である。
【図8】発射レールユニットと発射装置と球送り装置との連携動作説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 遊技機
6 遊技盤
6a 遊技部
12 発射装置
12a 弾発部
123 発射杵
123a 変換押圧部
15 回収口
20 発射レールユニット
20a 発射位置
23 変換部材
24 コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射に供する遊技球が待機する発射位置が傾斜下部に設けられ、発射方向へ向けて上り傾斜する発射レールと、
前記発射レールの発射位置に待機する遊技球を、弾発位置と弾発準備位置とを往復移動する弾発部によって遊技領域へ発射する発射装置と、
前記発射装置の発射動作に連動して動作し、発射位置に待機する遊技球を弾発するように弾発部が弾発位置に移動した直後に、球取込流路より取り込んだ遊技球を発射位置に1個宛て送出する球送り装置と、
前記発射レールの発射方向端側に形成され、遊技領域へ到達できずにファールとなった遊技球を回収する回収口と、
を備え、
前記発射レールは、発射位置に遊技球が1個のみ待機できるレール長とした遊技機において、
前記発射レールの発射方向端から前記回収口に延出する第1状態と、前記回収口に延出しない第2状態とに変換可能な変換部材と、
前記変換部材を、第1状態と第2状態とに変換動作させる変換部材動作手段と、
を備え、
前記変換部材動作手段は、前記発射装置の弾発部が弾発位置にあるとき変換部材を第1状態とし、弾発部が弾発位置から弾発準備位置へ移動することにより変換部材を第1状態から第2状態へ変換させるようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記変換部材は、前記発射レールよりも長尺に形成すると共に、前記発射レールの下面と該発射レールの下方に位置する取付部材の上面との間に摺動可能に保持され、発射レールの発射方向端より変換部材を延出させることで第1状態を、発射レールの反発射方向端より変換部材を延出させることで第2状態を各々生ぜしめ、
前記変換部材動作手段は、
前記変換部材の反発射方向端部に形成した押圧受部と、
前記発射装置の弾発部が発射位置へ移動すると前記押圧受部を押圧して第1状態となるまで変換部材を押圧し、少なくとも弾発部が弾発準備位置へ移動したときには前記押圧受部を押圧しない変換押圧部と、
前記変換部材を発射レールの反発射方向端より延出させる第2状態を保持するように付勢するが、前記変換押圧部から変換部材の押圧受部に加わる押圧力には屈して、変換部材が第1状態に押圧されることを阻害しない付勢手段と、
で構成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記球送り装置は、送出した遊技球を前記第1状態にある変換部材上に落下させるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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