説明

遊技機

【課題】バックアップされた遊技機を制御する制御手段の記憶装置の記憶内容をクリアスイッチにて消去するときに、クリアスイッチ操作者の作業負担を軽減する。
【解決手段】メイン制御基板44及びランプ制御基板37は、起動すると実際の初期設定等のプログラムを実行した後に、遅延処理としてソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を所定時間遅延する。ランプ制御基板37は、メイン制御基板44よりも短い遅延時間を設定し、この遅延時間が経過した時点で、CPU70は、7セグメントLED75にRAMクリアスイッチ60を押下操作するタイミングをカウントダウン表示する。これにより、メイン制御基板44の起動が長時間かかる遊技機であっても、RAMクリアスイッチ60を長い間押し続けなければならないという手間が省ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に係わり、特に電源が遮断されても遊技機を制御する制御手段の記憶装置の記憶内容をバックアップできると共に、そのバックアップした記憶装置の記憶内容を強制的に消去して初期化する記憶消去手段を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パチンコ機等の遊技機は、遊技内容を主に実行するためのメイン制御基板や、このメイン制御基板からの指示(コマンド)に従って遊技内容を補助的に実行するための複数種類のサブ制御基板が設けられている。サブ制御基板には、遊技球の払出を制御する払出制御基板の他、図柄合わせゲーム(スロットゲーム)を行う液晶等の表示装置を制御する表示制御基板、ランプやLED等の点灯態様を制御するランプ制御基板、さらにはスピーカ等から所望の音楽や音声等を発生させる音制御基板等がある。なお、これらの制御基板は、CPU、ROM、RAM等を中心としたマイクロコンピュータが搭載されるようになっている。
【0003】
ところで、近年、遊技機には、閉店時や停電時等に当該遊技機に供給される電源電圧が遮断されると、その遮断時点における遊技情報をRAM等の記憶装置(以下、単にRAMともいう)に記憶保持させるバックアップ機能が設けられているものがある。このバックアップ機能によれば、復電後にはRAMに記憶保持させた遊技情報に基づいて、遊技を電源電圧が遮断される直前の状態から再開させることができるため、例えば営業時間中の停電事故による遊技者への不利益を防止することが可能になる。
【0004】
しかし、その一方では、バックアップ機能により記憶保持させた遊技情報を消去してRAMを初期化したい場合もある。このような場合としては、例えば、前日に大当り確率が高確率状態のまま閉店時間を迎え、翌日の開店時には高確率状態で遊技が開始される場合や、あるいは、遊技機を工場から出荷する場合等が考えられる。前者の場合には、そのまま開店時から高確率状態で遊技が開始されると、遊技店は不利益を被ることになり、また後者の場合には、確実に遊技機の状態を初期状態にしておきたいからである。
【0005】
そこで、このようなバックアップ機能を搭載した遊技機に、開店時等にバックアップされたRAMの記憶内容を強制的に消去して初期化するクリアスイッチを設けた技術が提案されている。この技術では、開店時等にクリアスイッチを継続してオン操作しながら電源スイッチを入れる(以下、「電源投入」ともいう)ことで、バックアップされたRAMの記憶内容を消去するようになっており、これによりクリアスイッチの誤操作による不用意なRAMの初期化も防止するようになっている(例えば、特許文献1参照、以下従来技術という)。
【特許文献1】特開2001−346945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかして、最近の遊技機においては、遊技演出の興趣向上のために、液晶等の表示装置をはじめとするサブ制御基板が高性能化されてきており、電源投入時からサブ制御基板が全て立ち上がるまでの時間が長くなっている(例えば10秒前後)。上述したように、各サブ制御基板は、メイン制御基板からのコマンドに従って動作するので、従って電源投入後、各サブ制御基板が確実にメイン制御基板からの最初のコマンドを受信できるよう、メイン制御基板はサブ制御基板が全て立ち上がった後に起動するようになっている。
【0007】
なお、本文において「立ち上がる」とは、各種制御基板が電源投入されたときや停電が復旧復帰したとき等の復電時に、CPUが初期設定等のプログラム処理を終了した時点を言い、この状態ではサブ制御基板は、メイン制御基板からのコマンドを受信できる状態であり、一方「起動」とは、各種制御基板が電源投入されたときや停電が復旧復帰したとき等の復電時に、CPUが初期設定等のプログラム処理を開始する時点を言い、この状態ではサブ制御基板は、メイン制御基板からのコマンドを受信できない状態である。
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、メイン制御基板のRAMをクリアスイッチにより初期化する場合、少なくとも電源投入時からメイン制御基板が起動するまでの間、クリアスイッチをオン操作し続けなければならず、従ってこのようにサブ制御基板が高性能化されている遊技機においてメイン制御基板のRAMを初期化する場合には、長時間クリアスイッチをオン操作し続けなければならないという煩わしい作業が必要となる。特に、相当数の遊技機のRAMを初期化しなければならない開店時には、他の準備作業も多く店員の負担は大きくなる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、バックアップされた遊技機を制御する制御手段の記憶装置の記憶内容をクリアスイッチにて消去するときに、クリアスイッチを操作する者の作業負担を軽減することのできる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような問題を解決するために、本発明の遊技機は、請求項1に記載したように、遊技の制御を行う主制御手段と、該主制御手段からの指令信号に基づいて各種遊技装置の制御を行う副制御手段と、前記主制御手段及び前記副制御手段に所定の作動電源を生成して供給する電源手段と、該電源手段からの電源供給開始時に、前記主制御手段を前記副制御手段よりも遅れて立ち上げる遅延手段と、前記主制御手段の遊技制御に係わる遊技情報を記憶する記憶手段と、前記電源手段からの電源供給が遮断された場合に、前記記憶手段にバックアップ用電源を供給するバックアップ電源供給手段と、オン操作することによりクリア信号を前記主制御手段に出力するためのクリアスイッチと、前記主制御手段が立ち上ったときに該クリア信号が入力されていることに基づいて、前記記憶手段が記憶している遊技情報を消去する記憶消去手段と、を備えた遊技機において、前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を所定の報知装置に報知させるマイクロコンピュータ等で構成される報知制御手段を備え、該報知制御手段は、電源供給開始時の初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、前記主制御手段が立ち上がる所定時間前まで所定のプログラム処理を実行することにより遅延させる報知制御遅延処理手段を備え、前記報知制御手段は、該報知制御遅延処理手段が実行する所定のプログラム処理が終了したとき、前記報知装置に前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の遊技機は、請求項1に記載の遊技機において、前記クリアスイッチは、押下操作されている間だけオン状態となるプッシュボタンタイプであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の遊技機は、請求項1または請求項2に記載の遊技機において、前記主制御手段及び前記副制御手段は、それぞれマイクロコンピュータを備え、前記遅延手段は、電源供給開始時に前記主制御手段における初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、前記副制御手段が立ち上ってから所定時間経過するまで所定のプログラム処理を実行することにより遅延させる主制御遅延処理手段とし、前記報知制御手段は、前記報知制御遅延処理手段が実行する所定のプログラム処理が終了したとき、前記報知装置に前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の遊技機は、請求項3に記載の遊技機において、遊技者に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出装置を備え、前記副制御手段は、該遊技媒体払出装置を制御する払出制御手段を含み、該払出制御手段は、払出制御に係わる情報を記憶する払出記憶手段を備え、前記バックアップ電源供給手段は、前記電源手段からの電源供給が遮断された場合に、前記払出記憶手段にもバックアップ用電源を供給するものとし、前記主制御遅延処理手段が実行する所定の前記プログラム処理は、前記遊技媒体払出装置から払出された遊技媒体の払出数をチェックする処理としたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の遊技機は、請求項3または請求項4に記載の遊技機において、前記報知制御手段は、前記副制御手段としたことことを特徴とする。
また、請求項6に記載の遊技機は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の遊技機において、前記報知装置は表示装置または/及び音声装置であるとし、前記報知制御手段は、該表示装置または/及び該音声装置に前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングを所定の報知態様にて報知させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の遊技機は、請求項6に記載の遊技機において、前記報知態様を予め複数設け、該複数設けた報知態様の中から所望の報知態様を選択できる選択手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に記載の遊技機は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の遊技機において、前記記憶消去手段により前記記憶手段が記憶していた遊技情報が消去されたときは、前記主制御手段は、前記報知制御手段にクリア成信号を出力し、前記報知制御手段は、該クリア成信号を入力した場合には、前記記憶手段が記憶していた遊技情報が消去された旨を前記報知装置に報知させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、主制御手段は遊技の制御を行い、副制御手段は、主制御手段からの指令信号(例えばストローブ信号やコマンド信号等)に基づいて各種遊技装置の制御を行う。例えば遊技機がパチンコ機の場合には、各種遊技装置としては、表示装置、球払出装置、打球発射装置、電動役物、発光装置、音声装置等が挙げられる。
【0018】
そして電源手段から主制御手段及び副制御手段に所定の作動電源の供給が開始されると(例えば電源スイッチをオンにしたときや停電が復旧復帰したとき)、主制御手段は、遅延手段により副制御手段よりも遅れて立ち上がるようになっており、これにより副制御手段は、確実に主制御手段からの指令信号を受信することができる。即ち、電源の供給が開始されると、副制御手段が主制御手段からの最初の指令信号を確実に受信できるようになっており、従って副制御手段は主制御手段からの指令信号を取りこぼすことはない。
【0019】
なお、副制御手段が複数ある場合には、主制御手段の立ち上がる時期は、主制御手段からの指令信号を受け取れる状態になるまでの時間、即ち電源の供給が開始されてから立ち上がるまでの時間が最も遅い副制御手段を対象に設定される。例えば、最近のパチンコ機では、立ち上がるまでの時間が最も遅い副制御手段としては表示装置を制御する表示制御手段が挙げられ、この場合、電源の供給が開始されてから主制御手段が立ち上がる時間は10秒以上に設定される機種もある。
【0020】
ここで、主制御手段は、遊技制御に係わる遊技情報を記憶手段に記憶するようになっており、この記憶手段は、電源手段からの電源供給が遮断された場合には(例えば電源スイッチをオフにしたときや停電が発生したときには)、バックアップ電源供給手段によりバックアップ用電源が供給されるようになっている。つまり主制御手段の記憶手段は、電源供給が遮断された場合には、バックアップされてその記憶内容が保持されるようになっている。
【0021】
また、記憶手段が記憶している遊技情報を消去したいときは、クリアスイッチをオン操作することによりクリア信号を主制御手段に出力するのであるが、これは、記憶消去手段により、主制御手段が立ち上ったときにクリア信号が入力されていることに基づいて、記憶手段が記憶している遊技情報を消去するようになっている。つまり、電源の供給が開始されて主制御手段が立ち上ったときにクリアスイッチがオン操作されていれば、記憶手段の記憶内容は消去される。
【0022】
そしてこのような構成において、本発明の遊技機は、CPU、ROM、RAM等を中心としたマイクロコンピュータ等で構成される報知制御手段を備え、この報知制御手段が、クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を所定の報知装置に報知させる。
【0023】
ここで報知制御手段は、報知制御遅延処理手段を備え、この報知制御遅延処理手段が、電源供給開始時の初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、主制御手段が立ち上がる所定時間前まで所定のプログラム処理を実行することにより遅延させる。つまり、報知制御遅延処理手段は、電源供給開始時の初期設定終了後に所定のプログラム処理を実行することで、本来初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を遅延させている。そして、この報知制御遅延処理手段が行う遅延処理、即ち所定のプログラム処理は、主制御手段が立ち上がる所定時間前まで実行されることになる。
【0024】
これは換言すれば、見かけ上、初期設定の終了時期を遅延することになり、即ち報知制御手段は、この報知制御遅延処理手段が行う遅延処理が終了すると立ち上がることになる。そして、この報知制御手段が立ち上がる時期は、主制御手段が立ち上がる所定時間前となっている。なお、報知制御遅延処理手段が行う遅延処理としての所定のプログラム処理は、種々考えられ、例えば、汎用レジスタに遅延時間に相当する値を設定し、レジスタの値を−1(ディクリメント)する処理を、レジスタの値が0になるまで繰り返す処理等が挙げられる。
【0025】
そして報知制御手段は、この報知制御遅延処理手段が実行する遅延処理としての所定のプログラム処理が終了したとき、報知装置にクリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知させる。即ち、報知装置は、電源の供給が開始されて主制御手段が立ち上ったときにクリアスイッチがオン操作されているように、主制御手段が立ち上がる所定時間前にクリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知する。
【0026】
以上のような構成による請求項1の発明によれば、バックアップされている記憶手段の記憶内容をクリアスイッチをオン操作して消去する際、報知装置からの報知により、クリアスイッチの操作者はクリアスイッチをオン操作するタイミングが判るようになり、その結果、適切にクリアスイッチを操作することができるようになる。これにより、バックアップされている記憶手段の記憶内容を確実に消去することが可能となる。
【0027】
また、ソフトウェアによる遅延処理としての所定のプログラム処理の実行時間は、容易に変更することができるので、即ち報知装置からのクリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報の報知時期は、簡単なプログラムの変更で容易に実行することができるので、極めて使い勝手がよい。
【0028】
また、この遅延処理をソフトウェアによるプログラム処理により実行するようにしたことで、遅延処理を行うためのハードウェア資源(例えば遅延回路)が不要となり、開発者の回路設計を容易にすると共に、コストダウンがはかれる。さらに、ハードウェア資源が不要になることで、その分遊技機の活用できるスペースが増え、その結果、遊技機の限られたスペースを有効に活用することが可能となる。
【0029】
また、請求項2に記載の遊技機は、請求項1に記載の遊技機において、クリアスイッチを、押下操作されている間だけオン状態となるプッシュボタンタイプ(リターンタイプ)としている。記憶手段の記憶内容をクリアすると、その時点で遊技機の状態が初期状態に戻ることを意味し、従ってクリアスイッチをオンオフ操作するとその状態を保持するタイプ(モメンタリタイプ)とした場合には、誤操作により不用意に記憶手段の記憶内容を消去してしまう蓋然性が高くなる。
【0030】
その点、クリアスイッチをリターンタイプとした場合には、不用意な誤操作は低減されるが、一方では、クリアスイッチを押し続けなければクリア信号が送出されず、従って記憶手段の記憶内容をクリアする作業が煩雑となる。特に、電源の供給が開始されてから主制御手段が立ち上がるまでの時間が長くなっている場合には、従来であればリターンタイプのクリアスイッチは、いつ主制御手段が立ち上がるかわからないので、電源の供給が開始されてから主制御手段が立ち上がるのを確認するまでの長い時間押し続けなければならない。
【0031】
ところが本発明によれば、報知装置からの報知により、クリアスイッチの操作者はクリアスイッチをオン操作するタイミングが判るようになっている。従って、例え電源の供給が開始されてから主制御手段が立ち上がるまでの時間が長くなっている場合であっても、クリアスイッチを長い時間押し続けなければならないといった手間が省け、これにより、クリアスイッチがリターンタイプであってもその操作時間が短縮され、作業性が向上する。即ち、本発明によれば、記憶手段の記憶内容をクリアする場合、不用意な誤操作を防止しつつその作業性が向上するという極めて顕著な効果を奏する。
【0032】
また、請求項3に記載の遊技機は、請求項1または請求項2に記載の遊技機において、主制御手段及び副制制御手段は、それぞれCPU、ROM、RAM等を中心としたマイクロコンピュータを備えている。そして電源手段からの電源供給開始時に、主制御手段を副制御手段よりも遅れて立ち上げる遅延手段を主制御遅延処理手段とし、この主制御遅延処理手段が、電源供給開始時に主制御手段における初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、副制御手段が立ち上ってから所定時間経過するまで所定のプログラム処理を実行することにより、主制御手段を副制御手段よりも所定時間遅れて立ち上げる。
【0033】
つまり、主制御手段は、報知制御手段と同様に、電源供給開始時の初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、所定のプログラム処理を実行することにより副制御手段が立ち上ってから所定時間経過するまで遅延させている。これは換言すれば、見かけ上、初期設定の終了時期を遅延することになり、即ち主制御手段は、この主制御遅延処理手段が行う遅延処理が終了すると、副制御手段よりも所定時間遅れて立ち上がることになる。なお、主制御遅延処理手段が行う遅延処理としての所定のプログラム処理は、上記した報知制御遅延処理手段が行う遅延処理としての所定のプログラム処理と同様である。そして報知制御遅延処理手段が実行する所定のプログラム処理が終了したとき、報知制御手段は、報知装置にクリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知させる。
【0034】
このような構成による請求項3の発明によれば、報知制御手段は、主制御遅延処理手段と同様な構成の報知制御遅延処理手段が実行する遅延処理としてのソフトウェアによるプログラム処理に基づいて、報知装置にクリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知するようになっているので、即ち報知制御手段は、主制御手段と同様な構成の遅延処理手段によって遅延時間を判断するので、報知装置が報知するクリアスイッチのオン操作のタイミングを、高い精度でほとんど誤差なく実行することができる。
【0035】
また、請求項4に記載の遊技機は、請求項3に記載の遊技機において、遊技者に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出装置を備えており、この遊技媒体払出装置により、遊技者に遊技媒体の払出が行われる。例えば、遊技機がパチンコ機の場合には、遊技媒体はパチンコ球であり、遊技の報賞として、あるいは金員の投入等に基づいてこの払出装置からパチンコ球が払出されるようになっている。
【0036】
ここで遊技媒体払出装置を制御する払出制御手段は、主制御手段からの指令信号に基づいて動作する副制御手段の一つであり、つまり払出制御手段は、主制御手段からの指令信号に基づいて遊技媒体払出装置の制御を行う。そして払出制御手段は、払出制御に係わる情報を記憶する払出記憶手段を備えており、この払出記憶手段は、主制御手段の記憶手段と同様に、電源手段からの電源供給が遮断された場合には(例えば電源スイッチをオフにしたときや停電が発生したときには)、バックアップ電源供給手段によりバックアップ用電源が供給されるようになっている。つまり本発明の遊技機では、主制御手段の記憶手段及び払出制御手段の払出記憶手段は、電源供給が遮断された場合には、両者共にバックアップされてその記憶内容が保持されるようになっている。
【0037】
そしてこのような構成において、本発明の遊技機は、主制御遅延処理手段が実行する遅延処理としての所定のプログラム処理は、遊技媒体払出装置から払出された遊技媒体の払出数をチェックする処理としている。つまり、主制御手段は、電源供給開始時の初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、遊技媒体払出装置から払出された遊技媒体の払出数をチェックする処理を繰り返し実行して遅延時間を作成することにより、副制御手段が立ち上ってから所定時間経過するまで遅延させている。
【0038】
このような構成による請求項4の発明によれば、主制御手段が立ち上がる前に、副制御手段としての払出制御手段が立ち上がって、払出記憶手段に記憶されていた未払いの総払出球数に基づいて遊技媒体払出装置が遊技媒体を払出してしまった場合でも、主制御手段は正確な未払いの総払出球数を把握することができ、これにより主制御手段は、以後の処理において、遊技場と遊技者双方に不利益を与えることなく適切に実行することができる。即ち、主制御手段の記憶手段及び払出制御手段の払出記憶手段の両者を共にバックアップしてその記憶内容を保持しつつ、このような未払いの払出球数も適正に管理することで、例え停電等で電源が遮断された場合であっても、電源の供給が再開されたときには、遊技状態を電源が遮断される前の状態により近い状態で戻すことができ、その結果、遊技場及び遊技者共に不利益を被ることを防止することができる。
【0039】
また、請求項5に記載の遊技機は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の遊技機において、報知制御手段は、副制御手段としている。副制御手段は、もともと遊技機に設けられている必須の構成であり、即ち、本発明では、既存の副制御手段を利用して、クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知するようになっている。従って、このような構成の請求項5の発明によれば、遊技機に新たな報知制御手段を加える必要がなく、これにより遊技機の構成が簡易となりコストダウンがはかれると共に、遊技機の限られたスペースを有効に活用することが可能になるという顕著な効果を奏する。
【0040】
また、請求項6に記載の遊技機は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の遊技機において、報知制御手段は、報知装置としての表示装置または/及び音声装置に、クリアスイッチをオン操作させるタイミングを所定の報知態様にて報知させる。ここで所定の報知態様としては、例えばカウントダウンやカウントアップの表示や音声等が挙げられ、クリアスイッチの操作者は、この表示装置または/及び音声装置に合わせてクリアスイッチをオン操作するようにすればよい。
【0041】
例えば、電源供給開始から主制御手段が立ち上がるまでの時間が10秒とすれば、クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を、電源供給開始から5秒後に開始し、それからカウントダウンやカウントアップ等の報知を、主制御手段が立ち上がる時間まで行うようにすればよい。このようにすれば、さらにクリアスイッチの操作が容易になる。即ち、クリアスイッチの操作者は、クリアスイッチのオン操作するタイミングに失敗することなく確実に実行できる。なお表示装置または/及び音声装置は、既存のものを利用してもよいし、新たに設けるものであってもよい。
【0042】
また、請求項7に記載の遊技機は、請求項6に記載の遊技機において、報知態様を予め複数設けておき、選択手段により、これら複数設けた報知態様の中から所望の報知態様を選択する。例えば、カウントダウン報知からカウントアップへの変更というように、好みに応じて報知態様を変更することが可能となる。なお報知装置としての複数種類の装置(例えば表示装置と音声装置)を備えている場合には、全ての報知装置に報知させるか、あるいは、特定の報知装置に報知させるかを選択できるようにするとよい。
【0043】
また、請求項8に記載の遊技機は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の遊技機において、主制御手段は、クリアスイッチのオン操作に基づき記憶消去手段により記憶手段が記憶していた遊技情報が消去されたときは、報知制御手段にクリア成信号を出力する。そして報知制御手段は、このクリア成信号を入力した場合には、記憶手段が記憶していた遊技情報が消去された旨を報知装置に報知させる。
【0044】
従って、クリアスイッチの操作者は、報知装置から記憶手段が記憶していた遊技情報が消去された旨が報知されたときは、クリアスイッチをオフ操作するようにすればよい。即ち、本発明によれば、クリアスイッチの操作者は、バックアップされている記憶手段の記憶内容をクリアスイッチを操作して消去する作業を行う際、クリアスイッチをオン操作するタイミングとクリアスイッチをオフ操作するタイミングの両方が判ることになり、これによりクリアスイッチの操作時間を極めて短縮させ、クリアスイッチ操作者の作業負担を軽減することがでるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
図1は、遊技機1の全体正面図である。本実施形態の遊技機1は、図1に示すように、図示しない遊技島に固定される外枠22と、この外枠22に開閉自在に取り付けられた内枠23とから構成されており、内枠23には、遊技者にパチンコ遊技を提供する遊技盤21と、遊技者が操作することにより後述する打球発射装置43を作動させる打球操作ハンドル2と、打球発射装置43によって打ち出された遊技球を誘導する打球誘導レール3と、打ち出された遊技球が一定範囲内で飛球するよう設けられた遊技領域形成レール4と、打球誘導レール3及び遊技領域形成レール4によって囲われた遊技領域5と、遊技領域形成レール4の先端に取り付けられ遊技領域5に打ち出された遊技球が打球誘導レール3と遊技領域形成レール4の間の発射径路に後戻りするのを防止する戻り球防止弁24と、遊技領域5に打ち出された遊技球を不測の方向へ変化を与える風車20と、特別図柄が回転する様子を示す擬似的な表示(以下、スクロール表示ともいう)を行う液晶表示ディスプレイ(LCD)等で構成された特別図柄表示装置6と、遊技球が入賞することによって特別図柄表示装置6に特別図柄のスクロール表示を開始させる始動入賞口(電動チューリップ)11と、特別図柄表示装置6が特別図柄のスクロール表示中に遊技球が始動入賞口11へ入賞した場合に、当該スクロール表示が終了した後に、あと何回変動表示するか(通常最高4回)を遊技者に報知するための保留記憶の点灯表示を順次行う4つの保留LED25と、特別図柄表示装置6の画像表示部において3つの特別図柄をそれぞれ個別に表示する左図柄表示部8、中図柄表示部9、右図柄表示部10と、特別図柄表示装置6における表示結果が予め定められた態様(大当り)になった場合、遊技者に有利に開口される大入賞口(アタッカ)7と、遊技球を打球発射装置43に供給するための打球供給皿12と、打球供給皿12に入りきらない球を貯留することができると共に、図示しない貯留球箱に遊技球を移動できるようになっている余剰球受皿13と、入賞することによって賞球が払い出される普通入賞口14と、入賞に対する賞球の払い出しや球詰まり、異常等を報知したり、遊技状態が所定の状態(例えば大当り)になったときに点滅等して演出効果を高める遊技効果ランプ15と、遊技領域5の最下部に設けられた遊技球を回収するアウト口16と、内枠23に開閉自在に設けられたガラス扉枠17と、一桁の普通図柄を表示し、その普通図柄が予め定められた普通図柄(当り)である場合、始動入賞口11としての電動チューリップの羽根を開放する7セグメントLED等で構成された普通図柄表示装置18と、遊技球が通過することによって普通図柄表示装置18に普通図柄の変動表示を開始させる普通図柄作動ゲート19と、普通図柄表示装置18が普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート19を通過した場合に、当該変動表示が終了した後に、あと何回変動表示するか(通常最高4回)を遊技者に報知するための保留記憶の点灯表示を順次行う4つの保留LED26等とによって構成されている。
【0046】
この様に構成される遊技機1は、まず、遊技者の打球操作ハンドル2の操作により、打球発射装置43から遊技球が発射され、打球誘導レール3と遊技領域形成レール4の間を通って遊技球が遊技盤21上の遊技領域5に打ち出される。そして、遊技球は遊技領域5を自重により落下し、落下する過程においては、遊技盤21に植設される図示しない遊技釘や風車20によって落下する方向に変化を与えられ、始動入賞口11や普通入賞口14に入賞したり、普通図柄作動ゲート19を通過したり、全ての入賞口に入賞しなかった場合には、アウト口16に回収されるようになっている。
【0047】
遊技球が始動入賞口11に入賞した場合には、所定の賞球を遊技者に与えると共に、後述する始動入賞検出センサ116によって遊技球を検出し、特別図柄表示装置6の各図柄表示部8、9、10に特別図柄をスクロール表示させ、所定時間後に左図柄表示部8、右図柄表示部10、中図柄表示部9の順に特別図柄を停止させて抽選するスロットゲームを行い、左図柄表示部8の特別図柄と右図柄表示部10の特別図柄とが停止した時点で大当りを構成する特別図柄の組合せ(例えば、左図柄表示部8の特別図柄と右図柄表示部10の特別図柄とが同一の特別図柄の組合せ)である場合にはリーチとなり、特別図柄表示装置6にて所定のリーチアクションが表示されるようになっており、その後中図柄表示部9の特別図柄が停止した時点で確定表示された特別図柄が予め定められた特別図柄の組合せである場合には大当りとなり、大入賞口7としてのアタッカを所定の態様で開放するようになっており、これら以外の特別図柄の組合せである場合には、はずれとなる。なお、大当りになる特別図柄の組合せには、次回の大当りが発生するまで大当りになる確率が上昇する高確率状態(所謂確率変動状態)になるものが含まれている。
【0048】
また、遊技球が普通入賞口14に入賞した場合には、所定の賞球が遊技者に与えられる。また、遊技球が普通図柄作動ゲート19を通過した場合には、後述する作動ゲート検出センサ121によって遊技球を検出し、普通図柄表示装置18に普通図柄を変動表示させて抽選を行い、確定表示された普通図柄が予め定められた普通図柄である場合には当りとなり、始動入賞口(電動チューリップ)11の羽根を所定時間開放するようなっている。
【0049】
次に、遊技機1の裏面に配置されている各基板について説明する。図2は、遊技機1の全体裏面を示す略図である。50は機構板であり、前記した内枠23に図示しないヒンジ等で開閉自在に取り付けられおり、その略中央上部には遊技盤21の裏面部が臨むように開口部53が設けられている。機構板50の上部には、遊技島から供給される遊技球を貯留する球貯留タンク51が設けられ、球貯留タンク51に供給された遊技球はタンクレール52を通って賞球払出装置41に至り、上記したように始動入賞口11や普通入賞口14等への遊技球の入賞に基づいて、賞球払出装置41が駆動して所定の賞球が遊技者に払い出される。また、賞球払出装置41は、遊技者の金員の投入やプリペイドカード挿入後の球貸スイッチの操作等によっても駆動し、所定数の遊技球の貸出(貸球)も行う。
【0050】
開口部53には、遊技機1に取り付けられた特別図柄表示装置6が臨んでおり、特別図柄表示装置6の裏面側には、表示制御基板39が特別図柄表示装置6に一体的に取り付けられている。また、機構板50の略下部には、メイン制御基板44、払出制御基板40、発射制御基板42、電源基板36、ランプ制御基板37、音声制御基板38がそれぞれ取り付けられており、一方機構板50の上部右隅には、ターミナル基板45が取り付けられている。
【0051】
図3は、遊技機1の主な回路構成を示すブロック図である。まず、遊技を実行するうえで中心的な役割を果たすメイン制御基板44は、遊技進行の制御プログラムを実行する8ビットのCPU102、CPU102が実行する制御プログラムを格納するROM103及びCPU102が処理するデータを一時的に記憶するRAM104を備えている。またメイン制御基板44は、入力回路101、出力回路110及びこれらを接続するバス115(データバス、アドレスバス、コントロールバス等)とを備えており、入力回路101を介して取得した各センサやスイッチからの信号に基づいて、CPU102が出力回路110に接続されている後述するサブ制御基板やその他の各種回路、機器等を制御するための所定の制御プログラムを実行する。
【0052】
入力回路101には、始動入賞口11に設けられた遊技球の入賞を検出すると特別図柄変動開始信号を送る始動入賞検出センサ116と、始動入賞口11に入賞した遊技球を検出するカウントスイッチ123と、普通図柄作動ゲート19に設けられた遊技球の通過を検出すると普通図柄変動開始信号を送る作動ゲート検出センサ121と、大入賞口7を開放することにより大入賞口7内に入賞した遊技球を検出するカウントスイッチ117と、打球操作ハンドル2が回動操作されて遊技球が発射される時にオンする打球操作ハンドルスイッチ119と、打球操作ハンドル2の所定箇所に設けられ押圧操作することにより打球発射装置43の作動をオフさせて遊技球の発射を停止する打球操作ストップスイッチ120と、各入賞口に入賞した遊技球をセーフ球としてカウントし遊技球を賞品として払い出すために必要なセーフ信号を出力するセーフ球検出センサ122と、賞球払出装置41から払い出された賞球や貸球としての遊技球をカウントするための払出球検出センサ124とが接続されている。
【0053】
出力回路110には、遊技盤面に配備されているLED(例えば、保留LED25や保留LED26)や各種表示ランプ(例えば、遊技効果ランプ15)等を点灯/点滅制御するランプ制御基板37と、大入賞口7としてのアタッカを開口動作するためのソレノイド106と、始動入賞口11としての電動チューリップを開放動作するためのソレノイド107と、スピーカ113より各種の効果音を拡声させるための音声制御を行う音声制御基板38と、図示しないホール管理コンピュータ等に接続され、メイン制御基板44からの各種情報(例えば大当りや賞球、貸球等に係わる情報)等を遊技機1外部に出力する外部情報端子109が設けられたターミナル基板45とが接続されている。その他、出力回路110には、遊技領域5に向けてパチンコ球を弾発するための打球発射装置43の動作停止と動作停止解除とを制御する発射制御基板42が接続されている。
【0054】
また、出力回路110には、払出制御基板40及び表示制御基板39が接続されている。払出制御基板40は、賞球払出装置41を駆動制御し、賞球や貸球の払出制御を行う。表示制御基板39は、LCDとしての特別図柄表示装置6に表示する画像及び7セグLEDとしての普通図柄表示装置18に表示する数字等を制御する。
【0055】
これらランプ制御基板37、音声制御基板38、表示制御基板39、払出制御基板40、発射制御基板42は、遊技を実行するうえで補助的な役割を果たすサブ制御基板として機能し、これらのサブ制御基板37、38、39、40、42は、図示していないが、メイン制御基板44と同様にCPU、ROM、RAM等を主とするマイクロコンピュータを備え、メイン制御基板44からの一方向の指令(コマンド信号等)に基づいて動作する。なお、表示制御基板39のCPUは32ビットのものが、その他のサブ制御基板37、38、40、42は8ビットのものが使用されている。
【0056】
例えば、払出制御基板40は、払出制御用CPU、この払出制御用CPUの作業領域やメイン制御基板44からの各賞球(貸球)コマンドに対応した賞球(貸球)数等を記憶保持するための記憶エリアを備えたRAM及び制御データ及び賞球(貸球)払出しのための制御プログラム等が記憶されたROMなどを備えている。即ち払出制御基板40は、メイン制御基板44のCPU102から一方向のストローブ信号や払出制御用コマンド信号等の制御信号を図示しない入力回路を介して受け、ストローブ信号が入力されると、払出制御用CPUは払出制御用コマンドを認識し、賞球払出装置41を駆動制御して賞球(貸球)の払出制御を行う。
【0057】
また例えば、表示制御基板39は、膨大なデータを高速処理するためのOS等を読み込んで表示制御プログラムを実行するCPU、CPUが実行する表示制御プログラムを格納するROM及びCPUの作業領域を構成するRAM、LCDとしての特別図柄表示装置6に表示する画像を制御するVDP、VDPが読み出す各コマンドに対応した表示制御データ(変動パターン等)及びキャラクタや図柄や背景等が記憶された画像データ用のCGROM及びVDPが処理する画像データ等を一時的に記憶保持するための記憶エリアを備えたVRAM等を備えている。
【0058】
即ち表示制御基板39は、メイン制御基板44のCPU102から一方向のストローブ信号や表示制御用コマンド信号等の制御信号を図示しない入力回路を介して受け、ストローブ信号が入力されると、表示制御用CPUは表示制御用コマンドを認識する。するとVDPは、この表示制御用コマンドに対応するデータエリアから表示制御データ及びキャラクタや図柄や背景等をCGROMから読み出し、上記画像データを一時記憶するVRAMに格納する。そしてVDPは、この格納された画像データを、表示順がくるとVRAMから読み出し、CPU102からの指令に応じて所定の態様でLCD(特別図柄表示装置6)に表示する。
【0059】
このように、メイン制御基板44からサブ制御基板37、38、39、40、42へ制御信号(ストローブ信号やコマンド信号等)を一方向通信することにより、即ち、サブ制御基板37、38、39、40、42からメイン制御基板44への入力をなくすことにより、遊技機1全体の主な制御を司るメイン制御基板44への入力を少なくして、メイン制御基板44への不正な信号入力を極力排除でき、遊技場は適正な遊技を遊技者に提供できると共に、両者の通信に係わる回路構成やプログラムを簡素化でき、遊技機1を開発制作するうえで容易となりコストダウンにつながる。
【0060】
なお、メイン制御基板44や払出制御基板40等を基板BOXに収納する場合には、この基板BOXを開けた痕跡が残るように所定の手段で封止する所謂かしめ構造を採用することが望ましい。これにより、さらにメイン制御基板44や払出制御基板40等への不正を排除することができるようになる。また、表示制御基板39に接続された普通図柄表示装置18は、メイン制御基板44の出力回路110に直接接続しても良く、また、入力回路101に接続した打球操作ハンドルスイッチ119と打球操作ストップスイッチ120は、発射制御基板42に直接接続するようにしてもよい。さらに、メイン制御基板44の入力回路101に接続された払出球検出センサ124は、払出制御基板40へも入力するようにしてもよい。これらは、各種装置の機能や配置及び各CPUの処理速度やROM、RAM等の記憶装置の容量等に応じて適宜設計すればよい。
【0061】
次に、図4を参照しながら、本発明の要部回路構成について説明する。図3のブロック図では、主にメイン制御基板44とサブ制御基板37、38、39、40、42との回路構成を示したが、この図4のブロック図は、メイン制御基板44とランプ制御基板37及び電源基板36の主な回路構成を示したものである。
【0062】
まず電源基板36は、図示しない遊技島に設けられた主電源(AC24V)を、電源スイッチ55を介して電源回路56が受けており、電源回路56は、この主電源を基にメイン制御基板44やサブ制御基板37、38、39、40、42等、遊技機1の各制御装置や駆動装置等に作動電源(例えば全波24V、DC30V、DC12V、DC5V)を生成して供給する。なお、電源スイッチ55は、主電源AC24Vの供給を手動操作でオンオフさせるもので、オンオフ操作されるとその状態を保持するタイプ(モメンタリタイプ)が用いられている。
【0063】
また、電源回路56には電源監視回路57が接続されており、この電源監視回路57は電源回路56の主電源の電圧(24V)が所定電圧V1(例えば12V)以下に降下すると、メイン制御基板44のCPU102のNMI端子(マスク不能割込端子)に停電信号を送出する(ハイレベルからローレベルに立ち下がる)ようになっている。即ち電源監視回路57は、不測の停電時や電源スイッチ55オフ操作時等により遊技機1への電源が遮断されたとき、メイン制御基板44へ停電信号を送出する。
【0064】
さらに、電源基板36には、コンデンサ等により構成されたバックアップ電源回路59が設けられており、上述の停電信号は、このバックアップ電源回路59にも電源監視回路57から同時に送出されるようになっている。バックアップ電源回路59は、メイン制御基板44のRAM104に接続されており、電源監視回路57からの停電信号を受信するとRAM104にバックアップ用電源を供給する。即ちバックアップ電源回路59は、不測の停電時や電源スイッチ55オフ操作時等により遊技機1への電源が遮断されたときに、メイン制御基板44のRAM104をバックアップする。
【0065】
図中、58はリセット回路であり、このリセット回路58は電源監視回路57に接続されており、停電の復旧復帰時や電源スイッチ55オン操作時(電源投入時)等に、電源回路56の主電源電圧が未だ所定電圧V1以下になっている状態では、メイン制御基板44及びサブ制御基板37、38、39、40、42のCPUのリセット端子にリセット信号を送出(ローレベルの信号を出力)し、一方、主電源電圧が所定電圧V1より上昇したとき当該リセット信号の送出を停止する(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)ようになっている。そしてメイン制御基板44及びサブ制御基板37、38、39、40、42は、リセット信号の送出が停止されると起動する。
【0066】
また、上述したように、不測の停電時や電源スイッチ55オフ操作時等により遊技機1への電源が遮断されたときには、メイン制御基板44及びサブ制御基板37、38、39、40、42のCPUのリセット端子にリセット信号を送出する(ハイレベルからローレベルに立ち下がる)。この場合、メイン制御基板44へのリセット信号は、上記した停電信号よりも、例えば70ms程度遅れて入力される。メイン制御基板44のCPU102は、この70msの間はまだ正常に動作するので、この期間に後述する図6に示す停電処理を実行する。そしてメイン制御基板44及びサブ制御基板37、38、39、40、42は、リセット信号を受信すると動作を停止する。
【0067】
ここでメイン制御基板44は、リセット信号の送出が停止されて起動すると、後に詳述するが、実際の初期設定等のプログラムを実行した後に、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を所定時間遅延するようになっている。つまりこれは、換言すれば、メイン制御基板44に対するリセット信号の送出の停止を、例えばハードウェアとしての遅延回路を介して所定時間遅延させることと同義である。
【0068】
即ち、停電の復旧復帰時や電源スイッチ55オン操作時に、リセット信号の送出が停止されることにより、メイン制御基板44、サブ制御基板37、38、39、40、42の各CPUは、ROMに記憶された制御プログラムに基づいて初期設定等のプログラムを実行するのであるが、上述したように、サブ制御基板37、38、39、40、42はメイン制御基板44からのコマンド信号等に基づいて遊技の制御を実行するようになっている。
【0069】
従って、停電の復旧復帰時や電源スイッチ55オン操作時に、サブ制御基板37、38、39、40、42は、メイン制御基板44から送信されてくる遊技に係わるコマンドデータ等を確実に受け取るためには、メイン制御基板44よりも先にこの初期設定等のプログラムの実行を完了していることが必要となる。そこで、メイン制御基板44の初期設定等のプログラムの実行をサブ制御基板37、38、39、40、42よりも遅く終了させるために遅延時間TAを設定し、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を時間TAだけ遅延させているのである。
【0070】
この遅延時間TAは、本実施形態では約8秒であり、これはサブ制御基板の中で32ビットCPUやVDPを備え、膨大なデータを高速処理するためのOS等を読み込むことから最も初期設定等のプログラムの実行に時間を要する表示制御基板39を考慮して設定されている。つまり、この遅延時間TAは、サブ制御基板37、38、39、40、42全てが確実に立ち上がった後、メイン制御基板44が立ち上がって最初に送信する遊技に係わるコマンドデータ等を全てのサブ制御基板37、38、39、40、42が確実に受け取れるタイミングに設定されている。
【0071】
また電源基板36には、メイン制御基板44のRAM104に記憶保持される遊技に係わる各種の制御情報を消去(クリア)するためのRAMクリアスイッチ60が設けられており、このRAMクリアスイッチ60には、RAMクリアスイッチ60がオン操作されているときにメイン制御基板44のCPU102にRAMクリア信号を継続して送出するRAMクリアスイッチ回路61が接続されている。
【0072】
RAMクリアスイッチ60は、押下操作されている間だけオン状態となるプッシュボタンタイプ(リターンタイプ)のものが用いられており、上述したメイン制御基板44の見かけ上の初期設定等のプログラム処理が終了した時に、RAMクリアスイッチ60がオン操作(押下操作)されていれば(RAMクリアスイッチ回路61からRAMクリア信号が送出されていれば)、メイン制御基板44のRAM104に記憶保持されている記憶内容はクリア(初期化)されるようになっている。即ち、メイン制御基板44のRAM104をクリアするときは、電源スイッチ55オン操作後(あるいは停電の復旧復帰後)、約8秒後にメイン制御基板44が見かけ上の初期設定等のプログラム処理を終了した時点で、RAMクリアスイッチ60がオン操作されていることが条件となる。
【0073】
次にランプ制御基板37は、CPU70と、CPU70が実行する制御プログラムを格納するROM71及びCPU70が処理するデータを一時的に記憶するRAM72等を主とする周知のマイクロコンピュータを備えている。また、ランプ制御基板37は、ランプ・LED駆動回路78を備えており、CPU70は、このランプ・LED駆動回路78を駆動して保留LED25や保留LED26、及び遊技効果ランプ15等を点灯/点滅制御する。
【0074】
ここでランプ制御基板37は、メイン制御基板44と同様に、リセット信号の送出が停止されて起動すると、実際の初期設定等のプログラムを実行した後に、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を時間TBだけ遅延させるようになっている。この遅延時間TBは、本実施形態では約3秒であり、これは遅延時間TAよりも約5秒短い時間となっている。
【0075】
つまり遅延時間TBは、メイン制御基板44の遅延時間TAよりも短い時間に設定されるもので、他のサブ制御基板38、39、40、42とは無関係に設定される時間である。またランプ制御基板37は、起動してから約3秒で立ち上がるようになっており、これはメイン制御基板44が立ち上がる約5秒前となる。これにより、ランプ制御基板37は、メイン制御基板44が立ち上がって最初に送信する遊技に係わるコマンドデータ等を確実に受け取れることができる。
【0076】
さらにランプ制御基板37のCPU70の図示しない出力回路には、LEDドライバ回路を介して7セグメントLED75及びLED76が接続されている。7セグメントLED75は、上記RAMクリアスイッチ60をオン操作するタイミングをカウントダウン表示するものであり、一方、LED76は、RAMクリアスイッチ60のオン操作によりメイン制御基板44のRAM104がクリアされたとき、メイン制御基板44からのRAMクリア成信号を受けて点灯するものである(RAM104がクリアされなかったときは、LED76は消灯のままである)。これについて図5参照しながら説明する。
【0077】
図5は、電源投入時のメイン制御基板44、ランプ制御基板37及びRAMクリアスイッチ60の動作状態を示すタイミングチャートである。電源スイッチ55がオン操作されて遊技機1に電源が投入されてると、リセット信号の送出が停止され(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)、メイン制御基板44及びランプ制御基板37が起動する。つまりメイン制御基板44及びランプ制御基板37は、同時に起動する。
【0078】
メイン制御基板44及びランプ制御基板37は、起動すると実際の初期設定等のプログラムを実行し、その後、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を、メイン制御基板44は遅延時間TA(8秒)後に、ランプ制御基板37は遅延時間TB(3秒)後にそれぞれ設定する。
【0079】
なお、メイン制御基板44及びランプ制御基板37は、電源投入されてから実際の初期設定等のプログラムを終了するまでの時間は、ほぼ同じ時間であり、その時間も数十ms程度のごく短い時間である。
【0080】
そして遅延時間TB(3秒)が経過した時、ランプ制御基板37は、7セグメントLED75に「4」を表示し、その後1秒経過する毎に「3」「2」「1」「0」とカウントダウン表示を実行する。従って7セグメントLED75に「0」が表示された時点は、メイン制御基板44の遅延時間TA(8秒)が経過する約1秒前となる。即ちメイン制御基板44において見かけ上の初期設定等のプログラム処理が終了する約1秒前に、7セグメントLED75に「0」が表示される。
【0081】
従って、遊技場の店員等がメイン制御基板44のRAM104をクリアする場合には、この7セグメントLED75のカウントダウン表示に合わせ、7セグメントLED75に「0」が表示されたタイミングでRAMクリアスイッチ60を押下操作すればよい。そしてRAMクリアスイッチ60が押下操作されている間に(RAMクリア信号が継続して送出されている間に)、遅延時間TA(8秒)が経過すると、RAM104に記憶保持されている記憶内容はクリア(初期化)される。つまり、本実施形態では、RAMクリアスイッチ60を押下操作してから約1秒経過後に、メイン制御基板44のRAM104の記憶内容はクリアされることになる。
【0082】
そしてRAM104の記憶内容がクリアされると、メイン制御基板44のCPU102は、ランプ制御基板37のCPU70の図示しない入力回路にRAM104の記憶内容がクリアされたことを示すRAMクリア成信号を送出する。ランプ制御基板37のCPU70は、RAMクリア成信号を受信すると、LED76を所定の色(例えば赤)に所定時間(例えば5秒)点灯し、RAM104の記憶内容がクリアされたことを外部に報知する。従って、このLED76が点灯したことを確認した後に、RAMクリアスイッチ60の押下操作を解除すればよく、本実施形態では、LED76が点灯してから約1秒経過後にRAMクリアスイッチ60の押下操作を解除した場合を示している。即ち、本実施形態では、RAMクリアスイッチ60の押下操作を約2秒という短い時間実行するだけで、確実にメイン制御基板44のRAM104の記憶内容をクリアすることが可能となる。
【0083】
この様に構成された遊技機1で実行される各処理を、図6以降のフローチャートを参照しながら説明する。図6は、不測の停電時や電源スイッチ55オフ操作時等により遊技機1への電源が遮断され、停電信号がCPU102のNMI端子へ入力されたときにメイン制御基板44が実行する停電処理を示すフローチャートである。
【0084】
停電信号がCPU102のNMI端子へ入力されると、CPU102は、まずステップS10にて各レジスタ及びI/O等の値をスタックエリアへ書き込み、ステップS12へ移行してスタックポインタの値をRAM104のバックアップエリアへ書き込んで記憶保存する。次にステップS14へ移行して、CPU102は、停電が発生したときの遊技に係わる諸情報(データ)をRAM104のバックアップエリアへ書き込み、遊技機1において電源が遮断された時の遊技状態を記憶保存する。
【0085】
そしてステップS16へ移行して、CPU102は、停電処理が実行されたことを示すバックアップフラグをオンにして、ステップS18へ移行してRAM104へのアクセスを禁止した後、無限ループとする。そして前述のリセット信号(ハイレベルからローレベルに立ち下がる)を受信すると、CPU102の動作は完全に停止し、これにより停電処理が終了する。
【0086】
図7は、電源スイッチ55オン操作または停電の復帰により遊技機1へ電源が投入されたときにメイン制御基板44が実行する電源投入処理を示すフローチャートである。この電源投入処理は、CPU102のリセット端子に入力されていたリセット信号の送出が停止されたとき(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)、CPU102が起動して開始される。
【0087】
この電源投入処理が開始されると、CPU102は、まずステップS20にて割込禁止に設定し、ステップS21に移行してRAM104をアクセス可能な状態に設定する。そしてステップS22に移行して、初期化処理を実行する。この初期化処理では、例えばスタックポインタやI/Oに指定アドレスを設定したり、RAM104のワークエリア(例えばカウンタやバッファ、ポインタ等)に初期値を設定する。即ち、このステップS22の初期化処理は、前述した実際の初期設定等のプログラム処理に相当する。
【0088】
そしてステップS22の初期化処理を終えると、CPU102は、ステップS24に移行して遅延処理を実行する。図8は、メイン制御基板44が実行する遅延処理を示すフローチャートである。この遅延処理が開始されると、CPU102は、まずステップS25にて、カウンタAとして、例えば汎用のレジスタ等に前記遅延時間TA(8秒)に相当する値を設定する。そしてステップS26に移行して、CPU102は、カウンタAの値をディクリメント(1減算)する処理を実行し、ステップS27に移行して、ここでカウンタAの値が0になったか否かを判定する。
【0089】
そしてカウンタAの値が0になっていなければ(ステップS27にてNO)、CPU102は、再度ステップS26及びステップS27の処理を実行し、これは、カウンタAの値が0になるまで繰り返す。そして、ステップS27にてYES、即ちカウンタAの値が0になったときは、CPU102は、遅延時間TAが経過したとして、この遅延処理を終了する。
【0090】
つまり、この遅延処理では、ステップS25にてカウンタAに設定される値(正の整数)は、遅延時間TAをステップS26及びステップS27の実行時間で除した値にほぼ等しいもので、従って図8に示すステップS26及びステップS27の処理により、遅延時間TAがソフトウェアによって作成されることになる。そして、前記ステップS22の初期化処理後に実行されるこの遅延処理により、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を時間TAだけ遅延させることができる。
【0091】
図7に戻って、ステップS24の遅延処理を終えると、CPU102は、ステップS29に移行して、RAMクリア信号が入力されているか否か、即ち電源基板36に設けられているRAMクリアスイッチ60がオン操作されているか否かを判定する。そしてRAMクリア信号が入力されておらずステップS29にてNOと判定した場合には、CPU102は、ステップS30に移行して、上記停電処理が実行されたことを示すバックアップフラグがオンになっているか否かを判定する。そしてステップS30にてYES、即ちバックアップフラグがオンになっていると判定された場合には、CPU102は、ステップS60に移行して電源復帰処理を実行する。この電源復帰処理については後述する。
【0092】
一方、RAMクリア信号が入力されておりステップS29にてYESと判定した場合には、ステップS30をスキップして、即ちバックアップフラグがオンになっているか否かにかかわらず、CPU102は、ステップS32に移行してRAM104の記憶内容を消去するRAMクリアの処理を実行する。即ち、CPU102は、ステップS24の遅延処理を終えた時に、RAMクリアスイッチ60がオン操作されていれば、RAM104の記憶内容を消去するのである。
【0093】
そしてステップS33に移行して、CPU102は、タイマ割込を設定し(本実施形態では4ms毎に繰り返し発生するよう設定される)、ステップS34に移行して上記ステップS20において実行した割込禁止の処理を解除して、割込を許可する。そして以降CPU102は、タイマ割込がある毎に、つまり4ms毎にステップS36の遊技制御処理を繰り返し実行する。
【0094】
図9は、メイン制御基板44が実行する遊技制御処理を示すフローチャートである。CPU102は、タイマ割込(4msec)毎にROM103に記憶されている各プログラム、即ち、以下に説明するS40〜S50の各処理を実行する。この遊技制御処理が開始されると、CPU102は、まずステップS40にて乱数更新処理を実行する。この乱数更新処理では、例えば大当りを発生させるか否かを抽選する大当り乱数カウンタ、特別図柄表示装置6の左図柄表示部8、中図柄表示部9、右図柄表示部10に確定表示させる特別図柄を決定する特別図柄決定乱数カウンタ、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定用カウンタ、当りを発生させるか否かを抽選する当り乱数カウンタ、普通図柄表示装置18に確定表示させる普通図柄を決定する普通図柄決定乱数カウンタ等に用いられる乱数を更新する。これら乱数の更新は、例えば割込毎にインクリメント(1加算)され、所定の値になったらリセットされるような手段が用いられる。
【0095】
ステップS40の乱数更新処理を終えると、CPU102は、ステップS42に移行して普通図柄遊技処理を実行し、次にステップS44に移行して当り処理を実行する。普通図柄遊技処理及び当り処理では、遊技球が普通図柄作動ゲート19を通過したことに基づいて、作動ゲート検出センサ121からの普通図柄変動開始信号により普通図柄表示装置18に普通図柄としての数字(例えば1〜9)を変動表示させ、所定の数(例えば7)が確定表示された場合に当りとなり、始動入賞口11としての電動チューリップの羽根を所定時間開放する処理を実行する。なお、普通図柄が変動表示中に普通図柄作動ゲート19を通過した遊技球は保留球となり、この保留球を最高4個まで記憶し、4つの保留LED26を順次点灯または消灯して、遊技者に当該普通図柄の変動表示が終了後、後何回当り抽選が行われるかを遊技者に報知するようになっている。
【0096】
そしてCPU102は、ステップS46に移行して特別図柄遊技処理を実行し、次にステップS48に移行して大当り処理を実行する。特別図柄遊技処理及び大当り処理では、CPU102は、遊技球が始動入賞口11へ入賞したことに基づいて、始動入賞検出センサ116からの特別図柄変動開始信号により特別図柄表示装置6に所定の変動パターンにて3つの特別図柄をスクロール表示し、所定時間経過後に左図柄表示部8、中図柄表示部9、右図柄表示部10に所定の特別図柄が確定表示された場合に大当りとなり、大入賞口(アタッカ)7を所定の態様で開口する大当り遊技を実行する(例えば大入賞口7を、30秒または遊技球が10個入賞するまで開口し、大入賞口7内の特定領域を遊技球が通過したら、その開口を最高で16回繰り返すような処理)。なお、特別図柄がスクロール表示中に始動入賞口11へ入賞した遊技球は保留球となり、この保留球を最高4個まで記憶し、4つの保留LED25を順次点灯または消灯して、遊技者に当該特別図柄のスクロール表示が終了後、後何回大当り抽選が行われるかを遊技者に報知するようになっている。
【0097】
ここで大当りとなる特別図柄の組合せには、次回の大当りが発生するまで大当りになる確率が飛躍的に上昇して高確率状態(所謂確率変動状態)となる特定大当図柄が含まれている。例えば、本遊技機1において特別図柄を「1〜14」の数字図柄としたとき、大当りになる特別図柄の組合せとしては「1、1、1」〜「14、14、14」を設定し、そのうち奇数のゾロ目の数字図柄(「1、1、1」「3、3、3」「5、5、5」「7、7、7」「9、9、9」「11、11、11」「13、13、13」)は特定大当図柄、それ以外の偶数のゾロ目の数字図柄(「2、2、2」「4、4、4」「6、6、6」「8、8、8」「10、10、10」「12、12、12」「14、14、14」)は通常大当図柄として設定する。
【0098】
特別図柄表示装置6に特定大当図柄が確定表示されると、当該大当り遊技の終了後、乱数の変更処理等により大当り及び当り確率が上昇し、特別図柄のスクロール表示時間及び普通図柄の変動表示時間が短縮し、さらに始動入賞口11としての電動チューリップの開放時間が延長し、即ち遊技者にとって極めて有利な遊技状態(確率変動状態)が発生し、この遊技状態は、次の大当りが発生するまで継続されるようになっている。一方、通常大当図柄が確定表示された場合には、当該大当り遊技の終了後は通常の遊技状態に戻るようになっている。なお、通常大当図柄が確定表示された場合には、その後特別図柄のスクロール表示が所定回数(例えば100回)実行されるまで、上記特定大当図柄が確定表示された場合の特典のうち、大当り確率の上昇以外の特典を付与するようにしてもよい(所謂時短状態)。
【0099】
ステップS48の大当り処理を終えると、CPU102は、ステップS50に移行してその他処理を実行する。このステップS50のその他処理においては、上記ステップS40〜ステップS48の処理以外にも様々な処理が実行されており、例えば遊技球の入賞により所定数の賞球を払い出す処理や、遊技状態に合わせて遊技効果ランプ15等を所定の態様に点灯制御したり効果音等をスピーカ113より拡声する処理や、外部情報端子109から大当り処理中や遊技状態が高確率状態になっていることを示す信号等を、遊技機1外部の図示しないホール管理コンピュータ等に出力する処理等が挙げられる。
【0100】
図7に戻って、次に、ステップS30にてYESと判定された場合に実行される電源復帰処理を説明する。即ちステップS30にてYESと判定された場合には、ステップS60の電源復帰処理が実行されて、メイン制御基板44の各状態を電源が遮断される直前の状態に復帰させる。図10は、メイン制御基板44が実行する電源復帰処理を示すフローチャートである。この電源復帰処理が開始されると、CPU102はまずステップS62にて、前記停電処理のステップS16でRAM104に記憶保持したバックアップフラグをクリアし、次にステップS64に移行して、RAM104のバックアップエリアからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込む。
【0101】
そしてステップS66に移行して、CPU102は、スタックエリアへ退避した各レジスタ及びI/O等の値を読み出して、これらの値を元のレジスタ及びI/O等へ書き込み、ステップS68に移行して、割込の状態を電源が遮断される前(停電前)の状態に戻し(割込処理の戻り番地を設定)、RAM104のバックアップエリアに記憶保持していた停電が発生したときの遊技に係わる諸情報(データ)に基づいて、上記ステップS36の遊技制御処理を、電源が遮断される直前の状態から再開する。従ってこの電源復帰処理により、例えば、遊技状態が大当り遊技状態や高確率状態(確率変動状態)の途中に停電が発生したのであれば、電源復帰後その続きの遊技状態から再開でき、これにより遊技者は、不測の不利益を回避できる。
【0102】
次に、ランプ制御基板37が実行するRAMクリア報知処理について説明する。図11は、ランプ制御基板37のCPU70が実行するRAMクリア報知処理を示すフローチャートである。このRAMクリア報知処理は、CPU70のリセット端子に入力されていたリセット信号の送出が停止されたとき(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)、CPU70が起動して開始される。
【0103】
このRAMクリア報知処理がされると、CPU70は、まずステップS80にて初期化処理を実行する。この初期化処理は、前述した電源投入処理におけるステップS22の初期化処理と同様であるので、ここでの説明は省略する。なお、このステップS80の初期化処理は、前述した実際の初期設定等のプログラム処理に相当する。
【0104】
そしてステップS80の初期化処理を終えると、CPU70は、ステップS81へ移行して、メイン制御基板44と同様な遅延処理を実行する。図12は、ランプ制御基板37が実行する遅延処理を示すフローチャートである。この遅延処理が開始されると、CPU70は、まずステップS82にて、カウンタBとして、前記と同様に汎用のレジスタ等に前記遅延時間TB(3秒)に相当する値を設定する。そしてステップS83に移行して、CPU70は、カウンタBの値をディクリメント(1減算)する処理を実行し、ステップS84に移行して、ここでカウンタBの値が0になったか否かを判定する。
【0105】
そしてカウンタBの値が0になっていなければ(ステップS84にてNO)、CPU70は、再度ステップS83及びステップS84の処理を実行し、これは、カウンタBの値が0になるまで繰り返す。そして、ステップS84にてYES、即ちカウンタBの値が0になったときは、CPU70は、遅延時間TBが経過したとして、この遅延処理を終了する。
【0106】
つまり、この遅延処理では、ステップS82にてカウンタBに設定される値(正の整数)は、遅延時間TBをステップS83及びステップS84の実行時間で除した値にほぼ等しいもので、従って図12に示すステップS83及びステップS84の処理により、遅延時間TBがソフトウェアによって作成されることになる。そして、前記ステップS80の初期化処理後に実行されるこの遅延処理により、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を時間TBだけ遅延させることができる。
【0107】
図11に戻って、ステップS81の遅延処理を終えると、CPU70は、ステップS85に移行して、LEDドライバ回路を制御して7セグメントLED75に、RAMクリアスイッチ60をオン操作するタイミングを報知するためのカウントダウン表示を実行する。このカウントダウン表示は、ステップS81の遅延処理するとほぼ同時に「4」が表示され、その後CPU70の内部タイマにより1秒経過毎に「3」「2」「1」「0」と表示される。
【0108】
従って遊技場の店員等がメイン制御基板44のRAM104をクリアするときは、7セグメントLED75に「0」が表示されたタイミングでRAMクリアスイッチ60を押下操作すれば、その約1秒経過後にメイン制御基板44の遅延時間TA(8秒)が経過するので(メイン制御基板44において見かけ上の初期設定等のプログラム処理が終了するので)、RAM104はクリアされることになる。そしてステップS86へ移行して、CPU70は、メイン制御基板44のCPU102からRAM104の記憶内容がクリアされたことを示すRAMクリア成信号がオン(入力)したか否かを判定し、ステップS86にてNO、即ちRAMクリア成信号が所定時間待っても(例えば2秒)オン(入力)されない場合には、このRAMクリア報知処理を終了する。
【0109】
一方、ステップS86にてYES、即ちRAMクリア成信号がオン(入力)した場合には、CPU70は、ステップS87へ移行して、LED76を所定の色に所定時間点灯し、RAM104の記憶内容がクリアされたことを外部に報知する。なお、このRAMクリア成信号は、RAM104がクリアされると即座にCPU70に入力されるので、7セグメントLED75に「0」が表示されてから約1秒(1秒を若干超える)後にLED76は点灯する。
【0110】
従って遊技場の店員は、LED76が点灯したことを視認することで、RAMクリアスイッチ60の押下操作を解除すればよく、つまり遊技場の店員は、RAMクリアスイッチ60を約1秒強、長くて2秒弱押下操作するだけで、確実にRAM104をクリアすることができるようになる。これにより、例えば前日に大当り確率が高確率状態のまま閉店時間を迎え、その状態で遊技機1の電源が遮断された場合や、あるいは、入荷してはじめて遊技場で使用する遊技機1(所謂新台)の場合であっても、開店前にRAM104をクリアすることにより、遊技場は不測の不利益を被ることなく、安心して遊技機1を使用することができる。そしてステップS87の処理を終えると、CPU70は、このRAMクリア報知処理を終了する。
【0111】
なお、7セグメントLED75に「0」が表示されてから所定時間(例えば2秒)経過してもLED76が点灯しないときは、RAM104のクリアに失敗したと判るので、この場合には、一旦、電源スイッチ55をオフにして遊技機1の電源を遮断し、その後電源スイッチ55をオンにして遊技機1へ電源を投入してから再び上記したようにRAMクリアスイッチ60を押下操作して、RAM104をクリアするようにすればよい。
【0112】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の遊技機1では、表示制御基板39等のサブ制御基板が高性能化され、電源投入時からサブ制御基板が全て立ち上がるまでの時間が長くなっている場合であっても、バックアップされているメイン制御基板44のRAM104をクリアするときは、RAMクリアスイッチ60を押下操作するタイミングが7セグメントLED75により適切に報知されるようになっている。
【0113】
即ち、メイン制御基板44及びランプ制御基板37は、起動すると実際の初期設定等のプログラムを実行し、その後、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を所定時間遅延する。そして、メイン制御基板44の遅延時間TAよりも、ランプ制御基板37の遅延時間TBを短く設定することで、メイン制御基板44よりもランプ制御基板37の方を所定時間(遅延時間TA−遅延時間TB)早く立ち上がらせ、この時間(遅延時間TA−遅延時間TB)を利用してランプ制御基板37が、7セグメントLED75によってRAMクリアスイッチ60を押下操作するタイミングを報知するので、従って、遊技場店員等の作業者は、RAMクリアスイッチ60を押下操作するタイミングが判るようになる。
【0114】
このように構成される本実施形態では、作業者は、電源スイッチ55とRAMクリアスイッチ60とを時間差をおいて操作できると共に、RAMクリアスイッチ60を長い時間押し続けなければいけないといった手間が省け、即ち、RAMクリアスイッチ60の操作時間が短縮され、作業性が向上する。
【0115】
特に遊技場では、RAMクリアの操作は、他の作業も集中する慌ただしい時間帯である開店前において、数多の遊技機1に対して行わなければならず極めて煩雑な作業となっているので、RAMクリアに係わる作業時間が短縮されることは、店員の作業を軽減し、極めて顕著な効果を奏する。例えば、複数の遊技機1の電源スイッチ55を順次オンにし、それから遊技機1のRAMクリアスイッチ60をランプ制御基板37の7セグメントLED75の報知に合わせて順次押下操作するようにすれば、複数の遊技機1のRAMクリアをまとめて実行することも可能になる。
【0116】
また、メイン制御基板44及びランプ制御基板37の遅延時間TA及び遅延時間TBを、ソフトウェアによるプログラム処理により設定するようにしたので、これにより遅延処理を行うためのハードウェア資源(例えば遅延回路)が不要となり、開発者の回路設計を容易にすると共に、コストダウンがはかれる。さらに、ハードウェア資源が不要になることで、このRAMクリアスイッチ60を押下操作するタイミングの報知に係わる基板のサイズを最小限にして(本実施形態ではランプ制御基板37に相当)、これにより遊技機1の限られたスペースを有効に活用することが可能となる。またさらに、遅延時間の設定変更を行うときでも、簡単なプログラムの変更で容易に実行することができるので、極めて使い勝手がよい。
【0117】
以上、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があっても本発明に含まれる。
【0118】
例えば、本実施形態では、ランプ制御基板37は、7セグメントLED75にまず「4」を表示し、その後1秒経過する毎に「3」「2」「1」「0」とカウントダウン表示を実行して、「0」が表示されたタイミングでRAMクリアスイッチ60を押下操作させるようにしたが、つまりランプ制御基板37は、RAMクリアスイッチ60を押下操作させるタイミングの約5秒前から報知するようにしたが、これは、何秒前から報知するかは適宜設定すればよい。但し、あまり短いとタイミングを失するので、望ましくは3秒以上あったほうがよい。
【0119】
また、カウントダウンの表示形態はこれに限らず、一般的に理解可能な形態であればどのような表示形態であってもよく、逆にカウントアップのような表示形態であってもよい。またこれらの場合、7セグメントLED75に変えて、液晶表示器等の表示器を採用するようにしてもよい。例えば、単純に複数のLEDを並べて、順次消灯または点灯してカウントダウン(またはカウントアップ)するような表示形態であってもよい。さらに、このような表示形態を予め複数設けておき、切り換えスイッチ等で所望の表示形態を選択できるようにしてもよい。
【0120】
また、本実施形態では、ランプ制御基板37に7セグメントLED75とLED76を設けるようにしたが、これはランプ制御基板37と別体で設けるようにしてもよく、さらにランプ制御基板37の役目を他のサブ制御基板38、39、40、42に行わせるようにしてもよい。
【0121】
また、本実施形態では、RAMクリアスイッチ60の押下操作によりRAMクリア信号がメイン制御基板44のCPU102に入力されてRAM104がクリアされることになるが、このRAMクリア信号は、電源スイッチ55のオン操作時にしかCPU102に受け付けられないようにしてもよい。つまりRAMクリアスイッチ60は、電源スイッチ55のオン操作時以外に操作しても無効にするのである。そもそもRAM104をクリアするときは、上述したように前日に大当り確率が高確率状態のまま閉店時間を迎えたとき等、管理上、RAM104がバックアップされている遊技機1を前日の状態から連続していない状態にしておきたいからである。
【0122】
しかしながら、いつでもRAM104をクリアできる機能を付加した場合、誤ってRAMクリアスイッチ60を操作してRAM104をクリアしてしまうと、その時点で遊技機1の状態が初期状態に戻ってしまい、取り返しのつかない極めて重大な事になる(例えば、大当り遊技中に停電が発生し、その後復電したときに誤ってRAMクリアスイッチ60を操作してしまうとき等)。そこで、このようなRAMクリアスイッチ60の誤操作をなくすために、RAMクリアスイッチ60は、電源スイッチ55のオン操作時以外に操作しても無効にするのである。
【0123】
何故なら、RAMクリアスイッチ60の操作は、開店前の時間に行われるのが殆どであり、当然、開店前には遊技機1に電源を投入すべく電源スイッチ55をオン操作することになるからである。具体的には、例えば電源スイッチ55をオン操作したことに基づいてメイン制御基板44のCPU102にRAMクリア許容信号を出力し、CPU102にRAMクリアスイッチ60からのRAMクリア信号がオンとなっている状態で、このRAMクリア許容信号が入力されたときにメイン制御基板44のRAM104をクリアするようにすればよい。
【0124】
また、本実施形態では、ランプ制御基板37は、RAM104がクリアされたときは、メイン制御基板44からのRAMクリア成信号を受けてLED76を所定の色(例えば赤)に所定時間(例えば5秒)点灯して操作者にその旨を報知し、一方、RAM104がクリアされなかったときは、LED76は消灯のまま何も変化しないようにしたが、これは、LED76の色や点灯態様等(点灯、消灯、点滅等)を適宜選択することで種々設定できる。
【0125】
例えば、RAM104がクリアされなかったときでも、LED76を所定の色(例えば青)に所定時間(例えば5秒)点灯して操作者にその旨を報知するようにしてもよい。具体的には、LED76を2色発光可能なものとしたり、あるいは、LED76と異なる発光色のLEDを1個追加するようにすればよい。
【0126】
さらには、このようなLED76の役目を7セグメントLED75にさせてもよく、例えば、RAM104がクリアされときは「A」を点灯表示し、RAM104がクリアされなかったときは「H」を点滅表示させるというように、所定の文字や数字等を表示させたり、点灯態様を変えたりするようにすればよい。この場合には、結果としてLED76を設けなくてもよく、コストダウンがはかれる。
【0127】
また、メイン制御基板44やサブ制御基板37、38、39、40、42には、CPU、ROM、RAMをそれぞれ別体に設けるマイクロコンピュータの例を示したが、これらは全て一体型のワンチップとしたものを採用してもよく、あるいは、例えばCPUとRAMのみを一体型にしたような(所謂内蔵RAM型CPU)、所定のメモリとCPUとを一体型にしたチップを採用するようにしてもよい。
【0128】
なお、以上説明した本発明の遊技機1は、パチンコ遊技機、スロットル遊技機、アレンジ遊技機、ジャン球遊技機、ピンボール遊技機等、CPU、ROM、RAM等を中心としたマイクロコンピュータが搭載される様々な遊技機で適用することができる。
【0129】
次に、遊技機1の他の実施形態について説明する。この実施形態では、7セグメントLED75及びLED76の役目を、既存の遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26にさせるもので、従って、前記した図4において7セグメントLED75及びLED76は省略されることになる。つまり本実施形態は、ランプ制御基板37が遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26を所定の態様に点灯制御して、RAMクリアスイッチ60の押下操作するタイミングを報知する例である。なお、本実施形態において前述した構成と同様な構成については、ここでの説明を省略する。
【0130】
図13は、電源投入時のメイン制御基板44、ランプ制御基板37、遊技効果ランプ15、保留LED25、保留LED26及びRAMクリアスイッチ60の動作状態を示すタイミングチャートである。電源スイッチ55がオン操作されて遊技機1に電源が投入されると、前述と同様にメイン制御基板44及びランプ制御基板37は、リセット信号の送出が停止されて起動した後に、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、遅延時間TA(8秒)及び遅延時間TB(3秒)を設定する。
【0131】
そして遅延時間TB(3秒)が経過した時、ランプ制御基板37は、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26を、約0.3秒点灯後0.7秒消灯する動作を3回繰り返す。つまり、これは、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26が3秒間に3回点灯する動作となる。そして、ランプ制御基板37は、次に遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26を、0.1秒の点滅させる動作を2秒間繰り返す。従って、この0.1秒の点滅動作が開始された時点は、メイン制御基板44の遅延時間TAが経過する約2秒前となる。即ちメイン制御基板44において見かけ上の初期設定等のプログラム処理が終了する約2秒前に、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26は点滅動作を開始する。
【0132】
従って、遊技場の店員等がメイン制御基板44のRAM104をクリアする場合には、この遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26の点灯態様に合わせ、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26が点滅動作を開始したら、RAMクリアスイッチ60を押下操作すればよい。但し、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26が点滅動作を開始したら、即座にRAMクリアスイッチ60を押下操作するのは困難であるので、図13においては、この点滅動作の開始から1秒経過した時点でRAMクリアスイッチ60を押下操作した例が示してある。つまり、この理由により、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26の点滅動作時間を2秒とし、この点滅動作時間に余裕を持たせているのである。
【0133】
そしてRAMクリアスイッチ60が押下操作されている間に(RAMクリア信号が継続して送出されている間に)、メイン制御基板44の遅延時間TAが経過してメイン制御基板44が立ち上がると、RAM104に記憶保持されている記憶内容はクリア(初期化)される。つまり、本実施形態では、RAMクリアスイッチ60を押下操作してから約1秒経過後に、メイン制御基板44のRAM104の記憶内容はクリアされることになる。
【0134】
そしてRAM104の記憶内容がクリアされると、メイン制御基板44のCPU102は、ランプ制御基板37のCPU70の図示しない入力回路に、RAM104の記憶内容がクリアされたことを示すRAMクリア成信号を送出する。ランプ制御基板37のCPU70は、RAMクリア成信号を受信すると、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26を所定時間(例えば5秒)点灯し、RAM104の記憶内容がクリアされたことを外部に報知する。
【0135】
従って、この遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26が点灯したことを確認した後に、RAMクリアスイッチ60の押下操作を解除すればよく、本実施形態では、遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26が点灯してから約1秒経過後にRAMクリアスイッチ60の押下操作を解除した場合を示している。即ち、本実施形態では、RAMクリアスイッチ60の押下操作を約2秒という短い時間実行するだけで、確実にメイン制御基板44のRAM104の記憶内容をクリアすることが可能となる。
【0136】
このように、本実施形態では、ランプ制御基板37により既存の遊技効果ランプ15、保留LED25及び保留LED26の点灯態様を制御して、RAMクリアスイッチ60を押下操作するタイミングを報知するようにしたので、遊技機1に新たな報知装置を加える必要がなく、従って遊技機1の構成が簡易となりコストダウンがはかれると共に、遊技機1の限られたスペースをさらに有効に活用することが可能となる。
【0137】
さらに、遊技機1の他の実施形態について、図14を参照しながら説明する。図14は、メイン制御基板44、払出制御基板40、ランプ制御基板37及び電源基板36の主な回路構成を示したブロック図である。この実施形態では、メイン制御基板44のRAM104に加え、払出制御基板40のRAM212もバックアップされ、バックアップされたRAM212の記憶内容もRAMクリアスイッチ60の押下操作により消去されるようになっている。なお、本実施形態においても前述した構成と同様な構成については、ここでの説明を省略する。
【0138】
図14を参照して、電源監視回路57は電源回路56の主電源の電圧が所定電圧V1以下に降下すると、メイン制御基板44及び払出制御基板40のCPU102及びCPU210両者のNMI端子に停電信号を送出する。即ち電源監視回路57は、不測の停電時や電源スイッチ55オフ操作時等により遊技機1への電源が遮断されたとき、メイン制御基板44と払出制御基板40とに停電信号を送出する。
【0139】
また、バックアップ電源回路59は、メイン制御基板44及び払出制御基板40のRAM104及びRAM212両者に接続されており、電源監視回路57からの停電信号を受信するとRAM104及びRAM212両者にバックアップ用電源を供給する。即ちバックアップ電源回路59は、不測の停電時や電源スイッチ55オフ操作時等により遊技機1への電源が遮断されたときに、メイン制御基板44のRAM104と払出制御基板40のRAM212とをバックアップする。
【0140】
払出制御基板40は、メイン制御基板44及びランプ制御基板37と同様に、リセット信号の送出が停止されて起動した後に、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を所定時間遅延する遅延処理を実行するようになっており(図8及び図12参照)、この払出制御基板40が設定するここでの遅延時間TCは約7秒となる。この遅延時間TCは、上記したメイン制御基板44が設定する遅延時間TA(8秒)よりも約1秒短い時間となる。
【0141】
つまり、払出制御基板40は、メイン制御基板44が立ち上がる前の約1秒前に立ち上がってメイン制御基板からのコマンドを受信できる状態になる。また払出制御基板40のCPU210は、電源基板36に設けられたRAMクリアスイッチ60によりRAMクリア信号が入力され、それによりRAM212に記憶保持されている記憶内容がクリア(初期化)されたときは、RAMクリア成信号をランプ制御基板37のCPU70へ送出する。
【0142】
さらに、ランプ制御基板37のCPU70には、上記した7セグメントLED75及びLED76に加えて、図示しない音声合成ICやアンプ等を介してスピーカ225が接続されており、このスピーカ225からRAMクリアスイッチ60をオン操作するタイミングや、メイン制御基板44及び払出制御基板40のRAM104及びRAM212がクリアされたことを、音声により外部に報知する。これらの関係について図15を用いて説明する。
【0143】
図15は、電源投入時のメイン制御基板44、払出制御基板40、ランプ制御基板37及びRAMクリアスイッチ60の動作状態を示すタイミングチャートである。電源スイッチ55がオン操作されて遊技機1に電源が投入されると、前述と同様にメイン制御基板44、払出制御基板40及びランプ制御基板37は、リセット信号の送出が停止されて起動した後に、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、遅延時間TA(8秒)、遅延時間TC(7秒)及び遅延時間TB(3秒)を設定する。つまり払出制御基板40は、ランプ制御基板37が立ち上がってから約4秒後に立ち上がり、一方、メイン制御基板44は、ランプ制御基板37が立ち上がってから約5秒後(払出制御基板40が立ち上がってから約1秒後)立ち上がる。
【0144】
ランプ制御基板37は、遅延時間TB(3秒)が経過した時、7セグメントLED75に「3」を表示し、その後1秒経過する毎に「2」「1」「0」とカウントダウン表示を実行する。さらにランプ制御基板37は、スピーカ225から、7セグメントLED75に「3」が表示されると同時に「3」と発音し、その後1秒経過する毎に「2」「1」「0」と発音する。つまり、7セグメントLED75の表示に同期して、スピーカ225から7セグメントLED75の表示内容が発音される。
【0145】
従って、遊技場の店員等がメイン制御基板44のRAM104及び払出制御基板40のRAM212をクリアする場合には、この7セグメントLED75のカウントダウン表示またはスピーカ225からの発音に合わせ、7セグメントLED75に「0」が表示されたタイミングまたはスピーカ225から「0」が発音されたタイミングでRAMクリアスイッチ60を押下操作すればよい。
【0146】
そしてRAMクリアスイッチ60が押下操作されている間に(RAMクリア信号が継続して送出されている間に)、まず払出制御基板40の遅延時間TC(7秒)が経過して払出制御基板40が立ち上がると、RAM212に記憶保持されている記憶内容はクリア(初期化)され、次にメイン制御基板44の遅延時間TA(8秒)が経過してメイン制御基板44が立ち上がると、RAM104に記憶保持されている記憶内容はクリア(初期化)される。つまり、本実施形態では、RAMクリアスイッチ60を押下操作してから約1秒経過後に、払出制御基板40のRAM212の記憶内容がクリアされ、それから約1秒経過後に、メイン制御基板44のRAM104の記憶内容がクリアされることになる。
【0147】
そしてRAM212の記憶内容がクリアされると、払出制御基板40のCPU210は、ランプ制御基板37のCPU70にRAM212の記憶内容がクリアされたことを示すRAMクリア成信号を送出し、RAM104の記憶内容がクリアされると、メイン制御基板44のCPU102は、ランプ制御基板37のCPU70にRAM104の記憶内容がクリアされたことを示すRAMクリア成信号を送出する。つまり、ランプ制御基板37には、まず払出制御基板40からのRAMクリア成信号が入力され、その約1秒経過後にメイン制御基板44からのRAMクリア成信号が入力される。
【0148】
ランプ制御基板37のCPU70は、メイン制御基板44からのRAMクリア成信号を受信すると、LED76を所定の色に所定時間点灯し、RAM104及びRAM212の記憶内容がクリアされたことを外部に報知する。また、このLED76の点灯と同時にスピーカ225から、例えば「RAMは正常にクリアされました」というような音声を発音させる。従って、このLED76の点灯またはスピーカ225からのRAMがクリアされた旨の音声を確認したら、RAMクリアスイッチ60の押下操作を解除すればよく、本実施形態では、LED76が点灯してから約1秒経過後にRAMクリアスイッチ60の押下操作を解除した場合を示している。
【0149】
即ち、本実施形態では、RAMクリアスイッチ60の押下操作を約3秒という短い時間、且つ一回の操作を実行するだけで、確実にメイン制御基板44のRAM104と払出制御基板40のRAM212の記憶内容を一度にクリアすることが可能となる。しかも、RAMクリアスイッチ60の押下操作するタイミングを表示と音声の両者で誘導しているので、作業者のRAMクリアに失敗する確率が低くなる。さらに、遊技機1の裏面に設けられたランプ制御基板37にスピーカ225を設けたので、既存の遊技機1の表面に設けられたスピーカ113を使用する場合にくらべて、作業者は音が聞き取りやすい(何故なら、既存のスピーカ113は、遊技者が聞き取りやすいように遊技機1表面に対して発音するようになっているため)。
【0150】
なお、本実施形態では、メイン制御基板44が起動する約1秒前に払出制御基板40を起動させたが、この1秒という設定時間は、払出制御基板40が立ち上がる時間を考慮して適宜設定すればよい(望ましくはできるだけ短い時間)。即ち、この設定時間は、払出制御基板40が、メイン制御基板44が立ち上がる前に立ち上がってメイン制御基板からのコマンドを受信可能な状態になれる最も短い時間が望ましく、例えば払出制御基板40の立ち上がりにかかる時間より若干長い時間に設定するのがよい。
【0151】
また、本実施形態では、一つのRAMクリアスイッチ60だけでメイン制御基板44のRAM104と払出制御基板40のRAM212の記憶内容を一度にクリアするようにしたが、これは、メイン制御基板44のRAM104と払出制御基板40のRAM212をそれぞれクリアする別個の(二つの)RAMクリアスイッチを電源基板36に設けるようにしてもよい。
【0152】
また、本実施形態では、メイン制御基板44のRAM104に加えて払出制御基板40のRAM212をバックアップすると共に、これらRAM104及びRAM212の記憶内容をクリアできるようにしたが、これは、払出制御基板40のRAM212に変えて、もしくは、さらに加えて、その他のサブ制御基板(例えば音声制御基板38、表示制御基板39、発射制御基板42)のRAMをバックアップすると共に、このRAMの記憶内容をクリアできるようにしてもよい。
【0153】
また、本実施形態では、7セグメントLED75及びLED76に加えてスピーカ225を設け、これらによりRAMクリアスイッチ60の押下操作するタイミングやRAMがクリアされたことを外部に報知するようにしたが、これは、7セグメントLED75及びLED76に変えて、スピーカ225のみで報知するようにしてもよいし、あるいは、7セグメントLED75とスピーカ225の組合せや、LED76とスピーカ225の組合せにしてもよい。さらには、これらの選択を、切り換えスイッチ等で操作者が自由に選択できるようにしてもよい。
【0154】
次に、上述したように、メイン制御基板44のRAM104に加え、払出制御基板40のRAM212もバックアップする場合の実施形態に係わり、メイン制御基板44が実行する遅延処理の他の実施形態について説明する。図16は、メイン制御基板44が実行する他の実施形態の遅延処理を示すフローチャートである。
【0155】
この遅延処理が開始されると、CPU102は、まずステップS90にて、カウンタDとして、上記と同様に汎用のレジスタ等に遅延時間TA(8秒)に相当する値を設定する。そしてステップS91に移行して、CPU102は、カウンタDの値をディクリメント(1減算)する処理を実行し、ステップS92に移行して、賞球払出装置41から払い出された賞球や貸球としての遊技球をカウントする払出球検出センサ124のチェック処理を実行し、ステップS93に移行して、払出球検出センサ124のチェック結果に基づいて、記憶している未払いの総払出球数から実際に払出された賞球や貸球を減算する払出球数減算処理を実行する。
【0156】
そしてステップS94に移行して、CPU102は、ここでカウンタDの値が0になったか否かを判定する。そしてカウンタDの値が0になっていなければ(ステップS94にてNO)、CPU102は、再度ステップS91〜ステップS94の処理を実行し、これは、カウンタDの値が0になるまで繰り返す。そして、ステップS94にてYES、即ちカウンタDの値が0になったときは、CPU102は、遅延時間TAが経過したとして、この遅延処理を終了する。つまり、この遅延処理では、ステップS90にてカウンタDに設定される値(正の整数)は、遅延時間TAをステップS91〜ステップS94の実行時間で除した値にほぼ等しいもので、従って図16に示すステップS91〜ステップS94の処理により、遅延時間TAがソフトウェアによって作成されることになる。
【0157】
ここで、この遅延処理においては、ステップS92の払出球検出センサ124のチェック処理及びステップS93の払出球数減算処理を実行しているのが特徴となっているが、これは次の理由からによる。即ち、不測の停電等が復旧復帰したとき、遊技者に不利益を与えないように、未払いの賞球や貸球を精算することは重要な課題であり、この課題を解決すべく払出制御基板40のRAM212をバックアップするのであるが、この払出制御基板40のRAM212もバックアップする構成では、メイン制御基板44が立ち上がる前に、RAM212に記憶されていた未払いの総払出球数に基づいて払出制御基板40が賞球払出装置41を駆動制御し、賞球や貸球の払出制御を行ってしまう可能性がある。
【0158】
そこで、メイン制御基板44が立ち上がる前の遅延処理において、ステップS92の払出球検出センサ124のチェック処理及びステップS93の払出球数減算処理を実行すれば、このような場合でも、メイン制御基板44は正確な未払いの総払出球数を把握することができ、これによりメイン制御基板44は、以後の処理において、遊技場と遊技者双方に不利益を与えることなく適切に実行することができる。
【0159】
さらに、遊技機1の他の実施形態について、図17を参照しながら説明する。図17は、メイン制御基板44、ランプ制御基板37及び電源基板36の主な回路構成を示したブロック図である。この実施形態では、メイン制御基板44にサブCPU250を設け、このサブCPU250にて電源基板36に設けられたリセット回路58からのリセット信号を受信し、このリセット信号をソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって所定時間遅延させて、メイン制御基板44及びランプ制御基板37のリセット端子に送出し、メイン制御基板44及びランプ制御基板37の起動を所定時間遅延させるようにした例である。なお、本実施形態においても前述した構成と同様な構成については、ここでの説明を省略する。
【0160】
図17を参照して、リセット回路58は、停電の復旧復帰時や電源スイッチ55オン操作時(電源投入時)等に、電源回路56の主電源電圧が未だ所定電圧V1以下になっている状態では、サブCPU250のリセット端子及びサブ制御基板38、39、40、42のCPUのリセット端子にリセット信号を送出(ローレベルの信号を出力)し、一方、主電源電圧が所定電圧V1より上昇したとき当該リセット信号の送出を停止する(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)ようになっている。そしてサブCPU250及びサブ制御基板38、39、40、42は、リセット信号の送出が停止されると起動する。
【0161】
また、サブCPU250は、リセット回路58からリセット信号が送出(ローレベルの信号を出力)されたときは、そのままスルーさせてメイン制御基板44及びランプ制御基板37のCPU102及びCPU70のリセット端子に入力させ、一方、リセット回路58からリセット信号の送出が停止(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)されたときは、所定時間遅延させてから当該リセット信号の送出を停止させるようになっている。
【0162】
サブCPU250は、リセット信号の送出が停止されて起動すると、前述した電源投入処理(図7)におけるステップS22の初期化処理と同様な初期設定等のプログラム処理を実行する。そして、この初期設定等のプログラム処理を終えると、次にサブCPU250は、前述したメイン制御基板44及びランプ制御基板37のCPU102及びCPU70が実行した遅延処理と同様な遅延処理を実行する。
【0163】
図18は、サブCPU250が実行する遅延処理を示すフローチャートである。この遅延処理が開始されると、サブCPU250は、まずステップS100〜ステップS102の処理を実行する。このステップS100〜ステップS102の処理は、前述したランプ制御基板37のCPU70が実行する遅延処理(図12)と同じ処理であり、これらの処理を実行することで、遅延時間TB(3秒)がソフトウェアによって作成されることになる。つまり、サブCPU250は、初期設定等のプログラム処理後に実行されるこの遅延処理のステップS100〜ステップS102の処理により、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を時間TBだけ遅延させることができる。
【0164】
そしてステップS100〜ステップS102の処理により遅延時間TBを作成すると、サブCPU250は、ステップS103に移行して、ランプ制御基板37のCPU70のリセット端子へのリセット信号の送出を停止する(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)。これによりランプ制御基板37は、電源が投入されてからほぼ遅延時間TBだけ遅延されて起動する。
【0165】
ステップS103を終えると、サブCPU250は、ステップS104に移行して、ここでカウンタDとして、前述と同様に汎用のレジスタ等に遅延時間TD(5秒)に相当する値を設定する。この遅延時間TDは、前述したメイン制御基板44が実行する遅延処理(図8)にて作成された遅延時間TA(8秒)から遅延時間TB(3秒)を減算した時間となっている。
【0166】
ステップS104を終えると、サブCPU250は、上記ステップS101及びステップS102の処理と同様にステップS105及びステップS106の処理を実行し、これにより遅延時間TD(5秒)がソフトウェアによって作成されることになる。つまり、サブCPU250は、初期設定等のプログラム処理後に実行されるこの遅延処理のステップS100〜ステップS106の処理により、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を時間TBと時間TDとを加算した時間(8秒)だけ遅延させることができる。
【0167】
そしてステップS104〜ステップS106の処理により遅延時間TDを作成すると、サブCPU250は、ステップS107に移行して、メイン制御基板44のCPU102のリセット端子へのリセット信号の送出を停止する(ローレベルからハイレベルに立ち上がる)。これによりメイン制御基板44は、電源が投入されてからほぼ遅延時間TBと遅延時間TDとを加算した時間(8秒)だけ遅延されて起動する。これらの関係について図19を用いて説明する。
【0168】
図19は、電源投入時のメイン制御基板44、ランプ制御基板37、RAMクリアスイッチ60及びサブCPU250の動作状態を示すタイミングチャートである。電源スイッチ55がオン操作されて遊技機1に電源が投入されると、サブCPU250は、リセット信号の送出が停止されて起動した後に、上記したように、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって遅延時間TB(3秒)、及び遅延時間TD(5秒)を設定する。つまりランプ制御基板37は、電源が投入されてから約3秒後に起動し、一方、メイン制御基板44は、ランプ制御基板37が起動してから約5秒後(電源が投入されてから約8秒後)に起動する。
【0169】
そして遅延時間TB(3秒)が経過した時、ランプ制御基板37は、7セグメントLED75に「4」を表示し、その後1秒経過する毎に「3」「2」「1」「0」とカウントダウン表示を実行する。従って7セグメントLED75に「0」が表示された時点は、遅延時間TD(5秒)が経過する約1秒前となる。従って、遊技場の店員等がメイン制御基板44のRAM104をクリアする場合には、この7セグメントLED75のカウントダウン表示に合わせ、7セグメントLED75に「0」が表示されたタイミングでRAMクリアスイッチ60を押下操作すればよい。そしてRAMクリアスイッチ60が押下操作されている間に(RAMクリア信号が継続して送出されている間に)、遅延時間TD(5秒)が経過すると、RAM104に記憶保持されている記憶内容はクリア(初期化)される。
【0170】
このように、本実施形態では、サブCPU250をメイン制御基板44に設け、このサブCPU250がリセット信号の送出停止を受けて起動すると、実際の初期設定等のプログラムを実行後、ソフトウェアによる待機時間カウンタ等を設定することによって、見かけ上の初期設定等のプログラム処理の終了時期を所定時間遅延することにより、メイン制御基板44及びランプ制御基板37へのリセット信号の送出停止を遅延すせるようにしている。即ちサブCPU250のみで、電源が投入されてからメイン制御基板44及びランプ制御基板37が起動するタイミングを、それぞれ所望の時間だけ遅延させている。
【0171】
従って、このような構成による本実施形態によれば、サブCPU250のみで複数の遅延時間を作成することができるので、それぞれ個別に遅延時間を作成する場合に比べ、開発に手間がかからないと共に、遅延時間の精度を高めることができる。特に、メイン制御基板44及びランプ制御基板37以外のサブ制御基板38、39、40、42のRAM等もバックアップすることにより、RAMをクリアしたい制御基板が増えたときには、サブCPU250のみをプログラム変更すればよく、極めて使い勝手がよい。なお、サブCPU250は、メイン制御基板44以外のサブ制御基板37、38、39、40、42に設けてもよく、あるいは独立して設けるようにしてもよい。
【0172】
次に特許請求の範囲の構成と、本発明の実施形態との主な対応を説明する。
請求項1:主制御手段は、メイン制御基板44に相当し、副制御手段は、サブ制御基板(ランプ制御基板37、音声制御基板38、表示制御基板39、払出制御基板40、発射制御基板42)に相当し、電源手段は、電源基板36に相当し、遅延手段は、メイン制御基板44が実行する図8及び図16に示す遅延処理、サブCPU250が実行する図18に示す遅延処理(ステップS100〜ステップS106の処理)に相当し、記憶手段は、RAM104に相当し、バックアップ電源供給手段は、バックアップ電源回路59に相当し、クリアスイッチは、RAMクリアスイッチ60に相当し、記憶消去手段は、RAMクリアスイッチ回路61に相当し、遊技機は、遊技機1に相当し、報知装置は、7セグメントLED75、遊技効果ランプ15、保留LED25、保留LED26、スピーカ225に相当し、報知制御手段は、ランプ制御基板37に相当し、報知制御遅延処理手段は、ランプ制御基板37が実行する図12に示す遅延処理、サブCPU250が実行する図18に示す遅延処理(ステップS100〜ステップS102の処理)に相当する。
【0173】
請求項2:プッシュボタンタイプのクリアスイッチは、RAMクリアスイッチ60に相当する。
請求項3:主制御遅延処理手段は、メイン制御基板44が実行する図8及び図16に示す遅延処理、サブCPU250が実行する図18に示す遅延処理(ステップS100〜ステップS106の処理)に相当する。
【0174】
請求項4:遊技媒体払出装置は、賞球払出装置41に相当し、払出制御手段は、払出制御基板40に相当し、払出記憶手段は、RAM212に相当し、主制御遅延処理手段が実行する所定のプログラム処理は、図16に示す遅延処理に相当する。
【0175】
請求項5:報知制御手段を副制御手段としたことことは、報知制御手段をランプ制御基板37としていることに相当する。
請求項6:表示装置は、7セグメントLED75、遊技効果ランプ15、保留LED25、保留LED26に相当し、音声装置は、スピーカ225に相当し、所定の報知態様は、カウントダウン、点灯から点滅への変化による報知に相当する。
【0176】
請求項7:複数の報知態様を設けたこと及び選択手段は、本文後段の「また、カウントダウンの表示形態はこれに限らず、一般的に理解可能な形態であればどのような表示形態であってもよく、逆にカウントアップのような表示形態であってもよい。またこれらの場合、7セグメントLED75に変えて、液晶表示器等の表示器を採用するようにしてもよい。例えば、単純に複数のLEDを並べて、順次消灯または点灯してカウントダウン(またはカウントアップ)するような表示形態であってもよい。さらに、このような表示形態を予め複数設けておき、切り換えスイッチ等で所望の表示形態を選択できるようにしてもよい。」という記載に相当する。
【0177】
請求項8:報知装置は、LED76、スピーカ225、遊技効果ランプ15、保留LED25、保留LED26に相当し、記憶手段が記憶していた遊技情報が消去された旨を報知装置に報知させることは、LED76を点灯させること、スピーカ225に「RAMは正常にクリアされました」という音声を発生をさせること、及び遊技効果ランプ15、保留LED25、保留LED26を点滅から点灯に変化させることに相当する。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本実施形態の遊技機1を示す正面図である。
【図2】本実施形態の遊技機1の全体裏面を示す略図である。
【図3】本実施形態の遊技機1の主な回路構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態のメイン制御基板44とランプ制御基板37及び電源基板36の主な回路構成を示したブロック図である。
【図5】本実施形態の電源投入時のメイン制御基板44、ランプ制御基板37及びRAMクリアスイッチ60の動作状態を示すタイミングチャートである。
【図6】本実施形態のメイン制御基板44が実行する停電処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態のメイン制御基板44が実行する電源投入処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態のメイン制御基板44が実行する遅延処理を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態のメイン制御基板44が実行する遊技制御処理を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態のメイン制御基板44が実行する電源復帰処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態のランプ制御基板37が実行するRAMクリア報知処理を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態のランプ制御基板37が実行する遅延処理を示すフローチャートである。
【図13】遊技機1の他の実施形態における電源投入時のメイン制御基板44、ランプ制御基板37、遊技効果ランプ15、保留LED25、保留LED26及びRAMクリアスイッチ60の動作状態を示すタイミングチャートである。
【図14】遊技機1の他の実施形態のメイン制御基板44、払出制御基板40、ランプ制御基板37及び電源基板36の主な回路構成を示したブロック図である。
【図15】遊技機1の他の実施形態における電源投入時のメイン制御基板44、払出制御基板40、ランプ制御基板37及びRAMクリアスイッチ60の動作状態を示すタイミングチャートである。
【図16】遊技機1の他の実施形態のメイン制御基板44が実行する遅延処理を示すフローチャートである。
【図17】遊技機1の他の実施形態のメイン制御基板44、ランプ制御基板37及び電源基板36の主な回路構成を示したブロック図である。
【図18】遊技機1の他の実施形態のサブCPU250が実行する遅延処理を示すフローチャートである。
【図19】遊技機1の他の実施形態における電源投入時のメイン制御基板44、ランプ制御基板37、RAMクリアスイッチ60及びサブCPU250の動作状態を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0179】
1…遊技機、 2…打球操作ハンドル、
3…打球誘導レール、 4…遊技領域形成レール、
5…遊技領域、 6…特別図柄表示装置(LCD)、
7…大入賞口(アタッカ)、 8…左図柄表示部、
9…中図柄表示部、 10…右図柄表示部、
11…始動入賞口(電動チューリップ)、 12…打球供給皿、
13…余剰球受皿、 14…普通入賞口、
15…遊技効果ランプ、 16…アウト口、
17…ガラス扉枠、 18…普通図柄表示装置(7セグLED)、
19…普通図柄作動ゲート、 20…風車、
21…遊技盤、 22…外枠、
23…内枠、 24…戻り球防止弁、
25…保留LED、 26…保留LED、
30…報知専用制御基板、 36…電源基板、
37…ランプ制御基板、 38…音声制御基板、
39…表示制御基板、 40…払出制御基板、
41…賞球払出装置、 42…発射制御基板、
43…打球発射装置、 44…メイン制御基板、
45…ターミナル基板、 50…機構板、
51…球貯留タンク、 52…タンクレール、
53…開口部、 55…電源スイッチ、
56…電源回路、 57…電源監視回路、
58…リセット回路、 59…バックアップ電源回路、
60…RAMクリアスイッチ、 61…RAMクリアスイッチ回路、
62…遅延回路B、 63…DIPスイッチ回路、
70…CPU、 71…ROM、
72…RAM、 75…7セグメントLED、
76…LED、 78…ランプ・LED駆動回路、
101…入力回路、 102…CPU、
103…ROM、 104…RAM、
106…ソレノイド、 107…ソレノイド、
109…外部情報端子、 110…出力回路、
113…スピーカ、 115…バス、
116…始動入賞検出センサ、 117…カウントスイッチ、
119…打球操作ハンドルスイッチ、 120…打球操作ストップスイッチ、
121…作動ゲート検出センサ、 122…セーフ球検出センサ、
123…カウントスイッチ、 124…払出球検出センサ、
210…CPU、 211…ROM、
212…RAM、 225…スピーカ、
250…サブCPU、
TA、TB、TC、TD…遅延時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の制御を行う主制御手段と、
該主制御手段からの指令信号に基づいて各種遊技装置の制御を行う副制御手段と、
前記主制御手段及び前記副制御手段に所定の作動電源を生成して供給する電源手段と、
該電源手段からの電源供給開始時に、前記主制御手段を前記副制御手段よりも遅れて立ち上げる遅延手段と、
前記主制御手段の遊技制御に係わる遊技情報を記憶する記憶手段と、
前記電源手段からの電源供給が遮断された場合に、前記記憶手段にバックアップ用電源を供給するバックアップ電源供給手段と、
オン操作することによりクリア信号を前記主制御手段に出力するためのクリアスイッチと、
前記主制御手段が立ち上ったときに該クリア信号が入力されていることに基づいて、前記記憶手段が記憶している遊技情報を消去する記憶消去手段と、
を備えた遊技機において、
前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を所定の報知装置に報知させるマイクロコンピュータ等で構成される報知制御手段を備え、
該報知制御手段は、電源供給開始時の初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、前記主制御手段が立ち上がる所定時間前まで所定のプログラム処理を実行することにより遅延させる報知制御遅延処理手段を備え、
前記報知制御手段は、該報知制御遅延処理手段が実行する所定のプログラム処理が終了したとき、前記報知装置に前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知させるようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記クリアスイッチは、押下操作されている間だけオン状態となるプッシュボタンタイプであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記主制御手段及び前記副制御手段は、それぞれマイクロコンピュータを備え、
前記遅延手段は、電源供給開始時に前記主制御手段における初期設定終了後に実行されるプログラム処理の開始時期を、前記副制御手段が立ち上ってから所定時間経過するまで所定のプログラム処理を実行することにより遅延させる主制御遅延処理手段とし、
前記報知制御手段は、前記報知制御遅延処理手段が実行する所定のプログラム処理が終了したとき、前記報知装置に前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングに係わる情報を報知させるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
遊技者に遊技媒体の払出を行う遊技媒体払出装置を備え、
前記副制御手段は、該遊技媒体払出装置を制御する払出制御手段を含み、
該払出制御手段は、払出制御に係わる情報を記憶する払出記憶手段を備え、
前記バックアップ電源供給手段は、前記電源手段からの電源供給が遮断された場合に、前記払出記憶手段にもバックアップ用電源を供給するものとし、
前記主制御遅延処理手段が実行する所定の前記プログラム処理は、前記遊技媒体払出装置から払出された遊技媒体の払出数をチェックする処理としたことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記報知制御手段は、前記副制御手段としたことことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記報知装置は表示装置または/及び音声装置であるとし、前記報知制御手段は、該表示装置または/及び該音声装置に前記クリアスイッチをオン操作させるタイミングを所定の報知態様にて報知させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の遊技機。
【請求項7】
前記報知態様を予め複数設け、該複数設けた報知態様の中から所望の報知態様を選択できる選択手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記記憶消去手段により前記記憶手段が記憶していた遊技情報が消去されたときは、前記主制御手段は、前記報知制御手段にクリア成信号を出力し、
前記報知制御手段は、該クリア成信号を入力した場合には、前記記憶手段が記憶していた遊技情報が消去された旨を前記報知装置に報知させることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2007−319608(P2007−319608A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156330(P2006−156330)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000150051)株式会社竹屋 (389)
【Fターム(参考)】