説明

遊技機

【課題】画像表示装置による表示画像の見易さを維持しつつ、透明遊技盤と画像表示装置との間の空間を有効利用し、演出のバリエーションを増やし、遊技趣向性を向上する。
【解決手段】上下動可動部材206は、待機位置がLCD200の遊技者から見て左上角部であり、ここから下降するため、LCD200の表示内容を妨げることがない。また、LCD200に表示される図柄変動パターン演出表示領域200Aの高さ方向の範囲を上下動作の下端位置とし、例えばリーチ成立時に発光体212Cを発光させるようにしたため、発光位置と同一高さ位置で行われる図柄変動パターン演出を見落とすことない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が遊技球を送り込む主たる遊技盤面とされ、裏面に少なくとも表面に設けられた入賞口に連通し、遊技球を回収する回収路筐体が取り付けられた透明遊技盤と、この透明遊技盤の裏面と対向して配置され、演出表示をするための画像表示装置と、を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透明樹脂製の遊技盤の背面(裏面)側にLCD等の画像表示装置を配置し、主に遊技盤の表面側に設けられた釘や風車等の障害物は、役物等の入賞具に当接しながら落下していくパチンコ球に重なるようにLCDに画像を表示するパチンコ機が提案されている。
【0003】
この種のパチンコ機は、アクリル等の透明樹脂素材で作成された遊技盤と、その背後のLCDとは、例えば、入賞したパチンコ球を回収する回収路が形成された筐体等が配置される関係上、必然的に所定の空間をもって対峙されることになる(特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1の従来技術では、入賞口等から入賞したパチンコ球の回収路に関しての記載はあるが、それ以外については言及されていない。言い換えれば、遊技盤とLCDとの間に空間がないと、LCDの表示画像が見えない、或いは見えにくくなるため、当該空間に必要最小限の部材のみを配置するのが一般的である。
【特許文献1】特開2006−247416公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の遊技機では、演出に関しては、ほとんどLCDの表示画像のみとなり、単調な演出によって遊技の趣向を損ねていた。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、画像表示装置による表示画像の見易さを維持しつつ、透明遊技盤と画像表示装置との間の空間を有効利用し、演出のバリエーションを増やし、遊技趣向性を向上することができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、表面が遊技球を送り込む主たる遊技盤面とされ、裏面に少なくとも表面に設けられた入賞口に連通し、遊技球を回収する回収路筐体が取り付けられた透明遊技盤と、この透明遊技盤の裏面と対向して配置され、演出表示をするための画像表示装置と、を備えた遊技機であって、前記透明遊技盤と前記画像表示装置との間に、前記回収路筐体の存在に起因して必然的に発生する空間部における、遊技者から向かって左右の何れかの端部に設けられ、発光体を備えた可動部材と、前記可動部材の少なくとも一部を遊技盤上下方向に移動させる移動手段と、前記移動手段による前記可動部材の上下方向の移動時期、並びに当該上下方向の所定位置で発光体の発光時期を制御する制御手段と、
を有している。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、遊技盤面上の遊技球の動きを遮ったり、画像表示装置に表示される表示内容を遮ることなく、可動部材の少なくとも一部を上下方向移動させる。この移動と発光体の発光の時期を制御手段により制御することで、可動部材の移動と、発光体の発光による効果的な演出を実現することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記移動手段による可動部材の移動範囲の最下段位置が、遊技盤上下方向の中央部に設定され、前記制御手段が、当該最下段位置を前記所定位置として前記発光体を発光する場合があることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、発光体の発光位置を予め定めた位置(遊技者が最も見易い位置)で行うことにより、遊技者に発光体が所定位置に来たとき発光するか否かを期待させることとなり、発光による予告報知等を見逃すことがない。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記発光体が発光する位置は、前記画像表示装置上において、遊技のこれからの進行上の予告となり得る特別な演出形態を表示する上下方向範囲内の前記所定位置であることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、特別な演出形態の表示範囲内を発光体の発光を所定位置とすることで、特別な演出形態が見易くなる。しかも、可動部材が当該所定位置のときに発光体を発光させることで、遊技者に対して特別な演出形態をより強調して演出することができ、これからの進行する遊技に対する期待感をより高めることができる。
【0013】
なお、例えば、特別な演出形態とは、遊技が遊技者有利に進行する状態(すなわち、短期間で多くの入賞があり、多くの賞球が期待できる遊技状態)となることを予告する演出形態をいう(予告演出)。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記特別な演出形態が、遊技の進行上の抽選結果を演出を絡めて報知するために前記画像表示上の左右方向に複数列の図柄変動パターン演出であり、各列の停止図柄配列が前記抽選結果と相関しており、前記制御手段は、特定の配列となる前記停止図柄配列ラインの延長線上を所定位置として前記可動部材を移動し、かつ発光体を発光することを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、図柄変動パターンが左右に複数列あり、各列の停止図柄配列が特定の配列ラインの延長線上を所定位置として可動部材を停止させ、この位置で発光体を発光させることで、複数段(上下方向)の停止図柄配列の中から特定の配列となる配列ラインを強調することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記請求項3又は請求項4に記載の発明において、前記所定位置は、略中央位置であることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、画像の特別な演出形態の略中央位置で発光することにより、遊技者に対して予告演出をよりわかり易く報知することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した如く本発明では、画像表示装置による表示画像の見易さを維持しつつ、透明遊技盤と画像表示装置との間の空間を有効利用し、演出のバリエーションを増やし、遊技趣向性を向上することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(パチンコ機の構成)
図1及び図2に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0020】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、ガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の裏面側には、矩形状の開口部が設けられ、交換可能とされた遊技盤100がセットされており、遊技盤100は、ガラス枠16を閉塞した状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0021】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の表示灯20が配置されており、上部には、遊技の効果音をステレオ出力するスピーカ22L、22Rが配設されている。
【0022】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。この一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するための発射ハンドル26が取り付けられている。
【0023】
(遊技盤の構成)
図3乃至図5には本実施の形態に係る遊技盤100が示されている。
【0024】
ここで本実施の形態の遊技盤100は、基板として透明の平板状合成樹脂材が適用されており(以下、「透明遊技盤100」という)、透明遊技盤100の背面側が透過しているため、表面と背面との区別がつかない。
【0025】
そこで、図3は透明遊技盤100の表面のみを図示した正面図とし、図4は表面配置部材の一部を省略し、主として透過している部材を図示した正面図とした。
【0026】
まず、図3に従って、透明遊技盤100の表面の構成について説明する。
【0027】
図3に示される如く、透明遊技盤100は、外周端部付近に、円弧状の外レール102、逆流防止弁103及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102、逆流防止弁103及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置から発射されて、逆流防止弁103で仕切られた放出口105を飛び出して打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域101とされている。
【0028】
遊技領域101には、遊技領域101の中心部を基準として図3の左側に、通過ゲート(スルー・チャッカー)118が配置されている。また、図3の下部には、特別図柄始動入賞口(スタート・チャッカー)108が配設されており(本実施の形態では2段構造)、この特別図柄始動入賞口108のさらにその下方には、遊技領域101の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。前記特別図柄始動入賞口108の内、下側の特別図柄始動入賞口108には、電動チューリップ110が設けられ、この電動チューリップ110が開放しているときのみ、遊技球PBの入賞が可能な構造となっている(図3は開放状態を示している。)。
【0029】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられており、当該開閉扉116が開放又は閉塞することによって開口又は閉口するようになっている。開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球が開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0030】
また、遊技領域101には、風車122や、遊技領域101内を自重落下する遊技球を所定の経路に誘導する多数の遊技釘123が設けられている。遊技球PBは、風車122や遊技釘123等により特別図柄始動口108の近傍に案内される。なお、透明遊技盤100の中央下方には、透明遊技盤100の裏面側通路と前面側通路とに遊技球PBの通路が設けられたステージを設けてもよい。ステージ上に案内された遊技球PBは、特別図柄始動入賞口108に入賞しやすくなる。
【0031】
また、透明遊技盤100の最下位置には、外れ球を透明遊技盤100の裏側へ排出するアウト口125が設けられている。
【0032】
次に、図4乃至図7に従い、透明遊技盤100の裏面側に設けられた部材を中心に説明する。
【0033】
図4及び図5に示される如く、透明遊技盤100の裏面側には、少なくとも遊技領域101のほぼ全域に亘って表示面が対向する大型の液晶表示装置(LCD)200が配設されている。すなわち、図4の正面視においては、遊技領域101が、LCD200の表示領域201となっていて(重複していて)、遊技者の視野のほぼ全域が覆われる。
【0034】
また、LCD200のほぼ中央部は、図柄変動パターン表示領域(図4及び図5の一点鎖線200Aで囲まれた領域)とされている。
【0035】
この図柄変動パターン表示領域200Aにおいて、停止時に3×3のマトリクス、すなわち9図柄を表示する縦3列の図柄変動パターン演出が実行されるようになっている。なお、本実施の形態では、有効図柄の間に無効図柄(点図柄)が設けられており、有効図柄が9図柄停止することはなく、最多で6図柄、最少で3図柄となるが、停止図柄配列は図4及び図5の鎖線で示す5ライン(以下、「有効ライン」という)となる。
【0036】
図6に示される如く、透明遊技盤100とLCD200との間には、所定の空間部202が形成される。この空間部202は、前記特別図柄始動入賞口108やアタッカー112が設けられた役物が透明遊技盤100に設けられた貫通孔100Aを貫通し、透明遊技盤100の裏面側に突出していることに起因する。
【0037】
この透明遊技盤100の裏面側に突出する役物の筐体204の中は、前記特別図柄始動入賞口108やアタッカー112に入賞した遊技球PBを回収する回収路が形成されると共に、電動チューリップ110を開閉する電動チューリップソレノイド174(図8参照)、アタッカー112の開閉扉116を開閉するアタッカーソレノイド175(図8参照)が設けられている。
【0038】
すなわち、前記空間部202は、前記筐体204とLCD200とが緩衝しないようにするために必然的に形成されるものである。
【0039】
本実施の形態では、図7に示される如く、上記空間部202に2種類の可動部材(上下可動部材206、振動可動部材208)を設けた。上下可動部材206は、LCD202の正面に向かって左側の表示領域に若干量重なる端部に配設されている。また、振動可動部材208は、LCD200の正面に向かって下部、かつ表示領域とは重ならない下方に配設されている。
【0040】
なお、LCD200の左右方向端部には、網板状に形成された装飾部材210が配置されている。
【0041】
(上下可動部材206)
図4に示される如く、一方の可動部材である上下可動部材206は、サーチライトをイメージした構造物であり(以下、「サーチライト部212」という)、サーチライト部212は、上下方向に延びる鎖部材214に繋がれている。鎖部材214の上端部及び下端部には、鎖部材214が巻き掛けられる滑車ボックス216(図7参照、下端部は図示省略)が設けられている。上部の滑車ボックス214には、サーチライトモータ218(図8参照)が設けられ、このサーチライトモータ218の駆動(正転又は逆転)により、鎖部材214が軸線方向に移動(上下動)し、これに伴ってサーチライト部212が上下動する構成となっている。
【0042】
図7に示される如く、サーチライト部212は、正面が開口された筐体212Aと、この開口部に嵌め込まれたレンズ212Bと、筐体212A内に設けられた発光体212Cと、で構成されている。
【0043】
発光体212Cが発光すると、その光はレンズ212Bを透過した遊技者方向に照射されるようになっている。なお、レンズ212Bには、シャッター212Dが取り付けられており、このシャッター212Dを開閉する機能を設け、出射する光量を調整するようにしてもよい。
【0044】
サーチライト部212の上下方向移動範囲は、LCD200の表示領域の上端から上下方向略中央部近傍までとされている。この移動範囲の下端位置は、前述した図柄変動パターンの停止図柄ライン(5ライン)の内、中段ラインの延長線と一致している(図4の実線位置)。
【0045】
ここで、本実施の形態では、1つの演出形態として、図柄変動パターン演出において、所謂リーチ目やチャンス目(当たりを予感させるような変動途中や停止後の配列)となった時点で、前記下端位置でサーチライト部212の発光体212Cを発光させる演出を実行する場合がある。より具体的には、図柄変動パターン演出と、上下可動部材206の動作とを同期させ、変動時間に合わせて、サーチライト部212を初期位置の上端位置(図4の想像線位置)から前記下端位置まで移動し、例えば、リーチ目(3列の内の2列が仮停止し、何れかの停止図柄ライン上に同一図柄が揃ったとき)となった時点で、サーチライト部212の発光体212Cを発光させる機会を持たせる。発光するか否かは、そのときに設定される期待値等で決定され、期待値が高いときに発光させ、大当たりになる期待感を高めることが可能となる。なお、図4では、サーチライト部212が最下端に到達した時点で発光体212Cを発光させるようにしたが、図5に示すように、上段ラインがリーチのときにはこの上段ラインの延長線上でサーチライト部212を停止させ、発光させる制御を行ってもよい。
【0046】
(振動可動部材208)
図4に示される如く、他方の可動部材である振動可動部材208は、車両(自動車)のフロントをイメージした構造物であり、前述した特別図柄始動入賞口108、アタッカー112と遊技者の視線方向で重なっている。
【0047】
振動可動部材208は、車両のボンネット部220と、一対のヘッドライト222とに分類される。
【0048】
ボンネット部220とヘッドライト222とは一体構造であり、前記ボンネット部220の前端部を中心としてボンネット部220の奥側が上下方向に回転移動すると共に、ヘッドライト222が縦方向に所謂首振り動作するようになっている。
【0049】
この動作は、ボンネット部220を構成する部材の内方に設けられた車両フロント駆動ソレノイド224(図8参照)の駆動力によって実行されるようになっている(以下、この動作を「振動動作」という)。
【0050】
ヘッドライト222は、正面が開口された筐体222Aと、この開口部に嵌め込まれたレンズ222Bと、筐体222A内に設けられた発光体222Cと、で構成されている。
【0051】
発光体222Cが発光すると、その光は、レンズ222Bを透過した遊技者方向に照射されるようになっている。
【0052】
ここで、本実施の形態では、1つの演出形態として、図柄変動パターン演出において、所謂リーチ目やチャンス目(当たりを予感させるような変動途中や停止後の配列)となった時点で、前記ボンネット部220を振動動作させ、かつヘッドライト222の発光体222Cを発光させる演出を実行する場合がある。
【0053】
なお、ボンネット部220のフロントグリルには、フォグランプ部220Aが設けられている。このフォグランプ部220Aに発光体を収容し、前記ヘッドライト222と同様に、所定の演出のときに発光させる構成としてもよい。
【0054】
(制御系の構成)
次に、図8を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。図8に示されるように、本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0055】
主制御部150には、特別図柄始動入賞口108への入賞球を検出する始動入賞センサ180、普通図柄始動口である通過ゲート118への入賞球を検出する通過ゲート入賞センサ184、特別遊技状態の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出する大入賞センサ186がそれぞれ接続されており、これらの各センサは、入賞球の検出時にその検出信号を主制御部150へ出力する。なお、必要に応じて、アタッカー112内には、大当たり処理のラウンドを継続するきっかけとなるVゾーンが設けられている場合には、このVゾーンを通過したことを検出するVゾーンセンサ188が配設される。
【0056】
さらに、主制御部150には、電動チューリップ110を作動させる電チューソレノイド174、アタッカー112の開閉扉116を開放/閉塞させるアタッカーソレノイド175がそれぞれ接続されている。
【0057】
ここで、遊技球PBが通過ゲート118を通過すると、これを通過ゲート入賞センサ184で検出することで普通図柄の当たり/外れの抽選(以下、「普図抽選」という)が主制御部150にて実行され、その抽選結果をLCD200を用いて報知し、当たりとなった場合は、主制御部150が普通電動役物ソレノイド174を駆動制御して電動チューリップ110を所定時間開放する。
【0058】
また、遊技球PBが特別図柄始動入賞口108に入賞すると、これを始動入賞センサ180で検出することで特別図柄の当/落抽選(特図抽選)が主制御部150にて実行され、この特図抽選をLCD200を用いて報知し、当選の場合は、大当たりの処理として、通常遊技状態から特別遊技状態へ遊技状態が移行するように主制御部150にて制御する。
【0059】
特別遊技状態とは、前記アタッカー112が所定時間(一般には30秒)開放し、その後閉止する動作を1ラウンドとした場合に、複数ラウンド(一般には15ラウンド)繰り返される遊技状態を言い、この結果、多くの遊技球PBがアタッカー112へ入賞し、多くの入賞が期待できる。なお、通常は、1ラウンド中の最大入賞数が10個と制限されている。この大当たり処理(特別遊技状態)の期間においては、LCD200を用いて複数のラウンドにまたがる一連のストーリー性を持った画像演出を実行する。
【0060】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータへ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0061】
さらに、主制御部150には、演出制御部152と、払出制御部154とがそれぞれ接続されており、これらの制御部は、主制御部150からのコマンド送信により制御される。
【0062】
演出制御部152には、図柄制御部156を介してLCD200が接続されている。また、演出制御部152は、遊技盤100の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子126、並びに、ガラス枠16に設けられた表示灯20の点灯、消灯、及び点滅を制御し、さらに、ガラス枠16前面に設けられたスピーカ22L、22Rを作動させて効果音等の出力を制御する。
【0063】
この演出制御部152に制御されるLCD200には、特図抽選の結果を報知するための図柄変動パターンの演出映像が表示され、スピーカ22L、22Rからはその図柄変動パターン演出時のBGMが出力される。これにより、遊技者は、視覚及び聴覚を通じて、特図抽選の結果に対応した演出図柄による演出を楽しむことができる。なお、保留ランプ176による表示内容は、このLCD200で表示するようにしている。
【0064】
前述した上下可動部材206及び振動可動部材208は、この演出制御部152によって制御される。このため、演出制御部152には、サーチライト部212を上下動させるためのサーチライトモータ218、サーチライト部212に収容された発光体212C、ボンネット部220を振動動作させるための車両フロント駆動ソレノイド224、ヘッドライト222に収容された発光体222Cが接続され、それぞれがLCD200への表示画像に同期しながら、所定のタイミングで動作、発光される。
【0065】
また、払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置40が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者による発射ハンドル26(図1参照)の操作により発射装置40を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、発射ハンドル39の操作量に応じた発射力を制御する。
【0066】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータへ送信するようになっている。
【0067】
上記のように本実施の形態では、遊技領域101とほぼ同一領域に拡大されたLCD200の表示領域201を有効かつ機能的に利用するべく、普通図柄抽選、特別図柄抽選のそれぞれの抽選結果の報知、保留数の表示、並びに大当たり処理中の画像演出等、そのときの遊技状態に応じた表示制御を行っている。
【0068】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0069】
(パチンコ機10の遊技の流れ)
パチンコ機10による遊技では、遊技者が発射ハンドル26を操作すると、一球づつ発射装置40(図8参照)に供給され、発射装置40によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤100の遊技領域101に打ち込まれ、遊技釘123に当たり方向を変えながら遊技領域101内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域101の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0070】
ここで、特別図柄始動入賞口108へ入賞すると、主制御部150において特別図柄の当選/落選の抽選(特図抽選処理)が実行され、その特図抽選結果は、LCD200に、演出用の特別図柄が所定のパターンで変動され、その変動パターンを経て停止表示される。
【0071】
(大当たり処理)
特別図柄抽選において、その抽選結果の報知として、LCD200の表示領域に、例えば「444」や「777」等の予め定められた所定の大当たり図柄の組み合わせが表示されるとともに、照明演出用の表示灯20の点滅やスピーカ22L、22Rからの効果音出力などによる演出を加えて、大当たりが発生したことを遊技者に報知し、所定の大当たり処理を実行する。
【0072】
大当たり処理としては、開閉扉116の開閉動作によってアタッカー112が、例えば10カウント(入賞個数)又は最大30秒間(1回の開放時間)/最高15又は16ラウンド開放される。
【0073】
なお、アタッカー112内にVゾーンを設けた遊技仕様の場合には、1回のアタッカー112開放時にVゾーンへの入賞を果たすことで次ラウンドを継続するといった動作が行われる。
【0074】
これにより、遊技者は、発射した遊技球PBをアタッカー112へ容易に入賞させ、例えば入賞1個当たり15個の払い出しを受けるなどして、大量の賞球を獲得できるようになる。
【0075】
(可動部材の動作)
ここで、本実施の形態では、2種類の可動部材(上下動可動部材206と振動可動部材208が設けられており、特別図柄始動入賞口108への遊技球の入賞、その入賞直後に行われる抽選結果、又はLCD200の画像演出(図柄変動パターン演出、背景動画演出等を含む)に同期し、あるいは独立して動作することで、遊技者の視覚を通じた演出効果を高めている。
【0076】
以下に、それぞれの可動部材の基本動作について説明する。
【0077】
(1)上下動可動部材206
上下動可動部材206は、サーチライト部212をLCD200の向かって左上角部を初期位置(図4の想像線位置)として待機する。演出制御部152から動作の指示があると、サーチライトモータ218が駆動して、鎖部材214が下方向に移動を開始する。この鎖部材214に繋がれたサーチライト部212が下降を始める。
この下降軌跡は、LCD200の少なくとも図柄変動パターン演出が表示される領域(LCD200のほぼ中央部)からは外れているため、遊技者からみれば、図柄変動パターン演出を見ながら視野の周囲に何かが動き始めた程度に視覚を通じて認識する。
【0078】
その後、図柄変動パターン演出が進み、第1列、第2列・・・と停止(仮停止)していくと、遊技者はどこかの有効ラインでリーチになっていないかどうかを確認する。
【0079】
このとき、本実施の形態のように有効ラインが5ラインあると、一瞬でリーチの有無を認識することができない場合がある。
【0080】
そこで、本実施の形態では、図柄変動パターン演出において、第1列と第2列が仮停止した時点で、前記下降を続けているサーチライト部212が図柄変動パターン演出領域200Aの高さ方向の中央部付近等の所定領域内に到達し、所定の条件(ここでは、何れかの有効ラインでリーチが成立)すると、サーチライト部212に収容された発光体212Cを発光させる。
【0081】
この場合、図4に示される如く、リーチした有効ラインに関係なく、図柄変動パターン演出表示領域200Aの高さ方向のほぼ中央位置(言い換えれば、破線Xで示す中段の有効ラインの延長線上)でサーチライト部212の略中央部を停止させて発光させるようにしてもよいし、図5に示される如く、リーチした有効ラインの延長線上にサーチライト部212を停止させるようにしてもよい(ここでは、上段の有効ラインでリーチ成立)。
【0082】
(2)振動可動部材208
振動可動部材208は、透明遊技盤100の中央、かつLCD200上の図柄変動パターン演出表示領域200Aの直下であり、特別図柄始動入賞口108と視線上重なるため、遊技者に視覚的なインパクトを与えるのに十分な条件を備えている。
【0083】
演出制御部152からの命令によって車両フロント駆動ソレノイド224が駆動すると、ボンネット部220の前側を中心に奥側が上下動し、かつヘッドライト222が縦方向に首振り動作する。この振動動作は、車両が凸凹道を走行しているイメージであり、例えば、図柄変動が開始される度に(すなわち、頻繁に)動作させるようにしてもよいし、LCD200での図柄変動パターン演出において第1列、第2列が仮停止する直前にでリーチの予告として用いてもよい。
【0084】
振動可動部材208では、ヘッドライト222に発光体222Cが収容されており、所定の条件が成立した時点で、演出制御部152からの命令で発光させる。この発光は、振動動作を連動させてもよいし、独立して発光させるようにしてもよく、演出形態は様々に設定できる。
【0085】
また、大当たりの期待値に連動させ、例えば、計算上の期待値に比例して、発光体222Cの発光形態を変えるようにしてもよい(一例を表1に示す)。
【0086】
【表1】

【0087】
特に、特別図柄始動入賞口108に遊技球が入賞した直後に行われる抽選で大当たりに当選した場合、入賞直後から振動可動部材208が振動動作し、特別図柄始動入賞口108の左右でヘッドライト222が発光点滅を長時間繰り返す可能性があり、遊技者に与える本遊技機の遊技に与えるインパクト、大当たりに対する期待感は非常に大きなものとなり得る。
【0088】
なお、前述した上下可動部材206の動作タイミングや、上記表1に示す振動可動部材208を動作タイミングは、遊技の進行上の特図抽選結果や大当たりの期待値に連動させた場合の一例であり、本発明が、上下可動部材206や振動可動部材208が透明遊技盤100とLCD200との間の必然的に形成される空間部202に設けるという発明を限定するものではない。
【0089】
以上説明したように本実施の形態では、透明遊技盤100に設けた役物(特別図柄始動入賞口108、アタッカー112等)から入賞した遊技球PBを回収する回収路が設けられた筐体204が、透明遊技盤100の裏面側に配置されることから、必然的に形成される透明遊技盤100とLCD200との間の空間を利用して、LCD200に表示する画像演出に加え、所謂機械的な動作をする可動部材(上下可動部材206、振動可動部材208)を設けることで、遊技者に与える視覚的演出効果を向上することができる。
【0090】
(上下動可動部材206の特有の作用効果)
上下動可動部材206は、待機位置がLCD200の遊技者から見て左上角部であり、ここから下降するため、LCD200の表示内容を妨げることがない。また、LCD200に表示される図柄変動パターン演出表示領域200Aの高さ方向の範囲を上下動作の下端位置とし、例えばリーチ成立時に発光体212Cを発光させるようにしたため、発光位置と同一高さ位置で行われる図柄変動パターン演出を見落とすことない。
【0091】
(振動可動部材208の特有の作用効果)
振動可動部材208は、LCD200の図柄変動パターン演出画像の直下、かつ特別図柄始動入賞口108を見る遊技者の視線と重なるため、非常に見易い位置でありもかかわらず、LCD200の表示画像を妨げることがないため、様々な演出に用いることができる。また、振動と共にヘッドライト222に発光体222Cを設けたため、振動と演出との組み合わせ(例えば、表1参照)によって、演出形態の種類を大幅に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】本実施の形態に係るパチンコ機を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る透明遊技盤(盤面表面)を示す正面図である。
【図4】本実施の形態に係る透明遊技盤(盤面透過)を示す正面図であり、サーチライト部の下端位置が図柄変動パターン演出表示領域の中央の場合である。
【図5】本実施の形態に係る透明遊技盤(盤面透過)を示す正面図であり、サーチライト部の下端位置が図柄変動パターン演出表示領域の上段有効ラインの場合である。
【図6】透明遊技盤とLCDとの相対位置関係を示す側面断面図である。
【図7】透明遊技盤とLCDとの分解斜視図である。
【図8】本実施の形態に係るパチンコ機の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0093】
PB 遊技球
10 パチンコ機(遊技機)
100 透明遊技盤
100A 貫通孔
101 遊技領域
102 外レール
103 逆流防止弁
104 内レール
105 放出口
108 特別図柄始動入賞口
110 電動チューリップ
112 アタッカー
118 通過ゲート
116 開閉扉
122 風車
123 遊技釘
125 アウト口
150 主制御部
152 演出制御部(制御手段)
156 図柄制御部
174 電動チューリップソレノイド
175 アタッカーソレノイド
180 始動入賞センサ
200 LCD
200A 図柄変動パターン表示領域
201 表示領域
202 空間部
204 筐体
206 上下可動部材(可動部材)
208 振動可動部材
210 装飾部材
212 サーチライト部(可動部材)
212A 筐体
212B レンズ
212C 発光体
212D シャッター
214 鎖部材(移動手段)
216 滑車ボックス(移動手段)
218 サーチライトモータ(移動手段)
220 ボンネット部
222 ヘッドライト
224 車両フロント駆動ソレノイド
222A 筐体
222B レンズ
222C 発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が遊技球を送り込む主たる遊技盤面とされ、裏面に少なくとも表面に設けられた入賞口に連通し、遊技球を回収する回収路筐体が取り付けられた透明遊技盤と、この透明遊技盤の裏面側にあって遊技者側に対向して配置され、演出表示をするための画像表示装置と、を備えた遊技機であって、
前記透明遊技盤と前記画像表示装置との間に、前記回収路筐体の存在に起因して必然的に発生する空間部における、遊技者から向かって左右の何れかの端部に設けられ、発光体を備えた可動部材と、
前記可動部材の少なくとも一部を遊技盤上下方向に移動させる移動手段と、
前記移動手段による前記可動部材の上下方向の移動時期、並びに当該上下方向の所定位置で前記発光体の発光時期を制御する制御手段と、
を有する遊技機。
【請求項2】
前記移動手段による可動部材の移動範囲の最下段位置が、遊技盤上下方向の略中央部に設定され、前記制御手段が、当該最下段位置を前記所定位置として前記発光体を発光する場合があることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記発光体が発光する位置は、前記画像表示装置上において、遊技のこれからの進行上の予告となり得る特別な演出形態を表示する上下方向範囲内の前記所定位置であることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記特別な演出形態が、遊技の進行上の抽選結果を演出を絡めて報知するために前記画像表示上の左右方向に複数列の図柄変動パターン演出であり、各列の停止図柄配列が前記抽選結果と相関しており、前記制御手段は、特定の配列となる前記停止図柄配列ラインの延長線上を所定位置として前記可動部材を移動し、かつ発光体を発光することを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記所定位置は、略中央位置であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−229128(P2008−229128A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74769(P2007−74769)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】