説明

遊技機

【課題】遊技者の手による発射手段の操作において、遊技者の手の疲労度を軽減できる発射手段を提供する。
【解決手段】遊技球が転動する遊技領域を有する遊技盤と、遊技者の操作により前記遊技領域に遊技球を発射する発射手段と、を備えた遊技機であって、前記発射手段は、遊技者の手で操作可能な操作部と、この操作部を、軸受部を介して全方向へ傾動可能に支持する操作支軸と、前記操作部を遊技者が操作した場合の前記操作支軸の移動量を検知する検知部と、この検知部の検知結果に応じた強度で前記遊技球を発射させるように前記発射手段を駆動制御する発射制御部を備える遊技機とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者の手動操作によって、遊技球を遊技盤へ向けて発射する発射手段を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機の代表であるパチンコ遊技機では、遊技者が発射手段としての発射ハンドルを操作することにより、遊技盤上の遊技領域へ遊技球を発射させている。
前記発射ハンドルは、遊技機枠体の前面に固定状態で取り付けられた固定支持軸と、固定支持軸の遊技者側に設けた把持部と、この把持部に回転自在に取り付けた回転操作部とを備えており、遊技者が前記回転操作部を回転させると、その回転角度に応じた発射強度で遊技球が遊技盤に発射される。
したがって、遊技者は、遊技領域の任意の位置へ狙いを付けて遊技球を発射させるために、回転操作部の回転角度を調整することが可能となり、遊技者の技量(つまり、回転操作部の適切な回転量調整)によって遊技結果が異なってくる。
【0003】
しかし、上述したような構成の発射ハンドルでは、遊技者は最適な発射強度を維持するために、手首を右回転に捻った状態で同じ姿勢を維持しなければならず、手や肩等の身体の疲労につながり易い。
【0004】
そこで、遊技者の身体への負担を軽減するために、発射ハンドルの下部に引き出し式の手置き台を設置して、手を載せた状態で発射操作を行なうことのできる構成が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2001−204900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、手を手置き台の載せるだけでは、遊技者が同じ姿勢を維持しなければならないという点では同じことである。
そこで、市場からは、遊技者による発射強度の調整が、遊技者の身体に負担をかけることなく行える遊技機の提供が望まれている。本発明は、上記課題を解決することのできる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明では、遊技球が転動する遊技領域を有する遊技盤と、遊技者の操作により前記遊技領域に遊技球を発射する発射手段と、を備えた遊技機であって、前記発射手段は、遊技者の手で操作可能な操作部と、この操作部を、軸受部を介して全方向へ傾動可能に支持する操作支軸と、前記操作部を遊技者が操作した場合の前記操作支軸の移動量を検知する検知部と、この検知部の検知結果に応じた強度で前記遊技球を発射させるように前記発射手段を駆動制御する発射制御部を備える遊技機とした。
【0007】
(2)本発明は、上記(1)において、前記検知部は、前記操作部が遊技者により操作されていない場合の前記操作支軸の先端位置を基準位置として、前記基準位置に対する操作支軸先端の移動量を検知することを特徴とする。
【0008】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)において、前記軸受部は球面体を備え、前記操作部は、前記球面体を覆うように中空の半球状に形成されるとともに、前記操作支軸の基端と連結固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作部を上下左右360度の角度で全方向に操作可能としており、遊技者自身が身体への負担を感じにくい好みの方向を選んで操作できるため、長時間の遊技でも疲れにくく、快適に遊技を楽しむことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る遊技機は、遊技球が転動する遊技領域を有する遊技盤と、遊技者の操作により前記遊技領域に遊技球を発射する発射手段と、を備えた遊技機であって、前記発射手段は、遊技者の手で操作可能な操作部と、この操作部を、軸受部を介して全方向へ傾動可能に支持する操作支軸と、前記操作部を遊技者が操作した場合の前記操作支軸の移動量を検知する検知部と、この検知部の検知結果に応じた強度で前記遊技球を発射させるように前記発射手段を駆動制御する発射制御部を備えたものである。
【0011】
すなわち、本実施形態における遊技機の発射手段は、パチンコ遊技機に好適に用いることができるものであって、遊技盤上の遊技領域へ遊技球を発射するために、遊技者により手動操作される発射手段の操作部を、上下左右を含めた360度全方向に操作可能にして、前記操作部の操作に応じて、操作部に連結された操作支軸が全方向に傾動可能なように支持された構成としている。
そして、前記操作部の遊技者による全方向への操作に応じて、前記操作支軸が傾動した移動量を検知する検知部による検知結果に応じた強度で、遊技球を遊技盤上の遊技領域に発射するようにしている。
【0012】
一般的なパチンコ遊技機の発射手段は、遊技者が操作する操作部を、遊技者から正面視で右回転(つまり、時計廻り)に操作すると、その回転量に応じて遊技球発射ソレノイド等への供給電力を変化させることにより、遊技球の発射強度を調整する構成としていた。
そのため、発射強度を強くする場合は、右手首を右回転に捻動した状態を維持しなければならず、遊技者の右手首に対する疲労はかなりなものとなり、肩こり等の体調不良の原因のひとつになっていた。
【0013】
そこで、本実施形態のような発射手段を用いることで、例えば、遊技者が前記操作部を把持して右手首を右側に捻動させて発射強度を調整した場合、同一姿勢を維持することで右手首に疲労を感じると、疲労を感じた方向とは逆方向へ右手首を捻動させることで、遊技者が感じる右手首の疲労を軽減できる。
【0014】
また、本実施形態によれば、上下左右を含む360度に任意の方向で発射強度を調整できるため、遊技者自身により、右手首の捻動による負担を感じにくい方向を選択することもできる。
つまり、本実施形態に係る発射手段を用いることにより、遊技者が前記操作部を把持して発射強度を調整してその発射強度を維持しようとした場合に、調整方向は一方向(例えば、右回転方向)のみではなく、遊技者の望む任意の方向で調整することが可能となる。また、遊技者が任意に選択したどの方向においても、同じ発射強度の調整ができるため、遊技者は、発射手段の操作部を把持することによる右手首(或いは、右手全体)の疲労が溜まりにくい任意の方向を選択して発射強度の調整を行うことができる。
【0015】
前記検知部は、前記操作部が遊技者により操作されていない場合の前記操作支軸の先端位置を基準位置として、前記基準位置に対する操作支軸先端の移動量を検知する構成とすることができる。
【0016】
すなわち、本実施形態における発射手段は、遊技者により操作されていない場合は、例えば、所定の張力等により前記操作支軸をニュートラル位置に戻すことが可能な構成としておき、さらに、ニュートラル位置に戻された操作支軸の先端位置を基準位置として、遊技者が操作部を操作することにより発生する、前記基準位置から前記操作支軸の先端位置の移動量を検知して、その移動量に応じた発射強度を発生させるのである。
【0017】
上記構成によれば、前記所定の位置に戻された前記操作支軸の先端位置である基準位置から、上下左右を含む360度全方向の移動量を同様に検知できるため、遊技者が任意に選択したどの方向に操作部を調整した場合でも、遊技者の調整操作に応じた発射強度を実現することができるため、遊技者による操作部の操作感を損なうことの少ない発射手段とすることができる。
【0018】
また、前記軸受部は球面体を備え、前記操作部は、前記球面体を覆うように中空の半球状に形成されるとともに、前記操作支軸の基端と連結固定されている構成とすることができる。
【0019】
すなわち、軸受部を、あたかも関節のように動くように、球面体を備える構成とし、この球面体の上面を、前記操作支軸の基端と連結固定されるとともに、中空の半球状に形成された前記操作部で覆うように構成するのである。つまり、ここでは、操作支軸を連結固定する操作部と、この操作部が覆い被さる球面体とにより、球面軸受が構成されることになる。かかる構成により、遊技者による前記操作部に対する回動操作に、違和感のない滑らかな操作感を実現することができる。
【0020】
また、中空の半球状に形成された前記操作部の内面と、前記球面体の外面は、遊技者が前記操作部を操作する場合に、直接接触する部分であるので、極めて摩擦計数の低い鏡面状に形成することが望ましい。それにより、遊技者による前記操作部の操作感を向上させることができる。
【0021】
また、前記発射制御部等は、例えば、CPUや制御プログラムなどを記憶したROM、作業領域用の一時記憶手段として利用されるRAMなどの各種メモリ等で構成されるマイクロコンピュータなどからなる制御部にその機能を担わせるとよい。
また、前記操作支軸の先端位置は、前記操作支軸先端を引張強さに対する弾性変形の少ないピアノ線等で連結して、他端を伸縮自在のバネで固定することで所定位置を基準位置としておき、遊技者が前記操作部を操作していない状態では、前記バネによる張力により基準位置に戻るように構成するとよい。
【0022】
さらに、前記操作支軸の移動量を検知する検知部としては、遊技者による操作により、前記操作部と連結固定された操作支軸の先端が移動すると、この操作支軸先端に連結されたピアノ線が引っ張られ、かかるピアノ線の移動量をポテンショメータ等で計測することで、前記ピアノ線の移動量を前記操作支軸の先端の移動量として検知する構成とすることができる。したがって、前記ポテンショメータ等で計測された移動量を検知した前記発射制御部は、検知した移動量に応じた発射強度で、遊技球を遊技盤上の遊技領域へ発射することが可能となる。
【0023】
以下、本発明に係る遊技機の好適な実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下では遊技機をパチンコ遊技機としている。
【0024】
[遊技機の構成]
遊技機について、図1〜図4を用いて説明する。図1は本実施形態におけるパチンコ遊技機10の概観を示す斜視図、図2は同パチンコ遊技機10の概観を示す分解斜視図である。また、図3は本実施形態におけるパチンコ遊技機10の概観を示す正面図、図4は電飾ユニット53の説明図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機10は、前面に開口12aが形成された本体枠12と、その本体枠12における開口12aの内部に配設される各種の部品と、本体枠12の前方に開閉自在に軸着された扉11とから構成されている。この扉11は、図1に示すように、開口12aを前面から閉鎖するためのものであり、通常閉鎖した状態で遊技が行われる。また、本体枠12の前面には、上皿20、下皿22等が配設されている。
【0026】
本体枠12の開口12a内部には、画像を表示する表示手段としての液晶表示装置32と遊技盤14とスペーサ31等が配設されている。なお、遊技盤14、スペーサ31、液晶表示装置32以外の各種の部品(図示せず)については、理解を容易にするために説明を省略する。
【0027】
本実施形態に係る遊技盤14は、その全部が透光性を有する板形状の樹脂(透光性を有する部材)によって形成されている。この透光性を有する部材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂など各種の材質が該当する。また、遊技盤14は、その正面(前面)側に、発射された遊技球が転動する遊技領域15を有している。この遊技領域15はガイドレール30に囲まれ、遊技球が転動可能な領域であり、ガイドレール30の外側には遊技領域外域16が形成されている。なお、遊技領域15には図2に示すように、複数の遊技釘13が打ちこまれている。なお、本実施形態では、遊技釘13は各種の遊技部材の一つに含まれるものとしている。また、図2においては複数の遊技釘13を一部省略して示している。
【0028】
遊技に関する演出画像を表示する表示手段の一例である液晶表示装置32は、前記スペーサ31を挟んで遊技盤14の背後に設けられている。なお、本実施形態では、遊技盤14の全部が透光性を有する材料で形成されているが、透光性を有する材料が遊技盤14の一部に用いられていてもよく、その場合、液晶表示装置32は遊技盤14の透光性を有する部材の背後に配置されることになる。
この液晶表示装置32は、遊技に関する画像の表示を可能とする表示領域32aを有しており、この表示領域32aは、スペーサ31及び遊技領域15の全部又は一部、あるいは遊技領域外域16の全部又は一部を透して遊技者側から視認可能となっている。なお、表示領域32aに表示される遊技に関する画像とは、演出用の演出画像、装飾用の装飾画像等の各種の画像を指す。
【0029】
スペーサ31は、これも前述の透光性を有する部材で形成されているが、前記液晶表示装置32の視認性を向上させるために、少なくとも遊技盤14の遊技領域15に相当する大きさの孔部31aを形成している。
【0030】
このように、本実施形態においては、遊技盤14における透光性領域の背後に液晶表示装置32などの表示手段を設けており、例えば、遊技釘13の植設領域や役物、装飾部材といった遊技部材を設ける領域を大きくできるため、レイアウトの自由度も更に大きくすることが可能となっている。
【0031】
遊技盤14の外側となる扉11の所定位置には、発光表示手段としての装飾ランプ133a,133bが配設されており、遊技状態に合わせた所定の発光態様の表示を行う。
【0032】
また、この扉11には、ガラス板などからなる透光性を有する保護板19が取付けられている。この保護板19は、扉11が閉鎖された状態で遊技盤14の前面に対面するように配設されている。また、保護板19の上方位置には、スピーカ46R,46Lが左右に配設されている。
【0033】
また、本体枠12の前面には発射ハンドル26が取付けられている。発射ハンドル26は、下皿22の右側位置、すなわち本体枠12の右側下方の遊技者が右手で操作し易い位置に設けられている。そして、この発射ハンドル26は、本実施形態における発射手段の大部分を構成することになる。
ここで、図7、図8、図9を用いて、発射ハンドル26の構成及びその動きについて説明する。図7、図8、図9は、発射ハンドルの概観及び構成を示す図である。
【0034】
図7(a)は、発射ハンドル26を遊技者から正面視した説明図であり、図7(b)は図7(a)のA−A’断面図であり、発射ハンドル26の中心で断面したものである。
図示するように、発射ハンドル26は、略半球状に形成された操作部26aを備えており、この操作部26aが本体枠12の遊技者側に突出している。
【0035】
図7(b)に示すように、発射ハンドル26は、本体枠12に球面体26bが突設されており、この球面体26bの外周面を覆うように、中空の半球状に形成された操作部26aが取り付けられて、上下左右を含む360度全方向に回動自在となっている。そして、操作部26aの中心位置には、操作支軸26cの基端部を連結し、この操作支軸26cが球面体26bの内部に形成した空洞部26f内に伸延している。
【0036】
そして、操作支軸26cの先端部には、ピアノ線26dの一端が連結されており、ピアノ線26dの他端は、回転軸24aを介して下方へ屈曲伸延し、筒状に形成された収納体25a内に配設したバネ部25bに連結(図9参照)されている。
これにより、図7(b)に示すように、操作部26aを遊技者が操作していない場合は、バネ部25bの張力により、操作部26a及び操作支軸26cは、球面体26bの中心に沿って、水平位置に維持されることになる。つまり、図7に示す状態が、ピアノ線26dと連結された操作支軸26cの先端部の基準位置となる。
【0037】
他方、図8(a)に示すように、遊技者が操作部26aを操作すると、操作支軸26cの先端部は遊技者の操作方向とは逆方向に移動する。すなわち、球面体26bの中心点を中心として、遊技者が操作部26aを360度任意の方向に回動操作すると、操作支軸26cの先端部は遊技者の操作方向とは逆方向に360度移動することになる。
そして、操作支軸26cの先端部に連結されたピアノ線26dが、操作部26aの操作量に応じて引っ張られることにより、回転軸24aが回転する。図9に示すように、回転軸24aにはポテンショメータ24bが付設されており、このポテンショメータ24bにより回転軸24aの回転量を検知するようにしている。このように、回転軸24aとポテンショメータ24bとにより、検知部24が構成されることになる。
【0038】
ここで検知された回転軸24aの回転量は、ポテンショメータ24bから信号線24eを介して発射制御回路127(図5参照)へ送られることにより、発射制御回路127は、検知した回転量に応じた発射強度で、遊技球を遊技盤14の遊技領域に発射する。
なお、操作部26aにはタッチセンサ(図示せず)が設けられており、遊技者が操作部26aに触れたことは、図7(b)又は図8(a)に示すように、センサ出力線26eを介して発射制御回路127(図5参照)に送られ、発射制御回路127(図5参照)は、信号線24eとセンサ出力線26eとの入力に応じて発射装置130(図5参照)を制御することとなる。
【0039】
ところで、発射ハンドル26の操作部26aは、図8(b)の分解斜視図に示すように、分割操作部26a´、26a´によって構成されており、これら分割操作部26a´、26a´を、本体枠12に取り付けられた球面体26bの外側から取付凸部21aと取付凹部21bをはめ込むように組み付けて、球面体26bを覆うように取り付けている。したがって、操作支軸26cは、一方の分割操作部26a´に連結している。
【0040】
また、検知部24は、図9に示すように、回転軸24aとそれに付設されたポテンショメータ24bを、バネ部25bの収納体25aの上端に下端部を取付けた取付け板25dの上端部に取り付けている。図中、25cは本体枠12に一端を取り付けたベース板であり、このベース板25cを介して収納体25aが本体枠12の背面側に配設されることとなる。
【0041】
かかる構成としたことにより、遊技者が操作部26aを把持して、例えば右手首を右側に捻動させて発射強度を調整した場合、同一姿勢を維持することで右手首に疲労を感じると、疲労を感じた方向とは逆方向へ右手首を捻動させることで、遊技者が感じる右手首の疲労を軽減できる。
【0042】
また、本実施形態によれば、上下左右を含む360度に任意の方向で発射強度を調整できるため、遊技者自身により、右手首の捻動による負担を感じにくい方向を選択することもできる。
つまり、遊技者が操作部26aを把持して発射強度を調整してその発射強度を維持しようとした場合に、調整方向は一方向(例えば、右回転方向)のみではなく、遊技者の望む任意の方向で調整することが可能となる。また、遊技者が任意に選択したどの方向においても、同じ発射強度の調整ができるため、遊技者は、発射手段の操作部を把持することによる右手首(或いは、右手全体)の疲労が溜まりにくい任意の方向を選択して発射強度の調整を行うことができる。
【0043】
次に、図3及び図4を参照しながら、パチンコ遊技機10の構成についてさらに詳細に説明する。なお、図3を用いたパチンコ遊技機10の概観の以下の説明では、図1及び図2を用いた説明と重複する部分を省略することがある。なお、図3においては遊技釘13を省略している。
【0044】
図3に示すように、遊技盤14には、2つのガイドレール30(30a及び30b)、第1遊技部材55、第2遊技部材57、通過ゲート54、羽根部材23が付設された始動口25、開閉自在のシャッタ40を備えた大入賞口39、一般入賞口56a,56b,56c,56dが設けられている。
【0045】
遊技盤14の左側に設けられている2つのガイドレール30は、遊技領域15を区画(画定)する外レール30aと、その外レール30aの内側に配設された内レール30bとから構成される。発射された遊技球は、遊技盤14上に設けられたガイドレール30に案内されて、遊技領域15の上部に移動し、複数の遊技釘13(図2参照)、遊技領域15上に設けられた第1遊技部材55等との衝突により、その進行方向を変えながら遊技領域15の下方に向かって流下する。
【0046】
第1遊技部材55が、左右端が中央付近よりも下方に位置する傘状に形成されているのに対し、第2遊技部材57は左右端が中央付近よりも僅かに上方に位置して湾曲形成されたステージ状に構成されており、遊技領域15を転動した遊技球の一部は、この第2遊技部材57に一旦受け止められて、第2遊技部材57の中央部を通過して、始動口25に向かって流下するようになっている。
【0047】
始動口25は本実施形態における特定入賞口に規定されており、遊技領域15の略中央に設けられた第2遊技部材57の下部かつ大入賞口39の上方に設けられるとともに、ソレノイドなどで駆動する可変部材としての羽根部材23が付設されている。
そして、遊技領域15に設置された第1遊技部材55や遊技釘13との衝突しながら転動した遊技球がこの始動口25へ入賞すると、後述する特別図柄ゲーム及び大当たり抽選が開始される。すなわち、始動口25は、特別図柄ゲーム及び大当たり抽選の契機となる特定の入賞口である。
【0048】
また、始動口25の下部に設けられた大入賞口39には、その前面側(前方)に開閉自在なシャッタ40が設けられている。このシャッタ40は、後に詳述する特別図柄表示器33(図4)において特別図柄として特定の数字図柄がそれぞれ停止表示され、停止表示態様が、遊技状態が特別遊技である大当たり遊技に移行されることを示す態様であった場合に、遊技球を受け入れやすい開放状態となるように駆動される。その結果、大入賞口39は、遊技球を受け入れやすい開放状態となる。
【0049】
一方、シャッタ40の背面側(後方)に設けられた大入賞口39の内部には、カウントセンサ104(図5参照)が設けられ、遊技球を所定個数(例えば10個)検知するか、又は、所定時間(例えば30秒)が経過するまでシャッタ40が開放状態に駆動される。そして、開放状態において大入賞口39への所定数の遊技球の入賞又は所定時間の経過のいずれかの条件が成立すると、シャッタ40は閉鎖状態になるように駆動される。その結果、大入賞口39は、遊技球を受け入れ難い閉鎖状態となる。
【0050】
なお、大入賞口39が遊技球を受け入れやすい状態となっている開放状態から大入賞口39が遊技球を受け入れ難い状態となっている閉鎖状態までの遊技をラウンドゲームと呼び、シャッタ40は、ラウンドゲーム時に開放し、各ラウンドゲーム間では閉鎖することになる。本実施形態では、このラウンドゲームを実行する遊技を大当たり遊技という。また、ラウンドゲームは、“1”ラウンド、“2”ラウンド等のラウンド数として計数されるため、大当たり遊技における1回目のラウンドゲームを第1ラウンド、2回目を第2ラウンドと呼称する場合がある。
【0051】
続いて、開放状態から閉鎖状態に駆動されたシャッタ40は、所定時間(例えば、1秒)経過後に再度開放状態に駆動される。
なお、第1ラウンドのラウンドゲームから、次のラウンドゲームに継続して進むことができない(最終の)ラウンドゲームが終了するまで継続した遊技状態を大当たり遊技状態という。大当たり遊技状態は、多数の賞球を獲得可能であることから、遊技者にとって極めて有利な遊技状態である。
【0052】
また、前述した始動口25、一般入賞口56a,56b,56c,56d、大入賞口39における特定領域及び一般領域に遊技球が入賞又は通過したときには、それぞれの入賞口の種類に応じて予め設定されている数の遊技球が遊技球貯留部である上皿20又は下皿22に賞球として払い出される。
【0053】
また、扉11の下端部近傍には電飾ユニット53が設けられている。本実施形態に係る電飾ユニット53は、図4に示すように、その中央に配置された表示器ケース37に、始動口25に対応した特別図柄表示器33を収容している。
特別図柄表示器33は、7セグメントLEDで構成されており、この7セグメントLEDは、始動口25に遊技球が入賞した場合に、特別図柄表示器33の7セグメントLEDが点灯・消灯することによって、“0”から“9”までの10個の数字図柄が、特別図柄として変動表示される。以上のように、特別図柄が変動表示された後、停止表示され、その結果によって遊技状態が異なってくるゲームを、本実施形態では「特別図柄ゲーム」という。
【0054】
表示器ケース37の左右両側には、この表示器ケース37を挟んで始動口25に対応した特別図柄保留ランプ33a〜33dが設けられている。
この特別図柄保留ランプ33a〜33dは、特別図柄表示器33において、既に特別図柄の変動表示中に遊技球が前記始動口25へ入賞した場合に、変動表示中の特別図柄が停止表示されるまで、始動口25への遊技球の入賞に基づく特別図柄の変動表示の実行を保留する回数(所謂、「特別図柄の保留球数」)を点灯によって表示するものである。そして、変動表示していた特別図柄が停止表示されると、保留されていた特別図柄の変動表示が開始される。
【0055】
具体的に説明すると、特別図柄保留ランプ33a〜33dは、特別図柄の変動表示の実行が保留された回数に対応して左から順番に点灯され、特別図柄の変動表示が一旦停止表示され、次の保留されていた特別図柄の変動表示が開始されると、それに対応した特別図柄保留ランプは消灯される。なお、特別図柄の変動表示の実行が保留される回数には上限が設定されており、例えば、前記始動口25への遊技球の入賞に対して4回(個)を上限として特別図柄の変動表示は保留される。
【0056】
また、液晶表示装置32の表示領域32aにおいても、前述した始動口25に遊技球が入賞した場合には、特別図柄の変動表示の開始にあわせて、例えば数字などを含む演出用の装飾図柄の変動表示が開始される。また、特別図柄に関する変動表示中に遊技球が始動口25へ入賞した場合には、変動表示中の演出用の装飾図柄が停止表示されるまで、始動口25への遊技球の入賞に基づく演出用の装飾図柄の変動表示の実行(開始)は保留される。その後、変動表示していた演出用の装飾図柄が停止表示された場合には、保留されていた演出用の装飾図柄の変動表示が開始される。つまり、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて行われる演出用の装飾図柄の変動表示と、特別図柄の変動表示とは同期しており、その変動開始及び変動停止は同じタイミングで行なわれることとなる。
【0057】
本実施形態では、前記特別図柄及び装飾図柄は、共に識別情報として機能するものであり、特別図柄の変動表示から停止表示までを単位ゲームとした前記特別図柄ゲームと、特別図柄と同期して行われる装飾図柄の変動表示から停止表示までを単位ゲームとしたゲームとを併せて、「可変表示ゲーム」としている。したがって、本実施形態に係るパチンコ遊技機10では、前記始動口25に遊技球が入賞したことを契機として、可変表示ゲームが行われることになる。そして、この可変表示ゲームを行う遊技を通常遊技と呼ぶ。
【0058】
また、遊技領域15の略中央の左側に設けられた通過ゲート54(図3参照)を遊技球が通過すると、特別図柄表示器33の右側に設けられた普通図柄表示器35において、普通図柄を示す“○”、“×”等の記号で構成された2つの表示用ランプが、交互に点灯・消灯を繰り返すことによって変動表示される。
【0059】
さらに、表示器ケース37の下側には、普通図柄保留ランプ35a〜35dが設けられている。この普通図柄保留ランプ35a〜35dは、前述した普通図柄(本実施形態では“○”、“×”等の記号)の変動中に、前記通過ゲート54を遊技球が通過した場合に、点灯又は消灯によって、保留されている普通図柄の変動表示の実行可能な回数(所謂、「普通図柄の保留球数」)を表示する。つまり、普通図柄保留ランプ35a〜35dは、保留された普通図柄の変動表示の実行回数に対応して、左から順番に点灯され、変動が停止表示されると、次の保留されていた普通図柄の変動表示が開始され、それに対応した普通図柄保留ランプは消灯される。なお、普通図柄の変動表示の実行が保留される回数には上限が設定されており、例えば、4回(個)を上限として保留される。
【0060】
この普通図柄が所定の図柄、例えば“○”として停止表示されたときには、始動口25の左右の両側に可変部材として設けられた羽根部材(所謂「普通電動役物」)23が閉鎖状態から開放状態に変動して、始動口25に遊技球が入りやすくなる。また、羽根部材23を開放状態とした後、所定の時間が経過したときには、羽根部材23を閉鎖状態として、始動口25に遊技球が入りにくくなるようにする。
以上のように、普通図柄が変動表示された後、停止表示され、その結果によって羽根部材23の開放・閉鎖状態が異なってくるゲームを「普通図柄ゲーム」という。
【0061】
以上説明してきたように、本実施形態に係るパチンコ遊技機10では、前記始動口25へ遊技球が入賞したことを契機として、大当たり遊技へ移行するか否かの大当たり抽選処理が行なわれるとともに、その抽選結果に基づいて、前記特別図柄表示器33において特別図柄の変動表示及び停止表示が行われる。
そして、液晶表示装置32の表示領域32aにおいては、停止表示される特別図柄に対応した複数の装飾図柄が、変動表示された後に所定の組み合わせで停止表示される可変表示ゲームが実行されるとともに、この可変表示ゲームに伴う演出画像などを用いた演出表示が行われる。そして、抽選結果が当選の場合、通常遊技から大当たり遊技に移行するのである。
【0062】
ここで、本実施形態においては、役物の一例として、大当たり遊技時に用いられる大入賞口39の役物が記載されているが、本発明はこれに限定されず、遊技盤上に2つ以上のいかなる数の役物が設けられていてもよい。
【0063】
なお、本実施形態において、画像を表示する部分として液晶ディスプレイパネルからなる液晶表示装置32を採用したが、これに限らず、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)を含むブラウン管、EL(Electronic Luminescent)、プラズマ等、他の形態からなるものであってもよい。
【0064】
[遊技機の電気的構成]
本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図である。
【0065】
本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路は、主に、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200とから構成される。主制御回路60は、遊技全般の制御を行うものであり、副制御回路200は、遊技の進行に応じた演出の制御(例えば、画像表示制御、音声出音制御、装飾ランプ制御等)を行うものに位置付けられている。
【0066】
主制御回路60は、図示するように、制御手段であるメインCPU66、メインROM(読み出し専用メモリ)68、メインRAM(読み書き可能メモリ)70を備えている。この主制御回路60は、遊技の進行を制御する。
【0067】
メインCPU66には、メインROM68、メインRAM70等が接続されており、このメインROM68に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。具体的に説明すると、このメインCPU66は、メインROM68に記憶されたプログラムに従って、例えば、大当たり遊技実行処理や大当たり抽選処理などを実行することとなる。
【0068】
メインROM68には、メインCPU66によりパチンコ遊技機10の動作を制御するためのプログラムが記憶されており、その他には、乱数抽選によって大当たり判定をする際に参照される大当たり抽選テーブル(図6参照)等の各種のテーブルが記憶されている。
【0069】
メインRAM70は、メインCPU66の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。
【0070】
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するリセット用クロックパルス発生回路62、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路64、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのシリアル通信用IC72を備えている。また、これらのリセット用クロックパルス発生回路62、初期リセット回路64、シリアル通信用IC72は、メインCPU66に接続されている。
【0071】
そして、このリセット用クロックパルス発生回路62は、後述するシステムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒)毎にクロックパルスを発生する。なお、シリアル通信用IC72は、各種のコマンドを副制御回路200(副制御回路200に含まれる各種の手段)へ送信する送信手段に相当する。
【0072】
さらに、主制御回路60には、電飾ユニット53(図4参照)の各種表示器、表示ランプを制御する表示器制御回路76を備えている。この表示器制御回路76はメインCPU66からの指示に従い、パチンコ遊技機10の遊技状態に応じて、特別図柄表示器33、普通図柄表示器35の変動の制御(例えば、変動の開始及び所定の図柄での表示停止)を行い、さらに、特別図柄保留ランプ33a〜33d、普通図柄保留ランプ35a〜35dの点灯及び消灯の制御を行うものである。
【0073】
また、主制御回路60には、各種の装置が接続されている。例えば、図示するように、カウントセンサ104、一般入賞球センサ106,108,110,112、通過球センサ114、始動口入賞球センサ117、普通電動役物ソレノイド118、大入賞口ソレノイド120が接続されている。
【0074】
カウントセンサ104は、大入賞口39における特定領域とは異なる一般領域に設けられている。このカウントセンサ104は、大入賞口39における一般領域を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0075】
一般入賞球センサ106,108,110,112は、一般入賞口56a,56b,56c,56dにそれぞれ設けられている。この一般入賞球センサ106,108,110,112は、一般入賞口56a,56b,56c,56dの各々へ遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0076】
通過球センサ114は、通過ゲート54に設けられている。この通過球センサ114は、通過ゲート54を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0077】
遊技球検出手段である始動口入賞球センサ117は、始動口25に設けられている。始動口入賞球センサ117は、始動口25に遊技球が入賞したことを検出して、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0078】
普通電動役物ソレノイド118は、リンク部材(図示せず)を介して羽根部材23に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、羽根部材23を開放状態又は閉鎖状態とする。
【0079】
大入賞口ソレノイド120は、シャッタ40に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、シャッタ40を駆動させ、大入賞口39を開放状態又は閉鎖状態とする。
【0080】
主制御回路60には、払出制御回路126が接続されている。この払出制御回路126には、遊技球の払出を行なう払出装置128、カードユニット150が接続されている。
この払出制御回路126は、主制御回路60から供給される賞球制御コマンド、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に遊技球を払い出させる。
【0081】
主制御回路60には、発射制御回路127が接続されている。この発射制御回路127には、遊技球の発射を行なう発射装置130が接続されている。
そして、発射制御回路127は、発射装置130に対して発射信号を供給することにより、遊技球を発射させる制御を行なう。
【0082】
一方、シリアル通信用IC72には、副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置32における表示制御、スピーカ46R,46Lから発生させる音声に関する制御、装飾ランプ133a,133bの制御等を行なう。
【0083】
なお、本実施形態においては、主制御回路60から副制御回路200に対してコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成したが、これに限らず、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を送信できるように構成してもよい。
【0084】
副制御回路200は、可変表示制御手段、音発生制御手段等の各種制御手段として機能するサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピーカ46R,46Lから発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、装飾ランプ133a,133bの制御を行うランプ制御回路240から構成されている。そして、副制御回路200は、主制御回路60からの指令に応じて遊技の進行に応じた演出を実行する。
【0085】
サブCPU206には、プログラムROM208、ワークRAM210等が接続されている。サブCPU206は、このプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。特に、サブCPU206は、後述するように、主制御回路60から供給される各種コマンド信号に従って、各種演出制御を行う。そして、サブCPU206は、後述する各種の手段として機能することとなる。
【0086】
プログラムROM208には、パチンコ遊技機10の特別図柄の変動表示に関連してサブCPU206により実行される液晶表示装置32の画像表示に伴う複数種類の演出画像データや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出画像データが記憶されており、その他には、演出表示期間を定めた時間テーブル等各種のテーブルも記憶されている。
【0087】
ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。例えば、リーチ演出時間を制御するためのタイマ変数、演出パターンを選択するための演出表示選択用乱数カウンタ等、各種の変数等が位置付けられている。ここで、本実施形態におけるリーチとは、変動中の一の装飾図柄が、他の停止表示されている装飾図柄と同一図柄で停止表示されると、前述の大当たり遊技に移行する状態を指す。通常、変動中の装飾図柄が停止するまでの間、液晶表示装置32上では、このリーチ状態に応じた特別のリーチ演出表示がなされる。
【0088】
表示制御回路250は、サブCPU206から供給される、特別図柄の変動表示に関連して実行される演出表示の進行に伴う複数種類の演出パターンや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出パターン等の演出画像データ等を、液晶表示装置32に画像を表示させる制御を行うものである。
【0089】
音声制御回路230は、サブCPU206から供給される音声発生命令に応じて、スピーカ46R,46Lから音声を発生させるものである。
【0090】
ランプ制御回路240は、サブCPU206から供給されるプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、装飾ランプ133a,133bの発光制御を行うものである。
【0091】
なお、本実施形態においては、パチンコ遊技機10の制御回路において、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200を別々に構成しているが、主制御回路60と副制御回路200とを同じ基板で構成してもかまわない。
【0092】
なお、本実施形態においては、プログラム、テーブル等を記憶する記憶手段として、主制御回路60ではメインROM68を、副制御回路200ではプログラムROM208を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に、プログラム、テーブル等が記録されていてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードし、主制御回路60ではメインRAM70、副制御回路200ではワークRAM210等に記録されるものでもよい。なお、本実施形態においては、メインCPU66の一時記憶領域としてメインRAM70を、サブCPU206の一時記憶領域としてワークRAM210を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であればよい。
【0093】
[遊技機の動作]
ここで、本実施形態におけるパチンコ遊技機10の遊技について簡潔に説明する。
本実施形態においては、主制御回路60のメインROM68に記憶されたプログラムに従ったメインCPU66による制御により、以下のパチンコ遊技機10の遊技動作が実行されるものである。
パチンコ遊技機10の遊技は、大別して通常遊技(大当たり抽選を行いながら遊技球を消費する遊技であり、大当たり遊技に比べて遊技者には相対的に不利な遊技)と大当たり遊技(遊技者にとって短時間で大量の遊技球の獲得が期待できる、所謂遊技者にとって有利な遊技)とに分かれる。
【0094】
さらに、前記大当たり遊技は、大当たり抽選処理により抽選され、前記特別図柄表示器33に停止表示される特定の数字図柄により、15R確変大当たり遊技、2R確変大当たり遊技(所謂「突確」と呼ばれる大当たり遊技)又は10R通常大当たり遊技の3種類の大当たり遊技が決定する。
そして、前記3種類の大当たり遊技(15R確変大当たり遊技、2R確変大当たり遊技又は10R通常大当たり遊技)は、大当たり抽選テーブル(図6参照)を参照し、通常遊技の通常モード又は確変モードに応じてそれぞれ異なる抽選確率で抽選される。
このとき、大当たり遊技に当選すると、前記特別図柄表示器33(図4参照)に停止表示される特別図柄は、15R確変大当たり遊技の場合は、例えば、“7”の特別図柄が表示され、2R確変大当たり遊技の場合は、例えば、“3”の特別図柄が表示される。また、10R通常大当たり遊技の場合は、例えば、“5”の特別図柄が表示される。
【0095】
さらに、前記3種類の大当たり遊技のいずれか一つに当選した場合に、前記特別図柄表示器33(図4参照)に特別図柄が停止表示されるのと同じタイミングで、液晶表示装置32の表示領域32aにおいても、専用の装飾図柄(例えば、数字図柄の三つ揃い)によって、15R確変大当たり遊技の場合は、例えば、“777”などの特定の数字の三つ揃いの装飾図柄が表示され、2R確変大当たり遊技の場合は、例えば、“333”などの特定の数字の三つ揃いの装飾図柄が表示される。また、10R通常大当たり遊技の場合は、例えば、“444”などの特定の数字の三つ揃いの装飾図柄が表示される。
【0096】
また、前記3種類の大当たり遊技のいずれかが実行されると、3種類の大当たり遊技にそれぞれ応じた所定の回数を上限として(2R確変大当たり遊技では2回、15R確変大当たり遊技では15回、10R通常大当たり遊技では10回)、大入賞口39に付設されたシャッタ40(図3参照)が、所定時間(例えば、30秒)の開放を繰り返すことにより、遊技領域15に発射された遊技球の大入賞口39への入賞が容易となり、遊技者は短時間で大量の賞球を獲得することが可能となる。かかる大当たり遊技の獲得(大当たり遊技への当選)は、一般の遊技者の最大の目的であり、パチンコ遊技の醍醐味ともいえる。
【0097】
また、本実施形態では、大当たり遊技の実行中において、最初のラウンド数から最もラウンドゲームが継続された場合の最後のラウンドゲームまでのラウンド数(最大継続ラウンド数)は、15ラウンド、10ラウンド、2ラウンドとしているが、大当たり遊技の最大継続ラウンド数は限定されるものではない。例えば、最大継続ラウンド数は、“1”ラウンドから“15”ラウンドまでの間から、任意のラウンド数を設定しても構わない。
【0098】
他方、本実施形態における通常遊技は、通常モード(通常低確率遊技状態)、確変モード(特別高確率遊技状態)、時短モード(特別遊技モード)の3種類の遊技モードの下で実行される。
ここで、前記3種類の通常遊技(通常モード、確変モード、時短モード)のモードの移行及びそれぞれの特徴を、以下に簡単に説明する。
【0099】
通常モードは、パチンコ遊技機10における基本モードであり、パチンコ遊技機10に電源を投入すると、この通常モードから遊技が開始される。
なお、この通常モードは、前記確変モードにおける大当たりの抽選確率よりも大当たりの抽選確率が低確率に設定される。
【0100】
確変モードは、通常遊技において、前記3種類の大当たり遊技のうち15R確変大当たり遊技又は2R確変大当たりに当選すると、当該大当たり遊技の終了後に移行する特別高確率遊技状態であり、この確変モードの特徴は、前記通常モードにおける大当たりの抽選確率よりも確変モードにおける大当たりの抽選確率の方が高確率に設定される。
具体的にいうと、本実施形態においては、通常モードにおける大当たりの抽選確率は「1/300」であるのに対して、確変モードにおける大当たりの抽選確率は「1/30」と10倍の抽選確率が設定(図6、大当たり抽選テーブル参照)されている。
つまり、確変モードでは通常モードと比較して、10倍の頻度で大当たり遊技が発生することになるので遊技者にとって有利な遊技状態であり、特に、15R確変大当たり遊技は、ラウンドゲームが最大15ラウンド継続されるため、最も有利な遊技といえる。
一方、2R確変大当たりは、ラウンドゲームが2ラウンドしかなく、大当たり遊技の継続時間が大当たり遊技の中では相対的に最も短い遊技となっているため、当たり遊技終了後の通常遊技が確変モードになるとはいえ、遊技者にとっては、15R確変大当たり遊技と比べると、好ましい大当たり遊技であるとは言えない。
【0101】
最後に、時短モード(特別遊技モード)は、前記3種類の大当たり遊技のいずれに当選した場合でも、当該大当たり遊技の終了後に設定される遊技モードである。
この通常遊技における時短モードとは、特別図柄及び普通図柄が変動表示を開始して停止表示されるまでの変動時間が、通常モードよりも短く設定され、さらに、前記普通図柄の抽選の結果が“当たり”の場合(つまり、前述した普通図柄表示器35(図4参照)において、表示用ランプが“○”で停止表示された場合)、始動口25に付設された羽根部材23の開放時間が通常モードよりも長く設定される。なお、かかる制御を、本実施形態では、「電チューサポート」と呼ぶ場合がある。
このように、「電チューサポート」が実行されると、始動口25に遊技球が入賞し易くなるので、単位時間当たりの大当たり抽選回数が通常モードに比べて著しく増加し、かつ始動口25への入賞に対する賞球の払い出しも増加するため、遊技球の目減りが少なく(所謂「球持ち」がよい状態となる)、遊技者にとって有利な状態といえる。
【0102】
また、この時短モードは、前記3種類の大当たり遊技に対応して、継続期間が定められる。大当たり遊技が10R通常大当たり遊技の場合は、当該大当たり遊技終了後に、特別図柄の変動回数(例えば、50回又は100回)が継続期間として設定される。
一方、大当たり遊技が15R確変大当たり遊技又は2R確変大当たり遊技の場合の継続期間は、当該大当たり遊技終了後、実質的に次回の大当たり遊技への当選が期待できる特別図柄の変動回数(例えば、10000回)に設定される。
【0103】
以上説明したように、本実施形態においては、「通常モード」、「確変モード」、「通常モード+時短モード」及び「確変モード+時短モード」の4つの遊技モードの下で通常遊技が行われることになり、パチンコ遊技機10の遊技状態の変化に応じて、適宜遊技状態が推移してゆくことになる。
【0104】
以上の実施形態により、以下の遊技機が実現される。
すなわち、遊技球が転動する遊技領域15を有する遊技盤14と、遊技者の操作により前記遊技領域に遊技球を発射する発射手段(例えば、発射ハンドル26)と、を備えた遊技機であって、前記発射手段は、遊技者の手で操作可能な操作部26aと、この操作部26aを、軸受部を介して全方向へ傾動可能に支持する操作支軸26cと、前記操作部26aを遊技者が操作した場合の前記操作支軸26cの移動量を検知する検知部24と、この検知部24の検知結果に応じた強度で前記遊技球を発射させるように前記発射手段を駆動制御する発射制御部(例えば、発射制御回路127)を備える(パチンコ遊技機10)。
【0105】
前記検知部24は、前記操作部26aが遊技者により操作されていない場合の前記操作支軸26cの先端位置を基準位置として、前記基準位置に対する操作支軸先端の移動量を検知する遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0106】
前記軸受部は球面体26bを備え、前記操作部26aは、前記球面体26bを覆うように中空の半球状に形成されるとともに、前記操作支軸26cの基端と連結固定されている遊技機(パチンコ遊技機10)。
【0107】
また、検知部24の構成としては、例えば、操作支軸26cの先端の変位量を検出可能な非接触センサ(例えば光センサなど)を用いたものであってもよい。
【0108】
また、本実施形態においては、一般に「デジパチ」と称される所謂「第1種」のカテゴリに分類されるパチンコ遊技機10を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一般に「ハネモノ」と呼ばれる「第2種」の遊技機、又は、「権利物」と呼ばれる「第3種」の遊技機等の、遊技球を発射する発射手段を備える遊技機全般に適用することができる。
【0109】
また、本実施形態では、羽根部材23を備えた構成の始動口25としたが、必ずしも羽根部材23の有無である必要はなく、入賞口の面積などが異なるなどであってもよい。
【0110】
また、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における概観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における概観を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における概観を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における電飾ユニットを示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において構成される主制御回路及び副制御回路を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機において参照される大当たり抽選テーブルである。
【図7】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における発射ハンドルの構成を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における発射ハンドルの構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態のパチンコ遊技機における発射ハンドルの検知部を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0112】
10 パチンコ遊技機
14 遊技盤
15 遊技領域
24 検知部
26 発射ハンドル
26a 操作部
26b 球面体
26c 操作支軸
60 主制御回路
200 副制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が転動する遊技領域を有する遊技盤と、
遊技者の操作により前記遊技領域に遊技球を発射する発射手段と、
を備えた遊技機であって、
前記発射手段は、
遊技者の手で操作可能な操作部と、
この操作部を、軸受部を介して全方向へ傾動可能に支持する操作支軸と、
前記操作部を遊技者が操作した場合の前記操作支軸の移動量を検知する検知部と、
この検知部の検知結果に応じた強度で前記遊技球を発射させるように前記発射手段を駆動制御する発射制御部と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記検知部は、前記操作部が遊技者により操作されていない場合の前記操作支軸の先端位置を基準位置として、前記基準位置に対する操作支軸先端の移動量を検知することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記軸受部は球面体を備え、前記操作部は、前記球面体を覆うように中空の半球状に形成されるとともに、前記操作支軸の基端と連結固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−5946(P2009−5946A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170881(P2007−170881)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】