説明

遊技機

【課題】「ぶら下げ基板」等による不正行為の実行の有無を確認できる遊技機を提供すること。
【解決手段】主制御基板は初期化処理(S1)の実行後、ホールコンピュータに対してリセット実行信号を出力するので(S2)、主制御基板に入力されるリセット信号の状況を、ホールコンピュータで把握することができる。よって、「ぶら下げ基板」によりリセット信号が不正に出力されている場合には、その不正出力を確認して、かかる不正行為を止めさせることができる。また、各制御基板には主制御基板からリセット実行コマンドが送信され(S3〜S5)、そのリセット実行コマンドを受信した各制御基板により特有の表示、効果音出力およびランプの点灯が行われるので、そのパチンコ機の状態により、ホールの店員等はパチンコ機でリセット処理が実行されたことを確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどに代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のパチンコ機は、複数種類の図柄を変動表示可能な表示装置を備えており、遊技領域に打ち込まれた球が図柄作動ゲートを通過することにより、変動表示を開始するように構成されている。この変動表示が予め定められた図柄の組み合わせと一致して停止すると、大当たりとなって、遊技者に所定の遊技価値が付与され、大量の球が払出可能な状態となる。
【0003】
かかる大当たりの発生の有無は、球が図柄作動ゲートを通過するタイミングで決定される。即ち、1カウントずつ定期的に一定の範囲で(例えば、1カウントずつ、2ms毎に、0から200の範囲で)更新されるカウンタ(所謂「乱数カウンタ」)を備え、球が図柄作動ゲートを通過したときに、そのカウンタの値を読み出して、読み出されたカウンタの値が、例えば「7」などの所定値と一致する場合に、大当たりを発生させる。大当たりが発生すると、主制御基板のコネクタに接続されたケーブルを介して、大当たりコマンドが表示装置の表示用制御基板へ送信される。表示用制御基板では、受信された大当たりコマンドに基づいて、変動表示を制御し、所定の図柄の組み合わせで停止する大当たり表示を現出させるのである。
【0004】
ところが、近年、「ぶら下げ基板」と称される不正な基板を使用した不正行為が報告されている。この不正行為は、主制御基板と表示用制御基板との間に、不正な基板をぶら下げて(不正な「ぶら下げ基板」を取り付けて)、不当に大当たりを発生させるものである。具体的には、大当たり発生の際に、主制御基板から表示用制御基板へ送信される大当たりコマンドを検出し、次の大当たりの発生タイミングに合わせて、球の図柄作動ゲート通過信号を不正に生成し、これを主制御基板へ出力して、不当に大当たりを発生させるのである。前記したように、大当たりを決定するためのカウンタは、1カウントずつ定期的に一定の範囲で更新され、しかも大当たりとなる値は固定値(例えば「7」)であるので、大当たりの発生タイミングは一定の周期毎に到来する。よって、大当たりの発生を1回検出すれば、その検出結果に基づいて、次の大当たりの発生タイミングを算出することができるのである。
そこで、大当たりとなる値を固定値とせずに、所定のタイミングで変更することにより、1の大当たりの発生タイミングに基づいて、次の大当たりの発生タイミングの算出を不可能とし、かかる「ぶら下げ基板」による不正行為を防止できるパチンコ機を開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し「ぶら下げ基板」では、主制御基板へリセット信号を出力するように構成した。大当たりとなる値は所定のタイミングで変更されるが、かかるリセット信号により初期化されるので、結果的に固定値となる。「ぶら下げ基板」では、このリセット信号により固定値とされた大当たりとなる値のタイミングに合わせて、球の図柄作動ゲート通過信号を不正に生成し、不当に大当たりを発生させているという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、「ぶら下げ基板」等による不正行為の実行の有無を確認できる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技の制御を行う主制御手段を備えた遊技機において、前記主制御手段は、その主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作を受けた場合には、その操作の入力を示す信号を外部装置へ出力するものである。なお、かかる操作としては、所定の信号の入力や駆動電圧の所定時間以上のダウンなどが例示される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機によれば、主制御手段は、その主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作を受けた場合には、その操作の入力を示す信号を外部装置へ出力するので、該操作の入力タイミングを外部装置へ報せることができる。よって、外部装置では、主制御手段になされる操作の入力タイミングにより、「ぶら下げ基板」等による不正行為の実行の有無を確認できるという効果がある。「ぶら下げ基板」等による不正行為が確認された場合には、その不正行為を止めるように即座に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図2】パチンコ機の電気的な構成を概略的に示したブロック図である。
【図3】主制御基板で実行される制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0010】
図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0011】
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、球が10個入賞するまで)開放される。
【0012】
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0013】
また、遊技盤1およびその周辺の各所には、複数のランプ7が配設されている。これらのランプ7は遊技の内容に応じて点灯又は消灯して、遊技の興趣を盛り上げると共に、遊技の進行状況を遊技者に表示する。
【0014】
図2は、パチンコ機Pの電気的な構成を概略的に示したブロック図である。図2に示すように、パチンコ機Pは、主制御基板Cに、複数の制御基板H,D,S,Lが接続されて構成されている。各制御基板C,H,D,S,L,Bの駆動電力は、電源基板20から供給される。
【0015】
主制御基板Cは、遊技内容の制御を行うためのものであり、この主制御基板Cに接続された各種スイッチSWから出力される信号と、主制御基板C内に設けられるカウンタ値などとに基づいて、各制御基板H,D,S,Lへ制御コマンドを送信して遊技の制御を行う。また、主制御基板Cは、電源基板20から出力されるリセット信号22を入力した場合には、そのリセット信号22の入力を示す信号を、パチンコ機Pを管理するホールコンピュータHCへ出力する。なお、パチンコ機PとホールコンピュータHCとが、島管理装置(図示せず)を介して接続されている場合には、かかるリセット信号22の入力を示す信号は、島管理装置を介してホールコンピュータHCへ出力される。
【0016】
主制御基板Cには、ワンチップマイコンとしてのMPU11が搭載されている。MPU11は、演算装置としてのCPUと、制御プログラムを記憶するROMと、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き替え可能に記憶するRAMと、タイマ割り込み回路と、フリーランニングカウンタと、ウォッチドッグタイマと、チップセレクトロジックなどとの各種の回路をワンチップに内蔵したものであり、これらの回路の他に、パチンコ機Pの遊技の制御(大当たりの有無を決定する制御)に使用される乱数を発生するための乱数発生回路や、このMPU11に固有の識別番号(ID番号)を記憶してその識別番号を所定の操作により出力するID出力回路を有している。
【0017】
払出制御基板Hは、各種スイッチSWから出力される信号や主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、賞球や貸し球の払出制御を行うものであり、主制御基板Cの他に、遊技盤1内の遊技領域へ球を発射するための発射モータ10を制御する発射制御基板Bと、賞球や貸し球を払い出すための払出モータ9とが接続されている。
【0018】
表示用制御基板Dは、主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、LCDディスプレイ3の変動表示を制御するためのものである。効果音制御基板Sは、主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、遊技の進行に合わせた効果音をスピーカ6から出力するためのものであり、ランプ制御基板Lは、主制御基板Cから送信される制御コマンドに基づいて、各ランプ7の点灯及び消灯を制御するためのものである。
【0019】
これら主制御基板Cと各制御基板H,D,S,L及びホールコンピュータHCとの間には、入力及び出力が固定的なバッファ8がそれぞれ接続されている(図2では1つのみ図示している)。よって、主制御基板Cと各制御基板H,D,S,L及びホールコンピュータHCとの送受信は、主制御基板Cから各制御基板H,D,S,L及びホールコンピュータHCへの一方向にのみ行われ、各制御基板H,D,S,L又はホールコンピュータHCから主制御基板Cへ行うことはできない。
【0020】
電源基板20は、パチンコ機Pの各部へ駆動電力を供給するためのものであり、各制御基板C,H,D,S,L,Bの駆動電力もこの電源基板20から供給される。また、電源基板20にはリセットスイッチ21が設けられており、このリセットスイッチ21が押下されると、各制御基板C,H,D,S,L,Bへリセット信号22が出力されて、各制御基板C,H,D,S,L,Bが初期化される。よって、パチンコ機Pに異常が発生した場合には、このリセットスイッチ21を押下することにより、パチンコ機P全体をリセットして、初期状態に復帰させることができる。なお、各制御基板C,H,D,S,L,Bは、それぞれリセット回路(図示せず)を備えているので、電源の投入により駆動電力の供給が開始された場合には、各制御基板C,H,D,S,L,B毎にそれぞれのリセット回路から独自にリセット信号が出力され、それぞれ初期化処理が行われる。
【0021】
次に、図3を参照して、パチンコ機Pの主制御基板Cで行われる制御を説明する。電源が投入されるか、或いは、電源基板20のリセットスイッチ21が押下されることによって主制御基板Cへリセット信号22が入力されると、図3に示すフローチャートの処理が開始される。
【0022】
まず、初期化処理を実行して(S1)、RAMクリア、I/Oやメモリの初期値の設定、タイマ割込の設定等を行う。次に、ホールコンピュータHCへリセット実行信号を出力する(S2)。これにより、主制御基板Cでリセット処理が行われたことをホールコンピュータHCへ報せることができる。更に、表示用制御基板D、効果音制御基板Sおよびランプ制御基板Lへ、それぞれリセット実行コマンドを送信し(S3〜S5)、主制御基板Cでリセット処理が実行されたことを各制御基板D,S,Lへ報せる。
【0023】
各制御基板D,S,Lでは、リセット実行コマンドを受信すると、自己の制御基板の初期化処理とは別個に、所定の処理を実行して主制御基板Cでリセット処理が実行されたことを、LCD3、スピーカ6及びランプ7を使用して報知する。例えば、表示用制御基板Dは、リセット実行コマンドを受信すると、所定の処理としてLCD3に特有の表示を行う。効果音制御基板Sは、所定の処理として特有の効果音をスピーカ6から出力する。ランプ制御基板Lは、所定の処理として特有の点灯パターンで各ランプ7を点灯するのである。なお、これらの所定の処理は、自己の制御基板の初期化処理を実行した上で更に実行しても良いし、これらの所定の処理を自己の制御基板の初期化処理の一部として実行しても良い。
【0024】
主制御基板Cでは、各制御基板D,S,Lへリセット実行コマンドの送信後、10秒間次の処理への進行をウエイトし(S6)、その後、各処理へ移行して(S7)、遊技の制御を行う。
【0025】
ここで、パチンコ機Pに「ぶら下げ基板」が取り付けられ、その「ぶら下げ基板」からパチンコ機Pの主制御基板Cに対してリセット信号が不正に出力される場合を説明する。主制御基板Cにリセット信号が出力されると、その出力毎に、図3のフローチャートの処理が始めから実行されるので、初期化処理(S1)により各メモリの値が初期化される。よって、大当たりとなる値を変更して「ぶら下げ基板」による不正行為の対策を施しても、大当たりとなる値は、リセット信号の出力毎に初期値に戻されるので、結果的に固定値になる。このため「ぶら下げ基板」による大当たり発生タイミングの算出を可能にして、不正行為を許してしまう。
【0026】
しかし、前述した通り、主制御基板Cでは初期化処理(S1)の実行後、ホールコンピュータHCに対してリセット実行信号を出力するので(S2)、主制御基板Cに入力されるリセット信号の状況を、ホールコンピュータHCで把握することができる。よって、「ぶら下げ基板」によりリセット信号が不正に出力されている場合には、その不正出力をホールコンピュータHCで確認して、かかる不正行為を止めさせることができる。
【0027】
また、各制御基板D,S,Lには主制御基板Cからリセット実行コマンドが送信され(S3〜S5)、そのリセット実行コマンドを受信した各制御基板D,S,Lにより特有の表示、効果音出力およびランプの点灯が行われるので、パチンコ機Pの状態により、ホールの店員等はパチンコ機Pでリセット処理が実行されたことを確認することができる。よって、かかるリセット処理が頻繁に行われる場合には、ホールの店員等により不正行為を止めさせることができる。
【0028】
なお、主制御基板Cでは、各制御基板D,S,Lへのリセット実行コマンドの送信後(S3〜S5)、次の処理への進行を10秒間ウエイトする(S6)。よって、リセット実行コマンドによる特有の表示、効果音出力およびランプの点灯を10秒間継続させることができる。よって、リセット処理の実行をより確実にホールの店員等に報せることができる。
【0029】
また、上記S2からS5の処理は、主制御基板Cへリセット信号が出力された場合には、他の制御基板D,S,Lへリセット信号が出力されなくても、実行される。よって、「ぶら下げ基板」が大当たりの判定を司る主制御基板Cのみへリセット信号を不正に出力する場合にも、かかる不正なリセット信号の出力をホールの店員等に確認させることができる。
【0030】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0031】
例えば、上記実施例では、「ぶら下げ基板」から主制御基板Cに対して不正にリセット信号が出力される場合について説明した。しかし、主制御基板Cへ外部から入力することができ、主制御基板CのRAMなどの値を初期化させることのできるものであれば、必ずしもリセット信号に限られるものではない。例えば、RAMの内容を初期化させるクリア信号や、主制御基板C全体のリセットでなく、RAMの内容またはタイマの設定値、大当たりの判定に使用される乱数発生回路など特定の一部のものを初期化させる初期化信号や、制御系の駆動電圧である+5Vの電圧を所定時間以上ダウンさせる操作や、バックアップ電圧を所定時間以上ダウンさせる操作等が、本実施例のリセット信号に代わる信号(操作)として例示される。なお、制御系の駆動電圧である+5Vの電圧を所定時間以上ダウンさせる操作により、主制御基板Cにリセットをかけることができるので、かかる操作は実質的に、外部から主制御基板Cへリセット信号が出力されるものと同じである。
【0032】
また、主制御基板CからホールコンピュータHCへ出力される信号としても、必ずしもリセット実行信号に限られるものではなく、主制御基板Cの状態の変化を確認することができる信号であれば他の信号で代替しても良い。代替信号としては、エラー情報の信号や電源投入情報の信号などが例示される。このように、主制御基板CからホールコンピュータHCへ出力される信号として予め用意されている信号を用いれば、既存のホールコンピュータHC(又は、既存の島管理装置)を設計変更することなく、本実施例のパチンコ機Pと接続して使用することができる。
【0033】
本実施例では、主制御基板Cから各制御基板D,S,Lへリセット実行コマンドを送信した後(図3のS3〜S5)、主制御基板Cでは次の処理への進行を10秒間ウエイトした(S6)。しかし、この主制御基板Cのウエイトに代えて或いは主制御基板Cのウエイトと共に、リセット実行コマンド(リセット実行コマンドと実質的に同一のものを含む。以下同様)を受信した各制御基板D,S,L側で所定時間(例えば10秒間)次の処理への進行をウエイトするように構成しても良い。即ち、該ウエイトの間は、各制御基板D,S,Lは主制御基板Cや他の装置から次の動作指示を受けても、かかる動作指示の実行をウエイト時間分待機して、その間、リセット実行コマンドの受信により実行するべき所定の処理を確実に実行し続けるのである。例えば、リセット実行コマンドの受信により実行するべき所定の処理として、表示用制御基板DではLCD3への「電源投入」のメッセージ表示が設定されている場合、該表示がLCD3に確実に10秒間表示され続ける。また、効果音制御基板Sでは所定の処理としてブザー音の鳴動が設定されている場合、ブザー音が確実に10秒間鳴り続ける。更に、ランプ制御基板Lでは所定の処理として全ランプ7の一斉点灯が設定されている場合には、確実に全ランプ7が10秒間点灯し続ける。よって、主制御基板Cで何等かの初期化が行われたこと(一部のRAMクリアなど)を、パチンコ機Pの周囲の者に確実に報せることができる。なお、上記構成によれば、パチンコ機Pの電源投入時には上記の動作が常に行われるが、その時間はホールの開店前の時間であるので、遊技客の迷惑になることはない。また、電源を投入したホールの店員は電源投入時には該動作が実行されることを予め認識しているので、この点も支障はない。
【0034】
更に、各制御基板D,S,Lで、電源投入後に主制御基板Cから送信されたリセット実行コマンド(リセット実行コマンドと実質的に同一のものを含む。以下同様)の回数を記憶しておき、所定の操作がなされた場合に、その回数を出力するように構成しても良い。所定の操作により出力される回数が2回以上であれば、何等かの異常を認識することができるからである。この構成は、「ぶら下げ基板」等によって主制御基板Cのみに何等かの初期化が行われる場合に有効である。なお、所定の操作による回数出力としては、表示用制御基板DであればLCD3への回数表示が例示され、効果音制御基板Sであればスピーカ6からの回数の音声出力あるいはブザー音の鳴動回数による回数出力が例示され、更に、ランプ制御基板Lであれば点灯するランプ数による回数表示が例示される。また、回数出力のための所定の操作を設けずに、記憶する回数が所定回数以上(例えば、2回以上または5回以上など)になった場合に、その回数を出力したり或いは前述した所定の処理をリセット実行コマンドを所定回数以上受信した各制御基板D,S,Lで実行するように構成しても良い。
【0035】
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0036】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0037】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0038】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記主制御手段から出力される指示に基づいて表示装置の表示制御を行う表示用制御手段を有しており、前記主制御手段は、その主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作を受けた場合には、その操作の入力を示す表示の指示を前記表示用制御手段へ出力するものであることを特徴とする遊技機1。
【0039】
請求項1記載の遊技機または遊技機1において、前記主制御手段から出力される指示に基づいて効果音の出力制御を行う効果音制御手段を有しており、前記主制御手段は、その主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作を受けた場合には、その操作の入力を示す効果音の出力指示を前記効果音制御手段へ出力するものであることを特徴とする遊技機2。
【0040】
請求項1記載の遊技機または遊技機1若しくは2において、前記主制御手段から出力される指示に基づいてランプの点灯制御を行うランプ制御手段を有しており、前記主制御手段は、その主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作を受けた場合には、その操作の入力を示すランプ点灯の指示を前記ランプ制御手段へ出力するものであることを特徴とする遊技機3。
【0041】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から3のいずれかにおいて、前記主制御手段は、前記表示用制御手段、効果音制御手段またはランプ制御手段に対して前記操作の入力を示す表示、効果音出力またはランプ点灯のいずれかの指示をした場合には、各制御手段への次の動作の指示を所定時間以上待機するものであることを特徴とする遊技機4。所定時間の待機により、前記操作の入力を示す表示、効果音出力またはランプ点灯を所定時間行わせることができる。よって、主制御手段に対するその主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作の入力を確実に報知することができる。
【0042】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から4のいずれかにおいて、前記表示用制御手段(または効果音制御手段、ランプ制御手段)は、前記主制御手段から前記操作の入力を示す表示(または効果音出力、ランプ点灯)の指示を受けた場合には、次の動作の指示を受けたとしても、その次の動作の実行を所定時間待機するものであることを特徴とする遊技機5。所定時間の待機により、前記操作の入力を示す表示(または効果音出力、ランプ点灯)を所定時間行うことができる。よって、主制御手段に対するその主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作の入力を確実に報知することができる。
【0043】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から5のいずれかにおいて、前記主制御手段は、乱数カウンタと、その乱数カウンタの値を更新する更新手段と、所定の契機により前記乱数カウンタの値を読み出す読出手段とを備え、その読出手段により読み出された前記乱数カウンタの値が当たり値の1つと一致する場合に、遊技者に所定条件下で所定の遊技価値を付与するものであり、更に、前記当たり値を記憶する当たり値記憶手段と、一定の当たり確率の条件下、その当たり値記憶手段に記憶される当たり値を変更する変更手段とを備えており、前記当たり値記憶手段に記憶される当たり値は、前記主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作を受けた場合に実行される所定の初期化処理によって初期化されることを特徴とする遊技機6。
【0044】
遊技の制御を行う主制御手段を備えた遊技機において、前記主制御手段は、リセット信号を入力した場合に、所定の初期化処理を実行すると共に、そのリセット信号の入力を示す信号を外部装置へ出力するものであることを特徴とする遊技機7。
【0045】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から7のいずれかにおいて、前記主制御手段から前記外部装置へ出力される信号は、前記主制御手段と前記外部装置との間で使用されている既存の信号であることを特徴とする遊技機8。既存の信号を使用して主制御手段の状態の変化を外部装置へ報せることができるので、既存の外部装置を使用することができ、汎用性を向上することができる。
【0046】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機9。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0047】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機10。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0048】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機11。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【符号の説明】
【0049】
22 リセット信号
C 主制御基板(主制御手段)
HC ホールコンピュータ(外部装置)
P パチンコ機(遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の制御を行う主制御手段を備えた遊技機において、
前記主制御手段は、その主制御手段の少なくとも一部を初期化またはクリアさせる操作を受けた場合には、その操作の入力を示す信号を外部装置へ出力するものであることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−136223(P2011−136223A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87435(P2011−87435)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2001−188989(P2001−188989)の分割
【原出願日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】