説明

遊技機

【課題】遊技機に設けられたスイッチの信号に存在するチャタリングを除去し、センサの信号に重畳するノイズを除去する。
【解決手段】この遊技機は、内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行する制御部と、前記制御部で生成したコマンドを受けて当該コマンドに基づき所定の処理を実行する副制御部と、球通過検知器などのセンサや演出ボタンなどのスイッチからの信号をサンプリングしてデータ列を得るフィルタリング処理部とを備える。フィルタリング処理部は、二段のバッファを備え、サンプリングを二重に行うことでノイズやチャタリングを除去している。前記制御部又は前記副制御部は、前記フィルタリング処理部で処理されたデータを前記スイッチ又はセンサからの信号として扱い、予め定められた処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機に関し、特に、入力信号に重畳されたノイズやスイッチの出力信号に生じるチャタリングを除去するフィルタリング処理部を備える遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機設置営業店などにおいて設置されている弾球遊技機(いわゆるパチンコ機)は、遊技球(遊技媒体とも呼ぶ)を用いて遊技を行うものである。借り受けた遊技球を弾球遊技機の遊技盤に設けられている盤面へ打ち出し、当該遊技球が予め定められた入賞口に入るごとに所定数の遊技球を払出すようになっている。払い出される遊技球は賞球と呼ばれる。
【0003】
弾球遊技機の盤面に設けられている入賞口には次のようなものがある。
(1)普通入賞装置
(2)スタートチャッカー(始動入賞装置)
(3)アタッカー(大入賞装置)
(4)スルーチャッカー(入賞チャッカー)
【0004】
スタートチャッカー(始動入賞装置)は特定入賞装置とも呼ばれる。遊球球がスタートチャッカー(始動入賞装置)に受け入れられて入賞状態になったとき、賞球を払い出すとともに電子的な抽選を行い、当選の場合に通常状態から遊技者にとって有利な遊技状態となるよう、アタッカー(大入賞装置)を開放状態にするものである。
アタッカー(大入賞装置)は特別入賞装置とも呼ばれる。
【0005】
スルーチャッカー(入賞チャッカー)は直接賞球を払い出すものではないが、本明細書において入賞口に含める。遊技球がスルーチャッカー(入賞チャッカー)を通過したことが検知されたとき、電子的な抽選を行い、当選したときは遊技者にとって有利な遊技状態となるよう、スタートチャッカー(始動入賞装置)を所定時間開放し、遊技球がスタートチャッカー(始動入賞装置)に入りやすくする。スルーチャッカー(入賞チャッカー)に受け入れられた遊技球はそのまま盤面を移動し、他の入賞口又は次に説明する排出口(アウト口)に受け入れられる。
【0006】
弾球遊技機の盤面には、前記入賞口以外にも排出口(アウト口)が設けられている。排出口(アウト口)は、盤面に遊技領域を区画するために螺旋状に配置された誘導レールの下部(重力によって遊技球が集められる個所)に設けられた開口であり、前記入賞口(正確には普通入賞装置、スタートチャッカー(始動入賞装置)、アタッカー(大入賞装置))のいずれにも受け入れられなかった遊技球を受け入れて、盤面の外へ排出するためのものである。
【0007】
上述のように、弾球遊技機の特定の入賞口に遊技球が受け入れられると電子的な抽選が行われる。多くの場合、当該抽選にはカウンタやレジスタ等のハードウエアで発生された乱数又はソフトウエアで実行されるカウンタで発生された乱数が使用される。
【0008】
弾球遊技機は、電子的な抽選を含む遊技に関する処理を行うために、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部及び前記制御部にて生成した処理情報を得ることにより所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部を備え、さらに、これらに接続される払出制御部、遊技球払出装置、電飾制御部及び音響制御部などの周辺基板を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
遊技機内に設けられている制御部、副制御部などの基板は、入賞口に設けられて遊技球を検知するセンサや遊技者が操作するスイッチなどの出力信号などを受けている。そして、センサやスイッチなどの出力信号に基づき、上述したような遊技処理を行っている。
【0010】
制御部、副制御部などの基板はマイコン(CPU)を備えていて、デジタル信号に基づいて処理を行っている。そのため、前記センサやスイッチからの信号をデジタル信号に変換し、これらをデータとして扱うことで前記処理を行っている。デジタル信号は、典型的には信号レベルの高/低(H/L)にそれぞれ対応付けられた「0」「1」のデータ列である。デジタル信号のインタフェースでICによく用いられているものとして、例えば、TTL(Transistor Transistor Logic)がある。前記センサやスイッチからの信号をデジタル信号に変換するために、制御部、副制御部などの基板は、前記センサやスイッチからの信号を一定時間毎にサンプリングし、その結果に基づいて「0」「1」のデータ列を生成している。
【0011】
前記センサやスイッチからの信号には、ノイズが含まれることがある。また、スイッチなどの機器ではその構造上の理由により、チャタリング(短時間の間にオンオフが不規則に繰り返されること)が生じることがある。これらノイズやチャタリングは不要なものであるのみならず、それらの存在によりCPUが誤動作したり、意図した処理とは異なる処理を実行することもあることから、それらは除去すべきものである。
【0012】
ノイズやチャタリングを除去するために、従来の遊技機では、前記センサやスイッチからの信号をサンプリングしてデータ列を得るとともに、これに含まれる複数のデータ同士を比較しこれらが合致することを条件に信号の状態を確定していた。しかし、サンプリング周期によってはノイズやチャタリングを完全に除去できないという問題があった。
【0013】
上記従来の遊技機ではサンプリングが一回だけであり(言い換えればサンプリングしたデータ列を格納するバッファが一段のみ)、そのため上記問題が生じていた。そこで、バッファを二段として(多段化)、サンプリングを二重に行うことで、大部分のノイズやチャタリングを除去することができる。その反面、バッファの多段化に伴う比較回数の増加によりCPUの処理負荷が増加するという問題があった。
【0014】
本発明は上記課題を解決することを目的としてなされたもので、CPUの内部構成に着目し、サンプリングしたデータをCPUが扱いやすい形式で扱うことで、処理負荷の増加を抑制しつつ、ノイズやチャタリングを効果的に除去できるフィルタリング処理部を備える遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行する制御部と、前記制御部で生成したコマンドを受けて当該コマンドに基づき所定の処理を実行する副制御部とを備える遊技機において、
予め定められた時間間隔Δτでタイミング信号を発生する第1タイマーと、
遊技機に設けられたスイッチ又はセンサからの信号を前記第1タイマーのタイミング信号に基づきサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部によりサンプリングされた「0」又は「1」のデータを順番に格納する入力データ保存バッファと、
予め定められた時間間隔Δt(ただし、ΔtはΔτの整数倍)でタイミング信号を発生する第2タイマーと、
前記第2タイマーのタイミング信号に基づき前記入力データ保存バッファに保存された複数のデータを読み出し、前記複数のデータの全てが「0」であれば「0」と判定し、前記複数のデータの全てが「1」であれば「1」と判定し、前記複数のデータに「0」と「1」が同時に存在しているとき「無効」と判定する入力データ解析部と、
前記入力データ解析部による解析結果を保存する入力パターン保存バッファと、を備え、
前記入力パターン保存バッファは、前記入力データ解析部による解析結果が「無効」であるときに、当該「無効」に対応するデータとして、既に保存されている他のデータに基づき生成された補間データを保存し、
前記制御部又は前記副制御部は、前記入力パターン保存バッファに保存されたデータを遊技機に設けられた前記スイッチ又はセンサからの信号として扱い、当該データに基づき予め定められた処理を行うものである。
【0016】
さらに、予め定められた時間間隔ΔT(ただし、ΔTはΔtの整数倍)でタイミング信号を発生する第3タイマーと、
前記制御部又は前記副制御部が参照するための入力パターン参照バッファと、
前記第3タイマーのタイミング信号に基づき前記入力パターン保存バッファに保存されたデータを読み出して前記入力パターン参照バッファにコピーするデータコピー部と、を備え、
前記制御部又は前記副制御部は、前記入力パターン参照バッファからデータを読み出し、当該データに基づき予め定められた処理を行うようにしてもよい。
【0017】
前記入力パターン保存バッファは、前記入力データ解析部による解析結果が「無効」であるときに、下記(ア)乃至(ウ)のいずれかにより生成されたデータを、当該「無効」に対応するデータとして保存するようにしてもよい。
(ア)当該「無効」と判定されたデータの直前に保存されたデータを当該「無効」に対応するデータとして保存する
(イ)当該「無効」と判定されたデータよりも前に保存された奇数個のデータを調べ、それらに含まれるデータのうちで多数のものを採用することで補間データを生成する
(ウ)当該「無効」と判定されたデータを挟んだ前後のデータが一致したときは当該データを当該「無効」に対応するデータとして保存し、不一致のときは「0」又は「1」のうち予め定めた方を当該「無効」に対応するデータとして保存する
【0018】
前記制御部又は前記副制御部は、それぞれCPUを備え、例えば、
前記時間間隔Δtは、前記時間間隔Δτの前記入力データ保存バッファのビット数倍であり、
前記時間間隔ΔTは、前記時間間隔Δtの前記入力パターン保存バッファのビット数倍であり、
前記入力データ保存バッファのビット数は、前記CPUの処理単位に対応している。
【0019】
前記第1タイマーは、
前記サンプリング部のサンプリング対象である信号が前記スイッチからの信号であるとき、当該スイッチにおいて発生するチャタリングの周期に基づき定められた前記時間間隔Δτで前記サンプリング用のタイミング信号を発生し、
前記サンプリング部のサンプリング対象である信号が前記センサからの信号であるとき、当該信号に重畳されるノイズの持続時間に基づき定められた前記時間間隔Δτで前記サンプリング用のタイミング信号を発生するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、CPUの内部構成に着目しつつサンプリングを二重に行うので、処理負荷の増加を抑制しつつ、ノイズやチャタリングを効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】遊技機の表面構造を示す斜視図である。
【図2】遊技機の裏面構造を示す斜視図である。
【図3】遊技者から見た盤面の様子を示す図(正面図)である。
【図4】発明の実施の形態に係る遊技機の機能ブロック図である。
【図5】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理部の機能ブロック図である。
【図6】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理(その1)のフローチャートである。
【図7】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理(その2)のフローチャートである。
【図8】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理の説明図である(データ保存バッファへのデータ書き込みを示すもの)。
【図9】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理の説明図である(入力データ解析部が「0」又は「1」を出力するケース)。
【図10】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理の説明図である(入力データ解析部が「0」を出力するケースと、「無効」と判定してデータを破棄するケース)。
【図11】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理の説明図である(入力パターン保存バッファへのデータ書き込みを示す例)。
【図12】発明の実施の形態に係るフィルタリング処理の説明図である(入力パターン保存バッファへのデータ書き込みを示す他の例)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
弾球遊技機の構造概略について図1及び図2を参照して説明を加える。
まず、図1を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の外部的構造につき説明する。
外枠50は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備など)へと固定させるための縦長方形状からなる木製の枠部材である。
本体部材51は、外枠50の内部に備えられ、ヒンジ部51aを介して外枠に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。この本体部材51は、枠状に形成されその内側に空間部を有している。
開口枠扉52は、遊技機の前面側となる前記本体部材51の前面に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部とした扉部材である。
なお、開口枠扉52の開口部にガラス製又は樹脂製からなる透明板部材が設けられ、開口部近傍に電飾52a、スピーカ52b、などが取り付けられている。
後述する遊技盤(図1では示していない)は、本体部材51の空間部に臨むように、本体部材51に所定の固定部材を用いて着脱自在に装着されている。遊技盤の本体部材51への装着後は、その遊技領域を前記開口部より観察することができる。
【0023】
球受皿付き扉53は、遊技機前面において本体部材51の下部に、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着され、遊技球を貯留する球受皿を少なくとも備えた扉部材である。なお、本実施形態における球受皿付き扉には、以下の部材が取り付けられている。
(1)複数の遊技球が貯留可能で且つ発射駆動装置48へと遊技球を案内させる通路が設けられた球受皿。
(2)該貯留され発射駆動装置48へと案内された遊技球を前記遊技盤10の盤面11に設けられた遊技領域へと打出す操作を行う回動式操作ハンドル48b。
(3)ブリペイドカード読込み処理関係及び借り受ける遊技球の貸出し処理関係の指示をするボタンを備えた球貸し関係の操作部。
(4)球受皿に貯留させた遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出解除するための球受皿用の貯留球排出操作ボタン。
【0024】
次に、図2を参照して本発明の実施の形態に係る遊技機の内部的構成を説明する。
40は、前述したように、本体部材51若しくは遊技盤11又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部である。
40bは、前記本体部材51若しくは遊技盤11又はこれらに備え付けられる支持部材などを介して設けられ、前記制御部40にて生成した処理情報を得ることにより所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部である。
42は、賞球の払い出し制御を行う払出制御部である。
43は、遊技球を払い出す遊技球払出装置である。
44は、図示しないランプや電飾52aを制御する電飾制御部である。
46は、スピーカ52bを制御駆動して音響を発生させる音響制御部である。
49は発射駆動装置48を制御する制御装置であって、回動式操作ハンドル48bを介して遊技球を盤面に設けられた遊技領域へと打出し制御を行うための発射制御装置である。
【0025】
図3は遊技機の遊技盤の正面図である。
図3において、11は遊技盤10の盤面である。盤面11は、誘導レール12と、誘導レール12で区画された略円形の遊技領域を落下した遊技球を外部へ導く排出口(アウト口)13と、遊技領域を移動する遊技球の方向を変化せしめる釘14や風車14aなどの障害物を複数個備える矩形の盤面である。
【0026】
前述した盤面11の遊技領域は、誘導レール12(遊技球を滑走させる滑走部と遊技球を規制する規制部を含む)により略円形状となるように区画形成され、打出された遊技球の移動範囲を規制する領域である。前記滑走部に規制部が続くように設けられている。前記滑走部は全体として螺旋をなして盤面11に配設されている。
【0027】
前記排出口(アウト口)13は、遊技領域に投入された遊技球が集束する位置に設けられた回収開口部である。
【0028】
障害物14としての遊技釘は、遊技球と接触させることにより移動方向を不規則にし、又は移動方向を規制するために、盤面11の適宜な位置に打込まれる複数の棒状部材である。
【0029】
30aは、遊技領域の中央やや上側に設けられ、演出用表示ランプやLCD(液晶表示装置)などの可変表示部をひとつ又は複数有する可変表示装置(センター役物)である。
30bは、スルーチャッカー(入賞チャッカー)である。
30cは、普通入賞口を有する普通入賞装置である。
30dは、始動入賞口を有するスタートチャッカー(始動入賞装置)である。
30eは、大入賞口を有するアタッカーである。
以下の説明で、30b乃至30dをまとめて入賞口30などと記すことがある。
なお、図示されていないが、上記30b、30c、30dの内部には球通過検出器20b、20c、20dが設けられている(同図の括弧内の符号はそのことを意味する)。
【0030】
スタートチャッカー30dの始動入賞装置は特定入賞装置と、アタッカー30eの大入賞装置は特別入賞装置とも呼ばれる。
スタートチャッカー(始動入賞装置)30dは、入賞口の開口範囲の拡縮を行わせる可動片をその両側に備え、遊技球を入賞させることにより可変表示を行わせると共に賞球を遊技者に獲得させる入賞装置である。
アタッカー(大入賞装置)30eは、入賞口を露出させる開口状態と入賞口を閉鎖する閉口状態となる可動扉が駆動制御されるものであり、遊技球を入賞させることにより他の入賞装置と比較してより多くの賞球を獲得させる入賞装置である。
【0031】
図4は本発明の実施の形態に係る遊技機の機能ブロック図である。
40は、電気的な遊技制御の処理を行い主要な処理情報を生成する制御部(「メイン基板」とも呼ばれる)である。制御部40は遊技領域を移動(流下)して入賞口30b〜30dを通過した遊技球をそれぞれ検出する球通過検出器20b〜20dの信号を入力とし、入賞口30b〜30dの遊技球通過に応じた抽選・判定を行う入賞判定部40aを含む。
【0032】
41は可変表示装置(センター役物)30aの演出用表示ランプを点灯させる表示制御部である。表示制御部41は、入賞判定部40aにおける所定条件の成立(例えば、予め定められた通過口ヘの遊技球の通過)に基づく電子的な当否抽選の結果に応じて、識別点灯情報(可変表示装置(センター役物)30aの演出用表示ランプに点灯表示される)を可変表示させた後に停止表示を行う表示制御装置である。
【0033】
なお、制御部40に設けられた入賞判定部40aにおける所定条件の成立(例えば、始動入賞装置30dヘの遊技球の入賞等)に基づく電子的な当否抽選の結果に応じて、液晶表示装置LCDにその識別表示情報が可変表示される(抽選結果に応じてその演出内容が変わる)。これは、制御部40から抽選結果(あるいはこれに対応する演出コマンド)を副制御部40bへ送り、当該抽選結果を受けた副制御部40bが当該抽選結果に対応する画像を生成し、これを液晶表示装置LCDで表示することで実行される。可変表示装置(センター役物)30aのLCDは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。スタートチャッカー(始動入賞装置)30dを遊技球が通過したことが検出されると、表示される図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のスタートチャッカー(始動入賞装置)30dの通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄をLCDに表示して停止するようになっている。
【0034】
アタッカー30eは、前方に開放可能な開閉板を備える。LCDの変動停止後の図柄が「777」などの当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、アタッカー30eの開閉板が予め定めた回数だけ開放されるようになっている。アタッカー30eの開閉板が開放された後、所定時間が経過し、又は所定数の遊技球が入賞すると開閉板が閉じる。
【0035】
42は、入賞判定部40aの信号を受けて入賞口30b〜30dの遊技球通過に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた遊技球払出装置43を制御する払出制御部である。
43は、遊技利益として入賞口30b〜30dの遊技球通過に応じた及び/又はこれによる抽選・判定の結果に応じた所定数の遊技球を払出す駆動源を備えた遊技球払出装置である。
【0036】
遊技球が遊技領域に設けられた入賞装置30b〜30dには、それぞれ内部に球通過検出器(例えばスイッチ)20b〜20dが設けられ、遊技球の通過を検出できるようになっている。いずれかの入賞装置30b〜30dの位置を通過すると、これを球通過検出器20b〜20dが検出し、これを受けて入賞判定部40aが所定の抽選・判定処理を行う。例えば、球通過検出器20bがスルーチャッカー(入賞チャッカー)30bを通過した遊技球を検知したとき、所定の抽選を行い、当選したときはスタートチャッカー(始動入賞装置)30dを所定時間開放する。すなわち、スタートチャッカー(始動入賞装置)30dの左右両側に互いに対向して設けられた一対の可動片を、それぞれ外側へ開放させる。併せて当選の旨を可変表示装置(センター役物)30aに表示する。そして、遊技球がスタートチャッカー(始動入賞装置)30dを通過したことを検知したとき、所定の抽選を行い、当選したときはアタッカー30eの大入賞装置を開放する。
【0037】
40bは、制御部40にて生成した処理情報を得ることにより、光の点滅・音響の発生などの演出を含む所定の出力態様処理をさせる制御を行う副制御部(「サブ基板」とも呼ばれる)である。副制御部40bは、CPU,ROM,RAM及び液晶表示装置LCDに表示する画像を生成するVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)を含む。副制御部40bからの出力信号は、ランプ制御部44、音響制御部46及び可動体制御部47などの周辺基板へ送られる。また、副制御部40bは、遊技者が操作する演出ボタンESWから信号を受け付ける(図1において、演出ボタンESWの表示は省略している)。
【0038】
44は、遊技盤10あるいは遊技機筐体に設けられたランプ・電飾52aなどを点灯制御するための電飾制御部である。
【0039】
46は、遊技盤10あるいは遊技機筐体に設けられたスピーカ52bを通じて効果音・音声を発生させる音響制御部である。
【0040】
47は、遊技盤10に設けられた可動体52cを制御する可動体制御部である。
可動体52cとは、遊技盤10上に打ち出された遊技球の落下動作に変化を与える障害物であって、副制御部40bの処理によって状態が変化するものである(図3において可動体52cの表示は省略している)。可動体52cは、例えば、通常状態とこれと異なる状態の2つを相互に行き来するものである。可動体とは、例えば、平板状、円柱状、円盤状、凹凸を有する歯車状、等のものである。なお、図示しないが可動体52cを駆動するための動力部を備える。可動体制御部47は、実際には、当該動力部を駆動する。動力部は、例えば、モータ、ソレノイドなどの電力又は磁力を用いた駆動装置又は駆動源を備えた制御装置などである。
【0041】
液晶表示装置LCD及びランプ・電飾52a、スピーカ52b、可動体52cは、遊技者の視覚や聴覚に訴える演出を行うための演出デバイスである。また、ランプ制御部44、音響制御部46、可動体制御部47は、前記デバイスを駆動制御するデバイスであり、その内部に演出処理用のICを内蔵している。副制御部40bに内蔵されるVDPも駆動制御用のデバイスである。以下の説明において、液晶表示装置LCDなどの上記演出デバイスを駆動制御する、ランプ制御部44、音響制御部46、可動体制御部47及びVDPを演出デバイス制御部と呼ぶことにする(なお、演出デバイスと演出制御デバイスと併せて指すときに「演出デバイス」という用語を用いることがある)。なお、ランプ制御部44、音響制御部46、可動体制御部47を、VDPのように副制御部40bに内蔵してもよい。
【0042】
演出ボタンESWは、遊技者によって押下操作されるものであり、押下することで液晶表示装置LCDに表示される演出画像の態様を変化させ、遊技者に対して遊技への参加意識を高めるとともに、興趣を高めるようにしたものである。例えば、演出ボタンESWの操作に連動して液晶表示装置LCDに表示される演出画像を選択することができる。
【0043】
副制御部40bは、前述のようにCPU,ROM,RAM及びVDPを含む。複数のビット(配線)からなる図示しないBUSに、CPU(処理部)、ROM(不揮発性記憶部、メモリ)、RAM(読み出し及び書き込み可能な記憶部、メモリ)、VDP及び図示しないI/O(入出力装置)が接続されている。副制御部40bで実行される遊技に係る処理は、ROMに予め記憶されたプログラムに従ってCPUが動作することで実行される。CPUは、処理を行う際に各種データをRAMに記憶させ、必要に応じて読み出し、処理を行い、必要に応じて再度記憶する、といった処理を行う。RAMはバッテリバックアップを受けていることがあり、この場合は電源断の間でもその記憶内容は保持されている。
【0044】
副制御部40bは、主制御部40から演出コマンドを受信し、これに基づき液晶表示装置LCD、ランプ・電飾52a、スピーカ52b、可動体52c、演出ボタンESWなどの制御を行うものである。
【0045】
図4では、制御部40と副制御部40bは、それぞれ、フィルタリング処理部FLTを含む。フィルタリング処理部FLTは、球通過検知器20b乃至20dなどのセンサや演出ボタンESWなどのスイッチからの信号をサンプリングしてデータ列を得る処理部である。フィルタリング処理部FLTは、二段のバッファを備え、サンプリングを二重に行うことで、大部分のノイズやチャタリングを除去するものである。フィルタリング処理部FLTの出力は、制御部40では入賞判定部40a(正確には、入賞判定プログラムに従って動作する図示しないCPU)に渡され、所定の処理に使用され、副制御部40bではCPUに渡され、演出などの所定の処理に使用される。フィルタリング処理部FLTの出力の利用形態については従来の遊技機と変わるところがないので、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図5は、フィルタリング処理部FLTの構成を示す。フィルタリング処理部FLTは、図5に示すようにハードウエア(IC)で構成することもできるし、各要素の機能を実現するプログラムに従ってCPUを動作させることでも実現することができる。
【0047】
100は、センサやスイッチから受けた信号を、第1タイマー106の出力信号にしたがってサンプリングするサンプリング部である。ここで、サンプリングとは、連続する信号のレベルを所定間隔で調べ、デジタルデータの「0」「1」のいずれかに対応付けることである。例えば、一定時間間隔で図示しないI/Oに入力された信号のレベルを調べ、それが予め定められた閾値との大小により「0」「1」と振り分ける。TTLレベルの信号であれば、通常のI/OのICの出力に現れるデータを順番にメモリに取り込むことでサンプリングを実現できる。
【0048】
サンプリング部100が受ける信号は、遊技機に設けられたスイッチ又はセンサからの信号である。例えば、演出ボタンESWや、球通過検出器20b〜20dであるが、これに限定されない。他に、回動式操作ハンドル48bに設けられたスイッチ、遊技機の扉開閉検知センサ(スイッチ)などがある。これらスイッチ又はセンサからの信号のうちどれをフィルタリング処理するかは、遊技機の開発者が適宜選択できることである。本発明の実施の形態に係るフィルタリング処理の対象となる信号は、図8などに示すような高低レベルをもつデジタル信号(オンオフ信号)であり、典型的にはTTL信号である。無限の段階をもつアナログ信号は対象にならないが、アナログ信号であってもコンパレータを用いて予め定めた閾値以下であるかそれともそれを超えるかを判定した信号(コンパレータの出力信号)は、本発明の実施の形態に係るフィルタリング処理の対象とすることができる。
【0049】
第1タイマー106はサンプリング用のタイミング信号を所定間隔、好ましくは一定時間間隔で発生する。その間隔をΔτとする。例えば、Δτ=130μsである。Δτは、除去すべき対象をノイズ又はチャタリングのどちらかにするかに基づいて設定するとよい。この点については後述する。
【0050】
101は、サンプリングされた複数のデータ(データ列)を格納する入力データ保存バッファである。入力データ保存バッファ101は、例えば、一次元のバッファである。CPUの内部構成に着目し、サンプリングしたデータをCPUが扱いやすい形式で扱うという観点から、8ビットのバッファを採用している。
【0051】
入力データ保存バッファ101をFIFO(First In First Out)バッファで構成することができる。FIFOバッファとは、先入れ先出しに従って動作するバッファであり、例えば、直列に接続された複数のDタイプのフリップフロップで実現される。
【0052】
102は、第2タイマー107の出力信号にしたがって、入力データ保存バッファ101に保存されたデータ列を読み出して、これを解析する入力データ解析部である。入力データ解析部102は、例えば、読み出された全てのデータ(例えば8ビットのデータ)が「0」であれば「0」を出力し、「1」であれば「1」を出力し、これら以外の場合は「無効」であると通知するものである。このような処理はCPUにおいて簡単に実現できる。例えば、CPUによって、それが扱う単位である8ビットのデータをメモリからCPUのレジスタに取り込めば、当該8ビットのデータが全部「0」であればその旨のフラグがセットされるというものがあり、このような機能を使用することで入力データ解析部102を実現することができる。処理単位が16ビットであるCPUについても同様である。
【0053】
第2タイマー107は入力データ解析部102のタイミング信号を所定間隔で発生する。当該タイミング信号は、所定のデータ列(本発明の実施の形態の例では8ビットのデータ)が揃ったことを示すものである。その間隔をΔtとするとΔt=8×Δτである。例えば、Δt=1.04msである。
【0054】
103は、入力データ解析部102で解析した結果(データ列)を格納する入力パターン保存バッファである。入力パターン保存バッファ103は、例えば、一次元のバッファであり、入力データ保存バッファ101と同様にメモリあるいはFIFOバッファで実現できる。本発明の実施の形態の例では、入力パターン保存バッファ103は、合計で16ビットのデータ列を記憶する。入力パターン保存バッファ103は、入力データ解析部102で解析した結果を順番に受けて1ビットづつ保存する。「0」であれば「0」を、「1」であれば「1」を保存する。「無効」のときの動作は後述する。
【0055】
104は、第3タイマー108の出力信号にしたがって、入力パターン保存バッファ102に保存されたデータ列を読み出して、入力パターン参照バッファ105にコピーするデータコピー部である。
【0056】
第3タイマー108はデータコピー部104のタイミング信号を所定間隔で発生する。当該タイミング信号は、入力データ保存バッファ103に所定のデータ列(本発明の実施の形態の例では16ビットのデータ)が揃ったことを示すものである。その間隔をΔTとするとΔT=16×Δtである。例えば、ΔT=16.7msである。
【0057】
105は、CPUが参照する入力パターン参照バッファである。入力パターン参照バッファ105に保存されているデータ列が、センサやスイッチの信号のデータとして取り扱われる。サンプリング部100乃至データコピー部104の作用により、入力パターン参照バッファ105のデータ列には、ノイズやチャタリングは含まれていない。
【0058】
図5のフィルタリング処理部FLTの動作について、図6及び図7のフローチャートを参照して説明を加える。
【0059】
図6はサンプリング及び解析処理のフローチャートを示す。図6の処理は、図5のサンプリング部100及び入力データ解析部102が行うものである。
【0060】
S1:入力信号を一定時間Δτごとにサンプリングし、入力データ保存バッファ101に保存する。
サンプリング部100は、第1タイマー106から信号を受けると、このサンプリング処理を実行する。
【0061】
S2:第2タイマー107による割り込みがあったかどうか判定する。
割り込みはΔtごとに発生する。割り込みがあったとき(YES)、S3以降の処理を実行する。割り込みがないとき(NO)、S1の処理を繰り返す。
【0062】
S3:入力データ保存バッファ101の内容を解析する。
【0063】
S4:解析結果に応じて異なる処理を実行する。
入力データ解析部102は、入力データ保存バッファ101の全てのデータが「0」であれば「0」を出力し(S6)、「1」であれば「1」を出力する(S5)。これら以外の場合は「無効」であると入力パターン保存バッファ103に通知する(あるいは、入力データ解析部102は入力パターン保存バッファ103に対して「無効」であるときの処理を実行する)(S7)。
「無効」であるときに実行する処理については、後述する。
【0064】
なお、処理負荷を軽減するために、バッファ101は周期に関係なく(言い換えればCPUに対して特定の処理を要求することなく機械的に)処理を繰り返すものとする。この際に、多少の読みこぼしがあってもそれは容認するものとする。
【0065】
図7は入力パターン保存及び出力処理のフローチャートを示す。図7の処理は、図5の入力パターン保存バッファ103乃至入力パターン参照バッファ105あるいは入力データ解析部102が行うものである。
【0066】
S10:入力データ解析部102から(あるいは入力データ保存バッファ101から直接に)、時間Δtごとに解析結果を受ける。
上述のように、入力データ解析部102は、「0」「1」「無効」のいずれかを出力する。
【0067】
S11:受けた結果が「0」又は「1」であるときは(YES)、受けたデータを入力パターン保存バッファ103に保存する(S12)。「無効」であるときは、S13の処理を実行する。
【0068】
S13:入力パターン保存バッファ103の前回の値(解析結果)を今回の解析結果としてコピーする。
前述のように、「無効」であるとは、そのときの入力データ保存バッファ101のデータ列が、チャタリングやノイズの影響を受けたデータであることを意味するから、それを破棄し、代わりに、前回のデータを今回のデータとして入力パターン保存バッファ103に書き込む。
【0069】
S14:第3タイマー108による割り込みがあったかどうか判定する。
割り込みはΔTごとに発生する。割り込みがあったとき(YES)、S15以降の処理を実行する。割り込みがないとき(NO)、S10の処理に戻る。
【0070】
S15:データコピー部104が、入力パターン保存バッファの内容を入力パターン参照バッファへコピー(あるいは移動)する。
【0071】
なお、処理負荷を軽減するために、バッファ103は周期に関係なく(言い換えればCPUに対して特定の処理を要求することなく機械的に)処理を繰り返すものとする。この際に、多少の読みこぼしがあってもそれは容認するものとする。
【0072】
ただし、入力データの解析の結果で「無効」となったときは、その直前のデータを使用するから、入力パターン保存バッファのデータ列の一部(特にその最後)はクリアせずに保持していることが望ましい。例えば、1ビットの領域を用意しておき、そこにデータ列の最後のデータを保存したうえで、入力パターン保存バッファをクリアする。あるいは、入力パターン保存バッファの最後の部分だけはクリアせず、データを残しておくようにする。
なお、図6において、解析の後に入力データ保存バッファ101をクリアするようにしてもよい(図6に点線で示されているS8参照)。図7においても同様である(図7に点線で示されているS16参照)。
【0073】
図8乃至図12を参照して、発明の実施の形態に係るフィルタリング処理部の動作例について説明する。
【0074】
図8は、入力データ保存バッファ101に8個の「1」が書き込まれていく様子を示す。同図(a)は入力信号のタイミングチャートを示し、同図(b)は入力データ保存バッファ101の内部を示す。説明の便宜上、図6のS8で、入力データ保存バッファ101はクリア(全部のデータが「0」)されているとする。図8は、図6のS1の処理に対応する。
【0075】
図8(a)の矢印はサンプリングを示す。1回の周期において8回のサンプリングを行うので、一部の矢印に1乃至8の数字を付している。数字の1は、時刻t1を意味するものとする。数字の2乃至8も同様である。
【0076】
時刻t1において、信号レベルは高レベル(Hレベル)であるので、「1」がサンプリングされ(正論理であるとする)、入力データ保存バッファ101の一番右側の位置にそれが格納される。時刻t1からt2へ移る間に、言い換えれば矢印1と矢印2の間で書き込んだデータ「1」が、ひとつ左側へシフトする。
【0077】
時刻t2においても、信号レベルは高レベル(Hレベル)であるので、「1」がサンプリングされ、入力データ保存バッファ101の一番右側の位置にそれが格納される。したがって、右端で「1」が2つ連続することになる。
【0078】
以下、同様に時刻t3、・・・、t8において「1」が書き込まれる。時刻8では8個の「1」が書き込まれ、入力データ保存バッファ101が一杯になっている。このときのデータ列(8個の「1」)が入力解析部102へ送られる。
【0079】
図9は、時間Δtの3つの周期、T(n−1)、T(n)、T(n+1)を示している。各周期を単位として、図6のS1乃至S8の処理を繰り返している。
【0080】
図9(d)はT(n−1)でサンプリングされたデータ列を示し、これは8個の「0」であるので、入力データ解析部102は「0」を出力する(図6のS4で「全て「0」」、S6)。
【0081】
同様に、図9(e)に示すように、T(n)でサンプリングされたデータ列は8個の「0」であり入力データ解析部102は「0」を出力し、図9(f)に示すように、T(n+1)でサンプリングされたデータ列は8個の「1」であり入力データ解析部102は「1」を出力する。
【0082】
図10は、図9と同様のものである。図10(e)に示すように、T(n)でサンプリングされたデータ列は6個の「0」と2個の「1」であるので、入力データ解析部102はデータ列を破棄し、「無効」を出力する(図6のS4で「「0」と「1」が混在」、S7)。
【0083】
図11は、入力パターン保存バッファ103にデータが書き込まれていく様子を示す。同図(a)(c)は入力信号のタイミングチャートを示し、同図(b)(d)は入力パターン保存バッファ103の内部を示す。図11は、図7のS10乃至S13の処理に対応する。図11のT1乃至T16は、説明の便宜上、ΔTごとの繰り返し周期に付された符号である。T1乃至T16がひとつの入力パターンを示している。図11では示していないが、Δtごとの一つの周期(例えばT1)には、Δτ間隔の8個のサンプリングパルスが存在する。
【0084】
図11(a)のT1乃至T16の期間において、同図(b)の入力パターンが得られる。ただし、同図(b)においてデータは右端から入力され、ΔTごとの一つの周期が経過する毎にデータはひとつだけ左へ移動するものとする(図8(b)と同様)。図11(b)はT16の終了直後の状態を示す。同図(b)の入力パターンが、入力パターン参照バッファ105へコピーされる。
【0085】
同様に、図11(c)のT1乃至T16の期間において、同図(d)の入力パターンが得られる。ただし、T16においてデータ列が「無効」と判定されたので、入力パターン保存バッファ103のT16に相当する位置には、そのひとつまえのT15のデータがコピーされる。同図(d)の入力パターンが、入力パターン参照バッファ105へコピーされる。
【0086】
図12は、図11と同様の図面である。
図12(a)の例ではT8でノイズが重畳されたが、入力データ解析部102はそれを破棄している。そして、同図(b)に示すように、T7のデータがT8へコピーされる。
図12(c)の例ではT6からT9にかけてチャタリングが生じているが、入力データ解析部102はそれらを破棄している。そして、同図(d)では、それらの直前のデータであるT5のデータがT6乃至T9にコピーされている。
【0087】
なお、上記例は、入力データ解析部102による解析結果が「無効」であるときに、当該「無効」と判定されたデータの直前に保存されたデータを、当該「無効」に対応するデータとして保存するものであった。これは一例であって、解析結果が「無効」であるときに、当該「無効」に対応するデータとして既に保存されている他のデータに基づき生成した補間データを保存するようにしてもよい。
【0088】
補間とは、二つ以上のデータに基づいて、それらの間のデータ(近似値)を求める計算法である。上記例の他に次のようなやり方が考えられる。
【0089】
(1)当該「無効」と判定されたデータの直前に保存された奇数個のデータを調べ、それらの多数決で補間データを生成する。すなわち、奇数個のデータに含まれるもののうちで最も多数のものを採用することで補間データを生成する。例えば、直前のデータが「0」「0」「0」であれば「0」を補間データとし、「0」「0」「1」であれば、多数である「0」を補間データとし、「0」「1」「1」であれば、多数である「1」を補間データとし、「1」「1」「1」であれば「1」を補間データとする。
【0090】
(2)当該「無効」と判定されたデータについては保留としておき、次のデータを書き込む。その後、「無効」と判定されたデータを、その前後のデータに基づき補間する。例えば、「0」「無効」「0」であって両側が一致するのであれば、それらと同じ値をデータとする。この例では「無効」=「0」と補間される。
「0」「無効」「1」のように両側が不一致であれば、予め定めた「0」「1」のいずれかに、強制的に設定する。「無効」=「0」又は「1」である。図11、図12のように、直前のデータを「無効」に対応するデータとしてコピーしてもよい。
あるいは、上記(1)の多数決を援用してもよい。すなわち、両側が不一致のとき、さらに、当該「無効」と判定されたデータの直前に保存された奇数個のデータを調べ、それらの多数決で補間データを生成する。
【0091】
本発明の実施の形態は、ノイズ除去とともにチャタリング除去にも適用できる。ノイズはナノ秒〜マイクロ秒程度の信号変化であるが、チャタリングはマイクロ秒〜ミリ秒程度の信号変化である。このように変化速度が違っても、サンプリング周期Δτを調整することでいずれにも対応することが可能である。例えば、フィルタリング処理の対象をスイッチからの信号とし、チャタリング除去を目的としているときはサンプリング周期Δτをチャタリングの発生周期と同程度(例えば、10μs、100μs)とし、フィルタリング処理の対象をセンサからの信号とし、ノイズ除去を目的としているときはサンプリング周期Δτをノイズの持続時間と同程度(例えば、100ns、1μs)とする。
【0092】
なお、以上の説明でサンプリング回数を8回としていたが、これはあくまで例示である。CPUが扱いやすい回数とすればよい。例えば、8ビットのCPUであれば8回とし、16ビットのCPUであれば16回とする。CPUが扱うデータ単位とサンプリング回数を一致させるとよい。CPUでは処理単位がバイトであるため、これに合わせるとよい。
【0093】
また、サンプリング回数を増減させるようにしてもよい。例えば、サンプリング回数を(8±m)とする(ただし、mは8未満の正の整数)。mは、処理過程の上で負荷の関係から規定時間を越える状況に陥ったような場合や、その次の処理にて負荷を相殺したような場合に増減する回数である。
【0094】
本発明の実施の形態によれば、入カデータ保存バッファ及び入カパターン保存バッファによる2段バッファ構造を備えることで、ノイズやチャタリングを効果的に除去することができる。
【0095】
また、CPUで扱いやすいバイト単位で処理をしているので、その処理負荷の増加を抑制することができる。
【0096】
従来の遊技機では、入力データを時系列に保存し、それらを相互に比較することで同様の処理を行っていた。しかし、ノイズ除去及びチャタリング除去は常時行われる処理の為、通常のバッファではなくリングバッファで構成する必要があり、格納領域のアドレス演算などのために処理負荷が増大しCPUリソースを消費するという問題があった。
【0097】
これに対し、本発明の実施の形態によれば、2段バッファ構造を備え、しかもCPUで扱いやすいバイト単位で処理をしているので、処理負荷を抑制することができる。本発明の実施の形態は、リングバッファをハードウェアレベルで実装したものであり、このためCPUリソースを有効に活用できるようになったのである。
【0098】
本発明の実施の形態によれば、入力パターン参照バッファを備え、入力パターン保存バッファに保存されたデータを読み出して入力パターン参照バッファにコピーするようにしたので、制御部や副制御部のCPUは、任意のタイミングで入力パターン参照バッファを参照し、スイッチやセンサのデータを取得できる。CPUで入力パターン保存バッファを直接参照するようにしてもよいが、当該バッファにデータが揃うのは所定のタイミング(第3タイマーによるタイミング)であるので、任意のタイミングでデータを参照することができない。この場合、CPUでタイミングを判断しなければならず(例えば第3タイマーの出力を監視するなどして)、その制御プログラムが複雑になる。
【0099】
以上の説明において、センサやスイッチからの信号を例に取り説明を加えたが、本発明の実施の形態はこれに限定されない。例えば、他の基板が出力する信号についても適用できる。
【0100】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0101】
40 制御部
40b 副制御部
44 ランプ制御部
46 音響制御部
47 可動体制御部
52a ランプ・電飾(演出デバイス)
52b スピーカ(演出デバイス)
52c 可動体(演出デバイス)
100 サンプリング部
101 入力データ保存バッファ
102 入力データ解析部
103 入力パターン保存バッファ
104 データコピー部
105 入力パターン参照バッファ
106 第1タイマー
107 第2タイマー
108 第3タイマー
ESW 演出スイッチ
FLT フィルタリング処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行する制御部と、前記制御部で生成したコマンドを受けて当該コマンドに基づき所定の処理を実行する副制御部とを備える遊技機において、
予め定められた時間間隔Δτでタイミング信号を発生する第1タイマーと、
遊技機に設けられたスイッチ又はセンサからの信号を前記第1タイマーのタイミング信号に基づきサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリング部によりサンプリングされた「0」又は「1」のデータを順番に格納する入力データ保存バッファと、
予め定められた時間間隔Δt(ただし、ΔtはΔτの整数倍)でタイミング信号を発生する第2タイマーと、
前記第2タイマーのタイミング信号に基づき前記入力データ保存バッファに保存された複数のデータを読み出し、前記複数のデータの全てが「0」であれば「0」と判定し、前記複数のデータの全てが「1」であれば「1」と判定し、前記複数のデータに「0」と「1」が同時に存在しているとき「無効」と判定する入力データ解析部と、
前記入力データ解析部による解析結果を保存する入力パターン保存バッファと、を備え、
前記入力パターン保存バッファは、前記入力データ解析部による解析結果が「無効」であるときに、当該「無効」に対応するデータとして、既に保存されている他のデータに基づき生成された補間データを保存し、
前記制御部又は前記副制御部は、前記入力パターン保存バッファに保存されたデータを遊技機に設けられた前記スイッチ又はセンサからの信号として扱い、当該データに基づき予め定められた処理を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
さらに、予め定められた時間間隔ΔT(ただし、ΔTはΔtの整数倍)でタイミング信号を発生する第3タイマーと、
前記制御部又は前記副制御部が参照するための入力パターン参照バッファと、
前記第3タイマーのタイミング信号に基づき前記入力パターン保存バッファに保存されたデータを読み出して前記入力パターン参照バッファにコピーするデータコピー部と、を備え、
前記制御部又は前記副制御部は、前記入力パターン参照バッファからデータを読み出し、当該データに基づき予め定められた処理を行うことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記入力パターン保存バッファは、前記入力データ解析部による解析結果が「無効」であるときに、下記(ア)乃至(ウ)のいずれかにより生成されたデータを、当該「無効」に対応するデータとして保存することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
(ア)当該「無効」と判定されたデータの直前に保存されたデータを当該「無効」に対応するデータとして保存する
(イ)当該「無効」と判定されたデータよりも前に保存された奇数個のデータを調べ、それらに含まれるデータのうちで多数のものを採用することで補間データを生成する
(ウ)当該「無効」と判定されたデータを挟んだ前後のデータが一致したときは当該データを当該「無効」に対応するデータとして保存し、不一致のときは「0」又は「1」のうち予め定めた方を当該「無効」に対応するデータとして保存する
【請求項4】
前記制御部又は前記副制御部は、それぞれCPUを備え、
前記時間間隔Δtは、前記時間間隔Δτの前記入力データ保存バッファのビット数倍であり、
前記時間間隔ΔTは、前記時間間隔Δtの前記入力パターン保存バッファのビット数倍であり、
前記入力データ保存バッファのビット数は、前記CPUの処理単位に対応している、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記第1タイマーは、
前記サンプリング部のサンプリング対象である信号が前記スイッチからの信号であるとき、当該スイッチにおいて発生するチャタリングの周期に基づき定められた前記時間間隔Δτで前記サンプリング用のタイミング信号を発生し、
前記サンプリング部のサンプリング対象である信号が前記センサからの信号であるとき、当該信号に重畳されるノイズの持続時間に基づき定められた前記時間間隔Δτで前記サンプリング用のタイミング信号を発生することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−62317(P2011−62317A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215048(P2009−215048)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】