遊技機
【課題】簡単な構成で可動部材を定位置に位置決めし得る遊技機を提供する。
【解決手段】装置本体に配設されて上下方向に移動可能な一対のラック42,42に、第1可動部材34が配設される。各ラック42に噛合する作動歯車45に、ラック42のラック歯部46aと噛合不能な異形部49が形成される。第1可動部材34の原位置では、作動歯車45の作動歯部47bとラック42のラック歯部46aとが噛合し、モータ40により作動歯車45を正転方向に回転することで、両歯部46a,47bの噛合作用によってラック42,42と一体で第1可動部材34が上方へ移動する。第1可動部材34が作動位置に至ったときに、ラック42のラック歯部46aに作動歯車45の異形部49が当接して作動歯車45の回転およびラック42の移動が規制され、第1可動部材34は作動位置に位置決めされる。
【解決手段】装置本体に配設されて上下方向に移動可能な一対のラック42,42に、第1可動部材34が配設される。各ラック42に噛合する作動歯車45に、ラック42のラック歯部46aと噛合不能な異形部49が形成される。第1可動部材34の原位置では、作動歯車45の作動歯部47bとラック42のラック歯部46aとが噛合し、モータ40により作動歯車45を正転方向に回転することで、両歯部46a,47bの噛合作用によってラック42,42と一体で第1可動部材34が上方へ移動する。第1可動部材34が作動位置に至ったときに、ラック42のラック歯部46aに作動歯車45の異形部49が当接して作動歯車45の回転およびラック42の移動が規制され、第1可動部材34は作動位置に位置決めされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可動部材の動作により演出を行なう可動演出装置が配設された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面に画成した遊技領域の略中央位置に枠状の枠状装飾部材(所謂センター役物)が配設されて、該枠状装飾部材の開口から液晶式やドラム式等の図柄表示装置を臨ませ、この図柄表示装置で図柄組み合わせゲームやリーチ演出等の遊技演出を行なうよう構成されている。また、パチンコ機では、所要の動作を行なう可動部材を備えた可動演出装置を枠状装飾部材に配設し、該可動部材を図柄表示装置で行なわれる遊技演出に合わせて動作させることにより、視覚的な演出効果を向上させて遊技の興趣を高めている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示の可動演出装置では、所要範囲で往復動する可動部材の移動経路に対して進退移動するストッパー部材を配設し、移動経路上に移動したストッパー部材に可動部材を当接することで、該可動部材を定位置に位置決めするよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−295698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の可動演出装置のように、可動部材をストッパー部材で位置決めする構成では、専用のストッパー部材が必要になると共に、ストッパー部材を作動する作動機構が、可動部材を往復動する駆動機構とは別に必要となり、構造が複雑になると共に広い設置スペースが必要となる問題がある。また、部品点数が多くなることで製造コストの上昇にも繋がる難点も指摘される。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、簡単な構成で可動部材を定位置に位置決めし得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
往復移動する可動部材(34)の動作により演出を行なう可動演出装置(30)を備えた遊技機において、
前記可動演出装置(30)は、
前記可動部材(34)に設けられ、該可動部材(34)と一体で往復移動するラック(42)と、
前記ラック(42)に形成したラック歯部(46a)に噛合する作動歯部(47b)が外周に形成され、モータ(40)の駆動によって回転することで両歯部(46a,47b)の噛合作用によりラック(42)を往復移動させる作動歯車(45)とを備え、
前記作動歯車(45)の外周の一部に、作動歯部(47b)と周方向に隣接してラック歯部(46a)と噛合不能な異形部(49,49a,49b)が設けられ、
前記作動歯車(45)の異形部(49,49a,49b)がラック歯部(46a)に当接することで作動歯車(45)の回転およびラック(42)の移動が規制されて、前記可動部材(34)が位置決めされることを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、可動部材を往復移動するための作動歯車にストッパ機能を付帯させたので、専用のストッパー部材や作動機構等を設ける必要はなく、構成を簡単にして省スペース化を図り得ると共に、製造コストを低廉に抑えることができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記可動部材(34)は原位置と作動位置との間を往復動可能に構成され、該可動部材(34)が作動位置に至ったときに前記作動歯車(45)の異形部(49,49b)がラック歯部(46a)に当接するよう設定されたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、可動部材を作動位置に位置決めし得る。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記可動部材(34)の原位置において前記作動歯車(45)の異形部(49a)がラック歯部(46a)に当接し、該異形部(49a)がラック歯車(46a)から離間する方向に作動歯車(45)が回転することで可動部材(34)が作動位置に向けて移動するよう構成されたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、可動部材を原位置と作動位置とに位置決めし得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、可動部材を簡単な構成で位置決めし得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図3】実施例に係る設置部材を、各可動部材が原位置にある状態で示す正面図である。
【図4】実施例に係る設置部材を、各可動部材が作動位置にある状態で示す正面図である。
【図5】実施例に係る第1可動演出装置を第1可動部材が原位置にある状態で示す説明正面図であって、第1可動部材を想像線で示している。
【図6】実施例に係る第1可動演出装置の横断平面図である。
【図7】実施例に係る第1可動演出装置を前側から視た分解斜視図である。
【図8】実施例に係る第1可動演出装置を第1可動部材が原位置にある状態で示す説明背面図であって、ケース体を省略している。
【図9】実施例に係る第1可動演出装置を第1可動部材が作動位置にある状態で示す説明背面図であって、ケース体を省略している。
【図10】実施例に係る駆動機構における作動歯車の異形部がラックのラック歯部に当接して位置規制している状態を示す要部拡大図である。
【図11】実施例に係る駆動機構の別実施例を示す要部説明図であって、(a)は第1可動部材が原位置の状態を示し、(b)は第1可動部材が作動位置の状態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0014】
(パチンコ機について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤17(図2参照)が着脱可能に保持された本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられて、該遊技盤17の裏側に対して、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置13が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤17を透視保護するガラス板を備えた装飾枠としての前枠14が開閉可能に組付けられると共に、該前枠14の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠14の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿16が一体的に組付けられており、前枠14の開閉に合わせて上球受け皿16も一体的に開閉するよう構成される。
【0015】
(遊技盤について)
前記中枠12に配設される前記遊技盤17は、図2に示すように、前面(盤面)にパチンコ球が流下可能な遊技領域17aが画成され、合板等の木製からなる平板状の板部材で構成される。遊技盤17の前面には、円弧状に形成した案内レール18が配設されると共に、該案内レール18の右方位置に、左端縁が右方に凹む円弧状に形成した盤面飾り部材19が配設される。そして、案内レール18および盤面飾り部材19により遊技領域17aが略円形状に画成され、該遊技領域17aに、中枠12に配設された図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球が遊技領域17a内に打ち出され、該遊技領域17a内をパチンコ球が流下して遊技が行なわれる。また、遊技盤17の遊技領域17a内には、多数の遊技釘が植設されており、該遊技釘との接触により遊技領域17aを流下するパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成してある。
【0016】
前記遊技盤17には、図1または図2に示す如く、後述する枠状装飾部材23の下縁より下方位置に、前記遊技領域17aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置20および特別入賞装置21が配設される。始動入賞装置20には、遊技領域17aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口が設けられ、該始動入賞口へ入賞したパチンコ球が始動入賞センサ(図示せず)で検出されることで、図柄表示装置13の表示部13aで図柄変動が開始されると共に、所定数(例えば5個)のパチンコ球が賞球として前記上下の球受け皿15,16に払い出される。特別入賞装置21は、入賞口が開閉扉で常には閉鎖されており、図柄表示装置13での図柄変動の結果、表示部13aに所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより開閉扉が開放するよう作動制御されて、入賞口への入賞により多数の賞球を獲得し得るようになっている。なお、図2の符号22は、遊技盤17に配設されて、常に入賞口を開放している普通入賞装置を示す。
【0017】
(枠状装飾部材について)
前記遊技盤17の中央には、前後に貫通する大型の貫通孔が形成されており、該貫通孔に対して前後に開口する枠状の枠状装飾部材(所謂センター役物)23が嵌め込まれるように着脱可能に配設される。そして、後述する設置部材27の開口部27aから臨む前記図柄表示装置13の表示部13aは、枠状装飾部材23における前後に開口する窓口(可視部)23aを介して遊技盤17の前側に露出して、該図柄表示装置13の表示部13aで展開される図柄変動演出を前側から視認し得るようになっている。
【0018】
前記枠状装飾部材23には、上縁部から左右両縁部に亘り、遊技盤17の前面より前方に突出する円弧状の庇状部23bが設けられており、前記遊技領域17aに打ち出されたパチンコ球を外周部の庇状部23bで案内し得ると共に、該パチンコ球が枠状装飾部材23の窓口23aを横切って流下するのを該庇状部23bで規制している。また枠状装飾部材23には、窓口23aの下側に、ステージ24が配設されると共に、窓口23aの左側に、遊技領域17aに開口して該遊技領域17aを流下するパチンコ球を取込んでステージ24に案内する球導入部25が設けられ、該球導入部25からステージ24に通出されたパチンコ球は、ステージ24上を左右に転動した後に、前記各入賞装置20,21,22が配設されている遊技領域17aに排出される。
【0019】
前記ステージ24の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁26が設けられ、ステージ24上を転動するパチンコ球が図柄表示装置13の表示部13a側に移動するのを該透明壁26で防止している。なお、透明壁26の上端縁には前方に向けて張出す張出部26aが形成されており、該張出部26aによって表示部13a側へのパチンコ球の移動を確実に防止し得るようになっている。
【0020】
(設置部材について)
前記遊技盤17の裏面には、前記図柄表示装置13が着脱可能に配設されると共に、後述する可動演出装置30,31,32や複数の発光基板等の遊技部品が配設される合成樹脂材で形成された設置部材27が配設され、該設置部材27に形成された前後に開口する開口部27aを介して図柄表示装置13の表示部13aを遊技盤17の前側から視認し得るよう構成されている。実施例では、図3および図4に示す如く、設置部材27の開口部27aは、上辺、下辺、左辺および右辺で画成される略4角形状に開口しており、図柄表示装置13の表示部13aは開口部27aから視認可能な領域となることから、該開口部27aの縁部が表示部13aの外縁となっている。
【0021】
前記設置部材27は、図3および図4に示すように、前方に開口する矩形箱状に形成された箱状本体28と、該箱状本体28の開口前端部に形成されて当該箱状本体28の開口外側へ延出し、前記遊技盤17の裏面に当接する取付部29とから構成される。箱状本体28は、遊技盤17に対向する矩形板状に形成されて前記開口部27aを形成した対向面部28aと、該対向面部28aにおける上下左右の各縁部から前方に延出する画壁部28bとから前方に開口するよう形成されて、各画壁部28bの前端部から箱状本体28の開口外側へ向けて延出するよう前記取付部29が形成される。そして、取付部29の前面を遊技盤17の裏面に当接した状態で、取付部29を遊技盤17にネジ止めすることによって遊技盤17に設置部材27が固定される。
【0022】
前記遊技盤17の裏側に設置部材27を取付けた状態で、該設置部材27の対向面部28aと遊技盤17との間に所要の空間が画成される。設置部材27の対向面部28aには、図3および図4に示す如く、下側の対向面部28aに第1可動演出装置(可動演出装置)30が配設され、左側の対向面部28aに第2可動演出装置31が配設され、右側の対向面部28aに第3可動演出装置32が配設される。そして、これら3つの可動演出装置30,31,32が、設置部材27と遊技盤17との間に画成される空間に夫々収容される。
【0023】
(第1可動演出装置について)
前記第1可動演出装置30は、図5〜図7に示す如く、該第1可動演出装置30を構成する部材の設置基盤となるベース部材33と、所定の演出動作を行なう第1可動部材(可動部材)34と、この第1可動部材34を往復動する駆動機構35と、ベース部材33の前側を覆うカバー部材36とから基本的に構成される。ベース部材33とカバー部材36とから駆動機構35の一部を収容するケース状の装置本体37が構成され、第1可動演出装置30は、装置本体37単位で設置部材27に対して着脱可能なユニット構造になっている。第1可動演出装置30は、第1可動部材34を、前記表示部13aにおける下辺の外側の原位置(図3,図8)と、表示部13aの前側に臨む作動位置(図4,図9)との間を、表示部13aの前面と平行な姿勢を保持して上下方向に往復動するよう構成される。
【0024】
前記装置本体37には、駆動機構35を構成する複数の従動歯車44(後述)を収容する収容室が内部画成されている。また、装置本体37のカバー部材36には、図6および図7に示す如く、前面の左右両側に、前面から後側へ所定高さだけ退避する支持段部38が夫々形成され、各支持段部38に、上下方向に延在するガイド部材39が配設されている。そして、支持段部38とガイド部材39とによって、駆動機構35を構成する後述するラック42が上下方向に摺動可能に支持される。なお、各支持段部38には、ラック42に設けた突部46b(後述)を案内する長孔38aが上下方向に延在するよう形成してある。またカバー部材36には、左右の支持段部38,38の間に、収容室に連通する貫通孔36aが左右方向に離間して形成されている。各貫通孔36aを画成する支持段部側の側壁は所定長さだけ切欠かれ、該切欠部を介して後述する作動歯車45の一部が支持段部側に突出可能に構成されている(図5参照)。
【0025】
(駆動機構について)
前記駆動機構35は、図7〜図9に示す如く、モータ40と、該モータ40の回転を伝達する伝達部41と、該伝達部41に接続する一対のラック42,42とから基本的に構成される。実施例では、モータ40として、制御装置の制御下に駆動または駆動停止されるステッピングモータが用いられる。伝達部41は、モータ40の出力軸に固定された駆動歯車43と、該駆動歯車43に一方が噛合する2つの従動歯車44,44と、各従動歯車44,44に噛合すると共に対応するラック42,42に噛合する作動歯車45,45とから構成される。
【0026】
前記各ラック42は、上下方向に延在する板状本体部46における貫通孔36a側を向く一側縁に、複数のラック歯部46aを上下方向(ラック移動方向)に並列に形成したものであって、板状本体部46における他側縁側が、前記支持部段38とガイド部材39とに前後から挟まれた状態で移動可能に支持されている(図6参照)。また、板状本体部46の後面下部に突設した突部46bが、カバー部材36に形成された前記長孔38aに摺動可能に挿通されており、該ラック42は、突部46bが長孔38aで案内されて上下方向に直線的に往復動し得るよう構成される。左右一対のラック42,42の前面に、前記第1可動部材34がネジ止め固定されており、一対のラック42,42と一体で第1可動部材34が上下方向に往復動するようになっている。なお、ラック42の板状本体部46における一側縁には、下部側の位置にラック歯部46aが所定長さだけ形成されていない凹部51が形成されている。
【0027】
前記モータ40は、図5に示す如く、カバー部材36の前面下部に取付けられ、該カバー部材36に穿設した通孔を通して収容室内に突出するモータ40の出力軸に前記駆動歯車43が固定されている。装置本体37には、収容室内において左右に並ぶと共に噛合した状態で2つの前記従動歯車44,44が回転可能に支持され、左側の従動歯車44に駆動歯車43が噛合している。装置本体37には、左側の支持段部38と左側の従動歯車44の配設位置との間に、該左側の従動歯車44と噛合する作動歯車45が回転可能に枢支されると共に、右側の支持段部38と右側の従動歯車44の配設位置との間に、該右側の従動歯車44と噛合する作動歯車45が回転可能に支持される。そして、モータ40により駆動歯車43を回転することで、左右の作動歯車45,45は相互に反対方向に回転するよう構成される。なお、各作動歯車45は、対応する貫通孔36aを介して前面側に露出している。
【0028】
前記左右の作動歯車45,45の構成は同一であって、後述する異形部49,49の位置が左右対象となる状態で装置本体37に配設される。各作動歯車45は、図8および図9に示す如く、大径歯車47と、該大径歯車47より小径の小径歯車48とを同軸上に一体形成した2段歯車であって、小径歯車48を装置本体37の収容室内に位置させると共に前記従動歯車44と噛合している。大径歯車47は、前記貫通孔36aの内部に位置する円盤状の本体47aの外周に複数の作動歯部47bが形成されたものであって、該作動歯部47bが、貫通孔36aを画成する側壁に形成された前記切欠部を介して支持段部38側に突出している。そして、切欠部からの突出部分で作動歯部47bが前記ラック42のラック歯部46aと噛合し(図5参照)、両歯部47b,46aの噛合作用によって作動歯車45の回転時にラック42を直線的に移動するよう構成される。
【0029】
前記大径歯車47における本体47aの外周の1箇所には、作動歯部47bと周方向に隣接してラック歯部46aと噛合不能な異形部49が設けられている。この異形部49は、作動歯部47bの複数個分の凸部として形成されて、ラック42のラック歯部46aに噛合することなく先端に当接することで、作動歯車45の回転およびラック42の移動を規制するべく機能する。実施例では、図9および図10に示す如く、ラック42と一体で移動する第1可動部材34が作動位置に至ったときに、異形部49がラック歯部46aの先端に当接するよう設定され、第1可動部材34を作動位置に位置決めし得るよう構成される。なお、第1可動部材34の作動位置において、異形部49の一部がラック42の前記凹部51に位置するよう構成されており、装置本体37に対する駆動機構35の組付け時には、該異形部49と凹部51とにより作動歯車45とラック42とを適正な関係で組付け得るようになっている。
【0030】
図5に示す如く、前記カバー部材36における左側の支持段部38の下端部に、ラック42(第1可動部材34)の位置を判定するフォトセンサ等からなる検知手段50が配設され、該検知手段50は、制御装置に電気的に接続されて検知信号が制御装置に入力されるよう構成される。検知手段50は、該検知手段50における対向する検知部間を通過するように配置されたラック42の検知片46cの有無によって、第1可動部材34の位置を判定するようになっている。検知片46cは、ラック42の下端部に設けられ、第1可動部材34の原位置において検知片46cが検知手段50の検知部間に位置するよう設定され(図5,図8参照)、検知手段50による検知片46cの検知によって原位置にある第1可動部材34を確認し得るよう構成される。なお、制御装置は、原位置の第1可動部材34を作動位置に向けて移動する際のモータ40のステップ数を検出し、該ステップ数が予め設定された値になったときにモータ40を停止制御するよう設定されており、実施例では該値が、前記異形部49がラック歯部46aに当接するまで作動歯車45を回転したときの値に設定される。
【0031】
前記第1可動部材34は、図6に示す如く、最前面に位置する装飾カバー体52と、該装飾カバー体52の裏側に配設された発光基板53とを備え、該装飾カバー体52には、パチンコ機10のモチーフに合わせた文字や図形等の図柄52aが形成されている。また発光基板53の前面には、発光体としての複数のLED53aが、図柄52aに対応して配設され、該LED53aの発光により図柄52aが明輝されるよう構成される。
【0032】
(第2および第3可動演出装置について)
前記設置部材27の左側の対向面部28aに配設された前記第2可動演出装置31は、第2可動部材54を備える。第2可動演出装置31は、第2可動部材54を、前記表示部13aにおける上辺の外側に退避した原位置(図3参照)と、この原位置から下方変位して表示部13aの前側に臨む作動位置(図4参照)との間で、表示部13aの前面と平行な姿勢を保持して上下方向に往復動するよう構成される。
【0033】
前記設置部材27における右側の対向面部28aに設置された第3可動演出装置32は、所定の演出動作を行なう複数(実施例では2つ)の第3可動部材55,55を備える。第3可動演出装置32は、2つの第3可動部材55が、前記図柄表示装置13の表示部13aにおける右辺の前側に重なった位置において、上下方向に並んだ原位置で待機する(図3参照)。そして、原位置において下側に位置する第3可動部材55については、原位置と、該原位置から右辺に沿って上方に変位した作動位置との間を表示部13aの前面に対して平行な姿勢を保ったまま往復動すると共に、原位置において上側に位置する第3可動部材55については、原位置と、該原位置から表示部13aの中央側に向けた左斜め下方の表示部13a前側に変位した作動位置との間を表示部13aの前面に対して平行な姿勢を保ったまま往復動するよう構成される。
【0034】
前記第2可動部材54および第3可動部材55には、第1可動部材34と同様に、パチンコ機のモチーフに合わせた文字や図形等の図柄54a,55aが形成されており、該図柄54a,55aは、第2および第3可動部材54,55に内蔵の発光基板(図示せず)のLEDを発光することで明輝し得るよう構成される。
【0035】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機の作用につき説明する。
【0036】
前記遊技領域17aに打ち出されたパチンコ球は、前記枠状装飾部材23の外周囲を流下し、該パチンコ球が前記球導入部25に通入すると、該パチンコ球は前記ステージ24に通出され、該ステージ24を左右に転動した後に遊技領域17aに排出され、このパチンコ球は始動入賞装置20や普通入賞装置22等に入賞可能となる。そして、始動入賞装置20にパチンコ球が入賞すると、前記図柄表示装置13の図柄が変動開始され、所要の図柄組合わせゲームが展開される。図柄表示装置13で展開される図柄変動ゲームの結果、図柄表示装置13に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されたときに大当りが発生する。そして、大当りが発生すると、図柄表示装置13に表示された図柄組み合わせに応じて、前記遊技盤17の下方に設けられた特別入賞装置21の入賞口が開放され、多数の賞球の獲得が可能となる。
【0037】
前記図柄表示装置13で展開される図柄変動ゲームの演出に応じて、前記可動演出装置30,31,32が作動制御されて、各可動部材34,54,55が作動されて動的な演出により遊技の興趣が高められる。また、各可動部材34,54,55に配設されている発光基板53のLED53aが、図柄変動ゲームの演出に応じて発光制御されて、各可動部材34,54,55に形成されている図柄52a,54a,55aが明輝する演出により遊技の興趣が向上される。
【0038】
前記第1可動演出装置30は、モータ40の停止時(非通電時)に、前記ラック42の検知片46cが検知手段50で検知されている原位置で停止している(図5,図8参照)。このとき、各ラック42のラック歯部46aには対応する作動歯車45の作動歯部47bが噛合すると共に、異形部49はラック42から離間して位置している。この状態でモータ40を正転方向に駆動すると、駆動歯車43および従動歯車44,44を介して左右の作動歯車45,45が相互に反対方向に回転し、前記作動歯部47bとラック歯部46aとの噛合作用によって一対にラック42,42は、各突部46bが長孔38aで案内されて上方に向けて移動する。そして、図9および図10に示す如く、前記第1可動部材34が作動位置に至ったときに、該第1可動部材34と一体で移動する各ラック42の凹部51に、対応する作動歯車45の異形部49が位置すると共に、該異形部49がラック歯部46aの先端に当接し、作動歯車45の回転およびラック42の移動が規制される。このとき、モータ40のパルス数を監視している制御装置により、該モータ40が停止制御され、第1可動部材34は作動位置に保持される。
【0039】
前記モータ40が逆転駆動されると、前記各作動歯車45の異形部49が対応するラック42のラック歯部46aから離間する方向に回転し、作動歯部47bとラック歯部46aとの噛合作用によってラック42が下降する。これにより、前記第1可動部材34もラック42,42と一体で下降し、前記検知手段50が検知片46cを検知したときに制御装置がモータ40を停止制御して、第1可動部材34は原位置で停止保持される。
【0040】
実施例の各可動演出装置30,31,32は、前記表示部13aの上辺、右辺および下辺側に位置して相互に離間している原位置の各可動部材34,54,55を、図4に示す如く、表示部13aの中央に集合するように移動することで、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、他の機種に対する差別化を図り得る。この場合において、表示部13aの中央において左右方向に並んでいる第2可動部材54と第3可動部材55,55の下側に、第1可動部材34が下辺から迫り出すように移動し、該第1可動部材34が第2可動部材54および第3可動部材55,55に近接した位置で停止することで、3種類の可動部材34,54,55が集合して全体として意味のある図柄を形成し、より興趣のある演出が可能となっている。
【0041】
この場合において、前記モータ40のステップ数のみを検出して第1可動部材34を作動位置に停止する構成では、検出エラー等に起因して第1可動部材34を正しい作動位置で停止することができず、該第1可動部材34が第2可動部材54や第3可動部材55に接触干渉するおそれがある。しかしながら、実施例では駆動機構35の作動歯車45に設けた異形部49をラック歯部46aに当接するストップ機構を併用しているから、第1可動部材34を正しい作動位置で確実に停止させることができる。しかも、ストップ機構は、第1可動部材34を往復移動する駆動機構35に設けているので、専用のストップ機構を必要とせず、構成を簡略化して省スペース化を図り得ると共に、製造コストを低廉に抑制し得る。
【0042】
(別実施例)
図11は、駆動機構35の別実施例を示すものであって、基本的な構成は前述した駆動機構35と同じであるので、異なる部分についてのみ説明し、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0043】
前記作動歯車45の大径歯車47に、周方向に離間して2つの異形部49a,49bが形成されると共に、ラック42の一側縁には、上下方向(ラック移動方向)に離間して2つの凹部51a,51bが形成されている。図11(a)において右側に位置する第1異形部49aは、第1可動部材34が原位置に位置したときにラック42における上側に位置する第1凹部51aに一部が位置した状態でラック歯部46aの先端に当接し、第1可動部材34を原位置に位置決めするべく機能する。また図11(a)において左側に位置する第2異形部49bは、図11(b)に示す如く、作動歯車45の回転によって第1可動部材34が作動位置に至ったときにラック42における下側に位置する第2凹部51bに一部が位置した状態でラック歯部46aの先端に当接し、第1可動部材34を作動位置に位置決めするべく機能する。
【0044】
このように、第1可動部材34を往復移動する駆動機構35の作動歯車45に2つの異形部49a,49bを設けるだけの簡単な構成で、第1可動部材34を原位置および作動位置に確実に位置決めすることができる。
【0045】
(変更例)
本願は前述した実施例や別実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、遊技盤を木製の板部材から構成したが、アクリル等の透明な材料で形成した透明板から構成したものであってもよい。
(2) 実施例では、第1可動部材を一対のラックに固定して移動するよう構成したが、1本のラックで第1可動部材を往復動する構成であってもよい。
(3) 実施例では、第1可動演出装置を表示部の下辺側に配設したが、上辺側あるいは左右の各辺側に配設したものであってもよく、その配設位置が限定されるものではない。
(4) 実施例では、第1可動演出装置の第1可動部材を作動位置に停止する際に、モータのステップ数に基づいてモータを停止制御するよう構成したが、前記異形部がラック歯部に当接することでモータに加わる負荷を検出する手段を設け、該検出手段の検出信号に基づいてモータを停止制御する構成を採用し得る。
(5) 別実施例では、作動歯車に設けた2つの異形部によって第1可動部材を原位置と作動位置とに位置決めするよう構成したが、1つの異形部によって可動部材を原位置と作動位置とに位置決めする構成を採用することができる。
(6) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
30 第1可動演出装置(可動演出装置)
34 第1可動部材(可動部材)
40 モータ
42 ラック
45 作動歯車
46a ラック歯部
47b 作動歯部
49 異形部
49a 第1異形部(異形部)
49b 第2異形部(異形部)
【技術分野】
【0001】
この発明は、可動部材の動作により演出を行なう可動演出装置が配設された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面に画成した遊技領域の略中央位置に枠状の枠状装飾部材(所謂センター役物)が配設されて、該枠状装飾部材の開口から液晶式やドラム式等の図柄表示装置を臨ませ、この図柄表示装置で図柄組み合わせゲームやリーチ演出等の遊技演出を行なうよう構成されている。また、パチンコ機では、所要の動作を行なう可動部材を備えた可動演出装置を枠状装飾部材に配設し、該可動部材を図柄表示装置で行なわれる遊技演出に合わせて動作させることにより、視覚的な演出効果を向上させて遊技の興趣を高めている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示の可動演出装置では、所要範囲で往復動する可動部材の移動経路に対して進退移動するストッパー部材を配設し、移動経路上に移動したストッパー部材に可動部材を当接することで、該可動部材を定位置に位置決めするよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−295698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の可動演出装置のように、可動部材をストッパー部材で位置決めする構成では、専用のストッパー部材が必要になると共に、ストッパー部材を作動する作動機構が、可動部材を往復動する駆動機構とは別に必要となり、構造が複雑になると共に広い設置スペースが必要となる問題がある。また、部品点数が多くなることで製造コストの上昇にも繋がる難点も指摘される。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、簡単な構成で可動部材を定位置に位置決めし得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
往復移動する可動部材(34)の動作により演出を行なう可動演出装置(30)を備えた遊技機において、
前記可動演出装置(30)は、
前記可動部材(34)に設けられ、該可動部材(34)と一体で往復移動するラック(42)と、
前記ラック(42)に形成したラック歯部(46a)に噛合する作動歯部(47b)が外周に形成され、モータ(40)の駆動によって回転することで両歯部(46a,47b)の噛合作用によりラック(42)を往復移動させる作動歯車(45)とを備え、
前記作動歯車(45)の外周の一部に、作動歯部(47b)と周方向に隣接してラック歯部(46a)と噛合不能な異形部(49,49a,49b)が設けられ、
前記作動歯車(45)の異形部(49,49a,49b)がラック歯部(46a)に当接することで作動歯車(45)の回転およびラック(42)の移動が規制されて、前記可動部材(34)が位置決めされることを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、可動部材を往復移動するための作動歯車にストッパ機能を付帯させたので、専用のストッパー部材や作動機構等を設ける必要はなく、構成を簡単にして省スペース化を図り得ると共に、製造コストを低廉に抑えることができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記可動部材(34)は原位置と作動位置との間を往復動可能に構成され、該可動部材(34)が作動位置に至ったときに前記作動歯車(45)の異形部(49,49b)がラック歯部(46a)に当接するよう設定されたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、可動部材を作動位置に位置決めし得る。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記可動部材(34)の原位置において前記作動歯車(45)の異形部(49a)がラック歯部(46a)に当接し、該異形部(49a)がラック歯車(46a)から離間する方向に作動歯車(45)が回転することで可動部材(34)が作動位置に向けて移動するよう構成されたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、可動部材を原位置と作動位置とに位置決めし得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、可動部材を簡単な構成で位置決めし得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図3】実施例に係る設置部材を、各可動部材が原位置にある状態で示す正面図である。
【図4】実施例に係る設置部材を、各可動部材が作動位置にある状態で示す正面図である。
【図5】実施例に係る第1可動演出装置を第1可動部材が原位置にある状態で示す説明正面図であって、第1可動部材を想像線で示している。
【図6】実施例に係る第1可動演出装置の横断平面図である。
【図7】実施例に係る第1可動演出装置を前側から視た分解斜視図である。
【図8】実施例に係る第1可動演出装置を第1可動部材が原位置にある状態で示す説明背面図であって、ケース体を省略している。
【図9】実施例に係る第1可動演出装置を第1可動部材が作動位置にある状態で示す説明背面図であって、ケース体を省略している。
【図10】実施例に係る駆動機構における作動歯車の異形部がラックのラック歯部に当接して位置規制している状態を示す要部拡大図である。
【図11】実施例に係る駆動機構の別実施例を示す要部説明図であって、(a)は第1可動部材が原位置の状態を示し、(b)は第1可動部材が作動位置の状態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0014】
(パチンコ機について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤17(図2参照)が着脱可能に保持された本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられて、該遊技盤17の裏側に対して、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置13が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤17を透視保護するガラス板を備えた装飾枠としての前枠14が開閉可能に組付けられると共に、該前枠14の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠14の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿16が一体的に組付けられており、前枠14の開閉に合わせて上球受け皿16も一体的に開閉するよう構成される。
【0015】
(遊技盤について)
前記中枠12に配設される前記遊技盤17は、図2に示すように、前面(盤面)にパチンコ球が流下可能な遊技領域17aが画成され、合板等の木製からなる平板状の板部材で構成される。遊技盤17の前面には、円弧状に形成した案内レール18が配設されると共に、該案内レール18の右方位置に、左端縁が右方に凹む円弧状に形成した盤面飾り部材19が配設される。そして、案内レール18および盤面飾り部材19により遊技領域17aが略円形状に画成され、該遊技領域17aに、中枠12に配設された図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球が遊技領域17a内に打ち出され、該遊技領域17a内をパチンコ球が流下して遊技が行なわれる。また、遊技盤17の遊技領域17a内には、多数の遊技釘が植設されており、該遊技釘との接触により遊技領域17aを流下するパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成してある。
【0016】
前記遊技盤17には、図1または図2に示す如く、後述する枠状装飾部材23の下縁より下方位置に、前記遊技領域17aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置20および特別入賞装置21が配設される。始動入賞装置20には、遊技領域17aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口が設けられ、該始動入賞口へ入賞したパチンコ球が始動入賞センサ(図示せず)で検出されることで、図柄表示装置13の表示部13aで図柄変動が開始されると共に、所定数(例えば5個)のパチンコ球が賞球として前記上下の球受け皿15,16に払い出される。特別入賞装置21は、入賞口が開閉扉で常には閉鎖されており、図柄表示装置13での図柄変動の結果、表示部13aに所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより開閉扉が開放するよう作動制御されて、入賞口への入賞により多数の賞球を獲得し得るようになっている。なお、図2の符号22は、遊技盤17に配設されて、常に入賞口を開放している普通入賞装置を示す。
【0017】
(枠状装飾部材について)
前記遊技盤17の中央には、前後に貫通する大型の貫通孔が形成されており、該貫通孔に対して前後に開口する枠状の枠状装飾部材(所謂センター役物)23が嵌め込まれるように着脱可能に配設される。そして、後述する設置部材27の開口部27aから臨む前記図柄表示装置13の表示部13aは、枠状装飾部材23における前後に開口する窓口(可視部)23aを介して遊技盤17の前側に露出して、該図柄表示装置13の表示部13aで展開される図柄変動演出を前側から視認し得るようになっている。
【0018】
前記枠状装飾部材23には、上縁部から左右両縁部に亘り、遊技盤17の前面より前方に突出する円弧状の庇状部23bが設けられており、前記遊技領域17aに打ち出されたパチンコ球を外周部の庇状部23bで案内し得ると共に、該パチンコ球が枠状装飾部材23の窓口23aを横切って流下するのを該庇状部23bで規制している。また枠状装飾部材23には、窓口23aの下側に、ステージ24が配設されると共に、窓口23aの左側に、遊技領域17aに開口して該遊技領域17aを流下するパチンコ球を取込んでステージ24に案内する球導入部25が設けられ、該球導入部25からステージ24に通出されたパチンコ球は、ステージ24上を左右に転動した後に、前記各入賞装置20,21,22が配設されている遊技領域17aに排出される。
【0019】
前記ステージ24の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁26が設けられ、ステージ24上を転動するパチンコ球が図柄表示装置13の表示部13a側に移動するのを該透明壁26で防止している。なお、透明壁26の上端縁には前方に向けて張出す張出部26aが形成されており、該張出部26aによって表示部13a側へのパチンコ球の移動を確実に防止し得るようになっている。
【0020】
(設置部材について)
前記遊技盤17の裏面には、前記図柄表示装置13が着脱可能に配設されると共に、後述する可動演出装置30,31,32や複数の発光基板等の遊技部品が配設される合成樹脂材で形成された設置部材27が配設され、該設置部材27に形成された前後に開口する開口部27aを介して図柄表示装置13の表示部13aを遊技盤17の前側から視認し得るよう構成されている。実施例では、図3および図4に示す如く、設置部材27の開口部27aは、上辺、下辺、左辺および右辺で画成される略4角形状に開口しており、図柄表示装置13の表示部13aは開口部27aから視認可能な領域となることから、該開口部27aの縁部が表示部13aの外縁となっている。
【0021】
前記設置部材27は、図3および図4に示すように、前方に開口する矩形箱状に形成された箱状本体28と、該箱状本体28の開口前端部に形成されて当該箱状本体28の開口外側へ延出し、前記遊技盤17の裏面に当接する取付部29とから構成される。箱状本体28は、遊技盤17に対向する矩形板状に形成されて前記開口部27aを形成した対向面部28aと、該対向面部28aにおける上下左右の各縁部から前方に延出する画壁部28bとから前方に開口するよう形成されて、各画壁部28bの前端部から箱状本体28の開口外側へ向けて延出するよう前記取付部29が形成される。そして、取付部29の前面を遊技盤17の裏面に当接した状態で、取付部29を遊技盤17にネジ止めすることによって遊技盤17に設置部材27が固定される。
【0022】
前記遊技盤17の裏側に設置部材27を取付けた状態で、該設置部材27の対向面部28aと遊技盤17との間に所要の空間が画成される。設置部材27の対向面部28aには、図3および図4に示す如く、下側の対向面部28aに第1可動演出装置(可動演出装置)30が配設され、左側の対向面部28aに第2可動演出装置31が配設され、右側の対向面部28aに第3可動演出装置32が配設される。そして、これら3つの可動演出装置30,31,32が、設置部材27と遊技盤17との間に画成される空間に夫々収容される。
【0023】
(第1可動演出装置について)
前記第1可動演出装置30は、図5〜図7に示す如く、該第1可動演出装置30を構成する部材の設置基盤となるベース部材33と、所定の演出動作を行なう第1可動部材(可動部材)34と、この第1可動部材34を往復動する駆動機構35と、ベース部材33の前側を覆うカバー部材36とから基本的に構成される。ベース部材33とカバー部材36とから駆動機構35の一部を収容するケース状の装置本体37が構成され、第1可動演出装置30は、装置本体37単位で設置部材27に対して着脱可能なユニット構造になっている。第1可動演出装置30は、第1可動部材34を、前記表示部13aにおける下辺の外側の原位置(図3,図8)と、表示部13aの前側に臨む作動位置(図4,図9)との間を、表示部13aの前面と平行な姿勢を保持して上下方向に往復動するよう構成される。
【0024】
前記装置本体37には、駆動機構35を構成する複数の従動歯車44(後述)を収容する収容室が内部画成されている。また、装置本体37のカバー部材36には、図6および図7に示す如く、前面の左右両側に、前面から後側へ所定高さだけ退避する支持段部38が夫々形成され、各支持段部38に、上下方向に延在するガイド部材39が配設されている。そして、支持段部38とガイド部材39とによって、駆動機構35を構成する後述するラック42が上下方向に摺動可能に支持される。なお、各支持段部38には、ラック42に設けた突部46b(後述)を案内する長孔38aが上下方向に延在するよう形成してある。またカバー部材36には、左右の支持段部38,38の間に、収容室に連通する貫通孔36aが左右方向に離間して形成されている。各貫通孔36aを画成する支持段部側の側壁は所定長さだけ切欠かれ、該切欠部を介して後述する作動歯車45の一部が支持段部側に突出可能に構成されている(図5参照)。
【0025】
(駆動機構について)
前記駆動機構35は、図7〜図9に示す如く、モータ40と、該モータ40の回転を伝達する伝達部41と、該伝達部41に接続する一対のラック42,42とから基本的に構成される。実施例では、モータ40として、制御装置の制御下に駆動または駆動停止されるステッピングモータが用いられる。伝達部41は、モータ40の出力軸に固定された駆動歯車43と、該駆動歯車43に一方が噛合する2つの従動歯車44,44と、各従動歯車44,44に噛合すると共に対応するラック42,42に噛合する作動歯車45,45とから構成される。
【0026】
前記各ラック42は、上下方向に延在する板状本体部46における貫通孔36a側を向く一側縁に、複数のラック歯部46aを上下方向(ラック移動方向)に並列に形成したものであって、板状本体部46における他側縁側が、前記支持部段38とガイド部材39とに前後から挟まれた状態で移動可能に支持されている(図6参照)。また、板状本体部46の後面下部に突設した突部46bが、カバー部材36に形成された前記長孔38aに摺動可能に挿通されており、該ラック42は、突部46bが長孔38aで案内されて上下方向に直線的に往復動し得るよう構成される。左右一対のラック42,42の前面に、前記第1可動部材34がネジ止め固定されており、一対のラック42,42と一体で第1可動部材34が上下方向に往復動するようになっている。なお、ラック42の板状本体部46における一側縁には、下部側の位置にラック歯部46aが所定長さだけ形成されていない凹部51が形成されている。
【0027】
前記モータ40は、図5に示す如く、カバー部材36の前面下部に取付けられ、該カバー部材36に穿設した通孔を通して収容室内に突出するモータ40の出力軸に前記駆動歯車43が固定されている。装置本体37には、収容室内において左右に並ぶと共に噛合した状態で2つの前記従動歯車44,44が回転可能に支持され、左側の従動歯車44に駆動歯車43が噛合している。装置本体37には、左側の支持段部38と左側の従動歯車44の配設位置との間に、該左側の従動歯車44と噛合する作動歯車45が回転可能に枢支されると共に、右側の支持段部38と右側の従動歯車44の配設位置との間に、該右側の従動歯車44と噛合する作動歯車45が回転可能に支持される。そして、モータ40により駆動歯車43を回転することで、左右の作動歯車45,45は相互に反対方向に回転するよう構成される。なお、各作動歯車45は、対応する貫通孔36aを介して前面側に露出している。
【0028】
前記左右の作動歯車45,45の構成は同一であって、後述する異形部49,49の位置が左右対象となる状態で装置本体37に配設される。各作動歯車45は、図8および図9に示す如く、大径歯車47と、該大径歯車47より小径の小径歯車48とを同軸上に一体形成した2段歯車であって、小径歯車48を装置本体37の収容室内に位置させると共に前記従動歯車44と噛合している。大径歯車47は、前記貫通孔36aの内部に位置する円盤状の本体47aの外周に複数の作動歯部47bが形成されたものであって、該作動歯部47bが、貫通孔36aを画成する側壁に形成された前記切欠部を介して支持段部38側に突出している。そして、切欠部からの突出部分で作動歯部47bが前記ラック42のラック歯部46aと噛合し(図5参照)、両歯部47b,46aの噛合作用によって作動歯車45の回転時にラック42を直線的に移動するよう構成される。
【0029】
前記大径歯車47における本体47aの外周の1箇所には、作動歯部47bと周方向に隣接してラック歯部46aと噛合不能な異形部49が設けられている。この異形部49は、作動歯部47bの複数個分の凸部として形成されて、ラック42のラック歯部46aに噛合することなく先端に当接することで、作動歯車45の回転およびラック42の移動を規制するべく機能する。実施例では、図9および図10に示す如く、ラック42と一体で移動する第1可動部材34が作動位置に至ったときに、異形部49がラック歯部46aの先端に当接するよう設定され、第1可動部材34を作動位置に位置決めし得るよう構成される。なお、第1可動部材34の作動位置において、異形部49の一部がラック42の前記凹部51に位置するよう構成されており、装置本体37に対する駆動機構35の組付け時には、該異形部49と凹部51とにより作動歯車45とラック42とを適正な関係で組付け得るようになっている。
【0030】
図5に示す如く、前記カバー部材36における左側の支持段部38の下端部に、ラック42(第1可動部材34)の位置を判定するフォトセンサ等からなる検知手段50が配設され、該検知手段50は、制御装置に電気的に接続されて検知信号が制御装置に入力されるよう構成される。検知手段50は、該検知手段50における対向する検知部間を通過するように配置されたラック42の検知片46cの有無によって、第1可動部材34の位置を判定するようになっている。検知片46cは、ラック42の下端部に設けられ、第1可動部材34の原位置において検知片46cが検知手段50の検知部間に位置するよう設定され(図5,図8参照)、検知手段50による検知片46cの検知によって原位置にある第1可動部材34を確認し得るよう構成される。なお、制御装置は、原位置の第1可動部材34を作動位置に向けて移動する際のモータ40のステップ数を検出し、該ステップ数が予め設定された値になったときにモータ40を停止制御するよう設定されており、実施例では該値が、前記異形部49がラック歯部46aに当接するまで作動歯車45を回転したときの値に設定される。
【0031】
前記第1可動部材34は、図6に示す如く、最前面に位置する装飾カバー体52と、該装飾カバー体52の裏側に配設された発光基板53とを備え、該装飾カバー体52には、パチンコ機10のモチーフに合わせた文字や図形等の図柄52aが形成されている。また発光基板53の前面には、発光体としての複数のLED53aが、図柄52aに対応して配設され、該LED53aの発光により図柄52aが明輝されるよう構成される。
【0032】
(第2および第3可動演出装置について)
前記設置部材27の左側の対向面部28aに配設された前記第2可動演出装置31は、第2可動部材54を備える。第2可動演出装置31は、第2可動部材54を、前記表示部13aにおける上辺の外側に退避した原位置(図3参照)と、この原位置から下方変位して表示部13aの前側に臨む作動位置(図4参照)との間で、表示部13aの前面と平行な姿勢を保持して上下方向に往復動するよう構成される。
【0033】
前記設置部材27における右側の対向面部28aに設置された第3可動演出装置32は、所定の演出動作を行なう複数(実施例では2つ)の第3可動部材55,55を備える。第3可動演出装置32は、2つの第3可動部材55が、前記図柄表示装置13の表示部13aにおける右辺の前側に重なった位置において、上下方向に並んだ原位置で待機する(図3参照)。そして、原位置において下側に位置する第3可動部材55については、原位置と、該原位置から右辺に沿って上方に変位した作動位置との間を表示部13aの前面に対して平行な姿勢を保ったまま往復動すると共に、原位置において上側に位置する第3可動部材55については、原位置と、該原位置から表示部13aの中央側に向けた左斜め下方の表示部13a前側に変位した作動位置との間を表示部13aの前面に対して平行な姿勢を保ったまま往復動するよう構成される。
【0034】
前記第2可動部材54および第3可動部材55には、第1可動部材34と同様に、パチンコ機のモチーフに合わせた文字や図形等の図柄54a,55aが形成されており、該図柄54a,55aは、第2および第3可動部材54,55に内蔵の発光基板(図示せず)のLEDを発光することで明輝し得るよう構成される。
【0035】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機の作用につき説明する。
【0036】
前記遊技領域17aに打ち出されたパチンコ球は、前記枠状装飾部材23の外周囲を流下し、該パチンコ球が前記球導入部25に通入すると、該パチンコ球は前記ステージ24に通出され、該ステージ24を左右に転動した後に遊技領域17aに排出され、このパチンコ球は始動入賞装置20や普通入賞装置22等に入賞可能となる。そして、始動入賞装置20にパチンコ球が入賞すると、前記図柄表示装置13の図柄が変動開始され、所要の図柄組合わせゲームが展開される。図柄表示装置13で展開される図柄変動ゲームの結果、図柄表示装置13に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されたときに大当りが発生する。そして、大当りが発生すると、図柄表示装置13に表示された図柄組み合わせに応じて、前記遊技盤17の下方に設けられた特別入賞装置21の入賞口が開放され、多数の賞球の獲得が可能となる。
【0037】
前記図柄表示装置13で展開される図柄変動ゲームの演出に応じて、前記可動演出装置30,31,32が作動制御されて、各可動部材34,54,55が作動されて動的な演出により遊技の興趣が高められる。また、各可動部材34,54,55に配設されている発光基板53のLED53aが、図柄変動ゲームの演出に応じて発光制御されて、各可動部材34,54,55に形成されている図柄52a,54a,55aが明輝する演出により遊技の興趣が向上される。
【0038】
前記第1可動演出装置30は、モータ40の停止時(非通電時)に、前記ラック42の検知片46cが検知手段50で検知されている原位置で停止している(図5,図8参照)。このとき、各ラック42のラック歯部46aには対応する作動歯車45の作動歯部47bが噛合すると共に、異形部49はラック42から離間して位置している。この状態でモータ40を正転方向に駆動すると、駆動歯車43および従動歯車44,44を介して左右の作動歯車45,45が相互に反対方向に回転し、前記作動歯部47bとラック歯部46aとの噛合作用によって一対にラック42,42は、各突部46bが長孔38aで案内されて上方に向けて移動する。そして、図9および図10に示す如く、前記第1可動部材34が作動位置に至ったときに、該第1可動部材34と一体で移動する各ラック42の凹部51に、対応する作動歯車45の異形部49が位置すると共に、該異形部49がラック歯部46aの先端に当接し、作動歯車45の回転およびラック42の移動が規制される。このとき、モータ40のパルス数を監視している制御装置により、該モータ40が停止制御され、第1可動部材34は作動位置に保持される。
【0039】
前記モータ40が逆転駆動されると、前記各作動歯車45の異形部49が対応するラック42のラック歯部46aから離間する方向に回転し、作動歯部47bとラック歯部46aとの噛合作用によってラック42が下降する。これにより、前記第1可動部材34もラック42,42と一体で下降し、前記検知手段50が検知片46cを検知したときに制御装置がモータ40を停止制御して、第1可動部材34は原位置で停止保持される。
【0040】
実施例の各可動演出装置30,31,32は、前記表示部13aの上辺、右辺および下辺側に位置して相互に離間している原位置の各可動部材34,54,55を、図4に示す如く、表示部13aの中央に集合するように移動することで、遊技者に大きなインパクトを与えることができ、他の機種に対する差別化を図り得る。この場合において、表示部13aの中央において左右方向に並んでいる第2可動部材54と第3可動部材55,55の下側に、第1可動部材34が下辺から迫り出すように移動し、該第1可動部材34が第2可動部材54および第3可動部材55,55に近接した位置で停止することで、3種類の可動部材34,54,55が集合して全体として意味のある図柄を形成し、より興趣のある演出が可能となっている。
【0041】
この場合において、前記モータ40のステップ数のみを検出して第1可動部材34を作動位置に停止する構成では、検出エラー等に起因して第1可動部材34を正しい作動位置で停止することができず、該第1可動部材34が第2可動部材54や第3可動部材55に接触干渉するおそれがある。しかしながら、実施例では駆動機構35の作動歯車45に設けた異形部49をラック歯部46aに当接するストップ機構を併用しているから、第1可動部材34を正しい作動位置で確実に停止させることができる。しかも、ストップ機構は、第1可動部材34を往復移動する駆動機構35に設けているので、専用のストップ機構を必要とせず、構成を簡略化して省スペース化を図り得ると共に、製造コストを低廉に抑制し得る。
【0042】
(別実施例)
図11は、駆動機構35の別実施例を示すものであって、基本的な構成は前述した駆動機構35と同じであるので、異なる部分についてのみ説明し、同一部位には同じ符号を付すものとする。
【0043】
前記作動歯車45の大径歯車47に、周方向に離間して2つの異形部49a,49bが形成されると共に、ラック42の一側縁には、上下方向(ラック移動方向)に離間して2つの凹部51a,51bが形成されている。図11(a)において右側に位置する第1異形部49aは、第1可動部材34が原位置に位置したときにラック42における上側に位置する第1凹部51aに一部が位置した状態でラック歯部46aの先端に当接し、第1可動部材34を原位置に位置決めするべく機能する。また図11(a)において左側に位置する第2異形部49bは、図11(b)に示す如く、作動歯車45の回転によって第1可動部材34が作動位置に至ったときにラック42における下側に位置する第2凹部51bに一部が位置した状態でラック歯部46aの先端に当接し、第1可動部材34を作動位置に位置決めするべく機能する。
【0044】
このように、第1可動部材34を往復移動する駆動機構35の作動歯車45に2つの異形部49a,49bを設けるだけの簡単な構成で、第1可動部材34を原位置および作動位置に確実に位置決めすることができる。
【0045】
(変更例)
本願は前述した実施例や別実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、遊技盤を木製の板部材から構成したが、アクリル等の透明な材料で形成した透明板から構成したものであってもよい。
(2) 実施例では、第1可動部材を一対のラックに固定して移動するよう構成したが、1本のラックで第1可動部材を往復動する構成であってもよい。
(3) 実施例では、第1可動演出装置を表示部の下辺側に配設したが、上辺側あるいは左右の各辺側に配設したものであってもよく、その配設位置が限定されるものではない。
(4) 実施例では、第1可動演出装置の第1可動部材を作動位置に停止する際に、モータのステップ数に基づいてモータを停止制御するよう構成したが、前記異形部がラック歯部に当接することでモータに加わる負荷を検出する手段を設け、該検出手段の検出信号に基づいてモータを停止制御する構成を採用し得る。
(5) 別実施例では、作動歯車に設けた2つの異形部によって第1可動部材を原位置と作動位置とに位置決めするよう構成したが、1つの異形部によって可動部材を原位置と作動位置とに位置決めする構成を採用することができる。
(6) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
30 第1可動演出装置(可動演出装置)
34 第1可動部材(可動部材)
40 モータ
42 ラック
45 作動歯車
46a ラック歯部
47b 作動歯部
49 異形部
49a 第1異形部(異形部)
49b 第2異形部(異形部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復移動する可動部材の動作により演出を行なう可動演出装置を備えた遊技機において、
前記可動演出装置は、
前記可動部材に設けられ、該可動部材と一体で往復移動するラックと、
前記ラックに形成したラック歯部に噛合する作動歯部が外周に形成され、モータの駆動によって回転することで両歯部の噛合作用によりラックを往復移動させる作動歯車とを備え、
前記作動歯車の外周の一部に、作動歯部と周方向に隣接してラック歯部と噛合不能な異形部が設けられ、
前記作動歯車の異形部がラック歯部に当接することで作動歯車の回転およびラックの移動が規制されて、前記可動部材が位置決めされる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可動部材は原位置と作動位置との間を往復動可能に構成され、該可動部材が作動位置に至ったときに前記作動歯車の異形部がラック歯部に当接するよう設定された請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記可動部材の原位置において前記作動歯車の異形部がラック歯部に当接し、該異形部がラック歯車から離間する方向に作動歯車が回転することで可動部材が作動位置に向けて移動するよう構成された請求項2記載の遊技機。
【請求項1】
往復移動する可動部材の動作により演出を行なう可動演出装置を備えた遊技機において、
前記可動演出装置は、
前記可動部材に設けられ、該可動部材と一体で往復移動するラックと、
前記ラックに形成したラック歯部に噛合する作動歯部が外周に形成され、モータの駆動によって回転することで両歯部の噛合作用によりラックを往復移動させる作動歯車とを備え、
前記作動歯車の外周の一部に、作動歯部と周方向に隣接してラック歯部と噛合不能な異形部が設けられ、
前記作動歯車の異形部がラック歯部に当接することで作動歯車の回転およびラックの移動が規制されて、前記可動部材が位置決めされる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可動部材は原位置と作動位置との間を往復動可能に構成され、該可動部材が作動位置に至ったときに前記作動歯車の異形部がラック歯部に当接するよう設定された請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記可動部材の原位置において前記作動歯車の異形部がラック歯部に当接し、該異形部がラック歯車から離間する方向に作動歯車が回転することで可動部材が作動位置に向けて移動するよう構成された請求項2記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−105890(P2012−105890A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258391(P2010−258391)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】
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