説明

遊技機

【課題】遊技者に有利な遊技状態における演出とその遊技者に有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する場合に、遊技者に有利な遊技状態にある遊技機を容易に判別し、その遊技機の状態を簡便に初期状態に設定することのできる遊技機を提供すること。
【解決手段】バックアップが有効であると(S14:Yes)、スタックポインタの値やバックアップエリアへ退避した各データを電源断前(停電前)の状態に戻す。ここで、遊技状態が確率変動状態であると特別通知フラグをオンし、制御を電源断前の状態から続行する(S15〜S19)。これにより、確率変動状態にあることが表示用制御基板に通知され、通知ランプが発光する。操作者は、通知ランプの発光を視認すると電源を断し、クリアスイッチを押下した状態でパチンコ機を復電する。これにより、パチンコ機の状態は初期状態にセットされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコやスロット等に代表される遊技機は、所定の表示結果を導出した場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与する物である。かかる遊技機において、遊技者の興趣を高めるために、遊技者に有利な遊技状態にあるか、或いは、その有利な遊技状態以外の通常の遊技状態にあるかを、遊技者が認識し難いように演出する遊技機がある(特許文献1参照)。該遊技機によれば、遊技者に遊技状態が認識され難いため、遊技者は不利な遊技状態であることを知り得ない。よって、常に、遊技者に期待感を抱かせることができ、その遊技に対する遊技者の興趣を高めることのできるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−149593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技機は電気的に制御されるものである。よって、何らかの原因で遊技中に電源断が発生すると、遊技が中断されてしまう。ここで、電源断前(電源断時)の遊技状態が、大当たり状態や賞球の払い出し状態であると、電源の再投入時において、大当たり状態が解除されたり、賞球の払い出しが中止されたりすると遊技者に不利益となる。このため、電源断時には、電源断前(電源断時)の遊技状態をバックアップし、電源入時の復電処理において、遊技機の状態を、バックアップされた遊技状態へ復帰させる必要がある(バックアップ機能)。このバックアップ機能を有する遊技機では、営業終了に伴う電源断と、翌日の営業開始時の復電処理とにおいても同様にバックアップと、その復帰とが実行される。
【0005】
ところが、営業開始時の復電処理において、遊技機の状態が、遊技者に有利な遊技状態に復帰されてしまうと、新たに来場した遊技者が、自己の遊技結果でなく、前日の他人の遊技結果によって導出された有利な遊技状態を享受することになり不公平が生じてしまうという問題点があった。また、遊技場側は、有利な遊技状態を供与する必要のない遊技者にこれを供与することとなり、不利益を被ることとなるという問題点があった。かかる問題点を回避するべく、遊技場側の従業員(操作者)によって、復電後の遊技機における演出の態様などから遊技機の状態が遊技者に有利な遊技状態であるか否かを判断し、必要に応じて遊技機の状態を初期状態に設定する作業が実行されることも多い。
【0006】
しかし、遊技者に有利な遊技状態にあるか、或いは、その有利な遊技状態以外の通常の遊技状態にあるかを、遊技者が認識し難いように演出する(遊技者に有利な遊技状態における演出とその有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する)遊技機においては、その演出の態様によって、いずれの遊技機が遊技者に有利な遊技状態であるかを区別できない。このため、初期状態への設定を的確に行うことができず、遊技機は、遊技者に有利な遊技状態にセットされたままとなり、遊技場側の不利益を回避できないという問題点があった。また、かかる不利益を回避しようとすれば、初期状態への設定が不要な遊技機をも含め、全遊技機について、初期状態に設定する作業を行わねばならず、操作者に多大な労力が要求されるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技者に有利な遊技状態における演出とその遊技者に有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する場合に、遊技者に有利な遊技状態にある遊技機を容易に判別し、その遊技機の状態を簡便に初期状態に設定することのできる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1記載の遊技機は、特定領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段により遊技球の入球が検出されると、遊技者に有利な遊技状態へ遷移させるか否かを抽選するとともに、その抽選結果に基づいた制御を行う主制御手段とを備え、前記遊技者に有利な遊技状態における演出とその遊技者に有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行するものであり、前記主制御手段のデータを電源断後も保持するバックアップ記憶手段と、電源入時の復電処理において、そのバックアップ記憶手段に記憶されるデータに基づいて電源断前の状態に復帰させる状態復帰手段と、その状態復帰手段により復帰される電源断前の状態が、前記遊技者に有利な遊技状態であるか否かを判別する判別手段と、その判別手段により、前記遊技者に有利な遊技状態であると判別されると、遊技者に有利な遊技状態であることを通知する第1通知手段とを備えている。
【0009】
この請求項1記載の遊技機によれば、主制御手段のデータは、バックアップ記憶手段により、電源断後も保持される。電源入時の復電処理において、遊技機の状態は、状態復帰手段により、そのバックアップ記憶手段に記憶されるデータに基づいて電源断前の状態に復帰される。ここで、状態復帰手段により復帰される電源断前の状態が、遊技者に有利な遊技状態であるか否かが、判別手段により判別され、遊技者に有利な遊技状態であると判別されると、第1通知手段によって遊技者に有利な遊技状態であることが通知される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機によれば、主制御手段のデータは、バックアップ記憶手段により、電源断後も保持される。電源入時の復電処理において、遊技機の状態は、状態復帰手段により、そのバックアップ記憶手段に記憶されるデータに基づいて電源断前の状態に復帰される。ここで、状態復帰手段により復帰される電源断前の状態が、遊技者に有利な遊技状態であるか否かが、判別手段により判別され、遊技者に有利な遊技状態であると判別されると、第1通知手段によって遊技者に有利な遊技状態であることが通知される。
よって、遊技者に有利な遊技状態における演出とその有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とが、同一または近似した態様で実行されても、状態復帰手段により復帰される電源断前の状態が遊技者に有利な遊技状態である場合には、その遊技機を的確に、操作者に判別させることができるという効果がある。これによれば、第1通知手段によって通知された遊技者に有利な遊技状態である遊技機に対し、操作者に、その有利な状態を解除する処理や操作を実行させ得、遊技場側の不利益を回避することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ機の正面図である。
【図2】パチンコ機の電気的な構成を示したブロック図である。
【図3】パチンコ機の主制御基板で実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。
【図4】パチンコ機の主制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図5】主制御基板のメイン処理において実行される特別通知処理のフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施例において、前面枠が開放された状態にあるパチンコ機1の正面図である。
【図7】第2実施例のパチンコ機の電気的な構成を示したブロック図である。
【図8】第2実施例のパチンコ機の主制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図9】第2実施例の主制御基板のメイン処理において実行される特別通知処理のフローチャートである。
【図10】第3実施例のパチンコ機の電気的な構成を示したブロック図である。
【図11】第3実施例のパチンコ機の主制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。図1は、第1実施例のパチンコ機1の正面図である。パチンコ機1の前面には前面枠2が配設されており、その略中央部分には略矩形状の開口2aが穿設され、かかる開口2aの内周には金枠3が周設されている。この金枠3の内側の上方には、2枚のガラス板を装着可能なガラス扉枠4が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠4の後方に遊技盤5が配置されている。
【0013】
遊技盤5の前面には略円弧状の外レール6が植立され、その外レール6の内側位置には円弧状の内レール7が植立されている。この内レール7と外レール6とにより囲まれた遊技盤5の前面には、球が打ち込まれる遊技領域8が形成されており、その遊技領域8内には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の普通入賞口9が配設されている。遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを変動表示する液晶ディスプレイ(LCD)10を備えた可変表示装置11が配設されている。この可変表示装置11の液晶ディスプレイ10の手前側周囲には、装飾部材を兼ねたセンタフレーム11aが周設されており、このセンタフレーム11aにより液晶ディスプレイ10の周囲が装飾されている。また、センタフレーム11aの上部中央には表示装置の一種である7セグメントLED11bが配設されている。
【0014】
可変表示装置11の下方には、図柄作動口(第1種始動口)12が配設されている。球がこの図柄作動口12を通過すると、第1種始動口スイッチ78(図2参照)がオンして、上述した可変表示装置11で変動表示が開始されると共に、5個の球が賞球として払い出される。また、図柄作動口12の下方には可変入賞装置13が配設されている。この可変入賞装置13は、その略中央部分に2以上の球が同時に通過可能な幅広矩形状の開口である大入賞口13aが穿設されている。
【0015】
この大入賞口13aは、可変表示装置11の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせ(大当たり表示)の1つと一致する場合に、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒間)経過するまで、或いは、所定個数(例えば、10個)の球が入賞するまで、開放される入賞口である。この大入賞口13aの開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。かかる可変入賞装置13の下方であって、遊技領域8の最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった球を遊技領域8外へ排出するためのアウト口14が形成されている。
【0016】
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD10の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
【0017】
アウト口14の下方、即ちガラス扉枠4の下方には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)15が配設されている。この前面扉板15の前面には、球を貯留すると共に発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿16が配設され、その上皿16の下方であって、前面枠2の下側部分には上皿16に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿17が配設されている。また、下皿17の右側部分には、球を遊技領域8へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル18が配設されている。かかる操作ハンドル18を操作することにより、発射用モータ80(図2参照)を駆動して、球を遊技領域8へ発射することができる。
【0018】
前面枠2の上方の正面中央部には、通知ランプ19が備えられている。通知ランプ19は、復電時において、パチンコ機1が確率変動状態であることを示すランプである。本実施例のパチンコ機1は、確率変動状態である場合であっても否である場合であっても、同じ態様の演出が実行されるように構成されている。つまり、LCD10で行われる演出や効果音などによって両者を区別することはできないようになっている。
【0019】
しかし、復電時にパチンコ機1の状態が確率変動状態であると、通知ランプ19は発光状態となる。これにより、遊技場の従業員は、いずれのパチンコ機1が確率変動状態であるかを判別することができ、この通知ランプ19の発光状態を目印として、確率変動状態にセットされたパチンコ機1の初期化(初期状態への設定)を行うことができるようになっているのである。
【0020】
通常、パチンコ機などの遊技機においては、電源断が生じた場合には、復電により、その状態を電源断時の状態に復帰させることが必要となる。例えば、パチンコ機1において、遊技状態が特別遊技状態である場合に電源断が発生すると、所定の遊技価値を的確に遊技者に付与するために、復電時に、特別遊技状態に復帰させなくてはならないからである。このため、電源断時にその遊技状態を示すデータをバックアップするバックアップエリア73b(図2参照)と、このバックアップエリア73bにデータの書き込みを行う停電時処理のプログラム(図3参照)とがパチンコ機1には設けられている。
【0021】
ところが、前日の営業終了による電源断によって、バックアップエリア73bに、確率変動状態が記憶されると、翌日の営業による電源投入(復電処理)により、そのパチンコ機1は、確率変動状態にセットされてしまう。前日の遊技結果である確率変動状態が、翌日に持ち越されると、本来の遊技者でない他の遊技者に確率変動状態を供与することとなり、不公平が生じるばかりか、遊技場側の不利益となってしまう。本実施例のパチンコ機1は、上記したように確率変動状態である場合であっても否である場合であっても、同じ態様の演出が実行されるが、電源入時においては、通知ランプ19の発光状態を目印として、確率変動状態を判別でき、そのパチンコ機1の状態を初期化し得るので、遊技場側の不利益を回避できる。
【0022】
図2は、かかるパチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機1の主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU71が搭載されている。MPU71は、そのMPU71により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM72と、ワークメモリ等として使用されるRAM73とを備えている。図3から図5に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM72内に記憶されている。
【0023】
RAM73はMPU71による演算結果等の各種データを一時的に記憶するものであり、特別通知フラグ73aと、バックアップエリア73bとを備えている。また、RAM73には、パチンコ機1の電源のオフ後においても、電源基板30からバックアップ電圧が供給されており、データを保持(バックアップ)することができるように構成されている。なお、コンデンサや電池等を使用してRAM73のデータをバックアップするように構成しても良い。
【0024】
特別通知フラグ73aは、復電時のパチンコ機1の状態が、確率変動状態であるか否かを示すためのフラグである。電源入時(復電時、停電解消による電源入を含む。以下、同様)の復電処理(図4参照)において、後述するバックアップエリア73bにデータが記憶されていると、該データは、RAM73の(バックアップエリア73b以外の)通常の動作領域へ書き込まれる。これにより、パチンコ機1は、電源断前の状態に復帰される。
【0025】
MPU71は、復電されたこのパチンコ機1の状態を判別し、確率変動状態であると、この特別通知フラグ73aをオンする。オンされた特別通知フラグ73aは、確率変動状態にあることを通知する処理が実行されるとオフされる。
【0026】
確率変動状態とは、特別遊技状態(大当たり)が設定される確率が高くなる遊技状態である。パチンコ機1のRAM73には、所定のタイミングで更新され、「0〜599」の値を取り得る乱数カウンタ(非図示)が設けられている。この乱数カウンタは、特別遊技状態(大当たり)とするか否かを決定するためのカウンタである。第1種始動口スイッチ78が球を検出したタイミングで、この乱数カウンタの値が取得され、通常は、その取得した値が、「0」または「300」であると、LCD10で実行される変動表示の結果を大当たりとすることが決定される。確率変動状態であると、取得された乱数カウンタの値が、「0」、「300」以外に、更に、複数の値においても、大当たりとすることが決定される。
【0027】
この確率変動状態とするか否かは、RAM73に設けられた大当り図柄カウンタ(非図示)の値に基づいて決定される。大当り図柄カウンタは、特別遊技状態(大当り)のときにLCD10に停止表示される特別図柄(大当り図柄)を決定する際に用いられるカウンタである。この大当り図柄カウンタにより決定される大当り図柄には、通常の大当たりとする通常大当り図柄と、確率変動状態とする確率変動図柄とがあり、大当り図柄カウンタの各値には、通常大当り図柄または確率変動図柄のいずれかが対応つけられている。この大当り図柄カウンタの値によって決定された確率変動状態は、大当たりの終了により開始される。確率変動状態開始後に、新たに確定された大当たりの大当り図柄が、通常大当り図柄で決定されると、その大当たり終了後に、確率変動状態は解除される。
【0028】
バックアップエリア73bは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時(復電時)に、パチンコ機1の状態を電源断前の状態に復帰させるため、電源断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア73bへの書き込みは、NMI割込処理(図3参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア73bに書き込まれた各値の復帰は、上記したように、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の復電処理(図4参照)において実行される。なお、MPU71のNMI(Non Maskable Interrupt)端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、停電監視回路30bから出力される停電信号31が入力されるように構成されており、停電の発生により、図3の停電時処理(NMI割込処理)が即座に実行される。これにより、電源断時にパチンコ機1の状態が確率変動状態であると、この確率変動状態を示すデータがバックアップエリア73bに書き込まれる。
【0029】
かかるMPU71とROM72およびRAM73は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン76を介して入出力ポート77と接続されている。図2に示すように、入出力ポート77は、電源基板30に設けられたクリアスイッチ30cと、払出用モータ81によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、表示用制御基板Dと、第1種始動口スイッチ78と、そのほか、他の入出力装置84とにそれぞれ接続されている。
【0030】
払出制御基板Hは、停電監視回路30bとクリアスイッチ30cとに接続されており、演算装置であるMPUと、そのMPUにより実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROMと、ワークメモリ等として使用されるRAMとを備えている。払出制御基板HのRAMは、主制御基板CのRAM73と同様に、パチンコ機1の電源のオフ後においても、電源基板30からバックアップ電圧が供給されて、パチンコ機1の電源のオフ後もデータを保持(バックアップ)できるように構成されている。
【0031】
この払出制御基板HのRAMは、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、主制御基板CのRAM73と同様にバックアップエリアを備えている。停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機1の状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値が、このバックアップエリアに記憶される。バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の復電処理において実行される。
【0032】
また、この払出制御基板Hには、球を遊技領域8に打ち込むための発射用モータ80に接続される発射制御基板Bが接続されている。発射制御基板Bは、球を遊技領域8へ発射するための発射用モータ80について駆動の許可と禁止とを制御するためのものである。発射用モータ80は、次の3条件が整っている場合に駆動が許可される(駆動が可能とされる)。即ち、第1に、払出制御基板Hから発射用モータ80の駆動電圧である+32ボルトが供給されていること。第2に、ハンドル18に設けられたタッチセンサから遊技者がハンドル18に触れていることを示す信号が出力されていること。第3に、球の発射をストップさせるストップスイッチが操作されていないこと。以上の3条件が整っている場合に、発射制御基板Bは発射用モータ80へ駆動を許可する信号を出力して、発射用モータ80の駆動を可能とする。よって、かかる信号が出力されている状態でハンドル18が操作されると、発射用モータ80が駆動し、ハンドルの操作量に応じた強度で球が遊技領域8へ発射される。
【0033】
表示用制御基板Dは、LCD10で行われる特別図柄の変動表示と7セグメントLED11bで行われる普通図柄の変動表示との各制御を行う基板である。また、スピーカ82から効果音の出力制御を行うと共にLEDや各種ランプ83の点灯制御を行う音声ランプ制御基板Sと接続され、主制御基板CのMPU71から送信(出力)される制御用コマンドに基づいて、かかる音声ランプ制御基板Sの動作を制御する。また、この音声ランプ制御基板Sには、通知ランプ19が接続されている。
【0034】
電源入時の復電処理によって、パチンコ機1の遊技状態が確率変動状態に復帰された場合には、主制御基板Cから表示用制御基板Dには、特別通知コマンドが送信される。表示用制御基板Dは、この特別通知コマンドを受信すると、音声ランプ制御基板Sに、通知ランプ19を点灯させるコマンドを送信する。これにより、通知ランプ19は点灯される(発光状態となる)こととなり、パチンコ機1が確率変動状態にあることが通知される。
【0035】
第1種始動口スイッチ78は、図柄作動口12(図1参照)に入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口12の近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ78によって球が検出されると、払出用モータ81が作動して図示しない払出装置によって5個の賞球が払い出される。また、第1種始動口スイッチ78によって球が検出された場合には、上記したように、乱数カウンタの値が取得され、その取得された値は、RAM73の所定の領域に書き込まれて記憶される。
【0036】
電源基板30は、パチンコ機1の各部に電力を供給するための電源部30aと、停電監視回路30bと、クリアスイッチ30cとを備えている。停電監視回路30bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU71および払出制御基板HのMPUのNMI端子へ停電信号31を出力するための回路である。停電監視回路30bは、電源部30aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号31を主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力するように構成されている。この停電信号31の出力によって、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電の発生を認識し、停電時処理(主制御基板については図3のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部30aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
【0037】
クリアスイッチ30cは、主制御基板CのRAM73および払出制御基板HのRAMにバックアップされているデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ30cが押下された状態でパチンコ機1の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御基板Cおよび払出制御基板Hへクリア信号32がそれぞれ出力され、そのクリア信号32を契機として、RAM73および払出制御基板HのRAMのデータがクリアされる。
【0038】
営業開始時の復電処理により、通知ランプ19が発光状態にあると、遊技場の従業員は、かかるパチンコ機1の電源を断し、クリアスイッチ30cが押下された状態でパチンコ機1の電源を再投入する。これにより、RAM73のデータはクリアされ、パチンコ機1の確率変動状態は解消される。
【0039】
次に、上記のように構成されたパチンコ機1で実行される各処理を、図3から図5のフローチャートを参照して説明する。図3は、停電の発生等によるパチンコ機1の電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態が、バックアップエリア73bに記憶される。
【0040】
停電の発生等によりパチンコ機1の電源が断されると、停電監視回路30bから停電信号31が主制御基板CのMPU71のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。すると、MPU71は、実行中の制御を中断して、図3のNMI割込処理を開始する。停電信号31が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように電源部30aから電力供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
【0041】
図3に示す主制御基板CのNMI割込処理では、まず、各レジスタおよびI/O等の値をスタックエリアへ書き込み(S1)、スタックポインタの値をバックアップエリア73bへ書き込んで退避する(S2)。更に、停電発生情報をバックアップエリア73bへ書き込んで(S3)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。そして、その他の停電処理を実行した後(S4)、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
【0042】
図4は、パチンコ機1の電源入後に主制御基板Cで実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア73bに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ30cが押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理(S20)を実行して、パチンコ機1を初期化する。
【0043】
まず、割込を禁止し(S11)、スタックポインタを設定する(S12)。クリアスイッチ30cがオンされているか否かを確認し(S13)、オンされていなければ(S13:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S14)。この確認は、RAM73の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S14:Yes)、処理をS15へ移行して、S15からS19の処理によって、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。
【0044】
即ち、バックアップエリア73bからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S15)。次に、スタックポインタの値を戻した後のスタックエリア、即ちバックアップエリア73bへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア73bから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込み(S16)、その後、遊技状態は確率変動状態か否かを確認する(S17)。
【0045】
ここで、その遊技状態、即ち復帰した遊技機の状態が、確率変動状態であると(S17:Yes)、特別通知フラグ73aをオンし(S18)、更に、割込の状態を電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻し(S19)、NMI割込リターンを実行して処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。また、S17の処理で確認した結果、遊技状態が、確率変動状態でなければ(S17:No)、S18の処理をスキップして、その処理をS19の処理に移行する。
【0046】
一方、S13の処理において、クリアスイッチ30cがオンされていたり(S13:Yes)、或いはバックアップが有効でなければ(S14:No)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S20)、各メモリやI/Oを初期化する。その後、タイマ割込等の各割込の設定を行って(S21)、割込が発生可能な状態にした上で、割込を許可する(S22)。このメイン処理におけるS11〜S22までの処理が、電源が投入されると実行される電源入時の復電処理となっている。つまり、復電処理とは、電源入時に実行され、パチンコ機1を遊技が開始できる状態にセットする処理である。
【0047】
割込の許可後は、S23からS30の各処理を所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。以下に、S23からS30の各処理を説明する。
【0048】
始動入賞処理(S23)では、球が図柄作動口(第1種始動口)12へ入賞したか否かを確認した上で所定の処理が行われる。即ち、第1種始動口スイッチ78のオンが確認された場合には、球が図柄作動口12へ入賞したものと判断して、その時の乱数カウンタや、リーチカウンタ、大当り図柄カウンタ、3つの各外れ図柄カウンタの各値を、RAM73の所定領域に記憶して特別図柄の変動表示を決定すると共に、特別図柄の変動表示の保留回数を表示するランプ83の点灯状態を更新する。特別図柄の変動表示の保留回数が4以上である場合には、これらの処理はスキップされる。なお、保留回数の表示の更新は、主制御基板Cから表示用制御基板Dへ制御用コマンドを出力し、更にその制御用コマンドを入力した表示用制御基板Dが音声ランプ制御基板Sへランプ83の点灯状態を更新する制御用コマンドを出力することによって、音声ランプ制御基板Sにより行われる。
【0049】
変動開始処理(S24)では、特別図柄の変動表示や大当たり表示が終了しており、且つ特別図柄の変動表示の保留回数が0でない場合に、LCD10において新たな特別図柄の変動表示を開始する。即ち、主制御基板Cは、変動表示後に停止表示される特別図柄を設定する停止図柄コマンドと、特別図柄の変動パターンを設定する変動パターンコマンドとを、制御用コマンドとして表示用制御基板Dへ出力し、その制御用コマンドを入力した表示用制御基板Dによって特別図柄の変動表示が開始される。表示用制御基板Dは、音声ランプ制御基板Sへ、特別図柄の変動表示の保留回数を表示するランプ83の点灯状態を更新する制御用コマンドや、特別図柄の変動表示に合わせた効果音の出力とランプ83の点灯を指示する制御用コマンドを出力する。
【0050】
変動停止処理(S25)では、まず、大当り中であるか否かを判定する。ここで、大当り中には、大当りの際にLCD10で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機1の各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当り中ではないと判定されると、変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する。各変動パターンはパターン毎に変動時間が設定されているので、この処理は、その時間を経過したかを判定することにより行われる。変動時間が終了していれば、変動の停止と確認のために設定されている停止図柄を、制御用コマンドの1つである確定コマンドとして表示用制御基板Dへ出力し、この処理を終了する。表示用制御基板Dは、確定コマンドを入力すると、LCD10に停止図柄を表示させる。
【0051】
カウンタ更新処理(S26)では、乱数カウンタ、リーチカウンタ、大当り図柄カウンタ、変動パターンカウンタの各カウンタの値を更新する。乱数カウンタは、大当りか否かを判定する際に用いられるカウンタであり、本実施例では0〜599の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり599)に達した後に再び0に戻るループカウンタで構成される。リーチカウンタは、外れ時にリーチ遊技を行うか否かを決定する際に用いられるカウンタであり、本実施例では0〜11の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり11)に達した後に再び0に戻るループカウンタで構成される。大当り図柄カウンタは、大当りのときにLCD10に停止表示される特別図柄(大当り図柄)を決定する際に用いられるカウンタであり、本実施例では0〜44の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり44)に達した後に再び0に戻るループカウンタで構成される。上記したように、この大当り図柄には、通常大当り図柄と、確率変動図柄とがあり、この大当り図柄カウンタの値には、いずれかの図柄が予め対応つけられている。
【0052】
変動パターンカウンタは、LCD10で行われる特別図柄の変動表示のパターンを決定する際に用いられるカウンタであり、本実施例では0〜99の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり99)に達した後に再び0に戻るループカウンタで構成される。
【0053】
大当たり処理(S27)では、大当たりか否かを判定し、大当たりである場合には大入賞口(特定入賞口)13aの開放処理を行う。一方、大当たりでない場合には、該処理をスキップしてこの処理を終了する。大入賞口13aの開放処理では、球が入賞しやすいように大入賞口13aを所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放する。大入賞口13aの開放中に、球がVゾーン(図示せず)内を通過すると、継続権を成立させて、大入賞口13aの閉鎖後、再度、その大入賞口13aを所定時間(又は、球が10個入賞するまで)開放する。この大入賞口13aの開閉動作を、最高で16回(16ラウンド)繰り返す。
【0054】
特別通知処理(S28)は、特別通知フラグ73aがオンされている、即ち、復電によりパチンコ機1の状態が確率変動状態となった場合に実行される処理である。この特別通知処理を図5を参照して説明する。
【0055】
図5は、図4のメイン処理の中で実行される特別通知処理(S28)のフローチャートである。この特別通知処理(S28)では、まず、特別通知フラグ73aがオンされているか否かを確認する(S31)。その結果、特別通知フラグ73aがオフであれば(S31:No)、復電されたパチンコ機1の状態は確率変動状態ではないので、この特別通知処理(S28)を終了する。一方、S31の処理で確認した結果、特別通知フラグ73aがオンであれば(S31:Yes)、復電されたパチンコ機1の状態は確率変動状態であるので、特別通知コマンドをRAM73に設けられた送信バッファ(非図示)に書込み(S32)、その後、特別通知フラグ73aをオフして(S33)、この特別通知処理(S28)を終了する。送信バッファは、主制御基板Cから他の基板(表示用制御基板Dや払出制御基板D等)へ送信するコマンドやデータを一時的に記憶する緩衝用のメモリである。送信バッファに書込まれた特別通知コマンドは、タイマ割込処理によって表示用制御基板Dへ送信される。
【0056】
これにより、表示用制御基板Dに、確率変動状態にあることの通知が指示され、表示用制御基板Dから音声ランプ制御基板Sへ通知ランプ19を発光させるコマンドが送信される。図4に戻って説明する。
【0057】
外れ図柄カウンタ更新処理(S29)では、3つある各外れ図柄カウンタの値をそれぞれ更新する。外れ図柄カウンタは、特別図柄の変動表示の結果としての外れ図柄を決定するためのカウンタであり、特別図柄の変動表示に合わせて左段、中段、右段についてそれぞれ、即ち合計で3の外れ図柄カウンタが設けられている。これら外れ図柄カウンタの値に応じて、外れ時の変動表示の停止図柄が決定される。
【0058】
外れ図柄カウンタ更新処理(S29)の終了後は、次のS23の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、その外れ図柄カウンタ更新処理(S29)を繰り返し実行する。S23〜S28の各処理は定期的に実行する必要があるので、S30の処理において、前回のS23の処理の実行からの経過時間をチェックする(S30)。チェックの結果、前回のS23の処理の実行から所定時間(例えば2ms)経過していれば(S30:Yes)、処理をS23へ移行する。一方、所定時間経過していなければ(S30:No)、処理をS29へ移行して、外れ図柄カウンタ更新処理(S29)を繰り返す。ここで、S23〜S28の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS23の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して外れ図柄カウンタ更新処理(S29)を繰り返し実行することにより、各外れ図柄カウンタの値をランダムに更新することができる。
【0059】
このように、第1実施例のパチンコ機1によれば、確率変動状態である場合と否である場合とにおいて、LCD10、装飾用のLEDや各種ランプ83、あるいは効果音を利用した演出の態様に差はなくとも、復電処理においては、確率変動状態にある場合には通知ランプ19の発光によって、その旨が通知される。よって、遊技場の従業員は、RAM73のデータをクリアするべきパチンコ機1を的確に識別でき、そのパチンコ機1についてクリアスイッチ30cを操作して効率的にRAM73のデータのクリアを実行することができる。このため、遊技場の営業開始時に、パチンコ機1が、前日の遊技結果によって遊技者に有利な遊技状態にセットされることを回避でき、遊技場側が不利益を被ることを回避できる上、遊技場の従業員(操作者)に、多大な労力を課すことなく、必要なパチンコ機1について、初期状態に設定するための作業を実行させることができる。
【0060】
尚、第1実施例においては、確率変動状態にあるパチンコ機1のRAM73のデータクリアは、バックアップされた電源断前の状態(確率変動状態)に復帰した後に実行されるように構成したが、電源断前の状態への復帰を非実行として、RAM73のデータクリアを実行するように構成しても良い。
【0061】
更に、通知ランプ19の発光を禁止する信号を入力する通知禁止スイッチを、第1実施例のパチンコ機1に設けても良い。これによれば、該通知禁止スイッチを操作することにより通知ランプ19の発光を禁止することができる。本実施例のパチンコ機1は、確率変動状態である場合と否である場合とにおいて、その演出を同じ態様で行い、遊技者に確率変動状態であることを識別し難くすることにより、その遊技の興趣を高めるものである。このため、遊技中(営業時間中)に停電が発生して復電処理が実行される場合に、通知ランプ19の発光状態によって遊技者に遊技状態が通知されることは好ましくない。
【0062】
通知禁止スイッチを設ければ、通知ランプ19の発光を禁止する信号を入力することができるので、営業時間中において、(復電処理が実行されても)確率変動状態の通知がなされることを回避できる。尚、この通知禁止スイッチは、主制御基板Cに発光を禁止する信号を入力するものであっても良く、主制御基板Cのメイン処理において、電源が投入された場合に、通知禁止スイッチからその信号入力が確認されると、確率変動状態であっても、特別通知フラグ73aをオフするものであっても良い。また、通知禁止スイッチは、表示用制御基板Dまたは音声ランプ制御基板Sに発光を禁止する信号を入力するものであっても良く、表示用制御基板Dにおいて特別通知コマンドを受信しても、該信号入力状態にあれば、通知ランプ19を非発光状態とするように構成しても良い。
【0063】
次に、図6から図9を使用して、第2実施例のパチンコ機1について説明する。第1実施例のパチンコ機1は、電源投入(復電)により、確率変動状態に復帰された場合には、通知ランプ19によってその旨が通知されるように構成した。これに代えて、第2実施例のパチンコ機1においては、チェックボタン90を設け、復電時によらず、チェックボタン90からの信号入力に応じて、確率変動状態か否かを通知できるように構成した。尚、第1実施例と同じ部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
図6は、パチンコ機1の斜視図であり、前面枠2が解放された状態を示している。図6においては、説明を簡単にするために、金枠3や普通入賞口9など、一部の部品の図示を省略している。前面枠2は、図1に示すように、正面視略矩形状に形成されており、遊技盤5の取着された内枠22を覆うように設けられている。この前面枠2は、その左側端縁部の上下2カ所に配設された開閉軸により内枠22に軸支されている。また、ガラス扉枠4には、遊技盤5を保護するための2枚のガラス板が装着されており、遊技盤5は、前面枠2(ガラス扉枠4)が閉じられると、かかるガラス板によって、遊技者に接触されないように保護されている。このガラス扉枠4と前面扉板(腰板)15とは、前面枠2と一体で開閉動作を行うように構成されており、図6に示すように、内枠22に対して前面枠2が開放されると、遊技盤5が露出する(接触し得る状態となる)ようになっている。
【0065】
遊技盤5の前面であって前面扉板(腰板)15の裏側の位置には、チェックボタン90が配設されている。このため、前面枠2が開放されると、このチェックボタン90が露出することとなる。操作者は、前面枠2を開放すれば、チェックボタン90を操作することができ、必要な遊技について初期状態へ設定する処理を実行することができる。
【0066】
ここで、営業終了後には、通常、遊技盤5の清掃作業が実行される。このため、遊技場側の従業員(操作者)によって、前面枠2が開放される。故に、清掃作業と並行して、このチェックボタン90を操作し、バックアップされる遊技状態の確認と、パチンコ機1の状態を初期状態にセットする作業(チェックボタン90の再押下)とを簡便に行うことができ、効率的に作業を行うことができる。更に、この前面枠2は、解錠により開放されるものであり、遊技者によって前面枠2の開放操作がなされることはない。よって、遊技者がチェックボタン90を操作して、遊技状態が出力されてしまうという事態を回避できる。
【0067】
図7は、第2実施例のパチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。図7に示すように、第2実施例のパチンコ機1は、第1実施例のパチンコ機1と同様に、主制御基板C、表示用制御基板D、払出制御基板H、音声ランプ制御基板S、発射制御基板Bなどを備え、また、各制御基板C,D,H,S,Bによって制御される各装置を備えている。尚、第2実施例においては、第1実施例の通知ランプ19は設けられていない。
【0068】
主制御基板Cには、第1実施例と同様に1チップの演算装置であるMPU71が備えられており、このMPU71には、ROM72と、RAM73とが備えられている。図8及び図9に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部として、ROM72内に記憶されている。
【0069】
RAM73は、第1実施例と同じくバックアップエリア73bを備えると共に、特別通知フラグ73aに代えて、チェックボタンフラグ73cを備えている。チェックボタンフラグ73cは、チェックボタン90がオンされたことを示すフラグである。このチェックボタンフラグ73cは、チェックボタン90の押下(オン)によりオンされ、パチンコ機1の電源が断されることによりオフされる。
【0070】
第2実施例のパチンコ機1においては、このチェックボタンフラグ73cがオンされた状態で、チェックボタン90がオンされると、チェックボタン90の再入力であることが認識され、RAM73のバックアップキーワードが破壊されるようになっている。
【0071】
チェックボタン90は、RAM73に記憶される遊技状態を表示用制御基板Dに出力するためのボタンであり、押下されるとオンを入力する(オンされる)ものである。このチェックボタン90がオンされると、RAM73に記憶される遊技状態(確率変動状態であるか否かを示すデータ)が、状態通知コマンドと共に表示用制御基板Dに出力される。状態通知コマンドは、出力データがRAM73に記憶される遊技状態であることを示すコマンドであり、表示用制御基板Dでは、状態通知コマンドを受信すると、その状態通知コマンドに付加されたデータをLCD10に表示する。このLCD10に表示されるデータにより、操作者は、パチンコ機1の状態が確率変動状態であるか否かを判別することができる。
【0072】
ここで、チェックボタン90の再入力は、RAM73のデータクリアの指示としてパチンコ機1に認識され、RAM73のバックアップキーワードが破壊される。これにより、パチンコ機1のメイン処理において、パチンコ機1の状態は、初期状態に設定される(図8及び図9参照)。
【0073】
次に、図8および図9を使用して、第2実施例のパチンコ機1で実行される各処理について説明する。図8は、第2実施例のパチンコ機1で実行されるメイン処理のフローチャートである。このメイン処理では、電源が投入されると、第1実施例のパチンコ機1のメイン処理と同様に、S11〜S19の処理または、S11〜S14及びS20〜S22の処理を実行して、パチンコ機1の状態を、電源断前の状態または初期状態(RAM73のデータがクリアされた状態)にセットする。S19の処理の後は、NMI割込リターンを実行して処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。尚、第2実施例においては、特別通知フラグ73aを設けていないので、第1実施例のメイン処理におけるS17とS18との処理は省略される。
【0074】
そして、割込の許可後(S19またはS22の処理の実行後)は、S23からS30の各処理(始動入賞処理(S23)、変動開始処理(S24)、変動停止処理(S25)、カウンタ更新処理(S26)、大当たり処理(S27)、特別通知処理(S41)、外れ図柄カウンタ更新処理(S29)、時間経過の確認(S30))を所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。
【0075】
図9は、第2実施例の特別通知処理(S41)のフローチャートである。第2実施例の特別通知処理(S41)は、チェックボタン90からの信号に基づいて実行され、RAM73に記憶される遊技状態を示すデータの表示用制御基板Dへの出力と、RAM73のデータのクリアの指示とを実行する処理である。この特別通知処理(S41)では、まず、チェックボタン90がオンされているか否かを確認する(S42)。ここで、チェックボタン90がオンされていなければ(S42:No)、この特別通知処理(S41)を終了する。
【0076】
一方、S42の処理で確認した結果、チェックボタン90がオンされていれば(S42:Yes)、チェックボタンフラグ73cがオンされているか否かを確認する(S43)。ここで、チェックボタンフラグ73cがオンされていなければ(S43:No)、チェックボタン90の初回の入力であり、RAM73に記憶される遊技状態(確率変動状態か否か)を示すデータの出力要求である。よって、状態通知コマンドに、RAM73に記憶される遊技状態を示すデータを付加し、送信バッファに書込む(S44)。その後、チェックボタンフラグ73cをオンして(S45)、この特別通知処理(S41)を終了する。
【0077】
送信バッファに書込まれたデータは、タイマ割込処理によって、所定のタイミングで表示用制御基板Dに送信される。表示用制御基板Dに送信されたデータは、LCD10に表示される。これにより、遊技場の従業員(操作者)に、パチンコ機1の状態(バックアップされるパチンコ機1の状態)が、確率変動状態であるか否かの知見を与えることができる。操作者は、パチンコ機1の状態を確率変動状態でバックアップしたくない場合には、再度チェックボタン90をオン(押下)する。これにより、再度、S42の処理が実行されることとなる。
【0078】
そして、S43の処理で確認した結果、チェックボタンフラグ73cがオンされていれば(S43:Yes)、チェックボタン90の再入力であることが認識され、RAM73に記憶されるバックアップキーワードを破壊し(S46)、その処理を図8のメイン処理の「A」へジャンプする。
【0079】
つまり、チェックボタン90が再入力された場合には、バックアップキーワードが破壊された状態で、メイン処理のS11へその処理を移行し、メイン処理のS11〜S14及びS14〜S22の処理を、復電に依らず、通電状態のまま実行する。これにより、バックアップが無効と判断され、RAMクリア及び初期化処理(S20)が実行される。このため、確率変動状態は解消され、その後、電源を断すれば、復電時には、パチンコ機1の状態は初期状態にセットされることとなる。尚、この電源断により、チェックボタンフラグ73cは、オフされる。
【0080】
このように、第2実施例のパチンコ機1によれば、(復電処理の実行に依らず)通電状態のまま、パチンコ機1の状態が確率変動状態か否かを操作者に通知できる。また、通電状態のまま(一旦電源を断すること無く)、次の復電時に初期状態でパチンコ機1の状態をセットすることを指示できる(初期状態にセットするための操作を操作者に実行させることができる)。
【0081】
よって、操作者は、営業開始前の慌ただしい時間帯に実行される復電処理において、確率変動状態の解除操作を実行せずとも、例えば閉店時など、比較的ゆとりのある時間帯に、かかる操作を行うことができる。復電処理においてLCD10を動作状態とするためには、表示用制御基板Dを初期状態に設定しなくてはならない。このため、パチンコ機1の状態を初期状態にセットするための作業時間が長くなってしまうが、第2実施例のパチンコ機1においては、通電状態のまま主制御基板Cにおいてパチンコ機1の状態を初期状態にセットするための処理を実行できるので、効率的にかかる処理を実行できる。
【0082】
尚、第2実施例では、パチンコ機1にバックアップされる状態が確率変動状態であるか否かを操作者に判断させるために、バックアップされるデータをLCD10に出力するようにパチンコ機1を構成した。これに代えて、確率変動状態がバックアップされている場合には、第1実施例と同様に通知ランプ19によってその情報を出力するように構成しても良い。更に、パチンコ機1のメイン処理は、所定時間毎に繰り返して実行されるが、初回のチェックボタン90の押下、即ち、1の信号入力操作により入力された信号が、複数回の信号入力と認識されないように、特別通知処理のS42の処理の実行後は、メイン処理の動作タイミングを調整するべく、処理の進行をウエイトするように構成してもよい。
【0083】
次に、図10と図11とを参照して、第3実施例のパチンコ機1について説明する。第1実施例のパチンコ機1においては、確率変動状態にあることを操作者に通知し、操作者が実行する操作(クリアスイッチ30cが押下された状態で電源を投入する)に基づいて、確率変動状態が解除されるように構成された。これに代えて、第3実施例のパチンコ機1は、予め定められた時刻範囲を記憶しており、操作者の操作に依らず、復電時の時刻がその時刻範囲の範囲外であると確率変動状態を解除し、一方、復電時の時刻がその時刻範囲内であると、バックアップされた状態に復帰させるように構成されている。尚、上記した第1実施例と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
図10は、第3実施例のパチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。図10に示すように、第3実施例のパチンコ機1は、第1実施例のパチンコ機1と同様に、主制御基板C、表示用制御基板D、払出制御基板H、音声ランプ制御基板S、発射制御基板Bなどを備え、また、各制御基板C,D,H,S,Bによって制御される各装置を備えている。この第3実施例のパチンコ機1においては、第1実施例に設けられた通知ランプ19を不要としている。
【0085】
主制御基板Cには、第1実施例と同様に1チップの演算装置であるMPU71が備えられており、このMPU71には、時刻テーブルメモリ72aを備えたROM72と、RAM73と、RTC95とが備えられている。図11に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM72内に記憶されている。
【0086】
ROM72に設けられた時刻テーブルメモリ72aは、予め定められた時刻範囲を記憶しておくためのものである。ここで、予め定められた時刻範囲は、遊技場の営業時間に対応して定められている。これにより、復電時にその時刻を判断することによって、営業時間中と、営業時間外とで、異なる処理を実行させることができるのである。具体的には、後述するように、営業時間外においては、復電時のパチンコ機1の状態が、確率変動状態であれば、RAMクリア及び初期化処理(S20)が実行され、一方、営業時間中であれば、復電時の確率変動状態を解除せず、バックアップされた状態への復帰が実行される。
【0087】
RAM73には、第1実施例と同様のバックアップエリア73bが設けられている。この第3実施例のパチンコ機1においては、復電時の時刻に応じて、RAM73のデータクリアが決定されるので、操作者に確率変動状態であることは通知されない。このため特別通知フラグ73aは設けられない。
【0088】
RTC95は、リアルタイムクロックと称される時間を計測するための集積回路(IC)であり、バスライン76に接続されている。このRTC95には、パチンコ機1の電源を断した場合のバックアップ用の電圧を供給するバッテリー回路95aが接続されている。RTC95は、このバッテリー回路95aにより、パチンコ機1の電源を断した後でも、計時を継続することができる。
【0089】
図11は、第3実施例のパチンコ機1において実行されるメイン処理のフローチャートである。図11に示すように、このメイン処理では、電源が投入されると、第1実施例のパチンコ機1のメイン処理と同様に、S11〜S14の処理を実行して、パチンコ機1の状態を、電源断前の状態にセットするか、または初期状態(RAM73のデータがクリアされた状態)にセットするかを決定する。
【0090】
S14の処理でバックアップが有効であると(S14:Yes)、RTC95の示す時刻が時刻テーブルメモリ72aに記憶される時刻範囲の範囲外であるか否かを確認する(S51)。その結果、RTC95の示す時刻が、上記の時刻範囲の範囲内であれば(S51:No)、営業時間中の復電処理であるため、パチンコ機1の状態を電源断前の状態に復帰させる必要がある。よって、バックアップエリア73bに記憶されるデータに基づいて、パチンコ機1の状態を電源断前の状態に戻す処理を実行する(S15,S16)。そして、割込を元の状態に戻し(S19)、NMI割込リターンを実行して処理を電源断前に実行していたところへ戻し、制御を電源断前の状態から続行する。
【0091】
一方、S51の処理で確認した結果、RTC95の示す時刻が、上記の時刻範囲の範囲外であれば(S51:Yes)、営業開始時(または営業終了後)の復電処理である。よって、バックアップされた確率変動状態をクリアする必要があるので、その処理をS20の処理に移行する。これにより、RAMクリア及び初期化処理(S20)が実行され、バックアップされた確率変動状態はクリアされる。
【0092】
割込の許可後(S19またはS22の処理の後)は、S23からS30の各処理(始動入賞処理(S23)、変動開始処理(S24)、変動停止処理(S25)、カウンタ更新処理(S26)、大当たり処理(S27)、外れ図柄カウンタ更新処理(S29)、時間経過の確認(S30))を所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。
【0093】
尚、復電時に確認されるバックアップデータは、第1実施例と同様に実行される停電時処理(NMI割込処理)によって、電源断時にバックアップエリア73bに書込まれるようになっている。また、第1実施例で実行された特別通知処理(S28)は、第3実施例においては省略される。
【0094】
このように、第3実施例のパチンコ機1においては、操作者は、確率変動状態をいちいち確認する必要がなく、また、その確認結果に応じて、RAM73のデータクリアを実行ための操作を行う必要がないので、確率変動状態のパチンコ機1を初期化するための煩雑な操作から開放される。また、営業開始時のパチンコ機1の状態が、確率変動状態にセットされることを確実に回避できる。
【0095】
尚、第3実施例においては、時刻範囲は、ROM72に記憶されるように構成したが、これに代えて、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性のメモリに記憶されるように構成しても良い。これによれば、時刻範囲を入力によって任意の範囲に変更し得るので、遊技場の営業形態に応じた時刻範囲を設定できる。
【0096】
また、第3実施例においては、復電時の時刻によって、一意的に、RAM73のデータクリアを実行するように構成したが、これに代えて、例えば、操作者により操作されるボタンやスイッチを設け、かかるボタンやスイッチが所定の状態(所定の信号の入力状態)にある場合には、RAM73のデータクリアを非実行とし、電源断前の状態に復帰するように構成しても良い。これによれば、例えば、遊技場側は、確率変動状態にセットされたパチンコ機1を、遊技者へのサービスとして、営業開始時に用意することができる。
【0097】
尚、上記各実施例において、請求項1記載の状態復帰手段としては、図4、図8、図11のフローチャートのS15及びS16の処理が該当する。また、請求項1記載の判別手段としては、図4のフローチャートのS17の処理が該当する。請求項1記載の第1通知手段としては、図5のフローチャートのS32の処理と、かかるS32の処理により送信される特別通知コマンドに基づいて、表示用制御基板Dで実行される音声ランプ制御基板Sへの通知ランプ19の発光を指示するコマンドの送信処理と、音声ランプ制御基板Sにおける通知ランプ19の発光させるための処理とが該当する。
【0098】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0099】
例えば、上記各実施例では、確率変動状態がバックアップされている場合に、その確率変動状態を解除するように構成されたが、これに代えて、確率変動状態以外の遊技者に有利な状態についても、その状態がバックアップされている場合には、これを解除するように構成しても良い。ここで、遊技者に有利な状態とは、例えば、時間短縮モードで遊技が実行される状態や大当たり状態などである。
【0100】
また、上記第1及び第2実施例においては、視覚的な情報により、確率変動状態であることが示された。これに変えて、スピーカ82から音声データを出力することにより、確率変動状態であることを通知するように構成しても良い。また、第1及び第2実施例においては、確率変動状態を、パチンコ機1の前面側に設けられた通知ランプ19やLCD10によって通知するように構成したが、遊技盤5の裏面側に確率変動状態を通知するためのランプやLEDを設けても良い。
【0101】
通常、遊技場においては、パチンコ機1の電源は、全パチンコ機または設置されたブロック(島)単位でオンとオフとがなされるが、パチンコ機1の電源を各パチンコ機1毎に投入できるように、遊技盤5の裏面には、電源スイッチが設けられていることも多い。このため、各パチンコ機1毎に個別に電源を投入する場合には、かかる操作は遊技盤5の裏面においてなされるので、遊技盤5の裏面側に、確率変動状態を通知する手段が設けられることにより、効率的に、初期状態に設定する作業を行うことができる。更に、かかる場合には、遊技機の状態を初期状態に設定する操作で操作者に操作されるボタン(クリアスイッチ30cやチェックボタン90など)を、遊技盤5の裏面側に設けることにより、一層、作業効率を向上させ得る。
【0102】
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当り図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0103】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0104】
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当り図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0105】
以下に変形例を示す。
【0106】
請求項1記載の遊技機において、予め定めた初期状態への設定を指示する指示信号を操作者による操作に応じて入力する指示信号入力手段と、その指示信号入力手段による指示信号が入力されると、前記状態復帰手段により復帰される電源断前の状態に代えて、遊技機の状態を予め定めた初期状態に設定する第1初期化手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。
【0107】
電源断が、遊技中に発生した場合には、遊技者側の利益を保証するべく、電源断前の状態(遊技者に有利な遊技状態)に復帰させることが必要となる。一方、営業開始時の復電処理においては、状態復帰手段による電源断前の状態への復帰により遊技者に有利な遊技状態に遊技機を復帰させると遊技場側の不利益となり、好ましくない。言い換えれば、判別手段により、電源断前の状態が遊技者に有利な遊技状態であると判別された場合であっても、遊技機の状態を一様に初期状態へ設定してしまう、または、電源断前の状態に設定してしまうと不都合が生じる。
【0108】
遊技機1においては、操作者は、第1通知手段により通知される情報(遊技者に有利な遊技状態にあること)に基づいて、必要な場合に、指示信号を入力することができる。つまり、操作者の意向(遊技場側の意向)に沿って第1初期化手段が動作され、遊技機1の状態を初期状態に設定することができる。逆に言えば、指示信号が入力されなければ、第1初期化手段による初期状態の設定を非指示とし、バックアップ記憶手段に記憶されるデータに基づいて、遊技機の状態を電源断前の状態に戻すことができる。このため、電源断前の状態が遊技者に有利な遊技状態である場合には、該遊技機の状態を、必要に応じて初期状態に設定することができ、また、電源断前の状態(遊技者に有利な遊技状態)に復帰させることもできる。故に、遊技場側にも遊技者側にも不利益を与えることがない。
【0109】
請求項1記載の遊技機または遊技機1において、前記第1通知手段による情報通知を非通知とするための通知禁止信号を操作者の操作に応じて入力する禁止信号入力手段と、その禁止信号入力手段により通知禁止信号が入力されると前記第1通知手段による情報通知を非通知とする非通知手段とを備えていることを特徴とする遊技機2。
【0110】
遊技者に有利な遊技状態における演出とその有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する遊技機は、遊技者に遊技状態が認識され難いため、遊技者は不利な遊技状態であることを知り得ない。よって、常に、遊技者に期待感を抱かせることができ、その遊技に対する遊技者の興趣を高めることのできるものである。一方、停電などの理由により、遊技中に電源断が発生することがある。かかる場合の復電処理の実行時に、第1通知手段によって、遊技者に遊技状態が露呈してしまうと、遊技者の興趣を低下させてしまいかねない。
【0111】
しかし、遊技機2においては、禁止信号入力手段により通知禁止信号が入力されると第1通知手段による情報通知を非通知とすることができる。よって、第1通知手段による情報通知が好ましくない場合には、その情報通知を非通知とすることができる。故に、遊技の実行される期間などにおいては、第1通知手段による情報通知を非通知として、遊技状態が遊技者に通知されることを回避できる。
【0112】
尚、禁止信号入力手段は、例えば、操作者が解除操作を行わなければ、継続して通知禁止信号が入力されるような復帰型のスイッチやボタンなどで構成されることが望ましい。或いは、禁止信号入力手段から通知禁止信号が入力されるとオンされ、通知禁止を解除する操作が操作者によってなされるとオフされるフラグを設け、該フラグがオンされている間は、継続して第1通知手段による情報通知が禁止された状態となるように構成されることが望ましい。これによれば、営業開始時の復電処理において遊技機の遊技状態を判別し、必要に応じて初期状態へ設定した後、禁止信号入力手段を操作すれば、営業時間中においては、継続して第1通知手段による情報通知を非通知とすることができる。
【0113】
請求項1記載の遊技機または遊技機1若しくは2において、前記第1通知手段は、遊技機の前面に配設される発光体を備えており、前記判別手段により遊技者に有利な遊技状態であると判別された場合と否である場合とにより、その発光体の発光状態を異なる態様とするものであることを特徴とする遊技機3。よって、電源断前の状態が、遊技者に有利な遊技状態であると判別されたことを操作者に的確に通知することができ、また、操作者は、初期状態に設定することが必要な遊技機であるか否かを簡便に識別することができる。
【0114】
例えば、複数の遊技機の電源を1のスイッチで投入できるように構成した場合、電源の投入された各遊技機の前面を一瞥するだけで、その遊技機の状態を判別できる。よって、遊技者に有利な遊技状態であることを通知するための発光体を、遊技機の内部や裏面側に設ける場合に比べて、操作者に、迅速に、遊技機の状態を判別させ、初期状態に設定するべき遊技機を選定させることができる。
【0115】
尚、かかる発光体としては、LEDやランプなどが例示され、また、かかる発光体として、遊技機の演出用に予め設けられた発光体を使用しも良く、演出用の発光体とは別で設けられたものを使用しても良い。また、発光状態の異なる態様とは、発光と非発光とが行われる状態のみならず、発光体の色、発光回数、発光間隔、発光面積のいずれかが異なる状態などが例示される。
【0116】
請求項1記載の遊技機または遊技機1から3のいずれかにおいて、前記第1通知手段は、音声出力を行う音声出力手段を備えており、前記判別手段により遊技者に有利な遊技状態であると判別されると、その音声出力手段に音声データを出力させることによって、遊技者に有利な遊技状態であることを通知するものであることを特徴とする遊技機4。よって、操作者に、音声データにより、初期状態への設定が必要な遊技機か否か(遊技者に有利な遊技状態であると判別されたこと)を的確に通知することができ、操作者が、視覚的に情報を認知しがたい状態にあっても、支障なく、判別手段による判別結果を通知することができる。
【0117】
例えば、遊技機に個別に電源を投入する手段は、遊技盤の裏面(遊技機の内部)などに設けられることが多い。このため、遊技機毎に電源を投入する場合には、操作者は、遊技盤の裏面側で作業することが多い。かかる場合に、第1通知手段が、遊技機の前面に設けられた発光体のみであると、操作者は遊技盤の裏面側において、電源投入を行った後、遊技機の前面側へ回って、その遊技機の状態が遊技者に有利な遊技状態であるか否かを確認しなくてはならない。しかし、遊技機4においては、音声データで、遊技者に有利な遊技状態であると判別されことを通知することができるので、遊技機の状態を初期状態に設定する一連の処理を、操作者に効率的に実行させることができる。
【0118】
尚、第1通知手段は、遊技者に有利な遊技状態である場合に、音声データ出力手段に音声データを出力させることにより、遊技者に有利な遊技状態であることを通知するものであっても良い。また、遊技者に有利な遊技状態にない場合に、音声データ出力手段に音声データを出力させ、遊技者に有利な遊技状態である場合には無音声の音声データ出力とすることにより、遊技者に有利な遊技状態にあることを通知するものであっても良い。また、有利な状態にある場合にも否である場合にも、それぞれその旨を示す音声データを音声データ出力手段に出力させるものであっても良い。
【0119】
特定領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段により遊技球の入球が検出されると、遊技者に有利な遊技状態へ遷移させるか否かを抽選するとともに、その抽選結果に基づいた制御を行う主制御手段とを備え、前記遊技者に有利な遊技状態における演出とその遊技者に有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する遊技機において、遊技状態を示す前記主制御手段のデータを電源断後も保持するバックアップ記憶手段と、そのバックアップ記憶手段に記憶されるデータの出力を要求する出力要求信号を、操作者の操作により入力する出力要求入力手段と、その出力要求入力手段により出力要求信号が入力されると、遊技状態を示す前記主制御手段のデータを出力する出力手段とを備えていることを特徴とする遊技機5。
【0120】
一般には、遊技機において、電源が断された場合には、その状態を記憶(バックアップ)し、電源入時の復電処理において、遊技機の状態をバックアップされた状態へ復帰させることが行われている。遊技者に不利益をもたらせないためである。かかる処理は、営業終了に伴う電源断と、翌日の営業開始時の復電処理においても同様に実行される。
【0121】
ところが、営業開始時の復電処理において、バックアップされた状態へと遊技機を復帰させた場合、遊技者に有利な遊技状態に復帰することがある。かかる場合には、新たに来場した遊技者が、自己の遊技結果でなく、前日の他人の遊技結果によって導出された有利な遊技状態を享受することになり、不公平が生じてしまう。また、遊技場側は、有利な遊技状態を供与する必要のない遊技者にこれを供与することとなり、不利益を被ることとなる。この不利益を回避するためには、遊技者に有利な遊技状態がバックアップされた遊技機を、予め定めた初期状態に設定すればよい。
【0122】
しかし、遊技者に有利な遊技状態における演出とその有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する遊技機では、遊技者に有利な遊技状態における演出と通常の遊技状態における演出とに差がないので、(復電処理において)遊技場側の従業員(操作者)が、該遊技機の状態が遊技者に有利な状態であるか否かを識別できない。このため、初期状態に設定する一連の処理を的確に行うことができず、遊技者に有利な遊技状態にセットされたままとなり、遊技場側に不利益を与えてしまう。また、かかる不利益を回避しようとすれば、初期状態への設定が不要な遊技機をも含め、全遊技機について、初期状態に設定する一連の処理を行わねばならず、操作者に多大な労力が要求される。
【0123】
遊技機5においては、バックアップ記憶手段に記憶されるデータは、操作者の操作により出力要求信号が入力されると出力される。故に、遊技場の従業員(操作者)は、出力されるデータに基づいて、復電処理を行った場合の遊技機の状態が、遊技者に有利な遊技状態となるか否かを、電源断前(復電前)に知ることができる。このため、操作者に、かかる情報に基づいて、復電されると遊技者に有利な遊技状態となる遊技機が、(復電により)有利な状態にセットされることを回避する処理や操作を実行させ得る。
【0124】
更に、遊技者に有利な遊技状態における演出とその有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する遊技機は、遊技者に遊技状態が認識され難いため、遊技者は不利な遊技状態であることを知り得ない。よって、常に、遊技者に期待感を抱かせることができ、その遊技に対する遊技者の興趣を高めることのできるものである。
【0125】
遊技機5においては、操作者によって入力される出力要求信号に基づいて、バックアップ記憶手段に記憶されるデータが出力されることとなるので、不用意な遊技状態の通知により遊技者の興趣が低下されてしまうことを、回避できる。
【0126】
また、遊技機5においては、出力要求信号の入力によって初期状態に設定する、即ち、通電状態のまま、これらの一連の処理を実行できる。故に、操作者は、復電時でなく、電源断前に、いずれの遊技機が遊技者に有利な遊技状態にあるかを判別して初期状態を設定する遊技機を選定し、選定された遊技機を初期状態に設定するために、書込信号入力手段の入力操作を行うことができる。遊技機の電源は、営業時間の終了後の任意の時間で断することができるので、復電処理の実行時に遊技機の状態を初期状態に設定する諸操作を行う場合に比べて、操作者は、余裕をもって、その一連の処理を実行することができる。更に、一旦、電源を断してしまうと、主制御手段のみならず、遊技機の各部(表示装置などの各装置や、これらの各装置を制御する制御手段)が電気的に使用できる状態に復帰するまで、所望の処理を実行することはできない。しかし、通電状態のまま、初期状態に設定する一連の処理を実行することにより、復電処理時よりも効率的にこれを行うことができる。
【0127】
尚、出力手段は、バックアップ記憶手段に記憶されるデータの全てを出力するものであっても、その一部(遊技者に有利な遊技状態か否か)を出力するものであっても良い。また、LCDなどの表示装置に出力することにより、操作者に全データを閲覧させて、遊技機の状態を判別させるものであってもよい。更に、ランプやスピーカなどに、バックアップされる遊技機の状態が遊技者に有利な遊技状態か否かを示すデータを出力し、その状態を通知するものであっても良い。
【0128】
更に、出力手段は、バックアップ記憶手段に書き込まれた(記憶されている)データを出力するもののみならず、書き込みが予定される(記憶される予定の)データを出力するものも含む。
【0129】
遊技機5において、遊技領域の形成される遊技盤を支持する支持部材と、その支持部材に取着されると共に前記遊技盤の前面に開閉可能に覆設された覆設部材とを備え、前記出力要求入力手段は、その覆設部材より前記遊技盤側に配設されていることを特徴とする遊技機6。
【0130】
一般に、遊技盤の前面には、遊技盤を保護する保護部材や、遊技者に操作されるべき各装置の取着される取着部材などの覆設部材が覆設されている。かかる覆設部材は、遊技機の点検や調整、或いは清掃を行うことができるように、遊技盤(支持部材)に対して開閉可能に構成されている。
【0131】
この覆設部材が閉じた状態にあると、覆設部材よりも遊技者に対して奥方になる遊技盤側は、遊技者から隔絶された状態となる。故に、覆設部材より遊技盤側に配設された出力要求入力手段を、遊技者が操作することは困難となる。通常の遊技中には、覆設部材は閉じた状態とされるので、出力要求入力手段が遊技者により操作され、遊技者に遊技状態が通知されてしまうといった事態を回避できる。尚、覆設部材より遊技盤側とは、覆設部材の裏面、遊技盤の前面、遊技盤の裏面などや、その周縁(覆設部材の前面を除く)の空間などが例示される。
【0132】
遊技機5または6において、前記バックアップ記憶手段に記憶されるデータが異常であるか否かを判断する判断手段と、その判断手段に異常と判断されるデータの前記バックアップ記憶手段への書込を指示する書込指示信号を、操作者による操作に応じて入力する書込信号入力手段と、その書込信号入力手段により書込指示信号が入力されると、前記異常と判断されるデータを前記バックアップ記憶手段へ書込む異常書込実行手段と、その異常書込実行手段により書込まれたデータが前記判断手段により異常と判断されると、前記遊技機の状態を予め定めた初期状態に設定する第2初期化手段とを備えていることを特徴とする遊技機7。
【0133】
バックアップ記憶手段に記憶されるデータが、遊技者に有利な遊技状態を形成する有利データであると操作者に認識されると、操作者は、書込信号入力手段を操作して書込指示信号を入力することができる。そして、書込信号入力手段により書込指示信号が入力されると、異常書込実行手段によって、異常と判断されるデータがバックアップ記憶手段に書込まれる。バックアップ記憶手段に記憶されるデータが、異常と判断されると、第2初期化手段により、遊技機の状態は初期状態に設定される。
【0134】
つまり、遊技機7においては、遊技者に有利な遊技状態がバックアップされる場合には、操作者の意向(遊技場側の意向)に沿って、第2初期化手段が動作され、遊技機の状態を初期状態に設定することができる。よって、営業開始時において、遊技機を遊技者に有利な状態にセットすることを回避でき、遊技場側の不利益を回避できる。更に、書込信号入力手段による書込指示信号の入力操作は、操作者によって実行されるものであるので、遊技中に発生した停電からの復電処理においては、書込指示信号の入力を非実行とでき、遊技者側の利益についても正当に確保することができる。
【0135】
遊技機7において、前記出力要求入力手段と前記書込信号入力手段とは、前記遊技盤の前面または裏面のいずれか一方の同じ面側に、配設されていることを特徴とする遊技機8。
【0136】
遊技機の状態を初期状態に設定する場合には、操作者は、まず、出力要求入力手段の入力操作を実行して、出力手段にデータを出力させ、バックアップ記憶手段に記憶される(書込まれる)データが、遊技者に有利な遊技状態を形成する有利データであるか否かの情報を取得する。ここで、出力手段に出力される情報により、有利データがバックアップされることがわかると、操作者は、引き続いて、遊技機の状態を初期状態に設定するべく、書込信号入力手段を操作して、異常書込実行手段に書込を実行させる。よって、信号入力手段と、前記書込信号入力手段とを、遊技盤の同じ面に設けておけば、操作者の作業効率を向上させることができる。
【0137】
また、一般に、遊技機は、遊技盤の前面を覆設する覆設部材を備えており、この覆設部材が開放された場合に遊技盤の前面が露出する(接触し得る状態となる)ように構成されている。営業終了時には、通常、覆設部材を開放して遊技盤の清掃作業が実行される。よって、遊技盤の前面に、出力要求入力手段と書込信号入力手段とを設けておけば、営業終了時の遊技機の清掃作業などと並行して、より効率的に、遊技機の状態を初期状態に設定する処理を実行することができる。
【0138】
一方、遊技盤の裏面に、出力要求入力手段と、書込信号入力手段とを設けておけば、かかる両入力手段が、遊技中の遊技者に操作されることを困難とし、高いセキュリティを保持することができる。尚、出力要求入力手段と書込信号入力手段とは、必ずしも、別体で設ける必要はなく、例えば、1のスイッチに、出力要求入力手段と書込信号入力手段との両者の機能を持たせるように構成しても良い。具体的には、初回の信号入力を出力要求入力手段からの信号入力として認識し、更に、該スイッチから信号が再入力されると書込信号入力手段からの信号入力として認識することによって、1のスイッチに、出力要求入力手段と書込信号入力手段との両者の機能を持たせることを実現できる。
【0139】
遊技機5から8のいずれかにおいて、前記出力手段は、遊技機の前面に設けられる発光体を備えており、その発光体にデータを出力するものであって、出力するデータが遊技者に有利な遊技状態を形成する有利データである場合と否である場合とで、その発光体の発光状態を異なる態様とするものであることを特徴とする遊技機9。よって、操作者に、遊技機を一瞥させるだけで、有利データの記憶される遊技機、即ち、初期状態に設定する必要のある遊技機を簡便に識別させることができる。
【0140】
尚、かかる発光体としては、LEDやランプなどが例示され、また、かかる発光体として、遊技機の演出用に予め設けられた発光体を使用しも良く、演出用の発光体とは別で設けられたものを使用しても良い。また、発光状態の異なる態様とは、発光と非発光とが行われる状態のみならず、発光体の色、発光回数、発光間隔、発光面積が異なる状態などが例示される。
【0141】
遊技機5から9のいずれかにおいて、前記出力手段は、音声出力を行う音声出力手段を備えており、その音声出力手段によりデータを出力するものであって、遊技者に有利な遊技状態を形成する有利データである場合と否である場合とにおいて異なる音声データを出力するものであることを特徴とする遊技機10。よって、操作者に、音声データにより、初期状態への設定が必要な遊技機か否か(遊技者に有利な遊技状態がバックアップされる遊技機であるか否か)を的確に通知することができ、操作者が、視覚的に情報を認知しがたい状態にあっても、支障なく、遊技機の(バックアップされる)遊技状態を通知することができる。
【0142】
例えば、遊技機に個別に電源を投入する手段は、遊技盤の裏面(遊技機の内部)などに設けられることが多い。このため、各遊技機毎に電源を投入するためには、操作者は、遊技盤の裏面側で作業することが多い。かかる場合に、遊技機の前面に設けられた出力装置から出力されるデータにより、遊技者に有利な遊技状態か否かが通知されるように構成されていると、操作者は遊技盤の裏面側において、電源投入を行った後、その反対側となる遊技機の前面側へ回って、その遊技機の状態が遊技者に有利な遊技状態であるか否かを確認しなくてはならない。しかし、遊技機10においては、音声データにより、バックアップ記憶手段に記憶されるデータが有利データであるか否かが出力されるので、操作者が視覚的に情報を認知しがたい状態にあっても、操作者に、支障なく、遊技機の状態を初期状態に設定するための一連の処理を実行させることができる。
【0143】
特定領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段により遊技球の入球が検出されると、遊技者に有利な遊技状態へ遷移させるか否かを抽選するとともに、その抽選結果に基づいた制御を行う主制御手段とを備え、前記遊技者に有利な遊技状態における演出とその遊技者に有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する遊技機において、前記主制御手段のデータを電源断後も保持するバックアップ記憶手段と、電源入時の復電処理において、そのバックアップ記憶手段に記憶されるデータに基づいて電源断前の状態に復帰させる状態復帰手段と、前記復電処理において時刻データを取得する時刻取得手段と、その時刻取得手段により取得される時刻データが、予め定められた時刻範囲の範囲外にあるか否かを判断する時刻判断手段と、その時刻判断手段により、時刻データが前記時刻範囲の範囲外であると判断されると、前記状態復帰手段による動作を禁止して、遊技機の状態を予め定めた初期状態に設定することを指示する第3初期化手段を備えていることを特徴とする遊技機11。
【0144】
復電処理において時刻取得手段により時刻データが取得されると、予め定められた時刻範囲の範囲外にあるか否かが時刻判断手段により判断され、該時刻データが前記時刻範囲の範囲外であると判断されると、第3初期化手段により、遊技機の状態は、予め定めた初期状態に設定される。よって、復電処理の実行時刻に応じて、(復電後の状態を)初期状態に設定するか否かを指示できる。ここで、この時刻範囲を遊技場の営業時間に対応付けておけば、営業時間外の復電処理においては、遊技機の状態を初期状態にセットでき、また、営業時間内の復電処理においては、電源断前の状態にセットすることができる。つまり、前日の営業終了時の電源断によりバックアップ記憶手段に保持されたデータが、遊技者に有利な遊技状態を形成する有利データであっても、翌日の営業に伴い復電処理(営業開始前に実行される復電処理)が行われると、遊技機の状態は、初期状態にセットされる。
【0145】
つまり、遊技場側の従業員(操作者)が、わざわざ、遊技機の状態が遊技者に有利な状態であるか否かを識別し、また、その状態を初期状態に設定する操作を行う必要がない。よって、遊技者に有利な遊技状態における演出とその有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する遊技機であっても、遊技場側が不利益を被ることがない上、初期化処理を実行するために、操作者に過大な労力が要求されることがない。
【0146】
遊技機11において、前記状態復帰手段の動作を指示する動作指示信号を操作者による操作に応じて入力する動作指示信号入力手段と、その動作指示信号入力手段から復帰指示信号が入力されると、第3初期化手段の動作を非実行とし、取得された時刻データが前記予め定められた時刻範囲の範囲外であっても、前記状態復帰手段を動作させる優先復帰手段とを備えていることを特徴とする遊技機12。遊技場側の営業時間は、常に同じとは限らず、また、遊技場側は、特別なサービスとして、遊技者に有利な遊技状態のまま、営業を開始したい場合がある。遊技機12においては、予め定められた時刻範囲外であっても、動作指示信号が入力されると、優先復帰手段により、予め設定された時刻範囲にかかわらず、バックアップされたデータに基づいた状態への復帰を行うことができるので、遊技場側の実情に応じた制御を行うことができる。
【0147】
遊技機11または12において、時刻範囲を入力する入力手段と、その入力手段により入力された時刻範囲を予め定められた時刻範囲として記憶する時刻範囲記憶手段と、前記入力手段により新たに時刻範囲が入力されると、その時刻範囲記憶手段に記憶される時刻範囲を、入力された時刻範囲に更新する時刻範囲更新手段とを備えていることを特徴とする遊技機13。遊技場側の営業時間は、常に同じとは限らず、また、遊技場側は、特別なサービスとして、遊技者に有利な遊技状態のまま、営業を開始したい場合がある。遊技機13においては、予め定められた時刻範囲を入力により設定することができるので、遊技場側の実情に応じた制御を行うことができる。
【0148】
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機14。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域へ発射し、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の出力時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれる情報等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0149】
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機15。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を出力させる特別遊技状態出力手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用すると共に、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の出力に際しては多くの遊技球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【0150】
遊技機1から13のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機16。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を出力させる特別遊技状態出力手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【符号の説明】
【0151】
1 パチンコ機(遊技機)
19 通知ランプ(第1通知手段の一部)
71 MPU(主制御手段の一部)
73b バックアップエリア(バックアップ記憶手段)
78 第1種始動口スイッチ(検出手段)
C 主制御基板(主制御手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定領域への遊技球の入球を検出する検出手段と、その検出手段により遊技球の入球が検出されると、遊技者に有利な遊技状態へ遷移させるか否かを抽選するとともに、その抽選結果に基づいた制御を行う主制御手段とを備え、前記遊技者に有利な遊技状態における演出とその遊技者に有利な遊技状態以外の通常の遊技状態における演出とを、同一または近似した態様で実行する遊技機において、
前記主制御手段のデータを電源断後も保持するバックアップ記憶手段と、
電源入時の復電処理において、そのバックアップ記憶手段に記憶されるデータに基づいて電源断前の状態に復帰させる状態復帰手段と、
その状態復帰手段により復帰される電源断前の状態が、前記遊技者に有利な遊技状態であるか否かを判別する判別手段と、
その判別手段により、前記遊技者に有利な遊技状態であると判別されると、遊技者に有利な遊技状態であることを通知する第1通知手段とを備えていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−135681(P2012−135681A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97880(P2012−97880)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2010−109250(P2010−109250)の分割
【原出願日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】