説明

遊技機

【課題】不正検出手段を発見し難くし得る遊技機を提供する。
【解決手段】不正検出装置125は、発振検出状態と発振非検出状態とに状態変化するよう構成され、電波により発振非検出状態から発振検出状態に状態変化される検出センサユニット126と、検出センサユニット126を発振非検出状態に維持する検出用金属球127とを備える。検出センサユニット126は、検出コイルと発振回路と発振検出回路とを備える。検出センサユニット126が発振検出状態に状態変化されたときに、主制御装置が不正電波行為があったと判定する。不正検出装置125は、発光演出装置50の円状発光部64および下発光部63の間に隣接し、両発光部64,63の照射範囲から外れた位置に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁波を用いた不正行為を検出する不正検出手段を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、遊技機の代表例の一つであるパチンコ機は、機内にセットされる遊技盤の盤面にパチンコ球が打出される遊技領域が画成されている。遊技盤の後側には、各種図柄を変動表示して図柄変動演出を行なう図柄表示装置が配設される。また、前記遊技盤には、図柄表示装置の下方位置に、該図柄表示装置での図柄変動演出を開始させる契機となる始動入賞装置が配設されている。前記始動入賞装置には、球検出センサが設けられており、前記遊技領域を流下するパチンコ球が、始動入賞装置に設けた始動口に入賞して球検出センサに検出されることで、図柄表示装置での図柄変動演出を開始させると共に、パチンコ球を賞球として払出すよう構成されている。そして、図柄変動演出の結果、図柄表示装置に所定の組合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止すると、遊技者に有利な所謂大当りが発生し、特別入賞装置の特別入賞口が開放して、大量の賞球が払い出されるよう構成されている。
【0003】
ところが、近年では、前記始動入賞装置や特別入賞装置に対して不正行為を行って、賞球を大量に獲得する所謂ゴト行為が発生して問題となっている。そこで、このような不正行為に対応したものとして、例えば特許文献1には、前枠の下球皿の底部に針金等の不正器具を検知する検知センサを設置したパチンコ機が提案されている。この検知センサは、ラインセンサ等の物体の移動方向を検知する非接触式センサであって、下球皿から針金等の不正器具を遊技領域に差し込んで、始動入賞装置の始動口や特別入賞装置の特別入賞口を強制開放しようとした際に、検知センサが不正器具を検知することで不正行為を捉えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−159697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のように、パチンコ機前側から視認する位置に検知センサが設置されていると、該検知センサが不正行為者に発見されてしまい、検知センサの設置位置を認識した上で、検知センサの検知範囲を避けるようにして不正行為を実施される問題がある。一方、パチンコ機前側から検知センサを完全に視認不能とするため、パチンコ機の裏側に検知センサを設置した場合には、検知センサの周囲に液晶表示装置や電源装置等の各種電気部品が存在して、検知センサに影響を及ぼす虞がある。すなわち、検知センサは、不正行為者に発見されないようパチンコ機側から視認不能な状態で設置することが好ましいものの、検知センサの検知範囲や不正防止対象物との位置関係から、当該検知センサをパチンコ機前側から視認可能な位置に設置する必要があり、このような場合における不正検知の実効性の向上が求められている。
【0006】
すなわち、本発明は、従来技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、不正検出手段を遊技機前側から見え難くして、不正行為を抑制することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係る遊技機は、
遊技球が流下する遊技領域(34)が画成された遊技盤(12)を備えた遊技機において、
第1状態と第2状態とに状態変化するよう構成されると共に電磁波により第2状態から第1状態に状態変化される状態変化手段(126)、および該状態変化手段(126)を第2状態に維持する状態維持手段(127)を備えた不正検出手段(125)と、
前記状態変化手段(126)が第1状態に状態変化されたときに不正行為があったと判定する制御手段(31)と、
前方に向けて発光する複数の発光部(63,64)とを備え、
前記不正検出手段(125)は、前記複数の発光部(63,64)の間に配置されて各発光部(63,64)に隣接すると共に、各発光部(63,64)の照射範囲から外れるよう構成したことを要旨とする。
請求項1の発明によれば、発光部の間に不正検出手段を配設して、発光部から照射される光の影に不正検出手段が隠れるようにしたので、該不正検出手段が遊技機の前側から視認し難くなる。これにより、不正行為者が不正検出手段を発見するのは困難となり、不正検出手段の検出範囲を避けるように電磁気を放射する行為を抑制することが可能となる。
【0008】
請求項2に係る遊技機では、前記不正検出手段(125)は、前記複数の発光部(63,64)の間に位置する透明な設置収容部(62)に設置され、該設置収容部(62)に、発光部(63,64)の照射範囲から退避する逃げ部(109)が形成されていることを要旨とする。
請求項2の発明によれば、発光部の照射範囲から退避する逃げ部を設置収容部に設けたから、発光部の光により設置収容部が照らされるのを防止して、遊技機前側から不正検出手段を視認し難くし得る。また、設置収容部に逃げ部を設けることで、設置収容部を極力前側に設けることができるから、不正検出手段を前方に位置させることができ、遊技盤の前方から放射される電磁気を捉え易くし得る。
【0009】
請求項3に係る遊技機では、前記遊技盤(12)の後側に、遊技機構成部材(50)が設置された設置部材(14)が配設され、該遊技機構成部材(50)に、前記不正検出手段(125)および発光部(63,64)が設けられていることを要旨とする。
請求項3の発明によれば、不正防止手段および発光部を遊技機構成部材に設けたから、不正検出手段および発光部を常に適正な位置関係とし得る。従って、組付時の誤差等によって不正検出手段と発光部との位置関係がズレてしまい、不正検出手段が発光部の光で照らされてしまうのを防止することができる。また、不正検出手段と発光部とを設けた遊技機構成部材を1つのユニットとして取り扱い得るから、不正検出手段および発光部を適正な位置関係に保った状態で設置部材に容易に組付けることができ作業性を向上し得る。
【0010】
請求項4に係る遊技機では、
前記状態変化手段は、検出コイル(131)と発振回路(F)と発振検出回路(G)とを備え、発振回路(F)の発振を発振検出回路(G)が検出した第1状態と、該発振回路(F)の発振の停止または減衰を発振検出回路(G)が検出した第2状態とに状態変化する検出センサユニット(126)であって、該検出センサユニット(126)は、該検出コイル(131)が設けられた検出口(130)を備え、
前記状態維持手段は、前記検出口(130)に配設されて前記発振回路(F)の発振を停止または減衰させる金属球(127)であり、
前記不正検出手段(125)は、検出センサユニット(126)の検出口(130)が前記遊技盤(12)に対し斜め方向に開口するよう配設されることを要旨とする。
請求項4の発明によれば、金属球を検出センサユニットの検出口に位置させるだけで、検出センサユニットを確実に第2状態に維持することができるので、検出センサユニットを第2状態に維持するための複雑な構造を必要としない。しかも、球体である金属球は、姿勢を考慮することなく検出口に位置させるだけで検出センサユニットを第2状態に維持し得るから、検出センサユニットおよび金属球の組み付け作業を効率的とし得る。また、検出口が開口する方向を遊技盤に対し傾斜させることで、遊技盤に対して斜め方向から放射される不正な電波を捉え易くして、不正行為を確実に検出することができる。
【0011】
請求項5に係る遊技機では、前記状態維持手段は、遊技球(127)であることを要旨とする。
請求項5の発明によれば、状態維持手段として遊技球を採用したので、該遊技球を検出する既存の球検出センサを状態変化手段として用いることができ、新たに状態変化手段や状態維持手段を製造する必要がなく、コストを低廉にし得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る遊技機によれば、不正検出手段を遊技機前側から視認し難くして、不正行為者が不正検出手段を発見するのを困難とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】実施例に係るパチンコ機を、中枠から遊技盤および前枠を外した状態で示す正面図である。
【図3】実施例に係る中枠の背面図である。
【図4】実施例に係る遊技盤を示す正面図である。
【図5】実施例に係る設置部材の正面図である。
【図6】実施例に係る遊技盤を後側から見た状態で示す斜視図である。
【図7】実施例に係る設置部材の背面図である。
【図8】実施例に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
【図9】実施例に係る発光演出装置を前側から見た状態で示す分解斜視図である。
【図10】実施例に係る発光装置本体を前側から見た状態で示す分解斜視図である。
【図11】(a)は発光装置本体の正面図であり、(b)は発光装置本体の左側面図である。
【図12】図4のI−I線断面図であって、遊技盤の下部側を拡大して示す。
【図13】図15のII−II線断面図であって、発光演出装置の下部側を拡大して示す。
【図14】(a)は前ケース部材の正面図であり、(b)は前ケース部材の背面図であり、(c)は前ケース部材から下発光部を取り外した状態を後側から見た斜視図である。
【図15】実施例に係る発光演出装置の正面図である。
【図16】実施例に係る第2特別入賞装置を示す斜視図である。
【図17】(a)は球検出センサを示す概略図であり、(b)は非検出時、球通過時および不正電波行為時における球検出センサの出力信号を示す図である。
【図18】実施例に係る検出センサユニットの回路構成を示すブロック図である。
【図19】(a)は発振検出状態での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図であり、(b)は発振非検出状態での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図である。
【図20】正常時および不正行為時において主制御装置に入力される信号波形を示す図である。
【図21】不正電波行為時での検出センサユニット内の信号の流れを示すブロック図である。
【図22】検出センサユニットの検出範囲を示す図である。
【図23】不正電波行為時および不正磁気行為時における各装置での報知方法を示す図である。
【図24】変更例に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りを入れた場合を除き、図1に示すようにパチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0015】
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦向きに設置される固定枠としての矩形枠状の外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤12を着脱可能に保持する本体枠としての中枠13が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤12の後側に配設された設置部材14に対して、各種図柄を変動表示可能な液晶表示装置(図柄表示装置)15が着脱自在に取付けられるよう構成される。また、前記中枠13の前面側には、前後に開口する窓口13aを覆うようにガラス板等の透視保護板(図示せず)を備え、該窓口13aを介して前記遊技盤12を透視可能な装飾枠としての前枠16が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠16の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿17が開閉可能に組み付けられる。前記前枠16には、フルカラーLED等の発光体を実装した発光体基板(何れも図示せず)を備えたランプ装置(報知手段)18が窓口13aに沿って環状に配設されている。前記ランプ装置18は、後述する統括制御装置19に電気的に接続され、該統括制御装置19の制御に基づいて発光体が点灯・点滅したり、発光色を変更させたりするようになっている。なお、前記ランプ装置18の前側は、光透過性のランプカバー18aで被覆してある。前記前枠16の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿20が一体的に組み付けられており、前枠16の開閉に合わせて上球受け皿20も一体的に開閉するよう構成される。
【0016】
前記中枠13は、図2に示すように、上下左右の縁部をなす枠部材13a〜13dにより、全体が前記外枠11の開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、中枠13の前後に開口する開口縁部が、前記遊技盤12を設置する遊技盤保持部21として機能するよう構成されている。下枠部材13bの前側には、効果音や警告音等を出力するスピーカ(報知手段)22やパチンコ球を遊技領域34(後述)に打ち出す打球発射装置23が設置されると共に、遊技者により回動操作されて打球発射装置23を作動させる操作ハンドル24が設けられている。
【0017】
図3に示すように、前記上枠部材13aの後側には、設置枠台等に設けられた外部球供給設備から供給されるパチンコ球を貯留する球タンク25が、該上枠部材13aの左右幅の略全幅に亘って設けられている。また、下枠部材13bの後側には、前記上下の球受け皿20,17に連通する球供給路や設置枠台に設けた球回収樋に連通する球排出路(何れも図示せず)が夫々形成されたセット部材26が配設されている。前記球タンク25とセット部材26とは、各部材25,26における左枠部材13c側の端部間に架設された球通路ユニット27を介して連通接続されており、該球通路ユニット27に配設された球払出装置28の駆動により球タンク25に供給されたパチンコ球を前記上下の球受け皿20,17へ給出するよう構成されている。このセット部材26には、前記球払出装置28を駆動制御する払出制御装置29、前記打球発射装置23を駆動制御する発射制御装置30等が配設されている。前記払出制御装置29は、前記パチンコ機10の後側に配設される主制御装置(制御手段)31に後述する第3中継基板57を介して電気的に接続されており、該主制御装置31から入力される制御信号に基づいて、払出制御装置29が球払出装置28を制御するようになっている(図8参照)。
【0018】
図4に示すように、前記遊技盤12は、アクリルやポリカーボネート等の光透過性を有する無色透明な合成樹脂材から前記中枠13の遊技盤保持部21に整合する略矩形平板状に形成される。遊技盤12の後面には、図5に示すように、各種遊技機構成部材が設置された箱状の設置部材14が組み付けられ、遊技盤12に形成された図柄表示開口部12aおよび設置部材14に形成された可視表示部14a(後述)を介して液晶表示装置15の表示部15aを遊技盤12の前面側から視認し得るよう構成されている。また、前記遊技盤12には、図6に示すように、下部中央に前後方向に開放する央部設置孔12bが形成される。更に、央部設置孔12bの左側(図6では右側)に左部設置孔12cが形成されると共に、央部設置孔12bの右側(図6では左側)に右部設置孔12dが形成されている。
【0019】
図4に示すように、前記遊技盤12の前面には、内レール32と外レール33とが半円弧状に配設されて、両レール32,33によりパチンコ球が流下可能な遊技領域34が画成され、前記打球発射装置23から発射されたパチンコ球が遊技領域34内に打ち出されるようになっている。また、前記遊技盤12の央部設置孔12bには、前記遊技領域34を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置35が配設されている。始動入賞装置35は、上下に設けた2つの入賞口(上部入賞口35aおよび下部入賞口35b)を備えている。始動入賞装置35の始動装置本体35c(図6参照)には、上部入賞口35aに入賞したパチンコ球を検出する上部始動球検出センサ36と、下部入賞口35bに入賞したパチンコ球を検出する下部始動球検出センサ37とが設けられている(図8参照)。前記上部始動球検出センサ36および下部始動球検出センサ37は、前記主制御装置31に接続されており、両センサ36,37から出力されるパチンコ球の検出信号は、主制御装置31に入力される。そして、主制御装置31は、上部始動球検出センサ36または下部始動球検出センサ37から検出信号を受けると、大当たり抽選を行うと共に、統括制御装置19に制御信号を出力して、前記液晶表示装置15に図柄変動演出を行わせるようになっている。更に、主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に所定数の賞球を払い出させるようになっている。
【0020】
前記遊技盤12における始動入賞装置35の下方には、第1特別入賞装置38が配設されており、前記大当たり抽選の結果、第1の大当たりが発生すると、液晶表示装置15の表示部15aに所定の図柄組み合わせで図柄が停止表示されて、第1特別入賞装置38の第1特別入賞口(図示せず)が開放するようになっている。第1特別入賞装置38の第1特別装置本体38a(図6参照)には、第1中継基板55(後述)を介して前記主制御装置31に電気的に接続された第1特別球検出センサ39が設けられている(図8参照)。そして、第1特別球検出センサ39がパチンコ球を検出すると、主制御装置31は、前記払出制御装置29に制御信号を出力して、前記球払出装置28に賞球を払い出させるようになっている。
【0021】
前記遊技盤12の右部設置孔12dには、第2特別入賞装置40が配設されている。この第2特別入賞装置40は、図16に示すように、前記右部設置孔12dを前側から覆うように遊技盤12の盤面に取り付けられる飾り板部41と、飾り板部41の前側に突出するよう設けた箱体状の本体受部42と、飾り板部41の後側に設けられる第2特別装置本体40a(図6参照)とを備える。本体受部42は、上方に開口する箱状に形成され、該本体受部42の上部開口が第2特別入賞口(図示せず)とされる。この第2特別入賞口は、前記第2特別装置本体40aに前後方向に進退自在に設けた遮蔽板40bにより開閉されるようになっている。そして、前記大当たり抽選の結果、第2の大当たりが発生すると、遮蔽板40bが後方に移動して第2特別入賞口が開放され、パチンコ球が入賞するようになっている。第2特別入賞装置40の第2特別入賞口に入賞したパチンコ球は、遊技盤12の後方へ送られ、後述する発光演出装置50に設けた第2特別球検出センサ97で検出されるようになっている。第2特別球検出センサ97でパチンコ球が検出されると、前記主制御装置31が払出制御装置29に制御信号を出力し、前記球払出装置28に賞球を払い出させるよう構成される。なお、第2特別入賞装置40の第2特別入賞口にパチンコ球を入賞させる場合には、前記操作ハンドル24を大きく回動させてパチンコ球を強く打ち出し、遊技領域34の右側を流下させる所謂「右打ち」が行われる。
【0022】
前記飾り板部41の左部には、前後方向に開放する設置開口部41aが形成され、該設置開口部41aに演出飾り部43が嵌合した状態で設置されている。この演出飾り部43は、前面に所要の装飾が施された光透過性を有する装飾部材であって、図6に示すように、演出飾り部43の後部が前記右部設置孔12dを介して遊技盤12の後面に臨んでいる。そして、演出飾り部43は、前記発光演出装置50の後述する下発光部63から照射された光により明輝されるようになっている。なお、前記遊技盤12の左部設置孔12cには、複数の一般入賞口44a,44a,44aを備えた一般入賞装置44が設けられており、一般入賞口44a,44a,44aにパチンコ球が入賞することで、賞球が払い出されるようになっている。ここで、前述したように、前記遊技盤12は、光透過性を有する透明部材で構成されている。従って、遊技盤12の遊技領域34において、始動入賞装置35や第1,第2特別入賞装置38,40、一般入賞装置44等が設置された箇所を除く部分は、遊技盤12を介して後方を視認可能となっている。すなわち、遊技者は、パチンコ機10の前側から遊技盤12を介して設置部材14に設けた発光演出装置50や可動演出装置49等(何れも後述)を視認し得るようになっている。
【0023】
〔設置部材について〕
図5に示すように、前記設置部材14は、前記遊技盤12に対向する略矩形状の対向面部45と、該対向面部45の周縁部から前方に延出する外周壁部46とから前方に開放する箱状に形成されている。前記外周壁部46の前端部には、設置部材14の開口外側へ延出する設置固定部47が複数形成されている。そして、設置固定部47を遊技盤12の後面に当接した状態で、各設置固定部47を遊技盤12にネジ止めすることで、設置部材14が遊技盤12に着脱自在に取付けられる。前記設置部材14の上部には、遊技状態に合わせて可動演出を行う可動演出装置49が配設されている。また、前記設置部材14の右側下部には、遊技状態に合わせて発光演出を行う発光演出装置(遊技機構成部材)50が配設されている。図7に示すように、前記対向面部45には、前後方向に開放する略矩形状の可視表示部14aが設けられており、以下の説明において、対向面部45における可視表示部14aの上側部分を上対向面部45aと指称し、可視表示部14aの下側部分を下対向面部45bと指称する。
【0024】
前記対向面部45の後側には、液晶装着部51(図7参照)が設けられ、該液晶装着部51に、前記液晶表示装置15が表示部15aを可視表示部14aに臨ませるように後側から取り付けられる。液晶表示装置15の後側には、パチンコ機10の遊技演出を統括的に制御する統括制御装置19が配設される(図3参照)。図8に示すように、統括制御装置19は、前記液晶表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に電気的に接続されており、該統括制御装置19から出力される演出制御信号に基づいて、各種装置15,18,22が作動制御されるようになっている。また、統括制御装置19は、前記可動演出装置49および発光演出装置50の演出動作を制御するよう構成される。図7に示すように、前記下対向面部45bの後面には、左右に隣接して複数(実施例では3つ)の中継基板保持部52,53,54が設けられ、各中継基板保持部52,53,54に中継基板55,56,57が着脱自在に配設される。なお、以下の説明において、図7の右側に位置する中継基板を第1中継基板55と指称し、図7の左側に位置する中継基板を第2中継基板56と指称し、図7の中央に位置する中継基板を第3中継基板57と指称する。
【0025】
図8に示すように、前記第1中継基板55には、後述する不正検出装置125(不正検出手段)や磁気センサ83、前記第1,第2特別球検出センサ39,97が接続される。第2中継基板56には、前記可動演出装置49および発光演出装置50の発光基板63a,68,69(後述)から導出する配線(何れも図示せず)が接続されると共に、前記統括制御装置19が接続されている。前記第3中継基板57には、前記払出制御装置29が接続されている。前述のように、前記主制御装置31には、前記上部始動球検出センサ36や下部始動球検出センサ37、統括制御装置19等の各種電気部品が直接接続されると共に、第1〜第3中継基板55,56,57を介して第1,第2特別球検出センサ39,97や、払出制御装置29等が電気的に接続されている。また、図8に示すように、主制御装置31は、前記球通路ユニット27に設けた外部端子板58を介して遊技場の管理室等に設置されたホールコンピュータ(報知手段)59に電気的に接続されている。更に、主制御装置31は、不正検出装置125や磁気センサ83からの出力信号に基づいて、不正行為の発生を判定するよう構成され、不正行為が発生した場合には、スピーカ22等やホールコンピュータ59等に異常を報知させるよう構成されている。
【0026】
〔発光演出装置ついて〕
図5に示すように、前記発光演出装置50は、前記設置部材14における下対向面部45bの右部に配設され、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、第2特別入賞装置40の後方に位置するよう構成される。前記発光演出装置50は、図9に示すように、設置部材14に取り付けられる発光装置本体60と、該発光装置本体60の前側に配設される前ケース部材61と、不正検出装置125を設置する設置収容部62とから基本的に構成される。また、発光演出装置50は、図15に示すように、前方に光を照射する4つの発光部63,64,65,66を備えている。なお、以下の説明では、下側に位置する発光部を下発光部63、左側に位置する円形の発光部を円状発光部64、左右に並ぶ2つの長尺な発光部を左柱状発光部65、右柱状発光部66と夫々指称する。
【0027】
図10に示すように、前記発光装置本体60は、ベース基板67と、該ベース基板67の後面に配設される2つの発光基板(左発光基板68および右発光基板69)と、該ベース基板67の前側に配設される円状装飾部70と、左右2つの柱状拡散部(左柱状拡散部71および右柱状拡散部72)と、左右2つの柱状装飾体(左柱状装飾体73および右柱状装飾体74)とを備えている。実施例の円状発光部64は、ベース基板67の円状拡散部80(後述)と、前記円状装飾部70と、前記左発光基板68の円形部75(後述)とで構成される。また、左柱状発光部65は、ベース基板67の左透過部81(後述)と、前記左柱状拡散部71と、前記左柱状装飾体73と、前記左発光基板68の線状部76(後述)とから構成され、右柱状発光部66は、ベース基板67の右透過部82(後述)と、前記右柱状拡散部72と、前記右柱状装飾体74と、前記右発光基板69とから構成される。
【0028】
前記左発光基板68は、円形状の円形部75および所定長さで延在する線状部76で構成され、該円形部75および線状部76をベース基板67の後面に対向させた状態で左発光基板68がベース基板67にネジ止めされる。円形部75および線状部76の前面には、複数のLED素子77,78が設けられており、該LED素子77,78が発光することで、前方に光を照射するよう構成される。前記右発光基板69は、所定長さで線状に延在しており、前記ベース基板67の後面に右発光基板69がネジ止めされる。右発光基板69の前面には、複数のLED素子79が設けられ、該LED素子79が発光することで、前方に光を照射するようになっている。なお、左発光基板68および右発光基板69から導出する配線(何れも図示せず)は前記第2中継基板56に接続され、該第2中継基板56を介して前記統括制御装置19が左発光基板68および右発光基板69を発光制御するよう構成される。
【0029】
図10に示すように、前記ベース基板67は、無色透明な薄板部材で構成される。ベース基板67には、前記左発光基板68の円形部75に対応する円形状の円状拡散部80と、該左発光基板68の線状部76に対応する左透過部81と、右発光基板69に対応する右透過部82とが形成されている。前記円状拡散部80、左透過部81および右透過部82は、前記ベース基板67の前面から僅かに前方へ突出している。また、ベース基板67の後面における円状拡散部80、左透過部81および右透過部82に対応する部位は前方に凹んでおり、前記左発光基板68および右発光基板69をベース基板67に取り付けた際に、当該凹み部分に左発光基板68および右発光基板69のLED素子77,78,79が臨むようになっている。前記円状拡散部80の前面には、複数の突部80aが渦巻き状に並んで形成されており、前記左発光基板68の円形部75から照射された光が円状拡散部80で拡散されるよう構成される(図13参照)。前記左透過部81および右透過部82は、何れも平坦面をなしており、前記左発光基板68の線状部76および前記右発光基板69から照射された光は、夫々、左透過部81および右透過部82をそのまま透過するようになっている。
【0030】
図11(a)に示すように、前記ベース基板67には、前記左透過部81の下方位置において前後方向に開放するセンサ取付孔67aが形成され、該センサ取付孔67aに磁気センサ83(図10参照)が取り付けられるようになっている。この磁気センサ83は、磁石等から発せられる磁気を検出するものであって、遊技盤12に磁石等を近付けて遊技領域34を流下するパチンコ球を誘導する不正行為(以下、不正磁気行為という)を検出するためのものである。なお、磁気センサ83から導出する配線(図示せず)は、前記第1中継基板55に接続され、該磁気センサ83が磁気を検出した際に出力される検出信号(以下、磁気検出信号という)は、第1中継基板55を介して主制御装置31に入力されるようになっている(図8参照)。
【0031】
前記ベース基板67には、前記設置収容部62の後部を構成する後側構成部84が前記円状拡散部80(円状発光部64)の下方に隣接して形成されている。図11(b)に示すように、後側構成部84は、上方から下方に向けて後方傾斜する支持板部85と、該支持板部85の下端部から支持板部85に対し略直角に前側へ延出する底部支持片86と、支持板部85の右縁部から前側に延出して設置収容部62の右側面を構成する右側面部87と、設置収容部62の上面を構成する上面部88とから構成される。前記支持板部85は、矩形状の薄板部材であって、図12に示すように、発光装置本体60を遊技盤12に取り付けた状態で、支持板部85は、遊技盤12に対し所定角度(例えば約60°)傾斜している。前記支持板部85の上部には、後方へ凹む半球状の後設置凹部89が形成されている。前記上面部88には、断面波状の表面処理が全体に施されており、該上面部88を介して下側(不正検出装置125)を視認し難くしている。図11(a)に示すように、底部支持片86には、不正検出装置125の配線126Xを挿通する配線通孔90が形成されている。
【0032】
図10に示すように、前記円状装飾部70は、磨りガラス状の光拡散処理が施された円盤部91と、該円盤部91の前側に設けられ、前面に所要の装飾が施された無色透明な半球状部92と、前記円状拡散部80、円盤部91および半球状部92を内部に収容した状態で前記ベース基板67に取り付けられるリング状部93とから構成される。前記円盤部91は、図13に示すように、前記ベース基板67に設置された状態で前記円状拡散部80の前側に対向し、前記円状拡散部80で拡散された光を円盤部91で更に拡散させるようになっている。前記半球状部92は、前記円状拡散部80で拡散された光を透過させるよう構成される。前記リング状部93は、前後方向に開放する円形状の開口部93aを備え、図13に示すように、前記半球状部92は、リング状部93に収容された状態で開口部93aに臨むよう構成される。そして、前記半球状部92を透過した光が遊技盤12を透過することで、円状発光部64の発光演出が遊技盤12の前側から視認し得るよう構成される(図4参照)。
【0033】
図10に示すように、前記左柱状拡散部71は、前記ベース基板67の左透過部81を覆うように配設される。左柱状拡散部71は、無色透明な合成樹脂から形成されて、表面に光拡散処理が施されており、前記左透過部81を透過した光を左柱状拡散部71で拡散するよう構成される。左柱状拡散部71で拡散された光は、前記遊技盤12を透過して、左柱状発光部65の発光演出が遊技盤12の前側から視認可能とされる。前記左柱状装飾体73は、メッキ処理が施された装飾部材であって、前記左柱状拡散部71の前側に取り付けられる。この左柱状装飾体73を設けることで、左柱状発光部65の装飾性が高められている。なお、左柱状装飾体73は、前記右柱状装飾体74に連結部94を介して連結している。
【0034】
図10に示すように、前記右柱状拡散部72は、前記ベース基板67の右透過部82を覆うように配設される。右柱状拡散部72は、前記左柱状拡散部71と同様に、無色透明な合成樹脂から形成されて、表面に光拡散処理が施されており、前記右透過部82を透過した光を右柱状拡散部72で拡散するようになっている。右柱状拡散部72で拡散された光は、前記遊技盤12を透過して、右柱状発光部66の発光演出が遊技盤12の前側から視認可能とされる。前記右柱状装飾体74は、左柱状装飾体73と同様に、メッキ処理が施された装飾部材であって、前記右柱状拡散部72の前側に取り付けられる。この右柱状装飾体74を設けることで、右柱状発光部66の装飾性が高められている。
【0035】
図9に示すように、前記前ケース部材61は、全体が無色透明な合成樹脂で形成されており、前記ベース基板67の下部に取り付けられる。前ケース部材61には、右側に球通路95が画成されており、前記第2特別入賞装置40に入賞したパチンコ球が球通路95を流下して、設置部材14の下方に排出されるようになっている。また、前ケース部材61における球通路95の上端には、センサ取付部96が形成されており、該センサ取付部96に前記第2特別入賞装置40に入賞したパチンコ球を検出する第2特別球検出センサ97が着脱自在に取り付けられる。そして、第2特別入賞装置40に入賞したパチンコ球が第2特別球検出センサ97の検出口97aを通過すると、該センサ97がパチンコ球を検出するようになっている。なお、第2特別球検出センサ97から導出する配線(図示せず)は、前記第1中継基板55に接続されており、第2特別球検出センサ97から出力された検出信号は、第1中継基板55を介して主制御装置31に入力される(図8参照)。
【0036】
図14(a),(b)に示すように、前記前ケース部材61における左右の略中央位置には、設置面部98が形成され、該設置面部98の後面に下発光部63が取り付けられている。前記下発光部63は、前記前ケース部材61をベース基板67に取り付けた状態で、前記円状発光部64の下側斜め右方に位置すると共に(図15参照)、円状発光部64の前端(リング状部93の前部)より前方に位置している(図13参照)。また、図4,図12に示すように、下発光部63は、発光演出装置60を設置部材14に取り付けた状態で、前記第2特別入賞装置40の演出飾り部43の後方に臨むようになっている。前記下発光部63は、基板63aに複数(実施例では2つ)のLED素子63b,63bが設けられて構成され、該LED素子63b,63bが発光することで、前方に光を照射するようになっている。図14(a)に示すように、前記設置面部98には、前記下発光部63のLED素子63b,63bに対応する位置に通過窓99が形成されており、下発光部63の光は、通過窓99を介して前方へ照射される。そして、通過窓99を通過した光は、前記遊技盤12の演出飾り部43に到達して、該演出飾り部43を明輝させるようになっている。なお、下発光部63から導出する配線(図示せず)は、前記第2中継基板56に接続されており、統括制御装置19により下発光部63が発光制御される。
【0037】
前記前ケース部材61には、前記設置面部98の左側上方に隣接して、前記設置収容部62の前側を構成する前側構成部100が形成されている。図14(a)〜(c)に示すように、前側構成部100は、設置収容部62の前面を構成する前面部101と、該前面部101の下端部から後方に延出して設置収容部62の底面を構成する底面部102と、該前面部101の左側部(図14(b),(c)では右側部)から後方に延出して設置収容部62の左側面を構成する左側面部103と、該前面部101の後面から後方に延出する支持片105とから構成され、後方に開放する箱状に形成されている。そして、前ケース部材61をベース基板67に取り付けた際に、前側構成部100が後側構成部84に前側から整合して、前側構成部100および後側構成部84により不正検出装置125を設置するための設置収容部62が構成されるようになっている(図13参照)。
【0038】
前記前面部101は、断面波状の目隠し処理が表面全体に施されており、前面部101を介して内部(不正検出装置125)を視認し難くしている。前面部101の上端部は、前ケース部材61をベース基板67に取り付けた状態で、図13に示す如く、前記後側構成部84の上面部88の前端部に当接するようになっている。前記前面部101は、前ケース部材61をベース基板67に取り付けた状態で、前記円状発光部64より前方に位置すると共に、前記下発光部63より後方に位置するよう構成される。前記前面部101の上部には、前方に突出する半球状の前設置凹部107が形成されており、前ケース部材61をベース基板67に取り付けた状態で、前設置凹部107が後設置凹部89に対し所定距離だけ離間して対向するようになっている。更に、前記前面部101の上部には、前方に突出する突状部108が形成されている。この突状部108は、斜め上方に臨む上斜面(逃げ部)109と、斜め下方に臨む下斜面110とから断面三角形状に形成されている。図13に示すように、突状部108の上斜面109は、前記円状発光部64の照射範囲から退避するよう後方から前方に向けて下方傾斜しており、円状発光部64の光で前面部101が明輝されないようになっている。
【0039】
前記左側面部103は、前記前ケース部材61をベース基板67に取り付けた状態で、前記上面部88および支持板部85を左方から覆うように当接するよう構成されている。左側面部103には、断面波状の目隠し処理が表面全体に施されており、左側面部103を介して内部(不正検出装置125)を視認し難くなっている。図14(b),(c)に示すように、前記支持片105は、前記前面部101の後面における左右方向の中央部において、該前面部101の下端から前記前設置凹部107に至るまで上下方向に延在する薄板状部材で構成される。図13に示すように、前記支持片105の上端部には、前方から後方に向けて下方傾斜する支持縁部112が形成されている。前記支持縁部112は、前ケース部材61をベース基板67に取り付けた状態で、前記支持板部85と略平行に延在するようになっており、該支持板部85と同様に、遊技盤12に対し所定角度(約60°)傾斜している。そして、支持片105は、支持縁部112が不正検出装置125に当接した状態で、該不正検出装置125を下側から支持するようになっている
【0040】
〔電波による不正行為について〕
ここで、前述した2つの始動球検出センサ36,37や第1,第2特別球検出センサ39,97は、いわゆる誘導式近接スイッチであって、実施例のパチンコ機10では、何れも同一のセンサ(以後、これらセンサ36,37,39,97を単に球検出センサDという場合がある)が採用されている。図17(a)に示すように、球検出センサDは、発振回路等を備えたセンサ本体123とコイルが設けられてパチンコ球が通過可能な球通過口124とを基本構成としている。図17(b)に示す如く、球検出センサDは、パチンコ球を検出していない状態(パチンコ球が球通過口124を通過していない状態)では、発振回路が発振して、高レベルの信号(以下、ハイレベル信号という)を出力するように設定されている。一方、球検出センサDは、パチンコ球を検出している状態(パチンコ球が球通過口124を通過している間)では、発振回路の発振が停止または減衰して、低レベルの信号(以下、ローレベル信号という)を出力するように設定されている。そして、主制御装置31は、球検出センサDからの出力信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り換わったときにパチンコ球を1カウントして、前記払出制御装置29を制御して球払出装置28に賞球を払い出させる。
【0041】
ところが、この球検出センサDに電波を放射して、該球検出センサDの出力信号を強制的に変更する不正行為(以下、不正電波行為という)が行われることがある。一般的に、この不正電波行為は、図12に示す如く、不正行為者が遊技盤12の斜め下方に電波発生器Eを隠し持ち、始動入賞装置35や第1,第2特別入賞装置38,40等が設けられた遊技盤12の下部中央へ向けて電波を電波発生器Eから放射して行われる。この電波発生器Eから放射される電波を、パチンコ球が球通過口124を通過する間に球検出センサDが浴びると、該球検出センサDは、断続的な発振があったと誤検出してしまう。その結果、図17(b)に示すように、球検出センサDは、ローレベル信号およびハイレベル信号を繰り返し出力し、前記主制御装置31は、ハイレベル信号からローレベル信号に切り換わる度にパチンコ球をカウントすることとなる。その結果、主制御装置31は、1個のパチンコ球が球通過口124を通過したのにも拘わらず複数個分カウントしてしまい、多くの賞球を払い出したり、大当たり抽選が行われてしまう虞がある。そこで、実施例のパチンコ機10では、このような不正電波行為を検出するべく、不正検出装置(不正検出手段)125が設けられている。
【0042】
〔不正検出装置について〕
図9,図13に示すように、前記不正検出装置125は、検出センサユニット(状態変化手段)126と、検出用金属球(状態維持手段,金属球,遊技球)127とから基本的に構成されている。前記検出センサユニット126は、直方体状のセンサ装置本体129と、貫通孔が画成された円筒状の検出口130とから基本的に構成され、実施例では、前述した球検出センサDと基本的に構成は同一である。前記センサ装置本体129の長手方向の寸法は、図13に示すように、前記設置収容部62における底部支持片86と突状部108の上斜面109との離間距離より僅かに小さく設定される。また、センサ装置本体129の厚み方向(検出口130の開口方向)は、前記支持板部85と支持片105の支持縁部112との離間距離より僅かに小さく設定される。更に、検出センサユニット126の短手方向の寸法は、前記左側面部103および右側面部87の離間距離より僅かに小さく設定される。そして、検出センサユニット126は、前記設置収容部62内に収容された状態では、センサ装置本体129の隅部が設置収容部62の突状部108の後側に臨むと共に、前記底部支持片86、上斜面109、支持板部85、支持縁部112、左側面部103および右側面部87により位置規制されるよう構成される。なお、検出センサユニット126から導出する配線126Xは、前記配線通孔90を介して設置収容部62の外部に引き出され、前記第1中継基板55に接続される。そして、検出センサユニット126の出力信号は、第1中継基板55を介して主制御装置31に入力されるようになっている。
【0043】
前記検出口130の直径は、前記検出用金属球127の直径より僅かに大きく設定されている。前記検出口130には、開口縁に沿って検出コイル131(図18参照)が巻装されており、該検出コイル131により検出口130の周囲に磁界を発生させるようになっている。図18に示すように、前記センサ装置本体129には、発振回路F、発振検出回路Gおよび出力回路Hが形成されている。図19(a)に示すように、前記発振回路Fは、検出口130の磁界中に磁性体(検出用金属球127)が存在しない状態で、高周波(例えば、1MHz)で発振するようになっている。また、図19(b)に示すように、前記検出口130の磁界中に磁性体(検出用金属球127)が存在すると、発振回路Fは、発振を停止または減衰させるようになっている。なお、実施例の発振回路Fは、検出口130に磁性体(検出用金属球127)が存在した状態で、発振を停止させるように設定されている。
【0044】
前記発振検出回路Gは、前記発振回路Fの発振状態を検出して、当該発振状態に応じた信号を出力するものである。図19(a)に示すように、発振検出回路Gは、発振回路Fの発振を検出すると発振検出信号を前記出力回路Hに出力すると共に、図19(b)に示すように、発振回路Fが発振を停止または減衰(実施例では、発振の停止)を検出すると出力回路Hに発振停止検出信号を出力するよう構成される。すなわち、検出センサユニット126は、磁性体の有無により、発振検出回路Gが発振を検出した発振検出状態(第1状態)と、発振検出回路Gが発振の停止を検出した発振非検出状態(第2状態)とに状態変化可能に構成されている。
【0045】
前記出力回路Hは、前記発振検出回路Gから発振検出信号が入力されると、前記ハイレベル信号を出力し、該発振検出回路Gから発振停止検出信号が入力されると、前記ローレベル信号を出力するようになっている。なお、図19(b)に示すように、ローレベル信号は、0より僅かに大きな値となっている。出力回路Hから出力されたハイレベル信号およびローレベル信号は、主制御装置31に入力される。前記検出用金属球127は、前記発振回路Fの発振を停止させて検出センサユニット126を発振非検出状態に維持する(状態変化手段を第2状態に維持する)ものである。実施例では、検出用金属球127として、磁性体であるパチンコ球が用いられている。図13に示すように、検出用金属球127は、前記設置収容部62に収容された際に、前記前設置凹部107および後設置凹部89により挟持されて、検出口130内に位置するよう保持される。すなわち、検出用金属球127は、検出口130との相対的な位置関係がズレることなく設置収容部62に保持されて、検出用金属球127の中心が検出口130における開口方向の中央部に略一致するようになっている。
【0046】
そして、検出用金属球127が検出口130内に保持されることで、不正検出装置125は、前記不正電波行為が行われていない正常時では、検出用金属球127により発振回路Fの発振が停止され、検出センサユニット126は発振非検出状態に維持される。従って、発振検出回路Gは、発振停止検出信号を出力し、出力回路Hからローレベル信号が出力されるので、図20に示すように、前記主制御装置31に対して常にローレベル信号が入力される。一方、検出センサユニット126が発振非検出状態にある場合において、前記電波発生器Eから電波が検出センサユニット126に放射されると、図21に示すように、発振回路Fは発振を停止しているのにも拘わらず、電波によって断続的な発振が強制的に生起される。従って、不正電波行為が行われると、発振検出回路Gが断続的な発振を検出して、発振検出信号および発振停止検出信号を交互に出力するようになっている。これにより、図20に示すように、前記出力回路Hは、ハイレベル信号およびローレベル信号を主制御装置31に交互に出力する。なお、実施例に係る不正検出装置125では、検出センサユニット126における電波の検出範囲が、図22に示す如く、前記検出口130の開口方向側(図22では上下方向)が大きくなっている。すなわち、検出センサユニット126は、検出口130の開口方向の延長線上に位置させた電波発生器Eから放射される電波に反応し易い構成となっている。
【0047】
ここで、発光演出装置50を設置部材14に取り付けた状態において、前記不正検出装置125は、遊技盤12の後方であって、前記始動入賞装置35および演出飾り部43の間に位置するようになっている。従って、遊技盤12の前側斜め上方から該遊技盤12を介して発光演出装置50(不正検出装置125)を視認することは可能となっている。しかしながら、不正検出装置125は、円状発光部64と下発光部63との間に位置して、両発光部64,63と夫々隣接している。これにより、図12に示す如く、不正検出装置125は、円状発光部64の照射範囲および下発光部63の照射範囲から外れた位置に位置して、不正検出装置125に円状発光部64および下発光部63の光が直接照射されないようになっている。すなわち、不正検出装置125は、円状発光部64および下発光部63から照射される光の陰に隠れた位置に位置して、遊技盤12の前側から視認し難くなっている。
【0048】
また、不正検出装置125は、設置部材14を遊技盤12に取り付けた状態で、不正電波行為の対象となり易い始動入賞装置35や第1,第2特別入賞装置38,40に近接する(図4参照)。そして、前記検出センサユニット126は、上方から下方に向けて後方に傾斜した姿勢で設置収容部62に収容されているから、図12に示すように、前記検出口130の開口方向が後方から前方に向けて下方傾斜する方向となる。すなわち、検出口130の開口方向を遊技盤12の前側下方へ向けて指向させることで、遊技盤12の前側下方にセットした電波発生器Eから放射される不正電波を捉え易くしている。
【0049】
〔主制御装置の不正判定について〕
前述のように、前記主制御装置31は、正常時(発振非検出状態)には、不正検出装置125からローレベル信号が入力される(図20参照)。また、不正電波行為により検出センサユニット126が発振検出状態に状態変化されると、出力回路Hからハイレベル信号およびローレベル信号を周期的に繰り返す波形が入力される。そして、主制御装置31は、不正検出装置125からの信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、不正電波行為が発生したと判定するようになっている(図20,図21参照)。すなわち、検出用金属球127により発振非検出状態に維持されているのに拘わらず検出センサユニット126が発振検出状態に強制的に状態変化された場合に、主制御装置31は不正電波行為を検出する。
【0050】
ここで、不正行為者により検出センサユニット126から導出する配線126Xを切断されたり、検出センサユニット126から引き抜かれたりした場合(以下、断線行為という)、図20に示すように、出力回路Hから信号が出力されなくなる(すなわち、信号が0となる)。そこで、主制御装置31は、前記断線行為により、出力回路Hからの出力がなくなったときに、断線行為が発生したと判定するよう設定されている。また、不正行為者が検出ユニットから検出用金属球127を抜き取った場合(以下、球抜行為という)、発振回路Fは発振を再開して、前記検出センサユニット126が発振検出状態に維持される。このため、前記電波発生器Eからの電波を受けても発振回路Fの発振は継続されるから、図20に示すように、出力回路Hからハイレベル信号が出力され続ける。この場合、電波を受けても出力回路Hから出力される信号が切り換わらなくなるから、不正電波行為を検出し得なくなってしまう。そこで、主制御装置31は、前記球抜行為により、出力回路Hからの出力がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、球抜行為が発生したと判定するようになっている。なお、不正磁気行為については、前記磁気センサ83から磁気検出信号が入力されたときに、主制御装置31が不正磁気行為の発生を判定する。
【0051】
〔不正判定時の制御構成について〕
次に、不正判定時における主制御装置31の制御構成について、以下説明する。前記主制御装置31は、前記断線行為および球抜行為を含む不正電波行為や不正磁気行為の発生を検出すると、これら不正行為の発生を報知する制御を行う。すなわち、主制御装置31は、前記統括制御装置19に制御信号を出力して前記液晶表示装置15やランプ装置18、スピーカ22に不正行為の発生を報知させる。ここで、図23に示すように、実施例に係るパチンコ機10では、不正電波行為(断線行為および球抜行為を含む)および不正磁気行為で、液晶表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22での作動態様が異なっている。従って、主制御装置31は、発生した不正行為に対応した制御信号を統括制御装置19に出力するよう構成される。具体的には、不正電波行為が発生した場合には、液晶表示装置15の表示部15aに不正電波行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正電波行為発生の旨を音声出力させる。更に、前記ランプ装置18を第1の色(実施例では、緑色)で発光させて、不正電波行為の発生を報知させる。また、不正磁気行為が発生した場合には、液晶表示装置15の表示部15aに不正磁気行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正磁気行為発生の旨を音声出力させる。更に、ランプ装置18を第2の色(実施例では、紫色)で発光させて、不正磁気行為の発生を報知する。
【0052】
また、主制御装置31は、不正電波行為および不正磁気行為を検出した際に、前記外部端子板58を介してホールコンピュータ59にセキュリティー信号を出力するよう設定されている。実施例では、不正電波行為および不正磁気行為の何れの場合も、同一のセキュリティー信号が出力されるようになっている。前記ホールコンピュータ59では、セキュリティー信号が入力されると、不正行為の発生を該ホールコンピュータ59の図示しないディスプレイ等に表示させて、管理者等に不正行為の発生を報知させるようになっている。ここで、何れの不正行為が発生しても、同一のセキュリティー信号がホールコンピュータ59に入力されるので、前記ディスプレイでの表示内容は同一となるものの、液晶表示装置15やランプ装置18、スピーカ22における作動態様は、不正電波行為および不正磁気行為で異なっていることから、何れの不正行為が発生したかを判別することは可能となる。
【0053】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用について、以下説明する。
【0054】
〔発光演出装置について〕
発光演出装置50を組み付ける際には、前記円状装飾部70を円状拡散部80の前側に取り付けると共に、不正検出装置125を後側構成部84および前側構成部100の間に臨ませた状態で、前ケース部材61をベース基板67に取り付ける。これにより、検出センサユニット126は、センサ装置本体129の隅部が設置収容部62の突状部108の後側に臨んだ状態となって、前記底部支持片86、上斜面109、支持板部85、支持縁部112、左側面部103および右側面部87により検出センサユニット126が位置規制される(図13参照)。このとき、検出センサユニット126は、支持板部85および支持縁部112と平行な傾斜姿勢となる。また、検出用金属球127が後設置凹部89および前設置凹部107に挟持されて、検出用金属球127が検出口130内に保持される。すなわち、検出センサユニット126および検出用金属球127は、設置収容部62に位置決めされた状態で収容されるので、検出用金属球127および検出口130の相対位置がズレるのは防止され、検出用金属球127は、検出口130の開口方向における略中央位置に保持される。従って、検出用金属球127を検出コイル131の誘導磁界内に正確に位置させることができ、検出センサユニット126を発振非検出状態に確実に維持させることが可能となる。
【0055】
このように、不正検出装置125を設置収容部62に収容するだけで、検出センサユニット126および検出用金属球127の適切な位置関係が規定されるから、両者126,127の位置関係を確保するための慎重な作業を要することなく、組み付け作業を極めて効率的にすることができる。また、検出センサユニット126および検出用金属球127を適切な位置関係で保持するための複雑な構造を要しないから、コストを低廉にし得る。しかも、球体の検出用金属球127を採用することで、該検出用金属球127の姿勢を考慮することなく検出口130内に位置させればよく、検出用金属球127の組み付けが簡単となる。また、実施例では、検出センサユニット126として、既存の検出センサDと基本構成が同一のものを採用し、検出用金属球127としてのパチンコ球により検出センサユニット126を発振非検出状態に維持する構成とした。従って、検出センサユニット126や検出用金属球127を新たに開発、製造する必要がなく、コストを低廉にし得る。
【0056】
次いで、左柱状拡散部71および右柱状拡散部72をベース基板67の左透過部81および右透過部82の前側に夫々取り付けると共に、左柱状拡散部71および右柱状拡散部72の前側に、左柱状装飾体73および右柱状装飾体74を夫々取り付ける。更に、左発光基板68および右発光基板69をベース基板67の後面に取り付けると共に、前ケース部材61の設置面部98の後面に下発光部63を取り付けることで、発光演出装置50が組み付けられる。不正検出装置125は、図15に示すように、円状発光部64および下発光部63の間に位置して、両発光部64,63に夫々隣接した位置関係となる。また、図13に示す如く、設置収容部62の前面部101(突状部108の頂部)は、下発光部63の後方であって、円状発光部64の前方に位置する。ここで、不正検出装置125や円状発光部64、下発光部63を夫々別の部材に設置したり、夫々独立して設置部材14に取り付ける構成とした場合には、組付時の誤差等により不正検出装置125と両発光部64,63との相対的な位置関係がズレてしまう虞がある。この場合、不正検出装置125が円状発光部64および下発光部63の照射範囲内に位置し、該不正検出装置125が照らされてしまう虞がある。しかるに、実施例では、不正検出装置125、円状発光部64および下発光部63を1つの発光演出装置50に設ける構成としたから、これら3つの部材125,64,63を常に適正な位置関係とすることができる。
【0057】
次に、発光演出装置50を設置部材14に取り付ける。このとき、発光演出装置50は、不正検出装置125および4つの発光部63,64,65,66を一体的に備えた1つのユニットとして扱い得るから、不正検出装置125、円状発光部64および下発光部63の適正な位置関係を保持した状態で、設置部材14に発光演出装置50を容易に取り付けることが可能となる。そして、設置部材14を遊技盤12の後面に配設すると、図4に示すように、不正検出装置125は、始動入賞装置35、第1,第2特別入賞装置38,40の後方に近接する。また、不正検出装置125は、検出センサユニット126が傾斜姿勢で保持されるから、検出口130の開口方向は、後方から前方に向けて下方傾斜した方向となる。従って、図12に示す如く、遊技盤12の前側下方から前記始動入賞装置35や第1,第2特別入賞装置38,40に向けて放射された電波を不正検出装置125が捉え易くなり、不正電波行為を的確に検出することが可能となる。
【0058】
パチンコ機10に電源が投入されると、前記統括制御装置19の発光制御に基づいて、発光演出装置50の各発光部63,64,65,66が所定の発光態様で発光して発光演出が行われる。このとき、円状発光部64、左柱状発光部65および右柱状発光部66から照射された光は、前記遊技盤12を透過して遊技者に視認されるので、遊技の興趣を高めることができる。また、下発光部63から照射された光は、前記遊技盤12の演出飾り部43を明輝させるので、遊技盤12の装飾効果が向上される。しかも、不正検出装置125は、図12に示す如く、各発光部64,63の照射範囲から外れた位置に位置している。従って、円状発光部64および下発光部63から照射される光によって不正検出装置125が照らされることはない。これにより、不正行為者が不正検出装置125を発見するのが困難となって、不正検出装置125の検出範囲を避けるように電波を放射する行為を抑制することが可能となる。なお、不正検出装置125は、前記左柱状発光部65および右柱状発光部66の照射範囲から外れた位置にあるから、これら発光部65,66の光で不正検出装置125が照らされることもない。
【0059】
図13に示すように、前記設置収容部62の上斜面109は、円状発光部64の照射範囲から退避するように傾斜しているから、円状発光部64の光により設置収容部62(前面部101)が照らされることがなく、不正行為者が不正検出装置125を発見するのは困難となる。しかも、前面部101の上斜面109を円状発光部64の光から退避するように傾斜させることで、上斜面109を水平面とした場合に較べ、設置収容部62の設置位置を前側に位置させることができる。これにより、不正検出装置125を極力前側に位置させることができ、遊技盤12の前方から放射される電波を捉え易くすることができる。しかも、設置収容部62において遊技者側から目に付きやすい前面部101、上面部88および左側面部103には、表面全体に目隠し処理が施されているから、遊技盤12を介して設置収容部62を視認されたとしても、内部の不正検出装置125を視認するのは困難とされる。
【0060】
〔不正行為時の作用について〕
次に、不正電波行為が行われた場合の作用について、説明する。不正検出装置125は、不正電波行為が行われていない正常時では、前記検出用金属球127により検出センサユニット126が発振非検出状態に維持されて、出力回路Hからローレベル信号が出力されている。従って、図20に示すように、正常時においては、主制御装置31にローレベル信号が入力され続ける。不正行為者により遊技盤12の前側下方から電波が放射されると、図21に示すように、発信検出回路Gが断続的な発振を誤検出して、出力回路Hは、ローレベル信号およびハイレベル信号を交互に繰り返し出力する。そして、主制御装置31は、出力回路Hからの信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、不正電波行為が発生したと判定する。すなわち、実施例の不正検出装置125によれば、電波により検出センサユニット126が発振非検出状態から発振検出状態に変化するので、簡単な構造により不正電波行為を極めて容易に検出し得る。そして、実施例では、出力回路Hからの出力がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったことで、主制御装置31が不正電波行為の発生を判定するので、極めて簡単な制御で不正電波行為を検出することができる。従って、主制御装置31での制御負担を少なくすることができ、誤判定が生ずる可能性も少なくなる。また、検出センサユニット126に電波を検出するための回路等を別途形成することなく、既存の検出センサDと同じものを検出センサユニット126として採用し得るから、不正検出装置125の製造コストを抑制することができる。
【0061】
不正電波行為の発生を判定すると、主制御装置31は、統括制御装置19に制御信号を出力して、液晶表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に不正電波行為の発生を報知させる。すなわち、図23に示すように、液晶表示装置15は、表示部15aに不正電波行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22が不正電波行為発生の旨を音声出力する。更に、前記ランプ装置18が第1の色(緑色)で発光体を発光させて、不正電波行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。このように、不正電波行為が発生すると、直ちに当該不正の発生を液晶表示装置15等が報知するから、不正電波行為の発生を遊技場内の従業員等に速やかに知らせることができる。しかも、液晶表示装置15やスピーカ22等には、不正電波行為の発生の旨が報知されると共に、ランプ装置18が不正電波行為に対応した第1の色で発光するから、従業員等は、何れの不正行為が発生したかについても容易に判別することができ、迅速に対応することができる。
【0062】
更に、主制御装置31は、外部端子板58を介してホールコンピュータ59にセキュリティー信号を出力する。セキュリティー信号を受けたホールコンピュータ59は、ディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨を表示させて、管理室の管理者等に報知させる。このように、不正電波行為の発生が判定されると、パチンコ機10だけでなく、ホールコンピュータ59にも報知されるので、仮に遊技場の従業員等が不正の発生に気付かなかったとしても、管理室の管理者等に不正の発生を知らせることができる。なお、ホールコンピュータ59には、同一のセキュリティー信号が入力されるから、前記ディスプレイでの表示内容は何れの不正行為(不正電波行為または不正磁気行為)が生じた場合でも同一となる。しかるに、前述のように、液晶表示装置15やランプ装置18、スピーカ22において不正電波行為である旨が報知されるから、従業員等は、不正電波行為が発生したことを認識することができる。
【0063】
次に、前記断線行為が行われた場合には、図20に示すように、出力回路Hから主制御装置31に信号が入力されなくなる。出力回路Hからの入力がなくなると、主制御装置31は、断線行為が発生したと判定して、前述した不正電波行為の場合と同じ対応を行う。すなわち、液晶表示装置15の表示部15aに不正電波行為発生の旨が表示されると共に、スピーカ22が不正電波行為発生の旨を音声出力する。また、前記ランプ装置18を第1の色で発光させて、不正電波行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。更に、主制御装置31は、ホールコンピュータ59にセキュリティー信号を出力して、ホールコンピュータ59のディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨を表示させる。このように、実施例では、断線行為が行われた場合にも、当該行為を検出し得るので、検出センサユニット126の配線126Xを切断して、不正検出装置125が無効化されるのを防止し得る。
【0064】
また、前記球抜行為が行われた場合には、検出用金属球127が検出口130から取り外されることで、前記発振回路Fが発振を開始する。従って、発振検出回路Gが発振を検出して、検出センサユニット126が発振検出状態に状態変化する。これにより、図20に示すように、出力回路Hの出力信号はローレベル信号からハイレベル信号に切り換わる。そこで、主制御装置31は、出力回路Hから入力される信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り換わったときに、球抜行為が発生したと判定して、前述した不正電波行為の場合と同じ対応を行って、不正の発生を報知する。このように、実施例では、球抜行為が行われた場合においても、当該不正行為を検出し得るので、検出用金属球127を検出口130から取り外して、不正検出装置125が無効化されるのを防止することができる。
【0065】
なお、不正磁気行為が行われた場合には、磁石等の磁気を磁気センサ83が検出して、磁気検出信号を主制御装置31に出力する。磁気センサ83から検出信号が入力されると、主制御装置31は、不正磁気行為が発生したと判定して、当該不正行為を液晶表示装置15等に報知させる。すなわち、主制御装置31は、統括制御装置19に制御信号を出力して、液晶表示装置15、ランプ装置18およびスピーカ22に不正電波行為の発生を報知させる。具体的には、図23に示すように、液晶表示装置15の表示部15aに不正磁気行為発生の旨を表示させると共に、スピーカ22に不正磁気行為発生の旨を音声出力させる。更に、前記ランプ装置18が第2の色(紫色)で発光体を発光させて、不正磁気行為の発生を遊技場の従業員等に報知させる。このように、不正磁気行為が発生した場合にも、当該不正行為の発生を直ちに従業員等に報知することができる。しかも、液晶表示装置15やスピーカ22等の出力内容やランプ装置18の発光色から不正磁気行為が発生したのを判別し得るから、従業員等は、当該不正磁気行為に素早く対応することができる。なお、主制御装置31は、不正磁気行為が発生した場合にも、セキュリティー信号をホールコンピュータ59に出力する。従って、ホールコンピュータ59のディスプレイに何らかの不正行為が発生した旨が表示されて、管理室の管理者等は、不正行為の発生を知ることができる。
【0066】
〔変更例〕
なお、前述した実施例は、以下に示す通り、種々の変更が可能である。
(1)実施例では、不正検出手段が2つの発光部(円状発光部および下発光部)の間に位置する構成としたが、不正検出手段を3つ以上の発光部の間に位置させてもよい。この場合、不正検出手段は、各発光部に隣接すると共に、全ての発光部の照射範囲から外れた位置に位置するよう設けられる。
(2)実施例では、不正検出手段および発光部を発光演出装置に設けた場合を示したが、不正検出手段および発光部を設置部材に直接設けたり、他の遊技機構成部材に設けてもよい。また、不正検出手段および発光部を直接または遊技機構成部材を介して遊技盤に設けてもよい。
(3)実施例では、設置収容部を発光演出装置に設けたが、設置収容部を設置部材や遊技盤に設けてもよい。また、実施例では、設置収容部を後側構成部および前側構成部で構成したが、設置収容部を1つの部材から構成してもよい。
(4)実施例では、不正検出手段は、下発光部の後方に位置する構成としたが、円状発光部および下発光部の照射範囲から外れた位置であれば、不正検出手段を下発光部より前方に位置させてもよい。また、不正検出手段を全ての発光部より後方に位置させることも可能である。
(5)実施例では、遊技盤を透明部材で構成したが、遊技盤をベニヤ等の不透明な部材から構成してもよい。この場合、不正検出手段を遊技盤に設けたり、遊技盤の図柄表示開口部を介して視認し得る位置に設置しても、発光部の照射範囲から外れた位置に不正検出手段を位置させることで、該不正検出手段を発見し難くし得る。
(6)実施例では、主制御装置は、外部端子板を介して前記ホールコンピュータに電気的に接続する構成とした。そして、主制御装置からのセキュリティー信号は、外部端子板を介してホールコンピュータに入力されるようになっていた(図8参照)。しかしながら、例えば、図24に示すように、外部端子板151を払出制御装置29に接続して、主制御装置31が、第3中継基板57、払出制御装置29、外部端子板151を介してホールコンピュータ59に電気的に接続する構成としてもよい。この場合、主制御装置31から出力されたセキュリティー信号は、第3中継基板57→払出制御装置29→外部端子板151を経てホールコンピュータ59に入力される。
(7)実施例では、何れの不正行為が発生した場合も、主制御装置が同一のセキュリティー信号を出力する構成とした。しかしながら、主制御装置が出力するセキュリティー信号を不正行為毎に変更して、ホールコンピュータでの表示内容が不正行為毎に異なるようにしてもよい。このように、不正行為の種類に応じたセキュリティー信号を出力すれば、ホールコンピュータにおいて、不正電波行為または不正磁気行為の何れが発生したかを管理者等が簡単に判別することができる。
(8)実施例では、断線行為や球抜行為が発生した場合にも、不正電波行為の発生時と同じように液晶表示装置等に報知させる構成とした。しかしながら、断線行為や球抜行為が生じた場合に、夫々異なる態様で報知させるようにしてもよい。例えば、断線行為が発生した場合には、液晶表示装置やスピーカに断線行為が発生した旨を報知させると共に、ランプ装置を第3の色(例えば赤色)で発光させる。また、球抜行為が発生した場合には、液晶表示装置やスピーカに球抜行為が発生した旨を表示させると共に、ランプ装置を第4の色(例えば白色)で発光させる等して、断線行為や球抜行為についても夫々判別し得るようにしてもよい。
(9)実施例では、発振検出状態で出力回路がハイレベル信号を出力し、発振非検出状態で出力回路がローレベル信号を出力する構成とし、ハイレベル信号が出力されたときに主制御装置が不正電波行為の発生を判定する構成とした。しかしながら、出力回路が出力する信号としては、発振検出状態および発振非検出状態に対応した2種類の信号であれば、如何なる信号であってもよい。例えば、実施例とは反対に、発振検出状態でローレベル信号を出力し、発振非検出状態でハイレベル信号を出力する構成としてもよい。この場合、ローレベル信号が入力されたときに、主制御装置は不正電波行為が発生したと判定する。
(10)実施例では、検出センサユニット(状態維持手段)が電波により発振非検出状態(第2状態)から発振検出状態(第1状態)に状態変化される構成とした。しかしながら、磁気により状態変化手段が第2状態から第1状態に変化される構成として、磁気によって、例えば上部始動球検出センサや下部始動球検出センサ、特別球検出センサ等を誤作動させる行為を検出し得るようにしてもよい。
(11)実施例では、状態維持手段としてパチンコ球である検出用金属球を採用したが、状態維持手段としては、発振回路の発振を停止または減衰させ得る磁性体であれば、如何なるものであってもよい。例えば、角柱状や円柱状の金属体を状態維持手段として採用し得る。
(12)実施例では、上下左右の枠部材を組み付けて中枠を構成したが、中枠を一体物で構成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
12 遊技盤
14 設置部材
31 主制御装置(制御手段)
34 遊技領域
50 発光演出装置(遊技機構成部材)
62 設置収容部
63 下発光部
64 円状発光部
109 上斜面(逃げ部)
125 不正検出装置(不正検出手段)
126 検出センサユニット(状態変化手段)
127 検出用金属球127(状態維持手段,金属球,遊技球)
130 検出口
131 検出コイル
F 発振回路
G 発振検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤を備えた遊技機において、
第1状態と第2状態とに状態変化するよう構成されると共に電磁波により第2状態から第1状態に状態変化される状態変化手段、および該状態変化手段を第2状態に維持する状態維持手段を備えた不正検出手段と、
前記状態変化手段が第1状態に状態変化されたときに不正行為があったと判定する制御手段と、
前方に向けて発光する複数の発光部とを備え、
前記不正検出手段は、前記複数の発光部の間に配置されて各発光部に隣接すると共に、各発光部の照射範囲から外れるよう構成した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記不正検出手段は、前記複数の発光部の間に位置する透明な設置収容部に設置され、該設置収容部に、発光部の照射範囲から退避する逃げ部が形成されている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技盤の後側に、遊技機構成部材が設置された設置部材が配設され、該遊技機構成部材に、前記不正検出手段および発光部が設けられている請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記状態変化手段は、検出コイルと発振回路と発振検出回路とを備え、発振回路の発振を発振検出回路が検出した第1状態と、該発振回路の発振の停止または減衰を発振検出回路が検出した第2状態とに状態変化する検出センサユニットであって、該検出センサユニットは、該検出コイルが設けられた検出口を備え、
前記状態維持手段は、前記検出口に配設されて前記発振回路の発振を停止または減衰させる金属球であり、
前記不正検出手段は、検出センサユニットの検出口が前記遊技盤に対し斜め方向に開口するよう配設される請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記状態維持手段は、遊技球である請求項1〜4の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−249707(P2012−249707A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122872(P2011−122872)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】