説明

遊技機

【課題】入賞装置を備えたパチンコ機における遊技盤裏側の構成を簡素化し、設計の自由度を確保するとともに不正行為がなされ難いパチンコ機を提供する。
【解決手段】遊技盤の遊技領域に打ち出された球が遊技盤面上に設けられた入賞領域内へ進入することを許容又は困難とする開閉体と、入賞領域内に配設され、開閉体により進入が許容された球を取り込み、取り込んだ球を入賞領域外に排出する特定領域と、特定領域に取り込まれない球を取り込み、取り込んだ球を入賞領域外に排出する外れ領域とを有する入賞装置を備え、入賞領域が、遊技盤面に打ち込まれて遊技領域を内外に区画する複数の釘により形成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に配設される入賞装置に関し、特に遊技機の遊技領域内に配設され、内部に特定領域を有する入賞装置を備えた遊技機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一例としてのパチンコ遊技機として、入賞装置(役物)の内部に形成された特別領域に球が取り込まれたことに基づいて遊技者にとって有利な遊技状態である所謂大当りを付与する形態のパチンコ機が知られている。
上記入賞装置の基本的構成としては、概略、遊技領域内に打ち出されたパチンコ球(以下、球という)を受け入れ可能な入賞空間を備えた筐体と、筐体内への球の進入を許容又は阻止する例えば一対の羽根体からなる可変部材と、筐体内に配設された誘導部材や振り分け部材等によって構成され、進入が許容された球を下流側に誘導する球誘導ルートと、球誘導ルートの下流側に設けられた特定領域及び特定領域以外の外れ領域とを備える。
入賞空間を備えた筐体は、例えばベニヤ等の合板によって形成された遊技盤に開設された前後方向に貫通する取り付け開口部内に挿入された状態で遊技盤に対して取り付けられ、筐体内に進入した球は、遊技盤の前方から裏側まで延在する入賞空間内を左右方向或いは前後方向に転動しながら最終的に下流側に設けられた特定領域又は外れ領域内に取り込まれることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−180999号公報
【0004】
しかしながら、上述のパチンコ機は、入賞空間を有する筐体が遊技盤を貫通し、遊技盤の裏側において後方に突出して配設される構成であるため、入賞空間の大きさに対応して遊技盤裏面におけるスペースが狭まり、可変部材や振り分け部材の駆動源となるソレノイドの配置や、該ソレノイドの駆動回路基板の配置が複雑化し、設計の自由度が狭まるとともに、遊技盤の裏側に配設される上記各部材に対して不正行為がされ易くなるという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決すべく、入賞装置を備えたパチンコ機における遊技盤裏側の構成を簡素化、或いは、省スペース化し、設計の自由度を確保するとともに不正行為がなされ難いパチンコ機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための遊技機の構成として、遊技盤の遊技領域に打ち出された球が遊技盤面上に設けられた入賞領域内へ進入することを許容又は困難とする開閉体と、入賞領域内に配設され、開閉体により進入が許容された球を取り込み、取り込んだ球を入賞領域外に排出する特定領域と、特定領域に取り込まれない球を取り込み、取り込んだ球を入賞領域外に排出する外れ領域とを有する入賞装置を備え、入賞領域が、遊技盤面に打ち込まれて遊技領域を内外に区画する複数の釘により形成された構成とした。
本構成によれば、入賞装置における遊技盤面上に設けられた入賞領域が、遊技盤面に打ち込まれて遊技領域を内外に区画する複数の釘により形成されたことにより、開閉体により進入が許容された球は、入賞領域に進入してから特定領域又は外れ領域に到達するまでに遊技盤面よりも裏側(後方)に転動することがない。
即ち、入賞装置の入賞領域が、遊技盤面の前方にのみ形成されたことにより、より詳細には入賞領域を形成する部材が遊技盤の裏側に突出することがないため、遊技盤の裏側に入賞領域の大きさに相当するスペースが必要なくなり、遊技盤裏側の部品配置を簡略化することができ、設計の自由度を確保し、かつ、不正行為が行われることを防止できる。
また、遊技機の他の構成として、入賞領域内における遊技盤面に形成され、開閉体により進入が許容された球を下流側に配設された特定領域又は外れ領域まで流下させる複数の誘導路を備えた構成とした。
本構成においても、複数の誘導路が入賞領域内における遊技盤面に形成されているため、遊技盤の裏側に誘導路を形成する部材が突出することがなくなり、上記構成から生じる効果を維持しつつ、入賞領域内に進入した球の動きに変化を付与することが可能となる。
また、誘導路は、遊技盤面に打ち込まれた複数の釘や、遊技盤面上に取り付けられ、遊技盤の前方に突出する板体により形成することが好適である。
また、遊技機の他の構成として、外れ領域を入賞領域の上下方向に沿って延長する同一直線上に複数設け、当該外れ領域に取り込まれた球を、遊技盤の裏面に配設され、遊技盤の上下方向に沿って延長する単一の排出通路より排出する構成とした。
本構成によれば、外れ領域を入賞領域の上下方向に沿って延長する同一直線上に複数し、外れ領域に取り込まれた球を、遊技盤の裏面に配設され、遊技盤の上下方向に沿って延長する単一の排出通路より排出する構成としたことから、遊技盤裏側における排出通路が占める割合を最小化することが可能となり、遊技盤裏側におけるスペースを一層確保することが可能となる。
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】パチンコ機の概略正面図である。
【図2】排出通路の断面図である。
【図3】パチンコ機の制御ブロック図である。
【図4】入賞装置の他の実施形態を示す拡大正面図である。
【図5】入賞装置の他の実施形態を示す拡大正面図である。
【図6】入賞装置の他の実施形態を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、入賞装置50が配置された遊技機の一例としてのパチンコ遊技機1(以下、パチンコ機1という)の概略正面図である。同図に基づいてパチンコ機1の構成を概説する。パチンコ機1は、遊技球(以下、単に球という)が打ち出される遊技領域11を有し、内枠2に対して着脱自在に取り付けられる遊技盤10と、内枠2を前後方向に開閉自在に軸支する外枠3とを備える。遊技盤10の前方には、内枠2の前後方向に開閉自在に軸支される窓2Aが設けられ、遊技盤10の前方が閉鎖される。また、パチンコ機1の下部には発射ハンドル12が回動自在に取着され、発射ハンドル12が遊技者の操作によって例えば時計周りに回動操作されることにより、内部に設けられた打ち出し機構13が駆動する。
【0010】
打ち出し機構13が駆動すると、上皿構造体14内に貯留された球が遊技盤10の盤面上に配設された内ガイドレール15及び外ガイドレール16の間の発射通路17を通って上方に打ち出され、内ガイドレール15の端部に設けられた弁体15Aを押し開けて遊技盤10の遊技領域11内に進入する。つまり、遊技盤10の遊技領域11とは、内ガイドレール15及び外ガイドレール16に囲繞された領域であって、発射通路17よりも内側の領域である。
【0011】
内枠2の周囲には、スピーカ20やLED等の装飾ランプ群22が配設される。スピーカ20及び装飾ランプ群22は、遊技における演出効果を高めるための部材であって、後述の主制御装置100により遊技の進行に沿って制御される。
【0012】
次に、遊技盤10の表面(盤面)上に配設される各種の遊技部品について説明する。遊技盤10には、遊技盤10の略中央に配設される入賞装置50を中心として、入賞装置50の両側部に配設された複数の第一始動部品30、入賞装置50の下方に配設され、遊技盤10の略中央に位置する第二始動部品35、及び、遊技盤10の最下方に配設され、入賞装置50、第一始動部品30、第二始動部品35いずれの遊技部品にも取り込まれなかった球を回収するアウト口38が設けられる。なお、図示は省略するが、遊技盤10の遊技盤面にはこの他、遊技領域11に打ち出された球を左右方向に導きながら流下させる多数の誘導釘や、風車等の遊技部品が配設されており、遊技領域11内に打ち出された球は、多数の誘導釘や風車に誘導されることにより、その流下過程において上述の遊技部品に取り込まれる。
【0013】
複数の第一始動部品30は、遊技盤10の遊技盤面より前方に突出し、上方開口の取り込み口30Aを有する取り付け基部32により構成される。取り込み口30Aは、球の直径よりも僅かに大径な開口であって、当該取り込み口30A内に取り込まれた球は、取り付け基部32の内部又は遊技盤10の裏側に形成された図外の排出通路上に設けられた後述の第一検出センサー100A;100Bによってそれぞれ検出された後にパチンコ機1の外部に排出される。
【0014】
第二始動部品35は、前記第一始動部品30と同様に、遊技盤10の遊技盤面より前方に突出し、上方開口の取り込み口35Aを有する取り付け基部37により構成される。取り込み口35Aは、球の直径よりも僅かに大径な開口であって、当該取り込み口35A内に取り込まれた球は、取り付け基部37の内部又は遊技盤10の裏側に形成された図外の排出通路に設けられた後述の第二検出センサー105によって検出された後、パチンコ機1の外部に排出される。なお、詳細は後述するが、球が複数の第一始動部品30又は第二始動部品35に取り込まれ、各検出センサー100A,100B及び105によって検出されると、入賞装置50が備える開閉体52が、例えば1回又は2回だけ開放状態となり、遊技領域11に打ち出された球が入賞装置50内に進入する機会が付与される。
【0015】
入賞装置50は、遊技盤10の盤面上に打ち込まれた複数の釘によって形成された入賞領域50Aと、入賞領域50Aの上部に配設され、遊技領域11内に打ち出された球の入賞領域50A内への進入を阻止又は許容する開閉体52と、入賞領域50A内に設けられた複数の特定領域60A乃至60C、及び、複数の非特定領域(外れ領域)80A;80Bとを備える。以下、入賞装置50の構成について順を追って説明する。
【0016】
本実施形態に係る入賞装置50の入賞領域50Aは、遊技盤10の盤面上に打ち込まれた複数の釘によって形成される。複数の釘は、遊技盤10の中央方向から外側方向に向かって下傾して延在する第一釘群40A;40Aと、第一釘群40A;40Aの最外に位置する釘と接続し、遊技盤10の垂直方向に延在する第二釘群40B;40Bと、第二釘群40B;40Bの最下部に位置する釘と接続し、遊技盤10の外側方向から中央方向に向かって下傾して延在する第三釘群40C;40Cとからなり、入賞領域50Aを正面視略六角形の形状として形成する。
【0017】
また、各釘群40A乃至40Cを構成する複数の釘は、その間隔が球1個分の直径よりも狭い間隔で打ち込まれており、遊技領域11に打ち出された球が、各釘の間から入賞領域50A内に進入することが不可能とされる。また、窓2Aが閉じられた状態において、各釘群40A乃至40Cを構成する複数の釘の頭部と窓2Aの間隔は、前記同様、球1個分の直径よりも狭い間隔で打ち込まれており、遊技領域11に打ち出された球が、各釘群40A乃至40Cの前方を通過することはできず、入賞領域50A内に進入することが不可能とされる。また、各釘群40A乃至40Cを構成する複数の釘の先端部は、遊技盤10の厚さ内で終端しており、先端部が遊技盤10の裏側に突出することはない。
つまり、本実施形態に係る入賞領域50Aは、遊技盤10の盤面に打ち込まれ、遊技領域11を内外に区画する複数の釘により形成されており、遊技領域11における複数の釘(釘群40A乃至40C)の内側の領域が入賞装置50の入賞領域50Aとして形成される。
【0018】
入賞領域50Aを形成する釘群40A;40Aの間には、開閉体52が配設される。開閉体52は、釘群40A;40Aの最内に位置する釘の間に配設された遊技部品であって、遊技領域11に打ち出された球の入賞領域50A内への進入を許容又は困難な状態とする。
詳細には、開閉体52は、一対の羽根部52A;52Aを有しており、羽根部52A;52Aは遊技盤10の裏側に配設された後述のソレノイド120の動作により、実線で示す直立状態(閉鎖状態)と、上端部が遊技盤10の外側に傾斜した仮想線で示す傾斜状態(開放状態)との2つの状態をとり得る部品である。また、一対の羽根部52A;52Aの上方には、開閉体52が閉鎖状態である場合における球の進入を阻止する釘群53が遊技盤10の盤面上に打ち込まれる。釘群53は、遊技盤10の中央部から外側方向に下傾して延在し、最外に位置する釘53A;53Aと、閉鎖状態にある羽根部52A;52Aとの間隔が球1個分の直径よりも狭くなるように配置される。また、釘群53を構成する複数の釘の間隔も同様に球1個分の直径よりも狭くなるように打ち込まれる。つまり、開閉体52が閉鎖状態である場合、遊技領域11内に打ち出された球は、開閉体52が閉鎖状態であることにより、入賞領域50Aへの進入が阻止され、入賞領域50A内に進入することなく遊技領域11を流下する。なお、本実施形態においては、開閉体52が閉鎖状態である場合に入賞領域50Aへの進入を阻止するものとしたが、釘の間隔等を調整することにより、進入する可能性を僅かに残しておき、入賞を限りなく困難な形態としてもよい。
【0019】
釘群53の釘53A;53Aの外側には、球1個分の直径よりも広い間隔を持って遊技盤10の盤面に打ち込まれる釘54;54が配置される。釘54;54は、開放状態にある羽根部52A;52Aの先端部と近接する位置に設けられた釘である。つまり、開閉体52が開放状態である場合、遊技領域11内に打ち出された球は、開閉体52が開放状態であることにより、入賞領域50Aへの進入が許容され、入賞領域50A内に進入した球は、入賞領域50A内を流下する。
【0020】
次に、入賞領域50A内に配設された部品について説明する。入賞領域50A内には、入賞検出部60、振り分け部62、誘導通路63、複数の特定領域60A乃至60C及び複数の非特定領域80A;80Bが設けられる。入賞検出部60は、前記開閉体52の直下に配設される上下開口の通過型のチャッカーであって、内部に後述の入賞検出センサー107が設けられる。開閉体52によって進入が許容された球は、全て入賞検出部60を通過することにより入賞検出センサー107によって検出され、入賞領域50A内に進入(入賞)したことに対する対価としての賞球が払い出される。
【0021】
入賞検出部60の直下には、振り分け部62が配設される。振り分け部62は、一対の橋体62A;62Aにより構成される。橋体62A;62Aは非駆動時において遊技盤10の側方に延在する板体であって、開閉体52と同様に遊技盤10の裏側に配設された後述のソレノイド130の駆動により、仮想線L1,L2で示す2つの状態に変位する。
仮想線L1で示す振り分け部62は、橋体62A;62Aが遊技盤10の外側から中央に向かって下傾した状態であって、入賞検出部60を通過した球を下方に配設された非特定領域80Aの方向へ誘導する。一方、仮想線L2で示す振り分け部62は、橋体62A;62Aが遊技盤10の中央から外側に向かって下傾した状態であって、入賞検出部60を通過した球を誘導通路63の方向へ誘導する。このように、振り分け部62は、入賞領域50A内に進入し、入賞検出部60によって検出された球を非特定領域80A又は誘導通路63に振り分ける機能を有しており、所定の間隔で傾斜方向が切り替えられることにより、球の流下方向を変更する部材である。
【0022】
誘導通路63は、遊技盤10の盤面から前方に向かって立ち上がる複数の板体65Aにより形成される。板体65Aは、例えば合成樹脂からなる薄板状であって、遊技盤10の盤面と接する先端面が接着剤や図外の固定手段により固定され、前方に突出する先端部が窓2Aの表面と対向する。また、誘導通路63には、複数の流路R1乃至流路R4が形成される。
【0023】
流路R1;R2は、誘導通路63の一方の側に形成される流路であって、一方の橋体62Aが仮想線L2で示す状態となった場合に球が誘導される流路である。流路R1;R2が左右方向に分岐する部分には、遊技盤10の盤面上に風車等の誘導部品が配設されており、当該誘導部品によって球が流路R1又は流路R2に振り分けられる。流路R1側に振り分けられた球は、略L字状に延在する流路R1に沿って流下し、球の勢いに応じて例えば矢印で示す二方向に排出される。流路R2に振り分けられた球は、さらに分岐する流路の上流側に配設された誘導部材によって、いずれかの流路に振り分けられ、一方の流路に振り分けられた球が特定領域60Aに取り込まれ、他方の流路に振り分けられた球が矢印で示す方向に排出される。
【0024】
流路R3;R4は、誘導通路63の他方の側に形成される流路であって、他方の橋体62Aが仮想線L2で示す状態となった場合に球が誘導される流路である。流路R3;R4が側方に分岐する部分には、前記同様、遊技盤10の盤面上に風車等の誘導部品が配設されており、当該誘導部品によって球が流路R3又は流路R4に振り分けられる。流路R3側に振り分けられた球は、略垂直状に延在する流路R3に沿って流下し、矢印で示す方向に排出される。流路R4に振り分けられた球は、さらに分岐する流路の上流側に配設された誘導部材によって、いずれかの流路に振り分けられ、一方の流路に振り分けられた球が特定領域60Cに取り込まれ、他方の流路に振り分けられた球が矢印で示す方向に排出される。
【0025】
次に、特定領域60A乃至60Cについて説明する。特定領域60A乃至60Cは、前述の第一始動部品30及び第二始動部品35と同様に、球の直径よりも僅かに大径な上方開口の取り込み口を有する取り付け基体により構成され、遊技盤10の盤面上に接着剤等の固定手段により固定されている。
【0026】
特定領域60Aは、流路R2上で分岐する一方の流路の下流側に配設され、当該特定領域60Aに取り込まれた球は、取り付け基体の内部に設けられた後述の大当り検出センサー110Aによって検出された後にパチンコ機1の外部に排出される。特定領域60Bは、流路R2上で分岐する他方の流路の下方に配設され、当該特定領域60Bに取り込まれた球は、取り付け基体の内部に設けられた大当り検出センサー110Bによって検出された後にパチンコ機1の外部に排出される。特定領域60Cは、流路R4上で分岐する他方の流路の下流側に配設され、当該特定領域60Cに取り込まれた球は、取り付け基体の内部に設けられた大当り検出センサー110Cによって検出された後にパチンコ機1の外部に排出される。なお、球が特定領域60A乃至60C内に取り込まれたことによって実行される大当り遊技の詳細については後述する。
【0027】
入賞領域50A内に進入し、かつ、特定領域60A乃至60C内に取り込まれなかった球は、特定領域60A乃至60C以外に設けられた非特定領域80A又は80Bに取り込まれる。非特定領域80A;80Bは、前記特定領域60A乃至60Cと同様に、上方が開口した取り込み口を有する取り付け基体により構成される。当該非特定領域80A又は80Bに取り込まれた球は、遊技盤10の裏側に配設された単一の排出通路70上に設けられた後述の排出検出センサー115によって検出された後にパチンコ機1の外部に排出される。
非特定領域80Aは、非特定領域80Bの鉛直線上に配置され、かつ、誘導通路63の一方側と他方側との間に配設される。また、非特定領域80Aは、橋体62A;62AがL1で示す状態となったときの中央直下に位置しており、橋体62A;62AがL1で示す状態であるときに入賞領域50A内に進入した球を全て受け入れ可能に設けられる。
つまり、橋体62A;62AがL1で示す状態であるときに入賞領域50A内に進入した球は、誘導通路63に誘導されることなく、非特定領域80Aによって取り込まれる。
非特定領域80Bは、入賞領域50A内における最も下流側に位置し、誘導通路63内に進入し、かつ、いずれの特定領域60A;60B;60Cにも取り込まれなかった全ての球を取り込み可能に設けられる。
【0028】
以上のとおり、本実施形態に係る入賞領域50A内には、特定領域60A乃至60Cと、非特定領域80A;80Bとの複数の領域が設けられており、入賞領域50A内に進入した球は、上記いずれかの領域に取り込まれた後に、入賞領域50Aより排出される。また、入賞領域50Aは、上述のとおり、遊技盤10の盤面と遊技領域11を内外に区画する釘群40A乃至40Cによって形成されているため、開閉体52を経て入賞領域50A内に進入した球は、遊技盤10の盤面よりも後方に向かって転動することなく上記各領域に取り込まれることとなる。つまり、本実施形態における入賞領域50Aは、遊技盤10の盤面上、より詳細には盤面より前方の空間内に形成されているため、従来のパチンコ機における入賞領域と比較して、遊技盤10の裏側に入賞領域を形成するための部材等が突出することがなくなり、遊技盤10の裏側を省スペース化することが可能となる。
【0029】
次に、図2を参照して遊技盤10の裏側に配設された排出通路70の構成について説明する。図2は、図1のA−A断面図である。同図に示すように排出通路70は、遊技盤10の裏面に対して取り付けられるアクリル等の樹脂により成形された流路であって、本実施形態においては、単一の排出通路70により、特定領域60B、非特定領域80A及び80Bに取り込まれた球を一括して下流側に誘導する。また、排出通路70の下流側には、図外の集合樋が設けられており、排出通路70を経た球は、集合樋に集められた後にパチンコ機1の外部に排出される。
また、排出通路70の内部には、特定領域60Bと対応する位置に、特定領域60Bに取り込まれた球を検出する大当り検出センサー110Bが取り付け部を介して設けられ、該大当り検出センサー110Bによって球が特定領域60Bに取り込まれたことが検出される。また、排出通路70には、非特定領域80Bよりも下流側の位置に、排出通路70を流下する球、即ち、特定領域60B、非特定領域80A;80Bに取り込まれた球を検出する排出検出センサー115が取り付け部を介して設けられ、該排出検出センサー115によって球が入賞領域50A内から排出されたことが検出される。
さらに排出通路70における排出検出センサー115よりも上流側には、特定領域60A;60Cに取り込まれ、対応する大当り検出センサー110A;110Cによって検出された球が合流する合流部が設けられる。つまり、排出検出センサー115は、入賞領域50Aに進入した全ての球を検出可能に設けられる。
【0030】
以上のとおり、本実施形態における排出通路70は、互いに円直線上に位置する非特定領域80A;80Bと対応するように垂直方向に延在しているため、複数の領域が存在する場合であっても少ないスペースで入賞領域50Aから誘導された球を速やかに排出することが可能となる。
【0031】
以下、図1,図3を参照してパチンコ機1の遊技の流れについて概説する。図3は、パチンコ機1の制御ブロック図である。当該ブロック図は、後述する他の実施形態においても共通するものである。同図に示すように、パチンコ機1は、遊技全般を制御する主制御装置100と、主制御装置100から出力される演出コマンドに基づいてスピーカ20や装飾ランプ群22等を駆動制御する演出制御装置200、賞球の払出し動作を実行する払出制御装置300及び球の打ち出し動作を制御する球発射制御装置400とを備える。
主制御装置100及び演出制御装置200は、演算手段としてのCPUや、CPUを動作させる制御プログラムが格納されたROMや、CPUの動作に必要なデータ等を一時的に記憶可能なRAM等の記憶手段、及び、外部機器との通信を可能とする入出力インターフェース等の通信手段とを有しており、入力側に接続された各センサーからの入力に基づき、出力側に接続された機器を制御する。
【0032】
主制御装置100の入力側には、図外のインターフェースを介して上述の第一検出センサー100A;100B、第二検出センサー105、入賞検出センサー107、大当り検出センサー110A乃至110C及び排出検出センサー115が接続される。また、主制御装置100の出力側には、上述の各制御装置の他、開閉体52を開閉動作させるソレノイド120、振り分け部62を動作させるソレノイド130及び図外の複数のランプ等からなる表示器が接続される。なお、主制御装置100には、この他、図外の電源供給装置や遊技店等に遊技情報を送信可能な外部通信装置が接続されている。
【0033】
以下、上記パチンコ機1における基本的な制御について説明する。まず、遊技状態が大当り遊技ではない通常遊技である場合に球が遊技領域11内に打ち出され、遊技領域11内を流下する球が、第一始動部品30又は第二始動部品35に取り込まれ、対応する第一検出センサー100A;100B及び第二検出センサー105によって検出されると、主制御装置100は、各検出センサーからの入力に基づいてソレノイド120に対して駆動信号を出力し、開閉体52を閉鎖状態から開放状態へと変位させた後、所定時間経過後に再び閉鎖状態へと変位させ、所定時間の間だけ球の入賞領域50Aへの進入を許容する。
開閉体52の開放回数は、例えば球が第一始動部品30に取り込まれた場合は1回、第二始動部品35に取り込まれた場合は2回として予め設定されている。また、1回の開放時間は例えば0.5〜0.8秒程度に設定されている。なお、開放回数についてはこの他、第一検出センサー100A;100B及び第二検出センサー105からの入力に基づいて取得される乱数によって決定する構成としてもよい。
また、主制御装置100は、各検出センサーからの入力に基づいてソレノイド130に対して駆動信号を出力し、振り分け部材62を構成する橋体62A;62Aを仮想線L1に示す位置に変位させた後、L2に示す位置に変位させ、再び元の水平方向の位置に変位させる。これにより、入賞領域50Aへの進入タイミングによって球が非特定領域80A又は誘導通路63の方向に振り分けられる。
【0034】
主制御装置100は、上記ソレノイド120;130の制御と共に、第一検出センサー100A;100B及び第二検出センサー105からの入力に基づいて演出制御装置200に対して演出制御コマンドを送信する。演出制御コマンドを受信した演出制御装置200は、演出制御コマンドの種別に応じてスピーカ20やランプ群22を駆動し、球が第一始動部品30又は第二始動部品35に取り込まれたことを報知する演出を実行する。
【0035】
また、主制御装置100は、第一検出センサー100A;100B或いは第二検出センサー105からの入力に基づいて払出制御装置300に対して払出しコマンドを送信する。払出しコマンドを受信した払出制御装置300は、払出コマンドに含まれる賞球個数情報に基づいて図外の払出し機構を駆動し、対価としての賞球を遊技者に対して払い出す動作を実行する。なお、賞球個数は例えば3個又は5個として予め設定されている。
【0036】
主制御装置100は、通常遊技の実行中に開閉体52が開放状態となり、球が入賞領域50A内に進入し、入賞検出センサー107によって検出されると、入賞検出センサー107からの入力に基づいて払出制御装置300に対して払出しコマンドを送信する。当該払出しコマンドに含まれる賞球個数情報は、例えば10個として予め設定されている。また、主制御装置100は、入賞検出センサー107からの入力に基づいて図外のハードウェアとして設けられた計数カウンタの値を加算する。計数カウンタは、入賞領域50A内に球が残存しているか否かを検出するカウンタであって、入賞検出センサー107からの入力に基づいて加算された計数カウンタの値は、球が排出検出センサー115によって検出されたことに基づいて減算される。主制御装置100が当該カウンタを備えることにより、入賞領域50A内に進入した球の管理を容易に行うことができる。例えば入賞検出センサー107の入力から所定時間経過後に排出検出センサー115からの入力が無い場合には、入賞領域50A内における球詰まりを検出することができる。また、入賞検出センサー107の入力がないにも関わらず、排出検出センサー115からの入力があった場合、球が不正な行為により入賞領域50A内の各領域に取り込まれたことを検出することができる。
【0037】
入賞領域50A内に進入した球が、誘導通路63によって下流側に誘導され、いずれかの特定領域60A乃至60Cに取り込まれた場合、主制御装置100は、大当り検出センサー110A乃至110Cからの入力に基づいて大当り遊技を実行する。ここで、大当り遊技とは、開閉体52を開放状態として、球が入賞領域50A内に進入する確率を通常遊技と比較して高くする遊技者にとって有利な遊技状態である。
【0038】
具体的には、大当り遊技において主制御装置100は、ソレノイド120を連続的に駆動して、開閉体52が例えば18回開放状態となるか、或いは、入賞領域50A内に進入し、入賞検出センサー107によって例えば10個の球が検出されるかのうち、いずれか早い方の条件が成立までソレノイド120を駆動し、球が入賞領域50A内に容易に進入可能な状態を醸成する。また、当該1回のサイクル(ラウンド)の継続回数は、複数設けられた特定領域60A乃至60Cの種別によって予め設定される。例えば、球が特定領域60Aに取り込まれ、大当り検出センサー110Aの入力に基づいて開始される大当り遊技における最大ラウンド継続回数は、例えば16ラウンドとして設定されており、球が特定領域60Bに取り込まれた場合に大当り検出センサー110Bの入力に基づいて開始される大当り遊技における最大ラウンド継続回数が例えば5ラウンド、球が特定領域60Cに取り込まれた場合に大当り検出センサー110Cの入力に基づいて開始される大当り遊技における最大ラウンド継続回数が例えば8ラウンドとしてそれぞれ設定される。つまり、本実施形態におけるパチンコ機1は、複数設けられた特定領域60A乃至60Cの種別に応じて大当り遊技における最大ラウンド継続回数が異なる遊技機である。
なお、大当り遊技中において振り分け部62を構成する一対の橋体62A;62AはL1に示す位置で維持される。これにより、入賞検出センサー107によって検出された球は非特定領域80Aを経て速やかに入賞領域50Aから排出される。
【0039】
上記大当り遊技が実行されることにより、遊技領域11内に打ち出された球は、相対的に短い時間の間に入賞領域50A内に進入し、入賞検出センサー107によって検出されるため、遊技者は短時間のうちに多量の賞球を得ることが可能となる。なお、主制御装置100は、大当り遊技中において演出制御装置200に演出コマンドを送信し、演出制御装置200を介して遊技者に対して大当り遊技中であることを報知し、遊技を盛り上げるような演出を実行する。上記大当り遊技が終了すると、主制御装置100は、遊技状態を通常遊技へと変更し、再び通常遊技において実行される上述の制御を行う。
一方、入賞領域50A内に進入した球が、誘導通路63によって下流側に誘導され、いずれの特定領域60A乃至60Cにも取り込まれることなく非特定領域80A;80Bに取り込まれた場合は、大当り遊技が開始されることはなく、取り込まれた球は外れ球として外部に排出される。
【0040】
以下、図4乃至図6を参照して、入賞領域50Aを有する入賞装置50の異なる実施形態について説明する。なお、各図において上述の実施形態と同様の構成については同一符号を用い、その説明を省略する。図4は、異なる実施形態に係る入賞装置50を示す拡大正面図である。同図における入賞装置50は、上述の実施形態における誘導通路63が、遊技盤10の盤面に打ち込まれた複数の釘によって形成された点で異なる。誘導通路63を構成する各釘における遊技盤10の盤面側の先端部は遊技盤10内において終端しており、遊技盤10の裏側に突出することはない。また、誘導通路63を構成する複数の釘は、互いの間隔が球の直径よりも狭い間隔となるように打ち込まれており、誘導通路63内の球が釘の間から排出されることはない。
【0041】
誘導通路63には、前述の実施形態と同様に、複数の流路R1乃至流路R4が形成される。
流路R1側に振り分けられた球は、下流側の端部から下方に排出される。流路R1から排出された球は、流路R1よりも下方に打ち込まれた釘群85によって遊技盤10の中央方向に誘導されながら流下する。釘群85は、概ね遊技盤10の外側から中央方向に向かって下傾するように配列された釘であって、流路R1より排出された球に特定領域60Bへ取り込まれる機会を付与する。つまり、球が流路R1から排出された場合であっても、釘群85を形成する釘の間から矢印で示す方向に通過しない限り、特定領域60Bに取り込まれる可能性が残されている。なお、流路R2;R3の形態については前述の実施形態に係るものと同様であるので説明を省略する。
【0042】
流路R4に振り分けられた球は、さらに分岐する流路の上流側に配設された誘導部材によって、いずれかの流路に振り分けられ、前述の実施形態とは異なる他方の流路に振り分けられた球が特定領域60Cに取り込まれ、一方の流路に振り分けられた球が矢印で示す方向に排出される。
【0043】
以上説明したとおり、本実施形態における誘導通路63は、遊技盤10の盤面に打ち込まれた複数の釘により構成されており、誘導通路63をこのように構成しても、遊技盤10の裏側に入賞領域50Aを形成するための部材が突出することはなく、遊技盤10の裏側のスペースを確保することが可能となる。
【0044】
また、図5に示すように、誘導通路63の形態は、上述した2つの実施形態に限られるものではなく、合成樹脂よりなる板体65Aや複数の釘を採用し、多様、かつ、複雑な流路を形成した構成とすることも可能である。
例えば、誘導通路63を図5に示すような複数の流路とすれば、入賞領域50A内に進入した球の動きが複雑なものとなり、球が大当り遊技を発生する契機となる特定領域60A乃至60Cに取り込まれるまでの緊張感や期待感を効果的に向上させることが可能となる。本実施形態においても誘導通路63を形成する各釘は遊技盤10内において終端しており、遊技盤10の裏側に釘が突出することはない。
【0045】
次に図6を参照し、入賞装置50の他の実施形態について説明する。
同図に示すように、入賞装置50の誘導通路63は、合成樹脂からなる複数の板体90;90と、板体90;90の内側に位置し、板体90;90と球の直径以上の間隔を持って楕円状に延在する板体92と、板体92の下方において遊技盤10の左右方向に沿って弧状に延在する板体94、及び、板体94の下方において遊技盤10の左右方向に沿って弧状に延在する板体96とにより構成される。各板体90乃至96は、前述の実施形態と同様に遊技盤10と接する先端面が接着剤や図外の固定手段により固定され、前方に突出する先端部が窓2Aの表面と対向する。また、板体94を除く板体90、板体92及び板体96の前方に突出する先端部と窓2Aとの間隔は球の直径よりも狭く板体90、板体92及び板体96よりも前方側を球が通過することはない。
【0046】
板体90;90は、遊技盤10の中央から外側に向かって下傾する傾斜部90Aと、傾斜部90Aの外側端と接続し、垂直方向に延在する垂直部90Bとを有する。また、板体90;90における傾斜部90Aの間には、上述した入賞検出部60が設けられ、入賞領域50A内に進入した球が検出される。板体92は、板体90;90の内側中央部において横長な楕円状であって、互いに対向する板体90の傾斜部90A及び垂直部90Bとの間で球が通過可能な流路R1;R2を形成する。また、板体92の上部には、切欠きとして形成された取り付け部が設けられ、当該取り付け部を介して振り分け部材91が配設される。振り分け部材91は、遊技盤10の側方に延在する板状体であって、遊技盤10の裏側に配設された図外のモータやソレノイドの駆動により、矢印で示す方向にシーソー動作する遊技部品である。当該振り分け部材91のシーソー動作により、入賞検出部60によって検出された球は、流路R1又は流路R2いずれかの方向に振り分けられて下流側に誘導される。
【0047】
板体94は、板体92の下部と球の直径以上の間隔をもって、遊技盤10の左右方向に沿って下向きな弧状となるように配設される。また、板体94の前方に突出する先端部と窓2Aとの間隔は球の直径よりも広く、板体94上を転動する球は、板体94上に形成された複数の誘導路94A乃至94Dを介して下方に位置する板体96上に誘導される。
複数の誘導路94A乃至94Dは、下方に窪み、かつ、後方から前方に向けて僅かに下傾する部位であって、勢いの弱まった球が当該誘導路94A乃至94Dを介して下方に誘導される。
【0048】
板体94の最深部に対応する位置には、非特定領域80Aが設けられる。本実施形態における非特定領域80Aは、遊技盤10に開設された排出口97と、排出口97の開口を閉塞又は開放する進退部材98とにより構成される。排出口97は、遊技盤10の前方に開口し、板体94の最深部に到達した球を前方から取り込む。進退部材98は、遊技盤10の裏側に配設された図外のソレノイドの動作により排出口97内を前後方向に進退動作する部材である。進退部材98の先端部が排出口97の開口と面一な状態である場合において、球は排出口97に進入することができない。一方、ソレノイドが駆動し、進退部材98が後方に退避した状態においては、球は排出口97内に進入可能となり、排出口97から取り込まれた球は、遊技盤10の裏側に配設された排出通路70を経由して外部に排出される。進退部材98を進退動作させるソレノイドは、主制御装置100によって一定の周期又はランダムに駆動され、そのタイミングによって板体94上を転動する球は、排出口97から排出されるか、誘導路94A乃至94Dを介して下方の板体96に誘導される。
【0049】
板体94の下方に配設された板体96は、遊技盤10の左右方向に沿って下向きの弧状として延在する弧状部96Aと、弧状部96Aの両側部と接続し、垂直方向に延在する垂直部96B;96Bとを有する。弧状部96Aは、上方の板体94から誘導された球を最深部に設けられた特定領域60Aに誘導する部材である。本実施形態における特定領域60Aは、弧状部96Aの中央最深部における底面と面一となるように設けられ、弧状部96A上に到達した球を取り込む。取り込まれた球は、前述の大当り検出センサー110Aによって検出された後、排出通路70を経て外部に排出される。
【0050】
垂直部96B;96Bは、板体90;90の垂直部90Bと球の直径以上の間隔をもって対向する部材であって、板体94上に到達しなかった球を下方に位置する釘群40C側に向けて流下させる排出路を形成する。流路R1;R2における板体94と排出路とが分岐する位置には、風車等の振り分け部材が配設されており、流路R1;R2を流下する球が板体94方向、又は、垂直部90B;96Bによって形成された排出路R3方向に振り分けられる。
【0051】
排出路R3から排出された球は、釘群40C:40Cの間に設けられた非特定領域80Bに取り込まれる。非特定領域80Bは、遊技盤10の外側から中央方向に向かって下傾する釘群40C;40Cの最深部に設けられる。また、非特定領域80Bは、前述の実施形態と同様に、上方に位置する非特定領域80Aと鉛直線上に設けられており、非特定領域80Bに取り込まれた球は、単一の排出通路70を経て外部に排出される。
【0052】
次に、本実施形態における大当り遊技に関し、上述の実施形態における大当り遊技と異なる点について概説する。入賞領域50A内に進入した球が板体94に到達し、さらに複数の誘導路94A乃至94Dを介して下方に位置する板体96上に誘導され、板体96に設けられた特定領域60Aに取り込まれると、主制御装置100は、大当り検出センサー110Aからの入力に基づき、大当り遊技を開始する。
【0053】
具体的には、主制御装置100は、大当り検出センサー110Aからの入力に基づき図外の乱数カウンタから1つの乱数を取得し、当該乱数に対応する最大貯留継続回数を決定する。本実施形態における最大貯留継続回数は、例えば16ラウンド、8ラウンド、5ラウンドの複数の最大貯留継続回数が設定されており、取得した乱数に対応する最大貯留継続回数が決定される。大当り遊技が開始されると、主制御装置100は、ソレノイド120を連続して駆動し、開閉体52が例えば18回開放状態となるか、入賞検出センサー107によって10個の球が検出されるかのうち、いずれか早い方の条件が成立するまで1ラウンドを継続する。また、主制御装置100は、1ラウンド中に開閉体52が10回開放するまで非特定領域80Aを構成する進退部材98を非作動状態に維持し、板体94上に到達した球が排出口97に取り込まれない状態とする。
【0054】
球が排出口97に取り込まれない状態が継続すると、仮想線で示すように板体94上に誘導された後続の球は板体94上において徐々に数珠繋ぎの状態となり、複数の誘導路94A乃至94Dから下方の板体96側に誘導され易くなり、1ラウンド中に特定領域60Aに取り込まれる可能性が高くなる。つまり、進退部材98を非作動状態に維持することにより、球を板体94上に貯留する貯留状態を醸成し、球が特定領域60Aに取り込まれる可能性を向上させる。また、当該貯留状態がいずれのラウンドまで継続するかは、前述の最大貯留継続回数に基づいて決定されており、例えば最大貯留継続回数が5回である場合、1ラウンド目から5ラウンド目までは、貯留状態が醸成されるが6ラウンド目以降のラウンドからは貯留状態で醸成されることはなく、進退部材98が一定周期又はランダムに退避動作し、板体94上の球が排出口97に取り込まれる。
【0055】
主制御装置100は、1ラウンド終了時点においてラウンド中に球が特定領域60Aに取り込まれたこと、即ち大当り検出センサー110Aからの入力があったことに基づいて次回のラウンドを継続して繰り返す。換言すれば、1ラウンド終了時点において球が特定領域60Aに取り込まれなかった場合、次回のラウンドは開始されず、大当り遊技は当該ラウンドで終了する。また、本実施形態において最大ラウンド継続回数は16ラウンドとして設定されており、各ラウンド中に球が特定領域60Aに取り込まれ続ける限り、16ラウンドまで継続する。
【0056】
以上、各実施形態を通じて説明したとおり、本発明に係るパチンコ機1の入賞装置50は、入賞領域50Aが遊技盤10の盤面より前方に設けられており、入賞領域50Aを形成するための部材が遊技盤10の裏側に突出しないため、遊技盤10の裏側に入賞領域50Aの大きさに相当するスペースが必要なくなり、遊技盤10裏側の部品配置を簡略化することができ、設計の自由度を確保し、かつ、不正行為が行われることを防止できる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態に多様な変更、改良を加え得ることは当業者にとって明らかであり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0058】
1 パチンコ機、10 遊技盤、11 遊技領域、30 第一始動部品、
35 第二始動部品、40A 第一釘群、40B 第二釘群、40C 第三釘群、
50 入賞装置、50A 入賞領域、52 開閉体、52A 羽根部、53 釘群、
60 入賞検出部、60A〜60C 特定領域、62 振り分け部、62A 橋体、
63 誘導通路、65A 板体、70 排出通路、
80A;80B 非特定領域(外れ領域)、100 主制御装置、
100A,100B 第一検出センサー、105 第二検出センサー、
110A〜110C 大当り検出センサー、115 排出検出センサー、
R1〜R4 流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の遊技領域に打ち出された球が遊技盤面上に設けられた入賞領域内へ進入することを許容又は困難とする開閉体と、
前記入賞領域内に配設され、前記開閉体により進入が許容された球を取り込み、取り込んだ球を入賞領域外に排出する特定領域と、
前記特定領域に取り込まれない球を取り込み、取り込んだ球を入賞領域外に排出する外れ領域と、
を有する入賞装置を備えた遊技機であって、
前記入賞領域が、遊技盤面に打ち込まれて前記遊技領域を内外に区画する複数の釘により形成されたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記入賞領域内における前記遊技盤面に形成され、前記開閉体により進入が許容された球を下流側に配設された前記特定領域又は外れ領域まで流下させる複数の誘導路を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記誘導路が前記遊技盤面に打ち込まれた複数の釘により形成されたことを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記誘導路が前記遊技盤面上に取り付けられ、遊技盤の前方に突出する板体により形成されたことを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項5】
前記外れ領域を前記入賞領域の上下方向に沿って延長する同一直線上に複数設け、
当該外れ領域に取り込まれた球を前記遊技盤の裏面に配設され、遊技盤の上下方向に沿って延長する単一の排出通路より排出することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−59543(P2013−59543A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200829(P2011−200829)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】