運搬具になるフェンス柱
【課題】避難場所になる公園や河川敷等のフェンスに使用され、災害等の緊急時に直ちに担架や資材運搬具として役立てることが可能なフェンス柱を提供する。
【解決手段】地中に形成した基礎部に抜き差し可能に立設できる筒状の柱本体2と、柱本体2の外側面に設けられシャックルを設けた固定具4を介してフェンスの面材を着脱可能に取付けるための嵌合溝3と、柱本体2の内側空間部に収納できるシート材5とを備え、通常時は地中に形成した基礎部に立設してネット等のフェンス面材を取付けてフェンス柱として使用し、緊急時に、基礎部から抜出した2本の柱本体2の嵌合溝3に、シート材5の両端部を固定具4を介して取付けることにより、簡単に担架や資材運搬具にもなる運搬具20を組み立てられる構成とした。
【解決手段】地中に形成した基礎部に抜き差し可能に立設できる筒状の柱本体2と、柱本体2の外側面に設けられシャックルを設けた固定具4を介してフェンスの面材を着脱可能に取付けるための嵌合溝3と、柱本体2の内側空間部に収納できるシート材5とを備え、通常時は地中に形成した基礎部に立設してネット等のフェンス面材を取付けてフェンス柱として使用し、緊急時に、基礎部から抜出した2本の柱本体2の嵌合溝3に、シート材5の両端部を固定具4を介して取付けることにより、簡単に担架や資材運搬具にもなる運搬具20を組み立てられる構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスの面材を取付けるフェンス柱に関し、特に、緊急時等に担架にもなり資材運搬用としても使用できるようにしたフェンス柱に関する。
【背景技術】
【0002】
フェンス柱の主な使用場所は、公園、河川敷、校庭、多目的広場等である。このような場所はフェンスが設けられていることが多く、ネット等の面材を取付けるために多くのフェンス柱が使用されている。しかし、フェンスに使用される従来のフェンス柱は、単に面材を支持するためだけのものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−101029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、災害時には担架を必要とすることが多いが、常時使用しない担架は倉庫等に保管されており、折りたたみ式やベッドパット式等コンパクトになるものがあるが、保管時にかさばることから保管できる台数も限られる。このため、前述した公園、河川敷、校庭、多目的広場等は災害時の避難場所になっていることが多いが、担架が必要になった時に直ちに用意できなかったり、数が不足したりすることが考えられる。また、このような雛場所等では緊急資材の運搬作業等も多く、多数の運搬具が必要である。
【0004】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、災害等の緊急時に直ちに人間や資材の運搬用に役立てることが可能な運搬具になるフェンス柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1の発明の運搬具になるフェンス柱は、地面に形成した基礎部に抜き差し可能に立設する少なくとも上端開口の筒状の柱本体と、該柱本体の外側面に設けられてフェンスの面材を着脱可能に取付ける取付け部と、前記柱本体の内側空間部に取出し可能に収納され前記取付け部に取付け可能なシート材と、を備えて構成したことを特徴とする。
【0006】
かかる構成では、フェンス柱に取付けてあるネット等の面材を取付け部から外し、フェンス柱を基礎部から抜取る。抜取った2本のフェンス柱を運搬具の支持棒として利用し、フェンス柱に収納されているシート材を広げて取付け部に取付ける。これにより、災害時等において簡単に担架にもなり資材の運搬にも利用できる運搬具を組み立てることができる。
【0007】
請求項2のように、前記取付け部は、前記柱本体の外側面の上下方向に形成した嵌合溝とするとよい。この場合、請求項3のように、前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に芯材を縫込んでガイド部を形成し、該ガイド部を前記嵌合溝に嵌合して柱本体に取付ける構成とするとよい。また、請求項4のように、前記ガイド部は、前記芯材を縫込んだシート材両端部外側を枠部材で覆う構成とするとよい。
【0008】
請求項5のように、前記嵌合溝に、当該嵌合溝の上下方向にスライド可能で嵌合溝の任意の位置に固定可能な固定具を介して前記シート材を取付ける構成としてもよい。
前記固定具は、請求項6のように、前記嵌合溝にスライド可能に嵌合する嵌合部材と、該嵌合部材に固定したシャックルと、前記嵌合部材を前記嵌合溝の任意の位置に固定する締結具と、を備える構成とするとよい。この場合、請求項7のように、前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に紐部材を縫込み、該縫込み部に、前記紐部材を適宜の間隔を設けて露出させるための穴部を複数形成して構成し、運搬具として使用する際に、前記両端部の前記紐部材の露出部分を前記固定具のシャックルに取付けるようにするとよい。
【0009】
請求項8のように、前記シート材は、巾着状の袋に収納し、前記袋に設けたフックを介して前記柱本体の内側空間部上端部に吊り下げて収納する構成とするとよい。
また、請求項9のように、前記柱本体の上端開口部を覆う蓋を有する構成とするとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、柱本体にシート材を取付けるだけで簡単に担架にもなり資材の運搬にも利用できる運搬具を作ることができるので、災害時等の緊急時に避難場所等に設けるフェンスのフェンス柱に適用することで、避難場所において、即座に且つ簡単にしかも多数担架や資材運搬具を手配することができる。また、通常時はフェンス柱として利用するので、担架や資材運搬具の保管場所を確保する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4に、本発明に係る運搬具になるフェンス柱の第1実施形態を示し、図1は基礎部に立設したフェンス柱の柱本体の図、図2は柱本体の上面図、図3は、柱本体にフェンスの面材やシート材を固定するための固定具の図、図4は柱本体に収納するシート材の図である。
【0012】
図1において、本実施形態のフェンス柱1は、柱本体2の取付け部として例えば嵌合溝3を有し、この嵌合溝3に固定具4を介してフェンスの面材(例えばネット等)や後述する図4に示すシート材5を取付ける構成である。
前記柱本体2は、例えばアルミニウム製で、上下端が開口した筒状に形成されている。その外側面には、例えばネット等のフェンスの面材やシート材5を着脱可能に取付けられる図3に示す固定具4を上下方向にスライド可能に嵌合して取付けるための嵌合溝3が、図2に示すように互いに対向する位置に一体形成されている。そして、柱本体2にネット等の面材やシート材5を取付ける際には、前記嵌合溝3の適所、例えば図1の点線で示す間隔を設けた4ヶ所に前記固定具4を固定し、この固定具4を介して取付ける。尚、柱本体2は、アルミニウム製に限るものではなく、柱としての強度を確保できる材料であればよいが、屋外に設置することから耐候性に優れたものが好ましい。また、図4に示すシート材5を収納できるように少なくとも上端が開口した形状であればよく、更に、嵌合溝3は1つでもよい。
【0013】
固定具4は、図3に示すように、嵌合溝3にスライド可能に嵌合する嵌合部材4Aと、フェンスの面材やシート材5を着脱可能に取付けるためのシャックル4Bと、嵌合部材4Aを嵌合溝3の任意の位置に固定するための締結具として例えばボルト4C及び座金4Dを備えて構成される。前記ボルト4Cは、嵌合部材4Aに螺合して取付けてある。また、前記シャックル4Bは本体とボルトからなり図3に示すように本体部分を嵌合部材4Aに例えば溶接等により固定する。柱本体2に固定具4を取付ける際には、嵌合部材4Aを嵌合溝3に挿入し、固定したい位置でボルト4Cを締付けることにより、座金4Dと嵌合部材4Aとで嵌合溝3端縁部を挟持して固定具4を柱本体2に固定する。
【0014】
柱本体2の内側空間部に収納するシート材5は、図4に示すように、シート材質のものを担架にもなるよう長方形状して形成され、その長手方向の両端部には紐部材6を縫込んである。また、紐部材6の両縫込み部には、紐部材6を適宜の間隔を設けて露出させるための穴部5aが複数、例えば4ヶ所ずつ形成されている。シート材5を柱本体2の内側空間部に収納する際には、図5に示すように、シート材5を丸めて例えば巾着状の袋7内に収納した後、図中の矢印で示すように柱本体2の内側空間部に挿入し、袋7の入り口側に紐で結んだフック8を嵌合溝3に引っ掛けて柱本体2の内側空間部上端部に吊り下げて収納する。そして、蓋9で柱本体2の上端開口部を塞ぐ。
【0015】
次に、かかるフェンス柱1を利用して運搬具を組み立てる場合について説明する。
通常時のフェンス柱1として用いる場合、シート材5を収納し固定具4を嵌合溝3の例えば図1の点線で示す4ヶ所に予め固定した柱本体2を、砕石11と、砕石上に設けたコンクリート12と、コンクリート12の穴部に嵌込んだ埋設管13とで構成して地中に設けた基礎部10(図1に示す)の埋設管13に挿入して立設する。そして、この柱本体2に、図6に示すようにネット等の面材15を固定具4のシャックル4Bに取付けることにより、フェンスのフェンス柱1となる。尚、図1中、16は、ストッパーカラーで、嵌合溝3に沿ってスライド可能に柱本体2に取付けられ、柱本体2の立設時に、柱本体2の基礎部10への挿入長さを調整するためのもので、ボルト17を締付けることにより、ボルト17と図示しないナット(嵌合溝3側にある)とで嵌合溝3端縁部を挟持して柱本体2に固定する構成である。
【0016】
運搬具として利用する場合、面材15を固定具4から取り外して柱本体2を基礎部10から抜取る。そして、2本の柱本体2,2に、柱本体2から取出したシート材5を広げて図7に示すように取付ける。柱本体2,2にシート材5を取付けるには、図8に示すように、シャックル4Bのボルトを緩めてその螺合部分をシャックル本体から外し、シート材5の穴部5aに露出している紐部材6部分をシャックル本体部分に引っ掛けた後、ボルトをシャックル本体に螺合させる。このようにしてシート材5の両端部を各柱本体2,2の固定具4に引っ掛けることにより、2本の柱本体2,2を支持棒としてシート材5を取付けた運搬具20ができる。
【0017】
このように本実施形態のフェンス柱1によれば、一対の柱本体2にシート材5を取付けるだけで簡単に担架にもなり資材運搬具にもなる運搬具を組み立てることができるので、災害時等の緊急時に避難場所等に設けるフェンスのフェンス柱に適用することにより、避難場所等において即座に且つ簡単にしかも多数の担架や資材運搬具を手配することができ、災害時に極めて有効である。また、通常時はフェンス柱として利用するので、担架や資材運搬具の保管場所を確保する必要がない。
【0018】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、柱本体とシート材の取付け構造が第1実施形態と異なるだけであり、本実施形態は、シート材両端部を柱本体2の取付け部である嵌合溝3に直接挿入する構造である。
【0019】
図9は、第2実施形態のシート材5の端部の断面図を示す。
本実施形態のシート材5は、図9に示すように、その長手方向の両端部に略四角形状の芯材31を縫込んで、柱本体2の嵌合溝3に挿入するガイド部5Aを形成して構成されている。
かかる第2実施形態では、フェンス柱1として使用する際に嵌合溝3に取付けた固定具4を嵌合溝3から全て取除いた後に、図10に示すようにシート材5両端のガイド部5Aを嵌合溝3に挿入するだけで、2本の柱本体2,2を支持棒としてシート材5を取付けた図7に示す第1実施形態と同様の運搬具20ができる。
【0020】
また、図11に示すように、前記ガイド部5Aに、例えばアルミニウム製の枠部材32を設け、この枠部材32でシート材5両端部を覆うようにすれば、嵌合溝3にガイド部5Aを円滑に挿入することができるようになると共に、シート材5両端部の芯材31を覆っているシート材質の部分を保護してこの部分の破損等を防止できる。
【0021】
尚、柱本体1とシート材5の取付け構造は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、柱本体2にシート材5が取付けられる構造であればよく、柱本体2側の取付け部の構造及びシート材5側の構造は上記各実施形態に限定されない。
また、シート材5が第2実施形態の構成である場合、フェンス面材の柱本体への取付け部分もシート材5と同様な構成にすれば、フェンス組み立て時にも固定具4が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るフェンス柱の第1実施形態を示す基礎部に立設した柱本体の図
【図2】柱本体の上面図
【図3】柱本体に取付ける固定具の構成例を示す図
【図4】柱本体に収納するシート材の一例を示す図
【図5】柱本体にシート材を収納する場合の説明図
【図6】フェンス柱として使用したときの使用状態図
【図7】運搬具として組立てた場合の状態図
【図8】図7の柱本体とシート材の取付け部分の拡大図
【図9】本発明に係るフェンス柱の第2実施形態のシート材の要部を示す図
【図10】図9のシート材の柱本体への取付け状態の説明図
【図11】シート材端部の別の構成例を示す図
【符号の説明】
【0023】
1 フェンス柱
2 柱本体
3 嵌合溝
4 固定具
4A 嵌合部
4B シャックル
4C ボルト
4D 座金
5 シート材
5A ガイド部
5a 穴部
6 紐部材
7 袋
8 フック
9 蓋
20 運搬具
31 芯材
32 枠部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスの面材を取付けるフェンス柱に関し、特に、緊急時等に担架にもなり資材運搬用としても使用できるようにしたフェンス柱に関する。
【背景技術】
【0002】
フェンス柱の主な使用場所は、公園、河川敷、校庭、多目的広場等である。このような場所はフェンスが設けられていることが多く、ネット等の面材を取付けるために多くのフェンス柱が使用されている。しかし、フェンスに使用される従来のフェンス柱は、単に面材を支持するためだけのものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−101029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、災害時には担架を必要とすることが多いが、常時使用しない担架は倉庫等に保管されており、折りたたみ式やベッドパット式等コンパクトになるものがあるが、保管時にかさばることから保管できる台数も限られる。このため、前述した公園、河川敷、校庭、多目的広場等は災害時の避難場所になっていることが多いが、担架が必要になった時に直ちに用意できなかったり、数が不足したりすることが考えられる。また、このような雛場所等では緊急資材の運搬作業等も多く、多数の運搬具が必要である。
【0004】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、災害等の緊急時に直ちに人間や資材の運搬用に役立てることが可能な運搬具になるフェンス柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1の発明の運搬具になるフェンス柱は、地面に形成した基礎部に抜き差し可能に立設する少なくとも上端開口の筒状の柱本体と、該柱本体の外側面に設けられてフェンスの面材を着脱可能に取付ける取付け部と、前記柱本体の内側空間部に取出し可能に収納され前記取付け部に取付け可能なシート材と、を備えて構成したことを特徴とする。
【0006】
かかる構成では、フェンス柱に取付けてあるネット等の面材を取付け部から外し、フェンス柱を基礎部から抜取る。抜取った2本のフェンス柱を運搬具の支持棒として利用し、フェンス柱に収納されているシート材を広げて取付け部に取付ける。これにより、災害時等において簡単に担架にもなり資材の運搬にも利用できる運搬具を組み立てることができる。
【0007】
請求項2のように、前記取付け部は、前記柱本体の外側面の上下方向に形成した嵌合溝とするとよい。この場合、請求項3のように、前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に芯材を縫込んでガイド部を形成し、該ガイド部を前記嵌合溝に嵌合して柱本体に取付ける構成とするとよい。また、請求項4のように、前記ガイド部は、前記芯材を縫込んだシート材両端部外側を枠部材で覆う構成とするとよい。
【0008】
請求項5のように、前記嵌合溝に、当該嵌合溝の上下方向にスライド可能で嵌合溝の任意の位置に固定可能な固定具を介して前記シート材を取付ける構成としてもよい。
前記固定具は、請求項6のように、前記嵌合溝にスライド可能に嵌合する嵌合部材と、該嵌合部材に固定したシャックルと、前記嵌合部材を前記嵌合溝の任意の位置に固定する締結具と、を備える構成とするとよい。この場合、請求項7のように、前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に紐部材を縫込み、該縫込み部に、前記紐部材を適宜の間隔を設けて露出させるための穴部を複数形成して構成し、運搬具として使用する際に、前記両端部の前記紐部材の露出部分を前記固定具のシャックルに取付けるようにするとよい。
【0009】
請求項8のように、前記シート材は、巾着状の袋に収納し、前記袋に設けたフックを介して前記柱本体の内側空間部上端部に吊り下げて収納する構成とするとよい。
また、請求項9のように、前記柱本体の上端開口部を覆う蓋を有する構成とするとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、柱本体にシート材を取付けるだけで簡単に担架にもなり資材の運搬にも利用できる運搬具を作ることができるので、災害時等の緊急時に避難場所等に設けるフェンスのフェンス柱に適用することで、避難場所において、即座に且つ簡単にしかも多数担架や資材運搬具を手配することができる。また、通常時はフェンス柱として利用するので、担架や資材運搬具の保管場所を確保する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4に、本発明に係る運搬具になるフェンス柱の第1実施形態を示し、図1は基礎部に立設したフェンス柱の柱本体の図、図2は柱本体の上面図、図3は、柱本体にフェンスの面材やシート材を固定するための固定具の図、図4は柱本体に収納するシート材の図である。
【0012】
図1において、本実施形態のフェンス柱1は、柱本体2の取付け部として例えば嵌合溝3を有し、この嵌合溝3に固定具4を介してフェンスの面材(例えばネット等)や後述する図4に示すシート材5を取付ける構成である。
前記柱本体2は、例えばアルミニウム製で、上下端が開口した筒状に形成されている。その外側面には、例えばネット等のフェンスの面材やシート材5を着脱可能に取付けられる図3に示す固定具4を上下方向にスライド可能に嵌合して取付けるための嵌合溝3が、図2に示すように互いに対向する位置に一体形成されている。そして、柱本体2にネット等の面材やシート材5を取付ける際には、前記嵌合溝3の適所、例えば図1の点線で示す間隔を設けた4ヶ所に前記固定具4を固定し、この固定具4を介して取付ける。尚、柱本体2は、アルミニウム製に限るものではなく、柱としての強度を確保できる材料であればよいが、屋外に設置することから耐候性に優れたものが好ましい。また、図4に示すシート材5を収納できるように少なくとも上端が開口した形状であればよく、更に、嵌合溝3は1つでもよい。
【0013】
固定具4は、図3に示すように、嵌合溝3にスライド可能に嵌合する嵌合部材4Aと、フェンスの面材やシート材5を着脱可能に取付けるためのシャックル4Bと、嵌合部材4Aを嵌合溝3の任意の位置に固定するための締結具として例えばボルト4C及び座金4Dを備えて構成される。前記ボルト4Cは、嵌合部材4Aに螺合して取付けてある。また、前記シャックル4Bは本体とボルトからなり図3に示すように本体部分を嵌合部材4Aに例えば溶接等により固定する。柱本体2に固定具4を取付ける際には、嵌合部材4Aを嵌合溝3に挿入し、固定したい位置でボルト4Cを締付けることにより、座金4Dと嵌合部材4Aとで嵌合溝3端縁部を挟持して固定具4を柱本体2に固定する。
【0014】
柱本体2の内側空間部に収納するシート材5は、図4に示すように、シート材質のものを担架にもなるよう長方形状して形成され、その長手方向の両端部には紐部材6を縫込んである。また、紐部材6の両縫込み部には、紐部材6を適宜の間隔を設けて露出させるための穴部5aが複数、例えば4ヶ所ずつ形成されている。シート材5を柱本体2の内側空間部に収納する際には、図5に示すように、シート材5を丸めて例えば巾着状の袋7内に収納した後、図中の矢印で示すように柱本体2の内側空間部に挿入し、袋7の入り口側に紐で結んだフック8を嵌合溝3に引っ掛けて柱本体2の内側空間部上端部に吊り下げて収納する。そして、蓋9で柱本体2の上端開口部を塞ぐ。
【0015】
次に、かかるフェンス柱1を利用して運搬具を組み立てる場合について説明する。
通常時のフェンス柱1として用いる場合、シート材5を収納し固定具4を嵌合溝3の例えば図1の点線で示す4ヶ所に予め固定した柱本体2を、砕石11と、砕石上に設けたコンクリート12と、コンクリート12の穴部に嵌込んだ埋設管13とで構成して地中に設けた基礎部10(図1に示す)の埋設管13に挿入して立設する。そして、この柱本体2に、図6に示すようにネット等の面材15を固定具4のシャックル4Bに取付けることにより、フェンスのフェンス柱1となる。尚、図1中、16は、ストッパーカラーで、嵌合溝3に沿ってスライド可能に柱本体2に取付けられ、柱本体2の立設時に、柱本体2の基礎部10への挿入長さを調整するためのもので、ボルト17を締付けることにより、ボルト17と図示しないナット(嵌合溝3側にある)とで嵌合溝3端縁部を挟持して柱本体2に固定する構成である。
【0016】
運搬具として利用する場合、面材15を固定具4から取り外して柱本体2を基礎部10から抜取る。そして、2本の柱本体2,2に、柱本体2から取出したシート材5を広げて図7に示すように取付ける。柱本体2,2にシート材5を取付けるには、図8に示すように、シャックル4Bのボルトを緩めてその螺合部分をシャックル本体から外し、シート材5の穴部5aに露出している紐部材6部分をシャックル本体部分に引っ掛けた後、ボルトをシャックル本体に螺合させる。このようにしてシート材5の両端部を各柱本体2,2の固定具4に引っ掛けることにより、2本の柱本体2,2を支持棒としてシート材5を取付けた運搬具20ができる。
【0017】
このように本実施形態のフェンス柱1によれば、一対の柱本体2にシート材5を取付けるだけで簡単に担架にもなり資材運搬具にもなる運搬具を組み立てることができるので、災害時等の緊急時に避難場所等に設けるフェンスのフェンス柱に適用することにより、避難場所等において即座に且つ簡単にしかも多数の担架や資材運搬具を手配することができ、災害時に極めて有効である。また、通常時はフェンス柱として利用するので、担架や資材運搬具の保管場所を確保する必要がない。
【0018】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、柱本体とシート材の取付け構造が第1実施形態と異なるだけであり、本実施形態は、シート材両端部を柱本体2の取付け部である嵌合溝3に直接挿入する構造である。
【0019】
図9は、第2実施形態のシート材5の端部の断面図を示す。
本実施形態のシート材5は、図9に示すように、その長手方向の両端部に略四角形状の芯材31を縫込んで、柱本体2の嵌合溝3に挿入するガイド部5Aを形成して構成されている。
かかる第2実施形態では、フェンス柱1として使用する際に嵌合溝3に取付けた固定具4を嵌合溝3から全て取除いた後に、図10に示すようにシート材5両端のガイド部5Aを嵌合溝3に挿入するだけで、2本の柱本体2,2を支持棒としてシート材5を取付けた図7に示す第1実施形態と同様の運搬具20ができる。
【0020】
また、図11に示すように、前記ガイド部5Aに、例えばアルミニウム製の枠部材32を設け、この枠部材32でシート材5両端部を覆うようにすれば、嵌合溝3にガイド部5Aを円滑に挿入することができるようになると共に、シート材5両端部の芯材31を覆っているシート材質の部分を保護してこの部分の破損等を防止できる。
【0021】
尚、柱本体1とシート材5の取付け構造は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、柱本体2にシート材5が取付けられる構造であればよく、柱本体2側の取付け部の構造及びシート材5側の構造は上記各実施形態に限定されない。
また、シート材5が第2実施形態の構成である場合、フェンス面材の柱本体への取付け部分もシート材5と同様な構成にすれば、フェンス組み立て時にも固定具4が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るフェンス柱の第1実施形態を示す基礎部に立設した柱本体の図
【図2】柱本体の上面図
【図3】柱本体に取付ける固定具の構成例を示す図
【図4】柱本体に収納するシート材の一例を示す図
【図5】柱本体にシート材を収納する場合の説明図
【図6】フェンス柱として使用したときの使用状態図
【図7】運搬具として組立てた場合の状態図
【図8】図7の柱本体とシート材の取付け部分の拡大図
【図9】本発明に係るフェンス柱の第2実施形態のシート材の要部を示す図
【図10】図9のシート材の柱本体への取付け状態の説明図
【図11】シート材端部の別の構成例を示す図
【符号の説明】
【0023】
1 フェンス柱
2 柱本体
3 嵌合溝
4 固定具
4A 嵌合部
4B シャックル
4C ボルト
4D 座金
5 シート材
5A ガイド部
5a 穴部
6 紐部材
7 袋
8 フック
9 蓋
20 運搬具
31 芯材
32 枠部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に形成した基礎部に抜き差し可能に立設する少なくとも上端開口の筒状の柱本体と、
該柱本体の外側面に設けられてフェンスの面材を着脱可能に取付ける取付け部と、
前記柱本体の内側空間部に取出し可能に収納され前記取付け部に取付け可能なシート材と、
を備えて構成したことを特徴とする運搬具になるフェンス柱。
【請求項2】
前記取付け部は、前記柱本体の外側面の上下方向に形成した嵌合溝である請求項1に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項3】
前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に芯材を縫込んでガイド部を形成し、該ガイド部を前記嵌合溝に嵌合して柱本体に取付ける構成である請求項2に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記芯材を縫込んだシート材両端部外側を枠部材で覆う構成である請求項3に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項5】
前記嵌合溝に、当該嵌合溝を上下方向にスライド可能で嵌合溝の任意の位置に固定可能な固定具を介して前記シート材を取付ける構成とした請求項2に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項6】
前記固定具が、前記嵌合溝にスライド可能に嵌合する嵌合部材と、該嵌合部材に固定したシャックルと、前記嵌合部材を前記嵌合溝の任意の位置に固定する締結具と、を備える構成である請求項5に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項7】
前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に紐部材を縫込み、該縫込み部に、前記紐部材を適宜の間隔を設けて露出させるための穴部を複数形成して構成し、運搬具として使用する際に、前記両端部の前記紐部材の露出部分を前記固定具のシャックルに取付けるようにした請求項5又は6に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項8】
前記シート材は、巾着状の袋に収納し、前記袋に設けたフックを介して前記柱本体の内側空間部上端部に吊り下げて収納する構成とした請求項1〜7のいずれか1つに記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項9】
前記柱本体の上端開口部を覆う蓋を有する構成とした請求項1〜8のいずれか1つに記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項1】
地面に形成した基礎部に抜き差し可能に立設する少なくとも上端開口の筒状の柱本体と、
該柱本体の外側面に設けられてフェンスの面材を着脱可能に取付ける取付け部と、
前記柱本体の内側空間部に取出し可能に収納され前記取付け部に取付け可能なシート材と、
を備えて構成したことを特徴とする運搬具になるフェンス柱。
【請求項2】
前記取付け部は、前記柱本体の外側面の上下方向に形成した嵌合溝である請求項1に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項3】
前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に芯材を縫込んでガイド部を形成し、該ガイド部を前記嵌合溝に嵌合して柱本体に取付ける構成である請求項2に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記芯材を縫込んだシート材両端部外側を枠部材で覆う構成である請求項3に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項5】
前記嵌合溝に、当該嵌合溝を上下方向にスライド可能で嵌合溝の任意の位置に固定可能な固定具を介して前記シート材を取付ける構成とした請求項2に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項6】
前記固定具が、前記嵌合溝にスライド可能に嵌合する嵌合部材と、該嵌合部材に固定したシャックルと、前記嵌合部材を前記嵌合溝の任意の位置に固定する締結具と、を備える構成である請求項5に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項7】
前記シート材は、略長方形状で、その長手方向の両端部に紐部材を縫込み、該縫込み部に、前記紐部材を適宜の間隔を設けて露出させるための穴部を複数形成して構成し、運搬具として使用する際に、前記両端部の前記紐部材の露出部分を前記固定具のシャックルに取付けるようにした請求項5又は6に記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項8】
前記シート材は、巾着状の袋に収納し、前記袋に設けたフックを介して前記柱本体の内側空間部上端部に吊り下げて収納する構成とした請求項1〜7のいずれか1つに記載の運搬具になるフェンス柱。
【請求項9】
前記柱本体の上端開口部を覆う蓋を有する構成とした請求項1〜8のいずれか1つに記載の運搬具になるフェンス柱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−196268(P2008−196268A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34966(P2007−34966)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(391042656)株式会社ルイ▲高▼ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(391042656)株式会社ルイ▲高▼ (1)
【Fターム(参考)】
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