説明

運搬物ずれ防止装置、及び梱包用バンド

【課題】運搬中の運搬物のずれを効果的に防止する。
【解決手段】複数の運搬物2の間、または運搬物2と運搬機材(載置台3)との間に位置することにより、運搬物2のずれを防止する運搬物ずれ防止装置1であって、平面状の基材と、その基材の第1の面に設けられた第1の粘着領域と、その基材の第2の面に設けられた第2の粘着領域と、を備え、第1の粘着領域と、第2の粘着領域との少なくとも一方は、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬物のずれを防止する運搬物ずれ防止装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パレットに載置されている段ボール等の運搬物が滑らないようにするために、パレットに載置されている段ボール等の運搬物の間に滑り止めのシートを挟むことが行われてきていた(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】グリップシート(登録商標)のカタログ、[online]、[2007年4月13日検索]、インターネット<http://www.seiho−corp.co.jp/new1.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の従来例の滑り止めシートでは、運搬中の振動等によって、運搬物がずれてしまう可能性があった。例えば、軽い段ボール等がパレットに載置されている場合に、運搬中の振動によって一時的に滑り止めシートから浮き上がることなどによって、段ボール等がずれてしまったり、大きくずれた場合には、パレットから落ちてしまったりすることもありうる。このように、従来例の滑り止めシートでは、シートに垂直な方向(シート平面の法線方向)に絶えず力がかかっていないと、滑り止めの効果が得られないことになる。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、運搬中の運搬物のずれを効果的に防止することができうる運搬物ずれ防止装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明による運搬物ずれ防止装置は、複数の運搬物の間、または運搬物と運搬機材との間に位置することにより、前記運搬物のずれを防止する運搬物ずれ防止装置であって、平面状の基材と、前記基材の第1の面に設けられた第1の粘着領域と、前記基材の第2の面に設けられた第2の粘着領域と、を備え、前記第1の粘着領域と、前記第2の粘着領域との少なくとも一方は、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域である、ものである。
【0006】
このような構成により、第1の粘着領域と、第2の粘着領域とのそれぞれが、複数の運搬物、または、運搬物と運搬機材とに貼付されることによって、運搬中の運搬物のずれを防止することができる。特に、粘着によってずれを防止するため、運搬中に、平面状の基材に垂直な方向に絶えず力がかかっていなかったとしても、運搬物のずれを防止することができる。例えば、軽い運搬物であっても、運搬中の振動等によって浮き上がることなどを防止することができ、運搬物のずれを効果的に防止することができる。また、第1の粘着領域と、第2の粘着領域との少なくとも一方は、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域であるため、例えば、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域を、傷つけたくない運搬物に貼付することによって、運搬後に運搬物ずれ防止装置を運搬物から剥がす際にも、運搬物を傷つけないようにすることができる。
【0007】
また、本発明による運搬物ずれ防止装置では、前記基材は、シート状のものであり、前記第1の粘着領域と、前記第2の粘着領域との両方が着脱可能な粘着領域であってもよい。
【0008】
このような構成により、例えば、従来例の滑り止めシートと同様に用いることができると共に、第1及び第2の粘着領域によって、運搬物のずれを効果的に防止することができる。
【0009】
また、本発明による運搬物ずれ防止装置では、前記基材は、テープ状のものであり、前記第1の粘着領域は、着脱可能な粘着領域であり、前記第2の粘着領域は、着脱可能でない粘着領域であってもよい。
【0010】
このような構成により、例えば、段ボール等の運搬物の梱包時に、このテープ状の運搬物ずれ防止装置の第2の粘着領域を用いて梱包し、その梱包後の運搬物を積み上げると、第1の粘着領域によって、運搬物同士が固定されることになる。したがって、余分な作業等をすることなく、運搬中の運搬物のずれを防止することができ、運搬作業の作業性が非常に向上することになる。
【0011】
また、本発明による運搬物ずれ防止装置では、前記基材は、衝撃吸収性を有する緩衝部材を含むものであり、前記第1の粘着領域と、前記第2の粘着領域との両方が着脱可能な粘着領域であってもよい。
【0012】
このような構成により、運搬中の運搬物のずれを防止できると共に、運搬中の振動等によって、運搬物同士、または運搬物と運搬機材が接触することによって運搬物が破損することを防止することができうる。
【0013】
また、本発明による運搬物ずれ防止装置では、前記緩衝部材は、気体を密封することにより衝撃吸収性を有してもよい。
このような構成により、密封された気体の衝撃吸収作用によって、運搬物や運搬機材等を破損から守ることができる。また、密封する気体の量を調整できる場合には、密封する気体の量を調整することによって、運搬物ずれ防止装置の幅を調整することができる。
【0014】
また、本発明による運搬物ずれ防止装置では、前記緩衝部材は、発泡樹脂であってもよい。
このような構成により、発泡樹脂の衝撃吸収作用によって、運搬物や運搬機材等を破損から守ることができる。
【0015】
本発明による梱包用バンドは、運搬物の周囲を巻回する梱包用バンドであって、バンド状の基材と、前記基材が運搬物に巻回した状態において、外側に位置する領域に少なくとも設けられた、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域と、を備えたものである。
【0016】
このような構成により、例えば、段ボール等の運搬物の梱包時に、粘着領域が外側となるように梱包用バンドを用いて梱包し、その梱包後の運搬物を積み上げると、粘着領域によって、運搬物同士が固定されることになる。したがって、余分な作業等をすることなく、運搬中の運搬物のずれを防止することができ、運搬作業の作業性が非常に向上することになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による運搬物ずれ防止装置等によれば、運搬中の運搬物のずれを効果的に防止することができうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による運搬物ずれ防止装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による運搬物ずれ防止装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、シート状の運搬物ずれ防止装置について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置1の使用状態を示す図である。複数の運搬物2は、載置台3に載置されている。載置台3は、例えば、パレットや、台車等であるが、複数の運搬物2が載置される台であれば、その種類を問わない。また、運搬物2は、段ボール箱や木箱、缶等であり、運送対象となるものであれば、その種類を問わない。運搬物ずれ防止装置1は、複数の運搬物2の間に位置することにより、または運搬物2と運搬機材(図1では、載置台3)との間に位置することにより、運搬物2のずれを防止するものである。運搬機材とは、運搬物2を運搬するために用いられる機材であり、例えば、運搬物2を載置するパレットや台車、運搬物2を収容するコンテナ、運搬物2を運送するトラックや船、電車等であってもよい。なお、図1では、運搬物ずれ防止装置1が水平方向に用いられている場合について示しているが、運搬物ずれ防止装置1は、垂直方向に用いられてもよく、運搬物2をくるむように用いてもよく、運搬物ずれ防止装置1が用いられる方向や方法は問わない。また、図1では、載置台3に載置された運搬物2に対して運搬物ずれ防止装置1が使用されている状態について示しているが、載置台3に載置されていない運搬物2に対して運搬物ずれ防止装置1を使用してもよいことは言うまでもない。
【0021】
図2(a)は、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置1を示す図である。図2(a)からわかるように、運搬物ずれ防止装置1は、平面状に広がっているシート状のものである。図2(b)は、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置1の断面図である。図2(b)からわかるように、運搬物ずれ防止装置1は、平面状の基材11と、基材11の第1の面に設けられた第1の粘着領域12と、基材11の第2の面に設けられた第2の粘着領域13とを備えている。基材11の第1の面と第2の面とは、互いに表裏となる面である。
【0022】
なお、本実施の形態では、基材11がシート状のものである場合について説明するが、後述する実施の形態2では、基材がテープ状のものである場合について、また、実施の形態3では、基材が衝撃吸収性を有する緩衝部材を含む場合について説明する。
【0023】
基材11は、シート状のものである。基材11は、例えば、繊維状のものであってもよく、フィルム状のものであってもよい。また、基材11の材質は、例えば、ポリエステルや、ナイロン、塩化ビニル、ウレタン等であってもよく、その材質を問わない。この基材11は、耐久性の高いものが好ましい。
【0024】
また、第1の粘着領域12と、第2の粘着領域13との両方が、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域であるとする。したがって、第1の粘着領域12、第2の粘着領域13は、両方とも、貼付対象に繰り返して貼着可能であり、貼付対象を破損しないで剥がすことができるものである。また、貼付対象に粘着物を残さないように剥がすことのできることが好適である。なお、第1の粘着領域12、及び第2の粘着領域13は、それぞれ、基材11に対しては、剥がれることなく強力に貼着されていることが好適である。第1の粘着領域12と、第2の粘着領域13はそれぞれ、基材11の片面の全領域に設けられていてもよく、あるいは、一部の領域に設けられていてもよい。図2(c)は、第1の粘着領域12が基材11の片面の一部の領域に設けられている一例を示す図である。図2(c)で示されるように、基材11の第1の面には、第1の粘着領域12で覆われていない領域があってもよい。第2の粘着領域13についても同様である。
【0025】
第1の粘着領域12、第2の粘着領域13を構成するものとして、例えば、ウレタン系の接着剤や、アクリル系の接着剤等を用いることができる。具体的には、三井武田ケミカル株式会社製の「タケラック U−W31」を主剤として用い、「タケネート D−160N」を硬化剤として添加した接着剤を用いてもよい。
【0026】
例えば、アクリル系の接着剤としては、次のようなものを用いてもよい。
外観:乳白色エマルジョン
主成分:アクリル共重合樹脂
不揮発分:58.0 ± 2.0 %
粘度:6,000 ± 1,500 mPa・s/25℃
PH:6.5 ± 1.0
比重:1.05 ± 0.05
イオン性:アニオン
安定性:良好
なお、第1の粘着領域12に用いる接着剤は、前述のような特性を有する接着剤であればよく、これらに限定されるものではない。
【0027】
この運搬物ずれ防止装置1は、運搬物2や、運搬機材等に応じた大きさを有していることが好適であるが、その大きさは問わない。例えば、80センチ×100センチの大きさのパレットに載置された運搬物2のずれ防止に用いる場合には、そのパレットと同程度の大きさを有していることが好適である。また、上面が40センチ×60センチの大きさの段ボールのずれ防止に用いる場合には、その段ボールの上面と同程度の大きさを有していることが好適である。なお、80センチ×100センチの大きさのパレットに載置された運搬物2のずれ防止に用いる場合であっても、例えば、40センチ×50センチの大きさの運搬物ずれ防止装置1を4枚用いるようにしてもよく、運搬物2の大きさと、運搬物ずれ防止装置1との大きさの関係は、種々の対応がありうる。
【0028】
次に、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置1を装着する方法について説明する。載置台3と運搬物2との間に運搬物ずれ防止装置1を用いる場合には、まず、載置台3の上に運搬物ずれ防止装置1を置いて、その上から運搬物2を載置していく。なお、運搬物2が軽い場合には、運搬物ずれ防止装置1と載置台3との間と、運搬物ずれ防止装置1と運搬物2との間が適切に貼着されるように、運搬物2を運搬物ずれ防止装置1の上に載置した後に、運搬物2を載置台3の方向に押してもよい。また、運搬物2と運搬物2との間に運搬物ずれ防止装置1を用いる場合には、運搬物2の上に運搬物ずれ防止装置1を置いて、その上からさらに運搬物2を載置していく。この場合にも、運搬物2が軽い場合には、運搬物ずれ防止装置1と運搬物2との間が適切に貼着されるように、運搬物2を運搬物ずれ防止装置1の上に載置した後に、上側の運搬物2を載置台3の方向に押してもよい。このようにして、例えば、図1で示されるように、運搬物2と運搬物2、または運搬物2と運搬機材(図1では載置台3)を運搬物ずれ防止装置1によって固定することができ、運搬中に運搬物2がずれないようにすることができうる。
【0029】
なお、第1及び第2の粘着領域12,13は、貼付対象に対して着脱可能なものであるため、運搬物2の運搬後には、運搬物2と運搬物ずれ防止装置1、または、運搬機材と運搬物ずれ防止装置1を運搬物2や運搬機材を傷つけることなく剥がすことができる。また、その使用後の運搬物ずれ防止装置1を再度、運搬物2のずれ防止のために使用してもよい。
【0030】
以上のように、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置1によれば、運搬中の運搬物2のずれを防止することができる。特に、運搬物ずれ防止装置1では、第1の粘着領域12、及び第2の粘着領域13を用いて運搬物2を固定するため、運搬物2がたとえ軽い段ボール等であったとしても、運搬中にその運搬物2がずれることを防止することができる。また、第1の粘着領域12、及び第2の粘着領域13は、貼付対象に対して着脱可能なものであるため、運搬物ずれ防止装置1を剥がした際にも、運搬物2を傷つけないようにすることができる。
【0031】
また、第1の粘着領域12、及び第2の粘着領域13が貼付対象に対して着脱可能な粘着領域であるため、それらの粘着領域を貼付対象に対して繰り返して貼ることができる。したがって、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置1を繰り返して使用することが可能となる。
【0032】
また、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置1を保管する際には、そのシート状の運搬物ずれ防止装置1を丸めて保管してもよい。その際に、丸められた運搬物ずれ防止装置1の最外周の領域にゴミ等が付着しないように、シート状のカバーによって、その最外周を覆うようにしてもよい。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による運搬物ずれ防止装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による運搬物ずれ防止装置は、テープ状のものである。
【0034】
図3(a)は、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4を示す図である。図3(b)は、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4の断面図である。図3(a)、図3(b)で示されるように、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4の基材21は、テープ状のものである。また、第1の粘着領域22は、着脱可能な粘着領域であり、第2の粘着領域23は、着脱可能でない粘着領域であるとする。着脱可能でない粘着領域とは、例えば、剥がす際に貼付対象を破損しうる程度の強粘着の粘着領域である。例えば、市販されているガムテープは、剥がす際に段ボール等の運搬物2を傷つけることがあるため、ガムテープの粘着領域は、貼付対象に対して着脱可能でない粘着領域であるとする。基材21は、形状がテープ状である以外、実施の形態1の基材11と同様のものである。また、着脱可能な粘着領域である第1の粘着領域22は、実施の形態1の第1及び第2の粘着領域12,13と同様の性質を有するものである。
【0035】
次に、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4の使用方法について説明する。例えば、段ボール等の運搬物2を梱包する際に、図3(c)で示されるように、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4の着脱可能でない粘着領域である第2の粘着領域23を用いて梱包する。すると、運搬物ずれ防止装置4の着脱可能な粘着領域である第1の粘着領域22は、運搬物2の外側を向いていることになる。したがって、そのように梱包された運搬物2を積み上げることによって、運搬物ずれ防止装置4の第1の粘着領域22が他の運搬物2と貼着することになり、運搬中の運搬物2のずれを防止することができうる。なお、運搬物2を積み上げる際などにおいて、第1の粘着領域22と他の運搬物2とが効果的に貼着するように、運搬物2を第1の粘着領域22に押しつける方向に力を加えるようにしてもよい。
【0036】
なお、図3(a)では、ガムテープ(布粘着テープ、クラフト粘着テープ等)やセロハンテープ等と同様に、巻いている状態の運搬物ずれ防止装置4について示しているが、運搬物ずれ防止装置4は、その保存時に、巻いていてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。運搬物ずれ防止装置4を巻いた状態で保存する際には、第1の粘着領域22と第2の粘着領域23とがくっついてしまって剥がすことができなくならないように、図3(d)で示されるように、剥離紙24と一緒に巻いておくようにしてもよく、そうでなくてもよい。
【0037】
また、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4においても、第1の粘着領域22は、基材21の片面の全領域に設けられていてもよく、あるいは、一部の領域に設けられていてもよい。図3(e)は、第1の粘着領域22が基材21の片面の一部の領域に設けられている一例を示す図である。図3(e)で示されるように、基材21の第1の面には、第1の粘着領域22で覆われていない領域があってもよい。第2の粘着領域23についても同様である。
【0038】
以上のように、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4によれば、運搬中の運搬物2のずれを防止することができる。特に、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置4はテープ状であるため、その運搬物ずれ防止装置4の着脱可能でない粘着領域である第2の粘着領域23を運搬物2の梱包に用いることによって、その他の余分な作業をすることなく、運搬中の運搬物2のずれを防止することができる。また、第1の粘着領域22は、貼付対象に対して着脱可能なものであるため、運搬物ずれ防止装置4の第1の粘着領域22を運搬物2から剥がした際にも、運搬物2を傷つけないようにすることができることは実施の形態1と同様である。
【0039】
なお、本実施の形態では、運搬物ずれ防止装置4を運搬物2の梱包に用いる場合について説明したが、そうでなくてもよい。運搬物2のずれ防止の目的のために、運搬物ずれ防止装置4を運搬部2に貼付してもよい。例えば、運搬物2の表面に、梱包とは関係なく運搬物ずれ防止装置4の第2の粘着領域23を貼付することによって、その運搬物ずれ防止装置4の貼付された運搬物2と、他の運搬物2との運搬中のずれを防止することも可能である。
また、運搬物ずれ防止装置4において、貼付対象に対して着脱可能な第1の粘着領域22は、基材21から盛り上がっている(厚みのあるもの)ものであってもよく、そうでなくてもよい。前者の場合には、他の運搬物2に対して、より貼着しやすいことになる。
【0040】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3による運搬物ずれ防止装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による運搬物ずれ防止装置は、基材が衝撃吸収性を有する緩衝部材を含むものである。
【0041】
図4(a)は、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置5の断面図である。図4(a)において、本実施の形態による基材31は、衝撃吸収性を有する緩衝部材を含むものである以外は、実施の形態1,2の基材11,21と同様のものである。なお、基材31は、緩衝部材を含むものであればよく、その他の物を含んでいてもよく、あるいは、緩衝部材そのものであってもよい。また、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置5の第1の粘着領域32,及び第2の粘着領域33との両方が、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域である。すなわち、着脱可能な粘着領域である第1及び第2の粘着領域32,33は、実施の形態1の第1及び第2の粘着領域12,13と同様の性質を有するものである。
【0042】
基材31が有する緩衝部材は、衝撃吸収性を有するものであれば、どのようなものであってもよい。緩衝部材は、例えば、気体を密封することにより衝撃吸収性を有するものであってもよく、発泡樹脂であってもよく、その他の衝撃吸収性を有するものであってもよい。気体を密封することにより衝撃吸収性を有するものとは、例えば、エアーキャップであってもよく、空気の入った袋であってもよい。気体は、空気であってもよく、その他の気体であってもよい。図4(b)は、後者の一例を示す図である。図4(b)において、運搬物ずれ防止装置5の基材31は、袋状のものであり、その基材31にエアー挿入口34から空気を挿入することにより、基材31がふくらみ、衝撃吸収性を有することとなる。図4(b)で示される運搬物ずれ防止装置5は、挿入する空気の量によって任意の厚みにすることができる。したがって、挿入する空気の量を調整することによって、運搬物ずれ防止装置5の幅を、運搬物2と運搬物2との間の幅に応じたもの、あるいは、運搬物2と運搬機材との間の幅に応じたものとすることができる。また、上記の発泡樹脂は、例えば、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、発泡塩ビ、発泡ポリスチレン等であってもよく、あるいは、その他の衝撃吸収性を有する発泡樹脂であってもよい。基材31が緩衝部材として発泡樹脂を有する場合に、その発泡樹脂の幅は、運搬物2と運搬物2との間の幅に応じたもの、あるいは、運搬物2と運搬機材との間の幅に応じたものであることが好適である。例えば、その発泡樹脂の幅は、1〜5センチ程度の薄いものであってもよく、10〜50センチ程度の幅の厚いものであってもよく、その幅は問わない。
【0043】
次に、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置5の使用方法について説明する。基本的には、実施の形態1による運搬物ずれ防止装置1と同様に用いることができる。例えば、図4(c)、図4(d)で示されるように、複数の運搬物2で本実施の形態による運搬物ずれ防止装置5を挟むようにすることで、運搬物2同士が運搬中の衝撃によって接触して破損する事態を回避することができると共に、第1の粘着領域32、及び第2の粘着領域33によって、運搬物2がずれることも防止することができる。また、粘着領域を有しない緩衝部材のみの場合には、運搬中の振動等によって、その緩衝部材が運搬物2の間から移動してしまい、適切な箇所に緩衝部材が存在しなくなる事態も生じうるが、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置5では、運搬物2と運搬物ずれ防止装置5とが粘着領域によって貼着されているため、そのような事態を防止することができる。なお、図4(c)、図4(d)では、運搬物2の間に運搬物ずれ防止装置5が位置する場合について示しているが、運搬物ずれ防止装置5は、運搬物2と運搬機材との間に位置してもよいことは言うまでもない。
【0044】
以上のように、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置5によれば、実施の形態1と同様の効果と共に、基材31が緩衝部材を含むことによって、運搬物2同士の接触による運搬物2の破損や、運搬物2と運搬機材との接触による運搬物2や運搬機材の破損を防止することができる効果を奏する。
【0045】
また、第1の粘着領域32、及び第2の粘着領域33が貼付対象に対して着脱可能な粘着領域であるため、それらの粘着領域を貼付対象に対して繰り返して貼ることができる。したがって、本実施の形態による運搬物ずれ防止装置5を繰り返して使用することが可能となる。
【0046】
上記各実施の形態で説明したように、運搬物ずれ防止装置1,4,5では、第1の粘着領域12,22,32と、第2の粘着領域13,23,33との少なくとも一方は、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域である。
【0047】
また、上記各実施の形態による運搬物ずれ防止装置1,4,5において、その運搬物ずれ防止装置1,4,5を使用するまで、第1の粘着領域12,22,32や、第2の粘着領域13,23,33の粘着面に剥離膜が貼着されていてもよい。その剥離膜は、例えば、剥離紙であってもよく、剥離フィルムであってもよい。また、その剥離膜は、2以上の領域に分かれており、その領域ごとに剥離可能であってもよい。剥離膜が2以上の領域に分かれているとは、その領域ごとに剥離膜を剥離することができるようになっていることである。例えば、剥離膜が市松模様のように碁盤の目状の領域に分かれていてもよい。そして、例えば、始めに、その市松模様の黒色に対応する領域の剥離膜を剥がして運搬物ずれ防止装置1,4,5を使用し、だんだんと粘着領域の粘着力が弱ってきた頃に、市松模様の白色に対応する領域の剥離膜を剥がして運搬物ずれ防止装置1,4,5を使用してもよい。このようにすることで、長期にわたって粘着力を維持することができるようになる。なお、長期にわたって粘着力を維持可能とするために剥離膜を複数の領域に分けているため、その複数の領域は、粘着領域において、例えば市松模様のように均等に配置されていることが好適である。
【0048】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4による梱包用バンドについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による梱包用バンドは、運搬物の周囲を巻回する梱包用バンドであって、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域を備えたものである。
【0049】
図5(a)は、本実施の形態による梱包用バンド6の断面図である。図5(a)において、本実施の形態による梱包用バンド6は、バンド状の基材41と、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域42とを備える。バンド状の基材41は、例えば、梱包用のポリプロピレン性のバンド(いわゆる「PPバンド」と呼ばれるもの)であってもよく、その他の材質(例えば、実施の形態1の基材11と同様の材質)のものであってもよい。粘着領域42は、基材41が運搬物2に巻回した状態において、外側に位置する領域に少なくとも設けられたものである。また、粘着領域42は、実施の形態1の第1及び第2の粘着領域12,13と同様の性質を有するものである。
【0050】
次に、本実施の形態による梱包用バンド6の使用方法について説明する。通常の梱包用のバンドと同様に、梱包用バンド6で運搬物2の周囲を巻回し、接着剤で接着したり、専用のストッパーで留めたりすることによって、運搬物2を梱包する。その際に、粘着領域42が外側に位置するようにしておく。すると、そのように梱包された運搬物2を積み上げることによって、梱包用バンド6の粘着領域42が他の運搬物2と貼着することになり、運搬中の運搬物2のずれを防止することができうる。なお、運搬物2を積み上げる際などにおいて、粘着領域42と他の運搬物2とが効果的に貼着するように、運搬物2を粘着領域42に押しつける方向に力を加えるようにしてもよい。
【0051】
また、本実施の形態による梱包用バンド6においても、粘着領域42は、基材41が運搬物2に巻回した状態において、外側に位置する全領域に設けられていてもよく、あるいは、その一部の領域に設けられていてもよい。
【0052】
以上のように、本実施の形態による梱包用バンド6によれば、運搬中の運搬物2のずれを防止することができる。特に、本実施の形態による梱包用バンド6を運搬物2の梱包に用いることによって、その他の余分な作業をすることなく、運搬中の運搬物2のずれを防止することができる。また、粘着領域42は、貼付対象に対して着脱可能なものであるため、梱包用バンド6を運搬物2から剥がした際にも、運搬物2を傷つけないようにすることができる。
【0053】
また、粘着領域42が貼付対象に対して着脱可能な粘着領域であるため、それらの粘着領域を貼付対象に対して繰り返して貼ることができる。したがって、本実施の形態による梱包用バンド6を繰り返して使用することも可能である。
【0054】
なお、上記各実施の形態で説明した、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域の種類によっては、粘着力が弱ってきた際に、その粘着領域に付着した汚れ等を洗い流すことによって、粘着力が回復するものもある。そのような場合には、粘着領域の粘着力が弱ってきた際に、汚れ等を洗い流すことによって、粘着力を回復するようにしてもよい。
【0055】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上より、本発明による運搬物ずれ防止装置、梱包用バンドによれば、運搬物のずれを防止することができるシートやテープ、梱包用バンド等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1による運搬物ずれ防止装置の使用状態を示す図
【図2】本発明の実施の形態1による運搬物ずれ防止装置を示す図
【図3】本発明の実施の形態2による運搬物ずれ防止装置を示す図
【図4】本発明の実施の形態3による運搬物ずれ防止装置を示す図
【図5】本発明の実施の形態4による梱包用バンドを示す図
【符号の説明】
【0058】
1,4,5 運搬物ずれ防止装置
2 運搬物
3 載置台
6 梱包用バンド
11,21,31,41 基材
12,22,32 第1の粘着領域
13,23,33 第2の粘着領域
24 剥離紙
34 エアー挿入口
42 粘着領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の運搬物の間、または運搬物と運搬機材との間に位置することにより、前記運搬物のずれを防止する運搬物ずれ防止装置であって、
平面状の基材と、
前記基材の第1の面に設けられた第1の粘着領域と、
前記基材の第2の面に設けられた第2の粘着領域と、を備え、
前記第1の粘着領域と、前記第2の粘着領域との少なくとも一方は、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域である、運搬物ずれ防止装置。
【請求項2】
前記基材は、シート状のものであり、
前記第1の粘着領域と、前記第2の粘着領域との両方が着脱可能な粘着領域である、請求項1記載の運搬物ずれ防止装置。
【請求項3】
前記基材は、テープ状のものであり、
前記第1の粘着領域は、着脱可能な粘着領域であり、
前記第2の粘着領域は、着脱可能でない粘着領域である、請求項1記載の運搬物ずれ防止装置。
【請求項4】
前記基材は、衝撃吸収性を有する緩衝部材を含むものであり、
前記第1の粘着領域と、前記第2の粘着領域との両方が着脱可能な粘着領域である、請求項1記載の運搬物ずれ防止装置。
【請求項5】
前記緩衝部材は、気体を密封することにより衝撃吸収性を有する、請求項4記載の運搬物ずれ防止装置。
【請求項6】
前記緩衝部材は、発泡樹脂である、請求項4記載の運搬物ずれ防止装置。
【請求項7】
運搬物の周囲を巻回する梱包用バンドであって、
バンド状の基材と、
前記基材が運搬物に巻回した状態において、外側に位置する領域に少なくとも設けられた、貼付対象に対して着脱可能な粘着領域と、を備えた梱包用バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−265800(P2008−265800A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110343(P2007−110343)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(504240371)菊地シート工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】