説明

運行情報送信システム及び受信システム

【課題】 自動的且つ円滑に車両の運行情報を送受信できるようにした、運行情報送信システム及び受信システムを提供する。
【解決手段】 車両1の運行情報を蓄積する運行情報データベース15と、運行情報データベース15に蓄積された運行情報の中から特定の運行情報のみを抽出して記憶する特定運行情報記憶手段(送信用情報DB)17と、特定運行情報記憶手段17に記憶された特定運行情報を遠隔にある管理センター101に送信する特定情報送信手段(データ送信部)19と、特定情報送信手段を有するコンピュータ11が起動すると特定情報送信手段19を実行する起動時送信実行手段とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各営業所と管理センターとの間で車両の運行情報を通信するのに用いて好適な運行情報送信システム及び受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転者への安全運転の励行や環境負荷の軽減(エコ運転)などを目的とする運送事業者(運送業者)向けの車両運行管理システムが実用化されている。この車両運行管理システムでは、各車両毎に担当運転者,走行距離,走行速度,ブレーキ回数等の車両の各種運行情報を記録する車両情報収集機器、いわゆるドライブレコーダ(あるいはデジタルタコグラフ)と呼ばれる装置が搭載されており、このドライブレコーダに記録された情報はメモリカード等の記録媒体を用いて車外に持ち出せるようになっている。そして、配送センター等の各車両の管理事業所では、上記の記録媒体から各種運行情報が読み込まれ、車両の運行管理に利用されるようになっている。
【0003】
そして運送業者ではこの運行管理結果に基づいて、担当の運転者毎に運転評価(速度の遵守や急ハンドル、急ブレーキがないか等の多数のチェック項目から判断する)を行い、運転者にさらなる安全運転の啓蒙等を行っている。
ところで、全国的に展開している運送事業者では、各車両を管理する管理事務所(以下、営業所という)がそれぞれ遠隔に散在している。しかし、運行管理における管理基準あるいは運行管理の結果に基づく各運転者毎の運転評価基準の一元化のため、ドライブレコーダに記録される運行情報のうち、少なくとも一部の運行情報(例えば、走行距離,走行速度,ブレーキ回数等の車両の走行状態あるいは担当運転者に関する情報等)については本社等の一括管理センターに集約し、全社一括して管理することが望ましい。
【0004】
そこで、このような全国に散在する営業所を有する運送業者では、上記の記録媒体から読み込んだ各種項目からなる運行情報のうち、一括管理を行うべき特定の運行情報をオペレータ(あるいは車両の担当運転者)が選別し、インターネットあるいは広域LAN等の通信回線を通じて一括管理センターに送信し、一括管理センターでは、全国の各営業所から送信された特定の運行情報に基づいて、全社一括して運行管理を行っていた。
【0005】
このように、車両の運行情報を通信回線を通じて管理システムに送信する技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開2002−150468公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように各営業所において担当運転者やオペレータ等の作業員の手動で運行情報を選別、送信する場合には、人為的ミスによる運行情報の送信忘れや、誤った運行情報を送信してしまうなどの送信ミス等が発生しやすい。また、各営業所毎の作業員による運行情報の選別及び送信作業も繁雑である上、人的コストの増大の原因にもなる。
【0007】
また、各営業所毎に任意のタイミングで運行情報を一括管理センターに送信する場合、一日の業務スケジュールは各営業所とも類似しており、運行情報の送信タイミングが自ずと各営業所毎に同時になることが多くなる。この場合、一括管理センターでは、複数の営業所からの運行情報を同時に受信する必要があるが、例えば、広域社内LAN等の回線に同時に多数の運行情報が送信されると送信データが集約される一括管理センターでは通信トラフィックの増大によって運行情報の送受信時間が増大し、作業効率の低下の原因となる。また、受信側に汎用の受信用サーバを用いた場合には、受信サーバのスペック上、所定数以上の多数の運行情報データを同時に受信することができないことがあった。
【0008】
そして、これらのトラフィック量の増大や多数同時受信による不都合を改善するためには、通信回線及び受信サーバに高スペックなものを導入するなど設備コストが増大してしまう。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、自動的且つ円滑に車両の運行情報を送受信できるようにした、運行情報送信システム及び受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の本発明の運行情報送信システムは、車両の運行情報を蓄積する運行情報データベースと、該運行情報データベースに蓄積された該運行情報の中から特定の運行情報のみを抽出して記憶する特定運行情報記憶手段と、該特定運行情報記憶手段に記憶された該特定の運行情報を遠隔にある管理センターに送信する特定情報送信手段と、該特定情報送信手段を有するコンピュータが起動すると該特定情報送信手段を実行する起動時送信実行手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項2記載の本発明の運行情報送信システムは、車両の運行情報を蓄積する運行情報データベースと、該運行情報データベースに蓄積された該運行情報の中から特定の運行情報のみを抽出して記憶する特定運行情報記憶手段と、該特定運行情報記憶手段に記憶された該特定の運行情報を遠隔にある管理センターに送信する特定情報送信手段と、該特定情報送信手段を有するコンピュータがシャットダウン操作されると、該シャットダウン前に該特定情報送信手段を実行するシャットダウン時送信実行手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項3記載の本発明の運行情報送信システムは、車両の運行情報を蓄積する運行情報データベースと、該運行情報データベースに蓄積された該運行情報の中から特定の運行情報のみを抽出して記憶する特定運行情報記憶手段と、該特定運行情報記憶手段に記憶された該特定の運行情報を遠隔にある管理センターに送信する特定情報送信手段と、予め定められた所定の時刻になると該特定情報送信手段を実行するタイマー送信実行手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
また、請求項4記載の本発明の運行情報送信システムは、該特定運行情報は、該車両の最長連続運転時間と、該車両の平均移動速度と、該車両の最高移動速度と、該車両が所定速度を超過した累計時間と、該車両のアイドリング時間と、のうち、少なくともいずれか一つを含み、更に、該車両を識別する車両コードと、該車両の運転者を識別する運転者コードと、該車両を所轄する所轄コードと、のうち少なくともいずれかを含むことを特徴としている。
【0013】
また、請求項5記載の本発明の運行情報送信システムは、該特定運行情報として、該車両に搭載された撮像手段の出力する画像データを含むことを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明の運行情報受信システムは、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運行情報送信システムから送信された特定運行情報を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した特定運行情報を集計する集計手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明の運行情報送信システムによれば、車両の運行情報の中から中央で一括管理するべき特定の運行情報のみを遠隔にある管理センターに送信するので、通信トラフィックが軽減されて各地に散在する各営業所から車両の運行情報を管理センターに集約して一括管理することができる。また、各営業所において特定の運行情報の送信を実行するコンピュータが起動すると特定の運行情報の送信を実行するので、特定の運行情報の送信にかかる作業を簡略化でき、人的ミスによる送信忘れ等を防止して確実に特定の運行情報を管理センターに送信することができる。
【0015】
また、請求項2記載の本発明の運行情報送信システムによれば、車両の運行情報の中から中央で一括管理するべき特定の運行情報のみを遠隔にある管理センターに送信するので、通信トラフィックが軽減されて各地に散在する各営業所から車両の運行情報を管理センターに集約して一括管理することができる。また、各営業所において特定の運行情報の送信を実行するコンピュータがシャットダウン操作されるとシャットダウン前に特定の運行情報の送信を実行するので、特定の運行情報の送信にかかる作業を簡略化でき、人的ミスによる送信忘れ等を防止して確実に特定の運行情報を管理センターに送信することができる。
【0016】
また、請求項3記載の本発明の運行情報送信システムによれば、車両の運行情報の中から中央で一括管理するべき特定の運行情報のみを遠隔にある管理センターに送信するので、通信トラフィックが軽減されて各地に散在する各営業所から車両の運行情報を管理センターに集約して一括管理することができる。また、予め定められた所定の時刻になると各営業所において特定の運行情報の送信を特定情報送信手段を実行するタイマー送信実行手段を備えているので、特定の運行情報の送信にかかる作業を簡略化でき、人的ミスによる送信忘れ等を防止して確実に特定の運行情報を管理センターに送信することができる。さらに、通信トラフィックの高い時間帯を避けて送信することも可能となる。
【0017】
また、請求項4記載の本発明の運行情報送信システムによれば、請求項1〜3のいずれか1項の効果に加え、特定運行情報に車両の最長連続運転時間と、車両の平均移動速度と、車両の最高移動速度と、車両が所定速度を超過した累計時間と、車両のアイドリング時間と、のうち、少なくともいずれか一つを含み、更に、車両を識別する車両コードと、車両の運転者を識別する運転者コードと、車両を所轄する所轄コードとのうち少なくともいずれかを含むので、遠隔地にある営業所の車両運転者の安全走行あるいはエコ走行を一括して監視、評価でき、特に、注意すべき運転をした運転者またはその運転者が所属する営業所、あるいは、注意するべき運転がなされた車両を特定できるため、各運転者毎に的確な賞罰等を与えることにより、運送業者全体の安全レベルの向上を図ることができる。
【0018】
また、請求項5記載の本発明の運行情報送信システムによれば、請求項1〜4のいずれか1項の効果に加え、特定運行情報として車両に搭載された撮像手段の出力する画像データを含むので、より詳細に運行情報の解析、管理を行うことができる。
また、請求項6記載の本発明の運行情報受信システムによれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運行情報送信システムから送信された特定運行情報を受信する受信手段と、受信手段が受信した特定運行情報を集計する集計手段とを備えているので、特定運行情報の受信側である管理センターにおいての集計作業を簡略化することができる上、請求項1〜3記載の送信システムを各営業所毎に分散して併用すれば、特定運行情報の受信にかかるトラフィックを分散させて円滑に特定運行情報を受信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1,図2は本発明の一実施形態に係る、車両の運行情報送信システム及び受信システムを説明するためのものであって、図1は、運行情報送信システムの要部構成を示す模式的なブロック図、図2は、運行情報送信システム及び受信システムを用いて互いに遠隔にある各営業所の運行情報を集約して一括管理する運行情報管理システムの全体構成を示す模式図である。
本実施形態にかかる運行情報管理システムは、図2に示すように、互いに遠隔に存在する一括管理センター(管理センター)101と各営業所102a,102b,102cとを所有する運送業者においての運行情報管理システムとして構成されている。なお、ここでは説明簡略化のため営業所の数を3としているがこれに限定しない。
【0020】
管理センター101と各営業所102a,102b,102cとは、電気通信線を介してそれぞれ通信可能に接続されており、互いに、デジタルデータを送受信することが可能になっている。なお、各営業所102a,102b,102c間についての電気通信線は必ずしも備えなくてよい。少なくとも一括管理センター101と各営業所102a,102b,102cとの間の通信が可能であればよい。
【0021】
また、ここで電気通信線とは、専用回線または広域LANあるいはインターネット等、一括管理センターと各営業所との間でデジタルデータの送受信が可能なものであればよい。
管理センター101は各営業所102a,102b,102cから電気通信線を介して送信される特定の運行情報を受信して集計し、集計された特定の運行情報に基づいて全社一括して車両の運行管理を行う機能を有する。
【0022】
即ち、一括管理センター101には、受信サーバコンピュータ20が備えられており、受信サーバコンピュータ20は、機能要素として各営業所102a,102b,102cから送信される運行情報を受信する特定運行情報受信部(受信手段)21と、受信部21において受信した運行情報を集計する特定運行情報集計部(集計手段)22とを備えている。この受信サーバコンピュータ20の仕様は営業所の数や受信するデータ容量、特定運行情報集計部の要求する仕様等を考慮して決定することが好ましい。なお、集計手段22としては汎用のデータベースソフトを用いて構成することができる。
【0023】
営業所102a,102b,102cには、それぞれ貨物の集配業務に使用されるトラック等の貨物車両である車両1が複数(あるいは単数)所属している。また、営業所102a,102b,102cにはそれぞれ送信用サーバコンピュータ11が備えられている。そして、営業所102a,102b,102cでは、それぞれ所属する車両1についての運行情報を取得及び管理し、管理センター101で一括管理するべき特定の運行情報(特定運行情報)を管理センター101に送信するようになっている。
【0024】
次に、図1を参照して営業所102aを例にとり、営業所に備えられる運行情報送信システムについて説明する。
図1に示すように、営業所102aに所属する車両1には、車両の運行情報を含む各種情報を収集し記録する機器、いわゆるドライブレコーダ(以下DRと略す)2が設けられている。なお、ここではDR2は、車両1に備えられる車載カメラ3から入力される撮像画像データSも車両の運行情報の一つとして記録する機能を備えている。
【0025】
このDR2には、CPU5が設けられるとともに、エンジン回転数センサ,車速センサ,三軸加速度センサ、ハンドル角センサ,燃料残量計,走行距離計,ブレーキスイッチ等種々のセンサ類及び車載カメラ3が接続されており、これにより、エンジン回転数Ne,車両1の速度V,ハンドル角,使用燃料量Q,走行距離,ブレーキ操作(ブレーキのオンオフ),アクセル開度,変速段,車載カメラの撮像画像等、車両1の走行に関する種々のデータ(運行情報)が入力されるようになっている。そして、これらのデータがCPU5で一時的に集計、管理されるようになっている。
また、このDR2には、入力された運行情報を記録媒体に書き込むための書き込み装置(カードライタ)4が設けられている。具体的にはこのカードライタ4には図示しないカードスロットが設けられており、記録媒体としてのメモリーカード6が上記カードスロットに挿入可能に構成されている。
【0026】
そして、カードスロットにメモリーカード6が挿入されている場合には、DR2に入力された運行情報が上記カードライタ4によりメモリーカード6に記録されるようになっている。
なお、車載カメラ3の撮像画像データSは、車両の運行開始から終了までにわたる全ての撮像画像データを記憶しようとするとデータ量が大きくなるため、記憶領域の大きいメモリーカード6が必要となってその分装置コストが大きくなってしまう。
このため、通常時は、所定時間分(例えば30分間)の撮像画像データSをDR2の記憶領域に保持しておき、センサ類から入力される運行情報に所定の異変等が生じた場合(例えば、急ブレーキ時や事故時等)には、その前後所定時間の撮像画像データSを、通常時の撮像画像データSが記憶されている領域に上書きするようになっている。これにより、撮像画像データ量の増大が抑えられるので、メモリーカード6に記憶領域の小さいものを使用しても十分にデータを記憶させることができ、装置コストを低減することができる。
【0027】
このようなDR2自体は公知の技術であるので、DR2に関する詳しい説明は省略する。また、記録媒体としては例えば内臓型ハードディスクのような据付型の記録媒体等を適用しても良い。
一方、図中の符号11は、車両1の運行管理施設(即ち、営業所102a)に配設される送信サーバコンピュータ(コンピュータ)11であって、運行情報の入力手段としてのカードリーダ12、一時記憶部13、データ解析部14、運行情報データベース15、送信用情報取得部16、送信用情報データベース(特定運行情報記憶手段)17、送信実行部(トリガ)18及びデータ送信部(特定情報送信手段)19等を有して構成されている。
【0028】
上述した構成要素のうち、カードリーダ12は、メモリーカード6に記録された車両の運行情報を読み取る機器であって、このカードリーダ12で読み取られた車両運行情報は一時記憶部13に蓄積されるようになっている。なお、入力手段としては上述したようなカードリーダ12に限定されるものではない。例えば、DR2側に設けられた記録媒体が内臓型ハードディスクのような据付型の記録媒体の場合には、ケーブルを介して接続されて上記記録媒体(ハードディスク)内の情報を読み取るような装置或いは機能であってもよい。
【0029】
また、この一時記憶部13にはデータ解析部14が接続されており、データ解析部14により一時記憶部13に蓄積された車両1の運行情報が解析されるようになっている。
データ解析部14では、具体的には一時記憶部13に蓄積された車両1の運行情報から走行経路、走行速度、燃費等の基礎的なデータ以外にもハンドル操舵角や操舵速度、ブレーキ頻度、アクセル操作速度、ウィンカ操作情報等の種々のデータが解析され、車両の最長連続運転時間、車両の平均移動速度、車両の最高移動速度と、車両が所定速度を超過した累計時間、車両のアイドリング時間、急ブレーキ回数、急ハンドル回数、旋回時においての速度超過回数、走行距離等の車両の運転状態に関する情報とともに車載カメラ3の撮像画像データSが各項目毎に整理されるようになっている。
【0030】
さらに、上記の車両の運転状態を示す情報に加えて、各営業所102a,102b,102cを識別する営業所コード、各車両1を識別する車両コード、車両の運転者を識別する運転者コード、車両の営業所からの出庫時刻及び入庫時刻等管理上必要な情報が各項目毎に整理されるようになっている。なお、営業所コード、車両コード、運転者コード等については、担当運転者あるいはオペレータがサーバコンピュータ11のキーボード(図示省略)等の入力装置から、その都度入力するようにしてもよい。
データ解析部14で解析され、上記の各項目毎に整理された車両の運行情報(これを全項目運行情報と呼ぶ)は運行情報データベース15に蓄積されるようになっている。
【0031】
この運行情報データベース15には全項目運行情報が各車両1の各営業日単位を1レコードとしたデータベースとして保存され、このデータベースは、各営業所102a,102b,102cにおいての運行管理あるいは業務管理に用いることができるようになっている。また、別の車両1について新たに全項目運行情報を追加する際には、新規のレコードとして全項目運行情報が追加されるようになっている。
【0032】
送信用情報取得部16には、予め、全項目運行情報の中から管理センター101に送信するべき項目が設定されている。そして送信用情報取得部16は、運行情報データベース15に新しく全項目運行情報が入力されると、蓄積された全項目運行情報の中から、管理センター101に送信するべきとして設定された特定の項目の運行情報(これを特定運行情報という)のみを複製して送信用情報データベース(特定運行情報記憶手段)17に記憶するようになっている。
【0033】
このとき、送信用情報データベース17に記憶される特定運行情報は、例えば、CSVファイルあるいはTSVファイル等、汎用性の高いデータベースファイル形式とするのが好ましい。このようにすれば、管理センター101で受信した特定運行情報を集計する際に特定運行情報集計部22として、既存の汎用データベースソフトを用いて、特定運行情報を集計を行うことができる。
【0034】
また、特定運行情報に画像データ(車載カメラ3の撮像画像データS)を含む場合には、画像データと特定運行情報との対応関連情報(例えば、画像データのファイルパス等)をCSVファイルあるいはTSVファイル等のデータベースファイルに記載した上で、画像データファイルと共に送信用情報データベース17に蓄積されるようになっている。
トリガ18は、送信サーバコンピュータ11上で実行されるプログラムとして構成され、予め設定された所定の条件が成立したときにはデータ送信部19を起動して、送信用情報データベース17に蓄積されている全ての特定運行情報を管理センターに送信するようになっている。ここでは、トリガ18は、サーバコンピュータ11の起動が条件として設定されており、例えば、営業開始時等に作業員がサーバコンピュータ11を起動させると、その時点において送信用情報データベースに蓄積されている特定運行情報が管理センター101に送信されるようになっている(起動時送信実行手段)。そして、送信完了した特定運行情報は、送信用情報データベース17から削除する。ここで何らかの原因(例えば通信エラーやタイムアウト等)により送信が完了しなかった場合には、その特定運行情報は削除せずに送信用情報データベース17に残るようになっている。
【0035】
なお、トリガ18に設定される所定条件(特定運行情報の送信条件)は、各営業所102a,102b,102cとも同一条件としてもよいが、本実施形態においては各営業所毎に異なる条件を所定条件として設定している。
すなわち、営業所102aでは上述のように、トリガ18がサーバコンピュータ11の起動を条件として特定運行情報を管理センター101に送信するが、営業所102bでは、トリガ18がサーバコンピュータ11のシャットダウン操作を条件として特定運行情報を管理センター101に送信し(シャットダウン時送信実行手段)、営業所102cでは、トリガ18が所定の時刻(例えば、午後11時)であることを所定条件として特定運行情報を管理センター101に送信する(タイマー送信実行手段)。
【0036】
このように、各営業所102a,102b,102c毎に特定運行情報の送信条件を異なる条件に設定することで、多数の営業所から同じタイミングで集中して特定運行情報が送信されることが防止でき、また、これによって管理センター101においての通信トラフィックの増大を抑制することができる。
なお、営業所102b,102cにおいての運行情報送信システムの構成については、トリガ18に設定される特定運行情報の送信条件を除いて、上述の営業所102aにおいての運行情報送信システムの構成と同様であるので説明を省略する。
【0037】
本発明の一実施形態に係る、車両の運行情報送信システム及び受信システムは上述のように構成されているので、乗務終了後に車両1の担当運転者が車両1からメモリーカード6を抜き取り、所属する営業所102a,102b,102cのサーバコンピュータ11のカードリーダ12に挿入することで、メモリーカード6に記憶されている運行情報が、サーバコンピュータ11の一時記憶部13に蓄積される。
【0038】
そして、蓄積された運行情報は解析部14によって解析されて項目毎に整理される(全項目運行情報)。そして、この全項目運行情報は、運行情報データベース15に記憶されるとともに全項目運行情報の中から、管理センター101に送信する項目として、予め設定された特定項目のデータのみを抽出した特定運行情報が送信用情報データベース17に記憶され、各車両毎の特定運行情報がCSVファイルあるいはTSVファイル等のデータベースファイルとして蓄積される。
【0039】
そして、トリガ18に設定された特定運行情報送信開始条件(送信サーバコンピュータ11の起動又はシャットダウン,あるいは所定の時刻等の条件)が成立したときには、データ送信部19がその時点に送信用情報データベースに蓄積されている特定運行情報を管理センター101に送信して、該送信された特定運行情報は送信用情報データベース17から削除される。ここで、何らかの原因で送信完了されなかった特定運行情報は送信用情報データベース17から削除されずに蓄積されたままとなる。したがって、次回、特定運行情報送信開始条件が成立したときには当該削除されずに蓄積された特定運行情報が再びデータ送信部19によって送信されることとなる。
【0040】
管理センター101の受信サーバコンピュータ20では、特定運行情報受信部21において、各営業所102a,102b,102cから送信された特定運行情報を受信し、特定運行情報集計部22において、受信した特定運行情報はデータベースとして整理、集計され、管理センター101においての特定運行情報管理業務に利用される。
したがって、管理センター101において一括管理されるべき特定運行情報は各営業所で予め定めた所定の送信開始条件が成立すると自動的に特定運行情報を管理センター101に送信するので、担当運転者(あるいはオペレータ)の人為ミスによる特定運行情報の送信忘れや送信ミス等を防止して確実に送信すると共に、担当運転者又はオペレータの作業負荷を低減することができる。
【0041】
また、何らかの原因によって特定運行情報の送信に失敗した場合には、特定運行情報が送信用情報データベース17から削除されずに残るので、各営業所では容易に送信の失敗を認識することができる。さらに、次回送信開始条件が成立した際には当該送信失敗した特定運行情報が再度送信されるので、各営業所において送信失敗が認識されなかった場合でも確実に送信することができる。
【0042】
また、各営業所102a,102b,102c毎に特定運行情報の送信タイミングが異なるようにトリガ18の特定運行情報の送信条件を設定しているので、受信サーバコンピュータ20が複数の営業所からの特定運行情報を同時に受信することを防止でき、管理センター101における通信トラフィックの増大をさらに抑制することができ、特に、特定運行情報の一つとして画像情報(車載カメラ3の撮像画像)等のデータ量の大きい情報を含む場合には、大きな効果を得ることができる。
【0043】
また、特定運行情報は、汎用性の高いデータベースファイル形式で送信されるため、送信サーバコンピュータ11、受信サーバコンピュータ20あるいはそれぞれの各機能要素は既存のものを用いて構成することができ、装置構成にかかる費用も安価ですむという利点もある。
【0044】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、実施形態では、特定運行情報として、走行経路、車両の最長連続運転時間、車両の平均移動速度、車両の最高移動速度と、車両が所定速度を超過した累計時間、車両のアイドリング時間、急ブレーキ回数、急ハンドル回数、旋回時においての速度超過回数、走行距離、車載カメラ3の撮像画像データS、営業所コード、車両コード、運転者コード、出庫時刻及び入庫時刻等などの各項目を挙げているが特定運行情報(あるいは全項目運行情報)の項目としてはこれに限らず、適宜選択追加可能である。
【0045】
ただし、車両の最長連続運転時間と、車両の平均移動速度と、車両の最高移動速度と、車両が所定速度を超過した累計時間と、車両のアイドリング時間とのうち、少なくともいずれか一つを特定運行情報として選択し、さらに、車両コードと、運転者コードと、所轄コードとのうち少なくともいずれか一つを特定運行情報として含むことが好ましい。
また、実施形態では本発明の運行情報送信システム及び受信システムを運送業者における運行情報管理に適用しているが、これに限らずどのような用途に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る、運行情報送信システム及び受信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、運行情報送信システムの洋舞構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両
2 ドライブレコーダ(DR)
3 車載カメラ
4 カードライタ
5 CPU
6 メモリーカード
11 送信サーバコンピュータ(コンピュータ)
12 カードリーダ
13 一時記憶部
14 データ解析部
15 運行情報データベース(運行情報記憶手段)
16 送信用情報取得部
17 送信用情報データベース(特定運行情報記憶手段)
18 送信実行部(トリガ、起動時送信実行手段、シャットダウン時送信実行手段、タイマー送信実行手段)
19 データ送信部(特定情報送信手段)
20 受信サーバコンピュータ
21 特定運行情報受信部(受信手段)
22 特定運行情報集計部(集計手段)
101 管理センター
102a,102b,102c 営業所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運行情報を蓄積する運行情報データベースと、
該運行情報データベースに蓄積された該運行情報の中から特定の運行情報のみを抽出して記憶する特定運行情報記憶手段と、
該特定運行情報記憶手段に記憶された該特定の運行情報を遠隔にある管理センターに送信する特定情報送信手段と、
該特定情報送信手段を有するコンピュータが起動すると該特定情報送信手段を実行する起動時送信実行手段と、を備えた
ことを特徴とする、運行情報送信システム。
【請求項2】
車両の運行情報を蓄積する運行情報データベースと、
該運行情報データベースに蓄積された該運行情報の中から特定の運行情報のみを抽出して記憶する特定運行情報記憶手段と、
該特定運行情報記憶手段に記憶された該特定の運行情報を遠隔にある管理センターに送信する特定情報送信手段と、
該特定情報送信手段を有するコンピュータがシャットダウン操作されると、該シャットダウン前に該特定情報送信手段を実行するシャットダウン時送信実行手段と、を備えた
ことを特徴とする、運行情報送信システム。
【請求項3】
車両の運行情報を蓄積する運行情報データベースと、
該運行情報データベースに蓄積された該運行情報の中から特定の運行情報のみを抽出して記憶する特定運行情報記憶手段と、
該特定運行情報記憶手段に記憶された該特定の運行情報を遠隔にある管理センターに送信する特定情報送信手段と、
予め定められた所定の時刻になると該特定情報送信手段を実行するタイマー送信実行手段と、を備えた
ことを特徴とする、運行情報送信システム。
【請求項4】
該特定運行情報は、該車両の最長連続運転時間と、該車両の平均移動速度と、該車両の最高移動速度と、該車両が所定速度を超過した累計時間と、該車両のアイドリング時間と、のうち、少なくともいずれか一つを含み、更に、該車両を識別する車両コードと、該車両の運転者を識別する運転者コードと、該車両を所轄する所轄コードと、のうち少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の運行情報送信システム。
【請求項5】
該特定運行情報として、該車両に搭載された撮像手段の出力する画像データを含む
ことを特徴とする。請求項1〜4のいずれか1項に記載の運行情報送信システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の運行情報送信システムから送信された特定運行情報を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した特定運行情報を集計する集計手段と、を備える
ことを特徴とする、運行情報受信システム。

【図1】
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【図2】
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