運転モニタシステム及び方法
一組の車両からの未加工データストリームは、外来ノイズを除去するためにフィルタリングされ、そしてそのストリームを一連の運転イベント基本命令に変換するために解析される。そして、この一連の運転イベントは、一連の高レベルの運転操作を得るためにパターン認識システムにより処理される。運転操作は、レーンチェンジ、追い越し、そして方向転換およびブレーキのような良く知られた行為を含む。運転イベントおよび操作は、センサのデータから作成されたパラメータによって定量化される。このパラメータと運転操作のタイミングは、運転者の能力と安全等級を評価するための技能および姿勢ファクターを判定するために分析される。そのデータを共通運転関連のコンセプトに翻訳することは通常の静的な閾値ベースの分析に比べてより正確で意味のある分析及び評価を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転モニタシステム(driving monitoring systems)及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両(vehicles)の運転動作とそのパターンに関する実時間データを取得するために、車両の操作(operation)をモニタするためのシステム及び方法を備えることには、広く認められた利益がある。このようなシステム及び方法は、事故のような車両の偶発的な出来事の原因に関する定性的および定量的情報の収集を容易化し、そして、運転熟練度の質を判定するための客観的な運転者評価を可能にする。潜在的利益は、車両事故および車両の悪用を防止または低減させること、そして、車両の運転費、メインテナンス費、および交換費用を低減させることを含む。このような装置およびシステムの社会的価値は、車両事故の影響を低減することにおいて普遍的である。経済的価値は、一般的な保険及び危機管理と同様に、商用車及び公用車には特に重要である。
【0003】
新規な技術的長所を活用した車両モニタシステムに対する大きく且つ成長中の市場が存在する。これらのシステムは、特徴および機能性において変化し、そして、全体的な問題に対するそれらのアプローチにおける多くの余地を提示する。或るものは位置(location)と後方支援(logistics)に焦点をあて、他のものは、エンジンの診断および燃料消費に焦点をあて、一方で、他のものは安全管理に注力している。
【0004】
例えば、Tokitsuら(以下、“Tokitsu”と称す)に対する米国特許第4500868は、自動車教習(driving instruction)における補助として意図されている。(エンジン速度、車両速度、選択されたトランスミッションギア、などのような)種々のセンサをモニタすることにより、Tokitsuによるシステムは、或る所定の状態閾値が超過されたかを判断し、そうであれば、警報を発して運転者に警告を与えることができる。また、警報は、事後的な検査および分析のために記録される。或る場合には、Tokitsuのような簡単なシステムが有益である。例えば、もし運転者がアクセルペダルを強く踏み込んでいれば、その結果生じる加速は所定の閾値を越え、警報がなり、運転者に加速を小さくするように警告する。もし、運転者がこのような行動の傾向があれば、Tokitsuのシステムによって作成された記録はこのことを示すであろう。他方、Tokitsuのシステムは、他の条件下では価値が制限される。例えば、もし運転者が、突然、強い力を車両のブレーキに加えると、その結果生じる減速度が所定の閾値を超え、そしてこれにより警報が発せられて記録される。このような行動の記録は有益であるが、このような強いブレーキングは、通常、既に運転者が緊急事態に気づいている場合や、アラームが過度である場合の緊急状態下で行われ(故に、価値が殆どないか全くない)、または恐らくは気分転換の場合に行われる(故に、疑わしい価値であり、または、有害ですらある)。
【0005】
Lemelsonに対する米国特許第4671111(以下、“Lemelson111”と称す。)は、車両の加速度及び減速度を取得し分析するためのデータ記録/伝送装置と加速度計の使用を教示している。しかしながら、Lemelson111は、車両の性能分析との関連でこのことを提起しているにもかかわらず、結果として得られたデータの分析がどのように行われるのについての詳細な説明は正確には存在せず、それによってどのようにして有意義な情報が得られるのかについても説明されていない。また、Lemelsonに対する関連米国特許第5570087(以下、“Lemelson087”と称す。)において、分析された車両の動きは、コンピュータメモリに格納されたコード化された表現で表される。それには、Lemelson111と同様に、未加工データがどのようにして分析されて運転行動のパラメータを決定するのかについて記載されておらず、Lemelson087には、運転行動パラメータまたは未加工データのコード化された表現がどのように生成または利用されるのかについて記載されていない。更に、Lemelsonに対する米国特許第5805079は、Lemelson087の継続出願であり、新規な事項、または追加の記述的材料を含んでいない。
【0006】
Kamishimaに対する米国特許第5270708(以下、“Kamishima”と称す。)は、車両の位置と方向、方向転換、および速度を検出し、そして現在の場所での過去の事故のデータベースと組み合わされて、現在の車両の運転状況が過去の事故のものと似ているかどうかを判断し、そうであれば、運転者に警報を発するシステムを開示している。例えば、もし、特定の道路上での現在の車両の速度がその道路のその点での速度制限(格納された)を超えていれば、運転者は警告を受ける。さらに、もし、その特定の領域でのスピードの出し過ぎが多くの事故に関与していたことで知られていれば、システムは、このことを運転者に通知する。しかしながら、このようなシステムの有用性は、以前のデータのベースを持ち、その格納情報と現在の運転状況とを関連づけることに決定的に依存している。Kamishimaのシステムは、特に、通常は運転行動を分析せず、場所依存の方法で運転者のパターンについて何ら一般的な結論を引き出すものでもない。
【0007】
Kondoに対する米国特許第5546305(以下、“Kondo”と称す。)は、未加工データを時間区別(time-differentiate)し、そして閾値試験(threshold tests)を適用することにより、未加工の車両速度、および加速度、エンジン回転数、およびブレーキングデータに関する分析を実施する。このような分析は、多くの場合、(運転の“粗雑さ(roughness)”を分析することにより)良好な運転動作と異常または危険な運転動作とを区別することができるが、時間区別と閾値検出は、単独では、未加工データストリームを、運転と正常に関連づけられる普通のパターンに分類することができない。例えば、運転者が速度閾値を超えた時間数のカウントを提供することは、安全でない運転を示すが、しかし、このようなカウントは、運転者のパターンのあいまいな検出しかもたらさない。他方、方向転換中に運転者がブレーキを繰り返し適用することを示す状況に敏感なレポートは、潜在的に危険な運転パターンをはるかに明らかにする。しかし、残念ながら、Kondoによってなされた分析は、従来の分析技術の特色をよく示しており、このような状況に敏感な情報を提供することができない。(後述の“従来技術の限界”を参照)
【0008】
Gehlotに対する米国特許第6060989(以下、“Gehlot”と称す。)は、車両を安全に制御するための運転者の能力を妨げる身体機能障害(physical impairments)を判断するための車両内のセンサシステムを開示している。説明されている特定の身体機能障害は、中毒(intoxication)、疲労および眠気、または薬の副作用を含む。Gehlotのシステムでは、車両よりはむしろ運転者である人物を直接的にセンサがモニタする。これは、身体機能障害(上述したような障害)の場合には有用なアプローチであるが、Gehlotのシステムは、運転者が単に未熟である場合、または無謀に運転している場合には効果がなく、しかも、運転者の通常の運転パターンを評価することができない。
【0009】
Tanoらに対する米国特許第6438472(以下、“Tano”と称す。)には、運転者の動作(performance)を評価するために使用することができる統計に基づく集約体(statistical aggregates)を取得するための統計に基づく手法で(速度および加速度のような)未加工の運転データを分析するシステムが記載されている。或る所定の閾値を超えると、不出来な運転者の動作が判断される。“安全”な運転と考えられる統計に基づく閾値を超えている運転者は、“危険”な運転者と見なされる。閾値は、標準偏差のような、種々の統計に基づく量に適用されることができる。しかしながら、Tanoは、道路の場所および特性によって変化すると考えられる閾値と統計に基づく集約体に頼っているので、Tanoによるシステムは、統計に基づくプロファイル及び閾値とは無関係に運転者の動作を評価するための能力が制限されている。詳細には、運転者の動作の統計に基づく特性化は、一般に、普通の運転パターンの観点では表現できない。例えば、運転者は、特定の横加速度閾値を越える統計に基づくプロファイルを有するかもしれず、従って運転者は“危険”な運転者として分類されるかもしれない。しかし、どのような運転パターンが過度の横加速度に関与しているのだろうか。それはこの運転者がカーブを速すぎる速度で曲がる傾向があるためか。または、運転者が、車間をジグザグに走り抜ける間に急に車線変更する傾向があるためか。両方とも場合によっては“危険”なパターンであるが、しかし、Tanoに示されているような純粋に閾値指向の統計に基づく分析は、これらを区別することができず、従って、結果として得られる統計に基づくプロファイルが特定の運転パターンに起因すると考えることはできない。Tanoの分析について上述したように、Tanoの統計に基づく分析は、また、普通の運転パターンの観点で情報を提供することができない。
【0010】
上述の交付ずみ特許に加えて、車両の運転行動をモニタするために現在利用可能な多くの市販製品が存在する。CA、サンタバーバラのVetronix社の“Mastertrak”システムは、光学的な“保安モジュール”を提供する車隊管理(fleet management)として意図されている。しかしながら、この特徴は、車両速度と安全ベルトの使用にしか対処しておらず、運転者の行動パターンを分析することはできない。TX、ヒューストンのSmartDriverによって製造されたシステムは、車両速度、アクセルスロットの位置、エンジンRPMをモニタし、これらの変数に対する閾値の超過に関して、検出しカウントし報告することができる。しかしながら、残念ながら、閾値に基づいて分類できない種々の運転パターンが存在するにもかかわらず、それは、問題の多い、または安全でない運転行動の検出に関するものである。例えば、一般に、或る道路上であまりにゆっくりと運転することは危険であり、この理由により、場合によっては、最低速度制限が存在する。しかしながら、最低速度以下での運転は、SmartDriverのようなシステムによっては即座に検出できない。なぜならば、低速の閾値(low-speed threshold)の導入は、(車両が適切な場所でゆっくりと運転されているときに)通常はこのようなデータを収集することは意味がないというような多くの誤った報告をもたらすからである。
【0011】
多様なセンサを通じて車両の動作に関する未加工の物理データを収集することは、通常、極めて多量のデータをもたらし、それは、記憶し処理するのに扱いにくく、分析し評価するのに実用的でない。このため、運転者行動の分析および評価の如何なる自動化システムまたは方法も、データを取り扱い可能なサイズに有意義に低減するための或る抽出メカニズム(abstraction mechanism)を導入しなければならない。
【0012】
引用した上述の特定の事例によって例示されたように、従来技術について、これは、統計に基づく処理と、所定の閾値の使用を通じてなされ、場合によっては、限定的な継続的前処理(例えば時間区別(time-differentiation))によって補完され、場合によっては、オプションで、運転が行われている場所に関する利用可能なヒストリーまたは他のデータと関連づけられる。結果として、従来技術のシステムおよび方法は、一般に、運転者の動作の統計的に処理された概略(overview)と集約体(aggregate)を提供することに限定される。これは、Lemelson111において簡潔に表されており、即ち、“コンピュータ分析は、車両の使用または通常の動作を判断するために平均が採用されるところの特定の時間インターバルまたは多くの時間インターバルまたは一層長い時間区間の何れかの期間中、車両の運転の仕方(manner)を判断する”(カラム1、ライン21−26)。即ち、従来技術の分析および評価は、特定の運転セッションの期間中の全体的な動作に基づくか、または、多数の異なるセッションにわたる統計的平均に基づいている。限定された例では、上記分析および評価は、GPS位置決めのアプリケーションを通じて、特定の道路または道路セグメントに関してなされる。
【0013】
図1は、一般的な従来技術の分析および評価アプローチを例示している。代表的なセンサセット101は、回転計103、速度計105、1又は2以上の加速度計107、GPS受信器109、および光学的な追加のセンサ111を備える。加速度計の場合では、一般に、加速度計は、一つの特定の車両軸に沿った加速度をモニタするように機能し、そしてその軸に沿った車両の加速度に応じた未加工のデータストリームを出力する。一般に、関心のある車両加速の二つの主な軸は、縦方向の車両軸−即ち、実質的に車両の主要動(“前方”と“後方”)の方向における軸と、横方向(側面方向)の車両軸−即ち、車両の主要動(サイド・ツウ・サイド)に対して実質的に直交する実質的な水平軸である。2以上の軸に沿った複数の独立ベクトル加速度をモニタすることが可能な加速度計(“多軸(multi-axis)”加速度計)は、本明細書では、複数の加速度計と考えられ、そのように示され、前記複数の加速度計のうちの各加速度計は、単一の軸のみに沿った加速度をモニタすることができる。追加的なセンサは、運転者のブレーキングの踏圧力、アクセルの踏圧力、ステアリングのコントロール、ハンドブレーキ、方向指示器、およびトランスミッション又はギアボックスのコントロール、クラッチ(もし、あれば)、などのためのセンサを含むことができる。回転計103および速度計105のようなセンサの幾つかは、単に、量の大きさを表すアナログ信号出力を有してもよい。トランスミッション及びギアボックスセンサのような他のセンサは、どのギアが選択されているかを示すデジタル出力を有してもよい。メーカーまたは業界のフォーマット標準に従って、さらに複雑な出力がGPS受信機109から入力してもよい。他のセンサは、実際の道路状態および他の運転ファクターを判断するために、実時間クロック、コンパスのような方向案内装置、1又は2以上の傾斜計、温度センサ、降水センサ(precipitation sensors)、利用可能な光センサ、などを含んでもよい。また、サポートされるならば、デジタルセンサ出力も可能である。センサセット101の出力は、アナログ及び/又はデジタル形式の未加工データのストリームである。
【0014】
センサ出力は、分析及び評価ユニット113に入力され、それは閾値設定115および閾値識別器117を備える。統計ユニット119は、概要報告を提供し、そして光継続処理ユニット121は、未加工データを前処理するために備えられてもよい。分析及び評価ユニット113は、統計的に処理されたデータである。
【0015】
報告/通知/警報123は、統計処理の結果を用いて出力され、そして、次の1又は2以上の分析及び評価を含んでもよい。即ち、緊急警報125、運転セッション1の統計報告127、運転セッションnの統計報告131、運転セッション平均統計報告133、および道路特定運転セッション統計報告135のうちの1又は2以上の分析及び評価を含んでもよい。
【0016】
これらの報告は、運転者の行動、技能、および姿勢を分析し評価するのに役立つが、しかし、運転セッションのグループまたは全体的な運転セッションにわたる集約体と、運転の局在性(localization)または閾値に主に基づいている統計の使用は、また、多くの有意義な情報の喪失をもたらす。
【特許文献1】米国特許第4500868号明細書
【特許文献2】米国特許第4671111号明細書
【特許文献3】米国特許第5270708号明細書
【特許文献4】米国特許第5546305号明細書
【特許文献5】米国特許第6060989号明細書
【特許文献6】米国特許第6438472号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施形態によれば、特定の運転状況における運転者の行動の分析の重要性が理解された。また、この理解に基づき、本発明の実施形態によれば、追い越し(passing)、車線変更(lane changing)、交通合流(traffic blending)、方向転換(making turns)、交差点での対処、高速道路への出入りでの対処、大規模な交通渋滞での運転などのような、その通常的な運転状況は、重要な運転の配慮(driving consideration)を取り入れ、所定の運転セッションにおける所定の運転者のための集約体統計は、その所定のセッションの期間中のそれらの状況の混合(mix)および分配(distribution)に依存することは明らかである。従って、運転者とその運転者の行動の適切な評価のためには、これらのファクターを考慮に入れることが重要である。
【0018】
例えば、一貫した方法で運転するが、異なる運転状況に対処する同一運転者は、全く異なる運転統計データを呈するかもしれない。従って、運転者の行動をモニタすることの重要な利益の一つは、運転者の一貫性を判断するための能力である。なぜなら、これは、運転者の予見可能性(predictability)の重要な指標であり、従って、その運転者の動作の安全性の指標だからである。もし運転者が確立された運転プロファイルから著しく逸脱し始めれば、これは、安全でない状況の貴重な事前警告である。おそらく、運転者は、疲れているか、気持ちを動転させているか、混乱状態にあり、これにより、一貫性分析(consistency analysis)が検出できる危険(hazard)を提示する。また、運転者が誤認され、そして車両を運転していると考えられていた人物ではないという可能性もある。しかし、残念ながら、従来技術において行われていたような、統計的集約データは、意味のある一貫性分析を可能としない。なぜなら、このような分析は、遭遇した特定の運転状況に依存し、そして従来技術の分析は、それらの運転状況の詳細を完全に無視するからである。
【0019】
代表的な従来技術の報告は、次のような情報、すなわち、設定された速度制限を超過した時間数、最高速度、設定されたRPMを超過した時間数、最大横方向加速度またはブレーキング減速度などを示す。このような情報は、運転者の習慣の特徴を示しているが、例えば、運転者が方向転換中に加速し、または高速で頻繁に車線変更するといったことを明らかにすることにより、通常的な運転状況、操作、およびパターンに基づく報告を有することの方が好ましい。したがって、初心者で比較的経験の浅い運転者は、極めて注意深く運転し、これにより、極めて“安全”な全体統計データを有するが、しかし、或る種の一般的ではあるが挑戦的な運転状況に対処するための技能を欠いているかもしれない。しかしながら、熟練した運転者は、さらに“危険”な全体統計データであるように思われることを呈するかもしれないが、しかし、それらの挑戦的な運転状況に対して初心者の運転者よりも安全かつ良好に対処することができるかもしれない。しかしながら、従来技術の分析システムおよび方法は、より熟練した運転者がより大きな危険を引き起こすことを誤って推定するかもしれないが、ところが、実際には、明らかにより注意深く観察されるべき“安全”な運転者である。
【0020】
従って、通常的(familiar)な運転状況の観点で、車両の運転者の対応する一連の動作および特徴を判断するために未加工の車両データストリームを分析するための方法およびシステムに対する要請があり、そのような方法およびシステムを備えることは有益である。また、本発明の実施形態により、通常的な運転パターンおよび操作の観点での運転の動作および特徴を表現するための方法およびシステムを有することは有益である。
【0021】
本発明は、車両の運転者の動作(performance)を評価し分類することを目的として、車両の操作(operation)に関する未加工データストリームを分析し評価するためのシステムおよび方法を提供する。従来のシステムおよび方法とは異なり、本発明の実施形態は、運転者の技能および行動の統計的および閾値分析および評価および見積もりを実施することに制限されないが、むしろ、運転のイベント(event)に基づいており、且つ、運転者の運転行動の分類を可能する運転操作を識別することに基づいている。本発明によれば、運転者の運転行動は、通常的な運転パターンおよび操作により表されることができる。従って、本発明は、より多くの情報を含み、且つより迅速に使用される分析および評価を提供する。
【0022】
本発明の実施形態によれば、車両センサからの未加工データストリームは、運転操作の記述子(descriptor)を得るために徐々に分析され、次第に“データ”が減少すると共に、運転操作、代表的には通常的な運転操作と状況を表すようになる。本発明は、各イベントが発生する状況(context)を識別することを可能とする。例えば、急なブレーキングがイベントとして定義され、そしてこのようなイベントの状況は、速すぎる速度で進入して方向転換することである。そして、このイベントは、運転状況との関連で識別されることができる。従来技術のソリューションは、(運転者が特定の速度を越えた時間数をカウントすることのような)測定可能な変数の閾値レベルによる統計的分析を実施するが、(車線変更や、以下にさらに説明されるような他の多くの事柄のような)運転状況の共通パターンを認識すること、とりわけ、安全でない運転行動を表す事柄を識別するために、(車線変更中に速度を上げることや、以下にさらに説明されるような他の多くの事柄のような)状況に他のイベントを関連づけることは、本発明の実施形態の目的である。
【0023】
また、本発明は、運転される車両のセンサ利用のモニタリングに基づき運転者の技能の分類を容易化する。また、本発明は、運転される車両のセンサ利用のモニタリングに基づき運転者の姿勢の分類を容易化する。本明細書で使用される“姿勢(attitude)”なる用語は、運転に対する運転者のアプローチ(approach)と、故意に危険を冒す運転者の傾向を表す。姿勢カテゴリーは、“安全(safe)”(または“正常(normal)”)、“攻撃的(aggressive)”(または“冒険的(risky)”)、“スリルを求める(thrill-seeking)”、“態度が悪い(abusive)”、そして“危険(dangerous)”を含むが、これらに限定されない。本発明の実施形態では、攻撃的または危険な行動がイベントとして記録される。
【0024】
また、本発明は、その実施形態の一つによれば、共通の運転状況において共通の運転操作を実施するときの運転者の行動を定性化し定量化することにより、呼び出された運転セッションの特定の詳細とは無関係に、運転者の事前に記録されたプロファイル、通常は例えば車隊における運転者のグループまたは同じ運転者のプロファイルの何れかと現在の運転者の行動とを定量的および定性的に比較することを可能にする。
【0025】
従って、本発明の第1の態様によれば、車両の運転者の動作(performance)および行動(behavior)を分析し評価するためのシステムが提供され、本システムは、前記車両の状態をモニタすると共に、それに対応する未加工データストリームを出力するように機能する車両センサユーティリティと、前記未加工データストリームを入力し、それに基づき運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを出力するように機能する運転イベントハンドラーと、前記少なくとも一つの運転イベント表現を入力し、運転操作のパターンを認識し、そしてそれに対応する運転操作表現を構築して出力するように機能する操作検出器とを備え、前記運転操作表現は、少なくとも一つの運転操作の表現を含む。
【0026】
加えて、本発明の追加的態様によれば、車両の運転者の動作および行動を分析し評価するための方法が提供され、本方法は、(a)前記車両の状態をモニタして、それに対応する未加工データストリームを取得するステップと、(b)前記未加工データストリームから運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを生成するステップと、(c)前記運転イベントストリングから、少なくとも一つの運転操作の表現を含む運転操作表現を構築して出力するステップとを含む。
【0027】
“車両(vehicle)”なる用語は、運転と関連する任意の物理パラメータを指し、1又は2以上の車両の位置、速度、加速度(1、2または3軸における)、エンジン回転数、車両のアクセル(ガス)ペダルの使用の程度、車両のブレーキの使用またはブレーキ踏圧力の程度およびステアリングホイールの使用の程度を含んでも良く、これに制限されない。従って、センサユーティリティは、上述の“車両の状態”パラメータの1又は2以上をモニタするように機能する検知装置を含む。
【0028】
この好ましい実施形態によれば、モニタされる車両の状態は、1軸、好ましくは2軸、オプションで3軸における加速度である。従って、この好ましい実施形態によれば、センサユーティリティは、1軸、好ましくは2軸、オプションで3軸における車両の加速度をモニタするように機能する1又は2以上の加速度計を含む。
【0029】
代表的には、加速度は、運転方向である縦方向と、側面方向である横方向においてモニタされるであろう。従って、この実施形態によれば、センサユーティリティは、車両の加速度をモニタするように機能し、特定の車両軸に沿った車両の加速度に応じた未加工データストリームを出力するように機能する少なくとも一つの加速度計を備える。
【0030】
運転イベントハンドラーおよび操作検出器は、それぞれ独立に、プロセッサで動作するソフトウェアユーティリティ、その目的のために構成されたハードウェアユーティリティであってもよく、代表的にはこれら二つの組み合わせであってもよい。一実施形態によれば、イベントハンドラー及び操作検出器は、両方とも、一つの計算機ユニットに含まれ、このようなユニットにおけるハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールとして備えられる。他の実施形態によれば、それぞれは、異なるユニットで動作する個々のハードウェア及び/又はソフトウェアユーティリティを構成する。このような異なるユニットは、車両に構成されてもよいが、理解されるように、それらは、また、遠く離れた場所に構成されてもよく、例えばシステムサーバ、または車両および遠隔のその他のものにインストールされたものに構成されてもよい。1又は2以上のシステムのコンポーネントが遠く離れた場所に構成された場合において、アップストリーム車両インストールされたコンポーネント(upstream vehicle installed component)は、無線(wireless)であってもよく、その場合、入力は、連続的であるか又はバッチ式(batch-wise)(例えば、所定の伝送シーケンスによる)であってもよく、または、例えば車両がサービスまたは燃料補給のために来たときに、物理的または接近通信(proximity communication)を通じたものでもよい。
【0031】
本発明の実施形態によれば、例えば、車隊において、レンタカーにおいて、特に、車両が二人以上の運転者によって運転される場合、システムは、また、例えば、識別カードをスワイプ(swipe)するためのドライバーにより、または識別コードのパンチング(punching)により、運転者を識別するための運転者識別ユニットを備える。
【0032】
本発明の実施形態によれば、前記少なくとも一つの運転イベント表現は、1又は2以上の数値パラメータに関連づけられる。しかしながら、理解されるように、本発明は、前記数値パラメータの使用に限定されるものではなく、他のタイプのパラメータを同様に採用することができる。前記少なくとも一つの運転イベント表現は、スタートイベント(start event)、最大イベント(maximum event)、最小イベント(minimum event)、クロスイベント(cross event)、フラットイベント(flat event)、局所最大イベント(local maximum event)、局所フラットイベント(local flat event)からなるグループのうちの1又は2以上であるところの運転イベントに対応してもよい。
【0033】
運転操作表現(driving maneuver representation)は、種々の異なる運転操作に対応してもよい。本発明の実施形態によれば、前記少なくとも一つの運転操作は、加速、方向転換前の加速、車線変更中の加速、加速して方向転換、停止から加速して方向転換、停止から加速、方向転換から加速、追い越し中の加速、ブレーキング、方向転換後のブレーキング、方向転換前のブレーキング、ブレーキングして停止、方向転換からブレーキング、方向転換中のブレーキング、失敗した車線変更、失敗した追い越し、車線変更、車線変更およびブレーキング、追い越し、追い越しおよびブレーキング、方向転換、方向転換および加速、およびUターンからなるグループの1又は2以上の表現である。本発明の実施形態によれば、前記少なくとも一つの運転操作表現は、1又は2以上の数値パラメータと関連づけられる。しかしながら、理解されるように、本発明は数値パラメータの使用に限定されるものではなく、他のタイプのパラメータを同様に採用することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記運転操作表現は、運転者の技能を評価するために利用される。本発明の他の実施形態によれば、前記運転操作表現は、運転者の姿勢を評価するために利用される。従って、これらの実施形態によれば、本システムは、前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の技能を分析するように機能する技能評価器ユーティリティ、または前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の姿勢を分析するように機能する姿勢評価器ユーティリティを、それぞれ備える。前記技能評価器ユーティリティおよび前記姿勢評価器ユーティリティは、それぞれ、独立に、プロセッサにおいて動作するソフトウェアユーティリティ、その目的のために構成されたハードウェアユーティリティ、または、代表的には、これら二つの組み合わせである。両方のユーティリティは、一つの計算機ユニットに含まれても良く、このようなユニットにおけるハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールとして備えられてもよく、或いは、それぞれは、異なるユニットにおいて動作する個別のハードウェア及び/又はソフトウェアユーティリティを構成してもよい。これらのユーティリティの一つまたは両方は、本発明の幾つかの実施形態において、1又は2以上の運転イベントハンドラーおよび操作検出器と共に、同一のユニットに組み込まれてもよい。前記ユーティリティは、車両に組み込まれてもよいが、理解されるように、それらは、また、遠く離れた場所に構成されてもよく、例えば、システムサーバに構成されてもよい。1又は2以上の前記システムのコンポーネントが遠隔の場所にインストールされている場合には、アップストリーム車両インストールコンポーネントからの入力の受信は、無線であってもよく、この場合、前記入力は、継続的またはバッチ式(所定の伝送シーケンスによる)であってもよく、或いは、例えば、車両がサービスまたは燃料補給のために来たときの物理的または接近通信を通じたものであってもよい。
【0035】
本発明のシステムは、代表的には、特徴的な運転操作表現を記録するように機能するデータベースと、前記少なくとも一つの運転操作表現と前記特徴的な運転操作表現とを比較するように機能する異常検出器とを備える。前記データベースは、平均的運転者動作、例えば、運転者の車隊(fleet)、規定された近隣(neighborhood)、地方(country)、特定の年齢グループの運転者などにおける平均的動作を表す運転操作表現を記録してもよい。このような場合、運転者のための前記運転操作は、複数の運転者について特徴的な運転操作と比較されてもよい。或いは、前記データベースは、運転者について個々の運転操作表現を記録してもよく、従って、運転者のためのその運転者操作は、例えば、運転者の姿勢が、ある種の精神的状態、アルコールまたは薬物などの影響下での運転の結果として、運転の変化をもたらす場合を検出するために、その人の以前又はこれまでの運転動作と比較されてもよい。
【0036】
本発明の実施形態によれば、報告が出力されてもよい。代表的には、この実施形態による本システムは、報告を出力するように機能する分析器ユーティリティを含む。
【0037】
本明細書において、本発明は、以下の添付の図面を参照して、単なる一例として説明される。
図1は、従来技術による車両の運転データの分析および評価を概念的に例示する。
図2は、本発明の一実施形態によるシステムのブロック図である。
図3は、複数の車両加速度計からの未加工データストリームのグラフの例である。
図4は、本発明による未加工データストリームをフィルタリングしてノイズを除去する例である。
図5は、本発明によるフィルタリングされたデータストリームを解釈して運転イベントのストリングを導き出す例である。
図6は、本発明による“車線変更”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図7は、本発明による“方向転換”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図8は、本発明による“方向転換中のブレーキング”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図9は、本発明による“方向転換中の加速”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図10は、本発明の実施形態による運転操作を識別するための有限状態マシンの遷移の説明に役立つ限定されない事例を示す。
図11は、本発明の実施形態による車両運転者動作を分析し評価するための方法のフローチャートである。
図12は、本発明の実施形態による運転者の技能を評価するための構成の概念的なブロック図である。
図13は、本発明の実施形態による運転者の姿勢を評価するための構成の概念的なブロック図である。
図14は、本発明の実施形態による現在の運転者の行動及び/又は動作に重大な異常があるかどうかを判断するための構成の概念的なブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明によるシステム及び方法の原理および動作は、目下のところ好ましい幾つかの特定の実施形態を説明する添付の記述と図面を参照すれば理解されるであろう。これらの例示的な実施形態は、上述の本発明の全範囲を制限するものではなく、例示に過ぎないものであることが理解される。
【0039】
[システムおよびデータ生成]
図2は、本発明の実施形態によるシステムを例示している。センサセット(sensor set)101は、幾つかの実施形態による図1に示される従来技術のそれに相当し、未加工データストリーム(raw data stream)の形式での出力を有し、車両の状態をモニタすることを除いて、他と異なる。理解されるように、本発明は、特定のタイプのセンサに限定されるものではなく、任意の現在利用可能なまたは将来利用可能な検知システムが本発明に採用できる。未加工データ(raw data)は、運転イベントハンドラー201に入力され、この運転イベントハンドラー201は、ロウパスフィルター202、運転イベント検出器203、運転イベントを格納し管理するための運転イベントスタックおよび運転イベント抽出器205、運転イベントライブラリー207を備え、運転イベントライブラリー207はデータベース209から特定のデータを取得する。
【0040】
本発明によれば、運転イベント(driving event)は、以下に詳細に説明されるように、運転の基本動作を特徴づける“単純(simple)”な運転操作(driving operation)である。運転イベントハンドラー201は、センサセット(sensor set)101からの未加工データに関して基本的な分析を実施し、そして、上記未加工データストリームに対応する運転イベントのストリング(string)を出力する。運転イベントストリングは、この実施形態では、その各生起順に配列された運転イベントシンボルのセットであって時間順の空でないセット(non-empty set)として表される。運転イベント検出器203は、データストリームに対してウィンドウをスライドさせる既知の技術を用いることによるように、イベントライブラリー207からのイベントタイプとフィルタリングされたセンサデータストリームの最良適合(best-fit)の比較を実施する。実時間クロック(real-time clock)208は、システムに基準時間入力を供給し、ここでは、運転イベントハンドラー201に出力されるものとして、本発明の制限されない実施形態について例示されている。
【0041】
また、本発明の実施形態によれば、運転イベントは、基本的な運転操作(basic driving operation)を定性的に識別するシンボルによって特徴づけられ、そしてその運転イベントを定量化する1又は2以上の数値パラメータと関連づけられる。これらのパラメータは、上述のように、イベントライブラリー207からのイベントに対して最良適合の比較を行うのに使用されるスケーリング及びオフセットファクターから導出される。例えば、イベントライブラリー207におけるイベントのモデルに対する入力データの選択されたセグメントの最良適合を生じるところの時間軸のスケーリングと変数値軸のスケーリングは、数値パラメータとして使用されることができる(ほとんどの場合、1又は2以上のこれらの数値パラメータは、運転イベントの開始時間および終了時間に関する)。もし、運転イベントと入力データストリームとがぴったりと適合(close fits)すれば、イベントストリング(イベントシンボルと関連パラメータセットを含む)は、オリジナルのデータストリームを置き換え、これにより、データを著しく圧縮し、としてその知的な分析を提供する。
【0042】
制限されない例として、簡単なイベントは、停止位置から前方に移動するように車両をスタートさせることである(“スタート”イベント)。このイベントのための数値パラメータは加速度の大きさである。このイベントの一般化されたバージョンは、移動する車両の速度増加である(“加速”イベント)。他の簡単なイベントは、移動状態から速度を落として停止することである(“ストップ”イベント)。他のイベントは、同様に単純である。イベントハンドラー201への入力であるセンサからのデータの連続的ストリームの代わりに、出力運転イベントストリングは、上述のような一連の基本的運転イベントである。
【0043】
そして、運転イベントストリングは、運転操作検出器211に入力される。本発明によれば、運転操作(driving maneuver)は、通常の運転における通常的(familiar)なパターンとして遭遇する運転イベントの組み合わせである。例えば、“車線変更”は、最も簡単なケースでは、前進動作期間中の横方向の減速が続いて起こるところの横方向の加速の組み合わせで表現される運転操作である。方向転換中の車線変更がさらに含まれるが、運転イベントの組み合わせによって同様に表すことができる。運転イベントそれ自体のケースにおけるように、運転操作は、1又は2以上の数値パラメータを含むことができ、それは、運転操作を作り出す運転イベントの数値パラメータに関連する。
【0044】
運転操作シーケンスは、それらの生起順の各時間に応じて配列された運転操作のセットであって時間順の空でないセットである。図2に戻り、運転イベントのストリングから運転操作のシーケンスを導き出すために、操作検出器211は、データベース209から与えられる操作ライブラリー213と、運転操作のパターンを認識して運転操作を補償する運転イベントのクラスターを識別するためのパターン認識ユニット215と、入力運転イベントストリングに対応する妥当な運転操作シーケンス出力を構成するための操作分類器217とを備える。典型的なパターンは、これに制限されるものではないが、停止からの加速、および速すぎる速度での方向転換への進入または加速中の車線変更のようなイベントのシーケンスを含む。運転操作のタイミングおよび量を既知の熟練した運転者のそれと比較することにより、技能評価器219は、現在の運転者の運転操作のハンドリングについての技能評価を構築(develop)し割り当てることができる。また、ある種の重要なパラメータ(操作中の加速および減速に関連するようなもの)の大きさを分析することにより、姿勢評価器221は、現在の運転者の運転操作の実施についての姿勢評価を構築し割り当てることができる。また、各操作は、現在の運転者についての集約姿勢評価(aggregate attitude rating)を構築し割り当てるための重み付け姿勢危険係数を割り付けられてもよい。
【0045】
次の表1は、幾つかの共通運転操作、それらの運転状況における共通の意味、およびそれらの推奨された運転危険係数の例を含むが、これらに限定されない。本明細書で述べられる運転操作および運転イベントについての多くの可能性のある記述的用語が存在することが知られており、本明細書で使用されるその用語の選択は、それ自体、本発明のとの関連では重要でない。例えば、“追い越し(passing)”運転操作は、本明細書では、米国における操作についての共通の用語にちなんで名づけられているが、或る国では“バイパス(bypassing)”と称され、他の国では“オーバーテイク(overtaking)”と称されている。
【0046】
制限されない例において、係数は1から10の範囲の値をとり、10は、最も危険な運転操作を表している。もちろん、危険係数は主観的なものであり、本発明の他の実施形態によれば、経験的証拠(empirical evidence)に合うように再定義されてもよい。この係数は、また、異なる国、異なる運転者の人口などで異なってもよい。
【0047】
【表1A】
【0048】
【表1B】
【0049】
運転操作検出器211による処理に続いて、運転異常検出器223は、運転者の運転プロファイルにおける不一致(inconsistencies)について出力運転操作をチェックする。運転者についてのプロファイルまたはプロファイルのセットは、その運転者の現在の行動と比較するためにデータベース209に保持されることができる。種々の操作についてのプロファイルのセットは、現在の運転操作がどのようであっても、同一のカテゴリーの記録された操作と比較されるように(即ち、例えば、車線変更操作を、記録された車線変更操作と比較するように)、保持されることができる。もし、基準(reference)として使用されるその運転者についての記録されたプロファイルと現在の運転操作との間に大幅な食い違い(discrepancy)が存在すれば、この運転の食い違いは、チェックまたは調査の検証のために緊急警報228に報告されることができる。前述のように、重大な食い違いまたは不一致は、(例えば、アルコール及び/又は薬物などの影響下での一連の運転のような、運転者の現在の姿勢の結果として)安全でない状態を示す。
【0050】
運転操作検出器211から出力される運転操作のシーケンスは、また、分析器225に出力され、この分析器225は、報告/通知/警報229に運転行動の分析および評価を出力する。図2に示されているように、報告/通知/警報229は、運転状況1の分析報告231、運転状況2の分析報告233等と、運転状況nの分析報告235に関するある種の情報を含む。加えて、上記運転状況の分析報告を統計処理することにより、運転技能評価報告237および運転姿勢評価報告239のような、幾つかの全体的分析および評価を生成することが可能である。
【0051】
[運転イベントストリングを取得するための未加工データの分析]
図3は、3次元形式でプロットされているものとして、複数の車両の加速度計からの未加工データの例を示している。x軸301は、(車両が通常移動する方向における)車両の縦方向の加速度を表し、従って、“前方(forward)”および“後方(reverse)”の加速度および減速度データ307はx軸に沿ってプロットされる。y軸303は、車両が通常移動する左右方向への車両の横方向(側面方向)の加速度を表し、従って、“サイド・ツウ・サイド”加速度データ309はy軸に沿ってプロットされる。時間軸305はx軸およびy軸に対して直交している。
データ307とデータ309がセンサセット101(図2)から出力される時間依存の未加工データストリームを表している。
【0052】
図3は、説明の目的のための例であって、これに限定されないことに注意されたい。加速度以外の他の未加工センサデータストリームも同様に表される。事例は、アクセル(ガス)ペダルの使用の程度、ブレーキペダルおよびブレーキの踏圧力の程度、ギアシフトのレートなどである。しかしながら、他の場合では、グラフは複数のデータ軸を必要としなくてもよい。加速度は、ベクトル量であり、従って、方向の要素を有しており、複数のデータ軸を必要とする。しかしながら、スカラー変数は、方向の要素を有しておらず、2次元のグラフは時間でデータストリームを表すのに足りる。速度、ブレーキ踏圧力などはスカラー変数である。
【0053】
図4は、ロウパスフィルターによって実施される未加工データストリームの初期フィルタリングの効果を示す。また、図4は、2次元での加速度を表すが、それらは、同一軸上に分解(collapse)される。未加工データストリーム401は、センサセット101(図2)からの時間依存出力を表す。ロウパスフィルター202を適用した後、フィルタリングされたデータストリーム403が出力される。ロウパスフィルタリングに加えて、ロウパスフィルター202は、また、移動平均及び/又はドメインフィルターを適用することができる。従って、フィルタリングされたデータストリーム403は、不要なノイズが除去されたデータストリームである。
【0054】
図5は、運転イベントのストリングを導き出すために、フィルタリングされたデータストリーム403の解析を示す。運転イベントは、フィルタリングされたデータストリームにおける独特のパターンによって示され、そして次の運転イベントのセットに従って分類されるが、これに限定されるものではない。
・“スタート(Start)”イベント501;本明細書ではSとして指定され、この変数は初期値として実質的にゼロ値を有する。
・“エンド(End)”イベント503;本明細書ではEとして指定され、この変数は最終的には実質的にゼロ値を有する。
・最大または“Max”イベント505;本明細書ではMとして指定され、この変数は実質的に最大値に到達する。
・最小または“Min”イベント507;本明細書ではLとして指定され、この変数は実質的に最小値に到達する。
・“クロス(Cross)”イベント509;本明細書ではCとして指定され、この変数は符号(sign)を変更する(軸上のゼロ値をクロスする)。
・局所最大または“L.Max”イベント511;本明細書ではOとして指定され、この変数は実質的に局所最大値に到達する。
・局所フラットまたは“L.Flat”イベント513;本明細書ではTとして指定され、この変数は実質的に局所的(一時的)一定値を有する。
・“フラット(Flat)”イベント515;本明細書ではFとして指定され、この変数は実質的に一定値を有する。
【0055】
上述したように、シンボル表現によって示されたこれら運転イベントのそれぞれは、また、パラメータのセットを有し、それは、イベントと関連する通知を定量化する。例えば、“Max”イベントMは、パラメータとして最大値を有する。加えて、イベントの生起の時間が、また、イベントと共に格納される。
【0056】
同様に追加の運転イベントを定義することが可能である。加速についてのように、含まれるベクトル量が存在する場合には(これに制限されないが)、運転イベント記号表示は、そのイベントがx要素またはy要素に関するかどうかを示すことにまで拡大される。例えば、(加速度の)x要素の最大値は、Mxで示され、一方、(加速度の)y要素の最大値はMyで示される。
【0057】
再び図5を参照すると、フィルタリングされたデータ403は、次の運転イベントの時間順のシーケンスを表すことが分かる。
・Sxイベント521;
・Lxイベント523;
・Fyイベント525;
・Exイベント527;
・Syイベント529;
・Mxイベント531:
・Myイベント533;
・Lyイベント535:
・Tyイベント537;
・Eyイベント539;
・Sxイベント541;
・Mxイベント543。
【0058】
上述の分析は、イベントハンドラー201(図2)によって実施される。そして、解析されフィルタリングされた結果データは、イベントハンドラー201から運転イベントストリングとして出力される。
Sx Lx Fy Ex Sy Mx My Ly Ty Ey Sx Mx
【0059】
再び、上述のイベントストリングのシンボルのそれぞれは、個々のイベントを数値的に定量化するパラメータと関連づけられる。
本発明の他の実施形態によれば、また、変数の符号に依存して、これらのイベントに関する変形が存在する。例えば、加速および減速に対応して、それぞれ、Sx正イベント、Sx負イベントが存在する。
【0060】
[運転操作のシーケンスを得るための運転イベントストリングの分析]
多くの異なる運転操作が、運転イベントのシーケンスから生成される。ほとんどの共通運転操作を含む操作ライブラリー213を用い、そしてパターン認識ユニット213(図2)を活用して、運転イベントの長いストリングに対応する運転操作のシーケンスを判断することが可能である。
【0061】
以下に、基本的運転操作の幾つかの例を説明するが、これに限定されるものではない。
図6は、x−加速度要素およびy−加速度要素の3次元表現により、車線変更運転操作についての未加工データ601を示す。グラフ603は、2次元プロット上に重なられたx−加速度要素表現およびy−加速度要素表現を示す。示されている運転イベントは、Syイベント605、Myイベント607、Cyイベント609、Lyイベント611、Eyイベント613である。従って、運転イベントシーケンス Sy My Cy Ly Ey は、車線変更運転操作に対応する。
【0062】
図7は、2次元プロットにより、方向転換運転操作についての未加工データ701を示す。示されている運転イベントは、Syイベント703、Lyイベント705、Eyイベント707である。従って、この運転イベントシーケンス Sy Ly Ey は、方向転換運転操作に対応する。
【0063】
図8は、2次元プロットにより、方向転換中のブレーキング運転操作についての未加工データ801を示す。示されている運転イベントは、Syイベント803、Sxイベント805、Myイベント807、Eyイベント809、Lxイベント811、Exイベント813である。従って、この運転イベントシーケンス Sy Sx My Ey Lx Ex は、方向転換中のブレーキング運転操作に対応する。
【0064】
方向転換中のブレーキング運転操作は、x−要素イベントとy−要素イベントとの間の相対的タイミングが、どのようにして異なる運転操作を生成するように修正されるかを示すことが分かる。図8を参照すると、Sxイベント805とMyイベント807の順序が、原則として保存されることが分かる。なぜなら、それらは、異なる独立した変数(加速度の前方x−要素に対して加速度の横方向のy−要素)に関連するイベントであるからである。従って、結果として得られる運転イベントシーケンス、Sy My Sx Ey Lx Exは、図8に示されるように、元の運転操作 Sy Sx My Ey Lx Ex におけるような後ろよりも、むしろ、ブレーキングが始まる(Sx)前に横方向の加速度の最大値が生じるところの運転操作に対応する。タイミングにおけるこの小さな変化は、関連する運転操作ではあるが、幾つかの環境下で、著しく異なる動的運転特定を有することができると共に完全に異なるレベルの危険を表す運転操作を生成することができる。なぜなら、これら二つの操作間のタイミングの違いは、ほんの一瞬にすぎず、他のものに優先してこれらの操作の一つを首尾よく実行するための運転者の能力は、運転技能と経験のレベルに決定的に依存している。
【0065】
このような新規な分析の特徴により、本発明の実施形態は、異なるが似ている運転操作を区別することができ、これにより、従来技術の分析システムおよび方法が現在の統計的および閾値分析技術を通じて達成できないような方法で、運転者の動作(performance)、技能(skill)、行動(behavior)を評価することができる。従来技術の統計的および閾値分析は、異なる運転状況に含まれる危険に関するこのようなタイミングの微妙な違いの効果を考慮することができない。
【0066】
さらに、Eyイベント809とLxイベント811の相対的タイミングに関して同様の状況が存在することが分かる。また、これらの二つのイベントは、独立な変数に関連しており、且つ、原則として、他の異なる運転イベントシーケンス、Sy My Sx Lx Ey Ex を生成するために入れ替えることができる。全体として見れば、異なるが関連する4つのイベントシーケンスを生成することが可能である。
1.Sy My Sx Ey Lx Ex
2.Sy Sx My Ey Lx Ex
3.Sy My Sx Lx Ey Ex
4.Sy Sx My Lx Ey Ex
【0067】
これらの幾つかは、それらのタイミングにおける微妙な違いにより根本的に異なる特性を有していることが分かる。或いは、これらのタイミングの微妙な違いのあるものは、結果として得られる運転操作の特性における大きな違いを生じないかもしれない。この後者の例では、本発明の実施形態は、このような違いは、異なる運転操作というよりは、むしろ、基本的な運転操作における変形物であると考える。これらの類似の運転操作についての運転イベントストリングの代替形態(alternative form)は、このような代替形態が容易に認識されるように、データベースに格納される。
また、上述の見解は、この特定の運転操作のセットに限定されるが、同様に他の多くの運転操作に適用してもよいことが分かる。
【0068】
図9は、2次元プロットにより、方向転換中の加速運転操作についての未加工データ901を示す。示されている運転イベントは、Syイベント903、Sxイベント905、Mxイベント907、Exイベント909、Myイベント911、Eyイベント913である。従って、この運転イベントシーケンス Sy Sx Mx Ex My Ey は、方向転換中の加速運転操作に対応している。
【0069】
図10は、本発明の実施形態による運転操作を識別するための有限状態マシンの遷移の例を示し、これに限定されるものではない。このようなマシンは、パターン認識ユニット215(図2)としてのパターン認識と機能を実施することができ、あるいは、その働きを補完することができる。この例では、図10のマシンは、異なる4つの運転操作、即ち、加速と、ブレーキングと、方向転換と、方向転換及び加速とを認識することができる。開始点1001で遷移が開始し、そして完了点1003で終える。このマシンは、入力イベントストリングにおける各運転イベントを検査し、そして示されるような認識された運転操作に対応するブランチを有するツリー(tree)を詳しく検査(traverse)する。もし、最初のイベントがSxであれば、操作は、加速またはブレーキングである。従って、もし、次のイベントが Mx Ex であれば、加速操作であり、遷移1005は加速度を出力する。しかしながら、もし、次のイベントが Lx Ex であれば、遷移1007がブレーキングを出力する。同様に、もし、最初のイベントがSyであれば、操作は、方向転換と、方向転換および加速とのうちの何れかである。もし、次のイベントが My Ey であれば、遷移1009は方向転換を出力する。他には、もし、次のイベントが Mx My Ex Ey であれば、遷移1011は方向転換および加速を出力する。この図示した例では、もし、イベントストリングに次の運転イベントに相当するノードが存在しなければ、マシンは、何ら操作を識別することなく完了点1003に遷移する。しかしながら、実際には、有限状態マシンは、運転操作を物理的にあり得る各入力ストリングに関連づける。
【0070】
図11は、車両の運転者の動作および行動を分析し評価するための本発明による方法の全体的なフローチャートである。本方法に対する入力は、センサセット101(図2)からの出力のような、未加工のセンサデータストリーム1101である。本方法は、センサデータをフィルタリングして外来ノイズを除去するフィルターステップ1103から開始する。このステップの後にイベント検出ステップ1105が続き、このステップの後のステップ1109で、運転イベントストリング1107が生成される。この後、パターンマッチングステップ1111は、ステップ1115において操作シーケンス1113を生成するために、操作ライブラリー213(図2)における操作に対してイベントストリング1107のイベントをマッチングさせる。これに続いて、ステップ1119は、運転者の技能を評価し、そして技能評価1117を生成する。加えて、ステップ1123は、運転者の姿勢を評価し、そして姿勢評価1121を生成する。ステップ1127は、現在の運転者の行動を、格納された運転者プロファイル(もしあれば)と比較することにより運転異常を検出し、そして判定点1129において、重要な何らかの異常が存在するかどうかを判定する。もし、重要な異常があれば、ステップ1131は、この趣旨の警報を起動する。何れにしても、ステップ1133は、所望の統計的要約の準備を含み、評定(rating)および所見(finding)を分析し評価する。ステップ1135において、報告231,233,235,237,239(図2)のような報告が発行される。もし、姿勢評価1121が危険を示すような、危険の重要な指標が示されれば、ステップ1139は適切な警報を起動する。
【0071】
[技能と姿勢の評価]
図12は、操作1201についての運転者の技能を評価するための本発明の実施形態による構成および処理の概念図である。この評価のために、操作1201は、上述したように、運転イベントシーケンスによって表される。操作ライブラリー213(図2)は、未熟の操作テンプレート1203を含み、それは、同一操作についての運転イベントシーケンスであるが、経験不足または未熟な運転者のそれらに対応するパラメータを有する。また、操作ライブラリー213は、高度熟練の操作テンプレート1205を含み、それは、同一の操作について運転イベントシーケンスであるが、経験があり且つ熟練した運転者のそれに対応するパラメータを有する。未熟の操作テンプレート1203および高度熟練の操作テンプレート1205は、加算器1211によって共に加算された重み要素と乗算器1207および乗算器1209によってそれぞれ乗算される重み付け手法により合成(combine)される。乗算器1209は、高度熟練の操作テンプレート1205にファクターfを乗算し、このファクターfは、0から1の範囲の値であり、一方、乗算器1207は、未熟の操作テンプレート1203にファクター(1−f)を乗算し、従って、加算器1211の出力は、未熟の操作テンプレート1203と高度熟練の操作テンプレート1205との重み付けされた線形合成である。この重み付けされた線形合成は、比較器1213に入力され、それも、操作1201からの入力を有する。比較器1213の出力は、fの安定的な値が、操作1201とほとんど同じになる高度熟練の操作テンプレート1205と未熟の操作テンプレート1203との重み付けされた合成に相当するように、乗算器1207および乗算器1209の両方についてfの値を調整する。従って、ファクターfは、操作1201についての運転者の動作の技能ランキングとしての役目を果たし、ここで、f=1の値は、技能の最高等級を表し、f=0の値は、技能の最低等級を表す。本発明の実施形態では、多くの運転操作に対応する技能ランキングは、分析器225(図2)のようなものによって定量的に合成される。
【0072】
前述のように、図12は、操作についての技能レベルを評価するための処理の概念図である。アルゴリズムおよび方法の観点から、本手順は、単に、(1−f)重み付けされた未熟のテンプレートに加算されたf重み付けされた高度熟練のテンプレートが問題の操作に最も近似するところの区間[0,1]におけるfの値を見つけ出すことである。
さらに、本発明の他の実施形態では、操作を種々の標準と比較することによる技能の評価は、周知のファジーロジックの原理の応用を通じて遂行される。
【0073】
図13に、運転姿勢に関する同様の評価が示される。操作ライブラリー213から読み出されたテンプレートは、操作1201に対応する安全実行操作(safely-executed maneuver)についてのテンプレート1303と、操作1201に対応する危険実行操作(dangerously-executed maneuver)についてのテンプレート1305である。これらは、乗算器1309および乗算器1307によって重み付け法により合成され、乗算器1309は、危険実行操作1305に区間[0,1]のファクターgを乗算し、そして乗算器1307は、安全実行操作1303に(1−g)のファクターを乗算する。乗算された操作は、加算器1311によって共に加算され、そしてその合成結果は、元の操作に最も近い値を生じるgの値を見つけ出すために、比較器1313によって操作1201に対して比較される。従って、gは、操作1201についての運転者の姿勢のランキングとしての役目を果たし、ここで、g=1の値は危険の最高等級を表し、g=0の値は危険の最低等級を表す。g=0.5のようなgの中間値は、運転者が危険を冒すところの“攻撃的”な運転を表すものとして解釈される。
【0074】
前述したように、図13は、操作についての姿勢レベルを評価するための処理の概念図である。アルゴリズムと方法の観点から、本手順は、単に、(1−g)重み付けされた安全実行の操作に加算されたg重み付けされた危険実行の操作テンプレートが問題の操作に最も近似するところの区間[0,1]におけるgの値を見つけ出すことである。
【0075】
本発明の実施形態において、多くの運転操作に対応する姿勢評価は、分析器225(図2)のようなものによって、統計的合成(statistically-combine)されることができる。本発明の実施形態による異なる操作についての姿勢評価を統計的に合成する場合、図1に示されるように、異なる操作が異なる危険係数を有することに注意されたい。操作がより多くの危険を引き起こすほど、危険係数がより高くなる。例として、これに限定されるものではないが、g=0.3で車線変更(危険係数=4)を実施して、g=0.7で方向転換中のブレーキング(危険係数=8)を実施する運転者は、これらの二つの操作について、次により与えられる平均運転姿勢を有する。
(4*0.3+8*0.7)/2=3.4
【0076】
本発明の他の実施形態では、運転者の評価された姿勢は、上記操作のセットの最大値(最も危険)を用いて統計的に計算される。上述の例では、これは、8*0.7=5.6である。
【0077】
さらに、ファクターfおよびgは、区間[0.1]の選択に関して任意であることが分かり、そして上記区間の両端値に対する意味の割り当てである。例えば、1−10のような異なる区間を選択することもでき、値1と値10についてどのような意味が要望されてもよい。従って、上述の例に限定されない。
【0078】
[異常検出]
図14は、現在の運転者の過去の行動及び動作を参照して、その運転者の行動及び/又は動作に重大な異常があるかどうかを判定するための本発明の実施形態による構成または処理の概念図である。特定の運転操作1401は、モニタされた状態にあり、そして現在の運転者を表すと考えられる同じ操作のその運転者の過去の動作の特徴記録1403と比較される。特徴記録1403はデータベース(図2)から読み取られる。操作1401と特徴操作1403との違いの大きさは、大きさ減算器1405によって取得され、それは、その違いの絶対値を出力する。弁別器(discriminator)1409は、大きさ減算器1405からの違いの大きさを閾値1407と比較する。もし、その違いの大きさが閾値1407を越えていれば、弁別器1409は、運転不一致信号を出力する。
【0079】
前述のように、図14は、以前に記録された参照と比較されたときの操作の動作における不一致または異常を評価するための処理の概念図である。アルゴリズムまたは方法の観点から、本手順は、単に、操作の違いの大きさ及び以前に記録された参照を、閾値1407と比較することである。もし、違いの大きさが閾値1407を越えていれば、不一致の信号が送られる。
【0080】
或る場合には、経験の浅い運転者のように、時がたてば運転の品質がしっかりと上達することが予測される。このような場合では、運転者の運転が重大な異常を示すレベルにまで、その運転者の動作及び/又は姿勢が向上する時が来る(向上のため)。従って、本発明の実施形態では、本システムは、向上した運転品質を捕らえるために、データベース209における特徴記録を更新する。
【0081】
本発明は、限られた数の実施形態に関して説明されたが、ほほ亜の多くの変形、修正、および他の応用がなされることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】従来技術による車両の運転データの分析および評価を概念的に例示する図である。
【図2】本発明の一実施形態によるシステムのブロック図である。
【図3】複数の車両加速度計からの未加工データストリームのグラフの例を示す図である。
【図4】本発明による未加工データストリームをフィルタリングしてノイズを除去する例を示す図である。
【図5】本発明によるフィルタリングされたデータストリームを解釈して運転イベントのストリングを導き出す例を示す図である。
【図6】本発明による“車線変更”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図7】本発明による“方向転換”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図8】本発明による“方向転換中のブレーキング”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図9】本発明による“方向転換中の加速”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図10】本発明の実施形態による運転操作を識別するための有限状態マシンの遷移の説明に役立つ限定されない事例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態による車両運転者動作を分析し評価するための方法のフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態による運転者の技能を評価するための構成の概念的なブロック図である。
【図13】本発明の実施形態による運転者の姿勢を評価するための構成の概念的なブロック図である。
【図14】本発明の実施形態による現在の運転者の行動及び/又は動作に重大な異常があるかどうかを判断するための構成の概念的なブロック図である。
【符号の説明】
【0083】
101 センサ
201 イベントハンドラー
209 データベース
211 操作検出器
223 異常検出器
225 分析器
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転モニタシステム(driving monitoring systems)及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両(vehicles)の運転動作とそのパターンに関する実時間データを取得するために、車両の操作(operation)をモニタするためのシステム及び方法を備えることには、広く認められた利益がある。このようなシステム及び方法は、事故のような車両の偶発的な出来事の原因に関する定性的および定量的情報の収集を容易化し、そして、運転熟練度の質を判定するための客観的な運転者評価を可能にする。潜在的利益は、車両事故および車両の悪用を防止または低減させること、そして、車両の運転費、メインテナンス費、および交換費用を低減させることを含む。このような装置およびシステムの社会的価値は、車両事故の影響を低減することにおいて普遍的である。経済的価値は、一般的な保険及び危機管理と同様に、商用車及び公用車には特に重要である。
【0003】
新規な技術的長所を活用した車両モニタシステムに対する大きく且つ成長中の市場が存在する。これらのシステムは、特徴および機能性において変化し、そして、全体的な問題に対するそれらのアプローチにおける多くの余地を提示する。或るものは位置(location)と後方支援(logistics)に焦点をあて、他のものは、エンジンの診断および燃料消費に焦点をあて、一方で、他のものは安全管理に注力している。
【0004】
例えば、Tokitsuら(以下、“Tokitsu”と称す)に対する米国特許第4500868は、自動車教習(driving instruction)における補助として意図されている。(エンジン速度、車両速度、選択されたトランスミッションギア、などのような)種々のセンサをモニタすることにより、Tokitsuによるシステムは、或る所定の状態閾値が超過されたかを判断し、そうであれば、警報を発して運転者に警告を与えることができる。また、警報は、事後的な検査および分析のために記録される。或る場合には、Tokitsuのような簡単なシステムが有益である。例えば、もし運転者がアクセルペダルを強く踏み込んでいれば、その結果生じる加速は所定の閾値を越え、警報がなり、運転者に加速を小さくするように警告する。もし、運転者がこのような行動の傾向があれば、Tokitsuのシステムによって作成された記録はこのことを示すであろう。他方、Tokitsuのシステムは、他の条件下では価値が制限される。例えば、もし運転者が、突然、強い力を車両のブレーキに加えると、その結果生じる減速度が所定の閾値を超え、そしてこれにより警報が発せられて記録される。このような行動の記録は有益であるが、このような強いブレーキングは、通常、既に運転者が緊急事態に気づいている場合や、アラームが過度である場合の緊急状態下で行われ(故に、価値が殆どないか全くない)、または恐らくは気分転換の場合に行われる(故に、疑わしい価値であり、または、有害ですらある)。
【0005】
Lemelsonに対する米国特許第4671111(以下、“Lemelson111”と称す。)は、車両の加速度及び減速度を取得し分析するためのデータ記録/伝送装置と加速度計の使用を教示している。しかしながら、Lemelson111は、車両の性能分析との関連でこのことを提起しているにもかかわらず、結果として得られたデータの分析がどのように行われるのについての詳細な説明は正確には存在せず、それによってどのようにして有意義な情報が得られるのかについても説明されていない。また、Lemelsonに対する関連米国特許第5570087(以下、“Lemelson087”と称す。)において、分析された車両の動きは、コンピュータメモリに格納されたコード化された表現で表される。それには、Lemelson111と同様に、未加工データがどのようにして分析されて運転行動のパラメータを決定するのかについて記載されておらず、Lemelson087には、運転行動パラメータまたは未加工データのコード化された表現がどのように生成または利用されるのかについて記載されていない。更に、Lemelsonに対する米国特許第5805079は、Lemelson087の継続出願であり、新規な事項、または追加の記述的材料を含んでいない。
【0006】
Kamishimaに対する米国特許第5270708(以下、“Kamishima”と称す。)は、車両の位置と方向、方向転換、および速度を検出し、そして現在の場所での過去の事故のデータベースと組み合わされて、現在の車両の運転状況が過去の事故のものと似ているかどうかを判断し、そうであれば、運転者に警報を発するシステムを開示している。例えば、もし、特定の道路上での現在の車両の速度がその道路のその点での速度制限(格納された)を超えていれば、運転者は警告を受ける。さらに、もし、その特定の領域でのスピードの出し過ぎが多くの事故に関与していたことで知られていれば、システムは、このことを運転者に通知する。しかしながら、このようなシステムの有用性は、以前のデータのベースを持ち、その格納情報と現在の運転状況とを関連づけることに決定的に依存している。Kamishimaのシステムは、特に、通常は運転行動を分析せず、場所依存の方法で運転者のパターンについて何ら一般的な結論を引き出すものでもない。
【0007】
Kondoに対する米国特許第5546305(以下、“Kondo”と称す。)は、未加工データを時間区別(time-differentiate)し、そして閾値試験(threshold tests)を適用することにより、未加工の車両速度、および加速度、エンジン回転数、およびブレーキングデータに関する分析を実施する。このような分析は、多くの場合、(運転の“粗雑さ(roughness)”を分析することにより)良好な運転動作と異常または危険な運転動作とを区別することができるが、時間区別と閾値検出は、単独では、未加工データストリームを、運転と正常に関連づけられる普通のパターンに分類することができない。例えば、運転者が速度閾値を超えた時間数のカウントを提供することは、安全でない運転を示すが、しかし、このようなカウントは、運転者のパターンのあいまいな検出しかもたらさない。他方、方向転換中に運転者がブレーキを繰り返し適用することを示す状況に敏感なレポートは、潜在的に危険な運転パターンをはるかに明らかにする。しかし、残念ながら、Kondoによってなされた分析は、従来の分析技術の特色をよく示しており、このような状況に敏感な情報を提供することができない。(後述の“従来技術の限界”を参照)
【0008】
Gehlotに対する米国特許第6060989(以下、“Gehlot”と称す。)は、車両を安全に制御するための運転者の能力を妨げる身体機能障害(physical impairments)を判断するための車両内のセンサシステムを開示している。説明されている特定の身体機能障害は、中毒(intoxication)、疲労および眠気、または薬の副作用を含む。Gehlotのシステムでは、車両よりはむしろ運転者である人物を直接的にセンサがモニタする。これは、身体機能障害(上述したような障害)の場合には有用なアプローチであるが、Gehlotのシステムは、運転者が単に未熟である場合、または無謀に運転している場合には効果がなく、しかも、運転者の通常の運転パターンを評価することができない。
【0009】
Tanoらに対する米国特許第6438472(以下、“Tano”と称す。)には、運転者の動作(performance)を評価するために使用することができる統計に基づく集約体(statistical aggregates)を取得するための統計に基づく手法で(速度および加速度のような)未加工の運転データを分析するシステムが記載されている。或る所定の閾値を超えると、不出来な運転者の動作が判断される。“安全”な運転と考えられる統計に基づく閾値を超えている運転者は、“危険”な運転者と見なされる。閾値は、標準偏差のような、種々の統計に基づく量に適用されることができる。しかしながら、Tanoは、道路の場所および特性によって変化すると考えられる閾値と統計に基づく集約体に頼っているので、Tanoによるシステムは、統計に基づくプロファイル及び閾値とは無関係に運転者の動作を評価するための能力が制限されている。詳細には、運転者の動作の統計に基づく特性化は、一般に、普通の運転パターンの観点では表現できない。例えば、運転者は、特定の横加速度閾値を越える統計に基づくプロファイルを有するかもしれず、従って運転者は“危険”な運転者として分類されるかもしれない。しかし、どのような運転パターンが過度の横加速度に関与しているのだろうか。それはこの運転者がカーブを速すぎる速度で曲がる傾向があるためか。または、運転者が、車間をジグザグに走り抜ける間に急に車線変更する傾向があるためか。両方とも場合によっては“危険”なパターンであるが、しかし、Tanoに示されているような純粋に閾値指向の統計に基づく分析は、これらを区別することができず、従って、結果として得られる統計に基づくプロファイルが特定の運転パターンに起因すると考えることはできない。Tanoの分析について上述したように、Tanoの統計に基づく分析は、また、普通の運転パターンの観点で情報を提供することができない。
【0010】
上述の交付ずみ特許に加えて、車両の運転行動をモニタするために現在利用可能な多くの市販製品が存在する。CA、サンタバーバラのVetronix社の“Mastertrak”システムは、光学的な“保安モジュール”を提供する車隊管理(fleet management)として意図されている。しかしながら、この特徴は、車両速度と安全ベルトの使用にしか対処しておらず、運転者の行動パターンを分析することはできない。TX、ヒューストンのSmartDriverによって製造されたシステムは、車両速度、アクセルスロットの位置、エンジンRPMをモニタし、これらの変数に対する閾値の超過に関して、検出しカウントし報告することができる。しかしながら、残念ながら、閾値に基づいて分類できない種々の運転パターンが存在するにもかかわらず、それは、問題の多い、または安全でない運転行動の検出に関するものである。例えば、一般に、或る道路上であまりにゆっくりと運転することは危険であり、この理由により、場合によっては、最低速度制限が存在する。しかしながら、最低速度以下での運転は、SmartDriverのようなシステムによっては即座に検出できない。なぜならば、低速の閾値(low-speed threshold)の導入は、(車両が適切な場所でゆっくりと運転されているときに)通常はこのようなデータを収集することは意味がないというような多くの誤った報告をもたらすからである。
【0011】
多様なセンサを通じて車両の動作に関する未加工の物理データを収集することは、通常、極めて多量のデータをもたらし、それは、記憶し処理するのに扱いにくく、分析し評価するのに実用的でない。このため、運転者行動の分析および評価の如何なる自動化システムまたは方法も、データを取り扱い可能なサイズに有意義に低減するための或る抽出メカニズム(abstraction mechanism)を導入しなければならない。
【0012】
引用した上述の特定の事例によって例示されたように、従来技術について、これは、統計に基づく処理と、所定の閾値の使用を通じてなされ、場合によっては、限定的な継続的前処理(例えば時間区別(time-differentiation))によって補完され、場合によっては、オプションで、運転が行われている場所に関する利用可能なヒストリーまたは他のデータと関連づけられる。結果として、従来技術のシステムおよび方法は、一般に、運転者の動作の統計的に処理された概略(overview)と集約体(aggregate)を提供することに限定される。これは、Lemelson111において簡潔に表されており、即ち、“コンピュータ分析は、車両の使用または通常の動作を判断するために平均が採用されるところの特定の時間インターバルまたは多くの時間インターバルまたは一層長い時間区間の何れかの期間中、車両の運転の仕方(manner)を判断する”(カラム1、ライン21−26)。即ち、従来技術の分析および評価は、特定の運転セッションの期間中の全体的な動作に基づくか、または、多数の異なるセッションにわたる統計的平均に基づいている。限定された例では、上記分析および評価は、GPS位置決めのアプリケーションを通じて、特定の道路または道路セグメントに関してなされる。
【0013】
図1は、一般的な従来技術の分析および評価アプローチを例示している。代表的なセンサセット101は、回転計103、速度計105、1又は2以上の加速度計107、GPS受信器109、および光学的な追加のセンサ111を備える。加速度計の場合では、一般に、加速度計は、一つの特定の車両軸に沿った加速度をモニタするように機能し、そしてその軸に沿った車両の加速度に応じた未加工のデータストリームを出力する。一般に、関心のある車両加速の二つの主な軸は、縦方向の車両軸−即ち、実質的に車両の主要動(“前方”と“後方”)の方向における軸と、横方向(側面方向)の車両軸−即ち、車両の主要動(サイド・ツウ・サイド)に対して実質的に直交する実質的な水平軸である。2以上の軸に沿った複数の独立ベクトル加速度をモニタすることが可能な加速度計(“多軸(multi-axis)”加速度計)は、本明細書では、複数の加速度計と考えられ、そのように示され、前記複数の加速度計のうちの各加速度計は、単一の軸のみに沿った加速度をモニタすることができる。追加的なセンサは、運転者のブレーキングの踏圧力、アクセルの踏圧力、ステアリングのコントロール、ハンドブレーキ、方向指示器、およびトランスミッション又はギアボックスのコントロール、クラッチ(もし、あれば)、などのためのセンサを含むことができる。回転計103および速度計105のようなセンサの幾つかは、単に、量の大きさを表すアナログ信号出力を有してもよい。トランスミッション及びギアボックスセンサのような他のセンサは、どのギアが選択されているかを示すデジタル出力を有してもよい。メーカーまたは業界のフォーマット標準に従って、さらに複雑な出力がGPS受信機109から入力してもよい。他のセンサは、実際の道路状態および他の運転ファクターを判断するために、実時間クロック、コンパスのような方向案内装置、1又は2以上の傾斜計、温度センサ、降水センサ(precipitation sensors)、利用可能な光センサ、などを含んでもよい。また、サポートされるならば、デジタルセンサ出力も可能である。センサセット101の出力は、アナログ及び/又はデジタル形式の未加工データのストリームである。
【0014】
センサ出力は、分析及び評価ユニット113に入力され、それは閾値設定115および閾値識別器117を備える。統計ユニット119は、概要報告を提供し、そして光継続処理ユニット121は、未加工データを前処理するために備えられてもよい。分析及び評価ユニット113は、統計的に処理されたデータである。
【0015】
報告/通知/警報123は、統計処理の結果を用いて出力され、そして、次の1又は2以上の分析及び評価を含んでもよい。即ち、緊急警報125、運転セッション1の統計報告127、運転セッションnの統計報告131、運転セッション平均統計報告133、および道路特定運転セッション統計報告135のうちの1又は2以上の分析及び評価を含んでもよい。
【0016】
これらの報告は、運転者の行動、技能、および姿勢を分析し評価するのに役立つが、しかし、運転セッションのグループまたは全体的な運転セッションにわたる集約体と、運転の局在性(localization)または閾値に主に基づいている統計の使用は、また、多くの有意義な情報の喪失をもたらす。
【特許文献1】米国特許第4500868号明細書
【特許文献2】米国特許第4671111号明細書
【特許文献3】米国特許第5270708号明細書
【特許文献4】米国特許第5546305号明細書
【特許文献5】米国特許第6060989号明細書
【特許文献6】米国特許第6438472号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施形態によれば、特定の運転状況における運転者の行動の分析の重要性が理解された。また、この理解に基づき、本発明の実施形態によれば、追い越し(passing)、車線変更(lane changing)、交通合流(traffic blending)、方向転換(making turns)、交差点での対処、高速道路への出入りでの対処、大規模な交通渋滞での運転などのような、その通常的な運転状況は、重要な運転の配慮(driving consideration)を取り入れ、所定の運転セッションにおける所定の運転者のための集約体統計は、その所定のセッションの期間中のそれらの状況の混合(mix)および分配(distribution)に依存することは明らかである。従って、運転者とその運転者の行動の適切な評価のためには、これらのファクターを考慮に入れることが重要である。
【0018】
例えば、一貫した方法で運転するが、異なる運転状況に対処する同一運転者は、全く異なる運転統計データを呈するかもしれない。従って、運転者の行動をモニタすることの重要な利益の一つは、運転者の一貫性を判断するための能力である。なぜなら、これは、運転者の予見可能性(predictability)の重要な指標であり、従って、その運転者の動作の安全性の指標だからである。もし運転者が確立された運転プロファイルから著しく逸脱し始めれば、これは、安全でない状況の貴重な事前警告である。おそらく、運転者は、疲れているか、気持ちを動転させているか、混乱状態にあり、これにより、一貫性分析(consistency analysis)が検出できる危険(hazard)を提示する。また、運転者が誤認され、そして車両を運転していると考えられていた人物ではないという可能性もある。しかし、残念ながら、従来技術において行われていたような、統計的集約データは、意味のある一貫性分析を可能としない。なぜなら、このような分析は、遭遇した特定の運転状況に依存し、そして従来技術の分析は、それらの運転状況の詳細を完全に無視するからである。
【0019】
代表的な従来技術の報告は、次のような情報、すなわち、設定された速度制限を超過した時間数、最高速度、設定されたRPMを超過した時間数、最大横方向加速度またはブレーキング減速度などを示す。このような情報は、運転者の習慣の特徴を示しているが、例えば、運転者が方向転換中に加速し、または高速で頻繁に車線変更するといったことを明らかにすることにより、通常的な運転状況、操作、およびパターンに基づく報告を有することの方が好ましい。したがって、初心者で比較的経験の浅い運転者は、極めて注意深く運転し、これにより、極めて“安全”な全体統計データを有するが、しかし、或る種の一般的ではあるが挑戦的な運転状況に対処するための技能を欠いているかもしれない。しかしながら、熟練した運転者は、さらに“危険”な全体統計データであるように思われることを呈するかもしれないが、しかし、それらの挑戦的な運転状況に対して初心者の運転者よりも安全かつ良好に対処することができるかもしれない。しかしながら、従来技術の分析システムおよび方法は、より熟練した運転者がより大きな危険を引き起こすことを誤って推定するかもしれないが、ところが、実際には、明らかにより注意深く観察されるべき“安全”な運転者である。
【0020】
従って、通常的(familiar)な運転状況の観点で、車両の運転者の対応する一連の動作および特徴を判断するために未加工の車両データストリームを分析するための方法およびシステムに対する要請があり、そのような方法およびシステムを備えることは有益である。また、本発明の実施形態により、通常的な運転パターンおよび操作の観点での運転の動作および特徴を表現するための方法およびシステムを有することは有益である。
【0021】
本発明は、車両の運転者の動作(performance)を評価し分類することを目的として、車両の操作(operation)に関する未加工データストリームを分析し評価するためのシステムおよび方法を提供する。従来のシステムおよび方法とは異なり、本発明の実施形態は、運転者の技能および行動の統計的および閾値分析および評価および見積もりを実施することに制限されないが、むしろ、運転のイベント(event)に基づいており、且つ、運転者の運転行動の分類を可能する運転操作を識別することに基づいている。本発明によれば、運転者の運転行動は、通常的な運転パターンおよび操作により表されることができる。従って、本発明は、より多くの情報を含み、且つより迅速に使用される分析および評価を提供する。
【0022】
本発明の実施形態によれば、車両センサからの未加工データストリームは、運転操作の記述子(descriptor)を得るために徐々に分析され、次第に“データ”が減少すると共に、運転操作、代表的には通常的な運転操作と状況を表すようになる。本発明は、各イベントが発生する状況(context)を識別することを可能とする。例えば、急なブレーキングがイベントとして定義され、そしてこのようなイベントの状況は、速すぎる速度で進入して方向転換することである。そして、このイベントは、運転状況との関連で識別されることができる。従来技術のソリューションは、(運転者が特定の速度を越えた時間数をカウントすることのような)測定可能な変数の閾値レベルによる統計的分析を実施するが、(車線変更や、以下にさらに説明されるような他の多くの事柄のような)運転状況の共通パターンを認識すること、とりわけ、安全でない運転行動を表す事柄を識別するために、(車線変更中に速度を上げることや、以下にさらに説明されるような他の多くの事柄のような)状況に他のイベントを関連づけることは、本発明の実施形態の目的である。
【0023】
また、本発明は、運転される車両のセンサ利用のモニタリングに基づき運転者の技能の分類を容易化する。また、本発明は、運転される車両のセンサ利用のモニタリングに基づき運転者の姿勢の分類を容易化する。本明細書で使用される“姿勢(attitude)”なる用語は、運転に対する運転者のアプローチ(approach)と、故意に危険を冒す運転者の傾向を表す。姿勢カテゴリーは、“安全(safe)”(または“正常(normal)”)、“攻撃的(aggressive)”(または“冒険的(risky)”)、“スリルを求める(thrill-seeking)”、“態度が悪い(abusive)”、そして“危険(dangerous)”を含むが、これらに限定されない。本発明の実施形態では、攻撃的または危険な行動がイベントとして記録される。
【0024】
また、本発明は、その実施形態の一つによれば、共通の運転状況において共通の運転操作を実施するときの運転者の行動を定性化し定量化することにより、呼び出された運転セッションの特定の詳細とは無関係に、運転者の事前に記録されたプロファイル、通常は例えば車隊における運転者のグループまたは同じ運転者のプロファイルの何れかと現在の運転者の行動とを定量的および定性的に比較することを可能にする。
【0025】
従って、本発明の第1の態様によれば、車両の運転者の動作(performance)および行動(behavior)を分析し評価するためのシステムが提供され、本システムは、前記車両の状態をモニタすると共に、それに対応する未加工データストリームを出力するように機能する車両センサユーティリティと、前記未加工データストリームを入力し、それに基づき運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを出力するように機能する運転イベントハンドラーと、前記少なくとも一つの運転イベント表現を入力し、運転操作のパターンを認識し、そしてそれに対応する運転操作表現を構築して出力するように機能する操作検出器とを備え、前記運転操作表現は、少なくとも一つの運転操作の表現を含む。
【0026】
加えて、本発明の追加的態様によれば、車両の運転者の動作および行動を分析し評価するための方法が提供され、本方法は、(a)前記車両の状態をモニタして、それに対応する未加工データストリームを取得するステップと、(b)前記未加工データストリームから運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを生成するステップと、(c)前記運転イベントストリングから、少なくとも一つの運転操作の表現を含む運転操作表現を構築して出力するステップとを含む。
【0027】
“車両(vehicle)”なる用語は、運転と関連する任意の物理パラメータを指し、1又は2以上の車両の位置、速度、加速度(1、2または3軸における)、エンジン回転数、車両のアクセル(ガス)ペダルの使用の程度、車両のブレーキの使用またはブレーキ踏圧力の程度およびステアリングホイールの使用の程度を含んでも良く、これに制限されない。従って、センサユーティリティは、上述の“車両の状態”パラメータの1又は2以上をモニタするように機能する検知装置を含む。
【0028】
この好ましい実施形態によれば、モニタされる車両の状態は、1軸、好ましくは2軸、オプションで3軸における加速度である。従って、この好ましい実施形態によれば、センサユーティリティは、1軸、好ましくは2軸、オプションで3軸における車両の加速度をモニタするように機能する1又は2以上の加速度計を含む。
【0029】
代表的には、加速度は、運転方向である縦方向と、側面方向である横方向においてモニタされるであろう。従って、この実施形態によれば、センサユーティリティは、車両の加速度をモニタするように機能し、特定の車両軸に沿った車両の加速度に応じた未加工データストリームを出力するように機能する少なくとも一つの加速度計を備える。
【0030】
運転イベントハンドラーおよび操作検出器は、それぞれ独立に、プロセッサで動作するソフトウェアユーティリティ、その目的のために構成されたハードウェアユーティリティであってもよく、代表的にはこれら二つの組み合わせであってもよい。一実施形態によれば、イベントハンドラー及び操作検出器は、両方とも、一つの計算機ユニットに含まれ、このようなユニットにおけるハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールとして備えられる。他の実施形態によれば、それぞれは、異なるユニットで動作する個々のハードウェア及び/又はソフトウェアユーティリティを構成する。このような異なるユニットは、車両に構成されてもよいが、理解されるように、それらは、また、遠く離れた場所に構成されてもよく、例えばシステムサーバ、または車両および遠隔のその他のものにインストールされたものに構成されてもよい。1又は2以上のシステムのコンポーネントが遠く離れた場所に構成された場合において、アップストリーム車両インストールされたコンポーネント(upstream vehicle installed component)は、無線(wireless)であってもよく、その場合、入力は、連続的であるか又はバッチ式(batch-wise)(例えば、所定の伝送シーケンスによる)であってもよく、または、例えば車両がサービスまたは燃料補給のために来たときに、物理的または接近通信(proximity communication)を通じたものでもよい。
【0031】
本発明の実施形態によれば、例えば、車隊において、レンタカーにおいて、特に、車両が二人以上の運転者によって運転される場合、システムは、また、例えば、識別カードをスワイプ(swipe)するためのドライバーにより、または識別コードのパンチング(punching)により、運転者を識別するための運転者識別ユニットを備える。
【0032】
本発明の実施形態によれば、前記少なくとも一つの運転イベント表現は、1又は2以上の数値パラメータに関連づけられる。しかしながら、理解されるように、本発明は、前記数値パラメータの使用に限定されるものではなく、他のタイプのパラメータを同様に採用することができる。前記少なくとも一つの運転イベント表現は、スタートイベント(start event)、最大イベント(maximum event)、最小イベント(minimum event)、クロスイベント(cross event)、フラットイベント(flat event)、局所最大イベント(local maximum event)、局所フラットイベント(local flat event)からなるグループのうちの1又は2以上であるところの運転イベントに対応してもよい。
【0033】
運転操作表現(driving maneuver representation)は、種々の異なる運転操作に対応してもよい。本発明の実施形態によれば、前記少なくとも一つの運転操作は、加速、方向転換前の加速、車線変更中の加速、加速して方向転換、停止から加速して方向転換、停止から加速、方向転換から加速、追い越し中の加速、ブレーキング、方向転換後のブレーキング、方向転換前のブレーキング、ブレーキングして停止、方向転換からブレーキング、方向転換中のブレーキング、失敗した車線変更、失敗した追い越し、車線変更、車線変更およびブレーキング、追い越し、追い越しおよびブレーキング、方向転換、方向転換および加速、およびUターンからなるグループの1又は2以上の表現である。本発明の実施形態によれば、前記少なくとも一つの運転操作表現は、1又は2以上の数値パラメータと関連づけられる。しかしながら、理解されるように、本発明は数値パラメータの使用に限定されるものではなく、他のタイプのパラメータを同様に採用することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記運転操作表現は、運転者の技能を評価するために利用される。本発明の他の実施形態によれば、前記運転操作表現は、運転者の姿勢を評価するために利用される。従って、これらの実施形態によれば、本システムは、前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の技能を分析するように機能する技能評価器ユーティリティ、または前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の姿勢を分析するように機能する姿勢評価器ユーティリティを、それぞれ備える。前記技能評価器ユーティリティおよび前記姿勢評価器ユーティリティは、それぞれ、独立に、プロセッサにおいて動作するソフトウェアユーティリティ、その目的のために構成されたハードウェアユーティリティ、または、代表的には、これら二つの組み合わせである。両方のユーティリティは、一つの計算機ユニットに含まれても良く、このようなユニットにおけるハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールとして備えられてもよく、或いは、それぞれは、異なるユニットにおいて動作する個別のハードウェア及び/又はソフトウェアユーティリティを構成してもよい。これらのユーティリティの一つまたは両方は、本発明の幾つかの実施形態において、1又は2以上の運転イベントハンドラーおよび操作検出器と共に、同一のユニットに組み込まれてもよい。前記ユーティリティは、車両に組み込まれてもよいが、理解されるように、それらは、また、遠く離れた場所に構成されてもよく、例えば、システムサーバに構成されてもよい。1又は2以上の前記システムのコンポーネントが遠隔の場所にインストールされている場合には、アップストリーム車両インストールコンポーネントからの入力の受信は、無線であってもよく、この場合、前記入力は、継続的またはバッチ式(所定の伝送シーケンスによる)であってもよく、或いは、例えば、車両がサービスまたは燃料補給のために来たときの物理的または接近通信を通じたものであってもよい。
【0035】
本発明のシステムは、代表的には、特徴的な運転操作表現を記録するように機能するデータベースと、前記少なくとも一つの運転操作表現と前記特徴的な運転操作表現とを比較するように機能する異常検出器とを備える。前記データベースは、平均的運転者動作、例えば、運転者の車隊(fleet)、規定された近隣(neighborhood)、地方(country)、特定の年齢グループの運転者などにおける平均的動作を表す運転操作表現を記録してもよい。このような場合、運転者のための前記運転操作は、複数の運転者について特徴的な運転操作と比較されてもよい。或いは、前記データベースは、運転者について個々の運転操作表現を記録してもよく、従って、運転者のためのその運転者操作は、例えば、運転者の姿勢が、ある種の精神的状態、アルコールまたは薬物などの影響下での運転の結果として、運転の変化をもたらす場合を検出するために、その人の以前又はこれまでの運転動作と比較されてもよい。
【0036】
本発明の実施形態によれば、報告が出力されてもよい。代表的には、この実施形態による本システムは、報告を出力するように機能する分析器ユーティリティを含む。
【0037】
本明細書において、本発明は、以下の添付の図面を参照して、単なる一例として説明される。
図1は、従来技術による車両の運転データの分析および評価を概念的に例示する。
図2は、本発明の一実施形態によるシステムのブロック図である。
図3は、複数の車両加速度計からの未加工データストリームのグラフの例である。
図4は、本発明による未加工データストリームをフィルタリングしてノイズを除去する例である。
図5は、本発明によるフィルタリングされたデータストリームを解釈して運転イベントのストリングを導き出す例である。
図6は、本発明による“車線変更”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図7は、本発明による“方向転換”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図8は、本発明による“方向転換中のブレーキング”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図9は、本発明による“方向転換中の加速”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す。
図10は、本発明の実施形態による運転操作を識別するための有限状態マシンの遷移の説明に役立つ限定されない事例を示す。
図11は、本発明の実施形態による車両運転者動作を分析し評価するための方法のフローチャートである。
図12は、本発明の実施形態による運転者の技能を評価するための構成の概念的なブロック図である。
図13は、本発明の実施形態による運転者の姿勢を評価するための構成の概念的なブロック図である。
図14は、本発明の実施形態による現在の運転者の行動及び/又は動作に重大な異常があるかどうかを判断するための構成の概念的なブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明によるシステム及び方法の原理および動作は、目下のところ好ましい幾つかの特定の実施形態を説明する添付の記述と図面を参照すれば理解されるであろう。これらの例示的な実施形態は、上述の本発明の全範囲を制限するものではなく、例示に過ぎないものであることが理解される。
【0039】
[システムおよびデータ生成]
図2は、本発明の実施形態によるシステムを例示している。センサセット(sensor set)101は、幾つかの実施形態による図1に示される従来技術のそれに相当し、未加工データストリーム(raw data stream)の形式での出力を有し、車両の状態をモニタすることを除いて、他と異なる。理解されるように、本発明は、特定のタイプのセンサに限定されるものではなく、任意の現在利用可能なまたは将来利用可能な検知システムが本発明に採用できる。未加工データ(raw data)は、運転イベントハンドラー201に入力され、この運転イベントハンドラー201は、ロウパスフィルター202、運転イベント検出器203、運転イベントを格納し管理するための運転イベントスタックおよび運転イベント抽出器205、運転イベントライブラリー207を備え、運転イベントライブラリー207はデータベース209から特定のデータを取得する。
【0040】
本発明によれば、運転イベント(driving event)は、以下に詳細に説明されるように、運転の基本動作を特徴づける“単純(simple)”な運転操作(driving operation)である。運転イベントハンドラー201は、センサセット(sensor set)101からの未加工データに関して基本的な分析を実施し、そして、上記未加工データストリームに対応する運転イベントのストリング(string)を出力する。運転イベントストリングは、この実施形態では、その各生起順に配列された運転イベントシンボルのセットであって時間順の空でないセット(non-empty set)として表される。運転イベント検出器203は、データストリームに対してウィンドウをスライドさせる既知の技術を用いることによるように、イベントライブラリー207からのイベントタイプとフィルタリングされたセンサデータストリームの最良適合(best-fit)の比較を実施する。実時間クロック(real-time clock)208は、システムに基準時間入力を供給し、ここでは、運転イベントハンドラー201に出力されるものとして、本発明の制限されない実施形態について例示されている。
【0041】
また、本発明の実施形態によれば、運転イベントは、基本的な運転操作(basic driving operation)を定性的に識別するシンボルによって特徴づけられ、そしてその運転イベントを定量化する1又は2以上の数値パラメータと関連づけられる。これらのパラメータは、上述のように、イベントライブラリー207からのイベントに対して最良適合の比較を行うのに使用されるスケーリング及びオフセットファクターから導出される。例えば、イベントライブラリー207におけるイベントのモデルに対する入力データの選択されたセグメントの最良適合を生じるところの時間軸のスケーリングと変数値軸のスケーリングは、数値パラメータとして使用されることができる(ほとんどの場合、1又は2以上のこれらの数値パラメータは、運転イベントの開始時間および終了時間に関する)。もし、運転イベントと入力データストリームとがぴったりと適合(close fits)すれば、イベントストリング(イベントシンボルと関連パラメータセットを含む)は、オリジナルのデータストリームを置き換え、これにより、データを著しく圧縮し、としてその知的な分析を提供する。
【0042】
制限されない例として、簡単なイベントは、停止位置から前方に移動するように車両をスタートさせることである(“スタート”イベント)。このイベントのための数値パラメータは加速度の大きさである。このイベントの一般化されたバージョンは、移動する車両の速度増加である(“加速”イベント)。他の簡単なイベントは、移動状態から速度を落として停止することである(“ストップ”イベント)。他のイベントは、同様に単純である。イベントハンドラー201への入力であるセンサからのデータの連続的ストリームの代わりに、出力運転イベントストリングは、上述のような一連の基本的運転イベントである。
【0043】
そして、運転イベントストリングは、運転操作検出器211に入力される。本発明によれば、運転操作(driving maneuver)は、通常の運転における通常的(familiar)なパターンとして遭遇する運転イベントの組み合わせである。例えば、“車線変更”は、最も簡単なケースでは、前進動作期間中の横方向の減速が続いて起こるところの横方向の加速の組み合わせで表現される運転操作である。方向転換中の車線変更がさらに含まれるが、運転イベントの組み合わせによって同様に表すことができる。運転イベントそれ自体のケースにおけるように、運転操作は、1又は2以上の数値パラメータを含むことができ、それは、運転操作を作り出す運転イベントの数値パラメータに関連する。
【0044】
運転操作シーケンスは、それらの生起順の各時間に応じて配列された運転操作のセットであって時間順の空でないセットである。図2に戻り、運転イベントのストリングから運転操作のシーケンスを導き出すために、操作検出器211は、データベース209から与えられる操作ライブラリー213と、運転操作のパターンを認識して運転操作を補償する運転イベントのクラスターを識別するためのパターン認識ユニット215と、入力運転イベントストリングに対応する妥当な運転操作シーケンス出力を構成するための操作分類器217とを備える。典型的なパターンは、これに制限されるものではないが、停止からの加速、および速すぎる速度での方向転換への進入または加速中の車線変更のようなイベントのシーケンスを含む。運転操作のタイミングおよび量を既知の熟練した運転者のそれと比較することにより、技能評価器219は、現在の運転者の運転操作のハンドリングについての技能評価を構築(develop)し割り当てることができる。また、ある種の重要なパラメータ(操作中の加速および減速に関連するようなもの)の大きさを分析することにより、姿勢評価器221は、現在の運転者の運転操作の実施についての姿勢評価を構築し割り当てることができる。また、各操作は、現在の運転者についての集約姿勢評価(aggregate attitude rating)を構築し割り当てるための重み付け姿勢危険係数を割り付けられてもよい。
【0045】
次の表1は、幾つかの共通運転操作、それらの運転状況における共通の意味、およびそれらの推奨された運転危険係数の例を含むが、これらに限定されない。本明細書で述べられる運転操作および運転イベントについての多くの可能性のある記述的用語が存在することが知られており、本明細書で使用されるその用語の選択は、それ自体、本発明のとの関連では重要でない。例えば、“追い越し(passing)”運転操作は、本明細書では、米国における操作についての共通の用語にちなんで名づけられているが、或る国では“バイパス(bypassing)”と称され、他の国では“オーバーテイク(overtaking)”と称されている。
【0046】
制限されない例において、係数は1から10の範囲の値をとり、10は、最も危険な運転操作を表している。もちろん、危険係数は主観的なものであり、本発明の他の実施形態によれば、経験的証拠(empirical evidence)に合うように再定義されてもよい。この係数は、また、異なる国、異なる運転者の人口などで異なってもよい。
【0047】
【表1A】
【0048】
【表1B】
【0049】
運転操作検出器211による処理に続いて、運転異常検出器223は、運転者の運転プロファイルにおける不一致(inconsistencies)について出力運転操作をチェックする。運転者についてのプロファイルまたはプロファイルのセットは、その運転者の現在の行動と比較するためにデータベース209に保持されることができる。種々の操作についてのプロファイルのセットは、現在の運転操作がどのようであっても、同一のカテゴリーの記録された操作と比較されるように(即ち、例えば、車線変更操作を、記録された車線変更操作と比較するように)、保持されることができる。もし、基準(reference)として使用されるその運転者についての記録されたプロファイルと現在の運転操作との間に大幅な食い違い(discrepancy)が存在すれば、この運転の食い違いは、チェックまたは調査の検証のために緊急警報228に報告されることができる。前述のように、重大な食い違いまたは不一致は、(例えば、アルコール及び/又は薬物などの影響下での一連の運転のような、運転者の現在の姿勢の結果として)安全でない状態を示す。
【0050】
運転操作検出器211から出力される運転操作のシーケンスは、また、分析器225に出力され、この分析器225は、報告/通知/警報229に運転行動の分析および評価を出力する。図2に示されているように、報告/通知/警報229は、運転状況1の分析報告231、運転状況2の分析報告233等と、運転状況nの分析報告235に関するある種の情報を含む。加えて、上記運転状況の分析報告を統計処理することにより、運転技能評価報告237および運転姿勢評価報告239のような、幾つかの全体的分析および評価を生成することが可能である。
【0051】
[運転イベントストリングを取得するための未加工データの分析]
図3は、3次元形式でプロットされているものとして、複数の車両の加速度計からの未加工データの例を示している。x軸301は、(車両が通常移動する方向における)車両の縦方向の加速度を表し、従って、“前方(forward)”および“後方(reverse)”の加速度および減速度データ307はx軸に沿ってプロットされる。y軸303は、車両が通常移動する左右方向への車両の横方向(側面方向)の加速度を表し、従って、“サイド・ツウ・サイド”加速度データ309はy軸に沿ってプロットされる。時間軸305はx軸およびy軸に対して直交している。
データ307とデータ309がセンサセット101(図2)から出力される時間依存の未加工データストリームを表している。
【0052】
図3は、説明の目的のための例であって、これに限定されないことに注意されたい。加速度以外の他の未加工センサデータストリームも同様に表される。事例は、アクセル(ガス)ペダルの使用の程度、ブレーキペダルおよびブレーキの踏圧力の程度、ギアシフトのレートなどである。しかしながら、他の場合では、グラフは複数のデータ軸を必要としなくてもよい。加速度は、ベクトル量であり、従って、方向の要素を有しており、複数のデータ軸を必要とする。しかしながら、スカラー変数は、方向の要素を有しておらず、2次元のグラフは時間でデータストリームを表すのに足りる。速度、ブレーキ踏圧力などはスカラー変数である。
【0053】
図4は、ロウパスフィルターによって実施される未加工データストリームの初期フィルタリングの効果を示す。また、図4は、2次元での加速度を表すが、それらは、同一軸上に分解(collapse)される。未加工データストリーム401は、センサセット101(図2)からの時間依存出力を表す。ロウパスフィルター202を適用した後、フィルタリングされたデータストリーム403が出力される。ロウパスフィルタリングに加えて、ロウパスフィルター202は、また、移動平均及び/又はドメインフィルターを適用することができる。従って、フィルタリングされたデータストリーム403は、不要なノイズが除去されたデータストリームである。
【0054】
図5は、運転イベントのストリングを導き出すために、フィルタリングされたデータストリーム403の解析を示す。運転イベントは、フィルタリングされたデータストリームにおける独特のパターンによって示され、そして次の運転イベントのセットに従って分類されるが、これに限定されるものではない。
・“スタート(Start)”イベント501;本明細書ではSとして指定され、この変数は初期値として実質的にゼロ値を有する。
・“エンド(End)”イベント503;本明細書ではEとして指定され、この変数は最終的には実質的にゼロ値を有する。
・最大または“Max”イベント505;本明細書ではMとして指定され、この変数は実質的に最大値に到達する。
・最小または“Min”イベント507;本明細書ではLとして指定され、この変数は実質的に最小値に到達する。
・“クロス(Cross)”イベント509;本明細書ではCとして指定され、この変数は符号(sign)を変更する(軸上のゼロ値をクロスする)。
・局所最大または“L.Max”イベント511;本明細書ではOとして指定され、この変数は実質的に局所最大値に到達する。
・局所フラットまたは“L.Flat”イベント513;本明細書ではTとして指定され、この変数は実質的に局所的(一時的)一定値を有する。
・“フラット(Flat)”イベント515;本明細書ではFとして指定され、この変数は実質的に一定値を有する。
【0055】
上述したように、シンボル表現によって示されたこれら運転イベントのそれぞれは、また、パラメータのセットを有し、それは、イベントと関連する通知を定量化する。例えば、“Max”イベントMは、パラメータとして最大値を有する。加えて、イベントの生起の時間が、また、イベントと共に格納される。
【0056】
同様に追加の運転イベントを定義することが可能である。加速についてのように、含まれるベクトル量が存在する場合には(これに制限されないが)、運転イベント記号表示は、そのイベントがx要素またはy要素に関するかどうかを示すことにまで拡大される。例えば、(加速度の)x要素の最大値は、Mxで示され、一方、(加速度の)y要素の最大値はMyで示される。
【0057】
再び図5を参照すると、フィルタリングされたデータ403は、次の運転イベントの時間順のシーケンスを表すことが分かる。
・Sxイベント521;
・Lxイベント523;
・Fyイベント525;
・Exイベント527;
・Syイベント529;
・Mxイベント531:
・Myイベント533;
・Lyイベント535:
・Tyイベント537;
・Eyイベント539;
・Sxイベント541;
・Mxイベント543。
【0058】
上述の分析は、イベントハンドラー201(図2)によって実施される。そして、解析されフィルタリングされた結果データは、イベントハンドラー201から運転イベントストリングとして出力される。
Sx Lx Fy Ex Sy Mx My Ly Ty Ey Sx Mx
【0059】
再び、上述のイベントストリングのシンボルのそれぞれは、個々のイベントを数値的に定量化するパラメータと関連づけられる。
本発明の他の実施形態によれば、また、変数の符号に依存して、これらのイベントに関する変形が存在する。例えば、加速および減速に対応して、それぞれ、Sx正イベント、Sx負イベントが存在する。
【0060】
[運転操作のシーケンスを得るための運転イベントストリングの分析]
多くの異なる運転操作が、運転イベントのシーケンスから生成される。ほとんどの共通運転操作を含む操作ライブラリー213を用い、そしてパターン認識ユニット213(図2)を活用して、運転イベントの長いストリングに対応する運転操作のシーケンスを判断することが可能である。
【0061】
以下に、基本的運転操作の幾つかの例を説明するが、これに限定されるものではない。
図6は、x−加速度要素およびy−加速度要素の3次元表現により、車線変更運転操作についての未加工データ601を示す。グラフ603は、2次元プロット上に重なられたx−加速度要素表現およびy−加速度要素表現を示す。示されている運転イベントは、Syイベント605、Myイベント607、Cyイベント609、Lyイベント611、Eyイベント613である。従って、運転イベントシーケンス Sy My Cy Ly Ey は、車線変更運転操作に対応する。
【0062】
図7は、2次元プロットにより、方向転換運転操作についての未加工データ701を示す。示されている運転イベントは、Syイベント703、Lyイベント705、Eyイベント707である。従って、この運転イベントシーケンス Sy Ly Ey は、方向転換運転操作に対応する。
【0063】
図8は、2次元プロットにより、方向転換中のブレーキング運転操作についての未加工データ801を示す。示されている運転イベントは、Syイベント803、Sxイベント805、Myイベント807、Eyイベント809、Lxイベント811、Exイベント813である。従って、この運転イベントシーケンス Sy Sx My Ey Lx Ex は、方向転換中のブレーキング運転操作に対応する。
【0064】
方向転換中のブレーキング運転操作は、x−要素イベントとy−要素イベントとの間の相対的タイミングが、どのようにして異なる運転操作を生成するように修正されるかを示すことが分かる。図8を参照すると、Sxイベント805とMyイベント807の順序が、原則として保存されることが分かる。なぜなら、それらは、異なる独立した変数(加速度の前方x−要素に対して加速度の横方向のy−要素)に関連するイベントであるからである。従って、結果として得られる運転イベントシーケンス、Sy My Sx Ey Lx Exは、図8に示されるように、元の運転操作 Sy Sx My Ey Lx Ex におけるような後ろよりも、むしろ、ブレーキングが始まる(Sx)前に横方向の加速度の最大値が生じるところの運転操作に対応する。タイミングにおけるこの小さな変化は、関連する運転操作ではあるが、幾つかの環境下で、著しく異なる動的運転特定を有することができると共に完全に異なるレベルの危険を表す運転操作を生成することができる。なぜなら、これら二つの操作間のタイミングの違いは、ほんの一瞬にすぎず、他のものに優先してこれらの操作の一つを首尾よく実行するための運転者の能力は、運転技能と経験のレベルに決定的に依存している。
【0065】
このような新規な分析の特徴により、本発明の実施形態は、異なるが似ている運転操作を区別することができ、これにより、従来技術の分析システムおよび方法が現在の統計的および閾値分析技術を通じて達成できないような方法で、運転者の動作(performance)、技能(skill)、行動(behavior)を評価することができる。従来技術の統計的および閾値分析は、異なる運転状況に含まれる危険に関するこのようなタイミングの微妙な違いの効果を考慮することができない。
【0066】
さらに、Eyイベント809とLxイベント811の相対的タイミングに関して同様の状況が存在することが分かる。また、これらの二つのイベントは、独立な変数に関連しており、且つ、原則として、他の異なる運転イベントシーケンス、Sy My Sx Lx Ey Ex を生成するために入れ替えることができる。全体として見れば、異なるが関連する4つのイベントシーケンスを生成することが可能である。
1.Sy My Sx Ey Lx Ex
2.Sy Sx My Ey Lx Ex
3.Sy My Sx Lx Ey Ex
4.Sy Sx My Lx Ey Ex
【0067】
これらの幾つかは、それらのタイミングにおける微妙な違いにより根本的に異なる特性を有していることが分かる。或いは、これらのタイミングの微妙な違いのあるものは、結果として得られる運転操作の特性における大きな違いを生じないかもしれない。この後者の例では、本発明の実施形態は、このような違いは、異なる運転操作というよりは、むしろ、基本的な運転操作における変形物であると考える。これらの類似の運転操作についての運転イベントストリングの代替形態(alternative form)は、このような代替形態が容易に認識されるように、データベースに格納される。
また、上述の見解は、この特定の運転操作のセットに限定されるが、同様に他の多くの運転操作に適用してもよいことが分かる。
【0068】
図9は、2次元プロットにより、方向転換中の加速運転操作についての未加工データ901を示す。示されている運転イベントは、Syイベント903、Sxイベント905、Mxイベント907、Exイベント909、Myイベント911、Eyイベント913である。従って、この運転イベントシーケンス Sy Sx Mx Ex My Ey は、方向転換中の加速運転操作に対応している。
【0069】
図10は、本発明の実施形態による運転操作を識別するための有限状態マシンの遷移の例を示し、これに限定されるものではない。このようなマシンは、パターン認識ユニット215(図2)としてのパターン認識と機能を実施することができ、あるいは、その働きを補完することができる。この例では、図10のマシンは、異なる4つの運転操作、即ち、加速と、ブレーキングと、方向転換と、方向転換及び加速とを認識することができる。開始点1001で遷移が開始し、そして完了点1003で終える。このマシンは、入力イベントストリングにおける各運転イベントを検査し、そして示されるような認識された運転操作に対応するブランチを有するツリー(tree)を詳しく検査(traverse)する。もし、最初のイベントがSxであれば、操作は、加速またはブレーキングである。従って、もし、次のイベントが Mx Ex であれば、加速操作であり、遷移1005は加速度を出力する。しかしながら、もし、次のイベントが Lx Ex であれば、遷移1007がブレーキングを出力する。同様に、もし、最初のイベントがSyであれば、操作は、方向転換と、方向転換および加速とのうちの何れかである。もし、次のイベントが My Ey であれば、遷移1009は方向転換を出力する。他には、もし、次のイベントが Mx My Ex Ey であれば、遷移1011は方向転換および加速を出力する。この図示した例では、もし、イベントストリングに次の運転イベントに相当するノードが存在しなければ、マシンは、何ら操作を識別することなく完了点1003に遷移する。しかしながら、実際には、有限状態マシンは、運転操作を物理的にあり得る各入力ストリングに関連づける。
【0070】
図11は、車両の運転者の動作および行動を分析し評価するための本発明による方法の全体的なフローチャートである。本方法に対する入力は、センサセット101(図2)からの出力のような、未加工のセンサデータストリーム1101である。本方法は、センサデータをフィルタリングして外来ノイズを除去するフィルターステップ1103から開始する。このステップの後にイベント検出ステップ1105が続き、このステップの後のステップ1109で、運転イベントストリング1107が生成される。この後、パターンマッチングステップ1111は、ステップ1115において操作シーケンス1113を生成するために、操作ライブラリー213(図2)における操作に対してイベントストリング1107のイベントをマッチングさせる。これに続いて、ステップ1119は、運転者の技能を評価し、そして技能評価1117を生成する。加えて、ステップ1123は、運転者の姿勢を評価し、そして姿勢評価1121を生成する。ステップ1127は、現在の運転者の行動を、格納された運転者プロファイル(もしあれば)と比較することにより運転異常を検出し、そして判定点1129において、重要な何らかの異常が存在するかどうかを判定する。もし、重要な異常があれば、ステップ1131は、この趣旨の警報を起動する。何れにしても、ステップ1133は、所望の統計的要約の準備を含み、評定(rating)および所見(finding)を分析し評価する。ステップ1135において、報告231,233,235,237,239(図2)のような報告が発行される。もし、姿勢評価1121が危険を示すような、危険の重要な指標が示されれば、ステップ1139は適切な警報を起動する。
【0071】
[技能と姿勢の評価]
図12は、操作1201についての運転者の技能を評価するための本発明の実施形態による構成および処理の概念図である。この評価のために、操作1201は、上述したように、運転イベントシーケンスによって表される。操作ライブラリー213(図2)は、未熟の操作テンプレート1203を含み、それは、同一操作についての運転イベントシーケンスであるが、経験不足または未熟な運転者のそれらに対応するパラメータを有する。また、操作ライブラリー213は、高度熟練の操作テンプレート1205を含み、それは、同一の操作について運転イベントシーケンスであるが、経験があり且つ熟練した運転者のそれに対応するパラメータを有する。未熟の操作テンプレート1203および高度熟練の操作テンプレート1205は、加算器1211によって共に加算された重み要素と乗算器1207および乗算器1209によってそれぞれ乗算される重み付け手法により合成(combine)される。乗算器1209は、高度熟練の操作テンプレート1205にファクターfを乗算し、このファクターfは、0から1の範囲の値であり、一方、乗算器1207は、未熟の操作テンプレート1203にファクター(1−f)を乗算し、従って、加算器1211の出力は、未熟の操作テンプレート1203と高度熟練の操作テンプレート1205との重み付けされた線形合成である。この重み付けされた線形合成は、比較器1213に入力され、それも、操作1201からの入力を有する。比較器1213の出力は、fの安定的な値が、操作1201とほとんど同じになる高度熟練の操作テンプレート1205と未熟の操作テンプレート1203との重み付けされた合成に相当するように、乗算器1207および乗算器1209の両方についてfの値を調整する。従って、ファクターfは、操作1201についての運転者の動作の技能ランキングとしての役目を果たし、ここで、f=1の値は、技能の最高等級を表し、f=0の値は、技能の最低等級を表す。本発明の実施形態では、多くの運転操作に対応する技能ランキングは、分析器225(図2)のようなものによって定量的に合成される。
【0072】
前述のように、図12は、操作についての技能レベルを評価するための処理の概念図である。アルゴリズムおよび方法の観点から、本手順は、単に、(1−f)重み付けされた未熟のテンプレートに加算されたf重み付けされた高度熟練のテンプレートが問題の操作に最も近似するところの区間[0,1]におけるfの値を見つけ出すことである。
さらに、本発明の他の実施形態では、操作を種々の標準と比較することによる技能の評価は、周知のファジーロジックの原理の応用を通じて遂行される。
【0073】
図13に、運転姿勢に関する同様の評価が示される。操作ライブラリー213から読み出されたテンプレートは、操作1201に対応する安全実行操作(safely-executed maneuver)についてのテンプレート1303と、操作1201に対応する危険実行操作(dangerously-executed maneuver)についてのテンプレート1305である。これらは、乗算器1309および乗算器1307によって重み付け法により合成され、乗算器1309は、危険実行操作1305に区間[0,1]のファクターgを乗算し、そして乗算器1307は、安全実行操作1303に(1−g)のファクターを乗算する。乗算された操作は、加算器1311によって共に加算され、そしてその合成結果は、元の操作に最も近い値を生じるgの値を見つけ出すために、比較器1313によって操作1201に対して比較される。従って、gは、操作1201についての運転者の姿勢のランキングとしての役目を果たし、ここで、g=1の値は危険の最高等級を表し、g=0の値は危険の最低等級を表す。g=0.5のようなgの中間値は、運転者が危険を冒すところの“攻撃的”な運転を表すものとして解釈される。
【0074】
前述したように、図13は、操作についての姿勢レベルを評価するための処理の概念図である。アルゴリズムと方法の観点から、本手順は、単に、(1−g)重み付けされた安全実行の操作に加算されたg重み付けされた危険実行の操作テンプレートが問題の操作に最も近似するところの区間[0,1]におけるgの値を見つけ出すことである。
【0075】
本発明の実施形態において、多くの運転操作に対応する姿勢評価は、分析器225(図2)のようなものによって、統計的合成(statistically-combine)されることができる。本発明の実施形態による異なる操作についての姿勢評価を統計的に合成する場合、図1に示されるように、異なる操作が異なる危険係数を有することに注意されたい。操作がより多くの危険を引き起こすほど、危険係数がより高くなる。例として、これに限定されるものではないが、g=0.3で車線変更(危険係数=4)を実施して、g=0.7で方向転換中のブレーキング(危険係数=8)を実施する運転者は、これらの二つの操作について、次により与えられる平均運転姿勢を有する。
(4*0.3+8*0.7)/2=3.4
【0076】
本発明の他の実施形態では、運転者の評価された姿勢は、上記操作のセットの最大値(最も危険)を用いて統計的に計算される。上述の例では、これは、8*0.7=5.6である。
【0077】
さらに、ファクターfおよびgは、区間[0.1]の選択に関して任意であることが分かり、そして上記区間の両端値に対する意味の割り当てである。例えば、1−10のような異なる区間を選択することもでき、値1と値10についてどのような意味が要望されてもよい。従って、上述の例に限定されない。
【0078】
[異常検出]
図14は、現在の運転者の過去の行動及び動作を参照して、その運転者の行動及び/又は動作に重大な異常があるかどうかを判定するための本発明の実施形態による構成または処理の概念図である。特定の運転操作1401は、モニタされた状態にあり、そして現在の運転者を表すと考えられる同じ操作のその運転者の過去の動作の特徴記録1403と比較される。特徴記録1403はデータベース(図2)から読み取られる。操作1401と特徴操作1403との違いの大きさは、大きさ減算器1405によって取得され、それは、その違いの絶対値を出力する。弁別器(discriminator)1409は、大きさ減算器1405からの違いの大きさを閾値1407と比較する。もし、その違いの大きさが閾値1407を越えていれば、弁別器1409は、運転不一致信号を出力する。
【0079】
前述のように、図14は、以前に記録された参照と比較されたときの操作の動作における不一致または異常を評価するための処理の概念図である。アルゴリズムまたは方法の観点から、本手順は、単に、操作の違いの大きさ及び以前に記録された参照を、閾値1407と比較することである。もし、違いの大きさが閾値1407を越えていれば、不一致の信号が送られる。
【0080】
或る場合には、経験の浅い運転者のように、時がたてば運転の品質がしっかりと上達することが予測される。このような場合では、運転者の運転が重大な異常を示すレベルにまで、その運転者の動作及び/又は姿勢が向上する時が来る(向上のため)。従って、本発明の実施形態では、本システムは、向上した運転品質を捕らえるために、データベース209における特徴記録を更新する。
【0081】
本発明は、限られた数の実施形態に関して説明されたが、ほほ亜の多くの変形、修正、および他の応用がなされることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】従来技術による車両の運転データの分析および評価を概念的に例示する図である。
【図2】本発明の一実施形態によるシステムのブロック図である。
【図3】複数の車両加速度計からの未加工データストリームのグラフの例を示す図である。
【図4】本発明による未加工データストリームをフィルタリングしてノイズを除去する例を示す図である。
【図5】本発明によるフィルタリングされたデータストリームを解釈して運転イベントのストリングを導き出す例を示す図である。
【図6】本発明による“車線変更”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図7】本発明による“方向転換”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図8】本発明による“方向転換中のブレーキング”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図9】本発明による“方向転換中の加速”運転操作のためのデータおよびイベントストリング分析を示す図である。
【図10】本発明の実施形態による運転操作を識別するための有限状態マシンの遷移の説明に役立つ限定されない事例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態による車両運転者動作を分析し評価するための方法のフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態による運転者の技能を評価するための構成の概念的なブロック図である。
【図13】本発明の実施形態による運転者の姿勢を評価するための構成の概念的なブロック図である。
【図14】本発明の実施形態による現在の運転者の行動及び/又は動作に重大な異常があるかどうかを判断するための構成の概念的なブロック図である。
【符号の説明】
【0083】
101 センサ
201 イベントハンドラー
209 データベース
211 操作検出器
223 異常検出器
225 分析器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の動作および行動を分析し評価するためのシステムであって、
前記車両の状態をモニタすると共に、それに対応する未加工データストリームを出力するように機能する車両センサユーティリティと、
前記未加工データストリームを入力し、それに基づき運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを出力するように機能する運転イベントハンドラーと、
前記少なくとも一つの運転イベント表現を入力し、運転操作のパターンを認識し、そしてそれに対応する運転操作表現を構築して出力するように機能する操作検出器と
を備え、
前記運転操作表現は、少なくとも一つの運転操作の表現を含むシステム。
【請求項2】
前記センサユーティリティは、前記車両の異なる状態をモニタするように機能する複数の車両センサを備える請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記センサユーティリティは、車両加速度をモニタするように機能し、且つ、特定の車両軸に沿って前記車両の加速度に対応する未加工データストリームを出力するように機能する少なくとも一つの加速度計を備えた請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記センサユーティリティは、少なくとも2つの加速度計を備え、そのうちの一つは縦方向の加速度を測定し、他の一つは横方向の加速度を測定するように機能する請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの運転イベント表現は、1又は2以上の数値パラメータに関連する請求項1ないし4の何れか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも一つの運転イベント表現は、スタートイベント、エンドイベント、最大イベント、最小イベント、クロスイベント、フラットイベント、局所最大イベント、局所フラットイベントからなるグループのなかの1又は2以上である運転イベントに対応する請求項1ないし5の何れか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つの運転操作は、加速、方向転換前の加速、車線変更中の加速、加速して方向転換、停止から加速して方向転換、停止から加速、方向転換から加速、追い越し中の加速、ブレーキング、方向転換後のブレーキング、方向転換前のブレーキング、ブレーキングして停止、方向転換からブレーキング、方向転換中のブレーキング、失敗した車線変更、失敗した追い越し、車線変更、車線変更およびブレーキング、追い越し、追い越し及びブレーキング、方向転換、方向転換および加速、Uターンからなるグループの中の1又は2以上である請求項1ないし6の何れか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも一つの運転操作表現は1又は2以上の数値パラメータを含む請求項8記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の技能を分析するように機能する技能評価ユーティリティを更に備えた請求項1ないし8の何れか1項記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の姿勢を分析するように機能する技能評価ユーティリティを更に備えた請求項1ないし9の何れか1項記載のシステム。
【請求項11】
特徴的運転操作表現を記録するように機能するデータベースと、
前記少なくとも一つの運転操作表現を前記特徴的運転操作表現と比較するように機能する異常検出器と
を更に備えた請求項1ないし10の何れか1項記載のシステム。
【請求項12】
前記データベースは前記運転者についての特徴的運転操作表現を記録し、前記異常検出器は、前記少なくとも一つの運転操作表現を前記運転者についての前記特徴的運転操作表現と比較する請求項11記載のシステム。
【請求項13】
報告を出力するように機能する分析器を更に備えた請求項1ないし12の何れか1項記載のシステム。
【請求項14】
車両の運転者の動作および行動を分析し評価するための方法であって、
(a)前記車両の状態をモニタして、それに対応する未加工データストリームを取得するステップと、
(b)前記未加工データストリームから運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを生成するステップと、
(c)前記運転イベントストリングから、少なくとも一つの運転操作の表現を含む運転操作表現を構築して出力するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記未加工データストリームは、前記車両の異なる状態をモニタするように機能する複数の車両センサからなるセンサユーティリティによって生成される請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記未加工データストリームは、複数の加速度計からなるセンサユーティリティによって生成され、前記複数の加速度計のうちの一つは、縦方向の加速度を測定し、前記複数の加速度計のうちの他の一つは、横方向の加速度を測定するように機能する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも一つの運転イベント表現は、スタートイベント、エンドイベント、最大イベント、最小イベント、クロスイベント、フラットイベント、局所最大イベント、局所フラットイベントからなるグループのなかの1又は2以上である運転イベントに対応する請求項14ないし16の何れか1項記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つの運転操作表現は、加速、方向転換前の加速、車線変更中の加速、加速して方向転換、停止から加速して方向転換、停止から加速、方向転換から加速、追い越し中の加速、ブレーキング、方向転換後のブレーキング、方向転換前のブレーキング、ブレーキングして停止、方向転換からブレーキング、方向転換中のブレーキング、失敗した車線変更、失敗した追い越し、車線変更、車線変更およびブレーキング、追い越し、追い越し及びブレーキング、方向転換、方向転換および加速、Uターンからなるグループの中の1又は2以上である運転操作に対応する請求項14ないし17の何れか1項記載の方法。
【請求項19】
前記運転操作表現は1又は2以上の数値パラメータを含む請求項14ないし18の何れか1項記載の方法。
【請求項20】
前記運転操作表現から、運転者の技能を評価するステップを更に備えた請求項14ないし19の何れか1項記載の方法。
【請求項21】
前記運転操作表現から、前記運転操作に基づき前記運転者の姿勢を評価するステップを更に備えた請求項14ないし20の何れか1項記載の方法。
【請求項22】
前記運転操作表現を特徴的運転操作表現と比較するステップを更に備えた請求項14ないし20の何れか1項記載の方法。
【請求項23】
前記特徴的運転操作表現は、前記運転者に特有である請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記運転者の行動に関する方向を出力するステップを更に備えた請求項14ないし23の何れか1項記載の方法。
【請求項1】
車両の運転者の動作および行動を分析し評価するためのシステムであって、
前記車両の状態をモニタすると共に、それに対応する未加工データストリームを出力するように機能する車両センサユーティリティと、
前記未加工データストリームを入力し、それに基づき運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを出力するように機能する運転イベントハンドラーと、
前記少なくとも一つの運転イベント表現を入力し、運転操作のパターンを認識し、そしてそれに対応する運転操作表現を構築して出力するように機能する操作検出器と
を備え、
前記運転操作表現は、少なくとも一つの運転操作の表現を含むシステム。
【請求項2】
前記センサユーティリティは、前記車両の異なる状態をモニタするように機能する複数の車両センサを備える請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記センサユーティリティは、車両加速度をモニタするように機能し、且つ、特定の車両軸に沿って前記車両の加速度に対応する未加工データストリームを出力するように機能する少なくとも一つの加速度計を備えた請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記センサユーティリティは、少なくとも2つの加速度計を備え、そのうちの一つは縦方向の加速度を測定し、他の一つは横方向の加速度を測定するように機能する請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの運転イベント表現は、1又は2以上の数値パラメータに関連する請求項1ないし4の何れか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも一つの運転イベント表現は、スタートイベント、エンドイベント、最大イベント、最小イベント、クロスイベント、フラットイベント、局所最大イベント、局所フラットイベントからなるグループのなかの1又は2以上である運転イベントに対応する請求項1ないし5の何れか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも一つの運転操作は、加速、方向転換前の加速、車線変更中の加速、加速して方向転換、停止から加速して方向転換、停止から加速、方向転換から加速、追い越し中の加速、ブレーキング、方向転換後のブレーキング、方向転換前のブレーキング、ブレーキングして停止、方向転換からブレーキング、方向転換中のブレーキング、失敗した車線変更、失敗した追い越し、車線変更、車線変更およびブレーキング、追い越し、追い越し及びブレーキング、方向転換、方向転換および加速、Uターンからなるグループの中の1又は2以上である請求項1ないし6の何れか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも一つの運転操作表現は1又は2以上の数値パラメータを含む請求項8記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の技能を分析するように機能する技能評価ユーティリティを更に備えた請求項1ないし8の何れか1項記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも一つの運転操作に基づき前記運転者の姿勢を分析するように機能する技能評価ユーティリティを更に備えた請求項1ないし9の何れか1項記載のシステム。
【請求項11】
特徴的運転操作表現を記録するように機能するデータベースと、
前記少なくとも一つの運転操作表現を前記特徴的運転操作表現と比較するように機能する異常検出器と
を更に備えた請求項1ないし10の何れか1項記載のシステム。
【請求項12】
前記データベースは前記運転者についての特徴的運転操作表現を記録し、前記異常検出器は、前記少なくとも一つの運転操作表現を前記運転者についての前記特徴的運転操作表現と比較する請求項11記載のシステム。
【請求項13】
報告を出力するように機能する分析器を更に備えた請求項1ないし12の何れか1項記載のシステム。
【請求項14】
車両の運転者の動作および行動を分析し評価するための方法であって、
(a)前記車両の状態をモニタして、それに対応する未加工データストリームを取得するステップと、
(b)前記未加工データストリームから運転イベントを検出して、それに対応する少なくとも一つの運転イベント表現を含む運転イベントストリングを生成するステップと、
(c)前記運転イベントストリングから、少なくとも一つの運転操作の表現を含む運転操作表現を構築して出力するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記未加工データストリームは、前記車両の異なる状態をモニタするように機能する複数の車両センサからなるセンサユーティリティによって生成される請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記未加工データストリームは、複数の加速度計からなるセンサユーティリティによって生成され、前記複数の加速度計のうちの一つは、縦方向の加速度を測定し、前記複数の加速度計のうちの他の一つは、横方向の加速度を測定するように機能する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも一つの運転イベント表現は、スタートイベント、エンドイベント、最大イベント、最小イベント、クロスイベント、フラットイベント、局所最大イベント、局所フラットイベントからなるグループのなかの1又は2以上である運転イベントに対応する請求項14ないし16の何れか1項記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つの運転操作表現は、加速、方向転換前の加速、車線変更中の加速、加速して方向転換、停止から加速して方向転換、停止から加速、方向転換から加速、追い越し中の加速、ブレーキング、方向転換後のブレーキング、方向転換前のブレーキング、ブレーキングして停止、方向転換からブレーキング、方向転換中のブレーキング、失敗した車線変更、失敗した追い越し、車線変更、車線変更およびブレーキング、追い越し、追い越し及びブレーキング、方向転換、方向転換および加速、Uターンからなるグループの中の1又は2以上である運転操作に対応する請求項14ないし17の何れか1項記載の方法。
【請求項19】
前記運転操作表現は1又は2以上の数値パラメータを含む請求項14ないし18の何れか1項記載の方法。
【請求項20】
前記運転操作表現から、運転者の技能を評価するステップを更に備えた請求項14ないし19の何れか1項記載の方法。
【請求項21】
前記運転操作表現から、前記運転操作に基づき前記運転者の姿勢を評価するステップを更に備えた請求項14ないし20の何れか1項記載の方法。
【請求項22】
前記運転操作表現を特徴的運転操作表現と比較するステップを更に備えた請求項14ないし20の何れか1項記載の方法。
【請求項23】
前記特徴的運転操作表現は、前記運転者に特有である請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記運転者の行動に関する方向を出力するステップを更に備えた請求項14ないし23の何れか1項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−507721(P2008−507721A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522116(P2007−522116)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000566
【国際公開番号】WO2006/008731
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507020222)ドライヴ・ディアグノスティクス・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000566
【国際公開番号】WO2006/008731
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507020222)ドライヴ・ディアグノスティクス・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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