説明

運転者状態検知カメラ

【課題】高画素のカメラを使用することなく、これまでと同じ画素数のイメージセンサを使用しても、撮像した目の部分の画素数を増やすことができ、目の開閉判定が容易な運転者状態検知カメラを提供する。
【解決手段】カメラの前方正面に設けられ、画像を縦方向に拡大するかまぼこ型レンズ(2)と、かまぼこ型レンズ(2)の後方に設けられる凸レンズ(6)と、かまぼこ型レンズ(2)と凸レンズ(6)によって形成される像を撮像するイメージセンサ(3)と、撮像した運転者の顔の画像から目の部分を抽出し、目が開いているか閉じているかを判定する画像処理部(5)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者状態検知カメラに係り、より詳細には、高画素カメラを使用しないでも、目の部分の画素数を増やすことができる運転者状態検知カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両状況認識装置には、イメージセンサであるCCD(電荷結合素子)を使用したカメラ10が撮像部に設けられ、運転者の顔を撮像することが示されている。特許文献1では、撮像した運転者の顔が表示画面に所定の大きさになるように画像を拡大して表示している。また、目の部分を抽出して運転者が居眠り中であるか否かを判定している。
【0003】
特許文献2の画像拡大装置は、運転者の目の画像から、居眠り状態かどうかを判定するため画像を拡大する。その場合、拡大後の画像が受ける原画像(拡大前の画像)に含まれるノイズの影響を軽減させている。具体的には、複数の画素で構成される画像データを拡大する時、端部の画素以外の全ての画素を拡大前の画像データが有する複数画素データから補間して生成する。これによれば、拡大後の画像において、端部を除く全ての画素に拡大前の複数の画素の情報が入り込むので、拡大前の画像の画素にノイズがあっても、その画素データを用いて生成した画素は、ノイズののっていない他の画素からの影響をも受けることになり、拡大前の画像に存在するノイズの影響を軽減しつつ画像を拡大することができる。しかしながら、ソフトウエアの処理に時間がかかるので、所定のサンプリング時間内に処理できなくなる可能性もある。
【0004】
運転者の状態検知システムにおいて、運転者の目の開閉を検出する場合、目の上瞼と下瞼の間に存在する画素データは、VGA(Video Graphic Array:)サイズのカメラで、10画素程度と少ない。図4に示すように、目の開度の分解能は、この画素数に依存してしまう。このように画素数が少ない画像では、上瞼と下瞼が閉じているか開いているかの判定が難しい場合がある。例えば、従来の1画素が4画素に増える高画素のイメージセンサを使用しても、高画素での1画素の明るさは1/4に減少するので、画素が増えても画像の解析が単純に容易になる訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−35320号公報
【特許文献2】特開2003−271931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高画素のイメージセンサを使用することなく、これまでと同じ画素数のイメージセンサを使用しても、撮像した目の部分の画素数を増やすことができ、目の開閉判定が容易な運転者状態検知カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による運転者状態検知カメラは、カメラの前方正面に設けられ、画像を縦方向に拡大するかまぼこ型レンズと、前記かまぼこ型レンズの後方に設けられる凸レンズと、前記かまぼこ型レンズと前記凸レンズによって形成される像を撮像するイメージセンサと、撮像した運転者の顔の画像から目の部分を抽出し、目が開いているか閉じているかを判定する画像処理部と、が備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による運転者状態検知カメラによれば、かまぼこ型レンズを設けたので、運転者の顔を縦方向に拡大して撮像できる。ソフトウエアにより画像を拡大する必要がないので処理時間が早い。目の部分を抽出すると縦に伸長されているので、目が開かれているのか閉じられているのかの判定が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による運転者状態検知カメラの構成図である。
【図2】図1の運転者状態検知カメラに取り付けるかまぼこ型レンズの斜視図である。
【図3】撮像した顔の画像の説明図である。 (A)は従来のカメラで撮像した場合を示す。 (B)は本発明による運転者状態検知カメラで撮像した場合を示す。
【図4】従来の撮像画像であり、顔から抽出した目の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による運転者状態検知カメラを説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明による運転者状態検知カメラの構成図である。運転者状態検知カメラ1は、カメラの前方正面に設けられるかまぼこ型レンズ2と、かまぼこ型レンズ2の後方に設けられる凸レンズ6と、凸レンズ6を通過して形成される像を撮像するイメージセンサ3と、撮像した運転者の顔の画像から目の部分を抽出する画像処理部5と、イメージセンサ3が捉えた画像を所定に時間に読み出して画像処理部5に送り出し、シャターのように機能させるカメラ制御部4と、が備えられる。運転者状態検知カメラ1は、例えば、車両の運転者の前方のダッシュボード7に設置される。
【0012】
図2は、かまぼこ型レンズ2の斜視図である。かまぼこ型レンズ2は、縦方向に拡大された像が得られ、横方向はそのままである。そのため、目が開いているか閉じているかの判定時、画像処理部5での目が開いているのか閉じているのかの判定が容易となる。わき見運転をしていないかを黒目の部分の位置で判定することもできる。かまぼこ型レンズ2は、シリンドリカルレンズとも呼ばれ、正面の形状は長方形で、凸レンズ6の円形の開口部を覆うように設置される。なお、かまぼこ型レンズ2の焦点は、点ではなく横方向の一軸に沿った直線となる。
【0013】
図3は、撮像した顔の画像の説明図である。(A)は従来のカメラで撮像した場合を示す。イメージセンサ3は運転者の首から上の顔の部分を捉える。顔の中で目の部分は、横が22画素、縦が12画素の四角形の領域に入る程度である。(B)は本発明による運転者状態検知カメラで撮像した場合を示す。従来と同じレンズ構成であっても、かまぼこ型レンズ2によって縦に像が拡大されるので、目の部分は横が22画素、縦が18画素のより大きな四角形の領域に入る。すなわち、目の部分の画素数を増やすことができる。これによれば、目の開閉判定が容易となる。なお、(A)において、半分が黒く半分が白い画素があるかのように記載しているが、実際は、図4に示すように、その画素は灰色である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、高画素カメラを使用しないでも、目の画素数を増やすことができる運転者状態検知カメラとして最適である。
【符号の説明】
【0015】
1 運転者状態検知カメラ
2 かまぼこ型レンズ
3 イメージセンサ
4 カメラ制御部
5 画像処理部
6 凸レンズ
7 ダッシュボード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの前方正面に設けられ、画像を縦方向に拡大するかまぼこ型レンズと、
前記かまぼこ型レンズの後方に設けられる凸レンズと、
前記かまぼこ型レンズと前記凸レンズによって形成される像を撮像するイメージセンサと、
撮像した運転者の顔の画像から目の部分を抽出し、目が開いているか閉じているかを判定する画像処理部と、が備えられることを特徴とする運転者状態検知カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−84967(P2012−84967A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227382(P2010−227382)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【出願人】(506407523)株式会社現代自動車日本技術研究所 (34)
【Fターム(参考)】