説明

過冷却水生成装置

【課題】本発明は、極めて商品価値の高い画期的な過冷却水生成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シャーベット状氷Iを形成する過冷却水W2を生成するための過冷却水生成装置であって、被冷却水W1を収納し所定高さを有する被冷却水収納部1と、この被冷却水収納部1から落差を利用して前記被冷却水W1を自然流下せしめる管体2と、この管体2内の被冷却水W1を冷却する冷却部3とを有し、この冷却部3は前記管体2を螺旋状に配設した冷却液収納容体4内に冷却液Lを収納して構成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャーベット状氷を形成する過冷却水を生成するための過冷却水生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、実験などでシャーベット状氷を形成する過冷却水を生成する場合、例えば水を収納した保冷容器を冷凍庫に置き、この保冷容器内の水を凍結させないように慎重に冷やして生成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、実際にシャーベット状氷を形成しようとするその度毎に、丁度良い冷却状態の過冷却水を生成するのは極めて困難である。冷却が足りなかったり、或いは、冷却し過ぎて凍結させてしまう場合が多い。
【0004】
本発明は、前述した問題点を解消する、極めて商品価値の高い画期的な過冷却水生成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
シャーベット状氷Iを形成する過冷却水W2を生成するための過冷却水生成装置であって、被冷却水W1を収納し所定高さを有する被冷却水収納部1と、この被冷却水収納部1から落差を利用して前記被冷却水W1を自然流下せしめる管体2と、この管体2内の被冷却水W1を冷却する冷却部3とを有し、この冷却部3は前記管体2を螺旋状に配設した冷却液収納容体4内に冷却液Lを収納して構成されていることを特徴とする過冷却水生成装置に係るものである。
【0007】
また、請求項1記載の過冷却水生成装置において、一のペットボトル5のテーパー状肩部5aから下方の所定位置で切断して下側に得られる下側筒体1Aをスタンド体1Aとし、他のペットボトル5の底部5bから上方の所定位置で切断して上側に得られる上側筒体1Bを漏斗状容体1Bとし、前記スタンド体1Aに前記漏斗状容体1Bを前記ペットボトル5の口部5fを下側にして嵌合せしめて前記被冷却水収納部1としたことを特徴とする過冷却水生成装置に係るものである。
【0008】
また、請求項1,2のいずれか1項に記載の過冷却水生成装置において、ペットボトル5のテーパー状肩部5aから下方の所定位置で切断して下側に得られる有底筒状体4を前記冷却液収納容体4としたことを特徴とする過冷却水生成装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の過冷却水生成装置において、前記被冷却水W1は、氷若しくは雪で冷却された水道水,色水又は清涼飲料水などの水であることを特徴とする過冷却水生成装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の過冷却水生成装置において、前記冷却液Lとして、水と氷若しくは雪と食塩を混ぜた0℃よりも低温の冷却液Lを採用したことを特徴とする過冷却水生成装置に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、シャーベット状氷を形成するに丁度良い冷却状態の過冷却水を簡易且つ確実に生成することができ、しかも、この過冷却水はシャーベット状氷を形成したい時点で確実に得られ、例えば望む時に楽しくシャーベット状氷を形成することができ、また、特別な動力等は不要で簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れるなど極めて商品価値の高い画期的な過冷却水生成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例を示す斜視図である。
【図2】本実施例に係る要部の形成方法の説明図である。
【図3】本実施例に係る要部の形成方法の説明図である。
【図4】本実施例に係る要部の形成方法の説明図である。
【図5】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0014】
被冷却水収納部1に収納された被冷却水W1は管体2を自然流下すると、冷却部3で冷却される。この際、被冷却水W1は、冷却液Lが収納された冷却液収納容体4に螺旋状に配された管体2を通過して時間をかけて冷却される。
【0015】
この冷却部3を通過して冷却された過冷却水W2は管体2から排出され、この過冷却水W2を受けた部位にはシャーベット状氷Iが形成される。
【0016】
従って、螺旋状に配された管体2を通過することで十分に冷やされることになり、この冷却される時間は、シャーベット状氷Iを形成し得る過冷却水Wとなる時間となるように管体2の長さを設定するだけで良いから、シャーベット状氷Iを形成するに丁度良い冷却状態の過冷却水W2を簡易且つ確実に生成することができる。
【0017】
また、本発明は、過冷却水W2はシャーベット状氷Iを形成したい時点で確実に得られることになり、例えば学習実験などの際、望む時に楽しくシャーベット状氷Iを形成することができる。
【0018】
また、本発明は、被冷却水収納部1から被冷却水W1が供給されシャーベット状氷Iが形成される過冷却水W2の排出まで、落差を利用した自然流下により行われるから、特別な動力等は不要で簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れることになる。
【実施例】
【0019】
本発明の具体的な一実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、シャーベット状氷Iを形成する過冷却水W2を生成するための過冷却水生成装置であって、被冷却水W1を収納し所定高さを有する被冷却水収納部1と、この被冷却水収納部1から落差を利用して被冷却水W1を自然流下せしめる管体2と、この管体2内を通過する被冷却水W1を冷却する冷却部3とを有するものである。
【0021】
具体的には、本実施例では、被冷却水収納部1及び冷却部3を三本のペットボトル5を用いて設けており、このペットボトル5は、適宜な透明な合成樹脂製であり、上端の口部5fにキャップ5dが設けられたテーパー状肩部5aと、このテーパー状肩部5aの下端に連設される筒状の胴部5cと、この胴部5cの下端に連設される底部5bとで構成された市販のもの(500ml)である。
【0022】
被冷却水収納部1は、二本のペットボトル5で設けており、図2に図示したように一のペットボトル5のテーパー状肩部5aから下方の所定位置(胴部5cとの略境界位置)をカッターで切断して下側に得られる下側筒体1Aをスタンド体1Aとし、他のペットボトル5の底部5bから上方の所定位置(胴部5cとの略境界位置)をカッターで切断して上側に得られる上側筒体1Bを漏斗状容体1Bとし、その後、図3に図示したようにスタンド体1Aに漏斗状容体1Bをペットボトル5の口部5fを下側にして嵌合せしめて、所定高さ位置に保持せしめられる被冷却水収納部1としている。尚、スタンド体1Aと漏斗状容体1Bとの重合連設部位は粘着テープ8(透明樹脂製テープ)で止着される。
【0023】
また、漏斗状容体1Bは、キャップ5dを市販のストロー7a付きキャップ7に変更し、このストロー7aに管体2を被嵌して接続している。
【0024】
尚、ペットボトル5のキャップ5dを加工して管体2を接続するようにしても良い。
【0025】
また、スタンド体1Aには、上縁に開口するスリット5eが形成されており、このスリット5eはスタンド体1Aに嵌合させた漏斗状容体1Bに接続した管体2を配する部位である。
【0026】
管体2は、透明の合成樹脂製のホース(全長3mのシリコンゴム製エアホース)であり、後述する冷却液収納容体4内に配設する部位には螺旋状部2aが形成されている。
【0027】
この螺旋状部2aは、図1に図示したように上方から下方へ螺旋状となるように巻回し、この巻回した部位の中心部を下方から上方へと直線状に通して構成されており、管体2を冷却液収納容体4内に配設しながら螺旋状部2aを形成しても良いし、予め形成した螺旋状部2aを冷却液収納容体4内に配設するようにしても良い。
【0028】
本実施例では、被冷却水W1として、氷若しくは雪で冷却された水を採用しており、具体的には、水道水と氷を容器入れてかき混ぜて0℃近くまで冷却したものである。尚、被冷却水W1を構成する水としては水道水に限らず、例えば水は絵の具などの顔料で色づけした色水でも良いし、果汁等で味付けされた清涼飲料水(ペットボトル5の内容物)でも良いなど本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0029】
冷却部3は、管体2を螺旋状に配設し得る冷却液収納容体4内に冷却液Lを収納して構成されている。
【0030】
冷却液収納容体4は、一本のペットボトル5で設けており、図4に図示したようにペットボトル5のテーパー状肩部5aから下方の所定位置(胴部5cとの略境界位置)をカッターで切断して下方に設けられる有底筒状体で構成されている。
【0031】
また、冷却液収納容体4の上部開口縁部の対向位置には一対の窓孔部4aが設けられており、この各窓孔部4aには上端縁に連設するスリット4bが形成され、このスリット4bから挿入した管体2を係止するための係止部4aとして構成されている。
【0032】
この冷却液収納容体4に管体2を配設する際には、前述したように上方から下方へ螺旋状となるように巻回し、この巻回した部位の中心部を下方から上方へと直線状に通して冷却液収納容体4内に螺旋状部2aを形成し、この螺旋状部2aよりも上流側の部位を一の係止部4aに係止し、螺旋状部2aよりも下流側の部位を他の係止部4aに係止する。この際、管体2の先端排水口2bは被冷却水収納部1の所定位置よりも低い位置となるように設定され、落差を利用した自然流下が行われるように構成されている。尚、管体2を配設した後、冷却液収納容体4の上部開口縁部には粘着テープ9(透明樹脂製テープ)が巻かれてスリット4bが閉塞される。
【0033】
本実施例では、冷却液Lとして、水と氷若しくは雪と食塩を混ぜた0℃よりも低温の冷却液Lを採用しており、具体的には、水道水200ml、雪若しくは氷200g、食塩25〜40gを容器に入れてよくかき混ぜて−5〜−10℃程度の冷却液Lを設けている。
【0034】
また、本実施例では、管体2に係る先端排水口2bの下方位置に過冷却水W2を受ける受け体6を用意しており、この受け体6は、前述した漏斗状容体1Bを設ける際に生じたペットボトル5の底部5bでも良いし、別途専用の皿状のものを用意しても良い。
【0035】
尚、本実施例では、最適な冷却状態の過冷却水W1を確実に生成すべく、予め行った実験のデータを基に、構成各部位が最適な条件(管体2の長さや径、冷却液Lの温度設定など)となるように設けられている。
【0036】
以上の構成から成る本実施例に係る過冷却水生成装置を用いたシャーベット状氷Iの形成方法について説明する。
【0037】
先ず、被冷却水W1を氷とともに被冷却水収納部1に収納すると、この被冷却水収納部1に収納された被冷却水W1は管体2を比較的遅い流速にて自然流下して先端排水口2bから排水される。この際、先端排水口2bから排水される被冷却水W1(冷却部3で冷却されていない被冷却水W1)は受け体6で受けるが、この受け体6で受けた被冷却水W1は別の受け体6に交換した後に被冷却水収納部1へ戻す。
【0038】
続いて、管体2内から空気が全部抜けたのを確認した後、冷却液収納容体4に管体2の螺旋状部2aが全部沈むまで冷却液Lを入れると、冷却部3でマイナスの温度まで冷却された過冷却水W2は先端排水口2bから排水され受け体6に落下する。この過冷却水W2を受ける際の受け体6には、予め雪若しくは氷を入れておく。この受け体6に予め入れておいた雪若しくは氷はシャーベット状氷Iの形成の起因となる(過冷却水W2は、雪若しくは氷に触れることで急に温度を下げたり、大きな振動を与えたり、空気中の小さなゴミが入ったりすると凍る。)。
【0039】
その後、受け体6に順次落下した過冷却水W2によりシャーベット状氷Iが形成される。
【0040】
ちなみに、冷却液Lの温度が低過ぎたり、よく混ざっていなかったときなど、管体2の中で過冷却水W2が凍ってしまった場合、冷却液収納容体4から冷却液Lを出すことで凍結した過冷却水W2を融かし、この融けた水が管体2の先端排水口2bから出てきたら再び冷却液収納体4に冷却液Lを入れて冷却を開始すれば良い。
【0041】
その他にも、冷却液Lの温度を変えたり、過冷却水W2の排水量を可変したり(被冷却水収納部1や冷却液収納容体4の高さを可変する)などでも過冷却水W2が凍結した場合に対応することができる。
【0042】
また、本発明者は、実際に行った種々の実験により、例えば冷却液Lの温度設定や過冷却水W2の速度や流量などの条件の変更により、生成される過冷却水W2のは勿論、形成されるシャーベット状氷Iの形状や形成速度(成長速度)を可変し得ることを確認している。
【0043】
本実施例は上述のように構成したから、螺旋状に配された管体2を通過することで十分に冷やされることになり、この冷却される時間は、シャーベット状氷Iを形成し得る過冷却水Wとなる時間となるように管体2の長さを設定するだけで良いから、シャーベット状氷Iを形成するに丁度良い冷却状態の過冷却水W2を簡易且つ確実に生成することができる。
【0044】
また、本実施例は、過冷却水W2はシャーベット状氷Iを形成したい時点で確実に得られることになり、例えば学習実験などの際、望む時に楽しくシャーベット状氷Iを形成する実験が行えることになる。
【0045】
また、本実施例は、被冷却水収納部1から被冷却水W1が供給されシャーベット状氷Iが形成される過冷却水W2の排出まで、落差を利用した自然流下により行われるから、特別な動力等は不要で簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0046】
また、本実施例は、万一、管体2内で過冷却水W2が凍結したとしても直ちにやり直すことができる。
【0047】
また、本実施例は、被冷却水収納部1及び冷却部3を透明なペットボトル5を用いて設けたから各部位における中の様子が見えて楽しむことができ、しかも、極めて体裁が良い。
【0048】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
I シャーベット状氷
W1 被冷却水
W2 過冷却水
L 冷却水
1 被冷却水収納部
1A 下側筒体・スタンド体
1B 上側筒体・漏斗状容体
2 管体
3 冷却部
4 冷却液収納容体・有底筒状体
5 ペットボトル
5a テーパー状肩部
5b 底部
5f 口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーベット状氷を形成する過冷却水を生成するための過冷却水生成装置であって、被冷却水を収納し所定高さを有する被冷却水収納部と、この被冷却水収納部から落差を利用して前記被冷却水を自然流下せしめる管体と、この管体内の被冷却水を冷却する冷却部とを有し、この冷却部は前記管体を螺旋状に配設した冷却液収納容体内に冷却液を収納して構成されていることを特徴とする過冷却水生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の過冷却水生成装置において、一のペットボトルのテーパー状肩部から下方の所定位置で切断して下側に得られる下側筒体をスタンド体とし、他のペットボトルの底部から上方の所定位置で切断して上側に得られる上側筒体を漏斗状容体とし、前記スタンド体に前記漏斗状容体を前記ペットボトルの口部を下側にして嵌合せしめて前記被冷却水収納部としたことを特徴とする過冷却水生成装置。
【請求項3】
請求項1,2のいずれか1項に記載の過冷却水生成装置において、ペットボトルのテーパー状肩部から下方の所定位置で切断して下側に得られる有底筒状体を前記冷却液収納容体としたことを特徴とする過冷却水生成装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の過冷却水生成装置において、前記被冷却水は、氷若しくは雪で冷却された水道水,色水又は清涼飲料水などの水であることを特徴とする過冷却水生成装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の過冷却水生成装置において、前記冷却液として、水と氷若しくは雪と食塩を混ぜた0℃よりも低温の冷却液を採用したことを特徴とする過冷却水生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−99607(P2011−99607A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254036(P2009−254036)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2009年5月16日(土) 社団法人日本雪氷学会北信越支部主催の「2009年度社団法人日本雪氷学会北信越支部大会」においてスライドをもって発表
【出願人】(391007747)株式会社興和 (17)
【Fターム(参考)】